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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075339
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240527BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/06 301M
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 658A
H01L29/78 658F
H01L29/78 652M
H01L29/78 652D
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186720
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】奥村 啓樹
(57)【要約】
【課題】ゲート抵抗を容易に内蔵することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1導電型のドリフト層2と、ドリフト層2の上面側に設けられた第2導電型のベース領域3a~3dと、ドリフト層2の上面側に設けられた第1導電型の主領域4a~4dと、ドリフト層2の上面側に設けられ、活性部101の両端に亘って一方向に延伸するゲートトレンチ10bに、ゲート絶縁膜6を介して埋め込まれたゲート電極7bと、活性部101の外周側に設けられ、ゲート電極7bに電気的に接続されるゲートランナー21と、ゲートランナー21よりも内側に設けられたゲートパッド20と、ドリフト層2の上面側に設けられ、活性部101の両端に亘って一方向に延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに、絶縁膜6を介して埋め込まれ、ゲートパッド20とゲートランナー21の間に電気的に接続される抵抗層7d~7gとを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性部、及び前記活性部の周囲の終端部に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に前記ベース領域に接して設けられた第1導電型の主領域と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に設けられ、前記活性部の両端に亘って一方向に延伸するゲートトレンチに、ゲート絶縁膜を介して埋め込まれたゲート電極と、
前記活性部の外周側に設けられ、前記ゲート電極に電気的に接続されるゲートランナーと、
前記活性部の前記ゲートランナーよりも内側に設けられたゲートパッドと、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に設けられ、前記活性部の両端に亘って前記一方向に延伸する抵抗用トレンチに、絶縁膜を介して埋め込まれ、前記ゲートパッドと前記ゲートランナーの間に電気的に接続される抵抗層と、
を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記抵抗用トレンチの深さが、前記ゲートトレンチの深さよりも深い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ドリフト層の上面側に前記ゲートトレンチに隣り合うように設けられ、前記活性部の両端に亘って一方向に延伸するソーストレンチに、絶縁膜を介して埋め込まれた導電層と、
前記ソーストレンチの下面及び側面に接して設けられた第2導電型の電界緩和領域と、
を更に備える
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗用トレンチの深さが、前記ソーストレンチの深さと同一である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記抵抗用トレンチが互いに離間して複数設けられ、
前記複数の抵抗用トレンチに埋め込まれた複数の前記抵抗層が並列接続される
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記抵抗用トレンチが互いに離間して複数設けられ、
前記複数の抵抗用トレンチの互いの間隔が、前記ゲートトレンチと前記ソーストレンチとの間隔と同一である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記抵抗用トレンチの下面及び側面に接して設けられた第2導電型の電界緩和領域を更に備える
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲートランナーの直下の前記ドリフト層の上面側に設けられ、前記活性部の両端に亘って一方向に延伸する外周側トレンチに、絶縁膜を介して埋め込まれた導電層を更に備える
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記外周側トレンチの深さが、前記抵抗用トレンチの深さと同一である
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記外周側トレンチの下面及び側面に接して設けられた第2導電型の電界緩和領域を更に備える
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記終端部に、前記抵抗用トレンチと同一の深さの段差部が設けられている
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記終端部に、第2導電型のガードリングが設けられている
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記抵抗層の上端の位置が、前記ゲート電極の上端の位置と同一である
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記抵抗層の上端が、前記ゲート電極の上端よりも上方に位置する
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記複数の抵抗用トレンチに埋め込まれた抵抗層同士が接続部により接続されている
請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記抵抗用トレンチが互いに離間して複数設けられ、
前記複数の抵抗用トレンチが、
前記ゲートトレンチよりも深い第1トレンチと、
前記ゲートトレンチと同一の深さの第2トレンチと、
を備える
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記抵抗用トレンチが互いに離間して複数設けられ、
前記複数の抵抗用トレンチに埋め込まれた複数の前記抵抗層が直列接続される
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記ドリフト層は、炭化珪素からなるエピタキシャル成長層で構成されている
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記ゲート電極及び前記抵抗層は、ポリシリコンで構成されている
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項20】
活性部、及び前記活性部の周囲の終端部に第1導電型のドリフト層を形成する工程と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に第2導電型のベース領域を形成する工程と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に前記ベース領域に接して第1導電型の主領域を形成する工程と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に、前記活性部の両端に亘って一方向に延伸するゲートトレンチを形成する工程と、
前記ゲートトレンチにゲート絶縁膜を介してゲート電極を埋め込む工程と、
前記活性部の外周側に、前記ゲート電極に電気的に接続されるゲートランナーを形成する工程と、
前記活性部の前記ゲートランナーよりも内側にゲートパッドを形成する工程と、
前記活性部の前記ドリフト層の上面側に、前記活性部の両端に亘って前記一方向に延伸する抵抗用トレンチを形成する工程と、
前記抵抗用トレンチに絶縁膜を介して、前記ゲートパッドと前記ゲートランナーの間に電気的に接続される抵抗層を埋め込む工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレンチ型のゲート電極を有するIGBT素子と、抵抗素子であるトレンチ型内蔵ゲート抵抗とを有する半導体装置において、複数の内蔵ゲート抵抗を並列接続し、長さを調節することで抵抗値を変化させることが開示されている。特許文献2には、ソーストレンチをゲートトレンチよりも深い構造としたダブルトレンチ構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-294301号公報
