(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075366
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65B 59/04 20060101AFI20240527BHJP
B65G 17/36 20060101ALI20240527BHJP
B65G 17/06 20060101ALI20240527BHJP
B65B 43/52 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65B59/04
B65G17/36 Z
B65G17/06 A
B65B43/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186765
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】四日 義城
【テーマコード(参考)】
3E030
3E056
3F034
【Fターム(参考)】
3E030AA01
3E030DA06
3E030DA08
3E030DA10
3E030EA01
3E030EB03
3E030FA10
3E030GA01
3E030GA03
3E056AA09
3E056CA07
3E056EA09
3E056GA07
3E056HA05
3F034AA09
3F034AA16
3F034AA18
3F034AB03
3F034CA02
3F034CB05
3F034LA04
3F034LA07
3F034LB15
(57)【要約】
【課題】リテーナの交換作業が簡単であり、また交換作業のためのスペースを削減することができる搬送装置を提供する。
【解決手段】一対のチェーン10は搬送方向に駆動される。ベースリテーナ30はチェーン10に固定され、係合ピン31、32が設けられる。サブリテーナ40には収容部が設けられ、係合ピン31、32に係合するだるま孔44が形成される。係合プッシャ50はベースリテーナ30に対してサブリテーナ40をスライドさせ、だるま孔44を係合ピン31、32に係合させて、サブリテーナ40をベースリテーナ30に装着させる。係合解除プッシャ60はベースリテーナ30に対してサブリテーナ40をスライドさせ、だるま孔44と係合ピン31、32の係合を解除する。リテーナ昇降機構70はベースリテーナ30にサブリテーナ40を載置し、またベースリテーナ30上からサブリテーナ40を解放する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に平行に配置され、搬送方向に駆動される一対のチェーンと、
前記チェーンに固定され、係合部材が設けられたベースと、
搬送物を収容する収容部が設けられ、前記係合部材に係合する係合孔が形成された平板状のリテーナと、
前記ベースに対して前記リテーナをスライドさせることにより、前記係合孔を前記係合部材に係合させて、前記リテーナを前記ベースに装着させる係合手段と、
前記ベースに対して前記リテーナをスライドさせることにより、前記係合孔と前記係合部材の係合を解除する係合解除手段と、
前記ベース上に前記リテーナを載置し、また前記ベース上から前記リテーナを解放するリテーナ移動手段と
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記係合部材が前記ベースから垂直上方に突出する係合ピンであり、前記リテーナ移動手段が前記係合ピンに対して前記係合孔が通過するように前記リテーナを昇降させる昇降手段であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記昇降手段が、前記ベースよりも下方に配置された昇降部材と、前記昇降部材に固定され、前記ベースに形成された貫通孔を通って前記リテーナの下面を支持する棒状部材と、前記昇降部材を昇降させる駆動手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ベースの上面に、前記ベース上に装着された前記リテーナが外れないように係止する係止部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記リテーナが格納される複数の格納庫を備え、各格納庫にはそれぞれ種類の異なるリテーナが格納されることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の無端状チェーンに架け渡されたリテーナにより容器等の搬送物を搬送する搬送装置に関し、より詳しくはリテーナを交換するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカップ食品の充填包装装置において、容器を搬送するための搬送装置として、リテーナコンベヤが従来使用されている。