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特開2024-75419情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075419
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/40 20180101AFI20240527BHJP
【FI】
G16H40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186871
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健一郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】内視鏡システムが稼働している地域における情報の取り扱いに適合するアクセスポイント及び保管サーバへの稼働情報の保管を可能とする。
【解決手段】内視鏡システムの稼働情報の保管のために通信すべきアクセスポイントに関する問合せであって、内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を含む問合せを行う問合せ部を有する内視鏡システムと、複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられているデータベースを記憶する記憶部と、前記問合せに応じて、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに適合するアクセスポイントを前記データベースを基に選択する選択部と、前記選択部で選択されたアクセスポイントに関する通知を行う通知部と、を有する情報処理装置と、を備える情報処理システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数のアクセスポイントのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに稼働情報を保管する内視鏡システムと、
前記ネットワークを介して前記内視鏡システムと通信する情報処理装置と、
を含む情報処理システムであって、
前記内視鏡システムは、
前記内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を記憶する第1の記憶部と、
前記稼働情報の保管のために通信すべきアクセスポイントに関する問合せであって、前記第1の記憶部に記憶された地域情報を含む問合せを前記情報処理装置に行う問合せ部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられて記録されているデータベースを記憶する第2の記憶部と、
前記内視鏡システムの前記問合せに応じて、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントを、前記データベースを基に選択する選択部と、
前記選択部で選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知を前記内視鏡システムに行う通知部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記データベースに記録されている前記複数のアクセスポイントのいずれかとの間における通信品質を測定する測定部をさらに備え、
前記選択部は、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合する2以上のアクセスポイントの中から通信品質が最も良いアクセスポイントを選択する、
情報処理システム。
【請求項3】
ネットワークを介して複数のアクセスポイントのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに内視鏡システムの稼働情報を保管するために通信すべきアクセスポイントに関する内視鏡システムの問合せであって、内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を含む問合せを処理する情報処理装置であって、
前記複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられて記録されているデータベースを記憶する記憶部と、
前記内視鏡システムの前記問合せに応じて、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントを、前記データベースを基に選択する選択部と、
前記選択部で選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知を前記内視鏡システムに行う通知部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項4】
ネットワークを介して複数のアクセスポイントのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに内視鏡システムの稼働情報を保管するための情報処理方法であって、
前記稼働情報の保管のために通信すべきアクセスポイントに関する問合せであって、前記内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を含む問合せを行う問合せステップと、
