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特開2024-7526埋め込み型医療機器を充電するためのシステム
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  • 特開-埋め込み型医療機器を充電するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007526
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】埋め込み型医療機器を充電するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/15 20160101AFI20240111BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20240111BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240111BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H02J50/15
A61B8/00
H04R3/00 330
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109438
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】2206806
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】323000860
【氏名又は名称】ヴェルモン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロシンスキー ボグダン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ティエン
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C601
5D019
5G503
【Fターム(参考)】
4C601EE21
4C601FF01
4C601GA01
4C601GB18
4C601HH02
5D019AA07
5D019FF04
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】埋め込み型医療機器のための無線超音波充電システムを提供する。
【解決手段】電子デバイスを無線で充電するために超音波を放射するためのデバイス200は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ201と、超音波トランスデューサを制御するための制御電子回路203,205,207と、を備えている。制御電子回路は、少なくとも1つの超音波トランスデューサに励起電気信号を与えて、電子デバイスに向けて超音波を放射させ、電子デバイスによって反射する超音波の一部の作用に基づき少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成されたフィードバック電気信号を読み取り、超音波の反射部分のエネルギーが最小値に達するように超音波の周波数を調整するフィードバックループ205,207を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスを無線で充電するために超音波を放射するためのデバイスであって、
少なくとも1つの超音波トランスデューサと、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを制御するための制御電子回路とを備えており、
前記制御電子回路は、
- 前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに励起電気信号を与えて、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに前記電子デバイスに向けて超音波を放射させ、
- 前記電子デバイスによって反射する前記超音波の一部の作用に基づき前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成されたフィードバック電気信号を読み取り、
- 前記超音波の反射部分のエネルギーを表す信号を生成し、
前記制御電子回路は、前記超音波の反射部分のエネルギーが最小値に達するように前記超音波の周波数を調整するように構成されているフィードバックループを有している、デバイス。
【請求項2】
前記制御電子回路は、周波数が開始周波数及び前記開始周波数より高い終了周波数間で連続的に変わる周波数変調を行った励起電気信号を前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに与えるように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フィードバックループは、前記超音波の反射部分のエネルギーを最小化し得る周波数を検出するように構成されている処理回路を有している、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記処理回路は、前記開始周波数及び前記終了周波数が前記周波数に近づくことにより、前記超音波の反射部分のエネルギーを減らすように、前記開始周波数の値及び前記終了周波数の値を調整するように更に構成されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成された前記フィードバック電気信号のエンベロープを検出する検出回路を有している、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成された前記フィードバック電気信号のエンベロープのエッジを検出する検出回路を有している、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサにインパルス励起電気信号を与えるように構成されている、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに連続励起電気信号を与えるように構成されている、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、放射トランスデューサ及び受信トランスデューサを有している、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、前記超音波を放射して前記超音波の反射部分を受けるために1つのトランスデューサを有している、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、超音波トランスデューサに基づくデバイス及びシステムに関し、特に埋め込み型医療機器のための無線超音波充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み型医療機器は、様々な種類の病状を監視及び/又は処置するために患者の体内に埋め込むように構成されているデバイスである。