(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075226
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01C 15/00 20060101AFI20240527BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20240527BHJP
A01C 19/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A01C15/00 G
A01C11/00 302
A01C19/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186507
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】木下 健朗
(72)【発明者】
【氏名】上田 光瑠
(72)【発明者】
【氏名】周防 僚太
(72)【発明者】
【氏名】山田 信芳
【テーマコード(参考)】
2B052
2B060
【Fターム(参考)】
2B052BC05
2B052BC08
2B052BC16
2B052EB12
2B060AA10
2B060BA04
2B060BB06
2B060CB03
(57)【要約】
【課題】 田植え機のような作業車両が、知られている。ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能がかくの如き作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。しかしながら、上述された従来の田植え機のような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 モーター500を利用して施肥駆動部600を駆動させることにより、施肥量が調節される施肥を行う施肥装置250を備えており、モーター500は、ギヤ機構700を介して、動力を施肥駆動部600へ伝達する田植え機である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター(500)を利用して施肥駆動部(600)を駆動させることにより、施肥量が調節される施肥を行う施肥装置(250)を備えており、
前記モーター(500)は、ギヤ機構(700)を介して、動力を前記施肥駆動部(600)へ伝達することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記ギヤ機構(700)は、前記モーター(500)のモーター駆動軸(510)へ取付けられたモーター駆動軸ギヤ(710)、および前記施肥駆動部(600)へ取付けられた施肥駆動部ギヤ(720)を有し、
前記施肥駆動部ギヤ(720)が前記モーター駆動軸ギヤ(710)と噛合する状態、および前記施肥駆動部ギヤ(720)が前記モーター駆動軸ギヤ(710)と噛合しない状態は、切換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
コントローラー(300)と、
前記施肥駆動部(600)の状態を検出する施肥駆動部状態センサー(610)と、
を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記施肥駆動部状態センサー(610)の検出に基づいて、前記動力が前記モーター(500)から伝達されているにもかかわらず前記施肥駆動部(600)が駆動していないと判断した場合において、警告を出力することを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
車速を検出する車速センサー(430)を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記車速センサー(430)の検出に基づいて、前記モーター(500)を制御することを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記モーター(500)は、前記動力を苗植付け装置(240)へも伝達し、
前記モーター(500)の電源として機能するバッテリ(830)は、前記モーター(500)とともにケース(840)の内部へ収納されており、
前記施肥量が調節される肥料は、ペースト肥料であり、
前記施肥駆動部(600)の駆動により前記施肥装置(250)から取出された前記肥料は、施肥セレクター(850)を介して、前記ケース(840)の前記内部を通過する第一の肥料経路(861)、および前記ケース(840)の前記内部を通過しない第二の肥料経路(862)の内の一方へ送出されることを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第一の肥料経路(861)は、前記ケース(840)の外部の下流側の肥料経路接続点(863)で前記第二の肥料経路(862)と接続されており、
前記苗植付け装置(240)および前記施肥装置(250)は、前記肥料経路接続点(863)の下流側へ設けられた施肥分配器(870)と接続されていることを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記ケース(840)の前記内部の温度を検出する第一の温度センサー(841)と、
前記施肥分配器(870)へ入る前記肥料の温度を検出する第二の温度センサー(871)と、