前記問合せに応じて、前記複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられて記録されているデータベースを基に、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントを選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知を行う通知ステップと、
前記通知に応じて、前記選択ステップで選択されたアクセスポイントと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに前記内視鏡システムの稼働情報を保管する保管ステップと、
を有する情報処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内腔内の生体組織の観察や治療に内視鏡スコープ、光源装置、プロセッサ等の機器を備える内視鏡システムが使用されている。内視鏡システムにおいては、例えば、光源装置にキセノンランプのような経年劣化し易い光源ランプを用いている場合、光源装置を定期的にメンテナンスする必要がある。このように内視鏡システムにおいては、関連機器の定期的なメンテナンスが必要となるため、内視鏡システムの稼働情報を記録して保管することでメンテナンスの時期を管理している。例えば特許文献1に記載される内視鏡管理システムは、内視鏡稼働データの収集又は保守用遠隔制御のために設けられるネットワーク上の複数のアクセスポイントに接続して、内視鏡データ収集サーバで内視鏡稼働データを収集している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/187600号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アクセスポイント及び/またはサーバ装置が物理的に配置される国や政治的共同体等の地域には、情報保護に関連する法令やガイドラインといった基準が存在する。そして情報保護に関連する基準は、地域毎によって異なる。仮に内視鏡システムが稼働している地域Aとは異なる地域Bに配置されているサーバ装置に内視鏡システムの稼働情報を保管する場合を考える。そしてこの場合において、さらに地域Bの基準で定められる情報の保管期限が地域Aの基準で定められるものよりも短い場合、地域Aで必要とされる情報の保管期限よりも早い時点で地域Bのサーバ装置に保管されている内視鏡の稼働情報が破棄される虞がある。このように、内視鏡システムが稼働している地域における稼働情報に対する適合性の無いアクセスポイントに接続された保管サーバに稼働情報を保管した場合、稼働情報が内視鏡システムが稼働している地域から見て適切に保護されない虞がある。
【0005】
そこで本発明は、内視鏡システムが稼働している地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントに接続された保管サーバへの、ネットワークを介した稼働情報の保管を可能とすることを目的とする。
【0006】
本開示の一態様は、情報処理システムである。当該情報処理システムは、
ネットワークを介して複数のアクセスポイントのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに稼働情報を保管する内視鏡システムと、
前記ネットワークを介して前記内視鏡システムと通信する情報処理装置と、
を含む。
【0007】
前記内視鏡システムは、前記内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を記憶する第1の記憶部と、前記稼働情報の保管のために通信すべきアクセスポイントに関する問合せであって、前記第1の記憶部に記憶された地域情報を含む問合せを前記情報処理装置に行う問合せ部と、
を備える。
【0008】
前記情報処理装置は、前記複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられて記録されているデータベースを記憶する第2の記憶部と、前記内視鏡システムの前記問合せに応じて、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントを、前記データベースを基に選択する選択部と、前記選択部で選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知を前記内視鏡システムに行う通知部と、
を備える。
【0009】
前記情報処理装置は、前記データベースに記録されている前記複数のアクセスポイントのいずれかとの間における通信品質を測定する測定部をさらに備えていてもよい。
前記選択部は、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合する2以上のアクセスポイントの中から通信品質が最も良いアクセスポイントを選択してもよい。
【0010】
本開示の別の態様は、ネットワークを介して複数のアクセスポイントのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに内視鏡システムの稼働情報を保管するために通信すべきアクセスポイントに関する内視鏡システムの問合せであって、内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を含む問合せを処理する情報処理装置である。当該情報処理装置は、
