(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075186
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】放熱シートを用いた放熱構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20240527BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 F
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186442
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】森本 輝之
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322FA04
5F136BA04
5F136BA32
5F136BC07
5F136DA42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コストアップを抑制し放熱シートの取り付け作業を短時間で行う放熱シートを用いた放熱構造を提供する。
【解決手段】放熱構造HKは、基板2と、基板上の第1の高さH21の第1発熱体21及び第1の高さH21以下の第2の高さH22の第2発熱体22と、基板並びに第1発熱体及び第2発熱体に対し、離隔して対向する対向面3aを有して配置されたヒートシンク3と、基板並びに第1発熱体及び第2発熱体と、対向面との間に介在し厚さ方向に弾性を有する放熱シート5とを備える。対向面は、基板に直接対向する基板対向部31Gと基板との距離が基板対向部よりも大きい、第1発熱体と対向する第1発熱体対向部35及び第2発熱体と対向する第2発熱体対向部36とを有し、放熱シートは、基板対向部並びに第1発熱体対向部及び第2発熱体対向部に接触している。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に取り付けられた第1の高さの第1発熱体及び前記第1の高さ以下の第2の高さの第2発熱体と、
前記基板、並びに、前記第1発熱体及び前記第2発熱体に対し、離隔して対向する対向面を有して配置されたヒートシンクと、
前記基板、並びに、前記第1発熱体及び前記第2発熱体と、前記対向面との間に介在し、厚さ方向に弾性を有する放熱シートと、
を備え、
前記対向面は、
前記基板に直接対向する基板対向部と、
前記基板との距離が前記基板対向部よりも大きい、前記第1発熱体と対向する第1発熱体対向部及び前記第2発熱体と対向する第2発熱体対向部と、
を有し、
前記放熱シートは、前記基板対向部、並びに、前記第1発熱体対向部及び前記第2発熱体対向部に接触している放熱構造。
【請求項2】
前記基板対向部と前記第1発熱体対向部及び前記第2発熱体対向部の少なくとも一方とが傾斜面によって接続されている請求項1記載の放熱構造。
【請求項3】
前記第1発熱体対向部と前記基板との距離が、前記第2発熱体対向部と前記基板との距離以上である請求項1又は請求項2記載の放熱構造。
【請求項4】
前記基板に、前記第1発熱体と前記第2発熱体とが、第1の間隔で隣接して取り付けられた第1発熱体組を備え、
前記対向面において、前記第1発熱体組に対向する前記第1発熱体対向部及び前記第2発熱体対向部は連結して形成されている請求項1記載の放熱構造。
【請求項5】
請求項1記載の放熱構造を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱シートを用いた放熱構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、基板に実装された発熱体であるICと、ヒートシンクである放熱板金との間に放熱シートを介在させ、ICで生じた熱を、放熱シートを介して放熱板金に伝達して放熱する放熱構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている放熱構造では、基板と放熱板金との間の距離が一定であるため、高さの異なるICがある場合、IC毎に放熱板金との間の隙間を埋めるのに適した厚さの放熱シートを用いる必要がある。従って、放熱シートの部品点数が増えてコストアップとなり、厚さの異なるICそれぞれに独立して放熱シートを配置するため放熱シートの取り付け作業にも多くの時間を要する、という点で改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、コストアップを抑制し、放熱シートの取り付け作業を短時間で行うことができる、放熱シートを用いた放熱構造及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)、2)の構成を有する。
