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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075312
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ロボット管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240527BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240527BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186680
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】林 晃平
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB14
5H301BB20
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG09
5H301HH01
5H301KK03
5H301KK04
5H301KK08
5H301KK09
(57)【要約】
【課題】点検に利用可能なロボットを緊急時に適切に運用することを可能とする。
【解決手段】本開示に係るロボット管理システム10は、防爆対応ではない第1のロボット14と、防爆対応の第2のロボット15と、ロボット管理装置11と、を備える。ロボット管理装置11は、プラントの防爆エリアにある複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアに異常があったことを示すアラームを取得すると、プラントの非防爆エリアに第1のロボット14を出動させて、アラームが発生した少なくとも1つのエリアを第1のロボット14に撮影させ、第1のロボット14が撮影した画像データの解析結果に基づいて、少なくとも1つのエリアのそれぞれのエリアについて異常の程度を示す注目度を特定し、注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影するように、プラントの防爆エリアに第2のロボット15を出動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの状況を点検可能なロボット管理システムであって、
防爆対応ではない第1のロボットと、
防爆対応の第2のロボットと、
前記第1のロボット及び前記第2のロボットを制御するロボット管理装置と、を備え、
前記ロボット管理装置は、
前記プラントの防爆エリアにある複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアに異常があったことを示すアラームを取得すると、
前記プラントの非防爆エリアに前記第1のロボットを出動させて、前記アラームが発生した前記少なくとも1つのエリアを前記第1のロボットに撮影させ、
前記第1のロボットが撮影した画像データの解析結果に基づいて、前記少なくとも1つのエリアのそれぞれのエリアについて異常の程度を示す注目度を特定し、
前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影するように、前記プラントの防爆エリアに前記第2のロボットを出動させる、ロボット管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット管理システムにおいて、
前記ロボット管理装置は、
前記第2のロボットに前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影させる際、通常のルートで前記第2のロボットを移動させ、
前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを通過する際は当該エリアを撮影させ、前記注目度が所定の閾値未満であるエリアを通過する際は当該エリアを撮影させない、ロボット管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のロボット管理システムにおいて、
前記ロボット管理装置は、
前記第2のロボットに前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影させる際、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートを生成し、
生成した前記ルートに沿って前記第2のロボットを移動させて、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影させる、ロボット管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のロボット管理システムにおいて、
前記ロボット管理装置は、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートとして、前記注目度が高い順に移動するルートを生成する、ロボット管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載のロボット管理システムにおいて、
