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特開2024-75212搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075212
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20240527BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20240527BHJP
   B65D 19/24 20060101ALI20240527BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65D19/44 D
B65H1/00 Z
B65D19/24 A
B65G47/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186485
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】592101585
【氏名又は名称】株式会社木田鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】木田 庄一郎
【テーマコード(参考)】
3E063
3F072
3F343
【Fターム(参考)】
3E063AA11
3E063BA05
3E063CA01
3E063FF13
3F072AA06
3F072GD06
3F072KD23
3F072KD26
3F343FA06
3F343FB13
3F343FC17
3F343GA01
3F343HA21
3F343HD02
3F343HD16
3F343KB03
3F343KB04
3F343LC02
3F343MC17
(57)【要約】
【課題】搬送パレットに積載された複数のブランクの積載物に損傷を与えることなく当該積載物を別の場所に機械的に移載することができる、搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法を提供する。
【解決手段】その上に積載された複数のブランクWbの積載物Wが複数の爪片36a,36b,36cを備えた爪部36を含む移載装置20により移載される搬送パレット10であって、搬送パレット10は、パレット本体12と、パレット本体12の上に碁盤目状に点在するように配設される複数の突起部14とを含み、複数の突起部14は、複数の突起部14,14間に爪片36a,36b,36cが挿入可能な間隔を有することを特徴とする、搬送パレットである。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に積載された複数のブランクの積載物がフォーク状の複数の爪片を備えた爪部を含む移載装置により移載される搬送パレットであって、
前記搬送パレットは、
パレット本体、
前記パレット本体の上に碁盤目状に点在するように配設される複数の突起部を含み、
前記複数の突起部は、前記複数の突起部間に前記爪片が挿入可能な間隔を有することを特徴とする、搬送パレット。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送パレットに積載された前記積載物を移載する移載装置であって、前記移載装置は、前記積載物を把持する把持部を含み、
前記把持部は、
ロボットのアームの先端部に取付けられ、前記把持部を支持し、前記ロボットのアームの作動により水平方向に進退自在に往復動可能となり且つ垂直方向に上下動可能となる支持体、
前記支持体に保持され、前記搬送パレットの複数の突起部間と、前記積載物の最下位置にあるブランクとの間の隙間に水平方向から挿入可能となるフォーク状の複数の爪片を備えた爪部、
前記爪部と垂直方向に間隔を隔てて対向するように配設される押圧部を含み、
前記爪部と前記押圧部とが協働して前記積載物を把持するように、前記支持体に対して、前記爪部および前記押圧部の両方またはいずれか一方を垂直方向に昇降自在に変位させることを特徴とする、移載装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送パレットに積載された前記積載物を移載する移載装置であって、前記移載装置は、前記積載物を把持する把持部を含み、
前記把持部は、
前記ロボットのアームの先端部に取付けられ、前記把持部を支持し、且つ、前記多関節ロボットのアームの作動により水平方向に進退自在に往復動可能となり且つ垂直方向に上下動可能となる支持体、
前記支持体に保持され、前記搬送パレットの複数の突起部間と、前記積載物の最下位置にあるブランクとの間の隙間に水平方向から挿入可能となるフォーク状の複数の爪片を備えた爪部、
