(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075219
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】移載装置および移乗装置
(51)【国際特許分類】
A61G 1/003 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A61G1/003 701
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186494
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】若林 尚之
(72)【発明者】
【氏名】村山 学
(72)【発明者】
【氏名】濱田 信吾
(72)【発明者】
【氏名】上島 力哉
(57)【要約】
【課題】駆動源の数の増加および装置構成の複雑化を抑制しながら、載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減することが可能な移載装置を提供する。
【解決手段】この移載装置100は、ベース部材10と、ベース部材10上に設けられるとともに被移載物Sが載置される載置部材30と、ベース部材10に対して相対的に載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構61と、載置部材30のスライド移動およびスライド移動機構61のスライド移動とともに載置部材30の下方に引き出されるロールシート80と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられるとともに被移載物が載置される載置部材と、
前記ベース部材に対して相対的に前記載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、
前記載置部材のスライド移動および前記スライド移動機構のスライド移動とともに前記載置部材の下方に引き出されるロールシートと、を備える、移載装置。
【請求項2】
前記ロールシートは、
前記載置部材が前記所定方向の一方側または他方側にスライド移動した際に前記載置部材の下方に引き出され、
前記載置部材が前記所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際に引き出され、前記ベース部材の内部を覆うように構成されている、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記ロールシートは、
前記載置部材を前記所定方向の一方側にスライド移動した際に引き出される第1ロールシートと、
前記載置部材を前記所定方向の他方側にスライド移動した際に引き出される第2ロールシートと、を含む、請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記載置部材がスライド移動した際に、前記第1ロールシートおよび前記第2ロールシートのうちの一方は、前記被移載物が載置される載置台の表面上に引き出され、前記第1ロールシートおよび前記第2ロールシートのうちの他方は、前記ベース部材の表面上に引き出され、前記ベース部材の内部を覆うように構成されている、請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記ベース部材は、
第1ベース部材と、
前記第1ベース部材の両端近傍に設けた第1ロールシート巻取り部および第2ロールシート巻取り部と、
前記第1ベース部材上に配置される第2ベース部材と、を含み、
前記第1ロールシートは、一方端が前記第1ベース部材の一方端に固定され、前記第2ベース部材を介して前記載置部材の一方端で折り返し、前記第2ベース部材を介して他方端が前記第1ロールシート巻取り部に巻き取られ、
前記第2ロールシートは、一方端が前記第1ベース部材の他方端に固定され、前記第2ベース部材を介して前記載置部材の他方端で折り返し、前記第2ベース部材を介して他方端が前記第2ロールシート巻取り部に巻き取られている、請求項3に記載の移載装置。
【請求項6】
前記第1ロールシート巻取り部および前記第2ロールシート巻取り部は、各々巻取りばねを含み、前記巻取りばねの復元力により前記ロールシートを巻き取るロールシート巻取りばね部を有する、請求項5に記載の移載装置。
【請求項7】
前記ロールシートは、一方端が前記ベース部材に固定され、前記載置部材で折り返し、他方端が前記ベース部材の前記ロールシート巻取りばね部で巻き取られるように構成されている、請求項6に記載の移載装置。
【請求項8】
前記ロールシートは、一方端が前記第1ベース部材に固定され、前記第2ベース部材を介して前記載置部材で折り返し、前記第2ベース部材を介して他方端が前記第1ベース部材の前記ロールシート巻取りばね部で巻き取られるように構成されている、請求項7に記載の移載装置。
【請求項9】
前記載置部材は、前記ロールシート巻取りばね部により巻き取られる前記ロールシートを折り返すためのロールシート折り返しローラを含む、請求項8に記載の移載装置。
【請求項10】
前記ロールシートは、化繊織布を含む、請求項1に記載の移載装置。
【請求項11】
被移載物の臀部を支持する座部と、
前記座部と回動可能に接続され、前記被移載物の背中を支持する背部と、
前記座部と回動可能に接続され、前記被移載物の脚を支持する脚部と、
前記座部、前記背部および前記脚部の各々に設けられた移載装置と、を備え、
前記座部、前記背部および前記脚部は、寝台の状態と椅子の状態とに変形可能なように構成され、
前記移載装置は、
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられるとともに前記被移載物が載置される載置部材と、
前記ベース部材に対して相対的に前記載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、
前記載置部材のスライド移動および前記スライド移動機構のスライド移動とともに前記載置部材の下方に引き出されるロールシートと、を含む、移乗装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置および移乗装置に関し、特に、ベース部材と、ベース部材上に設けられるとともに被移載物が載置される載置部材とを備える移載装置および移乗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース部材と載置部材とを備える移載装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、装置本体と、装置本体(ベース部材)に対して左右方向に張り出し可能な移動台(載置部材)と、を備える患者搬送装置が開示されている。上記特許文献1の患者搬送装置では、移動台を移動する移動台移動用のモータが設けられている。移動台移動用のモータにより、移動台が装置本体に対して左右方向に移動されることによりベッドに載置された患者が移動台の表面上に載置される。また、上記特許文献1の患者搬送装置では、移動台の下方には下部シートが設けられている。上記特許文献1の患者搬送装置では、下部シートの送り出しを行うシート送り出し用のモータが設けられている。移動台の移動とともに、シート送り出し用のモータにより下部シートが、患者が載置されるベッドの表面上に送り出される。