(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075391
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】自動車のサスペンション構造
(51)【国際特許分類】
B60G 7/02 20060101AFI20240527BHJP
F16C 11/06 20060101ALI20240527BHJP
B60G 3/20 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B60G7/02
F16C11/06 Z
B60G3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186808
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓大
(72)【発明者】
【氏名】小倉 剛
【テーマコード(参考)】
3D301
3J105
【Fターム(参考)】
3D301AA26
3D301AA41
3D301CA09
3D301CA11
3D301DA08
3D301DA31
3D301DA89
3D301DA90
3D301DB02
3D301DB09
3D301DB13
3D301DB20
3D301DB60
3J105AA23
3J105AA24
3J105AA27
3J105AA32
3J105AB50
3J105AC04
3J105CA17
3J105CB02
3J105CC05
3J105CC33
3J105CD12
3J105CE02
3J105CE12
3J105CF12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第1及び第2ボールジョイントの距離の短縮を図ることができる自動車のサスペンション構造を提供する。
【解決手段】自動車のサスペンション構造は、ロアリンク支持部11を有するホイールサポート10と、ロアリンク支持部11に第1ロアボールジョイント40aを介して接続する第1ロアリンク30aと、ロアリンク支持部11に第2ロアボールジョイント40bを介して接続する第2ロアリンク30bと、を備え、ロアリンク支持部11は、第1ロアボールジョイント40aの第1球部41aを収容する第1収容部12と、第1収容部12と隣り合うと共に、第2ロアボールジョイント40bの第2球部41bを収容する第2収容部13と、を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアリンク支持部を有するホイールサポートと、
前記ロアリンク支持部に第1ボールジョイントを介して接続する第1ロアリンクと、
前記ロアリンク支持部に第2ボールジョイントを介して接続する第2ロアリンクと、を備え、
前記ロアリンク支持部は、
前記第1ボールジョイントの第1球部を収容する第1収容部と、
前記第1収容部と隣り合うと共に、前記第2ボールジョイントの第2球部を収容する第2収容部と、を有している自動車のサスペンション構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車のサスペンション構造において、
前記ロアリンク支持部は、
第1主面と、
第1主面と反対側の第2主面と、を含み
前記第1ボールジョイントは、前記第1球部から延在する第1スタッド部を有し、
前記第2ボールジョイントは、前記第2球部から延在する第2スタッド部を有し、
前記第1スタッド部は、前記第1収容部から前記第1主面側に突き出ており、
前記第2スタッド部は、前記第2収容部から前記第2主面側に突き出ている自動車のサスペンション構造。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車のサスペンション構造において、
前記第1収容部及び前記第2収容部は、有底穴である自動車のサスペンション構造。
【請求項4】
請求項2に記載のサスペンション構造において、
前記第1収容部及び前記第2収容部は、一方の開口を蓋部材により閉塞された貫通孔である自動車のサスペンション構造。
【請求項5】
請求項1に記載の自動車のサスペンション構造において、
前記ロアリンク支持部は、第1主面に含まれる凸面を含み、
前記凸面は、
第1面と、
前記第1面に対して相対角度を成す第2面と、を含み、
前記第1収容部は、前記第1面に形成されており、
前記第2収容部は、前記第2面に形成されており、
前記第1ボールジョイントは、前記第1球部から延在する第1スタッド部を有し、
前記第2ボールジョイントは、前記第2球部から延在する第2スタッド部を有し、
前記第1及び第2スタッド部は、前記第1及び第2収容部から前記第1主面側にそれぞれ突き出ている自動車のサスペンション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサスペンション構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダブルウイッシュボーン形式のフロントサスペンションは、前輪のホイールサポートに接続するロアアームとして、ラテラルリンク構成のロアアームと、テンションリンク構成あるいはコンプレッションリンク構成のロアアームと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。これら2本のロアアームの車体外方側の端部は、それぞれ、2つのボールジョイントでホイールサポートに連結されている(例えば、特許文献1の段落[0007]、