前記爪部と垂直方向に間隔を隔てて対向し、前記爪部と協働して前記積載物を把持するように、前記支持体に対して垂直方向に昇降自在に配設され、前記積載物の最上位置にあるブランクの上面を押圧する押圧部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送パレットに積載された前記積載物を請求項2に記載の移載装置により前記搬送パレットから別の場所に移載する移載方法であって、
前記移載方法は、
前記積載物が積載された前記搬送パレットを準備する工程、
前記搬送パレットの側方で前記搬送パレットの前記複数の突起部間に前記移載装置の前記爪部の先端部が対向するように、前記移載装置を配置する工程、
前記ロボットのアームを作動させることで、前記爪片を前記搬送パレットの前記複数の突起部間に向かって往動・進出させて当該突起部間に挿入させる工程、
前記ロボットのアームを作動させることで、前記爪片を上昇させて前記複数の突起部間の底面から上に離間させる工程、
前記把持部の前記押圧部を下降させて前記積載物の最上面を押圧し、前記爪片と前記押圧部とで当該積載物を把持する工程、および
前記積載物を把持した後、前記把持部を前記突起部間から復動・退出させて当該積載物を前記搬送パレットから別の場所に移載する工程を含むことを特徴とする、移載方法。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送パレットに積載された前記積載物を請求項2に記載の移載装置により前記搬送パレットから別の場所に移載する移載方法であって、
前記移載方法は、その上に複数のブランクの積載物が多面付けで積載された搬送パレットにおいて、前記複数の積載物は、前記移載装置の前記爪部によって1リーム毎に前記搬送パレットから別の場所に移載されることを特徴とする、請求項4に記載の移載方法。
【請求項6】
前記搬送パレットを平面視でみたときに、前記搬送パレットの左右方向をX方向とし、前記搬送パレットの前後
方向をY方向とし、前記搬送パレットの上下方向をZ方向としたとき、
前記突起部間のX方向の長さ(Lx)および前記突起部間のY方向の長さ(Ly)は、それぞれ、前記爪片の幅方向の長さ(a)よりも大きく設定され、
前記突起部のZ方向の長さ(Lz)は、前記爪片の厚み(b)よりも大きく設定され、
X方向の前記突起部間のピッチ(Px)とY方向の前記突起部間のピッチ(Py)とは同じピッチ(p)に設定され、
前記複数の爪片間のピッチ(Fp)は、前記突起部間のピッチ(p)と同じか、前記突起間のピッチ(p)のn倍(nは自然数)に設定される、請求項1に記載の搬送パレット。
【請求項7】
前記爪片の数は、前記ブランクの形状および大きさに応じて変更されることを特徴とする、請求項6に記載の搬送パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法に関し、たとえば、その表面に文字、図形、色等が印刷され、ブランキング(外形抜き・打抜き加工)により目的の形状に抜かれた紙器用板紙等のブランクの積載物を移載するのに好適な搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法に関する。特に、複数のブランクが当該搬送パレットに多面付けで積載された積載物を、サック貼り機等の給紙部に1リーム毎に移載するのに好適な搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば専用の樹脂パレットに多面付けで段積みされたブランクは、段積みされたブランク間にその載置面が平面状に形成された合紙(間紙)を挟んで荷崩れ防止をしながら、サック貼り機の給紙部コンベヤ等に移載される。この場合、ブランクは、作業者により手作業でコンベヤの上流側に移載されていた。この手作業による移送作業は、手間と時間が掛かる上、単調な反復作業で且つ作業者の重労働となり、作業者への負担が大きいものとなっていた。さらに、作業の工程管理上、人員コストが高くなる点、作業能率が悪くなる点などの問題も抱えていた。
【0003】
一方で、包装作業工程においてカートン、チューブ、段ボール等の種々の包装材料を包装機器へ自動的に供給する包装材自動供給装置が提案されている(例えば、特許文献1。)。この包装材自動装置は、積載した状態下で搬送されて所定位置に維持された包装材に臨むように配設され、当該包装材間に挿入される爪片を備えたアームを旋回自在で伸縮可能に配備し、且つ、この爪片上に載置される包装材を押圧するブツシャを移動可能に設けて、このブツシャで爪片に挟圧した包装材を方向転換して包装送り装置に移送できるようにすると共に、爪片が関節部を介してアームに対して傾斜位置から揺動自在に装備された包装材自動供給装置である。この場合、爪片は、治具に複数本間隔をあけて突設されたものであって、包装材をすくい持ち上げられる形態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-158026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した包装材自動供給装置では、爪片が包装材料の積載物の間に挿入され且つ持ち上げられることで、積載物の包装材料間に間隔が生じ、さらに、爪片を深く当該包装材料間に挿入することによって包装材料をすくい持ち上げる構造となっている。そのため、爪片を包装材料の積載物に入り込ませるときに、当該爪片により包装材料の端面および周囲にキズ、汚れ、破れ、折れ等を発生させる虞があった。
