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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075289
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/136 20220101AFI20240527BHJP
   F24H 15/258 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/37 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/104 20220101ALI20240527BHJP
   F24H 15/238 20220101ALN20240527BHJP
   F24H 15/325 20220101ALN20240527BHJP
【FI】
F24H15/136
F24H15/258
F24H15/281
F24H15/37
F24H15/395
F24H1/14 B
F24H15/215
F24H15/219
F24H15/104
F24H15/238
F24H15/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186633
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井藤 弘章
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA22
3L034BB03
3L034BB06
(57)【要約】
【課題】消費電力を削減しつつ凍結防止を図るための運転モードを具備した給湯装置を提供する。
【解決手段】コントローラ150は、商用電源5の停電時による非常用電源による駆動時に対応する応急運転モードにおける通水の停止中に、温度センサ135によって検出される大気温度Tfが予め定められた第1判定温度よりも低いときには、給湯栓190の開放によって通水を要求する所定メッセージを出力する様に出力部180を制御する。更に、コントローラ150は、流量センサ140の出力に基づく通水の有無の判定結果に基づいて、凍結予防ヒータ191~195のオンオフを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置であって、
非常用電源による駆動時に前記給湯装置を作動させる際に応急運転モードをユーザが選択可能な入力部と、
前記給湯装置の通水の有無を検知するための検知手段と、
前記給湯装置の配置個所の大気温度を検出するための第1温度センサと、
前記給湯装置に配置された電熱型の凍結予防ヒータと、
前記ユーザに対してメッセージを報知するための出力部と、
前記出力部及び前記凍結予防ヒータを制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記応急運転モードにおける通水の停止中に、前記第1温度センサによって検出された前記大気温度が予め定められた第1判定温度よりも低いときには、前記給湯装置を介した通水を要求する所定メッセージを出力する様に前記出力部を制御するとともに、前記検知手段の出力に基づく前記通水の有無の判定結果に基づいて、前記凍結予防ヒータのオンオフを制御する、給湯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定メッセージの出力後に前記通水ありと判定されると、前記凍結予防ヒータのオフを維持する、請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定メッセージの出力後に前記通水なしと判定されると、前記第1温度センサによって検出された大気温度が前記第1判定温度よりも低いときには前記通水ありと判定されるまで前記所定メッセージを出力する、請求項1記載の給湯装置。
【請求項4】
前記給湯装置は、
第1流路及び第2流路と、
前記制御部からの指令に従って前記第1流路及び前記第2流路の間の流量比を制御する流量比調整部とを更に備え、
前記検知手段は、前記第1流路に配置され、
前記制御部は、前記検知手段の出力に基づいて前記通水の有無を判定する第1の期間では、前記第1流路の流量比が第1の値となる様に前記流量比調整部を制御する一方で、前記通水の検出に応じて前記凍結予防ヒータをオフに維持する第2期間では、前記第1流路の流量比が前記第1の値よりも低い第2の値となる様に前記流量比調整部を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記応急運転モードにおける通水の停止中に、前記第1温度センサによって検出された前記大気温度が前記第1判定温度よりも低く設定される第2判定温度よりも低いときに、前記所定メッセージの出力後に前記通水ありと判定されると前記凍結予防ヒータを間欠的にオンする一方で、前記所定メッセージの出力後に前記通水なしと判定されると前記凍結予防ヒータを連続的にオンする、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記応急運転モードにおける通水の停止中に、前記第1温度センサによって検出された前記大気温度が前記第1判定温度よりも低く設定される第2判定温度よりも低いときには、前記大気温度が前記第2判定温度よりも低く設定される第3判定温度より低いと前記凍結予防ヒータを連続的オンする一方で、前記大気温度が第2判定温度及び前記第3判定温度の間であると前記凍結予防ヒータを間欠的にオンする、請求項5記載の給湯装置。
【請求項7】
