(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075450
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】墓石前香炉及びそれを備えた墓石、香炉の製造方法。
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
E04H13/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022197468
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】713000836
【氏名又は名称】浦部 信輝
(72)【発明者】
【氏名】浦部 信輝
(57)【要約】
【課題】現在の納骨室は墓石の内部に造られ、納骨室の入口は、墓石前香炉の背面壁でふさがれ、暗く、空気(風)の通らない構造であり、この納骨室に太陽の光と空気の流れを通し、又悪天候の雨、風、雪により強い香炉、お墓にすることにある。
【解決手段】全国の墓地墓園にある墓石は、納骨室の入口(開口部)は墓石前香炉の背面壁を蓋石として設置してあり、室内は暗く、空気(風)の通らない、湿気の多い、等々暗いイメージがあり、このイメージを変える為、墓石前香炉の背面壁を開口し、太陽の光が通るアクリル板を取り付け、板の一部分に空気孔を開け納骨室の開口部前に設置し、墓石の外観を変えることなく、悪天候の雨、風、雪と震動等により強い太陽の光と空気の流れが通る納骨室のお墓に成るよう構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
墓石の内部に設けられた納骨室の入口前に設置された墓石前香炉であって、前後方向に配置された前方香炉と後方香炉を有し、前記後方香炉は前後方向に延びる貫通路を有していることを特徴とする墓石前香炉。
【請求項2】
前記貫通路の背面開口部は透光板でおおわれており、透光板には、小穴がもうけられている請求項1に記載の墓石前香炉。
【請求項3】
前記小穴には、防虫網がとりつけられている請求項2に記載の墓石前香炉。
【請求項4】
前記前方香炉は後方香炉の蓋石となり、着脱可能に構成されている請求項1に記載の墓石前香炉。
【請求項5】
前記後方香炉は、着脱可能に構成されている請求項1に記載の墓石前香炉。
【請求項6】
前記請求項1から5のいづれかに記載の墓石前香炉を備えていることを特徴とする墓石。
【請求項7】
既設の墓石に配置してある墓石前香炉を前後方向に分割して前方香炉と後方香炉を作成し、前記後方香炉には、前後方向にのびる貫通路を形成したことを特徴とする墓石前香炉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全国の市町村内の墓地にある、墓石の内部に設置されている納骨室に、太陽の光と空気(風)の流れを入れ、納骨室内を明るく清らかにし御先祖様のオアシスにすることを目的とし、又、悪天候に、より強い墓石前香炉にする、墓石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全国で現在一般的に普及している新規及び既存の墓石は、地域または石材店により名称は異なるが、棹石、上台、下台、四ツ石(座石)等で構成され、納骨室は下台や四ツ石の内部に設置され、納骨室開口部を墓石前香炉の背面壁で塞ぎ、蓋石として構成されている。
【0003】
現在の納骨室は、納骨式が済めば、次の納骨式まで長ければ5年10年と長い間、開けることのない密閉された納骨室となり、暗く湿気の多い、悪臭がある墓とのイメージが強く、これが払拭されなかった。
そこでこのイメージをなくすため、太陽の光と空気(風)流れの通る明るい清らかな、自然の悪天候に強い墓石前香炉とお墓がもとめられている。
【0004】
現在普及している墓石前香炉の形態は石材店メーカーや墓石販売店により大きく変化しており、特許文献1では、納骨室(カロート)の前にもうけられた香炉の前面や背面壁が、ガラス製の部材で造られ、特許文献2では、空気の流れる通気路が香炉の内部をくり抜く加工技術が使われ、特許文献3では、太陽光と空気(風)の流れを受け入れる工事工程の少ない、シンプルな構造形態が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-253383
【特許文献2】特開2016-148211
【特許文献3】特開2021-75976