これにより、移動台とベッドとの摩擦が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、移動台(載置部材)を移動する移動台移動用のモータと、下部シートを送り出すためのモータとが別個に設けられているため、モータの駆動源の数が増加するとともに装置構成が複雑になるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、駆動源の数の増加および装置構成の複雑化を抑制しながら、載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減することが可能な移載装置および移乗装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による移載装置は、ベース部材と、ベース部材上に設けられるとともに被移載物が載置される載置部材と、ベース部材に対して相対的に載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、載置部材のスライド移動およびスライド移動機構のスライド移動とともに載置部材の下方に引き出されるロールシートと、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による移載装置は、上記のように、載置部材のスライド移動およびスライド移動機構のスライド移動とともに載置部材の下方に引き出されるロールシートを備える。これにより、ロールシートを引き出すための専用の駆動源を別途設けることなく、載置部材をスライド移動させるスライド移動機構によりロールシートを引き出すことができる。その結果、駆動源の数の増加および装置構成の複雑化を抑制しながら、載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減することができる。
【0009】
この発明の第1の局面による移載装置において、好ましくは、ロールシートは、載置部材が所定方向の一方側または他方側にスライド移動した際に載置部材の下方に引き出され、載置部材が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際に引き出され、ベース部材の内部を覆うように構成されている。これにより、載置部材が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際に載置部材の下方からベース部材の表面上に引き出され、ベース部材の内部を覆うように構成されているので、載置部材が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際にベース部材の内部の機構が露出するのを抑制することができる。その結果、載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減しながら、ベース部材の内部の機構と人との接触を抑制できる。
【0010】
この場合、好ましくは、ロールシートは、載置部材を所定方向の一方側にスライド移動した際に引き出される第1ロールシートと、載置部材を所定方向の他方側にスライド移動した際に引き出される第2ロールシートと、を含む。これにより、載置部材が所定方向の一方側および他方側のいずれの方向にスライド移動した場合でも、第1ロールシートまたは第2ロールシートを載置台の表面上に引き出すことができる。その結果、載置部材が所定方向の一方側および他方側のいずれの方向にスライド移動した場合でも、第1ロールシートまたは第2ロールシートにより載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減することができる。
【0011】
上記ロールシートが、第1ロールシートと第2ロールシートとを含む構成において、好ましくは、載置部材がスライド移動した際に、第1ロールシートおよび第2ロールシートのうちの一方は、被移載物が載置される載置台の表面上に引き出され、第1ロールシートおよび第2ロールシートのうちの他方は、ベース部材の表面上に引き出され、ベース部材の内部を覆うように構成されている。これにより、載置部材が所定方向にスライド移動した際に、第1ロールシートおよび第2ロールシートの一方が載置台の表面上に引き出され、第1ロールシートおよび第2ロールシートのうちの他方がベース部材の表面上に引き出されるので、一方のロールシートにより載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減しながら、他方のロールシートにより、ベース部材内部が露出するのを抑制することができる。
【0012】
上記ロールシートが、第1ロールシートと第2ロールシートと、を含む構成において、好ましくは、ベース部材は、第1ベース部材と、第1ベース部材の両端近傍に設けた第1ロールシート巻取り部および第2ロールシート巻取り部と、第1ベース部材上に配置される第2ベース部材と、を含み、第1ロールシートは、第1ロールシートの一方端が第1ベース部材の所定方向の一方側の一方端に固定され、第2ベース部材を介して載置部材の所定方向の一方側の一方端で折り返し、第2ベース部材を介して第1ロールシートの他方端が第1ベース部材の所定方向の一方側の一方端に設けた第1ロールシート巻取り部に巻き取られ、第2ロールシートは、第2ロールシートの一方端が第1ベース部材の所定方向の他方側の他方端に固定され、第2ベース部材を介して載置部材の所定方向の他方側の他方端で折り返し、第2ベース部材を介して第2ロールシートの他方端が第1ベース部材の所定方向の他方側の他方端に設けた第2ロールシート巻取り部に巻き取られている。これにより、第1ロールシートは、第1ベース部材、第2ベース部材および載置部材の各々の所定方向の一方側に配置されるので、載置部材が所定方向の一方側にスライド移動した際には、第1ロールシートは、第2ベース部材および載置部材の下方において、載置台の表面上に引き出される。また、第2ロールシートは、第1ベース部材、第2ベース部材および載置部材の各々の所定方向の他方側に配置されるので、載置部材が所定方向の一方側にスライド移動した際には、第2ロールシートは、第1ベース部材および第2ベース部材の表面上に引き出される。その結果、第1ロールシートと第2ロールシートとが互いに干渉するのを抑制しながら、載置部材と載置台との摩擦の低減と、ベース部材内部の露出の抑制とを実現することができる。なお、載置部材が所定方向の他方側にスライド移動した際にも同様の効果を奏する。
【0013】
この場合、好ましくは、第1ロールシート巻取り部および第2ロールシート巻取り部は、巻取りばねを含み、巻取りばねの復元力によりロールシートを巻き取るロールシート巻取りばね部を有する。これにより、ロールシートを巻き取るためのモータを設けることなく、巻取りばね部の復元力によりロールシートを巻き取ることができる。その結果、ロールシートを巻取る構成が複雑になるのを抑制しながら、ロールシートを巻き取ることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、ロールシートは、ロールシートの一方端がベース部材に固定され、載置部材で折り返し、ロールシートの他方端がベース部材のロールシート巻取りばね部で巻き取られるように構成されている。これにより、載置部材がベース部材から離間する方向にスライド移動した場合、載置部材のスライド移動とともにロールシート巻取りばね部からロールシートが巻き出されるので、ロールシートを容易に載置台の表面上に引き出すことができる。また、載置部材がベース部材に近づく方向にスライド移動した場合、載置部材のスライド移動とともにロールシート巻取りばね部によりロールシートが巻き取れるので、ロールシートが撓むのを抑制することができる。その結果、撓んだロールシートが載置部材とベース部材との間に挟まれるのを抑制することができる。
【0015】