【0006】
それゆえに、本発明の主たる目的は、搬送パレットに積載された複数のブランクの積載物に損傷を与えることなく当該積載物を別の場所に機械的に移載することができる、搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明は、その上に積載された複数のブランクの積載物がフォーク状の複数の爪片を備えた爪部を含む移載装置により移載される搬送パレットであって、搬送パレットは、パレット本体と、パレット本体の上に碁盤目状に点在するように配設される複数の突起部とを含み、複数の突起部は、当該複数の突起部間に爪片が挿入可能な間隔を有することを特徴とする、搬送パレット。
本発明の搬送パレットでは、その複数の突起部の上に積載物が載置・積載されたときに、特に、積載物の最下位置にあるブランクと突起部間との隙間に、移載装置の爪部を挿入自在とすることが可能となる。この場合、複数の突起部は、パレット本体の上に碁盤目状に配列されているので、搬送パレットの平面視でみて左右方向(X方向)および前後方向(Y方向)に対して、つまり、当該搬送パレットの四方側のいずれの側からでも、爪部を複数の突起部間に挿入自在とすることが可能となる。
本発明の搬送パレットでは、例えば、複数のブランクの間に爪片の先端部を挿入する上記した背景技術と比べて、積載された複数のブランクに対して、爪部の先端部による当該ブランクの端部およびその周辺部への損傷を防止する効果を奏するものとなっている。
請求項2に係る本発明は、請求項1に記載の搬送パレットに積載された積載物を移載する移載装置であって、移載装置は、積載物を把持する把持部を含み、把持部は、ロボットのアームの先端部に取付けられ、把持部を支持し、ロボットのアームの作動により水平方向に進退自在に往復動可能となり且つ垂直方向に上下動可能となる支持体と、支持体に保持され、搬送パレットの複数の突起部間と、積載物の最下位置にあるブランクとの間の隙間に水平方向から挿入可能となるフォーク状の複数の爪片を備えた爪部と、爪部と垂直方向に間隔を隔てて対向するように配設される押圧部とを含み、爪部と押圧部とが協働して積載物を把持するように、支持体に対して、爪部および押圧部の両方またはいずれか一方を垂直方向に昇降自在に変位させることを特徴とする、移載装置である。
請求項3に係る本発明は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、請求項1に記載の搬送パレットに積載された積載物を移載する移載装置であって、移載装置は、積載物を把持する把持部を含み、把持部は、ロボットのアームの先端部に取付けられ、把持部を支持し、且つ、ロボットのアームの作動により水平方向に進退自在に往復動可能となり且つ垂直方向に上下動可能となる支持体と、支持体に保持され、搬送パレットの複数の突起部間と、積載物の最下位置にあるブランクとの間の隙間に水平方向から挿入可能となるフォーク状の複数の爪片を備えた爪部と、爪部と垂直方向に間隔を隔てて対向し、爪部と協働して積載物を把持するように、支持体に対して垂直方向に昇降自在に配設され、積載物の最上位置にあるブランクの上面を押圧する押圧部を含むことを特徴とする、移載装置である。
請求項4に係る本発明は、請求項1に記載の搬送パレットに積載された積載物を請求項2に記載の移載装置により搬送パレットから別の場所に移載する移載方法であって、移載方法は、積載物が積載された搬送パレットを準備する工程と、搬送パレットの側方で搬送パレットの複数の突起部間に移載装置の爪部の先端部が対向するように、移載装置を配置する工程と、ロボットのアームを作動させることで、爪片を搬送パレットの複数の突起部間に向かって往動・進出させて当該突起部間に挿入させる工程と、ロボットのアームを作動させることで、爪片を上昇させて複数の突起部間の底面から上に離間させる工程と、把持部の押圧部を下降させて積載物の最上面を押圧し、爪片と押圧部とで積載物を把持する工程と、当該積載物を把持した後、把持部を突起部間から復動・退出させて積載物を搬送パレットから別の場所に移載する工程とを含むことを特徴とする、移載方法である。
請求項5に係る本発明は、請求項4に係る発明に従属する発明であって、請求項1に記載の搬送パレットに積載された積載物を請求項2に記載の移載装置により搬送パレットから別の場所に移載する移載方法であり、移載方法は、その上に複数のブランクの積載物が多面付けで積載された搬送パレットにおいて、複数の積載物が移載装置の爪部によって1リーム毎に搬送パレットから別の場所に移載されることを特徴とする、移載方法である。
