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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075338
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240527BHJP
   G03F 7/42 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 643A
G03F7/42
H01L21/30 572B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186719
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】鰍場 真樹
(72)【発明者】
【氏名】秋月 佑介
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196JA04
2H196LA02
2H196LA03
5F146MA02
5F146MA07
5F157AA64
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB23
5F157BB42
5F157BC12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE35
5F157BE43
5F157BF39
5F157CF14
5F157CF60
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB03
(57)【要約】
【課題】レジスト剥離液による処理時間を短縮することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板保持部20と、アルカリ液供給部40と、剥離液供給部30とを備える。基板保持部20は、基板Wを保持して回転させる。アルカリ液供給部40は、基板保持部20によって保持される基板Wに、アルカリ液を供給する。剥離液供給部30は、アルカリ液供給部40から供給されたアルカリ液が基板Wのレジスト層203に保持されている間に、基板Wに酸性のレジスト剥離液を供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して回転させる基板保持部と、
前記基板保持部によって保持される前記基板に、アルカリ液を供給するアルカリ液供給部と、
前記アルカリ液供給部から供給された前記アルカリ液が前記基板のレジスト層に保持されている間に、前記基板に酸性のレジスト剥離液を供給する剥離液供給部と
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記アルカリ液供給部は、前記基板に前記アルカリ液を供給して、前記アルカリ液を前記レジスト層に浸透させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記アルカリ液供給部が前記基板への前記アルカリ液の供給を停止した後に、前記剥離液供給部は、前記基板に前記レジスト剥離液を供給する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板にリンス液を供給するリンス液供給部を備え、
前記アルカリ液供給部が、前記基板に前記アルカリ液を供給して、前記アルカリ液を前記レジスト層に浸透させた後、
前記リンス液供給部は、前記基板に前記リンス液を供給して、前記基板の上面上の前記アルカリ液を前記リンス液に置換し、
その後、前記剥離液供給部は、前記基板に前記レジスト剥離液を供給する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記レジスト剥離液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記アルカリ液は、無機アルカリ液を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板は、基材と、前記基材上に配置される前記レジスト層とを有し、
前記レジスト層は、少なくとも前記基材とは反対側に配置される硬化層を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板にアルカリ液を供給するアルカリ液供給工程と、
前記アルカリ液が前記基板のレジスト層に保持されている間に、前記基板に酸性のレジスト剥離液を供給する剥離液供給工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項9】
前記剥離液供給工程に先立って、前記基板に供給された前記アルカリ液を、前記レジスト層に浸透させる浸透工程を含む、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記アルカリ液供給工程において、前記基板に前記アルカリ液を所定量供給すると、前記基板への前記アルカリ液の供給を停止し、
前記剥離液供給工程において、前記基板への前記アルカリ液の供給が行われていない状態で、前記基板に前記レジスト剥離液を供給する、請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記剥離液供給工程に先立って、前記基板に供給された前記アルカリ液を、前記レジスト層に浸透させる浸透工程を含み、
前記浸透工程の後で、かつ、前記剥離液供給工程に先立って、前記基板にリンス液を供給して、前記基板の上面上の前記アルカリ液を前記リンス液に置換するリンス液供給工程を含む、請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記レジスト剥離液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液を含む、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記アルカリ液は、無機アルカリ液を含む、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記基板は、基材と、前記基材上に配置される前記レジスト層とを有し、
前記レジスト層は、少なくとも前記基材とは反対側に配置される硬化層を有する、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を処理する基板処理装置が知られている。基板処理装置は、半導体基板の製造に好適に用いられる。基板処理装置は、薬液等の処理液を用いて基板を処理する。このような基板処理装置として、基板にSPM(硫酸と過酸化水素水との混合液)等のレジスト剥離液を供給した後、基板に純水等のリンス液を供給する基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、基板にSPMを供給した後、基板に純水を供給し、その後、基板にSC1を供給する基板処理装置が記載されている。このような基板処理装置は、例えば、基板のレジスト層を除去する際に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-207661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の基板処理装置では、レジスト層に対する剥離力が十分でなく、SPMによる処理時間が長くなる。特に、レジスト層が硬化層を含む場合、SPMによる処理時間がさらに長くなる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、レジスト剥離液による処理時間を短縮することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板保持部と、アルカリ液供給部と、剥離液供給部とを備える。前記基板保持部は、基板を保持して回転させる。前記アルカリ液供給部は、前記基板保持部によって保持される前記基板に、アルカリ液を供給する。前記剥離液供給部は、前記アルカリ液供給部から供給された前記アルカリ液が前記基板のレジスト層に保持されている間に、前記基板に酸性のレジスト剥離液を供給する。
【0007】
