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特開2024-75283モニタリングプローブ、及びモニタリングプローブの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075283
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】モニタリングプローブ、及びモニタリングプローブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/04 20060101AFI20240527BHJP
   G01N 29/07 20060101ALI20240527BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G01N17/04
G01N29/07
G01N27/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186623
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 照正
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕子
(72)【発明者】
【氏名】青山 慶子
(72)【発明者】
【氏名】浅井 由季
(72)【発明者】
【氏名】藤井 篤
【テーマコード(参考)】
2G047
2G050
2G060
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047BA03
2G047BC02
2G047BC11
2G047BC18
2G047CA01
2G047GA05
2G047GG30
2G050AA01
2G050EB02
2G050EB10
2G060AA10
2G060AD04
2G060AE28
2G060AF07
2G060AG03
(57)【要約】
【課題】減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ、及びモニタリングプローブの製造方法を提供する。
【解決手段】本開示に係るモニタリングプローブは、内部が空洞に形成される筒形状の外筒部と、外筒部の内壁側に設けられ、外筒部の外壁からの超音波の反射波により外筒部の肉厚を計測する超音波センサと、外筒部に設けられ、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測する二電極センサと、外筒部に設けられ、外筒部の温度を計測する熱電対と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が空洞に形成される筒形状の外筒部と、
前記外筒部の内壁側に設けられ、前記外筒部の外壁からの超音波の反射波により前記外筒部の肉厚を計測する超音波センサと、
前記外筒部に設けられ、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測する二電極センサと、
前記外筒部に設けられ、前記外筒部の温度を計測する熱電対と、
を備えるモニタリングプローブ。
【請求項2】
前記外筒部の内部に冷却空気を供給する冷却空気供給システムと、をさらに備える、
請求項1に記載のモニタリングプローブ。
【請求項3】
前記外筒部の内部において、空洞を埋める中子と、をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載のモニタリングプローブ。
【請求項4】
前記超音波センサは、前記外筒部の内壁に直接に成膜された圧電素子を備える、
請求項1又は請求項2に記載のモニタリングプローブ。
【請求項5】
前記超音波センサは、前記外筒部の内壁に直接に成膜された圧電素子を備える、
請求項3に記載のモニタリングプローブ。
【請求項6】
前記超音波センサは、押付荷重を付加する押付部を備え、前記押付部により前記外筒部に押し付けられている、
請求項1又は請求項2に記載のモニタリングプローブ。
【請求項7】
前記超音波センサは、押付荷重を付加する押付部を備え、前記押付部により前記外筒部に押し付けられている、
請求項3に記載のモニタリングプローブ。
【請求項8】
前記外筒部は、ボイラの過熱器管を模擬しており、
前記二電極センサは、円環形状の中心電極と、中心電極より径が大きい円環形状の第2電極とを含み、
前記熱電対は、前記外筒部の燃焼ガスの流れの進行方向の上流側の外壁の外側の先端部分、中央部分、支持部分に設けられる、
請求項1に記載のモニタリングプローブ。
【請求項9】
前記冷却空気供給システムは、圧縮機とレシーバとヘッダと流量調整弁と圧力調整弁とを有し、前記外筒部の内部に冷却空気を供給する、
請求項2に記載のモニタリングプローブ。
【請求項10】
前記押付部は、圧電素子を前記外筒部に押し付ける押付荷重を付加する、
請求項6に記載のモニタリングプローブ。
【請求項11】
前記押付部は、圧電素子を前記外筒部に押し付ける押付荷重を付加する、
請求項7に記載のモニタリングプローブ。
【請求項12】
前記二電極センサは、締結部と、基板部と、二電極部と、を備え、
前記締結部は、前記基板部の両端を締結し、前記基板部を前記外筒部に固定支持し、
前記基板部は、電気絶縁性を有し、
前記二電極部は、前記基板部の表面に設けられる、互いに電気的に非接続の2つの電極により形成される、
請求項1に記載のモニタリングプローブ。
【請求項13】
前記基板部は、熱電対を備える、
請求項12に記載のモニタリングプローブ。
【請求項14】
前記二電極部は、前記外筒部の内部の冷却空気流路と連通する孔を介してセンサ導線が接続されて、前記センサ導線を介して処理装置に接続される、
請求項12に記載のモニタリングプローブ。
【請求項15】
モニタリングプローブの外筒部を構成する材料を準備するステップと、
