(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007522
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】少なくとも1つの摺動可能ねじを有するモジュールコネクタ、およびそのようなモジュールコネクタを有する接続アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/207 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
H01R13/207
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108999
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】10 2022 116 785.2
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】マイク シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】ビヨルン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ロン ブッフホルツ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディストラー
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル エーハイム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】力を働かせずにかつ位置公差を補償することができる電気モジュールを接続するための手段の提供。
【解決手段】本発明は、2つのモジュール10を電気的に接続するためのモジュールコネクタに関し、モジュールコネクタは、バスバー4と、バスバー4に対して回転可能なねじ26とねじガイド38を備える。バスバー4は、平坦面と貫通開口部16を備える。ねじガイド38は、貫通開口部16に保持され、孔40を有する。孔40には、ねじ26が保持される。ねじ26は、バスバー平面に平行に摺動可能に貫通開口部16に保持される。モジュールコネクタは、ねじ26の摺動性に起因して、モジュール10を接続すると、力を働かせずに一定の位置公差を補償することができる。さらに、本発明は、そのようなモジュールコネクタを有する接続アセンブリ2を実現する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電気モジュール(10)を電気的に接続するためのモジュールコネクタ(1)であって、
前記モジュールコネクタ(1)は、バスバー(4)と、前記バスバー(4)に対して回転可能な少なくとも1つのねじ(26)と、前記バスバー(4)に対して回転可能な少なくとも1つのねじガイド(38)とを備え、
前記バスバー(4)は、バスバー平面(8)を画定する少なくとも1つの平坦面(6)を備え、
前記バスバー(4)の少なくとも1つの部分は、前記バスバー(4)を通して前記バスバー平面(8)に垂直に延びる貫通開口部(16)を備え、
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、少なくとも部分的に前記貫通開口部(16)に保持され、かつ前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、前記少なくとも1つのねじ(26)が少なくとも部分的に保持される、前記貫通開口部(16)に平行に延びる孔(40)を有し、
前記少なくとも1つのねじ(26)は、前記バスバー平面(8)に平行に摺動可能に前記貫通開口部(16)に保持されている、
モジュールコネクタ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)の前記孔(40)は、長手方向(44)が前記バスバー平面(8)に平行に延びる長円孔(42)である、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、前記バスバー(4)の前記少なくとも1つの平坦面(6)に支持されているフランジ形状部分(52)を備える、
請求項1または2に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、前記フランジ形状部分(52)とは反対の前記バスバー(4)の側において前記貫通開口部(16)から突出しない、
請求項3に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、円盤形状であるように適合されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項6】
前記モジュールコネクタ(1)は、中央開口部(20)を有する少なくとも1つのコンタクトブリッジ(18)を備え、前記少なくとも1つのコンタクトブリッジ(18)は、少なくとも部分的に前記バスバー(4)の前記貫通開口部(16)に押し込まれかつ/または溶接されており、
前記中央開口部(20)は、前記貫通開口部(16)に平行に延び、
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、少なくとも部分的に前記中央開口部(20)において回転可能に保持されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項7】
前記モジュールコネクタ(1)は、前記バスバー(4)に当接する少なくとも1つのコンタクトリング(62)を備え、
前記少なくとも1つのコンタクトリング(62)は、リング開口部(74)が前記少なくとも1つのねじガイド(38)の前記孔(40)と位置合わせされている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンタクトリング(62)は、運動伝達可能に前記少なくとも1つのねじ(26)に接続されている、請求項7に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのねじ(26)は、雄ねじ(30)を有するねじシャフト(28)と、前記ねじシャフト(28)に固定されているねじ頭部(32)とを備え、
前記少なくとも1つのコンタクトリング(62)は、前記ねじ頭部(32)とは反対の前記バスバー(4)の側において前記ねじシャフト(28)に配置されている、
請求項7または8に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項10】
前記モジュールコネクタ(1)は、電気絶縁ハウジング(76)を備え、
前記電気絶縁ハウジング(76)において、前記バスバー(4)、前記少なくとも1つのねじ(26)、および前記少なくとも1つのねじガイド(38)が受け入れられている、
請求項1から9のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項11】
前記ハウジング(76)は、第1のハウジング部品(78)を備え、
