(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075454
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A62C35/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017478
(22)【出願日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2022186220
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EB01
(57)【要約】
【課題】縦回りに内巻きされた消火用ホースが引き出される場合に崩れにくく、消火用ホースを巻き戻す復旧作業が簡単且つ容易に行えることを可能とする。
【解決手段】消火栓装置10は、トンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路34の路面上方の所定高さに、トンネル壁面に近接又は当接して設置される。消火栓装置10は、消火用ホース54が収納されたホース収納部42が筐体の内部下側に配置され、消火用ホース54を接続する配管に消火栓弁62を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部44が筐体の内部上側に配置される。ホース収納部42の縦幅を、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲となる上限の縦幅700mm以下で、消火用ホース54が折れることなく湾曲可能な最小湾曲径に基づく下限の縦幅500mm以上となる範囲内の所定の縦幅、例えば700mmとする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接して設置された消火栓装置であって、
消火用ホースが収納されたホース収納部が、筐体の内部下側に配置され、
前記消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、前記筐体の内部上側に配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接して設置された消火栓装置であって、
消火用ホースが収納されたホース収納部が、筐体の内部上側に配置され、
前記消火用ホースを接続する配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、前記筐体の内部下側に配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消火栓装置において、
前記ホース収納部の縦幅は、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲となる第1の縦幅以下で、前記消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径に基づく第2の縦幅以上となる範囲の所定の縦幅であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項3記載の消火栓装置において、
前記適正操作範囲は、道路利用者が立つ監視員通路の路面上方の800mmから1500mmまでの範囲であり、前記第1の縦幅が最大700mmであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項3記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径が340mm、ホース外径が40mm、ホース内巻き回数が2回の場合、前記第2の縦幅が最小500mmであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の消火栓装置において、
前記ホース収納部は、
前記筐体の内部下側が前面に開口した箱形領域に仕切り形成され、
前記箱形領域の前面開口に、円筒形又は円柱形のフレーム部材を用いた格子が配置され、
前記箱形領域内に、前記消火用ホースが縦回りに内巻きされて収納されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項7】
請求項6記載の消火栓装置において、
前記ホース収納部は、前記箱形領域の前面開口に、前記フレーム部材で矩形に仕切られたホース取出口が形成されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項8】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記ホース収納部は、前記ホース取出口の外側近傍に、前記ホース取出口から引き出された前記消火用ホースの先端に接続された放水ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項9】
請求項6記載の消火栓装置において、
前記ホース収納部は、前記箱形領域の前面側の所定位置に、前記消火用ホースに消火用水を供給する配管に設けられた消火栓弁を遠隔的に開閉操作する消火栓弁開閉操作部を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項10】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記筐体は、前記ホース収納部の前面の扉開口に、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が前記監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項11】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記筐体は、前記バルブ類収納部の前面の扉開口に、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して開放する保守扉を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項12】
請求項3記載の消火栓装置において、
前記筐体は、前記ホース収納部の縦幅の全て又は一部が前記適正操作範囲に含まれるように、前記監視員通路の路面上方の所定高さに設置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項13】
請求項12記載の消火栓装置において、
前記筐体は、所定の操作対象が収納又は設置され、
前記所定の操作対象は、前記適正操作範囲に入る高さに配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項14】
請求項13記載の消火栓装置において、
前記所定の操作対象は、消火栓扉の開閉ハンドル、前記消火用ホースに接続された放水ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部から消防隊のホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動釦を含むことを特徴とする消火栓装置。
【請求項15】
請求項3記載の消火栓装置において、
前記筐体の水平方向の片側に、消火器が収納されるとともに所定の電装機器が配置された他の筐体が配置され、
前記他の筐体は、消火器扉の開閉ハンドル、前記消火器の操作部及び前記電装機器の操作部が、前記適正操作範囲に入る高さに配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項16】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記筐体は、
前記ホース収納部及び前記バルブ類収納部の一部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が前記監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉と、
前記ホース収納部の上側に相対する前面の前記扉開口に配置され、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して開放する上扉と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項17】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記筐体は、
前記ホース収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が前記監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉と、
前記バルブ類収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が前記監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する保守扉と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項18】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記筐体の内部下側に配置された前記バルブ類収納部の前方にホースガイドを備え、
前記ホースガイドは、前記筐体の内部上側に配置された前記ホース収納部に収納された前記消火用ホースを外部に引き出すためのホース取出口が形成されたことを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路に露出して設置される消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路等のトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。例えば消火栓装置は、前傾式の消火栓扉(前傾扉)を備えた筐体内部の消火栓収納部に、先端に放水ノズルを装着した消火用ホースや消火栓弁を含むバルブ類等が収納され、また、消火器扉を備えた筐体内部の消火器収納部に、2本の消火器が収納されている。また、消火栓装置は、一般的にトンネル長手方向、例えば50メートル間隔で、監視員通路が設けられたトンネル壁面を箱抜きして埋込み設置されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、シールド工法等により造られたトンネルにあっては、トンネル躯体の構造上、トンネル壁面を箱抜きして消火栓装置を埋込み設置することがコストや労力の関係から困難であるから、監視員通路に消火栓装置が露出した状態で設置することが必要になる。
【0004】
このため、消火栓装置をトンネル壁面に箱抜きすることなく、監視員通路に露出した状態で設置する構造として、トンネル壁面に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置を取付固定する壁掛け構造が提案されており、当該壁掛け構造の架台は、壁面に固定される主支持部と消火栓装置の姿勢を保持する姿勢保持部材等から構成されている(特許文献2)。
【0005】
しかし、壁掛け構造による消火栓装置の設置は、トンネル壁面への消火栓装置の取り付けに工数と時間が掛かる等の課題があることから、設置が容易である監視員通路の路面上に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置を取付固定する、いわゆる据置き構造を採用することが考えられている。
【0006】
また、監視員通路に消火栓装置を埋込み設置することで、監視員通路の通行を妨げることなく、道路及び監視員通路の両方から操作可能とした消火栓装置も提案されている(特許文献3)
ところで、特許文献1,2に示した従来の消火栓装置にあっては、筐体の消火栓収納部を左右に分けてホース収納部とバルブ類収納部を形成し、ホース収納部内に保形ホースを用いた消火用ホースを縦回り(鉛直回り)に内巻きして収納している。また、特許文献3に示した従来の消火栓装置は、ホース収納部内に保形ホースを横回り(水平回り)に内巻きして収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-279294号公報
【特許文献2】特開2019-000196号公報
【特許文献3】特開2018-027150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のホース収納部に消火用ホースを縦回りに内巻きした消火栓装置にあっては、筐体内部の高さが、消火用ホースが内巻きされる収納領域の縦幅となる縦長の収納領域となっており、道路利用者が消火栓装置を使用して消火を行うために消火用ホースを引き出していくと、内巻きされている消火用ホースは内側から引き出され、重ねて内巻きされている消火用ホースの上側の支えが弱まることで消火用ホースが崩れる場合があり、ホース収納部からの消火用ホースの引き出し作業が滑らかにできない場合がある。
【0009】
また、消火栓装置の使用を終了した場合には、復旧作業員が消火用ホースの水抜きを行った後に、ホース収納部に消火用ホースを内巻きして戻す復旧作業を行う。しかしながら、ホース収納部は縦長の収納領域となっているため、消火用ホースを内巻きで戻す場合に、収納領域の上側に消火用ホースを内巻きしていく段階で、消火用ホースが落下しないように下側から手で支える作業が必要となり、しかも筐体内の狭い領域の作業となるため、消火用ホースを巻き戻す復旧作業に手間と時間がかかるという問題がある。
【0010】
また、従来の監視員通路に埋込み設置された消火栓装置は、監視員通路内に消火用ホースを横回りに内巻きするのに十分な広さのホース収納部を確保することが可能であり、横回りに内巻きしていることから消火用ホースが引き出されても崩れるようなことはない。しかしながら、監視員通路上に露出して設置された消火栓装置にあっては、監視員通路の通行を妨げないために薄型化が必要となり、筐体内に消火用ホースを横回りに内巻きするのに必要なホース収納部のスペースを確保することが困難である。
【0011】
本発明は、縦回りに内巻きされた消火用ホースが引き出される場合に崩れにくく、また、消火用ホースを巻き戻す復旧作業が簡単且つ容易に行えることが可能となる消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明の消火栓装置)
本発明は、道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接して設置された消火栓装置であって、
消火用ホースが収納されたホース収納部が、筐体の内部下側に配置され、
消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部上側に配置されたことを特徴とする。
【0013】
(第2発明の消火栓装置)
本発明は、道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接して設置された消火栓装置であって、
消火用ホースが収納されたホース収納部が、筐体の内部上側に配置され、
