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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075237
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20240527BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D23/00 305G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186522
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】氏田 慶彦
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA05
3L045AA07
3L045BA01
3L045DA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】本実施形態は、接続線の使用量を低減することにより断熱性能の向上およびノイズの抑制を図ることができ、また、接続線の長さを短くすることにより制御の応答性向上を図ることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る冷蔵庫は、負荷を制御するための制御基板として第1制御基板および第2制御基板を備え、前記負荷は、前記第1制御基板ではなく前記第2制御基板に接続され、前記第2制御基板は、前記第1制御基板に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を制御するための制御基板として第1制御基板および第2制御基板を備え、
前記負荷は、前記第1制御基板ではなく前記第2制御基板に接続され、
前記第2制御基板は、前記第1制御基板に接続されている冷蔵庫。
【請求項2】
前記第2制御基板として、
前記負荷の動作を制御するための動作制御用基板と、
前記負荷への電力の供給を制御するための電力供給制御用基板と、
を、それぞれ独立した基板として備えている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1制御基板と前記第2制御基板との間、および、複数の前記第2制御基板の間で電力線通信が可能である請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記電力供給制御用基板は、前記第1制御基板および他の前記第2制御基板のうち少なくとも何れか一方の制御基板との間で電力線通信が可能である請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記負荷として、貯蔵室扉を開く開扉装置を備え、
前記動作制御用基板は、前記開扉装置の動作を制御する開扉装置向け動作制御用基板であり、
前記電力供給制御用基板は、前記開扉装置への電力の供給を制御する開扉装置向け電力供給制御用基板であり、
前記開扉装置向け電力供給制御用基板は、前記開扉装置向け動作制御用基板よりも前記開扉装置に近い位置に配置されている請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記負荷として、冷凍サイクルを構成する圧縮機を備え、
前記動作制御用基板は、前記圧縮機の動作を制御する圧縮機向け動作制御用基板であり、
前記電力供給制御用基板は、前記圧縮機への電力の供給を制御する圧縮機向け電力供給制御用基板であり、
前記圧縮機向け電力供給制御用基板は、前記圧縮機向け動作制御用基板よりも前記圧縮機に近い位置に配置されている請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記負荷として、冷凍サイクルを構成する圧縮機を備え、
前記第2制御基板として、
前記圧縮機を制御する圧縮機向け第2制御基板と、
前記圧縮機以外の負荷を制御する非圧縮機向け第2制御基板と、
を備え、
前記圧縮機向け第2制御基板および前記非圧縮機向け第2制御基板は、それぞれ左右方向において異なる側に配置されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記負荷として、冷凍サイクルを構成する圧縮機を備え、
前記第2制御基板として、
前記圧縮機を制御する圧縮機向け第2制御基板と、
前記圧縮機以外の負荷を制御する非圧縮機向け第2制御基板と、
を備え、