前記第1のハウジング部品(78)は、前記少なくとも1つのねじ(26)に運動伝達可能に接続され、前記バスバー(4)に対して移動可能であり、前記少なくとも1つのねじ(26)の全ての摺動位置において前記ハウジング(76)の他の部分と共に前記バスバー(4)を覆うカバーを形成する、
請求項10に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項12】
前記第1のハウジング部品(78)は、保護カラー(94)を備え、
前記保護カラー(94)は、前記少なくとも1つのねじ(26)の周囲に延び、前記少なくとも1つのねじ(26)の全ての摺動位置において前記バスバー平面(8)に垂直に前記ハウジング(76)の他の部分と少なくとも部分的に重なる、
請求項11に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項13】
前記第1のハウジング部品(78)は、別個の構成要素として存在する、または前記少なくとも1つのねじ(26)上に成形されている、
請求項11または12に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項14】
前記ハウジング(76)は、第2のハウジング部品(80)を備え、
前記第2のハウジング部品(80)は、運動伝達可能に前記少なくとも1つのねじ(26)を介して前記第1のハウジング部品(78)に接続され、前記バスバー(4)に対して移動可能であり、前記バスバー(4)に対して前記第1のハウジング部品(78)とは反対側に配置されている、
請求項11から13のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)と、コンタクト要素(112)と、前記少なくとも1つのねじ(26)のための相手側部品(114)とを有する接続アセンブリ(2)であって、
前記コンタクト要素(112)は、前記少なくとも1つのねじ(26)および前記相手側部品(114)が共に螺合した状態において前記モジュールコネクタ(1)と導電可能に接触するように適合されている、
接続アセンブリ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電気モジュール、特に2つのバッテリモジュールを電気的に接続するためのモジュールコネクタに関する。バッテリモジュールは、電気自動車または電力工学システムのためのバッテリモジュールであることが好ましい。さらに、本発明は、そのようなモジュールコネクタを有する接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
モジュールコネクタと接続される2つの電気モジュールの間の相対位置は、電気モジュールがグリッド寸法に配置される場合であっても、公差に伴う変動を受ける。したがって、これらの位置公差を補償するために、従来のモジュールコネクタは、例えば編組銅線から作製される可撓性導体部分を提供し、これにより、モジュールコネクタの締結手段(例えばねじ)の位置を電気モジュールの様々な相対位置に適応させることが可能となる。
【0003】
しかしながら、これらの可撓性導体部分は、場合によっては強い力で、所定形状に曲げる必要があり、多くの場合、設置された後に弾性復元力をモジュールコネクタに印加する。加えて、可撓性導体部分の長さが、その可撓性に影響を及ぼす。換言すると、可撓性導体部分が短いほど、補償可能な位置公差が小さくなる。
【0004】
よって、複数の電気モジュールの接続を、位置公差によらず、それらの相対位置にかかわらず、特にそれらの距離にかかわらず、強い力を働かせることなく行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の根底をなす課題は、力を働かせずにかつ寸法にかかわらず位置公差を補償することができる、電気モジュールを接続するための手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、冒頭で述べたタイプのモジュールコネクタにより解決され、モジュールコネクタは、バスバーと、バスバーに対して回転可能な少なくとも1つのねじと、バスバーに対して回転可能な少なくとも1つのねじガイドとを備え、バスバーは、バスバー平面を画定する少なくとも1つの平坦面を備え、バスバーの少なくとも1つの部分は、バスバーを通してバスバー平面に垂直に延びる貫通開口部を備える。少なくとも1つのねじガイドは、少なくとも部分的に貫通開口部に保持され、かつ少なくとも1つのねじガイドは、少なくとも1つのねじが少なくとも部分的に保持される、貫通開口部に平行に延びる孔を有し、少なくとも1つのねじは、バスバー平面に平行に摺動可能に貫通開口部に保持される。
【0007】
ねじの摺動性(slidability)に起因して、本発明に係る解決策は、電気モジュールを接続すると一定の位置公差を補償することを可能とする。換言すると、モジュールコネクタを、接続される2つの電気モジュールの様々な相対位置に適応させることができる。ねじをバスバーに対して摺動させることにより、力を働かせずに、かつ特に弾性復元力を生じさせることなく、この調節を実行することができる。下記でより詳細に説明するように、回転可能なねじガイドの存在により、位置調節中におけるさらなる自由度がねじにもたらされる。
【0008】
可能な補償の程度は、主にねじ、ねじガイドの孔、バスバーの貫通開口部のジオメトリに依存する。バスバーの長さ、およびとりわけ可撓性は無関係である。結果として、高剛性の、特に堅固なバスバーをモジュールコネクタに用いることができる。
【0009】
以下で説明するさらなる構成により、上記の解決策をさらに改善することができる。これに関連して、個々の構成は、各々が単独で好適であり、必要に応じて互いに組み合わせることができる。
【0010】
1つの可能な構成によれば、少なくとも1つのねじは、同時にまたは順次に2つの互いに垂直な方向(例えばX方向およびY方向)に沿って貫通開口部において摺動可能に保持されてよく、2つの方向は両方、バスバー平面に平行に延びる。換言すると、2つの方向により張られる平面は、バスバー平面と同一平面である。X方向およびY方向における移動の線形結合により、少なくとも1つのねじをバスバー平面に沿って摺動させることができる。よって、モジュールコネクタは、可撓性導体部分に匹敵する自由度を有する。
【0011】
バスバーは、互いに平行でありかつ反対側にある2つの平坦面を有することが好ましい。これに対応して、バスバーの貫通開口部は、両方の平坦面を接続する。さらに、任意選択で、バスバーの貫通開口部は、バスバーの一方の端部に配される。よって、電気モジュールを接続するときに、バスバーの全長を利用することができる。
【0012】
温度変動に起因する長さの変化を補償するために、バスバーは、特に中心において、屈曲部、例えばU字形状の屈曲部を備えてよい。代替的に、バスバーは、可撓性導体部分、例えばケーブル、編物、織物または編組物を有していてもよい。可撓性導体部分または屈曲部は、もっぱら温度に伴う長さの変化を補償するように機能する。位置公差の補償は、もっぱらバスバーに対する少なくとも1つのねじの摺動により、かつ可撓性導体部分または屈曲部の弾性変形を生じることなく実行されるべきである。これによってのみ、モジュールコネクタと電気モジュールとの間の接続が、力が働かない接続のままとなる。
