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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075362
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】パワー半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186757
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 信太朗
(72)【発明者】
【氏名】徳山 健
(72)【発明者】
【氏名】長崎 仁徳
(72)【発明者】
【氏名】浅井 亨太
(72)【発明者】
【氏名】志村 隆弘
(57)【要約】
【課題】インダクタンス差を小さくし、かつ電流アンバランスを抑制した電流変換装置を提供する。
【解決手段】
電力変換装置は、複数の上アーム側パワー半導体素子および複数の下アーム側パワー半導体素子と、前記上アーム側パワー半導体素子と接続される第1導体および第2導体と、前記下アーム側パワー半導体素子と接続される第3導体および第4導体と、を備え、上アーム側合流部は、前記複数の上アーム側パワー半導体素子からの距離がそれぞれ等しい位置に形成され、下アーム側合流部は、前記複数の下アーム側パワー半導体素子からの距離がそれぞれ等しい位置に形成され、前記上アーム側合流部と前記下アーム側合流部は、前記複数の上アーム側パワー半導体素子の配置列と前記複数の下アーム側パワー半導体素子の配置列との間の領域に隣接して形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に並列に接続される複数の上アーム側パワー半導体素子および複数の下アーム側パワー半導体素子と、
前記上アーム側パワー半導体素子の高電位側電極と接続される第1導体および低電位側電極と接続される第2導体と、
前記下アーム側パワー半導体素子の高電位側電極と接続される第3導体および低電位側電極と接続される第4導体と、を備え、
前記第2導体において、前記上アーム側パワー半導体素子の前記低電位側電極から流れる電流が合流する上アーム側合流部は、前記複数の上アーム側パワー半導体素子からの距離がそれぞれ等しい位置に形成され、
前記第4導体において、前記下アーム側パワー半導体素子の前記低電位側電極から流れる電流が合流する下アーム側合流部は、前記複数の下アーム側パワー半導体素子からの距離がそれぞれ等しい位置に形成され、
前記上アーム側合流部と前記下アーム側合流部は、前記複数の上アーム側パワー半導体素子の配置列と前記複数の下アーム側パワー半導体素子の配置列との間の領域に隣接して形成される
パワー半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパワー半導体装置であって、
前記上アーム側合流部と前記下アーム側合流部は、互いに流れる電流の向きが互いに対向するように配置された
パワー半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載のパワー半導体装置であって、
前記第2導体と前記上アーム側合流部との間、かつ前記第4導体と前記下アーム側合流部との間に、スリット部を設けた
パワー半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載のパワー半導体装置であって、
前記複数の上アーム側合流部と前記複数の下アーム側合流部は、互いに向かい合う方向とは逆向きの方向に拡張して形成された
パワー半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載のパワー半導体装置であって、
前記第2導体と前記第4導体は、同一形状である
パワー半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率なSiC(Silicon Carbide)を用いたパワーモジュールの開発が進められているが、このようなパワーモジュールは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と比べてチップサイズの大型化ができないため、チップを並列実装することが一般的である。こうしたチップの並列実装の実用化に伴って、チップ間の電流アンバランスを抑制し、かつ発熱量を抑制させるための冷却構造の小型化も、同時に求められている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1では、使用電圧が高い電力変換装置において、接続部材と非接続にする板状導体の穴の径や板状導体のサイズを小さくして、低インダクタンス化した積層導体の構造を有することで、チップ間のドレインおよびソースインダクタンスの合計値を揃えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3550970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、上アームのみソースインダクタンスが等しく、下アーム側ではチップ間のソースインダクタンス差があるため、SiCの高速スイッチング条件下において、電流アンバランスによる損失増大が発生していた。