(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007518
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】補助システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/105 20200101AFI20240110BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20240110BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240110BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240110BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20240110BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/18
H05B47/16
H05B45/10
H05B45/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108772
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2022105749
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518149947
【氏名又は名称】朝日放送テレビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 大
(72)【発明者】
【氏名】虫邉 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】西倉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 貴士
(72)【発明者】
【氏名】細川 圭吾
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA37
3K273QA39
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA17
3K273TA26
3K273TA27
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA18
3K273UA22
3K273UA24
(57)【要約】
【課題】照明器具の取付作業に関するミスの発生を抑えやすくすること。
【解決手段】補助システム1は、1以上の照明器具5を所定のバトン6に取り付ける作業を補助する。補助システム1は、通知部3を備える。通知部3は、所定のバトン6に設けられ、位置指定情報に応じて1以上の配置位置を通知する。位置指定情報は、所定のバトン6の長手方向における1以上の照明器具5に関する1以上の配置位置を複数の所定位置の中から指定するための情報である。通知部3は、複数の光源31が複数の所定位置とそれぞれ対応するように長手方向に沿ってライン状に配列されるように実装された実装基板を有する。通知部3は、複数の光源31のうち1以上の配置位置に対応した1以上の光源31の点灯状態を、位置指定情報に応じて変更することで、1以上の配置位置を通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の照明器具を所定のバトンに取り付ける作業を補助する補助システムであって、
前記所定のバトンに設けられ、前記所定のバトンの長手方向における前記1以上の照明器具に関する1以上の配置位置を複数の所定位置の中から指定するための位置指定情報に応じて、前記1以上の配置位置を通知する通知部を備え、
前記通知部は、複数の光源が前記複数の所定位置とそれぞれ対応するように前記長手方向に沿ってライン状に配列されるように実装された実装基板を有し、
前記通知部は、前記複数の光源のうち前記1以上の配置位置に対応した1以上の光源の点灯状態を、前記位置指定情報に応じて変更することで、前記1以上の配置位置を通知する、
補助システム。
【請求項2】
前記複数の光源の各々は、複数色の光のいずれかを選択的に出射するように構成され、
前記通知部は、前記1以上の照明器具の種類を指定するための種類指定情報に応じて、前記複数色の光のうち前記1以上の照明器具の種類に対応する色の光を、前記1以上の光源から出射することで、指定された前記1以上の照明器具の種類を更に通知する、
請求項1に記載の補助システム。
【請求項3】
前記通知部は、前記1以上の光源の点灯状態を消灯状態から連続点灯状態又は点滅点灯状態に変更することで、前記1以上の配置位置を通知する、
請求項1に記載の補助システム。
【請求項4】
前記所定のバトンには、いずれかに前記1以上の照明器具が電気的に接続され得る複数の接続ポートが設けられ、
前記通知部は、前記1以上の照明器具のうち1の照明器具が前記複数の接続ポートのいずれかに接続された場合に前記1の照明器具から送出される情報に基づき、前記1以上の光源の点灯状態を変更することで、前記複数の接続ポートに関する接続状況を更に通知する、
請求項1に記載の補助システム。
【請求項5】
前記複数の光源の数は、前記複数の接続ポートの数より多く設定されている、
請求項4に記載の補助システム。
【請求項6】
前記通知部は、前記所定のバトンの前記長手方向における一端側から他端側に向かって配置される前記1以上の照明器具の種類に関する順序の情報に基づき、前記接続状況を通知する、
請求項4に記載の補助システム。
【請求項7】
前記実装基板には、状態表示光源が更に実装されていて、
前記所定のバトンには、いずれかに前記1以上の照明器具が電気的に接続され得る複数の接続ポートが設けられ、
前記通知部は、前記複数の接続ポートに対する前記1以上の照明器具への接続完了数に基づき、前記状態表示光源の点灯状態を変更することで、前記所定のバトンに関する前記作業の進捗状況を更に通知する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の補助システム。
【請求項8】
前記所定のバトンには、いずれかに前記1以上の照明器具が電気的に接続され得る複数の接続ポートが設けられ、
前記通知部は、前記複数の接続ポートに対する前記1以上の照明器具への接続完了数に基づき、前記複数の光源のうち、前記1以上の配置位置に対応した前記1以上の光源以外の残りの光源について、点灯状態及び発光色の少なくとも一方を変更することで、前記所定のバトンに関する前記作業の進捗状況を更に通知する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の補助システム。
【請求項9】
前記通知部は、前記複数の光源として複数のチップLEDが表面実装されたテープ状の前記実装基板を有したテープライトを含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、補助システムに関する。より詳細には本開示は、バトンへの照明器具の取付作業を補助する補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明制御装置について開示されている。この特許文献1には、以前の照明演出で用いられたことのあるポートと照明器具との対応関係に戻す場合に、対応関係の確認作業における負担を軽減するという課題が記載されている。照明制御装置では、ポートと照明器具との対応関係が前回の対応関係である場合に、作業者により、「RDM(Remote Device Management)器具検出タブ」が選択されると、検出部は、ポートと照明器具との対応関係を検出する。照明制御装置は、検出された結果に基づいて、照明器具が各バトンに対応するように配置されたレイアウト画面を、液晶モニタ又はタッチパネル等により実現される表示部に表示する。そのため、作業者は、前回の対応関係を表示部で参照しながら照明の仕込み作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように単にレイアウト画面を液晶モニタ又はタッチパネル等の表示部に表示させるだけでは、実際に作業する状況において、リアルタイムでレイアウト画面を見ながら作業を行うことは、作業者にとって容易でない可能性がある。その結果、作業者は、ある照明器具についてバトンに対する配置位置を誤ったり(吊り位置誤り)、ある照明器具についてバトンへの取り付けを忘れたり(吊り忘れ)する可能性がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、照明器具の取付作業に関するミスの発生を抑えやすくする補助システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る補助システムは、1以上の照明器具を所定のバトンに取り付ける作業を補助する。前記補助システムは、通知部を備える。前記通知部は、前記所定のバトンに設けられ、前記所定のバトンの長手方向における前記1以上の照明器具に関する1以上の配置位置を複数の所定位置の中から指定するための位置指定情報に応じて、前記1以上の配置位置を通知する。前記通知部は、複数の光源が前記複数の所定位置とそれぞれ対応するように前記長手方向に沿ってライン状に配列されるように実装された実装基板を有する。前記通知部は、前記複数の光源のうち前記1以上の配置位置に対応した1以上の光源の点灯状態を、前記位置指定情報に応じて変更することで、前記1以上の配置位置を通知する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、照明器具の取付作業に関するミスの発生を抑えやすくする、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る補助システムを含む照明制御システム全体の概略ブロック構成図である。
【
図2】
図2Aは、同上の補助システムにおける通知部の一部の正面図である。
図2Bは、同上の補助システムにおける表示器操作機の概略ブロック構成図である。
【
図3】
図3A、
図3Bは、同上の補助システムにおける動作を説明するための概念図である。
【
図4】
図4A、
図4Bは、同上の補助システムにおける動作を説明するための概念図である。
【
図5】
図5A、
図5Bは、同上の補助システムに係る変形例1における動作を説明するための概念図である。
【
図6】
図6A、
図6Bは、同上の変形例1における動作を説明するための概念図である。
【
図7】
図7A、
図7Bは、同上の変形例1における動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(概要)
以下、実施形態に係る補助システムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
図1に示すように、一態様に係る補助システム1は、1以上の照明器具5(図面では、「器具」と略して表記)を所定のバトン6(バトン装置)に取り付ける作業を補助するシステムである。照明器具5から提供される照明光は、一例として演出照明用の光である。以下では、演出照明が提供される照明空間がテレビスタジオであることを想定して、補助システム1について説明する。
