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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075465
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】経路規制部材およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240527BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240527BHJP
   F16L 3/06 20060101ALI20240527BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20240527BHJP
   F16B 7/22 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04 075
H01B7/00 301
F16L3/06
F16B7/18 A
F16B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080150
(22)【出願日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2022186704
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】萩 真博
(72)【発明者】
【氏名】王 韋智
【テーマコード(参考)】
3H023
3J039
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC13
3H023AC21
3H023AD04
3H023AD31
3H023AD54
3H023AD55
3J039AA03
3J039BB02
3J039GA02
3J039JA11
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD16
5G357DD20
5G357DE10
5G357DG04
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】経路規制部材20は、電線部材を保持するとともに屈曲部60Rを有する保持部61と、連結部70Aと、連結部75Aと、連結部70Aと同一の構造を有する連結部70Bと、連結部75Aと同一の構造を有する連結部75Bとを有する屈曲部品60を備える。経路規制部材20は、電線部材を保持する保持部31と、連結部75Aに連結される連結部40Aと、連結部70Aに連結される連結部45Aとを有する直線部品30を備える。保持部61は、底壁62と、底壁62の両側縁から突出する側壁63,64を有する。連結部70Aは、側壁63における端部66に設けられている。連結部75Aは、側壁64における端部66に設けられている。連結部70Bは、側壁64における端部67に設けられている。連結部75Bは、側壁63における端部67に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、
前記電線部材を保持するとともに屈曲部を有する第1保持部と、第1連結部と、第2連結部と、前記第1連結部と同一の構造を有する第3連結部と、前記第2連結部と同一の構造を有する第4連結部とを有する屈曲部品と、
前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第2連結部に連結される第5連結部と、前記第1連結部に連結される第6連結部とを有する規制部品と、を備え、
前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、
前記屈曲部品は、前記屈曲部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、
前記第1連結部は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられており、
前記第2連結部は、前記第2側壁における前記第1端部に設けられており、
前記第3連結部は、前記第2側壁における前記第2端部に設けられており、
前記第4連結部は、前記第1側壁における前記第2端部に設けられている、経路規制部材。
【請求項2】
前記規制部品は、前記第1連結部と同一の構造を有する前記第5連結部と、前記第2連結部と同一の構造を有する前記第6連結部と、前記第5連結部と同一の構造を有する第7連結部と、前記第6連結部と同一の構造を有する第8連結部とを有し、
前記第2保持部は、第2底壁と、前記第2底壁の両側縁から突出する第3側壁および第4側壁とを有し、
前記第2保持部は、前記第2保持部の軸方向における第3端部および第4端部を有し、
前記第5連結部は、前記第3側壁における前記第3端部に設けられており、
前記第6連結部は、前記第4側壁における前記第3端部に設けられており、
前記第7連結部は、前記第4側壁における前記第4端部に設けられており、
前記第8連結部は、前記第3側壁における前記第4端部に設けられている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記経路規制部材の軸方向において前記第6連結部と係合されており、
前記第2連結部は、前記経路規制部材の軸方向において前記第5連結部と係合されている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項4】
前記第1連結部は、前記第1側壁における前記第1端部から前記第1保持部の軸方向に向かって突出する突出部と、前記突出部の先端から前記第1側壁の高さ方向に向かって突出する係合突起とを有し、
前記第6連結部は、前記突出部が嵌合する第1凹部と、前記係合突起が嵌合する第2凹部とを有し、
前記係合突起の側面は、前記経路規制部材の軸方向において前記第2凹部の内側面と係合されている、請求項3に記載の経路規制部材。
【請求項5】
前記第1側壁および前記第2側壁の各々は、板状に形成されており、
前記経路規制部材の軸方向に沿う前記係合突起の長さ寸法は、前記第1側壁の板厚方向に沿う前記第1側壁の長さ寸法よりも大きい、請求項4に記載の経路規制部材。
【請求項6】
前記屈曲部品は、前記第1側壁の高さ方向から見た平面視において、前記第1連結部と重なる位置に設けられた第1係合部と、前記第2連結部と重なる位置に設けられた第2係合部と、前記第3連結部と重なる位置に設けられた第3係合部と、前記第4連結部と重なる位置に設けられた第4係合部と、を有し、
前記規制部品は、前記経路規制部材の周方向において前記第2係合部と係合される第5係合部と、前記経路規制部材の周方向において前記第1係合部と係合される第6係合部と、を有し、
前記第3係合部および前記第5係合部の各々は、前記第1係合部と同一の構造を有し、
前記第4係合部および前記第6係合部の各々は、前記第2係合部と同一の構造を有する、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項7】
前記第1係合部は、前記第1保持部の外周面から前記第1保持部の軸方向に向かって前記第1保持部の外方に突出する基部と、前記基部の先端から前記第1保持部の周方向に向かって突出する弾性片と、前記弾性片の先端に設けられるとともに前記第6係合部に係合される係合爪とを有する、請求項6に記載の経路規制部材。
【請求項8】
前記第1連結部と前記第6連結部とを連結する連結具を更に備え、
前記第1連結部は、前記第1側壁の外周面から前記第1保持部の軸方向に向かって前記第1保持部の外方に突出する固定部と、前記固定部に設けられた貫通孔とを有し、
前記第6連結部は、前記貫通孔と連通する第3凹部を有し、
前記固定部は、前記第1保持部の径方向において前記規制部品の外周面と係合されており、
前記連結具は、前記貫通孔と前記第3凹部とに挿入される柱状の挿入部を有する、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項9】
前記第1連結部は、前記貫通孔の内部に設けられるとともに第1挿入孔を有する環状の第1弾性部材を有し、
前記第6連結部は、前記第3凹部の内部に設けられるとともに第2挿入孔を有する環状の第2弾性部材を有し、
前記連結具は、頭部と、前記頭部から延びるとともに前記第1挿入孔および前記第2挿入孔に挿入される前記挿入部とを有する連結ピンであり、
前記挿入部の外径は、前記第1挿入孔の内径以上に設定されるとともに、前記第2挿入孔の内径以上に設定されている、請求項8に記載の経路規制部材。
【請求項10】
前記連結具は、前記固定部と対向する対向面を有する頭部と、前記対向面から延びるとともに前記貫通孔および前記第3凹部に挿入される前記挿入部と、前記対向面に設けられた接着剤付き弾性部材とを有する連結ピンであり、
前記接着剤付き弾性部材が有する接着剤の一部は、前記貫通孔および前記第3凹部に浸透しており、
前記挿入部は、前記接着剤により前記第1連結部と接着されるとともに、前記接着剤により前記第6連結部と接着されている、請求項8に記載の経路規制部材。
【請求項11】
前記連結具は、前記挿入部を有する雄ねじと、前記雄ねじに締結される雌ねじとを有し、
前記第1連結部は、前記雄ねじおよび前記雌ねじによって前記第6連結部とねじ締結されている、請求項8に記載の経路規制部材。
【請求項12】
前記雌ねじは、前記第3凹部の内部に設けられるとともに前記第6連結部と一体に形成されたナットであり、
前記雄ねじは、頭部と、前記頭部から延びる前記挿入部とを有するボルトであり、
前記挿入部の先端は、前記貫通孔を貫通した状態で前記ナットに締結されている、請求項11に記載の経路規制部材。
【請求項13】
前記第1連結部は、前記固定部の外周面から前記第1保持部の径方向外側に向かって突出するリブを有し、
前記リブは、前記貫通孔の貫通方向から見た平面視において、前記貫通孔を囲むように形成されており、
前記リブは、前記ボルトの前記頭部と接触している、請求項12に記載の経路規制部材。
【請求項14】
前記規制部品は、一方向に直線状に延びるように形成された直線部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項15】
前記屈曲部品を第1屈曲部品としたときに、
前記規制部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する第2屈曲部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項16】
前記屈曲部品は、前記屈曲部品の軸方向と直交する方向に開口するとともに前記屈曲部品の軸方向の全長にわたって延びる第1挿入口を有し、
前記規制部品は、前記規制部品の軸方向と直交する方向に開口するとともに前記規制部品の軸方向の全長にわたって延びる第2挿入口を有し、
前記第1挿入口は、前記第2挿入口と連通している、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の経路規制部材と、
前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路規制部材およびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両の内部に配索されるワイヤハーネスとしては、電線部材と、その電線部材の経路を規制する経路規制部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。経路規制部材は、例えば、電線部材の配索経路における屈曲部に設けられる。そして、経路規制部材によって、電線部材における屈曲部の屈曲形状が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-47015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ワイヤハーネスでは、電線部材において経路規制部材を設ける必要のある個所毎に、その箇所に合わせた形状の経路規制部材を用意しなければならない。例えば、電線部材の屈曲部においては、その屈曲部における屈曲経路に合わせた形状の経路規制部材を用意する必要がある。したがって、経路規制部材における部品管理の煩雑化や高コスト化が問題となっていた。
【0005】
本開示の目的は、汎用性を向上できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、前記電線部材を保持するとともに屈曲部を有する第1保持部と、第1連結部と、第2連結部と、前記第1連結部と同一の構造を有する第3連結部と、前記第2連結部と同一の構造を有する第4連結部とを有する屈曲部品と、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第2連結部に連結される第5連結部と、前記第1連結部に連結される第6連結部とを有する規制部品と、を備え、前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、前記屈曲部品は、前記屈曲部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、前記第1連結部は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられており、前記第2連結部は、前記第2側壁における前記第1端部に設けられており、前記第3連結部は、前記第2側壁における前記第2端部に設けられており、前記第4連結部は、前記第1側壁における前記第2端部に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスによれば、汎用性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
図3図3は、第1実施形態のワイヤハーネスの一部を拡大して示す平面図である。
図4図4は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図5図5は、第1実施形態の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図6図6は、第1実施形態の直線部品を示す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態の直線部品を示す側面図である。
図8図8は、第1実施形態の屈曲部品を示す斜視図である。
図9図9は、第1実施形態の経路規制部材を示す断面斜視図である。
図10図10は、第1実施形態の経路規制部材を示す側面図である。
図11図11は、第1実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図12図12は、第1実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
