IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特開-描画用灯具 図1
  • 特開-描画用灯具 図2
  • 特開-描画用灯具 図3
  • 特開-描画用灯具 図4
  • 特開-描画用灯具 図5
  • 特開-描画用灯具 図6
  • 特開-描画用灯具 図7
  • 特開-描画用灯具 図8
  • 特開-描画用灯具 図9
  • 特開-描画用灯具 図10
  • 特開-描画用灯具 図11
  • 特開-描画用灯具 図12
  • 特開-描画用灯具 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075445
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】描画用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/37 20180101AFI20240527BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240527BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20240527BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240527BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20240527BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20240527BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240527BHJP
【FI】
F21S43/37
F21S43/14
F21S43/31
F21S2/00 355
F21S2/00 310
F21V14/04
F21W103:60
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186955
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 貴丈
(72)【発明者】
【氏名】小林 範彦
(57)【要約】
【課題】描画用配光パターンを形成するように構成された描画用灯具において、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンを形成可能な構成とする。
【解決手段】描画ユニット20からの出射光を、透光カバー14を介して灯具前方へ向けて照射する構成とする。その際、描画ユニット20と透光カバー14との間に、描画ユニット20からの出射光を下向きに反射させる反射鏡40が配置された構成とする。その上で、この反射鏡40が、上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置された構成とする。これにより、描画用灯具10の点灯時に描画ユニット20自体が発光して見えてしまうのを効果的に抑制し、他の車両や歩行者等に無用の違和感を与えてしまわないようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画ユニットからの出射光を、透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射することにより、灯具前方路面に描画用配光パターンを形成するように構成された描画用灯具において、
上記描画ユニットと上記透光カバーとの間に、上記描画ユニットからの出射光を下向きに反射させる反射鏡が配置されており、
上記反射鏡は、上下方向に関して上記描画ユニットの発光領域と重複する位置に配置されている、ことを特徴とする描画用灯具。
【請求項2】
上記反射鏡の反射面は、複数の反射領域が灯具前後方向に並んで配置された構成となっており、
上記複数の反射領域は、灯具前方側に位置する反射領域ほど水平面に対する傾斜角度が小さい値に設定されている、ことを特徴とする請求項1記載の描画用灯具。
【請求項3】
上記反射面は、上記複数の反射領域相互間の境界領域において傾斜角度が徐々に変化するように形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の描画用灯具。
【請求項4】
上記反射鏡は、水平方向に延びる軸線回りに回動し得るように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の描画用灯具。
【請求項5】
上記反射鏡の前端部に、上記反射鏡からの反射光の一部を遮光して照射範囲を規制するためのフレーム部が形成されている、ことを特徴とする請求項4記載の描画用灯具。
【請求項6】
上記透光カバーは、上記反射鏡よりも下方に位置する部分が灯具後方側に凹んだ凹部として形成されており、かつ、上記凹部の上部領域において上記反射鏡からの反射光を透過させるように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の描画用灯具。
【請求項7】
上記上部領域は平板状に形成されている、ことを特徴とする請求項6記載の描画用灯具。
【請求項8】
上記反射鏡と上記透光カバーとの間にエクステンションパネルが配置されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の描画用灯具。