リテーナコンベヤは一対のチェーン間に、容器を収容するための収容部が形成されたリテーナが搬送方向に沿って所定の間隔毎に設けられて構成される。リテーナの収容部は容器のサイズや形状に応じて形成されており、容器の種類が変更された場合、リテーナを交換することが必要である。しかしながらリテーナコンベヤに設けられるリテーナの数は何百枚にも及び、その交換には多大な労力と時間を要する。このような必要性に応えるべく、特許文献1では、リテーナを交換する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたリテーナ交換装置は、リテーナコンベヤを搬送方向に沿って複数区間に分割し、多数のリテーナが取付けられたチェーンを区間毎に交換するように構成されている。しかし、1つの区間のリテーナ付きチェーンは重く、かつ嵩張っているので、交換作業には大掛かりな構成と広いスペースが必要であるという問題があった。
【0005】
本発明は、リテーナの交換作業が簡単であり、また交換作業のためのスペースを削減することができる搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送装置は、相互に平行に配置され、搬送方向に駆動される一対のチェーンと、チェーンに固定され、係合部材が設けられたベースと、搬送物を収容する収容部が設けられ、係合部材に係合する係合孔が形成された平板状のリテーナと、ベースに対してリテーナをスライドさせることにより、係合孔を係合部材に係合させて、リテーナをベースに装着させる係合手段と、ベースに対してリテーナをスライドさせることにより、係合孔と係合部材の係合を解除する係合解除手段と、ベース上にリテーナを載置し、またベース上からリテーナを解放するリテーナ移動手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
好ましくは、係合部材はベースから垂直上方に突出する係合ピンであり、リテーナ移動手段は係合ピンに対して係合孔が通過するようにリテーナを昇降させる昇降手段である。
【0008】
昇降手段は例えば、ベースよりも下方に配置された昇降部材と、昇降部材に固定され、ベースに形成された貫通孔を通ってリテーナの下面を支持する棒状部材と、昇降部材を昇降させる駆動手段とを備える。
【0009】
好ましくは、ベースの上面に、前記ベース上に装着された前記リテーナが外れないように係止する係止部材が設けられる。
【0010】
搬送装置はリテーナが格納される複数の格納庫を備えていてもよく、この場合、各格納庫にはそれぞれ種類の異なるリテーナが格納される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リテーナの交換作業が簡単であり、また交換作業のためのスペースを削減することができる搬送装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態である搬送装置を概略的に示す側面図である。
【
図2】サブリテーナをベースリテーナから取外す動作を示し、搬送装置を搬送方向の後方から見た断面図である。
【
図3】サブリテーナをベースリテーナに装着する動作を示し、搬送装置を搬送方向の後方から見た断面図である。
【
図4】ベースリテーナにサブリテーナを装着する動作を示し、ベースリテーナとサブリテーナを上方から見た平面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態においてサブリテーナをベースリテーナから取外す動作を示す平面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態のサブリテーナを示す平面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に設けられる係合部材と係合孔を示す図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に設けられる係合部材と係合孔を示す図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に設けられる係合部材と係合孔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示された実施形態に基づいて本発明を説明する。
