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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075179
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】脱色方法及び洗浄機
(51)【国際特許分類】
   D06B 1/02 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
D06B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186431
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小松 伸
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB19
3B154AB20
3B154AB21
3B154BA03
3B154BA17
3B154BB02
3B154BB33
3B154BB35
3B154BC01
3B154BC03
3B154BC08
3B154BE04
(57)【要約】
【課題】洗浄液の消費を低減できる脱色方法及び洗浄機を提供する。
【解決手段】脱色方法は、供給源12からノズル15に洗浄液が供給される圧力によってノズルから洗浄液を噴射する洗浄機11を用いた生地99の脱色方法であって、ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、液柱から分離する液滴を生地に噴き付けることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源からノズルに洗浄液が供給される圧力によって前記ノズルから洗浄液を噴射する洗浄機を用いた生地の脱色方法であって、
前記ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、前記液柱から分離する液滴を前記生地に噴き付けることを含むことを特徴とする脱色方法。
【請求項2】
前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更することを含むことを特徴とする請求項1に記載の脱色方法。
【請求項3】
前記生地の種別に応じて、前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更することを含むことを特徴とする請求項2に記載の脱色方法。
【請求項4】
供給源から洗浄液が供給される圧力によって洗浄液を噴射するノズルと、
前記供給源と前記ノズルとの間で洗浄液を加圧する加圧部と、
生地の種別を取得する取得部と、を備え、
前記取得部が取得する前記生地の種別に応じて、前記加圧部によって前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更し、
前記ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、前記液柱から分離する液滴を前記生地に噴き付けることを特徴とする洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱色方法及び洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生地に抜染剤及び防染剤などを噴き付けることによって、生地を脱色する方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-103961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている方法では、生地を脱色した後に、抜染剤及び防染剤などを大量の洗浄液によって洗い流す必要がある。洗浄液の消費を低減するべく、抜染剤及び防染剤を用いない方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する脱色方法は、供給源からノズルに洗浄液が供給される圧力によって前記ノズルから洗浄液を噴射する洗浄機を用いた生地の脱色方法であって、前記ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、前記液柱から分離する液滴を前記生地に噴き付けることを含む。
【0006】
