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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075398
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20240527BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H9/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186820
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】江平 浩太
【テーマコード(参考)】
5G046
5G052
【Fターム(参考)】
5G046AA01
5G046AA03
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD02
5G046AD06
5G046AD13
5G046AE02
5G052AA40
5G052BB10
5G052HA13
5G052HC08
(57)【要約】
【課題】操作者による操作と蓋の開閉とを共に検知することができる操作装置を提供する。
【解決手段】操作パネル12を覆う蓋4を有した操作装置において、基板の表面に形成された一対の電極16を有し、操作者による操作の有無を電極16の静電容量の変化に基づいて検出する複数の静電容量型の操作スイッチ10を備え、電極16からの信号に基づいて蓋4有り、蓋4無しかつ操作無し、及び蓋4無しかつ操作有りの状態を区別して判定する判定手段18を備えたので、追加コスト無しで蓋4の有無を確実に検出することができる。

【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者により操作される操作パネルを覆う蓋を有した操作装置において、
前記操作パネルを覆う蓋は誘電体で構成し、
前記操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、
前記基板の表面に形成された一対の電極を有し、操作者による操作の有無を前記電極の静電容量の変化に基づいて検出する複数の静電容量型の操作スイッチと、
前記電極に接続され、前記電極からの信号に基づいて、前記蓋有り、前記蓋無しかつ前記操作無し、及び前記蓋無しかつ前記操作有りを区別して判定する判定手段と、
を設けたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
操作者により操作され、器具本体から操作するために引き出し可能とされた操作パネルを有した操作装置において、
前記操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、
前記基板の表面に形成された一対の電極を有し、操作者による操作の有無を前記電極の静電容量の変化に基づいて検出する複数の静電容量型の操作スイッチと、
前記操作パネルの前記器具本体への収納時に、前記操作パネルと対面する位置に設けた誘電体で構成された部材と、
前記電極に接続され、前記電極からの信号に基づいて、前記操作パネルが収納された状態、前記操作パネルが引き出された状態かつ前記操作無し、及び前記操作パネルが引き出された状態かつ前記操作有りを区別して判定する判定手段と、
を設けたことを特徴とする操作装置。
【請求項3】
前記操作スイッチは、相互容量方式により静電容量の変化を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記蓋の厚みは、前記操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
前記部材の厚みは、前記操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上であることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作パネルを覆う蓋を有した操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の操作装置では、特許文献1記載のように、多数のスイッチを隠す目的等で操作スイッチ部を覆う開閉可能な蓋を設けることがあり、この蓋の開閉状態に応じて画面表示を消灯する等をして消費電力を抑えたり、スイッチに割り当てる機能を変更したりするものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-097999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のものでは、蓋の開閉状態を検知するためには、磁気センサ、近接センサ、照度センサ、マイクロスイッチ等の専用のセンサーが必要となり、コストがかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の操作装置では、操作パネルを覆う蓋を有した操作装置において、前記操作者により操作される操作パネルと、前記操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、前記基板の表面に形成された一対の電極を有し、操作者による操作の有無を前記電極の静電容量の変化に基づいて検出する複数の静電容量型の操作スイッチと、前記操作パネルを覆う誘電体の蓋と、前記電極に接続され、前記電極からの信号に基づいて、前記蓋有り、前記蓋無しかつ前記操作無し、及び前記蓋無しかつ前記操作有りを区別して判定する判定手段と、を有することを特徴としている。