【請求項9】
上記反射鏡と上記エクステンションパネルとが一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項8記載の描画用灯具。
【請求項10】
上記透光カバーは、上記反射鏡の灯具前方に位置する領域が不透明樹脂製の2色成形品で構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の描画用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、描画用配光パターンを形成するように構成された描画用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、描画用配光パターン(すなわち灯具前方路面等に文字や記号等の描画を行うための配光パターン)を形成するための描画用灯具として、描画ユニットからの出射光を、透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射するように構成されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、車載用の描画用灯具として、描画ユニットが斜め下向きに配置された状態で車両に装着されるように構成されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-60057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような車載用の描画用灯具からの照射光によって描画用配光パターンを形成することにより、夜間の車両走行時等に周囲に対して自車の意思表示を行うことが可能となり、これにより他の車両や歩行者等に注意喚起を促すことが可能となる。
【0006】
しかしながら、描画用灯具の点灯時に描画ユニット自体が発光して見えてしまうと好ましくない場合がある。例えば、描画用灯具がフロントターンシグナルランプの点灯と同期して点灯する構成となっているような場合には、フロントターンシグナルランプが本来の装着位置で発光して見えるだけでなく描画ユニットも別の位置で発光して見えてしまうので、他の車両や歩行者等に違和感を与えてしまうおそれがある。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、描画用配光パターンを形成するように構成された描画用灯具において、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンを形成することができる描画用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、所定の反射鏡を備えた構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る描画用灯具は、
描画ユニットからの出射光を、透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射することにより、灯具前方路面に描画用配光パターンを形成するように構成された描画用灯具において、
上記描画ユニットと上記透光カバーとの間に、上記描画ユニットからの出射光を下向きに反射させる反射鏡が配置されており、
上記反射鏡は、上下方向に関して上記描画ユニットの発光領域と重複する位置に配置されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「描画用灯具」は、車載用の灯具であってもよいし、車載用以外の用途に用いられる灯具であってもよい。
【0011】
上記「描画ユニット」は、その出射光によって描画用配光パターンを形成し得るように構成されていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0012】
上記「反射鏡」は、描画ユニットと透光カバーとの間に配置された状態で、描画ユニットからの出射光を下向きに反射させるように構成されていれば、その反射面の向きや形状等の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「反射鏡」は、上下方向に関して描画ユニットの発光領域と重複する位置に配置されていれば、その具体的な配置や大きさは特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る描画用灯具は、描画ユニットからの出射光を、透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射することにより、灯具前方路面に描画用配光パターンを形成する構成となっているが、描画ユニットと透光カバーとの間には描画ユニットからの出射光を下向きに反射させる反射鏡が配置されており、この反射鏡は上下方向に関して描画ユニットの発光領域と重複する位置に配置されているので、描画用灯具の点灯時に描画ユニット自体が発光して見えてしまうのを効果的に抑制することができる。そしてこれにより、描画用灯具の点灯時に、他の車両や歩行者等に無用の違和感を与えてしまわないようにすることができる。
【0015】
このように本願発明によれば、描画用配光パターンを形成するように構成された描画用灯具において、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンを形成することができる。
【0016】