ある実施形態では、前記アルカリ液供給部は、前記基板に前記アルカリ液を供給して、前記アルカリ液を前記レジスト層に浸透させる。
【0008】
ある実施形態では、前記アルカリ液供給部が前記基板への前記アルカリ液の供給を停止した後に、前記剥離液供給部は、前記基板に前記レジスト剥離液を供給する。
【0009】
ある実施形態では、前記基板処理装置は、リンス液供給部を備える。前記リンス液供給部は、前記基板にリンス液を供給する。前記アルカリ液供給部が、前記基板に前記アルカリ液を供給して、前記アルカリ液を前記レジスト層に浸透させた後、前記リンス液供給部は、前記基板に前記リンス液を供給して、前記基板の上面上の前記アルカリ液を前記リンス液に置換し、その後、前記剥離液供給部は、前記基板に前記レジスト剥離液を供給する。
【0010】
ある実施形態では、前記レジスト剥離液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液を含む。
【0011】
ある実施形態では、前記アルカリ液は、無機アルカリ液を含む。
【0012】
ある実施形態では、前記基板は、基材と、前記基材上に配置される前記レジスト層とを有する。前記レジスト層は、少なくとも前記基材とは反対側に配置される硬化層を有する。
【0013】
本発明の別の局面によれば、基板処理方法は、基板にアルカリ液を供給するアルカリ液供給工程と、前記アルカリ液が前記基板のレジスト層に保持されている間に、前記基板に酸性のレジスト剥離液を供給する剥離液供給工程とを含む。
【0014】
ある実施形態では、前記剥離液供給工程に先立って、前記基板に供給された前記アルカリ液を、前記レジスト層に浸透させる浸透工程を含む。
【0015】
ある実施形態では、前記アルカリ液供給工程において、前記基板に前記アルカリ液を所定量供給すると、前記基板への前記アルカリ液の供給を停止し、前記剥離液供給工程において、前記基板への前記アルカリ液の供給が行われていない状態で、前記基板に前記レジスト剥離液を供給する。
【0016】
ある実施形態では、前記基板処理方法は、前記剥離液供給工程に先立って、前記基板に供給された前記アルカリ液を、前記レジスト層に浸透させる浸透工程を含み、前記浸透工程の後で、かつ、前記剥離液供給工程に先立って、前記基板にリンス液を供給して、前記基板の上面上の前記アルカリ液を前記リンス液に置換するリンス液供給工程を含む。
【0017】
ある実施形態では、前記レジスト剥離液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液を含む。
【0018】
ある実施形態では、前記アルカリ液は、無機アルカリ液を含む。
【0019】
ある実施形態では、前記基板は、基材と、前記基材上に配置される前記レジスト層とを有し、前記レジスト層は、少なくとも前記基材とは反対側に配置される硬化層を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レジスト剥離液による処理時間を短縮することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の基板処理装置の模式的な平面図である。
図2】第1実施形態の基板処理装置における基板処理ユニットの模式図である。
図3】第1実施形態の基板処理装置のブロック図である。
図4】基板の構造を模式的に示す拡大断面図である。
図5】第1実施形態の基板処理方法のフロー図である。
図6】第2実施形態による基板処理装置の基板処理方法のフロー図である。
図7】レジスト層の硬化層にアルカリ液が浸透した状態を示す模式的な拡大断面図である。
図8】第2変形例による基板処理装置の基板処理方法のフロー図である。
図9】第3実施形態による基板処理装置の基板処理方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。本実施形態では、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0023】
(第1実施形態)
図1図5を参照して、本発明の第1実施形態による基板処理装置100について説明する。図1は、第1実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。
【0024】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去、および、洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0025】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0026】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット10と、処理液キャビネット110と、処理液ボックス120と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0027】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理ユニット10との間で基板Wを搬送する。基板処理ユニット10の各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。処理液は、例えば、薬液、リンス液、除去液および/または撥水剤を含む。処理液キャビネット110は、処理液を収容する。なお、処理液キャビネット110は、ガスを収容してもよい。
【0028】
具体的には、複数の基板処理ユニット10は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理ユニット10(図1では3つの基板処理ユニット10)を含む。処理液ボックス120は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。処理液キャビネット110内の液体は、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。また、処理液キャビネット110内のガスは、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。
【0029】
典型的には、処理液キャビネット110は、処理液を調製するための調製槽(タンク)を有する。処理液キャビネット110は、1種類の処理液のための調製槽を有してもよく、複数種類の処理液のための調製槽を有してもよい。また、処理液キャビネット110は、処理液を流通するためのポンプ、ノズルおよび/またはフィルタを有する。
【0030】
制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101により、基板処理ユニット10は基板Wを処理する。
【0031】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0032】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0033】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0034】
次に、図2を参照して、第1実施形態の基板処理装置100における基板処理ユニット10を説明する。図2は、第1実施形態の基板処理装置100における基板処理ユニット10の模式図である。
【0035】
図2に示すように、基板処理ユニット10は、チャンバー11と、送風ユニット12と、基板保持部20と、剥離液供給部30と、アルカリ液供給部40と、過水供給部50と、リンス液供給部60とを備える。
【0036】
チャンバー11は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー11は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー11には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー11内に収容され、チャンバー11内で処理される。チャンバー11には、基板保持部20、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50およびリンス液供給部60のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0037】