消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部下側に配置されたことを特徴とする。
【0014】
(ホース収納部の縦幅(高さ))
第1及び第2発明について、ホース収納部の縦幅は、法的(自治省令)に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲となる第1の縦幅以下で、消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径に基づく第2の縦幅以上となる範囲の所定の縦幅である。
【0015】
(ホース収納部の第1の縦幅(最大高さ))
第1及び第2発明について、適正操作範囲は、道路利用者が立つ監視員通路の路面上方の800mmから1500mmまでの範囲であり、ホース収納領域の第1の縦幅(最大縦幅)が700mmである。
【0016】
(ホース収納部の第2の縦幅(最小高さ))
第1及び第2発明について、消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径が例えば340mm、ホース外径が40mm、ホース内巻き回数が2回の場合、ホース収納領域の第2の縦幅(最小縦幅)が500mmである。
【0017】
(ホース収納部の箱形領域とホース内巻き)
第1及び第2発明について、ホース収納部は、
筐体の内部下側が前面に開口した箱形領域に仕切り形成され、
箱形領域の前面開口に、円筒形又は円柱形のフレーム部材を用いた格子が配置され、
箱形領域内に、消火用ホースが縦回りに内巻きされて収納される。
【0018】
(ホース取出口)
第1及び第2発明について、ホース収納部は、箱形領域の前面開口に、円筒形又は円柱形のフレーム部材で矩形に仕切られたホース取出口が形成される。
【0019】
(ノズル保持部)
第1及び第2発明について、ホース収納部は、ホース取出口の外側近傍に、ホース取出口から引き出された消火用ホースの先端に接続された放水ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部を備える。
【0020】
(消火栓弁開閉操作部)
第1及び第2発明について、ホース収納部は、箱形領域の前面側の所定位置に、消火用ホースに消火用水を供給する配管に設けられた消火栓弁を遠隔的に開閉操作する消火栓弁開閉操作部を備える。
【0021】
(消火栓扉)
第1発明について、筐体は、ホース収納部の前面の扉開口に、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回り(下向き)に回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉を備える。
【0022】
(保守扉)
第1発明について、筐体は、バルブ類収納部の前面の扉開口に、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回り(上向き)に回転して開放する保守扉を備える。
【0023】
(筐体設置高さと適正操作範囲の関係)
第1及び第2発明について、筐体は、ホース収納部の全て又は一部が適正操作範囲に含まれるように、監視員通路の路面上方の所定高さに設置される。
【0024】
(操作対象と適正保護範囲)
第1及び第2発明について、筐体内は、所定の操作対象が収納又は設置され、
所定の操作対象は、適正操作範囲に入るように配置される。
【0025】
(操作対象の具体例)
第1及び第2発明について、所定の操作対象は、消火栓扉の開閉ハンドル、消火用ホースに接続された放水ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部から消防隊のホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動釦を含む。
【0026】
(消火器及び電装機器を収納配置した他の筐体)
第1及び第2発明について、筐体の水平方向の片側に、消火器が収納されるとともに所定の電装機器が配置された他の筐体が配置され、
他の筐体は、消火器扉の開閉ハンドル、消火器の操作部及び電装機器の操作部が、適正操作範囲に入る高さに配置される。
【0027】
(消火栓扉と保守扉の配置1)
第2発明について、
筐体は、
ホース収納部及びバルブ類収納部の一部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉と、
ホース収納部の上側に相対する前面の扉開口に配置され、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して開放する上扉と、
を備える。
【0028】
(消火栓扉と保守扉の配置2)
第2発明について、
筐体は、
ホース収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉と、
バルブ類収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する保守扉と、
を備える。
【0029】
(配置位置を下げたホース取出口)
第2発明について、
筐体の内部下側に配置されたバルブ類収納部の前方にホースガイドを備え、
ホースガイドは、筐体の内部上側に配置されたホース収納部に収納された消火用ホースを外部に引き出すためのホース取出口が形成される。
【発明の効果】
【0030】
(第1発明による消火栓装置の効果)
第1発明は、道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接して設置された消火栓装置であって、消火用ホースが収納されたホース収納部が、筐体の内部下側に配置され、消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部上側に配置されたため、ホース収納部が筐体の内部下側に設けられたことで、従来のホース収納部に比べ縦幅が狭くなるとともに横幅が広くなり、道路利用者が消火栓装置を使用して消火するために消火用ホースを引き出しても、消火用ホースが内巻きされている縦幅が狭いため、消火用ホースの引き出中に内巻きされている消火用ホースが崩れて消火用ホースを引き出す作業が妨げられることが確実に防止可能となる。
【0031】
また、復旧作業員が消火栓装置の使用後に消火用ホースを巻き戻す場合にも、ホース収納部が筐体の内部下側にあり、縦幅が狭く横幅が広くなっているため、ホース収納部に消火用ホースを内巻きして戻す復旧作業を簡単且つ容易に行うことが可能となる。
【0032】
また、筐体内の下側に配置したホース収納部を除く範囲に、バルブ類収納部が配置されたため、ホース収納部の上側となる筐体内に十分な余裕をもってバルブ類収納部を収納するスペースを確保することが可能となる。
【0033】
(第2発明による消火栓装置の効果)
第2発明は、道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接して設置された消火栓装置であって、消火用ホースが収納されたホース収納部が、筐体の内部上側に配置され、消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部下側に配置されたため、前述した第1発明による消火栓装置と同様に効果が得られる。
【0034】
また、第2発明による消火栓装置に固有な効果として、バルブ類収納部が筐体の内部下側に配置されたことで、筐体の内部上側に配置されるホース収納部の縦幅を法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲に対応させると、バルブ類収納部が適正操作範囲より下側の位置となり、その結果、消火栓装置を監視員通路の路面上方に配置する高さを低くすることを可能とする。
【0035】
(ホース収納部の縦幅(高さ)の効果)
また、第1及び第2発明について、ホース収納部の縦幅は、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲となる第1の縦幅以下で、消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径に基づく第2の縦幅以上となる範囲の所定の縦幅であるため、ホース収納部の底部となる筐体底部の監視員通路の路面からの設置高さが、適正操作範囲の下限高さとなることで、ホース収納部の全部が適正操作範囲に入り、高すぎたり低くすぎたりすることなく、道路利用者が無理のない姿勢で適切に消火用ホースの操作をすることが可能となる。
【0036】
(ホース収納部の第1の縦幅(最大高さ)の効果)
また、第1及び第2発明について、適正操作範囲は、道路利用者が立つ監視員通路の路面上方の800mmから1500mmまでの範囲であり、ホース収納領域の第1の縦幅が700mmであるため、ホース収納部の縦幅は最大でも700mmに抑えられ、従来の1000mm前後となる縦幅に比べ十分に狭くなり、ホース収納部が筐体の内部下部の低い位置に配置可能となる。
【0037】
(ホース収納部の第2の縦幅(最小高さ)の効果)
また、第1及び第2発明について、消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径が例えば340mm、ホース外径が40mm、ホース内巻き回数が2回の場合、ホース収納領域の第2の縦幅が500mmになるため、ホース収納部の縦幅は最小でも500mmが確保され、ホース収納部に消火用ホースが折曲(キンク)することなく、内巻き状態で収納されることが可能となる。
【0038】
(ホース収納部の箱形領域とホース内巻きの効果)
また、第1及び第2発明について、ホース収納部は、筐体の内部下側が前面に開口した箱形領域に仕切り形成され、箱形領域の開口に、円筒形又は円柱形のフレーム部材を用いた格子が配置され、箱形領域内に、消火用ホースが縦回りに内巻きされて収納されるため、筐体の内部下側に箱形領域としてホース収納部が形成されることで、他の消火栓機器に影響されることなく消火用ホースが収納され、また、箱形領域の前面開口は、円筒形又は円柱形のフレーム部材を用いた格子が配置されることで、収納された消火用ホースが外部から見える状態で支えられ、更に、消火用ホースが縦回りに内巻きで収納されることで、道路利用者が消火栓装置を使用する場合の消火用ホースの引き出し作業を軽い力で滑らかに行うことが可能となる。
【0039】
(ホース取出口の効果)
また、第1及び第2発明について、ホース収納部は、箱形領域の前面開口に、円筒形又は円柱形のフレーム部材で矩形に仕切られたホース取出口が形成されたため、道路利用者が筐体の内部下側に内巻きで収納されている消火用ホースを崩すことなく、消火栓装置の前方又は側方となる火源側に向けて滑らかに引き出すことが可能となる。
【0040】
(ノズル保持部の効果)
また、第1及び第2発明について、ホース収納部は、ホース取出口の外側近傍に、ホース取出口から引き出された消火用ホースの先端に接続された放水ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部を備えたため、道路利用者が消火栓扉を開くと、筐体の内部下側に配置されたホース収納部の前側の見やすい位置に放水ノズルが保持されており、迷うことなく放水ノズルを取出して消火用ホースを引き出すことが可能となる。また、ホース取出口が筐体前面の低い位置に形成されることで、消火用ホースが監視員通路の路面に近い位置に引き出され、ホースの引き出しに伴うホースの暴れ(ホースが振り回される動き)を低減可能とする。
【0041】
(消火栓弁開閉操作部の効果)
また、第1及び第2発明について、ホース収納部は、箱形領域の前面側の所定位置に、消火用ホースに消火用水を供給する配管に設けられた消火栓弁を遠隔的に開閉操作する消火栓弁開閉操作部を備えため、道路利用者が消火栓扉を開くと、筐体の内部下側に配置されたホース収納部の前側の見やすい位置に消火栓弁開閉操作部、例えば、消火栓弁開閉レバーが配置されており、放水ノズルを取出して消火用ホースを引き出す場合に、迷うことなく消火栓弁開閉レバーを開操作して放水ノズルから放水しながらの消火用ホースの引き出し作業が可能となる。
【0042】
(消火栓扉の効果)
また、第1発明について、筐体は、ホース収納部の前面の扉開口に、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回り(下向き)に回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉を備えたため、開放した消火栓扉により監視員通路の通行を妨げることなく、扉開口を大きくすることができ、道路利用者による消火用ホースの引き出し、消火用ホースに連結された放水ノズルの取り出し、消火栓弁を開閉させる開閉操作部の操作等の消火栓装置の取扱いが容易となる。
【0043】
(保守扉の効果)
また、第1発明について、筐体は、バルブ類収納部の前面の扉開口に、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回り(上向き)に回転して開放する保守扉を備えたため、ホース収納部の上側に配置されているバルブ類収納部に設けられた消火栓弁などの管理者による点検や修理などが、保守扉を開くことで、適切且つ容易に行うことが可能となる。
【0044】
(筐体設置高さと適正操作範囲の関係の効果)
また、第1及び第2発明について、筐体は、ホース収納部の全て又は一部が適正操作範囲に含まれるように、監視員通路の路面上方の所定高さに設置されたため、道路利用者が監視員通路の路面に立って消火栓装置を使用する場合の消火用ホースを引き出す作業や、使用後に復旧作業員が消火用ホースを巻き戻す操作において、高すぎたり低くすぎたりすることなく、無理のない姿勢で適切に操作することが可能となる。
【0045】
(操作対象と適正保護範囲の効果)
また、第1及び第2発明について、筐体は、所定の操作対象が収納又は設置され、所定の操作対象は、消火栓扉の開閉ハンドル、消火用ホースに接続された放水ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部から消防隊のホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動釦を含み、これらの操作対対象は、適正操作範囲に入るように配置されたため、監視員通路の路面に立った道路利用者は、高すぎたり低すぎたりすることなく、無理のない姿勢で消火栓扉の開閉ハンドル、放水ノズル、消火栓弁開閉操作部を適切に操作することが可能となり、また、消防隊員にあっても、給水栓へのホースの接続と開栓及び消火ポンプ起動釦を適切に操作することが可能となる。
【0046】
(消火栓扉と保守扉の配置1による効果)
第2発明について、筐体は、ホース収納部及びバルブ類収納部の一部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉と、ホース収納部の上側に相対する前面の扉開口に配置され、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して開放する上扉と、を備えたため、消火栓扉の扉開口を大きくすることができ、道路利用者による消火用ホースの引き出し、消火用ホースに連結された放水ノズルの取り出し、消火栓弁を開閉させる開閉操作部の操作等の消火栓装置の取扱いが容易となり、また、ホース収納部の下側に配置されているバルブ類収納部に設けられた消火栓弁などの管理者による点検や修理なども容易にできる。また、消火栓装置を使用した後に水抜きした消火用ホースをホース収納部に巻き戻す場合には、上扉を開くことで、ホース巻き戻し作業を適切且つ容易に行うことが可能となる。
