(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075252
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ポインティングデバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0338 20130101AFI20240527BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186565
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】森 公生
(72)【発明者】
【氏名】柏野 隆志
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA06
5B087AB01
5B087BC13
(57)【要約】
【課題】設計自由度の高いポインティングデバイスを提供する。
【解決手段】 第1方向の操作量と、第1方向に直交する第2方向の操作量とを少なくとも検知するポインティングデバイスは、操作者によって操作される柱状の起歪体であって、ベース部材に固定された一端から前記第1方向と直交し且つ前記第2方向と直交する第3方向に延びる起歪体である操作部と、前記操作部に取り付けられ、且つ前記第1方向の操作量に応じたひずみを検知する第1ひずみ受感部と、前記操作部に取り付けられ、且つ前記第2方向の操作量に応じたひずみを検知する第2ひずみ受感部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の操作量と、第1方向に直交する第2方向の操作量とを少なくとも検知するポインティングデバイスであって、
操作者によって操作される柱状の起歪体であって、ベース部材に固定された一端から前記第1方向と直交し且つ前記第2方向と直交する第3方向に延びる起歪体である操作部と、
前記操作部に取り付けられ、且つ前記第1方向の操作量に応じたひずみを検知する第1ひずみ受感部と、
前記操作部に取り付けられ、且つ前記第2方向の操作量に応じたひずみを検知する第2ひずみ受感部とを備えるポインティングデバイス。
【請求項2】
前記第1ひずみ受感部及び前記第2ひずみ受感部が、前記操作部の前記第3方向における中央部と前記一端との間に取り付けられた請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
前記第1ひずみ受感部及び前記第2ひずみ受感部が、前記操作部の前記一端の近傍に取り付けられた請求項2に記載のポインティングデバイス。
【請求項4】
第1ひずみゲージ及び第2ひずみゲージを備え、
前記第1ひずみゲージは、
前記第1ひずみ受感部が形成された第1基材と、
前記第1基材に形成され且つ前記第1ひずみ受感部に配線により接続された第1タブを有し、
前記第2ひずみゲージは、
前記第2ひずみ受感部が形成された第2基材と、
前記第2基材に形成され且つ前記第2ひずみ受感部に配線により接続された第2タブを有し、
前記第1ひずみゲージは、前記第1ひずみ受感部が前記第3方向において前記第1タブと前記端部との間に配置されるように前記操作部に取り付けられており、
前記第2ひずみゲージは、前記第2ひずみ受感部が前記第3方向において前記第2タブと前記端部との間に配置されるように前記操作部に取り付けられている請求項1~3のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項5】
前記第1ひずみ受感部と前記第2ひずみ受感部とを外部に接続するフレキシブル基板を更に備え、
前記フレキシブル基板は、前記操作部に巻き付けられて前記第1ひずみ受感部と前記第2ひずみ受感部とに接続された受感部接続領域と、前記第1方向及び前記第2方向を含む面に沿って延びて外部に接続される外部接続領域とを含む請求項1~4のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項6】
ひずみセンサを備え、
前記ひずみセンサは、
受感部形成領域及びタブ形成領域を含む基材と、
タブとを有し、
前記第1ひずみ受感部及び前記第2ひずみ受感部は前記受感部形成領域に形成されており、
前記タブは前記タブ形成領域に形成され且つ配線により前記第1ひずみ受感部及び前記第2ひずみ受感部に接続されており、
前記受感部形成領域は、前記第1ひずみ受感部及び前記第2ひずみ受感部が前記操作部に取り付けられるように前記操作部に巻き付けられており、
前記タブ形成領域は、前記第1方向及び前記第2方向を含む面に沿って延びている請求項1~3のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項7】