送風ユニット12は、チャンバー11の上部または上方に配置される。例えば、送風ユニット12は、チャンバー11の天面に配置される。送風ユニット12は、チャンバー11内に空気を送る。送風ユニット12は、例えば、ファン・フィルタ・ユニット(FFU)を含む。送風ユニット12および排気装置(図示しない)により、チャンバー11内にダウンフロー(下降流)が形成される。
【0038】
基板保持部20は、基板Wを保持する。基板保持部20は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの下面(裏面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。例えば、基板Wの上面Waには、リセスの形成された積層構造が設けられている。基板保持部20は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0039】
例えば、基板保持部20は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部20は、基板Wを下面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部20は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部20は、非デバイス形成面である基板Wの下面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部20は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0040】
例えば、基板保持部20は、スピンベース21と、チャック部材22と、シャフト23と、スピンモーター24と、ハウジング25とを含む。チャック部材22は、スピンベース21に設けられる。チャック部材22は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース21には、複数のチャック部材22が設けられる。
【0041】
シャフト23は、回転軸AXに沿って鉛直方向に延びている。シャフト23の上端には、スピンベース21が結合されている。基板Wは、スピンベース21の上方に載置される。
【0042】
スピンベース21は、円板状である。チャック部材22は、基板Wを水平に支持する。シャフト23は、スピンベース21の中央部から下方に延びる。スピンモーター24は、シャフト23に回転力を与える。スピンモーター24は、シャフト23を回転方向に回転させることにより、回転軸AXを中心に基板Wおよびスピンベース21を回転させる。ハウジング25は、シャフト23およびスピンモーター24を収容する。
【0043】
剥離液供給部30は、基板Wに、レジスト層を剥離する酸性の剥離液を供給する。典型的には、剥離液供給部30は、基板Wの上面Waに剥離液を供給する。剥離液供給部30の少なくとも一部は、チャンバー11内に収容される。なお、剥離液は、本発明の「レジスト剥離液」の一例である。
【0044】
剥離液は、例えば、SPM(硫酸過酸化水素水混合液)を含む。SPMは、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液である。第1実施形態では、剥離液は、SPMである。基板Wに供給されるSPMの温度は、特に限定されるものではないが、例えば、80℃以上100℃未満である。なお、基板Wに供給されるSPMの温度は、100℃以上であってもよいし、150℃以上であってもよい。また、基板Wに供給されるSPMの温度は、180℃以上であってもよいし、200℃以上であってもよい。
【0045】
剥離液供給部30は、配管32と、バルブ34と、ノズル36とを含む。ノズル36は、基板Wの上面Waに剥離液を吐出する。ノズル36は、配管32に接続される。配管32には、供給源から剥離液が供給される。なお、配管32は、硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)が貯留されたタンクに接続されていてもよい。または、配管32は、硫酸と過酸化水素水とを流路の途中で合流させてノズル36に供給するように構成されていてもよい。
【0046】
バルブ34は、配管32内の流路を開閉する。バルブ34は、配管32の開度を調節して、配管32に供給される剥離液の流量を調整する。具体的には、バルブ34は、例えば、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0047】
ノズル36は、基板Wに対して移動可能に構成されてもよい。剥離液供給部30は、ノズル移動部38をさらに有してもよい。ノズル移動部38は、ノズル36を昇降してもよく、ノズル36を回動軸線の周りに水平回動させてもよい。ノズル移動部38は、ノズル36を昇降させる。例えば、ノズル移動部38は、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モーターとを含む。また、ノズル移動部38は、ノズル36を水平回動させる。例えば、ノズル移動部38は、電動モーターを含む。
【0048】
第1実施形態では、剥離液がノズル36から基板Wに供給される間、ノズル移動部38は、ノズル36を水平方向に往復させる。具体的には、ノズル移動部38は、基板Wに対する剥離液の衝突位置が基板Wの中央部と縁部との間で往復するように、ノズル36を移動させる。これにより、基板Wに対する剥離液の衝突位置が移動する。なお、剥離液がノズル36から基板Wに供給される間、ノズル36は固定されていてもよい。
【0049】
アルカリ液供給部40は、基板Wにアルカリ液を供給する。典型的には、アルカリ液供給部40は、基板Wの上面Waにアルカリ液を供給する。アルカリ液供給部40の少なくとも一部は、チャンバー11内に収容される。
【0050】
アルカリ液は、無機アルカリ液または有機アルカリ液を含む。無機アルカリ液としては、例えば、NH4OH、KOH、および、NaOHが挙げられる。有機アルカリ液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)が挙げられる。第1実施形態では、アルカリ液は、NH4OHを含む。
【0051】
アルカリ液供給部40は、配管42と、バルブ44と、ノズル46とを含む。ノズル46は、基板Wの上面Waにアルカリ液を吐出する。ノズル46は、配管42に接続される。配管42には、供給源から供給されたアルカリ液が供給される。
【0052】
バルブ44は、配管42内の流路を開閉する。バルブ44は、配管42の開度を調節して、配管42に供給されるアルカリ液の流量を調整する。具体的には、バルブ44は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0053】
ノズル46は、基板Wに対して移動可能に構成されてもよい。アルカリ液供給部40は、ノズル移動部48をさらに有してもよい。ノズル移動部48は、ノズル46を昇降してもよく、ノズル46を回動軸線の周りに水平回動させてもよい。ノズル移動部48は、例えば、ノズル移動部38と同様に構成される。
【0054】
第1実施形態では、アルカリ液がノズル46から基板Wに供給される間、ノズル46は固定される。なお、アルカリ液がノズル46から基板Wに供給される間、ノズル移動部48は、ノズル46を水平方向に往復させてもよい。この場合、ノズル移動部48は、基板Wに対するアルカリ液の衝突位置が基板Wの中央部と縁部との間で往復するように、ノズル46を移動させてもよい。
【0055】
過水供給部50は、基板Wに過酸化水素水を供給する。典型的には、過水供給部50は、基板Wの上面Waに過酸化水素水を供給する。過水供給部50の少なくとも一部は、チャンバー11内に収容される。
【0056】