図10、及び、
図12参照)。
【0003】
ここで、2つのボールジョイント間のスパンが大きいと、前輪が操舵された際のキャスタトレールが大幅に減少し、ハンドルの戻り不良が顕著となるため、2つのボールジョイントを近接させることが望ましい(例えば、特許文献1の段落[0008]~[0010]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、ホイールサポートの開口部にカラーを嵌め合わせ、当該カラーにボールジョイントのスタッドボルトを挿通し、スタッドボルトのネジ部にナットを締め付けることで、ホイールサポートにボールジョイントを取り付けている(例えば、特許文献1の段落[0037]~[0039]及び第5図等参照)。
【0006】
このため、一方のボールジョイントの取付に用いられたカラーやナットなどの取付用部品は、ホイールサポートの主面上で他方のボールジョイントに近接している。よって、一方のボールジョイントの取付用部品が他方のボールジョイントに干渉する可能性や、一方のボールジョイントの取付時にレンチなどの締結工具が他方のボールジョイントや他方の取付部品に干渉する可能性を考慮すると、上記従来技術では2つのボールジョイント間の距離の短縮には限界がある、という問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、第1及び第2ボールジョイントの距離の短縮を図ることができる自動車のサスペンション構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ホイールサポートのロアリンク支持部に第1収容部及びこの第1収容部と隣り合う第2収容部を設け、第1及び第2ボールジョイントの第1及び第2球部を第1及び第2収容部にそれぞれ収容することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ホイールサポートのロアリンク支持部の収容部に、ボールジョイントの球部を収容することにより接続しているので、ホイールサポートの主面上にナットなどの取付用部品を配置する必要が無く、ボールジョイント間の距離の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ダブルウィッシュボーン方式のサスペンション構造を示す単線結線図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態におけるホイールサポートと第1及び第2ロアリンクの接続構造の一例を示す側方断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態におけるホイールサポートと第1及び第2ロアリンクの接続構造の変形例を示す側方断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態におけるホイールサポートと第1及び第2ロアリンクの接続構造の一例を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<<第1実施形態>>
本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ダブルウィッシュボーン方式のサスペンション構造1Aを示す単線結線図である。
図1(A)は、サスペンション構造1Aの右側前輪を前面から視た場合の単線結線図、
図1(B)は、サスペンション構造1Aを上面から視た場合の単線結線図である。
図2は、第1実施形態におけるホイールサポート10と第1及び第2ロアリンク30a,30bの接続構造の一例を示す側方断面図である。
図3は、
図2のIII部の拡大図である。
【0012】
本実施形態では、ダブルウィッシュボーン方式のサスペンション構造1Aを例示する。但し、本発明に係るサスペンション構造1Aは、ダブルウィッシュボーン方式の構造に限定されず、ストラット方式の構造であってもよい。サスペンション構造1Aがストラット方式の構造である場合、後述のアッパーリンク20が省略される。
【0013】
図1(A)に示すように、このサスペンション構造1Aは、前輪60と車体部70との間に懸架されたサスペンション装置に係る構造である。このサスペンション構造1Aは、ホイールサポート(ステアリングナックル)10と、アッパーリンク20と、ショックアブソーバ23と、コイルスプリング24と、第1ロアリンク(第1ロアアーム)30aと、第2のロアリンク(第2ロアアーム)30bと、サスペンションクロスメンバ(サブフレーム)50と、を備えている。
【0014】
本実施形態におけるホイールサポート10は、前輪60のホイールに接続されている。このホイールサポート10の上部に、アッパーボールジョイント21を介してアッパーリンク20が接続されている。
図1(B)に示すように、このアッパーリンク20は、A字形状を有している。また、
図1(A)に示すように、このアッパーリンク20は、アッパーブッシュ22を介して車体部70に揺動可能に取り付けられている。
【0015】
一方で、
図1(A)及び
図1(B)に示すように、ホイールサポート10の下部に、第1ロアボールジョイント40aを介して第1ロアリンク30aが接続されている。
図1(B)に示すように、この第1ロアリンク30aは、ラテラルリンク構成のロアリンクであり、I字形状を有している。また、
図1(A)に示すように、この第1ロアリンク30aは、第1ロアブッシュ35aを介してサスペンションクロスメンバ50に揺動可能に取り付けられている。なお、サスペンションクロスメンバ50は、車体部70のフロントサイドフレーム71の下端に接続している。本実施形態における第1ロアボールジョイント40aが、本発明における「第1ボールジョイント」の一例に相当する。