【0011】
テレビスタジオの天井には複数の長尺のバトン6(照明用バトン装置)が設置されている。複数のバトン6は、それらの長手方向を一方向に揃えた態様で並列配置され得る、或いはグリッド状に配置され得る。複数のバトン6は、例えば、テレビスタジオに設置される照明昇降装置によって昇降可能となっている。照明器具5の取付作業(仕込み作業)を行う作業者は、例えば、テレビスタジオの見取り図(平面図)上に、設置予定の複数の照明器具5に対応したシンボルが図示された、いわゆる「仕込み図」に従って、各バトン6への取付作業を行う。仕込み図には、各バトン6に対する照明器具5の配置位置、及びその照明器具5の種類が分かる情報が含まれている。
【0012】
照明器具5の種類は特に限定されないが、例えば、照明器具5は、スポットライト、フラッドライト、ブロードライト、又はホリゾントライト等である。テレビスタジオに設置される複数の照明器具5の種類は、演出シーンに応じて、2種類以上を含むことがある。言い換えると、仕込み図では、複数種類の照明器具5の設置が指定されていることもある。本開示で言う「照明器具の種類」は、上記のスポットライト、フラッドライト、ブロードライト、及びホリゾントライト等の器具形態だけでなく、LED(Light Emitting Diode)及びハロゲンライト等の光源の種類も含み得る。また、「照明器具の種類」は、サイズ、質量、又は器具容量等の別も含み得る。
【0013】
また、照明器具5は、いわゆるRGBカラー照明器具であることを想定する。しかし、照明器具5は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に限定されず、単色の照明器具でもよいし、或いはRGBの3色に加えてW(白色)やアンバー、シアン、ライム等を含む照明器具でもよい。
【0014】
図1に示すように、補助システム1は、通知部3を備える。
【0015】
通知部3は、所定のバトン6に設けられ、所定のバトン6の長手方向A1(
図2A参照)における1以上の照明器具5に関する1以上の配置位置を複数の所定位置S1(
図2A参照)の中から指定するための位置指定情報に応じて、1以上の配置位置を通知する。通知部3は、複数の光源31が複数の所定位置S1とそれぞれ対応するように長手方向A1に沿ってライン状に配列されるように実装された実装基板32を有する。以下では一例として、通知部3は、いわゆるテープライトTP1(
図2A参照)を含む。
【0016】
通知部3は、複数の光源31のうち1以上の配置位置に対応した1以上の光源31の点灯状態を、位置指定情報に応じて変更することで、1以上の配置位置を通知する。通知部3は、テープライトTP1の各光源31の点灯状態を変更する制御機能(制御部)を有する。以下では一例として、その制御機能が、テープライトTP1と電気的に接続されている各表示器操作機4に設けられている。
【0017】
上記の補助システム1によれば、指定された1以上の配置位置に対応する1以上の光源31の点灯状態が変更される。そのため、作業者は、変更された光源31の点灯状態をリアルタイムで視認しながら、1以上の照明器具5を所定のバトン6に取り付けることができる。よって、ある照明器具5についてバトン6に対する配置位置を誤ったり、ある照明器具5についてバトン6への取り付けを忘れたりする可能性が減り得る。結果的に、補助システム1には、照明器具5の取付作業に関するミスの発生を抑えやすくする、という利点がある。
【0018】
(詳細)
以下、本実施形態に係る補助システム1及びその周辺構成を含んだ全体のシステム(照明制御システム200)について、
図1~
図4Bを参照しながら詳しく説明する。
【0019】
照明制御システム200は、
図1に示すように、補助システム1と、複数のDMXノード2(
図1では2つ)と、複数の照明器具5(
図1では5つ)と、複数のバトン6(
図1では2つ)と、調光操作卓100と、情報端末T1とを備える。各バトン6には、複数の接続ポートP1(
図1では5個)が設けられている。各接続ポートP1は、バトン6の筐体(本体部61:
図2A参照)から外部に導出される接続ケーブル、及び接続ケーブルの先端部に設けられたコネクタを含み得る。各接続ポートP1は、例えばバトン6の筐体(本体部61)に設けられたDMXノード2に接続されている。
【0020】
また、照明制御システム200は、調光操作卓100と複数の照明器具5との間の信号線に設けられる調光制御盤150及び1又は複数のHUB装置を含み得る。また、照明制御システム200は、複数のバトン6の昇降制御を行う照明昇降装置を含み得る。周辺構成の少なくとも一部が、補助システム1の構成に含まれてもよい。照明器具5、バトン6、及び接続ポートP1の数は特に限定されない。
【0021】
以下では一例として、照明制御システム200が、テレビスタジオ等のスタジオ300、及びスタジオ300とは別室の副調整室400を含む屋内施設(テレビ放送局)に適用される場合を想定する。
【0022】
本実施形態における補助システム1をコントロールするコントローラの例としては、調光操作卓100等が利用可能である。以下では、補助システム1にとっての「上位コントローラ」が、一例として、調光操作卓100であることを想定する。
【0023】
[照明器具]
各照明器具5は、一例として、RGBカラーの照明器具であることを想定する。各照明器具5は、予め設定(作成)された演出パターンに基づいて、所定の期間ごとに異なる複数色の光を発することで、所定色の照明光を生成し、スタジオ300の照明空間に対して演出照明を行う。各照明器具5は、対応する接続ポートP1、DMXノード2、HUB装置、及び調光制御盤150等を介して、調光操作卓100と接続されている。
【0024】
各照明器具5は、例えば、DMX信号対応の器具である。DMX信号は、米国劇場技術協会(USITT)により規格化された演出分野等に用いられるデジタル信号である。
【0025】
各照明器具5は、光源及び点灯回路等を有する。光源は、赤色光、緑色光、及び青色光を発することが可能なLEDモジュールである。光源は、複数の発光素子、及び複数の発光素子が実装された基板等を含む。複数の発光素子は、赤色チップLED、緑色チップLED及び青色チップLEDを含む。
【0026】
また、各照明器具5は、バトン6に取り付け(吊り下げ)可能な取付具52(
図2A参照)を有する。また、各照明器具5は、接続ポートP1と電気的、及び物理的に接続可能なコネクタ部51(
図1参照)を有する。
【0027】
一例として、設置予定の複数の照明器具5は、器具容量が1K(1000形)の1又は複数のスポットライト(以下、「スポット1K」と呼ぶ)と、器具容量が2K(2000形)の1又は複数のスポットライト(以下、「スポット2K」と呼ぶ)と、を含む。また、設置予定の複数の照明器具5は、器具容量が1Kの1又は複数のブロードライト(以下、「ブロード1K」と呼ぶ)を含む。つまり、本実施形態では、仕込み図上で設置が予定されている照明器具5の種類が上記の3種類であることを想定する。なお、「器具容量」は、照明器具5の光源から放射される光量の定格値を示す目安であり、値が大きいほど光量の定格値が大きいことを表している。
【0028】
[調光操作卓]
調光操作卓100は、各照明器具5の調光制御に関する設定を行うための操作卓(コントローラ)である。調光操作卓100は、副調整室400内に設置される。上述の通り、一例として、調光操作卓100が、補助システム1をコントロールするコントローラとしても機能することを想定する。
【0029】
調光操作卓100を操作する操作者は、副調整室400内で調光操作卓100を操作して、各照明器具5の光源が発する光(RGB)の光量及び光色等を調整できる。例えば、操作者は、スタジオ300内に設置されている撮像装置(カメラ)で撮像されたスタジオ300内の照明空間の映像を副調整室400内で視認しながら、各照明器具5の光量及び光色等を調整する。
【0030】
調光操作卓100は、各照明器具5を制御するための情報に関する操作入力を受け付ける操作部104を有し、その情報に基づき、各照明器具5を調光制御するための制御信号(例えば、DMX信号)を調光制御盤150に出力する。例えば、調光操作卓100は、制御信号として、最大で512個のチャンネルによりデータを送信可能な「DMX512」の通信プロトコルに準拠した信号を出力する。DMX512の通信プロトコルに準拠した制御信号では、1個のチャンネル毎に、0~255の256段階の調光レベル(光量レベル)のデータが付与される。
【0031】
調光操作卓100は、
図1に示すように、処理部101、通信部102、表示部103、操作部104、及び記憶部105等を有する。
【0032】
通信部102は、信号ケーブル及びHUB装置等を介して、調光制御盤150と通信するための通信インタフェースを含む。また、通信部102は、信号ケーブル及びHUB装置等を介して、DMXノード2、情報端末T1又はサーバ装置等と通信するための通信インタフェースを含む。
【0033】
表示部103は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等のディスプレイを含む。ディスプレイは、例えば、操作者による操作入力を受け付け可能なタッチパネルディスプレイでもよい。表示部103は、調光操作卓100の正面の操作パネル等に配置されている。
【0034】
操作部104は、ダイヤル式のエンコーダ又はフェーダ等の操作器を含む。操作部104は、調光操作卓100の正面の操作パネル等に配置されている。操作者は、操作部104を操作することで、照明器具5の光の光量及び光色等を変更できる。表示部103がタッチパネルディスプレイである場合、表示部103が操作部104の機能を兼ねてもよく、例えば、表示部103の画面に表示されるアイコンに対してタップ操作等を行うことで、照明器具5の光の光量及び光色等を変更できてもよい。
【0035】
記憶部105は、フラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能な不揮発性の半導体メモリである。記憶部105は、操作部104を介して設定された制御シーン毎の照明器具5の光の光量及び光色等に関する情報を記憶(格納)する。
【0036】
また、記憶部105は、通信部102を介して、外部(例えば情報端末T1又は外部サーバ)から受信する「仕込み図」に関する情報(以下、「仕込情報」と呼ぶ)を記憶(格納)する。表示部103は、仕込情報を表示可能である。ユーザ(作業者又は操作者)は、表示部103に表示される仕込情報を確認することで、何処にどの種類の照明器具5が配置されているか等の、スタジオ300内の照明空間のレイアウトを知ることができる。また、記憶部105は、後述する表示器操作機リスト(情報)や、照明器具5の接続情報、DMX番号等の情報を記憶(格納)する。
【0037】
処理部101は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、処理部101の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。記憶部105は、処理部101のメモリであってもよい。
【0038】
処理部101は、操作部104を介して設定された各照明器具5の光量及び光色等に関する情報を含む制御信号(DMX信号)を生成し、通信部102を通じてDMXノード2、又は調光制御盤150に出力する。