前記操作部は前記第3方向に延びる中心孔を有する筒状である請求項1~6のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項8】
前記ベース部材は、前記第1方向及び前記第2方向を含む面内に延び、且つ前記操作部の前記一端が固定された板状のベース板であって、
前記ベース板は、前記ベース板から前記第3方向に延び、且つ前記ベース板を支持する支持体に固定される複数の脚を有し、
前記操作部は前記ベース板から前記第3方向の一方に延び、前記複数の脚の各々は前記ベース板から前記第3方向の他方に延びる請求項1~7のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項9】
前記ベース板は第3方向に見て三角形であり、前記複数の脚は前記ベース板の3つの角部にそれぞれ設けられた3つの脚である請求項8に記載のポインティングデバイス。
【請求項10】
前記ベース部材は、前記操作部の前記一端が固定され、且つ前記ポインティングデバイスの取付対象の装置に取り付けられる支持板である請求項1~7のいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【請求項11】
前記支持体は、前記複数の脚が固定され、且つ前記ポインティングデバイスの取付対象の装置に取り付けられる支持板である請求項8又は9に記載のポインティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポインティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
操作者による操作量を検知してノートパソコンやゲーム機等の電子機器(即ち操作対象)に入力する入力装置の一種として、棒状の操作部を備えたポインティングデバイスが知られている。ポインティングデバイスは通常、棒状の操作部と、操作部に接続された起歪部とを有し、操作者が操作部を操作した際に起歪部に生じるひずみに基づいて操作者による操作量を検知する。
【0003】
特許文献1は、操作者により操作されるスティックと、スティックの下端部に接続された可撓性スティック支持部と、可撓性スティック支持部を支持材に固定するための3つの突出部とを有するポインティングデバイスを開示している。特許文献1においては、可撓性スティック支持部は、起歪体として機能する平面視円形の部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノートパソコンやゲーム機等の電子機器の小型化が進むに従って、電子機器内に効率よく配置できる設計自由度の高いポインティングデバイスを求める声が高まっている。
【0006】
そこで本発明は、設計自由度の高いポインティングデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に従えば、
第1方向の操作量と、第1方向に直交する第2方向の操作量とを少なくとも検知するポインティングデバイスであって、
操作者によって操作される柱状の起歪体であって、ベース部材に固定された一端から前記第1方向と直交し且つ前記第2方向と直交する第3方向に延びる起歪体である操作部と、
前記操作部に取り付けられ、且つ前記第1方向の操作量に応じたひずみを検知する第1ひずみ受感部と、
前記操作部に取り付けられ、且つ前記第2方向の操作量に応じたひずみを検知する第2ひずみ受感部とを備えるポインティングデバイスが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポインティングデバイスは設計自由度が高いため、取り付け箇所の空間の広さに応じて適切な設計を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態のポインティングデバイスの展開斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のポインティングデバイスの斜視図である。
【
図3】
図3(a)、
図3(b)はそれぞれ、操作部、操作部に貼り付けられたひずみゲージ、及びフレキシブルプリント基板(FPC)の斜視図である。
図3(a)はFPCがひずみゲージに接続される前の状態を示しており、FPCは展開されている。
図3(b)はFPCがひずみゲージに接続された状態を示しており、FPCは操作部に巻き付けられている。
図3(b)においては、FPCの下側に隠れたひずみゲージを点線で描いている。
【
図4】
図4(a)は実施形態のポインティングデバイスの平面図である。
図4(b)は
図4(a)のIVb-IVb線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は変形例のポインティングデバイスを、X方向と直交し且つ操作部の中心を通る面で切断した断面図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)、