前記圧縮機向け第2制御基板と前記非圧縮機向け第2制御基板との間を接続する接続線は、複数の貯蔵室の間を仕切る仕切り壁を通過している請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように冷蔵庫には、例えば、ファンや圧縮機などといった各種の負荷が搭載されている。これら各種の負荷は、それぞれ冷蔵庫の制御基板に接続され、その動作が当該制御基板によって制御される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-76322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成よれば、各種の負荷を1つの制御基板により集中して制御することができる。しかしながら、各種の負荷は、冷蔵庫の各所に分散して配置されており、従って、各種の負荷と制御基板との間を接続する接続線の使用量が多くなってしまう傾向がある。接続線の使用量が多いと、接続線により断熱材を配置できない箇所が多くなり断熱性能が低下するという問題がある。また、接続線から発生するノイズが大きくなるという問題もある。また、制御基板から遠い位置に配置されている負荷については、制御基板との間の接続線が長くなることから、制御の応答性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本実施形態は、接続線の使用量を低減することにより断熱性能の向上およびノイズの抑制を図ることができ、また、接続線の長さを短くすることにより制御の応答性向上を図ることができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る冷蔵庫は、負荷を制御するための制御基板として第1制御基板および第2制御基板を備え、前記負荷は、前記第1制御基板ではなく前記第2制御基板に接続され、前記第2制御基板は、前記第1制御基板に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す正面図
図2】本実施形態に係る冷蔵庫における各種の制御基板および負荷の配置位置関係の一例を概念的に示す背面図
図3】本実施形態に係る冷蔵庫における各種の制御基板および負荷の配置位置関係の一例を概念的に示す平面図
図4】本実施形態の変形例に係る冷蔵庫の要部の構成例を概略的に示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する冷蔵庫10は、その外郭を構成する矩形箱状の断熱箱体11の内部に複数の貯蔵室12,13,14,15,16を備えている。貯蔵室12,13,14,15,16の内部には、例えば食品類などといった各種の貯蔵物を貯蔵することが可能である。詳しい図示は省略するが、断熱箱体11は、内箱と外箱との間に断熱材を備えた構成である。断熱箱体11を構成する断熱材としては、例えば、真空断熱パネル、発泡ウレタン、断熱性材料を成形した断熱成形体など、種々の断熱材を適用することができる。
【0009】
貯蔵室12は、この場合、冷蔵温度帯に維持される冷蔵室である。以下、貯蔵室12を「冷蔵室12」と称する場合がある。貯蔵室13は、この場合、冷蔵温度帯に維持される野菜室である。以下、貯蔵室13を「野菜室13」と称する場合がある。貯蔵室14は、この場合、冷凍温度帯に維持される製氷室である。以下、貯蔵室14を「製氷室14」と称する場合がある。貯蔵室15は、この場合、冷凍温度帯に維持される小冷凍室である。以下、貯蔵室15を「小冷凍室15」と称する場合がある。貯蔵室16は、この場合、冷凍温度帯に維持される大冷凍室である。以下、貯蔵室16を「大冷凍室16」と称する場合がある。
【0010】
冷蔵室12は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も上部に設けられた貯蔵室となっている。そして、野菜室13は、この冷蔵室12の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11の上下方向における中央部に位置して設けられている。そして、製氷室14と小冷凍室15は、この野菜室13の下側に設けられており、且つ、断熱箱体11内において冷蔵庫10の横方向に沿って並んでいる。また、大冷凍室16は、断熱箱体11内において製氷室14および小冷凍室15の下側に設けられている。また、大冷凍室16は、冷蔵庫10が備える複数の貯蔵室12,13,14,15,16のうち最も下部に設けられた貯蔵室となっている。
【0011】
冷蔵室12の前面開口部は、左右方向に回動可能である貯蔵室扉、いわゆる観音開き式の2つの冷蔵室扉12D[L],12D[R]によって開閉されるようになっている。また、野菜室13の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の野菜室扉13Dによって開閉されるようになっている。また、製氷室14の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の製氷室扉14Dによって開閉されるようになっている。また、小冷凍室15の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の小冷凍室扉15Dによって開閉されるようになっている。また、大冷凍室16の前面開口部は、前後方向に移動可能である貯蔵室扉、いわゆる引き出し式の大冷凍室扉16Dによって開閉されるようになっている。