図13図13は、第1実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
図14図14は、第1実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
図15図15は、第1実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
図16図16は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図17図17は、変更例の経路規制部材を示す平面図である。
図18図18は、変更例のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図19図19は、変更例の直線部品を示す斜視図である。
図20図20は、変更例の屈曲部品を示す斜視図である。
図21図21は、第2実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図22図22は、第2実施形態の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図23図23は、第2実施形態の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図24図24は、第2実施形態の経路規制部材を示す平面図である。
図25図25は、第2実施形態の経路規制部材を示す端面図(図24における25-25線端面図)である。
図26図26は、変更例の経路規制部材を示す分解端面図である。
図27図27は、変更例の経路規制部材を示す端面図である。
図28図28は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図29図29は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図30図30は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
図31図31は、変更例の経路規制部材を示す分解側面図である。
図32図32は、変更例のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、前記電線部材を保持するとともに屈曲部を有する第1保持部と、第1連結部と、第2連結部と、前記第1連結部と同一の構造を有する第3連結部と、前記第2連結部と同一の構造を有する第4連結部とを有する屈曲部品と、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第2連結部に連結される第5連結部と、前記第1連結部に連結される第6連結部とを有する規制部品と、を備え、前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、前記屈曲部品は、前記屈曲部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、前記第1連結部は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられており、前記第2連結部は、前記第2側壁における前記第1端部に設けられており、前記第3連結部は、前記第2側壁における前記第2端部に設けられており、前記第4連結部は、前記第1側壁における前記第2端部に設けられている。
【0010】
この構成によれば、屈曲部品の第1端部では、第1側壁に第1連結部が設けられるとともに、第2側壁に第2連結部が設けられる。一方、屈曲部品の第2端部では、第2側壁に第1連結部と同一の構造を有する第3連結部が設けられるとともに、第1側壁に第2連結部と同一の構造を有する第4連結部が設けられる。このように、屈曲部品の第2端部における第3連結部および第4連結部は、屈曲部品の第1端部における第1連結部および第2連結部の構造を180°回転させた構造に形成されている。このため、規制部品を、屈曲部品の第1端部に連結させることができるとともに、屈曲部品の第2端部にも連結させることができる。すなわち、規制部品を、屈曲部品の第1端部および第2端部のいずれにも連結させることができる。これにより、電線部材の経路に合わせて屈曲部品に対する規制部品の連結方向を適宜変更することで、同一構成の屈曲部品と同一構成の規制部品とを2種類以上の屈曲経路で共用することができる。したがって、屈曲経路毎に形状の異なる経路規制部材を用意する必要がある従来に比べて、経路規制部材の汎用性を向上させることができる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記規制部品は、前記第1連結部と同一の構造を有する前記第5連結部と、前記第2連結部と同一の構造を有する前記第6連結部と、前記第5連結部と同一の構造を有する第7連結部と、前記第6連結部と同一の構造を有する第8連結部とを有し、前記第2保持部は、第2底壁と、前記第2底壁の両側縁から突出する第3側壁および第4側壁とを有し、前記第2保持部は、前記第2保持部の軸方向における第3端部および第4端部を有し、前記第5連結部は、前記第3側壁における前記第3端部に設けられており、前記第6連結部は、前記第4側壁における前記第3端部に設けられており、前記第7連結部は、前記第4側壁における前記第4端部に設けられており、前記第8連結部は、前記第3側壁における前記第4端部に設けられていてもよい。
【0012】
この構成によれば、規制部品の第3端部では、第3側壁に第5連結部が設けられるとともに、第4側壁に第6連結部が設けられる。一方、規制部品の第4端部では、第4側壁に第5連結部と同一の構造を有する第7連結部が設けられるとともに、第3側壁に第6連結部と同一の構造を有する第8連結部が設けられる。このように、規制部品の第4端部における第7連結部および第8連結部の構造は、規制部品の第3端部における第5連結部および第6連結部の構造を180°回転させた構造に形成されている。このため、屈曲部品を、規制部品の第3端部および第4端部のいずれにも連結させることができる。これにより、電線部材の経路に合わせて規制部品に対する屈曲部品の連結方向を適宜変更することで、同一構成の屈曲部品と同一構成の規制部品とを2種類以上の屈曲経路で共用することができる。したがって、経路規制部材の汎用性を向上させることができる。
【0013】
[3]上記[1]または[2]において、前記第1連結部は、前記経路規制部材の軸方向において前記第6連結部と係合されており、前記第2連結部は、前記経路規制部材の軸方向において前記第5連結部と係合されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1連結部が第6連結部に連結された状態では、第1連結部と第6連結部とが経路規制部材の軸方向において互いに係合される。また、第2連結部が第5連結部に連結された状態では、第2連結部と第5連結部とが経路規制部材の軸方向において互いに係合される。これらにより、経路規制部材の軸方向において屈曲部品に対して規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0015】
[4]上記[3]において、前記第1連結部は、前記第1側壁における前記第1端部から前記第1保持部の軸方向に向かって突出する突出部と、前記突出部の先端から前記第1側壁の高さ方向に向かって突出する係合突起とを有し、前記第6連結部は、前記突出部が嵌合する第1凹部と、前記係合突起が嵌合する第2凹部とを有し、前記係合突起の側面は、前記経路規制部材の軸方向において前記第2凹部の内側面と係合されていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1連結部が第6連結部に連結された状態では、第1連結部の係合突起の側面と第6連結部の第2凹部の内側面とが経路規制部材の軸方向において互いに係合される。これにより、経路規制部材の軸方向において屈曲部品に対して規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0017】
[5]上記[4]において、前記第1側壁および前記第2側壁の各々は、板状に形成されており、前記経路規制部材の軸方向に沿う前記係合突起の長さ寸法は、前記第1側壁の板厚方向に沿う前記第1側壁の長さ寸法よりも大きくてもよい。
【0018】
この構成によれば、経路規制部材の軸方向に沿う係合突起の長さ寸法、つまり第2凹部の内側面と係合する方向に沿う係合突起の長さ寸法が大きく形成される。このため、例えば電線部材等から経路規制部材に対して、係合突起の側面と第2凹部の内側面とを互いに近づけるような外力が加わった場合であっても、その外力に起因して係合突起が損傷することを好適に抑制できる。
【0019】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記屈曲部品は、前記第1側壁の高さ方向から見た平面視において、前記第1連結部と重なる位置に設けられた第1係合部と、前記第2連結部と重なる位置に設けられた第2係合部と、前記第3連結部と重なる位置に設けられた第3係合部と、前記第4連結部と重なる位置に設けられた第4係合部と、を有し、前記規制部品は、前記経路規制部材の周方向において前記第2係合部と係合される第5係合部と、前記経路規制部材の周方向において前記第1係合部と係合される第6係合部と、を有し、前記第3係合部および前記第5係合部の各々は、前記第1係合部と同一の構造を有し、前記第4係合部および前記第6係合部の各々は、前記第2係合部と同一の構造を有してもよい。
【0020】
この構成によれば、屈曲部品の第1係合部と規制部品の第6係合部とが経路規制部材の周方向において互いに係合される。また、屈曲部品の第2係合部と規制部品の第5係合部とが経路規制部材の周方向において互いに係合される。これらにより、経路規制部材の周方向において屈曲部品に対して規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0021】
[7]上記[6]において、前記第1係合部は、前記第1保持部の外周面から前記第1保持部の軸方向に向かって前記第1保持部の外方に突出する基部と、前記基部の先端から前記第1保持部の周方向に向かって突出する弾性片と、前記弾性片の先端に設けられるとともに前記第6係合部に係合される係合爪とを有してもよい。
【0022】
この構成によれば、第1係合部の弾性片の弾性変形を利用したスナップフィット方式により、第1係合部の係合爪と第6係合部とを好適に係合させることができる。これら第1係合部の係合爪と第6係合部とが係合されることにより、経路規制部材の周方向において屈曲部品に対して規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0023】
[8]上記[1]または[2]において、前記第1連結部と前記第6連結部とを連結する連結具を更に備え、前記第1連結部は、前記第1側壁の外周面から前記第1保持部の軸方向に向かって前記第1保持部の外方に突出する固定部と、前記固定部に設けられた貫通孔とを有し、前記第6連結部は、前記貫通孔と連通する第3凹部を有し、前記固定部は、前記第1保持部の径方向において前記規制部品の外周面と係合されており、前記連結具は、前記貫通孔と前記第3凹部とに挿入される柱状の挿入部を有してもよい。
【0024】
この構成によれば、連結具の挿入部が第1連結部の貫通孔と第6連結部の第3凹部とに挿入される。この連結具により、第1連結部と第6連結部とが連結される。また、第1連結部が第6連結部に連結された状態では、第1連結部の固定部と規制部品の外周面とが第1保持部の径方向において互いに係合される。これにより、第1保持部の径方向において屈曲部品に対して規制部品が相対移動することを好適に抑制できる。
【0025】
[9]上記[8]において、前記第1連結部は、前記貫通孔の内部に設けられるとともに第1挿入孔を有する環状の第1弾性部材を有し、前記第6連結部は、前記第3凹部の内部に設けられるとともに第2挿入孔を有する環状の第2弾性部材を有し、前記連結具は、頭部と、前記頭部から延びるとともに前記第1挿入孔および前記第2挿入孔に挿入される前記挿入部とを有する連結ピンであり、前記挿入部の外径は、前記第1挿入孔の内径以上に設定されるとともに、前記第2挿入孔の内径以上に設定されていてもよい。
【0026】
この構成によれば、連結ピンの挿入部が、貫通孔の内部に設けられた第1弾性部材の第1挿入孔と第3凹部の内部に設けられた第2弾性部材の第2挿入孔とに挿入される。この連結ピンにより、第1連結部と第6連結部とが連結される。このとき、挿入部の外径は、第1挿入孔の内径以上に設定されるとともに、第2挿入孔の内径以上に設定されている。このため、挿入部の外周面に第1弾性部材の内周面を好適に密着させることができるとともに、挿入部の外周面に第2弾性部材の内周面を好適に密着させることができる。この結果、第1挿入孔および第2挿入孔から連結ピンが抜けることを好適に抑制できる。
【0027】
[10]上記[8]または[9]において、前記連結具は、前記固定部と対向する対向面を有する頭部と、前記対向面から延びるとともに前記貫通孔および前記第3凹部に挿入される前記挿入部と、前記対向面に設けられた接着剤付き弾性部材とを有する連結ピンであり、前記接着剤付き弾性部材が有する接着剤の一部は、前記貫通孔および前記第3凹部に浸透しており、前記挿入部は、前記接着剤により前記第1連結部と接着されるとともに、前記接着剤により前記第6連結部と接着されていてもよい。
【0028】
この構成によれば、連結ピンの挿入部が接着剤により第1連結部および第6連結部と接着される。これにより、貫通孔および第3凹部から連結ピンが抜けることを好適に抑制できる。
【0029】
[11]上記[8]において、前記連結具は、前記挿入部を有する雄ねじと、前記雄ねじに締結される雌ねじとを有し、前記第1連結部は、前記雄ねじおよび前記雌ねじによって前記第6連結部とねじ締結されていてもよい。
【0030】
この構成によれば、雄ねじと雌ねじとを用いたねじ締結により、第1連結部と第6連結部とが連結される。これにより、連結具である雄ねじおよび雌ねじが第1連結部の貫通孔および第6連結部の第3凹部から抜けることを好適に抑制できる。
【0031】
[12]上記[11]において、前記雌ねじは、前記第3凹部の内部に設けられたナットであり、前記第6連結部は、前記ナットをインサート品として成形されており、前記雄ねじは、頭部と、前記頭部から延びる前記挿入部とを有するボルトであり、前記挿入部の先端は、前記貫通孔を貫通した状態で前記ナットに締結されていてもよい。
【0032】
この構成によれば、ナットが第6連結部と一体に形成されるとともに、そのナットにボルトの挿入部の先端が締結される。これらナットとボルトとを用いたねじ締結により、第1連結部と第6連結部とを好適に連結することができる。