を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記第一の温度センサー(841)および前記第二の温度センサー(871)の検出に基づいて、前記施肥セレクター(850)の経路選択、および前記施肥分配器(870)の分配比率を決定することを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
田植え機のような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能がかくの如き作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来の田植え機のような作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、モーター(500)を利用して施肥駆動部(600)を駆動させることにより、施肥量が調節される施肥を行う施肥装置(250)を備えており、
前記モーター(500)は、ギヤ機構(700)を介して、動力を前記施肥駆動部(600)へ伝達することを特徴とする作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、前記ギヤ機構(700)は、前記モーター(500)のモーター駆動軸(510)へ取付けられたモーター駆動軸ギヤ(710)、および前記施肥駆動部(600)へ取付けられた施肥駆動部ギヤ(720)を有し、
前記施肥駆動部ギヤ(720)が前記モーター駆動軸ギヤ(710)と噛合する状態、および前記施肥駆動部ギヤ(720)が前記モーター駆動軸ギヤ(710)と噛合しない状態は、切換え可能であることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、コントローラー(300)と、
前記施肥駆動部(600)の状態を検出する施肥駆動部状態センサー(610)と、
を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記施肥駆動部状態センサー(610)の検出に基づいて、前記動力が前記モーター(500)から伝達されているにもかかわらず前記施肥駆動部(600)が駆動していないと判断した場合において、警告を出力することを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0010】
第4の本発明は、車速を検出する車速センサー(430)を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記車速センサー(430)の検出に基づいて、前記モーター(500)を制御することを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0011】
第5の本発明は、前記モーター(500)は、前記動力を苗植付け装置(240)へも伝達し、
前記モーター(500)の電源として機能するバッテリ(830)は、前記モーター(500)とともにケース(840)の内部へ収納されており、
前記施肥量が調節される肥料は、ペースト肥料であり、
前記施肥駆動部(600)の駆動により前記施肥装置(250)から取出された前記肥料は、施肥セレクター(850)を介して、前記ケース(840)の前記内部を通過する第一の肥料経路(861)、および前記ケース(840)の前記内部を通過しない第二の肥料経路(862)の内の一方へ送出されることを特徴とする第4の本発明の作業車両である。
【0012】
第6の本発明は、前記第一の肥料経路(861)は、前記ケース(840)の外部の下流側の肥料経路接続点(863)で前記第二の肥料経路(862)と接続されており、
前記苗植付け装置(240)および前記施肥装置(250)は、前記肥料経路接続点(863)の下流側へ設けられた施肥分配器(870)と接続されていることを特徴とする第5の本発明の作業車両である。
【0013】
第7の本発明は、前記ケース(840)の前記内部の温度を検出する第一の温度センサー(841)と、
前記施肥分配器(870)へ入る前記肥料の温度を検出する第二の温度センサー(871)と、
を備えており、
前記コントローラー(300)は、前記第一の温度センサー(841)および前記第二の温度センサー(871)の検出に基づいて、前記施肥セレクター(850)の経路選択、および前記施肥分配器(870)の分配比率を決定することを特徴とする第6の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0014】
第1の本発明により、使い勝手を向上することが可能である。
【0015】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手をさらに向上することが可能である。
【0016】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0017】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、利便性をさらに向上することが可能である。
【0018】
第5の本発明により、第4の本発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【0019】
第6の本発明により、第5の本発明の効果に加えて、構成をさらに簡素化することが可能である。
【0020】
第7の本発明により、第6の本発明の効果に加えて、作業者の負担を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
