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特開2024-75456レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075456
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/00 20060101AFI20240527BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20240527BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20240527BHJP
   G02B 6/04 20060101ALI20240527BHJP
   G09F 9/305 20060101ALI20240527BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20240527BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G09F13/00 H
G02B5/02 A
G02B6/00 326
G02B6/00 D
G02B6/04 F
G09F9/305
G09F9/40 303
F21V8/00 355
F21V8/00 241
F21V8/00 282
F21V8/00 260
F21V8/00 100
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022793
(22)【出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0156967
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516016986
【氏名又は名称】エルティー エレクトロニクス カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,スン キョ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ヒョン ピル
【テーマコード(参考)】
2H038
2H042
2H250
3K244
5C094
5C096
【Fターム(参考)】
2H038AA41
2H038BA44
2H042BA01
2H042BA16
2H042BA20
2H250CA26
2H250CA69
2H250CD13
3K244AA05
3K244BA31
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA08
3K244EA38
3K244LA02
5C094AA01
5C094AA43
5C094CA01
5C094CA23
5C094DA08
5C094DA11
5C094ED02
5C094ED11
5C094ED13
5C094ED15
5C094GB10
5C096AA07
5C096AA24
5C096AA27
5C096BA04
5C096CA06
5C096CB04
5C096CC06
5C096CF02
5C096CF04
5C096EB02
5C096EB20
5C096FA04
5C096FA05
(57)【要約】
【課題】光ファイバー糸を用いた織物に反射性、吸光性、及び拡散性素材に、レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法を提供する
【解決手段】レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法に関し、光ファイバー糸と繊維糸を混用し製織して製造される織物層と、前記織物層の片面又は両面において、発光しようとする図案領域の周辺領域に積層されて、前記光ファイバー糸より発光される光を吸収する光吸収層と、前記光吸収層が形成された前記織物層上に全体として積層され、光を拡散させる拡散層と、前記拡散層上に積層され、前記図案領域と周辺領域をコーティングする色相層とを順次積層して、レイヤリング方式で製造される構成を設けることにより、発光織物においてディスプレイされる図案の視認性を向上する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバー糸と繊維糸を混用し製織して製造される織物層と、
前記織物層の片面又は両面において、発光しようとする図案領域の周辺領域に積層されて、前記光ファイバー糸より発光される光を吸収する光吸収層と、
前記光吸収層が形成された前記織物層上に全体として積層され、光を拡散させる拡散層と、
前記拡散層上に積層され、前記図案領域と前記周辺領域をコーティングする色相層と、を順次積層して、レイヤリング方式で製造されることを特徴とする発光織物。
