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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075285
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】連結型ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20240527BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240527BHJP
   G01D 11/30 20060101ALI20240527BHJP
   H02G 3/08 20060101ALN20240527BHJP
【FI】
G01D11/24 Z
H05K5/02 V
G01D11/30 M
H02G3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186627
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩久
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】大平 健夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 宏一
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB18
4E360BA02
4E360BB22
4E360BB30
4E360EA12
4E360EA18
4E360EC05
4E360ED03
4E360GA60
4E360GB99
4E360GC02
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC03
5G361AC13
5G361AD01
5G361AE02
(57)【要約】
【課題】連結型ユニットに対する悪戯を行いにくいようにすること。
【解決手段】電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部へのアクセスを可能とする開口を備えたケースと、を備えたモジュール10を複数連結することで形成される連結型ユニット1であって、ケースに設けられた開口を覆うことが可能なカバー12と、開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように封印部材83を取り付けるために用いられる封印部42と、を備えた連結型ユニットとする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部へのアクセスを可能とする開口を備えたケースと、を備えたモジュールを複数連結することで形成される連結型ユニットであって、
ケースに設けられた開口を覆うことが可能なカバーと、
開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部と、を備えた連結型ユニット。
【請求項2】
開口の全体を覆うことが可能な第一カバー部と、第一カバー部よりも開口側に位置し、開口の一部を覆うことが可能な第二カバー部と、をカバーに有し、
開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部として、
開口を覆った状態の第一カバーとケースにまたがるように第一カバー封印部材を取り付けるために用いられる第一封印部と、
開口の一部を覆った状態の第二カバー部とケースにまたがるように第二カバー封印部材を取り付けるために用いられる第二封印部と、
を備えた請求項1に記載の連結型ユニット。
【請求項3】
第二カバー部は、開口の一部を覆った状態において、接続部に電気的に接続された接続部品を取り外すために用いる取り外し部の少なくとも一部を覆うことが可能な請求項2に記載の連結型ユニット。
【請求項4】
連結した複数のモジュールのケース間にまたがるように封印具を取り付けるために用いられる第三封印部を備えた請求項1に記載の連結型ユニット。
【請求項5】
開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部として、
連結により隣り合う二つのモジュールのうちの一方のモジュールのケースに係止されたカバーと、もう一方のモジュールのケースと、にまたがって封印部材を取り付けるために用いられる第四封印部を備えた請求項1に記載の連結型ユニット。
【請求項6】
電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部へのアクセスを可能とする開口を備えたケースと、を備えたモジュールを複数連結することで形成される連結型ユニットであって、
ケースに設けられた開口を覆うことが可能なカバーと、
開口を覆った状態のカバーとケースにまたがって取り付けられる封印部材と、