【
図2】(a)本発明における実施の形態の田植え機の電動施肥機の構成の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機の電動施肥機の構成の説明図(その二)
【
図3】(a)本発明における実施の形態の田植え機の電動施肥機の構成の説明図(その三)、(b)本発明における実施の形態の田植え機の電動施肥機の構成の説明図(その四)
【
図4】本発明における実施の形態の田植え機の電動施肥機の構成の説明図(その五)
【
図5】本発明における実施の形態の田植え機の電動植付け部およびいわゆるペースト施肥機付き田植え機バッテリ部の構成の説明図
【
図6】本発明における実施の形態の田植え機の株間補正機構の構成の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0024】
(1)はじめに、
図1を主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0025】
ここに、
図1は、本発明における実施の形態の田植え機の左側面図である。
【0026】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、コントローラー300などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0027】
本実施の形態の田植え機は、操舵装置230における手動操縦操作または自動操縦操作に基づいたコントローラー300の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で車体100を走行させながら、ローター261およびフロート262を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け具241を有する苗植付け装置240により圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0028】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250および整地装置260は、HSTを利用する主変速装置および副変速装置を有する変速機構を介して伝達されるエンジン210の動力などにより駆動される。
【0029】
施肥装置250は、モーター500を利用して施肥駆動部600を駆動させることにより、施肥量が調節される施肥を行う装置である。モーター500は、ギヤ機構700を介して、動力を施肥駆動部600へ伝達する。
【0030】
本実施の形態の田植え機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0031】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0032】
(2a)はじめに、
図2(a)および2(b)、3(a)および3(b)、ならびに4を主として参照しながら、電動施肥機の構成について具体的に説明する。
【0033】
ここに、
図2(a)および2(b)、3(a)および3(b)、ならびに4は、本発明における実施の形態の田植え機の電動施肥機の構成の説明図(その一から五)である。
【0034】
ギヤ機構700は、モーター500のモーター駆動軸510へ取付けられたモーター駆動軸ギヤ710、および施肥駆動部600へ取付けられた施肥駆動部ギヤ720を有する。施肥駆動部ギヤ720がモーター駆動軸ギヤ710と噛合する状態、および施肥駆動部ギヤ720がモーター駆動軸ギヤ710と噛合しない状態は、切換え可能である。
【0035】
施肥装置250について、施肥駆動部600のいわゆる施肥ロール駆動軸へ取付けられたカウンターギヤとして施肥駆動部ギヤ720を利用するギヤ機構700をモーター500と施肥駆動部600との間に設ける構成が考えられる。たとえば、ギヤ機構700のギヤ比がより大きくなるように変更されることにより、出力がより小さいモーター500が利用可能である。
【0036】
ピン孔抜差しが容易であるヘアピンとして差込まれたピン721が引抜かれることにより、施肥ロール駆動軸スライドがスムーズに行われ、施肥駆動部ギヤ720はいわゆるモーターギヤとしてモーター駆動軸510へ取付けられたモーター駆動軸ギヤ710から外れることができる。ピン孔差込みにともなうモーター駆動軸ギヤ710と施肥駆動部ギヤ720との間の駆動連繋が解消されるので、モーター500からの駆動力はオフされ、肥料繰出しハンドルとも呼ばれる施肥ハンドル722による施肥ロール駆動軸マニュアル回動を容易に行うことができる。
【0037】
施肥駆動部ギヤ720について、モーター500の駆動力伝達をオンオフすることができるスライド機構を採用する構成が考えられる。モーター500が肥料詰まりなどに起因する想定外の施肥ロール駆動軸負荷の印加にともなって駆動しないとき、後輪222のリヤケースからの駆動力を利用する構成においては施肥ハンドル722を手動で回動させて肥料詰まりを解消できるにもかかわらず、モーター駆動力を利用する構成においては、モーター駆動力伝達が常にオンであれば、施肥ハンドル722を回動させることができないことがあるが、モーター駆動力伝達が施肥駆動部ギヤ720のスライドによりオフされるので、過度な負荷がモーター500へ印加される緊急事態が発生しても、施肥ハンドル722を回動させることができる。
【0038】
