(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007529
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】車両の冗長電源供給に基づく制御システム及びその方法、装置並びに機器
(51)【国際特許分類】
B60W 50/023 20120101AFI20240110BHJP
G05B 9/02 20060101ALI20240110BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240110BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60W50/023
G05B9/02 K
H02J7/00 302C
H02J7/00 Y
H02J1/00 304H
H02J1/00 306K
H02J1/00 304G
H02J1/00 309
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109510
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】202210785710.4
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521254764
【氏名又は名称】北京図森智途科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王馳
(72)【発明者】
【氏名】何小康
(72)【発明者】
【氏名】計平元
【テーマコード(参考)】
3D241
5G165
5G503
5H209
【Fターム(参考)】
3D241BA64
3D241BA65
3D241BB71
3D241CA08
3D241CD11
3D241DA67Z
3D241DA69Z
5G165BB00
5G165EA04
5G165GA09
5G165JA07
5G165JA09
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
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5G503EA08
5G503GD03
5G503GD06
5H209AA09
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5H209DD13
5H209GG13
5H209HH13
5H209SS01
5H209SS07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は車両の冗長電源供給に基づく制御システム及びその方法、装置並びに機器を提供する。
【解決手段】システムは、主電源供給回路であって、前記主電源供給回路を監視し、前記主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を生成するために用いられる主電源供給監視モジュールを含む主電源供給回路と、冗長電源供給回路であって、前記冗長電源供給回路を監視し、前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を生成するために用いられる冗長電源供給監視モジュールを含む冗長電源供給回路と、を含む。本開示の実施例は一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給を実現し、車両の冗長電源供給のコスト及び配置難易度を低下させ、主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートを決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源供給回路であって、前記主電源供給回路を監視し、前記主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示する監視情報を生成するために用いられる主電源供給監視モジュールを含む主電源供給回路と、
冗長電源供給回路であって、前記冗長電源供給回路を監視し、前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を生成するために用いられる冗長電源供給監視モジュールを含む冗長電源供給回路と、
それぞれ前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路に接続される車両統合制御電子機器であって、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路から車両の走行を制御するための目標電源供給回路を決定するために用いられる車両統合制御電子機器と、を含むことを特徴とする車両の冗長電源供給に基づく制御システム。
【請求項2】
前記主電源供給監視モジュールは回路監視センサ、スイッチ素子及び制御ユニットのうち少なくとも1つを含み、
前記回路監視センサは、所在する主電源供給回路内のセンシングパラメータを監視し、前記センシングパラメータを制御ユニットに送信するために用いられ、
前記制御ユニットは前記センシングパラメータに基づいて前記主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを監視し、決定結果に基づいて前記スイッチ素子のオンオフ状態を制御し、前記主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示する監視情報を生成するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記冗長電源供給監視モジュールは回路監視センサ、スイッチ素子及び制御ユニットのうち少なくとも1つを含み、
前記回路監視センサは、所在する冗長電源供給回路内のセンシングパラメータを監視し、前記センシングパラメータを制御ユニットに送信するために用いられ、
前記制御ユニットは前記センシングパラメータに基づいて前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを監視し、決定結果に基づいて前記スイッチ素子のオンオフ状態を制御し、前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示する監視情報を生成するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記主電源供給監視モジュール及び前記冗長電源供給監視モジュールはいずれも発電機に電気的に接続され、
前記主電源供給回路は発電機と前記主電源供給回路内の蓄電池正極回路との間に直列接続され、
前記冗長電源供給回路は発電機と前記冗長電源供給回路内の蓄電池正極回路との間に直列接続されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記車両統合制御電子機器は通信可能に接続される第1の車両統合制御電子機器及び第2の車両統合制御電子機器を含み、
前記第1の車両統合制御電子機器は、前記主電源供給監視モジュールに接続され、前記主電源供給回路の監視情報を前記第2の車両統合制御電子機器に送信し、前記第2の車両統合制御電子機器から送信された前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記冗長電源供給回路は車両の走行を制御するための前記目標電源供給回路であると決定するために用いられ、
前記第2の車両統合制御電子機器は、前記冗長電源供給監視モジュールに接続され、前記冗長電源供給回路の監視情報を前記第1の車両統合制御電子機器に送信し、前記第2の車両統合制御電子機器から送信された前記主電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路は車両の走行を制御するための前記目標電源供給回路であると決定するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記主電源供給回路は車両の性能に関連する第1種の負荷及び車両の安全に関連する第2種の負荷を含み、
前記冗長電源供給回路は車両の安全に関連する冗長な第2種の負荷を含み、
前記第1種の負荷はエンジン及びそのセンサ、スタータ、ランプシステム、空調システムのうち少なくとも1つを含み、
前記第2種の負荷は制動システム、ステアリングシステム、自動運転システムにおける負荷を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記主電源供給回路は、さらに、
前記車両統合制御電子機器及び前記主電源供給回路内の各負荷に接続され、前記主電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を監視し、前記車両統合制御電子機器に送信するために用いられる主配電ボックスを含み、
前記冗長電源供給回路は、さらに、
前記車両統合制御電子機器及び前記冗長電源供給回路内の各負荷に接続され、前記冗長電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を監視し、当該電源供給信号を前記車両統合制御電子機器に送信するために用いられる冗長配電ボックスを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記車両統合制御電子機器は、さらに、
前記主電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、前記主電源供給回路内の各負荷の電源供給信号に基づいて、前記主電源供給回路内の故障点を位置特定し、及び/又は、
前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、前記冗長電源供給回路内の各負荷の電源供給信号に基づいて、前記冗長電源供給回路内の故障点を位置特定するために用いられることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムはバスバーをさらに含み、前記バスバーはそれぞれ発電機、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路に接続され、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路には逆流防止ダイオードがさらに含まれ、前記逆流防止ダイオードは所在する電源供給回路内の電流の一方向整流に用いられることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
