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▶ スージョウ リテルヒューズ オーブイエス カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075494
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】デュアルチャンネル電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023185504
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】2022114682049
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521126966
【氏名又は名称】スージョウ リテルヒューズ オーブイエス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジアンフェイ ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】アントニン ポンズ
(72)【発明者】
【氏名】フローレント ジョリー
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA04
2G025AB02
2G025AC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デュアルチャンネル電流センサを提供する。
【解決手段】デュアルチャンネル電流センサは、ハウジング、コア、及び印刷回路板アセンブリ(PCBA)を含む。ハウジングは、円筒状キャビティ及び端部を有しており、ここで、円筒状キャビティは第1の端においてオープンである。コアは、円筒形状であり、平坦な上部及び底面を有しており、内面の平坦区域、平坦区域に対して垂直であり且つ対向している間隙、間隙の片側に隣接した第1の部分、及び、間隙の他方の反対側に隣接した第2の部分を有している。コアは、円筒状キャビティの第1の端に挿入される。ハウジングの端部に挿入されるPCBAは、間隙内に配されたセンサを有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状キャビティ及び端部を含むハウジング、ここで、前記円筒状キャビティは第1の端においてオープンである;
円筒形状を含み且つ平坦な上面及び底面を含む第1のコア、前記第1のコアは:
内面に配された平坦区域;
前記平坦区域に対して直交に且つ対向して配された間隙;
前記間隙の第1の側に隣接して配された第1の部分;及び
前記間隙の第2の側に隣接して配された第2の部分、前記第2の側は前記第1の側に対向しており、ここで、前記第1のコアは、第1の方向において前記円筒状キャビティの前記第1の端に挿入される
をさらに有する;及び
第1のセンサを含む印刷回路板アセンブリ(PCBA)、前記第1のセンサは前記間隙に配されており、ここで、前記PCBAは、第2の方向において前記ハウジングの前記端部に挿入されており、ここで、前記第2の方向は前記第1の方向に対して直交である
を備える、デュアルチャンネル電流センサ。
【請求項2】
第2の間隙を含む第2のコア、前記第1のコアは第1の高さを含み、前記第2のコアは第2のより少ない高さを含む;及び
スペーサ、ここで、前記第2のコアは前記円筒状キャビティの前記第1の端に挿入されており、続いて前記スペーサが、続いて前記第1のコアが挿入される
をさらに備える、請求項1に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項3】
前記PCBAはさらに、第2のセンサを含み、ここで、前記第2のセンサは、前記第2の間隙に配されている、請求項2に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項4】
前記ハウジングはさらに、前記円筒状キャビティの第2の内面に配された第2の平坦区域を含む、請求項1に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項5】
前記平坦区域は、一度前記第1のコアが前記円筒状キャビティの内部に配されると、前記第2の平坦区域と位置合わせされる、請求項4に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項6】
前記第1のセンサは前記第2のセンサに対して直交である、請求項3に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項7】
前記第1のおよび第2のセンサはホールセンサである、請求項6に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項8】
前記ハウジングはさらに、圧入ピンの挿入中に前記PCBAを保持するための一対の剛性位置決め部を含む、請求項1に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項9】
前記ハウジングはさらに、電源に連結される電気コネクタレセプタクルを含む、請求項1に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項10】
