(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075185
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】抽出用バッグ
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20240527BHJP
A47J 31/02 20060101ALI20240527BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A47J31/06 160
A47J31/02
B65D85/804 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186440
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】391024744
【氏名又は名称】不双産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA07
4B104BA45
4B104BA49
4B104BA77
4B104EA08
4B104EA39
(57)【要約】
【課題】小さ目のカップに掛止めした場合には、湯が注がれるときに設置のバランスが崩れるだけでなく、袋体の開口が狭まる恐れがある。
【解決手段】掛止片41側は凹部45内に板バネ状片47が延設されている。カップCの縁が入り込と、板バネ状片47はバネ特性により回動前に戻ろうとするので、カップCの縁側の側面部を内側からは側縁45bが押圧し、外側からは板バネ状片47のバネ面が押圧した状態になる。すなわち、カップCの縁側の側面部をホルダー17がホールドした状態になる。一対の板バネ状片47、47の位置関係から、カップCの縁側の側面部を互いに交差する二つの方向でホールドするので、カップCに対してホルダー17が動き難くなり、カップCが小さ目の場合でも、設置のバランスが崩れたり、袋体3の開口が狭まったりが回避されて、開口縁51が全開した状態が維持される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平袋状の袋体と、一枚の薄板材から構成され、二つ折りされて前記袋体の両側面に跨るように左右方向に延びて袋体に対して固着された袋体支持部と、前記袋体支持部に対して前記袋体の両側面からそれぞれ引き起こし可能な一対の掛止片を二組有するホルダーを備えたドリップ方式の抽出用バッグにおいて、
前記ホルダーの二つ折り側に遠い側の組の掛止片には、
上方に向かって凹んだ凹部と、前記凹部の左右方向一方側から前記凹部の内方に向かって延設された板バネ状片が設けられていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項2】
請求項1に記載した抽出用バッグにおいて、
ホルダーの二つ折り側に遠い側の組の掛止片は、前記二つ折り側に遠い側を基端として前記二つ折り側に向かって延びていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項3】
請求項1または2に記載した抽出用バッグにおいて、
板バネ状片は二つ折り側に近い側から延設されていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項4】
請求項3に記載した抽出用バッグにおいて、
板バネ状片と凹部との境界には回動基端となる助線が形成されていることを特徴とする抽出用バッグ。
【請求項5】
請求項4に記載した抽出用バッグにおいて、
板バネ状片は凹部の天縁とは切込みにより分離されていることを特徴とする抽出用バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー粉等の抽出に用いる抽出用バッグに係り、詳しくは、フィルター機能を有する包材シートで構成された袋体と、その袋体を支持するホルダーを備えた、ドリップ方式の抽出用バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドリップ方式の抽出用バッグは、コーヒー粉等が充填され、湯を注げるように上方が開口した袋体を支持するホルダーに掛止片が設けられており、この掛止片を、カップの縁に上側から置いて掛止めすることで、袋体をカップに設置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カップのサイズは大小様々であり、大きいカップにも対応できるように、二つ折りのホルダーを利用したサイドフックタイプでは、特許文献1に記載のように、二つ折り辺側では掛止片の左右方向は長めに設定されている。
そのため、小さ目のカップに掛止めした場合には、その掛止片はカップの縁に沿って比較的長い距離を摺動可能になり、湯が注がれるときに袋体が位置により不均等に重くなると、掛止片が浮き上がったり摺動したりして袋体が踊ってしまい、設置のバランスが崩れるだけでなく、袋体の開口が狭まる恐れがある。