上記構成において、さらに、反射鏡の反射面として、複数の反射領域が灯具前後方向に並んで配置された構成とした上で、これら複数の反射領域として、灯具前方側に位置する反射領域ほど水平面に対する傾斜角度が小さい値に設定された構成とすれば、単一の描画ユニットからの照射光によって、灯具前方路面に複数の描画用配光パターンを直列配置で形成することができ、これにより周囲への注意喚起機能を高めることができる。
【0017】
その際、反射鏡の反射面として、複数の反射領域相互間の境界領域において傾斜角度が徐々に変化するように形成されたものとすれば、描画用配光パターンを灯具前方路面の近距離領域から遠距離領域まで延びる一連の配光パターンとして形成することが可能となる。
【0018】
上記構成において、さらに、反射鏡が水平方向に延びる軸線回りに回動し得る構成とすれば、反射鏡を回動させることによって、灯具前方路面における描画用配光パターンの形成位置を灯具前後方向に変化させることができる。
【0019】
その際、反射鏡の前端部に、反射鏡からの反射光の一部を遮光して照射範囲を規制するためのフレーム部が形成された構成とすれば、描画ユニットから本来の照射光以外の迷光が透光カバーを介して灯具前方へ向けて照射されてしまうのを未然に防止することができ、これにより描画用配光パターンを明瞭に形成することができる。しかも、フレーム部は反射鏡と共に回動するので、本来の照射光を遮光してしまうことなく迷光を遮光することができる。
【0020】
上記構成において、さらに、透光カバーとして、反射鏡よりも下方に位置する部分が灯具後方側に凹んだ凹部として形成されたものとした上で、この凹部の上部領域において反射鏡からの反射光を透過させるように構成されたものとすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0021】
すなわち、透光カバーの表面が汚れているような場合には、描画ユニットからの出射光が透光カバーを透過する際、その透過領域において散乱光が発生してしまい、これにより周囲に無用の違和感を与えてしまうおそれがある。
【0022】
これに対し、透光カバーに凹部が形成された構成とすれば、その上部領域には汚れが付着しにくくなるので、この凹部の上部領域において反射鏡からの反射光を透過させる構成とすることにより、散乱光の発生を効果的に抑制することができ、これにより周囲に無用の違和感を与えてしまわないようにすることができる。
【0023】
その際、凹部の上部領域が平板状に形成された構成とすれば、描画ユニットからの出射光を、そのまま素通し状態で透光カバーを透過させることができ、これにより描画用配光パターンを精度良く形成することができる。
【0024】
上記構成において、さらに、反射鏡と透光カバーとの間にエクステンションパネルが配置された構成とすれば、描画用灯具の非点灯時に、透光カバーを介して反射鏡や描画ユニットが見えてしまわないようにすることができ、これにより描画用灯具の見映えを向上させることができる。また、描画用灯具の点灯時に、描画ユニット自体が発光して見えてしまうのをより一層効果的に抑制することができる。
【0025】
その際、反射鏡とエクステンションパネルとが一体的に形成された構成とすれば、部品点数を増やすことなく上記作用効果を得ることができる。
【0026】
上記構成において、さらに、透光カバーとして、反射鏡の灯具前方に位置する領域が不透明樹脂製の2色成形品で構成されたものとすれば、描画用灯具の非点灯時に、透光カバーを介して反射鏡や描画ユニットが見えてしまうのを未然に防止することができ、かつ、部品点数を増やすことなくこれを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願発明の一実施形態に係る描画用灯具を示す側断面図
図2図1のII方向矢視図
図3図2のIII-III線断面図
図4】上記描画用灯具を車両に搭載された状態で示す側面図
図5】上記描画用灯具を車両に搭載された状態で示す平面図
図6】上記実施形態の第1変形例を示す、図1と同様の図
図7】上記実施形態の第2変形例を示す、図1と同様の図
図8】(a)は上記第1変形例を示す、図5と同様の図、(b)は上記第2変形例を示す、図5と同様の図
図9】上記実施形態の第3変形例を示す、図1と同様の図
図10】上記第3変形例を示す、図5と同様の図
図11】上記実施形態の第4変形例を示す、図1と同様の図
図12】上記実施形態の第5変形例を示す、図1と同様の図
図13】(a)は上記実施形態の第6変形例を示す、図1と同様の図、(b)は上記実施形態の第7変形例を示す、図1と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1は、本願発明の一実施形態に係る描画用灯具10を示す側断面図である。また、図2は、図1のII方向矢視図であり、図3は、図2のIII-III線断面図である。
【0030】
図1~3において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「灯具前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。図1~3以外の図においても同様である。
【0031】
図1に示すように、描画用灯具10は、ランプボディ12とその前端開口部に装着された透光カバー14とで形成される灯室16内に、描画ユニット20および反射鏡40が収容された構成となっている。この灯室16内には、フロントターンシグナルランプ50も収容されている。その際、描画ユニット20および反射鏡40は灯室16の上部領域に配置されており、フロントターンシグナルランプ50は灯室16の下部領域に配置されている。