主電源供給回路内の主電源供給監視モジュールから主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得するステップと、
冗長電源供給回路内の冗長電源供給監視モジュールから冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得するステップと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路から車両の走行を制御するための目標電源供給回路を決定するステップと、を含む車両の冗長電源供給に基づく制御方法。
【請求項11】
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路から車両の走行を制御するための目標電源供給回路を決定する前記ステップは、
前記主電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、前記冗長電源供給回路内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御するステップと、
前記主電源供給回路に電源供給故障が存在しないことに応答し、前記主電源供給回路内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御するステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記主電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、前記主電源供給回路に対して故障警報を行うステップと、
前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、前記冗長電源供給回路に対して故障警報を行うステップと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を取得するステップと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、当該電源供給回路内の各負荷の電源供給信号に基づいて、当該電源供給回路内の故障点を位置特定するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路内のセンシングパラメータ及びスイッチ状態パラメータを取得するステップと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうち各電源供給回路については、当該電源供給回路内のセンシングパラメータ及びスイッチ状態パラメータに基づいて、当該電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在するか否かを判断するステップと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうち電源供給故障が存在しないいずれか1つの電源供給回路については、当該電源供給回路内のセンシングパラメータに基づいて、当該電源供給回路が故障接近状態にあるか否かを判断するステップと、
当該電源供給回路が前記故障接近状態にあることに応答し、当該電源供給回路に対して故障早期警戒提示を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムを記憶するために用いられるメモリと、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを呼び出し、実行して、請求項10に記載の車両の冗長電源供給に基づく制御方法を実行するために用いられるプロセッサと、を含むことを特徴とするコンピューティング機器。
【請求項15】
コンピュータに請求項10に記載の車両の冗長電源供給に基づく制御方法を実行させるコンピュータプログラムを記憶するために用いられることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は車両制御技術分野に関し、具体的には、車両の冗長電源供給に基づく制御システム及びその方法、装置並びに機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の無人運転分野では、車両の自動運転中の安全性を保証するために、通常、2つの蓄電池を切り替えて電源供給することをサポートする冗長電源供給構造を車両に設ける必要がある。
【0003】
従来の冗長電源供給システムには、通常、車両統合電源供給の全体的な性能指標を達成するために、複数の電源供給システム間が協働し切り替えて動作する必要がある。しかしながら、通常、車両の電源供給の安全性をできるだけ保証するために、各電源供給システム内に専門的に開発された専用ハードウェア機器を用いて、車両の冗長電源供給の要件に適合させることにより、車両の冗長電源供給システムのコストが高く、配置難易度が増加するという問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例は、一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給を実現し、車両の冗長電源供給のコスト及び配置難易度を低下させ、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる車両の冗長電源供給に基づく制御システム及びその方法、装置並びに機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、車両の冗長電源供給に基づく制御システムが提供され、当該システムは、
発電機に接続される主電源供給回路であって、主電源供給回路を監視し、前記主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示するための監視情報を生成するために用いられる主電源供給監視モジュールを含む主電源供給回路と、
発電機に接続される冗長電源供給回路であって、前記冗長電源供給回路を監視し、前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示するための監視情報を生成するために用いられる冗長電源供給監視モジュールを含む冗長電源供給回路と、
それぞれ前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路に接続される車両統合制御電子機器であって、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路から受信した監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうちから車両の走行を制御するための目標電源供給回路を決定するために用いられる車両統合制御電子機器と、を含む。
【0006】
本開示の別の態様によれば、本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御システムに適用可能な車両の冗長電源供給に基づく制御方法が提供され、当該方法は、
主電源供給回路の主電源供給監視モジュールから主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得するステップと、
冗長電源供給回路の冗長電源供給監視モジュールから冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得するステップと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路から車両の走行を制御するための目標電源供給回路を決定するステップと、を含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御システムに配置可能な車両の冗長電源供給に基づく制御装置が提供され、当該装置は、
主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得するために用いられる監視情報取得モジュールと、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路から車両を制御するための目標電源供給回路を決定するために用いられる車両制御モジュールと、を含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、コンピューティング機器が提供され、当該コンピューティング機器は、
コンピュータプログラムを記憶するために用いられるメモリと、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムを呼び出し、実行して、本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御方法を実行するために用いられるプロセッサと、を含む。
【0009】
本開示の別の態様によれば、コンピュータに本開示の1つ又は複数の実施例にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御方法を実行させるコンピュータプログラムを記憶するために用いられるコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の実施例にて提供される技術的解決手段は、発電機をそれぞれ主電源供給回路及び冗長電源供給回路に接続し、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうち各電源供給回路内にいずれも対応する電源供給監視モジュールを直列接続し、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内の電源供給監視モジュールをそれぞれ車両統合制御電子機器に接続し、それにより一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給を実現し、車両の冗長電源供給のコスト及び配置難易度を低下させる。そして、主電源供給回路内の主電源供給監視モジュール及び冗長電源供給回路内の冗長電源供給監視モジュールによって所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かをそれぞれ監視し、監視情報を車両統合制御電子機器に送信し、車両統合制御電子機器により、主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートを決定し、一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給のいずれか1つの回路の故障監視を実現して、主電源供給回路及び冗長電源供給回路を分離させ、2つの電源供給回路を互いに影響させず、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本開示の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下説明される図面は本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力をせず、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0012】
