(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075303
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電力システム、スタンド、及び車載充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240527BHJP
H02H 3/02 20060101ALI20240527BHJP
H02H 3/05 20060101ALI20240527BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240527BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20240527BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20240527BHJP
【FI】
H02J3/14
H02H3/02 E
H02H3/05 F
H02J3/32
B60L53/66
B60L55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186668
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 蓮士郎
(72)【発明者】
【氏名】吉住 啓
(72)【発明者】
【氏名】木村 和峰
【テーマコード(参考)】
5G066
5G142
5H125
【Fターム(参考)】
5G066AE03
5G066AE09
5G066DA08
5G066HA24
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G142BC02
5G142BD05
5G142GG02
5G142GG09
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC22
5H125BC24
5H125BE02
5H125CD04
(57)【要約】
【課題】整定値が異なるスタンドに車載充電器が接続される場合であっても、整定値の整合性を確保することができる電力システム、スタンド、及び車載充電器を提供すること。
【解決手段】電力システムは、電力系統に電気的に接続されており、適正整定値を送信する親局を有するスタンドと、前記電力系統に連系可能であり、前記親局から前記適正整定値を受信する子局を有する車載充電器と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に電気的に接続されており、適正整定値を送信する親局を有するスタンドと、
前記電力系統に連系可能であり、前記親局から前記適正整定値を受信する子局を有する車載充電器と、
を備える電力システム。
【請求項2】
前記親局は、
前記子局から前記車載充電器に設定された設定整定値を取得し、
前記適正整定値と前記設定整定値とが等しい場合、前記電力系統に連系する許可を与える許可信号を前記子局に送信する請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記スタンド又は前記車載充電器は、
前記車載充電器と前記電力系統との電気的接続を切り離す解列リレーを備える請求項1に記載の電力システム。
【請求項4】
前記親局又は前記子局は、
前記スタンドと前記車載充電器とが、所定時間以上通信が確立しない場合、前記解列リレーにより前記車載充電器と前記電力系統との電気的接続を切り離す請求項3に記載の電力システム。
【請求項5】
前記親局は、前記解列リレーを有し、
前記子局は、前記適正整定値に基づき異常を検知した場合、前記親局に異常信号を送信し、
前記親局は、前記異常信号を受信した場合、前記解列リレーにより前記車載充電器と前記電力系統との電気的接続を切り離す請求項3に記載の電力システム。
【請求項6】
前記親局は、前記解列リレーを有し、
前記親局は、前記適正整定値に基づき異常を検知した場合、前記解列リレーにより前記車載充電器と前記電力系統との電気的接続を切り離す請求項3に記載の電力システム。
【請求項7】
前記子局は、前記解列リレーを有し、
前記子局は、前記適正整定値に基づき異常を検知した場合、前記解列リレーにより前記車載充電器と前記電力系統との電気的接続を切り離す請求項3に記載の電力システム。
【請求項8】
前記スタンドは、前記適正整定値を記憶する記憶部を有する請求項1に記載の電力システム。
【請求項9】
前記車載充電器は、
交流と直流とを変換するDCACコンバータを有する請求項1に記載の電力システム。
【請求項10】
電力系統に電気的に接続されており、前記電力系統に連系可能な車載充電器が備える子局に適正整定値を送信する親局を備えるスタンド。
【請求項11】
前記適正整定値を記憶する記憶部を備える請求項10に記載のスタンド。
【請求項12】
電力系統に連系可能であり、前記電力系統に電気的に接続されているスタンドが備える親局から適正整定値を受信する子局を備える車載充電器。
【請求項13】
交流と直流とを変換するDCACコンバータを備える請求項12に記載の車載充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力システム、スタンド、及び車載充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーを導入することにより気象条件の影響を受けて発電量が変動し、電力系統が不安定化する場合がある。そのため、車両に搭載された車載充電器を分散型電源として利用し、仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)の一部として運用することが注目されている。このVPPの方式のうち、V2G(Vehicle to Grid)方式では、電力系統から車載充電器への充電と、車載充電器から電力系統への電力の供給とを双方向に制御する。
【0003】
