(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075274
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】駆虫用首輪
(51)【国際特許分類】
A01N 53/08 20060101AFI20240527BHJP
A01N 31/14 20060101ALI20240527BHJP
A01P 7/02 20060101ALI20240527BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20240527BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20240527BHJP
A01K 27/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A01N53/08 110
A01N31/14
A01P7/02
A01P7/04
A01N25/10
A01K27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186610
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】雨田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】黒田 明
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011AC04
4H011BB03
4H011BB15
4H011BC17
4H011BC18
4H011BC19
4H011DH02
(57)【要約】
【課題】
ブリスター包装容器などの密閉容器内では首輪からの害虫駆除成分のブリードがより抑制でき、さらには密閉容器から取り出して使用を開始した直後からは速やかに害虫駆除成分がブリードするとの害虫防除成分の特異な放出挙動に適合する駆虫用首輪を提供することを課題とする。
【解決手段】
フェノトリンおよびエトフェンプロックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の害虫駆除成分、蒸散性可塑剤、カーボンブラックならびに塩化ビニル系樹脂成分を含有する駆虫用首輪により特異な放出挙動に適合する駆虫用首輪が可能となる
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノトリンおよびエトフェンプロックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の害虫駆除成分、蒸散性可塑剤、カーボンブラックならびに塩化ビニル系樹脂成分を含有する駆虫用首輪。
【請求項2】
カーボンブラックの含有量が、害虫駆除成分および蒸散性可塑剤の合計含有量に対し0.05~1.00重量%であることを特徴とする請求項1に記載の駆虫用首輪。
【請求項3】
さらに着色剤を含有する請求項1または請求項2に記載の駆虫用首輪。
【請求項4】
透明性密閉容器に収納されてなる請求項1~3のいずれか1項に記載の駆虫用首輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆虫用首輪に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫等のペットに寄生するノミやダニ等の害虫を駆除するため、害虫駆除成分を樹脂成分に含有させて成型された駆虫用首輪が開発されている。駆虫用首輪は、製造直後に透明ブリスター包装容器などの透明性密閉容器に収納された状態で貯蔵され、輸送後、店頭において陳列がなされる(特許文献1)。
【0003】
駆虫用首輪は、密閉容器に収納された状態では、害虫駆除成分が首輪表面からブリードすることがない一方、密閉容器を開封し実用に供されるや否や遅滞なく充分量の害虫駆除成分が首輪表面からブリードされ、害虫駆除効果を発揮するという言わば、害虫駆除成分に関する相反する特異な放出挙動が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで開発された駆虫用首輪は、害虫駆除成分の前記の特異な放出挙動を提供するものの、保管状態によっては、密閉容器内において首輪表面からの害虫駆除成分のブリードが起こる場合があった。
【0006】
ブリスター包装容器は透明なため、被包装体である駆虫用首輪を容易に目視できる利点がある一方、駆虫用首輪の表面に害虫駆除成分のブリードに由来する液滴が認められると、商品価値の低下につながる。
【0007】
本発明は、ブリスター包装容器などの密閉容器内では首輪からの害虫駆除成分のブリードが抑制でき、さらには密閉容器から取り出して使用を開始した直後からは速やかに害虫駆除成分がブリードするという害虫駆除成分の特異な放出挙動に適合する駆虫用首輪を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、
〔1〕 フェノトリンおよびエトフェンプロックス からなる群より選ばれる少なくとも1種の害虫駆除成分、蒸散性可塑剤、カーボンブラックならびに塩化ビニル系樹脂成分を含有する駆虫用首輪。
〔2〕カーボンブラックの含有量が、害虫駆除成分および蒸散性可塑剤の合計含有量に対し0.05~1.00重量%であることを特徴とする上記の駆虫用首輪。
