(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075276
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240527BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186612
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯坂 達也
(72)【発明者】
【氏名】林 巨己
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英幸
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直人
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】蓄電システムを利用した買電および売電を効率的に制御する。
【解決手段】制御システム20は、電力系統に接続された蓄電システムを制御するシステムであり、電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得する価格取得部31と、蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得する計画取得部32と、価格遷移のもとで取引計画により電力を取引した場合の収益を算定する収益解析部33と、蓄電システムによる充電および放電を取引計画に応じて制御する動作制御部35とを具備する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続された蓄電システムを制御する制御システムであって、
電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得する価格取得部と、
前記蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得する計画取得部と、
前記価格遷移のもとで前記取引計画により電力を取引した場合の収益を算定する収益解析部と、
前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する動作制御部と
を具備する制御システム。
【請求項2】
前記価格取得部は、複数の価格遷移を取得し、
前記計画取得部は、複数の取引計画を取得し、
前記収益解析部は、前記複数の価格遷移の各々と前記複数の取引計画の各々との組合せ毎に収益を算定する
請求項1の制御システム。
【請求項3】
前記収益解析部は、
前記価格遷移と前記取引計画との相異なる組合せに対応する複数の収益を算定し、
前記複数の収益に応じて前記複数の取引計画の何れかを選択し、
前記動作制御部は、前記選択された取引計画に応じて前記蓄電システムを制御する
請求項2の制御システム。
【請求項4】
前記収益解析部は、前記取引計画の選択において、
複数の取引計画の各々について、当該取引計画に対応する複数の収益の平均値と、前記複数の収益の散布度とに応じた評価指標を算定し、前記評価指標に応じて前記取引計画を選択する
請求項3の制御システム。
【請求項5】
前記価格取得部は、複数の電力市場の各々について前記価格遷移を取得し、
前記取引計画は、前記買電および前記売電について前記複数の電力市場の何れかの指定を含む
請求項1の制御システム。
【請求項6】
前記複数の電力市場は、需給調整市場を含み、
前記需給調整市場の前記価格遷移は、容量価格と電力量価格とに応じた予測価格の時系列を表す
請求項5の制御システム。
【請求項7】
前記複数の電力市場の各々において前記取引計画により取引した場合の収益を、前記電力市場毎に相異なる表示態様で表示装置に表示する表示制御部
をさらに具備する請求項5または請求項6の制御システム。
【請求項8】
電力系統に接続された蓄電システムを制御する方法であって、
電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得し、
前記蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得し、
前記価格遷移のもとで前記取引計画により電力を取引した場合の収益を算定し、
前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する
コンピュータシステムにより実現される制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力系統に接続された蓄電システムを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば太陽光発電または風力発電等の発電システムにより発電された電力の売電が従来から提案されている。特許文献1には、売電による収益を最大化するための売電計画を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電システムを利用することで買電および売電の双方を含む取引が可能である。蓄電システムの利用を考慮すると、買電および売電の双方の取引について計画を生成することが重要である。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、蓄電システムを利用した買電および売電を効率的に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る制御システムは、電力系統に接続された蓄電システムを制御する制御システムであって、電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得する価格取得部と、前記蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得する計画取得部と、前記価格遷移のもとで前記取引計画により電力を取引した場合の収益を算定する収益解析部と、前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する動作制御部とを具備する。