【0005】
それ故、本発明は、ドリップ方式の抽出用バッグに関して、上記した問題点を解消した、新規且つ有用なものを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、平袋状の袋体と、一枚の薄板材から構成され、二つ折りされて前記袋体の両側面に跨るように左右方向に延びて袋体に対して固着された袋体支持部と、前記袋体支持部に対して前記袋体の両側面からそれぞれ引き起こし可能な一対の掛止片を二組有するホルダーを備えたドリップ方式の抽出用バッグにおいて、前記ホルダーの二つ折り側に遠い側の組の掛止片には、上方に向かって凹んだ凹部と、前記凹部の左右方向一方側から前記凹部の内方に向かって延設された板バネ状片が設けられていることを特徴とする抽出用バッグである。
【0007】
好ましくは、ホルダーの二つ折り側に遠い側の組の掛止片は、前記二つ折り側に遠い側を基端として前記二つ折り側に向かって延びている。
好ましくは、板バネ状片は二つ折り側に近い側から延設されている。
好ましくは、板バネ状片と凹部との境界には回動基端となる助線が形成されている。
好ましくは、板バネ状片は凹部の天縁とは切込みにより分離されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の抽出用バッグによれば、カップのサイズの大小に関わらず、湯が注がれるときに、袋体の開口を大きく広げながらカップの縁に安定的に設置できる。
本発明の抽出用バッグは、既存のサイドフックタイプと同様に被充填物を充填しながら縦横シールする製袋充填装置を利用して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る抽出用バッグの平面図である。
【
図3】
図1の抽出用バッグをカップに設置した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の設置した状態を別方向から見た斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係る抽出用バッグの平面図である。
【
図9】
図7の抽出用バッグをカップに設置した状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9の設置した状態を別方向から見た斜視図である。
【
図11】
図9の設置した状態における上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施の形態に係るドリップ方式の抽出用バッグ1を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、抽出用バッグ1は、平袋状の袋体3と、この袋体3が開封され開口が広げられて立体状になった状態を支持しながらカップの縁に掛止させるためのホルダー17を有している。
袋体3は、濾紙や不織布等からなるフィルター機能を有する包材シート5で形成されている。この包材シート5は中央で二つ折りされ、この二つ折り辺7を介して四角形の側面9、9に分かれている。重ね合った周縁部分である辺縁11、13、15側が超音波シール等の手段でシール封止されて扁平な平袋状に製袋化されており、袋体3内にはコーヒー粉Pが充填されている。
【0011】
ホルダー17は、板紙やプラスチックシートからなる適度なコシを有する一枚の薄板材から構成されており、打ち抜くと共に切込みが設けられて、各部位がその用途に応じた形状になっている。
ホルダー17は、
図2の展開図に示すように、左右対称の形状をしており、左右方向の中心線には二つ折り線19が形成されている。使用前、すなわち湯を注ぐ作業の前は、ホルダー17は、この二つ折り線19を袋体3の二つ折り辺7に揃えながら平袋状の袋体3を外側から挟み込んで側面9、9に跨った状態で重ね合されており、抽出用バッグ1は全体として扁平な状態になっている。また、ホルダー17の左右両側は側面9、9にそれぞれ収まるサイズになっている。
【0012】
ホルダー17の上辺縁21は左右方向に直線状に延びており、その直下には平行に易破断線であるミシン目23が形成されている。また、左右方向端側の側辺縁25、25は上下方向に直線状に延びている。また、下辺縁は後述するように側辺縁25を下端として用途に応じて上方に向かって切り込まれており、凹凸状になっている。
上辺縁21、側辺縁25、25は袋体3の辺縁11、13に平行にその内方近傍に位置している。
【0013】
ミシン目23が破断されると、ミシン目23より上側は抽出用バッグ1から分離され、抽出用バッグ1側に残された破断縁が開口縁51(
図3、
図4、
図5参照)になり、袋体3が上方に向かって開口する。