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の墓石はガラスの素材が多く使用されて前面にあり、物の圧力による破損の危険性が高く、又墓石の外観構造が大きく変化し、全国の一般的な一区画墓地面積には、大きい構造であり、特許文献2では、空気(風)の流れる空気路が、香炉の内部を貫通させる高い技工が必要で、又太陽光の入らない構造である。特許文献3は、太陽光と空気(風)の入るシンプルな良い構造である。この良い構造に地震と悪天候により、強い墓石前香炉となるように構成した。上記欠点に鑑み、本発明は墓石前香炉を前後方向に分割し、前方香炉と後方香炉とし、後方香炉の内部に前後方向に延びる貫通路を造り、この後方香炉の背面壁にアクリル板等に空気孔を開け防虫網を取り付けた。特許文献3の良い特徴を生かした構造にし、前方香炉が後方香炉を守る蓋となる形態であり、雨、風、雪と震動に、より強い、明るい清らかな納骨室を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、石材、合成樹脂の素材で納骨室の開口部の前に設置してある墓石前香炉を分割し、前方香炉と後方香炉とし、後方香炉の背面壁を納骨室の開口部と同じ程の丸形や四角形等に切り抜き貫通させ、この当該開口部を半透明又は透明のアクリル板や強化ガラス板等で覆い、板の一部分に空気の通る小穴を開け防虫網を取り付け、太陽光と空気(風)の通ることを特徴とする墓石前香炉とし、前方香炉は雨、風、雪等の天候の悪い時、後方香炉の前に設置して、後方香炉の蓋となり震動と悪天候により強い着脱可能な、お墓の香炉となるよう構成し発明した。
【発明の効果】
【0008】
本発明は次に列挙する効果が得られる。
(1)納骨室前の分割された前方香炉を着脱することにより後方香炉の貫通路より太陽の光と空気(風)の流れが入るため、納骨室内が明るく湿気と悪臭が改善され、又、分割された前方香炉が後方香炉の蓋となるため、雨、風、雪や地震等の自然災害により強い墓石前香炉となり、明るい清らかなお墓となる。
(2)後方香炉の背面壁に取り付けるアクリル板や強化ガラス等は、直径約10cm程の丸形や、タテ、ヨコ約10cm程の四角形にて、小型に作れて、厚みも約2mm~5mm程で小型で、軽量で安価にそろえることが出来る。
(3)空気孔も直径約1,5cm程の丸形や四角形にて手早く開けられ、小穴にて雨水等が入りづらく、又納骨室内に虫が入らないように当該小穴に目の細かいステンレス防虫網を取り付け、防虫網も直径約2~3cm程の丸形や四角形で、又防虫網を固定するワッシャーも直径約3~4cm程にて軽量で安価にそろえることが出来る。
(4)新発売のお墓も墓石前香炉を2分割して後方香炉の前壁より内部を貫通し背面壁に特許文献3の機能を取り付けるので、お墓の外観や墓地面積も変化せず低価格で提供できる。
(5)既存のお墓の墓石前香炉を前後方向に2分割し、後方香炉の内部を貫通し、背面壁に特許文献3の機能を取り付ければ、リフォームの墓石前香炉のお墓として低工事費で提供することが出来、納骨室内の暗く湿気の多い所に長年休んでおられた御先祖様に太陽の光と空気(風)を届けることが出来る。
(6)納骨室内に太陽の光と空気(風)の流れが入る為、墓地周辺の生活音や四季の小鳥や虫の鳴き声が聞こえて、御先祖様のオアシスとなる。
(7)アクリル板や強化ガラスのスモーク調は、納骨室内の暗い所より外の明るい所を見ると外が良く見え、外の明るい所より納骨室内の暗い所は見えづらい特徴がある。
(8)この分割された墓石前香炉は、洋風形式のお墓にも取り付けて活用出来、補助板を後方香炉の前に設置すれば、日本国内や外国の石材メーカーにも新発売やリフォームの墓石前香炉として提供することが出来る。
(9)4~5年間前後でアクリル板の点検を行ない、点検と納骨室内の掃除等の約束を交わして、次の営業ができれば良いと思う。
(10)お墓のある市町村内の墓地は自宅より車で約5分~10分位の距離にある墓地が多く、管理は家族で出来るが、遠くにお墓がある人は墓地の管理人さんや近所の人に頼む体制が取れれば良いと思う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】墓石の全体図で、墓石前香炉7の正面図である。
【
図2】墓石前香炉を2分割した斜視図であり、前方香炉11と後方香炉12である。
【
図3】
図2に示した後方香炉12の斜視図である。後方香炉正面壁17より後方香炉背面壁19まで丸形に掘った貫通路18を有し、背面壁に透光板13を取り付けた斜視図である
【
図4】
図3に示した丸形貫通路の後方香炉背面壁19に透光板を取り付けた正面図である。
【
図5】前方香炉11を外した墓石の正面図であり後方香炉12の正面図である。
【
図6】
図5に示したA-A切断線22による納骨室内23の拡大図である。
【
図7】