【0006】
本開示のひとつの態様に係る制御方法は、電力系統に接続された蓄電システムを制御する方法であって、電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得し、前記蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得し、前記価格遷移のもとで前記取引計画により電力を取引した場合の収益を算定し、前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における電力取引システムの構成を例示するブロック図である。
【
図2】制御システムの構成を例示するブロック図である。
【
図3】制御システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
【
図9】第3実施形態における価格遷移の模式図である。
【
図10】第3実施形態における取引計画の模式図である。
【
図11】第3実施形態における解析画像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される例示的な一形態である。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0009】
A:第1実施形態
図1は、第1実施形態における電力取引システム100のブロック図である。第1実施形態の電力取引システム100は、電力系統200との間で交流電力を授受するシステムである。電力系統200は、発電設備(図示略)により生成された電力を事業設備または一般家庭等の需要家に供給するための配電系統である。
【0010】
図1に例示される通り、電力取引システム100は、蓄電システム10と制御システム20とを具備する。蓄電システム10と制御システム20とは、例えば専用線等の通信網(図示略)を介して相互に通信可能である。
【0011】
蓄電システム10は、電力系統200に接続される。蓄電システム10は、充電および放電が可能な蓄電装置11を具備する。蓄電装置11は、電力系統200から供給される電力により充電され、放電により発生した電力を電力系統200に供給する蓄電池である。制御システム20は、蓄電システム10を制御するためのコンピュータシステムである。具体的には、制御システム20は、蓄電システム10に対して放電および充電を指示する。
【0012】
図2は、制御システム20の構成を例示するブロック図である。
図2に例示される通り、制御システム20は、制御装置21と記憶装置22と通信装置23と操作装置24と表示装置25とを具備する。なお、制御システム20は、単体の装置により実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置でも実現される。また、制御システム20の一部または全部は、蓄電システム10に搭載されてもよい。
【0013】
制御装置21は、制御システム20の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置21が構成される。
【0014】
記憶装置22は、制御装置21が実行するプログラムと制御装置21が使用するデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置22は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成される。複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置22が構成されてもよい。制御システム20に対して着脱される可搬型の記録媒体が、記憶装置22として利用されてもよい。
【0015】
通信装置23は、外部装置との間で有線または無線により通信する。具体的には、通信装置23は、蓄電システム10と通信する。例えば、通信装置23は、充電または放電の指令を蓄電システム10に送信する。なお、制御システム20とは別体の通信装置23が、制御システム20に有線または無線により接続されてもよい。
【0016】
操作装置24は、例えば制御システム20の利用者からの指示を受付ける入力機器である。操作装置24は、例えば、利用者が操作する操作子、または、利用者による接触を検知するタッチパネルである。表示装置25は、制御装置21による制御のもとで画像を表示する。表示装置25は、例えば、液晶表示パネルまたは有機EL(Electroluminescence)パネル等の表示パネルである。なお、制御システム20とは別体の操作装置24または表示装置25が、制御システム20に有線または無線により接続されてもよい。
【0017】
図3は、制御システム20の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することで、蓄電システム10を制御するための複数の機能(価格取得部31,計画取得部32,収益解析部33,表示制御部34,動作制御部35)を実現する。
