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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075172
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240527BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G21/16 166
G03G21/16 161
G03G21/18 142
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186414
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徹哉
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA12
2H171GA09
2H171HA09
2H171HA20
2H171HA23
2H171JA05
2H171JA23
2H171JA29
2H171KA02
2H171KA04
2H171KA06
2H171KA17
2H171KA23
2H171KA29
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB16
2H171QB17
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】開閉部材が閉じられる際に画像形成ユニットと露光ユニットとが干渉して破損するのを防止することができるようにする。
【解決手段】開閉部材と、装置本体Bdに対して移動自在に配設され、前記開閉部材が閉じられると画像形成位置に置かれる画像形成ユニット20と、装置本体Bdに対して移動自在に配設され、前記開閉部材が開かれると退避位置に置かれ、前記開閉部材が閉じられると、露光位置に置かれる露光ユニット30と、前記開閉部材が閉じられるときに、前記画像形成ユニット20が画像形成位置に置かれた後に前記露光ユニット30を露光位置に置くリンク機構M1とを有する。画像形成ユニット20がハーフセット状態で操作者が開閉装置を閉じても、画像形成ユニット20と露光ユニット30とが干渉することがない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)筐体に対して開閉自在に配設された開閉部材と、
(b)装置本体に対して着脱自在に、かつ、移動自在に配設され、前記開閉部材が閉じられると、画像を形成する画像形成位置に置かれる画像形成ユニットと、
(c)装置本体に対して移動自在に配設され、前記開閉部材が開かれると退避位置に置かれ、前記開閉部材が閉じられると、像担持体を露光する露光位置に置かれる露光ユニットと、
(d)前記開閉部材が閉じられるときに、前記画像形成ユニットが画像形成位置に置かれた後に前記露光ユニットを露光位置に置くリンク機構とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、前記開閉部材が閉じられるのに伴って第1の方向に移動させられる第1のリンク部材、及び該第1のリンク部材が前記第1の方向に移動させられるのに伴って第2の方向に移動させられる第2のリンク部材を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開閉部材が閉じられるときに、前記画像形成ユニットが画像形成位置に置かれた後に前記第2のリンク部材が第2の方向に移動させられ、露光ユニットが露光位置に置かれる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
(a)前記開閉部材は、閉じられるときに前記第1のリンク部材を装置本体内に押し込む第1の押込部材、及び画像形成ユニットを装置本体内に押し込む第2の押込部材を備え、
(b)該第2の押込部材の高さは前記第1の押込部材の高さより高くされる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開閉部材が閉じられるときの、前記第1のリンク部材が移動させられる距離は、前記第2のリンク部材が移動させられる距離より大きい請求項4に記載の画像形成位置。
【請求項6】
(a)前記第1のリンク部材にカム面が、前記第2のリンク部材に前記カム面に沿って移動する接触子が配設され、
(b)前記第1のリンク部材と前記カム面との成す角度が45〔°〕以下にされる請求項5に記載の画像形成位置。
【請求項7】
前記第1のリンク部材及び第2のリンク部材と第3のリンク部材とが揺動自在に連結される請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、電子写真式のプリンタには、画像形成ユニットが配設され、該画像形成ユニットにおいて、帯電ローラによって一様に帯電させられた感光体ドラムの表面が、露光ユニットのLEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像がトナーによって現像されてトナー像が形成され、該トナー像が転写ローラによって用紙に転写されるようになっている。そして、前記プリンタに配設された定着装置としての定着器において前記トナー像が用紙に定着させられることによって画像が形成され、印刷が行われる。
