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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075301
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】鉄道車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20240527BHJP
   E05F 15/643 20150101ALI20240527BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20240527BHJP
   E05B 83/36 20140101ALI20240527BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B61D19/00 C
E05F15/643
E05F15/655
E05B83/36 A
B61D19/00 A
B61D19/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186663
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
【テーマコード(参考)】
2E052
2E250
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052LA02
2E250AA21
2E250HH08
2E250JJ42
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減する鉄道車両用ドア開閉装置を提供する。
【解決手段】鉄道車両用ドア開閉装置は、鉄道車両に設けられる第1ドア及び第2ドアを開閉駆動するモータと、モータの回転運動を、第1ドアを駆動する駆動プーリ21に伝達する第1ボス31と、第1ボス31と噛み合い、回転運動を第1ドアの厚さ方向の直線運動に変換する第2ボス32と、第2ドアに設けられ、第2ドアが全閉位置にあるときに第2ボス32に設けられるロックピストン41と係合することにより第2ドアをロックするロック板44と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に設けられるドアを開閉駆動するモータと、
前記モータの回転運動を、前記ドアを駆動するプーリに伝達する回転部と、
前記回転部と噛み合い、前記回転運動を前記ドアの厚さ方向の直線運動に変換する変換部と、
前記ドアに設けられ、前記ドアが全閉位置にあるときに前記変換部と係合することにより前記ドアをロックする被係合部と、を備える
鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項2】
前記被係合部は、前記変換部と係合する凹部と、前記変換部を前記凹部へ誘導する誘導部と、を備える
請求項1に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項3】
前記変換部は、前記被係合部に係合する係合部と、前記係合部を前記被係合部へ付勢するばねと、を備える
請求項2に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項4】
前記係合部は、前記プーリの回転中心を貫通している
請求項3に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項5】
前記被係合部は、前記ドアに対して相対的に変位する変位部を備え、
前記被係合部は、前記変換部が前記誘導部に接触すると前記変位部によって変位する
請求項2に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項6】
前記被係合部は、前記被係合部を前記変換部へ付勢するばねを備える
請求項5に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項7】
前記ドアは、前記ドアの幅方向に移動するとともに、前記ドアの厚み方向に移動するプラグドアであって、全開時に前記鉄道車両の車体の内側に位置し、
前記変換部は、前記ドアの厚み方向において前記ドアを押圧する
請求項1に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【請求項8】
前記ドアは、両開きの第1ドアと第2ドアとを備え、
前記モータ、前記プーリ、前記回転部、前記変換部は、前記第1ドアの上部に設けられ、
前記被係合部は、前記第2ドアの上部に設けられるとともに、前記第1ドアの上部まで延びている