前記第1のロボットは、防爆対応ではないドローンであり、
前記第2のロボットは、防爆対応のドローンである、ロボット管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラントなどの設備の点検を、人手で行うのではなくロボットで行うことが普及しつつある。この場合、ロボットとしてドローンが使用されている場合もある。
【0003】
特許文献1は、点検などに利用可能なドローンの予約を管理する予約管理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6765732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドローンは、災害などの緊急時において災害の様子を確認することに用いることができるため、有用である。
【0006】
特許文献1は、災害信号又は緊急避難信号を受信した場合に、既に受け付け済みのユーザからのドローンの予約リクエストをキャンセルすることを開示している。これにより、緊急の場合にドローンを活用することが可能となる。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、緊急の場合にドローンをどのように活用するかは開示していない。
【0008】
そこで、本開示は、点検に利用可能なロボットを緊急時に適切に運用することを可能とするロボット管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
幾つかの実施形態に係るロボット管理システムは、プラントの状況を点検可能なロボット管理システムであって、防爆対応ではない第1のロボットと、防爆対応の第2のロボットと、前記第1のロボット及び前記第2のロボットを制御するロボット管理装置と、を備え、前記ロボット管理装置は、前記プラントの防爆エリアにある複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアに異常があったことを示すアラームを取得すると、前記プラントの非防爆エリアに前記第1のロボットを出動させて、前記アラームが発生した前記少なくとも1つのエリアを前記第1のロボットに撮影させ、前記第1のロボットが撮影した画像データの解析結果に基づいて、前記少なくとも1つのエリアのそれぞれのエリアについて異常の程度を示す注目度を特定し、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影するように、前記プラントの防爆エリアに前記第2のロボットを出動させる。このようなロボット管理システムによれば、点検に利用可能なロボットを緊急時に適切に運用することが可能である。
【0010】
一実施形態に係るロボット管理システムにおいて、前記ロボット管理装置は、前記第2のロボットに前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影させる際、通常のルートで前記第2のロボットを移動させ、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを通過する際は当該エリアを撮影させ、前記注目度が所定の閾値未満であるエリアを通過する際は当該エリアを撮影させなくてもよい。これにより、正常に移動できることが定期点検などにおいて確認されているルートで移動することができ、緊急時においても安定した移動をすることができる。
【0011】
一実施形態に係るロボット管理システムにおいて、前記ロボット管理装置は、前記第2のロボットに前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影させる際、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートを生成し、生成した前記ルートに沿って前記第2のロボットを移動させて、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影させてもよい。これにより、第2のロボット15は、注目度が高いエリアを迅速に撮影することができる。
【0012】
一実施形態に係るロボット管理システムにおいて、前記ロボット管理装置は、前記注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートとして、前記注目度が高い順に移動するルートを生成してもよい。これにより、第2のロボット15は、注目度が高いエリアを優先的に撮影することができる。
【0013】
一実施形態に係るロボット管理システムにおいて、前記第1のロボットは、防爆対応ではないドローンであり、前記第2のロボットは、防爆対応のドローンであってもよい。これにより、空中からプラントの様子を撮影することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、点検に利用可能なロボットを緊急時に適切に運用することを可能とするロボット管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るロボット管理システムの概略構成を示す図である。
図2】一実施形態に係るロボット管理装置の概略構成を示す図である。
図3】プラントにおけるエリアの例を示す図である。
図4】タグリストテーブルの一例を示す図である。
図5】ルートIDテーブルの一例を示す図である。
