IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レンゴー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図1
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図2
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図3
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図4
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図5
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図6
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図7
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図8
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図9
  • 特開-トレイ及びトレイのブランク 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075181
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】トレイ及びトレイのブランク
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/30 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B65D5/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186434
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛央
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB18
3E060BC02
3E060CG12
3E060DA25
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】差込溝への差込片の差込作業性を向上できるトレイ及びトレイのブランクを提供する。
【解決手段】トレイ10は、底板11、一対の第1側板12、一対の第2側板13、第1側板12に設けられた差込溝17、及び差込溝17に差し込まれた差込片22を備える。底板11と第1側板12の間には、主折曲部25と、底板11及び第1側板12に対して傾斜した三角形状で一対の傾斜部26とが設けられている。傾斜部26は、主折曲部25の端部25aから第2方向Yの外側に向けて第1方向Xの内側に延びる内側折曲部27と、主折曲部25の端部25aから第2方向Yの外側に向けて第1方向Xの外側に延びる外側折曲部28と、内側折曲部27の第2方向Yの外側端部から外側折曲部28の第2方向Yの外側端部にかけて延びて差込溝17に連なる打抜部29とによって構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる底板と、
前記底板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向の上向きに延びる一対の第1側板と、
前記底板の前記第2方向の両端にそれぞれ連なり、上向きに延びる一対の第2側板と、
前記第1側板の前記第2方向の両側にそれぞれ設けられ、前記第1側板を貫通して少なくとも前記第3方向に延びる部分を有するスリット状の差込溝と、
前記第2側板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記差込溝を通して前記第1側板の外側から内側にそれぞれ差し込まれた差込片と
を備え、
前記底板と前記第1側板の間には、前記第2方向に延びる主折曲部と、前記差込溝の下側に対応する部分に位置し、前記主折曲部の端部に連なり、前記底板及び前記第1側板に対して傾斜した三角形状で一対の傾斜部とが設けられ、
前記傾斜部は、
前記主折曲部の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向内側に延びる内側折曲部と、
前記主折曲部の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向外側に延びる外側折曲部と、
前記内側折曲部の前記第2方向外側の端部から前記外側折曲部の前記第2方向外側の端部にかけて延び、前記底板と前記第1側板を貫通して前記差込溝に連なる打抜部と
によって構成されている、トレイ。
【請求項2】
前記差込溝は、前記打抜部に連なって上向きに延びる外側溝部と、前記外側溝部の上端に連なって前記第2方向内側に延びる上側溝部とを備え、
前記第1側板には、前記上側溝部の下側に、前記外側溝部に対して前記第2方向内側に間隔をあけて位置し、前記第3方向に延びる補助折曲線が設けられている、
請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記補助折曲線は、前記上側溝部が設けられた範囲内において前記第2方向の中央よりも内側に設けられている、請求項2に記載のトレイ。