【請求項2】
前記織物層の片面に形成された図案を発光する場合、前記織物層の他面には、前記光ファイバー糸より発光される光を反射する反射層が積層されることを特徴とする請求項1に記載の発光織物。
【請求項3】
前記織物層の両面にそれぞれ形成された図案を発光する場合、前記織物層を中心に、互いに対称となる同一の図案又は互いに異なる図案が形成されることを特徴とする請求項1に記載の発光織物。
【請求項4】
(a)光ファイバー糸と繊維糸を混用し製織して織物層を製造するステップと、
(b)前記織物層の片面又は両面において、発光しようとする図案領域の周辺領域に光吸収層を積層するステップと、
(c)前記光吸収層が積層された前記織物層上に、全体として拡散層を積層するステップと、
(d)前記拡散層上に色相層を積層して、前記図案領域と前記周辺領域をコーティングするステップと、を経て、発光織物をレイヤリング方式で製造することを特徴とする発光織物の製造方法。
【請求項5】
更に、(e)前記織物層の片面に形成された図案を発光する場合、前記織物層の他面に前記光ファイバー糸より発光される光を反射する反射層を積層するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の発光織物の製造方法。
【請求項6】
前記織物層の両面にそれぞれ形成された図案を発光する場合、前記織物層を中心に、互いに対称となる同一の図案又は互いに異なる図案が形成されることを特徴とする請求項4に記載の発光織物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光織物に係り、より詳しくは、光ファイバーを用いた織物に反射性、拡散性、及び吸光性素材に、レイヤリング(積み重ね)方式を適用した発光織物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、LEDと光ファイバーを用いた織物照明装置やディスプレイ装置が開発されている。
【0003】
前記光ファイバーは、中心部に屈折率の高いコアを配置し、外部に屈折率が相対的に低いクラッドを配置して、コアを通過する光が全反射するようにした光学繊維である。
【0004】
このような光ファイバーは、エネルギー損失が非常に少ないため、送受信するデータの損失率も低く、外部の影響をほとんど受けないというメリットがある。
【0005】
一方、コアとクラッドがいずれも、光透過性のプラスチック材料からなる光ファイバーを、プラスチック光ファイバー(POF-Plastic Optical Fiber)といい、前記プラスチック光ファイバーは、ガラスを材料とする一般の光ファイバーと比較して、フレキシブル性に優れ、振動や曲げに強い。
【0006】
本出願人は、下記の特許文献1及び特許文献2など多数に、光ファイバーを用いたディスプレイ装置とこれを製造する技術を開示して、特許出願し、登録を受けたことがある。
【0007】
特許文献1には、小型映像装置の画面を大型画面に転送してディスプレイさせる光ファイバーを用いたディスプレイ装置が記載されている。
【0008】
特許文献2には、多数の光ファイバーを一定の面積を有するように配置し、その外面にラミネートフィルムをコートさせることで、光の発散面積が拡がり、切れを防止して、耐久性が向上する光ファイバーディスプレイモジュールの製造方法及び製造装置の構成が記載されている。
【0009】
例えば、図1は、従来技術による光ファイバーディスプレイ装置の構成図である。
【0010】
従来技術による光ファイバーディスプレイ装置1は、図1に示しているように、素材の上面に露出部3が形成されるように設けられた多数の光ファイバー糸2と、光ファイバー糸2の端部に光又は映像を照射する光源部4と、光源部4に電源を供給し、オン・オフ作動を制御する制御部(図示せず)とを含む。
【0011】
各光ファイバー糸2は、個別的に光源部と連結されるか、図1のように、複数の光ファイバー糸2の後端を束ねた束部5を介して、光源部4と連結される。
【0012】
しかし、従来技術による光ファイバーディスプレイ装置は、束部5を介して光源部を連結する場合でも、束部5で束ねられた個別の光ファイバーを、コネクタ6に形成された多数の挿入孔に一々挿入して結合する過程を経なければならない。
【0013】
前述したように、従来技術による光ファイバーディスプレイ装置は、個別の光ファイバー又は光ファイバー束を、コネクタに形成された各挿入孔に一々挿入して結合する作業を経なければならないので、作業性が低下し、製造作業に要する手間及びコストが高くなるという問題点があった。
【0014】
一方、従来技術による光ファイバーディスプレイ装置は、繊維織物の表面に光ファイバー糸を、刺繍方式を用いるか、光ファイバー糸と繊維糸を製織した織物の一部領域をコーティングして、文字や図形、柄(以下、「図案」という)などを表示した。
【0015】