図6】ルートリストテーブルの一例を示す図である。
図7】プラントに第1のロボットが出動している様子を示す図である。
図8】プラントに第2のロボットが出動している様子を示す図である。
図9】一実施形態に係るロボット管理システムの動作を示すフローチャートである。
図10】変形例に係るルートIDテーブルの一例を示す図である。
図11】変形例に係るルートリストテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、一実施形態に係るロボット管理システム10の概略構成を示す図である。図1を参照して、一実施形態に係るロボット管理システム10の構成及び機能について説明する。
【0017】
ロボット管理システム10は、プラントの状況を点検可能なシステムである。プラントは、任意のプラントであってよい。プラントは、例えば、オイル関連のプラント、ガス関連のプラントなどであってよい。
【0018】
ロボット管理システム10は、防爆エリアを含むプラントを点検することが可能である。防爆エリアは、可燃性ガスが存在する可能性があるエリアであり、爆発のリスクがあるエリアである。
【0019】
プラント管理システム20は、プラント又は産業プロセスを自動制御することが可能なシステムである。プラント管理システム20は、プラントの設備機器における異常状態をアラームとして検出することができる。プラント管理システム20は、アラームを検出すると、検出したアラームをサーバ30に送信する。
【0020】
サーバ30は、プラント管理システム20などから情報を取得し、情報を統合するサーバである。サーバ30は、プラント管理システム20及びロボット管理システム10と通信可能に接続されている。サーバ30は、プラント管理システム20からアラームを取得すると、取得したアラームをロボット管理システム10に送信する。
【0021】
ロボット管理システム10は、ロボット管理装置11と、データ解析装置12と、位置情報提供装置13と、第1のロボット14と、第2のロボット15とを備える。
【0022】
図1では、第1のロボット14を1台示しているが、第1のロボット14は、2台以上であってもよい。また、図1では、第2のロボット15を1台示しているが、第2のロボット15は、2台以上であってもよい。
【0023】
ロボット管理装置11は、第1のロボット14の動作及び第2のロボット15の動作を制御する装置である。ロボット管理装置11は、ロボット管理装置11として機能するように構成された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のPC(Personal Computer)であってもよい。
【0024】
図2を参照して、ロボット管理装置11の構成を説明する。
【0025】
ロボット管理装置11は、通信部111と、記憶部112と、制御部113とを備える。
【0026】
通信部111は、有線通信及び無線通信に対応可能な通信モジュールを含む。通信部111は、サーバ30、データ解析装置12、第1のロボット14及び第2のロボット15と通信可能である。
【0027】
記憶部112は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部112は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部112は、ロボット管理装置11の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部112は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部111によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部112に記憶された情報は、例えば通信部111を介して受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部112の一部は、ロボット管理装置11の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部112の一部は、任意のインタフェースを介してロボット管理装置11と接続されてよい。
【0028】
制御部113は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部113は、ロボット管理装置11の各部を制御しながら、ロボット管理装置11の動作に関わる処理を実行する。
【0029】
再び図1に戻って説明を続ける。
【0030】
データ解析装置12は、第1のロボット14が撮影した画像データを解析することができる。データ解析装置12は、第2のロボット15が撮影した画像データを解析することができる。データ解析装置12は、データ解析装置12として機能するように構成された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のPCであってもよい。
【0031】
データ解析装置12は、ロボット管理装置11及び位置情報提供装置13と通信可能である。
【0032】