【0033】
[13]上記[12]において、前記第1連結部は、前記固定部の外周面から前記第1保持部の径方向外側に向かって突出するリブを有し、前記リブは、前記貫通孔の貫通方向から見た平面視において、前記貫通孔を囲むように形成されており、前記リブは、前記ボルトの前記頭部と接触していてもよい。
【0034】
この構成によれば、固定部の外周面のうちボルトの頭部と接触する部分にリブが設けられる。このリブによって固定部の剛性を高めることができる。このため、ボルトをナットに締結する際に、その締結力によって固定部に割れ等が発生することを好適に抑制できる。
【0035】
[14]上記[1]から[13]のいずれかにおいて、前記規制部品は、一方向に直線状に延びるように形成された直線部品であってもよい。
この構成によれば、直線部品を、屈曲部品の第1端部および第2端部のいずれにも連結させることができる。これにより、電線部材の経路に合わせて屈曲部品に対する直線部品の連結方向を適宜変更することで、同一構成の屈曲部品と同一構成の直線部品とを2種類以上の屈曲経路で共用することができる。したがって、経路規制部材の汎用性を向上させることができる。
【0036】
[15]上記[1]から[13]のいずれかにおいて、前記屈曲部品を第1屈曲部品としたときに、前記規制部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する第2屈曲部品であってもよい。
【0037】
この構成によれば、互いに同一の構造を有する2つの第1屈曲部品と第2屈曲部品とが直接連結される。これにより、屈曲部品が1つの場合に比べて、経路規制部材の曲げ角度を変更することができる。このように、同一構成の屈曲部品を連結する数を調整することにより、経路規制部材の曲げ角度を容易に変更することができる。
【0038】
[16]上記[1]から[15]のいずれかにおいて、前記屈曲部品は、前記屈曲部品の軸方向と直交する方向に開口するとともに前記屈曲部品の軸方向の全長にわたって延びる第1挿入口を有し、前記規制部品は、前記規制部品の軸方向と直交する方向に開口するとともに前記規制部品の軸方向の全長にわたって延びる第2挿入口を有し、前記第1挿入口は、前記第2挿入口と連通していてもよい。
【0039】
この構成によれば、屈曲部品の軸方向と直交する方向に開口する第1挿入口と、規制部品の軸方向と直交する方向に開口する第2挿入口とが互いに連通される。これにより、電線部材の軸方向の端部にコネクタを取り付ける等の端末処理を行った後に、電線部材に対して第1挿入口および第2挿入口から経路規制部材を取り付けることが可能である。このように、電線部材に対して経路規制部材を後付け可能であるため、ワイヤハーネスの組立作業性を向上させることが可能となる。
【0040】
[17]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[16]のいずれかの経路規制部材と、前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える。
この構成によれば、上記[1]の経路規制部材と同様の効果を得ることができる。
【0041】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」、「平行」や「全長」は、厳密に直交、平行や全長の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交、平行や全長の場合も含まれる。本明細書において「同一」または「等しい」とは、正確に同一または正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状やU字状のように周方向の一部に切り欠き等を有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書の説明で使用される「環状」という用語は、ループを形成する任意の構造、または端部のない連続形状を指すことがある。「環状」の形状には、円形、楕円形、および、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、一部の図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。また、本明細書における「第1」「第2」「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0042】
(第1実施形態)
以下、経路規制部材およびワイヤハーネスの第1実施形態について説明する。
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両Vに搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、2個以上の電気機器同士を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前部に設置されたインバータM1と、そのインバータM1よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリM2とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ワイヤハーネス10の軸方向(長さ方向)の中間部分が車両Vの床下等の車室外を通るように車両Vに配索されている。インバータM1は、例えば、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータM1は、高圧バッテリM2の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリM2は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0043】
ワイヤハーネス10は、電線部材11を備えている。電線部材11は、1本以上の電線12と、電線12の外周を囲う筒状の外装部材13とを備えている。ワイヤハーネス10は、電線12の長さ方向の両端部に取り付けられたコネクタC1,C2を備えている。電線12の長さ方向の第1端部はコネクタC1を介してインバータM1と接続されるとともに、電線12の長さ方向の第2端部はコネクタC2を介して高圧バッテリM2と接続されている。
【0044】
電線12は、例えば、導体断面積が大きい太物電線である。ここで、本明細書における「太物電線」とは、導体断面積が10mm(所謂10sq)以上の電線である。外装部材13は、例えば、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材13は、例えば、飛翔物や水滴から内部の電線12を保護する機能を有している。外装部材13は、例えば、可撓性を有し、容易に屈曲可能である。可撓性を有する外装部材13の例としては、合成樹脂製のコルゲートチューブやゴム製の防水カバーが挙げられる。
【0045】
図2に示すように、電線部材11は、例えば、車両Vに搭載された状態において、二次元的または三次元的に屈曲されている。本実施形態の電線部材11は、X軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Aと、直線部14Aの端部に設けられた屈曲部15Aと、屈曲部15Aから図中右斜め下方に延びる直線部14Bとを有している。本実施形態の電線部材11は、直線部14Bの端部に設けられた屈曲部15Bと、屈曲部15BからX軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Cと、直線部14Cの端部に設けられた屈曲部15Cとを有している。本実施形態の電線部材11は、屈曲部15CからY軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Dと、直線部14Dの端部に設けられた屈曲部15Dと、屈曲部15DからX軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Eとを有している。本実施形態の電線部材11は、直線部14Eの端部に設けられた屈曲部15Eと、屈曲部15Eから図中右斜め上方に延びる直線部14Fとを有している。このように、本実施形態の電線部材11は、5つの屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eを有している。
【0046】
屈曲部15Aは、例えば、電線部材11の経路を曲げ角度θ1で屈曲させるように形成されている。ここで、曲げ角度θ1は、直線部14Aの中心軸線L1と直線部14Bの中心軸線L2とがなす角度である。屈曲部15Aは、曲げ角度θ1が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Aは、例えば、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を図中右方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Aは、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ1で右曲げするように形成されている。
【0047】
屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2と直線部14Cの中心軸線L3とがなす曲げ角度θ2が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を図中左方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Bは、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ2で左曲げするように形成されている。屈曲部15Cは、例えば、直線部14Cの中心軸線L3と直線部14Dの中心軸線L4とがなす曲げ角度θ3が90°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Cは、例えば、直線部14Cの中心軸線L3に対して電線部材11の経路を90°の曲げ角度θ3で左曲げするように形成されている。屈曲部15Dは、例えば、直線部14Dの中心軸線L4と直線部14Eの中心軸線L5とがなす曲げ角度θ4が90°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Dは、例えば、直線部14Dの中心軸線L4に対して電線部材11の経路を90°の曲げ角度θ4で右曲げするように形成されている。屈曲部15Eは、例えば、直線部14Eの中心軸線L5と直線部14Fの中心軸線L6とがなす曲げ角度θ5が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Eは、例えば、直線部14Eの中心軸線L5に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ5で左曲げするように形成されている。
【0048】
ワイヤハーネス10は、電線部材11の経路を規制する1つ以上の経路規制部材20を備えている。経路規制部材20は、電線部材11の外周に取り付けられている。経路規制部材20は、電線部材11における複数の屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eの少なくとも1つに設けられ、当該屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eにおける電線部材11の屈曲形状を維持する。本実施形態のワイヤハーネス10は、5つの経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eを備えている。5つの経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eは、5つの屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eにそれぞれ対応して設けられている。
【0049】
(経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eの構成)
複数の経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eは、例えば、電線部材11の長さ方向において互いに離れて設けられている。経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eの各々は、例えば、1つ以上の直線部品30と、1つ以上の屈曲部品60とを備えている。経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eは、例えば、対応する屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eの屈曲形状に合わせて、直線部品30と屈曲部品60との組み合わせが異なるように設定されている。ここで、各経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eが有する直線部品30は互いに同一の構造を有しており、各経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eが有する屈曲部品60は互いに同一の構造を有している。
【0050】
(経路規制部材20Aの構成)
図3および図4に示すように、経路規制部材20Aは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。以下の説明では、便宜上、屈曲部品60よりも図中左に設けられた直線部品30を「直線部品30A」と称し、屈曲部品60よりも図中右に設けられた直線部品30を「直線部品30B」と称する場合がある。
【0051】
直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60の各々は、外装部材13を保持する。外装部材13は、例えば、直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60が取り付けられていない状態よりも曲がり難くなっている。直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60は、例えば、金属製または樹脂製である。本実施形態の直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60は、樹脂製である。直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール等の合成樹脂を用いることができる。直線部品30A,30Bの材料と屈曲部品60の材料とは、互いに異なる材料であってもよいし、互いに同一の材料であってもよい。