上記課題を解決する洗浄機は、供給源から洗浄液が供給される圧力によって洗浄液を噴射するノズルと、前記供給源と前記ノズルとの間で洗浄液を加圧する加圧部と、生地の種別を取得する取得部と、を備え、前記取得部が取得する前記生地の種別に応じて、前記加圧部によって前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更し、前記ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、前記液柱から分離する液滴を前記生地に噴き付ける。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】洗浄機の一実施例を示す模式図である。
図2】ノズルから噴射される洗浄液の状態が遷移する様子を示す模式図である。
図3】ノズルと生地との距離に応じて変化する衝撃圧を示すグラフである。
図4】通常よりも大きい供給圧でノズルから噴射される洗浄液の状態が遷移する様子を示す模式図である。
図5】通常よりも大きい供給圧で洗浄液が供給される場合における、ノズルと生地との距離に応じて変化する衝撃圧を示すグラフである。
図6】洗浄機の変更例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、洗浄機及びこれを用いた脱色方法の一実施例について図を参照しながら説明する。洗浄機は、生地を洗浄することによって、生地を脱色する。洗浄機は、いわゆるウォータージェットによって、生地を脱色する。そのため、洗浄機が使用する洗浄液は、水である。洗浄液は、水に限らず、エタノール、油などでもよい。
【0009】
<洗浄機>
図1に示すように、洗浄機11は、生地99に洗浄液を噴き付けることによって、生地99を脱色する。生地99は、織物、編物などである。生地99は、顔料、染料などによって予め捺染されている。すなわち、生地99は、捺染済みの媒体である。洗浄機11は、生地99に洗浄液を噴き付けることによって、生地99から顔料、染料などを除去する。これにより、生地99が脱色される。
【0010】
洗浄機11は、供給源12と接続される。供給源12は、後述するノズル15に洗浄液を供給する。一例では、供給源12は、水道である。供給源12は、水道に限らず、洗浄液を貯留するタンクでもよい。この場合、洗浄機11は、供給源12を備えていてもよい。
【0011】
洗浄機11は、供給管13を備える。供給管13は、供給源12とノズル15とに接続される。洗浄液は、供給管13を通じて供給源12からノズル15に供給される。供給管13は、例えば、ホースを含む。
【0012】
洗浄機11は、ポンプ14を備えてもよい。ポンプ14は、供給管13に位置する。詳しくは、ポンプ14は、供給管13において、供給源12とノズル15との間に位置する。ポンプ14は、供給管13中の洗浄液に圧力を加える。ポンプ14は、供給管13を通じて供給源12からノズル15に洗浄液を供給する。一例では、ポンプ14は、定圧で供給源12からノズル15に洗浄液を供給する。洗浄液は、ポンプ14による圧力に限らず、例えば、供給源12による圧力によってノズル15に供給されてもよい。この場合、供給源12は、定圧でノズル15に洗浄液を供給する。
【0013】
洗浄機11は、ノズル15を備える。ノズル15は、洗浄液を噴射するように構成される。ノズル15には、ノズル口16が開口する。ノズル15は、ノズル口16から洗浄液を噴射する。一例では、ノズル口16は、ナノメートルオーダーの穴である。
【0014】
ノズル15は、供給圧によって洗浄液を噴射する。供給圧は、供給源12からノズル15に供給される洗浄液に作用する圧力である。一例では、供給圧は、供給源12による圧力、及び、ポンプ14による圧力のうち、少なくとも1つを含む。すなわち、ノズル15は、供給源12による圧力、ポンプ14による圧力、又は、その双方によって、ノズル口16から洗浄液を噴射する。
【0015】
洗浄機11は、加圧部17を備えてもよい。加圧部17は、供給管13中の洗浄液を加圧するように構成される。加圧部17は、供給源12からノズル15への洗浄液の供給を補助する。加圧部17が洗浄液を加圧することによって、供給圧が大きくなる。すなわち、加圧部17が洗浄液を加圧することによって、通常よりも高圧でノズル15から洗浄液が噴射される。
【0016】
加圧部17は、圧力室18を有する。圧力室18は、供給管13に位置する。詳しくは、圧力室18は、供給管13において、ポンプ14とノズル15との間に位置する。圧力室18は、洗浄液を貯留する。
【0017】