【特許文献2】特開2019-161200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレンチゲート型の半導体装置において、基板の上面に絶縁膜を介してゲート抵抗を形成する場合、工数が増大するため、ゲート抵抗を内蔵させることは容易ではない。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑み、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様は、活性部、及び活性部の周囲の終端部に設けられた第1導電型のドリフト層と、活性部のドリフト層の上面側に設けられた第2導電型のベース領域と、活性部のドリフト層の上面側にベース領域に接して設けられた第1導電型の主領域と、活性部のドリフト層の上面側に設けられ、活性部の両端に亘って一方向に延伸するゲートトレンチに、ゲート絶縁膜を介して埋め込まれたゲート電極と、活性部の外周側に設けられ、ゲート電極に電気的に接続されるゲートランナーと、活性部のゲートランナーよりも内側に設けられたゲートパッドと、活性部のドリフト層の上面側に設けられ、活性部の両端に亘って一方向に延伸する抵抗用トレンチに、絶縁膜を介して埋め込まれ、ゲートパッドとゲートランナーの間に電気的に接続される抵抗層と、を備える半導体装置であることを要旨とする。
【0007】
本開示の他の態様は、活性部、及び活性部の周囲の終端部に第1導電型のドリフト層を形成する工程と、活性部のドリフト層の上面側に第2導電型のベース領域を形成する工程と、活性部のドリフト層の上面側にベース領域に接して第1導電型の主領域を形成する工程と、活性部のドリフト層の上面側に、活性部の両端に亘って一方向に延伸するゲートトレンチを形成する工程と、ゲートトレンチにゲート絶縁膜を介してゲート電極を埋め込む工程と、活性部の外周側に、ゲート電極に電気的に接続されるゲートランナーを形成する工程と、活性部のゲートランナーよりも内側にゲートパッドを形成する工程と、活性部のドリフト層の上面側に、活性部の両端に亘って一方向に延伸する抵抗用トレンチを形成する工程と、抵抗用トレンチに絶縁膜を介して、ゲートパッドとゲートランナーの間に電気的に接続される抵抗層を埋め込む工程と、を含む半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の一例を示す平面概略図である。
図2図1の領域Aを拡大した平面概略図である。
図3図2のA-A´線の断面概略図である。
図4図2のB-B´線の断面概略図である。
図5図2のC-C´線の断面概略図である。
図6】第1実施形態に係る半導体モジュールの一例を示す概略図である。
図7】比較例に係る半導体装置を示す平面概略図である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面概略図である。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図8に引き続く断面概略図である。
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図9に引き続く断面概略図である。
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図10に引き続く断面概略図である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図11に引き続く断面概略図である。
図13】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図12に引き続く断面概略図である。
図14】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図13に引き続く断面概略図である。
図15】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明するための図14に引き続く断面概略図である。
図16】第2実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図17】第3実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図18】第4実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図19】第5実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図20】第6実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図21】第7実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図22】第8実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図23】第9実施形態に係る半導体装置の一例を示す平面概略図である。
図24】第10実施形態に係る半導体装置の一例を示す平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の第1~第10実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す第1~第10実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0011】
本明細書において、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)等のMOSトランジスタのソース領域は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)のエミッタ領域として選択可能な「一方の主領域(第1主領域)」である。また、MOS制御静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)等のサイリスタにおいては、「一方の主領域」はカソード領域として選択可能である。MOSトランジスタのドレイン領域は、IGBTにおいてはコレクタ領域を、サイリスタにおいてはアノード領域として選択可能な半導体装置の「他方の主領域(第2主領域)」である。本明細書において単に「主領域」というときは、当業者の技術常識から妥当な第1主領域又は第2主領域のいずれかを意味する。
【0012】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。また、「上面」は「おもて面」と読み替えてもよく、「下面」は「裏面」と読み替えてもよい。
【0013】
また、以下の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明する。しかし、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。またnやpに付す+や-は、+及び-が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。ただし同じnとnとが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物濃度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0014】
(第1実施形態)
<半導体装置の構造>
第1実施形態に係る半導体装置(半導体チップ)は、図1に示すように、活性素子を含む活性部101と、活性部101の周囲に設けられ、耐圧構造を有する終端部102とを含む。活性部101は矩形の平面パターンを有する。活性部101の外周側には、ゲートランナー(ゲートフィンガ)21が設けられている。ゲートランナー21は、枠状の平面パターンを有する。ゲートランナー21は、活性部101に含まれる活性素子のゲート電極に電気的に接続されている。
【0015】
活性部101の一部にはゲートパッド20が設けられている。ゲートパッド20にはボンディングワイヤが接続可能であり、ボンディングワイヤを介してゲートドライブ回路が接続される。ゲートパッド20とゲートランナー21との間には、内蔵抵抗部100が設けられている。ゲートパッド20とゲートランナー21とは、内蔵抵抗部100を介して電気的に接続されている。
【0016】
図1に示した内蔵抵抗部100の周辺を囲む領域Aを拡大した平面概略図を図2に示す。図2では、第1実施形態に係る半導体装置に含まれるトレンチ10a~10iを破線で模式的に示している。トレンチ10a~10iは、互いに平行に、活性部101の両端に亘って一方向(図2の左右方向)に延伸するストライプ状の平面パターンを有する。トレンチ10a~10iの幅は互いに略同一であり、トレンチ10a~10iの間隔は互いに略同一である。トレンチ10a~10iの長手方向の両端の位置は、活性部101の外周の端部の位置と一致する。第1実施形態に係る半導体装置は、活性部101の全領域に亘って、トレンチ10a~10iと同様の多数のトレンチを含む。