過水供給部50は、配管52と、バルブ54と、ノズル56とを有する。ノズル56は、基板Wの上面Waに過酸化水素水を吐出する。ノズル56は、配管52に接続される。配管52には、供給源から過酸化水素水が供給される。バルブ54は、配管52内の流路を開閉する。バルブ54は、配管52の開度を調節して、配管52に供給される過酸化水素水の流量を調整する。具体的には、バルブ54は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0057】
ノズル56は、基板Wに対して移動可能に構成されてもよい。過水供給部50は、ノズル移動部58をさらに有してもよい。ノズル移動部58は、ノズル56を昇降してもよく、ノズル56を回動軸線の周りに水平回動させてもよい。ノズル移動部58は、例えば、ノズル移動部38と同様に構成される。
【0058】
リンス液供給部60は、基板Wにリンス液を供給する。典型的には、リンス液供給部60は、基板Wの上面Waにリンス液を供給する。リンス液供給部60の少なくとも一部は、チャンバー11内に収容される。
【0059】
例えば、リンス液として、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)が挙げられる。第1実施形態では、リンス液は、脱イオン水(DIW)である。
【0060】
リンス液供給部60は、配管62と、バルブ64と、ノズル66とを含む。ノズル66は、基板Wの上面Waにリンス液を吐出する。ノズル66は、配管62に接続される。配管62には、供給源からリンス液が供給される。
【0061】
バルブ64は、配管62内の流路を開閉する。バルブ64は、配管62の開度を調節して、配管62に供給されるリンス液の流量を調整する。具体的には、バルブ64は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0062】
ノズル66は、基板Wに対して移動可能に構成されてもよい。リンス液供給部60は、ノズル移動部68をさらに有してもよい。ノズル移動部68は、ノズル66を昇降してもよく、ノズル66を回動軸線の周りに水平回動させてもよい。ノズル移動部68は、例えば、ノズル移動部38と同様に構成される。
【0063】
基板処理ユニット10は、カップ90をさらに備える。カップ90は、基板Wから飛散した処理液を回収する。カップ90は昇降する。例えば、カップ90は、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50および/またはリンス液供給部60が基板Wに剥離液、アルカリ液、過酸化水素水および/またはリンス液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ90は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する剥離液、アルカリ液、過酸化水素水および/またはリンス液を回収する。また、カップ90は、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50および/またはリンス液供給部60が基板Wに剥離液、アルカリ液、過酸化水素水および/またはリンス液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0064】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、送風ユニット12、基板保持部20、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50、リンス液供給部60および/またはカップ90を制御する。一例では、制御部102は、送風ユニット12、スピンモーター24、バルブ34、44、54、64、ノズル移動部38、48、58、68および/またはカップ90を制御する。
【0065】
第1実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体素子の作製に好適に用いられる。典型的には、半導体素子において、基材の上に導電層および絶縁層が積層される。基板処理装置100は、半導体素子の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0066】
次に、図1図3を参照して、第1実施形態の基板処理装置100を説明する。図3は、第1実施形態の基板処理装置100のブロック図である。
【0067】
図3に示すように、制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、送風ユニット12、基板保持部20、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50、リンス液供給部60およびカップ90を制御する。具体的には、制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、送風ユニット12、基板保持部20、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50、リンス液供給部60およびカップ90に制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、送風ユニット12、基板保持部20、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50、リンス液供給部60およびカップ90を制御する。
【0068】
また、記憶部104は、コンピュータプログラムおよびデータを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容、処理手順および基板処理条件を規定する。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0069】
制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0070】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数のチャンバー11のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wをチャンバー11から受け取って、基板Wを搬出する。
【0071】
制御部102は、送風ユニット12を制御して、チャンバー11内に空気を送る。例えば、制御部102は、送風ユニット12および排気装置(図示せず)を制御して、チャンバー11内にダウンフローを形成する。
【0072】
制御部102は、基板保持部20を制御して、基板Wの脱着、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部20を制御して、基板保持部20の回転速度を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部20のスピンモーター24の回転速度を変更することによって、基板Wの回転速度を変更できる。
【0073】
制御部102は、剥離液供給部30のバルブ34を制御して、バルブ34の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、剥離液供給部30のバルブ34を制御して、バルブ34を開状態にすることによって、ノズル36に向かって配管32内を流れる剥離液を通過させることができる。また、制御部102は、剥離液供給部30のバルブ34を制御して、バルブ34を閉状態にすることによって、ノズル36に向かって配管32内を流れる剥離液の供給を停止させることができる。
【0074】
制御部102は、アルカリ液供給部40のバルブ44を制御して、バルブ44の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、アルカリ液供給部40のバルブ44を制御して、バルブ44を開状態にすることによって、ノズル46に向かって配管42内を流れるアルカリ液を通過させることができる。また、制御部102は、アルカリ液供給部40のバルブ44を制御して、バルブ44を閉状態にすることによって、ノズル46に向かって配管42内を流れるアルカリ液の供給を停止させることができる。
【0075】