前記複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられて記録されているデータベースを記憶する記憶部と、
前記内視鏡システムの前記問合せに応じて、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントを、前記データベースを基に選択する選択部と、
前記選択部で選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知を前記内視鏡システムに行う通知部と、
を備える。
【0011】
本開示の更なる別の態様は、ネットワークを介して複数のアクセスポイントのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに内視鏡システムの稼働情報を保管するための情報処理方法である。当該情報処理方法は、
前記稼働情報の保管のために通信すべきアクセスポイントに関する問合せであって、前記内視鏡システムが稼働している地域に関する地域情報を含む問合せを行う問合せステップと、
前記問合せに応じて、前記複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における稼働情報の取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられて記録されているデータベースを基に、前記問合せに含まれる地域情報の地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントを選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知を行う通知ステップと、
前記通知に応じて、前記選択ステップで選択されたアクセスポイントと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバに前記内視鏡システムの稼働情報を保管する保管ステップと、
を有する。
【0012】
上述の情報処理システムと、情報処理装置と、情報処理方法と、によれば、内視鏡システムが稼働している地域における稼働情報の取り扱いに対して適合するアクセスポイントに接続された保管サーバに、ネットワークを介して稼働情報を保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態の内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態の内視鏡システムの制御部の機能を示すブロック図である。
図4】一実施形態の通知サーバの構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態の通知サーバの制御部の機能を示すブロック図である。
図6】一実施形態の通知サーバの記憶部に記憶されているデータベースの一例を示す図表である。
図7】一実施形態の情報処理システムで行われる内視鏡システムの稼働情報の保管方法の一例を示すフローチャート図である。
図8】一実施形態の情報処理システムで行われる内視鏡システムの稼働情報の保管方法における測定部による測定結果の一例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態の情報処理システムについて図面を参照しながら説明する。
本開示に係る情報処理システムは、内視鏡システムに対して離間して配置されている電子データ保管用の保管サーバに、ネットワークを介して内視鏡システムの稼働情報を保管する情報処理システムである。
図1は、一実施形態の情報処理システム10の構成を示すブロック図である。
【0015】
情報処理システム10は、図1に示されるように、内視鏡システム20と、通知アクセスポイント50と、通知サーバ60と、を含んで構成されている。
内視鏡システム20は、内腔内の生体組織を撮像して画面表示する機能を有する。内視鏡システム20は、地域RAに配置されており、ネットワークNWに接続可能な構成を有する。内視鏡システム20は、ネットワークNWを介して、通知アクセスポイント50と、地域RBに配置されているアクセスポイント80Bと、地域RCに配置されているアクセスポイント80Cと、地域RDに配置されているアクセスポイント80Dと、の各々と通信可能な構成を有する。
通知アクセスポイント50は、ネットワークNWを介しての内視鏡システム20からの接続要求を受け付け、内視鏡システム20と通知サーバ60との間の通信を仲介する機能を有する。
通知サーバ60は、通知アクセスポイント50に接続されているサーバ装置であり、ネットワークNW及び通知アクセスポイント50を介して内視鏡システム20と通信可能な構成を有する。通知サーバ60は、情報処理装置の一例である。
内視鏡システム20及び通知サーバ60については、各々の詳細を後述する。
【0016】
地域RA、RB、RC、RDは各々、国単位、政治的共同体単位または経済的共同体単位で区分された地域を示す地域情報IFと関連付けられている。地域情報IFは例えば、日本国、米国(アメリカ合衆国)、EU(欧州連合)または中国(中華人民共和国)等である。
【0017】
ネットワークNWは例えば、インターネットである。ネットワークNWは、インターネット上に構築されたVPN(Virtual Private Network)であってもよい。
【0018】