前記第1のコアはスタンピング加工したコアであり、前記第2のコアは巻き付けられたコアである、請求項2に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項11】
前記第1のコアは巻き付けられたコアであり、前記第2のコアは第2の巻き付けられたコアである、請求項2に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項12】
前記第1のセンサは、±1500アンペアの範囲内の電流測定を提供する、請求項3から11のいずれか一項に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【請求項13】
前記第2のセンサは、±100アンペアの範囲内の電流測定を提供する、請求項3に記載のデュアルチャンネル電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、電流センサに関し、より具体的には、電子車両システムにおける使用のための電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサは、配線又はケーブル等の担持導体を介して流れる電流を検出する。バッテリー充電器システム、バッテリシステム、電力分配器システム、インバータシステム及びコンバータシステム等の電子車両(EV)システムは、電流センサを採用し得る。
【0003】
ホール効果電流センサは、オープンループ磁気コア、及び感磁半導体装置であるホールセンサから成る。ホールセンサは、コアの間隙に配置されている。ケーブル等の担持導体は、コアのループを介して配されている。電流が導体を通過するとき、磁場がコアに生じる。ホールセンサがコアからの磁場に露出されたとき、小さいホール電圧が生じる。ホール電圧は導体内の電流及びセンサの表面積に比例する磁場の積に比例する。ホールセンサは、小さい電流範囲内の電流を検出することが可能である。
【0004】
磁気コアの形状は、その飽和点並びにホールセンサ出力の線形性に影響を与え得る。磁気コアが巻き付けられたコアである場合、それがどのような形状を有し得るかが限定され、これは、これらの両方の特徴を限定する。2つのコアがそれぞれの中空リングでPCBAに交換された場合、PCBAの電子部品は超音波溶接中に破壊される。さらに、コアのための両面溶接の製造効率は低い。
【0005】
本改善が有用になり得るのは、これら及び他の考慮事項に対してである。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の選択を簡略化した形態で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の重要又は不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する助けとなることを意図するものでもない。
【0007】
本開示に係るデュアルチャンネル電流センサの例示的な実施形態は、ハウジング、コア、及び印刷回路板アセンブリ(PCBA)を含み得る。ハウジングは、円筒状キャビティ及び端部を有しており、ここで、円筒状キャビティは第1の端においてオープンである。コアは、円筒形状であり、平坦な上面及び底面を有しており、内面の平坦区域、平坦区域に対して垂直であり且つ対向している間隙、間隙の片側に隣接した第1の部分、及び、間隙の他方の反対側に隣接した第2の部分を有している。コアは、円筒状キャビティの第1の端に挿入される。ハウジングの端部に挿入されるPCBAは、間隙内に配されたセンサを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】例示的な実施形態に係るデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図1B】例示的な実施形態に係るデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図1C】例示的な実施形態に係るデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図1D】例示的な実施形態に係るデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
【0009】
図2A】例示的な実施形態に係る、巻き付けられたコアを有するデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図2B】例示的な実施形態に係る、巻き付けられたコアを有するデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
【0010】
図3A】例示的な実施形態に係る、スタンピング加工したコアを有するデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図3B】例示的な実施形態に係る、スタンピング加工したコアを有するデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
【0011】
図4A】例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図4B】例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図4C】例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