【0018】
価格取得部31は、複数の価格遷移Pを取得する。
図4は、価格遷移P(P1,P2,…)の模式図である。各価格遷移Pは、電力市場価格の予測価格の時系列を表すデータである。予測価格は、買電および売電のための価格の予測値である。
図4に例示される通り、価格遷移Pは、時刻毎の予測価格の時系列である。具体的には、価格遷移Pは、1日(0:00-24:00)を30分毎に区分する合計48個の時刻の各々について予測価格を含む。各時刻における予測価格は、価格遷移P毎に個別に設定される。したがって、複数の価格遷移P(P1,P2,…)における1個の時刻の予測価格は相違し得る。ただし、複数の価格遷移Pの間において部分的に予測価格が共通してもよい。
【0019】
第1実施形態の価格取得部31は、価格予測システム(図示略)から配信される価格遷移Pを通信装置23により受信する。価格予測システムは、気象情報または暦情報等の各種の情報を利用して電力市場価格を予測するコンピュータシステムである。なお、価格取得部31自身が、電力市場価格の予測により価格遷移Pを生成してもよい。また、価格取得部31は、操作装置24に対する価格遷移Pの入力を利用者から受付けてもよい。価格取得部31は、記憶装置22に記憶されたデータの読出により価格遷移Pを取得してもよい。以上の説明から理解される通り、価格遷移Pの「取得」は、価格遷移Pの受信、生成、受付および読出等の各種の動作を含む。
【0020】
図3の計画取得部32は、複数の取引計画Qを取得する。
図5は、取引計画Q(Q1,Q2,…)の模式図である。各取引計画Qは、蓄電システム10を利用した買電および売電の計画を表すデータである。
図5に例示される通り、取引計画Qは、蓄電システム10を利用した買電および売電の時刻を指定する。具体的には、価格遷移Pにおいて予想価格が設定される複数の時刻の何れかについて買電または売電が指定される。買電または売電の時刻は取引計画Q毎に個別に設定される。したがって、買電または売電の時刻は取引計画Q毎に相違し得る。ただし、複数の取引計画Q(Q1,Q2,…)の間において買電および売電の一方の時刻が共通してもよい。
【0021】
第1実施形態の計画取得部32は、例えば1日の複数の時刻から買電および売電の各時刻を選択する全通りの組合せについて取引計画Qを生成する。なお、計画取得部32は、操作装置24に対する取引計画Qの入力を利用者から受付けてもよい。例えば、計画取得部32は、買電および売電の各々の時刻の指定を利用者から受付ける。計画取得部32は、外部システムから配信される取引計画Qを通信装置23により受信してもよい。計画取得部32は、記憶装置22に記憶されたデータの読出により取引計画Qを取得してもよい。以上の説明から理解される通り、取引計画Qの「取得」は、取引計画Qの生成、受付、受信および読出等の各種の動作を含む。
【0022】
図3の収益解析部33は、価格取得部31が取得した各価格遷移Pと計画取得部32が取得した各取引計画Qとを利用して収益Rを算定する。
図6は、収益解析部33の動作の説明図である。収益Rは、価格遷移Pのもとで取引計画Qにより電力を取引した場合の利益額である。具体的には、収益Rは、売電価格Xと買電価格Yとの差分である(R=X-Y)。売電価格Xは、価格遷移Pに指定された複数の予測価格のうち、取引計画Qに指定された売電の時刻における予測価格である。他方、買電価格Yは、価格遷移Pに指定された複数の予測価格のうち、取引計画Qに指定された買電の時刻における予測価格である。
【0023】
第1実施形態の収益解析部33は、複数の価格遷移P(P1,P2,…)の各々と複数の取引計画Q(Q1,Q2,…)の各々との組合せ毎に収益Rを算定する。具体的には、収益解析部33は、複数の価格遷移P(P1,P2,…)の各々と複数の取引計画Q(Q1,Q2,…)の各々との全通りの組合せについて収益Rを算定する。すなわち、価格遷移Pと取引計画Qとの相異なる組合せに対応する複数の収益Rが、収益解析部33により算定される。
【0024】
図3の表示制御部34は、収益解析部33による解析の結果を表す画像(以下「解析画像G」という)を表示装置25に表示する。
図7は、解析画像Gの模式図である。
図7に例示される通り、解析画像Gは、買電時刻と収益Rとの相関を表す画像(散布図)である。なお、実際には売電時刻と買電時刻との相異なる組合せ毎に収益Rが算定されるが、
図7の解析画像Gにおいては、特定の売電時刻のもとで買電時刻を変化させた複数の場合の各々における収益Rが便宜的に例示されている。
【0025】
図7に例示される通り、解析画像Gにおいては、横軸で表現される複数の買電時刻の各々について、相異なる価格遷移Pに対応する複数の収益Rに対応する点画像Gpが描画される。複数の収益Rの最大値Rmaxと平均値Raveと最小値Rminとが買電時刻毎に算定される。
【0026】
表示制御部34は、最大値曲線Cmaxと平均値曲線Caveと最小値曲線Cminとを表示装置25に表示する。最大値曲線Cmaxは、複数の買電時刻にわたる最大値Rmaxの時系列を近似する曲線である。平均値曲線Caveは、複数の買電時刻にわたる平均値Raveの時系列を近似する曲線である。最小値曲線Cminは、複数の買電時刻にわたる最小値Rminの時系列を近似する曲線である。
【0027】
以上の説明から理解される通り、利用者は、解析画像Gを視認することで、買電時刻に対する収益Rの増減の傾向を視覚的に把握できる。例えば、利用者は、最大値Rmaxまたは平均値Raveが最大となる買電時刻、または、収益Rの最小値Rminが正数となる買電時刻を把握できる。