請求項6に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、搬送パレットを平面視でみたときに、搬送パレットの左右方向をX方向とし、搬送パレットの前後方向をY方向とし、搬送パレットの上下方向をZ方向としたとき、突起部間のX方向の長さ(Lx)および突起部間のY方向の長さ(Ly)は、それぞれ、爪片の幅方向の長さ(a)よりも大きく設定され、突起部のZ方向の長さ(Lz)は、爪片の厚み(b)よりも大きく設定され、X方向の突起部間のピッチ(Px)とY方向の突起部間のピッチ(Py)とは同じピッチ(p)に設定され、複数の爪片間のピッチ(Fp)は、突起部間のピッチ(p)と同じか、突起間のピッチ(p)のn倍(nは自然数)に設定される、搬送パレットである。
請求項7に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、爪片の数は、ブランクの形状および大きさに応じて変更されることを特徴とする、請求項に記載の搬送パレットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送パレットに積載された複数のブランクの積載物に損傷を与えることなく当該積載物を別の場所に機械的に移載することができる、搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法が得られる。
【0009】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る搬送パレットの一例を示す図であって、図1の(A)はその平面図であり、図1の(B)はその正面図であり、図1の(C)はその右側面図である。
図2図1に示す搬送パレットの斜視図である。
図3】本発明に係る搬送パレットの他の例を示す斜視図である。
図4図1図2に示す搬送パレットに積載された積載物の移送装置の一例を示す斜視図である。
図5図4に示す移載装置の押圧プレートの可動状態を示す斜視図である。
図6図5に示す移載装置を用いて、図1図2に示す搬送パレットに積載された積載物を別の場所に移載する移載方法の一例を示す平面図である。
図7図6に示す移載方法の要部を示す図であって、図7の(A)はその平面図であり、図7の(B)はその正面図である。
図8図7に示す移載方法の詳細を示す要部の拡大斜視図である。
図9図4図5に示す移載装置の把持部の可動状態の要部を示す図であって、図9の(A)はその平面図であり、図9の(B)はその正面図である。
図10図4図5に示す移載装置の把持部の他の可動状態の要部を示す図であって、図10の(A)はその平面図であり、図10の(B)はその正面図である。
図11】移載装置の他の例の要部を示す図であって、図11の (A)はその要部斜視図であり、図11の(B)はその要部平面図である。
図12図1図2に示す搬送パレットに積載された積載物を撮像する撮像手段の一例を示す斜視図である。
図13】本発明に係る搬送パレットが合紙(間紙)として用いられる一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態の例では、例えば、その表面に文字、図形、色等が印刷され、ブランキング(外形抜き・打抜き加工)により目的の形状に抜かれた紙器用板紙等の複数のブランクの積載物を移載するのに好適な搬送パレット10の一例について、図1図2および図3を参照しながら、以下、説明する。
図1は本発明に係る搬送パレットの一例を示す図であって、図1の(A)はその平面図であり、図1の(B)はその正面図であり、図1の(C)はその右側面図であり、図2はその斜視図である。
【0012】
この搬送パレット10は、図1および図2に示すように、たとえば平面視矩形状のパレット本体12を含む。パレット本体12は、当該パレット本体12の上面に、碁盤目状に点在するように複数の突起部14が配設される。複数の突起部14は、それぞれ、たとえば四角柱形のブロック状に形成されている。パレット本体12および複数の突起部14は、例えば発泡樹脂材料で形成され、成型機等で一体的に形成される。
【0013】
パレット本体12および複数の突起部14は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタート樹脂、ポリブチレンテレフタート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂あるいはこれらをブレンドした樹脂等の合成樹脂材料で一体的に形成されてもよい。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、略称はPE-HD)にポリプロピレン(polypropylene、略称はPP)をブレンドしたもので一体的に形成されてもよい。