【0006】
また、請求項2の操作装置では、操作パネルを覆う蓋を有した操作装置において、前記操作者により操作され、器具本体から前記操作者が操作するために引き出し可能とされた操作パネルと、前記操作パネルの操作側とは反対側に配置された基板と、前記基板の表面に形成された一対の電極を有し、操作者による操作の有無を前記電極の静電容量の変化に基づいて検出する複数の静電容量型の操作スイッチと、前記操作パネルの前記器具本体への収納時に、前記操作パネルと対面する位置に設けた誘電体で構成された部材と、前記電極に接続され、前記電極からの信号に基づいて、前記操作パネルが収納された状態、前記操作パネルが引き出された状態かつ前記操作無し、及び前記操作パネルが引き出された状態かつ前記操作有りを区別して判定する判定手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
また、請求項3の操作装置では、前記操作スイッチは、相互容量方式により静電容量の変化を検出することを特徴としている。
【0008】
また、請求項4の操作装置では、前記蓋の厚みは、前記操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上であることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5の操作装置では、前記部材の厚みは、前記操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、操作スイッチにて操作者による操作(例えば指など)の有無の他に、蓋の有無と、操作による指有りと蓋有りとの違いを判別できるので、追加コスト無しで蓋の有無を確実に検出することができる。
【0011】
また、請求項2によれば、操作スイッチにて操作者による操作(例えば指)の有無の他に、操作パネルの本体への収納状態と、操作による指有りと操作パネルが収納された状態との違いを判別できるので、追加コスト無しで操作パネルが器具本体へ収納されたかどうかを確実に検出することができる。
【0012】
また、請求項3によれば、操作スイッチに付着した水などの異物と、蓋有り又は操作パネルが収納された状態とを、検出した静電容量の違いで区別することができる。更に、操作者の指等による操作と、操作スイッチに付着した水などの異物とを区別することができる。
【0013】
また、請求項4によれば、蓋の厚みは、操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上であるので、判定手段は静電容量の僅かな変化を検知するための細かい分解能を不要とすることができる。
【0014】
また、請求項5によれば、誘電体で構成された部材の厚みは、操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上であるので、判定手段は静電容量の僅かな変化を検知するための細かい分解能を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一の実施形態の外観構成を表す斜視図
図2】同実施形態の外観構成を表す斜視図
図3】同実施形態の操作スイッチの内部構成を表す分解斜視図
図4】同実施形態の電極間に生じる電磁界のイメージを表す図
図5】同実施形態の静電容量の変化量を表す図
図6】第二の実施形態の外観構成を表す斜視図
図7】第一及び第二の実施形態の静電容量の変化量を表す図
図8】第一及び第二の実施形態の静電容量の変化量を表す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の一実施形態における操作装置を図に基づいて説明する。
【0017】
まず、図1を用いて本発明の操作装置を適用した、本実施形態の浴室リモコン装置1の外観構成を示す。浴室リモコン装置1は、住宅設備機器用操作装置の一例として、ふろ給湯装置において浴室の壁に設置される据付型のリモコン装置である。浴室リモコン装置1は、外殻を構成するケース部2と、その中央上部にふろ給湯装置の設定状態や動作状態を表示する表示部3と、浴室リモコン装置1の下半分に設けられた複数の操作スイッチ10と、この操作スイッチ10を覆い、下端を軸に開閉する蓋4とを備えている。ここで、蓋4は誘電体の材料、例えばアクリルなどのプラスチック材で構成されている。また蓋4は、閉状態時には浴室リモコン装置1の外殻の一部を構成し、操作者(ここでは入浴者)が操作しないときに浴室内のふろ水やシャワーの水がかからないように保護する。