前記材料に圧電素子を成膜するステップと、
超音波センサを組み立て、貼り付け、及び配線するステップと、
前記モニタリングプローブの外筒部を溶接するステップと、
前記外筒部の内部に中子を挿入するステップと、を含む、
モニタリングプローブの製造方法。
【請求項16】
前記材料を準備するステップにおいては、モニタリングプローブの外筒部を構成する材料として指定の材料が用いられ、開先加工が施されたアングル材を準備し、
前記配線するステップにおいては、超音波センサをアングル材の内面に接着剤により取り付けて、超音波センサに押付部により押付荷重を付加し、信号線の配線を行い、熱電対を取り付け、
前記溶接するステップにおいては、前記モニタリングプローブの外筒部をアングル材の開先加工の位置に別のアングル材を合わせて溶接し、
前記挿入するステップにおいては、前記外筒部の中心軸に合わせて中子を配置する、
請求項15に記載のモニタリングプローブの製造方法。
【請求項17】
超音波センサを製作するステップと、をさらに含む、
請求項15又は請求項16に記載のモニタリングプローブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モニタリングプローブ、及びモニタリングプローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉ボイラ、ソーダ回収ボイラ、石炭焚きボイラなどの炉内、煙道では、石炭や廃棄物などの燃料に塩素、重金属、硫黄、及びバナジウムなどが含まれており、ボイラの過熱器管などの金属材料の腐食が発生することがある。特に、ごみ焼却ボイラでは、高塩素、重金属等の低融点の腐食成分の影響によるボイラ過熱器管における腐食が懸念される。しかしながら、ごみ焼却炉ボイラにおいては、燃料性状のばらつきが大きいことから、あらかじめボイラの過熱器管の寿命予測することは難しい。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、ごみ焼却炉ボイラなどの腐食モニタリングセンサであって、金属製プローブの側面の一部に絶縁体である電極部基板と、当該の電極部基板上に、被評価金属にてなる試料電極、及びその対極とともに参照電極を備える腐食モニタリングセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-91281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の腐食モニタリングセンサは、定期的な電極の交換が必要という課題があった。本開示は上記課題を鑑み、減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ、及びモニタリングプローブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るモニタリングプローブは、内部が空洞に形成される筒形状の外筒部と、前記外筒部の内壁側に設けられ、前記外筒部の外壁からの超音波の反射波により前記外筒部の外壁の肉厚を計測する超音波センサと、前記外筒部の外壁側に設けられ、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測する二電極センサと、前記外筒部に設けられ、前記外筒部の温度を計測する熱電対と、を備える。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法は、モニタリングプローブの外筒部を構成する材料を準備するステップと、前記材料に圧電素子を成膜するステップと、超音波センサを組み立て、貼り付け、及び配線するステップと、モニタリングプローブの外筒部を溶接するステップと、前記外筒部の内部に中子を挿入するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、減肉量と、腐食環境の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ、及びモニタリングプローブの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示に係るモニタリングプローブの構成例を示す模式図である。
図2図2は、本開示に係る超音波センサの第1態様を示す模式図である。
図3図3は、本開示に係る超音波センサの第2態様を示す模式図である。
図4図4は、本開示に係る超音波センサの第3態様を示す模式図である。
図5図5は、本開示に係る超音波センサの計測値の時系列変化を示す図である。
図6図6は、本開示に係る二電極センサの構成例を示す模式図である。
図7図7は、本開示に係る二電極センサの基板部、及び二電極部の形状例を示す模式図である。
図8図8は、本開示に係る二電極センサの計測値の時系列変化を示す図である。
図9図9は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第1態様のフローを示すフローチャートである。
図10図10は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第1態様の工程を示す工程図である。
図11図11は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第2態様のフローを示すフローチャートである。
図12図12は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第2態様の工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0011】
(モニタリングプローブの構成)
