IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サトーホールディングス株式会社の特許一覧

特開2024-75493プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法
<>
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図1
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図2
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図3
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図4
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図5
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図6
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図7
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図8
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図9
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図10
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図11
  • 特開-プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075493
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】プリンタ、プログラム、プリンタの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20240527BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240527BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240527BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20240527BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B41J3/36 Z
B41J15/04
B41J29/38 201
G06F3/16 690
B41J29/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184545
(22)【出願日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2022186505
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】吉田 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】中西 有香
【テーマコード(参考)】
2C055
2C060
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C055EE02
2C055GG02
2C055GG12
2C060BC03
2C060BC91
2C060BC96
2C061AQ04
2C061AS06
2C061AS08
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ32
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HK15
2C061HK19
2C061HN04
(57)【要約】
【課題】プリンタによって印字された印字媒体の貼り付け先の誤りを生じ難くする。
【解決手段】本発明のある態様は、複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送する搬送部と、複数の印字媒体の各々に印字用情報を印字する印字部と、印字済みの印字媒体を排出口から露出するまで搬送し、かつ排出口から露出した印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に印字用情報を次の印字媒体に印字するように、搬送部及び印字部を制御する制御部と、音声出力部と、を備えたプリンタである。制御部は、排出口から露出した印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に印字用情報の少なくとも一部、又は印字用情報に関連する情報を音声出力するように、音声出力部を制御する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送する搬送部と、
前記複数の印字媒体の各々に印字用情報を印字する印字部と、
印字済みの印字媒体を前記排出口から露出するまで搬送し、かつ前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に前記印字用情報を次の印字媒体に印字するように、前記搬送部及び前記印字部を制御する制御部と、
音声出力部と、を備え、
前記制御部は、前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力するように、前記音声出力部を制御する、
プリンタ。
【請求項2】
前記排出口から露出した印字媒体の有無を検出するセンサを備え、
前記制御部は、前記センサによる検出結果が印字媒体有りから印字媒体無しに変化した場合に、前記印字済みの印字媒体が取り除かれたと判断する、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、ユーザの操作入力に応じて追加された情報を音声出力するように制御する、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記印字用情報を複数回印字する場合、前記音声出力部が音声出力を行ってから所定時間経過していない場合には、次の音声出力を行わないように制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記制御部は、ユーザの操作入力に基づいて前記所定時間を設定する、