請求項1~7のいずれか一項に記載の鉄道車両用ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の鉄道車両用ドアの開閉装置では、スライドドアを駆動する駆動装置と、駆動装置の駆動力をスライドドアに伝達する駆動機構と、スライドドアを閉位置においてロックするロック機構とを備える。ロック機構は、スライドドアに取り付けられた被ロック部材と、車体に取り付けられて、被ロック部材をロックするロック位置と被ロック部材をロックしないアンロック位置とに変位可能なロック部材とを有する。開閉装置は、駆動機構の駆動量を検知する検知手段と、駆動機構の駆動量からスライドドアが閉位置に位置したことを認識するとロック部材をロック位置に変位させる制御手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-12508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の鉄道車両用ドアのロック機構は、駆動機構の駆動量を検知する検知手段に加え、スライドドアを駆動する駆動装置とは別に、ロック部材を駆動するアクチュエータを備える。このため、部品点数を削減して、コストを低減したロック装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する鉄道車両用ドア開閉装置は、鉄道車両に設けられるドアを開閉駆動するモータと、前記モータの回転運動を、前記ドアを駆動するプーリに伝達する回転部と、前記回転部と噛み合い、前記回転運動を前記ドアの厚さ方向の直線運動に変換する変換部と、前記ドアに設けられ、前記ドアが全閉位置にあるときに前記変換部と係合することにより前記ドアをロックする被係合部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、モータの回転運動を回転部がプーリに伝達するとともに、モータの回転運動を変換部が直線運動に変換して、ドアの厚さ方向の直線運動によって変換部がドアに設けられる被係合部に係合する。このため、プーリを駆動するモータによって変換部が駆動されるので、ドアを固定するロック装置を駆動するための駆動装置が別途必要ない。よって、部品点数を削減することができる。
【0007】
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記被係合部は、前記変換部と係合する凹部と、前記変換部を前記凹部へ誘導する誘導部と、を備えることが好ましい。
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記変換部は、前記被係合部に係合する係合部と、前記係合部を前記被係合部へ付勢するばねと、を備えることが好ましい。
【0008】
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記係合部は、前記プーリの回転中心を貫通していることが好ましい。
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記被係合部は、前記ドアに対して相対的に変位する変位部を備え、前記被係合部は、前記変換部が前記誘導部に接触すると前記変位部によって変位することが好ましい。
【0009】
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記被係合部は、前記被係合部を前記変換部へ付勢するばねを備えることが好ましい。
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記ドアは、前記ドアの幅方向に移動するとともに、前記ドアの厚み方向に移動するプラグドアであって、全開時に前記鉄道車両の車体の内側に位置し、前記変換部は、前記ドアの厚み方向において前記ドアを押圧することが好ましい。
【0010】
上記鉄道車両用ドア開閉装置について、前記ドアは、両開きの第1ドアと第2ドアとを備え、前記モータ、前記プーリ、前記回転部、前記変換部は、前記第1ドアの上部に設けられ、前記被係合部は、前記第2ドアの上部に設けられるとともに、前記第1ドアの上部まで延びていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】鉄道車両用ドア開閉装置の概略構成を示す正面図である。
図2】鉄道車両用ドア開閉装置の概略構成を示す平面図である。
図3】第1実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の解錠状態を示す断面図である。
図4】同実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の解錠状態から施錠状態への遷移を示す断面図である。
図5】同実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の解錠状態から施錠状態への遷移を示す断面図である。
図6】同実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の施錠状態を示す断面図である。
図7】第2実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の解錠状態を示す断面図である。
図8】同実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の解錠状態から施錠状態への遷移を示す断面図である。