図6(c)はそれぞれ、変形例の操作部の上面図である。
【
図7】
図7は、操作部と、操作部に貼り付けられるひずみセンサの斜視図である。ひずみセンサは操作部に貼り付けられる前の展開状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
本発明の実施形態に係るポインティングデバイス100について、
図1~
図4(b)を参照して説明する。
【0011】
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るポインティングデバイス100は、柱状の操作部12を備えたポインティングスティックアセンブリ(PSA)である。ポインティングデバイス100は、本体10と、本体10に生じたひずみを検知する4つのひずみゲージ(即ち、ひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2)と、本体10を支持する支持板20(ベース部材の一例。支持体の一例)とを主に含む。
【0012】
以下の説明においては、本体10と支持板20とが並ぶ方向を上下方向とする。上下方向においては、支持板20を基準として本体10が位置する方を上とし、本体10を基準として支持板20が位置する方を下とする。また、上下方向と直交する面内に延びる一方向をX方向とし、上下方向と直交する面内に延び且つX方向と直交する方向をY方向とする。本実施形態では、説明の便宜上、
図1に示すように、正方形の支持板20の一辺の方向をX方向とし、当該辺に直交する他辺の方向をY方向とする。また、本実施形態では、説明の便宜上、X方向、Y方向の正側、負側を
図1に示す通りに規定する。しかしながら、X方向およびY方向は
図1の例に限定されない。X方向、Y方向、及び上下方向はそれぞれ、本発明の第1方向、第2方向、及び第3方向の一例である。
【0013】
本体10は、一例として樹脂により形成されている。本体10は、一体成形により形成され得る。
【0014】
本体10は、ベース板11(ベース部材の一例)と、操作部12と、3つの脚(即ち第1脚131、第2脚132及び第3脚133)を含む。
【0015】
ベース板11はX方向及びY方向を含む面内に延びる略平板である。ベース板11は平面視において(即ち上下方向に見て)三角形であり、第1頂部V1、第2頂部V2、及び第3頂部V3と、第1辺S1、第2辺S2、及び第3辺S3とを有する。本実施形態では、第1頂部V1、第2頂部V2、及び第3頂部V3に平面視で丸みが付けられているがこれには限られない。
【0016】
第1頂部V1と第2頂部V2とはX方向に並ぶ。第1辺S1はX方向と平行に延びる。第3頂部V3から第1辺S1に下した垂線はY方向と平行に延びる。本実施形態では、第2辺S2と第3辺S3の長さが互いに等しく、第1辺S1が第2辺S2及び第3辺S3よりも長い。即ち起歪体11の平面視形状は二等辺三角形である。
【0017】
操作部12は、ポインティングデバイス100の使用者により操作される部分(即ち、使用者により力が付加される部分)である。操作部12は、ベース板11の上面11aに設けられている。
【0018】
操作部12は上下方向に延びる角柱である。操作部12は、上面12a、下面12b、及び4つの側面12c、12d、12e、12fを有する。
【0019】
操作部12の上端部(すなわち、上面12a)にはキャップCが取り付けられている。キャップCは、ポインティングデバイス100の操作者が、ポインティングデバイス100を操作するために直接触れる部分である。キャップCは、例えばゴム製であってよい。
【0020】
操作部12の下面12bはベース板11の上面11aに固定されている。操作部12のベース板11に対する接続位置は特に限定されない。例えば、操作部12は、ベース版11の重心位置に固定されていてもよい。
【0021】
側面12cはX方向正側を向いており、側面12dはX方向負側を向いている。側面12c、12dはそれぞれ、X方向に延びる軸に直交して配置された平面である(換言すれば、上下方向とY方向とを含む面と平行に配置された平面である)。側面12eはY方向正側を向いており、側面12fはY方向負側を向いている。側面12e、12fはそれぞれ、Y方向に延びる軸と直交して配置された平面である(換言すれば、上下方向とX方向とを含む面と平行に配置された平面である)。なお、操作部12の4つの側面12c~12fの向きはこれに限定されない。例えば、4つの側面12c~12fがそれぞれ、平面視で(すなわち、XY平面において)前述の方向から45度傾いた方向を向いていてもよい。
【0022】
第1脚131、第2脚132、および第3脚133はそれぞれ、支持板20に固定されてベース板11を支持する支持脚である。第1脚131はベース板11の第1頂部V1、第2脚132はベース板11の第2頂部V2、第3脚133はベース板11の第3頂部V3に設けられている。