請求項4に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記印字用情報は、商品の名称、有効期限、及び、価格に関する情報を含み、
前記制御部は、前記名称、前記有効期限、及び、前記価格のうち少なくともいずれかを音声出力するように制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項7】
複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送し、印字するプリンタにおいて、コンピュータに、
前記印字媒体に印字用情報を印字するように指示する手順と、
印字済みの印字媒体が前記排出口から露出するまで前記印字済みの印字媒体を搬送するように指示する手順と、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力するように指示する手順と、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報を次の印字媒体に印字するように指示する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送し、印字するプリンタの制御方法であって、
前記印字媒体に印字用情報を印字し、
印字済みの印字媒体が前記排出口から露出するまで前記印字済みの印字媒体を搬送し、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力し、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報を次の印字媒体に印字する、
プリンタの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プログラム、及び、プリンタの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙上に剥離可能に取り付けられた複数のラベルの各々に情報を印字し、印字したラベルを台紙から剥離して排出するプリンタが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、プラテンローラの前方に剥離部を設け、台紙と、台紙上に仮着された複数枚のラベルとを含む印字媒体を搬送し、剥離部において台紙の搬送方向を変えることで、印字されたラベルを剥離部において剥離し、ラベルのみを排出するプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-034815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プリンタによって発行(排出)されたラベルを商品に貼り付ける場合、ラベルを誤って、本来貼り付けるべき商品とは異なる商品に貼り付けてしまう場合がある。例えば、小売店等の店舗のバックヤードで多くの種類の食品のそれぞれに異なる内容が印字されたラベルを貼り付ける場合、あるラベルを本来貼り付けるべき食品とは異なる種類の食品に貼り付けてしまうことが生じ得る。
【0006】
そこで、本発明は、プリンタによって印字された印字媒体の貼り付け先の誤りを生じ難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送する搬送部と、
前記複数の印字媒体の各々に印字用情報を印字する印字部と、
印字済みの印字媒体を前記排出口から露出するまで搬送し、かつ前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に前記印字用情報を次の印字媒体に印字するように、前記搬送部及び前記印字部を制御する制御部と、
音声出力部と、を備え、
前記制御部は、前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力するように、前記音声出力部を制御する、プリンタである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のある態様によれば、プリンタによって印字された印字媒体の貼り付け先の誤りを生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態のプリンタについてプリンタカバーが閉鎖位置にあるときの斜視図である。
図2】一実施形態のプリンタについてプリンタカバーが開放位置にあるときの斜視図である。
図3】一実施形態のプリンタにおいてラベルの剥離発行を行うときの連続紙の搬送経路を示す図である。
図4】一実施形態のプリンタにおいてラベルの剥離発行動作を示す図である。
図5】一実施形態のプリンタに格納される呼出しテーブルのデータ構成例を示す図である。
図6】一実施形態のプリンタにおいて、ラベル発行アプリケーションによってラベルを発行するときの表示画面の変化を示す図である。
図7】一実施形態のプリンタにおいて、ラベル発行アプリケーションによってラベルを発行するときの表示画面と、発行されるラベルの一例と、を示す図である。
図8】一実施形態のプリンタにおいて、ラベル発行アプリケーションによって発話機能の設定を行うときの表示画面の変化を示す図である。
図9】一実施形態のプリンタにおいて、ラベル発行アプリケーションによって発話機能の設定を行うときの表示画面の変化を示す図である。
図10】一実施形態のプリンタの内部構成を示すブロック図である。
図11】一実施形態のプリンタによって実行される剥離発行処理を示すフローチャートである。
図12】一実施形態のプリンタに台紙無しラベルを適用した場合のラベルの剥離発行動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のプリンタ、プログラム、及び、プリンタの制御方法の一実施形態について説明する。なお、以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0011】
本発明のある態様の第1の態様は、