【0028】
なお、以上の説明においては、特定の売電時刻のもとで買電時刻を変化させた各場合の収益Rを表す解析画像Gを例示したが、特定の買電時刻のもとで売電時刻を変化させた各場合の収益Rを表す解析画像Gも、表示装置25に表示される。
【0029】
第1実施形態の収益解析部33は、収益Rを解析した結果に応じて複数の取引計画Qの何れか(以下「最適計画Q」という)を選択する。具体的には、収益解析部33は、所定の条件(以下「抽出条件」という)を充足する取引計画Qを最適計画Qとして選択する。
【0030】
抽出条件は、例えば操作装置24に対する利用者からの指示に応じて設定される。例えば、記憶装置22に記憶された複数の抽出条件のうちの1以上の抽出条件が、利用者からの指示に応じて選択される。具体的には、収益Rの最大値Rmaxが最大となる取引計画Qであること、収益Rの平均値Raveが最大となる取引計画Qであること、または、最小値Rminが正数となる取引計画Qであること、等の複数の抽出条件のうち1以上の抽出条件が、最適計画Qの選択に適用される。
【0031】
図3の動作制御部35は、蓄電システム10による充電および放電を取引計画Qに応じて制御する。第1実施形態の動作制御部35は、収益解析部33が選択した最適計画Qに応じて蓄電システム10を制御する。具体的には、動作制御部35は、最適計画Qに指定された買電時刻において、充電の指令を通信装置23から蓄電システム10に送信する。制御システム20から充電の指令を受信した蓄電システム10は、電力系統200から供給される電力により蓄電装置11を充電する。また、動作制御部35は、最適計画Qに指定された売電時刻において、放電の指令を通信装置23から蓄電システム10に送信する。制御システム20から放電の指令を受信した蓄電システム10は、蓄電装置11の放電により電力系統200に電力を供給する。
【0032】
図8は、制御装置21が実行する処理(以下「制御処理」という)のフローチャートである。例えば、操作装置24に対する利用者からの指示を契機として制御処理が開始される。制御処理は「制御方法」の一例である。
【0033】
制御処理が開始されると、制御装置21(価格取得部31)は、複数の価格遷移Pを取得する(S1)。また、制御装置21(計画取得部32)は、複数の取引計画Qを取得する(S2)。なお、価格遷移Pの取得(S1)と取引計画Qの取得(S2)との順序は逆転されてもよい。
【0034】
制御装置21(収益解析部33)は、価格遷移Pと取引計画Qとの相異なる組合せについて複数の収益Rを算定する(S3)。制御装置21(表示制御部34)は、複数の収益Rを解析した結果を表す
図7の解析画像Gを表示装置25に表示する(S4)。また、制御装置21(収益解析部33)は、収益Rを解析した結果に応じて複数の取引計画Qから最適計画Qを選択する(S5)。制御装置21(動作制御部35)は、最適計画Qに応じて蓄電システム10を制御する(S6)。なお、解析画像Gの表示(S4)前に最適計画Qの選択(S5)が実行されてもよい。
【0035】
以上に説明した通り、第1実施形態においては、価格遷移Pのもとで取引計画Qにより買電および売電した場合の収益Rが算定される。したがって、蓄電システム10を利用した買電(充電)および売電(放電)による収益Rを解析しながら、当該蓄電システム10を利用した買電および売電を効果的に制御できる。第1実施形態においては特に、複数の価格遷移Pの各々と複数の取引計画Qの各々との組合せ毎に収益Rが算定されるから、価格遷移Pまたは取引計画Qを相違させた複数の場合について収益Rを比較できる。
【0036】
また、第1実施形態においては、複数の取引計画Qの何れかが複数の収益Rに応じて選択されるから、利用者が手動により取引計画Q(最適計画Q)を選択する必要がない。したがって、利用者の負荷を軽減できる。ただし、解析画像Gを確認した利用者が、操作装置24を操作することで複数の取引計画Qの何れかを最適計画Qとして選択してもよい。すなわち、収益解析部33は、利用者による最適計画Qの選択を受付ける。
【0037】
B:第2実施形態
本開示の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各態様において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明と同様の符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0038】
第2実施形態の収益解析部33は、第1実施形態と同様に、価格遷移Pと取引計画Qとの組合せ毎に収益Rを算定する。複数の取引計画Qの各々について価格遷移P毎に収益Rが算定される。すなわち、相異なる価格遷移Pに対応する複数の収益Rが、取引計画Q毎に算定される。
【0039】
第2実施形態の収益解析部33は、複数の取引計画Qから最適計画Qを選択するための指標(以下「評価指標」という)Zを取引計画Q毎に算定する。評価指標Zは、以下の数式(1)で表現される。
Z=a・μ-b・σ (1)
【0040】
数式(1)の記号μは、1個の取引計画Qに対応する複数の収益Rの平均値である。他方、数式(1)の記号σは、1個の取引計画Qに対応する複数の収益Rの散らばりの度合を示す散布度である。具体的には、複数の収益Rの標準偏差または分散が散布度σとして算定される。数式(1)の定数aおよび定数bは、事前に設定された所定の正数である。