モニタリングプローブ10は、ごみ焼却炉ボイラ、ソーダ回収ボイラ、石炭焚きボイラなどの炉内、煙道内に設けられ、高温環境下における過熱器管などを構成する金属材料の腐食を模擬し、腐食をモニタリングするプローブである。モニタリングプローブ10の構成について図1を用いて説明する。図1は、本開示に係るモニタリングプローブの構成例を示す模式図である。図1に示すように、モニタリングプローブ10は、外筒部11と、超音波センサ12と、二電極センサ13と、熱電対14と、中子15と、を備える。
【0012】
外筒部11は、内部が空洞に形成される筒形状の外筒である。外筒部11は、ボイラの過熱器管などを模擬する。外筒部11は、角パイプ形状、ないし円管形状であってよい。なお、外筒部11には、後述して説明する超音波センサ12等が設置される。そのため、センサの設置性、応答性、及び製作性の観点から、外筒部11は、平坦な側面を構成可能な角パイプ形状であることが好ましい。外筒部11の材料は、ボイラの腐食状態の評価対象となる箇所の材料と同じ材料を用いて製作されてよい。例えば、外筒部11の材料は、ボイラの過熱器管に用いられる炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、Ni基合金などであってよい。また、外筒部11に、これらの複数の材料を組み合わせて製作してもよい。例えば、外筒部11の先端部分をNi基合金、中央部分を炭素鋼、支持部分をステンレス鋼により形成してよい。これにより、ボイラの複数の構成の減肉量、及び腐食状態を模擬して、一つのプローブでモニタリングすることが可能となる。
【0013】
超音波センサ12は、外筒部11の内壁側に設けられ、外筒部11の外壁からの超音波の反射波により外筒部11の外壁の肉厚を計測する。図1に示すように、超音波センサ12は、外筒部11の内側の複数の箇所に設けられる。例えば、図1に示すように、外筒部11の内側の燃焼ガスGの流れの進行方向の上流側と下流側のそれぞれに対して、外筒部11の先端部分、中央部分、支持部分に設けられてよい。ボイラの内部の燃焼ガス温度およびプローブ長手方向のメタル温度は場所によって異なることから、腐食の進行態様も場所によって異なる。超音波センサ12を外筒部11の複数の箇所に設けることにより、温度条件が異なる複数の箇所の外筒部11の肉厚を計測することが可能となる。モニタリングプローブ10のような狭い場所には通常の超音波センサは大き過ぎるため、また外壁に取り付けられる場合は厳しい腐食環境に曝される耐久性の観点から、設置が難しい場合が有り、また通常の超音波センサは耐熱性に問題がある。一方で、本願に係る超音波センサ12であれば、薄型で小型化されており、かつ耐熱性を確保したうえで、モニタリングプローブ10の複数個所を容易に計測できる。
【0014】
超音波センサ12は、圧電素子121により、超音波の送受信を行う。すなわち、圧電素子121が発信した超音波が外筒部11の内部を伝達し、圧電素子121が外筒部11の外壁において反射した反射波を受信する。圧電素子121は、電圧を印加することで伸び縮みする性質を示す材料を用いて形成される。そのため、高周波電圧(周波数が20kHz以上)を圧電素子121に印加することで、圧電素子121が電圧に応じて伸び縮みする。すなわち、圧電素子121は、高周波振動していると言え、これにより超音波が生じる。外筒部11の肉厚は、反射波の時間間隔に比例することから、反射波の時間間隔を計測することで、外筒部11の肉厚を求めることができる。超音波センサ12は、このような原理を利用して、外筒部11の肉厚を計測する。なお、超音波センサ12の具体的な構成については、後述して説明する。
【0015】
二電極センサ13は、外筒部11の外壁側に設けられ、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測する。二電極センサ13は、図1に示すように、外筒部11の燃焼ガスGの流れの進行方向の上流側の外壁を刳り抜いて形成された穴を塞いで設けられる。二電極センサ13は、図1に示すように、外筒部11の燃焼ガスGの流れの進行方向の上流側の外壁の先端部分、中央部分、支持部分に設けられてよい。燃焼ガス温度と同様に、付着灰の付着態様も場所により異なる。そのため、二電極センサ13を外筒部11の複数の箇所に設けることにより、燃焼ガス温度、及び付着態様が異なる複数の箇所における付着灰の溶融を検出することが可能となる。また、二電極センサ13は、構造がシンプルで耐久性に優れ、多数電極のように付着灰の付着を誘発しない。また、二電極センサ13は、付着灰の付着厚さの増大を、電極との接触面積が増えることより、抵抗の減少として検出できる。このようにシンプルな構造でも現象に関する多くの情報を取得できる。
【0016】
なお、ボイラの過熱器管に付着する付着灰は、その大半が固体状態において表面に付着する。しかしながら、ボイラの過熱器管の表面温度が上がった場合、付着灰が溶融温度を超えて加熱され、そのことにより付着灰が溶融し導電性液体となる。そのため、互いに電気的に接続されていない二つの電極を並べて配置した状態において、その間に付着灰が付着し、溶融温度以上に加熱された場合、付着灰が導電性液体となり、導電性液体を介して二電極間に電流が流れる。二電極センサ13は、このような原理を利用して、付着灰の溶融を検出するセンサである。なお、二電極センサ13の具体的な構成については、後述して説明する。
【0017】
熱電対14は、温度計測および冷却空気Cによるモニタリングプローブ10のメタル温度制御のため、外筒部11の内側、及び外側に設けられて、外筒部11の温度を計測する。熱電対14は、図1に示すように、例えば、外筒部11の燃焼ガスGの流れの進行方向の上流側の外壁の外側の先端部分、中央部分、支持部分に設けられてよい。また、熱電対14は、外筒部11の燃焼ガスGの流れの進行方向の上流側の外壁の内側の中央部分に設けられてよい。
【0018】