複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送する搬送部と、
前記複数の印字媒体の各々に印字用情報を印字する印字部と、
印字済みの印字媒体を前記排出口から露出するまで搬送し、かつ前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に前記印字用情報を次の印字媒体に印字するように、前記搬送部及び前記印字部を制御する制御部と、
音声出力部と、を備え、
前記制御部は、前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力するように、前記音声出力部を制御する、
プリンタである。
【0012】
本発明のある態様の第1の態様によれば、プリンタのユーザが手に取った印字媒体に印字された印字用情報の少なくとも一部、又は印字用情報に関連する情報が音声出力されるため、ユーザが当該印字媒体の貼り付け先を誤ることを生じ難くすることができる。
【0013】
本発明のある態様の第2の態様は、前記排出口から露出した印字媒体の有無を検出するセンサを備え、前記制御部は、前記センサによる検出結果が印字媒体有りから印字媒体無しに変化した場合に、前記印字済みの印字媒体が取り除かれたと判断する、第1の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第2の態様によれば、センサを用いることで、印字済みの印字媒体が取り除かれたことを確実に検出できる。
【0014】
本発明のある態様の第3の態様は、前記制御部が、さらに、ユーザの操作入力に応じて追加された情報を音声出力するように制御する、第1又は第2の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第3の態様によれば、ユーザが音声出力の内容をユーザにとってわかり易い内容にカスタマイズできる。
【0015】
本発明のある態様の第4の態様は、前記制御部が、前記印字用情報を複数回印字する場合、前記音声出力部が音声出力を行ってから所定時間経過していない場合には、次の音声出力を行わないように制御する、第1の態様から第3の態様のいずれかに記載のプリンタである。
本発明のある態様の第4の態様によれば、ユーザがプリンタから頻繁に印字媒体を取り除く場合に、その都度音声出力をすることがなくなるため、ユーザは煩わしさから開放される。
【0016】
本発明のある態様の第5の態様は、前記制御部が、ユーザの操作入力に基づいて前記所定時間を設定する、第4の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第5の態様によれば、ユーザの好みに応じて、前記所定時間(つまり、音声出力を抑制する時間)を変更することができる。
【0017】
本発明のある態様の第6の態様は、前記印字用情報が、商品の名称、有効期限、及び、価格に関する情報を含み、前記制御部は、前記名称、前記有効期限、及び、前記価格のうち少なくともいずれかを音声出力するように制御する、第1の態様から第5の態様のいずれかに記載のプリンタである。
本発明のある態様の第6の態様によれば、印字媒体を商品に貼り付ける際に、当該商品の名称、有効期限、及び、価格のうち少なくともいずれかを音声出力するため、ユーザが当該印字媒体の貼り付け先の商品を誤ることを生じ難くすることができる。
【0018】
本発明のある態様の第7の態様は、複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送し、印字するプリンタにおいて、コンピュータに、
前記印字媒体に印字用情報を印字するように指示する手順と、
印字済みの印字媒体が前記排出口から露出するまで前記印字済みの印字媒体を搬送するように指示する手順と、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力するように指示する手順と、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報を次の印字媒体に印字するように指示する手順と、
を実行させるためのプログラムである。
【0019】
本発明のある態様の第7の態様によれば、プリンタのユーザが手に取った印字媒体に印字された印字用情報の少なくとも一部、又は印字用情報に関連する情報が音声出力されるため、ユーザが当該印字媒体の貼り付け先を誤ることを生じ難くすることができる。
【0020】
本発明のある態様の第8の態様は、複数の印字媒体を順次、排出口に向けて搬送し、印字するプリンタの制御方法であって、
前記印字媒体に印字用情報を印字し、
印字済みの印字媒体が前記排出口から露出するまで前記印字済みの印字媒体を搬送し、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報の少なくとも一部、又は前記印字用情報に関連する情報を音声出力し、
前記排出口から露出した前記印字済みの印字媒体が取り除かれた場合に、前記印字用情報を次の印字媒体に印字する、
プリンタの制御方法である。
【0021】
本発明のある態様の第8の態様によれば、プリンタのユーザが手に取った印字媒体に印字された印字用情報の少なくとも一部、又は印字用情報に関連する情報が音声出力されるため、ユーザが当該印字媒体の貼り付け先を誤ることを生じ難くすることができる。
【0022】
本発明のある態様の第9の態様は、音声出力の対象となる前記印字用情報の少なくとも一部に含まれる第1文字列に対応して、ユーザの操作入力に応じて第2文字列が追加された場合、前記制御部が、前記印字用情報の少なくとも一部を音声出力する際に、前記第1文字列に代えて前記第2文字列を音声出力するように制御する、第1の態様から第6の態様のいずれかに記載のプリンタである。
本発明のある態様の第9の態様によれば、ユーザは、音声出力対象となる印字用情報の音声出力態様をカスタマイズすることができる。例えば、印字用情報に読み方が難しい漢字が第1文字列として含まれている場合、ユーザは当該漢字の読み方を示す第2文字列として平仮名又は片仮名を追加することで、誤った読み方で音声出力が行われることを防止できる。
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して説明する。
先ず、プリンタ1の構造について図1図3を参照して説明する。