ロールシートの他方端がベース部材のロールシート巻取りばね部で巻き取られるように構成されている構成において、好ましくは、ロールシートは、ロールシートの一方端が第1ベース部材に固定され、第2ベース部材を介して載置部材で折り返し、第2ベース部材を介してロールシートの他方端が第1ベース部材のロールシート巻取りばね部で巻き取られるように構成されている。これにより、ベース部材が第1ベース部材および第2ベース部材を含んでいるので、第1ベース部材に対してさらに第2ベース部材を所定方向へスライド移動させることにより、載置部材の所定方向へのスライド移動量を大きくすることができる。その結果、載置部材の所定方向へのスライド移動量を大きくしながら、ロールシートによる載置部材と載置台との摩擦の低減を図ることができる。
【0016】
ベース部材が第1ベース部材と第2ベース部材とを含む構成において、好ましくは、載置部材は、ロールシート巻取りばね部により巻き取られるロールシートを折り返すためのロールシート折り返しローラを含む。これにより、ロールシートが移動するとともにロールシート折り返しローラが負荷なく回転するので、ロールシートを小さな負荷で移動させることができ、ロールシート巻取りばね部で巻き取られるロールシートを、容易に、載置部材において折り返すことができる。その結果、折り返しローラで折り返したロールシートを、第2ベース部材を介して、第1ベース部材のロールシート巻取りばね部により巻き取ることができる。
【0017】
上記第1の局面による移載装置において、好ましくは、ロールシートは、化繊織布を含む。これにより、ロールシートの摩擦力を小さくすることができる。その結果、ロールシート同士が接触した場合でも、ロールシート同士の摩擦力を低減することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による移乗装置は、被移載物の臀部を支持する座部と、座部と回動可能に接続され、被移載物の背中を支持する背部と、座部と回動可能に接続され、被移載物の脚を支持する脚部と、座部、背部および脚部の各々に設けられた移載装置と、を備え、座部、背部および脚部は、寝台の状態と椅子の状態とに変形可能なように構成され、移載装置は、ベース部材と、ベース部材上に設けられるとともに被移載物が載置される載置部材と、ベース部材に対して相対的に載置部材を所定方向にスライド移動させるスライド移動機構と、載置部材のスライド移動およびスライド移動機構のスライド移動とともに載置部材の下方に引き出されるロールシートと、を含む。
【0019】
この発明の第2の局面による移載装置では、上記のように、載置部材のスライド移動およびスライド移動機構のスライド移動とともに載置部材の下方に引き出されるロールシートを含む。これにより、ロールシートを引き出すための専用の駆動源を別途設けることなく、載置部材をスライド移動させるスライド移動機構によりロールシートを引き出すことができる。その結果、駆動源の数の増加および装置構成の複雑化を抑制しながら、載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減することが可能な移乗装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、装置構成が複雑になるのを抑制しながら、載置部材と被移載物が載置される載置台との摩擦を低減することが可能な移載装置および移乗装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態による移乗装置の寝台状態の概要図である。
【
図2】一実施形態による移乗装置の椅子状態の概要図である。
【
図4】一実施形態による移載装置のスライド移動機構を説明する模式図である。
【
図5】一実施形態による移載装置の側面模式図である。
【
図6】一実施形態による移載装置のスライド移動を説明する模式図である。
【
図7】一実施形態による移載装置のX1方向にスライド移動した際に引き出されるロールシートを説明する模式図である。
【
図8】一実施形態による移載装置のX2方向にスライド移動した際に引き出されるロールシートを説明する模式図である。
【
図9】一実施形態による移載装置のロールシート巻取りばね部を説明する模式図である。(a)ロールシート巻取りばね部をX方向から見た図である。(b)ロールシート巻取りばね部をY方向から見た図である。
【
図10】一実施形態による巻取りばねを説明する模式図である。(a)載置部材がスライド移動していない時の巻取りばねの状態を示す図である。(b)載置部材がスライド移動した時の巻取りばねの状態を示す図である。
【
図11】一実施形態による移載装置のスライド移動の際のシート回転機構の動作の例を説明する模式図である。
【
図12】一実施形態による操作入力部の例を示す模式図である
【
図13】変形例によるロールシート巻取りばね部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(移乗装置の構成)
図1~
図5を参照して、一実施形態による移乗装置1および移載装置100の構成について説明する。なお、本明細書では、
図1に示した寝台形態における移乗装置1の短手方向であってかつスライド移動方向を、X方向(左右方向)として説明する。また、
図1に示した寝台形態における移乗装置1の長手方向であってかつスライド移動方向と直交する方向を、Y方向(前後方向)として説明する。また、
図1に示した寝台形態における移載装置100の厚み方向をZ方向(上下方向)として説明する。
【0024】
移乗装置1は、
図1および
図2に示すように、座部2と、背部3と、脚部4と、フレーム90と、移載装置100とを備える。
【0025】
座部2は、被移載物S(
図11参照)の臀部を支持するように構成されている。被移載物Sは、たとえば人である。背部3は、被移載物Sの背中を支持するように構成されている。背部3は、座部2と回動可能に接続されている。脚部4は、被移載物Sの脚を支持するように構成されている。脚部4は、座部2と回動可能に接続されている。移乗装置1は、座部2、背部3および脚部4が略水平な平板状の同一平面を構成している寝台の状態(
図1参照)と、背部3の一端部が上方に回動するとともに、脚部4の一端部が下方に回動している椅子の状態(
図2参照)とに変形可能なように構成されている。移載装置100は、座部2、背部3および脚部4の各々に1つずつ設けられている。移載装置100の各々は、フレーム90に設けられている。なお、移乗装置1の詳細は、後述する。
【0026】
(移載装置の構成)
図3に示すように、移載装置100は、ベース部材10と、載置部材30とを含む。ベース部材10は、第1ベース部材11と、第2ベース部材20とを含む。第1ベース部材11は、移乗装置1のフレーム90(
図1参照)に固定されている。なお、
図3は、移載装置100の概念図である。また、
図3(b)は、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX1方向にスライド移動されている概念図である。
【0027】
図4に示すように、移載装置100は、ロールシート80を備え、ロールシート80は第1ロールシート81および第2ロールシート82を含む。本実施形態では、第1ロールシート81は、第1ロールシート81の一方端が第1ベース部材11のX1方向の端に固定され、第2ベース部材20を介して載置部材30のX1方向の端で折り返し、第2ベース部材20を介して第1ロールシート81の他方端が第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83aに巻き取られている。第2ロールシート82は、第2ロールシート82の一方端が第1ベース部材11のX2方向の端に固定され、第2ベース部材20を介して載置部材30のX2方向側の端で折り返し、第2ベース部材20を介して第2ロールシート82の他方端が第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83bに巻き取られている。具体的には、第1ロールシート81および第2ロールシート82は、各々、第1ベース部材11にねじ89によりねじ止めされている。なお、ロールシート巻取りばね部83aおよび83bは、特許請求の範囲の「第1ロールシート巻取り部および第2ロールシート巻取り部」の一例である。