【
図1】本開示の実施例に示される車両の冗長電源供給に基づく制御システムの原理図である。
【
図2】本開示の実施例に示される主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路内の監視モジュールの回路インタフェースの概略図である。
【
図3】本開示の実施例に示される別の車両の冗長電源供給に基づく制御システの原理図である。
【
図4】本開示の実施例に示されるさらに別の車両の冗長電源供給に基づく制御システムの原理図である。
【
図5】本開示の実施例に示される車両の冗長電源供給に基づく制御方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の実施例に示される車両の冗長電源供給に基づく制御装置の原理ブロック図である。
【
図7】本開示の実施例に提供されるコンピューティング機器の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術的解決手段を明らか且つ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本開示の実施例の一部に過ぎず、実施例の全部ではない。本開示における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力をせず得る他の実施例の全ては、いずれも本開示に保護される範囲に属する。
【0014】
なお、本開示の明細書、特許請求の範囲及び上記図面における用語の「第1」、「第2」などは、類似のオブジェクトを区別するために用いられ、特定の順序やあとさきの順序を説明するものではない。このように使用されるデータは、本明細書に記述される本開示の実施例が本明細書で図示又は記述される順序以外の順序で実施できるように、適切な場合に交換され得ることを理解されたいであろう。さらに、用語の「含む」及び「有する」、並びにそれらの任意の変形は、排他的でない包含をカバーすることを意図し、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又はサーバは、明確に列挙されたステップ又は要素に必ずしも限定されず、明確に列挙されていないか、又はこれらのプロセス、方法、製品又は機器に固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0015】
車両の自動運転の安全性を確保するために、本開示の実施例は、車両の冗長電源供給の低いコスト及び低い配置難易度を保証する上で、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を確保できるように、新たな車両の冗長電源供給システムを設計する。
【0016】
図1は本開示の実施例に示される車両の冗長電源供給に基づく制御システムの原理図である。
図1に示すように、車両の冗長電源供給に基づく制御システムは、発電機110にそれぞれ接続される主電源供給回路120及冗長電源供給回路130を含んでよい。
【0017】
そのうち、主電源供給回路120内には主電源供給監視モジュール140が含まれ、冗長電源供給回路130内には冗長電源供給監視モジュール150が含まれ、且つ主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150はそれぞれ車両統合制御電子機器160に接続される。
【0018】
具体的には、主電源供給監視モジュール140は主電源供給回路120を監視し、前記主電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示するための監視情報を生成し、監視情報を車両統合制御電子機器160に送信するために用いられ、冗長電源供給監視モジュール150は冗長電源供給回路130を監視し、前記冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを指示するための監視情報を生成し、監視情報を車両統合制御電子機器160に送信するために用いられ、車両統合制御電子機器160は主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130の監視情報に基づいて、主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130による車両の走行/運転に対する電源供給サポートを決定するために用いられる。
【0019】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、通常、車両統合電源供給源として、1つの発電機110が車両内に取り付けられる。そして、発電機110は、起動すると、車両内の他の形態のエネルギーを電気エネルギーに変換し、対応する電気エネルギーを車両に出力する。
【0020】
したがって、車両の冗長電源供給を実現するために、本開示には、発電機110により2つの電源供給回路がそれぞれ電気的に接続され、そのうち1つは主電源供給回路120とし、もう1つは冗長電源供給回路130とする。
【0021】
また、車両の自動運転中に、主電源供給回路と冗長電源供給回路との間の安全な切り替え電源供給を保証するために、本開示はそれぞれ主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130のうち各電源供給回路内にいずれも対応する電源供給監視モジュール、すなわち本願における主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150を直列接続する。
【0022】
そうすると、主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150のうちいずれか1つの電源供給モジュールはいずれも所在する電源供給回路内の電源供給量の変化状況をリアルタイムに監視することにより、所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断し、所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を生成することができる。
【0023】
主電源供給回路120と冗長電源供給回路130との間のタイムリーな切り替えを制御するために、主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150はいずれも所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を車両統合制御電子機器160に送信する。そして、車両統合制御電子機器160により、主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130の監視情報をそれぞれ分析し、主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを決定する。
【0024】
電源供給故障が存在する電源供給回路は車両の安全な走行をサポートできないことが考慮され、したがって、車両統合制御電子機器160は主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130に電源供給故障が存在するか否かに応じて、主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130による車両の走行に対する電源供給サポートをタイムリーに切り替え、電源供給故障が存在しないある電源供給回路内に正常に電源供給される負荷によって車両の正常な走行を制御する。すなわち、車両統合制御電子機器160は主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130のうちから、電源供給故障が存在しないある電源供給回路を選択し、当該電源供給回路内に正常に電源供給される負荷を用いて車両の走行を制御することができる。
【0025】
本開示の任意選択的な実施形態として、冗長電源供給回路130が主電源供給回路120のバックアップ電源供給手段として、冗長電源供給回路130の電源供給能力が主電源供給回路120の電源供給能力よりも全面的ではないことが考慮される。したがって、主電源供給回路120に電源供給故障が存在しない場合、冗長電源供給回路130に電源供給故障が存在するか否かに関わらず、主電源供給回路120内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御することができる。しかしながら、主電源供給回路120に電源供給故障が存在する場合、冗長電源供給回路130を、車両の走行の制御権限を引き継ぐように制御し、冗長電源供給回路130内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御する。
【0026】
本開示において、主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130は主に車両の走行時の様々な動作デバイスに電力を供給する。次に、主電源供給回路120及び冗長電源供給回路130のうちいずれか1つの電源供給回路を例として、電源供給回路の基本的な構造について説明する。
【0027】
いずれか1つの電源供給回路は蓄電池及び車両の正常な走行をサポートする各種の負荷を含んでよい。そのうち、いずれか1つの電源供給回路内の蓄電池は発電機110に故障が発生する時に当該電源供給回路に対応する電力を提供することができる。また、いずれか1つの電源供給回路内の各種の負荷に対応する電力を提供することにより、各負荷の正常な動作を制御し、それにより車両の安全な走行を保証する。
【0028】
