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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075447
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】無人航空機
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/22 20060101AFI20240527BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240527BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B64D1/22
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186959
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】591235865
【氏名又は名称】大倉 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 義憲
(57)【要約】
【課題】
荷物を安定して保持することができるほか、重量や大きさの異なる様々な荷物に対応することのできる無人航空機の提供。
【解決手段】
一本の主桁11と、ロータ52と動力源53とからなる飛行ユニット51と、主桁11と飛行ユニット51を連結する接続具21と、着陸時に主桁11を支持する接地片61と、荷物Fを吊り下げる吊り具71と、を有しており、吊り具71を二箇所以上に配置するほか、接続具21と接地片61と吊り具71は、主桁11との取り付け位置を変更可能な構成とする。その結果、主桁11の直下に荷物Fを配置可能になり、飛行中の安定性が向上するほか、左右の接地片61の間で荷物Fを保持することで、狭い場所でも離着陸が可能になる。加えて、飛行ユニット51の使用数や配置を調整可能であるため、重量や大きさの異なる様々な荷物Fに対応することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物(F)を輸送するための無人航空機であり、
棒状に伸びる一本の主桁(11乃至13)と、ロータ(52)と動力源(53)とからなる飛行ユニット(51)と、主桁(11乃至13)と飛行ユニット(51)を連結する接続具(21乃至25)と、着陸時に主桁(11乃至13)を支持する接地片(61)と、荷物(F)を吊り下げるため主桁(11乃至13)に取り付ける吊り具(71または72)と、を有しており、飛行ユニット(51)は四組以上使用し、
接地片(61)は、主桁(11乃至13)の両端部において、主桁(11乃至13)の左右両側に配置してあり、個々の接地片(61)の一端側は地面に接触可能であり、
また吊り具(71または72)は、距離を隔てて二箇所以上に配置してあり、
接続具(21乃至25)の取り付け位置は、主桁(11乃至13)の長手方向に沿って変更可能であるほか、接地片(61)と吊り具(71または72)のいずれも、その取り付け位置は、主桁(11乃至13)の長手方向に沿って変更可能であることを特徴とする無人航空機。
【請求項2】
主桁(11)の左右両側に配置された飛行ユニット(51)を結ぶ副桁(41)を使用するほか、接続具(25)は副桁(41)を保持可能な構造としてあり、且つ接続具(25)は主桁(11)と副桁(41)との交角を変更可能であることを特徴とする請求項1記載の無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山岳地帯や岩礁地帯など、通常の交通手段では到達が難しい場所に荷物を輸送するための無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンやマルチコプターと称される無人航空機は、上昇用のロータを三組以上備えており、個々のロータの回転を調整することで自在な飛行が可能であり、しかも有人ヘリコプターと比べて運用コストが軽減されるため、空撮や農薬散布や輸送など、様々な分野での活用が期待されている。またこのような無人航空機において、各種の測位システムを利用した自律飛行を導入することで、目視での操縦が難しい場所に到達させることも可能である。