【0028】
また、第2ベース部材20のX方向の両端部には、各々、2つのローラ400(400a、400b)が設けられている。具体的には、第2ベース部材20のX1方向側の端部には2つのローラ400aが設けられ、第2ベース部材20のX2方向側の端部には2つのローラ400bが設けられている。ローラ400(400a、400b)は、Y方向に延びるように配置されている。そして、第1ロールシート81は、第2ベース部材20のローラ400(400a)の外側を介して載置部材30のX1方向の端で折り返し、第2ベース部材20の2つのローラ400(400a)の間を介して第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83aに巻き取られている。なお、第2ロールシート82についても同様である。
【0029】
本実施形態では、ロールシート巻取りばね部83は、巻取りばね183d(
図9(a)参照)を含み、巻取りばね183dの復元力によりロールシート80を巻き取る。ロールシート巻取りばね部83は、ベース部材10のX1方向側とX2方向側とに各々設けられている、ロールシート巻取りばね部83aおよびロールシート巻取りばね部83bを含む。第1ロールシート81は、X1方向側のロールシート巻取りばね部83aにより巻き取られる。第2ロールシート82は、X2方向側のロールシート巻取りばね部83bにより巻き取られる。
【0030】
本実施形態では、ロールシート80は、ロールシート80の一方端がベース部材10に固定され、載置部材30で折り返し、ロールシート80の他方端がベース部材10のロールシート巻取りばね部83で巻き取られるように構成されている。具体的には、
図9(a)に示すように、ロールシート巻取りばね部83は、巻取り部軸183aと、巻取りパイプ183bと、軸受け183cと、巻取りばね183dと、を含む。巻取り部軸183aは、略円筒形状を有する。巻取りパイプ183bは、略円筒形状を有する。巻取り部軸183aは、巻取りパイプ183bの内部に配置されている。軸受け183cは、巻取り部軸183aと巻取りパイプ183bとの間に配置されている。軸受け183cは、巻取りパイプ183bのY方向の両端部側に各々配置されている。軸受け183cは、ベアリング、または、ナイロンやフッ素樹脂のブッシュなどからなる。巻取りばね183dは、巻取り部軸183aと巻取りパイプ183bとの間に配置されている。巻取りばね183dは、軸受け183cよりもY方向の外側において、巻取りパイプ183bのY1方向およびY2方向の両端部側に各々配置されている。
図9(a)に示すように、巻取りばね183dは、略帯形状を有する。また、巻取りパイプ183bの外側には、載置部材30のスライド部移動のストロークの2倍以上の長さのロールシート80が巻き付けられている。また、ロールシート80の端部が、巻取りパイプ183bに固定されている。
【0031】
本実施形態では、ロールシート80は、ロールシート80の一方端が第1ベース部材11に固定され、第2ベース部材20を介して載置部材30で折り返し、第2ベース部材20を介してロールシート80の他方端が第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83で巻き取られるように構成されている。具体的には、
図4に示すように、第1ロールシート81の他方端が、ロールシート巻取りばね部83の巻取りパイプ183b(
図9(a)参照)に固定されている。同様に、
図4に示すように、第2ロールシート82の他方端が、ロールシート巻取りばね部83の巻取りパイプ183b(
図9(a)参照)に固定されている。
【0032】
本実施形態では、
図4に示すように、載置部材30は、ロールシート巻取りばね部83により巻き取られる、ロールシート80を折り返すためのロールシート折り返しローラ88を含む。ロールシート折り返しローラ88はロールシート80を折り返して小さな負荷で移動させることができ、載置部材30のX1方向側およびX2方向側の各々に取り付けられている。第1ロールシート81は、載置部材30のX1方向側に配置されたロールシート折り返しローラ88で折り返されている。また、第2ロールシート82は、載置部材30のX2方向側に配置されたロールシート折り返しローラ88で折り返されている。
【0033】
本実施形態では、ロールシート80は、化繊織布を含む。化繊織布は、たとえば摩擦力の小さいナイロン製やポリエステル製のシートあるいは織布である。
【0034】
図5に示すように、第1ベース部材11は、移載装置100におけるZ方向の最も下部に設けられている。第1ベース部材11は、第1底面12と、第1側面13とを含む。第1側面13は、第1底面12のY方向の両端部に設けられている。第1ベース部材11は、YZ断面形状がU字形状であるとともにX方向に伸びる形状を有している。第1ベース部材11は、たとえば金属材料により構成されている。
【0035】
第1ベース部材11の第1側面13の内側には、第2ベース部材20を相対的にスライド移動させるための第1スライド部材94が設けられている。第1スライド部材94は、Y1方向およびY2方向における第1ベース部材11の端部に設けられている。第1スライド部材94は、第2ベース部材20のガイド支持部22の外側に接続されている。第2ベース部材20は、第1スライド部材94を介して第1ベース部材11に対してX1方向およびX2方向に相対的にスライド移動可能に支持されている。第1スライド部材94は、たとえばスライドレールを含む。なお、第1スライド部材94の構成は、特に限定されない。
【0036】
第1ベース部材11のY方向の長さd1は、第2ベース部材20のY方向の長さd2よりも長いように構成されている。第2ベース部材20のY方向の長さd2は、載置部材30のY方向の長さd3よりも長いように構成されている。移載装置100は、外側のU字形状の第1ベース部材11と、第1ベース部材11の内部に配置可能なU字形状の第2ベース部材20と、第2ベース部材20の内部に配置可能な載置部材30との、入れ子構造になっている。
【0037】
第2ベース部材20は、第1ベース部材11上に設けられている。第2ベース部材20は、第2底面21と、ガイド支持部22とを含む。ガイド支持部22は、第2底面21のY方向の両端部に設けられ、Z方向に突出して設けられている。ガイド支持部22は、載置部材30の進入部材40(
図4参照)の姿勢を変更するための姿勢変更機構を構成している。第2ベース部材20は、YZ断面形状がU字形状であるとともにX方向に伸びる形状を有している。第2ベース部材20は、たとえば金属材料により構成されている。
【0038】
第2ベース部材20のガイド支持部22の内側には、載置部材30を相対的にスライド移動させるための第2スライド部材95が設けられている。第2スライド部材95は、Y1方向およびY2方向における第2ベース部材20の端部に設けられている。第2スライド部材95は、載置部材30の回動支持部31の外側に接続されている。載置部材30は、第2スライド部材95を介して第2ベース部材20に対してX1方向およびX2方向に相対的にスライド移動可能に支持されている。第2スライド部材95は、たとえばスライドレールを含む。なお、第2スライド部材95の構成は、特に限定されない。
【0039】