主電源供給回路120内の負荷は性能に関連する第1種の負荷及び安全に関連する第2種の負荷を含んでよいことを理解されたい。そのうち、第1種の負荷は、冗長化に不便であり、又は車両の走行性能に影響を与える負荷であってよく、例えばエンジン及びそのセンサ、スタータ、ランプシステム、空調システムなどである。第2種の負荷は車両の走行安全に関連する重要な負荷であってよく、例えば制動システム、ステアリングシステム、自動運転システムにおける負荷などである。第2種の負荷は、電源供給故障では車両が制御不能になることなく、少なくとも制動、ステアリング、障害物回避などの基礎的安全機能を果たされることを保証できる。
【0029】
さらに、冗長電源供給回路130内の負荷は安全に関連する冗長な第2種の負荷を含んでよく、それは制動システム、ステアリングシステム、自動運転システムにおける負荷冗長を含んでよい。主電源供給回路30内の第1種の負荷及び第2種の負荷に電源供給故障が存在する場合、冗長電源供給回路120内の冗長な第2種の負荷は、車両が制御不能になることなく、少なくとも安全な停止又は継続運転を保証できる。
【0030】
本開示の任意選択的な実施形態として、主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150については、本開示は主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150のうちのいずれか1つの電源供給監視モジュールを発電機110と所在する電源供給回路内の蓄電池正極回路との間に直列接続し、所在する電源供給回路内の蓄電池付近に取り付けて、所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを正確に監視することができる。
【0031】
また、主電源供給回路120内の主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給回路130内の冗長電源供給監視モジュール150はコントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CANと略称する)バスを介して車両統合制御電子機器160にそれぞれ接続することができる。
【0032】
図2に示すように、主電源供給監視モジュール140及び冗長電源供給監視モジュール150のうちいずれか1つの電源供給監視モジュールは入力、出力、CAN_H(ハイレベルデータ線)、CAN_L(ローレベルデータ線)、電源及びグランドという6種類の回路インタフェースを含んでよい。ここで、いずれか1つの電源供給監視モジュールの入力インタフェースを発電機110、いずれか1つの電源供給監視モジュールの出力インタフェースを所在する電源供給回路内の負荷、いずれか1つの電源供給監視モジュールのCAN_Hインタフェースを車両統合制御電子機器160、いずれか1つの電源供給監視モジュールのCAN_Lインタフェースを車両統合制御電子機器160のCAN_Lインタフェース、いずれか1つの電源供給監視モジュールの電源インタフェースを所在する電源供給回路内の蓄電池正極、いずれか1つの電源供給監視モジュールのグランドインタフェースを所在する電源供給回路内の蓄電池負極に接続する。
【0033】
本開示にて提供される技術的解決手段は、発電機をそれぞれ主電源供給回路及び冗長電源供給回路に接続し、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうち各電源供給回路内にいずれも対応する電源供給監視モジュールを直列接続し、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内の電源供給監視モジュールをそれぞれ車両統合制御電子機器に接続し、それにより一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給を実現し、車両の冗長電源供給のコスト及び配置難易度を低下させる。そして、主電源供給回路内の主電源供給監視モジュール及び冗長電源供給回路内の冗長電源供給監視モジュールによって所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かをそれぞれ監視し、監視情報を車両統合制御電子機器に送信し、車両統合制御電子機器により、主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行制御に対する電源供給サポートを決定し、一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給のいずれか1つの回路故障監視を実現して、主電源供給回路及び冗長電源供給回路を分離させ、2つの電源供給回路を互いに影響させず、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【0034】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、主電源供給監視モジュール及び冗長電源供給監視モジュールが所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを監視し、また車両統合制御電子機器が主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行制御に対する電源供給サポートを決定するプロセスについて、さらなる説明が行われる。以下、
図3に合わせて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内の電源供給監視モジュール及び車両統合制御電子機器の構造について詳細に説明する。
【0035】
図3は本開示の実施例に示される別の車両の冗長電源供給に基づく制御システの原理図である。
図3に示すように、車両の冗長電源供給に基づく制御システムは、発電機310にそれぞれ接続される主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330を含んでよい。
【0036】
そのうち、主電源供給回路320内には主電源供給監視モジュール340が含まれ、冗長電源供給回路330内には冗長電源供給監視モジュール350が含まれ、且つ主電源供給監視モジュール340及び冗長電源供給監視モジュール350はそれぞれ車両統合制御電子機器360に接続される。
【0037】
具体的には、主電源供給監視モジュール340は主電源供給回路320に電源供給故障が存在するか否かを監視し、監視情報を車両統合制御電子機器360に送信するために用いられ、冗長電源供給監視モジュール350は冗長電源供給回路330に電源供給故障が存在するか否かを監視し、監視情報を車両統合制御電子機器360に送信するために用いられ、車両統合制御電子機器360は主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330の監視情報に基づいて、主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330による車両の走行に対する電源供給サポートを決定するために用いられる。
【0038】
なお、本開示における発電機310、主電源供給回路320、冗長電源供給回路330、主電源供給監視モジュール340、冗長電源供給監視モジュール350、及び車両統合制御電子機器360は、上記実施例に言及された発電機110、主電源供給回路120、冗長電源供給回路130、主電源供給監視モジュール140、冗長電源供給監視モジュール150、及び車両統合制御電子機器160の原理機能と同様であり、重複する説明は省略する。
【0039】
本開示において、車両の冗長電源供給に基づく制御システムはバスバー370をさらに含んでよい。
【0040】
ここで、発電機310はバスバー370を介して主電源供給回路320及び冗長電源供給回路にそれぞれ接続することができる。
【0041】
具体的には、バスバー370は発電機310から出力された電流を2部分に分割し、それぞれ主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330に伝送することにより、主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330を分離させることができる。
【0042】
なお、本開示におけるバスバー370は、銅バー、銀バー、錫バーなどを用いることができ、これについては限定しない。
【0043】
また、主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330内の整流性を確保するために、本開示は、主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330内のいずれか1つの電源供給回路にそれぞれ逆流防止ダイオードを設けることができ、当該逆流防止ダイオードにより、所在する電源供給回路内の電流の一方向整流を制御すると、主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330内の電流の逆流を防止でき、それにより主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330を分離させる。
【0044】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、主電源供給監視モジュール340及び冗長電源供給監視モジュール350のうちいずれか1つの電源供給監視モジュールは少なくとも回路監視センサ、スイッチ素子及び制御ユニットを含んでよい。
【0045】
具体的には、主電源供給監視モジュール340及び冗長電源供給監視モジュール350のうちいずれか1つの電源供給監視モジュールにおける回路監視センサは所在する電源供給回路内のセンシングパラメータを監視/決定/取得し、当該センシングパラメータを制御ユニットに送信することができ、制御ユニットは当該センシングパラメータに基づいて所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを監視/決定し、スイッチ素子のオンオフ状態を制御し、対応する監視情報を生成する。
【0046】
すなわち、主電源供給監視モジュール340及び冗長電源供給監視モジュール350のうちいずれか1つの電源供給監視モジュールにおける回路監視センサは、所在する電源供給回路内の電源供給量の変化状況をリアルタイムに監視/決定/取得して、対応するセンシングパラメータを取得し、本開示におけるセンシングパラメータの1つとすることができる。続いて、回路監視センサは所在する電源供給回路内のセンシングパラメータを所在する電源供給回路内の制御ユニットに送信する。所在する電源供給回路内の制御ユニットは当該センシングパラメータが正常な電源供給範囲内にあるか否かを分析することにより、所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断する。