1) 基板と、
前記基板に取り付けられた第1の高さの第1発熱体及び前記第1の高さ以下の第2の高さの第2発熱体と、
前記基板、並びに、前記第1発熱体及び前記第2発熱体に対し、離隔して対向する対向面を有して配置されたヒートシンクと、
前記基板、並びに、前記第1発熱体及び前記第2発熱体と、前記対向面との間に介在し、厚さ方向に弾性を有する放熱シートと、
を備え、
前記対向面は、
前記基板に直接対向する基板対向部と、
前記基板との距離が前記基板対向部よりも大きい、前記第1発熱体と対向する第1発熱体対向部及び前記第2発熱体と対向する第2発熱体対向部と、
を有し、
前記放熱シートは、前記基板対向部、並びに、前記第1発熱体対向部及び前記第2発熱体対向部に接触している放熱構造である。
2) 1)に記載の放熱構造を備えた電子機器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、コストアップを抑制し、放熱シートの取り付け作業を短時間で行うことができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一態様に係る放熱構造HK及び電子機器91を示す断面図である。
【
図1B】
図1Bは、放熱構造HKが備えるヒートシンク3の下面図である。
【
図1C】
図1Cは、放熱構造HKが備える放熱シート5の側面図である。
【
図2】
図2は、放熱構造HKの第1変形例である放熱構造HKAを示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、放熱構造HKの第2変形例である放熱構造HKBを示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、放熱構造HKの第3変形例である放熱構造HKCを示す部分断面図である。
【
図5A】
図5Aは、放熱構造HKの第4変形例である放熱構造HKDを示す部分断面図である。
【
図5B】
図5Bは、放熱構造HKDが備えるヒートシンク3Dの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様に係る放熱構造HKを説明する。放熱構造HKは、基板,基板に実装されたICなどの発熱体,放熱シート,及びヒートシンクを備える。
放熱シートは、発熱体とヒートシンクとの間にそれぞれに接触するよう配置されて、発熱体で生じた熱をヒートシンクに伝達する。
放熱構造HKは電子機器91に用いられる。電子機器91は、例えば、車載機器,通信装置,撮像装置などである。
【0010】
図1A及び
図1Bを参照して放熱構造HKについて説明する。この説明において、上下左右前後の各方向を各図に示された矢印の方向で規定する。これらの方向は、説明の便宜上規定するものであって、電子機器91における放熱構造HKの搭載姿勢及び使用態様を限定するものではない。
【0011】
図1Aに示されるように、放熱構造HKは、基板2,基板2に取り付けられた複数の発熱体21~23,放熱シート5,及びヒートシンク3を有する。発熱体21~23は、例えば基板2に実装されたICであるがICに限定されない。
基板2は、電子機器91が備えるシャーシベース1に立設されたボス1a,1bに対し、ねじなどの固定具N1によって締め付け固定されている。
シャーシベース1にはボス1c,1dも立設されており、基板2に対しシャーシベース1とは反対側となる位置に、ヒートシンク3がねじなどの固定具N2によって締め付け固定されている。ヒートシンク3は、その下面で基板2と対向する対向面3aが基板2の上面2aに対し上方に距離H3aだけ離隔するように取り付けられている。
【0012】
基板2の上面2aには、3つの発熱体21~23が実装されている。この例において発熱体21~23はICである。
発熱体21,22,23は、それぞれ厚さが異なっている。すなわち、発熱体21,22,23は、厚さに相当する基板2の上面2aからの高さH21,H22,H23が互いに異なっている。