〔3〕さらに着色剤を含有する上記の駆虫用首輪。
〔4〕透明性密閉容器 に収納されてなる上記の駆虫用首輪。
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブリスター包装容器などの密閉容器内では首輪からの害虫駆除成分のブリードがより抑制でき、さらには密閉容器から取り出して使用を開始した直後からは速やかに害虫駆除成分がブリードするとの害虫駆除成分の特異は放出挙動に適合する駆虫用首輪を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の駆虫用首輪においては、害虫駆除成分との相溶性が良好であり、成形体としての柔軟性に優れる塩化ビニル系樹脂成分が使用される。塩化ビニル系樹脂成分としては、平均重合度が1000~2000、好ましくは1000~1500の塩化ビニル系樹脂が使用することができ、当該塩化ビニル系樹脂としては、例えば、新第一塩ビ株式会社から販売されるZEST(登録商標) 1300Z、1300SJ、1400Zなどが挙げられる。
【0011】
本発明の駆虫用首輪に使用される害虫駆除成分としては、フェノトリンまたはエトフェンプロックスである。これら害虫駆除成分は、実用に供されるや否や遅滞なく充分量の害虫駆除成分が首輪表面からブリードされ、害虫駆除効果を発揮する必要があることから、少なくとも塩化ビニル系樹脂成分に対して飽和溶解量以上含有させることが必要である。このうち、本発明の駆虫用首輪においては、フェノトリンを用いることが好ましい。害虫駆除成分の含有量としては、通常、駆虫用首輪に対して10~25重量%である。
【0012】
本発明の駆虫用首輪には、塩化ビニル系樹脂に対する害虫駆除成分の飽和溶解量を増加させることを目的に蒸散性可塑剤を使用する。なお蒸散性可塑剤が駆虫用首輪から蒸散すると、害虫駆除成分も首輪表面からブリードし始めることから、駆虫用首輪は後述するブリスター包装容器などの密閉容器内に収納されることが好ましい。蒸散性可塑剤としては、常温で液体状のエステル類、アルコール類、ケトン類、動植物性精油などが挙げられる。液体状のエステル類としては、例えば、フタル酸エステル類、直鎖二塩基酸エステル類、リン酸エステル類などが挙げられ、このうち、リン酸トリエチル、リン酸トリブチルなどのリン酸エステル類が好ましい。蒸散性可塑剤の含有量は、通常、駆虫用首輪に対し5~20重量%である。
【0013】
本発明の駆虫用首輪に使用されるカーボンブラックについて、その含有量は、通常、害虫駆除成分および蒸散性可塑剤の合計含有量に対し0.1~3.0重量%である。
【0014】
本発明の駆虫用首輪には、害虫駆除成分とは別に昆虫成長制御剤を含有することができる。昆虫成長制御剤としては、例えば、ピリプロキシフェン、ビストリフルロンなどが挙げられる。
【0015】
本発明の駆虫用首輪には、さらにピペロニルブトキサイド、MGK-264などのフェノトリンの効力増強剤を含有することができる。
【0016】
また本発明の駆虫用首輪には、ブリード促進剤、可塑剤、安定化剤、着色剤、抗菌剤、安定化剤、分散剤、香料、精油などをさらに含有することができる。
【0017】
ブリード促進剤としては、エルカ酸、カルボン酸などが挙げられる。カルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪酸、安息香酸などの芳香族カルボン酸、酒石酸、フマル酸などのジカルボン酸、クエン酸などのトリカルボン酸が挙げられる。
【0018】
可塑剤としては、20℃における蒸気圧が0.0001mmHg未満の可塑剤が挙げられ、例えば、アジピン酸ジイソノニル、アゼライン酸、2-エチルヘキシル、セバシン酸などが挙げられる。
【0019】
安定化剤としては、エポキシ化大豆油、バリウム/亜鉛系液状安定剤、ステアリン酸バリウムなどが挙げられる。
【0020】
着色剤としては、グンジョウ、グンジョウバイオレット、グンジョウピンク、ベンガラ、ベンガラ・カルミン被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄・コウジョウ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、ベンガラ・コウジョウ被覆雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、チタン・酸化チタン焼結物、チタン酸コバルト、チタン酸リチウムコバルト、黄酸化鉄、黄酸化鉄・カルミン被覆雲母チタン、黄酸化鉄・コンジョウ被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母チタン、インジゴカルミン、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色218号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、だいだい色201号、だいだい色203号、だいだい色204号、黄色201号、黄色204号、黄色205号、緑色202号、紫色201号、赤色404号、赤色405号、黄色401号、青色403号、青色404号、赤色2号アルミニウムレーキ、赤色3号アルミニウムレーキ、赤色4号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、青色1号アルミニウムレーキ、青色2号アルミニウムレーキ、キナクリドン系レッド、高塩素化銅フタロシアニングリン、ベンズイミダゾロン系イエロー、キノフタロン系イエロー、モノアゾ系レッド、フタロシアニングリン、ブリリアントカーミン6B、ナフトールレッド、アントラキノンレッド、ペリレン、縮合系アゾレッド、ピラゾロンレッド、ジズアゾオレンジ、ペリノンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ジスアゾエロー、縮合系アゾエロー、イソインドリノンエロー、インダンスレンブルー、ジオキサジン、縮合系アゾブラウンなどが挙げられる。