【0047】
いずれか1つの電源供給モジュールにおける制御ユニットは、所在する電源供給回路に電源供給故障が存在すると決定した場合、所在する電源供給回路内のスイッチ素子をオフに制御することで、所在する電源供給回路を電源供給しないようにすることができる。いずれか1つの電源供給監視モジュールにおける制御ユニットは、所在する電源供給回路に電源供給故障が存在しないと決定した場合、所在する電源供給回路内のスイッチ素子を依然としてオン状態にあるように制御することで、当該電源供給回路を正常な電源供給を保持するようにすることができる。
【0048】
また、制御ユニットは所在する電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を生成し、当該監視情報を車両統合制御電子機器360に送信する。
【0049】
本開示の例示的な解決手段として、主電源供給監視モジュール340及び冗長電源供給監視モジュール350のうちいずれか1つの電源供給監視モジュールにおける回路監視センサは少なくとも電流センサ、電圧センサ及び温度センサのうちの1つを含んでよい。スイッチ素子は、電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、MOSFETと略称する)スイッチであって、MOSトランジスタスイッチと略記されるものであってよい。
【0050】
そうすると、いずれか1つの電源供給監視モジュールにおける制御ユニットは上記電流センサ、電圧センサ及び温度センサの電流、電圧及び温度センシングパラメータが予め設定された上限値を超えるか否かを判断することにより、当該電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断することができる。
【0051】
さらに、主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330を正確に制御するために、本開示における車両統合制御電子機器360は通信可能に接続される第1の車両統合制御電子機器361及び第2の車両統合制御電子機器362を含んでよい。
【0052】
そのうち、第1の車両統合制御電子機器361は主電源供給回路320内の主電源供給監視モジュール340に接続され、第2の車両統合制御電子機器362は冗長電源供給回路330内の冗長電源供給監視モジュール350に接続される。
【0053】
具体的には、第1の車両統合制御電子機器361は主電源供給回路320の監視情報を第2の車両統合制御電子機器362に送信し、第2の車両統合制御電子機器362から送信された冗長電源供給回路330の監視情報に基づいて、冗長電源供給回路330による車両の走行に対する電源供給サポートを決定するために用いられ、第2の車両統合制御電子機器362は冗長電源供給回路330の監視情報を第1の車両統合制御電子機器361に送信し、第1の車両統合制御電子機器361から送信された主電源供給回路320の監視情報に基づいて、主電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートを決定するために用いられる。
【0054】
すなわち、第1の車両統合制御電子機器361は主電源供給監視モジュール340から、主電源供給回路320に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得する。第2の車両統合制御電子機器362は冗長電源供給監視モジュール350から、冗長電源供給回路330に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得する。
【0055】
続いて、第1の車両統合制御電子機器361及び第2の車両統合制御電子機器362はそれぞれ自身が既に取得したある電源供給回路の監視情報を相手側に送信することで、第1の車両統合制御電子機器361及び第2の車両統合制御電子機器362のいずれにも主電源供給回路320及び冗長電源供給回路330に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を知らせることができる。
【0056】
本開示において、第1の車両統合制御電子機器361は主電源供給回路320による車両の走行に対する電源供給サポートを制御でき、第2の車両統合制御電子機器362は冗長電源供給回路330による車両の走行に対する電源供給サポートを制御できる。したがって、第1の車両統合制御電子機器361は冗長電源供給回路330に故障が存在するか否かの監視情報に基づいて、冗長電源供給回路330による車両の走行に対する電源供給サポートを決定して、冗長電源供給回路330内の負荷が車両の走行の制御に適しているか否かを判断する。第2の車両統合制御電子機器362は主電源供給回路320に故障が存在するか否かの監視情報に基づいて、主電源供給回路320による車両の走行に対する電源供給サポートを決定して、冗長電源供給回路330内に正常に電源供給される負荷が車両の走行の制御権限を引き継ぐ必要があるか否かを判断し、車両の冗長電源供給の信頼性を向上させる。
【0057】
本開示にて提供される技術的解決手段は、回路監視センサ、スイッチ素子及び制御ユニットを用いていずれか1つの電源供給回路内の電源供給監視モジュールを構成し、車両統合制御電子機器を第1の車両統合制御電子機器及び第2の車両統合制御電子機器に分けるように設定して、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する制御権限をそれぞれ制御し、それにより一般的なハードウェアモジュールを用いて車両の冗長電源供給を実現し、車両の冗長電源供給のコスト及び配置難易度を低下させ、さらに車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【0058】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在する場合、以下、
図4に合わせて、本願は当該電源供給回路内の具体的な故障点をどのように位置特定するかの内容について説明する。
【0059】
図4は本開示の実施例に示されるさらに別の車両の冗長電源供給に基づく制御システムの原理図である。
図4に示すように、車両の冗長電源供給に基づく制御システムは、発電機410にそれぞれ接続される主電源供給回路420及冗長電源供給回路430を含んでよい。
【0060】
そのうち、主電源供給回路420内には主電源供給監視モジュール440が含まれ、冗長電源供給回路430内には冗長電源供給監視モジュール450が含まれ、且つ主電源供給監視モジュール440及び冗長電源供給監視モジュール450はそれぞれ車両統合制御電子機器460に接続される。
【0061】
具体的には、主電源供給監視モジュール440は主電源供給回路420に電源供給故障が存在するか否かを監視し、監視情報を車両統合制御電子機器460に送信するために用いられ、冗長電源供給監視モジュール450は冗長電源供給回路430に電源供給故障が存在するか否かを監視し、監視情報を車両統合制御電子機器460に送信するために用いられ、車両統合制御電子機器460は主電源供給回路420及び冗長電源供給回路430の監視情報に基づいて、主電源供給回路420及び冗長電源供給回路430による車両の走行に対する電源供給サポートを決定するために用いられる。
【0062】
なお、本開示における発電機410、主電源供給回路420、冗長電源供給回路430、主電源供給監視モジュール440、冗長電源供給監視モジュール450、及び車両統合制御電子機器460は、上記実施例に言及された発電機110、主電源供給回路120、冗長電源供給回路130、主電源供給監視モジュール140、冗長電源供給監視モジュール150、及び車両統合制御電子機器160の原理機能と同様であり、重複する説明は省略する。
【0063】
本開示において、
図4に示すように、主電源供給回路420は主配電ボックス421を含んでよく、主配電ボックス421は車両統合制御電子機器460及び主電源供給回路420内の各負荷に接続され、主電源供給回路420内の各負荷の電源供給信号を監視し、車両統合制御電子機器460に送信するために用いられる。電源供給信号は、負荷が電源供給されるか否か、電源供給が正常であるか否か、短絡が発生するか否か、開路が発生するか否かのうち少なくとも1つを含む。電源供給信号は電源供給電流値、電源供給電圧値、電源供給量などをさらに含んでもよい。
【0064】
冗長電源供給回路430は冗長配電ボックス431を含んでよく、冗長配電ボックス431は車両統合制御電子機器460及び冗長電源供給回路430内の各負荷に接続され、冗長電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を監視し、車両統合制御電子機器460に送信するために用いられる。
【0065】
いくつかの実施形態において、主配電ボックス421及び冗長配電ボックス431のうちいずれか1つの配電ボックスは所在する電源供給回路内の各負荷との間に内部通路を確立し、ある負荷の内部通路に電源供給故障が発生した時に当該内部通路内のスイッチ素子を適時にオフにすることができるように、各内部通路に対応するスイッチ素子、例えばMOSトランジスタスイッチを設置してよい。
【0066】
さらに、いずれか1つの電源供給回路の蓄電池又は発電機は当該電源供給回路内の配電ボックスを介して当該電源供給回路内の負荷に電源供給することができる。また、主配電ボックス421及び冗長配電ボックス431のうちいずれか1つの配電ボックスは、その内部に設けられたサブ車両統合制御電子機器により、当該配電ボックスと所在する電源供給回路内の各負荷との間の内部通路における電源供給信号を監視し、それにより所在する電源供給回路内の各負荷の電源供給信号に異常が存在するか否かを判断することができる。
【0067】
これにより、主配電ボックス421はその中のサブ車両統合制御電子機器により主電源供給回路420内の各負荷の電源供給信号を監視し、主電源供給回路420内の各負荷の電源供給信号監視情報を車両統合制御電子機器460に送信することができる。続いて、車両統合制御電子機器460は、主電源供給監視モジュール440により主電源供給回路420に電源供給故障が存在すると決定した場合、主電源供給回路420内の各負荷の電源供給信号に基づいて、主電源供給回路420内の各負荷に電源供給異常状況が存在するか否かを判断し、さらに主電源供給回路420内の故障点を位置特定することができる。