【0023】
第1脚131と第2脚132とは、Y方向において同じ位置にある。即ち、第1脚131と第2脚132とはX方向に整列している。第3脚133は、X方向において、第1脚131と第2脚132との中心位置に位置する。即ちX方向における第1脚131と第3脚133との間の距離はX方向における第2脚132と第3脚133との間の距離に等しい。第3脚133は、Y方向において、第1脚131及び第2脚132の負側に位置する。
【0024】
第1脚131、第2脚132、および第3脚133はそれぞれ、ベース板11の下面11bから下方向に延びる円柱状の脚である。本実施形態では、第1脚131、第2脚132、第3脚133の上面はベース板11の下面11bと一体に形成されている。なお、第1脚131~第3脚133をベース板11と別個に形成し、後でベース板11に接着剤等で固定してもよい。
【0025】
ひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2は、接着剤等により、操作部12の側面12c、12d、12e、12fに貼り付けられている。具体的には、ひずみゲージSGX1が側面12cに、ひずみゲージSGX2が側面12dに、ひずみゲージSGY1が側面12eに、ひずみゲージSGY2が側面12fに、それぞれ貼り付けられている。
【0026】
ひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2は互いに同一の構成であっても良いし、異なる構成であってもよい。本実施形態では一例として、ひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2は互いに同一の構成を有していることとする。以下、ひずみゲージSG
Y1の構成を代表して説明する。
図3(a)に示す通り、ひずみゲージSG
Y1は、樹脂フィルム等で形成された基材Bと、基材B上に設けられた金属製の抵抗体RSとを有する。
【0027】
抵抗体RSは、ひずみ受感部SSと、ひずみ受感部SSを外部に接続するための一対のタブT1、T2とを有する。
【0028】
ひずみ受感部SSにおいては、線状の抵抗体RSがジグザグに折り返されて所定のパターンを形成している。以下の説明では、折返し点と折返し点との間に画定される線状部分の延在方向をグリッド方向(ひずみ受感方向)と呼び、当該線状部分が並ぶ方向をグリッド幅方向と呼ぶ。グリッド方向とグリッド幅方向とは互いに直交する。各ひずみゲージはグリッド方向に生じるひずみを検知するように構成されている。
【0029】
ひずみゲージSGX1は、ひずみ受感部SSが操作部12の側面12cの下端部近傍に位置するように、ひずみ受感部SSをタブT1、T2よりも下側に位置させて操作部12に貼り付けられている。ひずみゲージSGX2は、ひずみ受感部SSが操作部12の側面12dの下端部近傍に位置するように、ひずみ受感部SSをタブT1、T2よりも下側に位置させて操作部12に貼り付けられている。本実施形態のポインティングデバイス100では、操作部12が操作されていないときはひずみゲージSGX1、SGX2のグリッド方向は上下方向と平行であり、ひずみゲージSGX1、SGX2のグリッド幅方向はY方向と平行である。
【0030】
ひずみゲージSGY1は、ひずみ受感部SSが操作部12の側面12eの下端部近傍に位置するように、ひずみ受感部SSをタブT1、T2よりも下側に位置させて操作部12に貼り付けられている。ひずみゲージSGY2は、ひずみ受感部SSが操作部12の側面12fの下端部近傍に位置するように、ひずみ受感部SSをタブT1、T2よりも下側に位置させて操作部12に貼り付けられている。本実施形態のポインティングデバイス100では、操作部12が操作されていないときはひずみゲージSGY1、SGY2のグリッド方向は上下方向と平行であり、ひずみゲージSGY1、SGY2のグリッド幅方向はX方向と平行である。
【0031】
なお、検出精度の観点から言えば、各ひずみゲージは、ひずみ受感部SSがなるべく操作部12の下端部に近くなるように配置されることが望ましい。しかしながら、各ひずみゲージの位置はこれに限定されない。例えば、各ひずみゲージ(およびひずみ受感部SSの位置)は、各ひずみゲージに要求される検出精度、ポインティングデバイス100が取り付けられるスペースの大きさ、および他の部品との位置関係等に応じて、適宜定められて良い。例えば、各ひずみゲージのひずみ受感部SSは、操作部の下端部(一端)から、操作部の長手方向の全長の50%以内の領域に配置されてよい。また例えば、各ひずみゲージのひずみ受感部SSは、操作部の下端部(一端)から、操作部の長手方向の全長の25%以内の領域に配置されてよい。また、本明細書及び本発明において、「ひずみ受感部が操作部の所定の領域に取り付けられた」とは、ひずみ受感部の少なくとも一部が当該所定の領域に位置するように操作部に取り付けられたことを意味してもよく、ひずみ受感部の全体が当該所定の領域に位置するように操作部に取り付けられたことを意味してもよい。