【0014】
図1および図2に示す搬送パレット10では、複数の突起部14がそれぞれ四角柱形のブロック状に形成されたが、当該突起部14は、四角柱形以外にも、たとえば図3に示すように、円柱形のブロック形状に形成されてもよい。また、突起部14は、中実の柱状以外にも、四角筒状または円筒状等に形成されていても良い。
【0015】
この複数の突起部14は、複数の突起部14,14間に、後述する移載装置20(図4図5図8等参照。)の爪片36a,36b,36cが挿入可能な間隔を有するものである。
図1および図2に示す搬送パレット10では、搬送パレット10を平面視でみたときに、当該搬送パレット10の左右方向をX方向とし、前後方向をY方向とし、上下方向をZ方向としたとき、突起部14,14間のX方向の長さ(Lx)および突起部14,14間のY方向の長さ(Ly)は、それぞれ、爪片36a,36b,36cの幅方向の長さ(a)よりも大きく設定されている。また、突起部14のZ方向の長さ(Lz)は、爪片36a,36b,36cの厚み(b)よりも大きく設定されている。
さらに、X方向の突起部14,14間のピッチ(Px)とY方向の突起部14,14間のピッチ(Py)とは同じピッチ(p)に設定されている。
【0016】
例えば、図4図5図8等に示す複数の爪片36a,36b,36cにおいて、当該爪片36a,36b,36c間のピッチ(Fp)は、突起部14,14間のピッチ(p)と同じか、突起部14,14間のピッチ(p)のn倍(nは自然数)に設定されるものとなっている。図1および図2に示す搬送パレット10では、爪片36a,36b,36c間のピッチ(Fp)は、突起部14,14間のピッチ(p)の3倍に設定されている。
なお、爪部36の爪片の数は、ブランクWbの形状および大きさに応じて変更される得るものである。この場合、搬送パレット10の上に積載される積載物Wにおいて、搬送パレット10のX方向でみたときのブランクWbの最大長さおよび最小長さ、Y方向でみたときのブランクWbの最大長さおよび最小長さ等の寸法に応じて、適宜、変更される得るものである。
【0017】
図11は、移載装置の他の例の要部を示す図であって、図11の(A)はその要部斜視図であり、図11の(B)はその要部平面図である。
図11に示す移載装置20は、たとえば図8に示す移載装置と比べて、爪部36がたとえば5つの爪片36a,36b,36c,36d,36eを含み、当該爪片36a,36b,36c,36d,36e間のピッチ(Fp)は、突起部14,14間のピッチ(p)と同じに設定されている点で相違しているものである。。
【0018】
この搬送パレット10は、特に、その上に積載されたワークとしての複数のブランクWbの積載物W(図6図7図9図10等参照。)が、フォーク状の複数の爪片36a,36b,36cを備えた爪部36を含む移載装置20により移載される搬送パレットに用いられて好ましいものである。
【0019】
そこで、移載装置20について、以下、説明する。この移載装置20は、図1および図2に示す搬送パレット10に積載されたブランクWbの積載物Wを移載するのに好適な移載装置20である。移載装置20は、積載物Wを把持する把持部22を含む。把持部22は、たとえば多関節ロボット(図示せず)により駆動されて作動される。
多関節ロボットは、アームRaを接続する関節部(図示せず)を含み、関節部にはモータ(図示せず)が設けられいている。多関節ロボットは、アームRaの先端部に把持部22が装着され、搬送パレット10に積載されたブランクWbの積載物Wをおよび当該積載物Wの周辺を検出するための撮像装置としてのたとえばカメラ50(図4図5図7図8図9図10等参照。)および当該多関節ロボットの動作制御を行う制御部(図示せず)を備えている。
この多関節ロボットは、アームRaを所定の駆動方向(関節軸回りの回転方向)に駆動するように構成されている。これにより、ロボットアーム10は、たとえば6自由度の動きが可能な構成を有する。
【0020】
一方、把持部22は、図4図5および図8等に示すように、当該把持部22を支持する支持体24を含み、支持体24は、多関節ロボットのアームRaの先端部に取付けられる。支持体24は、把持部22を支持すると共に、多関節ロボットのアームRaの作動により水平方向に進退自在に往復動可能となり、且つ、垂直方向に上下動可能となるように構成されている(図7図9および図10等参照。)。
支持体24は、矩形状のベースプレート28を含み、ベースプレート28の長手方向の両端部には、2つの支持プレート30,30が固定されている。支持体24は、プレートベースプレート28と2つの支持プレート30,30とにより、「コ」字状の枠体に形成されている。また、2つの支持プレート30,30の長手方向の中間部間は、矩形状のスペーサプレート32により所定の間隔に保たれている。さらに、2つの支持プレート30,30の長さ方向の先端部間には、後述する爪部36を保持する保持プレート34が固定されている。