施肥駆動部状態センサー610は、施肥駆動部600の状態を検出するセンサーである。コントローラー300は、施肥駆動部状態センサー610の検出に基づいて、動力がモーター500から伝達されているにもかかわらず施肥駆動部600が駆動していないと判断した場合において、警告を出力する。
【0039】
上述された態様において、施肥ロール駆動軸近接回転センサーとしての施肥駆動部状態センサー610を設けることにより、施肥ロール駆動が正常に行われていないことが検知された場合においては、警告メッセージのモニター表示を行う構成が考えられる。施肥駆動動作のトラブルの発生をユーザーに報知することができる。
【0040】
警告メッセージのモニター表示を行う代わりに、ブザー鳴動を行う構成も考えられる。
【0041】
上述された態様において、自動運転が行われているとき、施肥ロール駆動が正常に行われていないことが施肥駆動部状態センサー610を利用して検知された場合においては、車体100が停止する構成が考えられる。施肥が意図せず行われない作業区間の発生を抑制することができる。
【0042】
車速センサー430は、車速を検出するセンサーである。コントローラー300は、車速センサー430の検出に基づいて、モーター500を制御する。
【0043】
後輪回転センサーのような車速センサー430を利用して車速を判断し、施肥量をコントロールする構成が考えられる。施肥機駆動の電動化を促進することができる。
【0044】
後輪回転センサーを利用する代わりに、GNSSセンサーを利用する構成も考えられる。
【0045】
施肥ロール駆動回転速度が車速および施肥量と整合していないことが施肥駆動部状態センサー610を利用して検知された場合においては、警告メッセージをモニターに表示する構成が考えられる。施肥駆動動作のトラブルの発生をユーザーに報知することができる。
【0046】
(2b)つぎに、
図5を主として参照しながら、電動植付け部およびいわゆるペースト施肥機付き田植え機バッテリ部の構成について具体的に説明する。
【0047】
ここに、
図5は、本発明における実施の形態の田植え機の電動植付け部およびいわゆるペースト施肥機付き田植え機バッテリ部の構成の説明図である。
【0048】
図5において、たとえば、走行機構HST410およびトランスミッションケース420を介して行われる、エンジン210から前輪221および後輪222への動力伝達のための動力伝達系は太い実線で示されており、電力伝達系は細い実線で示されている。ケース840による防水部構成は、破線で示されている。CAN信号経路系は点線で示されており、第一の肥料経路861および第二の肥料経路862などを有する肥料経路系は一点鎖線で示されている。
【0049】
モーター500は、動力を苗植付け装置240へも伝達する。モーター500の電源として機能するバッテリ830は、モーター500とともにケース840の内部へ収納されている。施肥量が調節される肥料は、ペースト肥料である。施肥駆動部600の駆動により施肥装置250から取出された肥料は、施肥セレクター850を介して、ケース840の内部を通過する第一の肥料経路861、およびケース840の内部を通過しない第二の肥料経路862の内の一方へ送出される。
【0050】
ペースト施肥機付き田植え機の仕様において、作業機駆動モーターであるモーター500のモーター出力による制御駆動が苗植付け装置240の植付け部において行われ、そのようなモーター出力から分配された出力による制御駆動が、必要に応じてHSTなども利用することにより、施肥装置250のペースト施肥機ユニットにおいて行われる田植え機の構成が考えられる。ペースト施肥の構成を電装系の冷却に利用することができる。
【0051】
上述された態様において、苗植付け装置240の植付け部および施肥装置250のペースト施肥機ユニットを駆動するモーター500と、MDUとも呼ばれるモーター駆動ユニット520と、48V高圧バッテリである、モーター駆動のためのバッテリ830と、BMSとも呼ばれるバッテリマネジメントシステム832と、バッテリ給電のためのDC-DCコンバーター831と、を、防水性を有するケースである、ケース840に同梱する構成が考えられる。植付け部駆動に必要である電装系の全体的な防水を実現することができる。
【0052】
上述された態様において、ケース840の内部温度管理のための第一の温度センサー841をケース840の内部に配置する構成が考えられる。
【0053】
上述された態様において、モーター出力軸であるモーター駆動軸510はケース840の外部へ突出しており、ケース840との境界面に存在する隙間はシールされ、防水性が保たれる構成が考えられる。
【0054】
上述された態様において、48Vと異なる電圧の12V低圧バッテリである、ケース840の外部の補助バッテリ820からの給電がDC-DCコンバーター831を介してケース840の内部のバッテリ830へ行われ、補助バッテリ820はエンジン210により駆動されるジェネレーター810により充電される構成が考えられる。
【0055】
第一の肥料経路861は、ケース840の外部の下流側の肥料経路接続点863で第二の肥料経路862と接続されている。苗植付け装置240および施肥装置250は、肥料経路接続点863の下流側へ設けられた施肥分配器870と接続されている。
【0056】
上述された態様において、二系統の施肥ホース経路がペースト施肥機において設けられており、一方の施肥ホース経路である第二の肥料経路862はケース840の外部を通過し、他方の施肥ホース経路である第一の肥料経路861はケース840の内部を貫通し、第一の肥料経路861の施肥ホース内部をペースト肥料が通過することにより、ケース840の内部を冷却する構成が考えられる。