位置情報提供装置13は、第1のロボット14の位置情報をデータ解析装置12に提供することができる。位置情報提供装置13は、第2のロボット15の位置情報をデータ解析装置12に提供することができる。位置情報提供装置13は、位置情報提供装置13として機能するように構成された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のPCであってもよい。
【0033】
位置情報提供装置13は、データ解析装置12、第1のロボット14及び第2のロボット15と通信可能である。
【0034】
第1のロボット14は、防爆対応ではないロボットである。第1のロボット14は、例えば、防爆対応ではないドローンであってよい。第1のロボット14は、防爆対応ではないため、プラントの防爆エリアには進入せず、プラントの非防爆エリア内のみを移動する。
【0035】
第1のロボット14は、カメラ及び通信装置を備える。第1のロボット14は、撮影した画像データをロボット管理装置11に送信する。
【0036】
第1のロボット14が備えるカメラは、非防爆エリアから防爆エリアの様子を撮影することができる。第1のロボット14が備えるカメラは、遠方を撮影できるようにズームレンズを搭載していてよい。
【0037】
第2のロボット15は、防爆対応のロボットである。第2のロボット15は、例えば、防爆対応のドローンであってよい。第2のロボット15は、防爆対応であるため、プラントの防爆エリアにも進入することが可能である。
【0038】
第2のロボット15は、カメラ及び通信装置を備える。第2のロボット15は、撮影した画像データをロボット管理装置11に送信する。
【0039】
第2のロボット15は、さらに、赤外線カメラ及びガス検知器などのような、防爆エリアにおいて詳細な測定をすることを可能とする装置を備えていてよい。
【0040】
図3に、ロボット管理システム10が点検するプラントにおけるエリアの一例を示す。
【0041】
図3に示す例においては、プラントは、境界201を境にして、防爆エリアと非防爆エリアに分かれている。また、図3に示す例においては、防爆エリアは、エリア1からエリア8までの8つのエリアを有する。
【0042】
本実施形態においては、プラントが図3に示すようなエリアに分かれている場合を例として、ロボット管理システム10の動作を説明する。なお、プラントが図3に示すようなエリアに分かれている場合は一例であって、ロボット管理システム10は、任意のプラントにおいて動作可能である。
【0043】
ロボット管理装置11の記憶部112は、タグリストテーブル、ルートIDテーブル及びルートリストテーブルを格納している。図4は、タグリストテーブルの一例を示す図である。図5は、ルートIDテーブルの一例を示す図である。図6は、ルートリストテーブルの一例を示す図である。
【0044】
最初に、図4を参照して、タグリストテーブルについて説明する。
【0045】
タグリストテーブルは、項目として、「タグ」、「エリア」、「アラームレベル」、「注目度」及び「スキップ」を有する。
【0046】
「タグ」は、プラントの設備に設置された機器に付されたタグである。タグが付されている機器は、プラント管理システム20によるアラーム検出の対象となっている機器である。
【0047】
「エリア」は、「タグ」に対応するエリアである。例えば、「D001」のタグが付されている機器は、エリア1に設置されている。
【0048】
「アラームレベル」は、プラント管理システム20が検出したアラームの程度を示す。アラームレベルは、「0」の場合は、アラームが発生しないことを意味する。アラームレベルは、「1」以上の場合は、アラームが発生していることを意味する。アラームレベルは、数字が大きいほど、重大なアラームであることを意味する。
【0049】
「注目度」は、プラントにおいてアラームが発生したときに第1のロボット14が撮影した画像データを、データ解析装置12が解析することにより算出される値である。注目度の値は、そのエリアにおける異常の程度を示す値である。注目度は、「0」の場合は、そのエリアにおいて異常が発生していない可能性が高いことを意味する。注目度は、「1」以上の場合は、そのエリアにおいて異常が発生している可能性が高いことを意味する。注目度は、数字が大きいほど、重大な異常が発生している可能性が高いことを意味する。例えば、画像解析の結果、画像データの中に爆発が確認された場合、確認された爆発の程度が大きいほど、注目度は大きい数字となる。
【0050】
「スキップ」は、プラントにおいてアラームが発生したときに、第2のロボット15が、エリア内を撮影するかどうかを示す。第2のロボット15は、スキップが「0」となっているエリアについては、エリア内を撮影する。第2のロボット15は、スキップが「1」となっているエリアについては、エリア内を撮影しない。なお、第2のロボット15は、エリアの様子を確認するための動作として、通常の撮影に加えて、赤外線カメラによる撮影、ガス検知器によるガスの検出などを行ってもよい。
【0051】
続いて、図5を参照して、ルートIDテーブルについて説明する。
【0052】
ルートIDテーブルは、項目として、「ルートID」及び「ルート順」を有する。
【0053】
「ルートID」は、ルートを区別できるように、ルートに付与されたIDである。
【0054】
「ルート順」は、プラント内の複数のエリアを、第2のロボット15が移動する順番である。図5に示す例においては、ルートIDが「1」のルートは、ルート順が「12345678」となっている。これは、ルートIDが「1」のルートは、第2のロボット15が、エリア1、エリア2、エリア3、エリア4、エリア5、エリア6、エリア7、エリア8の順番で移動するルートであることを意味する。