【0012】
冷蔵室12は、その内部に冷気ダクト12Aを備えている。冷気ダクト12Aは、冷蔵室12内の後面に設けられている。冷気ダクト12Aは、冷蔵室12内の後部において左右方向における概ね中央部に位置している。冷気ダクト12Aは、冷蔵室12内の後部において上下方向に延びている。
【0013】
冷蔵庫10は、自動開扉装置21を備えている。自動開扉装置21は、開扉装置の一例であり、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開く自動開扉動作を実行可能に構成されている。自動開扉装置21は、例えば冷蔵室扉12D[L],12D[R]の前面に設けられている図示しないタッチボタンが操作されると、図示しないソレノイドを駆動して冷蔵室扉12D[L],12D[R]を前方に押し出す。これにより、自動開扉装置21は、冷蔵室扉12D[L],12D[R]を自動的に開放させる構成となっている。
【0014】
自動開扉装置21は、断熱箱体11の上面の前部に配置されている。冷蔵庫10は、2つの冷蔵室扉12D[L],12D[R]にそれぞれ対応する2つの自動開扉装置21を備えている。2つの自動開扉装置21は、断熱箱体11の上面の前部のうち左右方向における概ね中央部に配置されている。2つの自動開扉装置21は、それぞれ、閉扉状態にある冷蔵室扉12D[L],12D[R]の回動自由端部の後部に対向する位置に配置されている。
【0015】
冷蔵庫10は、断熱箱体11の後部の下部に設けられている機械室内に圧縮機22を備えている。圧縮機22は、図示しない放熱器、絞り器、冷蔵用冷却器、冷凍用冷却器などとともに周知の冷凍サイクルを構成している。この冷凍サイクルにおいて圧縮機22が駆動されることにより冷媒が循環すると、冷蔵用冷却器および冷凍用冷却器において冷気が生成される。そして、生成した冷気は、後述するファン23,24の送風作用により、それぞれ貯蔵室12,13,14,15,16内に適宜供給される。これにより、複数の貯蔵室12,13,14,15,16内の冷却が行われる。
【0016】
次に、冷蔵庫10の制御系の構成例について詳細に説明する。図2に例示するように、冷蔵庫10は、自動開扉装置21、圧縮機22、ファン23,24を負荷として備えている。また、冷蔵庫10は、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26、冷凍用温度センサ27、三方弁28などといった各種の負荷を備えている。自動開扉装置21は、断熱箱体11の上部領域に、ファン23、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26は、断熱箱体11の上下方向における概ね中央領域に、ファン24、冷凍用温度センサ27、三方弁28は、断熱箱体11の上下方向における概ね中央部よりも下側領域に、圧縮機22は、断熱箱体11の下部領域に、それぞれ分散して配置されている。
【0017】
ファン23は、冷蔵温度帯に冷却される冷蔵室12内や野菜室13内に冷気を供給するための冷蔵用ファンである。一方、ファン24は、冷凍温度帯に冷却される製氷室14内、小冷凍室15内、大冷凍室16内に冷気を供給するための冷凍用ファンである。
【0018】
チルド室用照明装置25は、例えばLED(Light Emitting Diode)などといった光源を備えており、冷蔵室12内に形成されている図示しないチルド室内を照明する装置である。チルド室は、例えば、冷蔵室12内の下部に設けられている。
【0019】
冷蔵用温度センサ26は、図示しない冷蔵用冷却器の温度、換言すれば、冷蔵温度帯に冷却される貯蔵室12,13内に供給される冷気の温度を検知可能に構成されている。一方、冷凍用温度センサ27は、図示しない冷凍用冷却器の温度、換言すれば、冷凍温度帯に冷却される貯蔵室14,15,16内に供給される冷気の温度を検知可能に構成されている。
【0020】
三方弁28は、上述した冷凍サイクルにおける冷媒の流れを冷蔵用冷却器側および冷凍用冷却器側に適宜切り換え可能に構成されている。
【0021】
冷蔵庫10は、上述したような各種の負荷を制御するための制御基板としてマスタ制御基板100およびスレーブ制御基板200を備えている。本開示において、冷蔵庫10は、1つのマスタ制御基板100を備えている。また、本開示において、冷蔵庫10は、複数、この場合、少なくとも3つのスレーブ制御基板200A,200B,200Cを備えている。マスタ制御基板100および複数のスレーブ制御基板200A,200B,200Cには、それぞれPLCコントローラ300が備えられている。PLCコントローラ300は、いわゆる電力線通信(PLC:Power Line Communication)を制御可能に構成されている。