【0016】
図1(A)に示すように、この第1ロアリンク30aにショックアブソーバ23の下端が接続されている。このショックアブソーバ23の上端は、サスペンションタワーを介して車体部70に接続されており、ショックアブソーバ23は、車体部70と第1ロアリンク30aの間に張架されている。また、ショックアブソーバ23の周囲にはコイルスプリング24が配置されている。
【0017】
ホイールサポート10の下部には、第2ロアボールジョイント40bを介して第2ロアリンク30bが接続されている。
図1(B)に示すように、この第2ロアリンク30bは、第1ロアリンク30aに対して車両前側に設けられたテンションリンク構成のロアリンクであり、I字形状を有している。第2ロアリンク30bは、平面視においてアクスルのタイロッド80と交差している。また、
図1(A)に示すように、この第2ロアリンク30bは、第2ロアブッシュ35bを介してサスペンションクロスメンバ50に揺動可能に取り付けられている。本実施形態における第2ロアボールジョイント40bが、本発明における「第2ボールジョイント」の一例に相当する。なお、本実施形態における第2ロアリンク30bはテンションリンク構成を有しているがこれに限定されず、第2ロアリンク30bは第1ロアリンク30aに対して車両後側に設けられたコンプレッションリンク構成のロアリンクであってもよい。
【0018】
図2に示すように、上述の第1及び第2ロアボールジョイント40a,40bは、ホイールサポート10のロアリンク支持部11に接続されている。このロアリンク支持部11に、第1収容部12と、第2収容部13と、が形成されている。
【0019】
本実施形態における第1収容部12は、ロアリンク支持部11の上面11aに形成された有底穴である。
図3に示すように、この第1収容部12は、第1ロアボールジョイント40aの第1球部41a(後述)を収容する収容室121と、収容室121の上端に位置する上端開口122と、を含んでいる。
【0020】
図2及び
図3に示すように、第1ロアボールジョイント40aは、第1球部41aと、ボールシート42aと、ハウジング43aと、第1スタッド部44aと、ナット45aと、ダストカバー46aと、を有している。
【0021】
図3に示すように、第1球部41aは、球状の金属部材である。この第1球部41aは、収容室121の内部において回転可能に配置されている。この第1球部41aの周囲にボールシート42aが配置されている。このボールシート42aは、特に限定されないが、ナイロン等から構成される樹脂シートであり、第1球部41aの表面を覆っている。なお、特に図示しないが、第1球部41aとボールシート42aとの間にはグリス等の潤滑材料が介在している。
【0022】
第1球部41aとボールシート42aは、ハウジング43aに収容されている。このハウジング43aは箱状の金属部材である。ハウジング43aは、第1収容部12の上端開口122の周縁に配置されたロールカシメ部123により上側から押圧されることによって、収容室121の内部に圧入されて保持されている。なお、
図3中の一点鎖線は、加締められる前のロールカシメ部123を示している。
【0023】
第1球部41aから第1スタッド部44aが上方に向かって延在しており、この第1スタッド部44aが第1収容部12から上面11a側に突き出ている。この第1スタッド部44aは、第1球部41aと一体的に形成されている棒状の金属部材であり、第1球部41aと連動して運動することができる。
【0024】
図2に示すように、この第1スタッド部44aは、第1ロアリンク30aに形成された貫通孔31aに挿通されている。なお、本実施形態における第1スタッド部44aの貫通孔31aに嵌合する部分は、テーパ形状を有しており、貫通孔31aもこれに対応するテーパ形状を有している。
【0025】
この第1スタッド部44aの先端部(上端部)にネジ山441が形成されている。このネジ山441にナット45aが締結されている。これにより、第1スタッド部44aは、第1ロアリンク30aに締結されている。
【0026】
ダストカバー46aは、第1スタッド部44aの周囲に設けられており、ロアリンク支持部11と第1ロアリンク30aとの間に介在している。このダストカバー46aは、樹脂等から構成されているカバー部材であり、第1球部41aの周囲に異物が混入することを防止している。
【0027】
第2収容部13は、ロアリンク支持部11の下面11bに形成された有底穴である。この第2収容部13は、ロアリンク支持部11において第1収容部12と隣り合うように形成されており、第2収容部13の少なくとも一部は第1収容部の少なくとも一部と平面視において重複している。これにより、本実施形態では、第1ロアボールジョイント40aの第1球部41aの少なくとも一部と、第2ロアボールジョイント40bの第2球部41b(後述)の少なくとも一部と、が平面視において(上方向から視た場合に)重複している。
【0028】
図3に示すように、この第2収容部13は、第2ロアボールジョイント40bの第2球部41bを収容する収容室131と、収容室131の下端に位置する下端開口134と、を含んでいる。
【0029】
第2ロアボールジョイント40bは、第1ロアボールジョイント40aに対して上下反対に設けられている。この第2ロアボールジョイント40bは、第2球部41bと、ボールシート42bと、ハウジング43bと、第2スタッド部44bと、ナット45bと、ダストカバー46bと、を有している。