図1図3では、プリンタ1の説明の便宜のために、XYZ軸が定義されている。具体的には、プリンタ1の左右方向を+X軸、-X軸とし、前方を+Y軸、後方を-Y軸とし、上方を+Z軸、下方を-Z軸としている。
【0024】
図1図3に示すように、プリンタ1は、フロントパネル2と、プリンタカバー3と、表示パネル4と、収容部6と、筐体8と、プラテンローラ10と、サーマルヘッド12と、第1補助ローラ13と、第2補助ローラ14と、剥離部15と、を備えている。
図2には、プリンタ1の収容部6に収容されるロール紙Rが記載されている。ロール紙Rは、帯状の台紙PMと、台紙PM上に粘着剤で剥離可能に取り付けられている複数のラベルPLと、からなる連続紙CPが巻回されたものである。複数のラベルPLは、台紙PM上に等間隔で取り付けられている。図示しないが、台紙PMの裏面には、所定間隔毎に基準マークが形成されている。基準マークは、ラベルPLの基準位置を示している。
ラベルPLは、基材と、基材の印字面側に形成された感熱発色層と、基材の裏面側に塗工された粘着層と、を含む。
図1及び図2に示すように、プリンタカバー3は、閉鎖位置(図1)と開放位置(図2)の間で、筐体8の後方に設けられた軸の回りを揺動可能である。プリンタカバー3が開放位置にあるときに収容部6が露出し、収容部6内にロール紙Rを収容させることができる。
【0025】
図1に示すように、プリンタカバー3が閉鎖位置にあるときには、プリンタ1の前面においてプリンタカバー3と筐体8の間隙によりラベル排出口2aが形成される。筐体8の前面には、フロントパネル2が取り付けられている。
【0026】
プリンタカバー3には、表示パネル4が設けられている。表示パネル4は、プリンタ1に関する情報と、操作キー画像と、を表示するように構成される。ユーザが操作キー画像に触れると、プリンタ1は、当該操作キー画像に応じた指示を受け付ける。表示パネル4は、例えば、タッチセンサを有する液晶ディスプレイである。
【0027】
図2に示すように、筐体8にはプラテンローラ10が軸支され、プリンタカバー3にはサーマルヘッド12が取り付けられている。プラテンローラ10は、ステッピングモータ(不図示)に接続され、当該モータの回転に応じて回転することにより、ロール紙Rから引き出された連続紙CPを搬送する。
サーマルヘッド12は、複数の発熱素子(不図示)を有する発熱部を備え、この複数の発熱素子を選択的に発熱させることでラベルPLの感熱発色層を発色させ、それによってラベルPL上に情報が印字される。
プリンタカバー3が開放位置に位置する場合には、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とは離間している。プリンタカバー3が閉鎖位置に位置する場合、プラテンローラ10とサーマルヘッド12とが連続紙CPを挟むようにして対向配置される(図3参照)。
【0028】
図2に示すように、第1補助ローラ13は筐体8に軸支され、第2補助ローラ14はプリンタカバー3に回転可能に配置される。図3を参照すると、筐体8内では、第1ニップローラ16及び第2ニップローラ17が対向して配置されている。
【0029】
図3を参照してラベルPLの剥離発行を行うときの連続紙CPの搬送について説明すると、以下のとおりである。連続紙CPは、プラテンローラ10の回転によってロール紙Rから引き出される。その際、連続紙CPは、第1補助ローラ13及び第2補助ローラ14に挟持されながら搬送される。連続紙CPのラベルPLには、サーマルヘッド12によって情報が印字される。
剥離部15が、プラテンローラ10の前方に配置されている。剥離部15は、台紙PMの経路を急旋回させるものであれば如何なる構造でもよく、例えば、剥離板や剥離ピンとして構成することができる。図3に示すように、剥離部15において、連続紙CPのうち台紙PMが下方に向けられ、第1ニップローラ16と第2ニップローラ17により挟まれながら、台紙排出口2bから排出される。他方、台紙PM上のラベルPLは、剥離部15において台紙PMに追従せずに台紙PMから剥離し、台紙排出口2bよりも上方にあるラベル排出口2aから排出される。
【0030】
図2及び図3に示すように、筐体8には、第1補助ローラ13の搬送経路の上流側において、マーク検出センサ9が配置されている。マーク検出センサ9は、台紙PMの裏面に等間隔で形成されている基準マークを検出するためのセンサであり、例えば光反射型の光学センサで構成される。
図1及び図3に示すように、筐体8には、ラベル排出口2aの下方の位置に剥離センサ7が配置されている。剥離センサ7は、ラベル排出口2aにおけるラベルPLの有無を検出するためのセンサであり、例えば光反射型の光学センサで構成される。
プリンタ1では、剥離センサ7による検出結果がラベル有りからラベル無しに変化した場合に、印字済みのラベルがユーザによって取り除かれたと判断される。剥離センサ7を用いることで、印字済みのラベルが取り除かれたことを確実に検出できる。
【0031】
次に、図4を参照して、プリンタ1の剥離発行の動作について説明する。
図4は、プリンタ1においてラベルの剥離発行動作を示す図である。この図では、台紙PM上にラベルPL#1,#2,#3,#4,…が順に配置されており、ラベルPL#1から順に所定数のラベルを剥離発行することが想定されている。
剥離発行では先ず、状態ST1において、1枚目のラベルPL#1に印字を行う。なお、マーク検出センサ9により台紙PMの裏面に形成された基準マークを検出してから、基準マークの位置とラベルPLの先端位置とで定まる所定距離、連続紙を搬送させることで1枚目のラベルPL#1の先端をサーマルヘッド12の発熱部に位置決めすることができる。
ラベルPL#1に対する印字が終了してから連続紙を搬送させると、状態ST2に示すように、ラベルPL#1が台紙PMから剥離されて排出され、ラベル排出口2aから露出した状態となる。ラベルPL#1に対する印字が終了してから連続紙を搬送させる距離は、排出されたラベルがラベル排出口2aから所定量露出するように予め設定された距離である。
剥離センサ7は、ラベルPL#1の有無(つまり、ラベルPL#1が取り除かれたか否か)常時検出している。状態ST3に示すように、ラベルPL#1がユーザによって取り除かれると、プリンタ1は、次のラベルPL#2に対する印字を行うためにバックフィード(逆方向に搬送)を行い、2枚目のラベルPL#2の先端をサーマルヘッド12の発熱部に位置決めする(状態ST4)。