【0022】
マスタ制御基板100は、第1制御基板の一例である。本開示において、マスタ制御基板100は、断熱箱体11の背面部のうち上下方向における中央部よりも上側に配置されている。また、マスタ制御基板100は、冷蔵庫10を正面側から見た場合において左右方向における中央部よりも左側に配置されている。マスタ制御基板100は、スレーブ制御基板200A,200B,200Cを介して各種の負荷を間接的に制御し、これにより、冷蔵庫10の動作全般を管理したり制御したりする制御基板である。マスタ制御基板100には、各種の負荷が接続されていない。マスタ制御基板100には、PLC接続線400Aを介してスレーブ制御基板200Aが接続されている。マスタ制御基板100には、PLC接続線400Bを介してスレーブ制御基板200Bが接続されている。PLC接続線400AとPLC接続線400Bの長さは異なっており、この場合、PLC接続線400Bは、PLC接続線400Aよりも短くなっている。
【0023】
スレーブ制御基板200A,200B,200Cは、何れも第2制御基板および動作制御用基板の一例である。スレーブ制御基板200A,200B,200Cは、何れも、主として負荷の動作を直接制御するための制御基板として備えられている。
【0024】
スレーブ制御基板200Aは、この場合、断熱箱体11の背面部のうち上下方向における概ね中央部に配置されている。また、スレーブ制御基板200Aは、マスタ制御基板100の下方に配置されている。また、スレーブ制御基板200Aは、冷蔵庫10を正面側から見た場合において左右方向における中央部よりも左側に配置されている。また、スレーブ制御基板200Aは、冷蔵庫10を正面側から見た場合において冷気ダクト12Aの左側に位置している。
【0025】
スレーブ制御基板200Aには、制御対象である負荷として冷蔵用ファン23、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26が接続されている。冷蔵用ファン23、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26は、それぞれ通常接続線500を介してスレーブ制御基板200Aに接続されている。通常接続線500は、主として通信機能を担うものであり、電力供給の機能を備えていない。冷蔵用ファン23、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26への電力供給は、通常接続線500とは別の線である図示しない電力供給線により行われる。スレーブ制御基板200Aには、PLC通信線400Cを介してスレーブ制御基板200Cが接続されている。
【0026】
スレーブ制御基板200Cは、この場合、断熱箱体11の背面部のうち上下方向における中央部よりも下側に配置されている。また、スレーブ制御基板200Cは、冷蔵庫10を正面側から見た場合において左右方向における中央部よりも右側に配置されている。
【0027】
スレーブ制御基板200Cには、制御対象である負荷として冷凍用ファン24、冷凍用温度センサ27、三方弁28が接続されている。冷凍用ファン24、冷凍用温度センサ27、三方弁28は、それぞれ通常接続線600を介してスレーブ制御基板200Cに接続されている。通常接続線600は、主として通信機能を担うものであり、電力供給の機能を備えていない。冷凍用ファン24、冷凍用温度センサ27、三方弁28への電力供給は、通常接続線600とは別の線である図示しない電力供給線により行われる。スレーブ制御基板200Cは、圧縮機22の動作を制御する圧縮機向け動作制御用基板の一例としても定義することができる。スレーブ制御基板200Cには、PLC通信線400Dを介してインバータ基板200Dが接続されている。
【0028】
インバータ基板200Dは、第2制御基板および電力供給制御用基板の一例である。インバータ基板200Dは、負荷の一例である圧縮機22への電力の供給を制御するための制御基板として備えられている。また、インバータ基板200Dは、圧縮機22への電力の供給を制御する圧縮機向け電力供給制御用基板の一例としても定義することができる。インバータ基板200DもPLCコントローラ300を備える構成とするとよい。
【0029】
インバータ基板200Dは、接続線類を介することなく圧縮機22に直接接続されており、圧縮機22への電力の供給を制御する。スレーブ制御基板200Cおよびインバータ基板200Dは、それぞれ独立した別個の制御基板として備えられている。また、インバータ基板200Dは、スレーブ制御基板200Cよりも圧縮機22に近い位置に配置されている。