【0052】
直線部品30Aは、例えば、電線部材11の経路のうち直線部14Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。直線部品30Bは、例えば、電線部材11の経路のうち直線部14Bにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。各直線部品30A,30Bは、直線部14A,14Bにおける電線部材11の経路をそれぞれ規制する。各直線部品30A,30Bは、電線部材11を保持する保持部31を備えている。
【0053】
屈曲部品60は、例えば、電線部材11の経路のうち屈曲部15Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。屈曲部品60は、屈曲部15Aにおける電線部材11の経路を規制する。屈曲部品60は、電線部材11を保持する保持部61を有している。
【0054】
(直線部品30A,30Bの構成)
次に、直線部品30Aの具体的構造について説明する。なお、直線部品30Bは、直線部品30Aと同一の構造を有しているため、直線部品30Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
図5および図6に示すように、本実施形態の直線部品30Aは、保持部31と、互いに同一の構造を有する2つの連結部40A,40Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部45A,45Bとを備えている。本実施形態の直線部品30Aは、互いに同一の構造を有する2つの係合部50A,50Bと、互いに同一の構造を有する2つの係合部55A,55Bとを備えている。直線部品30Aは、例えば、XY平面における直線部品30Aの中心を通るとともにZ軸方向に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として点対称となる形状に形成されている。直線部品30Aは、例えば、Z軸方向から見た平面形状が、Z軸方向に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として点対称となるように形成されている。
【0056】
図4に示すように、保持部31は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部31の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。保持部31は、一方向に直線状に延びる形状に形成されている。すなわち、筒状をなす保持部31の軸方向は、一方向に直線状に延びている。
【0057】
保持部31は、例えば、底壁32と、底壁32の両側縁から突出する2つの側壁33,34とを有している。底壁32は、例えば、X軸方向に沿って直線状に延びている。底壁32の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。
【0058】
各側壁33,34は、底壁32と連続して一体に形成されている。各側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向において互いに対向している。各側壁33,34は、例えば、板状に形成されている。各側壁33,34は、例えば、Z軸方向に沿って直線状に延びるとともに、X軸方向に沿って直線状に延びている。各側壁33,34は、例えば、底壁32の長さ方向の全長にわたって延びている。
【0059】
図5に示すように、直線部品30Aは、直線部品30Aの軸方向と直交する方向に開口する挿入口35を有している。挿入口35は、側壁33の上端と側壁34の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口35は、例えば、直線部品30Aの軸方向に沿って直線部品30Aの軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口35は、直線部品30Aの軸方向と直交する方向に開口するとともに、直線部品30Aの軸方向の両端に開口するように形成されている。
【0060】
直線部品30Aは、直線部品30Aの軸方向における端部36および端部37を有している。端部36は、例えば、屈曲部品60と対向する端部である。端部37は、直線部品30Aの軸方向において端部36と反対側に設けられた端部である。
【0061】
図6に示すように、連結部40Aは、側壁34における端部36に設けられている。連結部40Bは、側壁33における端部37に設けられている。2つの連結部40A,40Bは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。
【0062】
連結部45Aは、側壁33における端部36に設けられている。連結部45Bは、側壁34における端部37に設けられている。2つの連結部45A,45Bは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。
【0063】
2つの係合部50A,50Bは、Z軸方向から見た平面視において、2つの連結部40A,40Bとそれぞれ重なる位置に設けられている。2つの係合部50A,50Bは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。
【0064】
係合部55Aは、側壁33における端部36に設けられている。係合部55Bは、側壁34における端部37に設けられている。2つの係合部55A,55Bは、Z軸方向から見た平面視において、2つの連結部45A,45Bとそれぞれ重なる位置に設けられている。2つの係合部55A,55Bは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品30Aの中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。
【0065】
次に、連結部40Aの具体的構造について説明する。なお、連結部40Bは、連結部40Aと同一の構造を有しているため、連結部40Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0066】
連結部40Aは、側壁34における端部36から保持部31の軸方向に向かって突出する突出部41と、突出部41の先端から側壁34の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に向かって突出する係合突起42とを有している。連結部40Aは、突出部41と係合突起42とが連続して一体に形成されている。
【0067】
突出部41は、側壁34と連続して一体に形成されている。突出部41は、例えば、側壁34の高さ方向の一部に設けられている。突出部41は、例えば、端部36における側壁34の下端部と接続されるように設けられている。突出部41は、例えば、直線部品30Aの軸方向(ここでは、X軸方向)に沿って直線状に延びている。突出部41は、例えば、側壁34の板厚方向(ここでは、Y軸方向)に沿って側壁34の板厚方向の全長にわたって形成されている。Y軸方向に沿う突出部41の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う側壁34の長さ寸法と等しい。
【0068】
係合突起42は、突出部41の先端における上面からZ軸方向に向かって突出している。係合突起42は、例えば、突出部41の長さ方向(ここでは、X軸方向)の一部に設けられている。係合突起42は、例えば、側壁34の高さ方向に沿って直線状に延びている。連結部40Aでは、端部36における側壁34と、突出部41の上面と、係合突起42の側面とによって凹部43が形成されている。Y軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う突出部41の長さ寸法と等しい。
【0069】
図7に示すように、直線部品30Aの軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法、ここではX軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法は、例えば、X軸方向に沿う凹部43の長さ寸法と等しい。X軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法は、例えば、側壁34の板厚方向(ここでは、Y軸方向)に沿う側壁34の長さ寸法よりも大きい。なお、X軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う側壁34の長さ寸法と等しくてもよいし、Y軸方向に沿う側壁34の長さ寸法よりも小さくてもよい。
【0070】
次に、連結部45Aの具体的構造について説明する。なお、連結部45Bは、連結部45Aと同一の構造を有しているため、連結部45Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0071】
連結部45Aは、端部36における側壁33の軸方向の端面から端部37に向かって凹む第1凹部46を有している。第1凹部46は、例えば、保持部31の周方向において、側壁33の下端部から底壁32の一部まで延びるように形成されている。第1凹部46は、例えば、側壁33を厚さ方向(ここでは、Y軸方向)に貫通するように形成されている。
【0072】
第1凹部46は、第1内側面46Aと、第2内側面46Bと、底面46Cとを有している。第1内側面46Aは、Z軸方向において、第2内側面46Bよりも図中上方に設けられている。第1内側面46Aは、例えば、Z軸方向において、突出部41の上面と同一の位置に設けられている。第1内側面46Aは、X軸方向に沿って延びている。
【0073】
第2内側面46Bは、例えば、Z軸方向において、第1内側面46Aとの間に突出部41のZ軸方向に沿う長さ寸法よりも大きい間隔を空けて設けられている。図5に示すように、第2内側面46Bは、例えば、Z軸方向において、屈曲部品60の係合部80Aと係合可能な位置に設けられている。第2内側面46Bは、経路規制部材20Aの周方向において係合部80Aと係合する係合部55Aを構成している。図7に示すように、第2内側面46Bは、X軸方向に沿って延びている。底面46Cは、例えば、Z軸方向に沿って延びている。底面46Cは、Z軸方向において、第1内側面46Aから第2内側面46Bまで延びている。
【0074】
第1凹部46は、突出部41が嵌合可能な大きさに形成されている。第1凹部46の凹み量、つまりX軸方向に沿う第1凹部46の長さ寸法は、例えば、X軸方向に沿う突出部41の長さ寸法と等しい。
【0075】
連結部45Aは、第1内側面46Aから図中上方に向かって凹む第2凹部47を有している。第2凹部47は、例えば、係合突起42が嵌合可能な大きさに形成されている。第2凹部47の凹み量、つまりZ軸方向に沿う第2凹部47の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法と等しい。X軸方向に沿う第2凹部47の長さ寸法は、例えば、X軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法と等しい。
【0076】
次に、係合部50Aの具体的構造について説明する。なお、係合部50Bは、係合部50Aと同一の構造を有しているため、係合部50Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。なお、係合部50Bも参照しながら、係合部50Aの構造について説明する。
【0077】
図6に示すように、係合部50Aは、例えば、底壁32の外周面に設けられた基部51を有している。基部51は、例えば、底壁32の外周面と連続して一体に形成されている。基部51は、底壁32の外周面から保持部31の軸方向に向かって保持部31の外方に突出するように形成されている。基部51は、保持部31の軸方向において、側壁34の軸方向の端面よりも外方に突出するように形成されている。
【0078】
係合部50Aは、基部51の先端から保持部31の周方向に向かって突出する弾性変形可能な弾性片52と、弾性片52の突出先端に設けられた係合爪53とを有している。弾性片52は、例えば、X軸方向において、底壁32と離れた位置に設けられている。弾性片52は、例えば、底壁32の外周面に沿った形状に形成されている。X軸方向から見た弾性片52の形状は、例えば、円弧状に形成されている。弾性片52は、例えば、X軸方向から見た平面視において、保持部31と重ならないように設けられている。弾性片52は、例えば、基部51の突出先端に接続された基端を固定端とし、基端とは反対側の先端を自由端とする片持ち状に形成されている。Y軸方向に沿う弾性片52の長さ寸法は、Y軸方向に沿う底壁32の長さ寸法よりも小さい。弾性片52は、例えば、弾性変形による保持部31の径方向への撓みが可能に構成されている。
【0079】
係合爪53は、例えば、弾性片52の先端から保持部31の周方向と交差する方向に向かって突出している。係合爪53は、例えば、弾性片52の先端から保持部31の径方向内側に向かって突出するように形成されている。係合爪53は、X軸方向から見た平面視において、保持部31と重なるように設けられている。
【0080】
次に、係合部55A,55Bの具体的構造について説明する。係合部55Aは、連結部45Aの第1凹部46の第2内側面46Bにより構成されている。係合部55Bは、連結部45Bの第1凹部46の第2内側面46Bにより構成されている。
【0081】
(屈曲部品60の構成)
次に、屈曲部品60の具体的構造について説明する。
図5および図8に示すように、本実施形態の屈曲部品60は、保持部61と、互いに同一の構造を有する2つの連結部70A,70Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部75A,75Bとを備えている。図5に示すように、本実施形態の屈曲部品60は、互いに同一の構造を有する2つの係合部80A,80Bと、互いに同一の構造を有する2つの係合部85A,85Bとを備えている。
【0082】
図4に示すように、保持部61は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部61の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。図3に示すように、保持部61は、所定の曲げ角度θで屈曲する屈曲部60Rを有する屈曲形状に形成されている。本実施形態の屈曲部60Rにおける曲げ角度θは、45°に設定されている。筒状をなす保持部61の軸方向は、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。