【0032】
支持板20は、本体10を支持する部材であり、且つポインティングデバイス100を取付対象の装置(パソコン、ゲーム機等)に取り付けるための部材である。支持板20は、例えば金属(一例としてステンレス)により形成され得る。
【0033】
支持板20はX方向及びY方向を含む面内に延びる略平板である。本実施形態では、支持板20は平面視において正方形である。しかしながら、支持板20の形状はこれに限定されず、取付対象の仕様および形状等に応じて適宜変更してよい。例えば、支持板20は平面視において長方形、円形、または楕円形等の種々の形状にすることができる。
【0034】
図1に示す通り、支持板20の略中央部には、3つの開口A1が設けられている。3つの開口A1はそれぞれ、本体10を固定するための開口である。3つの開口A1の平面視形状は円形である。3つの開口A1はそれぞれ、下面20b近傍の径が上面20a近傍の径よりも大きい段付き孔である(
図4(b))。
【0035】
本実施形態では一例として、
図1に示す通り、支持板20の4つの角部の各々に開口A2が設けられている。なお、開口A2の数は限定されない。4つの開口A2はそれぞれ、支持板20(ひいてはポインティングデバイス100)を取り付ける対象となる装置(すなわち、取付対象の装置)に取り付けるための開口である。本実施形態では4つの開口A2の平面視形状は円形であるが、開口A1および開口A2はそれぞれねじ部を受けるねじ穴の形状をしていてもよい。
【0036】
図2、
図4(b)に示すように、支持板20には本体10が固定されている。具体的には、本体10の第1脚131、第2脚132、第3脚133の各々が支持板20の開口A1に挿入され、溶着固定されている(
図4(b))。第1脚131、第2脚132、第3脚133の下端部は溶着により変形し、支持体20の下面20bよりも下方に突出することなく、開口A1の内部を充填している。
【0037】
支持板20に本体10が固定された状態においては、ベース板11の下面11bが、支持板20の上面20aに当接している。
【0038】
ポインティングデバイス100は、当該ポインティングデバイス100の取付対象の装置の筐体または基板等に、支持板20の開口A2を介したねじ止め等により固定される。
【0039】
ひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2は、フレキシブルプリント基板(以下、FPC)50を介して外部に接続される。
図3(a)に示す通り、FPC50は、矩形のゲージ接続領域51と、接続領域51の一方の長辺に接続された外部接続領域52とを含む。ゲージ接続領域51は、ゲージ接続領域51の長辺方向に沿って、4つの領域51c、51d、51e、51fに区画されている。
【0040】
FPC50は、ゲージ接続領域51を操作部12に巻き付けることにより、ひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2に接続される。FPC50が操作部12に巻き付けられた状態(
図3(b))では、領域51cが操作部12の側面12cに当接してひずみゲージSG
X1に接続され、領域51dが操作部12の側面12dに当接してひずみゲージSG
X2に接続され、領域51eが操作部12の側面12eに当接してひずみゲージSG
Y1に接続され、領域51fが操作部12の側面12fに当接してひずみゲージSG
Y2に接続される。
【0041】
FPC50の外部接続領域52は、ベース板11の上面11aに当接して、上下方向と直交する面内に延び、取付対象の装置の電気的構成に接続される。これにより例えば、ひずみゲージSGX1、SGX2とポインティングデバイス100の外部の抵抗体とを含むホイートストンブリッジと、ひずみゲージSGY1、SGY2とポインティングデバイス100の外部の抵抗体とを含むホイートストンブリッジが構成される。なお、FPC50をポインティングデバイス100の一部と捉えてもよい。
【0042】
操作者がキャップCを介して操作部12を操作する時(即ち、操作者が操作部12に荷重を付加する時)、操作者が操作部12に加えた荷重の大きさおよび向きに応じたひずみが操作部12に生じる。
【0043】
例えば、操作者が操作部12をX方向に操作したとする(即ち、操作者がキャップCに対してX方向に沿った荷重を付加したとする)。前述の通り、操作部12の下端部はベース板11に固定されている。そのため、上下方向に略垂直であった操作部12は、前述の操作によってX方向に湾曲する。もしくは、操作部12の上面12aは、下面12bに対してX方向の一方側にずれる。これにより、操作部12の側面12cおよび12dの一方には延びひずみが生じ、他方には圧縮ひずみが生じる。
【0044】
