(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075474
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】生モルタルや生コンクリートの圧送装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20240527BHJP
F04B 15/02 20060101ALI20240527BHJP
B28C 7/16 20060101ALI20240527BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240527BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240527BHJP
B01F 35/21 20220101ALI20240527BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20240527BHJP
B01F 27/09 20220101ALI20240527BHJP
B01F 27/1121 20220101ALI20240527BHJP
B01F 27/191 20220101ALI20240527BHJP
B01F 27/50 20220101ALI20240527BHJP
B01F 27/70 20220101ALI20240527BHJP
B01F 101/28 20220101ALN20240527BHJP
【FI】
E04G21/04
F04B15/02 A
B28C7/16
B01F23/53
B01F35/71
B01F35/21
B01F35/222
B01F27/09
B01F27/1121
B01F27/191
B01F27/50
B01F27/70
B01F101:28
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115497
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2022186909の分割
【原出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】519414295
【氏名又は名称】株式会社川口組
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】黒川 善美
(72)【発明者】
【氏名】後藤 崇志
【テーマコード(参考)】
2E172
3H075
4G035
4G037
4G056
4G078
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA40
2E172CA58
3H075AA13
3H075CC40
3H075DA11
3H075DA25
3H075DA30
4G035AB46
4G035AE02
4G035AE13
4G037AA01
4G037DA18
4G037DA30
4G037EA03
4G056AA06
4G056CE04
4G078AA21
4G078AB02
4G078BA01
4G078BA09
4G078CA20
4G078DA03
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】生の繊維補強モルタルをポンプにより圧送管を用いて圧送することは困難であった。
【解決手段】この発明の撹拌圧送管は、生モルタルを送るポンプのテーパ管の下流側に配置され、管本体と撹拌部とを備え、管本体はその上流側に配置される第1接続部と下流側に配置される第2接続部とを備え、撹拌部が管本体内に内蔵されている。撹拌部は回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備える。撹拌部は管本体に対して着脱自在である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生モルタルや生コンクリートを送るポンプと、
該ポンプに接続されるテーパ管と、
該テーパ管の下流側に配置される撹拌圧送管と、
前記撹拌圧送管の下流側に配置される圧送管と、を備え、
前記撹拌圧送管は管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置されて前記テーパ管からの前記モルタルや前記生コンクリートを受ける第1接続部と、下流側に配置されて前記圧送管へ前記生モルタルや前記生コンクリートを送り出す第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵され、
前記撹拌部は回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備え、