ごみ焼却ボイラの焼却炉の燃焼ガス温度は、例えば400℃から700℃程度の温度範囲に含まれる温度に熱せられる。ボイラの過熱器管等の材料の高温腐食の進行は、温度条件による影響を受ける。そのため、熱電対14は、ボイラの過熱器管等を模擬するモニタリングプローブ10の外筒部11の温度を計測する。また、モニタリングプローブ10の位置に応じて、温度が変わり、その温度に応じて腐食の進行態様が変化する。そのため、モニタリングプローブ10の複数の箇所に、熱電対14を設けることで、温度条件による腐食の進行への影響を考慮することができる。さらに、熱電対14を外筒部11の外壁の内側に設けることにより、冷却空気Cによる冷却をモニタリングすることができる。そのため、外筒部11の内部に供給する冷却空気量のフィードバック制御が可能となる。
【0019】
中子15は、外筒部11の内部の超音波センサ12、及び二電極センサ13が設けられる箇所以外の空洞を埋める。中子15は、例えば、角柱形状や円筒形状に形成されてよい。また、中子15の材料は、外筒部11に用いられる材料と同じ材料を用いてよい。中子15は、例えば、図1に示すように、円柱形状に形成されて、外筒部11の内部に、外筒部11の軸と同軸の位置に配置されてよい。中子15を外筒部11の内部に設けることで、外筒部11の内部の空洞を埋めることができる。そのため、外筒部11に供給する冷却空気Cの供給量を削減することができる。また、中子15を設けることにより、外筒部11の内部の冷却空気Cの流路の断面積が小さくなることから、冷却空気Cの流速を上げることができる。その結果、冷却空気Cによる冷却効率を上げることができる。
【0020】
冷却空気供給システムは、外筒部11の内部に冷却空気Cを供給する。冷却空気供給システムは、例えば、圧縮機と、レシーバと、ヘッダと、流量調整弁と、圧力調整弁により実現されてよい。この場合、圧縮機により圧縮された圧縮空気がレシーバに供給され、レシーバは圧縮機により生じた圧力脈動を取り除く。レシーバから供給される圧縮空気は、ヘッダにより、複数の供給先に分岐される。ヘッダにより分岐された圧縮空気は、圧力調整弁により圧力が調整される。圧力調整弁により圧力が調整された圧縮空気は、流量調整弁により流量が調整されて、外筒部11の内部に供給される。
【0021】
外筒部11の内部に供給された冷却空気Cは、外筒部11の外壁、及び外壁に設けられた超音波センサ12の上側を流通しながらこれらを冷却し、外筒部11の内部を通り抜けて、炉内に流れ出る。図1に示すように、モニタリングプローブ10は、高温の燃焼ガスGの流路に配置されることから、プローブ管断面の温度分布(濃いハッチングが高い温度を示し、薄いハッチングが低い温度を示す)に示すように、先端部分が特に高温状態となる。例えば、図1に示すTAの温度は約390℃、TBの温度は約470℃、TCの温度は約530℃である。そのため、冷却空気供給システムにより、外筒部11の内部に冷却空気Cを供給することで、高温環境下に配置される超音波センサ12、及び二電極センサ13を冷却することができる。そのため、これらが安定的に作動する寿命を長くすることができる。
【0022】
また、モニタリングプローブ10の構成ではないが、モニタリングプローブ10の燃焼ガスGの流れの上流側に、熱電対などの温度プローブTPを設けて燃焼ガス温度を計測してもよい。高温腐食の進行態様は、温度条件により影響を受けることから、高温腐食に対する燃焼ガス温度の影響を検討することが可能となる。
【0023】
このような構成によれば、モニタリングプローブ10は、減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能となる。また、モニタリングプローブ10の外筒部11の材料を部位によって変えることにより、ボイラの複数の構成部品を模擬することが可能となる。そのため、一つのモニタリングプローブ10により、ボイラの複数の構成部品の減肉量と、腐食状態を推定することができる。
【0024】
(超音波センサの構成)
(第1態様)
次に、超音波センサ12の第1態様について、図2を用いて説明する。図2は、本開示に係る超音波センサの第1態様を示す模式図である。図2に示すように、第1態様に係る超音波センサ12は、圧電素子121と、上部電極122と、導出線123と、サドル部124と、信号線125と、を備える。
【0025】
圧電素子121は、圧電セラミックスの粉を含んだ溶液を直接、外筒部11に塗布して熱処理することにより成形される。圧電素子121に用いる材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)や、ニオブ酸リチウム(LNB:LiNbO)などを使用することができる。圧電素子121の膜厚は、例えば、80μm~100μmであってよい。
【0026】
上部電極122は、圧電素子121の上部に設けられ、圧電素子121に対して電気的に接続する電極である。上部電極122は、例えば、銀ペーストを圧電素子121の上部に製膜することにより実現されてよい。
【0027】
導出線123は、上部電極122の上部に設けられ、上部電極122と信号線125を電気的に接続する。導出線123は、例えば、銀(Ag)線であってよい。導出線123に銀線を用いることにより、超音波センサ12が300℃以上の高温の使用環境に晒されたとしても溶融することなく電気を導通することができる。
【0028】
サドル部124は、信号線125を外筒部11に固定する支持部材である。サドル部124は、例えば、ステンレス箔や、鉄サドル、ステンレスサドル、片サドル、板バネ等によって信号線125を外壁に固定支持してよい。
【0029】
信号線125は、上部電極122に導出線123を介して電気的に接続されて、外部の装置と接続する。信号線125は、同軸ケーブルであり、例えば、無機絶縁(MI:Mineral Insulated)ケーブルを用いて実現されてよい。MIケーブルは、高温環境、又は過酷環境において使用されるケーブルである。MIケーブルは、電気信号を伝達する導線部、及びそれを覆うシース部を備え、それらの間には酸化マグネシウム等の絶縁体が充填される。酸化マグネシウムは、非反応性の絶縁体であるため、導線部を流れる電流が外部による影響を受けることを防ぐことができる。また、MIケーブルは、導線部を覆って保護するシース部が、Ni基合金により形成されるため、高温環境下においても長期間の計測が可能である。