この例において、高さH22<高さH23<高さH21である。また、高さH21<距離H3aとされている。
以下、発熱体21を第1発熱体21,発熱体22を第2発熱体22,発熱体23を第3発熱体23とも称する。また、高さH21は第1の高さH21,高さH22は第2の高さH22,高さH23は第3の高さH23とも称する。
【0013】
ヒートシンク3は、上面3bに、上方にリブ状に突出した複数のフィン3fを有する。
ヒートシンク3の対向面3aは、相対的に、下方向に突出した部分(凸部)と上方向に陥没した部分(凹部)との凹凸形状3Mを有する。
具体的には、
図1Aにおいて、ヒートシンク3は、対向面3a,第1凸部31,第1発熱体対向部35,第2凸部32,第2発熱体対向部36,第3凸部33,第3発熱体対向部37,及び第4凸部34を有する。
以下、第1凸部31,第2凸部32,第3凸部33,及び第4凸部34を纏めて基板対向部31Gとも称する。また、第1発熱体対向部35,第2発熱体対向部36,及び第3発熱体対向部37を纏めて発熱体対向部35Gとも称する。
【0014】
基板対向部31G及び発熱体対向部35Gについて、
図1Bも参照して詳細に説明する。
図1Bはヒートシンク3の下面図であり、基板対向部31G及び発熱体対向部35Gの平面図としての形状と発熱体21~23の位置との関係の理解を容易にするため、発熱体21~23の形状を、その存在する位置で一点鎖線にて示してある。
【0015】
対向面3aにおいて、平面視で少なくとも発熱体21~23に対向する範囲は凹部の発熱体対向部35Gとされ、隣接する発熱体の間の基板2と直接対向する部分の一部が凸部の基板対向部31Gとされている。
より詳しくは、発熱体対向部35Gのうち、発熱体21に対し上方で対向する部位は第1発熱体対向部35とされ、発熱体22に対し上方で対向する部位は第2発熱体対向部36とされ、発熱体23に対し上方で対向する部位は第3発熱体対向部37とされている。
【0016】
第1発熱体対向部35~第3発熱体対向部37は、平面視において、それぞれ発熱体21~23に対応した領域を包含する範囲とされている。
ヒートシンク3の対向面3aには、第1発熱体対向部35~第3発熱体対向部37のそれぞれを囲むように、相対的に下方に突出した基板対向部31Gが設けられている。
基板対向部31Gは、
図1Aにおいて第1凸部31,第2凸部32,第3凸部33,及び第4凸部34として示されるが、これらは、この例において同じ高さの凸部として繋がり発熱体対向部35Gを囲んで形成されている。
図1Aに示されるように、基板対向部31Gと基板2の上面2aとの隙間の上下方向の距離は、距離H31である。
【0017】
基板対向部31Gから第1発熱体対向部35,第2発熱体対向部36,及び第3発熱体対向部37それぞれに接続する面は、上下方向に対しなだらかになる方向に傾斜した傾斜面となっている。この傾斜面は、
図1Aにおいて、第1発熱体対向部35については傾斜面3s1,3s2として、第2発熱体対向部36については傾斜面3s3,3s4として、第3発熱体対向部37については傾斜面3s5,3s6として示されている。傾斜面は、基板対向部31Gと第1発熱体対向部35及び第2発熱体対向部36とを接続するすべての面に適用されていなくてもよい。基板対向部31Gと第1発熱体対向部35及び第2発熱体対向部36との少なくとも一方が傾斜面によって接続されているものであってもよい。
【0018】
一方、第1発熱体対向部35,第2発熱体対向部36,及び第3発熱体対向部37と基板2の上面2aとの隙間の上下方向の距離H35,距離H36,及び距離H37の大小は、それぞれが対向する発熱体21,発熱体22,及び発熱体23の高さH21,高さH22,及び高さH23の高低に対応する順となっている。
詳しくは、この例では、高さH22<高さH23<高さH21であり、この順に対応して距離H36<距離H37<距離H35となっている。
【0019】
第1発熱体対向部35と発熱体21との隙間の上下方向の距離Δ1は、(距離H35-高さH21)であり、第2発熱体対向部36と発熱体22との隙間の上下方向の距離Δ2は(距離H36-高さH22)であり、第3発熱体対向部37と発熱体23との隙間の上下方向の距離Δ3は(距離H37-高さH23)である。
【0020】
ところで、