【0018】
図2に、浴室リモコン装置1の蓋4を開状態とした外観を示す。複数の操作スイッチ10は操作パネル12に設けられており、例えば給湯温度やふろ温度の設定温度を変更するスイッチや、たし湯やさし水を行うスイッチが設けられている。複数の操作スイッチ10の各々は、操作者による操作の有無を静電容量の変化に基づいて検出する静電容量型操作スイッチとして構成されている。
【0019】
次に、図3を用いて複数の操作スイッチ10の内部構成について説明する。図3に、複数の操作スイッチ10のうちの2つの操作スイッチ10A、10Bを抽出してその内部構成を示す。この例では、「たし湯」スイッチである操作スイッチ10Aと、「さし水」スイッチである操作スイッチ10Bの内部構成を示している。なお、以下の説明において、操作スイッチ10Aと操作スイッチ10Bとを区別しない場合には、単に操作スイッチ10と記載する。
【0020】
操作スイッチ10は、操作パネル12と、基板14とを有している。操作パネル12は、例えば可撓性を有するプラスチック(アクリルを含む)等の誘電体の材料で構成されており、操作者により操作されるパネルである。操作者は、操作パネル12の表面に指24を接触又は近接させることにより、操作スイッチ10を操作する。操作パネル12は、1つのパネルを複数の操作スイッチ10で共用するように構成されているが、各操作スイッチ10ごとに別々のパネルとして構成してもよい。以下では説明の便宜上、操作パネル12のうち、操作スイッチ10Aに対応する部分を操作パネル12A、操作スイッチ10Bに対応する部分を操作パネル12Bと記載する。
【0021】
操作パネル12には、スイッチの機能や用途を示すシンボルマーク15が形成されている。図3に示す例では、シンボルマーク15として、操作パネル12Aには「たし湯」の文字、操作パネル12Bには「さし水」の文字が形成されている。なお、シンボルマーク15は文字に限らず、記号や図柄としてもよい。シンボルマーク15は、各操作パネル12A,12Bにおいて、各操作スイッチ10A,10Bの電極16A,16Bの略中央位置に対応する位置に形成されている。なお、前記シンボルマーク15は、当該マーク部分を透明又は半透明、かつ、それ以外のパネル部分を不透明とすることで形成してもよいし、マーク部分を不透明、かつ、それ以外のパネル部分を透明又は半透明とすることで形成してもよい。
【0022】
基板14は、操作パネル12の操作側(操作者により操作される側で表面側)とは反対側(内部側)に配置された、プリント基板である。基板14は、絶縁板の両面に回路パターンが形成された両面基板である。基板14の操作パネル12側の表面14aには、各操作スイッチ10A,10Bごとに、電極16が設けられている。以下では説明の便宜上、操作スイッチ10Aに対応する電極を電極16A、操作スイッチ10Bに対応する電極を電極16Bと記載する。
【0023】
電極16Aは、電極16A1及び電極16A2の一対で対向して構成され、電極16A1が送信電極、電極16A2が受信電極とした相互容量方式の静電容量型操作スイッチである。電極16A1、電極16A2間に所定のタイミングで通電(電圧を印加)し、当該電極間に蓄えられる静電容量値を検出することにより、操作者の操作による指24の接触又は近接を検知する。なお、以下の説明において、電極16A1と電極16A2とを区別しない場合には、単に電極16Aと記載する。なお、電極16Bについても同様である。
【0024】
また、電極16A及び16Bの形状は、送信電極と受信電極の間に最適な電荷量を蓄積できるよう、対向した当該電極の配線距離及び当該電極間の離隔距離を適切に設けることができれば、図3に示す形状以外であっても良い。なお、電極16A及び16Bの大きさは、操作者の指24の大きさと同程度に設定されている。
【0025】
また、基板14の表面14aには、電極16A,16Bからの信号に基づいて操作パネル12A,12Bに対する操作の有無をそれぞれ判定するICチップ18(判定手段)が設けられている。また、電極16A,16Bの各々とICチップ18とをそれぞれ接続する信号線19が設けられている。電極16A,16B及び信号線19は、基板14の表面14aに回路パターンとして形成されている。信号線19の一部の回路パターンは、基板14の表面14aの回路パターンからスルーホールを介して基板14の操作パネル12とは反対側の裏面14bに回路パターンを形成している。なお、図3では、ICチップ18は基板14の表面14aに形成し実装されているが、裏面14bに形成された信号線19の回路パターンから配線することで、裏面14bに実装されても良い。
【0026】
なお、ICチップ18は基板14に実装することに限るものではなく、例えばICチップ18が基板14とは別の基板に実装されても良い。つまり、基板14の表面14aに実装された電極16A,16Bの各々と基板14とは別の基板に実装されたICチップ18とがそれぞれ電気的に接続されていれば良いものである。