【0068】
それ相応に、冗長配電ボックス431はその中のサブ車両統合制御電子機器により冗長電源供給回路430内の各負荷の電源供給信号を監視し、冗長電源供給回路430内の各負荷の電源供給信号監視情報を車両統合制御電子機器460に送信することができる。続いて、車両統合制御電子機器460は、冗長電源供給監視モジュール450により冗長電源供給回路430に電源供故障が存在すると決定した場合、冗長電源供給回路430内の各負荷の電源供給信号に基づいて、冗長電源供給回路430内の各負荷に電源供給異常状況が存在するか否かを判断し、さらに冗長電源供給回路430内の故障点を位置特定することができる。
【0069】
本開示にて提供される技術的解決手段は、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内の配電ボックスを用いて対応する電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を監視し、それによりいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在すると、当該電源供給回路内の各負荷の電源供給信号の異常状況に応じて、当該電源供給回路内の故障点の正確な位置特定を実現することができ、それによりいずれか1つの電源供給回路内の故障点をタイムリーに調べ、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【0070】
次に、車両の冗長電源供給に基づく制御システムにおける車両統合制御電子機器が車両の冗長電源供給を実行するプロセスにおける各制御動作の具体的なステップについて詳細に説明する。
【0071】
図5は本開示の実施例に示される車両の冗長電源供給に基づく制御方法のフローチャートである。当該方法は、本開示にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御システムに適用可能であり、本開示にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御装置により実行可能である。ここで、車両の冗長電源供給に基づく制御装置は、任意のソフトウェア及び/又はハードウェアにより実現することができる。例示的には、当該車両の冗長電源供給に基づく制御装置はいずれか1つの車両に適用可能であり、当該車両は、自動運転車両、ドローンなどを含んでよいが、これらに限定されるものではなく、本開示は車両の具体的なタイプについて限定しない。
【0072】
具体的には、
図5に示すように、当該方法は、以下のステップS510、S520を含んでよい。
【0073】
S510において、主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得する。
【0074】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両の冗長電源供給を実現するために、本開示は、発電機により2つの電源供給回路がそれぞれ接続され、そのうち1つは主電源供給回路とし、もう1つは冗長電源供給回路とする。
【0075】
また、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路内において、電源供給監視モジュールにより当該電源供給回路内の電源供給量の変化状況をリアルタイムに監視して、当該電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断することができる。
【0076】
これにより、主電源供給路及び冗長電源供給路のうちいずれか1つの電源供給路内の故障を監視することにより、当該電源供給路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得することができる。
【0077】
S520において、主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートを決定する。
【0078】
電源供給故障が存在している電源供給回路が車両の安全な走行をサポートできないことが考慮されるため、本開示は主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報をそれぞれ分析して、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断することができる。
【0079】
続いて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かに応じて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートをタイムリーに切り替える。すなわち、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちから、電源供給故障が存在しないある電源供給回路を選択し、電源供給故障が存在しない電源供給回路内に正常に電源供給される負荷を用いて車両の走行を制御することができる。
【0080】
本開示の任意選択的な実施形態として、冗長電源供給回路が主電源供給回路のバックアップ電源供給手段として、冗長電源供給回路の電源供給能力が主電源供給回路の電源供給能力よりも全面的ではないことが考慮される。したがって、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する制御権限については、主電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、冗長電源供給回路内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御することができ、一方、主電源供給路に電源供給故障が存在しないことに応答し(すなわち、主電源供給回路の電源供給が正常であることに応答し)、主電源供給路内の正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御することができる。
【0081】
すなわち、主電源供給回路に電源供給故障が存在しない場合、冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かに関わらず、主電源供給回路内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御することができる。しかしながら、主電源供給回路に電源供給故障が存在する場合、冗長電源供給回路130内に正常に電源供給される負荷を、車両の走行の制御権限を引き継いで、車両の走行を制御するように制御する。
【0082】
また、いずれか1つの電源供給回路に存在する電源供給故障をタイムリーに解決するために、本開示はさらに、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、当該電源供給回路に対して故障警報を行うことができる。
【0083】
ここで、本開示はランプ点滅、音声提示など、様々な警報方式を用いて、いずれか1つの電源供給回路に存在する電源供給故障を警報することができ、それにより作業者はタイムリーにメンテナンスできる。
【0084】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートの正確性を保証するために、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路における電源供給故障監視機能に高い正確性を保証できることが要求される。したがって、本開示は主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在するか否かをさらに判断することができる。
【0085】
本開示において、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路内では、当該電源供給回路の監視情報を回路監視センサ、スイッチ素子及び制御ユニットにより一括して生成することができる。したがって、本開示は以下の方式により主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在するか否かを判断することができる。
【0086】
ステップ1において、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内のセンシングパラメータ及びスイッチ状態パラメータを取得する。
【0087】
ここで、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内のセンシングパラメータは回路監視センサにより当該電源供給回路内の具体的な電源供給の変化状況を監視して得られたセンシングパラメータであり、例えば、当該電源供給回路内の電流センシングパラメータ、電圧センシングパラメータ及び温度センシングパラメータなどである。
【0088】
また、いずれか1つの電源供給回路内の制御ユニットは当該電源供給回路内のセンシングパラメータに基づいて当該電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断して、スイッチ素子のオンオフ状態を制御することができ、すなわち当該電源供給回路内のスイッチ素子がオン状態にあるか又はオフ状態にあるかを示すために用いられる当該電源供給回路内のスイッチ状態パラメータを取得することができる。
【0089】
ステップ2において、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうち各電源供給回路については、当該電源供給回路内のセンシングパラメータ及びスイッチ状態パラメータに基づいて、当該電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在するか否かを判断する。
【0090】
主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路については、当該電源供給回路内のセンシングパラメータにより、当該電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを判断することができる。
【0091】