【0003】
このような無人航空機の技術開発の例として後記の特許文献が挙げられ、そのうち特許文献1では、テーブルやイスなど、様々な搬送物を飛行させるための飛行機能付加装置が開示されている。この装置は、複数のロータユニットで構成されており、個々のロータユニットは、ロータと結合部が一体化した形状であり、ロータによって揚力を発生させるほか、結合部によって搬送物を保持することができ、一個の搬送物に対して複数のロータユニットを取り付け、全てのロータユニットを協調して駆動することで搬送物の輸送が可能になる。
【0004】
次の特許文献2では、柱などの構造物の点検作業を実施するための無人移動体が開示されている。この無人移動体は、柱などの構造物の外周面を取り囲む枠体と、この枠体を昇降させるロータで構成され、ロータの回転を制御することで、無人移動体を自在に昇降させることができ、さらにカメラや検査装置を搭載することで、高所での点検作業を簡易且つ安全に実施することができる。なお枠体については、炭素繊維強化プラスチック製のパイプ材を使用し、複数のパイプ材を各種ジョイントで結合することが開示されており、大きさの異なる様々な構造物に対応することができる。
【0005】
また特許文献3では、吊り荷をぶら下げた飛行体において、飛行体の姿勢が変化した場合でも、吊り荷の姿勢の変化を抑制可能な制御装置が開示されている。この飛行体は、複数組のロータを備えたドローンであり、飛行体と吊り荷は、二本以上の索(接続手段)で接続されており、飛行体の姿勢に応じて個々の索の長さを変化させることのできる制御装置を搭載している。その結果、常時、飛行体の回転中心の直下に吊り荷を配置可能になり、飛行体の重心位置の変化や吊り荷の姿勢変化を抑制することができ、飛行効率や安定性が向上する。なお索の長さを変化させる制御装置については、ウインチなどが想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-188011号公報
【特許文献2】特開2021-191667号公報
【特許文献3】特開2022-46458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドローンと称される無人航空機で輸送を行う場合、様々な荷物に対応できるよう、機体に何らかの収納箱を設置し、その中に荷物を入れることがある。ただし工事用の資材などの大きい荷物は、収納箱を使用することなくロープで吊り下げることがある。その場合、離陸時に荷物が浮き上がった際、荷物に大きな揺れを生じることが多く、木立との接触など、様々な危険が予見される。また着陸時に荷物を地面に接触させた際、無人航空機は荷物から離れた場所に退避させることになるが、平坦な地面が狭い場合、一連の操縦が難しくなる。さらに飛行中においても、吊り下げた荷物が大きく揺れることは危険であり、離陸から着陸までの間、高度な操縦技術が必要になり、各種の測位システムを利用した自律飛行も難しい。
【0008】
工事用の資材など、比較的大きい荷物の輸送に適した大型の無人航空機は、その導入費用が増大するほか、導入後の管理にも手間が掛かる。そのため、このような輸送を継続的に行う場合でも、様々な荷物に対応できるよう、複数の機種を揃えることは難しい。そこで無人航空機の構造に柔軟性を持たせ、重量や大きさの異なる様々な荷物に対応することのできる技術が待ち望まれている。