【請求項4】
前記補助折曲線は、前記主折曲部の前記端部から上向きに延びている、請求項2に記載のトレイ。
【請求項5】
前記外側溝部は、下側から上側に向けて前記第2方向外側に傾斜している、請求項2から4のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項6】
前記差込溝は切断線からなる、請求項2から4のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項7】
前記底板と前記第1側板の間において前記傾斜部の前記第2方向外側には、前記底板の角部から前記打抜部に向けて延びる外端折曲部が設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項8】
前記外端折曲部は、前記第2方向内側に向かうに従って前記第1方向内側に延びている、請求項7に記載のトレイ。
【請求項9】
前記第1側板は、前記底板から上側に向けて前記第1方向の外側に傾斜し、
前記第2側板は、前記底板から上側に向けて前記第2方向の外側に傾斜している、
請求項1から4のいずれか1項に記載のトレイ。
【請求項10】
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる底板と、
前記底板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なる一対の第1側板と、
前記底板の前記第2方向の両端にそれぞれ連なる一対の第2側板と、
前記第1側板の前記第2方向の両側にそれぞれ設けられ、前記第1側板を貫通して少なくとも前記第1方向に延びる部分を有するスリット状の差込溝と、
前記第2側板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記差込溝を通して前記第1側板の外側から内側にそれぞれ差し込まれる差込片と
を備え、
前記底板と前記第1側板の間には、前記第2方向に延びる主折曲線と、前記底板と前記第1側板の間には、前記第2方向に延びる主折曲線と、前記差込溝の前記第1方向に対応する部分に位置し、前記主折曲線の端部に連なる三角形状で一対の傾斜部とが設けられ、
前記傾斜部は、
前記主折曲線の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向内側に延びる内側折曲線と、
前記主折曲線の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向外側に延びる外側折曲線と、
前記内側折曲線の前記第2方向外側の端部から前記外側折曲線の前記第2方向外側の端部にかけて延び、前記底板と前記第1側板を貫通して前記差込溝に連なる打抜部と
によって構成されている、トレイのブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ及びトレイのブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平板、平板の幅方向の両端にそれぞれ連なる一対の第1側板、及び平板の長さ方向の両端にそれぞれ連なる一対の第2側板を備える段ボール製トレイのコーナ部分の連結構造が開示されている。この連結構造は、第1側板に設けられた差込溝と、第2側板に連設された差込片とを備える。差込溝は、平板側から第1側板の先端側へ延びる第1部分と、第1部分の先端に連なって第2側板から離れる向きに延びる第2部分とを備える。この連結構造では、平板に対して第1側板と第2側板をそれぞれ折り曲げ、第2側板に対して折り曲げた差込片を差込溝に差し込むことで、トレイを製函できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-51561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の連結構造では、差込溝に差込片を差し込む際、第1側板における差込溝の外側を内向きに押し、差込溝の両側部分に隙間(段差)を生じさせ、その隙間から差込片を差し込む必要がある。そのため、特許文献1の連結構造には、差込溝への差込片の差込作業性について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、差込溝への差込片の差込作業性を向上できるトレイ及びトレイのブランクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる底板と、前記底板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向の上向きに延びる一対の第1側板と、前記底板の前記第2方向の両端にそれぞれ連なり、上向きに延びる一対の第2側板と、前記第1側板の前記第2方向の両側にそれぞれ設けられ、前記第1側板を貫通して少なくとも前記第3方向に延びる部分を有するスリット状の差込溝と、前記第2側板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記差込溝を通して前記第1側板の外側から内側にそれぞれ差し込まれた差込片とを備え、前記底板と前記第1側板の間には、前記第2方向に延びる主折曲部と、前記差込溝の下側に対応する部分に位置し、前記主折曲部の端部に連なり、前記底板及び前記第1側板に対して傾斜した三角形状で一対の傾斜部とが設けられ、前記傾斜部は、前記主折曲部の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向内側に延びる内側折曲部と、前記主折曲部の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向外側に延びる外側折曲部と、前記内側折曲部の前記第2方向外側の端部から前記外側折曲部の前記第2方向外側の端部にかけて延び、前記底板と前記第1側板を貫通して前記差込溝に連なる打抜部とによって構成されている、トレイを提供する。