【0041】
以上の説明から理解される通り、第2実施形態の収益解析部33は、複数の取引計画Qの各々について、当該取引計画Qに対応する複数の収益Rの平均値μと、複数の収益Rの散布度σとに応じた評価指標Zを算定する。
【0042】
取引計画Qに対応する平均値μは、当該取引計画Qにおける収益Rの期待値(リターン)を意味する。平均値μが大きい(すなわちリターンが大きい)ほど評価指標Zは大きい数値となる。他方、数式(1)の散布度σは、取引計画Qにおけるリスクに相当する。散布度σが大きい(すなわちリスクが大きい)ほど評価指標Zは小さい数値となる。以上の傾向を考慮して、第2実施形態の収益解析部33は、複数の取引計画Qのうち評価指標Zが最大となる1個の取引計画Qを、最適計画Qとして選択する。すなわち、リスクを低減しながら収益Rの期待値が大きい取引計画Qが、最適計画Qとして選択される。
【0043】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態においては、複数の収益Rの平均値μおよび散布度σとに応じた評価指標Zを利用して最適計画Qが選択される。すなわち、収益Rの平均値μ(期待値=リターン)だけでなく収益Rの散布度σ(リスク)も加味して取引計画Qが選択される。したがって、リターンとリスクとを考慮した効果的な取引が可能である。
【0044】
C:第3実施形態
第1実施形態においてはひとつの電力市場を想定したが、実際には、複数の電力市場が存在する。第3実施形態は、複数の電力市場における電力の取引を想定した形態である。
【0045】
複数の電力市場は、例えば需給調整市場と電力卸売市場とを含む。需給調整市場は、電力の需要と供給とを平衡させる調整力を取引するための市場であり、例えば3次調整力(1)市場と3次調整力(2)市場とを含む。他方、電力卸売市場は、電力の卸売のための市場であり、例えばスポット市場と時間前市場とを含む。
【0046】
取引条件は電力市場毎に相違する。取引条件は、例えば電力市場価格、買電の有無、または約定の時期(周期)等の条件である。例えば、需給調整市場の3次調整力(1)市場においては、毎週火曜日に翌週の土曜日から金曜日までの30分毎の電力取引が約定される。需給調整市場の3次調整力(2)市場においては、毎日14時に翌日の30分毎の電力取引が約定される。電力卸売市場のスポット市場は、毎日10時に翌日の30分毎の電力取引が約定される。電力卸売市場の時間前市場は、1時間毎に1時間先の30分の電力取引が約定される。以上の通り、取引期間に対する約定の時期は電力市場毎に相違する。そこで、第3実施形態においては、複数の電力市場のなかで最先の約定の時期(具体的には、3次調整力(1)市場の約定前)に制御処理が実行される。
【0047】
第3実施形態の価格取得部31は、複数の価格遷移Pを電力市場毎に取得する(S1)。
図9は、電力市場毎の価格遷移Pの模式図である。
図9においては、需給調整市場(3次調整力(1)市場,3次調整力(2)市場)と電力卸売市場(スポット市場,時間前市場)とについて価格遷移Pが例示されている。なお、
図9においては電力市場毎にひとつの価格遷移Pのみが便宜的に図示されているが、第3実施形態の価格取得部31は、時刻毎の予測価格が相違する複数の価格遷移P(P1,P2,…)を電力市場毎に取得する。
【0048】
図9に例示される通り、需給調整市場(3次調整力(1)市場,3次調整力(2)市場)の価格遷移Pは、容量価格(kW)および電力量価格(kWh)の各々について予測価格の時系列を含む。容量価格は、調整力に専用される電力として定常的に確保される電力の価格であり、電力値(kw)を単位として規定される。他方、電力量価格は、実際の電力の取引に並行して逐次的に発生する指令により要求される調整力の価格であり、電力量(kWh)を単位として規定される。需給調整市場の予測価格は、容量価格と電力量価格との合計値である。以上の説明から理解される通り、需給調整市場の価格遷移Pは、容量価格と電力量価格とに応じた予測価格の時系列を表す。
【0049】
第3実施形態の計画取得部32は、第1実施形態と同様に、複数の取引計画Q(Q1,Q2,…)を取得する(S2)。
図10は、第3実施形態の計画取得部32が取得する複数の取引計画Q(Q1,Q2,…)の模式図である。
図10に例示される通り、第3実施形態の取引計画Qは、買電および売電の各々について複数の電力市場の何れかを取引市場として指定する。すなわち、取引計画Qは、取引内容(買電/売電)と取引市場とを時刻毎に指定する。
【0050】
なお、複数の電力市場のなかには、買電および売電の一方のみが許容される電力市場もある。例えば需給調整市場(3次調整力(1)市場,3次調整力(2)市場)においては売電のみが許容され、買電は発生しない。したがって、需給調整市場については取引計画Qにおいて売電のみが指定される。すなわち、需給調整市場は、取引計画Qにおける買電の取引市場としては指定されない。以上の説明から理解される通り、計画取得部32は、電力市場毎の取引条件の範囲内で取引計画Qを取得する。
【0051】
収益解析部33は、電力市場毎の複数の価格遷移Pの各々と複数の取引計画Qの各々との組合せ毎に収益Rを算定する(S3)。収益Rは、売電価格Xと買電価格Yとの差分を複数の電力市場にわたり合計した数値である(R=Σ(X-Y))。取引計画Qのうち特定の電力市場での売電が指定された時刻における売電価格Xは、当該電力市場の価格遷移Pにおいて当該時刻について指定された予測価格である。他方、取引計画Qのうち特定の電力市場での買電が指定された時刻における買電価格Yは、当該電力市場の価格遷移Pにおいて当該時刻について指定された予測価格である。ただし、需給調整市場において買電は発生しないから、買電価格Yは電力卸売市場のみについて算定される。