【0017】
図2のA-A´線の断面概略図を図3に示す。図3に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、活性部101及び終端部102に亘って設けられた第1導電型(n型)のドリフト層2を備える。ドリフト層2は、炭化珪素(SiC)からなるエピタキシャル成長層で構成されている。
【0018】
図3では、活性部101が、活性素子としてトレンチゲート構造の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む場合を例示する。活性部101において、ドリフト層2の上部には、第2導電型(p型)のベース領域3a~3dが選択的に設けられている。ベース領域3a~3dの上面側には、ベース領域3a~3dに接するように、n型の第1主領域(ソース領域)4a~4dが選択的に設けられている。
【0019】
ドリフト層2の上面から、ドリフト層2の上面の法線方向である深さ方向に向かって、トレンチ(ソーストレンチ)10a,10cと、ソーストレンチ10a,10cに挟まれたトレンチ(ゲートトレンチ)10bが設けられている。即ち、第1実施形態に係る半導体装置は、ゲートトレンチ10b及びソーストレンチ10a,10cを有するダブルトレンチ構造である。なお、ソーストレンチ10a,10cを有さず、ゲートトレンチ10bを有するトレンチゲート型の構造であってもよい。図3では活性部101の一部のみを図示しているが、活性部101には、ソーストレンチ10a及びゲートトレンチ10bを単位構造として、同様の単位構造が繰り返し設けられている。
【0020】
ソーストレンチ10a,10cの深さd1は、ゲートトレンチ10bの深さd2よりも深い。なお、ソーストレンチ10a,10cの深さd1は、ゲートトレンチ10bの深さd2と略同一であってもよい。ソーストレンチ10a,10cの幅w1は、ゲートトレンチ10bの幅w2と略同一である。なお、ソーストレンチ10a,10cの幅w1は、ゲートトレンチ10bの幅w2と異なっていてもよい。ソーストレンチ10a,10cは、ゲートトレンチ10bと間隔s1でそれぞれ離間する。
【0021】
ソース領域4a及びベース領域3aは、ソーストレンチ10aの左側のメサ部に設けられている。ここで、「メサ部」とは、ドリフト層2の隣り合うトレンチに挟まれた部分であり、トレンチの下面よりも上方の部分として定義される。ソース領域4b及びベース領域3bは、ソーストレンチ10aとゲートトレンチ10bに挟まれたメサ部に設けられている。ソース領域4c及びベース領域3cは、ゲートトレンチ10bとソーストレンチ10cに挟まれたメサ部に設けられている。ソース領域4d及びベース領域3dは、ソーストレンチ10cの右側のメサ部に設けられている。
【0022】
ゲートトレンチ10bの左側の側面にはソース領域4b及びベース領域3bが接している。ゲートトレンチ10bの右側の側面にはソース領域4c及びベース領域3cが接している。ゲートトレンチ10bの下面及び両側の側面に沿ってゲート絶縁膜である絶縁膜6が設けられている。ゲートトレンチ10bの内側には絶縁膜6を介してゲート電極7bが埋め込まれている。ゲートトレンチ10bに埋め込まれたゲート絶縁膜としての絶縁膜6及びゲート電極7bにより絶縁ゲート型電極構造(6,7b)が構成されている。絶縁ゲート型電極構造(6,7b)は、ゲートトレンチ10bの側面に接する部分のベース領域3b,3cの表面ポテンシャルを制御する。
【0023】
絶縁膜6としては、シリコン酸化膜(SiO膜)の他、酸窒化珪素(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、窒化珪素(Si)膜、アルミニウム酸化物(Al)膜、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y)膜、ハフニウム酸化物(HfO)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO)膜、タンタル酸化物(Ta)膜、ビスマス酸化物(Bi)膜のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜等が採用可能である。
【0024】
ゲート電極7bの材料としては、例えば燐(P)等のn型不純物又はボロン(B)等のp型不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)や、チタン(Ti)又はタングステン(W)等の高融点金属等が使用可能である。ゲート電極7bをp型のポリシリコン層で構成する場合には、ゲート閾値電圧を上げることができる。ゲート電極7bをn型のポリシリコン層で構成する場合には、スイッチング動作を高速化できる。
【0025】
図3の断面視では、ゲート電極7bの下面、両側の側面及び上面である全周は、絶縁膜6により被覆されている。ゲート電極7bの上面側には絶縁膜6を介して層間絶縁膜8が設けられている。ゲート電極7bは、図3の紙面の手前側又は奥側において絶縁膜6及び層間絶縁膜8に設けられたコンタクトホール(ゲートコンタクトホール)を介して、ゲートランナー21に電気的に接続されている。
【0026】
層間絶縁膜8としては、例えばボロン(B)及び燐(P)を添加したシリコン酸化膜(BPSG膜)が用いられる。層間絶縁膜8としては、燐(P)を添加したシリコン酸化膜(PSG膜)、「NSG」と称される燐(P)やボロン(B)を含まないノンドープのシリコン酸化膜、ボロン(B)を添加したシリコン酸化膜(BSG膜)、シリコン窒化膜(Si膜)等でもよく、これらの積層膜でもよい。
【0027】
ドリフト層2には、ソーストレンチ10a,10cの下面及び側面に接するようにp型の電界緩和領域5a,5bが設けられている。電界緩和領域5a,5bの不純物濃度は、ベース領域3a~3dの不純物濃度よりも高い。電界緩和領域5a,5bは、ゲートトレンチ10bの底部のゲート絶縁膜6における電界集中を緩和し、ゲートトレンチ10bの底部のゲート絶縁膜6を保護する機能を有する。電界緩和領域5a,5bは、ソーストレンチ10a,10cを形成した後に、ソーストレンチ10a,10cの側面及び下面にイオン注入により形成可能である。
【0028】
ソーストレンチ10aの左側の側面には、電界緩和領域5aを介してソース領域4a及びベース領域3aが接している。ソーストレンチ10aの右側の側面には、電界緩和領域5aを介してソース領域4b及びベース領域3bが接している。ソーストレンチ10cの左側の側面には、電界緩和領域5bを介してソース領域4c及びベース領域3cが接している。ソーストレンチ10bの右側の側面には、電界緩和領域5bを介してソース領域4d及びベース領域3dが接している。
【0029】
ソーストレンチ10a,10cの下面及び両側の側面に沿って絶縁膜6が設けられている。ソーストレンチ10a,10cの内側には絶縁膜6を介して導電層7a,7cが埋め込まれている。導電層7a,7cは、ゲート電極7bと同様の材料からなり、例えばn型不純物又はp型不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン層で形成されている。導電層7a,7cの下面、両側の側面及び上面である全周は、絶縁膜6により被覆されてよい。この場合、導電層7a,7cは浮遊電位となる。また、絶縁膜6にコンタクトホールを設け、導電層7a,7cをソース電極28と接続してもよい。この場合、導電層7a,7cはソース電極28と同電位となる。
【0030】
導電層7a,7cの上面側には、絶縁膜6を介して、第1主電極(ソース電極)28が設けられている。ソース電極28は、層間絶縁膜8のコンタクトホール(ソースコンタクトホール)を介して、ソース領域4a~4d及び電界緩和領域5a,5bに接続されている。ソース電極28は、例えばアルミニウム(Al)膜やアルミニウム-シリコン(Al-Si)膜で構成することができる。ソース領域4a~4d及び電界緩和領域5a,5bの上面と、ソース電極28の間には、ソース領域4a~4d及び電界緩和領域5a,5bとオーミック接触するためのニッケルシリサイド(NiSi)等からなるシリサイド層や、窒化チタン(TiN)又はチタン(Ti)等からなるバリアメタル層が設けられていてもよい。
【0031】
ドリフト層2の下面側には、ドリフト層2よりも高不純物濃度のn型の第2主領域(ドレイン領域)1が設けられている。ドレイン領域1は、SiCからなる半導体基板で構成されている。
【0032】
ドレイン領域1の下面側には第2主電極(ドレイン電極)11が設けられている。ドレイン電極11としては、例えば金(Au)からなる単層膜や、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、Auの順で積層された金属膜が使用可能であり、更にその最下層にモリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属膜を積層してもよい。また、ドレイン領域1とドレイン電極11との間にニッケルシリサイド(NiSi)等からなるシリサイド層が設けられてもよい。