【0007】
本発明の他の態様は、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる底板と、前記底板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なる一対の第1側板と、前記底板の前記第2方向の両端にそれぞれ連なる一対の第2側板と、前記第1側板の前記第2方向の両側にそれぞれ設けられ、前記第1側板を貫通して少なくとも前記第1方向に延びる部分を有するスリット状の差込溝と、前記第2側板の前記第1方向の両端にそれぞれ連なり、前記差込溝を通して前記第1側板の外側から内側にそれぞれ差し込まれる差込片とを備え、前記底板と前記第1側板の間には、前記第2方向に延びる主折曲線と、前記底板と前記第1側板の間には、前記第2方向に延びる主折曲線と、前記差込溝の前記第1方向に対応する部分に位置し、前記主折曲線の端部に連なる三角形状で一対の傾斜部とが設けられ、前記傾斜部は、前記主折曲線の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向内側に延びる内側折曲線と、前記主折曲線の前記端部から前記第2方向外側に向けて前記第1方向外側に延びる外側折曲線と、前記内側折曲線の前記第2方向外側の端部から前記外側折曲線の前記第2方向外側の端部にかけて延び、前記底板と前記第1側板を貫通して前記差込溝に連なる打抜部とによって構成されている、トレイのブランクを提供する。
【0008】
底板と第1側板の間には、差込溝に対応する位置に底板及び第1側板に対して傾斜した三角形状の傾斜部が設けられ、この傾斜部は、主折曲部の端部から第1方向の内側に延びる内側折曲部と、主折曲部の端部から第1方向の外側に延びる外側折曲部と、差込溝に連なる打抜部とによって構成されている。これにより、第1側板のうち、差込溝に対して第2方向の内側に位置するカバー部を、カバー部以外の本体部よりも第1方向の外側に配置できる。つまり、底板に対して第1側板を折り曲げると、傾斜部によって、差込溝により仕切られた両側部分の間に隙間を生じさせることができる。よって、差込溝を通して第1側板の外側から内側に差込片を差し込む際の作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、差込溝への差込片の差込作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るトレイの斜視図。
図2図1の一部を拡大した斜視図。
図3図1図2とは異なる一部を拡大した斜視図。
図4図1のトレイを長手方向から見た側面図。
図5図1のトレイのブランクを示す平面図。
図6図5のVI部分の拡大平面図。
図7】トレイの組み立てる際の一過程を示す斜視図。
図8】トレイの組み立てる際の他の一過程を示す斜視図。
図9】第2実施形態に係るトレイの側面図。
図10図9のトレイのブランクを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係るトレイ10は、糊付けやステープル等の固着手段を用いることなく製函可能な上端開口の容器であり、底板11、一対の長側板(第1側板)12、一対の短側板(第2側板)13、差込溝17、及び差込片22を備える。
【0013】
添付図面において、X方向はトレイ10の幅方向(第1方向)であり、Y方向はトレイ10の長さ方向(第2方向)であり、Z方向は高さ方向(第3方向)である。本実施形態のトレイ10は、高さ方向Zの上側から見て、幅方向Xの寸法が長さ方向Yの寸法よりも短い長方形状である。但し、幅方向X、長さ方向Y、及び高さ方向Zそれぞれの寸法は、収容する物品に応じて変更可能である。
【0014】
トレイ10は、図5に示す一枚のブランクをからなる。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(トレイ10の外面)と裏ライナ(トレイ10の内面)の間に波状の中しんを配設した構成である。紙製段ボールシートの厚みは1mm以上4mm以下であり、本実施形態では2mmの厚みの紙製段ボールシートが用いられている。図5に一点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図5に実線で示す部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0015】
図1を参照すると、底板11は、概ね長方形状であり、XY平面に沿って延びている。この底板11に対して中しん1は、幅方向Xに延びるように設定されている。
【0016】