図1は本発明の第1実施形態である搬送装置を概略的に示す側面図である。一対の無端状のチェーン10はスプロケット11~14に掛け回され、図示しない駆動装置により矢印A方向(搬送方向)に駆動される。後述するように、一対のチェーン10にはベースリテーナ(ベース)30(
図4参照)が架け渡され、ベースリテーナ30の上にはサブリテーナ(リテーナ)40(
図4参照)が固定される。ベースリテーナ30とサブリテーナ40は共に、水平面における輪郭が細長い矩形である平板状部材であり、チェーン10の長手方向(搬送方向)に沿って一定間隔で設けられる。
【0014】
図1において上方に位置するスプロケット11、12の間は容器(搬送物)を搬送する搬送区間15であり、その最上流位置にはサブリテーナ40に容器を供給する容器供給部20が設けられる。容器供給部20の下流側には第1処理部21が設けられ、ここでは容器内に内容物が充填されるとともに、その充填工程が正常に実施されたか否かが検査される。第1処理部21の下流側には第2処理部22、ここでは容器の開口に蓋が供給されてシールが施されるとともに、そのシールが正常であるか否かが検査される。第2処理部22の下流側には型替部23が設けられ、後述するように、処理される容器が変更されるとき、その容器に対応したサブリテーナ40に交換される。型替部23の下流側には製品排出部24が設けられ、製造工程が完了した容器が排出され、次の工程へ送られる。
【0015】
本実施形態において、型替部23には3つの格納庫25、26、27が設けられ、これらの格納庫25、26、27にはサブリテーナ40が段積み状態で保持される。各格納庫25、26、27に保持されるサブリテーナ40の種類は相互に異なり、例えば、格納庫25のサブリテーナ40は外径の小さい容器を収容するために用いられ、格納庫26のサブリテーナ40は外形の大きい容器を収容するために用いられる。後述するように型替部23では、そのとき搬送装置に装着されているサブリテーナ40がベースリテーナ30から取り外されて、例えば格納庫25に収納され、例えば格納庫26に格納されていたサブリテーナ40がベースリテーナ30に装着される。すなわち本実施形態では3種類のサブリテーナ40が選択的にベースリテーナ30に取付け可能である。
【0016】
図2、3、4を参照してベースリテーナ30とサブリテーナ40の構成、およびベースリテーナ30に対してサブリテーナ40を着脱する動作を説明する。ベースリテーナ30とサブリテーナ40は共に細長い平板状の部材である。ベースリテーナ30の長さは一対のチェーン10間の距離とほぼ同じであり、サブリテーナ40はベースリテーナ30よりも若干短い。
【0017】
ベースリテーナ30は、その両端部において、チェーン10のアタッチメント16に固定される。ベースリテーナ30の上面には、垂直上方に突出する第1係合ピン(係合部材)31と第2係合ピン(係合部材)32が設けられる。第1係合ピン31は図において左方に位置するチェーン10の近傍であって、搬送方向の前方側に設けられ、第2係合ピン32は右方に位置するチェーン10の近傍であって、搬送方向の後方側に設けられる。第1係合ピン31の頭部31aは柱状部31bよりも大径であり、同様に第2係合ピン32の頭部32aも柱状部32bよりも大径である。
【0018】
図4(a)に示されるようにベースリテーナ30には、本実施形態では10個の開口33が等間隔で形成される。開口33は、ベースリテーナ30の上面に載置されるサブリテーナ40の収容部41よりも大きく成形され、この開口33に容器を収容することもできる。
図4(a)において左端の開口33と、これに隣り合う開口33との間には2つの貫通孔34が形成され、また右端の開口33と、これに隣り合う開口33との間にも2つの貫通孔34が形成される。ベースリテーナ30の右端において、幅方向の中央部には係止ピン(係止部材)35が設けられる。係止ピン35はベースリテーナ30の上面に対して出没自在であり、外力が作用しないときはベースリテーナ30の上面から突出するが、例えばサブリテーナ40が載置されて、上方から押圧されるとベースリテーナ30の中に退没する。
【0019】