前記給湯装置は、
前記給湯装置の通水流路の異なる位置に配置された第2温度センサ及び第3温度センサを更に備え、
前記制御部は、前記所定メッセージの出力後に前記検知手段の出力に基づいて通水なしと判定されたときには、前記凍結予防ヒータを一定時間オンとするとともに、前記一定時間の前後のそれぞれにおける前記第2温度センサの検出値の変化、及び、前記第3温度センサの検出値の変化に基づいて、前記通水の有無を判定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記一定時間の前後の間での前記第2温度センサの検出値の上昇量及び前記第3温度センサの検出値の上昇量が予め定められた範囲内であるときに前記通水ありと判定する、請求項7記載の給湯装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記一定時間の前後で前記第2温度センサの検出値及び前記第3温度センサの検出値の両方が上昇していないときには前記凍結予防ヒータの故障を検出する、請求項8記載の給湯装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記応急運転モードにおける前記通水の終了時において、前記第1温度センサによって検出された前記大気温度が前記第1判定温度よりも低いときには、前記所定メッセージを出力する様に前記出力部を制御するとともに、前記所定メッセージの出力後における前記通水の有無の判定結果に基づいて、前記凍結予防ヒータのオンオフを制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項11】
前記給湯装置は、
前記給湯装置の通水流路の通水流路の異なる位置に、給湯運転時における加熱前及び加熱後の流体温度を検出する様にそれぞれ配置された第2温度センサ及び第3温度センサを更に備え、
前記制御部は、前記給湯運転の終了によって前記通水が終了されるときには、前記所定メッセージの出力後において、前記検知手段の出力に基づいて前記通水が検出され、かつ、一定時間の経過後に、前記第2温度センサの検出値と前記第3温度センサの検出値との差が予め定められた判定値よりも小さいときに、前記通水ありと判定する、請求項10記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給湯装置に関し、より特定的には、凍結予防ヒータを備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常時は、商用電源からの電力供給によって動作する一方で、停電時には蓄電池からの電力供給によって作動する給湯器が、特許第5827865号公報(特許文献1)等に開示されている。
【0003】
特許文献1の給湯器は、蓄電池を内蔵しており、停電時には、制御装置には蓄電池からの電力が継続的に供給される一方で、制御装置を介して電力が供給される被制御機器の一部又は全部に対しては、特定の作動スイッチによって蓄電池からの電力供給が開始される。
【0004】
特許文献1では、上記被制御機器には凍結防止用のヒータが含まれており、当該ヒータは、商用電源から電力が供給される通常時には、外気温度が所定温度以下になると作動する一方で、停電による蓄電池からの電力供給時には、停電が終わるまで停止状態に維持されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5827865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1による給湯器では、停電による蓄電池からの電力供給時には、外気温度が所定温度以下になっても停止状態に維持されるため、厳冬期に停電が発生すると、給湯器の配管又は機器が凍結することにより、故障が発生することが懸念される。
【0007】
一方、近年では、停電時には、太陽電池又は燃料電池等による発電電力、又は、当該発電力によって充電された蓄電池に蓄積された電力を用いた、電源ユニットの自立運転によって、給湯器及び他の住設機器の全体に給電するシステムが商品化されている。この様なシステムでは、停電時(自立運転時)に給湯器の消費電力を抑制することは重要な課題である。
【0008】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、消費電力を削減しつつ凍結防止を図るための運転モードを具備した給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面では、給湯装置は、入力部と、検知手段と、第1温度センサと、給湯装置に配置された電熱型の凍結予防ヒータと、出力部と、出力部及び凍結予防ヒータを制御するための制御部とを備える。入力部は、非常用電源による駆動時に給湯装置を作動させる際に応急運転モードをユーザが選択可能とするために設けられる。検知手段は、給湯装置の通水の有無を検知する。第1温度センサは、給湯装置の配置個所の大気温度を検出する。出力部は、ユーザに対してメッセージを報知する。制御部は、応急運転モードにおける通水を伴う通水の停止中に、第1温度センサによって検出された大気温度が予め定められた第1判定温度よりも低いときには、給湯装置を介した通水を要求する所定メッセージを出力する様に出力部を制御する。更に、制御部は、検知手段の出力に基づく通水の有無の判定結果に基づいて、凍結予防ヒータのオンオフを制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消費電力を削減しつつ凍結防止を図るための応急運転モードを具備した給湯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に従う給湯装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態に係る給湯装置の応急運転モードにおける凍結防止制御を説明するフローチャートである。