【0033】
活性部101のソーストレンチ10cよりも外周側において、ドリフト層2の上部には複数のトレンチ(抵抗用トレンチ)10d~10gが設けられている。抵抗用トレンチ10d~10gは活性素子としては機能せず、抵抗用トレンチ10d~10gの一部が図2に示した内蔵抵抗部100を構成する。なお、図3では、4本の抵抗用トレンチ10d~10gが設けられた場合を例示するが、抵抗用トレンチの本数は限定されず、1~3本の抵抗用トレンチが設けられていてもよく、5本以上の抵抗用トレンチが設けられていてもよい。
【0034】
抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3は、ゲートトレンチ10bの深さd2よりも深く、ソーストレンチ10a,10cの深さd1と略同一である。なお、抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3は、ソーストレンチ10a,10cの深さd1と異なっていてもよい。また、抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3は、ソーストレンチ10a,10cの深さd1よりも浅く、ゲートトレンチ10bの深さd2と略同一であってもよい。
【0035】
抵抗用トレンチ10d~10gの幅w3は、ソーストレンチ10a,10cの幅w1及びゲートトレンチ10bの幅w2と略同一である。なお、抵抗用トレンチ10d~10gの幅w3は、ソーストレンチ10a,10cの幅w1及びゲートトレンチ10bの幅w2と異なっていてもよい。抵抗用トレンチ10d~10gの互いの間隔s2は、ソーストレンチ10a,10cとゲートトレンチ10bの間隔s1と略同一である。なお、抵抗用トレンチ10d~10gの互いの間隔s2は、ソーストレンチ10a,10cとゲートトレンチ10bの間隔s1と異なっていてもよい。
【0036】
抵抗用トレンチ10d~10gの下面及び両側の側面に接するように、ドリフト層2の上部には、p型の電界緩和領域5cが設けられている。図3の断面視において、電界緩和領域5cは、抵抗用トレンチ10dの左側から抵抗用トレンチ10gの右側に亘って蛇行する断面形状を有する。
【0037】
抵抗用トレンチ10d~10gには、絶縁膜6を介して抵抗層7d~7gが埋め込まれている。抵抗層7d~7gは、ゲート電極7b及び導電層7a,7cと同様の材料からなり、例えばn型不純物又はp型不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン層で形成されている。抵抗層7d~7gの下面、両側の側面及び上面である全周は、絶縁膜6により被覆されている。抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gの上端の位置は、ソーストレンチ10a,10cに埋め込まれた導電層7a,7c及びゲートトレンチ10bに埋め込まれたゲート電極7bの上端の位置と略一致する。抵抗層7d~7gの上面側には、絶縁膜6を介して層間絶縁膜8が設けられている。
【0038】
活性部101の抵抗用トレンチ10gよりも外周側において、ドリフト層2の上部には、複数のトレンチ(外周側トレンチ)10h,10iが設けられている。なお、図3では、2本の外周側トレンチ10h,10iを含む場合を例示するが、外周側トレンチの本数は限定されない。1~3本の外周側トレンチを含んでいてもよく、5本以上の外周側トレンチを含んでいてもよい。
【0039】
外周側トレンチ10h,10iの深さd4は、ゲートトレンチ10bの深さd2よりも深く、ソーストレンチ10a,10cの深さd1及び抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3と略同一である。外周側トレンチ10h,10iの幅w4は、ソーストレンチ10a,10cの幅w1、ゲートトレンチ10bの幅w2及び抵抗用トレンチ10d~10gの幅w3と略同一である。外周側トレンチ10h,10iの間隔s3は、ソーストレンチ10a,10cとゲートトレンチ10bの間隔s1、及び抵抗用トレンチ10d~10gの間隔s2と略同一である。
【0040】
外周側トレンチ10h,10iには、絶縁膜6を介して導電層7h,7iが埋め込まれている。導電層7h,7iは、ゲート電極7b、導電層7a,7c及び抵抗層7d~7gと同様の材料からなり、例えばn型不純物又はp型不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン層で形成されている。導電層7h,7iの下面、両側の側面及び上面である全周は、絶縁膜6により被覆されている。導電層7h,7iの上面側には、絶縁膜6を介してゲートランナー21が設けられている。
【0041】
活性部101の外周側に設けられた終端部102には、段差部10jが設けられている。段差部10jの深さd5は、ソーストレンチ10a,10cの深さd1、抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3、外周側トレンチ10h,10iの深さd4と略同一である。段差部10jには、活性部101側から連続してp型の電界緩和領域5cが設けられている。電界緩和領域5cの端部よりも外周側には、接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造を構成するp型領域や、ガードリング、フィールドプレート、リサーフ等の構造のうち少なくとも一つを備えてよい。本例においては、複数のp型のガードリング5d~5fが設けられている。ガードリング5d~5fは、互いに離間して同心リング状に設けられている。段差部10jの側壁部の表面には配線層29が設けられている。
【0042】
図2のA-A´線に平行なB-B´線の断面概略図を図4に示す。図4に示すように、ドリフト層2の上部には、ソーストレンチ10a,10c、ゲートトレンチ10b、抵抗用トレンチ10d~10g及び外周側トレンチ10h,10iが設けられている。ソーストレンチ10a,10c及びゲートトレンチ10bの上方には、図3に示したソース電極28から離間して、ソース電極28と同層のゲートパッド20が設けられている。内蔵抵抗部100において、抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7fの上面側の絶縁膜6及び層間絶縁膜8にコンタクトホール(抵抗用コンタクトホール)が設けられている。抵抗層7e,7fは、抵抗用コンタクトホールに設けられたコンタクト24,25と、層間絶縁膜8の上面に設けられた配線層23を介してゲートランナー21に接続されている。
【0043】
図2のA-A´線及びB-B´線に直交する方向であって、抵抗用トレンチ10e上を通過するC-C´線の断面概略図を図5に示す。図5に示すように、抵抗用トレンチ10eに埋め込まれた抵抗層7eは、絶縁膜6及び層間絶縁膜8に設けられたコンタクトホール(抵抗用コンタクトホール)内のコンタクト24と、層間絶縁膜8の上面に設けられた配線層23を介して図2に示したゲートランナー21に接続されると共に、絶縁膜6及び層間絶縁膜8に設けられたコンタクトホール(抵抗用コンタクトホール)内のコンタクト26と、層間絶縁膜8の上面に設けられた配線層22を介して図2及び図4に示したゲートパッド20に接続されている。図5に抵抗の回路記号で模式的に示すように、コンタクト24及びコンタクト26の間の抵抗層7eが抵抗体となる。
【0044】
図2に示すように、抵抗用トレンチ10eに埋め込まれた抵抗層7eは、コンタクト24を介して配線層23に接続されると共に、コンタクト24の接合部から所定の間隔で離間したコンタクト26を介して配線層22に接続されている。抵抗用トレンチ10fに埋め込まれた抵抗層7fは、コンタクト25を介して配線層23に接続されると共に、コンタクト25から所定の間隔で離間したコンタクト27を介して配線層22に接続される。即ち、内蔵抵抗部100において、コンタクト24及びコンタクト26の間の抵抗層7eと、コンタクト25及びコンタクト27の間の抵抗層7fが並列接続されて抵抗体として機能する。
【0045】
内蔵抵抗部100の抵抗値は、抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gに接続されるコンタクトの位置(換言すれば、コンタクト間の抵抗層7d~7gの長さ)及び抵抗体として並列接続する抵抗層7d~7gの本数を調整することにより適宜調整可能である。例えば、図2に示したコンタクト24とコンタクト26との間隔及びコンタクト25とコンタクト27との間隔を大きくすることにより、内蔵抵抗部100全体の抵抗値を増大させることができる。並列接続する抵抗層7d~7gの本数を増大させることで、内蔵抵抗部100全体の抵抗値を減少させることができる。
【0046】