【0003】
ところで、例えば、操作者が、前記プリンタに配設された開閉部材としてのフロントカバーを開き、画像形成ユニットを交換し、続いて、前記フロントカバーを閉じると、露光ユニットが所定の露光位置に移動させられるようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-56152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、画像形成ユニットが画像形成位置に完全に取り付けられていないハーフセット状態で操作者がフロントカバーを閉じると、画像形成ユニットと露光ユニットとが干渉し、破損することがある。
【0006】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、開閉部材が閉じられる際に画像形成ユニットと露光ユニットとが干渉して破損するのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の画像形成装置においては、筐体に対して開閉自在に配設された開閉部材と、装置本体に対して着脱自在に、かつ、移動自在に配設され、前記開閉部材が閉じられると、画像を形成する画像形成位置に置かれる画像形成ユニットと、装置本体に対して移動自在に配設され、前記開閉部材が開かれると退避位置に置かれ、前記開閉部材が閉じられると、像担持体を露光する露光位置に置かれる露光ユニットと、前記開閉部材が閉じられるときに、前記画像形成ユニットが画像形成位置に置かれた後に前記露光ユニットを露光位置に置くリンク機構とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置においては、筐体に対して開閉自在に配設された開閉部材と、装置本体に対して着脱自在に、かつ、移動自在に配設され、前記開閉部材が閉じられると、画像を形成する画像形成位置に置かれる画像形成ユニットと、装置本体に対して移動自在に配設され、前記開閉部材が開かれると退避位置に置かれ、前記開閉部材が閉じられると、像担持体を露光する露光位置に置かれる露光ユニットと、前記開閉部材が閉じられるときに、前記画像形成ユニットが画像形成位置に置かれた後に前記露光ユニットを露光位置に置くリンク機構とを有する。
【0009】
この場合、リンク機構は、開閉部材が閉じられるときに、画像形成ユニットが画像形成位置に置かれた後に露光ユニットを露光位置に置くので、画像形成ユニットが画像形成位置に完全に取り付けられていないハーフセット状態で操作者が開閉装置を閉じても、画像形成ユニットと露光ユニットとが干渉することがなく、画像形成ユニット及び露光ユニットが破損するのを防止ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーと画像形成ユニット及び露光ユニットとの連動機構を説明するための図である。
図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの第1の斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの第2の斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
図5】本発明の第1の実施の形態における露光ユニットの斜視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第1の図である。
図7】本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第2の図である。
図8】本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第3の図である。
図9】本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第4の図である。
図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタのフロントカバーを閉じた状態を示す概略図である。
図11】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタのフロントカバーを開いた状態を示す概略図である。
図12】本発明の第2の実施の形態におけるリンク機構を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0012】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの第1の斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの第2の斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図、図5は本発明の第1の実施の形態における露光ユニットの斜視図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0013】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の装置外装としての筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体である。