図1Cに示されるように、放熱シート5は平面視で矩形であって厚さT5の平板状に形成されている。放熱シート5は、可撓性を有し厚さ方向に弾性圧縮可能であり、材質は、例えば、シリコーン製で、硬さがデュロメータのタイプOO(ASTMD 2240)で「40」である。具体的には“積水ポリマテック株式会社製 シリコーン放熱シート FEATHER-S3S”である。
【0021】
厚さT5は、
図1Aにおける基板対向部31Gと基板2の上面2aとの隙間の距離H31よりも大きい。また、厚さT5は、第1発熱体対向部35と発熱体21との隙間の距離Δ1,第2発熱体対向部36と発熱体22との隙間の距離Δ2,及び第3発熱体対向部37と発熱体23との隙間の距離Δ3のいずれに対しても大きい。
【0022】
従って、放熱構造HKは、放熱シート5が基板対向部31G及び発熱体対向部35Gにおいて、必ず上下方向に弾性的に圧縮される。そのため、放熱シート5は、圧縮の反発力によって、基板2の上面2a及び発熱体21~23と、ヒートシンク3の対向面3aにおける基板対向部31G及び発熱体対向部35Gとの両方に、良好に密着する。
これにより、放熱構造HKは、発熱体21~23の高さが異なっていても、一つの放熱シート5を、発熱体21~23とヒートシンク3との間に介在するよう配置して、発熱体21~23に生じた熱をヒートシンク3に良好に伝達して放熱できる。よって、放熱構造HKは、コストアップが抑制され、放熱シート5の取り付け作業を短時間で行うことができる。
【0023】
基板2の上面2aと基板対向部31Gとの隙間の距離H31及び距離Δ1~Δ3は、互いに等しい或いは互いに近い値であるとよい。この場合、放熱シート5の圧縮量のばらつきが小さくなる。すなわち、放熱シート5に掛かる負荷のばらつきが少なくなるので放熱シート5が破断するなどの不具合が生じにくく、放熱構造HKは、長期的信頼性が維持される。
【0024】
図1Aに示されるように、ヒートシンク3は、発熱体対向部35Gと基板対向部31Gとがなだらかに接続するよう傾斜した傾斜面3s1~3s6を有する。
ヒートシンク3が傾斜面3s1~3s6を有することにより、放熱シート5はヒートシンク3の凹凸形状3Mに良好に追従して密着性が高くなるので、放熱効果が向上する。また、
図1Bに示される放熱シート5のジグザグ状の変形が緩やかになるため、採用する放熱シート5の材質の選択肢が増え、使用された放熱シート5の耐久性が向上する。
【0025】
以上詳述した実施例は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0026】
基板対向部31Gは連続して同じ高さに形成されている例を説明したが、高さは一様でなくてもよく、異なる高さの部分を有していてもよい。また、基板対向部31Gは、発熱体21~23それぞれを完全に囲うように形成されているものに限定されず、部分的に欠落していてもよい。また、欠落した部位が発熱体対向部35G或いは対向面3aの一部となっていてもよい。
【0027】
放熱構造HKは、変形例1として、
図2に示されるように傾斜面3s1~3s6を有していないヒートシンク3Aを備えた放熱構造HKAとしてもよい。
すなわち、ヒートシンク3Aは、基板2に実装された発熱体24,25それぞれに上方で対向する第1発熱体対向部35A,第2発熱体対向部36Aと、発熱体24,25の間の基板2の上面2aに対向する基板対向部31GAとを有する。
第1発熱体対向部35A,第2発熱体対向部36Aと基板対向部31GAとは、傾斜面ではなく上下方向に延在する壁部3hによって接続されている。
この変形例1は、発熱体同士が近接配置されて基板対向部31GAの幅が狭くなってしまう場合に用いると、基板対向部31GAの幅を減少させずに維持できる。
【0028】
また、発熱体24,25に高さの差があってもその差が小さい場合は、発熱体24,25それぞれに対応する第1発熱体対向部35A,第2発熱体対向部36Aについての距離H35A,H36Aは、
図2に示されるように発熱体24,25の高さに対応して小さな差をつけてもよいし、同じとしてもよい。
【0029】
放熱構造HKは、隣接する発熱体が、第1の間隔である所定値以下で近接配置されている場合に、変形例2のヒートシンク3Bを有する放熱構造HKBとしてもよい。放熱構造HKBは、
図3に示されるように、近接配置された発熱体24,25に対して、ヒートシンク3Bの一つの発熱体対向部35Bが対応するようになっている。換言するならば、近接配置された複数の発熱体は一つの発熱体組とみなし、ヒートシンクにはその発熱体組に対応した一つの凹部である発熱体対向部を設ける、というものである。