【0030】
図3に例示するように、スレーブ制御基板200Bは、この場合、断熱箱体11の上面において2つの自動開扉装置21の間に配置されている。スレーブ制御基板200Bは、自動開扉装置21の動作を制御する開扉装置向け動作制御用基板の一例としても定義することができる。スレーブ制御基板200Bには、PLC通信線400Eを介してインバータ基板200Eが接続されている。
【0031】
インバータ基板200Eは、第2制御基板および電力供給制御用基板の一例である。インバータ基板200Eは、負荷の一例である自動開扉装置21への電力の供給を制御するための制御基板として備えられている。また、インバータ基板200Eは、自動開扉装置21への電力の供給を制御する開扉装置向け電力供給制御用基板の一例としても定義することができる。インバータ基板200EもPLCコントローラ300を備える構成とするとよい。
【0032】
インバータ基板200Eは、接続線類を介することなく自動開扉装置21に直接接続されており、自動開扉装置21への電力の供給を制御する。スレーブ制御基板200Bおよびインバータ基板200Eは、それぞれ独立した別個の制御基板として備えられている。また、インバータ基板200Eは、スレーブ制御基板200Bよりも自動開扉装置21に近い位置に配置されている。
【0033】
以上のように構成される冷蔵庫10においては、スレーブ制御基板200Aは、自動開扉装置21および圧縮機22以外の負荷を制御する非自動開扉装置向け第2制御基板および非圧縮機向け第2制御基板の一例として定義することができる。スレーブ制御基板200Bは、自動開扉装置21を制御する自動開扉装置向け第2制御基板の一例として定義することができる。スレーブ制御基板200Cは、圧縮機22を制御する圧縮機向け第2制御基板の一例として定義することができる。
【0034】
そして、冷蔵庫10においては、スレーブ制御基板200Aおよびスレーブ制御基板200Cは、それぞれ冷蔵庫10の左右方向において異なる側に分散して配置された構成となっている。即ち、冷蔵庫10を正面側から見た場合において、スレーブ制御基板200Aは、冷蔵庫10の左右方向における中央部よりも左側に配置され、一方、スレーブ制御基板200Cは、冷蔵庫10の左右方向における中央部よりも右側に配置されている。
【0035】
また、上述したPLC接続線400A,400B,400C,400D,400Eは、何れも、いわゆる電力線通信が可能な接続線であり、つまり、電力供給線を通信線としても利用可能な構成となっている。
【0036】
PLC接続線400A,400Bは、第1制御基板の一例であるマスタ制御基板100と第2制御基板の一例であるスレーブ制御基板200A,200Bとの間において電力線通信が可能な接続線となっている。
【0037】
PLC通信線400Cは、何れも第2制御基板の一例である2つのスレーブ制御基板200A,200Cの間において電力線通信が可能な接続線となっている。
【0038】
PLC通信線400Dは、何れも第2制御基板の一例であるスレーブ制御基板200Cとインバータ基板200Dとの間において電力線通信が可能な接続線となっている。即ち、インバータ基板200Dは、他の第2制御基板の一例であるスレーブ制御基板200Cとの間において電力線通信が可能である。
【0039】
PLC通信線400Eは、何れも第2制御基板の一例であるスレーブ制御基板200Bとインバータ基板200Eとの間において電力線通信が可能な接続線となっている。即ち、インバータ基板200Eは、他の第2制御基板の一例であるスレーブ制御基板200Bとの間において電力線通信が可能である。
【0040】
なお、インバータ基板200D,200Eは、第1制御基板の一例であるマスタ制御基板100との間において電力線通信が可能な接続形態としてもよい。また、インバータ基板200D,200Eは、第1制御基板および他の第2制御基板のうち少なくとも何れか一方の制御基板との間において電力線通信が可能な接続形態としてもよい。
【0041】
以上に例示した冷蔵庫10によれば、負荷を制御するための制御基板としてマスタ制御基板100および複数のスレーブ制御基板200A,200B,200Cを備えている。そして、負荷の一例である冷蔵用ファン23、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26は、マスタ制御基板100ではなくスレーブ制御基板200Aに接続され、負荷の一例である自動開扉装置21は、マスタ制御基板100ではなくスレーブ制御基板200Bに接続され、負荷の一例である冷凍用ファン24、冷凍用温度センサ27、三方弁28は、マスタ制御基板100ではなくスレーブ制御基板200Cに接続され、負荷の一例である圧縮機22は、マスタ制御基板100ではなくスレーブ制御基板200Cに接続されている。そして、複数のスレーブ制御基板200A,200B,200Cのうち少なくともスレーブ制御基板200A,200Bは、マスタ制御基板100に直接的に接続されており、スレーブ制御基板200Cは、スレーブ制御基板200Aを介してマスタ制御基板100に間接的に接続されている。