図6に示すように、第2ベース部材20は、移載装置100のX1方向に載置された被移載物Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11に対してX1方向にスライド移動可能なように構成されている。また、第2ベース部材20は、移載装置100のX2方向に載置された被移載物Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11に対してX2方向にスライド移動可能なように構成されている。
【0040】
載置部材30は、第2ベース部材20上に設けられている。載置部材30は、回動支持部31(
図5参照)と、進入部材40(
図5参照)とを含む。
【0041】
載置部材30は、移載装置100のX1方向に載置された被移載物Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対してX1方向にスライド移動可能なように構成されている。また、載置部材30は、移載装置100のX2方向に載置された被移載物Sを載置部材30に載置するため、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対してX2方向にスライド移動可能なように構成されている。
【0042】
図5に示すように、回動支持部31は、第3底面32と、第2側面33とを含む。第2側面33は、第3底面32のY方向の両端部に設けられている。回動支持部31は、YZ断面形状がU字形状であるとともにX方向に伸びる形状を有している。回動支持部31は、たとえば金属材料により構成されている。
図4に示すように、回動支持部31は、進入部材40を回動可能に支持するように構成されている。回動支持部31のY方向の両端部に設けられた第2側面33の間の領域には、芯材71が設けられている。回動支持部31の第2側面33のX1方向側とX2方向側には、それぞれ、回動軸34が設けられている。
【0043】
進入部材40は、第1進入部材41と、第2進入部材51とを含む。第1進入部材41は、載置部材30のX1方向の端部に配置されている。第1進入部材41は、回動支持部31の第2側面33のX1方向側に接続されている。第1進入部材41は、被移載物S(
図11参照)を載置部材30に移載する際に、被移載物Sが載置されている載置箇所に向かって載置部材30がX1方向にスライド移動されることにより、載置箇所と被移載物Sの間に潜り込むように進入する部材である。第1進入部材41は、X1方向側の回動軸34周りに回動可能である。第1進入部材41は、姿勢を変更可能なように構成されている。
【0044】
(スライド移動機構の説明)
図4を参照して、移載装置100のスライド移動機構61について説明する。スライド移動機構61は、第1ベース部材11および第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向およびX2方向にスライド移動させるように構成されている。
【0045】
図4に示すように、スライド移動機構61は、第1回転部材62と、第1紐状部材63と、第2回転部材64と、第2紐状部材65と、第3回転部材66と、駆動力伝達部材と、第1駆動源67(
図5参照)とを備える。
【0046】
第1回転部材62は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第1回転部材62(
図5参照)は、X1方向における第2ベース部材20の端部側であり、Y2方向における第1ベース部材11の外側に設けられている。
【0047】
第1紐状部材63は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第1紐状部材63(
図5参照)は、Y2方向における第1ベース部材11の第1側面13よりも外側に設けられている。第1紐状部材63は、第1回転部材62と係合している。第1紐状部材63は、一端がX2方向における載置部材30の第2側面33の上端からY2方向に突出する第1突出部35(
図5参照)に取り付けられ、他端がX2方向における第1ベース部材11の第1側面13の上端からY2方向に突出する第2突出部14(
図5参照)に取り付けられている。第1紐状部材63は、一端と他端との間において、第1回転部材62に巻き掛けられている。
【0048】
第1紐状部材63は、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX1方向にスライド移動させるとともに、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX2方向にスライド移動させるように構成されている。
【0049】
第2回転部材64は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第2回転部材64(
図5参照)は、X2方向における第2ベース部材20の端部側であり、Y2方向における第1ベース部材11の外側に設けられている。
【0050】
第2紐状部材65は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。第2紐状部材65(
図5参照)は、Y2方向における第1ベース部材11の第1側面13よりも外側に設けられている。第2紐状部材65は、第2回転部材64と係合している。第2紐状部材65は、一端がX1方向における載置部材30の第2側面33の上端からY2方向に突出する第3突出部(
図5参照)に取り付けられ、他端がX1方向における第1ベース部材11の第1側面13の上端からY2方向に突出する第4突出部(
図5参照)に取り付けられている。第2紐状部材65は、一端と他端との間において、第2回転部材64に巻き掛けられている。
【0051】
第2紐状部材65は、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30をX2方向にスライド移動させるとともに、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX1方向にスライド移動させるように構成されている。
【0052】
第3回転部材66は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。第3回転部材66は、第2ベース部材20に設けられている。第3回転部材66は、Y2方向における第2ベース部材20のガイド支持部22の内側に設けられている。第3回転部材66は、第1駆動源67(
図5参照)により回転駆動される。第3回転部材66は、正方向および負方向に回転駆動される。ここで、正方向の回転とは一方向への回転を意味し、負方向の回転とは正方向とは異なる他方向への回転を意味する。
【0053】
駆動力伝達部材は、第4回転部材69と、第5回転部材70と、環状部材68とを含む。第4回転部材69および第5回転部材70の各々は、たとえば、歯型が設けられたプーリである。環状部材68は、たとえば、歯型が設けられた歯付きベルトである。環状部材68は、第3回転部材66、第4回転部材69および第5回転部材70に巻き掛けられている。第4回転部材69は、第1回転部材62と同じ第1軸部材を介して第1回転部材62とともに回動するように設けられている。また、第5回転部材70は、第2回転部材64と同じ第2軸部材を介して第2回転部材64とともに回動するように設けられている。これにより、駆動力伝達部材は、第3回転部材66の回転を第1回転部材62および第2回転部材64の両方に伝達するように構成されている。
【0054】
第1駆動源67(
図5参照)は、たとえば、モータにより構成されている。第1駆動源67は、第1紐状部材63および第2紐状部材65を駆動させるための単一の駆動源である。駆動源は、第3回転部材66を正方向および負方向に回転するように構成されている。第1駆動源67による第3回転部材66の回転は、駆動力伝達部材を介して第1回転部材62および第2回転部材64の両方に伝達される。第1駆動源67により、第3回転部材66、第1回転部材62および第2回転部材64は、同一方向に回転する。第1駆動源67により第1回転部材62および第2回転部材64が回転駆動されることにより、第1紐状部材63および第2紐状部材65が駆動されるように構成されている。