制御部102は、バルブ54を制御して、バルブ54の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、バルブ54を制御して、バルブ54を開状態にすることによって、ノズル56に向かって配管52内を流れる過酸化水素水を通過させることができる。また、制御部102は、バルブ54を制御して、バルブ54を閉状態にすることによって、ノズル56に向かって配管52内を流れる過酸化水素水の供給を停止させることができる。
【0076】
制御部102は、リンス液供給部60のバルブ64を制御して、バルブ64の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、リンス液供給部60のバルブ64を制御して、バルブ64を開状態にすることによって、ノズル66に向かって配管62内を流れるリンス液を通過させることができる。また、制御部102は、リンス液供給部60のバルブ64を制御して、バルブ64を閉状態にすることによって、ノズル66に向かって配管62内を流れるリンス液の供給を停止させることができる。
【0077】
制御部102は、カップ90を制御して基板Wに対してカップ90を移動させてもよい。具体的には、制御部102は、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50および/またはリンス液供給部60が基板Wに剥離液、アルカリ液、過酸化水素水および/またはリンス液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方にカップ90を上昇させる。また、制御部102は、剥離液供給部30、アルカリ液供給部40、過水供給部50および/またはリンス液供給部60が基板Wに剥離液、アルカリ液、過酸化水素水および/またはリンス液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方にカップ90を下降させる。
【0078】
次に、図4を参照して、基板Wの構造について簡単に説明する。図4は、基板Wの構造を模式的に示す拡大断面図である。
【0079】
図4に示すように、基板Wは、基材201と、基材201上に配置されるレジスト層203とを有する。なお、基板Wは、基材201とレジスト層203との間に配置される接着層(図示せず)等をさらに有してもよい。この場合、接着層(図示せず)は、基材201とレジスト層203とを接着する、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS:Hexamethyldisilazane)等の樹脂であってもよい。
【0080】
基材201は、例えば、シリコンウエハなどの半導体ウエハである。第1実施形態では、基材201は、シリコンウエハである。
【0081】
レジスト層203は、樹脂からなる。レジスト層203は、特に限定されるものではないが、例えば、フォトレジスト材料からなる。レジスト層203は、少なくとも基材201とは反対側(上側)に配置される硬化層203aを有する。具体的には、半導体素子の製造工程は、例えば、基板Wの上面Waにリン、ヒ素、ホウ素などの不純物(イオン)を注入するイオン注入工程を含む。イオン注入工程では、イオン注入が不要な部分にマスクとしてのレジスト層203を形成した後、基板Wに対してイオン注入が行われる。このとき、レジスト層203の上面側の部分には、イオン注入によって硬化した硬化層203aが形成される。
【0082】
第1実施形態では、レジスト層203は、例えば、硬化層203aと、非硬化層203bとを含む。硬化層203aは、非硬化層203bよりも硬い。硬化層203aは、イオン注入によって硬化された層である。硬化層203aは、イオン注入により炭化して形成された多数の微細な穴を有する。非硬化層203bは、レジスト層203のうち基材201側(下側)に配置される。
【0083】
次に、図4および図5を参照して、第1実施形態の基板処理方法を説明する。図5は、第1実施形態の基板処理方法のフロー図である。第1実施形態の基板処理装置100による基板処理方法は、ステップS101~ステップS109を含む。ステップS101~ステップS109は、制御部102によって実行される。なお、ステップS103は、本発明の「アルカリ液供給工程」の一例である。また、ステップS104は、本発明の「剥離液供給工程」の一例である。
【0084】
図5に示すように、ステップS101において、基板Wをチャンバー11に搬入する。制御部102の制御により、センターロボットCRは、基板Wをチャンバー11に搬入し、基板保持部20は、搬入された基板Wを保持する。
【0085】
次に、ステップS102において、基板Wの回転を開始する。制御部102の制御により、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wの回転を開始する。なお、第1実施形態では、基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、基板Wの回転速度は、ステップS103においてアルカリ液が基板Wの上面Waの全体に広がることが可能な速度である。例えば、基板Wの回転速度は、低速度(例えば、10rpm)であってもよいし、高速度(例えば、500rpm以上、2000rpm以下)であってもよい。
【0086】
次に、ステップS103において、アルカリ液を基板Wに供給する。制御部102の制御により、基板保持部20によって回転する基板Wに対して、アルカリ液供給部40は、ノズル36からアルカリ液を供給する。これにより、基板Wの上面Waの全面にアルカリ液が供給される。なお、基板Wに供給されるアルカリ液の温度は、特に限定されるものではないが、例えば、室温(約25℃)である。
【0087】
基板Wに供給するアルカリ液は、例えば、高濃度アルカリ液(電子工業用ELグレード)であってもよいし、純水等で希釈した希釈アルカリ液であってもよい。希釈アルカリ液は、例えば、電子工業用ELグレードの高濃度アルカリ液が、高濃度アルカリ液:純水=1:1以下、1:10以下、または、1:50以下の割合で希釈された液である。
【0088】
また、アルカリ液と有機溶剤との混合液を基板Wに供給してもよい。この場合、混合液中のアルカリ液の割合は、アルカリ液:有機溶剤=50:1以上の割合であってもよい。ただし、電子工業用ELグレードの高濃度アルカリ液を用いる場合、混合液中のアルカリ液の割合は、アルカリ液:有機溶剤=1:1以上の割合であればよい。第1実施形態では、ステップS103において、基板Wにアルカリ液のみを供給する。つまり、基板Wに供給する液には、有機溶剤は含まれていない。
【0089】
そして、制御部102は、アルカリ液の供給を開始してから所定時間が経過すると、アルカリ液の供給を停止する。言い換えると、制御部102は、基板Wにアルカリ液を所定量供給すると、基板Wへのアルカリ液の供給を停止する。
【0090】
次に、ステップS104において、剥離液を基板Wに供給して、レジスト層203を剥離処理する。制御部102の制御により、基板保持部20によって回転する基板Wに対して、剥離液供給部30は、ノズル36から剥離液を供給する。例えば、剥離液供給部30は、剥離液としてSPMを供給する。なお、基板Wに供給される剥離液の温度は、特に限定されるものではないが、例えば、130℃以上、150℃以下である。
【0091】
ここで、剥離液供給部30は、アルカリ液供給部40から供給されたアルカリ液が基板Wに保持されている間に、基板Wに剥離液を供給する。第1実施形態では、アルカリ液は、基板Wの上面Wa上に保持される。つまり、剥離液供給部30は、アルカリ液供給部40から供給されたアルカリ液が基板Wの上面Wa上に保持されている間に、基板Wに剥離液を供給する。言い換えると、剥離液供給部30は、アルカリ液供給部40から供給されたアルカリ液が基板Wの上面Wa上に存在している間に、基板Wに剥離液を供給する。
【0092】
具体的には、基板Wの回転速度が、例えば低速度である場合、アルカリ液は、基板Wの上面Wa上に保持され続ける。その一方、基板Wの回転速度が例えば高速度である場合、基板Wの回転によって、アルカリ液は基板W上から徐々に排出される。このため、ステップS104では、基板Wの上面Waからアルカリ液が無くなる前に、剥離液供給部30は、基板Wへの剥離液の供給を開始する。
【0093】