【0027】
なお、前述した基板14を両面基板としたが、絶縁板の表面にのみ回路パターンが形成された片面基板としても良い。その場合、電極16A及び16Bの形状や信号線19の回路パターンは実装可能な引き回しとなるよう、適宜設計される。
【0028】
なお、図示は省略するが、電極16A及び16Bの周囲にノイズ対策用のグランドパターン(ガードパターン)を設けても良い。
【0029】
また、電極16A及び16Bの近傍に、操作パネル12に光を照射するLEDのような発光素子(図示せず)が配置されても良い。また、発光素子から照射される光を隣接する操作スイッチに漏れないよう遮光する目的で、操作パネル12と基板14との間に各操作スイッチ10を囲むようなケース(図示せず)を設けても良い。
【0030】
次に、本発明の一実施形態における、操作者による操作の有無、蓋の有無、及び操作有りと蓋有りとの違いを判別する方法について、図4及び図5に基づいて説明する。
【0031】
図4に、送信電極である電極16A1と受信電極である電極16A2間で容量結合した際に発生する電磁界のイメージを示す。図4(a)は、基板14上の電極16A1及び16A2上に操作パネル12が設置された状態を表している。電極16A1と電極16A2間に通電すると、当該電極間に寄生容量による電荷が蓄積し、静電容量が発生する。
【0032】
図4(b)は、図4(a)に対して操作者の指24が操作パネル12の表面に接触又は近接させた状態を表しており、操作スイッチ10を操作する状況である。このとき、電磁界の一部が指24に移り、電極16A1と電極16A2間に発生した電磁界が遮られることで、当該電極間の静電容量は減少する。なお、図4(b)中に示した静電容量の変化量(ここでは-80)とは、図4(a)の状態からの変化量であり、他の図4(c)及び図4(d)における同変化量との相対的な値である。図4(c)及び図4(d)の変化量の説明も同様である。
【0033】
図4(c)は、図4(a)に対して蓋4を閉じた状態を表している。蓋4は誘電体で構成されていることから当該電極間の寄生容量は増加するため、静電容量は増加する。
【0034】
図4(d)は、図4(a)に対して蓋4を閉じた状態で、かつ操作者の指24が図4(a)と同じ位置に蓋4の上から接触又は近接した状態を示している。このとき、図4(b)と同様に電磁界の一部が指24に移るが、蓋4の厚さ分だけ指24と電極16A1及び電極16A2との距離が離れるため、当該電極間の静電容量は減少するものの、変化量は図4(b)よりも小さくなる。
【0035】
図5に、図4で示した静電容量の変化量をグラフに示す。(a)~(d)はそれぞれ図4での状態を表している。なお、蓋4は誘電体であるので、その厚さによって誘電体の比誘電率が変わるが、ここでは蓋4の厚さは操作パネル12の厚さと同等としている。
【0036】
ここで、(a)と(b)を比較すると、静電容量の変化量が(a)0に対して(b)-80となるため、操作者による操作の有無、つまり指24の接触の有無を確実に判別することができる。
【0037】
また、(a)と(c)を比較すると、静電容量の変化量が(a)0に対して(c)+20となるため、蓋4の有無、つまり蓋4が閉状態なのか開状態なのかを確実に判別することができる。
【0038】
また、(b)と(c)を比較すると、静電容量の変化量が(b)-80に対して(c)+20となるため、操作者による操作が行われたのか、蓋4が閉状態なのかを確実に判別することができる。
【0039】
従って、本実施形態の構成によって、図4(a)、(b)、及び(c)の各状態を区別することができる。つまり、図4(a)蓋4無しかつ操作無し、図4(b)蓋4無しかつ操作有り、図4(c)蓋4有り、のそれぞれの状態を区別して判定することができる。言い換えると、操作パネル12に対する操作者による操作の有無、及び蓋4の有無、及び操作有りと蓋有りとの違いを判別することができる。
【0040】
なお、操作者による操作(指等)及び水やゴミなどの異物により操作パネル12が部分的に覆われ、操作スイッチ10の幾つかに接触又は近接有りが検出された場合、静電容量が変化した操作スイッチ10は限定的となる。一方、蓋4が覆われたときの静電容量の変化は操作スイッチ10全体に及ぶため、操作者による操作(指等)及び水やゴミなどの異物と蓋4との違いを確実に判別することができる。また、水の誘電率はアクリルなどのプラスチック材よりも大きいため、水が付着した場合は蓋4が有る状態より静電容量の増加量が大きい。つまり、蓋4が有るのか、操作者の指等や水が有るのかを区別しつつ、操作者の指等が有るのか、水が有るのかを区別することで、操作者の指等による操作と、操作スイッチに付着した水などの異物とを区別することができる。
【0041】
次に、この発明の第二の実施形態における操作装置を図に基づいて説明する。
【0042】