【0013】
少なくとも1つのねじは、雄ねじを有するねじシャフト、およびねじシャフトに固定されるねじ頭部を備えてよい。よって、市販の締結要素を用いることができる点が有利である。ねじシャフトは、少なくとも1つのねじガイドの孔に挿通され、ねじ頭部は、少なくとも1つのねじガイドに載る。ねじ頭部およびねじガイドの外径によっては、ねじ頭部はさらに、バスバーの少なくとも1つの平坦面に載ってもよい。
【0014】
ただし、少なくとも1つのねじは、必ずしも雄ねじを備えなくてもよい。ねじ山に代えて、1つまたは複数のラッチ要素またはバヨネットロックの一部が存在してもよい。
【0015】
ねじ頭部がバスバーに載っていない場合であっても、少なくとも1つのねじガイドを介して少なくとも1つのねじの締付力をバスバーに伝達できるようにするために、少なくとも1つのねじガイドは、バスバーに形状接続されるように適合される。特に、少なくとも1つのねじガイドおよびバスバーは、バスバー平面に垂直に働く片側の形状接続を形成することができる。
【0016】
この目的で、少なくとも1つのねじガイドは、バスバーの少なくとも1つの平坦面に支持されているフランジ形状部分を備えてよい。フランジ形状部分は、例えば、少なくとも1つのねじガイドの周方向に延びる連続的な外側フランジを形成してよい。代替的に、フランジ形状部分は、材料を節減するために、周方向における少なくとも1つの途切れ部(interruption)を備えてよい。
【0017】
少なくとも1つのねじガイド自体が先述の締付力の伝達の妨げにならないようにするために、少なくとも1つのねじガイドは、フランジ形状部分とは反対のバスバーの側において貫通開口部から突出しない。換言すると、フランジ形状部分とは反対のバスバーの側における少なくとも1つのねじガイドは、その部分の平坦面と面一であるか、またはその部分の平坦面に陥凹(recessed into)している。
【0018】
設置高さの低い省スペースな構成によれば、少なくとも1つのねじガイドは、円盤形状またはリング形状であるように適合されてよい。少なくとも1つのねじガイドとバスバーとの間の先述の形状接続のために、円盤形状に適合されたねじガイドは、段差付き縁部を備えてよい。より正確には、円盤形状に適合されたねじガイドの外縁部は、フランジ形状部分を形成する、径方向外方に突出する段差肩部を備えてよい。
【0019】
追加的にまたは代替的に、バスバーの貫通開口部が段差付きであってもよい。換言すると、貫通開口部の内縁部は、少なくとも1つのねじガイドが形状的に載る段差肩部を有していてよい。
【0020】
代替的に、円盤形状に適合されたねじガイドは、円錐形外縁部、すなわち外側の円錐を有する縁部を有していてよい。これに対応して、バスバーの貫通開口部はこのとき、円錐形内縁部、すなわち内側の円錐を有する縁部を有していてよい。
【0021】
製造が容易な構成によれば、少なくとも1つのねじガイドの孔は、長手方向がバスバー平面に平行に延びる、好ましくは直線状の長円孔(straight oblong hole)であってよい。長手方向に垂直に測定される長円孔の幅は、ねじシャフトの外径に対応してよい。特に、少なくとも1つのねじは、この長円孔において摺動可能に保持されてよい。このとき、バスバー平面に平行な少なくとも1つのねじの先述の摺動性は、長円孔におけるねじの摺動性と、バスバーに対する少なくとも1つのねじガイドの回転性との組み合わせから得られる。換言すると、長円孔の長手方向の位置合わせは、少なくとも1つのねじガイドをバスバー平面内で回転させることにより自由に変更可能であり、それにより、少なくとも1つのねじがバスバー平面に平行に摺動可能となる。
【0022】
ただし、少なくとも1つのねじガイドの孔は、必ずしも長円孔として適合されなくてもよい。例えば、少なくとも1つのねじガイドの孔は、ねじシャフトと同じ幅であり、少なくとも1つのねじガイドを通してバスバー平面に平行に延びる湾曲スロットとして適合されてもよい。代替的に、少なくとも1つのねじガイドの孔は、円形であり、ねじシャフトの外径に対応する内径を有していてもよい。
【0023】
少なくとも1つのねじガイドの孔、特に円形孔を、少なくとも1つのねじガイドの回転中心からオフセットして配置することが有用である。よって、精度よく嵌合する円形孔を用いる場合であっても、少なくとも1つのねじは、少なくともバスバー平面に平行な円形経路における、少なくとも1つのねじガイドの回転により、移動可能である。勿論、長円孔または湾曲スロットとして適合される少なくとも1つのねじガイドの孔が、回転中心からオフセットされてもよい。
【0024】
代替的にまたは追加的に、バスバーの貫通開口部は、長円孔として適合されてもよい。この構成において、少なくとも1つのねじは、少なくとも1つのねじガイドと共に、貫通開口部において移動可能である。このとき、摺動の方向は、長円孔の方向により予め決定される。勿論、バスバーの貫通開口部は、円形であってもよい。
【0025】
別の可能な構成によれば、モジュールコネクタは、少なくとも部分的にバスバーの貫通開口部に押し込まれる、中央開口部を有する少なくとも1つのコンタクトブリッジを備えてよい。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つのコンタクトブリッジは、バスバーの貫通開口部に溶接されてもよい。中央開口部は、貫通開口部に平行に延びることが好ましく、少なくとも1つのねじガイドは、少なくとも部分的に中央開口部において回転可能に保持される。
【0026】
少なくとも1つのコンタクトブリッジは、モジュールコネクタの電気抵抗の低減に寄与することができる。特に、表面が導電性の低い酸化物層を形成する傾向があるアルミニウムまたはアルミニウム合金から作製されるバスバーが用いられる場合、少なくとも1つのコンタクトブリッジが押し込まれかつ/または溶接されたときに、これらの酸化物層を破壊することができる。少なくとも1つのコンタクトブリッジ自体は、より酸化しにくい材料、例えば銅または銅合金から作製されてよい。
【0027】
任意選択で、少なくとも1つのコンタクトブリッジの中央開口部は、少なくとも1つのねじガイドと少なくとも1つのコンタクトブリッジとの間の形状接続(positive connection)が可能であるように、段差付きまたは円錐形に構成されてよい。少なくとも1つのねじガイドが先述のフランジ形状部分を有する場合、これは追加的にまたは代替的に少なくとも1つのコンタクトブリッジに支持されてもよい。
【0028】
バスバーの貫通開口部または少なくとも1つのコンタクトブリッジの中央開口部における少なくとも1つのねじガイドの回転性(rotatability)を向上させるために、少なくとも1つのねじガイドは、円形であるように適合されてよい。特に、円盤形状に適合されたねじガイドは、円形の外縁部を有していてよい。
【0029】
別の可能な構成によれば、モジュールコネクタは、バスバーおよび/または少なくとも1つのコンタクトブリッジに当接する少なくとも1つのコンタクトリングを備えてよい。少なくとも1つのコンタクトリングは、2つの電気モジュールのうちの一方の相手側コンタクトに対する既定のインターフェースとして機能することができる点が有利である。よって、バスバー自体は、この既定のインターフェースを形成する必要がなく、比較的単純なジオメトリで済ませることができる。