【0032】
なお、描画ユニット20および反射鏡40は、図示しない支持部材を介してランプボディ12に支持されており、また、フロントターンシグナルランプ50も、図示しない支持部材を介してランプボディ12に支持されている。
【0033】
本実施形態に係る描画用灯具10の具体的な構成を説明する前に、その概要について説明する。
【0034】
図4、5は、描画用灯具10を車両100に搭載された状態で示す側面図および平面図である。
【0035】
図4、5に示すように、描画用灯具10は、車両100の前端部における車幅方向側端部に搭載された状態で、車幅方向外側へ向けて斜め下向きに光照射を行うように構成されている。すなわち、この描画用灯具10は、その描画ユニット20からの出射光を、透光カバー12を介して灯具前方へ向けて照射することにより、灯具前方路面2に描画用配光パターンPAを形成するようになっている。 描画用灯具10においては、その描画ユニット20がフロントターンシグナルランプ50の点灯と同期して点灯する構成となっている。なお、図5は、左側の描画用灯具10の描画ユニット20およびフロントターンシグナルランプ50が点灯している状態を示している。
【0036】
図5に示すように、描画用灯具10が車両100に搭載されている状態では、灯具前方は車両前後方向に対して車幅方向外側へ傾斜した方向に設定されている。
【0037】
次に、描画用灯具10の具体的な構成について説明する。
【0038】
図1に示すように、描画用灯具10の透光カバー14は、車両100の表面形状に沿って凸曲面状に延びるように形成されている。
【0039】
そして、描画用灯具10においては、描画ユニット20からの出射光を、描画ユニット20と透光カバー12との間に配置された反射鏡40によって下向きに反射させるようになっている。その際、この反射鏡40は、上下方向に関して描画ユニット20の発光領域A(これについては後述する)と重複する位置に配置されている。
【0040】
図3に示すように、描画ユニット20は、発光素子22からの出射光を投影レンズ26を介して灯具前方へ向けて照射することにより反射鏡40に入射させるように構成されている。
【0041】
投影レンズ26は、その前面が凸曲面で構成された平凸レンズであって、その光軸Axが灯具前方へ向けてやや上向きに延びるように配置された状態でレンズホルダー28に支持されている。
【0042】
発光素子22は、白色発光ダイオードであって、光軸Ax上に配置された状態で光軸Axと直交する平面に沿って延びる基板24に支持されている。そして、この基板24はヒートシンク30に支持されており、これら基板24およびヒートシンク30はレンズホルダー28に支持されている。
【0043】
発光素子22と投影レンズ26との間には、発光素子22から投影レンズ26へ向かう光の一部を遮光するための遮光板32が配置されている。この遮光板32は、投影レンズ26の後側焦点Fにおいて光軸Axと直交する平面に沿って延びるように配置された状態でレンズホルダー28に支持されている。この遮光板32には、光軸Axを中心とする逆台形状の開口部32aが形成されている。
【0044】
基板24と遮光板32との間には、集光レンズ34が配置されている。この集光レンズ34は両凸レンズであって、その光軸が光軸Axと同軸となるように配置された状態で、その周縁フランジ部においてレンズホルダー28に支持されている。そして、この集光レンズ34は、発光素子22からの出射光を光軸Axと平行な光として遮光板32の開口部32aに入射させるように構成されている。
【0045】
反射鏡40は平面鏡であって、描画ユニット20よりも左右幅が広い矩形状の外形形状を有している。この反射鏡40は、その反射面40aが灯具後方へ向けて斜め上方へ傾斜して延びるようにした状態で配置されている。そしてこれにより、反射鏡40は、その反射面40aにおいて描画ユニット20からの出射光を灯具前方斜め下方へ向けて正反射させるようになっている。
【0046】
上述したように、反射鏡40が上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されていることによって、描画用灯具10は灯具正面視において描画ユニット20が発光して見えない構成となっている。
【0047】
すなわち、描画ユニット20においては、本来、発光素子22からの出射光のうち遮光板32の開口部32aを介して平行光として投影レンズ26に入射した光のみが灯具前方へ向けて照射されるように構成されているが、発光素子22からの出射光の一部が迷光となって投影レンズ26に入射してしまうこともある。このため、図3に2点鎖線で示すように、投影レンズ26の外周縁の内側に位置する全領域が、描画ユニット20として発光し得る最大範囲である発光領域Aとなる。
【0048】
したがって描画用灯具10として、反射鏡40が上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置された構成とすることにより、灯具正面視において描画ユニット20が発光して見えてしまわない構成が実現される。
【0049】
次に、図4、5に示す描画用配光パターンPAについて説明する。
【0050】
上述したとおり、描画用配光パターンPAは描画用灯具10からの照射光により形成されるが、この描画用配光パターンPAは略矩形状の明るい配光パターンとして形成される。