図9】同実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の解錠状態から施錠状態への遷移を示す断面図である。
図10】同実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置の駆動機構の施錠状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、図1図6を参照して、鉄道車両用ドア開閉装置の第1実施形態について説明する。鉄道車両用ドア開閉装置は、鉄道車両に設けられるドアを開閉する装置である。
【0014】
図1及び図2に示すように、鉄道車両の車体側面には、両開きの第1ドア1及び第2ドア2が設けられる。第1ドア1及び第2ドア2は、開閉時に、鉄道車両の前後方向に移動するとともに、鉄道車両の車体の幅方向にも移動する。つまり、第1ドア1及び第2ドア2は、全開時に、第1ドア1及び第2ドア2が設けられる車体の開口部から車体の外側に飛び出して、車体の外側に位置するプラグドアである。鉄道車両用ドア開閉装置10は、車体の内側であって、開口部の上部に設けられる。
【0015】
(鉄道車両用ドア開閉装置10)
鉄道車両用ドア開閉装置10は、固定ベース11と、2個のレールベース12と、スライドベース13と、を備えている。固定ベース11は、車体の前後方向に延びる部材であって、車体に固定される。レールベース12は、車体の幅方向に延びる部材であって、固定ベース11の下部の両端にそれぞれ設けられる。スライドベース13は、車体の前後方向に延びる部材であって、2個のレールベース12に車体の前後方向に移動可能に支持されている。スライドベース13には、第1ドアハンガ24と第2ドアハンガ25とが車体の前後方向に移動可能に設けられている。第1ドアハンガ24は、第1ドア1を支持している。第2ドアハンガ25は、第2ドア2を支持している。
【0016】
鉄道車両用ドア開閉装置10は、ガイドレール26と、連結部材27と、を備えている。ガイドレール26は、車体の前後方向に延びて一端が車体の内側へ湾曲している。連結部材27は、車体の前後方向に移動可能にスライドベース13に支持されている。連結部材27には、ガイドレール26に嵌合するガイドローラ28が取り付けられている。ガイドローラ28は、ガイドレール26に沿って移動する。よって、連結部材27は、ガイドローラ28とともにガイドレール26に沿って移動する。
【0017】
図3に示すように、鉄道車両用ドア開閉装置10は、モータ20(図1参照)と、伝達機構30と、ロック機構40と、を備えている。モータ20と、伝達機構30と、ロック機構40とは、スライドベース13に設けられ、第1ドア1の上部に設けられている。モータ20は、減速機20Aを備え、第1ドア1及び第2ドア2を開閉駆動する。モータ20は減速機20Aを介して伝達機構30に接続されている。伝達機構30は、ロック機構40に接続されている。伝達機構30は、第1ボス31と、第2ボス32と、シャフト33と、を備えている。第1ボス31は、円柱状の部材であって、減速機20Aの出力時に接続されている。第2ボス32は、円柱状の部材であって、第1ボス31の外周に嵌っている。第1ボス31の外周と第2ボス32の内周とは、軸方向の溝と鋼球とによって嵌合して、トルク伝達と第2ボス32の軸方向への移動をガイドする構造となっている。第1ボス31が回転すると、第2ボス32が軸方向に移動しながら回転する。第2ボス32によってモータ20の回転運動が第1ドア1の厚さ方向の直線運動に変換される。第2ボス32の内部の中心軸には、シャフト33が一体に設けられている。なお、伝達機構30は、ロック機構40の構成も含む。
【0018】
第2ボス32の内部には、駆動プーリ21の一部が嵌められている。駆動プーリ21は、円柱状の部材であって、スライドベース13に設けられている。シャフト33は、駆動プーリ21の回転中心を貫通している。第2ボス32の内周面には、雌ねじが設けられている。駆動プーリ21の第2ボス32に挿入される部分の外周面には、雄ねじが設けられている。第2ボス32と駆動プーリ21とは、ねじで接続されている。なお、第1ボス31は、モータ20の回転運動を駆動プーリ21に伝達する回転部として機能する。また、第2ボス32は、回転運動を直線運動に変換する変換部として機能する。
【0019】
スライドベース13の前後方向において駆動プーリ21が設けられた位置の反対側には、被動プーリ22が設けられている(図1,2参照)。駆動プーリ21と被動プーリ22とには、無端ベルトである駆動ベルト23が掛けられている。駆動ベルト23には、第1ドアハンガ24、第2ドアハンガ25、連結部材27が接続されている。第1ドアハンガ24及び連結部材27は、駆動ベルト23の上側にベルトに接続される。第2ドアハンガ25は、駆動ベルト23の下側のベルトに接続される。よって、第1ドアハンガ24及び連結部材27と、第2ドアハンガ25とは、逆方向に移動する。
【0020】