図3】凍結予防ヒータの作動態様の制御の一例を説明するフローチャートである。
図4】凍結予防ヒータの作動態様の制御の他の例を説明するフローチャートである。
図5】凍結予防ヒータを用いた通水有無判定を説明するフローチャートである。
図6】応急運転モードにおける通水に係る凍結防止制御の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
図1は、本実施の形態に従う給湯装置の概略構成図である。
【0014】
図1を参照して、給湯装置100は、一次熱交換器11、二次熱交換器21および燃焼バーナ30等が格納された燃焼缶体(以下、単に「缶体」とも称する)10と、送風ファン40と、入水管50と、バイパス管60と、出湯管70と、コントローラ150とを備える。
【0015】
バイパス管60は、缶体10を迂回して、入水管50および出湯管70の間に配置される。入水管50には、バイパス管60への分流を制御するための分配弁80が介挿接続される。さらに、入水管50には、温度センサ110および流量センサ140が配置される。温度センサ110は、入水温度Twを検出する。
【0016】
入水管50には、水道水等が給水される。分配弁80の開度に応じて、給水量の一部が入水管50からバイパス管60へ分流される。入水管50及びバイパス管60の流量比は、分配弁80の開度によって制御される。
【0017】
流量センサ140は、例えば、分配弁80よりも下流側(缶体側)に配置される。したがって、流量センサ140による流量検出値Qは、缶体10を通過する流量(缶体流量)を示している。流量センサ140は、代表的には、羽根車式流量センサによって構成される。公知の様に、羽根式流量センサは、流体の通過に伴って羽根車が回転する毎に出力されるパルス信号の単位時間内でのパルス数に基づいて流量を検出する様に構成される。本実施の形態では、流量センサ140を用いて、給湯装置100の通水の有無を検知する「検知手段」の一実施例を構成するが、一定水量の有無を検知する通水スイッチ等によって「検知手段」を構成することも可能である。
【0018】
缶体10において、燃焼バーナ30から出力された燃料ガスは、送風ファン40からの燃焼用空気と混合される。図示しない点火装置によって混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。燃焼バーナ30からの火炎によって生じる燃焼熱は、缶体10内で一次熱交換器11および二次熱交換器21へ与えられる。
【0019】
一次熱交換器11は、燃焼バーナ30による燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する。二次熱交換器21は、燃焼バーナ30からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する。缶体10の燃焼ガスの流れ方向下流側には熱交換後の燃焼排ガスを排出処理するための排気口15が設けられる。このように、缶体10では、燃焼バーナ30での燃焼による発生熱量により、一次熱交換器11および二次熱交換器21で、入水管50から供給された水を加熱する。
【0020】
入水管50の水は、まず二次熱交換器21によって予熱された後、一次熱交換器11において主加熱される。一次熱交換器11および二次熱交換器21によって所定温度まで加熱された高温水は、出湯管70へ出力される。出湯管70は、合流点75においてバイパス管60と接続される。
【0021】
従って、給湯装置100からは、缶体10から出力された加熱水(高温水)と、バイパス管60からの非加熱水(低温水)とを混合した適温の温水を、台所や浴室等の給湯栓190や、図示しない浴槽及びシャワー等へ供給する給湯運転を実行することができる。この様に、給湯装置100の給湯先には、給湯栓190以外も含まれており、浴槽(図示せず)への「湯張り」、「水張り」、「たし湯」、「たし水」等の運転を実行することができる。給湯運転、及び、浴槽に対する上述の諸運転を実行する際に、給湯装置100は通水される。又、給湯装置100に接続された給湯栓190を開栓することで、給湯装置100は運転スイッチがオフの状態であっても通水することができる。
【0022】
出湯管70には、流量調整弁90および温度センサ120,130が設けられる。温度センサ120は、出湯管70のバイパス管60との合流点75よりも上流側(缶体側)に配置されて、缶体10からの出力湯温(以下、缶体温度)を検出する。温度センサ130は、合流点75よりも下流側(出湯側)に設けられて、バイパス管60からの水が混合された後の出湯温度Thを検出する。更に、筐体10内には、大気温度Tfを検出するための温度センサ135が配置される。
【0023】
流量調整弁90は、コントローラ150からの指令に従う開度制御によって流量を調整するために設けられる。例えば、燃焼開始直後に出湯温度が上昇するまでの期間には、流量を絞るように流量調整弁90を制御することができる。
【0024】
燃焼バーナ30へのガス供給管31には、元ガス電磁弁32、ガス比例弁33および、能力切換弁35a~35cが配置される。元ガス電磁弁32は、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給をオンオフする機能を有する。ガス供給管31のガス流量は、ガス比例弁33の開度に応じて制御される。