【0047】
(消火栓扉と保守扉の配置2による効果)
第2発明について、筐体は、ホース収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉と、バルブ類収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する保守扉と、を備えため、消火栓扉の扉開口を大きくすることができ、道路利用者による消火用ホースの引き出し、消火用ホースに連結された放水ノズルの取り出し、消火栓弁を開閉させる開閉操作部の操作等の消火栓装置の取扱いが容易となり、また、ホース収納部の下側に配置されているバルブ類収納部に設けられた消火栓弁などの管理者による点検や修理などが、保守扉を開くことで、適切且つ容易に行うことが可能となる。
【0048】
(消火器及び電装機器を収納配置した他の筐体の効果)
また、第1及び第2発明について、筐体の水平方向の片側に、消火器が収納されるとともに所定の電装機器が配置された他の筐体が配置され、他の筐体に消火器扉の開閉ハンドル、消火器の操作部(操作ハンドル)及び電装機器の操作部が、適正操作範囲に入る高さに配置されたため、他の筐体に設けられた消火器及び電装機器の収納部についても、道路利用者が消火器を取出す際に操作する消火器扉の開閉ハンドル及び消火器の操作部、電装機器として設けられた発信機が適正操作範囲にあることで、道路利用者が監視員通路の路面に立って消火器を取り出す場合に、高すぎたり低すぎたりすることがなく、無理のない姿勢で消火器を落下させることなく安全に取り出すことが可能となり、また、発信機を操作する場合にも高すぎたり低くすぎたりすることがなく、適切に操作することが可能となる。
【0049】
(配置位置を下げたホース取出口の効果)
また、第2発明について、筐体の内部下側に配置されたバルブ類収納部の前方にホースガイドを備え、ホースガイドは、筐体の内部上側に配置されたホース収納部に収納された消火用ホースを外部に引き出すためのホース取出口が形成されたため、ホース取出口が筐体前面の低い位置に形成されることで、消火用ホースが監視員通路の路面に近い位置に引き出され、ホースの引き出しに伴うホースの暴れ(ホースが振り回される動き)が低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第1実施形態を、トンネル内の設置状態で正面から示した説明図である。
【
図2】
図1の消火栓装置を左側面から示した説明図である。
【
図3】監視員通路の路面上に消火栓装置を設置するための架台構造の他の実施形態を示した説明図である。
【
図4】
図1の消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図5】
図1の消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を側面から見た断面で示した説明図である。
【
図6】
図1の架台上に取付け固定された消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図7】消火栓扉の開閉機構を消火栓装置の側面から見た断面で示した説明図である。
【
図8】消火栓扉を開いた
図1の消火栓装置を正面から示した説明図である。
【
図9】監視員通路の路面からの設置高さが下限高さに変更された第1実施形態の消火栓装置を正面から示した説明図である。
【
図10】監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第2実施形態を、トンネル内の設置状態で正面から示した説明図である。
【
図11】
図10の消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図12】
図10の架台上に取付け固定された消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図13】消火栓扉を開いた
図10の消火栓装置を正面から示した説明図である。
【
図14】監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第3実施形態を、トンネル内の設置状態で正面から示した説明図である。
【
図15】
図14の消火栓装置を左側面から示した説明図である。
【
図16】
図14の消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図17】
図14の消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を側面から見た断面で示した説明図である。
【
図18】
図14の架台に取付け固定された消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図19】消火栓扉の開閉機構を消火栓装置の側面から見た断面で示した説明図である。
【
図20】消火栓扉を開いた
図14の消火栓装置を正面から示した説明図である。
【
図21】監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第4実施形態を、トンネル内の設置状態で正面から示した説明図である。
【
図22】
図21の消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図23】
図21の架台に取付け固定された消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図24】
図21の消火栓扉の開閉機構を消火栓装置の側面から見た断面で示した説明図である。
【
図25】消火栓扉を開いた
図21の消火栓装置を正面から示した説明図である。
【
図26】保守扉を開いた
図21の消火栓装置を正面から示した説明図である。
【
図27】ホース取出口がバルブ類収納部に配置された消火栓装置の第3実施形態の変形例を、筐体前面を開放して正面から示した説明図である。
【
図28】
図27の第1筐体を取出してホース取出口の構造を示した説明図である。
【
図29】
図27の消火栓装置の内部構造を側面から見た断面で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明に係る消火栓装置の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0052】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路に露出して設置される消火栓装置に関するものである。
【0053】
ここで、「消火栓装置」とは、消火対象領域となる高速道路や自動車専用道路のトンネル内等に設置される非常用設備の一種であり、消火用ホース等の消火栓機器、赤色表示灯や発信機等の電装機器、端子箱及び消火器等が設置又は収納されたものであり、消火栓装置が設置された消火栓設備を含む概念である。
【0054】
また、実施形態の消火栓装置は、トンネル壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定の高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接するように設置されたものであり、監視員通路に消火栓装置が露出した状態で設置する「壁掛け構造」や「据置き構造」により設置された消火栓装置を含むものである。
【0055】
ここで、背景技術でも説明した通り、「壁掛け構造」とは、トンネル壁面に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置を取付固定する等により消火栓装置をトンネル壁面に対して壁掛けするように設置可能とする構造である。また、「据置き構造」とは、監視員通路の路面上に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置を取付固定する等により消火栓装置を監視員通路の路面上に設置可能とする構造である。
【0056】
また、「架台」とは、柱と梁などによって物を支える構造を指すものであり、支持台、土台、基台、台座、ベースなどの概念を含むものである。また、「トンネル壁面に近接又は当接させて設置」とは、トンネル壁面に近接して設置、一部をトンネル壁面に当接して設置、又は一部をトンネル壁面に固定して設置することを含むものである。
【0057】
そして、第1発明に対応した実施形態の消火栓装置は、消火用ホースが収納されたホース収納部が筐体の内部下側に配置され、消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部上側に配置されたことを特徴とする。
【0058】
実施形態では、ホース収納部の縦幅が、法的に規定された道路利用者の立ち面からの適正操作範囲となる第1の縦幅以下で、消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径に基づく第2の縦幅以上となる範囲内の所定の縦幅となっている。
【0059】
ここで、「適正操作範囲」は、道路利用者が立つ監視員通路の路面上方の800mmから1500mmまでの範囲の高さであり、このため、ホース収納部の最大の縦幅となる第1の縦幅は、実施形態では700mmとなっている。
【0060】
また、保形ホースを用いた消火用ホースが折れずに湾曲可能な最小湾曲径は、例えば340mmであり、ホース外径が40mm、ホース内巻きの重ね巻き回数が3回の場合、ホース収納部の最小の縦幅となる第2の縦幅は、概ね500mmとなり、筐体の内部下側に配置されるホース収納部の縦幅は、500mm~700mmの範囲内の所定の縦幅となる。
【0061】
このため、筐体内部の縦幅(高さ)をそのままホース収納部の縦幅(高さ)としていた従来の消火栓装置に比べ、消火用ホースの収納容積を同一とした場合、実施形態のホース収納部は、縦幅が狭くなるとともに横幅が広くなり、道路利用者が消火栓装置を使用して消火するために消火用ホースを引き出しても、消火用ホースを内巻きされている縦幅が狭いため、消火用ホースの引き出中に、内巻きされている消火用ホースが崩れて消火用ホースを引き出す作業が妨げられることが確実に防止可能となる。
【0062】
また、復旧作業員が消火栓装置の使用後に消火用ホースを巻き戻す場合にも、ホース収納部が筐体の内部下側にあり、縦幅が狭く横幅が広くなっているため、ホース収納部に消火用ホースを内巻きして戻す復旧作業を簡単且つ容易に行うことが可能となる。
【0063】
また、ホース収納部の底部となる筐体底部の監視員通路の路面からの設置高さが、適正操作範囲の下限高さとなることで、ホース収納部の縦幅の全部が適正操作範囲に入り、高く過ぎたり低く過ぎたりすることなく、道路利用者が無理のない姿勢で適切且つ容易に消火用ホースの操作をすることが可能となる。
【0064】
また、ホース収納部は、筐体の内部下側が前面に開口した箱形領域に仕切り形成され、箱形領域の開口に、円筒形のフレーム部材を用いた格子が配置され、箱形領域内に、消火用ホースが縦回りに内巻きされて収納されるものである。
【0065】
このため、ホース収納部が筐体の内部下側に箱形領域として形成されることで、他の消火栓機器に影響されることなく消火用ホースが収納され、また、箱形領域の前面開口は、円筒形又は円柱形のフレーム部材を用いた格子が配置されることで、収納した消火用ホースが外部から見える状態で支えられ、更に、消火用ホースが縦回りに内巻きされて収納されることで、道路利用者が消火栓装置を使用する場合の消火用ホースを引き出す作業を軽い力で滑らかに行うことが可能となる。
【0066】
また、ホース収納部は、箱形領域の前面開口に、円筒形のフレーム部材で矩形に仕切られたホース取出口が形成されるものである。このため、道路利用者が筐体の内部下側に内巻きで収納されている消火用ホースを崩すことなく、消火栓装置の前方又は側方となる火源側に向けて滑らか引き出すことが可能となる。また、ホース取出口が筐体前面の低い位置に形成されることで、消火用ホースが監視員通路の路面に近い位置に引き出され、ホースの引き出しに伴うホースの暴れ(ホースが振り回される動き)が低減可能となる。
【0067】
また、ホース収納部は、ホース取出口の外側近傍に、ホース取出口から引き出された消火用ホースの先端に接続された放水ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部を備えるものである。このため、道路利用者が消火栓扉を開くと、筐体の内部下側に配置されたホース収納部の前側の見やすい位置に放水ノズルが保持されており、迷うことなく放水ノズルを取出して消火用ホースを引き出すことが可能となる。
【0068】
また、ホース収納部は、箱形領域の前面側の所定位置に、消火用ホースに消火用水を供給する配管に設けられた消火栓弁を遠隔的に開閉操作する消火栓弁開閉操作部を備えるものである。このため、道路利用者が消火栓扉を開くと、筐体の内部下側に配置されたホース収納部の前側の見やすい位置に消火栓弁開閉操作部、例えば、消火栓弁開閉レバーが配置されており、放水ノズルを取出して消火用ホースを引き出す場合に、迷うことなく消火栓弁開閉レバーを開操作して放水ノズルから放水しながらの消火用ホースの引き出しが可能となる。
【0069】
また、筐体は、ホース収納部の前面の扉開口に、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回り(下向き)に回転して、監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉を備えるものである。このため、開放した消火栓扉により監視員通路の通行を妨げることがなく、扉開口を大きくすることができ、道路利用者による消火用ホースの引き出し、消火用ホースに連結された放水ノズルの取り出し、消火栓弁を開閉させる開閉操作部の操作等の消火栓装置の取扱いが容易となる。
【0070】
また、筐体は、バルブ類収納部の前面の扉開口に、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回り(上向き)に回転して開放する保守扉を備えるものであり、このため、ホース収納部の上側に配置されているバルブ類収納部に設けられた消火栓弁などの管理者による点検や修理などが、保守扉を開くことで、適切且つ容易に行うことが可能となる。
【0071】
また、筐体は、ホース収納部の全て又は一部が適正操作範囲に含まれるように、監視員通路の路面上方の所定高さに設置されるものである。このため、道路利用者が監視員通路の路面に立って消火栓装置を使用する場合の消火用ホースを引き出す作業や、使用後に復旧作業員が消火用ホースを巻き戻す操作において、高すぎたり低すぎたりすることなく、無理のない姿勢で適切且つ容易に操作することが可能となる。
【0072】
また、筐体には所定の操作対象(操作機器や操作部)が収納又は設置され、所定の操作対象は、消火栓扉の開閉ハンドル、消火用ホースに接続された放水ノズル、消火栓弁の開閉操作部、外部から消防隊のホースが接続される給水栓及び消火ポンプ起動釦を含み、これらの操作対象は、適正操作範囲に入るように配置される。このため、監視員通路の路面に立った道路利用者は、高すぎたり低くすぎたりすることなく、無理のない姿勢で消火栓扉の開閉ハンドル、放水ノズル、消火栓弁開閉操作部を適切に操作することが可能となり、また、消防隊員にあっても、給水栓へのホースの接続と開栓及び消火ポンプ起動釦を適切に操作することが可能となる。