【0021】
また、把持部22は、図4図5図6および図8等に示すように、フォーク状のたとえば3つの爪片36a,36b,36cを備えた爪部36を含む。3つの爪片36a,36b,36cは、その長手方向の一端側が、3つの爪片固定プレート38a,38b,38cの下端に固定され、さらに、3つの爪片固定プレート38a,38b,38cの幅方向の一端は、保持プレート34の一方主面に取付けられている。この3つの爪片36a,36b,36cは、搬送パレット10の複数の突起部14,14間と、当該搬送パレット10に積載される積載物Wの最下位置にあるブランクWbとの間の隙間Gに水平方向から挿入可能となっている。
【0022】
さらに、把持部22は、爪部36と協働して積載物Wを把持する押圧部40を含む。押圧部40は、たとえば矩形状の押圧プレート42を含む。この押圧プレート42は、爪部36と垂直方向に間隔を隔てて対向し、当該爪部36と協働して積載物Wを把持するように、支持体24に対して垂直方向に昇降自在に配設されている。押圧部40は、特に、図4図7図8および図9に示すように、昇降駆動部44により、垂直方向に昇降自在に配設されている。昇降駆動部44には、エアシリンダー等のアクチュエータが採用され、当該エアシリンダーは、上記した保持プレート34の他方主面に取付けられている。
この場合、当該エアシリンダーのシリンダーロッド46,46は、その先端部が、ジョイント部材48,48を介して、押圧プレート42の長手方向の一端側の下面に取付けられている。昇降駆動部44は、矩形状の取付けプレート49を介して、押圧プレート42に取付けられている。
【0023】
この押圧部40は、昇降駆動部44により垂直方向に昇降自在となっているため、当該押圧部40を昇降駆動部44により下降させれば、搬送パレット10に積載される積載物Wの最上位置にあるブランクWbの上面を押圧することができる。そのため、この移載装置20では、把持部22の爪部36および押圧部40の協働作動によって、搬送パレット上の積載物Wを上下方向から把持することができる。
上記した移載装置20では、支持体24に対して、押圧部40の昇降により積載物Wを上下方向から把持する構成としているが、例えば、爪部36をエアシリンダー等、適宜なアクチュエータにより昇降駆動させる機構を採用してもよい。つまり、積載物Wを上下方向から把持する構成としては、爪部お36および押圧部40の両方またはいずれか一方を垂直方向に昇降自在に変位させる機構が適宜採用され得るものである。
【0024】
なお、多関節ロボット により移載作業のシステムでは、先ず、搬送パレット10の位置、多関節ロボットの位置、搬送パレット10から積載物Wを把持して当該積載物W物を別の場所に移載する位置等、システムに必要な位置データを3D-CAD化する。次に、たとえば図12に示すように、搬送パレット10がセットされているハウジング60の上部にあるカメラ70で、積載物Wの位置および高さなどを撮像して認識させ3Dデータに反映させる。そして、反映された3Dデータに基づいて、多関節ロボットのアームRaを作動させることにより移載作業を実施させるものとなっている。この場合、把持部に取り付けているカメラは、3D-CAD化時及び把持時のθ補正などに使用するものである。
【0025】
次に、上記した実施形態に係る搬送パレット10および移載装置20を用いて、当該搬送パレット10の上に積載された例えばブランクWbの積載物Wを別の場所に移載する移載方法の一例について、特に、たとえば図6図10を参照しながら、以下に説明する。
この移載方法は、図6に示すように、たとえばブランクWbの積載物Wが積載された搬送パレット10が移載装置20の近傍に配置される(搬送パレットを準備する工程)。
次に、たとえば図7および図8に示すように、搬送パレット10の側方で当該搬送パレット10の複数の突起部14,14間に、移載装置20の爪部36の先端部が対向するように、当該移載装置20が配置される(移載装置を配置する工程)。
それから、多関節ロボットのアームRaを作動させることで、たとえば図9に示すように、把持部22の爪部36を搬送パレット10の複数の突起部14,14間に向かって往動・進出させ、爪片36a,36b,36cを複数の突起部14,14間の隙間Gに挿入させる(爪部の爪片を突起部間に挿入させる工程)。
次に、多関節ロボットのアームRaを作動させて支持体24を若干上方に上昇させ、すなわち、爪片36a,36b,36cを若干上に持ち上げることによって、爪片36a,36b,36cを複数の突起部14,14間の隙間Gの底面から上に離間させる(爪片を突起部間の隙間の底面から離間させる工程)。