【0025】
能力切換弁35a~35cは、複数の燃焼バーナ30のうちの、燃料ガスの供給対象となるバーナ本数を切換えるために開閉制御される。缶体10での発生熱量は、バーナ本数およびガス流量の組み合わせによって決まる、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量に比例する。送風ファン40による送風量は、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量との空燃比が所定値(たとえば、理想空燃比)となるように制御される。送風ファン40の送風量は、ファン回転数と比例するので、送風ファン40の回転数は、供給ガス量の変化に応じて設定される目標回転数に従って制御される。
【0026】
給湯装置100は、商用電源5から供給された交流電圧、又は、電源ユニット200から供給された交流電圧によって作動する。電源ユニット200は、蓄電池210と、インバータ220と、スイッチ230と、コントローラ240とを有する。電源ユニット200は、蓄電池210の出力電圧(DC)をインバータ220で交流電圧に変換することによって、商用電源5と同等の交流電圧を出力することができる。
【0027】
電源ユニット200は、太陽電池又は燃料電池等の図示しない発電要素を具備することで、自宅での消費電力よりも発電電力が大きいときに、余剰電力によって蓄電池210を充電することが可能である。商用電源5の停電時において、電源ユニット200は、蓄電池210の蓄積電力、又は、発電要素の発電電力を用いた自立運転によって、交流電圧を出力することが可能である。当該交流電圧は、給湯装置100を含む、家屋内外の設備機器で共通に使用することが可能であり、この様な自立運転時には、給湯装置100においても消費電力を最小限化することが望ましい。
【0028】
従って、本実施の形態では、給湯装置100は、商用電源5の停電時等の非常用電源による駆動時、例えば、自立運転中の電源ユニット200からの電力による駆動時に対応するための、消費電力を削減した応急運転モードを有するものとする。或いは、特許文献1と同様に、給湯装置100に蓄電池210が備えられた構成においても、商用電源5の停電時に本実施の形態に係る応急運転モードを適用することができる。
【0029】
応急運転モードの開始及び終了は、例えば、ユーザからの入力によって直接指示される。この場合には、ユーザ入力によって応急運転モードは直接的に選択される。或いは、応急運転モードの選択可否に係るユーザ入力に基づいて、応急運転モードが選択可能であるときに、電源ユニット200の自立運転期間において、自動的に応急運転モードが選択されてもよい。
【0030】
コントローラ150は、図示しない、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを内蔵したマイクロコンピュータによって構成することができる。コントローラ150は、各センサからの出力信号(検出値)を受けるとともに、ユーザが入力部160に入力したユーザ指令を受ける。入力部160は、例えば、図示しないリモコンに設けられたスイッチ、又は、タッチパネル上に形成されるタッチスイッチ等によって構成することができる。
【0031】
ユーザ指令には、給湯装置100の運転スイッチのオン及びオフ指令、設定湯温(Tr*)指令、及び、上述した応急運転モードに係るユーザ入力(開始/終了指示、選択可否)等が含まれる。これにより、ユーザは、入力部160によって応急運転モードを選択可能となる。
【0032】
又、コントローラ150は、出力部170を用いて、ユーザに対してメッセージを報知することができる。出力部170は、例えば、図示しないリモコンに設けられた液晶パネル、及び、スピーカによって構成することができる。
【0033】
コントローラ150は、例えば、当該メモリに予め格納されたプログラムを実行することによるソフトウェア処理によって、ユーザ指令に従って給湯装置100の全体動作を制御する各機器への制御指令を発生する。制御指令には、各弁の開閉および開度指令、送風ファン40への電気的入力指令(ファン駆動電圧指令)が含まれる。或いは、コントローラ150による制御処理の少なくとも一部については、ソフトウェア処理の他に、専用のハードウェア(例えば、電子回路)によって実現することも可能である。
【0034】
コントローラ150は、給湯装置100の運転スイッチのオン期間では、流量センサ140による流量検出値Qが最低作動流量(MOQ)を超えるのに応じて、給湯運転を開始して、缶体10での燃焼動作をオンする。燃焼動作がオンされると、元ガス電磁弁32が開放されて、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給が開始される。一方で、給湯運転による缶体10での燃焼動作中に、流量センサ140による流量検出値Qが最低作動流量(MOQ)よりも低下すると、給湯運転は停止される。給湯運転が停止されると、元ガス電磁弁32を閉止して、燃焼バーナ30への燃料ガスの供給を停止することで、缶体10での燃焼動作がオフされる。
【0035】
図1に示された給湯装置100では、給湯運転中には、合流点75よりも下流側(出湯側)に配置された流量調整弁90からは、缶体10からの加熱水と、バイパス管60からの非加熱水とを混合した適温の湯が出力される。コントローラ150は、缶体温度の目標値から入水温度Twを減算することによって求められた必要昇温量ΔTと、流量検出値Qとの積に従って、缶体10での要求発生熱量を算出することができる。さらに、コントローラ150は、要求発生熱量に応じて、燃焼バーナ30全体からの供給ガス量、具体的には、ガス比例弁33の開度および能力切換弁35a~35cの開閉を制御する。