第1実施形態に係る半導体装置の動作時は、ソース電極28をアース電位として、ドレイン電極11に正電圧を印加し、ゲート電極7bに閾値以上の正電圧を印加すると、ベース領域3b,3cのゲートトレンチ10bの側面側に反転層(チャネル)が形成されてオン状態となる。反転層は、ベース領域3b,3cがゲート電極7bに対向する位置に挟まれた絶縁膜6とベース領域3b,3cとの界面となるゲートトレンチ10bの側面に露出したベース領域3b,3cの表面に形成される。オン状態では、ドレイン電極11からドレイン領域1、ドリフト層2、ベース領域3b,3cの反転層及びソース領域4b,4cを経由してソース電極28へ電流が流れる。一方、ゲート電極7bに印加される電圧が閾値未満の場合、ベース領域3b,3cに反転層が形成されないため、オフ状態となり、ドレイン電極11からソース電極28へ電流が流れない。
【0047】
第1実施形態に係る半導体装置によれば、例えば活性部101の全域において、活性部101の両端に亘ってトレンチが設けられた構造等において、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成する。これにより、半導体基板の上面側に抵抗素子を形成する場合と比較して、工数を大幅に増大させることなく、ゲート抵抗を容易に半導体チップに内蔵することができる。
【0048】
更に、ソーストレンチ10a,10cの深さd1、抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3及び外周側トレンチ10h,10iの深さd4を略同一に揃えることにより、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。
【0049】
更に、ソーストレンチ10a,10cの幅w1、ゲートトレンチ10bの幅w2、抵抗用トレンチ10d~10gの幅w3及び外周側トレンチ10h,10iの幅w4を略同一とすることにより、活性部101の全体に亘ってトレンチが均等に設けられるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。
【0050】
更に、ソーストレンチ10a,10cとゲートトレンチ10bの間隔s1、抵抗用トレンチ10d~10gの互いの間隔s2、外周側トレンチ10h,10iの互いの間隔s3を略同一とすることにより、活性部101の全体に亘ってトレンチが均等に設けられるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。
【0051】
更に、ソーストレンチ10a,10cとゲートトレンチ10bの間隔s1、抵抗用トレンチ10d~10gの下面及び側面と、外周側トレンチ10h,10iの下面及び側面に接するように電界緩和領域5cを設けることにより、ソーストレンチ10a,10cの電界緩和領域5a,5cと同様の構造となるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。
【0052】
図6は、第1実施形態に係る半導体モジュールの一例の回路図を示す。第1実施形態に係る半導体モジュールは、ゲートドライブ回路300と、ゲートドライブ回路300にゲートが電気的に接続された複数の半導体チップ301,302,…,30n(nは3以上の整数)を備える。ゲートドライブ回路300と複数の半導体チップ301,302,…,30nのゲートとの間には配線抵抗R1が接続される。複数の半導体チップ301,302,…,30nのそれぞれが、図1図5に示した第1実施形態に係る半導体装置に対応する。
【0053】
半導体チップ301は、配線抵抗R1に一端が接続された寄生ゲート抵抗Rg11と、寄生ゲート抵抗Rg11の他端に一端が接続された内部ゲート抵抗Rg21と、内部ゲート抵抗Rg21の他端にゲートが接続されたトランジスタT1を備える。半導体チップ302は、配線抵抗R1に一端が接続された寄生ゲート抵抗Rg12と、寄生ゲート抵抗Rg12の他端に一端が接続された内部ゲート抵抗Rg22と、内部ゲート抵抗Rg22の他端に接続されたトランジスタT2を備える。半導体チップ30nは、配線抵抗R1に一端が接続された寄生ゲート抵抗Rg1n(nは3以上の整数)と、寄生ゲート抵抗Rg1nの他端に一端が接続された内部ゲート抵抗Rg2n(nは3以上の整数)と、内部ゲート抵抗Rg2nの他端に接続されたトランジスタTn(nは3以上の整数)を備える。
【0054】
トランジスタT1,T2,…,Tnは、第1実施形態に係る半導体装置の活性素子であるMOSFETに対応する。寄生ゲート抵抗Rg11,Rg12,…,Rg1nは、第1実施形態に係る半導体装置のゲート電極7bの寄生抵抗に対応する。内部ゲート抵抗Rg21,Rg22,…,Rgnは、第1実施形態に係る半導体装置の内蔵抵抗部100に対応する。
【0055】
第1実施形態に係る半導体モジュールによれば、炭化珪素(SiC)からなる半導体チップはシリコン(Si)からなる半導体チップと比較して良品率が低いため、小さい電流を流す複数の半導体チップ301,302,…,30nを並列接続し、全体で電流を大きくする場合がある。この場合、半導体チップ301,302,…,30nを同時にスイッチング動作させる必要があるが、内部ゲート抵抗Rg21,Rg22,…,Rgnを寄生ゲート抵抗Rg11,Rg12,…,Rg1nよりも大きく調整することにより、半導体チップ301,302,…,30nのスイッチング動作のアンバランスを低減可能となる。
【0056】
図7は、比較例に係る半導体装置を示す。図7に示すように、比較例に係る半導体装置は、ゲートパッド20とゲートランナー21との間に内蔵抵抗部100を備えない点が、図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。比較例に係る半導体装置を、図6に示した半導体モジュールの半導体チップ301,302,…,30nに適用すると、半導体チップ301,302,…,30nのスイッチング動作のアンバランスが生じる。これに対して、第1実施形態に係る半導体装置によれば、内蔵抵抗部100を備えることで、半導体チップ301,302,…,30nのスイッチング動作のアンバランスを低減可能となる。
【0057】
<半導体装置の製造方法>
次に、図4に示した断面図に着目して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する。なお、以下に述べる半導体装置の製造方法は一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0058】
まず、窒素(N)等のn型不純物が添加されたn型のSiCからなる半導体基板1(図9参照)を用意する。次に、半導体基板1の上面に、N等のn型不純物が添加され、半導体基板1よりも低不純物濃度のn型のSiCからなるドリフト層2(図9参照)をエピタキシャル成長させる。
【0059】
次に、ドリフト層2の上面にフォトレジスト膜31(図9参照)を塗布し、フォトリソグラフィ技術等を用いてフォトレジスト膜31をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜31をイオン注入用マスクとして用いて、ボロン(B)又はアルミニウム(Al)等のp型不純物をドリフト層2に選択的にイオン注入することにより、活性部101のドリフト層2の上部にp型のベース領域3(図9参照)を形成する。更に、フォトレジスト膜31をイオン注入用マスクとして用いて、燐(P)又は窒素(N)等のn型不純物を、先のp型不純物のイオン注入よりも浅い射影飛程でドリフト層2に選択的にイオン注入することにより、図9に示すように、活性部101のドリフト層2の上部にn型のソース領域4を形成する。なお、p型不純物及びn型不純物のイオン注入の順番は限定されず、逆の順番であってもよい。その後、フォトレジスト膜31を除去する。なお、フォトレジスト膜31の代わりに、酸化膜をパターニングしてイオン注入用マスクとして用いてもよい。
【0060】
次に、ドリフト層2の上面にフォトレジスト膜32(図10参照)を塗布し、フォトリソグラフィ技術等を用いてフォトレジスト膜32をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜32をエッチング用マスクとして用いて、反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング技術により、ドリフト層2の上部を選択的に除去する。この結果、図10に示すように、ソーストレンチ10a,10c、ゲートトレンチ10b、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10i及び段差部10jが選択的に形成される。
【0061】