【0014】
前記筐体Csは、前壁Wf、背壁Wr、前壁Wf側から見て左側の側壁Ws1、前壁Wf側から見て右側の側壁Ws2及び頂壁Wtを備え、側壁Ws1、Ws2の内側に、装置本体Bd内のフレームを構成するインナプレートPinが形成される。また、前記前壁Wfの上半部Wfaから頂壁Wtの前半部Wtbにかけて、開閉部材としてのフロントカバーPfが筐体Csに対して開閉自在に配設される。
【0015】
前記頂壁Wtにおける前壁Wf及び側壁Ws2に隣接する部分には操作パネル65が配設される。該操作パネル65は、プリンタ10の状態を表示するためのLED画面等から成る表示部66、及び操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部67を備える。また、頂壁Wtにおける中央部から背壁Wrにかけて、媒体積載部としてのスタッカ(排出トレイ)skが形成され、該スタッカskに臨ませて、画像が形成された媒体としての用紙Pを排出するための排出口Hh1が形成される。
【0016】
前記装置本体Bdの下部には、媒体収容部としての用紙カセット22が装置本体Bdに対して装脱自在に配設され、前記用紙カセット22内に用紙Pが配設される。なお、本実施の形態においては、用紙Pとしてカット紙が使用されるようになっているが、ロール紙、ファンフォールディング紙等を使用することもできる。前記用紙カセット22は、前端にフロントパネル22fを備え、操作者は、該フロントパネル22fを介して用紙カセット22を装置本体Bdに対して装脱し、用紙Pを用紙カセット22にセットしたり、交換したりすることができる。
【0017】
用紙カセット22の前端には、繰出部材としてのピックアップローラ12、並びに給紙部材としての給紙ローラ13及び分離部材としての分離ローラ14から成る分離部が配設される。ピックアップローラ12が回転させられると、用紙Pが、用紙カセット22から繰り出され、給紙ローラ13及び分離ローラ14が回転させられるのに伴って1枚ずつ分離させられ、媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙される。
【0018】
前記装置本体Bdの上部には、第1のユニットとしての、かつ、消耗品ユニットとしての画像形成ユニット(現像ユニット)20が、装置本体Bdに対して着脱自在に、かつ、水平方向に移動自在に配設される。
【0019】
前記画像形成ユニット20は、本体部16、及び該本体部16に隣接させて、かつ、本体部16に対して着脱自在に配設され、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としてのトナー収容部17を備える。
【0020】
前記本体部16内におけるトナー収容部17の下方に現像剤貯蔵部としての図示されないトナー貯蔵部が形成され、該トナー貯蔵部に、トナー収容部17から供給されたトナーが貯蔵される。
【0021】
また、前記本体部16は、像担持体としての感光体ドラム11、該感光体ドラム11と対向させて回転自在に配設され、感光体ドラム11にトナーを付着させて現像剤像としてのトナー像を形成する現像剤担持体としての図示されない現像ローラ、該現像ローラにトナーを供給する現像剤供給部材としての図示されない供給ローラ、前記感光体ドラム11と対向させて回転自在に配設され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電装置としての図示されない帯電ローラ、先端を前記現像ローラに押し当てて配設され、現像ローラ上に供給されたトナーを薄層化し、トナー層を形成する現像剤規制部材としての図示されない現像ブレード、前記感光体ドラム11上の残留トナーを掻き取り、除去するクリーニング部材としての図示されないクリーニングブレード等を備える。
【0022】
前記装置本体Bd内における本体部16の上方には、感光体ドラム11と対向させて第2のユニットとしての露光ユニット30が、装置本体Bdに対して上下方向(Z軸方向)に移動自在に配設される。
【0023】
露光ユニット30は、図5に示されるように、装置本体Bd内においてY軸方向に延在させて配設されたヘッドホルダHR、及び該ヘッドホルダHRによって保持された露光装置としてのLEDヘッドHdを備える。前記ヘッドホルダHRは、長手方向における両端の上縁及び下縁においてY軸方向に突出させて形成されたポストUp、Lpを備え、該ポストUp、Lpが、側壁Ws1、Ws2の内側のインナプレートPinに形成された図示されないガイドによって案内され、高さ方向(Z軸方向)に移動させられる。
【0024】
装置本体Bd内において、画像形成ユニット20が、あらかじめ設定された画像形成位置に置かれ、露光ユニット30が、あらかじめ設定された露光位置に置かれた状態で、前記LEDヘッドHdが、帯電ローラによって帯電させられた感光体ドラム11を画像データに応じて露光すると、感光体ドラム11の表面に潜像としての静電潜像が形成される。
【0025】
前記現像ローラは、トナーを静電潜像に付着させることによって感光体ドラム11上にトナー像を形成する。