図5に示したA-A切断線による空気孔14の端面拡大図である。
【
図8】後方香炉に門形間通路を開け背面壁に透光板を取り付けた斜面図である。
【
図9】晴天が続く時、前方香炉11を外して貫通路前に設置する、空気孔14を守る補助板27(透明透光板)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1において墓石は棹石1、上台2,下台3、四ツ石(座石)4等で石材で造られ、墓石前香炉7は石材や合成樹脂等で構成され、
図2において墓石前香炉7を前後に分割し、前方香炉11と後方香炉12とした。
【0011】
図3において後方香炉12を、丸形や門型(
図8)四角形等の形態で正面壁17から背面壁19まで太陽光の通る路となる貫通路18を開口し、この背面壁開口部18にアクリル板13に空気孔(小穴)14を開け、ワッシャー16とステンレス防虫網15を付けて、太陽光と空気(風)の通る清らかな新しい墓石前香炉7とした。なお開口部に取り付ける板13はアクリル板や強化ガラス板に、又貫通路の形も丸形や四角形や門形(
図8)等に、又大きさや厚みも重量もかぎられるものでない。
【0012】
図2において、前方香炉11を後方香炉12の前に設置すれば後方香炉12の蓋石となり、雨、風、雪等の天候等に左右されない強い墓石前香炉7になり、又地震等による、タテヨコの揺れを防ぐため前方香炉、後方香炉に
図2に示した数個のダボ穴、ダボ芯10を取り付ける構成にし、香炉の側面は着脱可能が出来るように
図2に手カギ穴26を造った。なおダボ芯、ダボ穴や手カギ穴は形や大きさ、数にかぎられるものでない。
【0013】
以下本発明の形態を図において説明する。本実施形態の墓石前香炉7を二分割し、前方香炉11と後方香炉12とし後方香炉正面壁17の中心部から後方香炉背面壁19まで、直径約10cm程の丸形の太陽光と空気の通る路を貫通開口させ、透光板13を取り付ける。
【0014】
図4において、透光板13の一部分に、直径約1.5cm位の小穴(空気孔)14を数個開け、この小穴14に虫が入らないように、又、空気孔が小さいので、水滴が入りづらく、ステンレス防虫網15を取り付ける構造になっている。
図4に後方香炉背面壁開口部18には、深さ約1cm幅約1cm程の接着のり面21を設け接着剤で透光板13を取り付ける。
【0015】
図2の2分割された墓石前香炉7の前方香炉11や後方香炉12の重量も約5kg~10kg程にて重機なども不要で着脱が出来、部品も点数が少なく、短時間で新発売やリフォームの墓石及び香炉の加工が出来、低価格で提供できる。
【0016】
図2において前方香炉11、後方香炉12共に着脱可能に構成され地震による横スベリ等を防ぐためダボ穴ダボ芯10を付けた構造にし、
図2の側面に手カギ穴26を付け着脱しやすい構造にした。又、晴天が3日~7日間ほど続く時は後方香炉12の前方に補助板27を設置し連日太陽光と空気(風)の入る状態にした。
また補助板27は合成樹脂等の透明板で大きさは縦横20cmほどで、厚さは約0.5mm~1mm程で後方香炉前に設置する構成で安価にできる。又、補助板には風の通る小穴を数個開け、小穴も直径約3mm~5mm程の丸穴で水滴が入りずらい貫通路を守る補助板とした。
【0017】
前方、後方香炉に分割された
図3の後方香炉12の厚みや幅は、約10cm程にて、石材用切断機、丸形、角形、貫通ドリル、研磨機等の作業機械の性能の進歩により作業時間が短くなり、低価格で提供できる。
【0018】
墓石のナンバープレート25を造り、全国展開のチェック体制を整え、お墓の管理を進めていく。
【産業上の利用可能性】
【0019】
現在一般的に全国で販売され、普及している墓石は、大阪型、京都型が多く、地域の墓石店により少しづつ改良した墓石前香炉が販売されている。本発明は墓石前香炉を2分割し、前方、後方香炉とし、後方香炉に特許文献3の構造を取り付ける。墓石全体の大きさや外観を変えない構造であり、新発売やリフォームの出来る低価格の営業販売であり石材店、墓石店の産業上の一助となればと思う。
【符号の説明】
【0020】
1、墓石(棹石) 16、ワッシャー
2、上台 17、後方香炉正面壁
3、下台 18、後方香炉貫通路(開口部)
4、座石(四ツ石) 19、後方香炉背面壁
5、お水入れ 20、2分割線
6、線香、ロウソク立て 21、のり面
7、墓石前香炉 22、A-A切断線
8、花立て 23、納骨室内
9、家紋 24、骨壺
10、ダボ穴、ダボ芯 25、ナンバープレート
11、前方香炉 26、手カギ
12、後方香炉 27、後方香炉貫通路と透光板と空気孔
13、透光板(アクリル板等) を守る補助板
14、空気孔 28、補助板用重し
15、防虫網 29、補助板の空気孔