本開示のシステムの実施例における、主電源供給監視モジュール及び冗長電源供給監視モジュールのうちいずれか1つの電源供給監視モジュール内の制御ユニットがスイッチ素子のオンオフ状態を制御することについての説明内容から分かるように、いずれか1つの電源供給回路内の制御ユニットは当該電源供給回路に電源供給故障が存在すると決定した場合、当該電源供給回路内のスイッチ素子をオフに制御する。いずれか1つの電源供給回路内の制御ユニットは当該電源供給回路に電源供給故障が存在しないと決定した場合、当該電源供給回路内のスイッチ素子をオンに制御する。
【0092】
したがって、本開示はいずれか1つの電源供給回路内のセンシングパラメータを取得し、当該電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを決定した後、当該電源供給回路の電源供給故障判断結果と当該電源供給回路のスイッチ状態パラメータを比較することができる。続いて、両者が示す電源供給故障判断結果が一致するか否かを判断すると、当該電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在するか否かを決定することができる。
【0093】
例示的には、ある電源供給回路のセンシングパラメータに基づいて、当該電源供給回路に電源供給故障が存在し、当該電源供給回路のスイッチ状態パラメータはスイッチ素子がオン状態にあることであると決定する。又は、ある電源供給回路のセンシングパラメータに基づいて、当該電源供給回路に電源供給故障が存在せず、当該電源供給回路のスイッチ状態パラメータはスイッチ素子がオフ状態にあることであると決定する。上記の2種類の状況はいずれも当該電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在し、点検する必要があることを示す。
【0094】
さらに、本開示は主電源供給回路及び冗長電源供給回路内のセンシングパラメータを取得した後、それに基づいて主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かを決定することができる。
【0095】
主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうち電源供給故障が存在しないいずれか1つの電源供給回路については、当該電源供給回路内のセンシングパラメータが電源供給故障に対して設定された限界値に接近する可能性があると考えられる。したがって、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を保証するために、本開示はさらに、いずれか1つの電源供給回路内のセンシングパラメータに対して、故障接近状態を示すためのセンシングパラメータ範囲を設定することができる。
【0096】
主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在しない電源供給回路のいずれか1つについては、当該電源供給回路内のセンシングパラメータが予め設定された故障接近状態のセンシングパラメータ範囲内にあるか否かを判断し、これにより当該電源供給回路が故障接近状態にあるか否かを判断することができる。続いて、当該電源供給回路が上記故障接近状態にある場合、当該電源供給回路に対して故障早期警戒提示を行って、当該電源供給回路に対して故障点検を行うことを作業者に事前に注意することができる。
【0097】
本開示は故障接近状態を表すセンシングパラメータ範囲内で複数の故障接近レベルにさらに分割してもよいことを理解されたい。続いて、いずれか1つの電源供給回路が上記故障接近状態で位置する異なる故障接近レベルに応じて、当該電源供給回路に対して異なる程度の故障早期警戒提示を行うことができる。例えば、ランプ点滅によって故障早期警戒提示を行う場合、位置する故障接近レベルが高ければ高いほど、ランプ点滅の周波数が速い。
【0098】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、本開示のシステムの実施例における、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路内の配電ボックスが当該電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を監視することについての説明内容から分かるように、本開示は、主電源供給回路及び冗長電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を取得することができる。
【0099】
続いて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、当該電源供給回路内の各負荷の電源供給信号に異常が存在するか否かを分析することができる。さらに、当該電源供給回路内の各負荷の電源供給信号異常情報に基づいて、当該電源供給回路内の故障点を位置特定することができ、それによりいずれか1つの電源供給回路内の故障点をタイムリーに調べ、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【0100】
本開示にて提供される技術的解決手段は、主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得し、主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する制御権限を検証し、車両の冗長電源供給のいずれか1つの回路故障監視を実現して、主電源供給回路及び冗長電源供給回路を分離させ、2つの電源供給回路を互いに影響させず、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【0101】
図6は本開示の実施例に示される車両の冗長電源供給に基づく制御装置の原理ブロック図であり、当該装置は本開示にて提供される車両の冗長電源供給に基づく制御システムに配置可能である。
図6に示すように、当該装置600は、
主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得するために用いられる監視情報取得モジュール610と、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路による車両の走行に対する電源供給サポートを決定するために用いられる車両制御モジュール620と、を含む。
【0102】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両制御モジュール620は、具体的には、
前記主電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、前記冗長電源供給回路内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御し、
前記主電源供給回路に電源供給故障が存在しないことに応答し、前記主電源供給回路内に正常に電源供給される負荷により車両の走行を制御するために用いることができる。
【0103】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両の冗長電源供給に基づく制御装置600は、さらに、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、当該電源供給回路に対して故障警報を行うために用いられる故障警報モジュールを含む。
【0104】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両の冗長電源供給に基づく制御装置600は機能異常判断モジュールをさらに含んでもよい。そのうち、
機能異常判断モジュールは、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路内のセンシングパラメータ及びスイッチ状態パラメータを取得し、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうち各電源供給回路については、当該電源供給回路内のセンシングパラメータ及びスイッチ状態パラメータに基づいて、当該電源供給回路内の電源供給故障監視機能に異常が存在するか否かを判断するために用いることができる。
【0105】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両の冗長電源供給に基づく制御装置600は故障早期警戒モジュールをさらに含んでもよい。そのうち、
故障早期警戒モジュールは、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうち電源供給故障が存在しない電源供給回路のいずれか1つについては、当該電源供給回路内のセンシングパラメータに基づいて、当該電源供給回路が故障接近状態にあるか否かを判断し、
当該電源供給回路が前記故障接近状態にあることに応答し、当該電源供給回路に対して故障早期警戒提示を行うために用いることができる。
【0106】
本開示の1つ又は複数の実施例によれば、車両の冗長電源供給に基づく制御装置600は故障位置特定モジュールをさらに含んでもよい。そのうち、
故障位置特定モジュールは、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路内の各負荷の電源供給信号を取得し、
前記主電源供給回路及び前記冗長電源供給回路のうちいずれか1つの電源供給回路に電源供給故障が存在することに応答し、当該電源供給回路内の各負荷の電源供給信号に基づいて、当該電源供給回路内の故障点を位置特定するために用いることができる。
【0107】
本開示の実施例において、主電源供給回路及び冗長電源供給回路に電源供給故障が存在するか否かの監視情報を取得し、主電源供給回路及び冗長電源供給回路の監視情報に基づいて、主電源供給回路及び冗長電源供給回路による車両の走行に対する制御権限を検証し、車両の冗長電源供給のいずれか1つの回路故障監視を実現して、主電源供給回路及び冗長電源供給回路を分離させ、2つの電源供給回路を互いに影響させず、車両の冗長電源供給の安全上の信頼性を向上させる。
【0108】
装置の実施例と方法の実施例は互いに対応することができ、同様の説明は方法の実施例を参照することができることを理解されたい。重複を避けるために、ここでは重複する説明は省略する。具体的には、
図6に示す装置600は本開示にて提供される方法の実施例のいずれか1つを実行することができ、装置600における各モジュールの前述及び他の操作及び/又は機能はそれぞれ本開示の実施例の各方法における対応するフローを実現するためのものであり、簡潔にするために、ここでは重複する説明は省略する。
【0109】