【0030】
少なくとも1つのコンタクトリングは、円形または多角形の底面および円形または多角形の端面を有する中空円筒形であるように適合されてよい。さらに、少なくとも1つのコンタクトリングは、連続的なリング開口部を有していてよく、リング開口部は、少なくとも1つのねじガイドの孔と位置合わせされることが好ましい。特に、リング開口部は、バスバー平面に垂直な方向において少なくとも1つのねじガイドの孔と位置合わせされる。少なくとも1つのコンタクトリングは、運動伝達可能に少なくとも1つのねじに接続されることが好ましい。例えば、少なくとも1つのコンタクトリングは、ねじ頭部とは反対のバスバーの側においてねじシャフトに差し込まれてよい。換言すると、ねじシャフトは、少なくとも部分的にリング開口部に挿入される。よって、少なくとも1つのコンタクトリングは、公差補償の間に、バスバーに対して少なくとも1つのねじと共に移動することができる。
【0031】
上記で部分的に述べたように、バスバー、少なくとも1つのコンタクトブリッジ、および少なくとも1つのコンタクトリングは、良好な導電性を有する材料、例えばアルミニウム、銅またはそれらの合金から作製される。特に、これらの構成要素は、電流が2つの電気モジュールのうちの一方から他方へと流れるモジュールコネクタを通る電流経路を形成することができる。少なくとも1つのねじガイドおよび少なくとも1つのねじは、導電性材料、例えば鋼鉄、および/または電気絶縁材料から作製されてよい。
【0032】
電気的安全性を向上させるために、モジュールコネクタは、指および接触の保護としての、少なくともバスバーが受け入れられる電気絶縁ハウジングを備えてよい。指および/または接触の保護は、特に規格に準拠するように適合されてよく、動作中におけるモジュールコネクタの通電構成要素との偶発的な接触を防止する。
【0033】
任意選択で、少なくとも1つのコンタクトブリッジ、少なくとも1つのコンタクトリング、少なくとも1つのねじおよび/または少なくとも1つのねじガイドは、ハウジングに受け入れられてもよい。特に、少なくとも1つのねじは、2つの電気モジュールのうちの一方に固定するために、回転軸の周りに回転可能かつ回転軸に沿って摺動可能であるようにハウジングに保持されてよい。この構成により、例えば雄ねじまたはバヨネットロックによる、簡単な固定が可能となる。
【0034】
ハウジングは、少なくとも1つのねじに運動伝達可能に接続され、バスバーに対して移動可能である第1のハウジング部品を備えてよい。さらに、第1のハウジング部品は、ハウジングの他の部分と共に少なくとも1つのねじの全ての摺動位置においてバスバーを覆うカバーを形成してよい。特に、カバーは、人の指がバスバーに接触することを可能とする間隙がないことを確実にすることができる。よって、ねじが摺動可能であっても、バスバーの指および接触の保護が常に確実になる。任意選択で、少なくとも1つのねじ、少なくとも1つのねじガイドおよび/または少なくとも1つのコンタクトブリッジが、第1のハウジング部品により覆われてもよい。
【0035】
さらなる構成によれば、ハウジングは、運動伝達可能に少なくとも1つのねじおよび場合により少なくとも1つのコンタクトリングを介して第1のハウジング部品に接続され、バスバーに対して移動可能である第2のハウジング部品を備えてよい。第2のハウジング部品は、バスバーに対して第1のハウジング部品とは反対側に配置されることが好ましい。よって、第2のハウジング部品により、バスバーの反対の側に配される少なくとも1つのコンタクトリングの指および接触の保護を実現することができる。
【0036】
ハウジングの他の部分(すなわち第1のハウジング部品および第2のハウジング部品を除くハウジング)は、共にラッチ接続され得る2つ以上のハウジングシェルから構成されてよい。これらのハウジングシェルのうちの一方は、第1のハウジング部品が挿入されるハウジング開口部を備えてよい。これに対応して、別のハウジングシェルも、第2のハウジング部品が挿入されるハウジング開口部を有していてよい。第1のハウジング部品および第2のハウジング部品は、それぞれのハウジング開口部内におけるストロークまたは移動半径(radius of movement)を有する。
【0037】
第1のハウジング部品は、少なくとも1つのねじと共にハウジングシェルのうちの一方においてつなぎ留めて受け入れられること(captively received)が好ましい。これに対応して、第2のハウジング部品は、少なくとも1つのコンタクトリングと共に別のハウジングシェルにおいてつなぎ留めて受け入れられる。つなぎ留め嵌合(captive fitting)により、組み立て中にモジュールコネクタを容易に取り扱うことが可能となる。
【0038】
ハウジングシェルは、貫通開口部を有するバスバーの部分を囲んで組み付けられ閉じられてよい。組み付け前に、第1のハウジング部および第2のハウジング部は、それぞれのハウジング開口部に挿入されてよい。これにより、つなぎ留め嵌合を簡単な方法で形成することが可能となる。
【0039】
第1のハウジング部品は、少なくとも1つのねじ、特にそのねじ頭部上に成形されてよい。これにより、必要な構成要素の数が低減する。代替的に、第1のハウジング部品は、交換可能な別個の構成要素、例えば中間リングであってよい。中間リングとして適合される第1のハウジング部品は、ハウジングシェルのうちの一方と少なくとも1つのねじのねじ頭部との間に配される。
【0040】
第1のハウジング部品が中間リングとして存在する場合、キャップが、指および接触の保護の一部として、ねじ頭部上に嵌合または成形されてよい。
【0041】
任意選択で、指および接触の保護の一部として、ねじ頭部から離れる方向に向くねじシャフトの先端部上にも、さらなるキャップが嵌合または成形されてよい。
【0042】
第2のハウジング部品は、例えば同様に中間リングの形態である別個の構成要素であってもよく、または少なくとも1つのコンタクトリング上に成形されてもよい。中間リングとして適合される第2のハウジング部品は、他方のハウジングシェルと少なくとも1つのコンタクトリングとの間に配される。
【0043】
製造が容易な構成によれば、第1のハウジング部品および/または第2のハウジング部品は各々、少なくとも1つのねじの周囲または少なくとも1つのコンタクトリングの周囲に延び、全ての摺動位置において、バスバー平面に垂直に少なくともハウジングの他の部分と部分的に重なる保護カラーを有していてよい。それぞれの保護カラーは、フランジの形状でバスバー平面に平行に延びることが好ましい。
【0044】
任意選択で、各々第1のハウジング部品または第2のハウジング部品において外方に向く1つのフランジと、ハウジングの他の部分において内方に向く1つのフランジとの組み合わせが用いられてもよく、これらのフランジは、全ての摺動位置において少なくとも部分的に重なる。2つの電気モジュールの間の最大可能距離および最小可能距離が取られた場合にも、これらのフランジが重なることが好ましい。特に、内方に向くフランジの内径は、外方に向く対応するフランジの外径以下である。