このようなデバイスは、例えば少なくとも1つの生理的パラメータを測定するための一若しくは複数のセンサ、及び/又は、例えば処置を施す若しくは器官を刺激するための一若しくは複数のアクチュエータを備え得る。
【0003】
これらの要素は一般に、患者の体内に埋め込まれる、生体適合性材料で形成された筐体に収容されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
埋め込み型医療機器は通常、様々な要素に電力を供給するための非充電式電池を備えている。しかしながら、このような構成には寿命及び大きさの点で制限がある。
【0005】
埋め込み型医療機器の大きさを減少させるため、及び/又は埋め込み型医療機器の寿命を延ばすために、無線エネルギー伝達システムによって、特に超音波無線エネルギー伝達システムによって電力供給される充電式電池の使用が提案されている。
【0006】
埋め込み型医療機器の超音波無線充電の既知の解決策のある態様を少なくとも部分的に削減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、実施形態は、電子デバイスを無線で充電するために超音波を放射するためのデバイスであって、
少なくとも1つの超音波トランスデューサと、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサを制御するための制御電子回路とを備えており、
前記制御電子回路は、
- 前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに励起電気信号を与えて、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに前記電子デバイスに向けて超音波を放射させ、
- 前記電子デバイスによって反射する前記超音波の一部の作用に基づき前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成されたフィードバック電気信号を読み取り、
前記制御電子回路は、前記超音波の反射部分のエネルギーが最小値に達するように前記超音波の周波数を調整するように構成されているフィードバックループを有している、デバイスを提供する。
【0008】
実施形態によれば、前記制御電子回路は、周波数が開始周波数及び前記開始周波数より高い終了周波数間で連続的に変わる周波数変調を行った励起電気信号を前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに与えるように構成されている。
【0009】
実施形態によれば、前記フィードバックループは、前記超音波の反射部分のエネルギーが最小である周波数を検出するように構成された処理回路を有している。
【0010】
実施形態によれば、前記処理回路は、前記開始周波数及び前記終了周波数が前記周波数に近づくことにより、前記超音波の反射部分のエネルギーを減らすように、前記開始周波数の値及び前記終了周波数の値を調整するように更に構成されている。
【0011】
実施形態によれば、前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成された前記フィードバック電気信号のエンベロープを検出する検出回路を有している。
【0012】
実施形態によれば、前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサによって生成された前記フィードバック電気信号のエンベロープのエッジを検出する検出回路を有している。
【0013】
実施形態によれば、前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサにインパルス励起電気信号を与えるように構成されている。
【0014】
実施形態によれば、前記制御電子回路は、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサに連続励起電気信号を与えるように構成されている。
【0015】
実施形態によれば、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、放射トランスデューサ及び受信トランスデューサを有している。
【0016】
実施形態によれば、前記少なくとも1つの超音波トランスデューサは、前記超音波を放射して前記超音波の反射部分を受けるために1つのトランスデューサを有している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0018】
図1】受信波の音響周波数及び超音波トランスデューサの電荷に応じた超音波トランスデューサのエネルギー変換率を概略的に示す図表である。
図2】埋め込み型医療機器を無線で充電するために超音波を放射するためのデバイスの例を概略的に示すブロック図である。
図3図2のデバイスの動作例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
同様の特徴が、様々な図で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。
【0020】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用な動作及び要素のみが示されて詳細に記載されている。特に、記載されたデバイスの超音波トランスデューサ及び制御電子回路の製造は、記載された実施形態がこれらの要素の通常の製造と適合するため、又は当業者が本開示の明細書からこれらの要素を製造し得るために記載されない。