なお、アクセスポイント80B、80C、80Dは各々、電子データを保管する保管サーバ82B、82C、82Dに接続されている。一実施形態において、保管サーバ82Bはアクセスポイント80Bと共に地域RBに配置されており、保管サーバ82Cはアクセスポイント80Cと共に地域RCに配置されており、保管サーバ82Dはアクセスポイント80Dと共に地域RDに配置されている。
【0019】
<内視鏡システム20>
内視鏡システム20は、図2に示されるように、内視鏡21と、モニタ22と、プロセッサ30と、を備える。モニタ22は、内視鏡21で撮像されてプロセッサ30で画像処理された画像を画面表示する機能を有する。
【0020】
内視鏡21は、内腔内に挿入可能であり、撮像素子で内腔内の生体組織を撮像して画像信号を生成する機能を有する。内視鏡21は、内視鏡21の使用者による操作を受け付けて内視鏡21の動作状態を切り替える切替部(図示省略)を備える。該切替部は例えば、撮像する生体組織を照らす照明光のON/OFFや、モニタ22に表示されている画像の静止表示/静止解除、内視鏡21に設けられたオプション機器(図示省略)のON/OFF等を切り替える。内視鏡21に設けられたオプション機器は、例えば送水/吸水ポンプと、送気/吸気ポンプと、電気メスまたはレーザーメス等の処置具と、が挙げられる。
【0021】
プロセッサ30は、内視鏡21で生成された画像信号をモニタ22への画面表示に向けて画像処理して画像を生成する。プロセッサ30は、制御部32と、記憶部34と、通信部36と、を備える。プロセッサ30は、外部からの操作を受け付ける操作部(図示省略)をさらに備える。また、プロセッサ30は、光源一体型プロセッサであり、内視鏡21で撮像する生体組織を照らす照明光を射出する光源(図示省略)をさらに備える。
【0022】
記憶部34は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、内視鏡システム20が配置されて稼働している地域RAと関連付けられている地域情報IF及び内視鏡システム20の稼働情報IWを記憶する機能を有する。稼働情報IWは、光源(図示省略)と、内視鏡21の切替部(図示省略)と、プロセッサ30の操作部(図示省略)と、内視鏡21に設けられたオプション機器(図示省略)と、の各々に係る操作情報を含んでいる。また、稼働情報IWは、制御部32による各部の動作の処理情報を含んでいる。また、稼働情報IWは、内視鏡システム20が配置されている位置情報(施設名及び地域情報IFを含む)と、内視鏡システム20の各部の識別情報(例えば、型式番号及び/または製造シリアル番号)と、を含んでいる。また、稼働情報IWは、内視鏡システム20の使用者(施術者及び非施術者を含む)の個人情報と、内視鏡システム20の保全情報(消耗品の交換履歴を含む)と、を含む。
【0023】
通信部36は、ネットワークNWを介して通知アクセスポイント50と、アクセスポイント80B、80C、80Dと、を含む複数のアクセスポイントの各々と通信する機能を有する。また、通信部36は、ネットワークNWを介してアクセスポイント80B、80C、80Dに接続されている保管サーバ82B、82C、82Dと通信して稼働情報IWを保管する機能を有する。すなわち、通信部36を備える内視鏡システム20は、ネットワークを介してアクセスポイント80B、80C、80Dのいずれかと通信して該アクセスポイントに接続されている保管サーバ82B、82C、82Dに稼働情報IWを保管する機能を有する。
【0024】
制御部32は、内視鏡システム20の動作を統括的に制御する。制御部32は、CPU(Central Processing Unit)32aと、ROM(Read Only Memory)32bと、RAM(Random Access Memory)32cと、インターフェース32dと、を含んで構成されている。ROM32bは、CPU32aが実行する制御プログラム等を記憶する機能を有する。RAM32cは、CPU32aが実行する制御プログラム等で使用するパラメータ等を記憶する機能を有する。インターフェース32dは、プロセッサ30に接続される機器と通信する機能を有する。
制御部32は、CPU32aが制御プログラムを実行することによって、画像処理部41及び/または問合せ部42として機能する(図3参照)。
制御部32は、CPU32aが実行する制御プログラムによって、ネットワークNWを介して内視鏡システム20の配置されている地域の地域情報IFを取得する構成を有していてもよい。
【0025】
画像処理部41は、内視鏡21が撮像した画像に所定の画像処理を施してモニタ22に該画像を表示させる。画像処理は、例えば色補正、マトリックス演算、階調処理、ホワイトバランス補正等を含む。
【0026】
問合せ部42は、ネットワークNW及び通知アクセスポイント50を介して通知サーバ60に問合せQSを行う(図1参照)。問合せQSは、稼働情報IWの保管のために通信すべき保管サーバ及びアクセスポイントに関する問合せであって、記憶部34に記憶された地域情報IFを含む問合せである。
【0027】
<通知サーバ60>
通知サーバ60は、内視鏡システム20の問合せQSに応じて、問合せQSに含まれる地域情報IFにおける稼働情報IWの取り扱いに対して適合するアクセスポイントを内視鏡システム20に通知する機能を有する。通知サーバ60は、図4に示されるように、制御部62と、記憶部64と、通信部66と、を備える。
【0028】