以上の動作を繰り返すことにより、ユーザがプリンタ1から排出されたラベルを取り除く度に新たなラベルに印字が行われて排出される。そのため、剥離発行では、ユーザは、排出されるラベルを複数の商品に順次貼り付けていくことができる。
【0032】
次に、ラベル発行アプリケーションによるラベルの発行について、図5図7を参照して説明する。
プリンタ1は、ラベルPLの貼り付け先となる複数の商品(アイテム)の各々に特化した印字レイアウトや印字内容の情報を含むフォーマットファイル(印字用情報の一例)を複数記憶している。プリンタ1は、この複数のフォーマットファイルを含む呼出しテーブルを記憶している。
図5は、複数のフォーマットファイルを含む呼出しテーブルのデータ構成の例を示している。
呼出しテーブルの各レコードは、1つのフォーマットファイルに対応し、「呼出しNO.」、「呼出し名」、「レイアウト指定」、「品名」、「名称」、「内容量」、…の各フィールドの値を有している。「レイアウト指定」フィールドには、ラベルの印字レイアウトを示す値が含まれ、当該値に対応する具体的なレイアウトデータが別に定義されている。「品名」、「名称」、「内容量」、…の各フィールドの値は、印字レイアウトに適用される具体的な文字列(印字レイアウト上に印字される文字列)である。「呼出しNO.」フィールドや「呼出し名」フィールドの値は、フォーマットファイルを呼び出す(つまり、アイテムを呼び出す)際に照合される。
【0033】
プリンタ1には、ユーザによるラベル発行を支援するためのラベル発行アプリケーションがインストールされている。プリンタ1は、ユーザがラベル発行アプリケーション上でアイテムを選択すると、選択されたアイテムに対応するフォーマットファイルを呼出しテーブルから読み出し、当該フォーマットファイル基に描画データを作成し、ラベルPL上に印字を行う。
【0034】
図6及び図7は、プリンタ1においてユーザがアイテムを選択してラベルを発行するときの操作手順を示している。図6及び図7を参照すると、ラベル発行アプリケーションを利用してプリンタ1によりラベルを発行するときの手順は以下のとおりである。
ユーザは、ラベル発行アプリケーションのアイテムの呼出し画面G1において、「ナンバー発行」、「グループ発行」、「キーワード発行」のいずれかを選択できる。「ナンバー発行」は、呼出しNO.を指定してアイテムを呼び出す方法である。「グループ発行」は、アイテムがグループにより階層化されている場合に、グループを指定することでアイテムを呼び出す方法である。「キーワード発行」は、例えば品名の一部を指定することで適合するアイテムの検索を行い、アイテムを呼び出す方法である。
【0035】
図6の画面G1において「グループ発行」を選択すると、画面G2において複数のアイテムのグループが提示される。ここで、「サンドイッチ」というグループを選択した場合、このグループに含まれる複数のアイテムの一覧を含む画面G3が表示される。画面G3において、「ミックスサンド」というアイテムを選択すると、アイテムに対応するラベルを発行するための画面G4が表示される。画面G4は、ユーザがラベルの発行枚数を指定するための入力ボックスbx1と、発行ボタンb1と、を含む。
画面G4において発行ボタンb1を操作することで、入力ボックスbx1により指定された枚数のラベルの発行が開始される。図7の画面G5は、ラベルの剥離発行中の画面の例を示している。画面G5には、ステータス情報101を含む。ステータス情報101には、現在剥離発行中であり、ラベルがカット待ちであること(つまり、図4の状態ST2であること)等の情報が含まれる。図7には、アイテムとして「ミックスサンド」が選択された場合に発行されるラベルPLが示される。
ステータス情報101には、枚数カウント101aを含む。枚数カウント101aは、発行すべきラベルの全枚数(図7の例では4枚)のうち何枚目のラベルを発行しているかを示す。ユーザは、ラベル発行アプリケーションにおいて剥離発行時に枚数カウント101aを表示させるか否か設定することができる。枚数カウント101aを表示させる場合、プリンタ1は、発行済みのラベルと未発行のラベルの枚数とを監視している。
【0036】
一実施形態において、ラベル発行アプリケーションは、ラベルの剥離発行の際の適切なタイミングで音声出力(発話)を行う。発話内容は、発行対象となるラベルに対応するアイテムのフォーマットファイルの少なくとも一部を含む
図8に、ラベル発行アプリケーションを利用してプリンタ1によりラベルを剥離発行するときの発話の設定方法を示す一連の表示画面を示す。ラベル発行アプリケーションの設定メニューの中から「操作設定」を選択すると、図8の画面G11が表示される。画面G11の様々な種類の操作設定の中から「発話機能設定」を選択すると、画面G12が表示される。画面G12は、発話機能設定についての設定ウィンドウ102を含む。
【0037】
設定ウィンドウ102では、発話を行うタイミングとして「アイテム確定時」、「発行指示時」、「剥離操作時」の各々のタイミングで発話を行うか否かについて、それぞれに対応するチェックボックスcb1,cb2,cb3により設定することができる。なお、ここでの「剥離操作」とは、プリンタ1から排出されて露出したラベルをユーザが取り除く操作を意味する。
チェックボックスがONである場合には発話することを意味し、チェックボックスがOFFである場合には発話しないことを意味する。
設定ウィンドウ102には、各チェックボックスに対応して、発話する内容が記述され、かつ編集可能なテキストボックスtx1,tx2,tx3が含まれる。例えば、「アイテム確定時」においてテキストボックスtx1が「#呼出し名#」となっているのは、アイテム確定時に発話する内容が、アイテムに対応する呼出し名(図5参照;「ミックスサンド」等)であることを示している。
この例では、#と#で挟まれた文字列に対応したフォーマットファイルの値や、発行枚数の値が発話内容に含まれる場合を示しているが、これは発話内容を特定するための規則は、#と#で挟む場合に限られず、適宜定義することができる。
【0038】
画面G12の設定ウィンドウ102による設定例では、図6の画面G3において「ミックスサンド」というアイテムが選択されたとき(「アイテム確定時」)、プリンタ1は、「ミックスサンド」(呼出し名)と発話する。図6の画面G4において発行ボタンb1を操作したとき(「発行指示時」)、プリンタ1は、「ミックスサンド 4枚」(呼出し名+発行枚数+枚)と発話する。図4の状態ST3,ST4に示したように、露出したラベルが取り除かれる度に(「剥離操作時」)、プリンタ1は、「ミックスサンド」(呼出し名)と発話する。