【0042】
即ち、冷蔵庫10は、各所に分散配置されている負荷の近傍にスレーブ制御基板200A,200B,200Cを配置し、これらスレーブ制御基板200A,200B,200Cに各種の負荷を接続するように構成した。そして、これらスレーブ制御基板200A,200B,200Cを直接的に、あるいは、間接的にマスタ制御基板100に接続するように構成した。このように構成される冷蔵庫10によれば、各種の負荷を1つのマスタ制御基板100に直接接続する従来構成に比べ、接続線の使用量つまり冷蔵庫10に使用される接続線の総量を低減することができる。そして、接続線の使用量を低減することにより断熱性能の向上およびノイズの抑制を図ることができ、また、接続線の長さを短くすることにより制御の応答性向上を図ることができる。
【0043】
冷蔵庫10によれば、マスタ制御基板100には負荷を接続しない構成としているので、負荷の数が増加したとしてもマスタ制御基板100の大型化を回避することができる。また、冷蔵庫10によれば、各所に分散して配置した複数のスレーブ制御基板200A,200B,200Cに複数の負荷を分散して接続した構成としている。そのため、負荷の数が増加したとしてもスレーブ制御基板200A,200B,200Cのうち特定のスレーブ制御基板に多数の負荷が集中して接続されることを回避することができ、従って、スレーブ制御基板200A,200B,200Cの大型化も回避することができる。
【0044】
冷蔵庫10によれば、自動開扉装置21の動作を制御するためのスレーブ制御基板200Bと、自動開扉装置21への電力の供給を制御するためのインバータ基板200Eとを、それぞれ独立した基板として備えている。また、冷蔵庫10によれば、圧縮機22の動作を制御するためのスレーブ制御基板200Cと、圧縮機22への電力の供給を制御するためのインバータ基板200Dとを、それぞれ独立した基板として備えている。
【0045】
この構成例によれば、スレーブ制御基板200B,200Cから発生するノイズのインバータ基板200D,200Eに対する影響、あるいは、インバータ基板200D,200Eから発生するノイズのスレーブ制御基板200B,200Cに対する影響を抑制することができる。これにより、スレーブ制御基板200B,200Cによる負荷の動作制御、および、インバータ基板200D,200Eによる電力の供給制御を、ノイズの影響が抑制された状態で行うことができる。
【0046】
冷蔵庫10によれば、マスタ制御基板100とスレーブ制御基板200A,200Bとの間、および、複数のスレーブ制御基板200A,200Cの間で電力線通信が可能である。また、冷蔵庫10によれば、インバータ基板200Dは、スレーブ制御基板200Cとの間で電力線通信が可能である。また、冷蔵庫10によれば、インバータ基板200Eは、スレーブ制御基板200Bとの間で電力線通信が可能である。
【0047】
即ち、冷蔵庫10によれば、制御基板100,200A,200B,200C,200D,200E間の各所において、電力線通信、つまり、電力供給線を通信線としても利用可能な構成となっている。従って、電力供給線および通信線を別個独立して備える従来構成に比べ、接続線の使用量を一層低減することができる。
【0048】
冷蔵庫10によれば、インバータ基板200Eは、スレーブ制御基板200Bよりも自動開扉装置21に近い位置に配置されている。この構成例によれば、インバータ基板200Eが生成する電力を自動開扉装置21に迅速に供給することができ、自動開扉装置21の応答性を一層向上することができる。
【0049】
冷蔵庫10によれば、インバータ基板200Dは、スレーブ制御基板200Cよりも圧縮機22に近い位置に配置されている。この構成例によれば、インバータ基板200Dが生成する電力を圧縮機22に迅速に供給することができ、圧縮機22の応答性を一層向上することができる。
【0050】
冷蔵庫10によれば、マスタ制御基板100およびスレーブ制御基板200Aは、冷蔵庫10を正面側から見た場合において左右方向における中央部よりも左側に配置されており、一方、スレーブ制御基板200Cおよびインバータ基板200Dは、冷蔵庫10を正面側から見た場合において左右方向における中央部よりも右側に配置されている。
【0051】