【0055】
続いて、図6を参照して、ルートリストテーブルについて説明する。
【0056】
ルートリストテーブルは、項目として、「ルートリスト」を有する。
【0057】
「ルートリスト」は、図5に示したルートIDテーブルに格納されているルートのうち、どのルートIDのルートを使用するかを示す。第2のロボット15は、ルートリストに格納されているルートに基づいて、プラント内の複数のエリアを移動する。ルートリストに複数のルートが格納されている場合、第2のロボット15は、例えば、ルートリストに格納されているルートを上から順番に移動してよい。
【0058】
続いて、プラントにおいてアラームが発生したときのロボット管理システム10の動作について説明する。
【0059】
プラント管理システム20は、アラームを検出すると、検出したアラームをサーバ30に送信する。
【0060】
サーバ30は、プラント管理システム20からアラームを取得すると、取得したアラームをロボット管理システム10のロボット管理装置11に送信する。
【0061】
ロボット管理装置11の制御部113は、サーバ30が送信したアラームを、通信部111を介して取得する。
【0062】
以下、防爆エリアにあるエリア1~エリア8のうち、エリア5~エリア8においてアラームが発生した場合を例に挙げて説明する。
【0063】
制御部113は、防爆エリアにあるエリア5~エリア8において異常があったことを示すアラームを取得すると、図4に示したタグリストテーブルのアラームレベルの欄を更新する。例えば、サーバ30から取得したエリア5、エリア6、エリア7、エリア8のアラームレベルが、それぞれ、1、2、3、4である場合、エリア5、エリア6、エリア7、エリア8のアラームレベルが、それぞれ、1、2、3、4となるように、制御部113は、アラームレベルの欄を更新する。
【0064】
制御部113は、アラームが発生したエリアであるエリア5~エリア8の状況を確認するため、第1のロボット14を出動させる。この際、第1のロボット14は防爆対応ではないため、制御部113は、第1のロボット14を、非防爆エリアに出動させる。
【0065】
図7に、第1のロボット14が非防爆エリアに出動した様子を示す。制御部113は、非防爆エリアのうち、エリア5~エリア8を撮影可能な領域202の範囲で第1のロボット14を移動させて、アラームが発生したエリアであるエリア5~エリア8を第1のロボット14に撮影させる。
【0066】
第1のロボット14は、撮影した画像データをロボット管理装置11に送信する。
【0067】
ロボット管理装置11の制御部113は、第1のロボット14が送信した画像データを、通信部111を介して取得する。制御部113は、取得した画像データを、通信部111を介してデータ解析装置12に送信する。
【0068】
データ解析装置12は、ロボット管理装置11から取得した画像データを解析して、注目度を算出する。注目度は、異常の程度を示す値である。
【0069】
また、データ解析装置12は、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報を位置情報提供装置13から取得する。
【0070】
データ解析装置12は、算出した注目度と、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報とを、ロボット管理装置11に送信する。
【0071】
ロボット管理装置11の制御部113は、注目度と、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報とを、データ解析装置12から通信部111を介して取得する。
【0072】
制御部113は、データ解析装置12が算出した注目度と、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報とに基づいて、それぞれのエリアにおける注目度を特定する。
【0073】
図7に示す例においては、エリア6において小さな爆発301が発生し、エリア8において大きな爆発302が発生している。また、エリア5及びエリア7においては、爆発が発生していない。このような場合、制御部113は、例えば、エリア5、エリア6、エリア7、エリア8の注目度を、それぞれ、0、1、0、2と特定する。
【0074】
制御部113は、それぞれのエリアについて特定した注目度に基づいて、タグリストテーブルの「注目度」の欄を更新する。
【0075】
制御部113は、注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを第2のロボット15が撮影するように、タグリストテーブルの「スキップ」の欄を更新する。図4に示す例においては、所定の閾値は「1」である。制御部113は、注目度が1以上であるエリア6及びエリア8については、「スキップ」の欄を「0」とし、注目度が1未満であるその他のエリアについては、「スキップ」の欄を「1」とする。
【0076】
制御部113は、注目度が所定の閾値以上であるエリア、すなわち注目度が「1」以上であるエリアを撮影するように、プラントの防爆エリアに第2のロボット15を出動させる。
【0077】