しかし、前記のような刺繍方式は、所望する図案を刺繍するための裁縫装置のプログラム過程に多くの時間を要するため、生産性が低下するという問題点があった。
【0016】
そして、前記コーティング方式は、図案とコーティングされた周辺領域の間で光の滲み現象が生じるため、視認性が低下する問題点があった。
【0017】
また、前記刺繍方式やコーティング方式はいずれも、織物の片面のみを用いて所望する図案を発光するため、効率性が落ちるという限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】大韓民国特許登録番号10-1275153号
【特許文献2】大韓民国特許登録番号10-1241233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、前記したような問題点を解決するためになされたもので、光ファイバー糸を用いた織物に反射性、吸光性、及び拡散性素材に、レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、製造工程を単純化して作業時間を短縮し、作業性を向上することができる、レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法を提供することである。
【0021】
本発明の更に他の目的は、織物の片面だけでなく、両面を用いて、所望する図案を発光することができる、レイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記したような目的を達成するために、本発明によるレイヤリング方式を適用した発光織物は、光ファイバー糸と繊維糸を混用し製織して製造される織物層と、前記織物層の片面又は両面において、発光しようとする図案領域の周辺領域に積層されて、前記光ファイバー糸より発光される光を吸収する光吸収層と、前記光吸収層が形成された前記織物層上に全体として積層され、光を拡散させる拡散層と、前記拡散層上に積層され、前記図案領域と前記周辺領域をコーティングする色相層と、を順次積層して、レイヤリング方式で製造されることを特徴とする。
【0023】
また、前記したような目的を達成するために、本発明によるレイヤリング方式を適用した発光織物の製造方法は、(a)光ファイバー糸と繊維糸を混用し製織して織物層を製造するステップと、(b)前記織物層の片面又は両面において、発光しようとする図案領域の周辺領域に光吸収層を積層するステップと、(c)前記光吸収層が積層された前記織物層上に、全体として拡散層を積層するステップと、(d)前記拡散層上に色相層を積層して、前記図案領域と前記周辺領域をコーティングするステップと、を経て、発光織物をレイヤリング方式で製造することを特徴とする。
【0024】
また、前記したような目的を達成するために、本発明によるレイヤリング方式を適用した発光織物の製造方法は、(a)光ファイバー糸と繊維糸を混用し製織して織物層を製造するステップ、(b)前記織物層の片面又は両面に発光しようとする図案領域の周辺領域に光吸収層を積層するステップ、(c)前記光吸収層が積層された前記織物層上に、全体的に拡散層を積層するステップ及び(d)前記拡散層上に色相層を積層して前記図案領域と前記周辺領域をコーティングするステップを経て発光織物をレイヤリング方式で製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
上述したように、本発明によるレイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法によると、光ファイバー糸が織造された織物層の片面に反射層を積層し、織物層の全面に光吸収層と拡散層及び色相層を積層するレイヤリング方式を適用することで、発光織物の視認性を向上することができる。
【0026】
また、本発明によると、発光織物において、図案の周辺領域に光吸収層と色相層を設けることで、周辺領域を通じた発光を十分遮断し、図案領域と周辺領域の光度差を極大化することで、発光効果を更に向上することができる。
【0027】
更に、本発明によると、従来技術による刺繍方式と比較して、各層の積層工程のみを通じて、所望する図案を発光させる発光織物の製造が可能となるため、作業時間を短縮し、生産性を向上することができる。
【0028】
なお、本発明によると、織物層の両面にそれぞれ、互いに同一の図案又は互いに異なる図案を適用し、各面に光吸収層と拡散層及び色相層を積層して、1つの発光織物を用いて、2つの図案を発光することができる。
【0029】
これにより、本発明によると、発光織物の両面を用いて、様々な文字や数字、図形、柄、イメージなどの図案を効果的にディスプレイし、ディスプレイされる図案の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来技術による光ファイバーディスプレイ装置の構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物の構成図である。