【0052】
収益解析部33は、複数の取引計画Qのうち収益Rが最大となる取引計画Qを、最適計画Qとして選択する(S5)。すなわち、第3実施形態の収益解析部33は、収益Rが最大となることを抽出条件として複数の取引計画Qから最適計画Qを選択する。ただし、最適計画Qの抽出条件は以上の例示に限定されない。例えば、第1実施形態と同様に、収益Rの最大値Rmaxが最大となる取引計画Qであること、収益Rの平均値Raveが最大となる取引計画Qであること、または、最小値Rminが正数となる取引計画Qであること、等の複数の抽出条件のうち1以上の抽出条件が、最適計画Qの選択に適用されてもよい。
【0053】
収益解析部33が選択した最適計画Qに応じて動作制御部35が蓄電システム10を制御する動作(S6)は、第1実施形態と同様である。すなわち、動作制御部35は、最適計画Qに指定された買電時刻において充電の指令を通信装置23から蓄電システム10に送信し、最適計画Qに指定された売電時刻において放電の指令を通信装置23から蓄電システム10に送信する。
【0054】
表示制御部34は、収益解析部33による解析の結果を表す解析画像Gを表示装置25に表示する(S4)。
図11は、第3実施形態における解析画像Gの模式図である。
図11に例示される通り、解析画像Gは、売電時刻と収益rとの相関を表す画像(散布図)である。前述の収益Rは取引計画Qのもとで複数の電力市場における電力取引を実施した場合の総利益であるのに対し、収益rは電力市場毎の利益である。すなわち、売電時刻と買電時刻と電力市場との組合せ毎に収益rが算定される。ただし、
図11においては、特定の電力市場のもとで買電時刻を固定したまま売電時刻を変化させた複数の場合の各々における収益rが、便宜的に例示されている。
【0055】
図11に例示される通り、横軸で表現される複数の売電時刻の各々について、相異なる価格遷移Pに対応する複数の収益rに対応する点画像Gpが、電力市場毎に相異なる表示態様で表示される。すなわち、ひとつの電力市場の相異なる価格遷移Pに対応する複数の収益rに対応する点画像Gpが、電力市場毎に相異なる表示態様で表示される。以上の説明から理解される通り、第3実施形態の表示制御部34は、複数の電力市場の各々において取引計画Qにより取引した場合の収益rを、電力市場毎に相異なる表示態様で表示装置25に表示する。
【0056】
なお、点画像Gpの「表示態様」は、利用者が視覚的に弁別可能な画像の特性を意味する。例えば、点画像Gpの表示色、模様(図柄)、サイズまたは形状が、「表示態様」の概念には包含される。なお、表示色は、色相(色調),彩度または明度(階調)により規定される。
【0057】
以上に説明した解析画像Gを視認することで、利用者は、電力市場毎の収益rの時間的な変化を確認できる。例えば、利用者は、ひとつの電力市場について特定の売電時刻に表示された複数の点画像Gpに関する縦軸方向の位置に応じて、当該電力市場において当該時刻に売電した場合の収益rの高低(リターン)を把握できる。また、ひとつの電力市場について特定の売電時刻に表示された複数の点画像Gpが縦軸方向に分布する範囲に応じて、当該電力市場において当該時刻に売電した場合の収益rの分散(リスク)を把握できる。
【0058】
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態においては、価格遷移Pが電力市場毎に取得され、かつ、取引計画Qは各取引(買電/売電)について電力市場の指定を含む。したがって、複数の電力市場における買電および売電による収益を解析しながら、蓄電システム10を利用した買電および売電を制御できる。第3実施形態においては特に、電力市場毎の収益rが相異なる表示態様で表示されるから、電力市場毎の収益rを利用者が視覚的および直観的に把握できる。
【0059】
また、第3実施形態においては、需給調整市場における容量価格(kW)と電力量価格(kWh)との双方を加味して収益Rが算定される。したがって、需給調整市場の現実の状況に応じた効果的な収益が実現されるように蓄電システム10を制御できる。
【0060】
D:第4実施形態
第3実施形態においては、需給調整市場の価格遷移Pにおける予測価格を、容量価格と電力量価格との合計値として例示した。しかし、電力量価格による電力取引は、電力系統200における需給のひっ迫の度合に応じて発生する。したがって、電力量価格による電力取引は実際には発生しない場合もある。すなわち、需給調整市場における予測価格は、容量価格のみの価格と、容量価格および電力量価格の合計価格との間で変動し得る。
【0061】
以上の事情を考慮して、第4実施形態における価格取得部31は、容量価格e1(kW)と電力量価格e2(kWh)とを適用した以下の数式(2)により需給調整市場の予測価格Eを算定する。予測価格Eは時刻毎に算定される。
E=e1+ρ・e2 …(2)
【0062】
数式(2)の係数ρは、電力量価格e2による電力取引が発生する可能性の指標であり、1以下の正数に設定される。係数ρは、例えば電力量価格による過去の電力取引の実績に応じて実験的または統計的に設定される。具体的には、電力量価格による電力取引が発生する確度に応じて係数ρが設定される。すなわち、電力量価格による電力取引の発生確度が高い場合には係数ρが1に近い数値に設定され、電力量価格による電力取引の発生確度が低い場合には係数ρが0に近い数値に設定される。なお、電力量価格による電力取引の発生の頻度は時間帯毎に変動するから、係数ρは、時間帯毎に個別に設定されてもよい。