特に剥離操作時に発話するように設定されている場合、プリンタ1から取り除いたラベルを商品に貼り付ける作業の時点で当該ラベルに対応する商品の内容が発話されるため、ユーザが当該ラベルの貼り付け先の商品を誤り難くすることができる。
【0039】
画面G12において、ユーザ操作によりチェックボックスcb1,cb2をONからOFFにすると、画面G13に示すようになる。画面G13は、「剥離操作時」にのみ発話する場合の設定例を示している。
一実施形態では、ユーザは、テキストボックスtx1,tx2,tx3を編集することで発話内容を変更することができる。例えば、画面G13のテキストボックスtx3を選択すると、画面G14が表示される。画面G14は、選択されたテキストボックスtx3の内容を変更するためのソフトウェアキーボードSKを含む。画面G14は、テキストボックスtx3の内容を「#呼出し名#」から「#呼出し名#を発行します」に変更した例である。このように変更すると、ラベルの剥離発行が行われる度に、例えば「ミックスサンドを発行します」と発話される。
ここで、「を発行します」というテキストがユーザの操作入力に応じて追加された情報に相当する。すなわち、フォーマットファイルの一部である呼出し名に加えて、ユーザの操作入力に応じて追加された情報が発話される。それにより、ユーザは、発話内容をユーザにとってわかり易い内容にカスタマイズできる。
【0040】
一実施形態では、ラベル発行アプリケーションは、剥離操作時の発話について、剥離操作時発話抑制時間(以下、適宜「発話抑制時間」という。)を設定可能である。発話抑制時間とは、剥離操作時に発話するように設定されている場合に、発話を行ってから次の発話を行うことを抑制又は禁止する時間を意味する。つまりは、発話抑制時間が設定されている場合、プリンタ1は、発話を行ってから発話抑制時間が経過していない場合には、次の発話を行わないように制御する。発話抑制時間を設定することで、複数枚のラベルをプリンタ1が剥離発行し、各ラベルをユーザが頻繁に(つまり、比較的短期間で)ラベルを順次取り除いて商品に貼り付けていく場合に、ユーザがラベルを取り除く度に発話しないようになる。そのため、ユーザは頻繁に発話が生ずる煩わしさから開放される。
なお、発話抑制時間の起点は、発話を行った時刻に代えて、ラベルが取り除かれた時刻、又は、ラベルに印字を行った(印字が完了した時刻)であってもよい。すなわち、プリンタ1は、ラベルが取り除かれてから発話抑制時間が経過していない場合には、次に発行したラベルに対応する発話を行わないように制御してもよいし、ラベルの印字を行ってから発話抑制時間が経過していない場合には、次に発行したラベルに対応する発話を行わないように制御してもよい。
【0041】
図9は、ラベル発行アプリケーションにおいて発話抑制時間の設定方法を示している。
図9の画面G11は、図8の画面G11と同じである。この画面において「剥離操作時発話抑制時間」を選択すると、画面G15が表示される。画面G15は、発話抑制時間を複数の時間の中から選択設定するための設定ウィンドウ103を含む。図9の設定ウィンドウ103の例では、4秒、5秒、6秒が選択枝として含まれるが、ユーザがスクロール操作を行うことで任意の時間に設定可能である。つまり、ユーザの好みに応じて、発話抑制時間を変更することができる。
【0042】
次に、図10のブロック図を参照して、プリンタ1を動作させるための構成について説明する。
制御部11は、CPU111、ROM112、及び、RAM113を含む。制御部11は、タッチパネル入力部4a、剥離センサ7、マーク検出センサ9、通信インタフェース19、ストレージ20、モータ駆動回路21、ヘッド駆動回路22、表示駆動回路23、及び、音声処理部24に接続されており、ファームウェアやラベル発行アプリケーションの実行結果に応じて、各部を制御する。
ファームウェアは、タッチパネル入力部4aに対するユーザの操作入力や、プリンタ1の状態、各センサの検出結果等から、プリンタ1のステータスを示すステータス情報を逐次生成している。
【0043】
制御部11において、CPU111は、ROM112に記録されているファームウェアやラベル発行アプリケーションをロードして実行することで、様々な機能を実現する。ROM112は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。RAM113は、CPU111が様々な処理を行う上でのメインメモリとして機能する。
通信インタフェース19は、図示しないホストコンピュータと所定のプロトコルで通信を行うための通信回路を含み、例えばホストコンピュータからフォーマットファイルを受信する。
ストレージ20は、例えばSSDにより構成され、呼出しテーブル(図5参照)を格納する。制御部11は、通信インタフェース19によりフォーマットファイルを受信すると、受信したフォーマットファイルに対応するレコードを作成するように呼出しテーブルを更新する。
【0044】
モータ駆動回路21は、ファームウェアの指令に含まれるステップ数でステッピングモータ25を正転、又は逆転動作させ、それによって連続紙CPを搬送させる。ステッピングモータ25はプラテンローラ10に連結されている。モータ駆動回路21、ステッピングモータ25、及び、プラテンローラ10は、搬送部の一例である。
印字指示を受けるとファームウェアは、ユーザに選択されたアイテムに対応するフォーマットファイルに基づいて印字対象の描画データを作成し、描画データの各ラインデータを順次、ヘッド駆動回路22に送信する。ヘッド駆動回路22は、各ラインデータに基づき、サーマルヘッド12の発熱部に含まれる複数の発熱素子に選択的に電流を流すことで、複数のラベルの各々に印字を行う。ヘッド駆動回路22及びサーマルヘッド12は、印字部の一例である。
【0045】