【0083】
保持部61は、例えば、底壁62と、底壁62の両側縁から突出する2つの側壁63,64とを有している。底壁62は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。底壁62は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。図5に示すように、底壁62の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。底壁62の横断面形状は、例えば、底壁32の横断面形状と同一の形状および同一の大きさに形成されている。
【0084】
各側壁63,64は、底壁62と連続して一体に形成されている。各側壁63,64は、例えば、底壁62の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁63,64は、例えば、底壁62の幅方向において互いに対向している。Z軸方向に沿う側壁63,64の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う側壁33,34の長さ寸法と等しい。
【0085】
図3に示すように、側壁63は、例えば、底壁62の幅方向の両端縁のうち屈曲部60Rの曲げ内側に設けられている。側壁64は、例えば、底壁62の幅方向の両端縁のうち屈曲部60Rの曲げ外側に設けられている。側壁63,64の内周面および外周面は、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。保持部61の軸方向に沿う側壁63の長さ寸法は、保持部61の軸方向に沿う側壁64の長さ寸法よりも小さい。
【0086】
図5に示すように、屈曲部品60は、屈曲部品60の軸方向と直交する方向に開口する挿入口65を有している。挿入口65は、側壁63の上端と側壁64の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口65は、例えば、屈曲部品60の軸方向に沿って屈曲部品60の軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口65は、屈曲部品60の軸方向と直交する方向に開口するとともに、屈曲部品60の軸方向の両端に開口するように形成されている。
【0087】
屈曲部品60は、屈曲部品60の軸方向における端部66および端部67を有している。端部66は、例えば、直線部品30Aの端部36と対向する端部である。端部67は、屈曲部品60の軸方向において端部66と反対側に設けられた端部である。端部67は、例えば、直線部品30B(図3参照)の端部37と対向する端部である。
【0088】
連結部70Aは、側壁63における端部66に設けられている。連結部70Bは、側壁64における端部67に設けられている。連結部75Aは、側壁64における端部66に設けられている。連結部75Bは、側壁63における端部67に設けられている。屈曲部品60の端部66では、側壁63に連結部70Aが設けられるとともに、側壁64に連結部75Aが設けられている。一方、屈曲部品60の端部67では、側壁64に連結部70Aと同一の構造を有する連結部70Bが設けられるとともに、側壁63に連結部75Aと同一の構造を有する連結部75Bが設けられている。このように端部67に設けられた連結部70B,75Bは、端部66に設けられた連結部70A,75Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。
【0089】
2つの係合部80A,80Bは、Z軸方向から見た平面視において、2つの連結部70A,70Bとそれぞれ重なる位置に設けられている。2つの係合部85A,85Bは、Z軸方向から見た平面視において、2つの連結部75A,75Bとそれぞれ重なる位置に設けられている。端部67に設けられた係合部80B,85Bは、端部66に設けられた係合部80A,85Aを180°回転させた構造に形成されている。
【0090】
ここで、2つの連結部70A,70Bの各々は、直線部品30Aの連結部40Aと同一の構造を有している。すなわち、2つの連結部70A,70Bの各々は、突出部41と係合突起42と凹部43とを有している。2つの連結部75A,75Bの各々は、直線部品30Aの連結部45Aと同一の構造を有している。すなわち、2つの連結部75A,75Bの各々は、第1凹部46と第2凹部47とを有している。2つの係合部80A,80Bの各々は、直線部品30Aの係合部50Aと同一の構造を有している。すなわち、2つの係合部80A,80Bの各々は、基部51と弾性片52と係合爪53とを有している。2つの係合部85A,85Bの各々は、直線部品30Aの係合部55Aと同一の構造を有している。すなわち、2つの係合部85A,85Bの各々は、連結部75A,75Bがそれぞれ有する第1凹部46の第2内側面46Bにより構成されている。ここでは、連結部70A,70Bと連結部75A,75Bと係合部80A,80Bと係合部85A,85Bの構造についての詳細な説明を省略する。
【0091】
図4図9および図10に示すように、直線部品30Aは、屈曲部品60の軸方向の端部66と連結されている。詳述すると、図9に示すように、直線部品30Aの連結部40Aと屈曲部品60の連結部75Aとが連結されている。具体的には、連結部40Aの突出部41が連結部75Aの第1凹部46に嵌合され、連結部40Aの係合突起42が連結部75Aの第2凹部47に嵌合されている。そして、連結部40Aの係合突起42の側面と連結部75Aの第2凹部47の内側面とが経路規制部材20Aの軸方向において互いに係合されている。図9および図10に示すように、直線部品30Aの連結部45Aと屈曲部品60の連結部70Aとが連結されている。具体的には、連結部70Aの突出部41が連結部45Aの第1凹部46に嵌合され、連結部70Aの係合突起42が連結部45Aの第2凹部47に嵌合されている。そして、連結部70Aの係合突起42の側面と連結部45Aの第2凹部47の内側面とが経路規制部材20Aの軸方向において互いに係合されている。これらにより、経路規制部材20Aの軸方向(図中横方向)において、直線部品30Aに対して屈曲部品60が相対移動することを好適に抑制できる。さらに、図9に示すように、直線部品30Aの係合部50Aの係合爪53と屈曲部品60の係合部85Aとが経路規制部材20Aの周方向において互いに係合されている。係合部50Aと係合部85Aとは、例えば、係合部50Aの弾性片52の弾性変形を利用したスナップフィット方式により互いに係合される。また、屈曲部品60の係合部80Aの係合爪53と直線部品30Aの係合部55Aとが経路規制部材20Aの周方向において互いに係合されている。係合部55Aと係合部80Aとは、例えば、係合部80Aの弾性片52の弾性変形を利用したスナップフィット方式により互いに係合される。これらにより、経路規制部材20Aの周方向において、直線部品30Aに対して屈曲部品60が相対移動することを好適に抑制できる。
【0092】
図4に示すように、直線部品30Bは、直線部品30Aと同様に、屈曲部品60の端部67と連結されている。
ここで、直線部品30A,30Bと屈曲部品60とが連結された状態の経路規制部材20Aでは、直線部品30Aの挿入口35と、屈曲部品60の挿入口65と、直線部品30Bの挿入口35とが互いに連通している。
【0093】
経路規制部材20Aの軸方向の第1端部では、直線部品30Aの端部37における保持部31よりも外方に突出するように連結部40Bおよび係合部50Bが設けられている。また、経路規制部材20Aの軸方向の第2端部では、直線部品30Bの端部36における保持部31よりも外方に突出するように連結部40Aおよび係合部50Aが設けられている。
【0094】
図3に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材13の長さ方向に対する経路規制部材20Aのスライド移動を規制するスライド規制部材90を有している。スライド規制部材90としては、例えば、樹脂製または金属製の結束バンド、カシメリングや粘着テープを用いることができる。本実施形態のスライド規制部材90は、粘着テープである。スライド規制部材90は、経路規制部材20Aの軸方向の第1端部および第2端部のそれぞれに設けられている。経路規制部材20Aの第1端部に設けられたスライド規制部材90は、例えば、直線部品30Aの端部37の外周面と、外装部材13の外周面とにわたって巻き付けられている。経路規制部材20Aの第2端部に設けられたスライド規制部材90は、例えば、直線部品30Bの端部36の外周面と、外装部材13の外周面とにわたって巻き付けられている。なお、図示は省略するが、スライド規制部材90は、図2に示した経路規制部材20B,20C,20D,20Eに対しても設けられている。
【0095】
(経路規制部材20Bの構成)
図2に示すように、経路規制部材20Bは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Bにおける直線部品30および屈曲部品60は、経路規制部材20Aにおける直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Bは、経路規制部材20Aの構造を180°回転させるようにして配置されている。換言すると、屈曲部品60は、右曲げ部分である屈曲部15Aと左曲げ部分である屈曲部15Bとで共通して利用することができる。すなわち、右曲げ部分である屈曲部15Aと左曲げ部分である屈曲部15Bとでは、同一構成の屈曲部品60を共用することができる。
【0096】
(経路規制部材20Dの構成)
図11に示すように、経路規制部材20Dは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Dにおける各直線部品30および各屈曲部品60は、経路規制部材20Aにおける直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。2つの屈曲部品60同士の連結は、直線部品30と屈曲部品60との連結と同様に行うことができる。2つの屈曲部品60は、例えば、1つの屈曲部品60(第1屈曲部品)の端部66と1つの屈曲部品60(第2屈曲部品)の端部67とを対向させた状態で連結されている。例えば、1つの屈曲部品60の端部66における連結部70A,75Aと1つの屈曲部品60の端部67における連結部75B,70Bとがそれぞれ連結される。例えば、1つの屈曲部品60の端部66における係合部80A,85Aと1つの屈曲部品60の端部67における係合部85B,80Bとがそれぞれ係合される。図2に示すように、曲げ角度θ4が90°である屈曲部15Dに対して設けられる経路規制部材20Dでは、2つの屈曲部品60を連なって繋げることにより、経路規制部材20Dにおける曲げ角度を調整している。すなわち、経路規制部材20では、直接連結する屈曲部品60の数を調整することにより、経路規制部材20における曲げ角度を調整することができる。
【0097】
(経路規制部材20Cの構成)
経路規制部材20Cは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Cにおける直線部品30および屈曲部品60は、経路規制部材20Dにおける直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Cは、経路規制部材20Dの構造を180°回転させるようにして配置されている。
【0098】
(経路規制部材20Eの構成)
経路規制部材20Eは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Eにおける直線部品30および屈曲部品60は、経路規制部材20Aにおける直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Eは、経路規制部材20Aの構造を時計回りに135°回転させるようにして配置されている。
【0099】
(経路規制部材20Aの製造方法)
次に、経路規制部材20Aの製造方法について説明する。
まず、図12に示す工程では、直線部品30Aと屈曲部品60とを準備し、直線部品30Aの端部36に端部66が対向するように屈曲部品60を配置する。続いて、屈曲部品60を、直線部品30Aの軸方向に対して傾けるようにして配置する。
【0100】
次に、図13に示す工程では、屈曲部品60を傾けた状態のまま、直線部品30Aの連結部45Aの第1凹部46内に屈曲部品60の連結部70Aを挿入させる。このとき、屈曲部品60の係合部80Aの弾性片52は、その弾性片52の先端に設けられた係合爪53が直線部品30Aの底壁32の外周面に接触することにより、保持部61の径方向外側に撓むように弾性変形している。
【0101】
次いで、屈曲部品60を図中矢印方向に回転させる。すると、屈曲部品60の係合部80Aの弾性片52が弾性変形した状態のまま屈曲部品60が直線部品30Aに対して相対回転する。その後、図14に示すように、係合部80Aの係合爪53が直線部品30Aの係合部55Aを乗り越えると、係合部80Aの弾性片52が元の形状に戻ろうと弾性復帰する。これにより、係合部80Aの係合爪53が直線部品30Aの係合部55Aに係合される。このとき、屈曲部品60の連結部70Aの係合突起42が直線部品30Aの連結部45Aの第2凹部47に嵌合される。以上の工程により、直線部品30Aに対して屈曲部品60が連結される。
【0102】
次に、図15に示す工程では、屈曲部品60の端部67に直線部品30Bを連結する。詳述すると、屈曲部品60の端部67に端部37が対向するように直線部品30Bを配置する。このとき、直線部品30Bを、屈曲部品60の軸方向に対して傾けるように配置する。そして、直線部品30Bを傾けた状態のまま、屈曲部品60の連結部75Bの第1凹部46内に直線部品30Bの連結部40Bを挿入させる。その後、直線部品30Bを図中矢印方向に回転させることにより、直線部品30Aと屈曲部品60との連結と同様に、直線部品30Bを屈曲部品60に連結させることができる。
【0103】
以上の工程により、図4に示した経路規制部材20Aを製造することができる。
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1-1)経路規制部材20は、電線部材11を保持するとともに屈曲部60Rを有する保持部61と、互いに同一の構造を有する2つの連結部70A,70Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部75A,75Bとを有する屈曲部品60を備えている。経路規制部材20は、電線部材11を保持する保持部31と、連結部75Aに連結される連結部40Aと、連結部70Aに連結される連結部45Aとを有する直線部品30を備えている。保持部61は、底壁62と、底壁62の両側縁から突出する側壁63および側壁64を有する。屈曲部品60は、屈曲部品60の軸方向における端部66および端部67を有する。連結部70Aは、側壁63における端部66に設けられている。連結部75Aは、側壁64における端部36に設けられている。連結部70Bは、側壁64における端部67に設けられている。連結部75Bは、側壁63における端部67に設けられている。