【0030】
この構成によれば、高温環境下における接着力の低下が懸念される接着剤を用いることなく、モニタリングプローブ10の外筒部11に対して、超音波センサ12が接触した状態を維持することができる。そのため、高温環境下における超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0031】
(超音波センサの構成)
(第2態様)
次に、超音波センサ12の第2態様について、図3を用いて説明する。図3は、本開示に係る超音波センサの第2態様を示す模式図である。図3に示すように、第2態様に係る超音波センサ12は、センサユニット12Bと、押付部126と、保護部127と、を備える。
【0032】
センサユニット12Bは、第1態様の超音波センサ12Aの構成に対して接着剤が加えられた以外は同じ構成を有する。すなわち、センサユニット21Bは、圧電素子121と、上部電極122と、導出線123、サドル部124と、信号線125により構成される。
【0033】
押付部126は、圧電素子121を外筒部11に押し付ける。押付部126は、例えば、クランプによって実現されてよい。例えば、クランプの固定部を外筒部11に固定支持させておき、クランプのネジ部を回すことで、圧電素子121が押し付けられる構造とすることで、押付部Pを実現することができる。これにより、圧電素子121に押付力を付加することができることから、接着剤の接着力低下が懸念される高温環境下においても、超音波センサ12と外筒部11との接触状態を維持することができる。そのため、超音波センサ12の安定的な使用が可能となる。
【0034】
保護部127は、センサユニット12Bを覆って、センサユニット12Bを押付部126による押付力によって生じうるセンサユニット12Bの破損や損傷から保護する。保護部127は、例えば、ステンレス箔によって形成されてよい。保護部127は、センサユニット12Bの全面を覆い、クランプのネジ部による押付力からセンサユニット12Bを保護する。
【0035】
この構成によれば、接着剤の接着力低下が懸念される高温環境下においても、超音波センサ12と外筒部11との接触状態を維持することが可能となる。そのため、超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0036】
(超音波センサの構成)
(第3態様)
次に、超音波センサ12の第3態様について、図4を用いて説明する。図4は、本開示に係る超音波センサの第3態様を示す模式図である。図4に示すように、第3態様に係る超音波センサ12は、センサユニット12Bと、押付部126と、保護部127と、締結部128を備える。図4に示すように、第3態様に係る超音波センサ12は、押付部126の両端に締結部128を有し、締結部128により押付荷重を、押付部126を介してセンサユニット12Bに負荷する。
【0037】
超音波センサ12の第3態様に係る構成のうち、センサユニット12Bと、保護部127は、第2態様に係る構成と同じである。そのため、超音波センサ12の第3態様について、第2態様と異なる構成である押付部126と締結部128について説明する。
【0038】
超音波センサ12の第3態様に係る押付部126は、図4に示すように両端に締結部128が通る孔が設けられた平板状の金属板であってよい。第3態様に係る押付部126は、平板状の金属板の平面がセンサユニット12Bに接触することにより、センサユニット12Bを外筒部11に押し付ける。
【0039】
締結部128は、超音波センサ12の第3態様に係る押付部126の端部に設けられて、外筒部11に設けられたボルト穴に挿入されて、押付部126をセンサユニット12Bに押し付ける。締結部128は、例えば、ボルト、及びナットにより実現されてよい。
【0040】
超音波センサ12の第3態様によれば、締結部128の締結力を調整することで押付荷重の調整を容易に行え、製作が容易である。
【0041】
このような構成の超音波センサ12の計測値の時系列変化について、図5を用いて説明する。図5は、本開示に係る超音波センサの計測値の時系列変化を示す図である。図5の横軸は、ごみ焼却炉ボイラの運転時間を、月の単位を用いて示している。図5の縦軸は、超音波センサ12を用いて計測したプローブ肉厚の時系列変化を示している。図5に示すように、運転時間の経過に伴い、プローブ肉厚が減少していく傾向があることが分かる。
【0042】
(二電極センサの構成)
次に、二電極センサ13の構成について、図6を用いて説明する。図6は、本開示に係る二電極センサの構成例を示す模式図である。図6に示すように、本開示に係る二電極センサ13は、締結部131と、基板部132と、二電極部133と、を備える。なお、図6に示すように、二電極センサ13の基板部132に、熱電対14を設けてもよい。また、図6に示すように、二電極部133には、センサ導線が接続されて、センサ導線を介して処理装置20に接続される。図6の外筒部11に設けられるプローブ凹部には、冷却空気流路と連通する孔が設けられており、その孔を介して、センサ導線を外筒部11の内部に敷設され、処理装置20に接続されている。これにより、センサ導線を外筒部11の内部に敷設することで、センサ導線の腐食劣化を抑制することができる。
【0043】
締結部131は、基板部132を外筒部11に固定支持する締結部材である。締結部131は、例えば、耐熱温度がアルミナ(Al)により形成されたセラミックスボルト、及び2つのナット(ダブルナット)の組み合わせにより実現されてよい。なお、ダブルナットによる締結を行うことにより、ナットの緩み防止を図ることが可能となる。
【0044】