ロック機構40は、ロック部材29と、ロックピストン41と、第1ばね42と、第2ばね43と、ロック板44と、を備えている。ロックピストン41は、スライドベース13の収容室13Aに配置され、スライドベース13から突出する。ロックピストン41は、シャフト33の先端に軸方向に移動可能に設けられている。第1ばね42は、ロックピストン41の外周に設けられ、ロックピストン41をシャフト33から遠ざかる方向へ付勢している。第2ばね43は、ロックピストン41の外周に設けられ、ロックピストン41をシャフト33に近づく方向へ付勢している。第1ばね42と第2ばね43とは、ほぼ同じ力で付勢している。
【0021】
図1及び図2に示すように、第2ドア2の上部の戸先寄りには、ロック部材29が固定されている。ロック部材29は、第1ドア1の上部に延びる板状の部材である。ロック部材29は、第2ドア2と一体に移動する。
【0022】
図3に示すように、ロック板44は、ロック部材29の先端に固定されている。ロック板44のスライドベース13側の面には、係合穴44Aが設けられている。ロックピストン41が係合穴44Aに挿入されると、第2ドア2が全閉位置において固定されて移動ができなくなる。よって、第2ドア2が施錠される。ロック板44の先端には、ロックピストン41が接触する斜面44Bが設けられている。ロックピストン41は、第2ドア2とともに移動するロック部材29の移動に伴って斜面44Bによって係合穴44Aへ誘導される。なお、ロックピストン41は、係合穴44Aに係合する係合部として機能する。係合穴44Aは、係合部が係合する被係合部及び凹部として機能する。ロック板44は、被係合部として機能する。斜面44Bは、ロックピストン41を係合穴44Aへ誘導する誘導部として機能する。第1ばね42は、ロックピストン41をロック板44へ付勢する。第1ばね42は、ロックピストン41が斜面44Bに接触すると圧縮される。
【0023】
(作用)
次に、図3図6を参照して、鉄道車両用ドア開閉装置10の作用について説明する。
図3に示すように、鉄道車両用ドア開閉装置10の解錠状態では、第2ボス32が第1ボス31側へ移動しており、ロックピストン41がロック板44の係合穴44Aから離れて、係合穴44Aに係合していない。
【0024】
鉄道車両用ドア開閉装置10の解錠状態から施錠状態への動作を説明する。
図4に示すように、モータ20が閉方向に回転すると、減速機20Aの出力軸が閉方向に回転して第1ボス31を介して第2ボス32が閉方向に回転する。第2ボス32は、ねじによって第1ボス31にガイドされながら軸方向の車外側へ移動する。第2ボス32が駆動プーリ21に接触して軸方向の移動が停止すると、第2ボス32と駆動プーリ21とは一体に回転して、閉動作を行う。このとき、ロックピストン41は、シャフト33に押されてスライドベース13から突出した状態となる。第2ドア2とともに移動するロック部材29に設けられたロック板44が全閉位置に近づくと、ロックピストン41がロック板44の斜面44Bに接触する。
【0025】
続いて、図5に示すように、第2ドア2とともに移動するロック部材29に設けられたロック板44が全閉位置に更に近づくと、ロックピストン41が車内側へ押し戻されながら閉動作を継続する。そして、ロックピストン41は、ロック板44の斜面44Bを乗り上げる。
【0026】
続いて、図6に示すように、ロックピストン41は、全閉時にロック板44の係合穴44Aに係合することで、第2ドア2を施錠する。施錠状態では、駆動プーリ21は閉方向に回転することができない。第2ドア2が施錠されると、第1ドア1も移動することはできなくなる。
【0027】
鉄道車両用ドア開閉装置10の施錠状態から解錠状態への動作を説明する。
図3に示すように、モータ20が開方向に回転すると、減速機20Aの出力軸が開方向に回転して第1ボス31を介して第2ボス32が開方向に回転する。第2ボス32は、ねじによって第1ボス31にガイドされながら軸方向の車内側へ移動する。第2ボス32とともにシャフト33が車内側へ移動すると、第2ばね43によってロックピストン41が車内側へ移動して、ロックピストン41が係合穴44Aから外れる。よって、第2ドア2は解錠される。解錠状態となると、駆動プーリ21は、第2ボス32と一体に回転して、開動作を行う。
【0028】
上記のように、第1ドア1及び第2ドア2を閉動作させるための閉駆動によって、ロックピストン41が係合穴44Aに係合することで第1ドア1及び第2ドア2が施錠される。また、第1ドア1及び第2ドア2を開動作させるための開駆動によって、ロックピストン41が係合穴44Aから外れることで第1ドア1及び第2ドア2が解錠される。
【0029】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)モータ20の回転運動を第1ボス31が駆動プーリ21に伝達するとともに、モータ20の回転運動を第2ボス32が直線運動に変換する。そして、第1ドア1の厚さ方向の直線運動によってロックピストン41が第2ドア2とともに移動するロック部材29に設けられるロック板44に係合する。このため、駆動プーリ21を駆動するモータ20によってロックピストン41が駆動されるので、第1ドア1及び第2ドア2を固定するロック装置を駆動するための駆動装置が別途必要ない。よって、部品点数を削減することができる。