【0057】
上述された態様において、施肥装置250のペースト施肥機とケース840との間に施肥セレクター850を設け、いわゆる本機コントローラーとして機能するコントローラー300の制御により、ケース840の内部と外部との間でのペースト肥料経路切替えを行うことができる構成が考えられる。
【0058】
上述された態様において、ケース840の内部を通過するペースト施肥ホース経路である第一の肥料経路861と、ケース840の外部を通過するペースト施肥ホース経路である第二の肥料経路862と、の合流地点である肥料経路接続点863の下流側に第二の温度センサー871を設ける構成が考えられる。
【0059】
上述された態様において、苗植付け装置240の植付け部および施肥装置250の肥料タンクへ肥料を送り、たとえば、コントローラー300の制御により分配率を自由に変化させることができる施肥分配器870を肥料経路接続点863の下流側に配置する構成が考えられる。
【0060】
第一の温度センサー841は、ケース840の内部の温度を検出するセンサーである。第二の温度センサー871は、施肥分配器870へ入る肥料の温度を検出するセンサーである。コントローラー300は、第一の温度センサー841および第二の温度センサー871の検出に基づいて、施肥セレクター850の経路選択、および施肥分配器870の分配比率を決定する。
【0061】
上述された態様において、ケース840の内部の第一の温度センサー841の検出値、およびケース840の外部の第二の温度センサー871の検出値に応じて、施肥セレクター850によるペースト施肥経路の選択決定、および施肥分配器870の分配率を変化させる構成が考えられる。
【0062】
上述された態様において、第一の温度センサー841のための閾値T1[セルシウス度]および閾値T2[セルシウス度]がT1<T2であるように設けられており、第二の温度センサー871のための閾値T3[セルシウス度]が設けられており、第一の温度センサー841の検出値がT1未満であるとき、第二の温度センサー871の検出値がT3未満である場合においては、ケース840の内部を通過するペースト施肥ホース経路である第一の肥料経路861が選択される構成が考えられる。ケース840の内部温度および肥料温度が所定のレベルを超えないように制御される。
【0063】
上述された態様において、第一の温度センサー841の検出値がT1未満であるとき、第二の温度センサー871の検出値がT3以上である場合においては、ケース840の外部を通過するペースト施肥ホース経路である第二の肥料経路862が選択される構成が考えられる。
【0064】
上述された態様において、第一の温度センサー841の検出値がT1以上であるがT2未満であるとき、第二の温度センサー871の検出値がT3未満である場合においては、ケース840の内部を通過するペースト施肥ホース経路である第一の肥料経路861が選択される構成が考えられる。
【0065】
上述された態様において、第一の温度センサー841の検出値がT1以上であるがT2未満であるとき、第二の温度センサー871の検出値がT3以上である場合においては、ケース840の内部を通過するペースト施肥ホース経路である第一の肥料経路861が選択されるとともに、モーター500の回転数が増加させられて施肥分配器870の肥料タンクリターン率が増加させられることにより、ケース840の内部の施肥流量が増加させられ、ケース840の内部温度の上昇がオペレーターへ報知される構成が考えられる。
【0066】
上述された態様において、第一の温度センサー841の検出値がT2以上であるとき、植付け部機能および施肥機機能が停止されるとともに、ケース840の内部温度の上昇に起因するモーター500の不具合にともなうエラーの発生がオペレーターへ報知される構成が考えられる。
【0067】
上述された態様において、植付け作業が行われるとき、作業機駆動のためのモーター500の回転速度は所定のレベルを超えるように制御され、モーター回転状態が植付け機構HST状態センサー881により検出される植付け機構HST880、および施肥分配器870がコントローラー300などにより制御されることにより、植付け部回転速度および施肥量が目標値と一致するように制御される構成が考えられる。植付け作業が行われるとき、モーター500の回転速度は常に所定のレベルを超えるように制御されるので、車速が変動している場合においても、即応性が向上されてペースト施肥循環による冷却効果の向上が期待される。
【0068】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0069】
図6を主として参照しながら、株間補正機構の構成について具体的に説明する。
【0070】
ここに、
図6は、本発明における実施の形態の田植え機の株間補正機構の構成の説明図である。
【0071】
図6において、エンジン210からの入力は矢印で示されている。
【0072】
<株間補正機構の構成(1)>
いわゆる株間ギヤの上流側に配置された内歯車を有する遊星歯車機構1005、および株間モーター1001を利用する回転速度調節による株間補正機構を採用する田植え機の構成が考えられる。HSTを利用して植付け部回転速度を調節することにより、いわゆる株間キープを実現する構成も考えられるが、遊星歯車機構1005および株間モーター1001を利用する簡易な機構で、大きなスペースを必要とすることなく、植付け部回転速度を調節することができる。
【0073】
<株間補正機構の構成(2)>