一対の長側板12は、底板11の幅方向Xの両端にそれぞれ折曲部14を介して連なり、YZ平面に沿って上向きに延びている。長側板12は、逆台形状であり、長さ方向Yにおける下端縁(折曲部14)の寸法が上端縁の寸法よりも短い。本実施形態の長側板12は、下端縁から上端縁に向けて幅方向Xの外側へ傾斜している(図4参照)。つまり、長側板12は、底板11に対して傾斜している。
【0017】
一対の短側板13は、底板11の長さ方向Yの両端にそれぞれ折曲部15を介して連なり、XZ平面に沿って上向きに延びている。短側板13は、逆台形状であり、幅方向Xにおける下端縁(折曲部15)の寸法が上端縁の寸法よりも短い。本実施形態の短側板13は、下端縁から上端縁に向けて長さ方向Yの外側へ傾斜している。つまり、短側板13は、底板11に対して傾斜している。短側板13の全高は長側板12の全高と同じである。
【0018】
これらの長側板12と短側板13を備えるトレイ10の外周壁は、底板11から上端開口に向けて次第に開口面積が広がっている。この四角錐筒状の外周壁を備えるトレイ10は、同一構成の他のトレイ10を積み重ねることができる。
【0019】
差込溝17は、長側板12の長さ方向Yの両側にそれぞれ設けられている。図2及び図3を参照すると、差込溝17は、長側板12を貫通したスリット状で、高さ方向Zに延びる外側溝部18と、長さ方向Yに延びる上側溝部19とを備える。
【0020】
外側溝部18は、長さ方向Yにおける長側板12の両端から内側に間隔をあけて設けられ、底板11側から上向きに延びている。より具体的には、外側溝部18は、下側から上側に向けて長さ方向Yの外側に傾斜している。
【0021】
上側溝部19は、曲部20を介して外側溝部18の上端に連なり、長さ方向Yの内側(中央側)に延びている。より具体的には、上側溝部19は、長さ方向Yの外側から内側に向けて上側へ傾斜している。上側溝部19の長さ方向Yの内端側には、下向きに湾曲した破止め部19aが設けられている。
【0022】
差込溝17の形成によって長側板12には、差込溝17内に位置するカバー部12aと、差込溝17外に位置する本体部12bとが形成されている。カバー部12aは、外側溝部18、上側溝部19、折曲部14、及び長さ方向Yにおける上側溝部19の内端と後に詳述する主折曲部25の端部25aを結ぶ仮想線(図示せず)によって囲まれた概ね四角形状の領域であり、差込片22の差込溝17を通して差し込んだ部分を覆う。本体部12bは、長側板12のうちカバー部12a以外の領域である。
【0023】
図1を参照すると、差込片22は、短側板13の幅方向Xの両端にそれぞれ折曲部23を介して連なり、YZ平面に沿って延びている。図4を参照すると、折曲部23は、長さ方向Yの外側から見て、下側(折曲部15)から上側に向かうに従って幅方向Xの外側へ傾斜している。また、折曲部23は、幅方向Xの外側から見ても、下側(折曲部14)から上側に向かうに従って長さ方向Yの外側へ傾斜している。
【0024】
図2及び図3を参照すると、差込片22は、短側板13に連なる基部22aと、基部22aから長さ方向Yの内側へ突出する差込片本体22bとを備える。基部22aは、長側板12の外側に重ねて配置されている。差込片本体22bは、差込溝17を通して長側板12の外側から内側に差し込まれている。この差込状態の差込片本体22bは、上側溝部19の上縁に交差して係止し、外面側がカバー部12aによって覆われている。これにより、差込溝17からの差込片22の離脱を確実に防止できる。
【0025】
差込片22の突出寸法、つまり折曲部23から差込片本体22bの上端における長さ方向Yの内端までの距離は、折曲部23から差込溝17の上側溝部19における長さ方向Yの内端までの距離よりも小さく、差込溝17に差込可能な範囲で可能な限り大きく設けられている。差込片本体22bの高さ方向Zの寸法は、基部22aの高さ方向Zの寸法、及び折曲部14から上側溝部19までの高さ方向Zの寸法よりも小さく、差込溝17の上縁への係止状態を維持できる剛性を確保可能な寸法に設定されている。
【0026】
以上の基本構成を有するトレイ10に対し、本実施形態では、底板11に対する長側板12の折り曲げによって、差込溝17により仕切られたカバー部12aと本体部12bの間に隙間を形成可能とし(図7参照)、差込片22の差込作業性を向上している(図8参照)。このようにするために、本実施形態では、底板11と長側板12の間の折曲部14を、主折曲部25、一対の傾斜部26、及び一対の外端折曲部30によって構成している。また、長側板12のカバー部12aに補助折曲線31を設けている。
【0027】
以下、主折曲部25、傾斜部26、外端折曲部30、及び補助折曲線31について具体的に説明する。
【0028】
図1を参照すると、主折曲部25は、一対の差込溝17間に設けられ、長さ方向Yに延びている。主折曲部25の端部25aは、上側溝部19の長さ方向Yの内端の下方に位置している。端部25aは、上側溝部19の内端(破止め部19a)に対して、長さ方向Yの内側に間隔をあけて位置していてもよいし、長さ方向Yの外側に間隔をあけて位置していてもよい。
【0029】
図2及び図3を参照すると、傾斜部26は、主折曲部25の端部25aに連なり、底板11及び長側板12に対して傾斜している。傾斜部26は、内側折曲部27、外側折曲部28、及び打抜部30によって構成された三角形状で、上側溝部19の下側に対応する部分に設けられている。