記憶部64は、HDD等の記憶装置である。記憶部64は、複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対する適合性の有無と、が関連付けられたデータベースDBを記憶している。
本開示における複数のアクセスポイントの各々と、複数の地域の各々における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対する適合性の有無と、の関連について具体的に説明する。
【0029】
アクセスポイント及び/またはサーバ装置が物理的に配置される国や政治的共同体等の地域には、情報保護に関連する法令やガイドラインといった基準が存在する。そして情報保護に関連する基準は、地域毎によって異なる。
【0030】
情報保護に関連する基準の一例として、電子データの保管期限について考える。例えば、2つの地域R1及び地域R2で定められる情報保護に関連する基準は、各自の地域における電子データの保管期限を各々、5年間及び3年間に定めていると仮定する。この仮定において、さらに地域R1に配置されている内視鏡システム20の稼働情報IWを、地域R2に配置されているアクセスポイントに接続されたサーバ装置SR2に保管する場合を考える。この場合では、地域R2に配置されているサーバ装置に保管された稼働情報IWは、地域R1で定められる保管期限である5年よりも短い3年目で、地域R2で定められる情報保護に関連する基準に準じて破棄される虞がある。そのため、この仮定において、地域R2に配置されているアクセスポイントは、地域R1における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対して、保管期限に係る適合性を「有さない(無い)」ものとして関連付けられる。
【0031】
一方、この仮定において、地域R2に配置されている内視鏡システム20の稼働情報を、地域R1に配置されているアクセスポイントに接続されたサーバ装置SR1に保管する場合を考える。この場合では、サーバ装置SR1に保管された稼働情報IWは、地域R2で定められる保管期限である3年の間に、地域R1で定められる情報保護に関連する基準に準じて破棄されることがない。そのため、この仮定において、地域R1に配置されているアクセスポイントは、地域R2における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対して、保管期限に係る適合性を「有する」ものとして関連付けられる。
【0032】
他の情報保護に関連する基準の一例として、電子データの保管場所について考える。例えば、地域R3で定められる情報保護に関連する基準は、地域R3で生成された電子データの保管場所を、地域R3内に配置された保管場所のみに限定していると仮定する。この仮定において、地域R3で稼働した内視鏡システム20の稼働情報IWをサーバ装置に保管する場合、稼働情報IWの保管場所は、地域R3内に配置されたサーバ装置に限定される。そのため、この仮定において、地域R3以外の地域に配置されているアクセスポイント及びサーバ装置は、地域R3における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対して、保管場所に係る適合性を「有さない(無い)」ものとして関連付けられる。電子データの保管場所を限定する情報保護に関連する基準としては、例えば中国におけるデータ三法が挙げられる。
【0033】
さらに他の情報保護に関連する基準の一例として、電子データの閲覧可能地域について考える。例えば、地域R4で定められる情報保護に関連する基準は、地域R4で生成された電子データを閲覧できる地域について、地域R5からの閲覧を許可していないと仮定する。この仮定において、地域R4で稼働した内視鏡システム20の稼働情報IWをサーバ装置に保管する場合、稼働情報IWの保管を許可されるサーバ装置の地域は、地域R5からの電子データの閲覧を許可していない地域に限定される。そのため、この仮定において、地域R5からの電子データの閲覧を許可している地域に配置されているアクセスポイント及びサーバ装置は、地域R4における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対して、閲覧可能地域に係る適合性を「有さない(無い)」ものとして関連付けられる。電子データの保管場所を限定する情報保護に関連する基準としては、例えばEUにおけるGSPR(General Data Protection Regulation)が挙げられる。
【0034】
このように、記憶部64のデータベースDBでは、複数の地域の各々で定められる情報保護に関連する基準に基づいて、複数のアクセスポイントの各々が、複数の地域の各々における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対する適合性の有無について、複数の観点から総合的に評価されるように構築されている。複数の地域には、地域RA、RB、RC、RDが含まれる。複数のアクセスポイントには、アクセスポイント80B、80C、80Dが含まれる。複数の観点には、電子データの保管期限、保管場所及び閲覧可能地域が含まれる。
【0035】
データベースDBは、複数の地域の各々で定められる情報保護に関連する基準に基づいて作成される。すなわち、複数の地域の各々で定められる情報保護に関連する基準の変移に応じて、データベースDBの内容が更新される。
【0036】