【0009】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、荷物を安定して保持することができるほか、重量や大きさの異なる様々な荷物に対応することのできる無人航空機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、荷物を輸送するための無人航空機であり、棒状に伸びる一本の主桁と、ロータと動力源とからなる飛行ユニットと、主桁と飛行ユニットを連結する接続具と、着陸時に主桁を支持する接地片と、荷物を吊り下げるため主桁に取り付ける吊り具と、を有しており、飛行ユニットは四組以上使用し、接地片は、主桁の両端部において、主桁の左右両側に配置してあり、個々の接地片の一端側は地面に接触可能であり、また吊り具は、距離を隔てて二箇所以上に配置してあり、接続具の取り付け位置は、主桁の長手方向に沿って変更可能であるほか、接地片と吊り具のいずれも、その取り付け位置は、主桁の長手方向に沿って変更可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明による無人航空機は、主桁と飛行ユニットと接続具などで構成され、その基本的な形態は、一般にドローンと称されるものと変わりがなく、離着陸時は、水平移動を伴うことなく垂直移動が可能である。そして主桁は、骨格を形成する一本の棒材であり、想定される荷物に応じた長さを確保し、主桁の直下に荷物を配置する。なお主桁は、ある程度の弾性的な変形を生じても構わないが、飛行に影響を与えるような大きな変形は生じないものとする。そのほか主桁の断面形状は、自在に決めて構わない。
【0012】
飛行ユニットは、一組のロータにモータなどの動力源を一体化した構成であり、ロータの回転軸は直立させるほか、主桁に対して四組以上の飛行ユニットを配置することで、垂直移動が可能になり、さらに個々のロータの回転を調整することで、水平移動も自在である。なお四組の飛行ユニットを使用する場合、主桁の一端側と他端側のそれぞれについて、左右二箇所に飛行ユニットを配置することになるが、飛行ユニットを主桁から離して配置する場合、必然的に双方を結ぶ部品が必要になる。また飛行ユニットは、荷物の重量などに応じて使用数を増やすことができる。
【0013】
吊り具は、荷物を主桁で吊り下げるため、主桁の直下に組み込むものであり、単純な円弧状のフックでも構わない。しかも荷物を二箇所以上で吊り下げるため、吊り具は少なくとも主桁の一端側と他端側の二箇所に配置する。さらに様々な荷物に対応できるよう、主桁の長手方向に沿って移動可能であり、且つ最適な位置で主桁と一体化できるものとする。そして吊り具と荷物は、ごく短いロープなどで接続し、主桁と荷物との隙間を必要最小限に留める。そのため飛行中においても、主桁と荷物は実質的に一体化した状態になり、荷物の揺れなど、飛行を不安定化させる要因を解消することができる。なお、吊り具に隣接して飛行ユニットを配置することで、飛行中、主桁に作用する曲げモーメントが軽減されるため、安全性を確保しながらも主桁の断面積を小さくすることが可能になる。
【0014】
接地片は、無人航空機が着陸している際に地面に接触し、主桁を含む全体を支持する役割を担い、主桁の左右両側に配置するため、左右の二個で一組となり、通常は主桁の一端側と他端側に一組ずつ配置するが、荷物の重量によっては、さらに増やすことも可能である。そして荷物は、左右の接地片の間に配置するため、接地片は必然的に下向きに伸びる棒状になり、その一端側が地面に接触する。したがって接地片の高さや、左右の接地片の間隔は、想定される荷物の大きさに基づいて決めることになる。なお接地片についても、主桁の長手方向に沿って移動可能であり、且つ最適な位置で主桁と一体化できるものとするが、接地片と吊り具のいずれも、主桁との取り付け部の構造は自在に決めて構わない。
【0015】
接続具は、飛行ユニットを主桁に取り付ける役割を担い、その具体的な構造は自在だが、主桁の長手方向に沿って移動可能であり、且つ最適な位置で主桁と一体化できるものとする。また接続具と飛行ユニットは、双方を直に接触させて一体化することもあるが、飛行ユニットを主桁から離して配置する場合、接続具と飛行ユニットを結ぶ部品を使用することになる。そのほか主桁と接続具は、強固に一体化する必要があり、その具体例については、接続具が主桁を締め付ける方法や、主桁に多数のメネジを形成した上、接続具からこのメネジに向けてネジを差し込む方法など、自在に選択可能である。
【0016】