加圧部17は、加圧ポンプ19を有する。加圧ポンプ19は、圧力室18と接続される。加圧ポンプ19は、例えば、エアポンプである。加圧ポンプ19は、圧力室18に貯留される洗浄液を加圧する。これにより、加圧部17は、供給管13中の洗浄液を加圧する。
【0018】
洗浄機11は、生地99の種別を取得する取得部21を備えてもよい。取得部21は、例えば、CPU及びメモリーを含む回路である。生地99の種別は、糸の種類、生地99の織り方、生地99の編み方、生地99の厚み、などである。取得部21は、ユーザーがパソコン、操作パネルなどから入力する情報をもとに生地99の種別を取得してもよい。取得部21は、後述する撮像部22から生地99の種別を取得してもよい。
【0019】
洗浄機11は、撮像部22を備えてもよい。撮像部22は、生地99を撮像するように構成される。撮像部22は、デジタルカメラでもよいし、光学顕微鏡でもよい。撮像部22が撮像する画像を解析することによって、生地99の種別を特定できる。洗浄機11は、撮像部22に代えて、光学センサーを備えてもよい。光学センサーは、生地99の光透過率を取得する。取得部21は、光透過率から生地99の種別を取得してもよい。
【0020】
<脱色方法>
次に、洗浄機11による生地99の脱色方法について説明する。
図2に示すように、ノズル15から噴射される洗浄液の状態は、ノズル15からの距離が大きくなるにしたがって遷移する。詳しくは、洗浄液は、ノズル15からの距離が大きくなるにしたがって液柱、液滴、ミストの順に遷移する。ノズル15から噴射された直後において、洗浄液は、ノズル15内の洗浄液と連なる液柱の状態で飛翔する。すなわち、洗浄液は、ノズル15から延びる液柱の状態で飛翔する。その後、洗浄液は、液柱から分離することによって液滴の状態で飛翔する。最後に、洗浄液は、液滴からさらに分離することによってミストの状態で飛翔する。
【0021】
ノズル15から噴射される洗浄液の状態は、主に空気抵抗が洗浄液に作用することによって、液柱、液滴、ミストの順に遷移する。また、これは、ノズル口16の径が微小であることにも起因する。そのため、ノズル15から噴射される洗浄液が飛翔する領域においては、液柱領域A1、液滴領域A2、及び、ミスト領域A3が存在する。液柱領域A1は、ノズル15から噴射される洗浄液の状態が液柱である領域である。液滴領域A2は、ノズル15から噴射される洗浄液の状態が液滴である領域である。ミスト領域A3は、ノズル15から噴射される洗浄液の状態がミストである領域である。
【0022】
洗浄機11が生地99に洗浄液を噴き付けるにあたって、ノズル15と生地99との距離によって、生地99に接触する洗浄液の状態が異なる。生地99が液柱領域A1に位置する場合、液柱の状態で洗浄液が生地99に接触する。生地99が液滴領域A2に位置する場合、液滴の状態で洗浄液が生地99に接触する。生地99がミスト領域A3に位置する場合、ミストの状態で洗浄液が生地99に接触する。
【0023】
図3に示すように、生地99に接触する洗浄液の状態によって、生地99に作用する衝撃圧が異なる。具体的には、液滴の状態で洗浄液が生地99に接触する場合に、液柱の状態で洗浄液が生地99に接触する場合、及び、ミストの状態で洗浄液が生地99に接触する場合よりも、生地99に作用する衝撃圧が大きくなる。すなわち、生地99が液滴領域A2に位置する場合に、生地99が液柱領域A1に位置する場合、及び、生地99がミスト領域A3に位置する場合と比べて、生地99に衝撃圧が大きく作用する。
【0024】
生地99が液柱領域A1に位置する場合、及び、生地99がミスト領域A3に位置する場合においては、生地99に同程度の衝撃圧が作用する。しかし、ミストについては、生地99に対する着弾位置がばらつく。そのため、生地99を脱色するにあたっては、ミスト領域A3を使用しない。一方、液柱及び液滴については、ノズル15から直線的に飛翔する。したがって、液柱の状態又は液滴の状態で洗浄液を生地99に噴き付けることによって、衝撃圧により生地99を脱色できる。すなわち、抜染剤及び防染剤を用いることなく、洗浄液によって生地99を直接脱色できる。衝撃圧により脱色することによって、抜染剤及び防染剤を使用する場合と比べて、洗浄液の消費が低減される。
【0025】
生地99を脱色するにあたっては、生地99に作用する衝撃圧が肝要である。衝撃圧が大きいほど、生地99から顔料、染料などが落ちやすい。その一方で、衝撃圧が大きいと、生地99にダメージが及ぶおそれがある。そのため、生地99に作用する衝撃圧を制御することが好ましい。洗浄機11においては、ノズル15と生地99との距離を調整することによって、生地99に作用する衝撃圧を制御できる。