【0045】
冒頭で述べた課題はまた、先述の実施形態のうちの1つに係るモジュールコネクタと、コンタクト要素と、少なくとも1つのねじに対する相手側部品とを有する接続アセンブリにより解決することができ、コンタクト要素は、少なくとも1つのねじおよび相手側部品が共に螺合したときにモジュールコネクタと導電可能に接触するように適合される。コンタクト要素は、モジュールコネクタに対する先述の相手側コンタクトに相当し、バスバー、および/または、存在する場合は少なくとも1つのコンタクトリングに直接接触してよい。
【0046】
接続アセンブリは、既に説明した本発明に係るモジュールコネクタの利点の恩恵を受ける。特に、ねじの相手側部品およびコンタクト要素は、例えば2つの電気モジュールのうちの一方に、固定的に予め設置されてよい。ねじ、および必要な場合にはコンタクトリングの可動性に起因して、所望の位置からのあらゆるずれを補償することができる。
【0047】
少なくとも1つのねじに対する相手側部品は、例えば、ねじシャフトの雄ねじと相補的な雌ねじを有するナットまたはねじ付きスリーブとして適合されてよい。
【0048】
少なくとも1つのねじは、相手側部品に完全に堅く螺合するまで、回転可能かつ摺動可能であることが好ましい。螺合の後、特にねじ山におけるおよびねじ頭部とねじガイドとの間の摩擦力が、回転の発生を防止する。また、摺動の発生は主に、結果として得られる形状接続により防止される。
【0049】
先述のように、バスバーの貫通開口部は、バスバーの一端部に配されてよい。貫通開口部を有する端部とは反対側にあるバスバーの別の端部は、相手側部品およびコンタクト要素を有しない電気モジュールに溶接、螺合または他の方法で固定的に設置されてよい。
【0050】
代替的に、バスバーの両方の端部には各々、貫通開口部、ねじガイド、ねじ、コンタクトブリッジおよびコンタクトリングが設けられてもよい。特に、バスバーの両方の端部は、同一に適合されてよい。これにより、より大きい距離変化を補償することができる。この場合、接続アセンブリは、2つのコンタクト要素および2つのねじ相手側部品を有する。
【0051】
以下、図面を参照して、単に例示的な構成により、本発明を説明する。図示の構成は、単に可能な特徴の組み合わせを表す。構成の個々の特徴は、それぞれの特徴に付随する技術的効果が特定のアプリケーションに重要でない場合には、上記の説明に従って省略されてよい。反対に、特徴に付随する技術的効果が、説明されている構成の特定のアプリケーションに重要である場合には、この特徴が構成に追加されてよい。
【0052】
図面において、機能および/または構造に関して互いに対応する特徴には、同じ参照符号を用いる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】例示的実施形態に係るモジュールコネクタの模式的な斜視分解図である。
【
図2】異なる視点における、
図1のモジュールコネクタの別の模式的な斜視分解図である。
【
図3】例示的実施形態に係る接続アセンブリの模式的な斜視部分断面図である。
【
図4】
図1のモジュールコネクタの模式的な斜視断面図である。
【
図5】異なる切断面による
図1のモジュールコネクタの別の模式的な斜視断面図である。
【
図6】上面から見た、異なる切断面による
図1のモジュールコネクタの別の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、例示的実施形態に係るモジュールコネクタ1について、
図1~
図6を参照して説明する。さらに、例示的実施形態に係る接続アセンブリ2について、
図3を参照して説明する。
【0055】
図1および
図2では、モジュールコネクタ1が2つの異なる視点からの分解図で示されている。
図4、
図5および
図6では、モジュールコネクタ1が、各場合において3つの異なる切断面による断面図で示されている。
図3では、モジュールコネクタ1を有する接続アセンブリ2が、部分断面図で示されている。接続アセンブリ2は、モジュールコネクタ1を介して、2つの電気モジュール10、例えば2つのバッテリモジュール12、特に電気自動車(不図示)の2つのバッテリモジュールを互いに導電可能に接続するために用いられる。
【0056】
モジュールコネクタ1は、バスバー4を備える。バスバー4は、バスバー平面8を画定する少なくとも1つの平坦面6を有する。バスバー4は、互いに平行でありかつ反対側にある2つの平坦面6を有することが好ましい。電気モジュール10どうしを接続すると、バスバー4のこれらの平坦面6は、電気モジュール10に向かう方向および電気モジュール10から離れる方向に向くように位置合わせされる(
図3参照)。
【0057】
図示の実施形態において、バスバー4は、矩形の導体断面を有する。他の導体断面、例えば正方形、多角形、円形楕円形またはU字形状の導体断面も可能である。
【0058】
不図示の実施形態によれば、バスバー4は、屈曲部、例えばU字形状の屈曲部を備えてもよい。代替的に、バスバー4は、可撓性導体部分、例えばケーブル、編物、織物または編組物を有していてもよい。可撓性導体部分または屈曲部は、もっぱら温度に伴う長さの変化を補償するように機能する。
【0059】
バスバー4の少なくとも1つの部分、特に端部14は、バスバー平面8に垂直にバスバー4を通して延びる貫通開口部16を備える。貫通開口部16は、バスバー4の両方の平坦面6を互いに接続する。
【0060】
図示の実施形態において、バスバー4の貫通開口部16は、円形であり一定の内径を有するように適合される。不図示の実施形態によれば、バスバー4の貫通開口部16は、段差付きであってもよい。換言すると、貫通開口部16の内縁部は、段差肩部を備えてよい。代替的に、バスバー4の貫通開口部16は、円錐形内縁部、すなわち内側の円錐を有する縁部を有していてもよい。
【0061】
例えば、バスバー4は、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金から作製されてよい。バスバー4がアルミニウムまたはアルミニウム合金から作製される場合、モジュールコネクタ1は、電気抵抗を低減するために、貫通開口部16と相補的に適合される銅または銅合金の少なくとも1つのコンタクトブリッジ18を備える。
【0062】
コンタクトブリッジ18は、少なくとも部分的に、バスバー4の貫通開口部16に押し込まれるように適合される。この目的で、コンタクトブリッジ18は、刻み付き部分22を備える。特に、貫通開口部16に押し込まれる部分22は、径方向外方に突出する刻み24を有し、刻み24の外径は、貫通開口部16の内径よりもわずかに大きい。代替的にまたは追加的に、コンタクトブリッジ18は、貫通開口部16に溶接されてもよい。
【0063】
コンタクトブリッジ18は、好ましくは貫通開口部16と平行かつ同軸である中央開口部20を有する。図示の実施形態の中央開口部20は、円形であり一定の内径を有するように適合される。任意選択で、中央開口部は、段差付きまたは円錐形であるように構成されてよい。
【0064】