基板部132は、電気絶縁性を有し、二電極部133が形成される基板である。基板部132は、アルミナ(Al)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ムライト等の酸化物系セラミックス、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(SiN)等の熱伝導率に優れるセラミックス材料によって形成されてよい。これらのセラミックス材料を用いることにより高温環境下においても電気絶縁性を維持し、溶融することなく二電極センサ13の基板として機能することができる。加えて、セラミックス材料は耐食性が極めて高いため、モニタリングプローブ10の外筒部11の外壁側が曝される過酷な腐食環境に対して、耐性を有する。
【0045】
ここで、基板部132の具体的な形状の例を、図7を用いて説明する。図7は、本開示に係る二電極センサの基板部、及び二電極部の形状例を示す模式図である。図7に示すように、基板部132は、四角形の板状に形成されてよい。基板部132の厚さ、横寸法、縦寸法は、外筒部11の寸法等に応じて任意に設定してよい。
【0046】
二電極部133は、互いに電気的に非接続の2つの電極により形成される。二電極部133は、例えば、円環形状の中心電極133Aと、中心電極133Aより径が大きい円環形状の第2電極133Bとにより形成されてよい。二電極部133は、例えば、プラチナ(Pt)により形成されてよい。ここで、二電極部133の形状の例を、図7を用いて説明する。図7に示すように、二電極部133は、円環形状の中心電極133Aの周りに、中心電極133Aより径が大きい円環形状の第2電極133Bを形成してよい。これにより、電極の間に、灰が付着し、溶融温度以上に加熱された場合に、導電性液体となった場合に、電極間に電流が流れる。そのため、付着灰の溶融を検出することが可能となる。
【0047】
このような構成の二電極センサ13によれば、高温環境下において生じる付着灰の溶融を安定的に検出することができる。
【0048】
このような構成の二電極センサ13の計測値の時系列変化について、図8を用いて説明する。図8は、本開示に係る二電極センサの計測値の時系列変化を示す図である。図8の横軸は、ごみ焼却炉ボイラの運転時間を、月の単位を用いて示している。図8の縦軸は、二電極センサ13を用いて計測した計測値の例として、電極間電流を示している。図8に示すように、二電極間に電流が計測された場合は、例えば、ごみ質変化により燃焼ガス温度が上昇し、それに伴いプローブ表面温度が上昇し、付着灰が加熱されて、付着灰が溶融したことが推定される。このように、二電極センサ13の計測値を用いることにより、ごみ焼却炉に投入されたごみの性状変化や、付着灰の溶融状態を推定することが可能となる。
【0049】
(モニタリングプローブの製造方法)
(第1態様)
次に、本開示に係るモニタリングプローブ10の製造方法の第1態様について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第1態様のフローを示すフローチャートである。図10は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第1態様の工程を示す工程図である。なお、図9図10に示すモニタリングプローブ10の製造方法の第1態様においては、超音波センサ12の第1態様を用いる。図9に示すフローチャート、図10にしめす工程図に沿って、モニタリングプローブ10の製造方法の第1態様について説明する。
【0050】
まず、プローブ用材料を準備する(ステップS1)。例えば、プローブ用材料として指定の材料が用いられ、開先加工が施されたアングル材202を準備する。次に、プローブ用材料に圧電素子を成膜し、焼成する(ステップS2)。例えば、加工機器203を用いて、プローブ用材料の内面にチタン酸ジルコン酸鉛やニオブ酸リチウムを成膜して、焼成する。これにより、アングル材202の表面に圧電素子204を形成する。次に、センサ組立、貼り付け、配線を行う(ステップS3)。例えば、圧電素子204の表面に上部電極206の取り付け、信号線の取り付け、及び配線等の作業を行う。次に、プローブを製作する(ステップS4)。例えば、アングル材202の開先加工の位置に別のアングル材210を合わせて溶接する。これにより、アングル材202とアングル材210で組み立てた筒状の空間の内部にセンサ素子212が配置されたプローブが形成される。次に、プローブを組み立てる(ステップS5)。例えば、センサ導線の取り出し溝付きのフランジの取り付けや、中子220の挿入などを行う。次に、計器・機器類に接続する(ステップS6)。例えば、信号線125と、処理装置20を接続する。
【0051】
これにより、高温環境下における接着力の低下が懸念される接着剤を用いることなく、超音波センサ12を備えたモニタリングプローブ10を製造することが可能となる。そのため、高温状態においても安定的に作動することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0052】
(第2態様)
次に、本開示に係るモニタリングプローブ10の製造方法の第2態様について、図11及び図12を用いて説明する。図11は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第2態様のフローを示すフローチャートである。図12は、本開示に係るモニタリングプローブの製造方法の第1態様の工程を示す工程図である。なお、図11図12に示すモニタリングプローブ10の製造方法においては、超音波センサ12の第2態様を用いる。図11に示すフローチャート、図12に示す工程図に沿って、モニタリングプローブ10の製造方法の第2態様について説明する。なお、図11図12に示すモニタリングプローブ10の製造方法の第2態様の各ステップのうち、ステップS1、及びステップS4からステップS6は、第1態様のステップS1、及びステップS4からステップS6と同じであるから説明を省略する。