【0039】
また、調光操作卓100は、RDM(Remote Device Management)機能を有する。通信部102は、RDM規格に沿った通信方式により、DMXノード2を介して、接続ポートP1に接続された照明器具5と個別に双方向に通信可能である。調光操作卓100は、照明器具5が対応する接続ポートP1に接続されると、そのタイミングで、DMXノード2は、照明器具5から接続情報を受信し、調光操作卓100に送信する。接続情報は、例えば照明器具5の型名、メーカ、及び器具名称等に関する情報を含む。表示部103は、照明器具5の接続情報を表示可能である。
【0040】
調光操作卓100は、各照明器具5に、DMX番号(DMXアドレス)を設定して管理する。調光操作卓100は、DMX番号を利用して、対応する照明器具5に制御信号(DMX信号)を送信する。各照明器具5に設定するためのDMX番号は、例えば仕込情報に含まれている。照明器具5が対応する接続ポートP1に接続されてDMXノード2から接続情報を受信すると、処理部101は、記憶部105に記憶されている仕込情報を参照し、その照明器具5に、対応するDMX番号を自動的に設定する。表示部103は、DMX番号を表示可能であり、操作者は、表示部103を通じて確認できる。操作者は、操作部104を介して、DMX番号の設定変更を行えてもよい。
【0041】
また、調光操作卓100は、複数のバトン6に関する情報(例えば各バトン6を識別可能なバトン番号)を管理する。すなわち、各バトン6には、バトン番号が割り振られている。各バトン番号は、対応するバトン6に取り付けられる照明器具5のDMX番号と紐づけて管理される。バトン番号は、例えば仕込情報に含まれている。また、バトン番号は、後述する表示器操作機リストにも含まれて管理される。
【0042】
操作者は、スタジオ300で番組等の収録前に、スタジオ300内の照明空間に照射される1又は複数の照明器具5の照明光を視認しながら、調光操作卓100を用いて演出照明用の演出パターンを制御シーン毎に予め作成する。実際に演出照明が提供される番組等の収録中には、1又は複数の照明器具5は、記憶部105に記憶された1又は複数の制御シーンに対応する演出パターンに従って調光制御されることになる。もちろん、操作者が、番組等の収録中にリアルタイムで調光操作卓100を操作して、照明器具5が調光制御されてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、調光操作卓100は、補助システム1にとっての「上位コントローラ」であり、補助システム1と通信可能に接続されている。そして、調光操作卓100の処理部101は、例えば任意のタイミングで、具体的にはユーザ(作業者又は操作者)からの操作入力に応じて、補助処理を実行する。処理部101は、補助処理において、仕込情報に基づき、後述する位置指定情報、種類指定情報を含む表示データを含んだ第1通知信号を生成して、補助システム1に送信する。また、調光操作卓100は、補助処理において、照明器具5からDMXノード2を介して接続情報を受信すると、その接続情報に基づき、接続状況に関する情報を含む第2通知信号を生成して、補助システム1に送信する。また、処理部101は、補助処理において、後述する最新のステータスを含む第3通知信号を、随時補助システム1に送信する。第1~第3通知信号には、補助システム1における複数の表示器操作機4(
図1では2つのみ図示)のうちの1つを指定するための情報(例えば表示器操作機4のIPアドレス)が含まれている。調光操作卓100は、IPアドレスに基づき第1~第3通知信号を送信する。
【0044】
[DMXノード]
各DMXノード2は、例えば、対応するバトン6の本体部61に設けられている。各DMXノード2は、調光操作卓100や調光制御盤150側から、制御信号(DMX信号)を受信し、接続ポートP1を介して、対応する照明器具5に出力する出力部としての機能を有する。また、各DMXノード2は、RDM規格に沿った通信方式により、照明器具5と個別に双方向に通信可能である。各DMXノード2は、照明器具5から接続情報を受信し、調光操作卓100に送信する。言い換えると、各DMXノード2は、照明器具5が複数の接続ポートP1のいずれかに接続された場合に、その照明器具5から送出される情報を取得する取得部としての機能を有する。
【0045】
[調光制御盤]
調光制御盤150は、
図1に示すように、例えば盤室500内に設置される。調光制御盤150は、入力部と、制御部と、複数の分配部(DMX信号出力部)と、電源管理部と、キャビネット(筐体)とを有する。各分配部には、接続ポートP1を介して、対応する照明器具5がそれぞれ電気的に接続されている。キャビネット内には、制御部、複数の分配部、及び電源管理部が収容されている。
【0046】
入力部は、調光操作卓100と電気的に接続され、調光操作卓100から制御信号(DMX信号)が入力される。各分配部は、DMXノード2を介して対応する照明器具5に制御信号(DMX信号)を出力する。制御信号(DMX信号)は、各分配部から、DMXノード2を介さずに照明器具5に出力されてもよい。制御部は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部は、調光操作卓100から受信する制御信号(DMX信号)を、複数の分配部を介して複数の照明器具5に出力(分配)する。要するに、調光制御盤150は、制御信号(DMX信号)を、各照明器具5に分配する機能を有する。
【0047】
電源管理部は、調光操作卓100、各照明器具5及び補助システム1の電源供給を行う機能を有する。電源管理部は、主幹ブレーカ、及び複数の分岐回路(分岐ブレーカ等を含む)等を含む。主幹ブレーカの一次側端子には、系統電源につながる引込線が電気的に接続される。これにより、主幹ブレーカの一次側端子は、系統電源に電気的に接続される。本実施形態では、配電方式として単相三線式を想定している。そのため、主幹ブレーカの一次側端子には、系統電源につながる単相三線式の引込線が電気的に接続される。ただし、上記の配電方式を単相三線式に限定する趣旨はなく、例えば、三相四線式でもよい。主幹ブレーカの二次側端子には、幹線が電気的に接続される。幹線は、第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーを含み得る。複数の分岐回路は、幹線から複数に分岐される。複数の分岐回路には、調光操作卓100、複数の照明器具5及び補助システム1が電気的に接続され、電源管理部は、対応する分岐回路を介して電力を供給する。
【0048】
[情報端末]
情報端末T1は、調光操作卓100と例えば有線通信(無線通信でもよい)可能に接続される。情報端末T1は、例えばノートパソコンを想定する。情報端末T1は、スマートフォン、又はタブレット端末等の携帯端末でもよいし、デスクトップ型のパソコンでもよい。有線通信は、一例として、イーサネット(Ethernet)(登録商標)等の有線LAN(Local Area Network)の規格に準拠していることを想定する。情報端末T1には、調光操作卓100と通信するための専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0049】
情報端末T1は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、情報端末T1の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0050】
情報端末T1は、表示部T10を有する。表示部T10は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイを含む。ディスプレイは、例えば、ユーザによる操作入力を受け付け可能なタッチパネルディスプレイでもよい。表示部T10は、情報を表示(提示)する。表示部T10から表示される情報は、調光操作卓100の表示部103から表示される情報と略同等の情報を含む。表示部T10は、例えば、仕込情報や照明器具5の接続情報等を表示可能である。本実施形態では、情報端末T1には「仕込み図」を作成するための作成ツール(アプリケーションソフト)がインストールされている。作業者は、情報端末T1上で作成ツールを起動して「仕込み図」を作成可能である。
【0051】
また、表示部T10から表示される情報は、調光操作卓100の操作部104の外観を模したアイコンに関する情報を含む。ユーザは、マウス等を用いてポインタで当該アイコンに対してクリック等の操作を行うことで、操作部104による操作入力と略同等の操作入力を行える。情報端末T1は、ユーザから受け付けた操作入力に関する情報を、調光操作卓100に送信する。要するに、ユーザは、情報端末T1を利用することで、調光操作卓100の表示部103及び操作部104を直接利用しなくても調光制御に関する設定を行え、また、取付作業に関する設定も行える。
【0052】
[バトン装置]
複数のバトン6(バトン装置)(
図1では2つのみ図示)は、スタジオ300内における天井に設置される。
【0053】
各バトン6(バトン装置)は、全体として一方向(
図2A参照:長手方向A1)に沿って長尺である。各バトン6には、いずれかに1以上の照明器具5が電気的に接続され得る複数の接続ポートP1が設けられている。
【0054】
各バトン6は、
図2Aに示すように、本体部61と、保持バー62と、保持バー62を本体部61に連結する複数の連結部63(
図2Aでは1つのみ図示)とを有する。
【0055】
本体部61は、一方向(
図2A参照:長手方向A1)に沿って長尺の筐体を有する。複数の接続ポートP1は、本体部61に配置される。また、本体部61は、複数の接続ポートP1と電気的に接続されたDMXノード2等を収容又は保持し得る。調光操作卓100は、DMXノード2を介して、接続ポートP1に電気的に接続された照明器具5と通信する。後述する通知部3のテープライトTP1(表示器)は、本体部61の正面に取り付けられる。また、本体部61の上部には、吊り下げワイヤが取り付けられる。照明昇降装置は、吊り下げワイヤを介して、本体部61を含むバトン6を昇降する。
【0056】
なお、複数のバトン6(バトン装置)に関して、長手方向A1に沿った各バトン6を格子状に配したトラスバトン方式が採用されてもよく、その場合、各バトン6の長手方向A1に沿って、通知部3のテープライトTP1(表示器)が配置され得る。
【0057】
保持バー62は、一方向(
図2A参照:長手方向A1)に沿って細長い丸い棒状の部位である。保持バー62は、複数の連結部63によって、本体部61と一定の距離を空けて上下に並ぶように連結されている。
【0058】
照明器具5は、取付具52を保持バー62に取り付けることで、バトン6に対して吊り下げることができる。取付具52は、構造的に、保持バー62の長手方向A1における任意の位置に取り付けることができる。ただし、隣り合う照明器具5同士が接触しないように、また、接続ポートP1(接続ケーブル)の長さに依存して、照明器具5の位置は、ある程度制限され得る。
【0059】
[補助システム]
補助システム1は、1以上の照明器具5を所定のバトン6(バトン装置)に取り付ける作業を補助するように構成される。
【0060】
補助システム1は、複数の表示器操作機4(