【0073】
また、筐体内の下側に配置したホース収納部を除く範囲に、消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含むバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部上側に配置されたため、ホース収納部の上側となる筐体内に十分な余裕をもってバルブ類収納部を配置するスペースを確保することが可能となる。
【0074】
第2発明に対応した実施形態の消火栓装置は、消火用ホースが収納されたホース収納部が筐体の内部上側に配置され、消火用ホースが接続された配管に消火栓弁を含む所定のバルブ類が設けられたバルブ類収納部が、筐体の内部下側に配置されたことを特徴とする。
【0075】
第2発明に対応した実施形態の基本概念は、消火栓扉及び保守扉の配置を除き、前述した第1発明に対応した実施形態の基本概念と同様となるものである。
【0076】
第2発明の実施形態にあっては、消火栓扉と保守扉の第1の配置として、筐体は、ホース収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉を備える。このため、消火栓扉の扉開口を大きくすることができ、道路利用者による消火用ホースの引き出し、消火用ホースに連結された放水ノズルの取り出し、消火栓弁を開閉させる開閉操作部の操作等の消火栓装置の取扱いが容易となるものである。また、筐体は、バルブ類収納部に相対する前面の扉開口に配置され、上端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して開放する上扉を備える。このため、ホース収納部の下側に配置されているバルブ類収納部に設けられた消火栓弁などの管理者による点検や修理などが、上扉を開くことで、適切且つ容易に行うことが可能となるものである。
【0077】
第2発明の実施形態にあっては、消火栓扉と保守扉の第2の配置として、筐体は、ホース収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する消火栓扉を備える。このため、消火栓扉の扉開口を大きくすることができ、道路利用者による消火用ホースの引き出し、消火用ホースに連結された放水ノズルの取り出し、消火栓弁を開閉させる開閉操作部の操作等の消火栓装置の取扱いが容易となるものである。また、筐体は、バルブ類収納部に相対する前面の扉開口に配置され、下端側を軸に監視員通路の路面に対して垂直回りに回転して、扉面が監視員通路の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放する保守扉を備える。このため、ホース収納部の下側に配置されているバルブ類収納部に設けられた消火栓弁などの管理者による点検や修理などが、保守扉を開くことで、適切且つ容易に行うことが可能となるものである。
【0078】
また、第2発明の実施形態にあっては、筐体の内部下側に配置されたバルブ類収納部の前方にホースガイドを備え、ホースガイドは、筐体の内部上側に配置されたホース収納部に収納された消火用ホースを外部に引き出すためのフレーム部材で矩形に仕切られたホース取出口が形成されるものである。このため、ホース引出口が筐体前面の低い位置に形成されることで、消火用ホースが監視員通路の路面に近い位置に引出され、ホースの引き出しに伴うホースの暴れ(ホースが振り回される動き)が低減可能となる。
【0079】
また、筐体の水平方向の片側に、消火器が収納されるとともに所定の電装機器が配置された他の筐体が配置され、他の筐体に消火器扉の開閉ハンドル、消火器の操作部(操作ハンドル)及び電装機器の操作部が、適正操作範囲に入る高さに配置されたため、他の筐体に設けられた消火器及び電装機器の収納部についても、道路利用者が消火器を取出す際に操作する消火器扉の開閉ハンドル及び消火器の操作部、電装機器として設けられた発信機が適正操作範囲にあることで、道路利用者が監視員通路の路面に立って消火器を取り出す場合に、高すぎたり低すぎたりすることがなく、無理のない姿勢で消火器を落下させることなく安全に取り出すことが可能となり、また、発信機を操作する場合にも、高すぎたり低すぎたりすることがなく、適切に操作することが可能となる。
【0080】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、第1発明について、ホース収納部の縦幅が最大となる消火栓装置の第1実施形態を説明し、続いて、ホース収納部の縦幅が最小となる消火栓装置の第2実施形態を説明する。更に、第2発明について、ホース収納部の縦幅が最大となる消火栓装置の第3実施形態を説明し、続いて、ホース収納部の縦幅が最小となる消火栓装置の第3実施形態を説明する。
【0081】
[実施形態の具体的内容]
消火栓装置の実施形態について説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.第1実施形態の消火栓装置
a1.消火栓装置の概要
a2.消火栓装置の設置
a3.消火栓装置の薄型化
b.消火栓装置の内部構造
b1.ホース収納部
b2.バルブ類収納部
b3.消火栓装置の設置高さ
b4.消火栓扉の扉開閉機構
b5.消火栓装置が設置される高さの下限
c.第2実施形態の消火栓装置
c1.消火栓装置の概要
c2.消火栓装置の内部構造
c3.ホース収納部の最小縦幅
c4.バルブ類収納部
c5.消火栓装置の設置高さ
c6.消火栓扉の扉開閉機構
d.第3実施形態の消火栓装置
d1.消火栓装置の概要
d2.消火栓装置の設置
d3.消火栓装置の薄型化
d4.消火栓装置の内部構造
d5.ホース収納部
d6.バルブ類収納部
d7.消火栓装置の設置高さ
d8.消火栓扉の扉開閉機構
e.第4実施形態の消火栓装置
e1.消火栓装置の概要
e2.消火栓装置の内部構造
e3.ホース収納部の最小縦幅
e4.バルブ類収納部
e5.消火栓装置の設置高さ
e6.消火栓扉の扉開閉機構
f.第3実施形態の消火栓装置の変形例
g.本発明の変形例
【0082】
[a.第1実施形態の消火栓装置]
筐体上側にバルブ類収納部を配置し、筐体下側にホース収納部を配置し、ホース収納部の縦幅を最大とした第1発明による第1実施形態の消火栓装置ついて説明する。
【0083】
(a1.消火栓装置の概要)
まず、第1実施形態の消火栓装置の概要について説明する。当該説明にあっては、監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第1実施形態を、トンネル内の設置状態で正面(前面)から示した
図1及び
図1の消火栓装置を左側面から示した
図2を参照する。ここで、
図1及び
図2の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、消火栓装置10の前面を正面に見て、X方向を左右方向とし、Y方向を上下方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。この点は本発明の実施形態となる
図3~
図26においても同様となる。
【0084】
図1に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面上に設置された架台32上に設置され、消火栓装置10の筐体は、第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cに分割されている。
【0085】
第1筐体11aの前面には化粧枠12aが装着されている。化粧枠12aの扉開口13の下側には、扉開閉ハンドル1420の操作でロックが解除された場合に、ヒンジ14aにより下端を軸として、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に下向きに開く消火栓扉14が配置されている。消火器扉14は、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開くように、扉下側の筐体前面に扉収納凹部1410が形成されている。
【0086】
また、化粧枠12aの扉開口13の上側には、扉開口13の上側にヒンジ15aにより上端を軸として上向きに開く保守扉15が配置されている。上向きに開いた保守扉15は、扉内側に配置されたステー(支持棒)により開放状態が保持される。
【0087】
第1筐体11aの内部となる消火栓収納部には、後述するように、下側に消火用ホースを収納するためのホース収納部が形成され、上側に消火栓弁等のバルブ類を収納するためのバルブ類収納部が形成されている。
【0088】
第2筐体11bの前面には、化粧枠12bが装着されている。化粧枠12bの扉開口の右側にはヒンジ18aにより右向きに横開きする電装扉18が配置され、左側にはヒンジ20aにより左向きに横開きして、内部の端子箱30a,30bへのアクセスを可能とする補助扉20が配置されている。
【0089】
本実施形態にあっては、補助扉20が配置された分、第2筐体11bの収納スペースが拡大され、従来、第3筐体11cに配置されていた端子箱30a,30bを第2筐体11bに収納することが可能となっている。
【0090】
電装扉18には、電装機器として、例えば赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ28が設けられ、内側には電話ジャック26が設けられている。赤色表示灯22は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から確認できるようになっている。また、発信機24は、例えば火災等の発生時に押されて押し釦スイッチがオンすると発信信号を送信し、これを受信した電気室等に設置された防災受信盤から火災警報が出力され、防災受信盤からの応答信号を受信した消火栓装置10は、赤色表示灯22を点滅させると共に、応答ランプ28を点灯させる。
【0091】
補助扉20に相対した第2筐体11b内の後面には、高圧用の端子箱30aと低圧用の端子箱30bが上下方向に並べて配置されている。高圧用の端子箱30aは、内蔵した端子台を使用して、消火栓装置10の外部から引き込まれた強電用ケーブルと赤色表示灯22を接続する。低圧用の端子箱30bは、内蔵した端子台を使用して、消火栓装置10の外部から引き込まれた弱電用ケーブルと発信機24、応答ランプ28及び電話ジャック26等を接続する。
【0092】
第3筐体11cの前面には化粧枠12cが装着されている。化粧枠12cの扉開口には、ヒンジ16aにより左向きに横開きする消火器扉16が配置され、第3筐体11cの内部となる消火器収納部には、2本の消火器19が収納されている。また、消火器扉16には覗き窓17が設けられ、外部から消火器19の有無が確認可能となっている。
【0093】
(a2.消火栓装置の設置)
次に、監視員通路に対する消火栓装置の設置について説明する。
図2に示すように、シールド工法により構築された円筒状(円形断面)のトンネル躯体の下部には、道路38がトンネル長手方向(左右方向)に構築され、道路38に沿ったトンネル壁面25の下側に、道路38に対し所定高さの監視員通路34が構築されている。監視員通路34の内部はダクトとなっており、給水本管40やケーブルが敷設され、消火栓装置10には、給水配管36が給水本管40から分岐されて引き込まれている。
【0094】
シールド工法によるトンネル壁面25は、消火栓装置10を設置するための箱抜きが困難であることから、監視員通路34の路面上にトンネル壁面25に近接させて架台32を設置し、連結された第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cを架台32上に取付固定することで、消火栓装置10を設置している。また、消火栓装置10の上部は筐体支持部材41によりトンネル壁面25に固定され、前方へ倒れないようにしている。
【0095】
ここで、監視員通路34の路面から消火栓装置10に配置された発信機24や放水ノズル等を含む全ての操作対象までの高さが、法的に定められた適正操作範囲に入るように、架台32の高さが設定される。監視員通路34の路面を道路利用者の立ち位置とした場合、公知のように、法的に定められた適正操作範囲は、路面からの下限高さH1が800mm、上限高さH2が1500mmであり、このため、適正操作範囲の縦幅ΔH(=H2-H1)は700mmとなっている。
【0096】
消火栓装置10の第1実施形態にあっては、消火栓装置10における消火栓収納部となる第1筐体11aの下側に形成されたホース収納部の縦幅の全てが適正操作範囲の縦幅ΔH(=700mm)に入るようにするため、架台32による消火栓装置10の設置高さ、即ち、監視員通路34の路面から消火栓装置10の底面(筐体底面)までの高さが適正操作範囲の下限値H1と同じ800mmとなっている。
【0097】
また、本実施形態の架台32は、
図2に示すように、側面形状を底辺に対し上辺が長い逆台形とし、トンネル壁面25の湾曲形状に沿って後側が斜め下向きの傾斜面となっている。なお、消火栓装置10の架台構造は、
図2の逆台形の架台32に限定されず、
図3に示すように、
図2の架台32の前方の垂直なアングル材を、トンネル壁面側に向けて斜め下向きに配置した逆三角形の架台320であってもよい。
図3の逆三角形の架台320によれば、消火栓装置10の下側に空きスペースが確保され、監視員通路34の路面幅を広くするとともに、消火栓装置10の下側に足を踏み入れる道路利用者の立ち位置となり、消火栓装置10の操作を行い易くすることが可能となる。
【0098】
(a3.消火栓装置の薄型化)
次に、消火栓装置の薄型化について説明する。
図2に示すように、架台32により監視員通路34の路面上に設置された消火栓装置10の、トンネル壁面25からの突出(出っ張り)による監視員通路34の通路幅の制約を低減するため、消火栓装置10を可能な限り薄型化している。
【0099】
消火栓装置10に収納される機器の中で前後方向のサイズが最大となるのは、第3筐体11cに収納される消火器19であり、消火栓装置10の厚さ(前後方向の幅)が第3筐体11cに消火器19が収納できるサイズまで消火栓装置10の薄型化が可能であるから、消火栓装置10の幅は第3筐体11cに収納される消火器19の外径に対応した所定の幅に設定される。
【0100】
消火器の外径は160~180mm程度であり、収納された消火器が第3筐体11cに接触しないように隙間を確保すると、消火栓装置10の最小幅は、例えば250mm以下となり、消火栓装置10の幅は、例えば250mmに設定される。これに対し、トンネル躯体の壁面を箱抜きして埋込設置する従来の消火栓装置10の幅は300mm以上であることから、本実施形態の消火栓装置10は、幅を従来装置より低減し、消火栓装置10を薄型化することができる。
【0101】
また、消火栓装置10の第1筐体11aは、従来の消火栓装置と同じ所定長の消火用ホース、例えば30mの保形ホースを内巻き状態で収納するために、第1筐体11aの横幅(左右方向の幅)を従来の消火栓装置よりも拡大することで、従来と同じ所定長の保形ホースの内巻き状態での収納が可能となっている。
【0102】