【0030】
(1-2)第2ドア2の移動に伴ってロック板44の斜面44Bによってロックピストン41がロック板44の係合穴44Aに係合される。このため、第2ドア2が全閉位置に到達する前にロックピストン41がロック板44に接触した場合でも第2ドア2が移動することでロックピストン41が斜面44Bに誘導されてロックピストン41をロック板44の係合穴44Aに係合させることができる。
【0031】
(1-3)ロックピストン41を斜面44Bへ付勢する第1ばね42を備える。このため、ロックピストン41が斜面44Bに接触したときに斜面44Bによるロックピストン41の変位を第1ばね42によって吸収することができる。
【0032】
(第2実施形態)
以下、図7図10を参照して、鉄道車両用ドア開閉装置の第2実施形態について説明する。この実施形態の鉄道車両用ドア開閉装置は、ロックピストンとロック板との構成が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0033】
(鉄道車両用ドア開閉装置10)
図7に示すように、第1実施形態のロック板44に代えて、回転ロック板45がロック部材29の先端に設けられている。回転ロック板45は、ロック部材29に対して回転軸46を中心に回転する。回転軸46には、ねじりばね45Cが設けられている。回転ロック板45は、ねじりばね45Cによってスライドベース13に近づく方向へ付勢されている。回転ロック板45のスライドベース13側の面には、係合穴45Aが設けられている。シャフト33は、スライドベース13の貫通孔13Bを貫通して、スライドベース13から突出する。シャフト33が係合穴45Aに挿入されると、第2ドア2が全閉位置において固定されて移動ができなくなる。よって、第2ドア2が施錠される。回転ロック板45の先端には、シャフト33が接触する斜面45Bが設けられている。ロックピストン41は、第2ドア2とともに移動するロック部材29の移動に伴って斜面45Bによって係合穴45Aへ誘導される。回転ロック板45は、シャフト33が斜面45Bに接触すると回転する。なお、シャフト33は、係合穴45Aに係合する係合部として機能する。係合穴45Aは、係合部が係合する被係合部として機能する。回転ロック板45は、固定部として機能する。斜面45Bは、シャフト33を係合穴45Aへ誘導する誘導部として機能する。ロックピストン41、第1ばね42、及び第2ばね43は備えられていない。回転軸46は、変位部に相当する。
【0034】
(作用)
次に、図7図10を参照して、鉄道車両用ドア開閉装置10の作用について説明する。
【0035】
図7に示すように、鉄道車両用ドア開閉装置10の解錠状態では、第2ボス32が第1ボス31側へ移動しており、シャフト33が回転ロック板45の係合穴45Aから離れて、係合穴45Aに係合していない。
【0036】
鉄道車両用ドア開閉装置10の解錠状態から施錠状態への動作を説明する。
図8に示すように、モータ20が閉方向に回転すると、減速機20Aの出力軸が閉方向に回転して第1ボス31を介して第2ボス32が閉方向に回転する。第2ボス32は、ねじによって第1ボス31にガイドされながら軸方向の車外側へ移動する。第2ボス32が駆動プーリ21に接触して軸方向の移動が停止すると、第2ボス32と駆動プーリ21とは一体に回転して、閉動作を行う。このとき、シャフト33は、スライドベース13から突出した状態となる。第2ドア2とともに移動するロック部材29に設けられた回転ロック板45が全閉位置に近づくと、シャフト33がロック板44の斜面45Bに接触する。
【0037】
続いて、図9に示すように、第2ドア2とともに移動するロック部材29に設けられた回転ロック板45が全閉位置に更に近づくと、回転ロック板45が時計回りに回転して閉動作を継続する。そして、シャフト33は、回転ロック板45の斜面45Bを乗り上げる。
【0038】
続いて、図10に示すように、全閉時に回転ロック板45が元の位置に戻り、シャフト33が回転ロック板45の係合穴45Aに係合することで、第2ドア2を施錠する。施錠状態では、駆動プーリ21は閉方向に回転することができない。第2ドア2が施錠されると、第1ドア1も移動することはできなくなる。
【0039】
鉄道車両用ドア開閉装置10の施錠状態から解錠状態への動作を説明する。
図7に示すように、モータ20が開方向に回転すると、減速機20Aの出力軸が開方向に回転して第1ボス31を介して第2ボス32が開方向に回転する。第2ボス32は、ねじによって第1ボス31にガイドされながら軸方向の車内側へ移動する。第2ボス32とともにシャフト33が車内側へ移動すると、シャフト33が係合穴45Aから外れる。よって、第2ドア2は解錠される。解錠状態となると、駆動プーリ21は、第2ボス32と一体に回転して、開動作を行う。
【0040】
上記のように、第1ドア1及び第2ドア2を閉動作させるための閉駆動によって、シャフト33が係合穴45Aに係合することで第1ドア1及び第2ドア2が施錠される。また、第1ドア1及び第2ドア2を開動作させるための開駆動によって、シャフト33が係合穴45Aから外れることで第1ドア1及び第2ドア2が解錠される。