通信部66は、ネットワークNWを介して内視鏡システム20と、アクセスポイント80B、80C、80Dを含む複数のアクセスポイントと、の各々と通信する機能を有する。
【0037】
制御部62は、通知サーバ60の動作を統括的に制御する。制御部62は、CPU62aと、ROM62bと、RAM62cと、インターフェース62dと、を含んで構成されている。ROM62bは、CPU62aが実行する制御プログラム等を記憶する機能を有する。RAM62cは、CPU62aが実行する制御プログラム等で使用するパラメータ等を記憶する機能を有する。インターフェース62dは、通知サーバ60に接続される機器と通信する機能を有する。制御部62は、CPU62aが制御プログラムを実行することによって、抽出部74、選択部71、通知部72及び/または測定部73として機能する(図5参照)。
【0038】
抽出部74は、内視鏡システム20の問合せQSに応じて、問合せQSに含まれる地域情報IFの地域における稼働情報IWに対して適合するアクセスポイントを、データベースDBを基に抽出する。
【0039】
選択部71は、内視鏡システム20の問合せQSに応じて、問合せQSに含まれる地域情報IFの地域における稼働情報IWに対して適合するアクセスポイントを、データベースDBを基に選択する。また、選択部71は、問合せQSに含まれる地域情報IFの地域における稼働情報IWに対して適合する2以上のアクセスポイントの中から通信品質が最も良いアクセスポイントを選択する。通信品質は、後述する測定部73によって測定される。
【0040】
測定部73は、選択部71による選択の経過に応じて、データベースDBに記録されている何れかのアクセスポイントとの間における通信品質を測定する。通信品質は、通知サーバ60から該アクセスポイントに向けた通信接続リクエストと、該通信接続リクエストに応じた該アクセスポイントからのレスポンス情報と、に係るデータ容量及び時間に基づいて算出される接続時間及び/または通信速度の品質を含む。
【0041】
通知部72は、選択部71で選択されたアクセスポイントに関する情報を含む通知NTを内視鏡システム20に行う(図1参照)。通知NTには、選択部71で選択されたアクセスポイントのネットワークNW上でのアドレスが含まれる。アドレスは、例えばIP(Internet Protocol)アドレスである。
【0042】
<内視鏡システム20の稼働情報IWの保管方法>
次に一実施形態の情報処理システム10で行われる、内視鏡システム20の稼働情報IWの保管方法について、図6及び図7を用いて説明する。稼働情報IWの保管方法は、情報処理方法の一例である。
図6は、通知サーバ60の記憶部64に記憶されているデータベースDBの一例を示す図表である。
図7は、情報処理システム10で行われる内視鏡システム20の稼働情報の保管方法の一例を示すフローチャート図である。
図8は、情報処理システム10で行われる内視鏡システム20の稼働情報の保管方法における測定部73による測定結果の一例を示す図表である。
内視鏡システム20と、アクセスポイント80B、80C、80Dと、は各々、異なる地域RA、RB、RC、RDに配置されている。
内視鏡システム20の配置される地域RAに関する地域情報IFは、内視鏡システム20の出荷時にプロセッサ30の記憶部34に記憶される。
データベースDBには、3つのアクセスポイント80B、80C、80Dの各々の、4つの地域RA~RDの各々における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対する適合性の有無が、図6に示されるようにマトリクス形式で関連付けられている。
【0043】
まず、図7に示されるように、内視鏡システム20が起動されて施術を行われる。内視鏡システム20では、施術に伴って稼働情報IWが記憶部34に記憶される(ステップS10)。
【0044】
次に、内視鏡システム20は、ネットワークNW及び通知アクセスポイント50を介して通知サーバ60に問合せQSを行う(ステップS20)。問合せQSは、稼働情報IWの保管のために通信すべき保管サーバ及びアクセスポイントに関する問合せであって、記憶部34に記憶された地域情報IFを含む。ステップS20は、問合せステップの一例である。
【0045】
問合せQSを行われた通知サーバ60は、問合せQSに応じて記憶部64のデータベースDBを基に、地域RAに関する地域情報IFにおける稼働情報IWの取り扱いに対して適合する適合アクセスポイントを抽出する(ステップS30)。
【0046】
その後、通知サーバ60は、ステップS30において、地域RAに関する地域情報IFにおける稼働情報IWの取り扱いに対して適合する適合アクセスポイントが、データベースから2以上抽出されたかどうかを判定する(ステップS40)。本保管フローにおけるデータベースDBにおける適合アクセスポイントは、アクセスポイント80C及びアクセスポイント80Dである(図6参照)。そのため、本保管フローにおいて、通知サーバ60はステップS40で「適合アクセスポイントは、2以上抽出された(YES)」と判定する。このとき、通知サーバ60は、抽出されたアクセスポイント80C及びアクセスポイント80Dの各々と、通知サーバ60との間における通信品質を測定する(ステップS50)。本保管フローのステップS50において、アクセスポイント80C及びアクセスポイント80Dと、通知サーバ60との間における通信品質は各々、400Mbps及び1000Mbps(1Tbps)の通信速度として測定される(図8参照)。ステップS50は、測定ステップの一例である。