【0030】
内側折曲部27は、主折曲部25の端部25aから長さ方向Yの外側に向けて幅方向Xの内側へ傾斜し、底板11内へXY平面に沿って延びている。
【0031】
外側折曲部28は、高さ方向Zの上側から見て、主折曲部25の端部25aから長さ方向Yの外側に向けて幅方向Xの外側へ傾斜し、長側板12内へ延びている。幅方向Xの外側から見ると、外側折曲部28は、主折曲部25の端部25aから長さ方向Yの外側に向けて上側に傾斜している。外側折曲部28の長さ方向Yの外端は、外側溝部18の下端と同一点上に位置しており、図4を参照して長さ方向Yの外側から見ると、長側板12の本体部12bのうち同じ高さに位置する部分よりも、幅方向Xの外側に突出している。
【0032】
図2及び図3を参照すると、打抜部30は、底板11及び長側板12を貫通したスリット状である。この打抜部30は、内側折曲部27の長さ方向Yの外側端部から外側折曲部28の長さ方向Yの外側端部にかけて延びている。つまり、幅方向Xにおいて、打抜部30の内端は底板11内に位置し、打抜部30の外端は長側板12内に位置している。本実施形態の打抜部30は、主折曲部25に対して直交する幅方向Xに延び、差込溝17の外側溝部18に連なっている。但し、打抜部30は主折曲部25に対して傾斜していてもよい。
【0033】
引き続いて図2及び図3を参照すると、外端折曲部30は、傾斜部26の長さ方向Yの外側に隣接して設けられている。外端折曲部30は、長側板12と短側板13が交わる底板11の角部から長さ方向Yの内側へ延び、打抜部30に連なっている。より具体的には、外端折曲部30は、長さ方向Yの内側に向かうに従って幅方向Xの内側、つまり底板11内へ傾斜して延びている。これにより、長側板12の本体部12bにおいて外端折曲部30に連なる領域は、幅方向の内側に窪んでいる。その結果、外側溝部18の下部においてカバー部12aと本体部12bの間に隙間を確保できる。但し、外端折曲部30は、主折曲部25に対して同一直線上に延びていてもよいし、長さ方向Yの内側に向かうに従って幅方向Xの外側に傾斜していてもよい。
【0034】
補助折曲線31は、長側板12のカバー部12a内に設けられ、カバー部12aに撓み性を持たせ、カバー部12aの長さ方向Yの外端と本体部12bの間に隙間を確保する。具体的には、補助折曲線31は、上側溝部19の下側に位置するように、外側溝部18に対して長さ方向Yの内側に間隔をあけて設けられ、高さ方向Zに沿って延びている。本実施形態の補助折曲線31は、上側溝部19の長さ方向Yの中央よりも内側に設けられ、主折曲部25の端部25aから外側溝部18に沿って上向きに延びている。つまり、補助折曲線31は、下側から上側に向かうに従って長さ方向Yの外側に傾斜している。
【0035】
以上のように、本実施形態のトレイ10では、傾斜部26の上側にカバー部12aが隣接して設けられ、傾斜部26を構成する打抜部29に連なるように差込溝17が形成されている。これにより、差込溝17の上側溝部19では、カバー部12aと本体部12bの間の隙間が、全く無い長さ方向Yの内端から最も大きい長さ方向Yの外端(外側溝部18)まで漸増している。しかも、補助折曲線31によってカバー部12aの撓み性が付与されているため、カバー部12aにおける補助折曲線31よりも長さ方向の外側部分では、弾性的に隙間を拡張可能となっている。
【0036】
次に、図5を参照して、トレイ10のブランクについて説明する。
【0037】
長方形状の底板11は中央に配置され、長側板12は図5において底板11の上下(幅方向Xの両端)にそれぞれ連設され、短側板13は図5において底板11の左右(長さ方向Yの両端)にそれぞれ連設されている。
【0038】
底板11と長側板12の間には、図1に示す主折曲部25、内側折曲部27、外側折曲部28、打抜部29、及び外端折曲部30を構成する、主折曲線25b、内側折曲線27a、外側折曲線28a、打抜部29、及び外端折曲線30aが設けられている。底板11と短側板13の間には、図1に示す折曲部15を構成する折曲線15aが設けられている。主折曲線25b、内側折曲線27a、外側折曲線28a、外端折曲線30a、及び折曲線15aは、いずれも汎用罫線からなる。打抜部29は切断線からなる。
【0039】
差込溝17は、図5において長側板12の左右両側(長さ方向Yの両側)にそれぞれ設けられている。差込溝17を構成する外側溝部18、上側溝部19、及び曲部20は、いずれも切断線からなる。
【0040】
差込片22は、図5において短側板13の上下(幅方向Xの両端)にそれぞれ連設されている。差込片22と短側板13の間には、図1に示す折曲部23を構成する折曲線23aが設けられている。折曲線23aは、汎用罫線からなり、長側板12と短側板13が逆台形状であるため、底板11の角部から長さ方向Yの外側に向かうに従って幅方向Xの外側に傾斜している。また、差込片22と長側板12は、切断線32によって仕切られている。
【0041】
補助折曲線31は、上側溝部19と主折曲線25bの間に設けられ、幅方向Xに沿って延びている。補助折曲線31は、汎用罫線上に複数の切断線を設けたリード罫からなる。リード罫の隣り合う切断線は、外力が加わることによって互いに繋がり難い破断困難な間隔をあけて設けられている。
【0042】
以下、図6を参照して、主折曲線25b、内側折曲線27a、外側折曲線28a、打抜部29、外端折曲線30a、及び補助折曲線31について、より具体的に説明する。