これを鑑みて本発明は、インダクタンス差を小さくし、かつ電流アンバランスを抑制した電流変換装置を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パワー半導体装置は、電気的に並列に接続される複数の上アーム側パワー半導体素子および複数の下アーム側パワー半導体素子と、前記上アーム側パワー半導体素子の高電位側電極と接続される第1導体および低電位側電極と接続される第2導体と、前記下アーム側パワー半導体素子の高電位側電極と接続される第3導体および低電位側電極と接続される第4導体と、を備え、前記第2導体において、前記上アーム側パワー半導体素子の前記低電位側電極から流れる電流が合流する上アーム側合流部は、前記複数の上アーム側パワー半導体素子からの距離がそれぞれ等しい位置に形成され、前記第4導体において、前記下アーム側パワー半導体素子の前記低電位側電極から流れる電流が合流する下アーム側合流部は、前記複数の下アーム側パワー半導体素子からの距離がそれぞれ等しい位置に形成され、前記上アーム側合流部と前記下アーム側合流部は、前記複数の上アーム側パワー半導体素子の配置列と前記複数の下アーム側パワー半導体素子の配置列との間の領域に隣接して形成される。
【発明の効果】
【0007】
インダクタンス差を小さくし、かつ電流アンバランスを抑制した電流変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る、電力変換装置における半導体装置の図
図2図1の電力変換装置に実装される半導体素子についての説明図
図3図2のA-A’断面図
図4】電力変換装置の電気回路図
図5】電力変換装置に実装される半導体素子の説明図
図6】第1変形例
図7】第2変形例
図8】第3変形例
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0010】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0011】
(本発明の一実施形態と装置の全体構成)
図1図2
電力変換装置が備えるパワー半導体装置10は、複数の上アーム側パワー半導体素子および複数の下アーム側パワー半導体素子と、が電気的に並列に接続されている。なお、本発明では1組の上アーム側パワー半導体素子および下アーム側パワー半導体素子を図示する。また、図2以降の説明においての上アーム側パワー半導体素子はパワー半導体1a,1b、下アーム側パワー半導体素子はパワー半導体2a,2b、として説明する。パワー半導体1a,1b,2a,2bは、例えばIGBTや、SiC-MOSFET、GaN-HEMT(High Electron Mobility Transistor)などである。
【0012】
パワー半導体装置10は、主回路導体である第1導体4、第2導体5、第3導体6、第4導体7、第5導体8と、パワー半導体1a,1b,2a,2b(図2)の制御信号を伝送する第1信号端子3a、第2信号端子3b、第3信号端子3c、第4信号端子3dと、それらを封止するモールド樹脂9とを有している。
【0013】
第1信号端子3aは、第1導体4および第2導体5と接続されているパワー半導体1a,1bの駆動信号を伝送する。第1導体4は、上アーム側パワー半導体素子1a,1bの高電位側電極と接続される。第2導体5は、上アーム側パワー半導体素子1a,1bの低電位側電極と接続される。第1信号端子3aは、ワイヤー11等の接合材により、パワー半導体1a,1bの信号電極に接続される。一方で、第2信号端子3bは、ワイヤー11等の接合材により、パワー半導体1a,1bの低電位側電極と接続される。
【0014】
第3信号端子3cは、第3導体6および第4導体7と接続されているパワー半導体2a,2bの駆動信号を伝送する。第3導体6は、下アーム側パワー半導体素子2a,2bの高電位側電極と接続される。第4導体7は、下アーム側パワー半導体素子2a,2bの低電位側電極と接続される。第3信号端子3cは、ワイヤー11等の接合材により、パワー半導体2a,2bの信号電極に接続される。一方で、第4信号端子3dは、ワイヤー11等の接合材により、パワー半導体2a,2bの低電位側電極と接続される。
【0015】
複数のパワー半導体1a,1bの高電位側電極と第1導体4は、はんだなどの接合材で接合されている。複数のパワー半導体1a,1bの低電位側電極と第2導体5は、はんだなどの接合材で接合される。第2導体5と第3導体6は、はんだなどの接合材で接合される。
【0016】
複数のパワー半導体2a,2bの高電位側電極と第3導体6は、はんだなどの接合材で接合されている。複数のパワー半導体2a,2bの低電位側電極と第4導体7は、はんだなどの接合材で接合される。第4導体7と第5導体8は、はんだなどの接合材で接合される。
【0017】
パワー半導体1a,1bの低電位側電極から第3導体6までの間に電気的に接続されている第2導体5上には、上アーム側のパワー半導体1a,1bの低電位側電極それぞれから流れる電流が合流する、上アーム側合流部12が設けられている。第2導体5は、パワー半導体1a,1bの低電位側電極から上アーム側合流部12まで流れるそれぞれの電流の距離が等しくなるようにするため、パワー半導体1a,1bから上アーム側合流部12までの長さがそれぞれ同じになるような位置に形成されている。