このように、アルカリ液が基板Wに保持されている間に、基板Wに剥離液を供給し、基板W上のアルカリ液と剥離液とを直接接触させる。これにより、剥離液とアルカリ液とが中和反応を起こしながら、レジスト層203を溶解する。具体的には、剥離液は、レジスト層203上を面方向(略水平方向)に拡がりながら、レジスト層203上のアルカリ液と中和反応を起こす。このとき、中和反応により剥離液の温度が上昇するため、レジスト層203に対する剥離液の溶解速度が大きくなる。従って、剥離液の処理時間を短縮することができる。その結果、剥離液の消費量を削減することができる。アルカリ液との中和反応によって、剥離液の温度は、例えば、160℃以上、200℃以下になる。なお、剥離液と中和反応を起こす際のアルカリ液は、沸点以下の温度に調節されていてもよい。例えば、アルカリ液は、30℃以上、35℃以下の温度に調節されていてもよい。また、アルカリ液の温度は、例えば、室温(約25℃)であってもよい。
【0094】
そして、制御部102は、剥離液の供給を開始してから所定時間が経過すると、剥離液の供給を停止する。
【0095】
次に、ステップS105において、過酸化水素水を基板Wに供給する。制御部102の制御により、基板保持部20によって回転する基板Wに対して、過水供給部50は、ノズル56から過酸化水素水を供給する。これにより、基板Wの上面Waの剥離液が過酸化水素水に置換される。なお、ステップS105における基板Wの回転速度は、低速度(例えば、10rpm)であってもよいし、高速度(例えば、500rpm以上、2000rpm以下)であってもよい。第1実施形態では、基板Wの回転速度は、高速度である。
【0096】
そして、制御部102は、過酸化水素水の供給を開始してから所定時間が経過すると、過酸化水素水の供給を停止する。
【0097】
次に、ステップS106において、基板Wにリンス液を供給して基板Wをリンス処理する。制御部102の制御により、リンス液供給部60は、ノズル66から基板Wにリンス液を供給する。例えば、リンス液供給部60は、リンス液としてDIWを供給する。そして、制御部102は、リンス液の供給を開始してから所定時間が経過すると、リンス液の供給を停止する。
【0098】
次に、ステップS107において、基板Wを乾燥する。制御部102の制御により、基板保持部20は、基板Wの回転速度を増加させて基板W上のリンス液を遠心力によって吹き飛ばす。
【0099】
次に、ステップS108において、基板Wの回転を停止する。制御部102の制御により、基板保持部20は、基板Wの回転を停止する。
【0100】
次に、ステップS109において、基板処理ユニット10から基板Wを取り出す。制御部102の制御により、基板保持部20は基板Wの保持を解除し、センターロボットCRは、チャンバー11から基板Wを取り出す。その後、基板Wは、インデクサーロボットIRを介して基板処理装置100の外部に搬送される。
【0101】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。
【0102】
以上、図1図5を参照して説明したように、第1実施形態では、基板処理装置100は、基板Wにアルカリ液を供給するアルカリ液供給部40と、アルカリ液が基板Wのレジスト層203に保持されている間に、基板Wに酸性の剥離液を供給する剥離液供給部30とを備える。従って、剥離液とアルカリ液とが中和反応を起こしながら、レジスト層203を溶解する。このとき、中和反応により剥離液の温度が上昇するため、レジスト層203に対する剥離液の溶解速度が大きくなる。従って、剥離液の処理時間を短縮することができる。その結果、剥離液の消費量を削減することができる。
【0103】
また、上記のように、アルカリ液供給部40が基板Wへのアルカリ液の供給を停止した後、剥離液供給部30は、基板Wに剥離液を供給する。従って、アルカリ液の供給を停止せずに、剥離液を供給する際にもアルカリ液を供給し続ける場合と比べて、アルカリ液の消費量を抑制できる。
【0104】
また、剥離液とアルカリ液とが中和反応することにより生成される塩の量を抑えることができる。よって、チャンバー11内で塩が結晶化してパーティクル汚染の原因となることを抑制できる。その結果、剥離液の処理時間を短縮しながら、パーティクルを抑えることができる。
【0105】
また、上記のように、剥離液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液(SPM)を含む。従って、剥離液として例えば硫酸を用いる場合に比べて、レジスト層203の剥離時間を短縮できる。
【0106】
また、上記のように、レジスト層203は、少なくとも基材201とは反対側に配置される硬化層203aを有する。硬化層203aを有するレジスト層203は、硬化層203aを有しないレジスト層203に比べて、剥離しにくい。従って、硬化層203aを有するレジスト層203を剥離する際に、本発明を適用することは特に効果的である。
【0107】
(第1変形例)
次に、引き続き図5を参照して、本発明の第1変形例による基板処理装置100について説明する。第1変形例では、第1実施形態とは異なり、アルカリ液を基板Wに供給する時間と、剥離液を基板Wに供給する時間とがオーバーラップする例について説明する。なお、第1変形例の基板処理ユニット10の構成は、第1実施形態と同様である。
【0108】
図5に示すように、ステップS101およびステップS102は、第1実施形態と同様である。
【0109】
次に、ステップS103において、アルカリ液を基板Wに供給する。ここで、第1変形例では、第1実施形態とは異なり、ステップS103でアルカリ液の供給を停止しない。
【0110】
次に、ステップS104において、剥離液を基板Wに供給して、基板Wを剥離処理する。制御部102の制御により、基板保持部20によって回転する基板Wに対して、剥離液供給部30は、ノズル36から剥離液を供給する。このとき、第1変形例では、アルカリ液供給部40からアルカリ液が供給されながら、剥離液供給部30から剥離液が基板Wに供給される。つまり、第1変形例では、第1実施形態とは異なり、アルカリ液を基板Wに供給する時間と、剥離液を基板Wに供給する時間とがオーバーラップする。
【0111】
そして、制御部102は、剥離液またはアルカリ液の供給を開始してから所定時間が経過すると、アルカリ液の供給を停止する。
【0112】
その後、制御部102は、剥離液の供給を開始してから所定時間が経過すると、剥離液の供給を停止する。
【0113】
次に、第1実施形態と同様にして、ステップS105~ステップS109が実行される。
【0114】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。第1変形例のその他の基板処理方法および効果は、第1実施形態と同様である。
【0115】
(第2実施形態)
次に、図6および図7を参照して、本発明の第2実施形態による基板処理装置100について説明する。図6は、第2実施形態による基板処理装置100の基板処理方法のフロー図である。図7は、レジスト層203の硬化層203aにアルカリ液が浸透した状態を示す模式的な拡大断面図である。なお、図7では、理解を容易にするために、レジスト層203内に浸透したアルカリ液にハッチングを施している。
【0116】
第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、アルカリ液を基板Wのレジスト層203に浸透させる浸透工程を設ける例について説明する。第2実施形態の基板処理装置100による基板処理方法は、ステップS101~ステップS103、ステップS201、ステップS104~ステップS109を含む。ステップS101~S103、S201、S104~S109は、制御部102によって実行される。なお、ステップS201は、本発明の「浸透工程」の一例である。第2実施形態の基板処理装置100の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0117】
第2実施形態では、硬化層203aを有するレジスト層203を含む基板Wに対して処理が行われる。また、第2実施形態では、アルカリ液として、無機アルカリ液が用いられる。第2実施形態では、無機アルカリ液として、例えば、NH4OHが用いられる。以下、詳細に説明する。
【0118】
図6に示すように、ステップS101は、第1実施形態と同様である。