図3図2におけるA-A’線に沿う断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物製造方法をステップ別に説明する工程図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物の断面図である。
図6】発光織物の製造方法をステップ別に説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態によるレイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
本明細書においては、発光織物の片面にレイヤリング方式を適用する場合と、発光織物の両面にレイヤリング方式を適用する場合とに分けて説明する。
【0033】
まず、図2乃至図4を参照して、片面にレイヤリング方式を適用した発光織物及びその製造方法について詳述する。
【0034】
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物の構成図であり、図3は、図2におけるA-A’線に沿う断面図である。また、図4は、本発明の第1の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物製造方法をステップ別に説明する工程図である。
【0035】
以下では、「左側(L)」、「右側(R)」、「前方(F)」、「後方(B)」、「上方(U)」、及び「下方(D)」のような方向を指示する用語は、各図面に示している状態を基準に、それぞれの方向を指示することと定義する。
【0036】
本発明の第1の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物10は、図2及び図3に示しているように、光ファイバー糸21と繊維糸22を混用し製織して製造される織物層20と、織物層20の片面に積層され、光ファイバー糸21から発光される光を反射する反射層30と、織物層20の他面に発光しようとする図案領域14の周辺領域15に積層され、光ファイバー糸21から発光される光を吸収する光吸収層40と、光吸収層40が形成された織物層20の他面に全体として積層され、光を拡散させる拡散層50と、拡散層50上に積層され、図案領域14と周辺領域15をコーティングする色相層60とを順次積層して、レイヤリング方式で製造される。
【0037】
このような発光織物10が適用される光ファイバーディスプレイ装置は、電源を供給されて、光を照射する光源部11と、光源部11より照射された光を、光ファイバー糸21の一端に伝達するレンズ部12とを含む。
【0038】
本実施形態において、光ファイバー糸21は、光源部11及びレンズ部12が、図2を参照すると、上部に略バー状に配置されることで、発光織物10の経糸で配置され、繊維糸22は、緯糸で配置されることができる。
【0039】
ここで、光ファイバー糸21の外面には、均一な発光効果を提供するために、微細なスクラッチ面が形成される。前記スクラッチ面は、光ファイバー糸21の表面を、熱処理、レーザ加工、研削処理、又は腐食処理などの加工過程を経て形成される。また、光ファイバー糸の外面には、スクラッチ面を形成した後、防水などのためにコーティングされる保護層が更に形成される。
【0040】
繊維糸22は、天然繊維糸と合成繊維糸のうちの1つ以上を含む。すなわち、前記天然繊維糸は、綿、参皮、絹糸、毛など、天然物を用いた繊維糸である。また、前記合成繊維糸は、ナイロン、ポリエチレンテレフタルレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、様々な合成高分子原料を用いた繊維糸である。
【0041】
しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、光ファイバー糸21と繊維糸22をそれぞれ、光源部11及びレンズ部12の位置によって、緯糸と経糸に変更することができる。
【0042】
また、本発明は、発光織物10の経糸に光ファイバー糸21と繊維糸22を、所定の割合によって混合して配置し、緯糸に繊維糸22のみを配置するか、光ファイバー糸21と繊維糸22を混合して配置するようにすることができる。
【0043】
本実施形態では、図2に示しているように、複数の光ファイバー糸21が上下方向に沿って並んで経糸で配置される場合を説明する。
【0044】
ここで、光源部11は、発光織物10の上部に並んで配置される複数の光源を含み、レンズ部12は、複数の光源より照射された光を、各光ファイバー糸21の一端、すなわち、上端に伝達する。
【0045】
また、本実施形態では、水平方向に沿って配置された設置対象物に、上下方向に沿って、発光織物10を設置する構成を説明する。
【0046】
しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、旗竿のように垂直方向に沿って設けられる設置対象物に、発光織物10を左右方向に沿って設けるようにすることができる。
【0047】
また、発光織物10は、略四角状に限定されるものではなく、三角や五角状など多角状、円や楕円状に形成されてもよい。 このような発光織物10には、光ファイバー糸21を用いて、様々な紋様や文字、イメージ、数字、図形など、様々な図案を発光可能に構成することができる。
【0048】
一方、光ファイバーディスプレイ装置は、内部に収容された光源部11及びレンズ部12を、発光織物10に設けられた複数の光ファイバー糸21の端部に接続する光ファイバー接続装置13を更に含む。
【0049】
光ファイバー接続装置13は、直線状のバー状だけでなく、1回以上様々な角度で折り曲げられた形状や曲線状など、多様に変形可能である。
【0050】
ついで、図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物の製造方法について、詳述する。
【0051】
まず、図4のステップS10において、作業者は、光ファイバー糸21と繊維糸22を混用し製織して、織物層20を製造する。
【0052】
織造層20の片面(以下、「後面」という)には、反射層30が積層され、織造層20の他面(以下、「前面」という)には、光吸収層40と拡散層50及び色相層60が順次積層される。
【0053】
本実施形態では、発光織物10は、織物層20の両面にそれぞれ配置される各層を、レイヤリング方式で積層して製造される。前記レイヤリング方式は、蒸着、コーティング、塗布、印刷、浸漬など、様々な方法で発光織物10の表面に積層することができる。
【0054】
ステップS12において、織物層20の後面に、反射層30が積層される。
【0055】
反射層30は、織物層20に設けられた複数の光ファイバー糸21より後方に照射される光を、織物層20の前方に反射する機能をする。このような反射層30は、反射する白色や銀色のように明るい色の染料や、反射特性を有する金属酸化物、ガラス、及び高分子有機物を中空体として使用したコーティング剤などを用いて形成される。
【0056】
そこで、織物層20に適用された光ファイバー糸11より照射された光は、織物層20の前面に発光し、織物層20の後面に積層された反射層30に反射して、織物層20の前面に発光される。
【0057】
このように、本発明は、織物層の後面に反射層を積層することで、発光織物の前面に発光される光の輝度を高めることができる。
【0058】
ステップS14において、織物層20の前面に発光しようとする図案領域14の周辺領域15に、光吸収層40が積層される。
【0059】
光吸収層40は、発光しようとする図案領域14の周辺領域15を通じて発光する光を吸収する機能をする。このような光吸収層40は、光を吸収する黒色や灰色のように暗い色の染料、光吸収特性を有する金属酸化物、カーボン及び高分子有機物を中空体として使用するコーティング剤などを用いて形成される。
【0060】
ステップS16において、光吸収層40が形成された織物層20の前面に、全体として拡散層50が積層される。
【0061】
拡散層50は、反射層30、織物層20、光吸収層40を介して伝達される光を、透過及び散乱により拡散させる機能をする。このような拡散層50は、透明なコーティング剤、高分子有機物などを用いて形成される。
【0062】
このような拡散層50は、織物層20の前面に形成された各光吸収層40の間の空間、すなわち、図案領域14の前側空間にも一部充填される。
【0063】
ステップS18において、拡散層50が形成された織物層20の前面において、周辺領域15に色相層60が積層される。
【0064】
色相層60は、拡散層上に積層され、図案領域14と周辺領域15をコーティングして、色相層の色を有する光を発光させて、図案の視認性を向上させる機能をする。すなわち、色相層60は、図案領域14と周辺領域15を全体として互いに同一の色又は他の色で発光させることができる。
【0065】
このような色相層60は、表現しようとする色の染料と、光透過及び拡散特性を有する金属酸化物やガラス及び高分子有機物を中空体として使用するコーティング剤などを共に用いて、図案領域14に形成される。
【0066】
そして、色相層60は、表現しようとする色の染料と、反射特性及び光吸収特性を有する金属酸化物、高分子有機物を中空体として使用するコーティング剤を共に用いて、周辺領域15に形成される。
【0067】
また、色相層60は、図案領域14や周辺領域15において、互いに異なる色で形成されることができる。
【0068】
例えば、図2からすると、図案領域14に含まれた文字「L」は、赤色で発光され、文字「T」は、青色で発光するように、各文字領域の色相層60は、赤色と青色を有することができる。