【0053】
第2態様の製造方法は、ステップS2、及びステップS25において、超音波センサ12の第2態様を製作する。具体的には、基板に圧電素子を成膜し、焼成する(ステップS2)。例えば、ステンレス鋼の薄板310に圧電素子312を成膜して、焼成する。次に、超音波センサ320を製作する(ステップS25)。例えば、圧電素子312の上に上部電極314を設け、信号線を取り付ける。次に、センサ組立、貼り付け、配線を行う(ステップS3)。例えば、超音波センサ320をアングル材202の内面に接着剤316により取り付けて、超音波センサ320に押付部126により押付荷重を付加し、信号線125の配線を行い、熱電対14などを取り付ける。なお、図12では、押付部126を模式的に矢印で示す。
【0054】
これにより、高温環境下においても超音波センサ12を外筒部11に接触状態を維持することが可能なモニタリングプローブ10を製造することが可能となる。そのため、高温状態においても安定的に作動することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0055】
(構成と効果)
本開示は、以下の発明を開示している。なお、下記に限定されない。
(1)内部が空洞に形成される筒形状の外筒部11と、外筒部11の内壁側に設けられ、外筒部11の外壁からの超音波の反射波により外筒部11の肉厚を計測する超音波センサ12と、外筒部11に設けられ、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測する二電極センサ13と、外筒部11に設けられ、外筒部11の温度を計測する熱電対14と、を備えるモニタリングプローブ。
【0056】
この構成によれば、減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0057】
(2)外筒部11の内部に冷却空気Cを供給する冷却空気供給システムと、をさらに備える(1)に記載のモニタリングプローブ。
【0058】
この構成によれば、高温の燃焼ガスに晒されるモニタリングプローブ10の外筒部11を冷却することができる。そのため、高温環境下においても安定的に減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0059】
(3)外筒部11の内部において、超音波センサ12、及び二電極センサ13が設けられる箇所以外の空洞を埋める中子15と、をさらに備える(1)または(2)に記載のモニタリングプローブ。
【0060】
この構成によれば、外筒部11に供給する冷却空気の供給量を削減することができる。また、中子15を設けることにより、外筒部11の内部の冷却空気の流路の断面積が小さくなることから、冷却空気の流速を上げることができる。その結果、冷却空気による冷却効率を上げることができる。
【0061】
(4)超音波センサ12は、外筒部11の内壁に直接に成膜された圧電素子121を備える(1)又は(2)に記載のモニタリングプローブ。
【0062】
この構成によれば、高温環境下における接着力の低下が懸念される接着剤を用いることなく、モニタリングプローブ10の外筒部11に対して、超音波センサ12が接触した状態を維持することができる。そのため、高温環境下における超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0063】
(5)超音波センサ12は、外筒部11の内壁に直接に成膜された圧電素子121を備える(3)に記載のモニタリングプローブ。
【0064】
この構成によれば、高温環境下における接着力の低下が懸念される接着剤を用いることなく、モニタリングプローブ10の外筒部11に対して、超音波センサ12が接触した状態を維持することができる。そのため、高温環境下における超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0065】
(6)超音波センサ12は、押付荷重を付加する押付部126を備え、押付部126により外筒部11に押し付けられている(1)又は(2)に記載のモニタリングプローブ。
【0066】
この構成によれば、接着剤の溶融や劣化が懸念される高温環境下においても、超音波センサ12と外筒部11との接触状態を維持することが可能となる。そのため、超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0067】
(7)超音波センサ12は、押付荷重を付加する押付部126を備え、押付部126により外筒部11に押し付けられている(3)に記載のモニタリングプローブ。
【0068】
この構成によれば、接着剤の溶融や劣化が懸念される高温環境下においても、超音波センサ12と外筒部11との接触状態を維持することが可能となる。そのため、超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0069】
(8)外筒部11は、ボイラの過熱器管を模擬しており、二電極センサ13は、円環形状の中心電極133Aと、中心電極133Aより径が大きい円環形状の第2電極133Bとを含み、熱電対14は、外筒部11の燃焼ガスの流れの進行方向の上流側の外壁の外側の先端部分、中央部分、支持部分に設けられる、(1)に記載のモニタリングプローブ。
【0070】
この構成によれば、ボイラの過熱器管の減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0071】
(9)冷却空気供給システムは、圧縮機とレシーバとヘッダと流量調整弁と圧力調整弁を有し、外筒部11の内部に冷却空気Cを供給する、(2)に記載のモニタリングプローブ。
【0072】