同様に、操作者が操作部12をY方向に操作した場合(即ち、操作者がキャップCに対してY方向に沿った荷重を付加した場合)、上下方向に略垂直であった操作部12はY方向に湾曲する。もしくは、操作部12の上面12aは、下面12bに対してY方向の一方側にずれる。これにより、操作部12の側面12eおよび12fの一方には延びひずみが生じ、他方には圧縮ひずみが生じる。なお、操作部12は、X方向およびY方向のみならず、XY平面における360度あらゆる方向に操作可能であってもよい。
【0045】
ポインティングデバイス100は、操作部12に生じたひずみの大きさをひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2により検知することにより、操作者により入力された操作量を求める。具体的には、X方向における操作量をひずみゲージSGX1、SGX2を含むホイートストンブリッジを用いて求め、Y方向における操作量をひずみゲージSGY1、SGY2を含むホイートストンブリッジを用いて求める。ポインティングデバイス100は、求めた操作量を、ポインティングデバイス100が搭載された装置(すなわち、取付対象の装置)に入力する。なお、ポインティングデバイス100は、X方向およびY方向の成分を合成することで、X方向およびY方向の成分を合成して求められる方向(すなわち、XY平面における360度いずれかの方向)に対する操作量を算出して、これを取付対象の装置に入力してもよい。また、操作部12の側面12c~12fが、操作量の検出方向(本実施形態ではX方向およびY方向)から、平面視において所定の角度(例えば45度)傾いて配置されている場合、ポインティングデバイス100は、ひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2の検出値を総合して、前記検出方向に対する操作量を求めてもよい。
【0046】
本実施形態のポインティングデバイス100の有利な効果を以下にまとめる。
【0047】
本実施形態のポインティングデバイス100は、操作部12にひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2を貼り付けている。換言すれば、操作部12を、操作者の操作によりひずみが生じる起歪部として用いている。したがって、特許文献1に開示されるような従来のポインティングデバイスが備えている板状の起歪部を要せず、設計自由度が高い。
【0048】
設計自由度の向上は、ポインティングデバイス100を他の装置へ取り付ける際に特に有利である。例えば、ノートパソコンやゲーム機等の、ポインティングデバイス100の取付対象の装置は小型化が求められており、これらの装置の内部においてポインティングデバイス100の設置のために使用し得る空間は限定されている。この点、ポインティングデバイス100の設計自由度が高いと、ポインティングデバイス100を取付対象の装置の内部空間に応じた形状にすることが可能である。例えば、ポインティングデバイス100をコンパクト且つ効率よく設置することが可能である。したがって、本実施形態によれば、ポインティングデバイス100として、取り付け箇所の空間の広さに応じて適切な設計を採用することが可能となる。
【0049】
本実施形態のポインティングデバイス100は、ひずみ受感部SSが操作部12の下端部近傍に位置するようにひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2を操作部12に貼り付けている。また、ひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2の各々は、ひずみ受感部SSがタブT1、T2よりも下側に位置するように(即ち、上下方向において、ひずみ受感部SSがタブT1、T2と下面12bとの間に位置するように)操作部12に貼り付けられている。操作者が操作部12の上面12a近傍に荷重を加えた場合、ひずみ量がもっとも大きくなるのは操作部12の下面12b近傍である。したがって、このようにひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2を下面12b近傍に配置することで、ひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2の出力を大きくすることができ、ひいてはひずみ検知精度を高めることができる。
【0050】
本実施形態のポインティングデバイス100は、操作部12の下端部を板状のベース板11に接続し、且つベース板11を3つの脚131、132、133を用いて支持板20に固定することにより、操作部12を支持板20に固定している。このように、ベース板11を用いて、操作部12の支持板20への固定を複数箇所で行うことにより、固定(溶着)箇所の劣化等に起因する操作部12のがたつきを抑制して、操作部12をより安定した状態で支持することができる。