図1では2つのみ図示)と、複数の表示器操作機4にそれぞれ一対一で対応する複数の通知部3(
図1では2つのみ図示)とを備える。例えば、1つのバトン6に対して1つの表示器操作機4及び1つの通知部3が割り当てられる。各通知部3は、表示器(テープライトTP1)と、その表示器を制御する制御部とを含み、その制御部の機能は、対応する表示器操作機4に設けられているものとする。以下では、テープライトTP1を「通知部3(表示器)」と呼ぶこともある。
【0061】
表示器操作機4は、
図2Bに示すように、制御部41と、点灯回路部42と、通信部43と、これらを内部に収容する筐体とを有する。
【0062】
制御部41は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部41の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御部41は、通知部3(表示器)を制御する機能を有する。
【0063】
各表示器操作機4は、対応する通知部3(表示器)と電気的に接続されていて、上位コントローラ(調光操作卓100)の制御に基づき、対応する通知部3(表示器)を操作するように構成される。表示器操作機4の設置場所は特に限定されないが、各表示器操作機4は、例えば、対応するバトン6の本体部61に設置される。各表示器操作機4のIPアドレスは、対応するバトン6のバトン番号を対応付けされて表示器操作機リストとして上位コントローラ(調光操作卓100)にて管理される。
【0064】
各表示器操作機4は、対応するバトン6の長手方向A1における1以上の照明器具5に関する1以上の配置位置を、複数の所定位置S1(
図2A参照)の中から指定するための位置指定情報を含む表示データを取得する。本実施形態では、通信部43は、上位コントローラ(調光操作卓100)と通信するための通信インタフェースを有する。通信部43は、上位コントローラ(調光操作卓100)と有線で通信することを想定するが、特に限定されず、無線で通信してもよい。通信部43が調光操作卓100から第1通知信号を受信することで、表示器操作機4は表示データを取得する。位置指定情報は、調光操作卓100にて仕込情報に基づき生成された情報である。各表示器操作機4の制御部41は、取得した表示データに基づき、点灯回路部42を制御し、対応する通知部3(表示器)の表示状態(後述する光源31の点灯状態)を操作する。点灯回路部42は、光源31、及び後述する状態表示光源33を点灯させるための駆動電流を生成するように構成される。
【0065】
各通知部3(表示器)は、対応する(所定の)バトン6に設けられ、対応する表示器操作機4により操作されて、位置指定情報に応じて1以上の配置位置を通知する。通知部3(表示器)は、
図2Aに示すように、複数の光源31が複数の所定位置S1とそれぞれ対応するように長手方向A1に沿ってライン状に配列されるように実装された実装基板32を有する。各通知部3(表示器)は、対応する表示器操作機4と有線で接続されて操作されることを想定するが、特に限定されず、無線通信により操作されてもよい。
【0066】
また、実装基板32には、状態表示光源33が更に実装されている。実装基板32には、その他にも複数のチップ抵抗器34等が実装されている。
【0067】
通知部3(表示器)は、複数の光源31として複数のチップLEDが表面実装されたテープ状の実装基板32を有したテープライトTP1を含む。実装基板32は、一方向に長尺のフレキシブル基板である。テープライトTP1は、クリアジェル等の樹脂でラミネートされた構造を有し、所望の長さに切って使用することが可能である。テープライトTP1の背面には両面テープが設けられている。テープライトTP1は、両面テープによってバトン6に対して容易に固定することができる。テープライトTP1は、柔軟性を有しているため、表面が曲面状の部位に対しても固定することができる。テープライトTP1は、例えば、バトン6の本体部61の正面に貼着により固定される。チップLEDは、砲弾型のLEDでもよい。
【0068】
実装基板32の第1端部(左端部)には、光源31を点灯させるための駆動電流が表示器操作機4から入力される入力側配線ケーブル600(
図2A参照)が設けられ、実装基板32の第2端部(右端部)には、出力側配線ケーブルが設けられている。
【0069】
複数のチップLED(光源31)は、一例として、1cm~3cmのピッチ間隔で長手方向A1に沿って配列されている。言い換えると、複数の所定位置S1は、1cm~3cmのピッチ間隔で長手方向A1に沿って設定されている。
【0070】
通知部3は、複数の光源31のうち1以上の配置位置に対応した1以上の光源31の点灯状態を表示データ(位置指定情報)に応じて変更することで、1以上の配置位置を通知する。具体的には、通知部3は、1以上の光源31の点灯状態を消灯状態から連続点灯状態又は点滅点灯状態に変更することで、1以上の配置位置を通知する。
【0071】
本実施形態では一例として、通知部3は、光源31の点灯状態を消灯状態から、点滅点灯状態に変更することで、配置位置を通知する。言い換えると、照明器具5の配置が予定されている位置に対応する光源31は点滅点灯し、照明器具5の配置が予定されていない位置に対応する光源31は消灯状態が維持される。保持バー62における(点滅点灯する)光源31の真下の位置が、照明器具5の配置位置となり得る。通知部3は、光源31の点灯状態を消灯状態から連続点灯状態に変更することで配置位置を通知してもよい。
【0072】
テープライトTP1は、例えば、チップLED(光源31)ごとに制御ICを内蔵し、アドレス指定により各チップLED(光源31)の単位で、その発光色及び点灯状態を個別に変更可能に構成されている。
【0073】
本実施形態では、複数の所定位置S1と複数の光源31とが、長手方向A1に沿って、それぞれ「一対一」で対応するように配置されるが、「一対一」の関係に限定されず、「一対多」でもよい。例えば各所定位置S1に対して、2以上の光源31(光源群)が対応するように配置されてもよい。言い換えると、1の照明器具5の配置位置が、2以上のチップLED(光源31)の点灯状態を変更することで通知されてもよい。
【0074】
また、表示データは、1以上の照明器具5の種類を指定するための種類指定情報を更に含む。本実施形態では、各表示器操作機4は、上位コントローラである調光操作卓100から、位置指定情報、及び種類指定情報を含む表示データを取得する。種類指定情報は、調光操作卓100にて仕込情報に基づき生成された情報である。位置指定情報、及び種類指定情報を含む表示データは、調光操作卓100から受信する第1通知信号に含まれている。複数の光源31の各々は、複数色の光のいずれかを選択的に出射するように構成される。一例として、各チップLED(光源31)は、赤色LED素子、緑色LED素子、及び青色LED素子を含む。点灯回路部42がこれらのLED素子の調光制御を行うことで複数色の光のいずれかが選択的に出射される。
【0075】
通知部3は、表示データの種類指定情報に応じて、複数色の光のうち1以上の照明器具5の種類に対応する色の光を、1以上の光源31から出射することで、指定された1以上の照明器具5の種類を更に通知する。
【0076】
例えば、種類指定情報内の照明器具5の種類が「スポット1K」である場合、表示器操作機4の制御部41は、点灯回路部42を制御して、通知部3の対応する光源31から青色の光を出射させる。また、種類指定情報内の照明器具5の種類が「スポット2K」である場合、制御部41は、点灯回路部42を制御して、通知部3の対応する光源31から紫色の光を出射させる。また、種類指定情報内の照明器具5の種類が「ブロード1K」である場合、制御部41は、点灯回路部42を制御して、通知部3の対応する光源31から黄色の光を出射させる。照明器具5の種類と出射光の色とを対応付けた関係情報は、例えば各表示器操作機4の制御部41のメモリ等に予め記憶されている。
【0077】
また、通知部3は、照明器具5が複数の接続ポートP1のいずれかに接続された場合にその照明器具5から送出される情報(接続情報)に基づき、1以上の光源31の点灯状態を変更することで、複数の接続ポートP1に関する接続状況を更に通知する。本実施形態では、各表示器操作機4は、自機に対応するバトン6における複数の接続ポートP1のいずれかに照明器具5が接続されると、上位コントローラである調光操作卓100から第2通知信号を受信する。この第2通知信号の中に、照明器具5の接続状況に関する情報が含まれている。
【0078】
本実施形態では、後述する理由(所定位置S1の数が接続ポートP1の数より多い)により、照明器具5が実際に通知部3から通知された通りの配置位置に吊り下げられたか否かを上位コントローラは、所定位置S1の単位で厳密に把握していない。ただし、上位コントローラは、接続ポートP1の単位である程度照明器具5の配置位置を把握する。そのため、例えば、複数の光源31と複数の接続ポートP1とを対応付けた関係情報は、上位コントローラ(調光操作卓100)に予め記憶されている。そして、(点滅点灯する)光源31に対応付けされている接続ポートP1に照明器具5が接続されると、通知部3は、当該光源31の点灯状態を点滅点灯から連続点灯に変更して「照明器具が接続された」という接続状況を通知する。要するに、作業者は、通知された配置位置に基づき、照明器具5を接続ポートP1に接続すると、光源31の点灯状態の変化を通じて、補助システム1側で照明器具5の接続が認識されたことをリアルタイムで知ることができる。
【0079】
本実施形態では、複数の光源31の数は、複数の接続ポートP1の数より多く設定されている。言い換えると、所定位置S1の数は、複数の接続ポートP1の数より多く設定されている。そのため、指定可能な照明器具5の配置位置が、接続ポートP1の数によって制限されにくくすることができ、照明器具5の配置に関する自由度がより高くなる。
【0080】
なお、上述の通り、複数の光源31の数が複数の接続ポートP1の数より多いため、複数の光源31(照明器具5の配置位置)と複数の接続ポートP1とは、一対一で対応付けされていない。例えば、隣り合う2つの配置位置は、1つの接続ポートP1と対応付けされ得る。また、1つの配置位置は、隣り合う2つの接続ポートP1と対応付けされ得る。要するに、複数の光源31(照明器具5の配置位置)と複数の接続ポートP1とは、オーバーラップする態様で「多対多」で対応付けされている。
【0081】
つまり、補助システム1は、照明器具5の配置位置については光源31単位で細やかに通知する一方で、作業者が照明器具5を実際にその配置位置に取り付けたか否かを接続ポートP1の単位で識別することになり、結果的に配置位置のある程度の違いは許容する。言い換えると、接続ポートP1(接続ケーブル)が比較的長い場合、ある配置位置に対して、隣り合う接続ポートP1のどちらでも接続可能な状況が発生し得るため、どちらの接続ポートP1を用いるかについては、作業者の判断に委ねる。
【0082】
ところで、通知部3は、複数の接続ポートP1に対する1以上の照明器具5への接続完了数に基づき、状態表示光源33の点灯状態を変更することで、所定のバトン6に関する作業の進捗状況を更に通知する。状態表示光源33は、複数の光源31と同様に、例えば、チップLEDである。本実施形態では一例として、テープライトTP1の複数のチップLEDのうちの1つを状態表示光源33として割り当てている。状態表示光源33は、赤色LED素子、緑色LED素子、及び青色LED素子を含み、点灯回路部42がこれらのLED素子の調光制御を行うことで複数色の光のいずれかが選択的に出射される。