これら着色剤は要求される駆虫用首輪の色に応じ、適宜混合して使用してもよい。また、着色剤は通常、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸とともにドライカラー化されて使用される。着色剤の含有量は、駆虫用首輪の色に応じ適宜調整されるが、通常、駆虫用首輪に対し1.0重量%以下、多くても3.0重量%以下である。
【0021】
本発明の駆虫用首輪は、塩化ビニル系樹脂成分に前記の害虫駆除成分および蒸散性可塑剤のほか、必要に応じて昆虫成長阻害剤、効力増強剤、ブリード促進剤、可塑剤、安定化剤、着色剤などを配合して混合し、所望の形状に成形した後、必要に応じて裁断し、バックルなどの留め具を取り付けることで製造することができる。混合については、例えば、各種成分をバンバリーミキサー、スーパーミキサーまたは押出機などの混合機を用い、溶融混練する方法が挙げられる。成形については、例えば、押出成形、プレス成型、射出成形などの方法が挙げられる。
【0022】
本発明の駆虫用首輪は、通常、
図1に示すような台紙3および透明ブリスター部材4から構成されるブリスター包装容器1をはじめとする透明性密閉容器に収納される。
【0023】
台紙3は、紙基材5、ガスバリヤー層6およびポリオレフィン層7をこの順に積層した3層構造となっている。紙基材としては、例えば、コートボール紙、カート紙、マニラボール紙などが挙げられる。ガスバリヤー層としては、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン層としては、L-LDPEが挙げられる。紙基材とガスバリヤー層ならびにガスバリヤー層とポリオレフィン層とは、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂などを主成分とする接着剤により接着され3層構造の台紙が構成される。
【0024】
ブリスター部材4は、駆虫用首輪を収納するための収納部4aと、該収納部の外周縁に沿って形成された平面上のつば部4bとで構成される。このつば部4bは、収納部4aを密閉状態とするために台紙と圧着可能とする接着部4dと、台紙とは接着することなくブリスター部材を台紙から剥がすための把手部4cとからなる。
【0025】
ブリスター部材4は、ガスバリヤー性を有しかつ光透過性を有する熱可塑性樹脂からなり、フィルム層8とPET層9とが接着され積層された構造となっている。
フィルム層は、台紙におけるポリオレフィン層に対する剥がし易さを付与するための層であり、例えば、東セロ株式会社製のTAF610Cを使用することができる。また最外層のPET層は、ガスバリヤー性を付与するための層であり、例えば、ポリテック株式会社のPT-700を使用することができる。
【0026】
本発明の駆虫用首輪はブリスター部材の収納部4aに収納された後、つば部が加熱圧着されることにより、ブリスター部材4におけるフィルム層8と台紙3におけるポリオレフィン層7が熱接着される。これにより、駆虫用首輪はブリスター包装容器内にて密閉状態で保管することができる。
【0027】
本発明の駆虫用首輪は、ブリスター包装容器から取り出した後、イヌやネコの首に装着し使用する。本発明の駆虫用首輪が駆除対象とする害虫としては、例えば、ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミ等の隠翅目害虫、フタトゲチマダニ、キチマダニ、ヤマトマダニ、シュルツマダニ等のマダニ類のダニ目害虫、ヒトスジシマカ、アカイエカ、ネッタイシマカ、チカイエカ等の双翅目害虫が挙げられる。
【実施例0028】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
以下に記載の使用原料、表1および表2に示す処方ならびに後述する駆虫用首輪の製造手順に従い駆虫用首輪を各11本ずつ作製した。なお表1に示す数値は重量%である。
【0030】
〔使用原料〕
原料成分(A)フェノトリン(住友化学株式会社製、商品名:スミスリン)
原料成分(B)エトフェンプロックス(三井化学アグロ株式会社製)
原料成分(C)ピリプロキシフェン(住友化学株式会社製、商品名:スミラブ)
原料成分(D)リン酸トリエチル(黒金化成株式会社製、商品名:TEP)
原料成分(E)アジピン酸ジイソデシル(田岡化学工業株式会社製、商品名:DIDA)
原料成分(F)イソステアリン酸(日産化学工業株式会社製)
原料成分(G)エルカ酸(日本精化株式会社製)
原料成分(H)エポキシ化大豆油(株式会社ADEKA製、商品名:アデカイザーO-130P)