このように、荷物を輸送する無人航空機を主桁と飛行ユニットと接続具と接地片と吊り具などで構成し、二箇所以上の吊り具を介し、荷物を主桁の直下に配置することで、飛行中、主桁と荷物の挙動が一体化するため、荷物の揺れを考慮する必要がなく、安定性が向上する。しかも主桁により、吊り具同士の間隔を増大させることが容易であり、この点でも安定性が向上する。また接地片は、主桁の左右両側に配置し、その間で荷物を保持することで、離着陸時に荷物の挙動を考慮する必要がなく、操縦が簡素化するほか、平坦な地面が狭い場合でも離着陸が可能になる。そのほか、接続具を介して複数の飛行ユニットを主桁に一体化する構造であるため、飛行ユニットの使用数や配置を自在に調整可能であり、様々な荷物に対応することができる。
【0017】
請求項2記載の発明は、接続具に関するものであり、主桁の左右両側に配置された飛行ユニットを結ぶ副桁を使用するほか、接続具は副桁を保持可能な構造としてあり、且つ接続具は主桁と副桁との交角を変更可能であることを特徴とする。主桁の左右両側に飛行ユニットを配置する場合、双方を副桁で結ぶことになるが、副桁が主桁から突出することで、無人航空機の保管時などにおいて、その占有面積の増大が問題になる恐れがある。そのためこの発明のように、主桁と副桁との交角を変更可能とすることで、無人航空機の保管時などでは、主桁と副桁との交角を小さくして占有面積を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明のように、荷物を輸送する無人航空機を主桁と飛行ユニットと接続具と接地片と吊り具などで構成し、二箇所以上の吊り具を介し、荷物を主桁の直下に配置することで、飛行中、主桁と荷物の挙動が一体化するため、荷物の揺れを考慮する必要がなく、安定性が向上する。しかも主桁により、吊り具同士の間隔を増大させることが容易であり、この点でも安定性が向上する。また接地片は、主桁の左右両側に配置し、その間で荷物を保持することで、離着陸時に荷物の挙動を考慮する必要がなく、操縦が簡素化するほか、平坦な地面が狭い場合でも離着陸が可能になる。したがって、各種の測位システムを利用した自律飛行の導入が容易になる。
【0019】
また本発明では、接続具を介して複数の飛行ユニットを主桁と一体化する構造であるため、飛行ユニットの使用数や配置を自在に調整可能であり、さらに接地片と吊り具についても、使用数や配置を自在に調整可能である。そのため一組の無人航空機において、重量や大きさの異なる様々な荷物に対応することができ、その稼働率の向上が可能であり、様々な費用が抑制され、需要の掘り起こしを期待できる。なお主桁については、様々な荷物を想定し、事前に複数の種類を用意することもできる。このような主桁単体であれば、複数の種類を用意することも容易である。
【0020】
請求項2記載の発明のように、左右両側に配置された飛行ユニットを結ぶ副桁を使用する場合において、接続具は、主桁と副桁との交角を変更可能な構造とすることで、無人航空機の保管時などにおいて、主桁と副桁との交角を小さくして占有面積を抑制することができる。特に無人航空機をトラックで現地に輸送する際、主桁と副桁との交角を小さくすることで荷台からの突出を防止できるほか、現地に到着した後の組み付け作業が簡略化され、準備を素早く終えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による無人航空機の構成例を示す斜視図であり、図の上方では部品を分離した状態を描いてあり、図の下方ではこれらを組み上げた状態を描いてある。
図2図1の無人航空機の構成を一部だけ変更した場合の具体例を示す斜視図であり、図の上方は飛行ユニットを四組としたもので、図の下方は六組としたものである。
図3】主桁と副桁を一体化する方法の具体例を示す斜視図であり、ここでは接続具を三要素に分割している。
図4】主桁と副桁を一体化する方法について、先の図3とは異なる具体例を示す斜視図であり、ここでは接続具に固定ネジを差し込んでいる。
図5】本発明による無人航空機に水中ドローンを組み込んだ場合を示す斜視図である。
図6】無人航空機を構成する各部品の形状例を示す斜視図であり、ここでは主桁を角断面としているほか、接続具に接地片と吊り具を一体化してある。
図7】接続具の構成例を示す斜視図であり、ここでは主桁と副桁のいずれも、丁字溝が形成された中空角断面のものを使用しており、これらを板状の接続具で一体化している。