【0104】
この構成によれば、屈曲部品60の端部66では、側壁63に連結部70Aが設けられるとともに、側壁64に連結部75Aが設けられる。一方、屈曲部品60の端部67では、側壁64に連結部70Aと同一の構造を有する連結部70Bが設けられるとともに、側壁63に連結部75Aと同一の構造を有する連結部75Bが設けられる。このように、屈曲部品60の端部67における連結部70B,75Bは、屈曲部品60の端部66における連結部70A,75Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。このため、直線部品30を、屈曲部品60の端部66に連結させることができるとともに、屈曲部品60の端部67にも連結させることができる。すなわち、直線部品30を、屈曲部品60の端部66および端部67のいずれにも連結させることができる。これにより、電線部材11の経路に合わせて屈曲部品60に対する直線部品30の連結方向を適宜変更することで、同一構成の屈曲部品60と同一構成の直線部品30とを2種類以上の屈曲経路で共用することができる。したがって、屈曲経路毎に形状の異なる経路規制部材を用意する必要がある従来に比べて、経路規制部材20の汎用性を向上させることができる。
【0105】
(1-2)直線部品30の端部36では、側壁34に連結部40Aが設けられるとともに、側壁33に連結部45Aが設けられる。一方、直線部品30の端部37では、側壁33に連結部40Aと同一の構造を有する連結部40Bが設けられるとともに、側壁34に連結部45Aと同一の構造を有する連結部45Bが設けられる。このように、直線部品30の端部37における連結部40B,45Bは、直線部品30の端部36における連結部40A,45Aを180°回転させた構造に形成されている。このため、屈曲部品60を、直線部品30の端部36および端部37のいずれにも連結させることができる。これにより、電線部材11の経路に合わせて直線部品30に対する屈曲部品60の連結方向を適宜変更することで、同一構成の屈曲部品60と同一構成の直線部品30とを2種類以上の屈曲経路で共用することができる。したがって、屈曲経路毎に形状の異なる経路規制部材を用意する必要がある従来に比べて、経路規制部材20の汎用性を向上させることができる。
【0106】
(1-3)連結部40A,40Bが連結部70Aと同一の構造を有し、連結部45A,45Bが連結部75Aと同一の構造を有する。このため、連結部40Aに連結可能である連結部75Aには、他の屈曲部品60の連結部70Aが連結可能である。また、連結部45Aに連結可能である連結部70Aには、他の屈曲部品60の連結部75Aが連結可能である。これにより、2つの屈曲部品60を直接連結させることができる。同様に、2つの直線部品30を直接連結させることができる。したがって、経路規制部材20における直線部品30および屈曲部品60の組み合わせの自由度を向上させることができる。さらに、直線部品30および屈曲部品60の組み合わせを変更することにより、同一構成の直線部品30と同一構成の屈曲部品60を利用しつつも、種々の屈曲経路に対応可能な経路規制部材20を構成することができる。例えば、直接連結する屈曲部品60の数を変更することにより、経路規制部材20の曲げ角度を変更することができる。これらにより、経路規制部材20を構成する部品の種類が増加することを抑制しつつも、種々の屈曲経路に対応可能な経路規制部材20を構成することができる。この結果、直線部品30および屈曲部品60の汎用性を向上させることができる。
【0107】
(1-4)屈曲部品60の連結部70Aが直線部品30の連結部45Aに連結された状態では、連結部70Aの係合突起42の側面と連結部45Aの第2凹部47の内側面とが経路規制部材20の軸方向において互いに係合される。また、屈曲部品60の連結部75Aが直線部品30の連結部40Aに連結された状態では、連結部75Aの第2凹部47の内側面と連結部40Aの係合突起42とが経路規制部材20の軸方向において互いに係合される。これらにより、経路規制部材20の軸方向において屈曲部品60に対して直線部品30が相対移動することを好適に抑制できる。
【0108】
(1-5)経路規制部材20の軸方向に沿う係合突起42の長さ寸法、つまり第2凹部47の内側面と係合する方向に沿う係合突起42の長さ寸法が側壁63の板厚方向に沿う側壁63の長さ寸法よりも大きく形成される。このため、例えば電線部材11等から経路規制部材20に対して、係合突起42の側面と第2凹部47の内側面とを互いに近づけるような外力が加わった場合であっても、その外力に起因して係合突起42が損傷することを好適に抑制できる。
【0109】
(1-6)屈曲部品60の係合部80Aと直線部品30の係合部55Aとが経路規制部材20の周方向において互いに係合される。また、屈曲部品60の係合部85Aと直線部品30の係合部50Aとが経路規制部材20の周方向において互いに係合される。これにより、経路規制部材20の周方向において屈曲部品60に対して直線部品30が相対移動することを好適に抑制できる。
【0110】
(1-7)屈曲部品60の端部66には、係合部80Aと係合部85Aとが設けられる。また、屈曲部品60の端部67には、係合部80Aと同一の構造を有する係合部80Bと、係合部85Aと同一の構造を有する係合部85Bとが設けられる。このため、直線部品30を屈曲部品60の端部67に連結させた場合には、屈曲部品60の係合部80Bと直線部品30の係合部55Aとを互いに係合させ、屈曲部品60の係合部85Bと直線部品30の係合部50Aとを互いに係合させることができる。これにより、直線部品30を屈曲部品60の端部67に連結させた場合であっても、経路規制部材20の周方向において屈曲部品60に対して直線部品30が相対移動することを好適に抑制できる。
【0111】
(1-8)係合部80Aは、保持部61の外周面から保持部61の軸方向に向かって保持部61の外方に突出する基部51と、基部51の先端から保持部61の周方向に向かって突出する弾性片52と、弾性片52の先端に設けられる係合爪53とを有する。この構成によれば、係合部80Aの弾性片52の弾性変形を利用したスナップフィット方式により、係合部80Aの係合爪53と係合部55Aとを好適に係合させることができる。これら係合部80Aの係合爪53と係合部55Aとが係合されることにより、経路規制部材20の周方向において屈曲部品60に対して直線部品30が相対移動することを好適に抑制できる。
【0112】
(1-9)経路規制部材20では、直線部品30の軸方向と直交する方向に開口する挿入口35と、屈曲部品60の軸方向と直交する方向に開口する挿入口65とが互いに連通される。これにより、電線部材11の軸方向の端部にコネクタC1,C2を取り付ける等の端末処理を行った後に、電線部材11に対して挿入口35,65から経路規制部材20を取り付けることが可能である。このように、電線部材11に対して経路規制部材20を後付け可能であるため、ワイヤハーネス10の組立作業性を向上させることが可能となる。
【0113】
(第1実施形態の変更例)
第1実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0114】
・第1実施形態における経路規制部材20の構造は適宜変更することができる。例えば、直線部品30と屈曲部品60との組み合わせ、つまり直線部品30および屈曲部品60の個数や連結方向を変更することにより、経路規制部材20を種々の構造に形成することができる。経路規制部材20を構成する直線部品30および屈曲部品60のそれぞれの個数は特に限定されない。例えば、経路規制部材20を、2つ以上の屈曲部品60のみで構成するようにしてもよい。
【0115】
例えば図16および図17に示すように、2つの屈曲部品60A,60Bを連結させて経路規制部材20を構成するようにしてもよい。ここで、屈曲部品60A,60Bの各々は、図5等に示した屈曲部品60と同一の構造を有している。屈曲部品60Bは、例えば、屈曲部品60Aの構造を180°回転させた状態で配置されている。図16に示すように、屈曲部品60Aと屈曲部品60Bとは、屈曲部品60Aの端部67と屈曲部品60Bの端部67とを対向させた状態で互いに連結されている。例えば、屈曲部品60Aの側壁63の端部67に設けられた連結部75Bに、屈曲部品60Bの側壁64の端部67に設けられた連結部70Bが連結される。また、屈曲部品60Aの側壁64の端部67に設けられた連結部70Bが、屈曲部品60Bの側壁63の端部67に設けられた連結部75Bに連結される。
【0116】
図17に示すように、本変更例の経路規制部材20は、Z軸方向から見た平面視において、経路規制部材20の軸方向に沿って右曲げの屈曲部分と左曲げの屈曲部分とが連続する形状に形成される。
【0117】
・第1実施形態では、電線部材11の配索経路のうち屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eのみに対して経路規制部材20を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、直線部14A,14B,14C,14D,14E,14Fに対しても経路規制部材20を設けるようにしてもよい。例えば、経路規制部材20Bと経路規制部材20Cとの間に設けられた直線部14Cに対して経路規制部材20を設けるようにしてもよい。例えば、経路規制部材20Cと経路規制部材20Dとの間に設けられた直線部14Dに対して、経路規制部材20C,20Dの両方に連結される直線部品30を設けるようにしてもよい。この場合には、直線部14Dに設けた直線部品30によって、経路規制部材20Cと経路規制部材20Dとが一体に形成される。この場合の経路規制部材20C,20Dの平面形状は、S字状に形成される。
【0118】
・例えば図18および図19に示すように、直線部品30の外周面に1つ以上の補強リブ38を設けるようにしてもよい。本変更例の直線部品30は、2つの補強リブ38を有している。各補強リブ38は、例えば、保持部31の外周面の周方向全周にわたって形成されている。各補強リブ38は、例えば、側壁33の外周面と底壁32の外周面と側壁34の外周面とに連続して延びるように形成されている。各補強リブ38は、保持部31の外周面から保持部31の径方向外側に突出するように形成されている。この構成によれば、補強リブ38を設けたことにより、直線部品30の曲げ剛性を向上させることができる。
【0119】
・例えば図18および図20に示すように、屈曲部品60の外周面に1つ以上の補強リブ68を設けるようにしてもよい。本変更例の屈曲部品60は、2つの補強リブ68を有している。図20に示すように、各補強リブ68は、例えば、保持部61の外周面の周方向全周にわたって形成されている。各補強リブ68は、例えば、側壁63の外周面と底壁62の外周面と側壁64の外周面とに連続して延びるように形成されている。各補強リブ68は、保持部61の外周面から保持部61の径方向外側に突出するように形成されている。この構成によれば、補強リブ68を設けたことにより、屈曲部品60の曲げ剛性を向上させることができる。
【0120】
・例えば図18および図19に示すように、直線部品30の外周面に1つ以上の溝部39を設けるようにしてもよい。本変更例の直線部品30は、1つの溝部39を有している。溝部39は、例えば、直線部品30の軸方向において、2つの補強リブ38の間に設けられている。溝部39は、例えば、側壁33,34の上面から下方に凹むように形成されている。溝部39は、例えば、保持部61の外周面の周方向全周にわたって形成されている。
【0121】
図18に示すように、溝部39には、スライド規制部材90として機能する結束バンド91が収容される。溝部39は、直線部品30の軸方向において直線部品30に対して結束バンド91が相対移動することを規制している。
【0122】
・第1実施形態における屈曲部品60の外周面に、図18に示した溝部39と同様の溝部を設けるようにしてもよい。
(第2実施形態)
以下、経路規制部材およびワイヤハーネスの第2実施形態について説明する。
【0123】
図21および図22に示すように、本実施形態の経路規制部材120では、図4に示した直線部品30が直線部品130に変更されるとともに、図4に示した屈曲部品60が屈曲部品160に変更されている。本実施形態の経路規制部材120は、1つの直線部品130と1つの屈曲部品160とが連結されて構成されている。経路規制部材120では、直線部品130と屈曲部品160とが連結ピン190により連結されている。以下に、直線部品130、屈曲部品160および連結ピン190の構造について詳述する。なお、直線部品130および屈曲部品160のうち直線部品30および屈曲部品60と同様の構成には同じ符号を付して、説明の一部または全部を割愛する場合がある。
【0124】
(直線部品130の構成)
図23および図24に示すように、直線部品130は、底壁32と側壁33,34とを有する保持部31と、互いに同一の構造を有する連結部140A,140Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部150A,150Bとを備えている。直線部品130は、例えば、XY平面における直線部品130の中心を通るとともにZ軸方向に延びる直線部品130の中心軸を中心として点対称となる形状に形成されている。
【0125】
図23に示すように、保持部31は、例えば、補強リブ38を備えている。本実施形態の保持部31は、2つの補強リブ38を備えている。
連結部140Aは、端部36における側壁34の外周面に設けられている。連結部140Bは、端部37における側壁33の外周面に設けられている。連結部150Aは、端部36における側壁33に設けられている。連結部150Bは、端部37における側壁34に設けられている。2つの連結部140A,140Bは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品130の中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。2つの連結部150A,150Bは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品130の中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。
【0126】