【0047】
その後、通知サーバ60は、適合アクセスポイントであるアクセスポイント80C及びアクセスポイント80Dから、通信品質が最も良いアクセスポイント80Dを抽出する(ステップS60)。すなわち、通知サーバ60は、問合せQSに含まれる地域情報IFの地域RAにおける稼働情報IWの取り扱いに対して適合する2以上のアクセスポイントの中から、通信品質が最も良いアクセスポイント80Dを抽出する。
【0048】
その後、通知サーバ60は、ステップS60で抽出されたアクセスポイント80Dを選択する(ステップS70)。すなわち、通知サーバ60は、ステップS70で、問合せQSに含まれる地域情報IFの地域RAにおける稼働情報IWの取り扱いに対して適合するアクセスポイント80Dを、データベースDBを基に選択する。ステップS70は、選択ステップの一例である。
【0049】
その後、通知サーバ60は、ステップS70で選択されたアクセスポイント80Dに関する、ネットワークNW上でのアドレスを含む情報を、データベースDBから読み出す。そして通知サーバ60は、データベースDBから読み出した、アクセスポイント80Dに関する情報を含む通知NTを、内視鏡システム20に行う(ステップS80)。
【0050】
その後、通知サーバ60から通知NTを行われた内視鏡システム20は、通知NTを基に、通知されたアクセスポイント80Dと通信して、アクセスポイント80Dに接続されている保管サーバ82Dに稼動情報IWを保管する(ステップS90)。すなわち、内視鏡システム20は、ステップS90で、通知NTに応じて、ステップS70で選択されたアクセスポイント80Dと通信してアクセスポイント80Dに接続されている保管サーバ82Dに稼動情報IWを保管する。ステップS90は、保管ステップの一例である。
【0051】
なお、ステップS40において、通知サーバ60が仮に「適合アクセスポイントは、1つのみ抽出された(NO)」と判定した場合は、ステップS70に進む。
【0052】
(作用及び効果)
【0053】
上述した一実施形態の内視鏡システム20及び通知サーバ60を含む情報処理システム10で行われる稼働情報IWの保管方法によれば、内視鏡システム20が稼働している地域RAにおける稼働情報IWの取り扱いに対して適合するアクセスポイント80Cまたはアクセスポイント80Dに接続された保管サーバ82Cまたは保管サーバ82Dに、ネットワークNWを介して稼働情報IWを保管することができる。
【0054】
また、一実施形態の測定部73をさらに備える通知サーバ60を含む情報処理システム10によれば、稼働情報IWをスムーズに保管することができる。
【0055】
以上のとおり、本開示の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内にて種々の変形、変更、改良が可能である。
【0056】
例えば、一実施形態において、データベースDBには、3つのアクセスポイント80B、80C、80Dの各々の、4つの地域RA~RDの各々における内視鏡システム20の稼働情報IWの取り扱いに対する適合性の有無が関連付けられているものとした。しかしながら、本開示に係るデータベースに関連付けられているアクセスポイントは、3つに限定されず、2以下であってもよく、4以上であってもよい。また、本開示に係るデータベースに関連付けられている地域は、4つに限定されず、3以下であってもよく、4以上であってもよい。
【0057】
また、一実施形態において、内視鏡システム20と、アクセスポイント80B、80C、80Dと、は各々、異なる地域RA、RB、RC、RDに配置されているものとした。しかしながら、本開示に係る内視鏡システム及びアクセスポイントは、同じ地域に配置されていてもよい。
【0058】
また、一実施形態において、通知サーバ60は、測定部73を備えるものとした。しかしながら、本開示に係る情報処理装置は、測定部を備えない構成であってもよい。
【0059】
また、一実施形態において、内視鏡システム20の配置される地域RAに関する地域情報IFは、内視鏡システム20の出荷時にプロセッサ30の記憶部34に記憶されるものとした。しかしながら、内視鏡システムの配置される地域に関する地域情報は、ステップS10において、内視鏡システムの制御部で制御プログラムを実行することによって、ネットワークを介して取得されて且つ内視鏡システムの記憶部に記憶されてもよい。また、内視鏡システムの配置される地域に関する地域情報は、内視鏡システムの使用者の、プロセッサの操作部(図示省略)に対する操作によって内視鏡システムの記憶部に記憶されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 :情報処理システム
20 :内視鏡システム
30 :プロセッサ
34 :記憶部(第1の記憶部の一例)
42 :問合せ部
50 :通知アクセスポイント
60 :通知サーバ(情報処理装置の一例)
64 :記憶部(第2の記憶部の一例)
71 :選択部
72 :通知部
73 :測定部
80B、80C、80D :アクセスポイント
82B、82C、82D :保管サーバ
DB :データベース
IF :地域情報
IW :稼働情報
NT :通知
RA、RB、RC、RD :地域
QS :問合せ
図1
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図7
図8