【0083】
状態表示光源33の位置は特に限定されないが、作業者が複数の光源31と混同しにくい位置であることが好ましい。本実施形態では、状態表示光源33は、実装基板32の第1端部(左端部)の近傍に配置され、複数の光源31の中で最も左端に位置する光源31の左隣りに位置する。
【0084】
本実施形態では、上位コントローラ(調光操作卓100)から受信する第3通知信号の中に、進捗状況に関する情報(ステータス)が含まれている。進捗状況は、対応するバトン6に対して設置が予定されている照明器具5の、接続ポートP1にする接続がどの程度進んでいるか、すなわち、照明器具5の接続が完了した数(接続完了数)に関する状況である。接続完了は、「仕込み図」で指定されているバトン6の配置位置に、「仕込み図」で指定されている種類の照明器具5が正しく接続されたことを意味する。例えば誤った種類の照明器具5が接続されたり、誤った接続ポートP1に照明器具5が接続されたりしても、接続完了数はカウントアップされない。
【0085】
以下では、理解し易いように、説明の便宜上、一例として、ステータスを「1」~「3」のいずれかの区分で表すことを想定する。例えば、あるバトン6に対する照明器具5の設置予定数がX個で、接続完了数が0(ゼロ)個である場合、ステータスは「1」とする。設置予定数がX個で、接続完了数が1個以上X個未満であれば、ステータスは「2」とする。設置予定数がX個で、接続完了数がX個であれば、ステータスは「3」とする。
【0086】
上位コントローラ(調光操作卓100)は、照明器具5から受信する接続情報に基づき、バトン6単位で作業の進捗状況(接続完了数)を管理する。上位コントローラ(調光操作卓100)は、最新のステータス(「1」~「3」のいずれか)を含む第3通知信号を、各表示器操作機4に対して例えば定期的に送信する。
【0087】
表示器操作機4の制御部41は、受信したステータスが「1」である場合、対応するバトン6の接続ポートP1に対して未だ1つも照明器具5が接続されていないと判断する。制御部41は、点灯回路部42を制御して、通知部3の状態表示光源33から赤色の光を出射させる。
【0088】
また、制御部41は、受信したステータスが「2」である場合、照明器具5の接続が1つ以上あり、ただし予定されている全ての照明器具5の接続は未だ完了していない仕掛かり中であると判断する。制御部41は、点灯回路部42を制御して、通知部3の状態表示光源33から白色の光を出射させる。
【0089】
また、制御部41は、受信したステータスが「3」である場合、予定されている全ての照明器具5の接続が完了したと判断する。制御部41は、点灯回路部42を制御して、通知部3の状態表示光源33から青色の光を出射させる。
【0090】
各ステータスと状態表示光源33の出射光の色とを対応付けた関係情報は、例えば各表示器操作機4の制御部41のメモリ等に予め記憶されている。
【0091】
(補助システムの動作)
以下、作業者が、補助システム1を利用して、照明器具5の取付作業(仕込み作業)を実施する際における、補助システム1の動作に関する一連の流れについて、
図3A、3B、4A、4Bを参照して説明する。以下に説明する動作のフローは、一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0092】
図3A、3B、4A、4Bでは、2つの表示器操作機4を互いに区別するために表示器操作機4A(IPアドレス=「A」)、表示器操作機4B(IPアドレス=「B」)と呼ぶことがある。また、これらの図面では、2つのバトン6を互いに区別するためにバトン6A(バトン番号=「1」)、バトン6B(バトン番号=「2」)と呼ぶことがある。また、これらの図面では、バトン6Aに配置された5つの光源31を互いに区別するために、左側から順に光源310,311,312,313,314とそれぞれ呼ぶことがある。同様に、バトン6Bに配置された5つの光源31を互いに区別するために、左側から順に光源315,316,317,318,319とそれぞれ呼ぶことがある。
【0093】
[事前準備]
先ず、作業者は、例えば、情報端末T1を利用して仕込み図、及び表示器操作機リストを準備する。情報端末T1は、仕込情報、及び表示器操作機リストを、上位コントローラ(調光操作卓100)に送信する。調光操作卓100は、仕込情報(各照明器具5の種類、各照明器具5が吊り下げられるバトン6のバトン番号、各照明器具5のバトン6内での配置位置等)を記憶部105に格納する。また、調光操作卓100は、表示器操作機リスト(表示器操作機4のIPアドレス、表示器操作機4が設置されるバトン6のバトン番号等)を記憶部105に格納する。
【0094】
[起動時]
作業者は、照明昇降装置を起動して各バトン6を降下させる。作業者は、調光操作卓100と全ての表示器操作機4を起動する。調光操作卓100は、接続されている表示器操作機4に確認信号を送信して、表示器操作機リスト上の全ての表示器操作機4が起動しているか否かを確認する。調光操作卓100は、全ての表示器操作機4の起動が確認された場合には、各表示器操作機4に、通知部3の複数の光源31及び状態表示光源33を全て消灯状態にさせる(
図3A参照)。
図3A、3B、4A、4Bでは、光源31及び状態表示光源33は、消灯状態である場合、その様子を白抜きで図示している。
【0095】
[開始時]
作業者は、例えば、調光操作卓100の表示部103(又は情報端末T1の表示部T10)に表示される「吊り込み確認開始ボタン」のアイコンに対してタップ操作やクリック操作を行うと、調光操作卓100は、その操作に応じて、補助処理を開始する。吊り込み確認開始ボタンは、操作部104に設けられた専用の機械的な操作ボタンでもよい。
【0096】
調光操作卓100は、仕込情報、及び表示器操作機リストに基づき、位置指定情報、及び種類指定情報を含む第1通知信号を、表示器操作機4ごと(IPアドレス=「A」、「B」ごと)に生成して送信する。また、補助処理の開始以降、調光操作卓100は、最新のステータス(「1」~「3」のいずれか)を含む第3通知信号を、表示器操作機4ごとに定期的に送信する。
【0097】
各表示器操作機4は、受信した第1通知信号の位置指定情報及び種類指定情報に基づき、複数の光源31の点灯状態を変更し、また、受信した第3通知信号のステータスに基づき、状態表示光源33の点灯状態を変更する(
図3B参照)。
【0098】
図3Bの例では、光源310,314,316の点灯状態は、消灯から点滅点灯に変更され、発光色は青色を呈している(薄いドットハッチングで図示)。つまり、通知部3は、これらの光源31の真下が照明器具5を吊り下げる配置位置であることを通知しており、さらに青色光の出射により、吊り下げる照明器具5の種類が「スポット1K」であることも通知している。
【0099】
また、
図3Bの例では、光源312の点灯状態は、消灯から点滅点灯に変更され、発光色は紫色を呈している(濃いドットハッチングで図示)。つまり、通知部3は、この光源31の真下が照明器具5を吊り下げる配置位置であることを通知しており、さらに紫色光の出射により、吊り下げる照明器具5の種類が「スポット2K」であることも通知している。
【0100】
また、
図3Bの例では、光源318の点灯状態は、消灯から点滅点灯に変更され、発光色は黄色を呈している(黒塗りで図示)。つまり、通知部3は、この光源31の真下が照明器具5を吊り下げる配置位置であることを通知しており、さらに黄色光の出射により、吊り下げる照明器具5の種類が「ブロード1K」であることも通知している。
【0101】
なお、光源311,313,315,317,319の点灯状態は、消灯が維持されている。つまり、通知部3は、これらの光源31の真下が、照明器具5を吊り下げる配置位置ではないことを通知している。
【0102】
また、バトン6A,6Bに配置される2つの状態表示光源33の点灯状態は、いずれも消灯から連続点灯に変更され、発光色は赤色を呈している(黒塗りで図示)。つまり、通知部3は、状態表示光源33からの赤色光の出射により、(開始直後であるため)バトン6A,6Bの接続ポートP1に対して未だ1つも照明器具5が接続されていないことを通知している。
【0103】
作業者は、スタジオ300(作業現場)内で、通知部3からの通知を視認しながら、照明器具5の取付作業を開始する。
【0104】
[作業中]
図4Aは、照明器具5の取付作業中における通知部3の様子を示す。
【0105】
図4Aの例では、バトン6Aに対して、作業者は、2つの「スポット1K」の照明器具5を、光源310,314の真下にある所定位置S1にそれぞれ吊り下げて、近傍の接続ポートP1にそれぞれ接続した。また、バトン6Aに対して、作業者は、本来、光源312の真下にある所定位置S1に吊り下げるべき「スポット2K」の照明器具5を、誤って光源311の真下にある所定位置S1に吊り下げて、近傍の接続ポートP1に接続した。
【0106】
また、バトン6Bに対して、作業者は、「スポット1K」の照明器具5を、光源316の真下にある所定位置S1に吊り下げて、近傍の接続ポートP1に接続した。また、バトン6Bに対して、作業者は、「ブロード1K」の照明器具5を、光源318の真下にある所定位置S1に吊り下げて、近傍の接続ポートP1に接続した。
【0107】
接続ポートP1に接続したタイミングで、照明器具5から接続情報が、対応するDMXノード2に送られる。
【0108】
例えば、光源310に対応する接続ポートP1に接続された照明器具5に関して、DMXノード2は、自機のIPアドレスと、照明器具5が接続された接続ポートP1の番号とを含めて接続情報を調光操作卓100に送信する。調光操作卓100は、例えば、各バトン6の接続ポートP1ごとに配置位置の情報(例えば、「バトン1-1」)を管理する。配置位置の情報「バトン1-1」のうち、「バトン1」は、バトン6Aのバトン番号を示し、「-1」は、接続ポートP1の番号(左から1番目)を示す。同様に、光源311,314,316,318に対応する接続ポートP1に接続された照明器具5に関して、配置位置の情報は、それぞれ、「バトン1-2」、「バトン1-5」、「バトン2-2」、「バトン2-4」となる。
【0109】
調光操作卓100は、DMXノード2から受信した接続情報と記憶部105内の仕込情報とを比較し、接続された照明器具5の種類及び配置位置が正しいか否かを判定し、判定結果を、対応するIPアドレスの表示器操作機4に送信する。すなわち、調光操作卓100は、判定結果(照明器具5の接続状況に関する情報)が含まれた第2通知信号を表示器操作機4に送信する。つまり、「接続状況」は、照明器具5の接続、未接続に関する状況、配置位置の正誤に関する状況、及び照明器具5の種類の正誤に関する状況を含む。
【0110】
なお、調光操作卓100は、照明器具5の接続が正しいと判定した場合には、仕込情報に基づき、その照明器具5に、対応するDMX番号を自動的に設定し、以降、設定したDMX番号を利用して、この照明器具5に関する調光制御を行う。
【0111】