図10に示すソーストレンチ10a,10c、ゲートトレンチ10b、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10i及び段差部10jの深さd6は、図3及び図4に示したゲートトレンチ10bの深さd2と同一であり、図3及び図4に示したソーストレンチ10a,10cの深さd1、抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3、外周側トレンチ10h,10iの深さd4及び段差部10jの深さd5よりも浅い。ソーストレンチ10a,10c及びゲートトレンチ10bにより、ベース領域3はベース領域3a~3dに分割され、ソース領域4はソース領域4a~4dに分割される。その後、フォトレジスト膜32を除去する。なお、フォトレジスト膜32の代わりに、酸化膜をパターニングしてエッチング用マスクとして用いてもよい。
【0062】
次に、ドリフト層2の上面にフォトレジスト膜33(図11参照)を塗布し、フォトリソグラフィ技術等を用いてフォトレジスト膜33をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜33をエッチング用マスクとして用いて、反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング技術により、ドリフト層2の上部を選択的に除去する。この結果、図11に示すように、ゲートトレンチ10b以外のソーストレンチ10a,10c、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10i及び段差部10jが更に深く掘り込まれ、深さd7となる。
【0063】
図11に示すソーストレンチ10a,10c、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10i及び段差部10jの深さd7は、図3及び図4に示したソーストレンチ10a,10cの深さd1、抵抗用トレンチ10d~10gの深さd3、外周側トレンチ10h,10iの深さd4及び段差部10jの深さd5と略同一となる。その後、フォトレジスト膜33を除去する。なお、フォトレジスト膜33の代わりに、酸化膜をパターニングしてエッチング用マスクとして用いてもよい。
【0064】
次に、ドリフト層2の上面にフォトレジスト膜34(図12参照)を塗布し、フォトリソグラフィ技術等を用いてフォトレジスト膜34をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜34をイオン注入用マスクとして用いて、ボロン(B)又はアルミニウム(Al)等のp型不純物を、ソーストレンチ10a,10c、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10i及び段差部10jのそれぞれの下面及び側面にイオン注入する。この結果、図12に示すように、ドリフト層2の上部にp型の電界緩和領域5a~5c及びp型のガードリング5d~5fが形成される。
【0065】
型の電界緩和領域5a~5c及びp型のガードリング5d~5fを形成するためのイオン注入は、例えば、ソーストレンチ10a,10c、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10i及び段差部10jの深さ方向に対して時計回り及び反時計回りに角度をそれぞれ有する斜め方向から2回に分けてイオン注入を行ってもよい。或いは、ソーストレンチ10a,10c、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10iの側壁がテーパ形状を有する場合には、1回の垂直方向のイオン注入によりp型の電界緩和領域5a~5c及びp型のガードリング5d~5fを形成し得る。或いは、イオン注入の角度のばらつきを考慮して、1回のイオン注入によりp型の電界緩和領域5a~5c及びp型のガードリング5d~5fを形成し得る。その後、フォトレジスト膜34を除去する。なお、フォトレジスト膜34の代わりに、酸化膜をパターニングしてイオン注入用マスクとして用いてもよい。
【0066】
次に、熱処理(活性化アニール)を行うことにより、p型のベース領域3a~3d、n型のソース領域4a~4d、p型の電界緩和領域5a~5c及びp型のガードリング5d~5fにイオン注入されたp型不純物及びn型不純物を一斉に活性化させる。なお、熱処理(活性化アニール)は、イオン注入ごとに個別に行ってもよい。
【0067】
次に、熱酸化法又はCVD技術等により、ソーストレンチ10a,10c、ゲートトレンチ10b、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10iの下面及び側面に絶縁膜6(図13参照)を形成する。次に、CVD技術等により、ソーストレンチ10a,10c、ゲートトレンチ10b、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10iを埋め込むように、n型不純物又はp型不純物を高濃度で添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングにより、ポリシリコン層の一部及び絶縁膜6の一部を選択的に除去する。この結果、ゲートトレンチ10bに埋め込まれたゲート絶縁膜としての絶縁膜6及びゲート電極7bからなる絶縁ゲート型電極構造(6,7b)(図13参照)が形成される。ソーストレンチ10a,10cには、絶縁膜6を介して導電層7a,7cが埋め込まれる。抵抗用トレンチ10d~10gには、絶縁膜6を介して抵抗層7d~7gが埋め込まれる。外周側トレンチ10h,10iには、絶縁膜6を介して導電層7h,7iが埋め込まれる。
【0068】
次に、熱酸化法又はCVD技術等により、ソーストレンチ10a,10c、ゲートトレンチ10b、抵抗用トレンチ10d~10g、外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれたポリシリコン層の上面にも絶縁膜6を選択的に形成する。この結果、図13に示すように、ゲートトレンチ10bに埋め込まれたゲート電極7bの上面、ソーストレンチ10a,10cに埋め込まれた導電層7a,7cの上面、抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gの上面、外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上面がそれぞれ絶縁膜6により被覆される。
【0069】
次に、CVD技術等により、絶縁ゲート型電極構造(6,7b)の上面に層間絶縁膜8(図14参照)を堆積する。フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術等により、層間絶縁膜8の一部を選択的に除去する。この結果、図14に示すように、層間絶縁膜8に、抵抗層7e,7fの上面を露出する抵抗用コンタクトホールが開口される。この際、層間絶縁膜8には、ゲート電極7bの上面を露出するゲートコンタクトホールと、ソース領域4a~4d及び電界緩和領域5a,5bの上面を露出するソースコンタクトホールも開口される。
【0070】
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、金属層を堆積する。フォトリソグラフィ技術及びRIE技術等を用いて金属層をパターニングする。この結果、図15に示すように、金属層の一部からなるソース電極28(図3参照)、ゲートパッド20、ゲートランナー21、配線22,23(図2参照)、コンタクト24,25等が形成される。配線23は、層間絶縁膜8の抵抗用コンタクトホール内のコンタクト24,25及び配線23を介して、抵抗層7e,7fに電気的に接続される。ゲートランナー21は、層間絶縁膜8のゲートコンタクトホールを介してゲート電極7bに電気的に接続される。ソース電極28は、層間絶縁膜8のソースコンタクトホールを介してソース領域4a~4d及び電界緩和領域5a,5bに電気的に接続される。
【0071】
次に、研削又は化学機械研磨(CMP)等により、半導体基板1を下面側から薄化して厚さを調整することにより、ドレイン領域とする。次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、ドレイン領域1の下面の全面に金(Au)等からなるドレイン電極11(図2参照)を形成する。このようにして、図2に示した半導体装置を実現可能である。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置は、図16に示すように、抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10e,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出する点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。抵抗層7e,7f及び導電層7h,7iの上端が、導電層7a,7c及びゲート電極7bの上端よりも上方に位置する。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0073】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0074】