図8】主桁と副桁との交角を変更することのできる接続具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明による無人航空機の構成例を示しており、図の上方では部品を分離した状態を描いてあり、図の下方ではこれらを組み上げた状態を描いてある。この無人航空機は、一本の主桁11を骨格としており、これに飛行ユニット51や接地片61や吊り具71などを一体化した構成である。そしてこの図の主桁11は、円断面の中空棒状であり、軽量で強度に優れた素材を使用している。また飛行ユニット51は、ロータ52と動力源53を一体化したものだが、ここでの動力源53はモータとしているほか、ロータ52の回転軸は直立しており、ロータ52を回転させることで揚力が発生する。
【0023】
この図の無人航空機は、八組の飛行ユニット51を使用しているが、飛行時の安定性を確保するため、主桁11に対して飛行ユニット51を左右対称に配置しており、さらに左右に並ぶ飛行ユニット51は、副桁41で連結している。副桁41は、主桁11と同様の円断面だが、主桁11よりも細く、その両端部に台座45を取り付け、台座45の上面に動力源53を固定している。そして主桁11と副桁41は、接続具21を介して一体化しており、接続具21には主桁11と副桁41の両方を差し込むことができる。
【0024】
接地片61は、無人航空機の着陸時、主桁11などを安定した状態で支持する役割を担い、主桁11の左右に配置する二個で一組となるが、この左右の二個は、塊状の支持部64で一体化してある。そして支持部64に主桁11を差し込むことで、双方が一体化し、また接地片61の一端側が地面に接触することになるが、支持部64は主桁11の長手方向に沿って移動可能である。なお接地片61は、主桁11の両端付近に配置するため、着陸時の安定性を確保できるほか、接地片61によって主桁11は地面から離れるため、ロータ52が地面に接触することはない。
【0025】
吊り具71は、荷物Fの吊り下げを担う部品であり、ここでの吊り具71は、金属棒を円弧状に屈曲させた形状としてあり、その根元は、塊状の係合部74と一体化してある。そのため係合部74に主桁11を差し込むことで、荷物Fを主桁11で吊り下げることができるほか、係合部74は主桁11の長手方向に沿って移動可能である。なお本発明では、荷物Fを一点で吊り下げることを想定していない。したがって吊り具71は、主桁11の両端付近に配置することになるが、荷物Fによっては、吊り具71の使用数をさらに増やすこともできる。
【0026】
図の上方に描いた各部品を必要数だけ確保し、これらを組み上げることで、図の下方のような無人航空機が完成する。そしてここでは、荷物FとしてH形断面の棒材を想定しており、主桁11の長さは、この荷物Fと同等になっており、荷物Fの両端付近を支持する構成になっている。なお本発明は、この荷物Fのように、棒状の物の輸送に適している。また八組の飛行ユニット51は、主桁11の一端側と他端側のそれぞれに四組を配置し、さらに全ての飛行ユニット51は、主桁11を基準として左右対称に配置してあり、左右に並ぶ飛行ユニット51は副桁41で連結されるため、必然的に主桁11の端部付近には、四組の飛行ユニットが密集することになる。そこでロータ52同士の接触を避けるため、隣接する副桁41の長さを変える場合があり、ここでは主桁11の両端側に位置する方を短くしてある。
【0027】
個々の副桁41の両端付近には台座45を差し込んであり、個々の台座45に動力源53を固定してある。また主桁11と副桁41は、接続具21を介して一体化してあり、副桁41の中央部分が接続具21に差し込まれた状態になるほか、副桁41は、主桁11の上方に配置される。そして主桁11の端部付近では、二本の副桁41が隣接しているが、その間には接地片61と吊り具71が挟み込まれており、接地片61が地面に接触することで、主桁11は地面から離れた状態で支持されるほか、吊り具71に掛けたロープ79によって荷物Fが吊り下げられる。このように二箇所で荷物Fを吊り下げるため、主桁11と荷物Fを接近させることができ、主桁11に対する荷物Fの揺れが抑制され、飛行時の安定性が向上する。