【0018】
同様に、パワー半導体2a,2bの低電位側から第5導体8までの間に電気的に接続されている第4導体7上には、下アーム側パワー半導体2a,2bの低電位側電極それぞれから流れる電流が合流する下アーム側合流部13が設けられている。第2導体5は、パワー半導体2a,2bの低電位電極側から下アーム側合流部13まで流れるそれぞれの電流の距離が等しくなるようにするため、パワー半導体2a,2bから下アーム側合流部13までの長さがそれぞれ同じになるような位置に形成されている。
【0019】
これにより、配線距離に起因する寄生成分のインダクタンスが等しくなり、スイッチング時のソース間に発生するゲート電位が等しくなり、電流アンバランスを抑制でき、スイッチングに伴う損失を低減できる。また、これにより、パワー半導体1a,1bおよびパワー半導体2a,2bに流れる電流が均一化される。
【0020】
上アーム側合流部12と下アーム側合流部13は、複数の上アーム側パワー半導体素子1a,1bの配置列と複数の下アーム側パワー半導体素子2a,2bの配置列との間の領域において、所定のスペースを介して隣接して形成され、かつ上アーム側合流部12に流れる電流の向きと、下アーム側合流部13に流れる電流の向きが互いに対向するように配置される。これにより、対抗電流によって磁束が打ち消されることで主回路の寄生インダクタンスを低減し、かつ上アーム側合流部12と下アーム側合流部13の互いの熱あおりを低減する。また、半導体素子間の発熱量低減により、冷却構造の小型化が実現できる。
【0021】
図3
パワー半導体装置10において、第1パワー半導体1aの高電位側電極と第1導体4は、はんだなどの接合材14で接合され、パワー半導体1aの低電位側電極と第2導体5は、はんだなどの接合材14で接合される。第2導体5と第3導体6は、はんだなどの接合材14で接合される。同様に、第2パワー半導体2aの高電位側電極と第3導体6は、はんだなどの接合材14で接合され、パワー半導体2aの低電位側電極と第4導体7は、はんだなどの接合材14で接合される。
【0022】
図4
パワー半導体素子1a,1b,2a,2bは、主回路用高圧側端子(IGBTであればコレクタ端子、MOSFETであればドレイン端子)と、主回路用低圧側端子(IGBTであればエミッタ端子、MOSFETであればソース端子)と、制御用端子(ゲート端子)と、の3端子を有している。なお、所望の出力電流値に応じてパワー半導体素子1a,1b,2a,2bはさらに多並列接続してもよいし、また、パワー半導体装置10自体を多並列接続してもよい。
【0023】
正極配線20は、図示されていないバッテリなど直流電圧源の正極端子に接続され、負極配線21は図示されていないバッテリなど直流電圧源の負極端子に接続される。これによりパワー半導体装置10には、直流電圧が供給される。
【0024】
正極配線20はパワー半導体素子1a,1bの主回路用高圧側端子に接続される。パワー半導体素子1a,1bの主回路用低圧側端子は、上アーム側合流部12を経由して、パワー半導体装置10の出力端子19に接続されている。また、パワー半導体素子1a,1bの主回路用低圧側端子はパワー半導体素子2a,2bの主回路用高圧側端子に並列接続されている。パワー半導体素子2a,2bの主回路用低圧側端子は、下アーム側合流部13を経由して、負極配線21に接続されている。
【0025】
パワー半導体素子1a,1b,2a,2bの出力端子19はモータなどの負荷に接続される。パワー半導体装置1a,1b,2a,2bの制御用端子である第1信号端子3a~第4信号端子3dは図示されていない制御回路に接続され、マイコンなど上位の制御装置より入力される信号に基づいてオンまたはオフされることにより、出力端子19を経由して、モータなどの負荷へ交流の電圧を出力する。
【0026】
図5
図5(a)はパワー半導体素子の斜視図、図5(b)は図5(a)を一方の面から見た図、図5(c)は図5(a)を他方の面から見た図である。第1パワー半導体1a,1bおよび第2パワー半導体2a,2bは、パワー半導体低電位電極15と、パワー半導体高電位側電極16と、パワー半導体の駆動信号を印加するパワー半導体信号電極17を備えている。
【0027】
(第1変形例)
図6
第2導体5は、パワー半導体1a,1b,1cを備える。また、第4導体7は、パワー半導体2a,2b,2cを備えている。パワー半導体1a,1b,1cと上アーム側合流部12との間に流れる電流の距離が等しくなるように、第2導体5は配置形成される。また、パワー半導体2a,2b,2cと上アーム側合流部12との間に流れる電流の距離が等しくなるように、第4導体7は配置形成される。これにより、第2導体5がパワー半導体1a,1bを備え、かつ第4導体7がパワー半導体2a,2bを備えている形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
(第2変形例)
図7