【0069】
そこで、発光ディスプレイ装置に設けられた制御部は、各文字領域に配置される各光ファイバー糸21を、互いに同一又は互いに異なる方式で発光するように、光源部11に設けられた複数の光源の駆動を選択的に制御することができる。
【0070】
そこで、本発明は、図案領域に含まれた文字、イメージ、図形、数字などを、互いに同一の方式又は互いに異なる方式で発光させることで、発光織物の美感と視認性を向上することができる。
【0071】
このように、本発明は、光ファイバー糸が織造された織物層の後面に反射層を積層し、織物層の前面に光吸収層と拡散層及び色相層を形成するレイヤリング方式を適用することで、発光織物の視認性を向上することができる。
【0072】
そして、本発明は、発光織物において、図案の周辺領域に光吸収層と色相層を設けて、周辺領域を通じた発光を十分遮断し、図案領域と周辺領域の光度差を極大化することで、発光効果を更に向上することができる。
【0073】
また、本発明は、従来技術による刺繍方式と比較して、各層の積層工程のみを通じて、所望する図案を発光させる発光織物の製造が可能であるので、作業時間を短縮し、生産性を向上することができる。
【0074】
これと共に、本発明は、複数の光ファイバー糸を互いに並んで配置した状態で製織することによって、外部に加えられる衝撃などで1つの光ファイバー糸が断線しても、他の光ファイバー糸は、正常に発光することができる。
【0075】
[第2の実施形態]
ついで、図5及び図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物及び製造方法について、詳述する。
【0076】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物の断面図であり、図6は、発光織物の製造方法をステップ別に説明する工程図である。
【0077】
本発明の第2の実施形態に係るレイヤリング方式を適用した発光織物10は、図5に示しているように、織物層20の前面と後面にそれぞれ、光吸収層40と拡散層50及び色相層60を積層する。
【0078】
すなわち、図6のステップS30において、作業者は、光ファイバー糸21と繊維糸22を混合し製織して、織物層20を製造する。
【0079】
そして、ステップS32において、織物層20の前面に、発光しようとする第1の図案領域16の第1の周辺領域17に、光吸収層40が積層される。
【0080】
ステップS34において、光吸収層40が形成された織物層20の前面に全体として拡散層50が積層され、ステップS36において、拡散層50が形成された織物層20の前面に、色相層60が積層される。
【0081】
ついで、ステップS36において、織物層20の後面に、発光しようとする第2の図案領域18の第2の周辺領域19に、光吸収層40が積層される。
【0082】
ステップS38において、光吸収層40が形成された織物層20の後面に、全体として拡散層50が積層される。
【0083】
ステップS40において、拡散層50が形成された織物層20の後面に、色相層60が積層される。
【0084】
ここで、発光織物10の前面と後面にそれぞれ形成される第1及び第2の図案領域16、18は、織物層20を中心に互いに対称となる同一の図案でもあるが、図5に示しているように、互いに異なる図案でもあり得る。
【0085】
このように、本発明は、織物層の両面にそれぞれ、互いに同一の図案又は互いに異なる図案を適用し、各面に光吸収層と拡散層及び色相層を積層し、1つの発光織物を用いて、2つの図案を発光することができる。
【0086】
これにより、本発明は、発光織物の両面を用いて、様々な文字や数字、図形、柄、イメージなどの図案を効果的にディスプレイし、ディスプレイされる図案の視認性を向上することができる。
【0087】
以上、本発明者により行われた発明を前記実施形態により具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、様々に変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、光ファイバー糸が織造された織物層の片面に反射層を積層し、織物層の前面に光吸収層と拡散層及び色相層を形成するレイヤリング方式を適用して、発光織物の視認性を向上させる発光織物及びその製造方法技術に適用される。
【符号の説明】
【0089】
1 光ファイバーディスプレイ装置
2、21 光ファイバー糸
3 露出部
4 光源部
5 束部
6 コネクタ
10 レイヤリング方式を適用した発光織物
11 光源部
12 レンズ部
13 光ファイバー接続装置
14 図案領域
15 周辺領域
16 第1の図案領域
17 第1の周辺領域
18 第2の図案領域
19 第2の周辺領域
20 織物層
22 繊維糸
30 反射層
40 光吸収層
50 拡散層
60 色相層
図1
図2
図3
図4
図5
図6