【0028】
接地片61は、主桁11の左右両側に配置され、その間で物Fを保持することになる。そのため接地片61の高さのほか、左右の接地片61の間隔は、想定される荷物Fの大きさに基づいて決めるものとする。なお荷物Fを吊り具71で吊り下げた際、接地片61の先端と荷物Fの底部を同じ高さに揃えることで、着陸時、荷物Fが地面に接触した状態になり、接地片61の負担を軽減することができる。またこの図のように、接続具21と接地片61と吊り具71を隣接させることで、飛行時などで主桁11に作用する曲げモーメントが軽減されるため、主桁11の軽量化が可能になる。
【0029】
接続具21と接地片61と吊り具71のいずれも、主桁11の長手方向に沿って自在に配置可能である。そのため同一の無人航空機においても、様々な荷物Fに対応することができ、汎用性が向上して稼働率を高めることができ、一連の費用を抑制可能である。そのほか主桁11の中央部には、飛行ユニット51を駆動するための蓄電池箱57を配置してあるほか、飛行を管理する制御部58も組み込んであり、個々の飛行ユニット51の揚力を調整することで、様々な飛行が可能になる。なお当然ながら、接続具21や支持部64や係合部74や台座45などは、飛行に先立ち、主桁11や副桁41と強固に一体化し、部品の脱落や移動といった不具合を防ぐ必要がある。
【0030】
図2は、図1の無人航空機の構成を一部だけ変更した場合の具体例を示しており、図の上方は飛行ユニット51を四組としたもので、図の下方は六組としたものである。荷物Fが比較的軽量で短い場合、図の上方のように、接地片61と吊り具71と接続具21のいずれも、主桁11の中央寄りに配置するほか、飛行ユニット51を四組とすることもできる。対して、より大きな揚力が必要になる場合、図の下方のように、主桁11のそれぞれの端部に飛行ユニット51を追加することができる。この追加された飛行ユニット51は、接続具24の上面に動力源53を固定した構成であり、必然的に主桁11の真上に配置される。このように、飛行ユニット51の使用数は自在に変更可能であり、重量の異なる様々な荷物Fに対応することができる。
【0031】
図3は、主桁11と副桁41を一体化する方法の具体例を示している。主桁11と副桁41は、飛行中の安全性を確保するため、強固に一体化させる必要があり、接続具21は、これを実現する構造になっている。そしてこの図の接続具21は、上片27と中片28と下片29の三要素に分割されており、上片27を中片28に載せることになるが、上片27には半円形の副溝34を形成してあるほか、中片28の上部にも半円形の副溝34を形成してあり、上下の副溝34で副桁41を挟み込み、そこで発生する摩擦により、接続具21と副桁41を強固に一体化する。なお上片27と中片28は、固定ネジ38で引き寄せる構成である。そのため上片27の側面中央を左右に突出させ、そこに固定ネジ38を差し込むための下穴35を形成してあるほか、中片28の上部中央も左右に突出させ、そこに固定ネジ38と螺合するメネジ36を形成してある。
【0032】
主桁11については、中片28と下片29で挟み込む。そのため、中片28の下部には半円形の主溝32を形成してあり、下片29にも半円形の主溝32を形成してあり、上下の主溝32で主桁11を挟み込み、そこで発生する摩擦により、接続具21と主桁11を強固に一体化する。なお中片28と下片29についても、固定ネジ38で引き寄せる構成である。したがって中片28の側面下部を左右に突出させ、そこに下穴35を形成してあるほか、下片29にはメネジ36を形成してある。このように接続具21は、摩擦によって主桁11や副桁41と一体化するため、固定ネジ38を締め付ける前の段階では、主桁11と副桁41との配置を自在に調整可能であり、固定ネジ38の締め付け後は、主桁11と副桁41が一体化する。
【0033】