制御部113は、第2のロボット15を出動させる際、図4に示したタグリストテーブルの情報、図5に示したルートIDテーブルの情報及び図6に示したルートリストテーブルの情報を、通信部111を介して第2のロボット15に送信する。
【0078】
第2のロボット15は、ルートIDテーブル及びルートリストテーブルを参照し、ルートIDテーブルに格納されているルート順にしたがって移動する。第2のロボット15は、タグリストテーブルを参照し、スキップの欄が「1」であるエリアでは撮影を行わず、スキップの欄が「0」であるエリアにおいて撮影を行う。
【0079】
図8に、第2のロボット15が防爆エリアに出動した様子を示す。図8は、第2のロボット15がエリア1に到着した様子を示している。
【0080】
第2のロボット15は、ルートリストテーブルに格納されているルートIDによって指定されるルート順に沿って移動する。図6に示す例においては、ルートリストは「1」である。また、図5に示す例においては、ルートIDが「1」のルートのルート順は、エリア1、エリア2、エリア3、エリア4、エリア5、エリア6、エリア7、エリア8の順番である。この場合、第2のロボット15は、エリア1、エリア2、エリア3、エリア4、エリア5、エリア6、エリア7、エリア8の順番で移動する。
【0081】
第2のロボット15が移動するルートは、アラームが発生していないときに第2のロボット15が定期点検のためなどに移動する通常のルートと同じルートである。そのため、第2のロボット15は、正常に移動できることが定期点検などにおいて確認されているルートで移動する。したがって、第2のロボット15は、アラームが発生したときのような緊急時においても安定した移動をすることができる。
【0082】
第2のロボット15は、防爆エリアを移動する際、注目度が所定の閾値以上であるエリアを通過する際は、当該エリアを撮影し、注目度が所定の閾値未満であるエリアを通過する際は、当該エリアを撮影しない。
【0083】
タグリストテーブルが図4に示す例のようになっている場合、第2のロボット15は、注目度が1以上であるエリア6及びエリア8のみで撮影を行い、その他のエリアでは撮影を行わない。
【0084】
エリア内の様子を確認するために撮影をすると撮影のための時間を必要とするが、このように、注目度が低いエリアにおいては撮影をしないで通り過ぎることにより、第2のロボット15は、注目度が高いエリアまで迅速に移動することができ、注目度が高いエリアの様子を迅速に撮影することができる。
【0085】
第2のロボット15は、撮影した画像データをロボット管理装置11に送信する。
【0086】
ロボット管理装置11の制御部113は、第2のロボット15が送信した画像データを、通信部111を介して取得する。
【0087】
制御部113は、第2のロボット15が送信した画像データを、通信部111を介してサーバ30に送信する。
【0088】
オペレータは、サーバ30にアクセスして、第2のロボット15が送信した画像データを確認することができる。あるいは、オペレータは、ロボット管理装置11にアクセスして、第2のロボット15が送信した画像データを確認してもよい。
【0089】
図9に示すフローチャートを参照して、ロボット管理システム10の動作を説明する。
【0090】
ステップS101:プラントにおいてアラームが発生すると、ロボット管理装置11は、サーバ30からアラームを取得する。
【0091】
ステップS102:ロボット管理装置11は、非防爆エリアに第1のロボット14を出動させる。
【0092】
ステップS103:第1のロボット14は、非防爆エリアから、アラームが発生したエリアを撮影する。第1のロボット14は、撮影した画像データをロボット管理装置11に送信する。
【0093】
ステップS104:ロボット管理装置11は、第1のロボット14から取得した画像データをデータ解析装置12に送信する。データ解析装置12は、ロボット管理装置11から取得した画像データを解析して、注目度を算出する。また、データ解析装置12は、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報を位置情報提供装置13から取得する。データ解析装置12は、算出した注目度と、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報とを、ロボット管理装置11に送信する。
【0094】
ステップS105:ロボット管理装置11は、データ解析装置12が算出した注目度と、第1のロボット14が画像を撮影したときの位置情報とに基づいて、アラームが発生したエリアの注目度を特定する。
【0095】
ステップS106:ロボット管理装置11は、防爆エリアに第2のロボット15を出動させる。この際、ロボット管理装置11は、タグリストテーブルを更新し、更新したタグリストテーブル、ルートIDテーブル及びルートリストテーブルを第2のロボット15に送信する。
【0096】
ステップS107:第2のロボット15は、防爆エリアを通常のルートで移動し、注目度が所定の閾値以上であるエリアを通過する際は、当該エリアを撮影する。第2のロボット15は、注目度が所定の閾値未満であるエリアを通過する際は、当該エリアを撮影しない。第2のロボット15は、撮影した画像データをロボット管理装置11に送信する。
【0097】