それぞれの電気モジュール10への取り付けのために、モジュールコネクタ1は、バスバー4に対して回転可能である少なくとも1つのねじ26を有する。図示のねじ26は、雄ねじ30を有するねじシャフト28、およびねじシャフト28に取り付けられるねじ頭部32を有する。不図示の実施形態によれば、ねじ26は、雄ねじ30に代えて1つまたは複数のラッチ要素またはバヨネットロックを有していてもよい。
【0065】
下記でより詳細に説明するように、ねじ26は、バスバー4の貫通開口部16およびコンタクトブリッジ18の中央開口部20においてバスバー平面8に平行に摺動可能に保持される。特に、ねじ26は、同時にまたは引き続いて2つの互いに垂直な方向34、36に沿って摺動可能に保持され、2つの方向34、36は両方、バスバー平面8に平行である。よって、ねじ26を、一定の移動半径内における方向34および方向36への移動の線形結合(linear combination of movements)により、バスバー平面8に沿って必要に応じて摺動させることができる。
【0066】
ねじ26のこのような摺動性を実現するために、モジュールコネクタ1は、少なくとも1つの円盤形状のねじガイド38を備える。ねじガイド38は、少なくとも部分的に貫通開口部に保持され、バスバー4に対して回転可能である。コンタクトブリッジ18が設けられる場合、ねじガイド38は、少なくとも部分的にコンタクトブリッジ18の中央開口部20に保持され、コンタクトブリッジ18に対して回転可能であってもよい。
【0067】
バスバー4の貫通開口部16またはコンタクトブリッジ18の中央開口部20におけるねじガイド38の回転性を向上させるために、ねじガイド38の外縁部は、円形であるように適合される。
【0068】
特に、ねじガイド38は、コンタクトブリッジ18の中央開口部20またはバスバーの貫通開口部16に挿入される、円形の外殻面58を有する円筒形部分56を有する。この目的で、円筒形部分56は、コンタクトブリッジ18の中央開口部20の内径以下、またはバスバー4の貫通開口部16の内径以下である外径を有する。
【0069】
ねじガイド38は、ねじ26が少なくとも部分的に保持される、バスバー4の貫通開口部16に平行かつコンタクトブリッジ18の中央開口部20に平行に延びる孔40を備える。特に、ねじシャフト28は、ねじガイド38の孔40に挿通される。ねじ頭部32は、ねじガイド38に載る(
図4参照)。
【0070】
図1に示す実施形態において、ねじガイド38の孔40は、長手方向44がバスバー平面8に平行に延びる直線状の長円孔42として適合される。長手方向44に垂直に測定される長円孔42の幅46は、ねじシャフト28の外径に対応する。
【0071】
図4、
図5および
図6から見ることができるように、ねじ26は、長円孔42において摺動可能に保持される。ねじガイド38をバスバー平面8内で回転させることにより、長円孔42の長手方向44の位置合わせを自由に変化させることができる。ねじガイド38および特にその長円孔42の位置合わせに応じて、ねじ26を、例えばバスバー4の長手方向に平行に延びる方向34およびバスバー4の長手方向に垂直に延びる方向36に摺動させることができる。これは、それぞれ矢印48および50により示されている。したがって、ねじ26を、先述の移動半径内で必要に応じてバスバー平面8に沿って摺動させることができる。
【0072】
ただし、ねじガイド38の孔40は、必ずしも長円孔42として適合されなくてもよい。不図示の実施形態によれば、ねじガイド38の孔40は、ねじシャフト28と同じ幅であり、バスバー平面8に平行にねじガイド38を通して延びる湾曲スロットとして適合されてもよい。代替的に、ねじガイド38の孔40は、円形であり、ねじシャフト28の外径に対応する内径を有していてもよい。ねじガイド38の円形孔は、ねじガイド38の回転中心からオフセットして配置されることが好ましい。よって、ねじ26は、少なくともバスバー平面8に平行な円形経路におけるねじガイド38の回転により、移動可能である。
【0073】
ねじガイド38は、バスバー4またはコンタクトブリッジ18に形状接続される(positively connected)ように適合される。特に、ねじガイド38およびバスバー4またはコンタクトブリッジ18は、バスバー平面8に垂直な単方向の形状接続を形成することができる。
【0074】
この目的で、ねじガイド38は、コンタクトブリッジ18に支持されるフランジ形状部分52を有する。代替的にまたは追加的に、フランジ形状部分52は、バスバー4の平坦面6に支持されてもよい。フランジ形状部分52は、例えば、円筒形部分56の周りにおいてねじガイド38の周方向に延びる連続的な外側フランジ54を形成する。
【0075】
外側フランジ54は、少なくともコンタクトブリッジ18の中央開口部20の内径よりも大きい、またはバスバー4の貫通開口部16の内径よりも大きい外径を有する。よって、ねじガイド38は、段差付き縁部を有する。換言すると、ねじガイド38の外縁部は、フランジ形状部分52および円筒形状部分56により形成される段差肩部60を有する。
【0076】
図4から見ることができるように、ねじガイド38、特にフランジ形状部分52とは反対のコンタクトブリッジ18の側における円筒形部分56は、コンタクトブリッジ18の中央開口部20から突出しない。さらに、ねじガイド38、特にフランジ形状部分52とは反対のバスバー4の側における円筒形部分56は、バスバー4の貫通開口部16から突出しない。
【0077】
モジュールコネクタ1は、良好な導電性を有する材料、例えばアルミニウム、銅またはそれらの合金から作製される少なくとも1つのコンタクトリング62をさらに有する。コンタクトリング62は、円形の底面68および円形の端面70を有する中空円筒の形状に適合される。底面68において、コンタクトリング62は、2つの電気モジュール10のうちの一方の相手側コンタクト66に対する既定のインターフェース64を形成する。
【0078】
コンタクトリング62は、その端面70が、ねじガイド38のフランジ形状部分52とは反対のコンタクトブリッジ18の側においてコンタクトブリッジ18に当接する。コンタクトブリッジ18とコンタクトリング62との間の接触面積を増大させるために、コンタクトブリッジ18は幅広端面72を有し、コンタクトリング62は幅広端面70を有する。コンタクトブリッジ18が設けられない場合、コンタクトリング62は、ねじガイド38のフランジ形状部分52とは反対のバスバー4の平坦面6と直接接触してもよい。
【0079】
さらに、コンタクトリング62は、バスバー平面8に垂直にねじガイド38の孔40と位置合わせされる連続的なリング開口部74を有する。ねじ26のねじシャフト28は、少なくとも部分的にリング開口部74に挿入される。
【0080】
図4からさらに見ることができるように、モジュールコネクタ1は、バスバー4、コンタクトブリッジ18、コンタクトリング62、ねじ26およびねじガイド38が少なくとも部分的に受け入れられる、指および接触の保護としての電気絶縁ハウジング76を有する。
【0081】
指および接触の保護の一部として、キャップ88がねじ26のねじ頭部32上に成形される。不図示の実施形態によれば、指および接触の保護の一部として、ねじ頭部32から離れる方向に向くねじシャフト28の先端部上にも、キャップが配置または成形されてよい。
【0082】