図4(b)に示されるようにサブリテーナ40には、ベースリテーナ30の開口33に対応した位置に、容器を収容するための収容部41が形成され、また貫通孔34に対応した位置に、貫通孔34よりも小径の小孔42が形成される。なお、本実施形態では、収容部41は円形に形成されるが、搬送する容器の形状に応じて形成される。またサブリテーナ40には、ベースリテーナ30の係止ピン35に対応した位置に、係止ピン35が係止可能な凹部43が形成される。凹部43はサブリテーナ40の両端部に開放しており、後述するように係合プッシャ50の中央突起51が嵌入可能である。またサブリテーナ40には、係合ピン31、32に対応した位置にだるま孔(係合孔)44が形成される。だるま孔44は、係合ピン31、32の頭部31a、32aが通過可能な大径部44aと、係合ピン31、32の頭部31a、32aよりも小径であり、柱状部31b、32bが係合可能な小径部44bとから成る。
【0020】
型替部23において、一対のチェーン10の外側には係合プッシャ(係合手段)50と係合解除プッシャ(係合解除手段)60が設けられる。係合プッシャ50は図において右側に設けられ、図示しない駆動手段によりサブリテーナ40を左方へ押圧してベースリテーナ30に対してスライドさせる。係合プッシャ50には、凹部43内に嵌入する中央突起51が設けられ、ベースリテーナ30からサブリテーナ40を取外すときに、図示しない昇降手段により中央突起51を係止ピン35の上端部に当接するように上方から下降させて、係止ピン35をベースリテーナ30の中に退没させる。なお、本実施形態では、係止ピン35の凹部43に対する係止を解除するために、係合プッシャ50に形成された中央突起51を用いているが、係止を解除するための構成を他に設けてもよく、これに限るものではない。係合解除プッシャ60は図において左側に設けられ、図示しない駆動手段によりサブリテーナ40を右方へ押圧してベースリテーナ30に対してスライドさせる。
【0021】
また型替部23において、一対のチェーン10の間であってベースリテーナ30の下側にはリテーナ昇降機構(昇降手段)70が設けられる。リテーナ昇降機構70は、ベースリテーナ30の下方に配置された昇降部材71と、昇降部材71の両端部にそれぞれ固定され、ベースリテーナ30に形成された貫通孔34を通ってサブリテーナ40の下面を支持する棒状部材72とを有する。すなわち棒状部材72は貫通孔34に挿入可能であり、棒状部材72の先端にはサブリテーナ40の小孔42に挿入される小径部73と、サブリテーナ40の下面に係合する段部74が形成される。なおリテーナ昇降機構70は図示しない駆動手段により昇降駆動され、後述するように、ベースリテーナ30上にサブリテーナ40を載置し、またベースリテーナ30上からサブリテーナ40を解放するリテーナ移動手段として作用する。
【0022】
格納庫25、26、27にはサブリテーナ40を段積み状態で保持する一対の保持部材80が設けられる。保持部材80の下端部に形成された係止部81には、サブリテーナ40の両端部の下面に形成された窪み45が係止可能である。一対の保持部材80は
図2、3の左右方向に拡縮自在である。保持部材80が開放した状態で、下方からサブリテーナ40が上昇して保持部材80の間に供給された後、保持部材80が閉鎖することにより、サブリテーナ40の窪み45が係止部81に係止し、これによりサブリテーナ40は保持部材80に保持される。
【0023】
次にサブリテーナ40をベースリテーナ30から取外す動作を説明する。
通常の搬送動作中サブリテーナ40は、
図2(a)に示されるように、ベースリテーナ30の上面に密着して取付けられている。この状態において、係止ピン35は突出してベースリテーナ30上に装着されたサブリテーナ40の凹部43に係止しており、またサブリテーナ40は、だるま孔44の小径部44bがベースリテーナ30の係合ピン31、32に係合した状態で固定されている。一方サブリテーナ40の小孔42はベースリテーナ30の貫通孔34に対してずれている。チェーン10は図示しないモータによって1ピッチ(隣り合うサブリテーナ40の中心間の距離)ずつ間欠移動し、サブリテーナ40が型替部23に到達すると、ベースリテーナ30からの取外し動作が実行可能になる。
【0024】
まず係合解除プッシャ60が前進してサブリテーナ40の一方の端面に当接するとともに(
図2(a))、係合プッシャ50が初期位置から移動し、サブリテーナ40の他方の端面に対応した位置に定められるように上方から下降する。これにより、係合プッシャ50の中央突起51によって係止ピン35が上方から押圧され、サブリテーナ40の凹部43に対する係止ピン35の係止が解除される。そして、