次に、連結部140Aの具体的構造について説明する。なお、連結部140Bは、連結部140Aと同一の構造を有しているため、連結部140Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0127】
連結部140Aは、保持部31と一体に形成された固定部141と、固定部141に設けられた貫通孔142とを有している。連結部140Aは、例えば、貫通孔142の内部に設けられた環状の弾性部材143を有している。
【0128】
図23および図24に示すように、固定部141は、側壁34と連続して一体に形成されている。固定部141は、例えば、端部36における側壁34の外周面から保持部31の径方向外側に突出するように形成されている。固定部141は、側壁34の外周面から保持部31の軸方向に向かって保持部31の外方に突出するように形成されている。固定部141は、保持部31の軸方向において、端部36における側壁34の軸方向の端面よりも外方に突出している。図21に示すように、固定部141は、例えば、屈曲部品160の外周面を保持部31の径方向外側から被覆可能に設けられている。
【0129】
図23に示すように、固定部141は、例えば、板状に形成されている。固定部141は、側壁34の高さ方向(ここでは、Z軸方向)および保持部31の軸方向(ここでは、X軸方向)に延びる板状に形成されている。固定部141は、例えば、側壁34の上端から下方に延びている。Z軸方向に沿う固定部141の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う側壁34の長さ寸法よりも小さい。
【0130】
貫通孔142は、固定部141を板厚方向(ここでは、Y軸方向)に貫通するように形成されている。貫通孔142は、固定部141のうち側壁34の軸方向の端面よりも外方に突出した部分に設けられている。貫通孔142は、固定部141の高さ方向(ここでは、Z軸方向)の中間部に設けられている。貫通孔142の貫通方向から見た貫通孔142の平面形状は、任意の形状とすることができる。本実施形態では、貫通孔142の貫通方向から見た貫通孔142の平面形状が円形状に形成されている。
【0131】
弾性部材143は、貫通孔142の内部に配置されている。弾性部材143は、弾性変形可能に構成されている。弾性部材143の材料としては、例えば、ゴムやエラストマ等の弾性材料を用いることができる。本実施形態の弾性部材143は、ゴム製である。
【0132】
弾性部材143は、連結ピン190(図22参照)が挿入される挿入孔144を有している。挿入孔144は、弾性部材143を貫通するように形成されている。弾性部材143は、挿入孔144を有することにより環状に形成されている。弾性部材143は、弾性部材143の周方向全周にわたって周壁が連続した環状に形成されている。弾性部材143の外周形状は、貫通孔142の内周形状に対応する形状に形成されている。弾性部材143の内周形状は、連結ピン190の外周形状に対応する形状に形成されている。
【0133】
挿入孔144の貫通方向から見た挿入孔144の平面形状は、任意の形状とすることができる。本実施形態では、挿入孔144の貫通方向から見た挿入孔144の平面形状が円形状に形成されている。
【0134】
弾性部材143は、例えば、固定部141と一体に構成された射出成形体である。弾性部材143は、例えば、二色成形により固定部141と一体に構成されている。この場合には、固定部141と弾性部材143とを一体物として取り扱うことができる。なお、弾性部材143は、固定部141とは別体に構成されていてもよい。
【0135】
次に、連結部150Aの具体的構造について説明する。なお、連結部150Bは、連結部150Aと同一の構造を有しているため、連結部150Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0136】
図23に示すように、連結部150Aは、端部36における側壁33の外周面から保持部31の径方向内側に向かって凹む第3凹部151と、第3凹部151の内部に設けられた環状の弾性部材152とを備えている。本実施形態の第3凹部151は、側壁33を厚さ方向(ここでは、Y軸方向)に貫通するように形成されている。第3凹部151は、側壁33の高さ方向(ここでは、Z軸方向)の中間部に設けられている。第3凹部151は、側壁33,34の高さ方向において、貫通孔142と同じ位置に設けられている。
【0137】
側壁33の厚さ方向から見た第3凹部151の平面形状は、任意の形状とすることができる。第3凹部151の平面形状は、例えば、貫通孔142の平面形状と同様の形状に形成されている。本実施形態では、側壁33の厚さ方向から見た第3凹部151の平面形状が円形状に形成されている。
【0138】
図25に示すように、第3凹部151は、屈曲部品160の貫通孔142と連通するように形成されている。第3凹部151の開口幅は、例えば、貫通孔142の開口幅と等しい。例えば、第3凹部151の内径は、貫通孔142の内径と等しい。
【0139】
弾性部材152は、第3凹部151の内部に配置されている。弾性部材152は、弾性変形可能に構成されている。弾性部材152の材料としては、例えば、ゴムやエラストマ等の弾性材料を用いることができる。本実施形態の弾性部材152は、ゴム製である。
【0140】
弾性部材152は、連結ピン190が挿入される挿入孔153を有している。挿入孔153は、弾性部材152を貫通するように形成されている。弾性部材152は、挿入孔153を有することにより環状に形成されている。弾性部材152は、弾性部材152の周方向全周にわたって周壁が連続した環状に形成されている。弾性部材152の外周形状は、第3凹部151の内周形状に対応する形状に形成されている。弾性部材152の内周形状は、連結ピン190の外周形状に対応する形状に形成されている。
【0141】
挿入孔153の貫通方向から見た挿入孔153の平面形状は、任意の形状とすることができる。本実施形態では、挿入孔153の貫通方向から見た挿入孔153の平面形状が円形状に形成されている。
【0142】
弾性部材152は、例えば、保持部31と一体に構成された射出成形体である。弾性部材152は、例えば、二色成形により保持部31と一体に構成されている。この場合には、保持部31と弾性部材152とを一体物として取り扱うことができる。なお、弾性部材152は、保持部31とは別体に構成されていてもよい。
【0143】
(屈曲部品160の構成)
図23および図24に示すように、屈曲部品160は、底壁62と側壁63,64とを有する保持部61と、互いに同一の構造を有する2つの連結部170A,170Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部180A,180Bとを備えている。保持部61は、屈曲部60Rを有する屈曲形状に形成されている。保持部61は、例えば、1以上(本実施形態では、2つ)の補強リブ68を備えている。
【0144】
連結部170Aは、端部66における側壁63の外周面に設けられている。連結部170Bは、端部67における側壁64の外周面に設けられている。連結部180Aは、端部66における側壁64に設けられている。連結部180Bは、端部67における側壁63に設けられている。屈曲部品160の端部66では、側壁63に連結部170Aが設けられるとともに、側壁64に連結部180Aが設けられている。一方、屈曲部品160の端部67では、側壁64に連結部170Aと同一の構造を有する連結部170Bが設けられるとともに、側壁63に連結部180Aと同一の構造を有する連結部180Bが設けられている。このように端部67に設けられた連結部170B,180Bは、端部66に設けられた連結部170A,180Aの構造を180°回転させた構造に形成されている。
【0145】
図23に示すように、2つの連結部170A,170Bの各々は、直線部品130の連結部140Aと同一の構造を有している。すなわち、2つの連結部170A,170Bの各々は、固定部141と、貫通孔142と、弾性部材143とを有している。2つの連結部180A,180Bの各々は、直線部品130の連結部150Aと同一の構造を有している。すなわち、2つの連結部180A,180Bの各々は、第3凹部151と、弾性部材152とを有している。ここでは、連結部170A,170Bと連結部180A,180Bの構造についての詳細な説明を省略する。
【0146】
(連結ピン190の構成)
図25に示すように、経路規制部材120は、2つの連結ピン190を備えている。1つの連結ピン190は、直線部品130の連結部140Aと屈曲部品160の連結部180Aとを連結するように設けられている。1つの連結ピン190は、直線部品130の連結部150Aと屈曲部品160の連結部170Aとを連結するように設けられている。以下では、2つの連結ピン190のうち連結部140A,180Aを連結する連結ピン190に着目して説明する。但し、連結部150A,170Aを連結する連結ピン190も参照しながら説明する。
【0147】
連結ピン190は、頭部191と、頭部191から延びるとともに連結部140Aの貫通孔142と連結部180Aの第3凹部151に挿入される柱状の挿入部193とを備えている。頭部191は、挿入孔144に挿入不能な大きさに形成されている。頭部191は、貫通孔142に挿入不能な大きさに形成されている。頭部191は、固定部141に対向する対向面192を有している。挿入部193は、頭部191の対向面192から貫通孔142の貫通方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延びている。本実施形態の挿入部193は、円柱状に形成されている。挿入部193は、連結部140Aの挿入孔144と連結部180Aの挿入孔153とに挿入されている。
【0148】
挿入部193の外径は、例えば、挿入孔144の内径以上に設定されるとともに、挿入孔153の内径以上に設定されている。これにより、挿入孔144,153に連結ピン190の挿入部193を押し込んだ場合に、弾性部材143,152が挿入部193の外周面に押し付けられるように弾性変形される。挿入部193は、例えば、挿入孔144,153に圧入するように構成されている。
【0149】
Y軸方向に沿う挿入部193の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う挿入孔144の長さ寸法とY軸方向に沿う挿入孔153の長さ寸法とを合算した長さ寸法以下に設定されている。これにより、挿入部193の先端が側壁64の内面よりも内側に突出することを好適に抑制できる。
【0150】
(直線部品130と屈曲部品160の連結構造)
図21および図22に示すように、屈曲部品160は、直線部品130の軸方向の端部36に連結される。詳述すると、図22に示すように、まず、直線部品130の端部36に対して屈曲部品160の端部66を接触させるように、直線部品130および屈曲部品160を配置する。このとき、連結部140Aの固定部141が屈曲部品160の側壁64の外周面を被覆するように配置されるとともに、連結部170Aの固定部141が直線部品130の側壁33の外周面を被覆するように配置される。さらに、図25に示すように、連結部140Aの挿入孔144と連結部180Aの挿入孔153とが連通するように、且つ連結部170Aの挿入孔144と連結部150Aの挿入孔153とが連通するように、直線部品130および屈曲部品160が配置される。
【0151】
次に、連結部140Aの挿入孔144と連結部180Aの挿入孔153とに対して連結ピン190を挿入する。具体的には、連結ピン190の頭部191の対向面192が連結部140Aの固定部141の外周面に接触するまで、連結ピン190の挿入部193を連結部140A,180Aの挿入孔144,153に押し込む。このとき、挿入部193の外径が挿入孔144,153の内径以上の大きさに設定されているため、連結部140A,180Aの弾性部材143,152は、挿入部193の外周面に押し付けられるように弾性変形する。これら弾性部材143,152の弾性変形により、連結ピン190が挿入孔144,153から抜けることを抑制できる。そして、連結ピン190により、直線部品130の連結部140Aと屈曲部品160の連結部180Aとが連結される。
【0152】
同様に、連結部170Aの挿入孔144と連結部150Aの挿入孔153とに対して連結ピン190を挿入する。この連結ピン190により、直線部品130の連結部150Aと屈曲部品160の連結部170Aとが連結される。
【0153】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態の(1-1)、(1-2)、(1-3)、(1-9)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(2-1)経路規制部材120は、連結部170Aと連結部150Aとを連結する連結ピン190を備えている。連結部170Aは、側壁63の外周面から保持部61の軸方向に向かって保持部61の外方に突出する固定部141と、固定部141に設けられた貫通孔142とを有する。連結部150Aは、貫通孔142と連通する第3凹部151を有する。固定部141は、保持部61の径方向において直線部品130の外周面、具体的には側壁33の外周面と係合されている。連結ピン190は、貫通孔142と第3凹部151とに挿入される柱状の挿入部193を有する。
【0154】
この構成によれば、連結ピン190の挿入部193が連結部170Aの貫通孔142と連結部150Aの第3凹部151とに挿入される。この連結ピン190により、連結部170Aと連結部150Aとが連結される。また、連結部170Aが連結部150Aに連結された状態では、連結部170Aの固定部141と直線部品130の側壁33の外周面とが保持部61の径方向において互いに係合される。これにより、保持部61の径方向において屈曲部品160に対して直線部品130が相対移動することを好適に抑制できる。
【0155】
(2-2)また、連結部170Aが連結部150Aに連結された状態では、連結ピン190の挿入部193と第3凹部151の内面とが経路規制部材120の軸方向において互いに係合される。これにより、経路規制部材120の軸方向において屈曲部品160に対して直線部品130が相対移動することを好適に抑制できる。
【0156】
(2-3)連結ピン190の挿入部193は、貫通孔142の内部に設けられた弾性部材143の挿入孔144と第3凹部151の内部に設けられた弾性部材152の挿入孔153とに挿入される。この連結ピン190により、連結部170Aと連結部150Aとが連結される。このとき、挿入部193の外径は、挿入孔144の内径以上に設定されるとともに、挿入孔153の内径以上に設定されている。このため、挿入部193の外周面に弾性部材143の内周面を好適に密着させることができるとともに、挿入部193の外周面に弾性部材152の内周面を好適に密着させることができる。この結果、挿入孔144および挿入孔153から連結ピン190が抜けることを好適に抑制できる。