図4Aでは、光源310,314,316,318の真下の照明器具5に関する接続は、全て「正しい」と判定されており、その結果、表示器操作機4A,4Bは、これらの光源31の点灯状態を、点滅点灯から連続点灯に変更している(発光色は変更せず維持)。すなわち、通知部3は、「正しく照明器具が接続された」という接続状況を通知している。作業者は、照明器具5を接続ポートP1に接続すると、光源31の点灯状態の変化を通じて、照明器具5の接続が認識されたことをリアルタイムで知ることができる。
【0112】
一方、
図4Aでは、光源311の真下の照明器具5に関する接続は、「誤り」と判定されており、その結果、表示器操作機4Aは、光源311の点灯状態を、消灯から高速点滅に変更している(発光色は赤色)。また、光源312に対応する接続ポートP1には未だ照明器具5が接続されていないため、表示器操作機4Aは、光源312の点灯状態を、点滅点灯に維持している(発光色も変更せず維持)。作業者は、光源311及び光源312の点灯状態から、照明器具5の配置位置を誤って接続したことをリアルタイムで知ることができる。
【0113】
さらに、調光操作卓100は、補助処理の間、最新のステータスを含む第3通知信号を、各表示器操作機4に随時送信している。
図4Aでは、バトン6Aに配置される状態表示光源33の発光色は白色(薄いドットハッチングで図示)に変更されている。つまり、通知部3は、状態表示光源33からの白色光の出射により、バトン6Aに対する照明器具5の接続は未だ完了していない、仕掛かり中であることを通知する。一方、バトン6Bに配置される状態表示光源33の発光色は青色(濃いドットハッチングで図示)に変更されている。つまり、通知部3は、状態表示光源33からの青色光の出射により、バトン6Bに対する全ての照明器具5の接続は完了したことを通知する。
【0114】
[作業終了]
作業者は、全てのバトン6の状態表示光源33の発光色が青色になると、「仕込み図」通りに全ての照明器具5の接続が完了したと判断する。そして、作業者は、例えば、調光操作卓100の表示部103(又は情報端末T1の表示部T10)に表示される「吊り込み確認終了ボタン」のアイコンに対してタップ操作やクリック操作を行う。調光操作卓100は、その操作に応じて、補助処理を終了する。調光操作卓100は、補助処理の終了に応じて、各表示器操作機4に、通知部3の複数の光源31及び状態表示光源33を全て消灯状態にさせる(
図4B参照)。最後に、作業者は、照明昇降装置を用いて各バトン6を上昇させて、取付作業を終了する。
【0115】
上述した光源31及び状態表示光源33における照明器具5の接続状況やステータスに応じた連続点灯、点滅点灯、高速点滅、及び消灯といった点灯パターン、並びに発光色は、単なる一例であり、適宜変更されてよい。
【0116】
[利点]
このように、作業者は、調光操作卓100の表示部103や情報端末T1の表示部T10から「仕込み図」を見なくても、スタジオ300内でリアルタイムで直接通知部3(光源31の点灯状態)を視認しながら照明器具5の取付作業を行える。よって、ある照明器具5についてバトン6に対する配置位置を誤ったり、ある照明器具5についてバトン6への取り付けを忘れたりする可能性が減り得る。結果的に、補助システム1には、照明器具5の取付作業に関するミスの発生を抑えやすくする、という利点がある。
【0117】
また、通知部3は、照明器具5の種類に対応する色の光を光源31から出射することで、照明器具5の種類を通知する。そのため、作業者は、発光色をリアルタイムで視認しながら、対応する種類の照明器具5をバトン6に取り付けることができる。そのため、「仕込み図」で指定されていない種類の照明器具5が誤って取り付けられてしまう可能性が減り得る。結果的に、照明器具5の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0118】
また、接続ポートP1に照明器具5が接続されると、上位コントローラ(調光操作卓100)側で、照明器具5の種類及び配置位置の正誤判定が行われる。通知部3は、その判定結果に応じて光源31の点灯状態を変更することで、接続ポートP1に関する照明器具5の接続状況を通知する。そのため、作業者は、光源31の点灯状態を通じて、照明器具5の接続状況をリアルタイムで知ることができ、照明器具5の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0119】
また、通知部3は、状態表示光源33の点灯状態を変更することで、バトン6に関する作業の進捗状況(ステータス)を通知する。そのため、作業者は、状態表示光源33の点灯状態を通じて、バトン6単位での作業の進捗状況をリアルタイムで知ることができ、照明器具5の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0120】
さらに、本実施形態では、通知部3がテープライトTP1を含むため、比較的簡単な構成で、通知部3が実現されやすくなる。特にバトン6への通知部3の設置導入等が容易となる。
【0121】
(変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る補助システム1と同様の機能は、補助方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。また、上記実施形態に係る上位コントローラ(調光操作卓100)と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0122】
(変形例1)
以下、上記実施形態に係る変形例1について説明する。変形例1は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0123】
上記実施形態では、上位コントローラ(調光操作卓100)は、各バトン6において、作業者が照明器具5を実際に指定された配置位置に取り付けたか否かを接続ポートP1の単位で識別する。上記実施形態では、上位コントローラは、接続ポートP1の単位で、照明器具5の種類及び配置位置が正しいか否かを判定し、その判定結果を照明器具5の「接続状況」として表示器操作機4に送信する。表示器操作機4の制御部41は、その接続状況を通知部3の光源31の点灯状態を変えて通知する。なお、上記実施形態では、照明器具5の配置位置についてある程度の違いを許容し、作業者の判断に委ねる。
【0124】
一方、変形例1の上位コントローラは、接続ポートP1の単位で照明器具5の正誤を判定するというよりは、バトン6の単位で照明器具5の正誤を判定して通知部3から接続状況を通知する点で、上記実施形態と相違する。なお、変形例1においても、上位コントローラは、照明器具5の配置位置についてある程度の違いを許容する。
【0125】
具体的には、変形例1の上位コントローラは、例えばバトン6の左端側(以下、「下手」)から順に接続された1以上の照明器具5の種類をチェックし、当該バトン6について種類指定情報で指定される下手からの設置予定の照明器具5の種類に関する順序と一致するかを判定する。そして、変形例1の表示器操作機4の制御部41は、作業中の作業者に対してリアルタイムで、その判定結果を照明器具5の接続状況として通知部3から通知する。
【0126】
なお、変形例1の上位コントローラは、バトン6の右端側(以下、「上手」)から順に接続された1以上の照明器具5の種類をチェックし、当該バトン6について種類指定情報で指定される上手からの設置予定の照明器具5の種類に関する順序と一致するかを判定してもよい。
【0127】
例えば、種類指定情報で、あるバトン6について下手から順に「ブロード1K」、「ブロード1K」、及び「スポット2K」の3つの照明器具5を設置することが指定されているとする。対して、作業者が下手から順に3つ全て同じ種類(例えば「ブロード1K」)照明器具5を接続したとする。この場合、1番目、2番目の「ブロード1K」の照明器具5をそれぞれ接続した時点では、上位コントローラは、種類指定情報で指定される照明器具5の種類に関する順序と一致すると判定する。しかし、3番目の「ブロード1K」の照明器具5を接続した時点で、上位コントローラは、種類指定情報で指定される照明器具5の種類に関する順序と不一致であると判定する。
【0128】
要するに、変形例1に係る通知部3は、所定のバトン6の長手方向A1における一端側から他端側(ここでは下手から上手)に向かって配置される1以上の照明器具5の種類に関する順序の情報に基づき、照明器具5の接続状況を通知する。
【0129】
また、変形例1の通知部3は、状態表示光源33からステータス(作業の進捗状況)を通知する代わりに、複数の光源31のうち、配置位置を通知する光源31以外の残りの光源31を利用して各バトン6のステータスを通知する点で上記実施形態と相違する。
【0130】
具体的には、変形例1に係る通知部3は、複数の接続ポートP1に対する1以上の照明器具5への接続完了数に基づき、複数の光源31のうち、1以上の配置位置に対応した1以上の光源31以外の残りの光源31について、点灯状態及び発光色の少なくとも一方を変更することで、所定のバトン6に関する作業の進捗状況を更に通知する。
【0131】
以下、作業者が、変形例1に係る補助システム1を利用して、照明器具5の取付作業(仕込み作業)を実施する際における、補助システム1の動作に関する一連の流れについて、
図5A~
図7Bを参照して説明する。以下に説明する動作のフローは、一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。また、
図5A~
図7Bに図示される光源31の発光色、及び点灯状態(点灯・点滅・消灯)についても単なる一例であり、これらに限定されない。
【0132】
以下の説明では、変形例1について、上記実施形態と実質的に共通する点については適宜説明を省略する場合がある。
【0133】
以下では、複数のバトン6のうち、あるバトン6に着目して説明する。
図5A~
図7Bでは、当該あるバトン6のみを図示していて、他のバトン6、DMXノード2、及び表示器操作機4等の図示を省略している。また以下では、バトン6に配置された複数(図示例では8つ)の光源31を互いに区別するために、下手から順に光源31A,31B,31C,31D,31E,31F,31G,31Hとそれぞれ呼ぶことがある。
【0134】
また、以下では一例として、作業者は、情報端末T1としてタブレット端末を利用して作業を実施することを想定する。タブレット端末には、上位コントローラ(ここでは調光操作卓100)と直接、又は外部のサーバ等を介して間接的に無線通信するための専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0135】
[事前準備]
作業者は、タブレット端末(情報端末T1)を利用して仕込み図、及び表示器操作機リストを準備する。タブレット端末は、仕込情報、及び表示器操作機リストを上位コントローラ(調光操作卓100)に事前に送信する。タブレット端末は、仕込情報、及び表示器操作機リストを後述する「吊り込み確認開始ボタン」が操作されたタイミングで上位コントローラに送信してもよい。
【0136】
上位コントローラは、仕込情報(各照明器具5の種類、各照明器具5が吊り下げられるバトン6のバトン番号、各照明器具5のバトン6内での配置位置等)を記憶部105に格納する。また、上位コントローラは、表示器操作機リスト(表示器操作機4のIPアドレス、表示器操作機4が設置されるバトン6のバトン番号等)を記憶部105に格納する。
【0137】
[開始時]