ハウジング76は、ねじ26に運動伝達可能に接続され、バスバー4に対して移動可能である第1のハウジング部品78を備える。第1のハウジング部品78は、ねじ26の全ての摺動位置において、ハウジング76の他の部分と共にバスバー4、ねじ26、ねじガイド38およびコンタクトブリッジ18を覆うカバーを形成する。特に、カバーは、人の指がこれらの構成要素に接触することを可能とする間隙がないことを確実にすることができる。
【0083】
図示のハウジング76は、運動伝達可能にねじ26およびコンタクトリング62を介して第1のハウジング部品78に接続され、バスバー4に対して移動可能である第2のハウジング部品80をさらに備える。第2のハウジング部品80は、バスバー4に対して第1のハウジング部品78とは反対側に配置される。第2のハウジング部品80は、バスバー4の反対の側に配されるコンタクトリング62を覆う。
【0084】
図示のハウジング76は、第1のハウジングシェル82および第2のハウジングシェル84をさらに備え、2つのハウジングシェル82、84は、共にラッチ接続されるように適合される。2つのハウジングシェル82、84は各々、ハウジング開口部86を有する。第1のハウジング部品78は、第1のハウジングシェル82のハウジング開口部86に挿入され、一方で第2のハウジング部品80は、第2のハウジングシェル84のハウジング開口部86に挿入される。第1のハウジング部品78および第2のハウジング部品80は、それぞれのハウジング開口部86内におけるストロークまたは移動半径を有する。
【0085】
第1のハウジング部品78は、ねじ26の周囲に延び、全ての摺動位置において、バスバー平面8に垂直に第1のハウジングシェル82と少なくとも部分的に重なる保護カラー94を有する。第2のハウジング部品80も、コンタクトリング62の周囲に延び、全ての摺動位置において、バスバー平面8に垂直に第2のハウジングシェル84と少なくとも部分的に重なる保護カラー96を有する。それぞれの保護カラー94、96は、フランジ形状でバスバー平面8に平行に延びることが好ましい。
【0086】
第1のハウジング部品78は、ねじ26の周方向に延び、軸方向において保護カラー94から垂直に突出する保護スリーブ98をさらに含む。ねじ26は、回転軸102の周りに回転可能であり、回転軸102に沿って保護スリーブ98において摺動可能に保持される。また第2のハウジング部品80は、コンタクトリング62の周方向に延び、軸方向において保護カラー96から垂直に突出する保護スリーブ100を有する。
【0087】
ハウジングシェル82、84は、バスバー4、コンタクトブリッジ18、ねじ26、ねじガイド38およびコンタクトリング62を囲んで組み付けられて閉じられる。組み付けの前に、第1のハウジング部品78および第2のハウジング部品80は、それぞれのハウジング開口部86に挿入される。
【0088】
第1のハウジング部品78は、交換可能な別個の中間リング90として存在し、第1のハウジングシェル82とねじ26のねじ頭部32との間に配される。特に、中間リング90は、ねじ26およびねじガイド38をつなぎ留めて保持し、一方で中間リング90自体は、第1のハウジングシェル82とバスバー4との間でつなぎ留めて保持される。
【0089】
この目的で、第1のハウジング部品78の保護カラー94は、外向きフランジ104を備える。これに対応して、第1のハウジングシェル82は、そのハウジング開口部86において内向きフランジ106を備える。フランジ104、106は、全ての摺動位置において少なくとも部分的に重なる。特に、内向きフランジ106の内径は、外向きフランジ104の外径以下である。さらに、内向きフランジ106の内径は、保護スリーブ98の外径よりも大きい。
【0090】
第2のハウジング部品80も、別個の中間リング92として存在し、第2のハウジングシェル84とコンタクトリング62との間に配される。特に、中間リング92は、コンタクトリング62をつなぎ留めて保持し、一方で中間リング92自体は、第2のハウジングシェル84とバスバー4との間でつなぎ留めて保持される。
【0091】
この目的で、第2のハウジング部品80の保護カラー96は、外向きフランジ108を有する。第2のハウジングシェル84は、そのハウジング開口部86において対応する内向きフランジ110を有する。フランジ108、110は、全ての摺動位置において少なくとも部分的に重なる。特に、内向きフランジ110の内径は、外向きフランジ108の外径以下である。さらに、内向きフランジ110の内径は、保護スリーブ100の外径よりも大きい。
【0092】
図3に示す接続アセンブリ2は、モジュールコネクタ1を有し、モジュールコネクタ1のバスバー4は、2つの端部14の各々において貫通開口部16を有する。さらに、端部14には各々、ねじガイド38、ねじ26、コンタクトブリッジ18およびコンタクトリング62が設けられる。特に、両方の端部14は、同一に適合される。
【0093】
接続アセンブリ2は、各電気モジュール10について、コンタクト要素112、およびそれぞれのねじ26のための相手側部品114をさらに備える。相手側部品114は、ねじシャフト28の雄ねじ30と相補的な雌ねじ118を有するねじ付きスリーブ116として適合される。
【0094】
コンタクト要素112は、ねじ26および相手側部品114が共に螺合されたときに、モジュールコネクタ1と導電可能に接触するように適合される。コンタクト要素112は、インターフェース64を形成するそれらの底面68においてそれぞれのコンタクトリング62に接触する。コンタクトリング62が設けられない場合、コンタクト要素112は、直接バスバー4またはコンタクトブリッジ18に接触してもよい。
【0095】
コンタクト要素112および相手側部品114の設置位置が規定された公称位置からずれた場合、ねじ26をコンタクトリング62と共に実際の設置位置に移動させることにより、この位置公差を補償することができる。必要な場合には、ねじガイド38が適正な位置に回転される。
【0096】
ねじ26およびコンタクトリング62は、ねじ26がそれぞれのねじ付きスリーブに完全に螺合するまで回転可能かつ摺動可能である。螺合後、結果として得られる摩擦力および形状接続が、回転の発生および摺動の発生を防止する。
【0097】
代替的に、バスバー4の端部14のうちの一方が、電気モジュール10のうちの一方に直接溶接、螺合、または他の方法で固定的に設置されてもよい(
図4参照)。この場合、接続アセンブリ2は、1つのコンタクト要素112、およびねじ26に対する1つの相手側部品114のみを必要とする。
【符号の説明】
【0098】
1 モジュールコネクタ
2 接続アセンブリ
4 バスバー
6 平坦面
8 バスバー平面
10 モジュール
12 バッテリモジュール
14 端部
16 貫通開口部
18 コンタクトブリッジ
20 開口部
22 部分
24 刻み
26 ねじ
28 ねじシャフト
30 雄ねじ
32 ねじ頭部
34 方向
36 方向
38 ねじガイド
40 孔
42 長円孔
44 長手方向
46 幅
48 矢印
50 矢印
52 部分
54 外側フランジ
56 部分
58 外殻面
60 肩部
62 コンタクトリング
64 インターフェース
66 相手側コンタクト
68 底面
70 端面
72 端面
74 リング開口部
76 ハウジング
78 ハウジング部品