【0030】
第2球部41bは、第1球部41aと同様の球状の金属部材である。この第2球部41bは、収容室131の内部において回転可能に配置されている。この第2球部41bの周囲にボールシート42bが配置されている。このボールシート42bも、特に限定されないが、ボールシート42aと同様の樹脂シートであり、第2球部41bの表面を覆っている。なお、特に図示しないが、第2球部41bとボールシート42bとの間にはグリス等の潤滑材料が介在している。
【0031】
第2球部41bとボールシート42bは、ハウジング43bに収容されている。このハウジング43bは、ハウジング43aと同様の箱状の金属部材である。ハウジング43bは、第2収容部13の下端開口134の周縁に配置されたロールカシメ部133により下側から押圧されることによって、収容室131の内部に圧入されて保持されている。なお、
図3中の一点鎖線は、加締められる前のロールカシメ部133を示している。
【0032】
第2球部41bから第2スタッド部44bが下方に向かって延在しており、この第2スタッド部44bが第2収容部13から下面11b側に突き出ている。この第2スタッド部44bは、第2球部41bと一体的に形成されている棒状の金属部材であり、第2球部41bと連動して運動することができる。
【0033】
図2に示すように、この第2スタッド部44bは、第2ロアリンク30bに形成された貫通孔31bに挿通されている。なお、本実施形態における第2スタッド部44bの貫通孔31bに嵌合する部分はテーパ形状を有しており、貫通孔31bもこれに対応するテーパ形状を有している。
【0034】
この第2スタッド部44bの先端部(下端部)にネジ山441が形成されている。このネジ山441にナット45bが締結されている。これにより、第2スタッド部44bは、第2ロアリンク30bに締結されている。
【0035】
ダストカバー46bは、第2スタッド部44bの周囲に設けられており、ロアリンク支持部11と第2ロアリンク30bとの間に介在している。このダストカバー46bは、樹脂等から構成されているカバー部材であり、第2球部41bの周囲に異物が混入することを防止している。
【0036】
以上のような本実施形態におけるサスペンション構造1Aであれば、ロアリンク支持部11の第1及び第2収容部12,13に、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40bの第1及び第2球部41a,41bをそれぞれ収容することにより接続しているので、ロアリンク支持部11の上下面11a,11bにナット等の取付用部品を配置する必要が無く、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40b間の距離の短縮を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、第1収容部12と第2収容部13とをロアリンク支持部11の異なる主面に設けることで、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40bを相互に互い違いに配置している。これにより、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40bの干渉を考慮する必要がなくなるため、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40b間の距離の短縮を図ることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、第1ロアリンク30aがロアリンク支持部11の上面11aでロアリンク支持部11に接続し、第2ロアリンク30bがロアリンク支持部11の下面11bでロアリンク支持部11に接続する場合を例示したがこれに限定されない。第1ロアリンク30aがロアリンク支持部11の下面11bでロアリンク支持部11に接続し、第2ロアリンク30bがロアリンク支持部11の上面11aでロアリンク支持部11に接続していてもよい。
【0039】
また、第1及び第2収容部12,13の収容室121,131は、いずれもロアリンク支持部11に形成された有底穴であったが、これに限定されない。
図4に示す変形例のように、第1及び第2収容部12,13において、収容室121,131を貫通孔とし、収容室121,131の一方端を蓋部材125,135で閉塞してもよい。
【0040】
図4は、第1実施形態におけるホイールサポート10と第1及び第2ロアリンク30a,30bの接続構造の変形例を示す断面図である。この変形例では、収容室121は、ロアリンク支持部11の上下面11a,11bを貫通する貫通孔であり、当該貫通孔の下端開口124が蓋部材125によって閉塞されている。蓋部材125は、例えば、ホイールサポート10とは別体の金属板であり、ロールカシメ等によって下端開口124に固定される。
【0041】
一方で、収容室131も、ロアリンク支持部11の上下面11a,11bを貫通する貫通孔であり、当該貫通孔の上端開口132が蓋部材135によって閉塞されている。蓋部材135は、例えば、ホイールサポート10とは別体の金属板であり、ロールカシメ等によって上端開口132に固定される。
【0042】
また、本変形例に示すように、第1及び第2スタッド部44a,44bの貫通孔31a,31bに嵌合する部分と、当該貫通孔31a,31bと、がテーパ形状を有しておらず、長手方向に一定の直径を有していてもよい。
【0043】
<<第2実施形態>>