【0119】
次に、ステップS102において、基板Wの回転を開始する。なお、第2実施形態では、基板Wの回転速度は、例えば、低速度(10rpm)である。
【0120】
次に、ステップS103において、アルカリ液を基板Wに供給する。ステップS103における基板Wの回転速度は、基板W上に供給されたアルカリ液が基板W上から排出されない速度、または、ほとんど排出されない速度であることが好ましい。第2実施形態では、基板Wの回転速度は、低速度(例えば、10rpm)である。従って、基板W上に供給されたアルカリ液は、基板W上から排出されない。
【0121】
そして、制御部102は、基板W上へのアルカリ液の供給を開始してから所定時間が経過すると、アルカリ液の供給を停止する。これにより、基板W上のアルカリ液の膜厚は、数mm(例えば、1mm以上、5mm以下)になる。
【0122】
次に、ステップS201において、図7に示すように、基板Wに供給されたアルカリ液を、レジスト層203内に浸透させる。具体的には、制御部102は、アルカリ液の供給を停止した状態で、基板Wの低速度の回転を所定時間維持する。所定時間は、特に限定されるものではないが、無機アルカリ液がレジスト層203の硬化層203aに浸透するためにかかる時間である。例えば、所定時間は、5秒以上、30秒以下であり、好ましくは、10秒以上、20秒以下である。ステップS201では、アルカリ液は、レジスト層203に対して厚み方向に浸透する。
【0123】
そして、アルカリ液の供給を停止してから所定時間が経過すると、ステップS104に進む。
【0124】
次に、ステップS104において、剥離液を基板Wに供給して、レジスト層203を剥離処理する。制御部102の制御により、基板保持部20によって回転する基板Wに対して、剥離液供給部30は、ノズル36から剥離液を供給する。例えば、剥離液供給部30は、剥離液としてSPMを供給する。
【0125】
ここで、剥離液供給部30は、アルカリ液供給部40から供給されたアルカリ液が基板Wに保持されている間に、基板Wに剥離液を供給する。具体的には、第2実施形態では、アルカリ液は、基板Wの上面Wa上に保持されることに加え、レジスト層203の内部にも保持される。
【0126】
このため、剥離液は、レジスト層203上を面方向に拡がりながら、レジスト層203上のアルカリ液と中和反応を起こす。さらに、第2実施形態では、剥離液は、レジスト層203を厚み方向に溶解することにより、レジスト層203内に保持されているアルカリ液と中和反応を起こす。つまり、剥離液は、レジスト層203を厚み方向に溶解しながら、レジスト層203内に保持されている新しい(未反応の)アルカリ液との間で中和反応を連続的に起こす。
【0127】
そして、制御部102は、剥離液の供給を開始してから所定時間が経過すると、剥離液の供給を停止する。なお、第2実施形態の剥離液の処理時間は、第1実施形態の剥離液の処理時間よりも短い。
【0128】
次に、第1実施形態と同様にして、ステップS105~ステップS109が実行される。
【0129】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。第2実施形態のその他の基板処理方法は、第1実施形態と同様である。
【0130】
第2実施形態では、上記のように、アルカリ液供給部40は、基板Wにアルカリ液を供給して、アルカリ液をレジスト層203に浸透させることによってレジスト層203内にアルカリ液を保持させる。従って、剥離液は、レジスト層203を厚み方向に溶解しながら、レジスト層203内に保持されている新しい(未反応の)アルカリ液との間で中和反応を連続的に起こす。よって、剥離液がレジスト層203を厚み方向に溶解する際に高温状態を維持しながらレジスト層203の硬化層203aを溶解する。つまり、剥離液は、溶解速度の大きい状態を維持しながらレジスト層203の硬化層203aを溶解する。よって、剥離液の処理時間をより短縮することができる。その結果、剥離液の消費量をより削減することができる。
【0131】
また、上記のように、アルカリ液は、無機アルカリ液を含む。ここで、無機アルカリ液は、レジスト層203の硬化層203aに浸透しやすい一方、有機アルカリ液は、レジスト層203の硬化層203aに浸透しにくい。従って、アルカリ液として無機アルカリ液を用いることによって、レジスト層203の硬化層203aにアルカリ液を容易に浸透させることができる。
【0132】
第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0133】
(第2変形例)
次に、図8を参照して、本発明の第2変形例による基板処理装置100について説明する。図8は、第2変形例による基板処理装置100の基板処理方法のフロー図である。第2変形例では、第2実施形態とは異なり、基板W上のアルカリ液を薄膜化した後に、剥離液を供給する例について説明する。第2変形例の基板処理装置100による基板処理方法は、ステップS101~ステップS103、ステップS201、ステップS202、ステップS104~ステップS109を含む。ステップS101~S103、S201、S202、S104~S109は、制御部102によって実行される。第2変形例の基板処理装置100の構成は、第2実施形態と同様である。
【0134】
図8に示すように、ステップS101~ステップS103およびステップS201は、第2実施形態と同様である。
【0135】
次に、ステップS202において、基板W上のアルカリ液を薄膜化する。具体的には、制御部102は、基板Wの回転速度を、浸透工程(ステップS201)の基板Wの回転速度よりも高くする。基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、500rpm以上、1000rpm以下である。また、制御部102は、基板Wの回転速度を高くした状態を所定時間維持する。所定時間は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5秒以上、5秒以下であり、好ましくは、2秒以下である。
【0136】
このように、基板Wの回転速度を数秒程度高くすることによって、基板W上のアルカリ液の一部が基板W上から排出され、基板W上のアルカリ液が薄膜化する。具体的には、基板W上のアルカリ液の膜厚が、数mm(例えば、1mm以上、5mm以下)から0.1mm以上、1.5mm以下になる。好ましくは、基板W上のアルカリ液の膜厚は、0.1mm以上、0.5mm以下になる。
【0137】
また、基板W上のアルカリ液を薄膜化することによって、基板W上のアルカリ液の膜厚は、均一化される。
【0138】
次に、ステップS104において、剥離液を基板Wに供給して、レジスト層203を剥離する。このとき、第2変形例では、基板W上のアルカリ液が均一化されているため、基板Wの面方向(略水平方向)において略均一に、剥離液とアルカリ液との間で中和反応が起きる。よって、基板Wの面方向において、剥離液の温度にバラツキが生じることを抑制できる。その結果、基板Wの面方向において、レジスト層203を略均一に剥離することができる。
【0139】
また、第2変形例では、基板W上のアルカリ液は薄膜化されているため、剥離液とアルカリ液との間で中和反応が激しく起きることを抑制できる。よって、剥離液、アルカリ液、および、中和反応により生成される塩が周囲に飛散することを抑制できる。また、剥離液とアルカリ液との中和反応により生成される塩の量を抑えることができる。
【0140】
なお、ステップS104では、基板Wの回転速度は、薄膜化工程(ステップS202)に比べて低く変更される。例えば、基板Wの回転速度は、低速度(例えば、10rpm)に変更される。
【0141】
次に、第2実施形態と同様にして、ステップS105~ステップS109が実行される。
【0142】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。第2変形例のその他の基板処理方法および効果は、第2実施形態と同様である。
【0143】