更に、第2実施形態によれば、抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出することにより、製造プロセスを安定化することができる。
【0075】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置は、図16に示した第2実施形態に係る半導体装置と同様に、図17に示すように、抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10e,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出する点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0076】
更に、第3実施形態に係る半導体装置は、図17に示すように、抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7fが、ポリシリコン層からなる接続部7xで互いに接続されている点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0077】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0078】
更に、第3実施形態によれば、抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10e,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出すると共に、抵抗層7e,7fが接続部7xで接続されることにより、製造プロセスを安定化することができる。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体装置は、図18に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なる点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。抵抗用トレンチ10d,10fの深さは、抵抗用トレンチ10e,10gの深さよりも浅く、ゲートトレンチ10bの深さと略同一である。抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7fが、コンタクト24,25を介して配線層23に接続されている。第4実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0080】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0081】
更に、第4実施形態によれば、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なることにより、活性部101のソーストレンチ10a及びゲートトレンチ10bの単位構造と同様の構造となるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。
【0082】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体装置は、図18に示した第4実施形態に係る半導体装置と同様に、図19に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なる点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0083】
更に、第5実施形態に係る半導体装置は、図19に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出する点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第5実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0084】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0085】
更に、第5実施形態によれば、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なることにより、活性部101のゲートトレンチ10b及びソーストレンチ10a,10cの構造と同様となるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。更に、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出することにより、製造プロセスを安定化することができる。
【0086】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る半導体装置は、図19に示した第5実施形態に係る半導体装置と同様に、図20に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なる点と、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出する点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0087】
更に、第6実施形態に係る半導体装置は、図20に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7fの上部が、ポリシリコンからなる接続部7xで互いに接続されている点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第6実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0088】
第6実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0089】
更に、第6実施形態によれば、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なることにより、活性部101のゲートトレンチ10b及びソーストレンチ10a,10cの構造と同様となるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。更に、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出すると共に、抵抗層7d,7fが接続部7xで互いに接続されることにより、製造プロセスを安定化することができる。
【0090】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る半導体装置は、図20に示した第6実施形態に係る半導体装置と同様に、図21に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なる点と、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出する点と、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7fの上部が、ポリシリコンからなる接続部7xで互いに接続されている点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0091】
更に、第7実施形態に係る半導体装置は、図21に示すように、抵抗用トレンチ10eに埋め込まれた抵抗層7eの上部が、抵抗用トレンチ10eの上端よりも上方に突出し、接続部7xに接続されている点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第7実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0092】
第7実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0093】
更に、第7実施形態によれば、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なることにより、活性部101のゲートトレンチ10b及びソーストレンチ10a,10cの構造と同様となるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。更に、抵抗用トレンチ10d~10fに埋め込まれた抵抗層7d~7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d~10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出すると共に、抵抗層7d~7fが接続部7xで互いに接続されることにより、製造プロセスを安定化することができる。