原料成分(I)バリウム/亜鉛系液状安定剤(堺化学工業製、商品名:LBZ-793K)
原料成分(J)カーボンブラック含有ドライカラー(住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社作成、カーボンブラック50重量%、ステアリン酸亜鉛25重量%、ステアリン酸マグネシウム25重量%含有)
原料成分(K) サンプルA(住化エンバイロメンタルサイエンス作成、ステアリン酸亜鉛50重量%、ステアリン酸マグネシウム50重量%含有)
原料成分(L)ステアリン酸バリウム(日油株式会社製、商品名:バリウムステアレート)
原料成分(M)塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ株式会社製、商品名:ZEST 1300Z)
【0031】
【0032】
〔駆虫用首輪の製造手順〕
1.予め原料成分(H)および(I)を60℃に加温した後、表1の処方に従い、原料成分(A)~(I)の全てをポリカップ内で混合し混合液を得た。
2.原料成分(J)~(M)を、別途ポリカップ内で均一になるまで混合し、混合粉体を得た。
3.プラストグラフミル(株式会社東洋精機製作所社製)を140℃に加温し、ローターを10rpmで回転させながら前記混合粉体を投入した後、さらに前記混合液を投入し、ローターの回転数を50rpmに変更して5分間溶融混練して混練物を得た。
4.前記で得られた混練物をプラストグラフミルから取出し、2枚のアルミ板で挟み込み、卓上用テストプレス機(神籐金属工業所株式会社製)にて、前記混錬物を圧力50kg/cm2で1分間プレスし、さらに圧力100kg/cm2で1分間プレスした。
5.前記で得られたプレス物27gを縦15cm、横5cm、厚み3mmの成形枠に入れ、前記卓上用テストプレス機にて温度160℃、圧力100kg/cm2の条件で1分間プレスし成形体を得た。
6.前記で得られた成形体を卓上用テストプレス機の水冷部に移し、圧力100kg/cm2の条件で成形体が35℃に冷えるまで冷却し、該成形体を縦15cm、横1cm、厚み3mmに裁断し駆虫用首輪を得た。
【0033】
上記で得られた各駆虫用首輪のうちそれぞれ10本を
図1に示す形状を有するブリスター部材の収納部に収納した後、該ブリスター部材に台紙を載置し、該台紙のつば部を加熱圧着することで駆虫用首輪を収納したブリスター包装容器を作製した。
前記台紙は、コートボール紙からなる膜厚500μmの紙基材、ポリエチレンテレフタレートからなる膜厚25μmのガスバリヤー層、およびL-LDPEからなる膜厚30μmのポリオレフィン層の3層構造の台紙を用いた。また、前記ブリスター部材は、TAF610Cからなる膜厚25μmのフィルム層および膜厚350μmのPET層の2層構造のブリスター部材を用いた。
【0034】
〔ブリードの有無確認〕
前記で得られた駆虫用首輪を収納したブリスター包装容器を60℃の恒温槽内に入れ、2か月後に取り出して駆虫用首輪の表面におけるブリードの有無を確認した。
ブリスター包装容器内の駆虫用首輪表面を観察し、駆虫用首輪表面に液滴が認められる場合をブリード有、液滴が認められない場合をブリード無とした。以下表2に、ブリードが発生した駆虫用首輪の本数を示す。
【0035】
【0036】
[ブリード量の測定]
前述のようにして調整した各駆虫用首輪を切断し、長さ3cmの検体を4つ得た。該検体を直径4cmのアルミ皿に1つずつ載せ、設定照度60w/m2・温度30℃のキセノン試験チャンバー(Q-SUN Xe-1)内に設置した。表3に示す所定の積算照度達した時点で検体を1つ取り出し、該検体の表面にブリードしたフェノトリンおよびエトフェンプロックスを紙ウエス(エリエール〔登録商標〕 プロワイプ ソフトワイパーS200、大王製紙株式会社製)で拭き取った。
積算照度毎の前記拭き取り後の夫々の紙ウエスとアセトン50mlを60ml容スクリュー管に入れて超音波を30分照射しフェノトリンおよびエトフェンプロックスを抽出して抽出液を得た。このうち、該抽出液に含まれるフェノトリンを以下の測定条件に基づいて液体クロマトグラフィーで測定し、フェノトリン量(mg)およびエトフェンプロックス量(mg)を夫々求めその平均を算出した。表3に結果を示す。
なお、液体クロマトグラフィー測定条件は以下の通りである。
移動相:アセトニトリル/蒸留水混液(80:20)
抽出液打ち込み量:5μL
流量:1.0mL/min
分離管:住化分析センター社製 ODS-A212
検出器:紫外線吸光光度計(株式会社島津製作所社製)
検出波長:272nm
【0037】
実施例1の処方において、さらに着色剤としてグンジョウを含むドライカラー(日本化成製)を首輪重量に対し1重量%を配合して駆虫用首輪を製造した。着色剤は、上記製造手順における手順2にて配合したほかは同様の手順で製造した。
参考例1において、グンジョウを含むドライカラーを、グンジョウピンク、ベンガラ、フタロシアニンブルーをそれぞれ1成分含むドライカラー(日本化成製)、赤色2号アルミニウムレーキと白色ドライカラー(日本化成製、製品名:PP038-5963 ホワイト)を混合したものにそれぞれ変更し駆虫用首輪を製造した。
フェノトリンおよびエトフェンプロックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の害虫駆除成分、蒸散性可塑剤、カーボンブラックならびに塩化ビニル系樹脂成分を含有する駆虫用首輪。