(第3実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態による基板処理装置100について説明する。図9は、第3実施形態による基板処理装置100の基板処理方法のフロー図である。第3実施形態では、第2実施形態とは異なり、浸透工程(ステップS201)の後に、基板Wにリンス液を供給するリンス液供給工程(ステップS301)を設ける例について説明する。第3実施形態の基板処理装置100による基板処理方法は、ステップS101~ステップS103、ステップS201、ステップS301、ステップS104~ステップS109を含む。ステップS101~S103、S201、S301、S104~S109は、制御部102によって実行される。なお、ステップS301は、本発明の「リンス液供給工程」の一例である。第3実施形態の基板処理装置100の構成は、第2実施形態と同様である。
【0144】
図9に示すように、ステップS101~ステップS103およびステップS201は、第2実施形態と同様である。
【0145】
次に、ステップS301において、基板Wにリンス液を供給する。具体的には、制御部102の制御により、リンス液供給部60は、基板Wにリンス液を供給する。このとき、制御部102は、基板Wの回転速度を、浸透工程(ステップS201)の基板Wの回転速度よりも高くする。基板Wの回転速度は、特に限定されるものではないが、例えば、高速度(500rpm以上、2000rpm以下)である。これにより、基板Wの上面Wa上のアルカリ液が基板W上から排出され、基板Wの上面Wa上のアルカリ液がリンス液に置換される。
【0146】
ただし、基板Wのレジスト層203内に浸透したアルカリ液は、レジスト層203内に保持される。つまり、レジスト層203上のアルカリ液は排出される一方、レジスト層203内のアルカリ液は保持される。
【0147】
そして、リンス液の供給を開始してから所定時間が経過すると、リンス液の供給を停止する。
【0148】
次に、ステップS104において、剥離液を基板Wに供給して、レジスト層203を剥離する。このとき、第3実施形態では、剥離液供給部30は、アルカリ液供給部40から供給されたアルカリ液が基板Wに保持されている間に、基板Wに剥離液を供給する。具体的には、第3実施形態では、剥離液供給部30は、基板Wのレジスト層203内にアルカリ液が保持されている状態で、基板Wに剥離液を供給する。
【0149】
第3実施形態では、基板W上にはアルカリ液がないため、剥離液は、レジスト層203内に浸透しているアルカリ液と中和反応を起こす。具体的には、第3実施形態では、第2実施形態と同様、剥離液は、レジスト層203を厚み方向に溶解しながら、レジスト層203内に保持されている新しい(未反応の)アルカリ液との間で中和反応を連続的に起こす。従って、剥離液がレジスト層203を厚み方向に溶解する際に高温状態を維持しながらレジスト層203の硬化層203aを溶解する。よって、剥離液の処理時間を短縮することができる。その結果、剥離液の消費量を削減することができる。
【0150】
なお、ステップS104では、基板Wの回転速度は、浸透工程(ステップS201)と同じであってもよいし、高速度(例えば、500rpm以上、2000rpm以下)であってもよい。例えば、基板Wの回転速度は、低速度(例えば、10rpm)に変更される。
【0151】
次に、第2実施形態と同様にして、ステップS105~ステップS109が実行される。
【0152】
以上のようにして、基板Wに対する処理が終了する。第3実施形態のその他の基板処理方法は、第2実施形態と同様である。
【0153】
第3実施形態では、上記のように、アルカリ液をレジスト層203に浸透させた後、基板Wにリンス液を供給して基板Wの上面Wa上のアルカリ液をリンス液に置換し、その後、基板Wに剥離液を供給する。従って、基板Wに剥離液を供給する際に、基板W上にはアルカリ液がないため、剥離液は、レジスト層203内に浸透しているアルカリ液だけと中和反応を起こす。よって、第2変形例と比べて、剥離液、アルカリ液および塩が周囲に飛散することを、さらに抑制できる。また、剥離液とアルカリ液との中和反応により生成される塩の量を、さらに抑えることができる。
【0154】
第3実施形態のその他の効果は、第2実施形態と同様である。
【0155】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0156】
例えば、第2実施形態~第3実施形態では、アルカリ液供給工程(ステップS103)でアルカリ液の供給を停止した後、浸透工程(ステップS201)で基板Wを低速度で回転させる例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、アルカリ液供給工程(ステップS103)でアルカリ液の供給を停止させずに、浸透工程(ステップS201)でアルカリ液を供給しながら、基板Wを低速度または高速度で回転させてもよい。ただし、この場合、アルカリ液の消費量が多くなるので、第2実施形態~第3実施形態のように、アルカリ液供給工程(ステップS103)でアルカリ液の供給を停止した後、浸透工程(ステップS201)で基板Wを低速度で回転させる方が好ましい。
【0157】
また、第1実施形態では、アルカリ液として、無機アルカリ液を用いる例について説明したが、本発明はこれに限らない。アルカリ液として、TMAH等の有機アルカリ液を用いてもよい。
【0158】
また、第1実施形態~第3実施形態では、基板Wにアルカリ液を供給する工程(ステップS103)において、基板保持部20によって回転されている基板Wにアルカリ液を供給する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、回転されていない基板Wにアルカリ液を供給してもよい。
【0159】
また、第1実施形態~第3実施形態では、リンス液を基板Wに供給する工程(ステップS106)の直後に基板Wを乾燥する工程(ステップS107)を実行する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、リンス液を基板Wに供給する工程(ステップS106)の後に、さらに基板Wに薬液を供給する工程を実行してもよい。具体的には、リンス液を基板Wに供給する工程(ステップS106)の後に、例えば、基板WにSC1を供給する工程、および、リンス液を基板Wに供給する工程をさらに実行してもよい。
【0160】
また、第1実施形態~第3実施形態では、基板Wに剥離液を供給する工程(ステップS104)、および、基板Wに過酸化水素水を供給する工程(ステップS105)において、基板Wを加熱しない例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、基板Wに剥離液を供給する工程(ステップS104)、および/または、基板Wに過酸化水素水を供給する工程(ステップS105)において、ヒータ等の加熱装置を用いて基板Wを加熱してもよい。
【0161】
また、第1実施形態~第3実施形態では、剥離液として硫酸と過酸化水素水との混合液を用いる構成において、供給源から配管32に硫酸過酸化水素水混合液が供給される例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、硫酸と過酸化水素水とを配管32の途中で合流させてノズル36に供給してもよい。この場合、硫酸の供給を停止することによって、過酸化水素水のみをノズル36に供給し、基板Wに過酸化水素水を供給することが可能である。従って、過水供給部50を設けなくてもよい。
【0162】
また、第1実施形態~第3実施形態において、剥離液をノズル36から、例えば噴出してもよい。具体的には、例えば、高温の霧状の剥離液をノズル36から噴出してもよいし、剥離液と不活性ガスとの混合物をノズル36から噴出してもよい。また、シャワー状の剥離液を基板Wに供給してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0164】
20 :基板保持部
30 :剥離液供給部
40 :アルカリ液供給部
60 :リンス液供給部
100 :基板処理装置
201 :基材
203 :レジスト層
203a :硬化層
S103 :ステップ(アルカリ液供給工程)
S104 :ステップ(剥離液供給工程)
S201 :ステップ(浸透工程)
S301 :ステップ(リンス液供給工程)
W :基板
Wa :上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9