【0063】
第4実施形態においても第1実施形態または第3実施形態と同様の効果が実現される。また、第4実施形態においては、電力量価格による電力取引が発生しない可能性も考慮して、最適計画Qを適切に選択できる。
【0064】
E:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0065】
(1)前述の各形態においては、価格取得部31が複数の価格遷移Pを取得する形態を例示したが、価格取得部31がひとつの価格遷移Pのみを取得する形態も想定される。また、前述の各形態においては、計画取得部32が複数の取引計画Qを取得する形態を例示したが、計画取得部32がひとつの取引計画Qのみを取得する形態も想定される。
【0066】
(2)前述の各形態においては、制御システム20が表示制御部34を含む形態を例示したが、表示制御部34は省略されてもよい。すなわち、
図7または
図11に例示した解析画像Gの表示は省略されてよい。
【0067】
(3)前述の各形態においては、取引計画Qに応じた充電または放電の指令を動作制御部35が蓄電システム10に送信する形態を例示したが、蓄電システム10の動作を動作制御部35が制御する方法は以上の例示に限定されない。例えば、動作制御部35が取引計画Qを通信装置23から蓄電システム10に送信してもよい。蓄電システム10は、取引計画Qにとって蓄電装置11の充電および放電を実行する。なお、収益解析部33による解析の結果(最適計画Q)を知得した利用者が、蓄電システム10を手動により操作してもよい。すなわち、動作制御部35は省略されてもよい。
【0068】
(4)複数の電力市場を想定する第3実施形態において、制御処理による最初の最適計画Qの選択後に、最適計画Qは随時に更新されてもよい。例えば、第3実施形態に例示した複数の電力市場のなかでは、3次調整力(1)市場において、実際の電力取引に対する約定の時期が最先である。したがって、3調整力(1)市場の約定前に最初の制御処理により最適計画Qが設定されてから、実際の電力取引の開始前までの適切な時期に、他の電力市場を対象とした制御処理を制御装置21が実行することで、最適計画Qを再設定してもよい。
【0069】
(5)前述の各形態に係る制御システム20の機能は、前述の通り、制御装置21を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置22に記憶されたプログラムとの協働により実現される。以上に例示したプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0070】
F:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0071】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る制御システムは、電力系統に接続された蓄電システムを制御する制御システムであって、電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得する価格取得部と、前記蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得する計画取得部と、前記価格遷移のもとで前記取引計画により電力を取引した場合の収益を算定する収益解析部と、前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する動作制御部とを具備する。以上の形態によれば、蓄電システムを利用した買電(充電)および売電(放電)による収益を解析しながら、当該蓄電システムを利用した買電および売電を効果的に制御できる。
【0072】
態様1の具体例(態様2)において、前記価格取得部は、複数の価格遷移を取得し、前記計画取得部は、複数の取引計画を取得し、前記収益解析部は、前記複数の価格遷移の各々と前記複数の取引計画の各々との組合せ毎に収益を算定する。以上の形態によれば、複数の価格遷移の各々と複数の取引計画の各々との組合せ毎に収益が算定されるから、価格遷移または取引計画を相違させた複数の場合について収益を比較できる。
【0073】
態様2の具体例(態様3)において、前記収益解析部は、前記価格遷移と前記取引計画との相異なる組合せに対応する複数の収益を算定し、前記複数の収益に応じて前記複数の取引計画の何れかを選択し、前記動作制御部は、前記選択された取引計画に応じて前記蓄電システムを制御する。以上の形態によれば、複数の取引計画の何れかが複数の収益に応じて選択されるから、利用者が手動により取引計画を選択する必要がない。したがって、利用者の負荷を軽減できる。
【0074】
態様3の具体例(態様4)において、前記収益解析部は、前記取引計画の選択において、複数の取引計画の各々について、当該取引計画に対応する複数の収益の平均値と、前記複数の収益の散布度とに応じた評価指標を算定し、前記評価指標に応じて前記取引計画を選択する。以上の形態においては、収益の平均値(期待値=リターン)だけでなく収益の散布度(リスク)も加味して取引計画が選択されるから、リターンとリスクとを考慮した効果的な取引が可能である。
【0075】