を備えた連結型ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結型ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、複数のモジュールを連接して構成する計測ユニットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-173180号公報
【0004】
ところで、計測ユニットは、モジュールに各種センサを接続し、電気設備の情報や、その周辺環境の温度・湿度などの情報を計測することができるものである。このため、各モジュールには、センサと電線等を介して接続される接続部が設けられている。従来、この接続部は、常時露出していた。したがって接続部に接続される電線の抜き差しや、センサの交換が容易に行えてしまった。このため、意図しない接続や接続の解除が知らぬ間に行われ、センサによる正確な計測を行うことができていない場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、連結型ユニットに対する悪戯を行いにくいようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部へのアクセスを可能とする開口を備えたケースと、を備えたモジュールを複数連結することで形成される連結型ユニットであって、ケースに設けられた開口を覆うことが可能なカバーと、開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部と、を備えた連結型ユニットとする。
【0007】
また、カバーに、開口の全体を覆う第一カバー部と、第一カバー部よりも開口側に位置し、開口の一部を覆う第二カバー部を備え、開口の全体を覆った状態の第一カバー部とケースにまたがって取り付けられる第一カバー封印部材と、開口の一部を覆った状態の第二カバー部とケースにまたがって取り付けられる第二カバー封印部材を備える構成とすることが好ましい。
【0008】
また、第二カバー部は、接続部に電気的に接続された接続部品を取り外すために用いることが可能な取り外し部の少なくとも一部を覆うことが可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、連結した複数のモジュールのケース間にまたがって取り付けられる封印部材を設けた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、封印部材は、連結により隣り合う二つのモジュールのうちの一方のモジュールのケースに係止されたカバーと、もう一方のモジュールのケースにまたがって取り付けられる構成とすることが好ましい。
【0011】
また、電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部へのアクセスを可能とする開口を備えたケースと、を備えたモジュールを複数連結することで形成される連結型ユニットであって、ケースに設けられた開口を覆うことが可能なカバーを備え、開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部を備えた連結型ユニットとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、連結型ユニットに対する悪戯を行いにくいようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態における連結型ユニットの斜視図である。ただし、右端にベースモジュールがあり、左端にエンドモジュールがあり、その間に二つの機能モジュールがある。
図2図1に示す連結型ユニットの分解斜視図である。
図3図1に示す連結型ユニットの分解斜視図である。ただし、図2とは異なる方向から見た斜視図である。
図4】エンドモジュールと機能モジュールが連結された状態を示す斜視図である。
図5図4に示す機能モジュールの第一カバー部を開いて第二カバー部を取り外した状態を示す図である。ただし、電線は図4よりも省略している。
図6図4に示す機能モジュールの第一カバー部を開いた状態を示す図である。
図7図6のVII-VII断面図である。
図8】ケースに第二カバー部を付けた状態と付けていない状態を示した平面図である。ただし(a)は第二カバー部を付けた状態を表しており、(b)は第二カバー部を付けていない状態を表している。
図9図8とは異なる第二カバー部をケースに付けた状態と付けていない状態を示した平面図である。ただし(a)は第二カバー部を付けた状態を表しており、(b)は第二カバー部を付けていない状態を表している。
図10】第二カバー部をカバー部位とプレート部位を用いて構成する例である。
図11図10に示す例とは異なるプレート部位を用いて第二カバー部を構成する例である。
図12】第二カバー部と第一カバー部を備えたカバー部を有するモジュール群に封印具を取り付けた例を示す図である。
図13】開口を設けたケース毎に一つの部材からなるカバーで開口を覆う例を示す斜視図である。