また、従来の消火栓装置では、消火器が収納される消火器収納部の後側の筐体後面に端子箱30a,30bが配置されていたが、消火栓装置10の薄型化に伴い端子箱30a,30bを消火器収納部の後側の筐体後面には配置できなくなるため、電装機器が設けられる第2筐体11bの横幅(左右方向の幅)が、電装機器と端子箱を配置可能とする横幅に拡大されている。
【0103】
[b.消火栓装置の内部構造]
次に、消火栓装置の内部構造について説明する。当該説明にあっては、
図1の消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図4、及び、
図1の消火栓装置の消火栓機器を配置した内部構造を側面から見た断面で示した
図5を参照する。なお、
図5(A)は
図4の切断線a-aの断面を示し、
図5(B)は
図4の切断線b-bの断面を示し、
図5(C)は
図4の切断線c-cの断面を示す。
【0104】
消火栓収納部となる第1筐体11aの内部は、下側のホース収納部42と上側のバルブ類収納部44に分けられている。ホース収納部42の縦幅Hwは、
図2に示した適正操作範囲の縦幅ΔHと同じ700mmとなっている。
【0105】
(b1.ホース収納部)
ホース収納部42について、より詳細に説明する。ホース収納部42は、第1筐体11aの底面から適正操作範囲の縦幅ΔHに対応した700mmの高さに仕切板46が横板として配置され、仕切板46の左端に配管スペースを空けて仕切板47が縦板として配置されることで、前方に開口した箱形領域が形成されている。なお、仕切板46,47はL形に屈曲した一枚板であってもよい。
【0106】
ホース収納部42の前面開口には、円筒形又は円柱形のフレーム部材48が縦横に間隔を空けて設けられたことで、消火用ホース54の前側を支持する格子が配置され、前面開口の中央部にフレーム部材48で矩形に仕切られたホース取出口50が形成されている。
【0107】
ホース収納部42の内部には、消火用ホース54が縦回り(鉛直回り)に内巻きされて収納されている。ここで、ホース収納部42の縦幅は700mm、横幅は、例えば1200mm程度であることから、消火用ホース54の1ターン当りの長さは概ね350cmであり、消火用ホース52の長さを例えば30mとすると、8~9ターン程度の内巻きにより収納が可能となる。
【0108】
ホース取出口50から引き出された消火用ホース54の先端には、ノズル56が装着されている。ノズル56は、ホース取出口50の右側のフレーム部材48に固定されたノズルホルダー58に着脱自在に保持されている。また、
図5(C)に示すように、ホース収納部42の前部のノズルホルダー58に保持されたノズル56は、消火栓扉14が開放すると扉開口を介して取出し可能な位置に露出する。
【0109】
また、ホース取出口50の左側のフレーム部材48の前には、消火全弁62を遠隔操作するための操作ボックス70が配置され、操作ボックス70には、
図5(B)に示すように、上下回りに回動操作される消火栓弁開閉レバー72が設けられている。消火栓弁開閉レバー72は、
図5(B)に示す位置が閉位置であり、下側に回動した位置が開位置となる。
【0110】
操作ボックス70の内部には、消火ポンプ起動連動スイッチ78が設けられている。消火ポンプ起動連動スイッチ78は、消火栓弁開閉レバー72が開位置に操作された場合にオンし、防災受信盤へポンプ起動信号を送信して消火ポンプ設備を起動させる。
【0111】
また、操作ボックス70が配置されたフレーム部材48の左側には、ポンプ起動スイッチ80が設けられている。ポンプ起動スイッチ80は、消防隊員が給水栓60にホースを連結して消火を行う際に、押込み釦操作でオンし、防災受信盤へポンプ起動信号を送信して消火ポンプ設備を起動させる。
【0112】
(b2.バルブ類収納部)
バルブ類収納部44について、より詳細に説明する。
図4に示すように、架台32を介して立ち上げられた給水配管36は、第1筐体11aの左下側のホース収納部42の横に形成された配管スペースに引き込まれ、分岐接手82に続いてバルブ配管84及び消防隊が使用する給水栓60が接続されている。
【0113】
分岐接手82は、横方向(左方向)に分岐した後に上側にバルブ配管84が接続され、バルブ配管84は、バルブ類収納部44に立ち上がった後に横方向(右方向)に配置されている。横方向に配置されたバルブ配管84には、左側から消火栓弁62、自動調圧弁64及び点検用継手66が順番に設けられている。なお、分岐接手82は右方向に分岐した後に上側にバルブ配管84を接続してもよい。
【0114】
消火栓弁62には連動ボックス74が設けられ、ホース収納部42の前部に配置された操作ボックス70との間でワイヤー76が連結されており、操作ボックス70の消火栓弁開閉レバー72の開閉操作に伴う回転を、ワイヤー76を介して連動ボックス74に伝達して消火栓弁62を開閉する、公知のワイヤーリンク機構が構成されている。
【0115】
自動調圧弁64は、消火用ホース54へ供給する消火用水の圧力を、所定圧力を保つように調整する。点検用接手66は、放水試験治具の装着による実放水試験を行うために使用される。
【0116】
点検用接手66に続くバルブ配管84は、右端側で下方に向かい、ホース収納部42の右端の縦方向に配置されたホース接続管52に接続されている。ホース接続管52は、ホース収納部42の下端で左側に屈曲し、先端に消火用ホース54の根本側が接続されている。また、ホース接続管52の下端となる位置には、自動排水弁68が設けられている。なお、消火用ホース54の根本側をホース接続管52から脱着することで実放水試験を行うことができるため、点検用接手66は省略されても構わない。
【0117】
自動排水弁68は、消火栓弁62が閉鎖されて圧力が加わっていない状態で開放しており、消火栓弁62の二次側となるバルブ配管84及び消火用ホース54内に残留している消火用水の水抜きを可能とする。自動排水弁68は、消火栓弁62の開放による消火用水の供給で圧力を受けると閉鎖する。
【0118】
(b3.消火栓装置の設置高さ)
ホース収納部が適正操作範囲の縦幅に設定された消火栓装置の監視員通路に対する設置について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、
図1の消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図6を参照する。
【0119】
図6に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面からの高さが、適正操作範囲の下限高さH1に一致する800mmの高さとなるように、架台32により監視員通路34上に設置されている。即ち、消火栓装置10を設置する架台32の高さは、適正操作範囲の下限高さH1に一致する800mmの高さとなっている。
【0120】
このように、架台32を介して監視員通路34の路面上方の高さ800mmに設置された消火栓装置10は、第1筐体11aの下側に形成されたホース収納部42の縦幅Hwが適正操作範囲の縦幅ΔH(=H2-H1)と同じ700mmとなっている。その結果、ホース収納部42の底面は、適正操作範囲の下限高さH1の800mmで、ホース収納部42の上面は適正操作範囲の上限高さH2の1500mmとなり、ホース収納部42の縦幅の全部が適正操作範囲に含まれる(一致する)ことになる。
【0121】
ここで、消火栓装置10に設けられている操作対象となる操作機器や操作部の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅ΔH=700mmの範囲)に含まれる必要がある。
【0122】
消火栓収納部となる第1筐体11aの操作対象としては、ホース収納部42については、消火栓扉14の扉開閉ハンドル1420(
図1参照)、内巻きされた消火用ホース54、ノズル56、消火栓弁開閉レバー72及びポンプ起動スイッチ80が該当し、バルブ類収納部44については、給水栓60(操作ハンドルとホース接続口)が該当する。
【0123】
また、第2筐体11bの操作対象としては、発信機24と電話ジャック26が該当する。また、第3筐体11cの操作対象としては、消火器扉16の扉開閉ハンドル1610、消火器19の上部の操作ンドルが該当する。
【0124】
本実施形態の消火栓装置10にあっては、前述した操作対象の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅ΔH=700mmの範囲)に含まれており、監視員通路34の路面に立った道路利用者、消防隊員及び復旧作業員にとって、操作対象となる操作機器や操作部が高すぎたり低すぎたりすることのない操作し易い位置(高さ)とすることができる。
【0125】
(b4.消火栓扉の扉開閉機構)
消火栓装置に設けられた消火栓扉の扉開閉機構について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火器栓扉の扉開閉機構を消火栓装置の側面から見た断面で示した
図7、及び消火栓扉を開いた
図1の消火栓装置を正面から示した
図8を参照する。なお、
図7(A)は消火栓扉の閉鎖状態を示し、
図7(B)は消火栓扉の開放状態を示す。
【0126】
図7に示す消火栓扉14の扉開閉機構90は、消火栓扉14の下端側を軸に監視員通路34の路面に対して垂直回り(下向き)に回転して、消火栓扉14の扉面が監視員通路34の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで消火栓扉14を開放させるものである。このため、消火栓扉14の閉鎖位置と開放位置に対応した筐体前面に、消火栓扉14の縦幅、横幅及び厚みに対応した窪みとなる扉収納凹部1410が形成されている。
【0127】
扉開閉機構90の扉回転軸となるヒンジ14aは、扉開口の下端部(閉鎖位置にある消火栓扉14の下端部)に対応した扉収納凹部1410の内側面に設けられ、閉鎖位置にある消火栓扉14の下端部を回動自在に軸支するものである。
【0128】
また、消火栓扉14には、開放位置に開いた場合の衝撃を防止するためダンパー96が設けられている。ダンパー96は、シリンダ側となる一端が固定部98によりホース収納部のフレーム部材等に固定され、ロッド側となる他端が軸部94により消火栓扉14の下端部内側に設けられたダンパー取付部92に軸支されている。ここで、ダンパー取付部92は、消火栓扉14が滑らかに180°回転して開放するように、後側(筐体内部側)が前側よりも上方に位置するように所定の角度で傾けて設けられ、消火栓扉14の開放に際し、ダンパー96により下向きの力が働くようになっている。
【0129】
図7(A)に示すように、閉鎖状態にある消火栓扉14を開放するために道路利用者が扉開閉ハンドル1420(
図1参照)を手前に引いてロックを外すと、
図7(B)に示すように、消火栓扉14はヒンジ14aを中心に下向きに180°回転して扉収納凹部1410の開放位置に対応した下側に収納され、扉開口の下端より下側の筐体前面及び架台32の前面に相対し監視員通路34の路面に対して垂直又は略垂直な位置となる。
【0130】
このように、消火栓扉14が開放すると、
図8に示すように、扉開口を介してホース収納部42の下側の僅かな部分を除く上側の大部分の前部が開放され、また、全ての操作対象が適正操作範囲に含まれているため、道路利用者によるノズル56の取り出し、消火用ホース54の引き出し及び消火栓弁開閉レバー72の操作、消防隊員による給水栓60に対するホースの接続とハンドルの開操作並びに消火ポンプ起動スイッチ80の操作、復旧作業員による消火用ホース54をホース収納部42に巻き戻す作業等を、無理な姿勢をとることなく、容易且つ適切に行うことが可能となる。
【0131】
また、開放した消火栓扉14により監視員通路34の通行が妨げられることがなく、消火栓装置14の取扱い操作についても、開放した消火栓扉14に妨げられることなく、容易に行うことが可能となる。
【0132】
なお、消火栓装置10の第1筐体11aの上側に配置されたバルブ類収納部の点検や修理などの作業を係員が行う場合には、保守扉15を上端のヒンジ15aにより上端を軸として上向きに開いて、必要な作業を行う。
【0133】
(b5.消火栓装置が設置される高さの下限)
図1乃至
図8の消火栓装置10は、架台32により監視員通路34の路面から適正操作範囲の下限高さH1となる800mmの高さに消火栓装置10が設置されているが、操作対象が適正操作範囲に含まれることを条件に、消火栓装置を設置する高さを低くすることが可能であり、この場合の下限の高さについて説明する。当該説明にあっては、監視員通路の路面からの設置高さが下限高さに変更された第1実施形態の消火栓装置を正面から示した
図9を参照する。
【0134】
図9に示すように、本実施形態で消火栓装置10を架台32により設置する下限の高さH3は、前述した設置高さH1となる800mmより低い概ね600mmの高さとなっている。
【0135】
ここで、下限高さH3は、消火栓装置10に設けられている操作対象の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅700mmの範囲)に含まれることが条件となる。
【0136】
消火栓装置10において、最も低い位置に配置されている操作対象は、例えば、ポンプ起動スイッチ80である。このためポンプ起動スイッチ80の下端が適正操作範囲の下限高さH1となる800mmとなる高さとなるように架台32の高さH3が決定されており、本実施形態では、架台32の高さH3は、概ね600mm程度となる。
【0137】
このため、架台32により高さH3なる600mmの高さに消火栓装置10が設置された場合にも、消火栓装置10に設けられている操作対象の全てが下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅700mmの範囲)に含まれ、道路利用者、消防隊員、復旧作業員などが無理のない姿勢で容易に操作することが可能となる。
【0138】
[c.第2実施形態の消火栓装置]
筐体上側にバルブ類収納部を配置し、筐体下側にホース収納部を配置し、ホース収納部の縦幅を最小とした第1発明による第2実施形態の消火栓装置について説明する。
【0139】
(c1.消火栓装置の概要)
まず、第2実施形態の消火栓装置の概要について説明する。当該説明にあっては、監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第2実施形態を、トンネル内の設置状態で正面(前面)から示した
図10を参照する。
【0140】
図10に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面上に設置された架台32上に設置され、消火栓装置10の筐体は、化粧板12aが配置された第1筐体、化粧板12bが配置された第2筐体及び化粧枠12cが配置された第3筐体に分割されている。
【0141】
第1筐体の前面となる化粧枠12aの扉開口13の下側には、ヒンジ14aにより下端を軸として下向きの監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開く消火栓扉14が配置され、消火栓扉14が監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開くように、扉下側の筐体前面に扉収納凹部1410が形成されている。化粧枠12aの扉開口13の上側には、上側にヒンジ15aにより上端を軸として上向きに開く保守扉15が配置されている。