【0157】
(第2実施形態の変更例)
第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第2実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0158】
・第2実施形態における経路規制部材120の連結構造は適宜変更することができる。例えば、連結ピン190の構造は適宜変更することができる。
・例えば図26に示すように、連結ピン190を、頭部191の対向面192に接着剤付き弾性部材194を設けた構造に変更してもよい。接着剤付き弾性部材194は、例えば、挿入部193から露出する対向面192全面を被覆するように形成されている。
【0159】
図27に示すように、接着剤付き弾性部材194は、例えば、接着剤196が内部に染み込んだ弾性部材195である。弾性部材195は、弾性変形可能に構成されている。弾性部材195としては、例えば、スポンジやゴムを用いることができる。本変更例の弾性部材195は、スポンジである。スポンジは多孔質であるため、スポンジの内部に接着剤196を好適に染み込ませることができる。接着剤196としては、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂を用いることができる。
【0160】
連結ピン190を連結部140Aの貫通孔142および連結部180Aの第3凹部151に押し込むと、弾性部材195が連結ピン190の挿入方向(ここでは、Y軸方向)に圧縮するように弾性変形する。すると、弾性部材195に染み込んでいた接着剤196が挿入部193の外周面に沿って貫通孔142および第3凹部151に浸透する。具体的には、接着剤196が挿入部193の外周面と貫通孔142の内面との間の隙間に浸透するとともに、接着剤196が挿入部193の外周面と第3凹部151の内面との間の隙間に浸透する。この接着剤196により、挿入部193と連結部140Aとが接着されるとともに、挿入部193と連結部180Aとが接着される。このようにして、連結ピン190によって直線部品130の連結部140Aと屈曲部品160の連結部180Aとが連結される。同様に、接着剤付き弾性部材194を有する連結ピン190が、連結部170Aの貫通孔142および連結部150Aの第3凹部151に挿入される。この連結ピン190の接着剤196により、挿入部193と連結部170Aとが接着されるとともに、挿入部193と連結部150Aとが接着される。これらにより、直線部品130に対して屈曲部品160が連結されて一体化される。
【0161】
この構成によれば、連結ピン190の挿入部193が接着剤196により連結部170Aおよび連結部150Aと接着される。これにより、連結部170Aの貫通孔142および連結部150Aの第3凹部151から連結ピン190が抜けることを好適に抑制できる。
【0162】
図26および図27に示した変更例では、弾性部材143,152を省略したが、これに限定されない。例えば、図26および図27に示した変更例において、連結部140A,170Aが弾性部材143を備えてもよいし、連結部150A,180Aが弾性部材152を備えていてもよい。
【0163】
・第2実施形態では、連結具として連結ピン190に具体化したが、これに限定されない。すなわち、上記第2実施形態では、連結ピン190により連結部140Aと連結部180Aとを連結したが、これに限定されない。
【0164】
・例えば図28に示すように、ねじ締結により連結部140Aと連結部180Aとを連結するようにしてもよい。具体的には、雄ねじとしてのボルト200と雌ねじとしてのナット210とを用いたねじ締結により連結部140Aと連結部180Aとを連結するようにしてもよい。
【0165】
図29に示すように、ナット210は、連結部180Aの第3凹部151の内部に設けられている。ナット210は、環状に形成されている。ナット210の内周面は、ボルト200と締結可能な雌ねじ部を有している。ナット210は、例えば、連結部180Aと一体に形成されている。ナット210は、例えば、インサート成形により保持部61と一体に構成されている。例えば、連結部180Aを含む保持部61は、ナット210をインサート品としたインサート成形によって形成されている。
【0166】
図28に示すように、ボルト200は、頭部201と、頭部201から延びる柱状の挿入部202とを有している。挿入部202の外周面は、ナット210と締結可能な雄ねじ部を有している。頭部201は、貫通孔142に挿入不能な大きさに形成されている。挿入部202は、貫通孔142の貫通方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延びている。本変更例の挿入部202は、円柱状に形成されている。挿入部202は、連結部140Aの貫通孔142(図29参照)と連結部180Aの第3凹部151とに挿入される。挿入部202の先端には、ナット210が取り付けられる。このように、連結部180Aに一体化されたナット210にボルト200の挿入部202が締結されることによって、連結部140Aと連結部180Aとが連結されて一体化される。
【0167】
同様に、ボルト200とナット210とを用いたねじ締結により連結部170Aと連結部150Aとを連結するようにしてもよい。
この構成によれば、ナット210が連結部180Aと一体に形成されるとともに、そのナット210にボルト200の挿入部202の先端が締結される。これらナット210とボルト200を用いたねじ締結により、連結部140Aと連結部180Aとが連結される。これにより、連結具であるボルト200およびナット210が連結部140Aの貫通孔142および連結部180Aの第3凹部151から抜けることを好適に抑制できる。また、ナット210からボルト200を取り外すことにより、連結部140Aと連結部180Aとの連結状態を容易に解除することができる。
【0168】
図28および図29に示した変更例における固定部141の貫通孔142の構造を適宜変更してもよい。
例えば図30および図31に示すように、貫通孔142を、固定部141の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びるように形成してもよい。本変更例の貫通孔142は、Z軸方向において、図中下方に開口するように形成されている。換言すると、本変更例の貫通孔142は、固定部141の下端面から図中上方に凹むように形成されている。本変更例の貫通孔142は、切欠状に形成されている。
【0169】
図30に示すように、連結部170Aに、固定部141の外周面から保持部61の径方向外側に向かって突出するリブ145を設けてもよい。リブ145は、貫通孔142の周縁に位置する固定部141の外周面に設けられている。
【0170】
図31に示すように、リブ145は、ボルト200の頭部201と接触する部分に設けられている。リブ145は、貫通孔142の貫通方向(ここでは、Y軸方向)から見た平面視において、貫通孔142を囲むように形成されている。本変更例では、Y軸方向から見たリブ145の平面形状がU字状に形成されている。
【0171】
この構成によれば、固定部141の外周面のうちボルト200の頭部201と接触する部分にリブ145が設けられる。このリブ145によって固定部141の剛性を高めることができる。このため、ボルト200をナット210に締結する際に、その締結力によって固定部141に割れ等が発生することを好適に抑制できる。
【0172】
図30および図31に示した変更例におけるリブ145を省略してもよい。
図28および図29に示した固定部141に対してリブ145を設けてもよい。この場合において、リブ145を、貫通孔142の貫通方向から見た平面視において、貫通孔142を周方向全周にわたって囲むように形成してもよい。この場合のリブ145は、例えば、円筒状に形成される。
【0173】
図28から図31に示した変更例では、第3凹部151の内部のみにナット210を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、ナット210を、第3凹部151の内部と貫通孔142の内部とに設けてもよい。例えば、ナット210を、貫通孔142の内部のみに設けてもよい。
【0174】
図28から図31に示した変更例では、ナット210を連結部180Aと一体に形成するようにしたが、ボルト200を連結部180Aと一体に形成するようにしてもよい。この場合には、例えば、ボルト200の挿入部202の先端が固定部141の外周面よりも外方に突出するように設けられる。そして、挿入部202の先端にナット210が締結される。このとき、ナット210は、貫通孔142に挿入不能な大きさに形成されている。
【0175】
図28から図31に示した変更例において、第3凹部151および貫通孔142のいずれかに雌ねじ部が形成されている場合には、ナット210を省略してもよい。
・第2実施形態および上記各変更例では、第3凹部151を、側壁33,34,63,64を厚さ方向に貫通するように形成したが、これに限定されない。第3凹部151を、側壁33,34,63,64を厚さ方向に貫通しないように形成してもよい。この場合の第3凹部151は、側壁33,34,63,64の外周面から保持部31,61の径方向内側に向かって凹むように形成される。
【0176】
・第2実施形態および上記各変更例における補強リブ38,68を省略してもよい。
・第2実施形態における経路規制部材120の構造は適宜変更することができる。例えば、直線部品130と屈曲部品160との組み合わせ、つまり直線部品130および屈曲部品160の個数や連結方向を変更することにより、経路規制部材120を種々の構造に形成することができる。経路規制部材120を構成する直線部品130および屈曲部品160のそれぞれの個数は特に限定されない。例えば、図16および図17に示した変更例と同様に、経路規制部材120を、2つの屈曲部品160を連結させて構成するようにしてもよい。
【0177】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0178】
・例えば図32に示すように、経路規制部材20は、直線部品30A,30Bの挿入口35と屈曲部品60の挿入口65とを塞ぐ蓋部100を備えていてもよい。蓋部100は、例えば、直線部品30A,30Bの挿入口35全体を塞ぐとともに、屈曲部品60の挿入口65全体を塞ぐように設けられている。蓋部100は、例えば、直線部品30A,30Bの側壁33,34の上面に設けられるとともに、屈曲部品60の側壁63,64の上面に設けられている。蓋部100は、例えば、図示しない連結部材により直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60に連結されている。なお、蓋部100を、車両Vの車体パネルにより構成してもよい。同様に、経路規制部材120は、蓋部100を備えていてもよい。
【0179】
・上記各実施形態の屈曲部品60,160の屈曲部60Rにおける曲げ角度θの大きさは適宜変更することができる。
・上記各実施形態の電線部材11は、外装部材13を必ずしも含んでいなくてもよい。すなわち、電線部材11から外装部材13を省略し、保持部31,61が電線12を直接保持する構成としてもよい。
【0180】
・上記各実施形態の電線部材11は、電線12の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材を備えていてもよい。
・車両VにおけるインバータM1と高圧バッテリM2の配置関係は、上記各実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
【0181】
・上記各実施形態のワイヤハーネス10が電気的に接続する複数の電気機器は、インバータM1および高圧バッテリM2に限定されず、車両Vに搭載される電気機器であれば、特に限定されない。
【0182】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0183】
10…ワイヤハーネス、11…電線部材、12…電線、13…外装部材、14A,14B,14C,14D,14E,14F…直線部、15A,15B,15C,15D,15E…屈曲部、20,20A,20B,20C,20D,20E…経路規制部材、30,30A,30B…直線部品(規制部品)、31…保持部(第2保持部)、32…底壁(第2底壁)、33…側壁(第4側壁)、34…側壁(第3側壁)、35…挿入口(第2挿入口)、36…端部(第3端部)、37…端部(第4端部)、38,68…補強リブ、39…溝部、40A…連結部(第5連結部)、40B…連結部(第7連結部)、41…突出部、42…係合突起、43…凹部、45A…連結部(第6連結部)、45B…連結部(第8連結部)、46…第1凹部、46A…第1内側面、46B…第2内側面、46C…底面、47…第2凹部、50A…係合部(第5係合部)、50B…係合部、51…基部、52…弾性片、53…係合爪、55A…係合部(第6係合部)、55B…係合部、60…屈曲部品、60A…屈曲部品(第1屈曲部品)、60B…屈曲部品(規制部品、第2屈曲部品)、60R…屈曲部、61…保持部(第1保持部)、62…底壁(第1底壁)、63…側壁(第1側壁)、64…側壁(第2側壁)、65…挿入口(第1挿入口)、66…端部(第1端部)、67…端部(第2端部)、70A…連結部(第1連結部)、70B…連結部(第3連結部)、75A…連結部(第2連結部)、75B…連結部(第4連結部)、80A…係合部(第1係合部)、80B…係合部(第3係合部)、85A…係合部(第2係合部)、85B…係合部(第4係合部)、90…スライド規制部材、91…結束バンド、100…蓋部、120…経路規制部材、130…直線部品(規制部品)、140A…連結部(第5連結部)、140B…連結部(第7連結部)、141…固定部、142…貫通孔、143…弾性部材(第1弾性部材)、144…挿入孔(第1挿入孔)、145…リブ、150A…連結部(第6連結部)、150B…連結部(第8連結部)、151…第3凹部、152…弾性部材(第2弾性部材)、153…挿入孔(第2挿入孔)、160…屈曲部品、170A…連結部(第1連結部)、170B…連結部(第3連結部)、180A…連結部(第2連結部)、180B…連結部(第4連結部)、190…連結ピン(連結具)、191…頭部、192…対向面、193…挿入部、194…接着剤付き弾性部材、195…弾性部材、196…接着剤、200…ボルト(連結具、雄ねじ)、201…頭部、202…挿入部、210…ナット(連結具、雌ねじ)、θ,θ1,θ2,θ3,θ4,θ5…曲げ角度、C1,C2…コネクタ、L1,L2,L3,L4,L5,L6…中心軸線、M1…インバータ、M2…高圧バッテリ、V…車両。
図1
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