【0051】
描画用配光パターンPAが略矩形状の配光パターンとして形成されるのは、開口部32aの左右両側の内周縁が上方へ向けて鉛直方向に対して多少拡がる方向に延びるように形成されていることによるものである。また、描画用配光パターンPAが明るい配光パターンとして形成されるのは、発光素子22からの出射光が集光レンズ34によって効率良く遮光板32の開口部32aに入射することによるものである。
【0052】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0053】
本実施形態に係る描画用灯具10は、描画ユニット20からの出射光を、透光カバー14を介して灯具前方へ向けて照射することにより、灯具前方路面2に描画用配光パターンPAを形成する構成となっているが、描画ユニット20と透光カバー14との間には描画ユニット20からの出射光を下向きに反射させる反射鏡40が配置されており、この反射鏡40は上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されているので、描画用灯具10の点灯時に描画ユニット20自体が発光して見えてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0054】
すなわち本実施形態に係る描画用灯具10は、フロントターンシグナルランプ50の点灯と同期して描画ユニット20が点灯する構成となっているが、その際、描画ユニット20が発光して見えてしまうことなくフロントターンシグナルランプ50のみが発光して見えるようにすることができる。そしてこれにより、描画用灯具10の点灯時に、他の車両や歩行者等に無用の違和感を与えてしまわないようにすることができる。
【0055】
このように本実施形態によれば、描画用配光パターンPAを形成するように構成された描画用灯具10において、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンPAを形成することができる。
【0056】
その際、本実施形態においては、遮光板32に形成された開口部32aの反転投影像として描画用配光パターンPAを形成する構成となっているが、この開口部32aは、逆台形の開口形状を有しているので、略矩形状の描画用配光パターンPAを形成することができる。
【0057】
上記実施形態においては、反射鏡40が矩形状の外形形状を有しているものとして説明したが、これ以外の外形形状を有する構成とすることも可能である。
【0058】
上記実施形態においては、遮光板32に形成された開口部32aが逆台形の開口形状を有しているものとして説明したが、これ以外の開口形状(例えばV字形や下向き矢印形等の開口形状)を有する構成とすることも可能である。
【0059】
上記実施形態においては、発光素子22からの出射光が、集光レンズ24を介して遮光板32の開口部32aに入射する構成となっているものとして説明したが、開口部40aに直接入射する構成とすることも可能である。
【0060】
上記実施形態においては、発光素子22の発光色が白色であるものとして説明したが、これ以外の発光色(例えばアンバー色や赤色等)を採用することも可能である。
【0061】
上記実施形態においては、描画用灯具10が車両100の前端部における車幅方向側端部に搭載されるものとして説明したが、車両100の後端部や側面部等に搭載される構成とすることも可能である。
【0062】
上記実施形態においては、描画用灯具10からの照射光によって灯具前方路面2に描画用配光パターンPAを形成するものとして説明したが、灯具前方に配置された壁面や灯具前方へ向けて延びる壁面等に描画用配光パターンを形成する構成とすることも可能である。
【0063】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0064】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0065】
図6は、本変形例に係る描画用灯具110を示す、図1と同様の図である。
【0066】
図6に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、反射鏡140の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0067】
すなわち、本変形例の反射鏡140も、描画ユニット20よりも左右幅が広い矩形状の外形形状を有する平面鏡であって、上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されている。
【0068】
また、本変形例の反射鏡140においても、その反射面140aは灯具後方へ向けて斜め上方へ傾斜して延びているが、この反射面140aは3つの反射領域140a1、140a2、140a3が灯具前後方向に並んで配置された構成となっている。
【0069】
3つの反射領域140a1~140a3のうち最も灯具前方側に位置する反射領域140a1は水平面に対する傾斜角度が小さい値に設定されており、その灯具後方側に隣接する反射領域140a2は水平面に対する傾斜角度が反射領域140a1よりも大きい値に設定されており、その灯具後方側に隣接する反射領域140a3は水平面に対する傾斜角度が反射領域140a2よりも大きい値に設定されている。
【0070】