図14図13に示すモジュール群を異なる向きから見た斜視図である。
図15】モジュールに取り付けたカバーと、隣のモジュールのケースと、にまたがるように封印部材を取り付けた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1から図5に示されていることから理解されるように、実施形態の連結型ユニット1は、電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部15へのアクセスを可能とする開口11aを備えたケース11と、を備えたモジュール10を複数連結することで形成される。この連結型ユニット1は、ケース11に設けられた開口11aを覆うことが可能なカバー12と、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11にまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部と、を備えている。
【0015】
このため、封印部に封印部材を取り付けることで、電子機器と、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部15へのアクセスを可能とする開口11aを備えたケース11と、を備えたモジュール10を複数連結することで形成される連結型ユニット1であって、ケース11に設けられた開口11aを覆うことが可能なカバー12と、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11にまたがって取り付けられる封印部材と、を備えた連結型ユニット1とすることができる。したがって、連結型ユニット1に対する悪戯を行いにくいようにすることが可能となる。
【0016】
実施形態の連結型ユニット1は、モジュール10を複数連結することで形成される。また、モジュール10は、電子機器と、電子機器を収納するケース11を備えている。モジュール10に備えられたケース11には、電子機器を望むための開口11aを備えている。より具体的には、収納した電子機器との電気的な接続が行われる接続部15へのアクセスを可能とする開口11aをケース11に備えている。なお、実施形態の連結型ユニット1の各モジュール10は、直接レール91に取り付けることができる。
【0017】
モジュール10に備える電子機器は、モジュール10に接続されるセンサや計測機器が検出した事象若しくは計測した事象に関するデータを取得することができる。また、電子機器は取得したデータを用いて演算や判定、記憶、分析、通信などをすることができる。例えば、モジュール10に備える電子機器には、電子部品を実装した電子基板やその電子基板を備えた機器などが該当する。
【0018】
モジュール10に接続されるセンサや計測機器が検出若しくは計測する事象は、「分電盤や配電盤、高圧受電設備などの電気電子機器収納用箱やその付属機器(電気電子機器に限らない)、建築物(家屋や工場など)に影響を与える自然現象(地震、雷、雨、風、雪など)」や「電気電子機器収納用箱の内部環境の状態や、それに収納される電気電子機器の状態、電気電子機器収納用箱で生じる災害」などが例示できる。
【0019】
「分電盤や配電盤、高圧受電設備などの電気電子機器収納用箱やその付属機器(電気電子機器に限らない)、建築物(家屋や工場など)に影響を与える自然現象(地震、雷、雨、風、雪など)」を検出若しくは計測するセンサや計測機器は、電気電子機器収納用箱やその付属機器、建築物に影響を与える地震を検知する地震センサ、感震センサ、雷を検知する雷センサ、雨を検知する感雨センサ若しくは雨量を計測する雨量計、風を計測する風速計、雪を計測する降雪センサや積雪量を計測する積雪センサなどが例示できる。
【0020】
「電気電子機器収納用箱の内部環境の状態や、それに収納される電気電子機器の状態、電気電子機器収納用箱で生じる災害」を検出若しくは計測するセンサや計測機器は、電気電子機器収納用箱の内部環境を把握するために用いることができる、温度を計測する温度計、湿度を計測する湿度計、明るさを計測する照度センサ、気圧を計測する気圧センサなどが例示できる。
【0021】
また、センサや計測機器は、電気電子機器収納用箱に収納される電気電子機器などの付属機器の状態を把握するためのものとして、電気電子機器に通電される電流や電圧や電力などを計測する電流センサや電圧センサや電力センサなど、電気電子機器の内部や端子部などの発熱を計測する温度センサや赤外線センサなど、電気電子機器の端子部や、電気配線などに生じる火花放電を検知する放電事象検出センサ、電気電子機器の異常な振動を検知する振動センサなどが例示できる。
【0022】
更には、電気電子機器収納用箱内で生じる電気事故や電気火災を検知するために用いることができる、火災検知器、煙センサ、臭いセンサ、熱センサなどが例示できるし、建築物内における人の動きや、電気電子機器収納用箱内に侵入した小動物の動きを検知する人感センサやモーションセンサなども例示できる。