前記圧送管内に撹拌部は存在しない、圧送システムにおいて、
前記第1接続部及び/又は前記第2接続部は前記管本体の側面に形成されている、圧送システム。
【請求項2】
生モルタルや生コンクリートを送るポンプと、
該ポンプに接続されるテーパ管と、
該テーパ管の下流側に配置される撹拌圧送管と、
前記撹拌圧送管の下流側に配置される圧送管と、を備え、
前記撹拌圧送管は管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置されて前記テーパ管からの前記モルタルや前記生コンクリートを受ける第1接続部と、下流側に配置されて前記圧送管へ前記生モルタルや前記生コンクリートを送り出す第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵され、
前記撹拌部は回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備え、
前記圧送管内に撹拌部は存在しない、圧送システムにおいて、
前記ピン状の撹拌枝は前記回転軸を貫通しており、前記撹拌枝の長さは、その先端の軌道半径が前記管本体の内径の50~95%となる、圧送システム。
【請求項3】
生モルタルや生コンクリートを送るポンプと、
該ポンプの下流側に配置される撹拌圧送管と、
前記撹拌圧送管の下流側に配置される圧送管と、を備え、
前記撹拌圧送管は管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置されて前記ポンプからの前記モルタルや前記生コンクリートを受ける第1接続部と、下流側に配置されて前記圧送管へ前記生モルタルや前記生コンクリートを送り出す第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵され、
前記圧送管内に撹拌部は存在しない、圧送システムにおいて、
前記第1接続部及び/又は前記第2接続部は前記管本体の側面に形成されている、圧送システム。
【請求項4】
前記管本体には更に圧力計が備えられる、請求項3に記載の圧送システム。
【請求項5】
前記第1圧送管の長さは20~100mである請求項3に記載の圧送システム。
【請求項6】
前記ピン状の撹拌枝は前記回転軸を貫通しており、前記撹拌枝の長さは、その先端の軌道半径が前記管本体の内径の50~95%となる、請求項3に記載の圧送システム。
【請求項7】
前記管本体の少なくとも一方の端部の蓋は前記管本体に対して着脱自在であり、該蓋に前記撹拌部の軸が回転自在に支持されている、請求項3に記載の圧送システム。
【請求項8】
前記撹拌部は前記管本体の端部側から着脱自在に挿着できる、請求項3に記載の圧送システム。
【請求項9】
前記第1接続部と前記第2接続部は前記管本体の中心軸に対して傾斜して配置される、請求項3に記載の圧送システム。
【請求項10】
前記撹拌部の撹拌速度を制御する、制御部がさらに備えられている、請求項3に記載の圧送システム。
【請求項11】
生モルタルや生コンクリートを送るポンプと、
撹拌圧送管と、
該撹拌圧送管と前記ポンプとの間に配置される第1圧送管と、を備え、
前記撹拌圧送管は管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置されて前記第1圧送管に接続される第1接続部と、下流側に配置されて第2圧送管へ前記生モルタルや前記生コンクリートを送り出す第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵され、
前記第1圧送管内及び前記第2圧送管内に撹拌部は存在しない、圧送システムにおいて、
前記第1接続部及び/又は前記第2接続部は前記管本体の側面に形成されている、圧送システム。
【請求項12】
生モルタルや生コンクリートを送るポンプの下流側に配置される撹拌圧送管であって、撹拌部が存在しない圧送管に接続される、撹拌圧送管であって、
管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置されて前記ポンプからの前記モルタルや前記生コンクリートを受ける第1接続部と、下流側に配置されて前記圧送管へ前記生モルタルや前記生コンクリートを送り出す第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵され、
前記第1接続部及び/又は前記第2接続部は前記管本体の側面に形成されている、
撹拌圧送管。
【請求項13】
生モルタルや生コンクリートを送るポンプの下流側に配置される撹拌圧送管であって、
管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置されて前記ポンプからの前記モルタルや前記生コンクリートを受ける第1接続部と、下流側に配置されて前記圧送管へ前記生モルタルや前記生コンクリートを送り出す第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵され、