そして、本変形例に係る描画用灯具110においては、描画ユニット20からの出射光を反射鏡140で下向きに反射させることにより、灯具前方路面2に3つの描画用配光パターンPB1、PB2、PB3からなる描画用配光パターンPBを形成するようになっている。
【0071】
図8(a)は、描画用灯具110を車両100に搭載された状態で示す平面図である。
【0072】
図8(a)にも示すように、描画用配光パターンPBは、3つの描画用配光パターンPB1、PB2、PB3が互いに間隔をおいて直列配置で形成されたものとなっている。これら3つの描画用配光パターンPB1~PB3は、いずれも上記実施形態において形成される描画用配光パターンPAよりも灯具前後方向の長さが短い配光パターンとして形成されるが、描画用配光パターンPB全体としては描画用配光パターンPAよりも灯具前後方向の長さが長い配光パターンとして形成されている。
【0073】
本変形例においても、反射鏡140が上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されているので、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンPBを形成することができる。
【0074】
その上で本変形例においては、反射鏡140の反射面140aとして、3つの反射領域140a1~140a3が灯具前後方向に並んで配置された構成となっており、かつ、灯具前方側に位置する反射領域ほど水平面に対する傾斜角度が小さい値に設定されているので、単一の描画ユニット20からの照射光によって灯具前方路面2に3つの描画用配光パターンPB1~PB3を直列配置で形成することができ、これにより周囲への注意喚起機能を高めることができる。
【0075】
上記第1変形例においては、反射鏡140の反射面140aとして3つの反射領域140a1~140a3を備えているものとして説明したが、2つまたは4つ以上の反射領域を備えた構成とすることも可能である。
【0076】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0077】
図7は、本変形例に係る描画用灯具210を示す、図1と同様の図である。
【0078】
図7に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、反射鏡240の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0079】
すなわち、本変形例の反射鏡240も、描画ユニット20よりも左右幅が広い矩形状の外形形状を有する平面鏡であって、上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されている。
【0080】
また、本変形例の反射鏡240においても、その反射面240aは灯具後方へ向けて斜め上方へ傾斜して延びているが、この反射面240aは3つの反射領域240a1、240a2、240a3が灯具前後方向に並んで配置された構成となっている。
【0081】
その際、3つの反射領域240a1~240a3は、上記第1変形例の場合と同様、この順番で水平面に対する傾斜角度が徐々に大きくなっているが、3つの反射領域240a1~240a3相互間の境界領域において傾斜角度が徐々に変化するように形成されており、これにより3つの反射領域240a1~240a3は略単一の凸シリンドリカル曲面状に形成されている。
【0082】
そして、本変形例に係る描画用灯具210においては、描画ユニット20からの出射光を、反射鏡240で下向きに反射させることにより、灯具前方路面2に描画用配光パターンPCを形成するようになっている。
【0083】
図8(b)は、描画用灯具210を車両100に搭載された状態で示す平面図である。
【0084】
図8(b)にも示すように、描画用配光パターンPCは、上記実施形態において形成される描画用配光パターンPAよりも灯具前後方向の長さが長い単一の配光パターンとして形成されている。
【0085】
本変形例においても、反射鏡240が上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されているので、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンPCを形成することができる。
【0086】
その上で本変形例においては、反射鏡240の反射面240aとして、3つの反射領域240a1~240a3相互間の境界領域において傾斜角度が徐々に変化するように形成された構成となっているので、描画用配光パターンPCを灯具前方路面の近距離領域から遠距離領域まで延びる一連の配光パターンとして形成することができ、これにより周囲への注意喚起機能を高めることができる。
【0087】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0088】
図9は、本変形例に係る描画用灯具310を示す、図1と同様の図である。
【0089】
図9に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、反射鏡340の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0090】
すなわち、本変形例の反射鏡340も、描画ユニット20よりも左右幅が広い矩形状の外形形状を有する平面鏡であって、上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されている。