80 ハウジング部品
82 ハウジングシェル
84 ハウジングシェル
86 ハウジング開口部
88 キャップ
90 中間リング
92 中間リング
94 保護カラー
96 保護カラー
98 保護スリーブ
100 保護スリーブ
102 回転軸
104 フランジ
106 フランジ
108 フランジ
110 フランジ
112 コンタクト要素
114 相手側部品
116 ねじ付きスリーブ
118 雌ねじ
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電気モジュール(10)を電気的に接続するためのモジュールコネクタ(1)であって、
前記モジュールコネクタ(1)は、バスバー(4)と、前記バスバー(4)に対して回転可能な少なくとも1つのねじ(26)と、前記バスバー(4)に対して回転可能な少なくとも1つのねじガイド(38)とを備え、
前記バスバー(4)は、バスバー平面(8)を画定する少なくとも1つの平坦面(6)を備え、
前記バスバー(4)の少なくとも1つの部分は、前記バスバー(4)を通して前記バスバー平面(8)に垂直に延びる貫通開口部(16)を備え、
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、少なくとも部分的に前記貫通開口部(16)に保持され、かつ前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、前記少なくとも1つのねじ(26)が少なくとも部分的に保持される、前記貫通開口部(16)に平行に延びる孔(40)を有し、
前記少なくとも1つのねじ(26)は、前記バスバー平面(8)に平行に摺動可能に前記貫通開口部(16)に保持されている、
モジュールコネクタ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)の前記孔(40)は、長手方向(44)が前記バスバー平面(8)に平行に延びる長円孔(42)である、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、前記バスバー(4)の前記少なくとも1つの平坦面(6)に支持されているフランジ形状部分(52)を備える、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、前記フランジ形状部分(52)とは反対の前記バスバー(4)の側において前記貫通開口部(16)から突出しない、
請求項3に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、円盤形状であるように適合されている、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項6】
前記モジュールコネクタ(1)は、中央開口部(20)を有する少なくとも1つのコンタクトブリッジ(18)を備え、前記少なくとも1つのコンタクトブリッジ(18)は、少なくとも部分的に前記バスバー(4)の前記貫通開口部(16)に押し込まれかつ/または溶接されており、
前記中央開口部(20)は、前記貫通開口部(16)に平行に延び、
前記少なくとも1つのねじガイド(38)は、少なくとも部分的に前記中央開口部(20)において回転可能に保持されている、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項7】
前記モジュールコネクタ(1)は、前記バスバー(4)に当接する少なくとも1つのコンタクトリング(62)を備え、
前記少なくとも1つのコンタクトリング(62)は、リング開口部(74)が前記少なくとも1つのねじガイド(38)の前記孔(40)と位置合わせされている、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンタクトリング(62)は、運動伝達可能に前記少なくとも1つのねじ(26)に接続されている、請求項7に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのねじ(26)は、雄ねじ(30)を有するねじシャフト(28)と、前記ねじシャフト(28)に固定されているねじ頭部(32)とを備え、
前記少なくとも1つのコンタクトリング(62)は、前記ねじ頭部(32)とは反対の前記バスバー(4)の側において前記ねじシャフト(28)に配置されている、
請求項7に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項10】
前記モジュールコネクタ(1)は、電気絶縁ハウジング(76)を備え、
前記電気絶縁ハウジング(76)において、前記バスバー(4)、前記少なくとも1つのねじ(26)、および前記少なくとも1つのねじガイド(38)が受け入れられている、
請求項1に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項11】
前記電気絶縁ハウジング(76)は、第1のハウジング部品(78)を備え、
前記第1のハウジング部品(78)は、前記少なくとも1つのねじ(26)に運動伝達可能に接続され、前記バスバー(4)に対して移動可能であり、前記少なくとも1つのねじ(26)の全ての摺動位置において前記電気絶縁ハウジング(76)の他の部分と共に前記バスバー(4)を覆うカバーを形成する、
請求項10に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項12】
前記第1のハウジング部品(78)は、保護カラー(94)を備え、
前記保護カラー(94)は、前記少なくとも1つのねじ(26)の周囲に延び、前記少なくとも1つのねじ(26)の全ての摺動位置において前記バスバー平面(8)に垂直に前記電気絶縁ハウジング(76)の他の部分と少なくとも部分的に重なる、
請求項11に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項13】
前記第1のハウジング部品(78)は、別個の構成要素として存在する、または前記少なくとも1つのねじ(26)上に成形されている、
請求項11に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項14】
前記電気絶縁ハウジング(76)は、第2のハウジング部品(80)を備え、
前記第2のハウジング部品(80)は、運動伝達可能に前記少なくとも1つのねじ(26)を介して前記第1のハウジング部品(78)に接続され、前記バスバー(4)に対して移動可能であり、前記バスバー(4)に対して前記第1のハウジング部品(78)とは反対側に配置されている、
請求項11に記載のモジュールコネクタ(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のモジュールコネクタ(1)と、コンタクト要素(112)と、前記少なくとも1つのねじ(26)のための相手側部品(114)とを有する接続アセンブリ(2)であって、
前記コンタクト要素(112)は、前記少なくとも1つのねじ(26)および前記相手側部品(114)が共に螺合した状態において前記モジュールコネクタ(1)と導電可能に接触するように適合されている、
接続アセンブリ(2)。
【外国語明細書】