分散型電源が電力系統に連系する際に、電圧の過不足、周波数の過不足、電力系統の事故等が発生した場合、分散型電源を電力系統から解列し、電力系統への電力の供給を停止する必要がある。供給の停止を判定するための電圧や周波数の閾値、解列までの時間等を整定値といい、整定値は電力会社や地域によって異なる。電力系統に連系する分散型電源は、電力系統の安定及び安全のため、電力会社等に求められた適正な整定値を設定し、これに従って動作することが要求される。分散型電源に設定する整定値は、項目ごとに数種類の候補値が存在し、これらの候補値から電力会社の指示する値に設定する。
図10は、整定値の項目と候補値との一例を示す図である。
図10は一例であり、これに限定されるものではない。
【0004】
特許文献1には、分散型電源への整定値の設定及び整定値の管理を円滑に行うため、電力系統に接続された分散型電源のパワーコンディショナに備えられた保護継電器に整定値や解列指示を送信する技術が開示されている。特許文献1において、分散型電源は、太陽光発電や風力発電等の自家発電電源であり、パワーコンディショナは、分散型電源において発電された直流電力を交流電力に変換するDCACコンバータであり、保護継電器は系統から分散型電源を解列するためのリレーである。そして、分散型電源、及びパワーコンディショナは、顧客宅に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、V2Gでは、車両が移動することにより、整定値が異なるV2Gスタンドに車載充電器が接続される場合がある。その結果、V2Gスタンドの整定値と、車載充電器に設定されている整定値とが異なる場合があり、整定値の整合性が確保できない場合があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、整定値が異なるスタンドに車載充電器が接続される場合であっても、整定値の整合性を確保することができる電力システム、スタンド、及び車載充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る電力システムは、電力系統に電気的に接続されており、適正整定値を送信する親局を有するスタンドと、前記電力系統に連系可能であり、前記親局から前記適正整定値を受信する子局を有する車載充電器と、を備える。
【0009】
本開示に係るスタンドは、電力系統に電気的に接続されており、前記電力系統に連系可能な車載充電器が備える子局に適正整定値を送信する親局を備える。
【0010】
本開示に係る車載充電器は、電力系統に連系可能であり、前記電力系統に電気的に接続されているスタンドが備える親局から適正整定値を受信する子局を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、整定値が異なるスタンドに車載充電器が接続される場合であっても、整定値の整合性を確保することができる電力システム、スタンド、及び車載充電器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電力システムの概略的な構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るV2Gスタンドの概略的な構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る車載充電器の概略的な構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るV2Gスタンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る車載充電器が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、解列リレーが解列されている様子を表す図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る電力システムの概略的な構成図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係る車載充電器が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例1に係るに電力システムの概略的な構成図である。
【
図10】
図10は、整定値の項目と候補値との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態に係る電力システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
〔実施形態1〕
(電力システム)
図1は、実施形態1に係る電力システムの概略的な構成図である。電力システム1は、電力系統2に電気的に接続されているV2Gスタンド3と、電力系統2と連系可能な車載充電器4と、を備えている。
【0015】
(V2Gスタンド)
図2は、実施形態1に係るV2Gスタンドの概略的な構成図である。V2Gスタンド3は、親局31と、記憶部32と、解列リレー33と、V2Hリレー34と、計量部35と、系統接続部36と、車両接続部37と、家庭負荷接続部38と、子局接続部39と、を備えている。V2Gスタンド3は、例えば単相3線の電力系統2に接続されているが、3相3線の電力系統2に接続されていてもよい。
【0016】
親局31は、子局41に適正整定値を送信する。また、親局31は、子局41から車載充電器4に設定された設定整定値を取得し、適正整定値と設定整定値とが等しい場合、電力系統2に連系する許可を与える許可信号を子局41に送信する。
【0017】
記憶部32は、例えばEPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)及びリムーバブルメディア等の記録媒体によって実現される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。
【0018】
記憶部32には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。また、記憶部32は、電力会社や地域ごとに異なる適正整定値を記憶する。
【0019】