図2(b)に示されるように係合解除プッシャ60がさらに前進してサブリテーナ40を右方へ押圧し、ベースリテーナ30に対して所定の距離だけスライドさせると、だるま孔44の大径部44aに係合ピン31、32が一致して、だるま孔44と係合ピン31、32の係合が解除される。またサブリテーナ40の小孔42とベースリテーナ30の貫通孔34の位置が合致する。
【0025】
この状態で、
図2(c)に示されるようにリテーナ昇降機構70の昇降部材71が上昇し、棒状部材72がベースリテーナ30の貫通孔34に挿入されるとともに小径部73がサブリテーナ40の小孔42に挿入され、段部74がサブリテーナ40の下面を支持して、サブリテーナ40が上方へ移動する。すなわち、サブリテーナ40がベースリテーナ30から離間し、これにより、係止ピン35がベースリテーナ30の上面から突出する。また係合プッシャ50と係合解除プッシャ60はベースリテーナ30より外側へ後退する。
【0026】
サブリテーナ40がさらに上昇し、例えば格納庫25の保持部材80に既に格納されているサブリテーナの下面に当接すると、
図2(d)に示されるように保持部材80を開放した後に、昇降部材71がさらにサブリテーナ40の1枚の厚さ分だけ上昇して、最下部のサブリテーナ40が保持部材80の係止部81に対応した高さ位置に定められる。そして、
図2(e)に示されるように、保持部材80が閉鎖して最下段のサブリテーナ40の窪み45に係止すると、昇降部材71が下降してサブリテーナ40から離間し、サブリテーナ40の保持部材80への収納動作が完了する。
【0027】
棒状部材72がベースリテーナ30よりも下降し、
図2(a)と同じ高さ位置まで戻ると、上述したように、チェーン10が再び1ピッチ分間欠移動し、次のサブリテーナ40が型替部23に到達して、取外し動作が再び実行される。このような動作が繰り返して行われ、全てのサブリテーナ40の取外し動作が完了する。
【0028】
次にサブリテーナ40をベースリテーナ30に装着する動作を説明する。
図3(a)に示されるように、ベースリテーナ30に装着されるべきサブリテーナ40が保持された格納庫の保持部材80に対して昇降部材71が上昇し、棒状部材72の小径部73が最下部に位置するサブリテーナ40の小孔42に挿入される。そして保持部材80が開放して、サブリテーナ40が下降可能な状態になる。なお、係合プッシャ50と係合解除プッシャ60は、ベースリテーナ30より外側の位置で待機している。
【0029】
次いで
図3(b)に示されるように、昇降部材71がサブリテーナ40の1枚の厚さ分だけ下降して、下から2番目のサブリテーナ40が保持部材80の係止部81に対応した高さ位置に定められると、保持部材80が閉鎖して下から2番目のサブリテーナの窪み45に係止して、この上に段積みされたサブリテーナを保持する。そして昇降部材71が下降すると、
図3(c)に示されるように最下部のサブリテーナ40が下降して他のサブリテーナから離間する。昇降部材71がさらに下降し、
図3(d)に示されるようにサブリテーナ40がベースリテーナ30上に移載されると、係止ピン35は上方から押圧されてベースリテーナ30の中に退没する。この移載動作では
図4(c)に示されるように、ベースリテーナ30の係合ピン31、32に対してサブリテーナ40のだるま孔44の大径部44aが通過すると、係合プッシャ50が前進し、サブリテーナ40の端面に当接する。
【0030】
係合プッシャ50は
図3(d)の状態からさらに前進し、これによりサブリテーナ40はベースリテーナ30に対してスライドし、
図4(d)に示されるように、だるま孔44の小径部44bがベースリテーナ30の係合ピン31、32に係合する位置において停止する。すなわち係合ピン31、32の頭部31a、32aが小径部44bの位置においてサブリテーナ40の上面に係合することにより、サブリテーナ40はベースリテーナ30に固定される。その後係合プッシャ50が後退すると、
図3(e)および
図4(e)に示されるように係止ピン35は解放され、ベースリテーナ30の上面に突出して凹部43に係止し、これによりサブリテーナ40はベースリテーナ30に外れないように固定され、ベースリテーナ30への装着動作が完了する。
【0031】