図4D】例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサを示す図である。
【0012】
図5】例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサにおけるホールセンサの操作を示すグラフである。
【0013】
図6】例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサにおけるホールセンサの操作を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
デュアルチャンネルセンサは、1つが他のものより大きく、ハウジングに挿入されたスペーサによって分離されている2つのコアから成る。2つのコアは円筒形状であり、各々が平坦な上部及び側面を有しており、各々が間隙を有している。ハウジングは、端部、及び一端においてオープンである円筒状キャビティを有する。より小口径のコアがまずハウジングに挿入され、続いてスペーサが、次に、最終的に、より大口径のコアがその中に挿入される。2つのセンサを有する印刷回路板アセンブリ(PCBA)はハウジングの端部に挿入され、その結果、第1のセンサはより大口径のコアにおける間隙を占めて、その一方、第2のセンサはより小口径のコアにおける間隙を占める。より大口径のコアは、同様の平坦区域を有する円筒状キャビティに適合した平坦区域を有するべく、スタンピングされ得る。より大口径のコアはまた、間隙のいずれかの側に配され且つコアの残りの部分より高さが低い2つの部分を有している。ハウジングの端部は、圧入ピン(press-fit pin)の挿入中にPCBAを保持するべく、剛性位置決め部を有する。
【0015】
便宜と明快さのために、「最上」、「最下」、「上」、「下」、「鉛直」、「水平」、「側方」、「横」、「半径方向」、「内部」、「外部」、「左」及び「右」などの用語を本明細書で使用して、特徴及び構成要素の相対的な配置及び向きを、それぞれ本明細書で提供される斜視図、分解斜視図、及び断面図に現れる他の特徴及び構成要素のジオメトリ及び向きに対して説明してもよい。当該用語は、限定を意図するものではなく、具体的に言及される言葉、それに関する派生語、および同様の意味をもつ言葉を含む。
【0016】
図1A~1Dは、例示的な実施形態に係る、電流検知を提供するためのデュアルチャンネル電流センサ100の代表図である。図1Aはデュアルチャンネル電流センサ100俯瞰図であり、図1B図1Cは斜視図であり、図1Dは分解斜視図である。デュアルチャンネル電流センサ100は、スペーサ108によって分離された第1のコア106及び第2のコア110という2つのコアを特徴とする。
【0017】
例示的な実施形態において、第1のコア106及び第2のコア110は互いに同様であり、それは、両方が概ね同じ直径及び同じ円周を有しているからであり、第1のコア106が第2のコア110より高さが高い。第1のコア106は、従って、大口径コアと考えられ得、その一方、第2のコア110は小口径コアである。コア106及び110の両方は、実質的に円筒形状又はトーラス形状であり、上面及び底面が実質的に平坦であり、例示的な実施形態においてコア106が内面に平坦部を有することを除いて外面及び内面が丸みを帯びている。コア106及び110の両方は、それぞれが別個のセンサを収容するための間隙を有するので、オープンコアである。コア106及び110の両方は、担持導体を受け入れるための中空な中心を有しており、その結果、担持導体はコアに対して実質的に直交になる。
【0018】
デュアルチャンネル電流センサ100は、円筒状キャビティ112を有するハウジング102、及び端部132を特徴とする。円筒状キャビティ112は、第1のコア106及び第2のコア110を受け入れるために一端がオープンである中空リングである。いくつかの先行技術のセンサハウジングとは対照的に、円筒状キャビティ112は下部がオープンではない。従って、第1のコア106、スペーサ108、及び第2のコア110は、円筒状キャビティ112に適合しており、矢印120は組み立て方向を示している:第2のコア110は中空円筒状キャビティ112に挿入され、続いてスペーサ108が、次に第1のコア106が続いて挿入される。例示的な実施形態において、スペーサ108は、コア106及びコア110の間にいくつかの距離があることを確実にする。上部カバー104は円筒状キャビティ112の上部開口部の上に、第1のコア106に隣接して、ハウジング102を閉じるために配置される。例示的な実施形態において、上部カバー104はハウジング102の円筒状キャビティ112の上部に取り付けられており、コア106、スペーサ108、及びコア110に対して、超音波溶接を使用して押圧される。
【0019】
ハウジング102の端部132は、デュアルチャンネル電流センサ100を電源に接続するための電気コネクタレセプタクル126を含む。端部132はさらに、印刷回路板アセンブリ(PCBA)114を受け入れる。PCBA114は、一度完全に挿入されると、端部132、及びハウジング102の円筒状キャビティ112お間をまたがる。他の電子部品に加えて、PCBA114は、第1の検知特定用途向け集積回路(ASIC)122及び第2の検知ASIC124を含む。図1Dに示されるように、ASIC122はASIC124に対して直交である。非限定的な実施形態において、ASIC122及びASIC124はホールセンサである。
【0020】