【0055】
図6(a)~
図6(c)に示すように、第1駆動源67により第3回転部材66を正方向R1に回転させた場合、駆動力伝達部材を介して第1回転部材62および第2回転部材64も正方向R1に回転される。この時、第1紐状部材63の第1回転部材62と載置部材30との間の部分B1が第1回転部材62の回転により第1回転部材62側に引っ張られ、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX1方向にスライド移動される。また、この時、第2紐状部材65の第2回転部材64と第1ベース部材11との間の部分B2が第2回転部材64の回転により第2回転部材64側に引っ張られ、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30がX1方向にスライド移動される。なお、
図6(a)~
図6(c)では、図示の便宜上、第1進入部材41および第2進入部材51における第1姿勢および第2姿勢は省略している。
【0056】
図6(d)~
図6(f)に示すように、第1駆動源67により第3回転部材66を負方向R2に回転させた場合、駆動力伝達部材を介して第1回転部材62および第2回転部材64も負方向R2に回転される。この時、第1紐状部材63の第1回転部材62と第1ベース部材11との間の部分B3が第1回転部材62の回転により第1回転部材62側に引っ張られ、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30がX2方向にスライド移動される。また、この時、第2紐状部材65の第2回転部材64と載置部材30との間の部分B4が第2回転部材64の回転により第2回転部材64側に引っ張られ、第2ベース部材20に対して相対的に載置部材30がX2方向にスライド移動される。なお、
図6(d)~
図6(f)では、図示の便宜上、第1進入部材41および第2進入部材51における第1姿勢および第2姿勢は省略している。
【0057】
なお、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX1方向にスライド移動させた後の、第2ベース部材20および載置部材30のX2方向へのスライド移動は、モータにより第3回転部材66を負方向に回転させた場合と同様の動作であるため、説明は省略する。また、第1ベース部材11に対して相対的に第2ベース部材20および載置部材30をX2方向にスライド移動させた後の、第2ベース部材20および載置部材30のX1方向へのスライド移動は、モータにより第3回転部材66を正方向に回転させた場合と同様の動作であるため、説明は省略する。
【0058】
ここで、本実施形態では、
図7および
図8に示すように、移載装置100は、スライド移動機構61(
図4参照)の駆動力により、載置部材30のスライド移動およびスライド移動とともに載置部材30の下方に引き出されるロールシート80を備える。ロールシート80は帯状を有する。具体的には、
図7に示すように、スライド移動機構61の駆動力により、X1方向に載置部材30をスライド移動させた場合、被移載物Sが載置される載置台98の表面上にロールシート80が引き出され、ベース部材10と載置台98との摩擦がロールシート80により低減される。載置台98は、たとえばマットレスである。
【0059】
ロールシート80は、載置部材30が所定方向の一方側(たとえばX1方向)または他方側(たとえばX2方向)にスライド移動した際に載置部材30の下方に引き出され、載置部材30が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際にベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されている。
図7に示すように、たとえば、X1方向側に載置部材30をスライド移動した際に、ロールシート80(たとえば、後述する第1ロールシート81)が載置台98の表面上に引き出され、ロールシート80(たとえば、後述する第2ロールシート82)がベース部材10の内部を覆うように構成されている。ここで、ベース部材10の内部には、図示しない、スライド移動を行うためのモータ、ギヤ、および、歯付きベルトなどが配置されている。ロールシート80がベース部材10および第2ベース部材20の内部を覆うことにより、モータ、ギヤ、および、歯付きベルトなどが露出するのが抑制される。
【0060】
本実施形態では、ロールシート80は、載置部材30を所定方向の一方側(たとえばX1方向)にスライド移動した際に引き出される第1ロールシート81と、載置部材30を所定方向の他方側(たとえばX2方向)にスライド移動した際に引き出される第2ロールシート82と、を含む。
図7に示すように、第1ロールシート81は、載置部材30をX1方向側にスライド移動した際に、載置台98の表面上に引き出される。
図8に示すように、第2ロールシート82は、載置部材30をX2方向側にスライド移動した際に、載置台98の表面上に引き出される。
【0061】
載置部材30がスライド移動した際に、第1ロールシート81および第2ロールシート82のうちの一方は、被移載物Sが載置される載置台98の表面上に引き出され、第1ロールシート81および第2ロールシート82のうちの他方は、ベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されている。
図7に示すように、載置部材30がX1方向側にスライド移動した際に、第1ロールシート81は、載置台98の表面上に引き出され、第2ロールシート82は、ベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されている。
図8に示すように、載置部材30がX2方向側にスライド移動した際に、第2ロールシート82は、載置台98の表面上に引き出され、第1ロールシート81は、ベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されている。
【0062】
図10(a)に示すように、載置部材30がスライド移動していない時では、ロールシート80は、巻取りパイプ183bに巻き取られている。また、巻取りばね183dは、巻取り部軸183a側に巻かれており、ロールシート80を巻き取る方向にロールシート80を引っ張る。また、
図10(b)に示すように、載置部材30がスライド移動した時では、ロールシート80は、巻取りパイプ183bから引き出されている。また、巻取りばね183dは、巻取りパイプ183bの内面側で巻かれており、ロールシート80を巻き取る方向にロールシート80を引っ張る。
【0063】
(被移載物の移載動作の説明)
図11を参照して、移載装置100による被移載物Sの移載動作を説明する。なお、図示の便宜上、シート72の図示は省略する。
【0064】
図11(a)に示すように、移載装置100は第1状態にある。第1進入部材41および第2進入部材51は、第1姿勢に支持されている。被移載物Sは、載置部材30に載置されていない。被移載物Sは、ベッドなどの載置台98に載置されている。
【0065】
図11(b)に示すように、駆動源により第3回転部材66が正方向に回転駆動されることにより、載置部材30および第2ベース部材20が、第1ベース部材11に対してX1方向にスライド移動する。移載装置100は第2状態となり、第1進入部材41は第2姿勢となる。このとき、第1ロールシート81が、載置台98の表面上に引き出される。また、第2ロールシート82は、ベース部材10の表面上に引き出される。