ミシン目23より下側は左右方向に帯状に延びた帯状領域27になっている。帯状領域27の上下方向に延びる幅側の寸法は袋体3に対して必要且つ十分に設定されており、ホルダー17は素材の選択とサイズ設定により、袋体3を保形支持するのに十分なコシを発現させている。この帯状領域27には種々の直線状の折り線が二つ折り線19を挟んで左右対称に形成されている。
【0014】
帯状領域27では、二つ折り線19を跨ぐ領域が押込み領域27aになっている。
折り線29a、29aは左右方向に延びているが、二つ折り線19に向かってそれぞれ下がり勾配で僅かに傾斜しており、折り線29は下方に向かって山状に突出している。
折り線31aと折り線31bは上下方向で連続している。左側の折り線31は左方向外方に向かって山状に突出しており、右側の折り線31は右方向外方に向かって山状に突出している。折り線31の上端が帯状領域27の上端に至り、下端は帯状領域27の下端に至っている。山頂箇所の関係で、折り線31aの方が折り線31bよりも長くなっているが、勾配は同じになっている。この折り線31の山頂箇所に折り線29の左右方向外方の端も連続している。
押込み領域27aの左右方向側は上記した折り線31、31で画定されており、押込み領域27aは六角形状になっている。
【0015】
側辺縁25に平行にその内方に直線状の折り線33、33が形成されている。
帯状領域27のうち、押込み領域27aの左右方向両外側が拡開領域27b、27bになっており、折り線33を跨いで更に左右方向両外側が拡開領域27c、27cになっている。袋体3が開口されて立体化したときに、拡開領域27c、27cは二つ平面状に並んで押込み領域27aと対向するように折り線33の位置が調整されている。
【0016】
二つ折り線19は極短の切れ目と極短の連続部が交互に多数連なって構成されている。折り線29は比較的長めの切れ目が極短の連続部を介して連なって構成されており、二つ折り線19とは、連続部を介して交差している。
折り線31も、長めの切れ目が極短の連続部を介して連なって構成されており、折り線29とは連続部を介して交差している。また、折り線31の上端と下端は連続部になっている。
この切れ目と連続部とのバランスの取れた組み合わせにより、各種折り線が折込み易くなっており、押込み領域27aの押込みやそれに追従する拡開領域27b、27cの拡開がスムーズに実現可能になっている。
【0017】
帯状領域27の下側には、2種類の掛止片35、41が2つずつ、合計4つ連設されている。掛止片35、41は帯状領域27とは連係領域(後述)を介して連続されており、帯状領域27からは切込みにより分離されている。
袋体3の一つの側面9上で、掛止片35は二つ折り線19に近い側、掛止片41は遠い側にそれぞれ位置している。
【0018】
掛止片35については、これらを左右方向中間で繋ぐ連係領域37が押込み領域27aの下側に連続しており、一対の掛止片35、35が二つ折り線19側から左右方向外方に向かってそれぞれアーム状に延びている。掛止片35の上縁35aは左右方向に直線状に延びており、側縁35bは上下方向に直線状に延びている。なお、掛止片35の上縁35aを作り出す切込みは、折り線31の下端を超えて二つ折り線19側に向かって少し延びている。
また、掛止片35の下側は上方に向かって四角状に凹んで凹部39になっている。二つ折り線19側で、掛止片35の上縁35aの端は凹部39の二つ折り線19側の側縁39bの上方近傍まで延びており、左右方向への掛止片35の横方向への引き起こしが可能になっている。なお、二つ折り線19側の側縁39bは傾斜しており、下方に向かうほど二つ折り線19側に近づいている。
【0019】
掛止片41については、掛止片41の連係領域43がホルダー17の拡開領域27cの下側に連続しており、連係領域43から左右方向内方に向かってアーム状に延びている。掛止片41の上縁41aは左右方向に直線状に延びており、側縁41bは上下方向に直線状に延びている。
掛止片41の下側は上方に向かって四角状に凹んで凹部45になっている。この凹部45は、上側は天縁45a、左右方向外側は側縁45bで画定されている。天縁45aは、凹部39の天縁39aと上下方向の位置が揃えられている。
【0020】
左右方向内側は縁にはなっておらず、板バネ状片47が延設されている。この板バネ状片47は、四角形状で左右方向外方に向かって、凹部45内をフラップ状に延びている。
天縁45aと板バネ状片47の上縁47aは切込みにより分離されており、側縁45bと板バネ状片47の先縁47bは四角状の切欠きにより分離されている。従って、側縁45bと先縁47bとの間には左右方向に半分弱の幅で隙間が残されている。
【0021】
板バネ状片47の下縁47cは、凹部45の左右両側に延びる下縁と上下方向の位置が揃えられている。
また、凹部39の左右両側に延びる下縁と、凹部45の左右両側に延びる下縁は、左右方向に延びる一直線上に揃えられている。
【0022】