【0021】
特に示されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0022】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0023】
図1は、縦座標の超音波トランスデューサが受ける超音波の音響周波数F及び横座標の超音波トランスデューサによって検出される電荷ELに応じた、(音響エネルギーが電気エネルギーに変換される割合の範囲によって様々な模様として示されている)超音波トランスデューサのエネルギー変換率を概略的に示す図表である。
【0024】
トランスデューサは、例えば、患者の体内に配置するために(図示されていない)埋め込み型医療機器に一体化されている。埋め込み型医療機器は、例えば、トランスデューサの端子に接続された電子回路を備えており、電子回路は、受けた音波の作用に基づきトランスデューサの端子で生成された電気信号を、埋め込み型医療機器の電池に電力供給するか又は充電するための電気信号に変換するように構成されている。
【0025】
音波は、例えば、患者の体外に配置された放射デバイスによって放射される。このため、埋め込み型医療機器の電池の無線超音波充電の実行が可能になる。
【0026】
図1に示されているように、放射デバイスからの音響エネルギーから、埋め込み型デバイスに電力を供給するための電気エネルギーへの変換率は、受信波の音響周波数及びトランスデューサによって検出される電荷の所与の値にピーク(最大値)を有する。特に、この図示されている例では、変換率は、受信トランスデューサの共振モード及び反共振モードに夫々対応する2つのピーク100A及びピーク100Bを有する。
【0027】
これらの音響周波数及び電荷の最適値は、特に製造上の偏差及び周囲の音響インピーダンスの変化のため、デバイス間で又は経時的に変わる場合がある。更に、トランスデューサによって検出される電荷は、特に埋め込み型医療機器の消費電力に応じて経時的に変わり得る。
【0028】
従って、埋め込み型医療機器の無線超音波充電を行う場合、エネルギー伝達チェーンの変換率を最大化するために、外部デバイスの放射音響周波数を動的に調整可能であることが望ましい。
【0029】
そのために、例えば無線周波数信号(RF)又は超音波信号に基づく通信リンク、例えば無線通信リンクを設けることが可能である。このようにして、埋め込み型デバイスは、受信した電気エネルギー量に関する情報フィードバックを外部デバイスに送信することができる。従って、放射デバイスは、変換率を最大化するために、この情報に基づいて超音波放射周波数を調整することができる。しかしながら、この処理には無線通信回路に関連したコスト及び消費電力が増加するという欠点がある。
【0030】
放射デバイスによって放射されて、埋め込み型医療機器に一体化されたトランスデューサによって電力に変換されない音響エネルギーの一部は、埋め込み型医療機器によって放射源に向かって少なくとも部分的に反射される。
【0031】
別の実施形態によれば、放射デバイスは、埋め込み型医療機器によって反射した超音波の一部を測定して、超音波のこの反射部分のエネルギーが最小値に達するように放射周波数を調整するように構成されている。このため、埋め込み型医療装置に向けた電力の完全な伝送チェーンに関して変換率が最大値に達することが可能になる。
【0032】
図2は、実施形態に係る埋め込み型医療機器を無線で充電するために超音波を放射するためのデバイス200 の例をブロックとして概略的に示す。
【0033】
デバイス200 は、充電すべく超音波を埋め込み型医療機器に向けて放射するように構成されている少なくとも1つの超音波トランスデューサ201 (US)を備えている。超音波トランスデューサ201 は、埋め込み型医療機器から超音波を受信するように更に構成されている。特に、埋め込み型医療機器に向けて充電用超音波を放射した後、超音波トランスデューサは、埋め込み型医療機器による前記反射波の一部を受信するのに適している。
【0034】
トランスデューサ201 は、埋め込み型医療機器に向けて充電用超音波を放射するため、及び埋め込み型医療機器による前記反射波の一部を受信するため夫々専用の2つの超音波トランスデューサを有していることが好ましい。変形例として、放射及び受信は同一の超音波トランスデューサによって行われる。
【0035】
トランスデューサ201 は、例えば圧電トランスデューサである。より一般的には、本発明を実施するためのモードは、あらゆる種類の超音波トランスデューサ、例えば膜を用いた容量性超音波トランスデューサ(CMUT)、膜を用いた圧電超音波トランスデューサ(PMUT)に合うように適合され得る。
【0036】
加えて、デバイス200 は、トランスデューサ201 による充電用超音波の放射を開始すべくトランスデューサ201 に与えられる励起電気信号を生成するための回路203 (G) を備えている。特に、回路203 は、トランスデューサ201 によって放射される充電用超音波の音響周波数を調整するために設定値fに応じて生成される励起電気信号の周波数を適合させるように構成されている。
【0037】
デバイス200 は、埋め込み型医療機器によって反射する充電用超音波の一部の作用に基づきトランスデューサ201 によって生成されるフィードバック電気信号を読み取って、充電用超音波の反射部分の最小値に達するように回路203 の設定周波数、ひいてはトランスデューサ201 の放射周波数を適合させるように構成されているフィードバックループを更に備えている。
【0038】
図示されている例では、フィードバックループは、埋め込み型電子デバイスによって反射する充電用超音波の一部の作用に基づきトランスデューサ201 によって生成されるフィードバック電気信号を増幅するように構成された増幅器205 (AMP) を有している。
【0039】
この例では、フィードバックループは、増幅されたフィードバック信号を増幅器205 から受信して充電用超音波の反射部分のエネルギーを表す信号を生成するように構成されている処理回路207 (NZR) を更に有している。処理回路207 は、充電用超音波の反射部分のエネルギーを最小限に抑えるために回路203 に与えられる周波数設定値fを調整するように構成されている。
【0040】