ラベルの剥離発行を行う場合、ファームウェアは、印字済みのラベルをラベル排出口2aから露出するまで搬送し、かつラベル排出口2aから露出した印字済みのラベルが取り除かれた場合に、次のラベルに印字するように、モータ駆動回路21及びヘッド駆動回路22を制御する。その際、ファームウェアは、マーク検出センサ9が台紙の基準マークを検出してから所定量、連続紙を搬送させるようにモータ駆動回路21を制御することで、ラベルの先端をサーマルヘッド12の発熱部に位置決めする。ファームウェアは、剥離センサ7の検出結果に基づいて排出されたラベルが取り除かれたと判断した場合、次のラベルの先端がサーマルヘッド12の発熱部に一致するまで連続紙がバックフィードするように、モータ駆動回路21を制御する。
【0046】
タッチパネル入力部4aは、表示パネル4に組み込まれており、ユーザによる表示パネル4に対する操作入力を検出して制御部11に送信する。
表示駆動回路23は、ファームウェア又はラベル発行アプリケーションによって作成される画像に基づいて表示パネル4を構成する画素を駆動する回路である。
音声処理部24は、ラベル発行アプリケーションによる指令の下、発話機能設定に従ったタイミング及び発話内容に基づき、テキスト音声合成処理(TTS)を行うことで音声データを生成し、スピーカ18から音声出力(発話)を行う。音声処理部24及びスピーカ18は、音声出力部の一例である。
【0047】
次に、図11のフローチャートを参照して、ラベルの剥離発行を行うときのプリンタ1の動作について説明する。図11のフローチャートは、ファームウェアとラベル発行アプリケーションによって実行される処理(ラベル剥離発行処理)である。なお、以下の処理では、剥離操作時にのみ発話を行う設定である場合を想定する。
【0048】
ラベル発行アプリケーションは、ユーザ操作(例えば、図6の発行ボタンb1に対する操作)を受け付けると(ステップS2)、ファームウェアに対してラベルの発行を指示する。なお、この時点で、発行対象のラベルに対応するフォーマットファイルは特定されており、ファームウェアは、当該フォーマットファイルに基づいて描画データを作成し、1枚目のラベルを発行する。
次いでラベル発行アプリケーションは、ファームウェアからプリンタ1のステータス情報を取得し(ステップS4)、所定の条件を満たす場合には(ステップS6:YES)、発話抑制時間を監視するためのカウントを開始する(ステップS10)。
【0049】
なお、ステップS6における所定の条件を満たす場合とは、例えば以下の3条件をすべて満たすことである。この3条件のうちいずれかの条件を満たさない場合には、ラベル発行アプリケーションは、新たにステータス情報を取得して(ステップS8:NO、ステップS4)、再度、以下の3条件をすべて満たすか否か判定する。
・剥離操作時の発話設定が有効であること(つまり、図8のチェックボックスcb3がONになっていること)
・枚数カウントの表示が有効であること(図7の枚数カウント101aの表示させるように設定されていること)
・プリンタ1のステータスが、ラベルが取り除かれていないことを示すこと
【0050】
カウントを開始した後、ラベル発行アプリケーションは、再度ステータス情報を取得し、ステータスが、排出されたラベルが取り除かれていないこと(つまり、ラベル除去待ちであること)を示す場合には(ステップS14:YES)、ステータス情報を逐次取得し、ラベルが取り除かれるまで待機する。また、剥離動作中に、プリンタ1のステータスが「オフライン」又は「印字中断中」である場合も(ステップS16:YES)、同様にステータス情報を逐次取得し、「オフライン」又は「印字中断中」が解除されるまで待機する。
【0051】
ユーザによってラベルが取り除かされ(ステップS14:NO)、プリンタ1のステータスがオンラインであって、かつ印字中断中でない場合(ステップS16:NO)、ステップS18へ進む。ここで、印字完了枚数が0枚ではなく(ステップS18:NO)、ステップS10でカウントを開始してから発話抑制時間が経過している場合(ステップS20:YES)、ラベル発行アプリケーションは、発話を実行する(ステップS22)。
なお、ステップS16において、ステータスが「オフライン」である場合とは、プリンタ1がユーザによりオフラインに設定されている場合であり、ステータスが「印字中断中」である場合とは、ユーザの操作によりプリンタ1が一時停止中である場合である。ステップS18において、印字完了枚数が0枚であるという状態は、剥離発行の1枚目の印字前に、剥離センサ7によりラベル(例えば過去に印字された別のラベル等)が検出されている状態である。ステップS16,S18の条件は、いずれもイレギュラーな場合である。
発話抑制時間が経過していない場合には(ステップS20:NO)、前述したように、頻繁に発話が生ずる煩わしさを防止する観点から発話を行わない。
発話後に、全枚数が印字済み(発行済み)でなければ(ステップS24:NO)、次のラベルの発行を行い(ステップS2)、全枚数が印字済みであれば(ステップS24:YES)、ラベル剥離発行処理を終了する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1ではラベルの剥離発行を行う際に、ラベル排出口2aから露出した印字済みのラベルがユーザに取り除かれた場合に、ラベルの印字用情報の一部として、例えばラベルの貼り付け先の商品の名称等が発話されるように制御される。そのため、ユーザがラベルの貼り付け先の商品を誤ることを生じ難くすることができる。その際、ユーザが比較的短い間隔で連続的に印字済みのラベルを取り除く場合には、発話抑制時間を設定することにより頻繁に発話を行うことが防止される。
【0053】
一実施形態では、呼出しテーブル(図5)に、各アイテムの「有効期限」フィールド、及び/又は、「価格」フィールドが設けられる。「有効期限」フィールドの値は、ラベルの貼り付け先となる商品の有効期限(例えば、消費期限や賞味期限等)の値である。「価格」フィールドの値は、当該商品の価格の値である。その場合、ラベル発行アプリケーションは、商品の名称、有効期限、及び、価格のうち少なくともいずれかを発話するように制御するとよい。それによって、ユーザは、プリンタ1から取り除いた印字済みのラベルの貼り付け先の商品をさらに誤り難くすることができる。例えば、同一の商品名称で賞味期限が異なる複数の食材の各々にラベルを貼付する場合、賞味期限を発話することでラベルの貼り間違いを防止できる。
例えば、図8のチェックボックスcb1~cb3には、「#呼出し名# #有効期限#を発行します」といった具合に入力してもよい。
【0054】