さらに、たとえば図10の(A)に示すように、把持部22の押圧部40を昇降駆動部44の作動により下降させてブランクWbの積載物Wの最上面に位置するブランクWbを押圧し、爪片36a,36b,36cと押圧部40とで当該積載物Wを把持する(ブランクの積載物を把持する工程)。
その後、積載物Wを把持部22で把持した状態で、たとえば図10の(B)に示すように、把持部22を複数の突起部14,14間の隙間Gから復動・退出させて積載物Wを搬送パレット10から別の場所に移載する(積載物を移載する工程)。
【0026】
この発明に係る実施形態の一例である上述した搬送パレット10では、その複数の突起部14の上に積載物Wが載置・積載されたときに、特に、積載物Wの最下位置にあるブランクWbと突起部14,14間との隙間Gに、移載装置20の爪部36を挿入自在とすることができる。この場合、複数の突起部14は、パレット本体12の上に碁盤目状に配列されているので、搬送パレット10の平面視でみて左右方向(X方向)および前後方向(Y方向)から、つまり、当該搬送パレットの四方側のいずれの側からでも、爪部36の爪片36a,36b,36cを積載物Wの最下位置にあるブランクWbと突起部14,14間との隙間Gに挿入自在とすることができる。
そのため、この搬送パレット10では、例えば、複数のブランクの間に爪片の先端部を挿入する従来技術と比べて、積載された複数のブランクWbに対して、爪片36a,36b,36cの先端部が積載物Wに衝突することがなく、当該爪片36a,36b,36cによる当該ブランクWbの端部およびその周辺部に対する損傷を防止する効果を発揮するものとなっている。
【0027】
上記した移載方法によれば、特に、図6に示すように、その上に複数のブランクWbの積載物Wが多面付けで積載された搬送パレットにおいて、複数の積載物Wは、移載装置20の爪部36によって、搬送パレット10の四方から、1リーム毎に搬送パレット10から別の場所に適宜移載することができる。
【0028】
図13は、本発明に係る搬送パレットが合紙(間紙)として用いられる一例を示す正面図である。
この発明に係る実施形態の一例である上述した搬送パレット10は、例えば、その上に複数のブランクWbの積載物Wが多面付けで段積みするときに用いられる合紙(間紙)80としても用いられて好適なものとなっている。
従来、ブランクの1リームの積載物をパレット上に多面付けで積載し、合紙(間紙)を挟んで段積みされたものでは、段積みされたブランクの積載物らロボットアーム等にて当該積載物を1リームを取り出す際に、ロボットアームの爪等により合紙(間紙)とブランク面にキズ、汚れ、破れ、折れ等が発生するという不具合があった。また、積載物を取り出し後、その都度、合紙(間紙)を取り外す作業も発生する。
それに対して、本発明に係る搬送パレット10、当該搬送パレット10上に積載された積載物を移載する移載装置20およびそれを用いた移載方法は、毎回、搬送パレット10を差替えする必要があるが、その後のロボットアーム等で1リーム毎にブランクの積載物を搬送パレット10から取り出す際に、ブランクに対するキズ、汚れ、破れ、折れ等を奉仕することができる。また、搬送パレット10も各工程給紙部から各工程排紙部へ返却搬送する事で、スムーズに作業が行え、自動運転がし易いものとすることができる。
【0029】
すなわち、本発明に係る搬送パレット、当該搬送パレットに積載された積載物の移載装置および移載方法によれば、搬送パレット10に積載された複数のブランクWbの積載物Wを当該搬送パレット10の四方から移載することができ、しかも、積載物Wに損傷を与えることなく当該積載物Wを別の場所に機械的に移載することができる。そのため、作業の工程管理上、人員コストを低く抑えることができ、且つ、作業能率も向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 搬送パレット
12 パレット本体
14 突起部
20 移載装置
22 把持部
24 支持体
26 支持部材(コ字状の支持部材)
28 ベースプレート
30 支持プレート
32 スペーサ
34 保持プレート
36 爪部
34a,34b,34c 爪片
38a,38b,38c 爪片固定プレート
40 押圧部
42 押圧プレート
42a 貫通孔
44 昇降駆動部
46,46 シリンダーロッド
48,48 シリンダーロッドの先端固定部(ジョイント部材)
50 カメラ(撮像装置)
60 ハウジング
70 他のカメラ(撮像装置)
80 合紙(間紙)
G 突起部間の隙間
Lx 突起部間のX方向の長さ
Ly 突起部間のY方向の長さ
Lz 突起部間のZ方向の長さ
La 爪片の幅方向の長さ
Lb 爪片の厚み
Px X方向の突起部間のピッチ
Py Y方向の突起部間のピッチ
p ピッチ
Px 爪片間のピッチ
Ra 多関節ロボットのアーム
W ワーク(ブランクの積載物)
Wb ブランク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13