【0066】
図11(c)に示すように、載置部材30の第1進入部材41は被移載物Sと載置台98との間に潜り込むようにスライド移動する。その後、被移載物Sは、載置部材30の表面上に載置される。このとき、第1ロールシート81は、載置台98の表面上と載置部材30の下面との間に配置される。また、第2ロールシート82は、ベース部材10の表面上にさらに引き出されて、ベース部材10の内部の機構の露出が抑制される。
【0067】
図11(d)~
図11(f)は、載置部材30がX2方向側に移動した際を図示しており、載置部材30がX1方向側に移動した際と同様であるので、説明は省略する。
【0068】
(移乗装置)
図1および
図2に示すように、移乗装置1は、操作入力部5と、形態変形機構6と、昇降機構7と、装置移動部材8と、制御部(不図示)とを、をさらに備える。
【0069】
操作入力部5は、たとえば、移載装置100および移乗装置1を操作するリモコンである。操作入力部5は、背部3の座部2と反対側の端部に配置されている。また、操作入力部5は、座部2に設けられた左肘掛け93の外側および右肘掛け92の外側に配置されている。被移載物Sの移載の際、移載方向と反対側の肘掛けに配置された操作入力部5、または、背部3の座部2と反対側の端部に配置された操作入力部5が使用される。
【0070】
図12(a)に示す操作入力部5の一例は、「載せる」ボタン5aと、「降ろす」ボタン5bと、「高さ」調整ボタン5cと、「緊急停止」ボタン5dとを含む。「載せる」ボタン5aが押されることにより、移載装置100における被移載物Sの移載動作を説明した
図11の動作が実行される。また、「降ろす」ボタン5bが押されることにより、移載装置100における被移載物Sの移載動作を説明した動作(不図示)が実行される。また、「高さ」調整ボタン5cが押されることにより、昇降機構7による人搭載部9の高さが調整される。また、「緊急停止」ボタン5dが押されることにより、「載せる」ボタン5aまたは「降ろす」ボタン5bにより実行されている移載装置100における被移載物Sの移載動作が停止される。
【0071】
図12(b)に示す操作入力部5の他の例は、
図12(a)の操作入力部5の各種ボタンと、「進む」ボタン5eとを含む。「進む」ボタン5eが押されている間、載置台98などに載置された被移載物S、または、載置台98などにおける被移載物Sを降ろす場所に向かって、載置部材30および第2ベース部材20がスライド移動される。
【0072】
図1に示すように、形態変形機構6は、背部3、座部2および脚部4を含む人搭載部9のフレーム90をリンク機構により接続するように構成されている。形態変形機構6は、移乗装置1の形態を、寝台の形態と椅子の形態とに変形させる。形態変形機構6は、直動モータにより駆動される。ブレーキ付きの直動モータであっても良いし、ウォームギヤを用いた直動モータであっても良い。
【0073】
昇降機構7は、人搭載部9の高さを調整するように構成されている。昇降機構7は、ベースフレーム91およびフレーム90をリンク機構により接続するように構成されている。昇降機構7は、直動モータにより駆動される。ブレーキ付きの直動モータであっても良いし、ウォームギヤを用いた直動モータであっても良い。
【0074】
また、昇降機構7は、人搭載部9の高さを、400mm~750mm程度の範囲で調整できるように構成されている。これにより、任意の高さのベッドからの被移載物Sの移乗のみならず、ベッドより高さの低いトイレの便器への被移載物Sの移乗も可能になる。
【0075】
装置移動部材8は、たとえば、複数の車輪である。これにより、移乗装置1を移動させることが可能である。
【0076】
制御部(図示しない)は、スライド動作、シートの回転動作、昇降動作などを行うように、各機構に設けたモータの制御を行うように構成されている。制御部は、操作入力部5により入力された内容に応じた動作の制御を行うように構成されている。
【0077】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、移載装置100は、スライド移動機構61の駆動力により、載置部材30のスライド移動およびスライド移動とともに載置部材30の下方に引き出されるロールシート80を備える。これにより、ロールシート80を引き出すための専用の駆動源を別途設けることなく、載置部材30をスライド移動させるスライド移動機構61によりロールシート80を引き出すことができる。その結果、駆動源の数の増加および装置構成の複雑化を抑制しながら、載置部材30と被移載物Sが載置される載置台98との摩擦を低減することができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように、ロールシート80は、載置部材30が所定方向の一方側または他方側にスライド移動した際に載置部材30の下方に引き出され、載置部材30が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際にベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されている。これにより、載置部材30が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際にベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されているので、載置部材30が所定方向の他方側または一方側にスライド移動した際にベース部材10の内部の機構が露出するのを抑制することができる。その結果、載置部材30と被移載物Sが載置される載置台98との摩擦を低減しながら、ベース部材10の内部の機構と人との接触を抑制できる。
【0080】
本実施形態では、上記のように、ロールシート80は、載置部材30を所定方向の一方側にスライド移動した際に引き出される第1ロールシート81と、載置部材30を所定方向の他方側にスライド移動した際に引き出される第2ロールシート82と、を含む。これにより、載置部材30が所定方向の一方側および他方側のいずれの方向にスライド移動した場合でも、第1ロールシート81または第2ロールシート82を載置台98の表面上に引き出すことができる。その結果、載置部材30が所定方向の一方側および他方側のいずれの方向にスライド移動した場合でも、第1ロールシート81または第2ロールシート82により載置部材30と被移載物Sが載置される載置台98との摩擦を低減することができる。
【0081】
本実施形態では、上記のように、載置部材30がスライド移動した際に、第1ロールシート81および第2ロールシート82のうちの一方は、載置台98の表面上に引き出され、第1ロールシート81および第2ロールシート82のうちの他方は、ベース部材10の表面上に引き出され、ベース部材10の内部を覆うように構成されている。これにより、載置部材30が所定方向にスライド移動した際に、第1ロールシート81および第2ロールシート82の一方が載置台98の表面上に引き出され、第1ロールシート81および第2ロールシート82のうちの他方をベース部材10の表面上に引き出されるので、一方のロールシート80により載置部材30と被移載物Sが載置される載置台98との摩擦を低減しながら、他方のロールシート80により、ベース部材10内部が露出するのを抑制することができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、ベース部材10は、第1ベース部材11と、第1ベース部材11上に配置される第2ベース部材20と、を含み、第1ロールシート81は、第1ロールシート81の一方端が第1ベース部材11の所定方向の一方側の一方端に固定され、第2ベース部材20を介して載置部材30の所定方向の一方側の一方端で折り返し、第2ベース部材20を介して第1ロールシート81の他方端が第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83aに巻き取られている。