図6に、本発明の操作装置を適用した、他の実施形態における操作部5の外観構成を示す。操作部5は、例えば石油燃焼機器(石油ストーブなど)の器具本体6の前面に搭載される操作部である。操作部5は、中央上部に器具本体6の設定状態や動作状態を表示する表示部3と、下半分に設けられ、器具本体6に収納可能な操作パネル12を備えている。図6(a)は操作パネル12を器具本体6に収納している状態を示し、図6(b)は操作パネル12を器具本体6から引き出している状態を示しており、この状態で複数の操作スイッチ10を操作することができる。図6(c)は操作部5及び器具本体6の断面図を示しており、操作パネル12の収納及び引き出しは、回転軸8を軸に回動することで行われる。
【0043】
第一の実施形態と同様に、図6(b)で操作パネル12を引き出した状態にて、操作パネル12の表面に操作者の指24を接触又は近接させることにより、操作スイッチ10を操作することができる。また、操作パネル12、操作スイッチ10、基板14、電極16、の関係も、図3に示した第一の実施形態と同様である。
【0044】
ここで、図6(c)にて、操作パネル12を器具本体6内に収納した場合、操作パネル12と対面する位置に部材7が設けられている。部材7は、第一の実施形態における蓋4と同様に誘電体の材料、例えばアクリルなどのプラスチック材で構成されている。
【0045】
従って、第二の実施形態において操作パネル12を器具本体6に収納することは、第一の実施形態において蓋4を閉状態にすることと同様の作用効果を生じることとなる。つまり、図4において蓋4を部材7に置き換えた場合も、同様の静電容量の増減が発生する。
【0046】
従って、第二の実施形態において、操作者による操作の有無、及び操作パネル12の器具本体6への収納状態(収納されたかどうか)、及び操作有りと操作パネル12が収納された状態との違いを判別することができる。その他、第一の実施形態で生じた作用効果も同様に、第二の実施形態で生じる。
【0047】
次に、第一の実施形態における蓋4、及び第二の実施形態における部材7の厚みを、操作パネルの厚みと略同一又はそれ以上とすることの作用効果について、図7図8に基づいて説明する。以下では説明の便宜上、代表して蓋4で説明を進める。
【0048】
図5では、蓋4の厚さが操作パネル12と同等の場合について静電容量の変化量を記載しているが、図7では、蓋4の厚さが操作パネル12より薄い場合について静電容量の変化量を記載している。ここで、図7(c)は蓋4を閉じた状態の静電容量の変化量であるが、蓋4が薄いことで電極16A1と電極16A2間の静電容量の増加は小さくなるため、蓋4の有無による変化量が小さくなっている。つまり、蓋4の有無を判別するためには、判定手段であるICチップ18の分解能を上げて小さな静電容量の変化量でも検出する必要があり、性能アップ、コストアップが生じてしまう。
【0049】
一方で、図8では、蓋4の厚さが操作パネル12より厚い場合について静電容量の変化量を記載している。ここで、図8(c)は蓋4を閉じた状態の静電容量の変化量であるが、蓋4が厚いことで電極16A1と電極16A2間の静電容量の増加は大きくなるため、蓋4の有無による変化量が大きくなっている。つまり、蓋4の厚さを操作パネル12と同等又はそれ以上とすることで、薄い場合に比べて、蓋4の有無を明確に判別することができる。なお、第二の実施形態における部材7の厚みについても、操作パネル12と同等又はそれ以上とすることで、同様の作用効果を発揮することができる。
【0050】
なお、蓋4及び部材7の厚さが操作パネル12より厚い場合、図8(c)と(d)の静電容量の変化量が同等となってしまうが、蓋4が閉状態、又は部材7が収納状態における操作の有無は判別する必要がないため、実質的に影響はない。
【0051】
なお、本発明の実施形態では、操作パネル12及び蓋4の材質はアクリルなどのプラスチック材としたが、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂などのプラスチック材でも良い。
【0052】
なお、本発明の実施形態では、電極16A及び電極16Bは相互容量方式の静電容量型操作スイッチとしたが、自己容量方式の操作スイッチとしても良い。つまり、蓋4及び部材7の誘電率を操作パネル12より大きくし、複数の操作スイッチ10を覆うように構成することで、複数の操作スイッチ10に生じる静電容量の変化と、一部の操作スイッチ10に生じる変化とを区別することができ、その結果、前者の変化を蓋4及び部材7有りの状態とし、後者の変化を操作者による操作又は水やゴミなどの異物有りとして区別することができる。
【0053】
また、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
4 蓋
10 操作スイッチ
12 操作パネル
14 基板
16 電極
16A1 電極(送信電極)
16A2 電極(受信電極)
18 ICチップ(判定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8