【0023】
以上の記載から理解されるように、ここでいう事象は、電気電子機器収納用箱やその付属機器、建築物に関する事象であるなら如何なるものであってもよく、電子機器は、それら事象に関連するデータを取得し、演算や判定、記憶、分析、通信等するものであるなら如何なるものであってもよい。
【0024】
なお、電気電子機器とは、電気電子機器収納用箱の内部に収納若しくは外郭に取付けられるものであり、ブレーカ、端子台、電線92、断路器、開閉器、遮断器、変圧器、リアクトル、コンデンサ、計測器、センサ、通信機器、表示機器、照明機器、冷暖房装置、換気装置などが例示できる。もちろん連結型ユニット1のモジュール10は、電気電子機器に含まれる。
【0025】
また、付属機器には、電気電子機器を含むが、それ以外にもハンドル、ヒンジ、パッキン、グロメットなど電気電子機器若しくは電子機器に該当しないものも含まれる。つまり、付属機器とは、電気電子機器収納用箱の内部、外郭問わず付属される機器を全て含む。
【0026】
ここで、モジュール10について詳しく説明をする。実施形態のモジュール10は、電子機器と、電子機器を収納するケース11を備え、ケース11は、電子機器を望むことができる開口11aを備えている。
【0027】
連結型ユニット1は、少なくともベースモジュールとエンドモジュールを備えるが、ベースモジュールとエンドモジュールの間に機能モジュールを追加することにより、機能を拡張することができる。
【0028】
ベースモジュールは何らかの機能を備えるものであるが、例えば、外部機器と通信する機能や、外部機器から給電され、他のモジュール10へ給電する機能、他のモジュール10との間で通信する機能(機能モジュールへ信号を送信する機能、機能モジュールからデータを受信する機能など)、接続されるセンサや計測機器から取得したデータ若しくは機能モジュールから受信したデータを演算する機能や記憶する機能、分析する機能などの機能を少なくとも1つ備えるものであるのが好ましい。
【0029】
エンドモジュールは、終端抵抗を備え、連結型ユニット1を構成するモジュール10間の通電や通信を効率よく行うために利用されるが、下記する機能モジュールと同様の機能を有するものであるのが好ましい。
【0030】
機能モジュールは、センサや計測機器に接続され、センサや計測機器により検出した事象若しくは計測した事象に関するデータを取得する機能や記憶する機能、演算する機能、分析する機能、他のモジュール10との間で通信する機能(取得したデータをベースモジュールへ送信する機能や、演算や分析をしたデータをベースモジュールへ送信する機能や、ベースモジュールからの信号を受信する機能など)などの機能を少なくとも1つ備えるものであればよい。
【0031】
実施形態においては、各モジュール10間の通電及び通信は、基本的に電子基板に実装された端子部同士を接触させることにより行われる。このため、例えば、一方のモジュール10に設けられる端子部13が、バネ性を有し、もう一方のモジュール10に設けられる端子部14に弾性変形しながら接触するような構造とするのが好ましい。また、実施形態では、モジュール10が連結することにより、各モジュール10の端子部が接触する構造となっており、物理的な連結と電気的な連結(通電・通信のための連結)が同時に行われる。
【0032】
次に、モジュール10のケース11に関して説明をする。モジュール10の構成要素であるケース11は、その上面にケース11内部に収納した電子機器を望むための開口11aを備えている。実施形態においては、ケース11内に収納され、電子部品を実装した電子基板を開口11aから望むことができる。
【0033】
ケース11内に収納された電子基板は、電気電子機器収納用箱やその付属機器、建築物に関する事象に関連するデータを計測するセンサや計測機器と接続することができるように構成されている。このため、電子基板はセンサや計測機器と電線92を介して接続するための接続部15を有する。
【0034】
接続部15は、例えば、センサや計測機器から出線された電線92を直接接続するものであってもよいし、電線92の端部に備えられたコネクタ93と接続することで、電線92を接続するものであってもよい。ただし、実施形態では、接続部15に接続された電線92若しくはコネクタ93は、接続部15若しくはコネクタ93に設けた取り外し部16を操作した場合にのみ取り外すことができるものとなっている。
【0035】
ところで、ケース11に設けられた開口11aはカバー12により覆われる。実施形態では、カバー12及びケース11は、封印部材を用いて、開口11aを覆った状態のカバー12の移動を抑制するための封印部を備えている。この封印部は、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11に対して、封印部材を用いることにより、カバー12が開口11aを覆った状態を解除できないようにするためのものである。
【0036】