係合プッシャ50が後退して初期位置へ戻ると、チェーン10が再び1ピッチ分間欠移動し、次のベースリテーナ30が型替部23に到達して、サブリテーナ40の装着動作が実行される。この動作が繰り返して行われ、全てのサブリテーナ40の装着動作が完了する。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、型替部23において、ベースリテーナ30に対するサブリテーナ40の着脱動作が係合プッシャ50、係合解除プッシャ60、リテーナ昇降機構70の作用により自動的に実行されるので、サブリテーナ40の交換作業が簡単になる。また型替部23ではサブリテーナ40は段積みされた状態で保持され、昇降動作によりベースリテーナ30に対して着脱されるので、交換作業のためのスペースを削減することができる。
【0033】
図5、6を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、係合手段と、係合解除手段と、サブリテーナ40の凹部43に対する係止ピン35の係止を解除させる手段である。すなわち、後述するように、
図5において一対のチェーン10の上方に設けられる第1および第2移動部材61、62が係合手段と係合解除手段を兼ね、また第2移動部材62に取付けられたシリンダ69が係止ピン35に対する係止解除手段として作用する。
【0034】
サブリテーナ40の基本的な構成は第1実施形態と同様であるが、第1および第2位置決め孔63、64が形成されている点が異なる。
図6(a)において、第1位置決め孔63は左端の開口41の左上と左下に設けられ、第2位置決め孔64は右端の開口41の右上と右下に設けられる。第1移動部材61に形成されて下方に延びる突起65は第1位置決め孔63に挿入可能であり、第2移動部材62に形成されて下方に延びる突起66は第2位置決め孔64に挿入可能である。第1および第2移動部材は
図5、6において左右方向に往復動自在である。シリンダ69のピストン68は第2移動部材62から下方に突出し、ベースリテーナ30に設けられた係止ピン35に当接可能である。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0035】
第2実施形態の作用を説明する。
サブリテーナ40がベースリテーナ30に取付けられている状態では、第1実施形態と同様に、係止ピン35は突出してベースリテーナ30上に装着されたサブリテーナ40に係止しており、またサブリテーナ40は、だるま孔44の小径部(図示せず)がベースリテーナ30の係合ピン31、32に係合した状態で固定されている(
図6(c))。一方サブリテーナ40の小孔42はベースリテーナ30の貫通孔34に対してずれている(
図5(a))。
【0036】
サブリテーナ40をベースリテーナ30から取外すとき、まず第1および第2移動部材61、62が前進し(
図5(a))、サブリテーナ40の第1および第2位置決め孔63、64の上方において下降し、突起65、66が第1および第2位置決め孔63、64内に嵌入する(
図5(b))。その後、シリンダ69のピストン68が下降して係止ピン35を押圧し、サブリテーナ40のベースリテーナ30に対する係止状態が解除される(
図5(c))。
【0037】
次いで、第1および第2移動部材61、62がスライドして、だるま孔44と係合ピン31、32の係合が解除され(
図6(b))、またサブリテーナ40の小孔42とベースリテーナ30の貫通孔34の位置が合致する(
図5(d))。リテーナ昇降機構70の昇降部材71が上昇し、棒状部材72がベースリテーナ30の貫通孔34に挿入されるとともに小径部73がサブリテーナ40の小孔42に挿入され、また第1および第2移動部材61、62は上昇した後、チェーン10の外側方向へ退避する(
図5(e))。その後の作用は第1実施形態と同様である。
【0038】
またサブリテーナ40をベースリテーナ30に装着する動作は、上述した取外し動作とは逆であり、ベースリテーナ30上にサブリテーナ40を載置した後、第1および第2移動部材61、62の突起65、66を第1および第2位置決め孔63、64内に挿入し、そして第1および第2移動部材61、62を同時にスライドさせることにより行われる。
【0039】
このように第2実施形態では、第1実施形態のように係合プッシャ50と係合解除プッシャ60がサブリテーナ40を側方から押すのではなく、第1および第2移動部材61、62の突起65、66を上方から第1および第2位置決め孔63、64に嵌入させ、上方から押圧した状態で、サブリテーナ40をベースリテーナ30に対してスライドさせる(