【0043】
主折曲線25bの端部25a、内側折曲線27aの長さ方向Yの内端、及び外側折曲線28aの長さ方向Yの内端は、いずれも同一点上に位置している。また、内側折曲線27aの長さ方向Yの外端と打抜部29の幅方向Xの内端は同一点上に位置し、外側折曲線28aの長さ方向Yの外端と打抜部29の幅方向Xの外端は同一点上に位置している。また、外端折曲線30aの長さ方向Yの内端は打抜部29上に位置し、外端折曲線30aの長さ方向Yの外端は折曲線15aの幅方向Xの外端と同一点上に位置している。但し、これらは、いずれも互いに間隔をあけて位置していてもよい。
【0044】
主折曲線25bは長さ方向Yに延びている。前述のように、主折曲線25bの端部25aは、概ね上側溝部19の長さ方向Yの内端(破止め部19a)の下方に位置している。但し、主折曲線25bの端部25aは、上側溝部19の内端よりも、長さ方向Yの内側に間隔をあけて位置していてもよいし、長さ方向Yの外側に間隔をあけて位置していてもよい。
【0045】
内側折曲線27aは、主折曲線25bの端部25aから長さ方向Yの外側に向けて、幅方向Xの内側に傾斜して延びている。外側折曲線28aは、主折曲線25bの端部25aから長さ方向Yの外側に向けて、幅方向Xの外側に傾斜して延びている。本実施形態では、主折曲線25bに対する内側折曲線27aの傾斜角θ1と、主折曲線25bに対する外側折曲線28aの傾斜角θ2とは、同じである。但し、傾斜角θ1,θ2は異なっていてもよい。
【0046】
打抜部29は、主折曲線25bに対して直交方向に延びている。幅方向Xにおいて、打抜部29の内端から主折曲線25bまでの寸法はS1、打抜部29の外端から主折曲線25bまでの寸法はS2である。そのうち、寸法S1,S2は本実施形態では同一である。但し、寸法S1,S2は異なっていてもよい。
【0047】
打抜部29の外端から主折曲線25bまでの寸法S2が過度に長い場合、図1に示す製函状態で本体部12bに対するカバー部12aの突出が過大になり、カバー部12aと本体部12bの間の隙間が過度に大きくなる。一方で、寸法S2が過度に短い場合、図1に示す製函状態で本体部12bに対してカバー部12aの突出が過小になり、カバー部12aと本体部12bの間の隙間が過度に小さくなる。そのため、寸法S2は、トレイ10を構成する段ボールシートの厚みに対して、300%以上800%以下の範囲に設定することが好ましく、400%以上700%以下の範囲に設定することがより好ましい。本実施形態では、厚みが2mmの紙製段ボールシートからなり、寸法S2は500%に設定されている。
【0048】
打抜部29の外端から主折曲線25bまでの寸法S2に対し、打抜部29の内端から主折曲線25bまでの寸法S1が過度に長い場合、図1に示す製函状態で底板11に対する傾斜部26の傾斜角が過小になり、内側折曲線37aに折り曲げる力が伝わり難くなり、斜部26が十分に開かない可能性があるうえ、たとえ開いたとしても底面での隙間が大きくなるという不都合が生じる。一方で、寸法S2に対する寸法S1が過度に短い場合、図1に示す製函状態で底板11に対する傾斜部26の傾斜角が過大になり、やはり内側折曲線37aに折り曲げる力が伝わり難くなり、傾斜部26が十分に開かないという不都合が生じる可能性がある。そのため、寸法S2に対して寸法S1は、60%以上140%以下の範囲に設定することが好ましく、80%以上120%の範囲に設定することがより好ましく、本実施形態では100%に設定されている。
【0049】
主折曲線25bの端部25aから打抜部29までの長さ方向Yの長さL1、つまり傾斜部26の長さ方向Yの寸法が過度に長い場合、主折曲線25bに対する内側折曲線27aと外側折曲線28aの傾斜角θ1,θ2が過小になる。一方で、長さL1が過度に短い場合、主折曲線25bに対する内側折曲線27aと外側折曲線28aの傾斜角θ1,θ2が過大になる。これらの場合、底板11に対して長側板12を折り曲げるとき、いずれも折曲線27a,28aに沿って上手く折り曲げて傾斜部26を形成できない可能性がある。そのため、長さL1は、20mm以上40mm以下の範囲に設定することが好ましく、25mm以上35mm以下の範囲に設定することがより好ましく、本実施形態では30mmに設定している。
【0050】
外端折曲線30aの長さ方向Yの内端は、打抜部29の幅方向Xの内端と外端の間に配置されることが好ましく、主折曲線25bに対して直線上に位置する角度位置と打抜部29の内端(底板11側)との間に配置されることがより好ましい。言い換えれば、図1に示す製函状態で差込溝17の底板11側の隙間を確保するために、打抜部29の内端から主折曲線25bまでの幅方向Xの寸法S1に対し、外端折曲線30aの内端は、主折曲線25bの延長線と打抜部29の交点を起点として、0%以上40%以下の範囲に配置することが好ましく、本実施形態では25%の位置に配置している。
【0051】
補助折曲線31は、主折曲線25bの端部25aから上側溝部19に向けて延びている。但し、主折曲線25b、内側折曲線27a、及び外側折曲線28aに沿った折り曲げが阻害されない範囲であれば、補助折曲線31は、主折曲線25bの端部25aよりも長さ方向Yの内側(つまり主折曲線25b上)から上側溝部19に向けて延びていてもよいし、主折曲線25bの端部25aよりも長さ方向Yの外側(つまり外側折曲線28a上)から上側溝部19に向けて延びていてもよい。