封印部材は、封印部材を取り外した際に再使用することができない部材や、切断等しない限り取り外すことができない部材などが好ましいが、材質や形状等は如何なるものであってもよい。
【0037】
実施形態においては、封印部材は金属製のワイヤであり、封印部は、カバー12側に設けた穴部と、ケース11側に設けた穴部である。開口11aを覆った状態となるようにカバー12とケース11の一部を当接させてから、カバー12側の穴部と、ケース11側の穴部に金属製のワイヤを貫通させ、ケース11に対するカバー12の移動を抑制できるように、ワイヤに処置をする。ワイヤへの処置は、工具等を用いることにより行われる。なお、ワイヤへの処置はワイヤがカバー12側の穴部と、ケース11側の穴部から抜けないようにするものであれば、どのようなものであってもよい。
【0038】
封印部及び封印部材を用いて、ケース11に対するカバー12の移動を封印することにより、電子機器の改造若しくは接続部15に接続された電線92やコネクタ93の取外しや、接続部15への別の電線92やコネクタ93の接続などを防止することが可能となる。それらを防止することにより、センサや計測機器により計測されたデータについて、モジュール10による精度の良い演算、判定、分析などが可能となる。
【0039】
モジュール10は、カバー12を構成する一つの部材により、ケース11の開口11aを覆い、その部材を封印するようにしても、上記目的を達成することは可能であるが、カバー12は複数の部材を用いてケース11の開口11aを覆う構成とすることが好ましい。後述することから理解されるように、複数の部材を用いてケース11の開口11aを覆うことで、連結型ユニット1の製造、設置、使用などの各段階における連結型ユニット1の責任分界点を明確にすることができる。
【0040】
図4から図6に示す例では、第一カバー部12Xと第二カバー部12Yをそれぞれ一つ備えたカバー12によりケース11の開口11aを覆う構造としている。第一カバー部12Xは、第一封印部41と第一カバー封印部材82を用いて、ケース11に対する移動を抑制するように封印することができる。第二カバー部12Yは、第二封印部42と第二カバー封印部材83を用いて、ケース11に対する移動を抑制するように封印することができる。なお、実施形態では、第一カバー部12Xと第二カバー部12Yが開口11aを覆った状態において、第一カバー部12X、第二カバー部12Y、開口11aの順に並ぶように構成されている。また、第一カバー部12Xは開口11a及び第二カバー部12Yの全体を覆うことができるように構成されている。一方、実施形態の第二カバー部12Yは、開口11aの一部を覆うものとなっている。なお、第二カバー部12Yは第一カバー部12Xよりも開口11aを覆っている部分が小さくなるものが好ましいが、必ずしもそのような形態である必要はない。
【0041】
連結型ユニット1の責任分界点を明確にすることが可能となるなどの理由から、連結型ユニット1は、開口11aの全体を覆うことが可能な第一カバー部12Xと、第一カバー部12Xよりも開口11a側に位置し、開口11aの一部を覆うことが可能な第二カバー部12Yと、をカバー12に有し、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11にまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部として、開口11aを覆った状態の第一カバー12とケース11にまたがるように第一カバー封印部材82を取り付けるために用いられる第一封印部41と、開口11aの一部を覆った状態の第二カバー部12Yとケース11にまたがるように第二カバー封印部材83を取り付けるために用いられる第二封印部42と、を備えた構成とするのが好ましい。
【0042】
また、連結型ユニット1は、開口11aの全体を覆うことが可能な第一カバー部12Xと、第一カバー部12Xよりも開口11a側に位置し、開口11aの一部を覆うことが可能な第二カバー部12Yと、をカバー12に有し、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11にまたがって取り付けられる封印部材として、開口11aの全体を覆った状態の第一カバー部12Xとケース11にまたがって取り付けられる第一カバー封印部材82と、開口11aの一部を覆った状態の第二カバー部12Yとケース11にまたがって取り付けられる第二カバー封印部材83と、を備えた構成とするのが好ましい。
【0043】
なお、第二カバー部12Yは、「電子機器の接続部15に接続された電線92(コネクタ93に接続された電線92を含む)を挿通する窓部12Yzを有するもの」、「電子機器の接続部15に接続された電線92若しくはコネクタ93を接続部15から取り外すことを不可能にするために、取り外し部16の少なくとも一部を覆うもの」、「電子機器の接続部15に接続されたコネクタ93をケース11から取り出すことを不可能にするために、コネクタ93よりも小さな窓部12Yzを有するもの」などが好ましいが、特に、第二カバー部12Yは、開口11aの一部を覆った状態において、接続部15に電気的に接続された接続部品を取り外すために用いる取り外し部16の少なくとも一部を覆うことが可能な構成とするのが好ましい。