以上のような一実施形態に係るロボット管理システム10によれば、点検に利用可能なロボットを緊急時に適切に運用することを可能とすることができる。より具体的には、一実施形態に係るロボット管理システム10は、防爆対応ではない第1のロボット14と、防爆対応の第2のロボット15と、第1のロボット14及び第2のロボット15を制御するロボット管理装置11と、を備える。ロボット管理装置11は、アラームを取得すると、プラントの非防爆エリアに第1のロボット14を出動させて、アラームが発生したエリアを撮影させる。そして、ロボット管理装置11は、第1のロボット14が撮影した画像データの解析結果に基づいて注目度を特定する。そして、ロボット管理装置11は、注目度が所定の閾値以上であるエリアを撮影するように、プラントの防爆エリアに第2のロボット15を出動させる。このように、アラームが発生したときに、オペレータの判断ではなく自動的に第1のロボット14及び第2のロボット15を出動させることができるため、一実施形態に係るロボット管理システム10は、緊急時に迅速に対応することができる。また、オペレータの判断ではなく自動的に第1のロボット14及び第2のロボット15を出動させることができるため、一実施形態に係るロボット管理システム10は、オペレータの習熟度の影響を受けることなく、緊急時に適切な対応をすることができる。また、オペレータの判断ではなく自動的に第1のロボット14及び第2のロボット15を出動させることができるため、オペレータの人員を低減することができる。
【0098】
また、一実施形態に係るロボット管理システム10は、防爆対応ではない第1のロボット14と、防爆対応の第2のロボット15とを備えている。このように、防爆対応ではない第1のロボット14と、防爆対応の第2のロボット15とを組み合わせて運用することにより、防爆対応の第2のロボット15のみを備えている場合と比べて、コストを低減することができる。また、防爆対応の第2のロボット15は、防爆対応ではない第1のロボット14に比べて、大型で重量も重くなるが、防爆対応ではない第1のロボット14と、防爆対応の第2のロボット15とを組み合わせて運用することにより、全体として、小型化、低重量化を実現することができる。
【0099】
(変形例)
ロボット管理装置11は、タグリストテーブルの「注目度」の欄を更新した後、注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートを生成してもよい。
【0100】
図10は、ロボット管理装置11が、注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートとして、ルートIDが「2」のルートを生成した様子を示す図である。
【0101】
図10に示すルートIDテーブルにおいて、ルートIDが「2」のルートのルート順は「86」である。これは、注目度が1以上であるエリア8とエリア6のみを通過するルートである。また、エリア8の注目度が「2」、エリア6の注目度が「1」であるため、ロボット管理装置11は、注目度が高い順に第2のロボット15が移動するように、ルート順が「86」であるルートを生成している。
【0102】
図11は、変形例に係るルートリストテーブルを示す図である。変形例に係るルートリストテーブルは、項目として、「ルートリスト」に加えて「優先度」を有する。[優先度]は、小さい数字であるほど優先度が高いことを意味する。
【0103】
第2のロボット15は、優先度が高いルートから巡回する。図11に示す例においては、ルートリスト「2」の優先度が「1」であり、ルートリスト「1」の優先度が「2」であるため、ルートリスト「2」の方が、優先度が高い。そのため、第2のロボット15は、最初に、図10に示すルートID「2」のルートで移動する。
【0104】
このように、注目度が所定の閾値以上であるエリアのみを通過するルートで移動することにより、第2のロボット15は、注目度が高いエリアを迅速に撮影することができる。また、ロボット管理装置11が、図10に示すルートIDが「2」のルートのように、注目度が高い順のルート順を生成することにより、第2のロボット15は、重大な異常が起こっている可能性が高いエリアを優先的に撮影することができる。
【0105】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0106】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0107】
例えば、上述した実施形態において、ロボット管理システム10の外部にサーバ30が設置されているが、ロボット管理システム10の中にサーバ30を含んでいてもよい。
【0108】
例えば、上述した実施形態においてロボット管理装置11において実行される一部の処理動作が、データ解析装置12、位置情報提供装置13又はサーバ30において実行されてもよい。また、上述した実施形態においてデータ解析装置12、位置情報提供装置13又はサーバ30において実行される一部の処理動作が、ロボット管理装置11において実行されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 ロボット管理システム
11 ロボット管理装置
12 データ解析装置
13 位置情報提供装置
14 第1のロボット
15 第2のロボット
20 プラント管理システム
30 サーバ
111 通信部
112 記憶部
113 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11