図4は、主桁11と副桁41を一体化する方法について、先の図3とは異なる具体例を示している。ここでの接続具21は、先の図3のような分割構造ではなく一体構造であり、固定ネジ38を差し込むことで主桁11や副桁41を固定することができる。そのため接続具21には、副桁41を差し込むための副穴33と、主桁11を差し込むための主穴31を形成してあり、副穴33と主穴31は、その向きが直交しているほか、双方で高さが異なるため、副桁41と主桁11は接触することなく交差する。さらに接続具21の上面には、副穴33に到達する下穴35を形成してあるほか、接続具21の底面には、主穴31に到達する下穴35を形成してある。そしてこの接続具21に対応するため、主桁11の上部と下部には、長手方向に沿って等間隔でメネジ18を形成してあり、副桁41についても同様にメネジ48を形成してある。
【0034】
接続具21の副穴33に副桁41を差し込んだ後、接続具21の上面の下穴35と副桁41のメネジ48を同心に揃え、この下穴35に固定ネジ38を差し込むと、副桁41が接続具21に固定される。同様に、接続具21の主穴31に主桁11を差し込んだ後、接続具21の底面の下穴35と主桁11のメネジ18を同心に揃え、この下穴35に固定ネジ38を差し込むと、接続具21が主桁11に固定される。したがって、接続具21を介して主桁11と副桁41を一体化することができる。なおこの図の形態では、主桁11や副桁41のメネジ18、48の配置により、接続具21の固定位置を任意に調整することはできない。ただし隣接するメネジ18、48の間隔を狭くすることで、実用面での問題は解消可能である。
【0035】
そのほか吊り具71についても、同様の方法で主桁11に固定することができる。吊り具71の根元は係合部74に取り付けられているが、係合部74には、主桁11を差し込むための主穴77を形成してあるほか、係合部74の上面には、主穴77に到達する下穴78を形成してあり、主穴77に主桁11を差し込んだ後、係合部74の下穴78と主桁11のメネジ18を同心に揃え、下穴78に固定ネジ38を差し込むと、係合部74が主桁11に固定される。当然ながら、このような固定方法は、図1などに描いた支持部64にも導入可能である、
【0036】
図5は、本発明による無人航空機に水中ドローン81を組み込んだ場合を示している。ここでは荷物Fの代替として水中ドローン81を組み込んであり、無人航空機を着水させた後、この水中ドローン81を発進させ、水中を探査することができる。そのため無人航空機は、主桁11と同じ方向に伸びる二列のフロート68で浮力を確保する構成になっており、接地片61の先端にフロート68を取り付けてある。また無人航空機の飛行中、水中ドローン81を吊り下げるため、主桁11の両端付近には吊り具72を組み込んである。この吊り具72は、遠隔操作で開閉可能な可動式であり、水中での探査開始時に吊り具72を開放するほか、探査終了時に閉止することで、無人航空機は再び主桁11で吊り下げられた状態になる。
【0037】
この図の水中ドローン81は、電力供給などのため、ケーブル83を介して無人航空機と接続されている。そのため主桁11の中央部には、ケーブル83を巻き取るためのドラム82を組み込んであり、水中ドローン81が所在不明になることを防いでいる。また水中ドローン81には、複数のスラスタ84を備えており、個々のスラスタ84の姿勢や回転を調整することで、水中を自在に移動可能である。なおフロート68やドラム82は着脱自在であり、これらを取り外すことで、図1のような荷物Fの輸送にも対応できる。
【0038】
図6は、無人航空機を構成する各部品の形状例を示している。本発明による無人航空機の詳細構成は自在に決めることができ、この図のように主桁12を角断面とすることも可能である。また副桁42についても、この図のように、様々な形状を取り入れることができる。さらにこの図では、接続具22と接地片61と吊り具71を一体化してあり、接続具22には、主桁12を差し込むための主溝32を形成してある。そして接続具22の主溝32に主桁12を差し込んだ後、接続具22に副桁42を載せ、固定ネジ38で双方を一体化すると、主桁12が上下から挟み込まれ、接続具22が主桁12に固定される。なお固定ネジ38を差し込むため、副桁42には下穴46を形成してあるほか、接続具22にはメネジ36を形成してある。
【0039】