以上、図面に合わせて、機能モジュールから本開示の実施例の装置60について説明した。当該機能モジュールはハードウェア形態によって実現されてもよく、ソフトウェア形態の命令によって実現されてもよく、またハードウェアとソフトウェアモジュールとの組み合わせによって実現されてもよいことを理解されたい。具体的には、本開示の実施例における方法の実施例の各ステップは、プロセッサにおけるハードウェアの集積論理回路及び/又はソフトウェア形態の命令によって完了することができ、本開示の実施例に開示された方法のステップに合わせて、ハードウェアである復号プロセッサによって実行して完了され、又は復号プロセッサにおけるハードウェアとソフトウェアモジュールとの組み合わせを用いて実行して完了されるように具現化することができる。任意選択的に、ソフトウェアモジュールはランダムメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ、プログラマブルリードオンリーメモリ、電気的消去可能なプログラマブルメモリ、レジスタなど、当分野の成熟した記憶媒体に位置することができる。当該記憶媒体はメモリに位置し、プロセッサはメモリ内の情報を読み取り、そのハードウェアに合わせて上記方法の実施例におけるステップを完了する。
【0110】
図7は本開示の実施例に提供されるコンピューティング機器の概略的なブロック図である。
【0111】
図7に示すように、当該コンピューティング機器700は、
メモリ710及びプロセッサ720を含んでよく、当該メモリ710はコンピュータプログラムを記憶し、当該プログラムコードをプロセッサ720に伝送するために用いられる。言い換えると、当該プロセッサ720はメモリ710からコンピュータプログラムを呼び出し、実行して、本開示の実施例における方法を実現することができる。
【0112】
例えば、当該プロセッサ720は当該コンピュータプログラム中の命令に従って上記方法の実施例を実行するために用いることができる。
【0113】
本開示のいくつかの実施例において、当該プロセッサ720は、
汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどを含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本開示のいくつかの実施例において、当該メモリ710は、
揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含むが、これらに限定されるものではない。そのうち、不揮発性メモリは、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(Programmable ROM、PROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable PROM、EPROM)、電気的消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Electrically EPROM、EEPROM)又はフラッシュメモリであってもよい。揮発性メモリは外部キャッシュとして用いられるランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)であってもよい。例示的であるが非限定的な説明により、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(Static RAM、SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic RAM、DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Double Data Rate SDRAM、DDR SDRAM)、強化型同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Enhanced SDRAM、ESDRAM)、同期リンクダイナミックランダムアクセスメモリ(synch link DRAM、SLDRAM)、及びダイレクトラムバスランダムアクセスメモリ(Direct Rambus RAM、DR RAM)といった、多くの形態のRAMが利用可能である。
【0115】
本開示のいくつかの実施例において、当該コンピュータプログラムは、当該メモリ710に記憶され、当該プロセッサ720によって実行されて、本開示にて提供される方法を実現させる1つ又は複数のモジュールに分割されることができる。当該1つ又は複数のモジュールは特定の機能を実現可能な一連のコンピュータプログラム命令セグメントであって、当該コンピュータプログラムの当該コンピューティング機器における実行プロセスを記述するためのものであってよい。
【0116】
図7に示すように、当該コンピューティング機器700は、さらに、
当該プロセッサ720又はメモリ710に接続可能なトランシーバ730を含んでよい。
【0117】
ここで、プロセッサ720は当該トランシーバ730を制御して他の機器と通信させることができ、具体的には、他の機器に情報又はデータを送信し、又は他の機器から送信された情報又はデータを受信することができる。トランシーバ730は送信機及び受信機を含んでよい。トランシーバ730はアンテナをさらに含んでもよく、アンテナの数は1つ又は複数であってよい。
【0118】
当該コンピューティング機器における様々なコンポーネントはバスシステムにより接続され、ここで、バスシステムはデータバスに加えて、電源バス、制御バス、及び状態信号バスをさらに含む。
【0119】
本開示の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがコンピュータにより実行されると、当該コンピュータに上記方法の実施例の方法を実行させることができるコンピュータ記憶媒体をさらに提供する。或いは、本開示の実施例は、命令を含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、当該命令がコンピュータにより実行されると、コンピュータに上記方法の実施例の方法を実行させる。
【0120】
ソフトウェアを用いて実現する場合、全部又は部分的にコンピュータプログラム製品の形態で実現することができる。当該コンピュータプログラム製品は1つ又は複数のコンピュータ命令を含む。当該コンピュータプログラム命令をコンピュータ上にロードし実行すると、全部又は部分的に本開示の実施例に従うフロー又は機能を生成する。当該コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラマブル装置であってよい。当該コンピュータ命令はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されても、又はあるコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に伝送されてもよく、例えば、当該コンピュータ命令はあるウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタから、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL))又は無線(例えば、赤外線、無線、マイクロ波など)の方式により別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタに伝送されてよい。当該コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータがアクセスできる任意の利用可能な媒体、又は1つ若しくは複数の利用可能な媒体を含んで集積化されたサーバ、データセンタなどのデータ記憶機器であってよい。当該利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ)、光媒体(例えば、デジタルビデオディスク(digital video disc、DVD))、又は半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク(solid state disk、SSD))などであってよい。
【0121】
当業者であれば理解できるように、本明細書に開示された実施例に合わせて説明された各例のモジュール及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの結合で実現することができる。これらの機能がハードウェア又はソフトウェアのいずれで実行するかは、技術的解決手段の特定の用途及び設計制約条件に依存する。当業者であれば、特定の用途ごとに異なる方法を用いて説明された機能を実現することができるが、このような実現は本開示の範囲を超えるものと考えられるべきではない。
【0122】
本開示にて提供されるいくつかの実施例において、開示されるシステム、装置及び方法は、他の方式により実現することができることを理解されたい。例えば、以上説明された装置の実施例は単に例示的なものであり、例えば、当該モジュールの分割は、単に論理機能の分割であり、実際に実現する時に他の分割方式にしてもよく、例えば複数のモジュール又はコンポーネントは結合してもよいし、別のシステムに集積化されてもよく、又はいくつかの特徴は無視されてもよいし、実行されなくてもよい。一方、表示又は議論された相互間の結合、直接結合又は通信可能な接続はいくつかのインタフェース、装置又はモジュールを介した間接結合又は通信可能な接続であってよく、電気的、機械的又は他の形態であってよい。
【0123】
分離部材として説明されたモジュールは物理的に分離しても、しなくてもよく、モジュールとして表示された部材は物理的モジュールであってもなくてもよく、すなわち1つの場所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際のニーズに応じて一部又は全部のモジュールを選択して本実施例の解決手段の目的を達成することができる。例えば、本開示の各実施例における各機能モジュールは、1つの処理モジュールに集積化されてもよく、各モジュールが単独で物理的に存在してもよく、2つ又は2つ以上のモジュールが1つのモジュールに集積化されてもよい。
【0124】
以上は本開示の具体的な実施形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本開示に開示された技術範囲内で、当業者が容易に想到し得る変更又は置換は、いずれも本開示の保護範囲内に含まれる。したがって、本開示の保護範囲は特許請求の範囲を基準とすべきである。