【0026】
また、前記装置本体Bd内における画像形成ユニット20の下方には、感光体ドラム11と対向させて転写部材としての転写ローラ24が回転自在に配設される。
【0027】
用紙カセット22から繰り出され、用紙搬送路Rt1に給紙された用紙Pは、第1の搬送部材としての搬送ローラ対m1によって搬送され、第2の搬送部材としてのレジストローラ対m2によって斜行が矯正されて、印刷位置精度が高くされ、感光体ドラム11と転写ローラ24との間の転写部に供給され、該転写部において、感光体ドラム11上のトナー像が転写される。
【0028】
前記用紙搬送路Rt1における転写部より下流側には、定着装置としての定着器25が配設される。
【0029】
該定着器25は、第1の定着部材としての加熱ローラR1、及び第2の定着部材としてのバックアップローラ(加圧ローラ)R2を備え、加熱ローラR1内に、発熱体としてのハロゲンランプHtが配設される。定着器25において、用紙Pに転写されたトナー像が、加熱ローラR1によって加熱され、バックアップローラR2によって加圧されて、用紙Pに定着させられる。
【0030】
続いて、用紙Pは第3の搬送部材としての搬送ローラ対m3によって搬送され、第4の搬送部材としての排出ローラ対m4によって排出口Hh1を介して装置本体Bd外に排出され、前記スタッカskに積載される。
【0031】
ところで、前記プリンタ10においては、画像形成ユニット20が装置本体Bdに対して着脱自在に配設され、フロントカバーPfが開閉自在に配設されるので、操作者は、フロントカバーPfを開き、画像形成ユニット20を交換したり、画像形成ユニット20を装置本体Bdから取り外して、ジャムを発生させた用紙Pを除去したり、装置本体Bd内の各部位の保守・管理を行ったりすることができる。
【0032】
ところが、画像形成ユニット20の交換、用紙Pの除去、保守・点検等が終了した後、画像形成ユニット20が前記画像形成位置に完全に取り付けられていないハーフセット状態で操作者がフロントカバーPfを閉じると、画像形成ユニット20と露光ユニット30とが干渉し、画像形成ユニット20、露光ユニット30等が破損することがある。
【0033】
そこで、本実施の形態においては、フロントカバーPfが開かれた後、フロントカバーPfが閉じられる際に、画像形成ユニット20及び露光ユニット30が連動して移動させられ、画像形成ユニット20がハーフセット状態に置かれているときに操作者がフロントカバーPfを閉じても、画像形成ユニット20と露光ユニット30とが干渉しないようになっている。
【0034】
次に、フロントカバーPfを開閉したときの画像形成ユニット20及び露光ユニット30の動作について説明する。
【0035】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーと画像形成ユニット及び露光ユニットとの連動機構を説明するための図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第1の図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第2の図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第3の図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるフロントカバーが閉じられるときの画像形成ユニット及び露光ユニットの動作を説明するための第4の図である。なお、図において、X軸正方向はプリンタ10における後方向であり、X軸負方向はプリンタ10における前方向であり、Y軸正方向はプリンタ10における左方向であり、Y軸負方向はプリンタ10における右方向であり、Z軸正方向はプリンタ10における上方向であり、Z軸負方向はプリンタ10における下方向である。
【0036】
図において、10はプリンタ、Csは筐体、Bdは装置本体、Pfは、筐体Csの下方の所定の部分に配設された揺動支持部としてのヒンジHgを中心に揺動自在に、かつ、装置本体Bdに対して開閉自在に配設されたフロントカバーである。
【0037】
また、11は感光体ドラム、20は画像形成ユニット、16は本体部、17はトナーカートリッジ、30は露光ユニットである。
【0038】
該露光ユニット30は、LEDヘッドHd、及び該LEDヘッドHdを保持するヘッドホルダHRを備える。
【0039】
本実施の形態においては、フロントカバーPfが開かれると、図1に示されるように、露光ユニット30が退避位置に置かれ、フロントカバーPfが閉じられると、図9に示されるように、画像形成ユニット20が、感光体ドラム11上に画像を形成する画像形成位置に置かれ、露光ユニット30が、感光体ドラム11を露光する露光位置に置かれる。
【0040】
そのために、画像形成ユニット20は、矢印A方向である前後方向(X軸方向)に移動自在に配設される。
【0041】
また、露光ユニット30は、矢印B方向である上下方向(Z軸方向)に移動自在に配設され、前記インナプレートPinとの間に配設された第1の付勢部材としての図示されない第1のスプリングの付勢力によって上方(Z軸正方向)に向けて付勢される。
【0042】