これは、二つの発熱体が近接配置されている場合、両発熱体の間の基板領域が狭く、その狭い基板領域に対向する凸部を形成することが難しくなるためである。
所定値は、基板2及びヒートシンク3Bの離隔距離,発熱体24の高さH24などに応じて適宜最適値を設定してよい。
【0030】
これにより、基板2が、第1発熱体24と第2発熱体25とが所定値以下の第1の間隔で隣接して取り付けられた第1発熱体組K1(
図3参照)と、第1の間隔よりも大きい所定値を超える第2の間隔で隣接して取り付けられた第2発熱体組K2(
図2参照)とを備えている場合、次のようにしてもよい。すなわち、ヒートシンク3の対向面3aにおいて、
図3に示される第1発熱体組K1に対向する前記第1発熱体対向部及び前記第2発熱体対向部は連結し、一つの発熱体対向部35Bとして形成される。また、
図2に示される前記第2発熱体組K2に対向する前記第1発熱体対向部35A及び前記第2発熱体対向部36Aは離隔して形成される。
【0031】
放熱構造HKBは、近接配置された二つの発熱体に対応する一つの凹部に、対向する発熱体の高さに応じて抉り量の異なる二つの領域を形成して変形例3の放熱構造HKCとしてもよい。
図4に示されるように、放熱構造HKCにおいて、近接配置された発熱体26,27は一つの発熱体とみなされて、ヒートシンク3Cは一つの凹部である発熱体対向部35Cを有する。発熱体26の高さH26は、発熱体27の高さH27よりも高い。
この場合、発熱体対向部35Cに、基板2との隙間の上下方向の距離が距離H35Caであって発熱体26に対応した領域35Caと、基板2との隙間の上下方向の距離が距離H35Cbであって発熱体27に対応した領域35Cbとを形成する。
距離H35Caと距離H35Cbの大小関係は、高さH26と高さH27との大小関係に対応して、距離H35Ca>距離H35Cbとする。
【0032】
放熱構造HKCは、高さの大きく異なる二つの発熱体が近接配置されている場合に、放熱シート5の圧縮量をより均一化させることができるので、放熱シート5の耐久性が向上する。また、高さの低い発熱体27とヒートシンク3Cとの間に挟まれた部分の圧縮量が増加するので、その分、放熱シート5の密着性が向上し放熱効果がより高く得られる。
【0033】
図5A,
図5Bに示されるように、放熱構造HKは、発熱体51~53それぞれに対向するよう形成された第1発熱体対向部35D,第2発熱体対向部36D,及び第3発熱体対向部37Dの上方となる底面に、下方に突出した複数のリブ3Rを有するヒートシンク3Dを備えた放熱構造HKDとしてもよい。
この例において、リブ3Rは、横断面形状が半円状であり、前後方向に直線状に延びるものであるが、横断面形状は半円状に限定されず、三角形状、四角形状であってもよい。また、直線状に延びるものに限定されず、曲線状に延びるものであってもよく、形成本数も限定されない。
リブ3Rを設けることで、ヒートシンク3Dと放熱シート5との間の接触面積が増えるので、放熱効果を向上させることができる。
【0034】
相対的に突出する基板対向部31Gの横断面形状は、矩形又は台形に限定されない。横断面形状は段付き形状であってもよく、曲線を含む形状であってもよい。
【0035】
放熱構造HK及びその変形例は、発熱体に対向する凹部を有するヒートシンクを備えているが、凹部は、発熱しない実装部品に対向して形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 シャーシベース
1a,1b,1c,1d ボス
2 基板
2a 上面
21~27 発熱体
3,3A,3B,3C,3D ヒートシンク
3a 対向面
3b 上面
3f フィン
3h 壁部
3R リブ
31 第1凸部
32 第2凸部
33 第3凸部
34 第4凸部
31G,31GA 基板対向部
35,35A,35D 第1発熱体対向部
36,36A,36D 第2発熱体対向部
37,37D 第3発熱体対向部
35G,35B,35C 発熱体対向部
35Ca,35Cb 領域
3s1~3s6 傾斜面
3M 凹凸形状
5 放熱シート
91 電子機器
HK,HKA~HKD 放熱構造
H21~H23,H26,H27 高さ
H3a,H31,H35~H37,H35A,H36A,H35Ca,H35Cb 距離
K1 第1発熱体組
K2 第2発熱体組
N1,N2 固定具
T5 厚さ
Δ1~Δ3 距離