【0026】
生地99の種別によって、生地99がダメージを受ける衝撃圧はそれぞれ異なる。すなわち、生地99の種別によって、脱色するにあたって好ましい衝撃圧がそれぞれ異なる。そのため、生地99の種別に応じて、ノズル15と生地99との距離が調整されてもよい。例えば、ダメージを受けにくい生地99を脱色する場合には、生地99を液滴領域A2に位置させるとよい。例えば、ダメージを受けやすい生地99を脱色する場合には、生地99を液柱領域A1に位置させるとよい。ノズル15と生地99との距離については、ユーザーが手動で調整してもよいし、洗浄機11が自動的に調整してもよい。
【0027】
図4に示すように、加圧部17が洗浄液を加圧する場合、加圧部17が洗浄液を加圧しない場合と比べて、液柱領域A1が短くなる。すなわち、加圧部17が洗浄液を加圧する場合、加圧部17が洗浄液を加圧しない場合と比べて、ノズル15から噴射される洗浄液が、液柱から液滴に素早く遷移する。同様に、加圧部17が洗浄液を加圧する場合、加圧部17が洗浄液を加圧しない場合と比べて、液滴領域A2が短くなる。すなわち、加圧部17が洗浄液を加圧する場合、加圧部17が洗浄液を加圧しない場合と比べて、ノズル15から噴射される洗浄液が、液滴からミストに素早く遷移する。洗浄機11においては、供給圧が大きいほど、ノズル15から噴射される洗浄液の状態の遷移が早くなる。したがって、ノズル15と生地99との距離を調整することに限らず、加圧部17による加圧を調整することによって、生地99に接触させる洗浄液の状態を制御できる。そのため、加圧部17による加圧を調整することによって、生地99に作用する衝撃圧を制御できる。例えば、生地99の種別に応じて、加圧部17による加圧を調整してもよい。加圧部17による加圧については、ユーザーが手動で調整してもよいし、洗浄機11が自動的に調整してもよい。
【0028】
図5に示すように、加圧部17が洗浄液を加圧する場合、加圧部17が洗浄液を加圧しない場合と比べて、衝撃圧のピークが大きくなる。例えば、ダメージが及びにくい生地99を脱色する場合、加圧部17に洗浄液を加圧させるとよい。図5において、実線で示すグラフは、加圧部17が洗浄液を加圧する場合の衝撃圧である。破線で示すグラフは、加圧部17が洗浄液を加圧しない場合の衝撃圧である。
【0029】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)脱色方法は、ノズル15から延びる洗浄液の液柱、又は、液柱から分離する液滴を生地99に噴き付けることを含む。供給源12からノズル15に洗浄液が供給される圧力によってノズル15から噴射される洗浄液の状態は、ノズル15からの距離が大きくなるにしたがって液柱、液滴、ミストの順に遷移する。液柱又は液滴の状態で洗浄液が生地99に接触する場合に、洗浄液の衝撃圧が生地99に対して効果的に作用する。ミストの状態で洗浄液が生地99に接触する場合では、生地99に対する洗浄液の着弾位置がばらつく。そのため、上記方法によれば、洗浄液の衝撃圧によって生地99を脱色できる。すなわち、大量の洗浄液を使用することなく生地99を脱色できる。したがって、抜染剤及び防染剤を用いることなく生地99を脱色できる。
【0030】
(2)脱色方法は、供給源12からノズル15に洗浄液が供給される圧力を変更することを含む。供給圧が大きい場合、供給圧が小さい場合と比べて、ノズル15から噴射される洗浄液は、液柱である領域が短くなる。すなわち、供給圧が大きい場合、供給圧が小さい場合と比べて、ノズル15から噴射される洗浄液は、液柱から液滴に素早く遷移する。液滴の状態で洗浄液が生地99に接触する場合、液柱の状態で洗浄液が生地99に接触する場合と比べて、生地99に作用する衝撃圧が大きい。衝撃圧が大きいほど、脱色しやすい一方で、生地99にダメージが及ぶおそれがある。上記方法によれば、生地99に作用する衝撃圧を制御できる。そのため、衝撃圧を制御することによって、生地99にダメージが及ぶおそれが低減しつつ、生地99を脱色できる。
【0031】
(3)生地99の種別に応じて、供給源12からノズル15に洗浄液が供給される圧力を変更することを含む。生地99の種別によって、脱色のしやすさが異なる。生地99の種別によって、ダメージの及びやすさが異なる。したがって、上記方法によれば、生地99の種別に応じて、適切な衝撃圧で洗浄液を生地99に噴き付けることができる。
【0032】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0033】