【0142】
ここで、消火栓扉14の縦幅は、内部に配置されているホース収納部の最小の縦幅に対応していることから、
図1の第1実施形態に比べ、扉の縦幅が小さくなっており、小さくなった分、保守扉15の縦幅が大きくなっている。それ以外の構成及び配置は
図1の第1実施形態と同様になることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0143】
(c2.消火栓装置の内部構造)
次に、第2実施形態による消火栓装置の内部構造について説明する。当該説明にあっては、
図10の消火栓装置における消火栓収納部の部内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図11を参照する。
【0144】
図11に示すように、消火栓収納部となる第1筐体11aの内部は、下側のホース収納部42と上側のバルブ類収納部44に分けられており、ホース収納部42の縦幅Hwは、消火用ホース54が折れずに湾曲可能な最小湾曲径に基づく最小の縦幅、例えば500mmとなっている。
【0145】
(c3.ホース収納部の最小縦幅)
ホース収納部42の最小の縦幅Hwは、消防用ホース54の折れずに湾曲可能な最小湾曲径D、消火用ホース54の外径d、消火用ホース54のホース長30mを内巻きして収納するに必要なターン数に基づく重ね巻き回数Nに基づき、
Hw=D+(d×2N)
として求まる。
【0146】
例えば、D=340mm、d=40mm、N=3とすると、
Hw=340+(40×6)=580mm
となる。なお、ホース収納部42の縦幅の最小値500mmは一例であり、消火用ホース54の折れずに湾曲可能な最小湾曲径D、消火用ホース54の外径d、重ね巻き回数Nに応じて定まる任意の値となる。
【0147】
ここで、ホース収納部42の縦幅は500mm、横幅は、例えば1200mm程度であることから、消火用ホース54の1ターン当りの長さは概ね3.1mであり、消火用ホース52の長さを例えば30mとすると、10~11ターン程度の内巻きにより収納が可能となる。
【0148】
このため、ホース収納部42は、第1筐体11aの底面から縦幅Hwの最小値となる500mmの高さに仕切板46が横板として配置され、仕切板46の左端に配管スペースを空けて仕切板47が縦板として配置されることで、前方に開口した箱形領域が形成されている。
【0149】
ホース収納部42の前面開口には、円筒形のパイプ部材を用いたフレーム部材48が縦横に間隔を空けて設けられたことで、消火用ホース54の前方を支持する格子が配置され、前面開口の中央部にフレーム部材48で矩形に仕切られたホース取出口50が形成されている。ホース収納部42の内部には、消火用ホース54が縦回り(鉛直回り)に内巻きされて収納されている。
【0150】
ホース取出口50から引き出された消火用ホース54の先端には、ノズル56が装着されている。ノズル56は、ホース取出口50の右側のフレーム部材48に固定されたノズルホルダー58に着脱自在に保持されている。
【0151】
また、ホース取出口50の左側のフレーム部材48の前には、消火全弁62を遠隔操作するための操作ボックス70が配置され、操作ボックス70には上下回りに回動操作される消火栓弁開閉レバー72が設けられている。
【0152】
操作ボックス70の内部には、消火ポンプ起動連動スイッチ78が設けられている。また、操作ボックス70が配置されたフレーム部材48の左側には、ポンプ起動スイッチ80が設けられている。
【0153】
(c4.バルブ類収納部)
バルブ類収納部44は、ホース収納部42の上側となる領域であり、ホース収納部42の縦幅Hwを最小値500mmとしたことに伴い、
図4に示した第1実施形態のバルブ類収納部42に比べ、縦幅が大きくなり、十分に余裕を持ったスペースが確保されている。
【0154】
バルブ類収納部44に対し、架台32を介して立ち上げられた給水配管36は、ホース収納部42の左側に形成された配管スペースに引き込まれ、分岐接手82に続いてバルブ配管84及び消防隊が使用する給水栓60が接続されている。
【0155】
分岐接手82は、
図4に示したと同様に、横方向(左方向)に分岐した後に上側にバルブ配管84が接続され、バルブ配管84は、バルブ類収納部44に立ち上がった後に横方向(右方向)に配置されている。横方向に配置されたバルブ配管48には、左側から消火栓弁62、自動調圧弁64及び点検用継手66が順番に設けられている。なお、分岐接手82は右方向に分岐した後に上側にバルブ配管84を接続してもよい。
【0156】
消火栓弁62には連動ボックス74が設けられ、ホース収納部42の前部に配置された操作ボックス70との間でワイヤー76が連結されており、操作ボックス70の消火栓弁開閉レバー72の開閉操作に伴う回転を、ワイヤー76を介して連動ボックス74に伝達して消火栓弁62を開閉するようになっている。
【0157】
点検用接手66に続くバルブ配管84は、右端側で下方に向かい、ホース収納部42の右端の縦方向に配置されたホース接続管52に接続されている。ホース接続管52は、ホース収納部42の下端で左側に屈曲し、先端に消火用ホース54の根本側が接続されている。また、ホース接続管52の下端となる位置には、自動排水弁68が設けられている。それ以外のホース収納部42及びバルブ類収納部44の構成や機能は、第1実施形態と同様になることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0158】
(c5.消火栓装置の設置高さ)
ホース収納部42の縦幅Hwが最小値500mmに設定された第2実施形態の消火栓装置10の監視員通路34に対する設置について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、
図10の消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図12を参照する。
【0159】
図12に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面からの高さが、適正操作範囲の下限高さH1に一致する800mmの高さとなるように、架台32により監視員通路34上に設置されている。即ち、消火栓装置10を設置する架台32の高さは、適正操作範囲の下限高さH1に一致する800mmの高さとなっている。
【0160】
このように、架台32を介して監視員通路34の路面上方の高さ800mmに設置された消火栓装置10は、第1筐体11aの下側に形成されたホース収納部42の縦幅500mmの全てが適正操作範囲となる縦幅700mmに含まれている。
【0161】
縦幅500mmの範囲に配置される操作対象として、ホース収納部42については、消火栓扉14の扉開閉ハンドル1420(
図1参照)、内巻きされた消火用ホース54、ノズル56、消火栓弁開閉レバー72及びポンプ起動スイッチ80が該当し、バルブ類収納部44については、給水栓60(操作ハンドルとホース接続口)が該当する。
【0162】
また、第2筐体11bの操作対象としては、発信機24と電話ジャック26が該当する。また、第3筐体11cの操作対象としては、消火器扉16の扉開閉ハンドル1610、消火器19の上部の操作ンドルが該当する。
【0163】
第2実施形態の消火栓装置10にあっても、前述した操作対象の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲ΔH(縦幅700mmの範囲)に含まれており、監視員通路34の路面に立った道路利用者、消防隊員及び復旧作業員にとって、操作対象となる操作機器や操作部が低すぎたり高すぎたりすることのない操作し易い位置とすることができる。
【0164】
(c6.消火栓扉の扉開閉機構)
第2実施形態の消火栓装置10に設けられた消火栓扉の扉開閉機構について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火栓扉を開いた
図10の消火栓装置を正面から示した
図13を参照する。
【0165】
消火栓扉14は、扉開閉機構により消火栓扉14の下端側を軸に監視員通路34の路面に対して垂直回り(下向き)に回転し、
図13に示すように、消火栓扉14の扉面が監視員通路34の路面に対して垂直な位置となる開放位置に開放する。消火栓扉14の扉開閉機構は、
図7に示した第1実施形態と同様となることから説明は省略する。
【0166】
図13に示すように消火栓扉14が開放すると、扉開口を介してホース収納部42の下側の僅かな部分を除く上側の大部分となるホース収納部42の前部が開放され、また、全ての操作対象が適正操作範囲に含まれているため、道路利用者によるノズル56の取り出し、消火用ホース54の引き出し及び消火栓弁開閉レバー72の操作、消防隊員による給水栓60に対するホースの接続とハンドルの開操作並びに消火ポンプ起動スイッチ80の操作、復旧作業員による消火用ホース54をホース収納部42に巻き戻す作業等を、無理な姿勢をとることなく、容易且つ適切に行うことが可能となる。
【0167】
また、開放した消火栓扉14により監視員通路34の通行が妨げられることがなく、また、開放した消火栓扉14に妨げられることなく、消火栓装置14の取扱い操作を容易に行うことが可能となる。
【0168】
[d.第3実施形態の消火栓装置]
筐体上側にホース収納部を配置し、筐体下側にバルブ類収納部を配置し、ホース収納部の縦幅を最大とした第2発明による第3実施形態の消火栓装置ついて説明する。
【0169】
(d1.消火栓装置の概要)
まず、第3実施形態の消火栓装置の概要について説明する。当該説明にあっては、監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第3実施形態を、トンネル内の設置状態で正面(前面)から示した
図14及び
図14の消火栓装置を左側面から示した
図15を参照する。
【0170】
図14に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面上に設置された架台32上に設置され、消火栓装置10の筐体は、第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cに分割されている。
【0171】
第1筐体11aの内部となる消火栓収納部には、後述するように、上側に消火用ホースを収納するためのホース収納部が配置され、下側に消火栓弁等のバルブ類を収納するためのバルブ類収納部が配置されている。
【0172】
第1筐体11aの前面には化粧枠12aが装着されている。第1筐体11a上側に配置されたホース収納部の下部と第1筐体11aの下側に配置されたバルブ類収納部に対応して、化粧枠12aの扉開口13の下側には、扉開閉ハンドル1420の操作でロックが解除された場合に、ヒンジ14aにより下端を軸として、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に下向きに開く消火栓扉14が配置されている。消火器扉14は、監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開くように、扉下側の筐体前面に扉収納凹部1410が形成されている。
【0173】
また、第1筐体11aの上側に配置されるホース収納部の上部に対応して、化粧枠12aの扉開口13の上側には、扉開口13の上側にヒンジ15aにより上端を軸として上向きに開く保守扉15が配置されている。尚、本実施形態で保守扉15は上扉として機能する。上向きに開いた保守扉15は、扉内側に配置されたステー(支持棒)により開放状態が保持される。それ以外の点は、
図1の第1実施形態と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0174】
(d2.消火栓装置の設置)
次に、監視員通路に対する消火栓装置の設置について説明する。
図15に示すように、監視員通路34の路面上にトンネル壁面25に近接させて架台32を設置し、連結された第1筐体11a、第2筐体11b及び第3筐体11cを架台32上に取付固定することで、消火栓装置10を設置している。
【0175】
ここで、監視員通路34の路面から消火栓装置10に配置された発信機24や放水ノズル等を含む全ての操作対象までの高さが、法的に定められた適正操作範囲に入るように、架台32の高さが設定される。監視員通路34の路面を道路利用者の立ち位置とした場合、公知のように、法的に定められた適正操作範囲は、路面からの下限高さH1が800mm、上限高さH2が1500mmであり、このため、適正操作範囲の縦幅ΔH(=H2-H1)は700mmとなっている。
【0176】
消火栓装置10の第3実施形態にあっては、消火栓装置10における消火栓収納部第1筐体11aの縦幅(高さ)を例えば1000mmとした場合、第1筐体11aの上側に形成されたホース収納部の全てが適正操作範囲の縦幅ΔH(=700mm)に入るようにするため、架台32による消火栓装置10の設置高さ、即ち、監視員通路34の路面から消火栓装置10の底面(筐体底面)までの高さH3を、例えば、H3=500mmとしている。このため、
図2に示した第1筐体11aの上側にバルブ類収納部を配置し、下側にホース収納部を配置した第1実施形態の架台32の高さ800mm比べ、架台32の高さが6割程度の高さに低くなっている。それ以外の点は、
図2の第1実施形態と同様になることから、同一符号を付して、説明は省略する。
【0177】
(d3.消火栓装置の薄型化)
次に、消火栓装置の薄型化について説明する。
図15に示すように、第3実施形態の消火栓装置10にあっても、架台32により監視員通路34の路面上に設置された場合のトンネル壁面25からの突出(出っ張り)による監視員通路34の通路幅の制約を低減するため、消火栓装置10を可能な限り薄型化している。消火栓装置10の薄型化は任意であるが、
図2の第1実施形態の消火栓装置と同様に、消火器19が収納できるサイズまで消火栓装置10の薄型化が可能であるから、例えば250mmに設定される。それ以外の点は、
図2の第1実施形態と同様になることから、説明は省略する。
【0178】
(d4.消火栓装置の内部構造)
次に、消火栓装置の内部構造について説明する。当該説明にあっては、
図14の消火栓装置における消火栓収納部の内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図16、及び、
図14の消火栓装置の消火栓機器を配置した内部構造を側面から見た断面で示した
図17を参照する。なお、
図17(A)は
図16の切断線d-dの断面を示し、
図16(B)は
図16の切断線e-eの断面を示し、
図17(C)は
図16の切断線f-fの断面を示す。
【0179】
消火栓収納部となる第1筐体11aの内部は、上側のホース収納部42と下側のバルブ類収納部44に分けられている。ホース収納部42の縦幅Hwは、
図15に示した適正操作範囲の縦幅ΔHと同じ700mmとなっている。
【0180】
(d5.ホース収納部)
ホース収納部42について、より詳細に説明する。ホース収納部42は、第1筐体11aの上面から適正操作範囲の縦幅Hwに対応した700mmの高さに仕切板46が横板として配置され、仕切板46の左端に配管スペースを空けて仕切板47が縦板として配置されることで、前方に開口した箱形領域が形成されている。なお、仕切板46,47はL形に屈曲した一枚板であってもよい。
【0181】