図6(b)、(c))。したがってサブリテーナ40のスライドが安定かつ確実になり、サブリテーナ40のベースリテーナ30に対する着脱動作がスムーズになる。また係止ピン35は常時上方へ付勢されているので、第1実施形態ではサブリテーナ40が載置されるときにサブリテーナ40の自重だけでは押さえきれずに傾くおそれがあるが、第2実施形態ではシリンダ69のピストン68により上方から押圧するので、このようなおそれはない。
【0040】
図7は第3実施形態の係合部材90と係合孔91を示しており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
図7(a)、(b)はサブリテーナ40を上から見た平面図、
図7(c)、(d)はサブリテーナ40とベースリテーナ30を係合部材90の位置において、サブリテーナ40の長さ方向(
図2、3、4において左右方向)に沿って切断した断面図である。
【0041】
係合部材90はベースリテーナ30の上面に設けられ、係合孔91はサブリテーナ40に形成される。係合部材90は円形の頭部90aと角柱部90bとを有し、角柱部90bの軸方向長さはサブリテーナ40の厚さと略同じである。角柱部90bの断面形状は正方形であり、その一辺の長さは頭部90aの円形の直径よりも短い。係合孔91は円形部91aと、円形部91aに連続する矩形部91bとを有し、円形部91aの直径は係合部材90の頭部90aの円形の直径よりも僅かに長く、矩形部91bの一辺の長さは係合部材90の角柱部90bの一辺よりも僅かに長い。
【0042】
サブリテーナ40はベースリテーナ30に対してスライド可能であり、
図7(a)、(c)に示される解放位置と、
図7(b)、(d)に示される装着位置との間で移動可能である。解放位置では、係合部材90が係合孔91の円形部91aの位置にあり、係合部材90の頭部90aと係合孔91の円形部91aとの間に隙間Gが存在し、サブリテーナ40はベースリテーナ30に対して着脱可能である。これに対して装着位置では、係合部材90が係合孔91の矩形部91bの位置にあり、係合部材90の頭部90aがサブリテーナ40の上面に係合し、サブリテーナ40はベースリテーナ30に固定される。
【0043】
図8は第4実施形態の係合部材92と係合孔93を示しており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
図8(a)、(b)はサブリテーナ40を上から見た平面図、
図8(c)、(d)はサブリテーナ40とベースリテーナ30を係合部材92の位置において、サブリテーナ40の長さ方向に沿って切断した断面図、
図8(e)はサブリテーナ40とベースリテーナ30を係合部材92の位置において、サブリテーナ40の幅方向に沿って切断した断面図である。
【0044】
係合部材92はベースリテーナ30の上面に設けられ、係合孔93はサブリテーナ40に形成される。係合部材92は逆L字状を呈し、ベースリテーナ30の上面から垂直に延びる縦板状部92aと、縦板状部92aの上端から水平方向に延びる正方形の横板状部92bとから成る。係合孔93は上方から見て正方形を呈する直方体状の空間である。係合部材92の縦板状部92aは係合孔93の中に収容され、横板状部92bは係合孔93よりも上方に位置してサブリテーナ40の上面に係合可能であり、また横板状部92bの正方形は係合孔93の正方形よりも小さい。
【0045】
サブリテーナ40はベースリテーナ30に対してスライド可能であり、
図8(a)、(c)に示される解放位置と、
図8(b)、(d)に示される装着位置との間で移動可能である。解放位置では、係合部材92の横板状部92bが係合孔93の中に包含されて、横板状部92bと係合孔93の内壁との間に隙間Gが存在し、サブリテーナ40はベースリテーナ30に対して着脱可能である。これに対して装着位置では、係合部材92の横板状部92bがサブリテーナ40の上面に係合し、サブリテーナ40はベースリテーナ30に固定される。
【0046】
図9は第5実施形態の係合部材94と係合孔95を示しており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
図9(a)、(b)はサブリテーナ40を上から見た平面図、
図9(c)、(d)はサブリテーナ40とベースリテーナ30を係合部材94の位置において、サブリテーナ40の長さ方向に沿って切断した断面図、
図9(e)はサブリテーナ40とベースリテーナ30を係合部材94の位置において、サブリテーナ40の幅方向に沿って切断した断面図である。
【0047】