図6に示すように、洗浄機11は、複数の供給源12と接続されていてもよい。この場合、洗浄機11は、供給源12の数と対応して、複数の供給管13、複数のポンプ14、及び、複数の加圧部17を備えてもよい。複数の供給源12は、それぞれ種別の異なる洗浄液を収容する。
【0034】
洗浄機11は、供給管13の数と対応して、複数の開閉弁23を備えてもよい。複数の開閉弁23は、複数の供給管13にそれぞれ位置する。この変更例では、開閉弁23は、供給管13において、ノズル15と圧力室18との間に位置する。開閉弁23が閉じることによって、洗浄液の供給が停止する。したがって、複数の開閉弁23を切り換えることによって、ノズル15に供給される洗浄液を切り換えることができる。これにより、例えば、生地99の種別に応じて、適切な洗浄液を選択できる。
【0035】
・加圧部17による圧力に限らず、ポンプ14による圧力を変更することによって、供給圧を変更してもよい。供給源12による圧力を変更することによって、供給圧を変更してもよい。
【0036】
<技術的思想>
以下に、上述した実施例及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0037】
(A)脱色方法は、供給源からノズルに洗浄液が供給される圧力によって前記ノズルから洗浄液を噴射する洗浄機を用いた生地の脱色方法であって、前記ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、前記液柱から分離する液滴を前記生地に噴き付けることを含む。
【0038】
供給源からノズルに洗浄液が供給される圧力によってノズルから噴射される洗浄液の状態は、ノズルからの距離が大きくなるにしたがって液柱、液滴、ミストの順に遷移する。液柱又は液滴の状態で洗浄液が生地に接触する場合に、洗浄液の衝撃圧が生地に対して効果的に作用する。ミストの状態で洗浄液が生地に接触する場合では、生地に対する洗浄液の着弾位置がばらつく。そのため、上記方法によれば、洗浄液の衝撃圧によって生地を脱色できる。すなわち、大量の洗浄液を使用することなく生地を脱色できる。したがって、抜染剤及び防染剤を用いることなく生地を脱色できる。
【0039】
(B)上記脱色方法は、前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更することを含んでもよい。洗浄液に作用する圧力が大きい場合、洗浄液に作用する圧力が小さい場合と比べて、ノズルから噴射される洗浄液は、液柱である領域が短くなる。すなわち、洗浄液に作用する圧力が大きい場合、洗浄液に作用する圧力が小さい場合と比べて、ノズルから噴射される洗浄液は、液柱から液滴に素早く遷移する。液滴の状態で洗浄液が生地に接触する場合、液柱の状態で洗浄液が生地に接触する場合と比べて、生地に作用する衝撃圧が大きい。衝撃圧が大きいほど、脱色しやすい一方で、生地にダメージが及ぶおそれがある。上記方法によれば、生地に作用する衝撃圧を制御できる。そのため、衝撃圧を制御することによって、生地にダメージが及ぶおそれが低減しつつ、生地を脱色できる。
【0040】
(C)上記脱色方法は、前記生地の種別に応じて、前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更することを含んでもよい。生地の種別によって、脱色のしやすさが異なる。生地の種別によって、ダメージの及びやすさが異なる。したがって、上記方法によれば、生地の種別に応じて、適切な衝撃圧で洗浄液を生地に噴き付けることができる。
【0041】
(D)洗浄機は、供給源から洗浄液が供給される圧力によって洗浄液を噴射するノズルと、前記供給源と前記ノズルとの間で洗浄液を加圧する加圧部と、生地の種別を取得する取得部と、を備え、前記取得部が取得する前記生地の種別に応じて、前記加圧部によって前記供給源から前記ノズルに洗浄液が供給される圧力を変更し、前記ノズルから延びる洗浄液の液柱、又は、前記液柱から分離する液滴を前記生地に噴き付ける。上記構成によれば、上述した脱色方法と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0042】
11…洗浄機、12…供給源、13…供給管、14…ポンプ、15…ノズル、16…ノズル口、17…加圧部、18…圧力室、19…加圧ポンプ、21…取得部、22…撮像部、23…開閉弁、99…生地、A1…液柱領域、A2…液滴領域、A3…ミスト領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6