前記撹拌部は回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備え、
前記ピン状の撹拌枝は前記回転軸を貫通しており、前記撹拌枝の長さは、その先端の軌道半径が前記管本体の内径の50~95%となる、撹拌圧送管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生モルタルや生コンクリートの圧送装置の改良に関する。ここに、生モルタルは硬化前の流動性のあるモルタル材料(セメント+砂+水を基本配合とする組成物)を指し、生コンクリートは硬化前の流動性のあるコンクリート材料(セメント+砂+水+骨材を基本配合とする組成物)を指す。なお、生モルタルや生コンクリートは補強繊維を含むこともある。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物の表面(桟橋の裏面等)におけるクラックの発生を防止するため、その表面をいわゆる繊維補強モルタルで被覆することが行われている。この繊維補強モルタルはポリアミド線や鋼線などからなる補強繊維をモルタルに混入させたものである。
一般的に、硬化前の、いわゆる生の繊維補強モルタルの流動性は低いので、手作業にて、これを補修対象のコンクリート建造物の表面へ塗布、積層していた。
昨今、ポンプで圧送可能な繊維補強モルタルが提案されている。かかる繊維補強モルタルを用いれば、補修対象のコンクリート建造物の表面を機械的に被覆できる。即ち、当該表面に対向して枠を配置し、表面と枠との間に生の繊維補強モルタルを流し込むことによる。
本願発明に関連する技術を開示する先行文献として、特許文献1及び2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-9378号公報
【特許文献2】実開昭59-124260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる生の繊維補強モルタルは汎用的な圧送管を使ってポンプにより圧送できるとされている。
しかしながら、現実的には、圧送管を用いてこれを圧送することは困難であったし、また圧送するにはポンプに高い負荷がかかっていた。
本発明者らの検討によれば、その原因は生の繊維補強モルタルの粘性が高いことによる。
【0005】
ポンプから吐出される生の繊維補強モルタルはポンプの吐出口に接続されるテーパ管を介して圧送管側に送り出される。テーパ管はポンプの吐出口に接続可能な大径部と圧送管等に接続可能な小径部とを備え、大径部から小径部へ漸次縮径する筒状の部材である。
ポンプから吐出された粘性の高い生の繊維補強モルタルはかかるテーパ管を通過する際に圧縮されて、その圧送の抵抗が予測外に大きくなることがある。これは、テーパ管において生の繊維補強モルタルが漸次圧縮されることにより、塊(粘性が異常に高くなった領域)が形成されるためである。
その原因として、テーパ管において生の繊維補強モルタルが漸次圧縮されたとき、生の繊維補強モルタルに含まれる水分が分離することが考えられる。
このことを敷衍すると、生モルタル(補強繊維が含むまれていないもの)や生コンクリートであっても、テーパ管における水の分離が生じているおそれがある。
【0006】
さらに本発明者らの検討によれば、生の繊維補強モルタルの長い距離の圧送は非常に困難であった。圧送の距離が50~100mに達したあたりから、圧送管の内部の、ほぼ中心位置に繊維補強モルタルの塊(棒状の塊)が生成し、この塊が大きな抵抗となるためである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その第1局面は次のように規定される。即ち、
生モルタルや生コンクリートを送るポンプのテーパ管の下流側に配置される撹拌圧送管であって、
管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置される第1接続部と下流側に配置される第2接続部とを備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵されている、撹拌圧送管。
【0008】
このように規定される第1局面の撹拌圧送管によれば、ポンプから吐出されてかつテーパ管を通過した生モルタルや生コンクリートは第1接続部から管本体内へ導入され、ここで撹拌部にて撹拌される。
これにより、テーパ管を通過する際に生モルタルや生コンクリートから分離されていた水が再度分散し、繊維補強モルタルの場合の塊も破壊されて消失する。つまり、テーパ管を通過する前の、生モルタルや生コンクリートの本来の特性が復活する。
【0009】
この発明の第2局面は次の様に規定される。即ち、