【0091】
そして、本変形例に係る描画用灯具310においては、描画ユニット20からの出射光を、反射鏡340で下向きに反射させることにより、灯具前方路面2に描画用配光パターンPDを形成するようになっている。
【0092】
本変形例の反射鏡340は、その前端部において水平方向に延びる軸線Ax1回りに回動し得る構成となっている。そして、この反射鏡340は、図示しないアクチュエータの駆動によって軸線Ax1回りに回動するようになっている。なお、図9においては、反射鏡340が上方側に回動した状態を破線で示しており、反射鏡340が下方側に回動した状態を2点鎖線で示している。
【0093】
また、本変形例の反射鏡340の前端部には、その反射面340aからの反射光の一部を遮光して照射範囲を規制するためのフレーム部342が、反射鏡340と一体的に形成されている。このフレーム部342は、反射鏡340から下方側に突出するように形成されており、このフレーム部342と反射鏡340とによって矩形状の開口部342aが形成されるようになっている。
【0094】
図10は、描画用灯具310を車両100に搭載された状態で示す平面図である。
【0095】
図10にも示すように、描画用配光パターンPDは、上記実施形態において形成される描画用配光パターンPAと同様の配光パターンとして形成されるが、反射鏡340が軸線Ax1回りに回動することによって、灯具前方路面2における描画用配光パターンPDの形成位置が灯具前後方向に変化し得るようになっている。
【0096】
本変形例においても、反射鏡340が上下方向に関して描画ユニット20の発光領域Aと重複する位置に配置されているので、周囲に違和感を与えてしまうことなく描画用配光パターンPDを形成することができる。
【0097】
その上で本変形例においては、反射鏡340を軸線Ax1回りに回動させることにより、灯具前方路面2における描画用配光パターンPDの形成位置を必要に応じて灯具前後方向に変化させることができる。
【0098】
また本変形例においては、反射鏡340の前端部にフレーム部342が形成されているので、描画ユニット20から本来の照射光以外の迷光が透光カバー14を介して灯具前方へ向けて照射されてしまうのを未然に防止することができ、これにより描画用配光パターンPDを明瞭に形成することができる。しかも、このフレーム部342は反射鏡340と共に回動するので、本来の照射光を遮光してしまうことなく迷光を遮光することができる。
【0099】
次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。
【0100】
図11は、本変形例に係る描画用灯具410を示す、図1と同様の図である。
【0101】
図11に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー414の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0102】
すなわち、本変形例の透光カバー414は、反射鏡40よりも下方に位置する部分が灯具後方側に凹んだ凹部414aとして形成されている。そして、この凹部414aの上部領域414a1において反射鏡40からの反射光を透過させることにより、灯具前方路面2に描画用配光パターンPAを形成するようになっている。
【0103】
凹部414aは楔状の鉛直断面形状を有しており、その上部領域414a1は、水平面に対して灯具後方側へ向けて多少斜め上方に傾斜した方向に平板状に延びるように形成されている。また、この凹部414aの下部領域414a2は、反射鏡40からの反射光が入射してしまわない傾斜角度で形成されている。
【0104】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0105】
すなわち、透光カバー414の表面が汚れているような場合には、描画ユニット20からの出射光が透光カバー414を透過する際、その透過領域において散乱光が発生してしまい、これにより周囲に無用の違和感を与えてしまうおそれがある。
【0106】
これに対し本変形例のように、透光カバー414に凹部414aが形成された構成とすることにより、その上部領域414a1には汚れが付着しにくくなるので、この凹部414aの上部領域414a1において反射鏡40からの反射光を透過させる構成とすることにより、散乱光の発生を効果的に抑制することができ、これにより周囲に無用の違和感を与えてしまわないようにすることができる。
【0107】
しかも、凹部414aの上部領域414a1は平板状に形成されているので、描画ユニット20からの出射光を、そのまま素通し状態で透光カバー414を透過させることができ、これにより描画用配光パターンPAを精度良く形成することができる。
【0108】
さらに、凹部414aの上部領域414a1は水平面に対して灯具後方側へ向けて多少斜め上方に傾斜した方向に延びているので、灯具正面方向から上部領域414a1が見えてしまわないようにすることができ、これにより描画ユニット20の点灯によって透光カバー414が不用意に光って見えてしまわないようにすることができる。
【0109】
次に、上記実施形態の第5変形例について説明する。
【0110】
図12は、本変形例に係る描画用灯具510を示す、図1と同様の図である。
【0111】
図12に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、灯室16内にエクステンションパネル560が追加配置されている点で上記実施形態の場合と異なっている。