【0036】
更に、コントローラ150は、温度センサ130による出湯温度Thと、設定湯温(Tr*)との比較に基づき、分配弁80による流量比、即ち、分配弁80の開度を制御する。尚、応急運転モードでは、消費電力を抑制するために送風ファン40の回転数に上限が設けられ、これに応じて供給ガス量も制限された下で、給湯運転が実行される。
【0037】
更に、給湯装置100には、電熱型の凍結予防ヒータ191~195がさらに配置される。例えば、凍結予防ヒータ191~195は、コントローラ150によりオンオフ制御される電熱器によって構成される。
【0038】
通常、凍結予防ヒータ191~195の消費電力は、商用電源5から供給される。従って、通常時には、コントローラ150は、温度センサ135によって検出された大気温度Tfに応じて凍結予防ヒータ191~195のオンオフを制御することで、凍結防止制御を実行することできる。しかしながら、商用電源5の停電時には、特に、給湯装置100が蓄電池210からの電力で作動しているときに、凍結予防ヒータ191~195のオンによる消費電力が、電源ユニット200が自立運転可能な期間を短くしてしまうことが懸念される。
【0039】
従って、本実施の形態に係る給湯装置100では、以下で説明する様に、応急運転モードにおいて消費電力を削減するための凍結防止制御を実行する。
【0040】
図2は、本実施の形態に係る給湯装置の応急運転モードにおける凍結防止制御を説明するフローチャートである。図2を始めとするフローチャートに示された制御処理は、コントローラ150が予め格納したプログラムを実行することで実現することができる。
【0041】
図2を参照して、コントローラ150は、ステップ(以下、単に「S」と表記)する100において、応急運転モードであり、かつ、通水の停止中であるか否かを判定する。例えば、上述した様にMOQを超えた流量が生じている給湯運転の実行中、又は、浴槽(図示せず)への「水張り運転」又は「たし水運転」等の給湯動作を伴わずに通水する運転中に、通水中であると判定される。又、上述の様に、給湯装置100の運転スイッチがオフの状態であっても給湯栓190が開栓されているときにも通水中と判定される。通水中であるか否かは、流量センサ140の出力に基づいて判定することができる。
【0042】
ユーザが応急運転モードの開始及び終了を入力部160に入力する場合には、当該入力に応じてS100での応急運転モードであるか否かの判定が実行される。又、ユーザが応急運転モードの選択可否を入力部160に入力する場合には、当該選択可否入力と電源ユニット200が自立運転中であるか否かの情報とに基づいて、S100での応急運転モードであるか否かの判定が実行される。
【0043】
応急運転モードでの通水の停止中には(S100のYES判定時)、S110に処理が進められて、応急運転モードでの凍結防止制御が実行される。一方で、応急運転モードのオフ時(S100のNO判定時)、又は、応急運転モードでの通水中には、当該凍結防止制御は実行されない。
【0044】
コントローラ150は、S110により、現時点の大気温度Tf(温度センサ135)を読込むと、S120,S130により、S110で読込んだ大気温度と判定温度Ta,Tb(Tb>Ta)との比較によって処理を分岐させる。判定温度Tbは、凍結防止が必要か否かを判定するための閾値に相当し、例えば、0[℃]に設定される。更に、判定温度Taは、凍結予防ヒータ191~195の通電(オン)要否を判定するための閾値に相当し、例えば、-5[℃]に設定することができる。
【0045】
Tf>Tbのときには、S120及びS130がNO判定とされて、S147に処理が進められる。コントローラ150は、S147では、後述する「通水要求メッセージ」を出力することなく、S110に処理を戻す。又、一旦、通水メッセージに応答した通水後(後述する通水フラグFw=1のとき)に、大気温度Tfが上昇してS147に処理が進められた場合には、出力部170を用いて、ユーザに対して通水の停止を呼びかけるメッセージを出力することが可能である。
【0046】
これに対して、大気温度Tfが判定温度Tbよりも低い場合には、Tf≦Taのときに、S120がNO判定、かつ、S130がYES判定となって、S145によって、ヒータ作動フラグFht=1に設定した上で、S150に処理が進められる。これに対して、Ta<Tf<Tbのときには、S120がYES判定となって、S140によって、ヒータ作動フラグFht=0に設定した上で、S150に処理が進められる。
【0047】
コントローラ150は、S150において、通水フラグFwに基づいて、通水がない状態であるか否かを判定する。通水フラグFwは、応急運転モード開始時の初期値が「0」であり、後述する通水有無判定によって、通水がある状態と判定されると、Fw=1に設定される。
【0048】
コントローラ150は、通水がないとき(S150のYES判定時)には、S160により、ユーザに対して、給湯装置100を介した通水を要求する「通水要求メッセージ」を出力する。例えば、「通水要求メッセージ」は、通水のために、給湯栓190の開放、又は、浴槽(図示せず)への「たし水運転」の実行を要求する内容とすることができる。この際には、出力部170での画面表示等により、少量の通水(例えば、給湯栓190からの流体幅5[mm]程度)を、ユーザに対して併せてガイダンスすることが好ましい。
【0049】