【0051】
本実施形態のポインティングデバイス100は、平面視三角形のベース板11を、ベース板11の3つの頂部V1、V2、V3にそれぞれ設けられた第1脚131、第2脚132、第3脚133により支持している。したがって、ベース板11は、第1脚131、第2脚132、第3脚133を繋いで得られる輪郭よりも外側に位置する領域が小さく、コンパクトで空間効率がよい。
【0052】
<変形例>
上記実施形態のポインティングデバイス100において、次の変形態様を用いることもできる。
【0053】
上記実施形態のポインティングデバイス100においては、ベース板11の平面視形状は二等辺三角形であったが、これには限られない。ベース板11の平面視形状は、正三角形、直角三角形等の任意の三角形であってよい。その他、ベース板11は、四角形、円形等の任意の形状であってもよい。
【0054】
上記実施形態のポインティングデバイス100においては、操作部12は四角柱である。しかしながら、操作部12の形状はこれには限られない。操作部12は例えば、四角筒(
図6(a))、円柱(
図6(b))、円筒(
図6(c))等の任意の形状とし得る。例えば、操作部12を軸方向に延びる中心孔Thを有する中空の筒状とすることで、操作部12の外面に生じるひずみ量を大きくすることができる。このような構成によれば、ひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2の出力を大きくすることができるため、ひずみ検知精度を高めることができる。
【0055】
なお、例えば操作部12が四角筒(
図6(a))の場合は、4つの側面12c、12d、12e、12fに上記実施形態と同様の態様で4つのひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2を貼り付け得る。
【0056】
また例えば、操作部12が円柱(
図6(b))の場合は、4つのひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2を、各々のグリッド方向が上下方向に一致し、各々のひずみ受感部SSのグリッド幅方向が操作部12の周方向に一致するように、操作部12の外周面に貼り付ける。このとき、4つのひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2は操作部12の周方向に等間隔で配置され得る。円柱状の操作部12において、ひずみゲージSG
X1のひずみ受感部SSのグリッド幅方向の中心は、操作部12の外周面におけるX方向の最も正側の位置に配置されてもよい。また、円柱状の操作部12において、ひずみゲージSG
X2のひずみ受感部SSのグリッド幅方向の中心は、操作部12の外周面におけるX方向の最も負側の位置に配置されてもよい。また、円柱状の操作部12において、ひずみゲージSG
Y1のひずみ受感部SSのグリッド幅方向の中心は、操作部12の外周面におけるY方向の最も正側の位置に配置されてもよい。また、円柱状の操作部12において、ひずみゲージSG
Y2のひずみ受感部SSのグリッド幅方向の中心は、操作部12の外周面におけるY方向の最も負側の位置に配置されてもよい。
【0057】
操作部12が円筒(
図6(c))の場合は、操作部12の外周面に操作部12が円柱(
図6(b))の場合と同様の態様で4つのひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2を貼り付け得る。
【0058】
上記実施形態のポインティングデバイス100において、ベース板11、及び脚131、132、133を省略してもよい。この場合は例えば、支持板20の平面視中央に開口A1を1つだけ設ける。そして、当該開口A1に操作部12の下面12b近傍の領域を挿入し、操作部12の下端部を直接支持板20に固定(溶着)する(
図5)。ベース板11、脚131、132、133を省略することでポインティングデバイス100をより小型化することができる。
【0059】
上記実施形態のポインティングデバイス100においては、第1脚131、第2脚132、第3脚133は円柱である。しかしながら、これには限られない。第1脚131、第2脚132、第3脚133は円筒、四角柱、三角柱等の任意の形状であってよい。
【0060】
上記実施形態のポインティングデバイス100においては、ひずみ受感部SSが操作部12の下端部近傍に位置するようにひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2を操作部12に貼り付けている。しかしながら、これには限られない。操作部12に対するひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2、及びひずみ受感部SSの配置は任意である。ただし、ひずみ受感部SSを操作部12の下面12b(下端部)により近い位置に配置することで、ひずみ検知精度を高めることができる。