<株間補正機構の構成(1)>の構成において、太陽ギヤ部1002の太陽ギヤを通常は固定して内歯車および遊星キャリヤをそれぞれ入出力部として機能させ、そのような太陽ギヤは株間モーター1001によって回転することにより出力速度を減速する構成が考えられる。
【0074】
<株間補正機構の構成(3)>
<株間補正機構の構成(2)>の構成において、遊星キャリヤは中空構造であり、外側はギヤとなっており、遊星歯車機構1005が別のギヤと噛合っている構成が考えられる。
【0075】
<株間補正機構の構成(4)>
<株間補正機構の構成(2)>の構成において、太陽ギヤ部1002の株間モーター1001は回転速度およびモーター位相をコントロールすることができる構成が考えられる。
【0076】
<株間補正機構の構成(5)>
<株間補正機構の構成(3)>の構成において、遊星キャリヤと噛合っている別のギヤからの出力が、不等速ギヤを含むギヤボックス1004へ入力され、ギヤボックス出力が植付け部駆動に利用される構成が考えられる。
【0077】
<株間補正機構の構成(6)>
<株間補正機構の構成(5)>の構成において、不等速ギヤを含むギヤボックス1004の出力部に回転速度を検出する第一の近接センサー1003aを近接センサーギヤとともに設ける構成が考えられる。
【0078】
<株間補正機構の構成(7)>
<株間補正機構の構成(5)>の構成において、不等速ギヤを含むギヤボックス1004の変速状態を検知するセンサーを搭載し、ギヤボックス1004の入出力比を判別する構成が考えられる。汎用の株間切替えレバー部構成と同じ構成を利用することができる。
【0079】
<株間補正機構の構成(8)>
<株間補正機構の構成(6)>および<株間補正機構の構成(7)>の構成において、ギヤボックス1004の入出力比、ギヤボックス1004の出力回転数、および後輪の回転数から、ギヤボックス1004のギヤボックス出力軸の目標回転速度を算出する構成が考えられる。
【0080】
<株間補正機構の構成(9)>
<株間補正機構の構成(8)>の構成において、GNSSアンテナなどのセンサーを利用して車体100のスリップ率検出を行った場合においては、目標回転速度にスリップ率分の補正を加えた値を現在のギヤボックス出力軸の回転速度として採用する構成が考えられる。
【0081】
<株間補正機構の構成(10)>
<株間補正機構の構成(9)>の構成において、現在のギヤボックス出力軸の回転速度が目標回転速度に一致するように、太陽ギヤ部1002の株間モーター1001の回転速度を調節し、スリップによる株間補正を行う構成が考えられる。
【0082】
<株間補正機構の構成(11)>
<株間補正機構の構成(10)>の構成において、第二の近接センサー1003bをギヤボックス出力軸へ取付けられたいわゆる一歯欠きのギヤとともに配置し、植付けが停止された場合においては、ギヤボックス出力軸が目標位相に一致するまで株間モーター1001を回転させる構成が考えられる。植込み杆の位相合わせを実現することができる。
【0083】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0084】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0085】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0086】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0087】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0088】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0089】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0090】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明における作業車両は、使い勝手を向上することができ、田植え機のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0092】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操舵装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
250 施肥装置
260 整地装置
261 ローター
262 フロート
300 コントローラー
410 走行機構HST
420 トランスミッションケース
430 車速センサー
500 モーター
510 モーター駆動軸
520 モーター駆動ユニット
600 施肥駆動部
610 施肥駆動部状態センサー
700 ギヤ機構
710 モーター駆動軸ギヤ
720 施肥駆動部ギヤ
721 ピン
722 施肥ハンドル
810 ジェネレーター
820 補助バッテリ
830 バッテリ
831 DC-DCコンバーター
832 バッテリマネジメントシステム
840 ケース
841 第一の温度センサー
850 施肥セレクター
861 第一の肥料経路
862 第二の肥料経路
863 肥料経路接続点
870 施肥分配器
871 第二の温度センサー
880 植付け機構HST
881 植付け機構HST状態センサー
1001 株間モーター
1002 太陽ギヤ部
1003a 第一の近接センサー
1003b 第二の近接センサー
1004 ギヤボックス
1005 遊星歯車機構