矢印118は、PCBA114の組み立て方向を示す:PCBA114のASIC122及び124の側面特徴がまず挿入され、次に、PCBAが、円筒状キャビティ112を部分的に占めるまでその中に据え付けられ(図1A)、次に、サイドカバー116が端部132の上に配置される。例示的な実施形態において、サイドカバー116は、レーザ溶接、又はエポキシポッティング等の他のプロセスによって取り付けられている。サイドカバー116は、従って、PCBA114をハウジング102の内部に密封する。
【0021】
いくつかの先行技術の実装では、PCBAは、コアを受け入れるハウジングの同じ開口部に挿入される。PCBAは開口部に挿入され、次に、コアがPCBAを介して挿入される。コアの超音波溶接中に、PCBAの電子部品は損傷/破損され得る。PCBA114への別個の挿入ポイント(端部132)を有することによって、PCBAは、コアの超音波溶接が完了した後に挿入され得る。さらに、PCBA114の端部132への挿入の方向は、いくつかの実施形態において、コア106及び110の挿入方向に対して直交である。PCBA114及びコア106及び110の間に分離された挿入を有することにより、カバー104は、PCBA114が端部132に挿入される前に、ハウジング102に溶接され得る。
【0022】
例示的な実施形態において、ハウジング102の端部132は、圧入ピンの挿入中にPCBA114を保持するための剛性位置決め部134a~b(総じて「位置決め部134」)を特徴とする。位置決め部134は、電気コネクタレセプタクル126からのPCBA114の運動を制御することに役立つ。さらに、位置決め部134の剛性は、圧入ピンの挿入中にPCBA114を保持する。
【0023】
ハウジング102の開口部128は、ケーブル、配線又はバスバー等の担持導体が、開口部を介して挿入されることを可能とする。担持導体に流れる電流は、両方が電流経路に対して直交であるコア106及び110に磁場を生じさせる。ASIC122はコア106上の磁場を検知し、ASIC124はコア110上の磁場を検知する。デュアルチャンネル電流センサ100は、1つのチャンネル上で、ASIC122がコア106の磁場を測定することで、担持導体に流れる電流を決定し、同時に、第2のチャンネル上で、ASIC124がコア110の磁場を測定することで、担持導体に流れる同じ電流を決定することから、そう称されている。
【0024】
ハウジング102はさらに、ハウジング102の一部であるグロメット130a~b(総じて、「グロメット130」)を含む。ケーブル又はバスバー等の担持導体を囲んでいるが、グロメット130は、デュアルチャンネル電流センサ100をシャーシ、壁又は他の静止面に固定させる追加手段を提供する。
【0025】
例示的な実施形態において、デュアルチャンネル電流センサ100の第1のコア106及び第2のコア110は、電流検知の2つの範囲を提供するように設計されている。例示的な実施形態において、第2のコア110より大きい第1のコア106は、比較的に広い範囲の電流を検知するように設計されており、その一方、第2のコア110は、比較的に狭い範囲の電流を検知するように設計されている。非限定的な実施形態において、デュアルチャンネル電流センサ100は、電気自動車(EV)の適用、具体的には、バッテリシステム及びバッテリー充電システムにおいて使用されている。
【0026】
例示的な実施形態において、第1のコア106は、+/-1000Aの範囲内の電流を測定することが可能であり、その一方、第2のコア110は、+/-100Aの範囲内の電流を測定することが可能である。デュアルチャンネル電流センサ100は、従って、より良いAmp-hr積分を行うべく、低電流範囲に対して非常に良い精度を提供する。Amp hourは、バッテリーが正確に1時間の間にどれだけのアンペア数を提供し得るかを決定するために使用される定格である。
【0027】
磁気コアは、高い磁気透過性を有する磁性材料である。磁気コアは、鉄等の強磁性材料、又はフェライト等の強磁性化合物で作製されている。従来は、磁気コアは、造形物周辺の巻き付けられた磁気配線によって作製され、磁気コアを作成する。巻き付けられた磁気コアは、従って、その周辺に配線が巻き付けられた可能な造形物によって限定されている。対照的に、スタンピング加工した磁気コアは、ケイ素鋼、ニッケルフェライト又は他の材料等の磁性材料をモールドに堆積することによって作成される。スタンピング加工した磁気コアは、従って、仮想的に任意のモールドの形状を想定し得る。コアを特定の形状に成形することの利点は、電流測定の線形性を向上させ、コアの飽和点に影響を与えることを含む。スタンピング加工したコアのコストはまた、概して、同様の能力を有する巻き付けられたコアのそれより低い。従って、スタンピング加工した磁気コアを使用したときに、制限がより少なくなる。スタンピング加工した磁気コアは、より安価になることに加えて、線形性を向上する特定の形状の作成を可能とする。
【0028】
例示的な実施形態において、ハウジング102の円筒状キャビティ112は、円筒状キャビティの内面に配された平坦区域136を特徴とする。一方、シリンダは、曲面によって接合された2つの平行な円形ベースから成る3次元形状であり、曲面の一部は平面に平坦化され、その平面形状は平坦区域136である。平坦区域136は、その内面に平坦部を有するスタンピング加工したコアを収容するために設計されている。従って、円筒形状でもあるスタンピング加工したコアは、平坦区域136を収容するべく、平面を有する。それにもかかわらず、デュアルチャンネル電流センサ100のハウジング102、又はより具体的には円筒状キャビティ112は、巻き付けられたコア又はスタンピング加工したコアのうちいずれかを収容することが可能である。デュアルチャンネル電流センサ100は、従って、異なる適用環境に対応可能であるように柔軟性を有する。