ホース収納部42の前面開口には、円筒形又は円柱形のフレーム部材48が縦横に間隔を空けて設けられたことで、消火用ホース54の前側を支持する格子が配置され、前面開口の中央部にフレーム部材48で矩形に仕切られたホース取出口50が形成されている。
【0182】
ホース収納部42の内部には、消火用ホース54が縦回り(鉛直回り)に内巻きされて収納されている。ここで、ホース収納部42の縦幅は700mm、横幅は、例えば1200mm程度であることから、消火用ホース54の1ターン当りの長さは概ね3.5mであり、消火用ホース52の長さを例えば30mとすると、8~9ターン程度の内巻きにより収納が可能となる。
【0183】
ホース取出口50から引き出された消火用ホース54の先端には、ノズル56が装着されている。ノズル56は、ホース取出口50の右側のフレーム部材48に固定されたノズルホルダー58に着脱自在に保持されている。また、
図17(C)に示すように、ホース収納部42の前部のノズルホルダー58に保持されたノズル56は、消火栓扉14が開放すると扉開口を介して取出し可能な位置に露出する。
【0184】
また、ホース取出口50の左側のフレーム部材48の前には、消火全弁62を遠隔操作するための操作ボックス70が配置され、操作ボックス70には、
図17(B)に示すように、上下回りに回動操作される消火栓弁開閉レバー72が設けられている。消火栓弁開閉レバー72は、
図17(B)に示す位置が閉位置であり、下側に回動した位置が開位置となる。
【0185】
操作ボックス70の内部には、消火ポンプ起動連動スイッチ78が設けられている。消火ポンプ起動連動スイッチ78は、消火栓弁開閉レバー72が開位置に操作された場合にオンし、防災受信盤へポンプ起動信号を送信して消火ポンプ設備を起動させる。
【0186】
また、操作ボックス70が配置されたフレーム部材48の左側には、ポンプ起動スイッチ80が設けられている。ポンプ起動スイッチ80は、消防隊員が給水栓60にホースを連結して消火を行う際に、押込み釦操作でオンし、防災受信盤へポンプ起動信号を送信して消火ポンプ設備を起動させる。
【0187】
(d6.バルブ類収納部)
バルブ類収納部44について、より詳細に説明する。
図16に示すように、架台32を介して立ち上げられた給水配管36は、第1筐体11aの左下側のホース収納部42の横に形成された配管スペースに引き込まれ、分岐接手82の上側に消防隊が使用する給水栓60が接続され、また、分岐接手82の横方向(左方向)にはバルブ配管84が接続されている。
【0188】
分岐接手82からのバルブ配管84には、左側から消火栓弁62、自動調圧弁64及び点検用継手66が順番に設けられている。消火栓弁62には連動ボックス74が設けられ、ホース収納部42の前部に配置された操作ボックス70との間でワイヤー76が連結されており、操作ボックス70の消火栓弁開閉レバー72の開閉操作に伴う回転を、ワイヤー76を介して連動ボックス74に伝達して消火栓弁62を開閉する、公知のワイヤーリンク機構が構成されている。
【0189】
点検用接手66に続くバルブ配管84は、右端側で屈曲して上方に向かい、ホース収納部42の右端の縦方向に配置されたホース接続管52に接続され、ホース接続管52の先端に消火用ホース54の根本側が接続されている。また、バルブ配管84のホース接続管52の手前の屈曲部の下端となる位置には、自動排水弁68が設けられている。
【0190】
自動排水弁68は、消火栓弁62が閉鎖されて圧力が加わっていない状態で開放しており、消火栓弁62の二次側となるバルブ配管84及び消火用ホース54内に残留している消火用水の水抜きを可能とする。自動排水弁68は、消火栓弁62の開放による消火用水の供給で圧力を受けると閉鎖する。なお、消火用ホース54の根本側をホース接続管52から脱着することで実放水試験を行うことができるため、点検用接手66は省略されても構わない。
【0191】
(d7.消火栓装置の設置高さ)
ホース収納部が適正操作範囲の縦幅に設定された消火栓装置の監視員通路に対する設置について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、
図14の架台により取付固定された消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図18を参照する。
【0192】
図18に示すように、消火栓装置10は、ホース収納部42の縦幅Hwが、監視員通路34の路面からの適正操作範囲の下限高さH1と上限高さH2となる800mm~1500mmの範囲に一致する高さとなるように、高さH3が500mmの架台32により監視員通路34上に設置されている。
【0193】
このように、架台32を介して監視員通路34の路面上方の高さ500mmに設置された消火栓装置10は、第1筐体11aの上側に形成されたホース収納部42の縦幅Hwが
図15に示した適正操作範囲の縦幅ΔH(H2-H1)と同じ700mmとなっている。その結果、ホース収納部42の底面(仕切板46)は、適正操作範囲の下限高さH1の800mmで、ホース収納部42の上面は適正操作範囲の上限高さH2の1500mmとなり、ホース収納部42の縦幅Hwの全部が適正操作範囲に含まれる(一致する)ことになる。
【0194】
ここで、消火栓装置10に設けられている操作対象となる操作機器や操作部の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅ΔH=700mmの範囲)に含まれる必要がある。
【0195】
消火栓収納部となる第1筐体11aの操作対象としては、ホース収納部42については、消火栓扉14の扉開閉ハンドル1420(
図14参照)、内巻きされた消火用ホース54、ノズル56、消火栓弁開閉レバー72及びポンプ起動スイッチ80が該当し、バルブ類収納部44については、給水栓60(操作ハンドルとホース接続口)が該当する。
【0196】
また、第2筐体11bの操作対象としては、発信機24と電話ジャック26が該当する。また、第3筐体11cの操作対象としては、消火器扉16の扉開閉ハンドル1610、消火器19の上部の操作ンドルが該当する。
【0197】
本実施形態の消火栓装置10にあっては、前述した操作対象の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅ΔH=700mmの範囲)に含まれており、監視員通路34の路面に立った道路利用者、消防隊員及び復旧作業員にとって、操作対象となる操作機器や操作部が高すぎたり低すぎたりすることのない操作し易い位置(高さ)とすることができる。
【0198】
(d8.消火栓扉の扉開閉機構)
消火栓装置に設けられた消火栓扉の扉開閉機構について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火栓扉の扉開閉機構を消火栓装置の側面から見た断面で示した
図19、及び消火栓扉を開いた
図14の消火栓装置を正面から示した
図20を参照する。なお、
図19(A)は消火栓扉の閉鎖状態を示し、
図19(B)は消火栓扉の開放状態を示す。
【0199】
図19に示す消火栓扉14の扉開閉機構90は、
図7に示した第1実施形態に示した扉開閉機構90と同様であり、同一符号を付して説明は省略する。
【0200】
図19(A)に示すように、閉鎖状態にある消火栓扉14を開放するために道路利用者が扉開閉ハンドル1420(
図14参照)を手前に引いてロックを外すと、
図19(B)に示すように、消火栓扉14はヒンジ14aを中心に下向きに180°回転して扉収納凹部1410の開放位置に対応した下側に収納され、扉開口の下端より下側の筐体前面及び架台32の前面に相対し監視員通路34の路面に対して垂直又は略垂直な位置となる。
【0201】
このように、消火栓扉14が開放すると、
図20に示すように、扉開口を介してホース収納部42の上側の保守扉15の部分を除く下側の前部が開放し、また、全ての操作対象が適正操作範囲に含まれているため、道路利用者によるノズル56の取り出し、消火用ホース54の引き出し及び消火栓弁開閉レバー72の操作、消防隊員による給水栓60に対するホースの接続とハンドルの開操作並びに消火ポンプ起動スイッチ80の操作、復旧作業員による消火用ホース54をホース収納部42に巻き戻す作業等を、無理な姿勢をとることなく、容易且つ適切に行うことが可能となる。
【0202】
また、開放した消火栓扉14により監視員通路34の通行が妨げられることがなく、消火栓装置14の取扱い操作についても、開放した消火栓扉14に妨げられることなく、容易に行うことが可能となる。
【0203】
また、消火栓装置10を使用した後に消火用ホース54を水抜きしてホース収納部42に巻き戻す場合には、更に、保守扉15を上端のヒンジ15aにより上端を軸として上向きに開いて、消火用ホース52を内巻きする作業を行う。
【0204】
[e.第4実施形態の消火栓装置]
筐体上側にホース収納部を配置し、筐体下側にバルブ類収納部を配置し、ホース収納部の縦幅を最小とした第2発明による第4実施形態の消火栓装置について説明する。
【0205】
(e1.消火栓装置の概要)
まず、第4実施形態の消火栓装置の概要について説明する。当該説明にあっては、監視員通路の路面上に設置された消火栓装置の第4実施形態を、トンネル内の設置状態で正面(前面)から示した
図21を参照する。
【0206】
図21に示すように、消火栓装置10は、監視員通路34の路面上に設置された架台32上に設置され、消火栓装置10の筐体は、化粧板12aが配置された第1筐体、化粧板12bが配置された第2筐体及び化粧枠12cが配置された第3筐体に分割されている。
【0207】
第1筐体11aの上側にはホース収納部が配置されていることから、第1筐体11aの前面となる化粧枠12aの扉開口13の上側に、ヒンジ14aにより下端を軸として下向きの監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開く消火栓扉14が配置され、消火栓扉14が監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開く。
【0208】
また、第1筐体11aの下側にはバルブ類収納部が配置されていることから、第1筐体11aの化粧枠12aの扉開口13の下側に、下側のヒンジ15aにより下端を軸として下向きの監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開く保守扉15が配置され、保守扉15が監視員通路34の路面に対し垂直となる位置に開くように、扉下側の筐体前面に扉収納凹部1410が形成されている。
【0209】
ここで、消火栓扉14が扉開口13の上側に配置され、その下側に保守扉15が配置され、それぞれが下端を軸に下向きに開くことを可能とするため、保守扉15は、消火栓扉14と重ならないように奥行方向にずらした閉鎖位置に配置されている。このため第1筐体11aの扉開口部に形成される扉収納凹部1410の深さは、消火栓扉14の厚さに保守扉15の厚さを加えた深さに設定されている(
図24参照)。
【0210】
また、消火栓扉14の縦幅は、内部に配置されているホース収納部の最小の縦幅に対応していることから、
図14の第3実施形態に比べ、扉の縦幅が小さくなっており、小さくなった分、保守扉15の縦幅が大きくなっている。それ以外の構成及び配置は
図14の第3実施形態と同様になることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0211】
(e2.消火栓装置の内部構造)
次に、第4実施形態による消火栓装置の内部構造について説明する。当該説明にあっては、
図21の消火栓装置における消火栓収納部の部内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図22を参照する。
【0212】
図22に示すように、消火栓収納部となる第1筐体11aの内部は、上側のホース収納部42と下側のバルブ類収納部44に分けられており、ホース収納部42の縦幅Hwは、消火用ホース54が折れずに湾曲可能な最小湾曲径に基づく最小の縦幅、例えば500mmとなっている。
【0213】
(e3.ホース収納部の最小縦幅)
ホース収納部42の最小の縦幅Hwは、消防用ホース54の折れずに湾曲可能な最小湾曲径D、消火用ホース54の外径d、消火用ホース54のホース長30mを内巻きして収納するに必要なターン数に基づく重ね巻き回数Nに基づき、
Hw=D+(d×2N)
として求まる。
【0214】
例えば、D=340mm、d=40mm、N=2とすると、
Hw=340+(40×4)=500mm
となる。なお、ホース収納部42の縦幅の最小値500mmは一例であり、消火用ホース54の折れずに湾曲可能な最小湾曲径D、消火用ホース54の外径d、重ね巻き回数Nに応じて定まる任意の値となる。
【0215】
ここで、ホース収納部42の縦幅は500mm、横幅は、例えば1200mm程度であることから、消火用ホース54の1ターン当りの長さは概ね3.1mであり、消火用ホース52の長さを例えば30mとすると、10~11ターン程度の内巻きにより収納が可能となる。
【0216】
このため、ホース収納部42は、第1筐体11aの上面から縦幅Hwの最小値となる500mmの高さに仕切板46が横板として配置され、仕切板46の左端に配管スペースを空けて仕切板47が縦板として配置されることで、前方に開口した箱形領域が形成されている。
【0217】
ホース収納部42の前面開口には、円筒形のパイプ部材を用いたフレーム部材48が縦横に間隔を空けて設けられたことで、消火用ホース54の前方を支持する格子が配置され、前面開口の中央部にフレーム部材48で矩形に仕切られたホース取出口50が形成されている。ホース収納部42の内部には、消火用ホース54が縦回り(鉛直回り)に内巻きされて収納されている。
【0218】
ホース取出口50から引き出された消火用ホース54の先端には、ノズル56が装着されている。ノズル56は、ホース取出口50の右側のフレーム部材48に固定されたノズルホルダー58に着脱自在に保持されている。
【0219】
また、ホース取出口50の左側のフレーム部材48の前には、消火栓弁62を遠隔操作するための操作ボックス70が配置され、操作ボックス70には上下回りに回動操作される消火栓弁開閉レバー72が設けられている。
【0220】
操作ボックス70の内部には、消火ポンプ起動連動スイッチ78が設けられている。また、操作ボックス70が配置されたフレーム部材48の左側には、ポンプ起動スイッチ80が設けられている。
【0221】
(e4.バルブ類収納部)
バルブ類収納部44は、ホース収納部42の下側となる領域であり、ホース収納部42の縦幅Hwを最小値500mmとしたことに伴い、
図18に示した第3実施形態のバルブ類収納部42に比べ、縦幅が大きくなり、十分に余裕を持ったスペースが確保されている。
【0222】
バルブ類収納部44に対し、架台32を介して立ち上げられた給水配管36は、ホース収納部42の左側に形成された配管スペースに引き込まれ、分岐接手82に続いて上方に消防隊が使用する給水栓60が接続されている。
【0223】
分岐接手82は、
図18に示したと同様に、横方向(左方向)に分岐した後にバルブ配管84が接続され、左側から消火栓弁62、自動調圧弁64及び点検用継手66が順番に設けられている。
【0224】