作業者は、副調整室400内にて上位コントローラ(ここでは調光操作卓100)を起動する。次に、スタジオ300が副調整室400から離れた場所にある場合、作業者は、タブレット端末(情報端末T1)を持ってスタジオ300に向かう。作業者は、その移動中にタブレット端末を起動してもよい。
【0138】
作業者は、スタジオ300に到着すると、照明昇降装置を起動して各バトン6を降下させたり、各表示器操作機4を起動したりする。上位コントローラは、全ての表示器操作機4の起動が確認された場合に、各表示器操作機4に、通知部3の複数の光源31を全て消灯状態にさせる(
図5A参照)。
図5Aでは、光源31が消灯状態である様子を白抜きで示している。
図5A、
図5Bは、前回スタジオ300が使用された時に設置されていた3つの照明器具5が、対応する接続ポートP1(
図1参照)に接続されたままの状態を示している。
【0139】
次に、作業者は、例えば、タブレット端末の表示部に表示される「吊り込み確認開始ボタン」のアイコンに対してタップ操作を行うと、タブレット端末、及び上位コントローラは、補助処理を開始する。上位コントローラは、例えば、RDM規格に沿った通信方式により照明器具5を探索する処理(RDM探索処理)等を開始する。
【0140】
上位コントローラは、仕込情報、及び表示器操作機リストに基づく位置指定情報、及び種類指定情報を含む第1通知信号を、表示器操作機4に送信する。また、上位コントローラは、最新のステータスを含む第3通知信号を、表示器操作機4に定期的に送信する。各表示器操作機4は、受信した位置指定情報、種類指定情報、及びステータスに基づき、複数の光源31の点灯状態を変更する(
図5B参照)。
【0141】
作業者は、タブレット端末の表示部に表示される仕込み図でも、
図5A~
図7Bに示すような照明器具5の配置や通知部3からの通知内容を確認できることが好ましい。
【0142】
図5Bの例では、光源31C,31Fの点灯状態が消灯から点滅点灯に変更され、発光色は黄色を呈している(濃いドットハッチングで図示)。また、光源31Gの点灯状態が消灯から点滅点灯に変更され、発光色は紫色を呈している(薄いドットハッチングで図示)。つまり、通知部3は、これらの光源31の真下が照明器具5を吊り下げる配置位置であることを通知している。さらに通知部3は、黄色光の出射により吊り下げる照明器具5の種類が「ブロード1K」であること、紫色光の出射により吊り下げる照明器具5の種類が「スポット2K」であること、をそれぞれ通知している。
【0143】
さらに、
図5Bの例では、光源31C,31F,31G以外の、5つの光源31(31A,31B,31D,31E,31H)の点灯状態が消灯から赤色の連続点灯に変更されている(黒塗りで図示)。つまり、通知部3は、配置位置を通知する光源31以外の残りの光源31を利用して、当該バトン6に対する照明器具5の接続作業の準備が整っていないことを通知している(ステータス通知)。
【0144】
[作業時]
作業者は、スタジオ300内で通知部3からの通知を視認しながら、照明器具5の取付作業を開始する。先ず、作業者は、赤色点灯によるステータス通知を受けて、当該バトン6に既存の全ての照明器具5を接続ポートP1から外していく、すなわち全ての照明器具5のDMX線を抜いていく。なお、照明器具5が外された接続ポートP1に対応する光源31から順にリアルタイムで赤色から消灯に切り替わる、つまり、その光源31の真下が照明器具5を吊り下げる配置位置ではないことを通知する状態になる。そして、全ての照明器具5が外されると、赤色で点灯していた残りの光源31も消灯に切り替わる。
図6Aでは、
図5A、5Bで図示されていた既存の照明器具5が全て外されたことで、光源31C,31F,31G以外の、5つの光源31(31A,31B,31D,31E,31H)の点灯状態が消灯に変更されている。
【0145】
次に、作業者は、光源31C,31F,31Gの点灯状態を視認しながら、下手から順に対応する種類の照明器具5を取り付ける(指定される位置に配置して電源線の接続をする)。そして、作業者は、下手から照明器具5を接続ポートP1に接続していく、すなわち、DMX線を下手から結線していく。接続ポートP1に接続したタイミングで、照明器具5から接続情報が対応するDMXノード2に送られる。
【0146】
上位コントローラ(調光操作卓100)は、DMXノード2から受信した接続情報と記憶部105内の仕込情報とを比較し、接続された照明器具5の正誤判定を行い、その判定結果(接続状況に関する情報)が含まれた第2通知信号を表示器操作機4に送信する。特に、変形例1の上位コントローラは、上述の通り、接続された照明器具5の種類に関する順序の正誤判定をする。照明器具5が接続ポートP1に接続される度に、上位コントローラは、種類指定情報で指定される照明器具5の種類の順序が、実際に接続された照明器具5の種類の順序と一致しているか否かを判定する。
【0147】
上位コントローラは、照明器具5の接続が正しいと判定した場合には、「点滅」を「(連続)点灯」に変更する。例えば、
図6Bの例では、当該バトン6に対して、作業者は、「黄色」の通知の通り、2つの「ブロード1K」の照明器具5Aを、光源31C,31Fの真下にある所定位置S1(
図2A参照)にそれぞれ吊り下げて、近傍の接続ポートP1にそれぞれ接続した。その結果、通知部3は、光源31C,31Fの点灯状態を黄点滅から黄点灯に変更して、この2つの照明器具5Aの接続が正しいことを通知している。
【0148】
ところが、
図6Bの例では、作業者は、本来、光源31Gの真下には、「紫色」の通知に応じて「スポット2K」の照明器具5を接続するべきところを、誤って「ブロード1K」の照明器具5Aを近傍の接続ポートP1に接続した。その結果、変形例1の上位コントローラは、指定されていた下手からの種類順序(ブロード1K、ブロード1K、スポット2K)が、実際の種類順序(ブロード1K、ブロード1K、ブロード1K)と不一致であると判定した。
図6Bの例では、3番目の照明器具5Aが接続されたことで、通知部3が、光源31Gの点灯状態を赤色の点滅点灯に変更して、照明器具5の種類が誤っていることをリアルタイムで通知している(アラート通知)。なお、このアラート通知は、タブレット端末の表示部における仕込み図からも行われることが好ましい。
【0149】
作業者は、アラート通知を受けて、3番目の「ブロード1K」の照明器具5Aを取り外し、「スポット2K」の照明器具5B(
図7A、
図7B参照)を接続する。その結果、種類順序は「正しい」と判定されて、通知部3は、
図7Aに示すように、光源31Gの点灯状態を、紫色の「(連続)点灯」に変更する。
【0150】
そして、
図7Aでは、通知部3は、残り5つの光源31A,31B,31D,31E,31Hの点灯状態を青色の連続点灯に変更して(左半分を黒塗りで図示)、当該バトン6に対する全ての照明器具5の接続が完了したことを通知する(ステータス通知)。その際、通知部3は、配置位置を通知する光源31C,31F,31Gの点灯状態については、黄色、黄色、及び紫色の連続点灯を維持する。
【0151】
変形例1では、上位コントローラは、種類順序により正誤判定を行っており、照明器具5の配置位置の違いは許容する。
図7Aと
図7Bと比較すると分かるように、
図7Bでは、1番目の「ブロード1K」の照明器具5Aが光源31Cに対応する接続ポートP1ではなく、その隣の光源31Dに対応する接続ポートP1に接続されている。しかし、当該バトン6の単位で見れば、種類順序は「正しい」と判定されているため、通知部3は、
図7Aと同様に、5つの光源31A,31B,31D,31E,31Hの点灯状態を青色の連続点灯に変更して、当該バトン6に対する全ての照明器具5の接続が完了したことを通知する。
【0152】
上位コントローラは、全てのバトン6に対する照明器具5の接続が完了したと判定すると、各バトン6におけるステータスを通知する光源31について、青色光で緩やかにフェードイン、フェードアウトさせるような低速点滅で点灯させる。なお、接続が未完了のバトン6の数が残り少なくなると(例えば残り3つ以下になると)、そのバトン6についてはステータスを通知する光源31を白色光で低速点滅させてもよい。また、接続が未完了のバトン6において、既存の照明器具5が接続されたままのステータスを通知する(光源31が赤色光の)バトン6については、赤色光で低速点滅させてもよい。このように低速点滅させることで、作業者は、未吊り込みのバトン6の存在を認識できる。
【0153】
[作業終了]
作業者は、全てのバトン6のステータスを通知する光源31の発光色が青色になると、「仕込み図」通りに全ての照明器具5の接続が完了したと判断する。そして、作業者は、例えば、タブレット端末に表示される「吊り込み確認終了ボタン」のアイコンに対してタップ操作を行う。タブレット端末、及び上位コントローラは、その操作に応じて、補助処理を終了する。上位コントローラは、例えば、RDM探索処理を終了する。上位コントローラは、補助処理の終了に応じて、各表示器操作機4に、通知部3の複数の光源31を全て消灯状態にさせる。最後に、作業者は、照明昇降装置を用いて各バトン6を上昇させて、取付作業を終了する。
【0154】
このように変形例1では、通知部3は、照明器具5の種類に関する順序の情報に基づき、接続状況を通知する。そのため、作業者は、より精度の高い接続状況に関する通知をリアルタイムで受けることができ、照明器具5の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。特に、変形例1では、バトン6の単位で種類順序により照明器具5の正誤判定を行って接続状況を通知する。そのため、接続ポートP1単位で照明器具5の配置位置や種類により正誤判定を行わなくても照明器具5の取付作業に関するミスの発生を抑えられ得る。
【0155】
(その他の変形例)
以下、上記実施形態のその他の変形例を列挙する。以下に説明するその他の変形例は、上記実施形態、及び/又は上記変形例1と適宜組み合わせて適用可能である。
【0156】
本開示における補助システム1の表示器操作機4、及び上位コントローラ(調光操作卓100)の各々は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における表示器操作機4及び上位コントローラの各々としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0157】
また、表示器操作機4及び上位コントローラの各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。例えば、表示器操作機4の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。また、上位コントローラの構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。
【0158】
反対に、上記実施形態のように、表示器操作機4及び上位コントローラの各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、表示器操作機4及び上位コントローラの各々の少なくとも一部の機能、例えば、上位コントローラの一部の機能がクラウドコンピューティング等によって実現されてもよい。
【0159】