解列リレー33は、車載充電器4と電力系統2との電気的接続を切り離す。
【0020】
V2Hリレー34は、家庭に設置されたV2Gスタンド3を介して、停電時などの電力系統2から家庭に電力が供給されない場合に、車載充電器4から家庭へ放電する。その結果、車載充電器4のバッテリ45に貯められた電力を家庭の負荷に供給することができる。
【0021】
計量部35は、電力系統2から車載充電器4に供給した電力を計量し、計量した電力に応じて電気料金が請求することができる。また、計量部35は、車載充電器4から電力系統2に供給した電力を計量し、計量した電力に応じてユーザに報酬を付与することができる。計量部35は、車載充電器4に設けられていてもよい。
【0022】
系統接続部36は、単相3線の電力系統2に電気的に接続されている。
【0023】
車両接続部37は、車載充電器4に電気的に接続されている。
【0024】
家庭負荷接続部38は、家庭負荷に電気的に接続されている。
【0025】
子局接続部39は、子局41と有線又は無線により通信可能であり、各種信号を送受信する。
【0026】
(車載充電器)
図3は、実施形態1に係る車載充電器の概略的な構成図である。車載充電器4は、子局41と、制御部42と、DCACコンバータ43と、絶縁DCDCコンバータ44と、バッテリ45と、V2Gスタンド接続部46と、親局接続部47と、を備えている。また、車載充電器4は、バッテリ45側からみてDCACコンバータ43の後段に、ノイズを除去するACフィルタ、電力を計量する計量部、又は車載充電器4と電力系統2との電気的接続を切り離す解列リレーを備えていてもよい。
【0027】
子局41は、親局31から適正整定値を受信する。子局41は、適正整定値に基づき異常を検知した場合、親局31に異常信号を送信する。
【0028】
制御部42は、車載充電器4の各部を制御する。制御部42は、DCACコンバータ43及び絶縁DCDCコンバータ44のスイッチング素子にゲート信号を送信してDCACコンバータ43及び絶縁DCDCコンバータ44の動作を制御する。
【0029】
DCACコンバータ43は、電力系統2に応じた周波数の交流と直流とを変換する。DCACコンバータ43は、上下アームがスイッチング素子であることにより、双方向に電力変換可能な構成である。
【0030】
絶縁DCDCコンバータ44は、直流の電圧を変換する。絶縁DCDCコンバータ44は、デュアルアクティブブリッジ(DAB)回路であり、双方向に電力変換可能な構成である。また、絶縁DCDCコンバータ44は、バッテリ45とV2Gスタンド3との電気的接続を切り離す。
【0031】
バッテリ45は、制御部42による制御のもと、蓄電又は放電を行う。
【0032】
V2Gスタンド接続部46は、V2Gスタンド3に電気的に接続されている。
【0033】
親局接続部47は、親局31と有線又は無線により通信可能であり、各種信号を送受信する。
【0034】
(V2Gスタンドが実行する処理)
次に、実施形態1に係るV2Gスタンドが実行する処理手順の一例について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、実施形態1に係るV2Gスタンドが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図4に示すように、親局31は、記憶部32から電力会社や地域ごとに異なる適正整定値を取得する(ステップS1)。
【0036】
続いて、親局31は、子局41から車載充電器4に設定されている設定整定値を取得する(ステップS2)。
【0037】
そして、親局31は、適正整定値と設定整定値とが等しいか否かを判定する(ステップS3)。
【0038】
親局31が、適正整定値と設定整定値とが異なると判定した場合(ステップS3:No)、親局31は、子局41に適正整定値を送信する(ステップS4)。その後、ステップS1に戻り、適正整定値と設定整定値とが等しいと判定されるまで処理を繰り返す。
【0039】
一方、親局31が、適正整定値と設定整定値とが等しいと判定した場合(ステップS3:Yes)、親局31は、電力系統2に連系する許可を与える許可信号を子局41に送信し(ステップS5)、一連の処理を終了する。
【0040】
以上の動作により、V2Gスタンド3は、車載充電器4の子局41に適正整定値を設定する。
【0041】
(車載充電器が実行する処理)
次に、実施形態1に係る車載充電器が実行する処理手順の一例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、実施形態1に係る車載充電器が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図5に示すように、子局41は、親局31から電力系統2に連系する許可を与える許可信号を受信したか否かを判定する(ステップS11)。
【0043】
子局41が、許可信号を受信していないと判定した場合(ステップS11:No)、子局41は、親局31から適正整定値を受信したか否かを判定する(ステップS12)。
【0044】
子局41が、親局31から適正整定値を受信したと判定した場合(ステップS12:Yes)、子局41は、受信した適正整定値を車載充電器4の設定整定値に設定する(ステップS13)。
【0045】
ステップS11において、子局41が、許可信号を受信したと判定した場合(ステップS11:Yes)、車載充電器4は、電力系統2に連系を開始し(ステップS14)、バッテリ45の充電又は放電を行い、その後、一連の処理を終了する。
【0046】
ステップS12において、子局41が、親局31から適正整定値を受信していないと判定した場合(ステップS12:No)、一連の処理を終了する。
【0047】
以上の処理により、車載充電器4に適切な整定値を設定することができる。さらに、親局31から許可信号を受信した場合、すなわち車載充電器4に適正整定値が設定されている場合にのみ電力系統2への連系を開始するため、安全性を確保することができる。
【0048】