この図のように、接続具22に接地片61と吊り具71を一体化することで、荷物Fの自重は、接続具22を介して接地片61に伝達されるほか、飛行ユニット51で発生する揚力は、副桁42を介して接続具22に伝達され、主桁12に作用する曲げモーメントを軽減することができる。そして図の下方のように、主桁12の両端付近に接続具22を配置し、そこに副桁42を載せることで、四組の飛行ユニット51を備えた無人航空機が完成する。
【0040】
図7は、接続具23の構成例を示しており、ここでは主桁13と副桁43のいずれも、丁字溝が形成された中空角断面のものを使用しており、これらを板状の接続具23で一体化している。この図での主桁13と副桁43は、アルミニウム合金を押し出し加工で仕上げた棒材を使用しており、必然的に副桁43の方が小断面になるが、主桁13の副桁43のいずれも、その上面と底面の両方には、長手方向に伸びる丁字溝を形成してあり、様々な部品を任意の位置に固定することができる。
【0041】
この図では、主桁13と副桁43が十字状に交差するが、副桁43が上方に配置され、双方の間に接続具23を挟み込むことになるが、この接続具23は十字形の板状であり、その外縁には、固定ボルト38を差し込むための下穴35を形成してある。そして主桁13の上面側の丁字溝と、副桁43の底面側の丁字溝のそれぞれには、角ナット39を嵌め込み、それぞれの角ナット39に向け、接続具23の下穴35から固定ネジ38を差し込んでいく。当然ながら、主桁13の方は下向きに差し込み、副桁43の方は上向きに差し込むことになるが、差し込みの初期段階では固定ネジ38を締め付けることなく、緩みを持たせておく。その後、主桁13と副桁43を所定の配置に揃え、最終段階で固定ネジ38を締め付けると、接続具23を介して主桁13と副桁43が一体化する。当然ながら、他の部品についても、この丁字溝を使用して固定することができる。
【0042】
図8は、主桁11と副桁41との交角を変更することのできる接続具25を示している。副桁41は主桁11から突出するため、無人航空機の保管時などにおいて、その占有面積の増大が問題になる恐れがある。そこでこの接続具25のように、主桁11と副桁41との交角を変更可能とすることができる。この接続具25は、主桁11を差し込むための主穴31と、副桁41を差し込むための副穴33が上下に並んでいるが、その間に旋回板37を設けてあり、これを境として上下が個別に旋回可能な構造になっている。
【0043】
そのため図の上方のように、主桁11と副桁41を直交させることができるほか、無人航空機の保管時などでは、図の下方のように、主桁11と副桁41の方向を揃え、左右方向の突出を抑制することができる。なお実際には、接続具25が不用意に旋回しないよう、何らかの固定手段が必要であるほか、主桁11や副桁41を強固に一体化する手段も必要である。このように本発明では、実情に応じて様々な形態を導入可能であり、実際に無人航空機を製造する際は、これまでの各図に示した構成を実現可能な範囲で自在に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0044】
11 主桁(円断面)
12 主桁(角断面)
13 主桁(丁字溝が形成されたもの)
18 メネジ
21 接続具
22 接続具(接地片と吊り具が一体化したもの)
23 接続具(板状のもの)
24 接続具(上面に飛行ユニットを固定できるもの)
25 接続具(旋回可能な構造になっているもの)
27 上片
28 中片
29 下片
31 主穴
32 主溝
33 副穴
34 副溝
35 下穴
36 メネジ
37 旋回板
38 固定ネジ
39 角ナット
41 副桁(円断面)
42 副桁(角断面)
43 副桁(丁字溝が形成されたもの)
45 台座
46 下穴
48 メネジ
51 飛行ユニット
52 ロータ
53 動力源
57 蓄電池箱
58 制御部
61 接地片
64 支持部
68 フロート
71 吊り具(円弧状のもの)
72 吊り具(可動式のもの)
74 係合部
77 主穴
78 下穴
79 ロープ
81 水中ドローン
82 ドラム
83 ケーブル
84 スラスタ
F 荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8