第2導体5が、パワー半導体1a,1b,1cを備え、第4導体7がパワー半導体2a,2b,2cを備えている図6の第1変形例において、パワー半導体1bの低電位側電極と上アーム側合流部12の間にスリット18を設け、パワー半導体2bの低電位側電極と下アーム側合流部13の間にスリット18を設ける。これにより、スリット18より電気的に高電位にあるパワー半導体1bから上アーム側合流部12までの電流経路が遠くなり、パワー半導体1aおよび1cとパワー半導体1bの配線距離に起因する寄生インダクタンスが等しくなる。同様に、スリット18より電気的に高電位にあるパワー半導体2bから下アーム側合流部13までの電流経路が遠くなり、パワー半導体2a,2cとパワー半導体2bの配線距離に起因する寄生インダクタンスが等しくなる。よって、パワー半導体1a~1cと、パワー半導体2a~2cに流れる電流が均一化される。また、パワー半導体素子間の電流アンバランスの抑制を実現できる。
【0029】
(第3変形例)
図8
上アーム側合流部12と下アーム側合流部13は、互いに向かい合う方向とは逆方向、つまり、上アーム側合流部の拡張方向12a、下アーム側合流部の拡張方向13aにそれぞれ拡張されて形成されてもよい。これにより、上アーム側合流部12の電流経路が拡張されて、第2導体5の寄生インダクタンスが低減される。同様に、下アーム側合流部13の電流経路が拡張されて、第4導体7の寄生インダクタンスが低減される。よって、パワー半導体装置10全体の寄生インダクタンスの低減に寄与する。
【0030】
なお、上述した第2導体5と第4導体7は、同一形状で形成されていてもよい。これにより、部品共通化による製造容易化および製造コストが低減される。
【0031】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0032】
(1)電力変換装置は、電気的に並列に接続される複数の上アーム側パワー半導体素子1a,1bおよび複数の下アーム側パワー半導体素子2a,2bと、上アーム側パワー半導体素子1a,1bの高電位側電極と接続される第1導体4および低電位側電極と接続される第2導体5と、下アーム側パワー半導体素子2a,2bの高電位側電極と接続される第3導体6および低電位側電極と接続される第4導体7と、を備える。第2導体5において、上アーム側パワー半導体素子1a,1bの低電位側電極から流れる電流が合流する上アーム側合流部12は、複数の上アーム側パワー半導体素子1a,1bからの距離がそれぞれ等しい位置に形成される。第4導体7において、下アーム側パワー半導体素子2a,2bの低電位側電極から流れる電流が合流する下アーム側合流部13は、複数の下アーム側パワー半導体素子2a,2bからの距離がそれぞれ等しい位置に形成される。上アーム側合流部12と下アーム側合流部13は、複数の上アーム側パワー半導体素子1a,1bの配置列と複数の下アーム側パワー半導体素子2a,2bの配置列との間の領域に隣接して形成される。このようにしたことで、インダクタンス差を小さくし、かつ電流アンバランスを抑制した電流変換装置を提供できる。
【0033】
(2)上アーム側合流部12と下アーム側合流部13は、互いに流れる電流の向きが互いに対向するように配置されている。このようにしたことで、対抗電流によって磁束が打ち消されることで主回路の寄生インダクタンスを低減し、上アーム側合流部12と下アーム側合流部13の互いの熱あおりを低減する。また、半導体素子間の発熱量低減により、冷却構造の小型化が実現できる。
【0034】
(3)第2導体5と上アーム側合流部12との間、かつ第4導体7と下アーム側合流部13との間に、スリット部18を設ける。このようにしたことで、パワー半導体1aおよび1cとパワー半導体1bの配線距離に起因する寄生インダクタンスが等しくなる。
【0035】
(4)複数の上アーム側合流部12と複数の下アーム側合流部13は、互いに向かい合う方向とは逆向きの方向に拡張して形成されている。このようにしたことで、パワー半導体装置10全体の寄生インダクタンスの低減に寄与する。
【0036】
(5)第2導体5と第4導体7は、同一形状である。このようにしたことで、部品共通化による製造容易化および製造コストが低減される。
【0037】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や他の構成を組み合わせることができる。また本発明は、上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1a,1b,1c 第1パワー半導体
2a,2b,2c 第2パワー半導体
3 信号端子
3a 第1信号端子
3b 第2信号端子
3c 第3信号端子
3d 第4信号端子
4 第1導体
5 第2導体
6 第3導体
7 第4導体
8 第5導体
9 モールド樹脂
10 パワー半導体装置
11 ワイヤー
12 上アーム側合流部
12a 上アーム側合流部の拡張方向
13 下アーム側合流部
13a 下アーム側合流部の拡張方向
14 接合材
15 パワー半導体低電位電極
16 パワー半導体高電位電極
17 パワー半導体信号電極
18 スリット
19 出力端子
20 正極配線
21 負極配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8