以上説明した実施の形態1によれば、整定値が異なるV2Gスタンド3に車載充電器4が接続される場合であっても整定値の整合性を確保することができる。また、V2Gスタンド3がDCACコンバータを有しない構成であるため、V2Gスタンド3を小型化することができる。
【0049】
(解列リレーの機能)
図6は、解列リレーが解列されている様子を表す図である。子局41は、適正整定値に基づき異常を検知した場合、親局31に異常信号を送信する。そして、親局31は、子局41から異常信号を受信した場合、解列リレー33により車載充電器4と電力系統2との電気的接続を切り離す。V2Gスタンド3の解列リレー33が解列することにより、整定値の整合性が取れていない状態で電力系統2と車載充電器4とが連系することを防止することができる。
【0050】
また、親局31又は子局41は、V2Gスタンド3と車載充電器4とが、所定時間以上通信が確立しない場合、解列リレー33により車載充電器4と電力系統2との電気的接続を切り離してもよい。その結果、V2Gスタンド3と車載充電器4との通信が確立していない場合の安全性を高めることができる。
【0051】
〔実施形態2〕
実施形態2に係る電力システムは、実施の形態1と同様の構成であってよいので説明を省略する。実施の形態2において、親局31は、子局41から電圧又は周波数等を取得する。そして、親局31は、取得した電圧又は周波数等が適正整定値に基づき異常を検知した場合、解列リレー33により車載充電器4と電力系統2との電気的接続を切り離す。このように、解列リレー33により車載充電器4と電力系統2との電気的接続を切り離すか否かの判定をV2Gスタンド3側で行ってもよい。
【0052】
〔実施の形態3〕
図7は、実施形態3に係る電力システムの概略的な構成図である。電力システム1Aの車載充電器4Aは、解列リレー48Aを備える。一方、V2Gスタンド3Aは、解列リレーを有しない。
【0053】
(車載充電器が実行する処理)
次に、実施形態3に係る車載充電器が実行する処理手順の一例について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、実施形態3に係る車載充電器が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0054】
図8に示すように、子局41Aは、親局31から電力会社や地域ごとに異なる適正整定値を取得する(ステップS21)。
【0055】
さらに、子局41Aは、制御部42から車載充電器4に設定されている設定整定値を取得する(ステップS22)。
【0056】
そして、子局41Aは、適正整定値と設定整定値とが等しいか否かを判定する(ステップS23)。
【0057】
子局41Aが、適正整定値と設定整定値とが異なると判定した場合(ステップS23:No)、子局41Aは、受信した適正整定値を車載充電器4Aの設定整定値に設定する(ステップS24)。その後、ステップS22に戻り、適正整定値と設定整定値とが等しいと判定されるまで処理を繰り返す。
【0058】
一方、子局41Aが、適正整定値と設定整定値とが等しいと判定した場合(ステップS23:Yes)、車載充電器4Aは、電力系統2に連系を開始し(ステップS25)、バッテリ45の充電又は放電を行い、その後、一連の処理を終了する。
【0059】
以上説明した実施の形態3によれば、整定値が異なるV2Gスタンド3Aに車載充電器4Aが接続される場合であっても整定値の整合性を確保することができる。また、V2Gスタンド3AがDCACコンバータを有しない構成であるため、V2Gスタンド3Aを小型化することができる。
【0060】
(解列リレーの機能)
子局41Aは、適正整定値に基づき異常を検知した場合、解列リレー48Aにより車載充電器4Aと電力系統2との電気的接続を切り離す。車載充電器4Aの解列リレー48Aが解列することにより、整定値の整合性が取れていない状態で電力系統2と車載充電器4Aとが連系することを防止することができる。このように、車載充電器4Aが解列リレー48Aを備えていてもよく、解列リレー48Aにより車載充電器4Aと電力系統2との電気的接続を切り離すか否かの判定を車載充電器4A側で行ってもよい。
【0061】
なお、解列リレー48Aにより車載充電器4Aと電力系統2との電気的接続を切り離すか否かの判定をV2Gスタンド3A側で行ってもよい。具体的には、親局31は、子局41Aから電圧又は周波数等を取得する。さらに、親局31は、取得した電圧又は周波数等が適正整定値に基づき異常であると判定した場合、子局41Aに異常信号を送信する。そして、子局41Aは、親局31から異常信号を受信した場合、解列リレー48Aにより車載充電器4Aと電力系統2との電気的接続を切り離す。
【0062】
また、親局31又は子局41Aは、V2Gスタンド3Aと車載充電器4Aとが、所定時間以上通信が確立しない場合、解列リレー48Aにより車載充電器4Aと電力系統2との電気的接続を切り離してもよい。その結果、V2Gスタンド3Aと車載充電器4Aとの通信が確立していない場合の安全性を高めることができる。
【0063】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るに電力システムの概略的な構成図である。
図9に示すように、電力システム1BのV2Gスタンド3には、複数の車載充電器4が接続されている。この場合、V2Gスタンド3は、各車載充電器4との間で通信を行って、適正整定値を設定する処理を行う。その結果、全ての車載充電器4に適切な整定値を設定することができる。
【0064】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わし、かつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1、1A、1B 電力システム
2 電力系統
3、3A V2Gスタンド
4、4A 車載充電器
31 親局
32 記憶部
33、48A 解列リレー
34 V2Hリレー
35 計量部
36 系統接続部
37 車両接続部
38 家庭負荷接続部
39 子局接続部
41、41A 子局
42 制御部
43 DCACコンバータ
44 絶縁DCDCコンバータ
45 バッテリ
46 V2Gスタンド接続部
47 親局接続部