【0094】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る半導体装置は、図21に示した第7実施形態に係る半導体装置と同様に、図22に示すように、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なる点と、抵抗用トレンチ10d,10fに埋め込まれた抵抗層7d,7f及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d,10f及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出する点と、抵抗用トレンチ10d~10fに埋め込まれた抵抗層7d~7fの上部が、ポリシリコンからなる接続部7xで互いに接続されている点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0095】
更に、第8実施形態に係る半導体装置は、図22に示すように、抵抗用トレンチ10gに埋め込まれた抵抗層7gの上部が、抵抗用トレンチ10gの上端よりも上方に突出し、接続部7xに接続されている点が、図4に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第8実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0096】
第8実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0097】
更に、第8実施形態によれば、抵抗用トレンチ10d,10fの深さが、抵抗用トレンチ10e,10gの深さと異なることにより、活性部101のゲートトレンチ10b及びソーストレンチ10a,10cの構造と同様となるため、活性部101の電界がより均等となり、局所的な電界集中を防止することができる。更に、抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7g及び外周側トレンチ10h,10iに埋め込まれた導電層7h,7iの上部が、抵抗用トレンチ10d~10g及び外周側トレンチ10h,10iよりも上方に突出すると共に、抵抗層7d~7gが接続部7xで互いに接続されることにより、製造プロセスを安定化することができる。
【0098】
(第9実施形態)
第9実施形態に係る半導体装置は、図23に示すように、内蔵抵抗部100の抵抗用トレンチ10e,10fに埋め込まれた抵抗層7e,7fが直列接続されている点が、図2に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。ゲートパッド20には配線51が接続されている。配線51には、コンタクト41を介して抵抗用トレンチ10eに埋め込まれた抵抗層7e(図3及び図4参照)が接続されている。抵抗用トレンチ10eに埋め込まれた抵抗層7eには、コンタクト41から所定の間隔で、コンタクト42を介して配線52が接続されている。配線52には、コンタクト43を介して抵抗用トレンチ10fに埋め込まれた抵抗層7f(図3及び図4参照)が接続されている。抵抗用トレンチ10fに埋め込まれた抵抗層7fには、コンタクト43から所定の間隔で、コンタクト44を介して配線53が接続されている。配線53にはゲートランナー21が接続されている。
【0099】
内蔵抵抗部100の抵抗体は、コンタクト41,42の間の抵抗用トレンチ10eに埋め込まれた抵抗層7eと、コンタクト43,44の間の抵抗用トレンチ10fに埋め込まれた抵抗層7fとの直列接続により構成され、平面パターン上、C字状の電流経路を形成する。第9実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0100】
第9実施形態によれば、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチ10d~10gに埋め込まれた抵抗層7d~7gを用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0101】
更に、第9実施形態によれば、抵抗層7e,7fを直列接続することにより、内蔵抵抗部100のサイズを増大させずに、内蔵抵抗部100の抵抗値を増大させることができ、内蔵抵抗部100の抵抗値の自由度を向上させることができる。なお、更に3本以上の抵抗層を折り返すように直列接続してもよい。
【0102】
(第10実施形態)
第10実施形態に係る半導体装置は、図24に示すように、ゲートパッド20の配置位置が、図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。ゲートパッド20は、活性部101の中央部に設けられている。ゲートパッド20とゲートランナー21との間には、内蔵抵抗部100が接続されている。第10実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0103】
第10実施形態によれば、ゲートパッド20及び内蔵抵抗部100の配置位置が異なる場合であっても、第1実施形態と同様に、活性部101の両端に亘って延伸する抵抗用トレンチに埋め込まれた抵抗層を用いて内蔵抵抗部100を構成することにより、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0104】
(その他の実施形態)
上記のように、本開示の第1~第10実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0105】
例えば、第1~第10実施形態に係る半導体装置としてMOSFETを例示したが、n型のドレイン領域1をp型のコレクタ領域とした構成の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)にも適用可能である。
【0106】
また、第1~第10実施形態に係る半導体装置としてSiCからなる半導体装置を例示したが、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド(C)又は窒化アルミニウム(AlN)等のSiよりも禁制帯幅が広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)からなる半導体装置にも適用可能である。
【0107】
本例の半導体装置はトレンチ形成後、イオン注入によりトレンチの側壁から底面まで電界緩和領域を形成する。深い位置の電界緩和領域を形成するのにトレンチ底面を用いているので、エッジ以外のすべての領域にトレンチを形成する必要がある。エッジ以外のすべての領域にトレンチがあるため、基板の上面に絶縁膜を介してゲート抵抗を形成することは容易ではない。
【0108】
本発明によれば、トレンチが内包するポリシリコンを内蔵ゲート抵抗として用いることで工数を削減し、ゲート抵抗を容易に内蔵することができる。
【0109】
また、第1~第10実施形態が開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本開示はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本開示の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0110】
1…ドレイン領域(半導体基板)
2…ドリフト層
3,3a~3d…ベース領域
4,4a~4d…ソース領域
4a~4d
5a~5c…電界緩和領域
5d~5f…ガードリング
6…絶縁膜(ゲート絶縁膜)
7a,7c…導電層(ポリシリコン層)
7b…ゲート電極(ポリシリコン層)
7d~7g…抵抗層(ポリシリコン層)
7h,7i…導電層(ポリシリコン層)
7x…接続部
8…層間絶縁膜
10a,10c…トレンチ(ソーストレンチ)
10b…トレンチ(ゲートトレンチ)
10d~10g…トレンチ(抵抗用トレンチ)
10h,10i…トレンチ(外周側トレンチ)
10j…段差部
11…ドレイン電極
20…ゲートパッド
21…ゲートランナー
22,23…配線層
24~27…コンタクト
28…ソース電極
29…配線層
31~34…フォトレジスト膜
41~44…コンタクト
51~53…配線
100…内蔵抵抗部
101…活性部
102…終端部
300…ゲートドライブ回路
301,302,30n…半導体チップ
R1…配線抵抗
Rg11,Rg12,Rg1n…寄生ゲート抵抗
Rg21,Rg22,Rg2n…内部ゲート抵抗
T1,T2,Tn…トランジスタ
d1~d7…深さ
s1~s3…間隔
w1~w4…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(第1実施形態)
<半導体装置の構造>
第1実施形態に係る半導体装置(半導体チップ)は、図1に示すように、活性素子を含む活性部101と、活性部101の周囲に設けられ、耐圧構造を有する終端部102とを含む。活性部101は矩形の平面パターンを有する。活性部101の外周側には、ゲートランナー(ゲートフィンガ」とも呼ばれる)21が設けられている。ゲートランナー21は、枠状の平面パターンを有する。ゲートランナー21は、活性部101に含まれる活性素子のゲート電極に電気的に接続されている。