図3は、図2のデバイス200 の動作例を示す図表である。
【0041】
この例では、放射デバイス200 によって放射される超音波はバースト波の形状を有する。例として、パルスの繰り返し周波数は一定であり、パルスのデューティサイクル(又はパルスの継続時間)は一定である。
【0042】
図3は、
- パルストリガ信号TRIG、
- トランスデューサ201 の励起信号を生成する回路203 に与えられる設定周波数を表す信号WOB 、
- 回路203 によって生成される励起信号EXC 、
- 埋め込み型医療機器によって反射する充電用超音波の一部のエンベロープを表すエンベロープ信号REC 、及び
- エンベロープ信号REC の立上りエッジを表す信号EDG
の時間tにおける展開を(横座標に)より具体的に示す。
【0043】
この例では、発生器203 によって発せられる励起信号、ひいてはトランスデューサ201 によって発せられる超音波信号に、放射周波数が各インパルスの開始及び終了間で開始周波数fstart及び、例えば開始周波数fstartより高い終了周波数fstop 間で、例えば連続的に、例えば線形的に変わる周波数変調を行う。
【0044】
各インパルス後、トランスデューサ201 によって放射される超音波の一部がトランスデューサに向かって反射する。従って、トランスデューサ201 の端子でフィードバック信号が生成される。このフィードバック信号は増幅回路205 によって増幅される。信号REC は、増幅されたフィードバック信号のエンベロープに相当する。処理回路207 は例えば、エンベロープを検出して、増幅回路205 によって与えられる増幅されたフィードバック信号から信号REC を生成するように構成されているアナログ回路を有している。
【0045】
図3に示されているように、フィードバック信号は、励起信号EXC に対する遅延DEL を示し、遅延DEL は、トランスデューサ201 と埋め込み型医療機器との間の超音波の往復伝搬に必要な継続時間に相当する。
【0046】
信号REC は、埋め込み型医療機器によって反射する充電用超音波の一部のエネルギーを表す。図3に示されているように、パルス毎に、信号REC は、終了周波数fstop 及び開始周波数fstart間の周波数に埋め込み型デバイスによる超音波信号の吸収ピークに一致する一時的減少又は極小値を示す。この最小値は、エネルギー変換率が最適な、埋め込み型医療機器の共振モード又は反共振モード(図1のモード100A又はモード100B)に対応する。
【0047】
埋め込み型医療機器によって反射する超音波信号のインパルス毎に、信号EDG は、インパルスの開始に対応する第1の立上りエッジ、及び信号REC の一時的減少の終了に対応する第2の立上りエッジを有する。処理回路207 は、例えば、信号REC から信号EDG を生成するように構成されているエッジ検出回路を有している。
【0048】
例として、処理回路207 は、信号EDG を分析して、埋め込み型医療機器による超音波の反射が最小である周波数fNZRを導き出すように構成されている。
【0049】
処理回路207 は、例えば、変調パルス信号の開始周波数fstart及び終了周波数fstopが周波数fNZRに近づくことにより、埋め込み型医療機器によって反射する超音波エネルギーを減らして、ひいては埋め込み型医療機器への電気エネルギー伝送チェーンの変換率を増加させるべく変調パルス信号の開始周波数fstart及び終了周波数fstopを調整するように構成されている。
【0050】
変形例として、発生器203 によって発せられる励起信号、ひいてはトランスデューサ201 によって発せられる超音波信号は、全てのインパルス中に一定の周波数fを有する。この場合、埋め込み型医療機器によって反射する音響エネルギーが、例えばPLL(位相同期ループ)の原理に基づいて最小値に達するように、処理回路207 は、2つのインパルス間で周波数fを変えるように構成され得る。
【0051】
別の変形例では、トランスデューサ201 によって放射される超音波は、インパルス波ではなく、連続波とすることができる。この場合、図3に関連した上記の例と同様に、超音波は周波数変調波とすることができ、周波数変調波は、周波数が開始周波数fstart及び終了周波数fstop 間で連続的に、例えば線形的に変わることを意味する。変調サイクルとも称される、開始周波数fstart及び終了周波数fstop 間の変動サイクルは一定の継続時間を有し得る。図3について説明したのと同様に、各サイクルで、処理回路207 は、埋め込み型医療機器によって反射する音響エネルギーが最小である周波数を検出し、それに応じて次のサイクルの開始周波数fstart及び終了周波数fstop を調整する。
【0052】
変形例として、トランスデューサ201 によって放射される連続的な超音波は、(変調されない)一定の調整可能な周波数を有する。この場合、埋め込み型医療機器によって反射する音響エネルギーが最小値に達するように、処理回路207 は、周波数fを経時的に変えるように構成され得る。
【0053】
図3に関連して、トランスデューサ201 によって生成されるフィードバック信号のアナログ処理の解決策について記載されているが、記載されている実施形態は、この特定の場合に限定されない。
【0054】
(図示されていない)変形例として、デバイス200 のフィードバックループは、埋め込み型医療機器によって反射する超音波を表すフィードバック信号をデジタル化するように構成されているA/D変換器を、例えば増幅器205 の出力に有し得る。このため、例えばマイクロコントローラを有するデジタル処理回路は、反射が最小の周波数の検出を実行することができる。これにより、より複雑なフィードバックアルゴリズムの実行が可能になる。
【0055】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。当業者は、これらの実施形態のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に容易に想起される。特に、埋め込み型医療機器の超音波無線充電への適用例のみが上述されているが、記載されている実施形態は、この特定の場合に限定されない。より一般的には、記載された実施形態は、医療用であろうとなかろうと、且つ埋め込み可能であろうとなかろうと、電子デバイスのあらゆる超音波無線充電システムに適用され得る。
図1
図2
図3