掛止片35、41の角部や隅部と同様に、板バネ状片47の上縁47aと先縁47bの間の角部と、先縁47bと下縁47cとの間の角部に丸みが付けられている。
板バネ状片47と凹部45の境界では板バネ状片47の回動基端になるように、助線49が上下方向に直線状に延びている。この助線49は二つの長めの切れ目49a、49aが極短の連続部49b、49b、49bを介して連なって構成されており、凹部45側とは連続部49b、49b、49bを介して連続している。
【0023】
ホルダー17は上記したように適度なコシを有する素材から構成されており、板バネ状片47は、上記したように、ホルダー17における適当な部位にその周囲との関係で適当な形状及びサイズで形成されることで、助線49を回動基端として外方に向かって曲げられて回動する際にはバネ特性、すなわち曲げ抵抗を示す。
【0024】
抽出用バッグ1は、
図1の梨地状に描かれた部位でホルダー17が袋体3に対して接着剤を介して固着されており、帯状領域27が袋体支持部になっている。
掛止部は、一対の掛止片35、35の組と一対の掛止片41、41の組を合わせて二組で構成されており、袋体3の側面9、9からそれぞれ引き起こし可能になっている。
【0025】
抽出用バッグ1は上記したように構成されており、ミシン目23が破断されると、袋体3もミシン目23と共に破断されるので、抽出用バッグ1側に残された破断縁が袋体3の開口縁51になり、上方に向かって開口する。
この状態で、ホルダー17の二つ折りされた押込み領域27aの二つ折り部分を、袋体3の辺縁13側に向かって軽く押すと、押込み領域27aが二つ折りされた状態から、平面状に展開され、それに引っ張られて、折り線31、31が外方に向かって山折りされ、折り線33、33も外方に向かって山折りされて、帯状領域27が折り線31、31、33、33を角部とした角環状になり、帯状領域27の上端である開口縁51は大きく開口する。
【0026】
押込み領域27aでは、折り線29が内方に向かって谷折りされて、押込み領域27aが内方に向かって凹んで拡開領域27b、27bの間で剛性状に突っ張った状態になり、且つホルダー17の素材がコシを有するので、帯状領域27が保形され、開口縁51が角環状に開口した状態が安定的に保持される。
【0027】
帯状領域27を環状に広げられると、押込み領域27aの下部に連設された連係領域37も二つ折りされた状態から、平面状になる。従って、掛止片35、35も連係領域37を挟んで平面上に並んだ状態になる。拡開領域27c、27cの下側にそれぞれ連設された連係領域43、43も袋体3の辺縁13を介して平面上に並んだ状態になる。従って、掛止片41、41も連係領域43、43を挟んで平面上に並んだ状態になる。そして、掛止片35、35と掛止片41、41は板面どうしが対向する。
【0028】
このように立体状にした後に、
図3、
図4に示すように、カップCに抽出用バッグ1を設置する。
カップCの縁に上側から掛止片35の凹部39、掛止片41の凹部45を被せることで、カップCの縁を2つの凹部39、39、2つの凹部45、45に下側から入り込ませた状態にしてカップCに対して掛止させる。
凹部39の方が凹部45の方よりも左右方向の長さ寸法が大きく設定されているので、凹部39内でのカップCの縁の当り位置を調整することで、カップCの大小様々なサイズに適用可能になっている。
【0029】
掛止片41側は凹部45の左右方向の長さ寸法が小さくなっており、しかもその小さくなった凹部45内に板バネ状片47が延設されている。そのため、カップCの縁が入り込む際には、板バネ状片47はカップCの縁側の側面部に押されて、助線49を回動基端として外方に向かって回動し、
図5に詳細に示すように、最終的には、カップCの縁側の側面部が凹部45の側縁45bと板バネ状片47のバネ面の間に挟み込まれた状態になる。そして、板バネ状片47はバネ特性により回動前に戻ろうとするので、カップCの縁側の側面部を内側からは側縁45bが押圧し、外側からは板バネ状片47のバネ面が押圧した状態になる。すなわち、カップCの縁側の側面部をホルダー17がホールドした状態になる。
一対の板バネ状片47、47の位置関係から、カップCの縁側の側面部を互いに交差する二つの方向でホールドするので、このホールドにより、掛止片41、41がカップCに対して位置決めされる。この位置決めにより、掛止片35、35側もカップCに対して動き難くなる。
【0030】
従って、カップCが小さ目の場合でも、湯が注がれるときに袋体3が踊って設置のバランスが崩れたり、袋体3の開口が狭まったりすることが回避されて、
図6に示すように開口縁51が全開した状態が維持される。
コーヒー粉Pを抽出し終わった後は、帯状領域27を持ち上げるだけで、カップCから抽出用バッグ1を容易に取り外すことができる。
【0031】
抽出用バッグ1は、一袋分の包材シート5を連続して長尺とした包材シートにすれば、既存のサイドフックタイプと同様に被充填物を充填しながら縦横シールする製袋充填装置を利用して製造できる。