前記撹拌部は回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備える、第1局面の撹拌圧送管。
このように規定される第2局面の撹拌圧送管によれば、撹拌部の回転軸に立設される撹拌枝がピン状であるため、圧送されてくる生モルタルや生コンクリートに対する抵抗を可及的に小さくできる。また、繊維補強モルタルの塊が生じたとしても、ピン状の撹拌枝を採用することにより、撹拌部を回転させることに要するパワーが小さくなるので、回転軸のモータを小型化できる。
【0010】
回転軸は管本体の外部に取り付けられるモータにより回転される。その回転速度は制御部により任意に設定できる(第8局面)。これにより、圧送対象の特性に応じて最適な回転速度、即ち撹拌の状態を確保できる。
回転軸には鋼管を採用することができる。回転軸の断面形状は任意であるが、これを円形することが好ましい、回転方向(周方向)の抵抗が小さくなるからである。
回転軸の中心軸は、管本体の中心軸と一致させることが好ましい(第3局面)。管本体内において撹拌を均等に行うためである。
【0011】
撹拌枝には鋼材が採用され、その断面形状は任意である。回転軸に対する撹拌枝の固定方法も任意であるが、例えば、その端部を回転軸へ当接させ、若しくは撹拌枝を回転軸へ貫通させて、回転軸の周面において両者を溶接する。
回転軸に対する周方向の撹拌枝の配置態様は任意である。例えば、撹拌軸の同一横断面上に撹拌枝を配置することもできるし、撹拌軸の周面に螺旋を描くように撹拌枝を配置することもできる。回転軸に対する撹拌枝の周方向のピッチ(回転軸の軸方向からみたときの撹拌枝の間隔)も任意である。例えば、同一のピッチで配置することもできるし、異なるピッチで配置することもできる。同一のピッチで配置する場合、90度から180度間隔とすることが好ましい。
【0012】
回転軸に対する軸方向の撹拌枝のピッチは、その周方向への配置密度に応じて任意に選択される。例えば、管本体の長さの3~20%とすることができる。
撹拌枝の長さは、その先端の軌道半径を管本体の内径の50~95%とすることが好ましい。両者の関係を95%以下とすることで管本体との干渉を防ぎつつ生モルタルや生コンクリートに含まれる水の分離を確実に解消できるし、また塊を消失させられる。また、両者の関係を50%以上とすることで生モルタルや生コンクリートの塊の発生を確実に防止できる。
撹拌枝はそのすべてを同じ長さとしてもよいし、異なる長さの撹拌枝を採用することもできる。
【0013】
撹拌部は、管本体から着脱自在とすることが好ましい。管本体から撹拌部を取り外すことで、圧送作業終了後に、内部を効率よく水洗できる。
管本体の両端部を閉塞する蓋に撹拌部の軸を回転自在に支持(軸支)させる(第5局面)。撹拌部を管本体に対して着脱自在とするため、管本体の端部の少なくとも一方の蓋は、管本体に対して着脱自在とする。
【0014】
管本体の端部を閉塞する蓋にテーパ管や圧送管への接続部が設けられると、撹拌部の軸を軸支する構造に制限がかかり、このことはまた、蓋に大きな径が必要となり、ひいては管本体の径が大きくなる。
よって、この発明では、撹拌部との干渉を避けるため、他の管(テーパ管や圧送管)との接続部(第1接続部及び第2接続部)の何れか一方、好ましくは両方を、管本体の側面に設ける(第4局面)。
第1接続部と第2接続部とは、管本体の側面に対して、傾斜して設けられることが好ましい。傾斜の角度は特に限定されないが、管本体の中心軸(モルタルの圧送方向)に対して、30~80度の挟角が形成されるように配置することが好ましい。傾斜の方向は、圧送対象の流れ方向に沿うものとする。換言すれば、管本体における圧送対象の流れ方向に対して上流側の第1接続部における圧送対象の流れ方向は、既述の傾斜角度を介して同方向であり、下流側の第2接続部における圧送対象の流れ方向も、既述の傾斜角度を介して、管本体における圧送対象の流れ方向と同方向である。
第1接続部と第2接続部は、それぞれ、管本体において、できるだけ離れた位置に設けることが好ましい。
【0015】
生モルタルとは硬化前のモルタル材料(セメント+砂+水を基本配合とする組成物)を指す。当該モルタル材料に補強繊維を混在させることもできる。補強繊維を混在させた生モルタルを、この明細書では生の繊維補強モルタルと称する。生コンクリートは硬化前の流動性のあるコンクリート材料(セメント+砂+水+骨材を基本配合とする組成物)を指す。当該コンクリート材料にも補強繊維を混在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態の圧送システムを示す模式図である。
【
図2】
図2はこの発明の実施形態の撹拌圧送管の正面図である。
【
図6】
図6は組立状態の撹拌圧送管を示す図面代用写真である。
【
図7】