更に、コントローラ150は、S160により、流量センサ140が配置された入水管50の流量比を高める集中モードにて、分配弁80による流量比設定を行う。集中モードでは、入水管50の流量:バイパス管60の流量=100:0となる様に、分配弁80を制御することができる。更に、S180では、S190による通水有無判定の前における、入水温度Tw(温度センサ110)及び出湯温度Th(温度センサ130)を、Twm及びThmとしてメモリする。
【0050】
更に、コントローラ150は、S190により、S170による流量比設定の下で、流量センサ140の出力に基づく通水有無判定を実行する。流量センサ140は、通水に応じてパルス信号を出力するので、当該パルス信号の出力有無に応じて、S190の判定を実行することができる。
【0051】
流量センサ140からパルス信号が出力されると、S190がYES判定とされるので、コントローラ150は、S200により、通水ありと判定して、通水フラグFw=1に設定する。更に、コントローラ150は、S205により、ヒータ作動フラグFht=0であるか否かを確認する。
【0052】
ヒータ作動フラグFht=0であるとき、即ち、Ta<Tf<Tbであるときには、S205がYES判定とされて、S210により、凍結予防ヒータ191~195がオフされる。即ち、この温度領域(Ta<Tf<Tb)では、ユーザに対して「通水要求メッセージ」を出力するとともに、ユーザ操作による通水ありを確認した上で、凍結予防ヒータ191~195をオフに維持して、給湯装置100の凍結を防止する。
【0053】
更に、コントローラ150は、S220により、入水管50及びバイパス管60の流量を均等化する均等モードにて、分配弁80による流量比設定を行う。一例として、均等モードでは、入水管50の流量:バイパス管60の流量=50:50となる様に、分配弁80を制御することができる。即ち、流量センサ140が配置された入水管50の流量比は、S220による流量比設定では、S170よりも小さい値に設定されることになる。
【0054】
更に、コントローラ150は、S230により、S220による流量比設定で通水された状態にて、出力部170を用いて、通水を伴って応急運転モード中であることをユーザに対して報知する。
【0055】
更に、処理はS100に戻されて、応急運転モードの継続中には、S100のYES判定に応じて、S110以降の処理が繰り返し実行される。この際に、一旦、「通水あり」が確認された後は、S150がNO判定とされて、「通水要求メッセージ」の出力(S160)及び、通水有無判定(S190)は非実行とされる。一方で、S110~S130による大気温度Tfの監視は継続される。尚、S150のNO判定が継続される場合にも、一定時間(例えば、30分程度)の経過毎に、図2中に点線で示される様に、処理をS170(通水有無判定)に処理を進めて、通水が継続されているか否かを定期的に確認してもよい。
【0056】
尚、ヒータ作動フラグFht=1であるとき、即ち、Tf≦Taであるときには、S190での通水有無判定の結果に関わらず、S195又はS205がNO判定とされて、図3又は図4のフローチャートに従って、凍結予防ヒータ191~195の作動態様が制御される。
【0057】
図3に示された第1の例では、コントローラ150は、S310によって、通水フラグFwに基づいて通水の有無を確認する。通水フラグFw=0、即ち、S190によって通水ありと判定されていないときには、コントローラ150は、S310をYES判定として、S320により、凍結予防ヒータ191~195を連続的にオンする(連続オン運転)。
【0058】
これに対して、通水フラグFw=1、即ち、S190によって通水ありと判定されているときには、コントローラ150は、S310をNO判定として、S325により、凍結予防ヒータ191~195を間欠的にオンする。例えば、予め定められた期間長に従って、オン期間とオフ期間とが繰り返し交互に設けられる様に、凍結予防ヒータ191~195が通電される(間欠オン運転)。
【0059】
これにより、大気温度Tfが判定温度Ta(例えば、-5[℃])より低いときには、通水有無の判定結果に基づいて、消費電力が大きい一方で凍結防止効果の高い連続オン運転と、消費電力が減少する一方で凍結防止効果も低下する間欠オン運転が選択される。
【0060】
図4に示された第2の例では、コントローラ150は、S315によって、大気温度Tfが、判定温度Taよりも低く設定された判定温度Tmin(例えば、-10[℃])よりも低いか否かを判定する。そして、Tf<Tminのとき(S315のYES判定時)には、S320により、凍結予防ヒータ191~195は連続オン運転とされる。これに対して、Tf≧Tminのとき(S315のNO判定時)には、S325により、凍結予防ヒータ191~195は間欠運転とされる。
【0061】
図4の例によれば、大気温度Tfが判定温度Taより低いときには、大気温度Tfがどの程度まで低下しているかに基づいて、凍結予防ヒータ191~195の連続オン運転と間欠オン運転とを選択することが可能である。
【0062】
この様に、大気温度Tfが判定温度Ta以下であるときには、通水有無の判定結果、又は、大気温度Tfから凍結リスクを判断して、消費電力と凍結防止効果とをバランスさせて、凍結予防ヒータ191~195を作動することができる。
【0063】
再び、図2を参照して、S190において、流量センサ140の出力に基づいて通水ありと判定されなかった場合(S190のNO判定時)には、ヒータ作動フラグFht=0、即ち、凍結防止のための凍結予防ヒータ191~195のオンが不要であるときに(S195のYES判定時)、図5に示された、凍結予防ヒータ191~195を用いた通水有無判定を、S190のバックアップとして実行する。
【0064】