【0032】
本発明の第2の実施の形態に係るドリップ方式の抽出用バッグ101を図面にしたがって説明する。
抽出用バッグ1と共通する箇所については同じ符号を用いて説明を省略し、異なる部位について以下で説明する。
図7、
図8に示すように、押込み領域27aに代えて、押込み領域103が設けられている。直線状の切込み105が二つ折り線19を跨いて左右方向に延びており、その左右方向両端からそれぞれ下方に向かって直線状に折り線107が形成されている。この折り線107は二つの長めの切れ目107a、107aが極短の連続部107bを介して連なって構成されている。折り線107の上端と切込み105は極短の連続部107cを介して連なっており、その下端と掛止片35の上縁35aとも極短の連続部107dを介して連なっている。
【0033】
また、折り線107の外方、すなわち二つ折り線19から遠い側に、折り線107に平行に別の曲げ誘導線109が形成されている。この曲げ誘導線109の上端はミシン目23に到達し、下端は掛止片35の上縁35aに到達している。
曲げ誘導線109は二つ折り線19と同様に極短の切れ目109aと極短の連続部109bが交互に多数連なって構成されており、上端と下端は連続部109bになっている。
【0034】
押込み領域27aとサイズ関係で比較すると、切込み105は、折り線29の山頂箇所を通る直線上に位置している。折り線107は、折り線31の下端より僅かに内方の位置を通る直線上に位置している。曲げ誘導線109は、折り線31の山頂箇所を通る直線上に位置している。
押込み領域103は、切込み105と左右の折り線107、107で囲まれた四角形の領域になっており、上半部は拡開領域27dとして開口縁51側に残されている。
【0035】
抽出用バッグ101は上記したように構成されており、ミシン目23が破断されると、抽出用バッグ1と同様に袋体3が開口する。
この状態で、ホルダー17の二つ折りされた押込み領域103の二つ折り部分を袋体3の辺縁13側に向かって軽く押すと、押込み領域103が拡開領域27dと分離し、押込み領域103の二つ折りされた部分が折り返されて、二つ折り線19が谷折りされ、折り線107が山折りされて、内方に向かって凸状に展開される。それに追従して、帯状領域27も拡開される。但し、押込み領域103は突っ張り棒にはならないので、拡開領域27dの二つ折り線19と、曲げ誘導線109、109、折り線33、33は山折り方向に矯正されず、山方向への湾曲を誘導する曲げ起点となっており、帯状領域27の開口側を湾曲させる。
【0036】
掛止片35、35、掛止片41、41がカップCの縁に掛止されると、
図9、
図10に示すように、板バネ状片47のバネ作用により位置決めされて動き難くなった状態で抽出用バッグ101が設置される。
この設置により、帯状領域27も大きく開口した状態で保形される。掛止めに帯状領域27の開口側は円環状に近づいた状態になる。ホルダー17の素材がコシを有し、且つ、帯状領域27の上下方向にある程度の幅寸法を有するので、
図11に示すように、開口縁51が円環状に開口した状態が安定的に保持される。
【0037】
美味しいコーヒーを淹れるには、湯を開口の中央からそっと注ぎ、徐々にらせん状にしていくことになる。
この抽出用バッグ101では、開口縁51が円環状に開口しており、上記のような淹れ方でも、開口縁51側のコーヒー粉Pに対しても逃さず、万遍なく湯を注ぐことができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
すなわち、ホルダー17の形状やサイズはその期待されている機能を果たす限りにおいて設計の変更が可能である。
また、折り線や助線は、ミシン目や切れ目を利用したものに限定されず、包材シートを部分的に薄くすることによっても形成可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…抽出用バッグ(第1の実施の形態)
3…袋体 5…包材シート 7…二つ折り辺
9…側面 11、13、15…辺縁
17…ホルダー 19…二つ折り線
21…上辺縁 23…ミシン目 25…側辺縁
27…帯状領域 27a…押込み領域
27b、27c、27d…拡開領域 29…折り線
31…折り線 33…折り線 35…掛止片
35a…上縁 35b…側縁 37…連係領域
39…凹部 39a…天縁 39b…側縁
41…掛止片 41a…上縁 41b…側縁
43…連係領域 45…凹部 45a…天縁
45b…側縁 47…板バネ状片 47a…上縁
47b…先縁 47c…下縁 49…助線
49a…切れ目 49b…連続部 51…開口縁
101…抽出用バッグ(第2の実施の形態)
103…押込み領域 105…切込み 107…折り線
107a…切れ目 107b…連続部 107c…連続部
107d…連続部 109…曲げ誘導線 109a…切れ目
109b…連続部
P…コーヒー粉 C…カップ