図7は分解状態の撹拌圧送管を示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に実施形態の圧送システム1を示す。この圧送システム1は、ポンプ2、テーパ管3、第1の撹拌圧送管4、第1圧送管5、第2の撹拌圧送管4a、及び第2圧送管6を順次連結してなる。この圧送システム1は、生の繊維補強モルタルを打設先まで圧送するものである、ここに、打設先が近いとき(例えば、ポンプ2からの距離が50m以下)、第2圧送管6が不要となれば、この第2圧送管6と第1圧送管5との間の第2の撹拌圧送管4aも不要となる。
圧送システム1において、ポンプ2、テーパ管3、第1圧送管5及び第2圧送管6は汎用品を用いることができる。第1の撹拌圧送管4と第2の撹拌圧送管4aとは同一スペックのものを用いてもよいし、異なるスペックのものを用いてもよい。第1の撹拌圧送管4及び第2の撹拌圧送管4aにおける撹拌速度は独自に制御される。
【0018】
第1の撹拌圧送管4は管本体10、撹拌部30及び撹拌駆動部60を備えてなる。
管本体10は横断面が円形の筒状の鋼管からなる(
図5参照)。
管本体10の側面(周面)の一端側に第1接続部11が設けられ、他端側に第2接続部12が設けられる。
第1接続部11は、圧送方向において、上流側に配置され、第2接続部12は下流側に配置される。
【0019】
第1接続部11及び第2接続部12の開口部の径は規格化されており、それぞれ、テーパ管3の小径部や圧送管の端部へ、オーリング等のシーリング部材を介してクランプ等の機械的締結具により、液密に連結される。
第1接続部11及び第2接続部12は管本体10の中心軸に対して傾斜して配置される。この例では、第1接続部11は管本体10の中心軸に対して60度の挟角で、管本体10の一端側(図示左側、生の繊維補強モルタルの流れ方向下流側)に向けて配置され、第2接続部12も管本体10の中心軸に対して60度の挟角で管本体10の他端側(駆動部60側、生の繊維補強モルタルの流れ方向上流側)に向けて配置されている。
第1接続部11と第2接続部12の各挟角は同じでなくてもよい。
この例では、管本体10の側面において周方向に180度の間隔をとって第1接続部11と第2接続部12とが配置されているが、管本体10の側面における周方向の間隔は任意に設計できる。
【0020】
図2の符号13は圧力計であり、管本体10の内部の圧力を表示する。第1接続部11及び第2接続部12にもその内部圧力を測定する圧力計を配置することができる。
管本体10の基端は第1蓋部15で覆われ、その先端側は第2蓋部16で覆われる。
管本体10の各端部と第1蓋部15及び第2蓋部16との間にはオーリングが介在され、それらはクランプ17、18により締結される。
【0021】
撹拌部30は回転軸31と撹拌枝33とを備えてなる。
回転軸31は丸鋼管からなり、第1蓋部15及び第2蓋部16に軸支される。回転軸31の中心軸は管本体10の中心軸と一致している。撹拌を均等にするためである。
回転軸31の一端は第1蓋部15を貫通して、貫通した部分にギア20が設けられる。このギア20に、後述するモータ25駆動ギアが歯合し、モータ25の回転駆動力が回転軸31に伝達される。ギア20とモータ25とで撹拌駆動部60が構成される。
モータ25は制御部70により、その回転速度等が制御される(
図6参照)。
制御部70には、モータ25に対する電力供給ユニット、回転制御ユニットが備えられる。
【0022】
撹拌枝33は、丸棒の鋼材であり、回転軸31へ貫通している。回転軸31の側面においてこれと撹拌枝33とは溶接止めされている。
回転軸31に対して撹拌枝33を貫通させているため、回転軸31を軸方向からみたとき、2本の撹拌枝33が180度の間隔をあけて突設された構造となる(
図5参照)。回転軸31に対して撹拌枝33を貫通させることにより、撹拌枝33に高い機械的剛性が与えられる。
【0023】
この例では、回転軸31に対してその軸方向に撹拌枝33は等ピッチで配置されている。
軸方向における撹拌枝33のピッチは任意に設定できるものであるが、この例では、1000mm長の管本体10に対して、撹拌枝33の軸方向のピッチは50mmとしている。また、撹拌枝33の長さはその先端が描く円の直径を120mmとして、管本体10の内径との間のクリアランスを10mm程度としている。なお、撹拌枝33は直径9mmの棒状の鋼材を用いている。
管本体10の周壁において、第1接続部11の中心と第2接続部12の中心との間の距離は800mmである。
【0024】
回転軸31の先端(図の右端)は、第2蓋部16の中心に設けられた軸受36に着脱自在に接続される。例えば軸受36の先端にキーを設け、回転軸31の先端側にキー溝を設けて、両者の周方向の移動を規制しつつ、両者の軸方向の移動はフリーとする。
回転軸31の他端も同じく第1蓋部15の中心に設けられた軸受35に着脱自在に接続される。この軸受35はギア20に接続され、ギア20の回転に伴い回転する。