図5を参照して、コントローラ150は、S410により、凍結予防ヒータ191~195をオンすると、S420により、一定時間待機した後、S430により、温度センサ110,130によって検出される入水温度Tw及び出湯温度Thを取得して、通水有無判定前、即ち、凍結予防ヒータ191~195のオン前にS180(図2)でメモリされた、入水温度Twm及び出湯温度Thmからの上昇量Twup(Twup=Tw-Twm)及びThup(Thup=Th-Thm)をそれぞれ算出する。
【0065】
この際に、凍結予防ヒータ191~195をオンした状態で一定時間待機することで、通水がない場合には、滞留下での加熱により入水温度Tw及び出湯温度Thが一定程度上昇する一方で、通水がある場合には、入水温度Tw及び出湯温度Thの上昇は抑制される。従って、コントローラ150は、S440により、S430で算出された上昇量Twup及びThupが、予め定められた判定値T0~T1の範囲内であるか否かを判定する。
【0066】
判定値T0は、温度上昇が生じているか否かを判定するためのゼロ近傍の値に予め定められ、判定値T1は、上述した通水の有無を判別するための温度上昇量の閾値として予め定められる。
【0067】
コントローラ150は、T0≦Twup≦T1、かつ、T0≦Thup≦T1のときには、S440により、「通水あり」と判定して(通水フラグFw=1)、S460により、凍結予防ヒータ191~195をオフする。そして、図2のS220に処理が進められて、S220により、均等モードで分配弁80による流量比設定を行うと、S230によって、通水を伴って応急運転モード中であることをユーザに対して報知する。
【0068】
これに対して、上昇量Twup,Thupが、判定値T0~T1の範囲外である場合には、S445により、高温側及び低温側のいずれの範囲外であるかが判定される。コントローラ150は、上昇量Twup,Thupが判定値T1より大きいとき(S445のYES判定時)には、S470により、「通水なし」と判定する(通水フラグFw=0)。そして、図2のS150に処理が戻されて、Fw=0に応じて、S160により、「通水要求メッセージ」が出力されて、S170以降の処理が実行される。この際には、凍結予防ヒータ191~195が一旦オフされてもよい。
【0069】
コントローラ150は、上昇量Twup,Thupが判定値T0より小さいとき(S445のNO判定時)、即ち、入水温度Tw及び出湯温度Thに上昇が認められないときには、S480により、凍結予防ヒータ191~195の故障を検出する。この場合には、出力部170を用いて、凍結予防ヒータ191~195の故障が報知される。更に、凍結のリスクが高い状況であることに鑑み、ユーザによる給湯装置の水抜き動作を促すメッセージがユーザに対して報知されてもよい。例えば、当該水抜き動作の方法についてはマニュアル等に記載されているので、当該マニュアルの参照等をメッセージによって促すことができる。或いは、水抜き運転の方法のガイダンスを行うメッセージを報知することも可能である。
【0070】
又、温度上昇量ΔTw及びΔThに大きな差異が生じる場合には、温度センサ110又は130の故障が予測されるので、給湯装置100の運転を禁止するエラーが報知されてもよい。
【0071】
この様に、通水要求のメッセージ出力後に、流量センサ140の出力に基づいて通水ありと判定できなかった場合(S190のNO判定時)には、凍結予防ヒータ191~195を用いた通水有無判定を、S190のバックアップとして実行することができる。又、通水なしと判定されたときには(Fw=0)、大気温度Tfが判定温度Tbよりも低いと、通水ありと判定されるまで、通水要求メッセージを出力することができる。
【0072】
再び図2を参照して、応急運転モードでの凍結防止制御の実行中において、通水が開始されると、当該運転を優先するために、図2の凍結防止制御は割り込み処理によって終了される。
【0073】
図6では、応急運転モードにおける通水に係る凍結防止制御の処理について説明する。
【0074】
図6を参照して、コントローラ150は、給湯運転等によって通水が開始されると(S500のYES判定時)、S510により、応急運転モード中であるか否かを判定し、応急運転モードにおける通水であるときには(S510のYES判定時)、S520以降の処理を実行する。S520では、通水中と、通水終了時との処理が分岐される。
【0075】
コントローラ150は、通水中(S520のNO判定時)には、S522により凍結予防ヒータ191~195をオフするとともに、S525により、応急運転モード中であることを出力部170によって表示する。又、通水が給湯運転によるものであるときには、分配弁80による流量比は、出湯温度を制御する様に適宜制御される。
【0076】
通水の終了時にS520がYES判定されると、コントローラ150は、S530により、温度センサ135によって検出される大気温度Tfが、S120と同様の判定温度Tb(例えば、0[℃])より低いか否かを判定する。Tf≧Tbのときには、凍結防止のためのアクションが不要と判定して、S530以降の処理を実行することなく、処理は、図2のS100に戻される。そして、応急運転モード中には、大気温度Tfに応じて、上述した凍結防止制御が行われる。
【0077】
コントローラ150は、Tf<Tbのときには、S540に処理を進めて、図2のS160と同様に「通水要求メッセージ」を出力するとともに、S550により、図2のS170と同様に、分配弁80による流量比設定が集中モードとされる。更に、コントローラ150は、S560により、図2のS190と同様の、流量センサ140の出力に基づく通水有無判定を実行する。