そして、前記フロントカバーPfの内壁面Sbにおける頂壁Wt側の端部の近傍に、フロントカバーPfを閉じたときに、後述されるスライダ31を装置本体Bd内に押し込み、露光ユニット30を露光位置に置くための第1の押込部材としての押込突起35が装置本体Bd内に向けて突出させて形成され、前記押込突起35よりヒンジHg側に、フロントカバーPfを閉じたときに画像形成ユニット20を装置本体Bd内に押し込み、画像形成位置に置くための第2の押込部材としての押込突起37が装置本体Bd内に向けて突出させて形成される。
【0043】
本実施の形態においては、前記フロントカバーPfが閉じられる際に画像形成ユニット20及び露光ユニット30が適正に移動するように、前記押込突起35の高さw1は押込突起37の高さw2より低く(押込突起37の高さw2が押込突起35の高さw1より高く)される。
【0044】
そして、フロントカバーPfが開かれると、露光ユニット30は、前記第1のスプリングの付勢力によって、図1に示されるように退避位置に置かれ、フロントカバーPfが閉じられると、第1のスプリングの付勢力に抗して下方(Z軸負方向)に移動させられ、図9に示されるように露光位置に置かれる。
【0045】
さらに、フロントカバーPfが閉じられるときに、前記画像形成ユニット20が画像形成位置に置かれた後に露光ユニット30を露光位置に置くために、装置本体Bd内にリンク機構M1が配設される。
【0046】
該リンク機構M1は、前記フロントカバーPfが閉じられるのに伴って、第1の方向であり、矢印A方向である前後方向(X軸方向)に移動させられる第1のリンク部材としてのスライダ31、及び該スライダ31が前後方向(X軸方向)に移動させられるのに伴って、第2の方向であり、矢印B方向である上下方向(Z軸方向)に位動させられる第2のリンク部材としての前記ヘッドホルダHRを備える。
【0047】
なお、リンク機構M1はカム機構を構成し、スライダ31によって原動節が構成され、ヘッドホルダHRによって従動節が構成される。
【0048】
前記スライダ31は、インナプレートPinとの間に配設された第2の付勢部材としての図示されない第2のスプリングの付勢力によって後方(X軸負方向)に向けて付勢される。
【0049】
そして、フロントカバーPfが開かれると、スライダ31は、前記第2のスプリングの付勢力によって、図1に示されるように後退限位置に置かれ、フロントカバーPfが閉じられると、第2のスプリングの付勢力に抗して図9に示されるように前進限位置に置かれる。
【0050】
この場合、前記画像形成ユニット20は、装置本体Bdに対して着脱することができるようになっている。したがって、操作者が画像形成ユニット20を矢印C方向に取り外したり、取り付けたりする際に着脱軌跡上に露光ユニット30が位置していると、画像形成ユニット20と露光ユニット30とが干渉してしまう。
【0051】
そこで、本実施の形態においては、フロントカバーPfが開かれると、露光ユニット30が連動して着脱軌跡から退避させられて退避位置に置かれ、フロントカバーPfが閉じられると、画像形成ユニット20が画像形成位置に置かれた後に露光ユニット30が露光位置に置かれるようになっている。
【0052】
そのために、前記スライダ31は、プレート状の板部材から成り、前端部に、後方にかけて斜め下方に延びるカム面Saが形成される。
【0053】
また、露光ユニット30における前記カム面Saと対向する部分、本実施の形態においては、ヘッドホルダHRの上端面における後端のコーナ部に、カム面Saに沿って回転自在に円柱状の接触子33が配設される。
【0054】
したがって、スライダ31が前後方向(X軸方向)に移動させられると、カム面Saに沿って接触子33が回転しながら移動し、露光ユニット30が上下方向(Z軸方向)に移動させられる。
【0055】
そして、スライダ31の上縁Egとカム面Saとの成す角度θは45〔°〕以下にされ、スライダ31が移動させられる距離をLaとし、露光ユニット30が移動させられる距離をLbとしたとき、距離La、Lbは
La>Lb
にされる。
【0056】
次に、フロントカバーPfが閉じられるときの画像形成ユニット20及び露光ユニット30の動作について説明する。
【0057】
まず、操作者がフロントカバーPfを、図1に示される状態から反時計回り方向に回転させると、図6に示されるように、押込突起37が画像形成ユニット20の後端面Urに当接させられる。
【0058】
続いて、操作者がフロントカバーPfを更に反時計回り方向に回転させると、図7に示されるように、画像形成ユニット20が矢印で示される前方向(X軸正方向)に移動させられ、画像形成ユニット20が画像形成位置に置かれる。このとき、画像形成ユニット20は、画像形成位置において図示されない規制装置によって移動が規制され、更に前方向(X軸正方向)に移動することはない。また、このとき、押込突起35がスライダ31の後端面Srに当接させられる。
【0059】
次に、操作者がフロントカバーPfを更に反時計回り方向に回転させると、図8に示されるように、スライダ31が矢印で示される前方向(X軸正方向)に移動させられ、これに伴い、露光ユニット30が矢印で示される下方向(Z軸負方向)に移動させられ、LEDヘッドHdが本体部16に形成された露光窓h1に臨む位置に置かれる。
【0060】