【0052】
外側溝部18から上側溝部19の長さ方向Yの内端までの長さはL2であり、補助折曲線31から上側溝部19の長さ方向Yの内端までの長さはL3である。長さL3が過度に長い場合、図1に示す製函状態で幅方向Xの外側へのカバー部12aの撓み性が低くなり、差込片22の差込作業性が阻害される可能性がある。一方で、長さL3が過度に短い場合、図1に示す製函状態でカバー部12aと本体部12bの間の隙間が無い領域が過少になり、差込片22が離脱し易くなる可能性がある。そのため、長さL2に対して長さL3は、25%以上50%以下の範囲に設定することが好ましく、30%以上45%以下の範囲に設定することがより好ましい。そして、本実施形態では、長さL3が40%の位置に補助折曲線31が設けられている。
【0053】
以上のように構成されたトレイ10は、例えば図5に示すブランクの状態で出荷され、納品先で製函される。以下、トレイ10の製函手順の一例を説明する。
【0054】
まず、底板11に対して一対の長側板12を折り曲げる。これにより、主折曲線25b、内側折曲線27a、外側折曲線28a、及び外端折曲線30aが、いずれも谷折れする。その結果、図7に示すように、底板11及び長側板12に対して傾斜部26が傾斜し、カバー部12aが本体部12bに対して幅方向Xの外側へ突出する。これにより、外側溝部18によって仕切られたカバー部12aの長さ方向Yの外端では、本体部12bとの間に差込片22の厚みよりも大きい隙間が形成される。また、上側溝部19によって仕切られたカバー部12aの上端では、本体部12bとの間の隙間が、長さ方向Yの内側に向かう従って漸減し、内端では全く無い状態になる。
【0055】
続いて、一対の短側板13のうちの一方に対して一対の差込片22を折曲線23aに沿って折り曲げた後、底板11に対して一方の短側板13を折曲線15aに沿って折り曲げる。これにより、図8に示すように、長側板12の本体部12bの外側に差込片22の基部22aが配置され、カバー部12aと本体部12bとの間の差込溝17に差込片本体22bの下端が差し込まれる。この際、外側溝部18が下側から上側に向けて長さ方向Yの外側へ傾斜し、外側溝部18と上側溝部19の間には曲部20が形成されているため、差込片22は、突出した曲部20から差し込まれる。カバー部12aへの差込片22の干渉面積を低減できるため、差込溝17への差込片22の差込作業性は極めて良好である。
【0056】
続いて、上端まで差込片本体22bを差込溝17に差し込むと、差込操作を止める。これにより、差込片本体22bの上端が上側溝部19の上縁に係止する。その結果、底板11に対して展開する方向への短側板13と差込片22の移動が阻止される。また、カバー部12aによって幅方向Xの外側への差込片本体22bの移動が阻止される。よって、差込溝17に差込片22を差し込んで係止した状態が維持される。
【0057】
その後、前述した一方の短側板13の折り曲げと同様に、一対の短側板13のうちの他方に対して一対の差込片22を折曲線23aに沿って折り曲げた後、底板11に対して一方の短側板13を折曲線15aに沿って折り曲げる。これにより、図1から図4に示すトレイ10が完成する。
【0058】
以上のように構成されたトレイ10及びブランクは、以下の特徴を有する。
【0059】
底板11と長側板12の間には、差込溝17の下側に対応する部分に底板11及び長側板12に対して傾斜した三角形状の傾斜部26が設けられ、この傾斜部26は、主折曲部25から幅方向Xの内側に延びる内側折曲部27と、主折曲部25から幅方向Xの外側に延びる外側折曲部28と、差込溝17に連なる打抜部29とによって構成されている。これにより、長側板12のうち、差込溝17に対して長さ方向Yの内側に位置するカバー部12aを、カバー部12a以外の本体部12bよりも幅方向Xの外側に配置できる。つまり、底板11に対して長側板12を折り曲げると、傾斜部26によって、差込溝17により仕切られた両側部分12a,12bの間に隙間(段差)を生じさせることができる。よって、差込溝17を通して長側板12の外側から内側に差込片22を差し込む際の作業性を向上できる。
【0060】
長側板12には、上側溝部19の下側に、外側溝部18に対して長さ方向Yの内側に間隔をあけて位置し、高さ方向Zに延びる補助折曲線31が設けられている。これにより、カバー部12aのうち、補助折曲線31よりも長さ方向Yの外側部分を幅方向Xの外側へ撓ませることができる。よって、カバー部12aの外側部分と本体部12bの間に隙間を確実に設けることができるため、差込溝17への差込片22の差込作業性を向上できる。
【0061】
補助折曲線31は、上側溝部19が設けられた範囲内において、長さ方向Yの中央よりも内側に設けられている。これにより、カバー部12aの外側部分が幅方向Xの外側に撓み易くなるため、カバー部12aと本体部12bの間に隙間を確実に設けることができ、差込溝17への差込片22の差込作業性を向上できる。
【0062】
補助折曲線31は、主折曲部25の端部25aから上向きに延びている。これにより、補助折曲線31によってカバー部12aの外側部分を確実に撓ませることができる。
【0063】