【0112】
エクステンションパネル560は、反射鏡40と透光カバー14との間において透光カバー14に沿って延びるように配置されている。このエクステンションパネル560の下端面は反射鏡40の前端面よりも下方側に位置しており、その上端面はランプボディ12の前端部に位置している。
【0113】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0114】
すなわち、描画用灯具510の非点灯時に、透光カバー14を介して反射鏡40や描画ユニット20が見えてしまわないようにすることができ、これにより描画用灯具510の見映えを向上させることができる。また、描画用灯具510の点灯時に、描画ユニット20自体が発光して見えてしまうのをより一層効果的に抑制することができる。
【0115】
次に、上記実施形態の第6変形例について説明する。
【0116】
図13(a)は、本変形例に係る描画用灯具610を示す、図1と同様の図である。
【0117】
図13(a)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、灯室16内にエクステンションパネル660が追加配置されている点で上記実施形態の場合と異なっている。
【0118】
エクステンションパネル660は、上記第5変形例の場合と同様、反射鏡640と透光カバー14との間において透光カバー14に沿って延びるように配置されているが、本変形例においてはエクステンションパネル660が反射鏡640と一体的に形成されている。
【0119】
すなわち、反射鏡640の前端部とエクステンションパネル660の下端部とが透光カバー14の近傍において連結されている。このエクステンションパネル660の上端部660aは、反射鏡640よりもやや上向きの傾斜角度で延びており、その上端面がランプボディ12の前端部に位置している。
【0120】
なお、反射鏡640の反射面640aは、上記実施形態の場合と同様、灯具後方へ向けて斜め上方へ傾斜して延びるようにした状態で配置されている。
【0121】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第5変形例の場合と同様、描画用灯具610の非点灯時に、透光カバー14を介して反射鏡640や描画ユニット20が見えてしまわないようにすることができ、これにより描画用灯具610の見映えを向上させることができる。また、描画用灯具610の点灯時に、描画ユニット20自体が発光して見えてしまうのをより一層効果的に抑制することができる。
【0122】
しかも本変形例のように、反射鏡640とエクステンションパネル660とが一体的に形成された構成とすることにより、部品点数を増やすことなく上記作用効果を得ることができる。
【0123】
次に、上記実施形態の第7変形例について説明する。
【0124】
図13(b)は、本変形例に係る描画用灯具710を示す、図1と同様の図である。
【0125】
図13(b)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光カバー714の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0126】
すなわち、本変形例の透光カバー714は、反射鏡40の灯具前方に位置する上部領域714bが不透明樹脂製の2色成形品で構成されている。
【0127】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第5変形例の場合と同様、描画用灯具710の非点灯時に、透光カバー714を介して反射鏡40や描画ユニット20が見えてしまわないようにすることができ、これにより描画用灯具710の見映えを向上させることができる。また、描画用灯具710の点灯時に、描画ユニット20自体が発光して見えてしまうのをより一層効果的に抑制することができる。
【0128】
しかも本変形例のように、透光カバー714を2色成形品で構成することにより、部品点数を増やすことなく上記作用効果を得ることができる。
【0129】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0130】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0131】
2 灯具前方路面
10、110、210、310、410、510、610、710 描画用灯具
12 ランプボディ
14、414、714 透光カバー
16 灯室
20 描画ユニット
22 発光素子
24 基板
26 投影レンズ
28 レンズホルダー
30 ヒートシンク
32 遮光板
32a、342a 開口部
34 集光レンズ
40、140、240、340、640 反射鏡
40a、140a、240a、340a、640a 反射面
50 フロントターンシグナルランプ
100 車両
140a1、140a2、140a3、240a1、240a2、240a3 反射領域
342 フレーム部
414a 凹部
414a1、714b 上部領域
414a2 下部領域
560、660 エクステンションパネル
660a 上端部
A 発光領域
Ax 光軸
Ax1 軸線
PA、PB、PB1、PB2、PB3、PC、PD 描画用配光パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13