図5は、第2実施形態におけるホイールサポート10と第1及び第2ロアリンク30a,30bの接続構造の一例を示す側方断面図である。
【0044】
本実施形態のサスペンション構造1Bは、
図5に示すように、第1実施形態のサスペンション構造1Aと比較して、ロアリンク支持部11の上面11aに形成された突出部14に第1及び第2収容部12,13が形成されているという点で、第1実施形態のサスペンション構造1Aと相違している。但し、これ以外の構成は第1実施形態と同様である。以下に、第2実施形態におけるサスペンション構造1Bの車体構造について第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施形態におけるホイールサポート10のロアリンク支持部11は、平坦面15から上方に向かって突出する突出部14を含んでいる。このため、ロアリンク支持部11の上面11aは、平坦面15と、突出部14の主面である凸面16と、を含んでいる。
【0046】
凸面16は、フロント側に位置する第1面17と、リア側に位置する第2面18と、第1及び第2面17,18間に介在する頂面19と、を含んでいる。
【0047】
第1面17は、リア側の平坦面15と頂面19との間に介在しており、フロント方向に向かうに従って上側に向かって傾斜する平面である。一方で、第2面18は、フロント側の平坦面15と頂面19との間に介在しており、フロント方向に向かうに従って下側に向かって傾斜する平面である。
【0048】
本実施形態における第2面18は、第1面17に対して相対角度θ
1を有している。なお、この相対角度θ
1とは、
図5に示す断面において、第1面17に略平行な直線PL
1と、第2面18に略平行な直線PL
2と、のなす角である。
【0049】
第1及び第2面17,18が相互に相対角度θ1を有するように傾斜していることにより、本実施形態における第1及び第2面17,18は、上側に向かうに従って徐々に相互に接近するように傾斜している。なお、本実施形態における第1及び第2面17,18は平面であるが、これに限定されず、曲面を含んでいてもよい。
【0050】
第1収容部12は第1面17に形成されている。このため、第1収容部12の上端開口122は、第1面17と同一平面上に形成されていると共に、第1面17と略平行となっている。一方、第2収容部13は第2面18に形成されている。このため、第2収容部13の上端開口132は、第2面18と同一平面上に形成されていると共に、第2面18と略平行となっている。
【0051】
また、本実施形態における頂面19は、平坦面15に略平行な平面である。この頂面19は、平坦面15に対して傾斜していてもよいし、或いは、頂面19は省略されて、第1及び第2面17,18が直接的に接続していてもよい。
【0052】
なお、中心線CL1が第1面17に略垂直となるように第1ロアボールジョイント40aを配置すると共に、中心線CL2が第2面18に略垂直となるように第2ロアボールジョイント40bを配置した場合、中心線CL1,CL2の間の相対角度θ2はθ1となる(θ1=θ2)。ここで、中心線CL1は第1スタッド部44aの中心軸であり、中心線CL2は第2スタッド部44bの中心軸である。
【0053】
以上のような第2実施形態におけるサスペンション構造1Bにおいても、ロアリンク支持部11の上面11aにナット等の取付用部品を配置する必要が無く、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40b間の距離の短縮を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、凸面16において互いに相対角度θ1を有する第1及び第2面17,18のそれぞれに第1及び第2収容部12,13を形成することで、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40bの干渉を考慮する必要がなくなるため、第1及び第2ロアボールジョイント40a,40b間の距離の短縮を図ることができる。
【0055】
なお、第2実施形態では、ロアリンク支持部11の上面11aに凸面16を形成しているが、これに限定されない。下面11bに凸面16を形成して、第1及び第2面に第1及び第2収容部12,13を形成してもよい。
【0056】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0057】
1A…サスペンション構造
10…ホイールサポート
11…ロアリンク支持部
11a…上面
11b…下面
12…第1収容部
121…収容室
122…上端開口
123…ロールカシメ部
124…下端開口
125…蓋部材
13…第2収容部
131…収容室
132…上端開口
133…ロールカシメ部
134…下端開口
135…蓋部材
14…突出部
15…平坦面
16…凸面
17…第1面
18…第2面
19…頂面
20…アッパーリンク
21…アッパーボールジョイント
22…アッパーブッシュ
23…ショックアブソーバ
24…コイルスプリング
30a,30b…第1及び第2ロアリンク
31a,31b…貫通孔
35a,35b…第1及び第2ロアブッシュ
40a,40b…第1及び第2ロアボールジョイント
41a,41b…第1及び第2球部
42a,42b…ボールシート
43a,43b…ハウジング
44a,44b…第1及び第2スタッド部
441…ネジ山
45a,45b…ナット
46a,46b…ダストカバー
50…サスペンションクロスメンバ(サブフレーム)
60…前輪
70…車体部
71…フロントサイドフレーム
80…タイロッド