外側溝部18は、下側から上側に向けて長さ方向Yの外側に傾斜している。これにより、外側溝部18と上側溝部19が連なる角部を、長さ方向Yの外側へ最も突出させることができる。その結果、差込溝17に対して上側から差込片22を差し込む際、カバー部12aへの差込片22の干渉面積を低減できるため、差込作業性を向上できる。
【0064】
差込溝17は切断線からなる。これにより、カバー部12aと本体部12bの間の隙間は、上側溝部19に沿って長さ方向Yの外側から内側に向かうに従って漸減し、内端側では全く無い状態になる。そのため、差込溝17への差込片22の差込状態では、差込片22は、差込溝17の上縁に交差し、カバー部12aによって外面側が覆われた状態になる。よって、差込溝17からの差込片22の離脱を確実に防止できる。
【0065】
傾斜部26の長さ方向Yの外側に設けられた外端折曲部30は、長さ方向Yの内側に向かうに従って幅方向Xの内側に延びている。これにより、長側板12における外端折曲部30に連なる部分を幅方向Xの内側に窪ませることができる。よって、差込溝17の下部領域においてもカバー部12aと本体部12bの間に隙間を確保できる。その結果、差込溝17の上端を越えて差込片22を下側へ差し込むことができるため、差込作業性を向上できる。
【0066】
長側板12は底板11から上側に向けて幅方向Xの外側に傾斜し、短側板13は底板11から上側に向けて長さ方向Yの外側に傾斜している。これにより、同一構成のトレイ10を積み重ねることができる。つまり、使用前に複数のトレイ10を予め製函し、最小限のスペースに置いておくことができるため、使用者の利便性を向上できる。
【0067】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0068】
(第2実施形態)
図9及び図10を参照すると、第2実施形態のトレイ10は、第1実施形態のトレイ10と同様に、底板11、一対の長側板12、一対の短側板13、差込溝17、及び差込片22を備える。図9を参照すると、第2実施形態では、長側板12を、底板11に対して直交する高さ方向Zの上向きに延びるようにした点で、第1実施形態と相違している。
【0069】
図10を参照すると、トレイ10のブランクでは、差込片22と短側板13の間の折曲線23aが、主折曲線25bと同様に長さ方向Yに延びるように設けられている。また、差込片22と長側板12は、図5に示す切断線32の代わりに、幅方向Xに延びる切欠溝32aによって仕切られている。
【0070】
このように構成された第2実施形態のトレイ10では、第1実施形態のトレイ10と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0071】
また、第2実施形態のトレイ10では、底板11に対する長側板12の折り曲げ角度が、第1実施形態のトレイ10よりも大きい。そのため、打抜部29の幅方向Xの内端から外端までの全長、より具体的には主折曲線25bから打抜部29の幅方向Xの外端までの寸法が同じ場合、本体部12bに対するカバー部12aの突出量(隙間の幅)は、第1実施形態のトレイ10よりも第2実施形態のトレイ10の方が大きくなる。よって、本体部12bに対するカバー部12aの突出量を第1実施形態のトレイ10と同一にする場合、第2実施形態では、図10に示す主折曲線25bから打抜部29の幅方向Xの外端までの寸法を、図6に示す第1実施形態の寸法S2よりも短くできる。
【0072】
また、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、差込溝17は、底板11側から上向き且つ長さ方向Yの内側へ湾曲して延びる概ねC字形状であってもよい。また、差込溝17は、対向縁が間隔をあけて位置する所定幅のスリット状であってもよい。また、差込溝17は、上側溝部19を設けることなく、外側溝部18のみによって構成されてもよい。
【0074】
トレイ10は、カバー部12aに補助折曲線31を設けない構成であってもよい。
【0075】
主折曲線25b、内側折曲線27a、外側折曲線28a、外端折曲線30a、折曲線15a、及び折曲線23aは、リード罫によって構成されてもよく、所定位置で折曲可能な構成であればよい。補助折曲線31は、汎用罫線のみで構成されてもよいし、裏ライナを切断したハーフカット線によって構成されてもよく、カバー部12aに撓み性を付与できる構成であればよい。
【0076】
トレイ10の素材は、紙製の段ボールシートに限らず、樹脂製の段ボールシートであってもよい。また、トレイ10の素材は、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 中しん
10 トレイ
11 底板
12 長側板(第1側板)
12a カバー部
12b 本体部
13 短側板(第2側板)
14 折曲部
15 折曲部
15a 折曲線
17 差込溝
18 外側溝部
19 上側溝部
19a 破止め部
20 曲部
22 差込片
22a 基部
22b 差込片本体
23 折曲部
23a 折曲線
25 主折曲部
25a 端部
25b 主折曲線
26 傾斜部
27 内側折曲部
27a 内側折曲線
28 外側折曲部
28a 外側折曲線
29 打抜部
30 外端折曲部
30a 外端折曲線
31 補助折曲線
32 切断線
32a 切欠溝
X 幅方向(第1方向)
Y 長さ方向(第2方向)
Z 高さ方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10