そして、フロントカバーPfが完全に閉じられると、図9に示されるように、LEDヘッドHdが、感光体ドラム11の表面を露光する露光位置に置かれる。このとき、LEDヘッドHdは、露光位置において本体部16によって移動が規制され、更に下方向(Z軸負方向)に移動することはない。
【0061】
このように、本実施の形態においては、前記フロントカバーPfが閉じられるときに、リンク機構M1が、画像形成ユニット20が画像形成位置に置かれた後に露光ユニット30を露光位置に置くので、画像形成ユニット20が画像形成位置に完全に取り付けられていないハーフセット状態で操作者がフロントカバーPfを閉じたときに、画像形成ユニット20と露光ユニット30とが干渉して画像形成ユニット20及び露光ユニット30が破損するのを防止ことができる。
【0062】
ところで、第1の実施の形態においては、スライダ31を前後方向(X軸方向)に移動させることによって露光ユニット30を上下方向(Z軸方向)に移動させるようになっているが、この場合、接触子33をカム面Saに当接させるために、前記第2のスプリングの付勢力によって露光ユニット30を上方向(Z軸正方向)に付勢する必要があり、フロントカバーPfと露光ユニット30との連動機構が複雑になってしまう。
【0063】
そこで、フロントカバーPfが閉じられたときに、前記画像形成ユニット20が画像形成位置に置かれた後に露光ユニット30を露光位置に置くために、装置本体Bd内にリンク機構M2(図10)を配設するようにした本発明の第2の実施の形態にについて説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0064】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタのフロントカバーを閉じた状態を示す概略図、図11は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタのフロントカバーを開いた状態を示す概略図、図12は本発明の第2の実施の形態におけるリンク機構を示す概念図である。
【0065】
図において、10はプリンタ、Wtは頂壁、Pfは開閉部材としてのフロントカバー、35は第1の押込部材としての押込突起、30は第2のユニットとしての露光ユニット、HRはヘッドホルダ、Hdは露光装置としてのLEDヘッド、Pinはインナプレート、M2はリンク機構である。
【0066】
該リンク機構M2は、フロントカバーPfが閉じられたときに露光ユニット30を下方(Z軸負方向)に移動させる。そのために、リンク機構M2は、フロントカバーPfが閉じられるのに伴って第1の方向である前後方向(X軸方向)に移動させられる第1のリンク部材としてのカム部材51、該カム部材51が前後方向(X軸方向)に移動させられるのに伴って第2の方向である上下方向(Z軸方向)に移動させられる第2のリンク部材としての前記ヘッドホルダHR、並びにカム部材51及びヘッドホルダHRと揺動自在に連結された第3のリンク部材としてのレバー部材53を備える。
【0067】
前記カム部材51は、前記インナプレートPinから突出させて形成された支持ピンp1、p2によって前後方向(Y軸方向)に移動自在に支持される。
【0068】
前記ヘッドホルダHRは、長手方向(Y軸方向)における両端に形成されたポストUp、Lpが、インナプレートPinに形成されたガイドGdによって案内されるのに伴って高さ方向(Z軸方向)に移動させられる。
【0069】
また、前記レバー部材53は、インナプレートPinに対して軸sh1を揺動中心として揺動自在に(図12における矢印D方向に)支持される。また、カム部材51とレバー部材53とが軸sh2を介して揺動自在に連結されるとともに、露光ユニット30とレバー部材53とが、前記ポストLpから成る軸sh3を介して揺動自在に連結される。
【0070】
そして、レバー部材53が前後方向(X軸方向)に移動させられる距離をL1とし、露光ユニット30が上下方向(Z軸方向)に移動させられる距離をL2としたとき、距離L1、L2は
L1≧L2
にされる。
【0071】
本実施の形態においては、カム部材51と露光ユニット30とがレバー部材53によって連結されるので、カム部材51に対して露光ユニット30が独立に移動させられることがない。
【0072】
したがって、画像形成ユニット20が前記画像形成位置に完全に取り付けられていないハーフセット状態で操作者がフロントカバーPfを閉じたときに、画像形成ユニット20と露光ユニット30とが干渉して画像形成ユニット20及び露光ユニット30が破損するのを防止することができるだけでなく、LEDヘッドHdが破損するのを確実に防止することができる。
【0073】
前記各実施の形態においてはプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0074】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0075】
10 プリンタ
20 画像形成ユニット
30 露光ユニット
Bd 装置本体
Cs 筐体
M1、M2 リンク機構
Pf フロントカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12