【0044】
ところで、実施形態では、ケース11に対して第二カバー部12Yを係止することが可能であり、第二カバー部12Yに対して第一カバー部12Xを係止することが可能であるように構成されている。このようなことを可能とするため、第一カバー部12Xに設けた第一係止部12Xaを、第二カバー部12Yに設けた第一被係止部12Yaに係止することが可能である。また、第二カバー部12Yに設けた第二係止部12Ybを、ケース11に設けた第二被係止部11bに係止することが可能である。
【0045】
実施形態では第一係止部12Xa、第二係止部12Yb、第一被係止部12Ya、第二被係止部11bは、モジュール10の連結面側(端子部や凹部11e若しくは凸部11dが設けられた側)に設けられる(図3図6及び図7参照)。そのため、モジュール10の連結状態において、これらが隣のモジュール10に隣接することとなり、これらの係止が解除されることを困難にすることができる。したがって、電子機器の改造や、接続部15に接続する電線92やコネクタ93の取外しや、電線92やコネクタ93の接続などの悪戯を抑制することができる。
【0046】
この例では、第一カバー部12Xと第二カバー部12Yを設けているため、モジュール10若しくは連結型ユニット1の製造業者により、ケース11内に電子機器を収納し、電子機器の接続部15にセンサや計測機器の電線92やコネクタ93を接続し、第二カバー部12Yで開口11aを覆った後、第二封印部42で封印部材により封印することができる。このようにすれば、製造業者により電子機器の性能が担保された状態を維持することができる。
【0047】
実施形態では、モジュール10若しくは連結型ユニット1は、第二カバー部12Yが封印され、第二カバー部12Yの第一被係止部12Yaへ第一カバー部12Xの第一係止部12Xaを係止させた状態で輸送することができる。出荷されたモジュール10若しくは連結型ユニット1は、第二カバー部12Yに対する第一カバー部12Xの係止を解除し、電子機器の接続部15に接続された電線92やコネクタ93を確認することができる(接続部15若しくはコネクタ93の取り外し部16が第二カバー部12Yで覆われるため、人為的な電線92、コネクタ93の取外しは困難であるが、輸送中の振動等による電線92やコネクタ93の外れは生じ得るため、そのようなことが発生したか否かを確認することができる)。
【0048】
また、電子機器が複数の地点で同一の事象を検知若しくは計測する場合は、地点の特定をするために電線92やコネクタ93が電子機器のどの接続部15に接続されているかが重要になる。実施形態では、第二カバー部12Yに窓部12Yzを設けているため、この窓部12Yzから接続部15若しくは電線92、コネクタ93を確認した上で、センサや計測機器を所定の位置に設置する作業を行えばよい。つまり、第二カバー部12Yの窓部12Yzは目視による確認のために用いることもできる(図8及び図9参照)。これらの作業は、通常、モジュール10若しくは連結型ユニット1を電気電子機器収納用箱や建築物などに設置する現場で行われる。なお、図8などに示す例では窓部12Yzは切り欠きや貫通孔である。
【0049】
センサや計測機器の設置作業が完了すると、第一カバー部12Xにより、ケース11の開口11a、第二カバー部12Y、電線92、コネクタ93を覆い、第一カバー部12Xの第一係止部12Xaと第二カバー部12Yの第一被係止部12Yaを係止した後、第一カバー部12X及びケース11の第一封印部41に第一カバー封印部材82を適用することにより第一カバー部12Xの移動を抑制できるようにする。モジュール10の状態の場合、第二カバー部12Y及び第一カバー部12Xが封印された後、各モジュール10のケース11の凸部11dと凹部11eを嵌合することで、モジュール10を連結し、連結型ユニット1を形成してもよい。
【0050】
ここで、実施形態におけるカバー12の形状について詳しく説明をする。図4から図7に示す例の第一カバー部12Xは、軸部21を中心として回動可能なようにケース11に取り付けられ、軸部21を中心に第一カバー部12Xを回動することにより、ケース11の開口11aを覆う状態と覆わない状態とを変更可能とするものである。
【0051】
図4から図6に示す第一カバー部12Xには、ケース11の軸部21に平行に延びる辺(前後方向に延びる辺)であって、軸部21から遠い側に第一係止部12Xaを設けている。また第一カバー部12Xには、ケース11の軸部21に平行に延びる辺(前後方向に延びる辺)と異なる方向に延びる辺(左右方向に延びる辺)の一方に第一封印部41を設け、もう一方の辺側は、ケース11に収納される電線92の出線口となるように構成している。
【0052】