係合部材94はベースリテーナ30の上面に設けられ、係合孔95はサブリテーナ40に形成される。係合部材94はT字状を呈し、ベースリテーナ30の上面から垂直に延びる縦板状部94aと、縦板状部94aの上端に固定された正方形の横板状部94bとから成る。係合孔95は上方から見て正方形を呈する角孔部95aと、角孔部95aに連続して形成された細孔部95bとから成る。係合部材94の横板状部94bの正方形は係合孔95の角孔部95aの正方形よりも小さい。縦板状部94aは係合孔95の細孔部95b内に収容可能であり、横板状部94bは係合孔95よりも上方に位置してサブリテーナ40の上面に係合可能である。
【0048】
サブリテーナ40はベースリテーナ30に対してスライド可能であり、
図9(a)、(c)に示される解放位置と、
図9(b)、(d)に示される装着位置との間で移動可能である。解放位置では、係合部材94の横板状部94bが係合孔95の中に包含され、横板状部94bと係合孔95の内壁との間に隙間Gが存在し、サブリテーナ40はベースリテーナ30に対して着脱可能である。これに対して装着位置では、係合部材94の縦板状部94aが細孔部95b内に入り込むとともに、横板状部92bがサブリテーナ40の上面に係合し、サブリテーナ40はベースリテーナ30に固定される。
【0049】
第3、第4および第5実施形態によっても第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0050】
なお、格納庫25、26、27においてサブリテーナ40をベースリテーナ30に対して着脱する構成は
図2、3に示されるものに限定されず、従来公知のストッカによる方法を採用することができる。
【0051】
またサブリテーナ40をベースリテーナ30に対して着脱するための機構は格納庫毎に設けてもよいが、着脱動作を搬送経路の特定の位置において実行するようにして、各格納庫をその特定位置に移動するようにしてもよい。
【0052】
また上記実施形態では、型替部23には3つの格納庫25、26、27が設けられ、3種類のサブリテーナ40がベースリテーナ30に選択的に取り付けられるようになっているが、これに限定されず2つの格納庫としてもよく、さらに複数の格納庫を設けることもできる。
【0053】
また上記実施形態は、サブリテーナ40を交換するにあたって、全てのベースリテーナ30からサブリテーナ40を取外した後に新たなサブリテーナ40を装着するように構成されているが、取外し作業と装着作業とを並行して行うようにしてもよい。例えば、サブリテーナ40を取外して格納庫25に収容しつつ、サブリテーナ40が取外されたベースリテーナ30上に、この取外し動作に用いられたのとは別の着脱するための機構で、格納庫26または27に収容されるサブリテーナ40を装着することもできる。また、駆動装置を逆回転させて搬送方向を変更できるようにしてもよく、例えば格納庫27にサブリテーナ40を収容しつつ、搬送方向を変えて、サブリテーナ40が取外されたベースリテーナ30上に格納庫25または26に収容されたベースリテーナ40を装着することもできる。そのようにすれば、サブリテーナ40の交換作業のために搬送装置を2周させる必要がなく、1周で済むので交換時間をより短縮することができる。また、必要に応じて各格納庫の位置や収容されるサブリテーナ40を入れ替えられるようにしてもよい。
【0054】
サブリテーナ40をベースリテーナ30に対して着脱するための機構、および格納庫25、26、27は、上方の格納庫などから落下した異物が容器内に混入することを防止するため、容器への内容物の充填を行う充填部および容器の開口に蓋をシールするシール部の下流側に配置されることが望ましい。
【0055】
上記各実施形態はサブリテーナ40を採用した例であるが、ベースリテーナ30に形成された開口33は搬送装置により搬送可能な最も大きい容器に対応した形状を有している。したがってサブリテーナ40を装着しないで容器を搬送することができる。その場合、第1処理部21や第2処理部22の高さ位置を調整することによって、格納庫に格納されるベースリテーナの種類数に加えて、さらに1種類の容器を搬送することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 チェーン
30 ベースリテーナ(ベース)
31 第1係合ピン(係合部材)
32 第2係合ピン(係合部材)
35 係止ピン(係止部材)
40 サブリテーナ(リテーナ)
41 収容部
44 だるま孔(係合孔)
50 係合プッシャ(係合手段)
60 係合解除プッシャ(係合解除手段)
70 リテーナ昇降機構(リテーナ移動手段)
91、93、95 係合孔
90、92、94 係合部材