ラベル発行アプリケーションは、発話内容の確実性を高めるために、発話対象の情報の中に、正確な発話が難しい文字列(例えば、難解な漢字)が含まれている場合、当該文字列に対応付けてユーザが、発話が比較的易しい文字列(例えば、平仮名や片仮名)を登録できるようにしてもよい。例えば、アイテムの呼出し名を発話するように設定されているときに、呼出しテーブルの呼出し名が「棒棒鶏」である場合、誤って発話される可能性があるため、呼出し名に対応する「読み方」フィールドを呼出しテーブルに用意し、「バンバンジー」として登録しておく。そして、図8のテキストボックスtx3等に「#呼出し名[読み方]#」と入力されている場合には、呼出し名の「棒棒鶏」に代えて、対応する読み方の「バンバンジー」を発話するようにラベル発行アプリケーションを設定する。それによって、正確な発話が難しい文字列を誤った読み方で発話されることを防止できる。
すなわち、一実施形態では、すなわち、プリンタ1の制御部11は、音声出力の対象となる情報に含まれる第1文字列に対応して、ユーザの操作入力に応じて第2文字列が追加された場合、情報を音声出力する際に、第1文字列に代えて第2文字列を音声出力するように制御する。これによって、ユーザは、発話対象となる情報の発話態様をカスタマイズすることができる。
【0055】
一実施形態は、複数のラベルを順次、ラベル排出口2aに向けて搬送し、印字するプリンタ1の制御方法であって、以下のステップ(a)~(d)を含む。また、一実施形態は、以下の(a)~(d)の各ステップあるいは各手順をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
(a)ラベルに印字用情報を印字するステップ
(b)印字済みのラベルがラベル排出口2aから露出するまで印字済みのラベルを搬送するステップ
(c)ラベル排出口2aから露出した印字済みのラベルが取り除かれた場合に、印字用情報の少なくとも一部を音声出力するステップ
(d)ラベル排出口2aから露出した印字済みのラベルが取り除かれた場合に、印字用情報を次のラベルに印字するステップ
【0056】
なお、上述した実施形態では、台紙と、台紙上に粘着剤で剥離可能に取り付けられている複数のラベルと、からなる台紙付きラベルが適用される場合について説明したが、その限りではない。台紙がない台紙無しラベルを適用することもできる。
【0057】
図12を参照して、プリンタ1の台紙無しラベルの発行の動作について説明する。
図12は、プリンタ1において台紙無しラベルの発行動作を示す図である。この図では、ラベルPL#1,#2,#3,#4,…が順にミシン目を境にして配置されており、ラベルPL#1から順に発行することが想定されている。なお、各ラベルはミシン目によって区切られていなくてもよい。
台紙無しラベルの発行が行われる前の状態ST0では、ラベルPL#1の先端がサーマルヘッド12の発熱部より僅かに搬送方向の上流側の待機位置にある。なお、サーマルヘッド12の発熱部の位置と待機位置との間の距離は予め決められた値である。ここで、発行指示が行われると、状態ST1aに示すように、1枚目のラベルPL#1の先端がサーマルヘッド12の発熱部の位置に位置決めするように、連続紙CPを搬送させる。
ラベルPL#1に対する印字が終了してから連続紙CPを搬送させると、状態ST2aに示すように、ラベルPL#1が排出されて露出した状態となる。ラベルPL#1に対する印字が終了してから連続紙CPを搬送させる距離は、排出されたラベルがラベル排出口2aから所定量露出するように予め設定された距離である。
剥離センサ7は、ラベルPL#1の有無(つまり、ラベルPL#1が取り除かれたか否か)常時検出している。排出されて露出した状態のラベルはミシン目において手切りできる。状態ST3aに示すように、ラベルPL#1がユーザによって取り除かれる(切断される)と、プリンタ1は、次のラベルPL#2に対する印字を行うためにバックフィード(逆方向に搬送)を行い、2枚目のラベルPL#2の先端を待機位置に位置決めする(状態ST4a)。
ここで、発話機能設定において剥離操作時に発話する設定になっている場合には、ラベルPL#1がユーザによって取り除かれたときに、呼出し名(例えば、「ミックスサンド」)が発話される。
以上の動作を繰り返し行われる。
【0058】
以上、本発明のプリンタ、プログラム、及び、プリンタの制御方法の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組合せ可能である。
【0059】
上記実施形態では、「印字用情報の少なくとも一部を音声出力する」場合について説明した。例えば、印字用情報が「菓子パン類」である場合、音声出力する情報(音声出力情報)は「菓子パン類」であってもよいし、その一部の「パン」であってもよい。また、また、印字用情報がバーコード等のコード情報であり、音声出力情報が当該コード情報をデコードしたときの文字列である場合も、印字用情報の少なくとも一部が実質的に音声出力情報に等しいといえる。
なお、一実施形態では、印字用情報に関連する情報を音声出力してもよい。例えば、印字用情報が「クロワッサン」という文字列であり、音声出力情報が「クロワッサン」の上位概念である「菓子パン類」あるいは「パン」である場合には、印字用情報と音声出力情報が関連している。このように発話する場合もユーザがラベルの貼り付け先を誤ることを生じ難くできる。
【符号の説明】
【0060】
1…プリンタ
2…フロントパネル
2a…ラベル排出口
2b…台紙排出口
3…プリンタカバー
4…表示パネル
4a…タッチパネル入力部
6…収容部
7…剥離センサ
8…筐体
9…マーク検出センサ
10…プラテンローラ
11…制御部
111…CPU
112…ROM
113…RAM
12…サーマルヘッド
13…第1補助ローラ
14…第2補助ローラ
15…剥離部
16…第1ニップローラ
17…第2ニップローラ
18…スピーカ
19…通信インタフェース
20…ストレージ
21…モータ駆動回路
22…ヘッド駆動回路
23…表示駆動回路
24…音声処理部
25…ステッピングモータ
101…ステータス情報
101a…枚数カウント
102,103…設定ウィンドウ
tx1~tx3…テキストボックス
cb1~cb3…チェックボックス
SK…ソフトウェアキーボード
CP…連続紙
PL…ラベル
PM…台紙
R…ロール紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12