この構成例によれば、特にマスタ制御基板100およびスレーブ制御基板200Aとインバータ基板200Dとの間の距離を十分に長く確保することができ、インバータ基板200Dからマスタ制御基板100やスレーブ制御基板200Aへの電磁的ノイズの影響を抑制することができる。また、このように複数の制御基板を、それぞれ左右方向において異なる側に配置することにより、冷蔵庫10の各所に分散して設けられている各種の負荷に極力近い位置に制御基板を配置することができ、接続線の使用量を一層低減することができる。
【0052】
なお、図4に例示するように、スレーブ制御基板200Aとスレーブ制御基板200Cとの間を接続するPLC通信線400Cは、複数の貯蔵室、この場合、製氷室14あるいは小冷凍室15と大冷凍室16との間を仕切る仕切り壁11Sを通過するように配置してもよい。この場合、仕切り壁11Sの上側に位置する製氷室14あるいは小冷凍室15、および、仕切り壁11Sの下側に位置する大冷凍室16は、何れも冷凍温度帯に冷却される貯蔵室であり、従って、冷凍温度帯の貯蔵室間を仕切る仕切り壁11Sについては、それほど断熱性能を高める必要はない。そのため、仮に仕切り壁11Sに通信線を通過させることに伴い当該仕切り壁11Sの断熱性能が低下したとしても、製氷室14、小冷凍室15、大冷凍室16の冷却に大きな影響は発生しないため、仕切り壁11SにPLC通信線400Cを通過させた構成とすることが許容される。そして、このように仕切り壁11SにPLC通信線400Cを通過させることにより、仕切り壁11Sを迂回してPLC通信線400Cを配線する構成に比べ、PLC通信線400Cを短くすることができ、接続線の使用量低減に一層貢献することができる。
【0053】
なお、冷蔵庫10は、冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室の間を仕切る仕切り壁に接続線を通過させたり、冷蔵温度帯の貯蔵室間を仕切る仕切り壁に接続線を通過させたりした構成としてもよい。この場合、接続線の通過に伴う仕切り壁の断熱性能の低下に十分に配慮し、例えば、接続線が通過する部分に配置する断熱材を多くしたり、当該部分に断熱材を追加したりすることにより、断熱性能の低下を補うようにするとよい。
【0054】
本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形や拡張を行うことができる。例えば、マスタ制御基板100、スレーブ制御基板200A,200B,200C、インバータ基板200D,200Eは、相互に無線通信可能に接続されていてもよい。
【0055】
冷蔵庫10は、図示しない機械室内に設けられている負荷については、マスタ制御基板100から当該負荷までをPLC接続線で接続し、図示しない機械室以外に設けられている負荷については、マスタ制御基板100から当該負荷までを通常接続線で接続した構成としてもよい。
【0056】
冷蔵庫10は、マスタ制御基板とスレーブ制御基板との間、複数のスレーブ制御基板の間、スレーブ制御基板とインバータ基板との間における接続を、それぞれ異なる接続線で接続した構成としてもよい。
【0057】
接続線は、例えば13.7ボルトおよびグランドの2線からなる接続線であってもよいし、調歩同期方式によるUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)を含む4線からなる接続線であってもよいし、その他の接続線であってもよい。
【0058】
負荷は、上述した自動開扉装置21、圧縮機22、冷蔵用ファン23、冷凍用ファン24、チルド室用照明装置25、冷蔵用温度センサ26、冷凍用温度センサ27、三方弁28に限られず、この種の冷蔵庫10に備えられる一般的あるいは特別な各種の負荷を適用することができる。
【0059】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、この実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
図面において、10は冷蔵庫、11Sは仕切り壁、21は自動開扉装置(負荷、開扉装置)、22は圧縮機(負荷)、23は冷蔵用ファン(負荷)、24は冷凍用ファン(負荷)、25はチルド室用照明装置(負荷)、26は冷蔵用温度センサ(負荷)、27は冷凍用温度センサ(負荷)、28は三方弁28(負荷)、100はマスタ制御基板(第1制御基板)、200Aはスレーブ制御基板(第2制御基板、動作制御用基板、非圧縮機向け第2制御基板)、200Bはスレーブ制御基板(第2制御基板、動作制御用基板、開扉装置向け動作制御用基板、開扉装置向け第2制御基板)、200Cはスレーブ制御基板(第2制御基板、動作制御用基板、圧縮機向け動作制御用基板、圧縮機向け第2制御基板)、200Dはインバータ基板(第2制御基板、電力供給制御用基板、圧縮機向け電力供給制御用基板)、200Eはインバータ基板(第2制御基板、電力供給制御用基板、開扉装置向け電力供給制御用基板)を示す。
図1
図2
図3
図4