【0061】
具体的には、ひずみ受感部SSが操作部12の上下方向の中央部と下面12bとの間に位置するようにひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2を操作部12に貼り付けてもよい。或いは、ひずみ受感部SSが操作部12の下端部に接するようにひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2を操作部12に貼り付けてもよい。
【0062】
上記実施形態のポインティングデバイス100においては、互いに分離した4つのひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2を操作部12に個別に貼り付けているが、これには限られない。具体的には例えば、4つのひずみゲージSG
X1、SG
X2、SG
Y1、SG
Y2に代えて、
図7に示すようなひずみセンサ70を用いることが出来る。
【0063】
ひずみセンサ70は、可撓性を有する基材BBと、基材BBの上に形成された4つのひずみ受感部SSX1、SSX2、SSY1、SSY2及び4つのタブTを有する。
【0064】
基材BBは、矩形の受感部形成領域BB1と、受感部形成領域BB1の一方の長辺に接続された外部接続領域BB2とを含む。受感部形成領域BB1は、受感部形成領域BB1の長辺方向に沿って、4つの領域BB1c、BB1d、BB1e、BB1fに区画されている。
【0065】
領域BB1cにはひずみ受感部SSX1が、領域BB1dにはひずみ受感部SSX2が、領域BB1eにはひずみ受感部SSY1が、領域BB1fにはひずみ受感部SSY2が、それぞれ形成されている。ひずみ受感部SSX1、SSX2、SSY1、SSY2はそれぞれ、ひずみゲージSGX1、SGX2、SGY1、SGY2の受感部SSと同一の構成を有する。ひずみ受感部SSX1、SSX2、SSY1、SSY2はそれぞれ、グリッド方向が受感部形成領域BB1の短辺方向に一致し、グリッド幅方向が受感部形成領域BB1の長辺方向に一致するように形成されている。
【0066】
外部接続領域BB2には4つのタブTが形成されている。4つのタブTは基材BB上に形成された配線(不図示)により、ひずみ受感部SSX1、SSX2、SSY1、SSY2に接続されている。なお、タブTの形状は図示の形状に限定されない。例えば、タブTは円形または楕円形であってもよい。
【0067】
ひずみセンサ70は、受感部形成領域BB1を操作部12に巻き付けることにより、操作部12に取り付けられる。受感部形成領域BB1が操作部12に巻き付けられた状態では、領域BB1cが操作部12の側面12cに当接し、領域BB1dが操作部12の側面12dに当接し、領域BB1eが操作部12の側面12eに当接し、領域BB1fが操作部12の側面12fに当接する。
【0068】
受感部形成領域BB1が操作部12に巻き付けられた状態では、ひずみ受感部SSX1、SSX2、SSY1、SSY2はそれぞれ、操作部12の下端部近傍に位置する。ひずみ受感部SSX1、SSX2のグリッド方向は上下方向と平行であり、ひずみ受感部SSX1、SSX2のグリッド幅方向はY方向と平行である。ひずみ受感部SSY1、SSY2のグリッド方向は上下方向と平行であり、ひずみ受感部SSY1、SSY2のグリッド幅方向はX方向と平行である。
【0069】
ひずみセンサ70の外部接続領域BB2は、ベース板11の上面11aに当接して、上下方向と直交する面内に延びる。外部接続領域BB2のタブTは、フレキシブルプリント基板(FPC)等を介して操作対象の電気的構成に接続される。これにより例えば、ひずみ受感部SSX1、SSX2とポインティングデバイス100の外部の抵抗体とを含むホイートストンブリッジと、ひずみ受感部SSY1、SSY2とポインティングデバイス100の外部の抵抗体とを含むホイートストンブリッジが構成される。
【0070】
上記実施形態のポインティングデバイス100において、支持板20を省略してもよい。この場合は、本体10の第1脚131~第3脚133、或いは本体10の操作部12の下端部を、ポインティングデバイス100の取付対象の装置の一部(例えば取付対象の装置に内蔵された基板)に固定する。この場合、取付対象の装置の当該一部が本発明の「支持体」或いは「ベース部材」に相当する。
【0071】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 本体; 11 ベース板; 12 操作部; 131 第1脚; 132 第2脚; 133 第3脚; 20 支持板; 60 フレキシブルプリント基板(FPC); 70 ひずみセンサ; 100 ポインティングデバイス; A1、A2 開口; SGX1、SGX2、SGY1、SGY2 ひずみゲージ;; SSX1、SSX2、SSY1、SSY2 ひずみ受感部