この構成によれば、高温の燃焼ガスに晒されるモニタリングプローブ10の外筒部11を適切に冷却することができる。そのため、高温環境下においても安定的に減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0073】
(10)押付部126は、圧電素子を外筒部11に押し付ける押付荷重を付加する、(6)に記載のモニタリングプローブ。
【0074】
この構成によれば、接着剤の接着力低下が懸念される高温環境下においても、超音波センサ12と外筒部11との接触状態を適切に維持することが可能となる。そのため、超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0075】
(11)押付部126は、圧電素子を外筒部11に押し付ける押付荷重を付加する、(7)に記載のモニタリングプローブ。
【0076】
この構成によれば、接着剤の接着力低下が懸念される高温環境下においても、超音波センサ12と外筒部11との接触状態を適切に維持することが可能となる。そのため、超音波センサ12の長期間の安定的な使用が可能となる。
【0077】
(12)二電極センサ13は、締結部131と、基板部132と、二電極部133と、を備え、締結部131は、基板部132の両端を締結し、基板部132を外筒部11に固定支持し、基板部132は、電気絶縁性を有し、二電極部133は、基板部132の表面に設けられる、互いに電気的に非接続の2つの電極により形成される、(1)から(11)のいずれかに記載のモニタリングプローブ。
【0078】
この構成によれば、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測することができる。そのため、高温環境下においても減肉量および腐食状態の両方を安定的に検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0079】
(13)基板部132は、熱電対を備える、(12)に記載のモニタリングプローブ。
【0080】
この構成によれば、熱電対は、基板部132の温度を計測することができることから、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値と基板部132の温度を計測し、二電極間の電流値と基板部132の温度の関係を把握することができる。そのため、高温環境下においても減肉量および腐食状態の両方を安定的に検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0081】
(14)二電極部133は、外筒部11の内部の冷却空気流路と連通する孔を介してセンサ導線が接続されて、センサ導線を介して処理装置に接続される、(12)に記載のモニタリングプローブ。
【0082】
この構成によれば、付着灰の溶融により生じる二電極間の電流値を計測することができる。また、センサ導線を外筒部11の内部に敷設することで、センサ導線の腐食劣化を抑制することができる。そのため、高温環境下においても安定的に減肉量と、腐食状態の両方を検出することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0083】
(15)モニタリングプローブ10の外筒部11を構成する材料を準備するステップと、材料に圧電素子を成膜するステップと、超音波センサ12を組み立て、貼り付け、及び配線するステップと、モニタリングプローブ10の外筒部11を溶接するステップと、外筒部11の内部に中子を挿入するステップと、を含むモニタリングプローブの製造方法。
【0084】
この構成によれば、高温環境下における接着力の低下が懸念される状態でも密着性を保持した超音波センサ12を備えたモニタリングプローブ10を製造することが可能となる。そのため、高温状態においても安定的に作動することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0085】
(16)材料を準備するステップにおいては、モニタリングプローブ10の外筒部11を構成する材料として指定の材料が用いられ、開先加工が施されたアングル材を準備し、配線するステップにおいては、超音波センサ12をアングル材の内面に接着剤により取り付けて、超音波センサ12に押付部126により押付荷重を付加し、信号線の配線を行い、熱電対を取り付け、溶接するステップにおいては、モニタリングプローブ10の外筒部11をアングル材の開先加工の位置に別のアングル材を合わせて溶接し、挿入するステップにおいては、外筒部11の中心軸に合わせて中子を配置する、(15)に記載のモニタリングプローブの製造方法。
【0086】
この構成によれば、適切に超音波センサ12を備えたモニタリングプローブ10を製造することが可能となる。そのため、高温状態においても安定的に作動することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0087】
(17)超音波センサ12を製作するステップと、をさらに含む(15)又は(16)に記載のモニタリングプローブの製造方法。
【0088】
この構成によれば、高温環境下においても超音波センサ12を外筒部11に接触状態を維持することが可能なモニタリングプローブ10を製造することが可能となる。そのため、高温状態においても安定的に作動することが可能なモニタリングプローブ10を提供することができる。
【0089】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
10 モニタリングプローブ
11 外筒部
12 超音波センサ
121 圧電素子
122 上部電極
123 導出線
124 サドル部
125 信号線
126 押付部
127 保護部
128 締結部
13 二電極センサ
131 締結部
132 基板部
133 二電極部
14 熱電対
15 中子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12