一方、図5及び図6に示す第二カバー部12Yは、ケース11の軸部21に平行に延びる辺(前後方向に延びる辺)の一方に第二係止部12Ybを設け、もう一方に突設辺12Ycを設ける構成としている。突設辺12Ycをケース11に差し込んだ状態で、第二係止部12Ybをケース11に設けた第二被係止部11bに係止させることで、ケース11の開口11aの一部を覆うように第二カバー部12Yを取り付けることができる。そのため、第二カバー部12Yはケース11に対して強固に固定することが可能である。一方、第二係止部12Ybの係止を解除し、突設辺12Ycをケース11から抜けば、ケース11から第二カバー部12Yを取り外すことができる。なお、第一カバー部12X及び第二カバー部12Yのケース11への取付け構造については、このような例に限定される必要はない。
【0053】
図8及び図9に示す例の第二カバー部12Yには窓部12Yzが形成されている。窓部12Yzは、電線92が挿通できる程度のサイズであるとともに、電線92やコネクタ93の接続状態が確認できるサイズである。したがって、ケース11に収納される電子機器の接続部15に接続される電線92の挿通若しくは、電線92やコネクタ93の接続状態の確認のために利用することができる。
【0054】
また、接続部15に接続された電線92やコネクタ93を取り外すための接続部15やコネクタ93の取り外し部16が、開口11aを第二カバー部12Yで覆った状態では操作できないように窓部12Yzなどを構成することが好ましい。
【0055】
第二カバー部12Yは、第二封印部42の一部、第一被係止部12Ya、第二係止部12Yb、突設辺12Yc、窓部12Yzを備えたカバー部位Ydと、カバー部位12Ydの窓部12Yzと同程度若しくは、小さな窓部12Yzを備えたプレート部位12Yeを組み合わせる構成であってもよい(図10及び図11参照)。計測する事象の種類や、計測点数により、モジュール10に収納される電子機器は異なり、接続部15の位置や数も異なる。そこで、カバー部位Ydは、共通のものとしておき、プレート部位12Yeを電子機器に合わせた形状(電子機器の接続部15に合わせた窓部12Yzを備えたもの)とするようにすれば、部品を共通化することが可能となる。
【0056】
連結型ユニット1はモジュール10同士が連結された状態を維持するため、モジュール10のケース11に係合部11fを設けている。図1及び図4に示す例では、左右方向に延びた溝11faが上下に並ぶように備えられた係合部11fが設けられている。この係合部11fはケース11の側面に設けられており、係合部材17がケース11の側面で左右方向へ移動可能とする。
【0057】
実施形態では、係合部材17に規制部(図示せず)、係合部11fに被規制部を設けており、規制部が被規制部に引っ掛かることで係合部材17の左右方向への移動を規制可能とする。実施形態では、係合部11fに被規制部として第一被規制部11gと第二被規制部11hの二つを設けている。第一被規制部11gは、ケース11から突出した状態の係合部材17を規制することができ、第二被規制部11hは、ケース11から突出しない状態の係合部材17を規制することができるようにしている。
【0058】
各モジュール10のケース11の係合部11fの位置を合わせた状態で、モジュール10を連結し、係合部材17の規制部を第一被規制部11gの位置まで移動することで、係合部材17が隣接するモジュール10のケース11の側面を覆う状態を維持させることができる。この状態にすれば、係合部材17は、隣接するモジュール10のケース11の係合部11fの溝11faに嵌った状態が維持されるため、連結状態のモジュール10は連結状態を解除する方向への移動ができなくなる。
【0059】
ただし、係合部材17は、被規制部による規制を解除することで容易に連結状態を解除することが可能となる。そのため、電子機器に電線92やコネクタ93が接続された状態で、連結状態が解除される可能性がある。そこで、図12に示す例では、連結されたモジュール10同士は、係合部材17を用いた移動規制のみでなく、封印具89により封印する。つまり、ケース11に第三封印部43を設け、連結された状態で封印具89を用いて連結状態を解除する方向へ移動することを封印する。なお、実施形態の封印具89は封印部材と同様の部材としているが、必ずしもそのようにする必要はない。
【0060】
より具体的には、ケース11の側面のうち、係合部11fを設けた側面と反対側の側面の端部に、第三封印部43を設けている。ただし、ケース11の係合部11fを設けた側面、及び、その側面と反対側の側面の端部に、第三封印部43を設けるなど、他の形態であっても構わない。係合部11fを設けた側面、及び、その反対側の側面の双方に第三封印部43を設ける場合、ケース11の両端側で封印することができるため、連結状態の各モジュール10の移動をより強固に制限することができる。第三封印部43に用いる封印具89についても封印部材と同様、材質や形状等は如何なるものであってもよい。
【0061】
これらの例から理解されるように、連結した複数のモジュール10のケース11間にまたがるように封印具89を取り付けるために用いられる第三封印部43を備えた構成とするのが好ましい。また、連結した複数のモジュール10のケース11間にまたがって取り付けられる封印具89を備えた構成とするのが好ましい。