【0078】
コントローラ150は、通水が給湯運転によるものであるときには、S570による判定を追加して実行してもよい。コントローラ150は、S570では給湯運転終了から一定時間経過後に、入水温度Tw(温度センサ110)と出湯温度Th(温度センサ130)との温度差|Th-Tw|が判定値Thtより小さいか否かを判定する。S570では、給湯運転時に発生している温度差|Th-Tw|が、給湯運転終了後の一定時間での通水によって消失しているか否かが判定される。
【0079】
従って、コントローラ150は、S560で通水ありと判定され(S560のYES判定時)、かつ、給湯運転後に|Th-Tw|<Tthのときには(S570のYES判定時)、S590により「通水あり」と判定する(Fw=1)。そして、凍結予防ヒータ191~195のオフ(S522)が維持されたまま、処理は図2のS220に進められる。以降では、大気温度Tfに応じた処理の分岐を伴う図2に示された凍結防止制御が実行される。
【0080】
これに対して、コントローラ150は、|Th-Tw|≧Tthのときには(S570のNO判定時)、S580により、「通水なし」と判定して(Fw=0)、処理を図2のS110に進める。S560において、流量センサ140の出力に基づく通水有無判定によって通水が検出されない場合(S560のNO判定時)にも、処理は図2のS110に進められる。以降では、ユーザに対して「通水要求メッセージ」が再度出力された(S160)後、図2に示された凍結防止制御が実行される。
【0081】
図6に示された処理により、応急運転モード中の通水実行時には、通水の終了に応じて、大気温度Tfが低い場合には、ユーザに対して通水要求メッセージを出力して、凍結予防ヒータ191~195をオフに維持した凍結防止を試みることができる。更に、図6では、S560,S570により、より確実に通水の有無を判定することができる。
【0082】
以上説明した様に、本実施の形態に係る給湯装置によれば、停電時に対応するための応急運転モードにおいて、大気温度が低い場合(Tf<Tb、例えば、0[℃]よりも低温時)には、ユーザに対して給湯装置100を介した通水を要求する通水要求メッセージを出力するとともに、通水要求メッセージの出力後に、通水有無の判定結果に基づいて凍結予防ヒータ191~195のオンオフを制御することで、消費電力を削減しつつ凍結防止を図ることができる。
【0083】
又、流量センサ140の出力に基づいて通水有無を判定する際には、流量センサ140が配置された流路(入水管50)の流量比を高めることで、ユーザによる通水が少量であっても通水を検出可能にすることができる。更に、通水ありと判定した後では、当該流路の流量比を低下させて、給湯装置100の内部の複数の流路の流量比を均等化することで、通水による凍結防止効果を高めることができる。
【0084】
更に、流量センサ140の出力に基いて通水を検出できない場合には、凍結予防ヒータ191~195を用いた通水有無判定(図5)バックアップとして実行することができる。
【0085】
又、大気温度が著しく低いときには(Tf≦Ta、例えば、-5[℃]よりも低温時)、凍結予防ヒータ191~195をオンすることで、凍結防止を図ることができる。この際に、通水の有無、又は、大気温度Tfに応じて、凍結予防ヒータ191~195の連続オン(S320)と間欠オン(S325)を選択することで、凍結リスクに対応させて消費電力削減を図ることができる。
【0086】
更に、応急運転モード中の通水実行時には、通水の終了に応じて、低温時(Tf<Tb)には、ユーザに対して通水要求メッセージを出力することができる。
【0087】
尚、本実施の形態において、図1の構成において、温度センサ135は「第1温度センサ」の一実施例に対応し、温度センサ110.130は「第2温度センサ」及び「第3温度センサ」の一実施例に対応する。又、入水管50は「第1流路」、バイパス管60は「第2流路」の一実施例に対応する。
【0088】
尚、図5の制御処理では、入水温度Tw又は出湯温度Thの一方については、温度センサ120(缶体温度)の検出値に置換することが可能である。この場合には、温度センサ120が「第2温度センサ」又は「第3温度センサ」の一実施例に対応する。又、図6のS550においても、出湯温度Thについては、温度センサ120(缶体温度)の検出値に置換することが可能である。この場合には、温度センサ120が「第3温度センサ」の一実施例に対応する。
【0089】
又、図2図6のフローチャートにおいて、判定温度Tbは「第1判定温度」、判定温度Taは「第2判定温度」、判定温度Tminは「第3判定温度」の一実施例にそれぞれ対応する。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
5 商用電源、10 缶体、11 一次熱交換器、15 排気口、21 二次熱交換器、30 燃焼バーナ、31 ガス供給管、32 元ガス電磁弁、33 ガス比例弁、35a~35c 能力切換弁、40 送風ファン、50 入水管、60 バイパス管、70 出湯管、75 合流点、80 分配弁、90 流量調整弁、100 給湯装置、110,120,130,135 温度センサ、140 流量センサ、150,240 コントローラ、160 入力部、170,180 出力部、190 給湯栓、191~195 凍結予防ヒータ、200 電源ユニット、210 蓄電池、220 インバータ、230 スイッチ、Fht ヒータ作動フラグ、Fw 通水フラグ、Tf 大気温度、Th 出湯温度、Tw 入水温度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6