態様1から態様4の何れかの具体例(態様5)において、前記価格取得部は、複数の電力市場の各々について前記価格遷移を取得し、前記取引計画は、前記買電および前記売電について前記複数の電力市場の何れかの指定を含む。以上の形態においては、複数の電力市場における買電および売電による収益を解析しながら、蓄電システムを利用した買電および売電を制御できる。
【0076】
態様5の具体例(態様6)において、前記複数の電力市場は、需給調整市場を含み、前記需給調整市場の前記価格遷移は、容量価格と電力量価格とに応じた予測価格の時系列を表す。以上の形態においては、需給調整市場における容量価格(kW)と電力量価格(kWh)との双方を加味して収益が算定される。したがって、需給調整市場の現実の状況に応じた効果的な収益が実現されるように蓄電システムを制御できる。
【0077】
態様5または態様6の具体例(態様7)において、前記複数の電力市場の各々において前記取引計画により取引した場合の収益を、前記電力市場毎に相異なる表示態様で表示装置に表示する表示制御部を具備する。以上の態様によれば、電力市場毎の収益を利用者が視覚的および直観的に把握できる。
【0078】
本開示のひとつの態様(態様8)に係る制御方法は、電力系統に接続された蓄電システムを制御する方法であって、電力市場価格の予測価格の時系列を表す価格遷移を取得し、前記蓄電システムを利用した買電および売電について取引計画を取得し、前記価格遷移のもとで前記取引計画により電力を取引した場合の収益を算定し、前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する。
【符号の説明】
【0079】
100…電力取引システム、200…電力系統、10…蓄電システム、11…蓄電装置、20…制御システム、21…制御装置、22…記憶装置、23…通信装置、24…操作装置、25…表示装置、31…価格取得部、32…計画取得部、33…収益解析部、34…表示制御部、35…動作制御部、P…価格遷移、Q…取引計画、G…解析画像。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続された蓄電システムを制御する制御システムであって、
電力市場価格の予測価格の時系列を表す複数の価格遷移を取得する価格取得部と、
前記蓄電システムを利用した買電および売電について複数の取引計画を取得する計画取得部と、
前記複数の価格遷移の各々と前記複数の取引計画の各々との相異なる組合せについて、当該価格遷移のもとで当該取引計画により電力を取引した場合の複数の収益を算定し、前記複数の収益に応じて前記複数の取引計画の何れかを選択する収益解析部と、
前記蓄電システムによる充電および放電を、前記収益解析部が選択した取引計画に応じて制御する動作制御部と
を具備し、
前記収益解析部は、前記取引計画の選択において、
前記複数の取引計画の各々について、当該取引計画に対応する複数の収益の平均値と、前記複数の収益の散布度とに応じた評価指標を算定し、前記評価指標に応じて前記取引計画を選択する
制御システム。
【請求項2】
電力系統に接続された蓄電システムを制御する制御システムであって、
電力市場価格の予測価格の時系列を表す複数の価格遷移を電力市場毎に取得する価格取得部と、
前記蓄電システムを利用した買電および売電について複数の取引計画を前記電力市場毎に取得する計画取得部と、
前記複数の価格遷移の各々と前記複数の取引計画の各々との相異なる組合せについて、当該価格遷移のもとで当該取引計画により電力を取引した場合の複数の収益を、前記電力市場毎に算定する収益解析部と、
前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御する動作制御部と、
前記電力市場毎に算定された前記複数の収益の最大値と平均値と最小値との時系列を、前記電力市場毎に相異なる表示態様で表示装置に表示する表示制御部と
を具備する制御システム。
【請求項3】
前記電力市場は、需給調整市場を含み、
前記需給調整市場の前記価格遷移は、容量価格と電力量価格とに応じた予測価格の時系列を表す
請求項2の制御システム。
【請求項4】
電力系統に接続された蓄電システムを制御する方法であって、
電力市場価格の予測価格の時系列を表す複数の価格遷移を取得し、
前記蓄電システムを利用した買電および売電について複数の取引計画を取得し、
前記複数の価格遷移の各々と前記複数の取引計画の各々との相異なる組合せについて、当該価格遷移のもとで当該取引計画により電力を取引した場合の複数の収益を算定し、前記複数の収益に応じて前記複数の取引計画の何れかを選択し、
前記蓄電システムによる充電および放電を、前記選択した取引計画に応じて制御し、
前記取引計画の選択においては、
前記複数の取引計画の各々について、当該取引計画に対応する複数の収益の平均値と、前記複数の収益の散布度とに応じた評価指標を算定し、前記評価指標に応じて前記取引計画を選択する
コンピュータシステムにより実現される制御方法。
【請求項5】
電力系統に接続された蓄電システムを制御する方法であって、
電力市場価格の予測価格の時系列を表す複数の価格遷移を電力市場毎に取得し、
前記蓄電システムを利用した買電および売電について複数の取引計画を前記電力市場毎に取得し、
前記複数の価格遷移の各々と前記複数の取引計画の各々との相異なる組合せについて、当該価格遷移のもとで当該取引計画により電力を取引した場合の複数の収益を、前記電力市場毎に算定し、
前記蓄電システムによる充電および放電を前記取引計画に応じて制御し、
前記電力市場毎に算定された前記複数の収益の最大値と平均値と最小値との時系列を、前記電力市場毎に相異なる表示態様で表示装置に表示する
コンピュータシステムにより実現される制御方法。