第2ロールシート82は、第2ロールシート82の一方端が第1ベース部材11の所定方向の他方側の他方端に固定され、第2ベース部材20を介して載置部材30の所定方向の他方側の他方端で折り返し、第2ベース部材20を介して第2ロールシート82の他方端が第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83bに巻き取られている。これにより、第1ロールシート81は、第1ベース部材11、第2ベース部材20および載置部材30の各々の所定方向の一方側に配置されるので、載置部材30が所定方向の一方側にスライド移動した際には、第1ロールシート81は、第2ベース部材20および載置部材30の下方において、載置台98の表面上に引き出される。また、第2ロールシート82は、第1ベース部材11、第2ベース部材20および載置部材30の各々の所定方向の他方側に配置されるので、載置部材30が所定方向の一方側にスライド移動した際には、第2ロールシート82は、第1ベース部材11および第2ベース部材20の表面上に引き出される。その結果、第1ロールシート81と第2ロールシート82とが互いに干渉するのを抑制しながら、載置部材30と載置台98との摩擦の低減と、ベース部材10内部の露出の抑制とを実現することができる。なお、載置部材30が所定方向の他方側にスライド移動した際にも同様の効果を奏する。
【0083】
本実施形態では、上記のように、ベース部材10は、巻取りばね183dを含み、巻取りばね183dの復元力によりロールシート80を巻き取るロールシート巻取りばね部83を有する。これにより、ロールシート80を巻き取るためのモータを設けることなく、巻取りばね183dの復元力によりロールシート80を巻き取ることができる。その結果、ロールシート80を巻取る構成が複雑になるのを抑制しながら、ロールシート80を巻き取ることができる。
【0084】
本実施形態では、上記のように、ロールシート80は、ロールシート80の一方端がベース部材10に固定され、載置部材30で折り返し、ロールシート80の他方端がベース部材10のロールシート巻取りばね部83で巻き取られるように構成されている。これにより、載置部材30がベース部材10から離間する方向にスライド移動した場合、載置部材30のスライド移動とともにロールシート巻取りばね部83からロールシート80が巻き出されるので、ロールシート80を容易に載置台98の表面上に引き出すことができる。また、載置部材30がベース部材10に近づく方向にスライド移動した場合、載置部材30のスライド移動とともにロールシート巻取りばね部83によりロールシート80が巻き取れるので、ロールシート80が撓むのを抑制することができる。その結果、撓んだロールシート80が載置部材30とベース部材10との間に挟まれるのを抑制することができる。
【0085】
本実施形態では、上記のように、ベース部材10は、ロールシート巻取りばね部83を有する第1ベース部材11と、第1ベース部材11上に配置される第2ベース部材20と、を含み、ロールシート80は、ロールシート80の一方端が第1ベース部材11に固定され、第2ベース部材20を介して載置部材30で折り返し、第2ベース部材20を介してロールシート80の他方端が第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83で巻き取られるように構成されている。これにより、ベース部材10が第1ベース部材11および第2ベース部材20を含んでいるので、第1ベース部材11に対してさらに第2ベース部材20を所定方向へスライド移動させることにより、載置部材30の所定方向へのスライド移動量を大きくすることができる。その結果、載置部材30の所定方向へのスライド移動量を大きくしながら、ロールシート80による載置部材30と載置台98との摩擦の低減を図ることができる。
【0086】
本実施形態では、上記のように、載置部材30は、ロールシート巻取りばね部83により巻き取られるロールシート80を折り返して小さな負荷で移動させるためのロールシート折り返しローラ88を含む。これにより、ロールシート巻取りばね部83で巻き取られるロールシート80を、容易に、載置部材30において折り返すことができる。その結果、ロールシート折り返しローラ88で折り返したロールシート80を、第2ベース部材20を介して、第1ベース部材11のロールシート巻取りばね部83により巻き取ることができる。
【0087】
本実施形態では、上記のように、ロールシート80は、化繊織布を含む。これにより、ロールシート80の摩擦力を小さくすることができる。その結果、ロールシート80同士が接触した場合でも、ロールシート80同士の摩擦力を低減することができる。
【0088】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
上記実施形態では、スライド移動機構61の駆動力により、X1方向およびX2方向の両方にロールシート80が引き出され例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、ロールシート80が、X1方向またはX2方向の一方のみに引き出されてもよい。
【0090】
上記実施形態では、第1ロールシート81と第2ロールシート82との両方が設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1ロールシート81と第2ロールシート82のうちの一方のみが設けられていてもよい。
【0091】
上記実施形態では、ベース部材10に、ロールシート80をねじ89によりねじ止めする例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、ベース部材10に、ロールシート80を接着してもよい。
【0092】
上記実施形態では、載置部材30、第1ベース部材11および第2ベース部材20の両方が設けられる例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第1ベース部材11のみが設けられていてもよい。
【0093】
上記実施形態では、ロールシート巻取りばね部83でロールシート80を巻き取る例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、
図13に示すように、モータ300を使用してロールシート80を巻き取ってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、化繊織布の例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、内部が見えるように透明または半透明のナイロンやポリエステルを用いてもよい。
【0095】
上記実施形態では、被移載物Sが人である例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、被移載物Sは物であってもよいし、動物であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 移乗装置
2 座部
3 背部
4 脚部
10 ベース部材
11 第1ベース部材
30 載置部材
61 スライド移動機構
80 ロールシート
81 第1ロールシート
82 第2ロールシート
83 ロールシート巻取りばね部(ロールシート巻取り部)
88 ロールシート折り返しローラ
98 載置台
100 移載装置
S 被移載物