【0025】
上記の第1の撹拌圧送管4を圧送システム1に適用し、生の繊維補強モルタル(スリムクリート(登録商標))を圧送する例を説明する。圧送システム1を構成する各要素は次の通りである。なお、第1の撹拌圧送管4と第2の撹拌圧送管4aとは同じ構造である。
ポンプ2の吐出圧力:10.7Mpa
テーパ管3の長さ:1.5m~2.0m
テーパ管3の大径部の径:2.5B(65A)小径部の径:2B(50A)
第1の撹拌圧送管4の回転速度:5~30rpm
第1の圧送管5の長さ:20~100m
第2の撹拌圧送管4aの回転速度:5~30rpm
第2の圧送管6の長さ:20~60m
このように、圧送システム1によれば、生の繊維補強モルタルを160m先まで機械的に圧送することができる。
図1の圧送システムにおいて、第1の撹拌圧送管4と第2の撹拌圧送管4aの何れか一方を省略可能である。圧送対象、圧送距離、気温条件などにおいて、任意に選択できる。
【0026】
上記の例を敷衍して、生モルタルや生コンクリートを圧送方法として、次のように規定できる。
管本体
ポンプ、テーパ管、撹拌圧送管及び第1圧送管を順次接続してなる圧送システムにおいて、
前記撹拌圧送管は管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体は、圧送対象の流れの上流側に接続される第1接続部と同下流側に接続される第2接続部とを備え、前記第1接続部と前記第2接続部とは前記管本体の側面に取り付けられ、
前記撹拌部は、前記管本体へ着脱自在に取り付けられる回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備える、圧送システムを用いる圧送方法であって、
前記圧送対象が補強繊維を含んだ生モルタルであるとき、
前記管本体の内径を50~250mmとし、
前記撹拌枝の外周径を前記管本体の内径の3~20%の長さとし、
前記第1接続部と前記第2接続部との距離を30~100mmとし、
前記回転軸の回転速度を5~30rpmとする、
生モルタルや生コンクリートの圧送方法。
下記事項を開示する。
(1)
生モルタルや生コンクリートを送るポンプのテーパ管の下流側に配置される撹拌圧送管であって、
管本体と撹拌部とを備え、
前記管本体はその上流側に配置される第1接続部と下流側に配置される第2接続部と、を備え、
前記撹拌部が前記管本体内に内蔵されている、撹拌圧送管。
(2)
前記撹拌部は回転軸と該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝とを備える、(1)に記載の撹拌圧送管。
(3)
前記回転軸の軸は前記管本体の中心軸と一致している、(2)に記載の撹拌圧送管。
(4)
前記第1接続部及び/又は前記第2接続部は前記管本体の側面に形成されている、(2)に記載の撹拌圧送管。
(5)
前記管本体の少なくとも一方の端部の蓋は前記管本体に対して着脱自在であり、該蓋に前記撹拌部の軸が回転自在に支持されている、(4)に記載の撹拌圧送管。
(6)
前記第1接続部及び前記第2接続部は前記管本体の側面に取り付けられ、
前記撹拌部は前記管本体の端部側から着脱自在に挿着できる、(2)に記載の撹拌圧送管。
(7)
前記第1接続部と前記第2接続部は前記管本体の中心軸に対して傾斜して配置される、(6)に記載の撹拌圧送管。
(8)
前記撹拌部の撹拌速度を制御する、制御部がさらに備えられている、請求項1に記載の撹拌圧送管。
(9)
撹拌圧送管に用いられる撹拌部であって、
前記撹拌圧送管の管本体へ着脱自在に取り付けられる回転軸と、該回転軸に立設されたピン状の撹拌枝と、を備える、撹拌部。
(10)
撹拌圧送管に用いられる管本体であって、
上流側に接続される第1接続部と下流側に接続される第2接続部とを備え、前記第1接続部と前記第2接続部とは前記管本体の側面に取り付けられている、管本体。
(11)
生モルタルや生コンクリートの圧送システムであって、
ポンプ、テーパ管、(1)~(8)のいずれかに記載の第1の撹拌圧送管が順次接続される、圧送システム。
(12)
生モルタルや生コンクリートの圧送システムであって、
ポンプ、テーパ管、(1)~(8)いずれかに記載の第1の撹拌圧送管が順次接続され、
前記第1の撹拌圧送管の前記第2接続部に第1圧送管の上流端が接続され、該第1圧送管の下流端に請求項1~8の何れかの記載の第2の撹拌圧送管の第1接続部が接続される、圧送システム。
(13)
前記第2の撹拌圧送管の第2接続部に第2圧送管の上流端が接続される、(12)に記載の圧送システム。
【符号の説明】
【0027】
1 圧送システム
2 ポンプ
3 テーパ管
4、4a 撹拌圧送管
5、6 圧送管
10 管本体
11 第1接続部
12 第2接続部
15、16 蓋部
20 ギア
25 モータ
30 撹拌部
31 回転軸
33 撹拌枝