上記実施形態では、調光操作卓100が、補助システム1の上位コントローラとして機能している。しかし、補助システム1の上位コントローラの機能は、調光操作卓100とは別体に設けられてもよい。例えば、上位コントローラの少なくとも一部の機能が、調光制御盤150、情報端末T1、表示器操作機4、又は照明器具5に設けられてもよい。
【0160】
上記実施形態では、周辺構成として調光制御盤150が設けられている。しかし、補助システム1を利用する上で、調光制御盤150は、必須の構成ではない。
【0161】
上記実施形態では、照明器具5は、光源がLEDチップを有したLEDライトであり、調光操作卓100から出力される制御信号は、DMX信号の信号方式のまま、照明器具5に送信される。照明器具5は、例えば、ハロゲンランプでもよく、この場合、調光操作卓100から出力されるDMX信号の信号方式を位相制御方式に変換する変換器が調光制御盤150等に設けられてもよい。この場合、ハロゲンランプ(器具)に関する接続状況(接続されたか未接続か)を検知する機能や、ハロゲンランプの器具容量の値を検知する機能が、ハロゲンランプ用の調光制御盤等に設けられてもよい。上位コントローラ(調光操作卓100)は、検知された情報を取得して、照明器具5の種類及び配置位置の正誤判定を行ってもよい。また、上位コントローラ(調光操作卓100)は、バトン6を撮像するように配置された1又は複数の撮像部(カメラ)から撮像画像を取得し、その撮像画像に基づき、接続された照明器具5の種類及び配置位置を推定する機能を有してもよい。上位コントローラは、推定結果に基づき、照明器具5の種類及び配置位置の正誤判定を行ってもよい。
【0162】
上記実施形態では、表示器操作機4が、DMXノード2と別体に設けられている。しかし、表示器操作機4の機能とDMXノード2の機能とが、1つのハウジング内に集約されてもよい。
【0163】
上記実施形態、及び上記変形例1では、照明器具5を接続ポートP1に接続して照明器具5の吊り込み確認(照明器具5の配置位置や種類順序)を行った結果、誤りがあった場合を例に挙げており、作業者は、照明器具5を接続ポートP1から外して変更することを説明した。しかし、照明器具5を接続ポートP1に接続して、照明器具5の吊り込み確認を行い、誤りがなければ、照明器具5を接続ポートP1から外すことなくそのバトン6に対する作業を完了としてもよい。
【0164】
上記変形例1では、作業開始時に、作業者は、赤色点灯によるステータス通知を受けて、バトン6に既存の全ての照明器具5を接続ポートP1から外している。
【0165】
しかし、作業開始時に、あるバトン6に対して、照明器具5が1つも取り付けられていない場合もあり得る。その場合には、既存の照明器具5を接続ポートP1から外す上記の作業は省略されることになる。
【0166】
また、作業開始時に、あるバトン6に対して、既存の照明器具5のうち少なくとも1つについては接続ポートP1から外さなくてもよい場合もあり得る。
【0167】
例えば、既存の照明器具5の種類の順序が、既に種類指定情報で指定される照明器具5の種類に関する順序と一致していると判定されることもあり得る。その場合にも、そのバトン6から、既存の照明器具5を接続ポートP1から外す作業は省略されてよい。そのようなバトン6については、開始時点で、通知部3から青色点灯による接続完了のステータス通知が行われてもよい。
【0168】
また、上位コントローラが、既存の照明器具5の種類のうち少なくとも1つ(例えば1つ)について、種類指定情報で指定される照明器具5の種類と一致していると判定することもあり得る。その場合、当該照明器具5は接続ポートP1から外さずに、そのまま残りの照明器具5について取付作業を進めて、最終的に種類指定情報で指定される照明器具5の種類に関する順序と一致していると判定されれば、それにて作業完了としてもよい。
【0169】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0170】
第1の態様に係る補助システム(1)は、1以上の照明器具(5)を所定のバトン(6)に取り付ける作業を補助する。補助システム(1)は、通知部(3)を備える。通知部(3)は、所定のバトン(6)に設けられ、位置指定情報に応じて1以上の配置位置を通知する。位置指定情報は、所定のバトン(6)の長手方向(A1)における1以上の照明器具(5)に関する1以上の配置位置を複数の所定位置(S1)の中から指定するための情報である。通知部(3)は、複数の光源(31)が複数の所定位置(S1)とそれぞれ対応するように長手方向(A1)に沿ってライン状に配列されるように実装された実装基板(32)を有する。通知部(3)は、複数の光源(31)のうち1以上の配置位置に対応した1以上の光源(31)の点灯状態を、位置指定情報に応じて変更することで、1以上の配置位置を通知する。
【0171】
上記の態様によれば、指定された1以上の配置位置に対応する1以上の光源(31)の点灯状態が変更される。そのため、作業者は、変更された光源(31)の点灯状態をリアルタイムで視認しながら、1以上の照明器具(5)を所定のバトン(6)に取り付けることができる。よって、ある照明器具(5)についてバトン(6)に対する配置位置を誤ったり、ある照明器具(5)についてバトン(6)への取り付けを忘れたりする可能性が減り得る。結果的に、補助システム(1)には、照明器具(5)の取付作業に関するミスの発生を抑えやすくする、という利点がある。
【0172】
第2の態様に係る補助システム(1)に関して、第1の態様において、複数の光源(31)の各々は、複数色の光のいずれかを選択的に出射するように構成される。通知部(3)は、1以上の照明器具(5)の種類を指定するための種類指定情報に応じて、複数色の光のうち1以上の照明器具(5)の種類に対応する色の光を、1以上の光源(31)から出射することで、指定された1以上の照明器具(5)の種類を更に通知する。
【0173】
上記の態様によれば、作業者は、光源(31)から出射されている光の色をリアルタイムで視認しながら、対応する種類の照明器具(5)を所定のバトン(6)に取り付けることができる。そのため、指定されていない種類の照明器具(5)が誤って取り付けられてしまう可能性が減り得る。結果的に、照明器具(5)の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0174】
第3の態様に係る補助システム(1)に関して、第1又は第2の態様において、通知部(3)は、1以上の光源(31)の点灯状態を消灯状態から連続点灯状態又は点滅点灯状態に変更することで、1以上の配置位置を通知する。
【0175】
上記の態様によれば、光源(31)の点灯状態が複雑に変更される構成に比べて、作業者が変更された光源(31)の点灯状態を誤って認識する可能性が低減され得る。
【0176】
第4の態様に係る補助システム(1)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、所定のバトン(6)には、いずれかに1以上の照明器具(5)が電気的に接続され得る複数の接続ポート(P1)が設けられている。通知部(3)は、1以上の照明器具(5)のうち1の照明器具(5)が複数の接続ポート(P1)のいずれかに接続された場合に1の照明器具(5)から送出される情報に基づき、1以上の光源(31)の点灯状態を変更することで、複数の接続ポート(P1)に関する接続状況を更に通知する。
【0177】
上記の態様によれば、作業者は、変更された光源(31)の点灯状態を通じて、照明器具(5)の接続状況をリアルタイムで知ることができ、照明器具(5)の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0178】
第5の態様に係る補助システム(1)に関して、第4の態様において、複数の光源(31)の数は、複数の接続ポート(P1)の数より多く設定されている。
【0179】
上記の態様によれば、指定可能な照明器具(5)の配置位置が、接続ポート(P1)の数によって制限されにくくすることができ、照明器具(5)の配置に関する自由度がより高くなる。
【0180】
第6の態様に係る補助システム(1)に関して、第4又は第5の態様において、通知部(3)は、所定のバトン(6)の長手方向(A1)における一端側から他端側に向かって配置される1以上の照明器具(5)の種類に関する順序の情報に基づき、接続状況を通知する。
【0181】
上記の態様によれば、作業者は、より精度の高い接続状況に関する通知をリアルタイムで受けることができ、照明器具(5)の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0182】
第7の態様に係る補助システム(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、実装基板(32)には、状態表示光源(33)が更に実装されている。所定のバトン(6)には、いずれかに1以上の照明器具(5)が電気的に接続され得る複数の接続ポート(P1)が設けられている。通知部(3)は、複数の接続ポート(P1)に対する1以上の照明器具(5)への接続完了数に基づき、状態表示光源(33)の点灯状態を変更することで、所定のバトン(6)に関する作業の進捗状況を更に通知する。
【0183】
上記の態様によれば、作業者は、変更された状態表示光源(33)の点灯状態を通じて、バトン(6)単位での作業の進捗状況をリアルタイムで知ることができ、照明器具(5)の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0184】
第8の態様に係る補助システム(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、所定のバトン(6)には、いずれかに1以上の照明器具(5)が電気的に接続され得る複数の接続ポート(P1)が設けられている。通知部(3)は、複数の接続ポート(P1)に対する1以上の照明器具(5)への接続完了数に基づき、複数の光源(31)のうち、1以上の配置位置に対応した1以上の光源(31)以外の残りの光源(31)について、点灯状態及び発光色の少なくとも一方を変更することで、所定のバトン(6)に関する作業の進捗状況を更に通知する。
【0185】
上記の態様によれば、作業者は、変更された残りの光源(31)の点灯状態を通じて、バトン(6)単位での作業の進捗状況をリアルタイムで知ることができ、照明器具(5)の取付作業に関するミスの発生が更に抑えられる。
【0186】
第9の態様に係る補助システム(1)に関して、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、通知部(3)は、複数の光源(31)として複数のチップLEDが表面実装されたテープ状の実装基板(32)を有したテープライト(TP1)を含む。
【0187】
上記の態様によれば、比較的簡単な構成で、通知部(3)が実現されやすくなる。特にバトン(6)への通知部(3)の設置導入等が容易となる。
【0188】
第2~9の態様に係る構成については、補助システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0189】
1 補助システム
3 通知部
31 光源
32 実装基板
33 状態表示光源
5 照明器具
6 バトン
A1 長手方向
P1 接続ポート
S1 所定位置
TP1 テープライト