消火栓弁62には連動ボックス74が設けられ、ホース収納部42の前部に配置された操作ボックス70との間でワイヤー76が連結されており、操作ボックス70の消火栓弁開閉レバー72の開閉操作に伴う回転を、ワイヤー76を介して連動ボックス74に伝達して消火栓弁62を開閉するようになっている。
【0225】
点検用接手66に続くバルブ配管84は、右端側で屈曲して上方に向かい、ホース収納部42の右端の縦方向に配置されたホース接続管52に接続されている。また、ホース接続管52の手前のバルブ配管84の屈曲部分の下端となる位置には、自動排水弁68が設けられている。それ以外のホース収納部42及びバルブ類収納部44の構成や機能は、第3実施形態と同様になることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0226】
(e5.消火栓装置の設置高さ)
ホース収納部42の縦幅Hwが最小値500mmに設定された第4実施形態の消火栓装置10の監視員通路34に対する設置について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、
図21の架台上に取付け固定した消火栓装置の消火栓機器が配置された内部構造を、筐体前面を開放して正面から示した
図23を参照する。
【0227】
図23に示すように、消火栓装置10は、ホース収納部42の縦幅Hwとなる500mmの範囲が、監視員通路34の路面から800mmの下限高さH1から1500mmの上限高さH2となる操作適正範囲に含まれるように、架台32により監視員通路34上に設置されている。この場合、ホース収納部42の底部(仕切板46)の高さが監視員通路34の路面から800mmの下限高さH1となっており、バルブ類収納部44の縦幅が500mmであれば、消火栓装置10を設置する架台32の高さH3は300mmとなり、
図18に示した第3実施形態に比べ、架台32の高さを6割の高さに低くすることが可能となる。
【0228】
このように、架台32を介して監視員通路34の路面上方の高さ300mmに設置された消火栓装置10は、第1筐体11aの上側に形成されたホース収納部42の500mmの縦幅Hwの全てが適正操作範囲となる縦幅ΔH=700mmの範囲に含まれている。
【0229】
500mmの縦幅Hwの範囲に配置される操作対象として、ホース収納部42については、消火栓扉14の扉開閉ハンドル1420(
図21参照)、内巻きされた消火用ホース54、ノズル56、消火栓弁開閉レバー72及びポンプ起動スイッチ80が該当し、バルブ類収納部44については、給水栓60(操作ハンドルとホース接続口)が該当する。
【0230】
また、第2筐体11bの操作対象としては、発信機24と電話ジャック26が該当する。また、第3筐体11cの操作対象としては、消火器扉16の扉開閉ハンドル1610、消火器19の上部の操作ンドルが該当する。
【0231】
第4実施形態の消火栓装置10にあっても、前述した操作対象の全てが、下限高さH1を800mm、上限高さH2を1500mmとする適正操作範囲(縦幅ΔH=700mmの範囲)に含まれており、監視員通路34の路面に立った道路利用者、消防隊員及び復旧作業員にとって、操作対象となる操作機器や操作部が低すぎたり高すぎたりすることのない操作し易い位置とすることができる。
【0232】
(e6.消火栓扉の扉開閉機構)
第4実施形態の消火栓装置10に設けられた消火栓扉の扉開閉機構について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火栓扉の扉開閉機構を消火栓装置の側面から見た断面で示した
図24、消火栓扉を開いた
図21の消火栓装置を正面から示した
図25、及び保守扉を開いた
図21の消火栓装置を正面から示した
図26を参照する。なお、
図24(A)は消火栓扉及び保守扉の閉鎖状態を示し、
図14(B)は消火栓扉の開放状態を示し、
図24(C)は保守扉の開放状態を示す。
【0233】
図24(A)に示すように、消火栓装置10の第1筐体11aの上側に配置されるホース収納部42に対応して設けられた消火栓扉14は、扉前面が筐体扉開口の前面に一致する閉鎖位置となっている。また、第1筐体11aの下側に配置されるバルブ類収納部44に対応して設けられた保守扉15は、消火栓扉14と重ならないように奥行方向にずらした閉鎖位置に配置されている。このため第1筐体11aの扉開口部に形成される扉収納凹部1410の深さは、消火栓扉14の厚さに保守扉15の厚さを加えた深さに設定されている。
【0234】
消火栓扉14は扉開閉機構90により開閉され、消火栓扉14の扉開閉機構90は、
図7に示した第1実施形態の扉開閉機構90と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0235】
また、保守扉15の扉開閉機構は、下端側のヒンジ15aを軸に監視員通路34の路面に対して垂直回りに回転して、保守扉15の扉面が監視員通路34の路面に対して垂直な位置となる開放位置まで開放される。なお、消火栓扉14が上端を軸に上向きに開閉する構造であれば、消火栓扉14の状態に関係なく、保守扉15は開閉可能である。
【0236】
消火栓装置10を道路利用者が使用する場合には、
図24(A)に示すように、閉鎖状態にある消火栓扉14の扉開閉ハンドル1420(
図21参照)を手前に引いてロックを外すと、
図24(B)に示すように、消火栓扉14はヒンジ14aを中心に下向きに180°回転して扉収納凹部1410の開放位置に対応した下側(閉鎖状態の保守扉15の前方)に収納され、扉開口の下端より下側の筐体前面及び架台32の前面に相対し監視員通路34の路面に対して垂直又は略垂直な位置となる。この場合、保守扉15は消火栓扉14の厚さ分だけ奥まった位置にあることから、保守扉15により消火栓扉14の開放が妨げられることはない。
【0237】
このように、消火栓扉14が開放すると、
図25に示すように、扉開口を介してホース収納部42の前面が開放し、また、全ての操作対象が適正操作範囲に含まれているため、道路利用者によるノズル56の取り出し、消火用ホース54の引き出し及び消火栓弁開閉レバー72の操作、消防隊員による給水栓60に対するホースの接続とハンドルの開操作並びに消火ポンプ起動スイッチ80の操作、復旧作業員による消火用ホース54をホース収納部42に巻き戻す作業等を、無理な姿勢をとることなく、容易且つ適切に行うことが可能となる。
【0238】
また、開放した消火栓扉14により監視員通路34の通行が妨げられることがなく、消火栓装置14の取扱い操作についても、開放した消火栓扉14に妨げられることなく、容易に行うことが可能となる。
【0239】
また、保守要員などが消火栓装置10を点検又は修理する場合などには、
図24(A)に示すように閉鎖状態にある保守扉15の扉開閉ハンドル1510(
図21参照)を手前に引いてロックを外すと、
図24(C)に示すように、保守扉15はヒンジ15aを中心に下向きに180°回転して扉収納凹部1410の開放位置に対応した下側(閉鎖状態の保守扉15の前方)に収納され、扉開口の下端より下側の筐体前面及び架台32の前面に相対し監視員通路34の路面に対して垂直又は略垂直な位置となる。
【0240】
このように、保守扉15が開放すると、
図26に示すように、扉開口を介してバルブ収納部44の前面が開放され、消火栓弁62等のバルブ類に対する点検や修理等の作業を、容易且つ適切に行うことが可能となる。
【0241】
また、開放した保守扉15により監視員通路34の通行が妨げられることがなく、消火栓装置14の点検や修理等の作業についても、開放した保守扉15に妨げられることなく、前方から容易に行うことが可能となる。
【0242】
また、
図26に示す保守扉15を開放した状態にあっては、保守扉15を開いたままで消火栓扉14を開放することができる。このため、点検扉15を開いた点検や修理などの作業中に、火災が発生したような場合には、点検扉15を開いたままで消火栓扉14を開放して消火栓装置10を使用することが可能となる。
【0243】
[f.消火栓装置の第3実施形態の変形例]
次に、ホース取出口が筐体の内部下側に配置されたバルブ類収納部に設けられた第3実施形態の変形例となる消火栓装置について説明する。当該説明にあっては、ホース取出口がバルブ類収納部に配置された消火栓装置の第3実施形態の変形例を、筐体前面を開放して正面から示した
図27、
図27の第1筐体を取出してホース取出口の構造を示した
図28、及び、
図27の消火栓装置の内部構造を側面から見た断面で示した
図29を参照する。なお、
図29(A)は
図27の切断線d-dの断面を示し、
図29(B)は
図27の切断線e-eの断面を示す。
【0244】
図27に示すように、本実施形態の消火全装置10は、筐体の内部上側に配置されたホース収納部42に内巻き状態で収納されている消火用ホース54が、筐体の内部下側に配置されたバルブ類収納部の前面側に起立したホースガイド100に形成されたホース取出口102を通って外部に引き出されることが特徴となっている。
【0245】
図28に示すように、仕切板46,47で仕切られた箱形のホース収納部42の前面開口には格子フレーム48が配置されており、格子フレーム48の中央前方の下側の筐体底面にホースガイド100が起立して固定されている。ホースガイド100は、円筒形又は円柱形のフレーム部材が使用されており、門型に形成された門型フレーム104を有し、門型フレーム104の下側の横方向に下フレーム108が配置され、門型クレーム104の上部横フレームの部分に、奥行方向に湾曲して前方に開いた消火用ホース54を通過させるためのU形のホース逃し部106が形成されている。
【0246】
ここで、
図29に示すように、ホース収納部42の格子フレーム48に対し、バルブ類収納部44の筐体底面の前部に起立したホースガイド100との間には、消火用ホース54が通過するに十分な奥行方向の間隔が形成されており、格子フレーム48の中央開口から取り出された消火用ホース54は、下側に位置するホースガイド100のホース取出口102(
図27及び
図28参照)を通って外部への引き出しが可能となる。
【0247】
また、消火用ホース54は放水用ノズル56に接続されており、放水用ノズル56は、
図27に示すように、格子フレーム48に固定されたノズルホルダー58に着脱自在に保持されている。この場合、消火用ホース54はホースガイド100のホース取出口102を通った後に、格子フレーム48のノズルホルダー58に保持された放水用ノズル56に接続されており、このとき、消火用ホース54はガイドフレーム100のホース逃し部106を通ることで、ホースガイド100に妨げられることなく奥行側に戻ることができ、放水用ノズル56に無理なく接続できる位置に置くことが可能となっている。それ以外の構造は、
図16に示した第3実施形態の場合と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0248】
このように、
図16の第3実施形態で高い位置に形成されていたホース取出口50が、本実施形態にあっては、筐体の内部下側に配置されたバルブ類収納部44側にホースガイド100を備えたことでホース取出口102が低い位置に形成可能となり、消火用ホース54が監視員通路の路面に近い位置に引き出されることで、ホースの引き出しに伴うホースの暴れ(ホースが振り回される動き)が低減可能となる。なお、
図27~
図29に示したホース取出口102がバルブ類収納部44の低い位置に形成される構造は、前述した第4実施形態の消火栓装置にも適用可能である。
【0249】
[g.本発明の変形例]
本発明による消火栓装置の変形例について説明する。本発明の消火栓装置は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0250】
(ホース収納部)
筐体の下側又は上側に設けられたホース収納部は、縦幅が短く横幅が長い箱形領域となり、箱形領域内に消火用ホースが内巻きされた場合、ホース収納部の横幅が長くなると、箱形領域の上部内側の中央部分で消火用ホースが自重により下側に撓む場合がある。この箱形領域の上部内側の中央部分での消火用ホースの下側への撓みを防止するため、箱形領域の下部の両側に近い部分のそれぞれに、円筒形又は円柱形のホース支持部材(ホース支持ポール)を奥行方向の所定高さに配置し、ホース支持部材の上に消火用ホースを内巻きすることで、消火用ホース下側の中央部分を上方に押し上げ、消火用ホース両側の湾曲部分の湾曲半径を小さくして消火用ホースの剛性を高める。このように、消火用ホース両側の湾曲部分の剛性を高めて支えることで、上部内側の中央部分での消火用ホースの下側への撓みを防止することが可能となる。
【0251】
(ノズルホルダー)
上記の実施形態は、放水ノズルを着脱自在に保持するノズルホルダーは、ホース収納部の前面開口を仕切る格子のフレーム部材に固定されているが、これに限定されず、例えば、消火栓扉の裏面側に固定されてもよい。
【0252】
(消火栓弁開閉操作部)
上記の実施形態は、消火栓弁開閉操作部を構成する消火栓弁開閉レバーを備えた操作ボックスは、ホース収納部の前面開口を仕切る格子のフレーム部材に固定されているが、これに限定されず、例えば、消火栓扉の裏面側に固定されてもよい。
【0253】
(壁掛け構造により設置された消火栓装置)
上記の実施形態は、監視員通路の路面上に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置を取付固定する据置き構造により設置された消火栓装置を例にとるものであったが、これに限定されず、トンネル壁面に架台を設置し、設置された架台に消火栓装置を取付固定する壁掛け構造により設置された消火栓装置についても、同様に適用される。
【0254】
(消火栓装置の筐体)
上記の実施形態は、第2筐体に電装機器が配置され、第3筐体に消火器が収納されているが、第2筐体と第3筐体が一つの筐体であっても良い。
【0255】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、さらに上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0256】
10:消火栓装置
11a:第1筐体
11b:第2筐体
11c:第3筐体
12a,12b,12c:化粧枠
14:消火栓扉
1410:扉収納凹部
1420,1510,1610:扉開閉ハンドル
15:保守扉
16:消火器扉
17:覗き窓
18:電装扉
19:消火器
20:補助扉
22:赤色表示灯
24:発信機
25:トンネル壁面
26:電話ジャック
28:応答ランプ
30a,30b:端子箱
32,320:架台
34:監視員通路
36:給水配管
38:道路
40:給水本管
41:筐体支持部材
42:ホース収納部
44:バルブ類収納部
46,47:仕切板
48:格子フレーム
50:ホース取出口
52:ホース接続管
54:消火用ホース
56:ノズル
58:ノズルホルダー
60:給水栓
62;消火栓弁
64:自動調圧弁
66:点検用継手
68:自動排水弁
70:操作ボックス
72:消火栓弁開閉レバー
74:連動ボックス
76:ワイヤー
78:消火ポンプ起動連動スイッチ
80:消火ポンプ起動スイッチ
82:分岐接手
84:バルブ配管
90:扉開閉機構
92:ダンパー取付部
94:軸部
96:ダンパー
98:固定部
100:ホースガイド
102:ホース取出口
104:門型フレーム
106:ホース逃し部
108:下フレーム