【0041】
次に、第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)モータ20の回転運動を第1ボス31が駆動プーリ21に伝達するとともに、モータ20の回転運動を第2ボス32が直線運動に変換する。そして、第1ドア1の厚さ方向の直線運動によってシャフト33が第2ドア2とともに移動するロック部材29に設けられる回転ロック板45に係合する。このため、駆動プーリ21を駆動するモータ20によってシャフト33が駆動されるので、第1ドア1及び第2ドア2を固定するロック装置を駆動するための駆動装置が別途必要ない。よって、部品点数を削減することができる。
【0042】
(2-2)第2ドア2とともに移動するロック部材29の移動に伴って回転ロック板45の斜面45Bによってシャフト33が回転ロック板45の係合穴45Aに係合される。このため、第2ドア2が全閉位置に到達する前にシャフト33が回転ロック板45に接触した場合でも第2ドア2が移動することでシャフト33が斜面45Bに誘導されてシャフト33を回転ロック板45の係合穴45Aに係合させることができる。
【0043】
(2-3)シャフト33が斜面45Bに接触すると回転ロック板45が回転する。このため、シャフト33が斜面45Bに接触したときに回転ロック板45の移動を許容することができる。
【0044】
(2-4)回転ロック板45をシャフト33へ付勢するねじりばね45Cを回転ロック板45が備える。このため、シャフト33が斜面45Bに接触した後、回転ロック板45をシャフト33側へ回転させて戻すことができる。
【0045】
(2-5)第1ボス31が第1ドア1の上部に設けられ、ロック板44が第2ドア2に設けられるとともに、第1ドア1の上部まで延びている。このため、第1ドア1をロックする全閉時に、第1ドア1と第2ドア2とが近づくことで第1ボス31のロックピストン41とロック板44とが近づいて係合させることができる。
【0046】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・上記各実施形態では、第2ドア2にロック部材29を設けて、第2ドア2を施錠した。しかしながら、第1ドア1にロック部材を設けて、このロック部材に対して係合するように伝達機構及びロック機構を配置してもよい。
【0048】
・上記各実施形態において、斜面44B及び斜面45Bを省略してもよい。
・上記第1実施形態において、第1ばね42及び第2ばね43を省略してもよい。
・上記第2実施形態において、ねじりばね45Cを省略してもよい。
【0049】
・上記第2実施形態において、回転ロック板45をロック部材29に対して回転軸46で回転するようにした。しかしながら、ロック板がロック部材29に対して相対的に変位して、シャフト33が係合穴45Aに誘導することができれば、回転でなくてもよい。
【0050】
・上記各実施形態では、ロックピストン41が係合穴44A、又はシャフト33が係合穴45Aに係合した。しかしながら、ロックピストン41又はシャフト33の車体の前後方向の移動を規制することができれば、係合穴でなくてもよく、ロックピストン41又はシャフト33に係合する形状や部材であればよい。
【0051】
・上記各実施形態では、ドアが全開時に車体の外側に位置して、ドアが閉じるときに車体の外側から開口部に変位するプラグドアとした。しかしながら、ドアが全開時に車体の内側に位置して、ドアが閉じるときに車体の内側から開口部に変位するプラグドアとしてもよい。この場合には、ドアが変換部によってドアの厚さ方向に押されることで、全閉時にドアが車体に押し付けられて、車体の気密性を高めることができる。
【0052】
・上記各実施形態では、プラグ動作を行うプラグドアとした。しかしながら、ベルト駆動式の鉄道車両用ドア開閉装置であれば、プラグ動作を行わない引戸であってもよい。また、両開きドアでなく、片開きドアであってもよい。
【0053】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0054】
1…第1ドア
2…第2ドア
10…鉄道車両用ドア開閉装置
11…固定ベース
12…レールベース
13…スライドベース
13A…収容室
13B…貫通孔
20…モータ
20A…減速機
21…駆動プーリ
22…従動プーリ
23…駆動ベルト
24…第1ハンガ
25…第2ハンガ
26…ガイドレール
27…連結部材
28…ガイドローラ
29…ロック部材
30…伝達機構
31…変換部としての第1ボス
32…回転部としての第2ボス
33…係合部としてのシャフト
40…ロック機構
41…係合部としてのロックピストン
42…第1ばね
43…第2ばね
44…被係合部としてのロック板
44A…凹部としての係合穴
44B…誘導部としての斜面
45…被係合部としての回転ロック板
45A…係合穴
45B…誘導部としての斜面
45C…ねじりばね
46…変位部としての回転軸
図1
図2
図3
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図10