【0062】
ところで、ケース11の開口11aを覆うカバー12は、第一カバー部12Xと第二カバー部12Yの双方を備えるものである必要はない。図13及び図14に示すことから理解されるように、開口11aの全体を覆う部材のみでカバー12を構成してもよい。第一封印部41及び/又は第二封印部42により、ケース11に対するカバー12の移動を封印しつつ、第三封印部43によりモジュール10の連結状態を解除する方向へのケース11の移動を封印すれば、モジュール10及び電子機器の保護性能を高めることができる。
【0063】
少なくとも封印部材が取り付けられる第一封印部41と、封印具89が取り付けられる第三封印部43を設けて、それらを活用すれば、ケース11に対するカバー12の移動及び、連結状態を解除する方向へのケース11の移動を封印することが可能となることは上記した通りだが、このような効果は別の構成によっても達成することができる。
【0064】
例えば、連結するモジュール10において、一方のモジュール10のカバー12と、もう一方のモジュール10のケース11に第四封印部44を設け、封印部材により封印するものとすることで、ケース11に対するカバー12の移動及び、連結状態を解除する方向へのケース11の移動を封印することが可能となる(図15参照)。図15に示す例では、第四封印部44に対して、カバー・モジュール封印部材84を取り付けて、ケース11に対するカバー12の移動及び、連結状態を解除する方向へのケース11の移動を封印している。このとき、一方のモジュール10のカバー12とケース11が係止状態にあり、ケース11からカバー12が容易に外れない構造とすることが好ましい。
【0065】
この例から理解されるように、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11にまたがるように封印部材を取り付けるために用いられる封印部として、連結により隣り合う二つのモジュール10のうちの一方のモジュール10のケース11に係止されたカバー12と、もう一方のモジュール10のケース11と、にまたがって封印部材を取り付けるために用いられる第四封印部44を備えた構成とするのが好ましい。
【0066】
また、開口11aを覆った状態のカバー12とケース11にまたがって取り付けられる封印部材として、連結により隣り合う二つのモジュール10のうちの一方のモジュール10のケース11に係止されたカバー12と、もう一方のモジュール10のケース11と、にまたがって取り付けられる封印部材を備えた構成とするのが好ましい。
【0067】
実施形態では、ケース11同士の連結は、ケース11に設けられた上下方向に延びる凸部11dと凹部11eを嵌合させることで行っている。つまり、ケース11を上下方向に移動させて連結させている。そのため、一つのモジュール10におけるカバー12とケース11の係止は、ケース11を上下方向へ移動した際にカバー12が外れてしまうことを防止することができるようにすることが好ましい。
【0068】
図13図14図15などに示す例においては、カバー12に設けた突設辺121をケース11に設けた溝部11kに嵌合させるとともに、係止部122をケース11の被係止部11mに係止することで上下方向への移動を制限している。このような構造と第四封印部44へのカバー・モジュール封印部材84の取り付けによりケース11に対するカバー12の移動及び、連結状態を解除する方向へのケース11の移動を封印することを可能としている。
【0069】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、工具を使用せず、各穴部に通した封印部材や封印具により閉じた略円形状の部分を作ることで封印部材や封印具が穴部から抜けないようにすることも可能である。
【0070】
また、封印部材や封印具は部分的に若しくは全体的に可撓性のある部材を用いるのが好ましい。封印部材として開口を覆った状態のカバーとケースにまたがるように貼付されるシール状のものを採用しても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 連結型ユニット
10 モジュール
11 ケース
11a 開口
12 カバー
12X 第一カバー部
12Y 第二カバー部
15 接続部
16 取り外し部
41 第一封印部
42 第二封印部
43 第三封印部
44 第四封印部
82 第一カバー封印部材(封印部材)
83 第二カバー封印部材(封印部材)
84 カバー・モジュール封印部材(封印部材)
89 封印具
図1
図2
図3
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図5
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図10
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