【0029】
図2A~2Bは、例示的な実施形態に係るデュアルチャンネル電流センサ200の代表図である。図2Aはデュアルチャンネル電流センサ200の斜視図であり、図2Bは側面図である。ハウジング102、スペーサ108、コア110及びPCBA114は、デュアルチャンネル電流センサ100から変化していない。コア206は、円筒状キャビティ112の上部に配された大口径コアである。例示的な実施形態において、コア206は、巻き付けられたコアである。いくつかの実施形態において、コア110は、巻き付けられたコアである。他の実施形態において、コア110は、スタンピング加工したコアである。
【0030】
図2Bの断面図において、コア206は、開口部128のいずれかの側において206a及び206bの2つの部分で示されている。部分206aは、部分206bと実質的に同様である。これは、巻き付けられたコアであるコア206が、概して、その円周の周りにおいて一様であるからである。それにもかかわらず、コア206は、ハウジング102の円筒状キャビティ112に適合する。
【0031】
図3A~3Bは、例示的な実施形態に係るデュアルチャンネル電流センサ300の代表図である。図3Aはデュアルチャンネル電流センサ300の斜視図であり、図3Bは側面図である。ハウジング102、スペーサ108、コア110及びPCBA114は、デュアルチャンネル電流センサ100から変化していない。コア306は、円筒状キャビティ112の上部に配された大口径コアである。例示的な実施形態において、コア306はスタンピング加工したコアである。いくつかの実施形態において、コア110は、巻き付けられたコアである。他の実施形態において、コア110は、スタンピング加工したコアである。
【0032】
図3Bの断面図において、コア306は、開口部128のいずれかの側において306a及び306bの2つの部分で示されている。巻き付けられたコア206の部分206a及び206bとは対照的に、部分306aは部分306bとは異なる。これは、スタンピング加工したコア306がモールドから生成され得るからである。巻き付けられたコア206のように、スタンピング加工したコア306は、ハウジング102の円筒状キャビティ112に適合する。円筒状キャビティ112の単一の中空リングは、大きい電流範囲の測定のために、巻き付けられた及びスタンピング加工したコアの両方を収容するように設計されている。
【0033】
図4A~4Dは、例示的な実施形態に係る、図3A~3Bのデュアルチャンネル電流センサ300、並びにスタンピング加工したコア306の代表図である。図4Aはデュアルチャンネル電流センサ300の斜視図であり、図4B~4Cはスタンピング加工したコア306の斜視図であり、図4Dはデュアルチャンネル電流センサ300の内部構造の斜視図である。図4Aにおいて、ハウジング102は、既に導入された円筒状キャビティ112の平坦区域136とともに示される。図4B~4Dにおいて、スタンピング加工したコア306が示されている。いくつかの実施形態において、スタンピング加工したコア306はケイ素鋼を使用して生じる。他の実施形態において、スタンピング加工したコア306はニッケルフェライトを使用して生じる。
【0034】
例示的な実施形態において、スタンピング加工したコア306はまた、平坦区域402を有する。デュアルチャンネル電流センサ300のハウジング102は、巻き付けられたコア又はスタンピング加工したコアのいずれかを受け入れるように設計されていることを想起されたい。それにもかかわらず、例示的な実施形態において、スタンピング加工したコア306は円筒状キャビティ112に適合し、その結果、スタンピング加工したコア306の平坦区域402は、ハウジング102の平坦区域136に対して適合する。スタンピング加工したコア306の平坦区域402は、スタンピング加工したコアをその裏面においてわずかにより厚くする。例示的な実施形態において、スタンピング加工したコア306の増加した表面積は、丸みを帯びた表面を含むより大きい線形エリアを提供する。
【0035】
さらに、スタンピング加工したコア306は、第1の部分404、第2の部分406及び第3部分408を特徴とする。第1の部分404は、スタンピング加工したコア306の円周の大部分を占めており、第1の高さhにある。第2の部分406は、間隙410の片側に隣接しており、第3部分408は、間隙の他方の側に隣接している。第2の部分406は、スタンピング加工したコア306の平坦な上面から下方にある階段に類似している。同様に、第3部分408は、スタンピング加工したコア306の平坦な上面から下方にある階段に類似している。第2の部分406及び第3部分408は、第2の高さhにあり、h>hである。スタンピング加工したコア306は、従って、高さh(小口径コア310のそれより大きい)の円筒形状のコアであり、当該コアは一端において間隙410でオープンであり、間隙のいずれかの側には、より低い高さのhを有する2つの部分406及び408がある。間隙410の反対側には、平坦区域402がある。
【0036】
例示的な実施形態において、スタンピング加工したコア306は、その飽和点を増やして、電流測定の線形範囲をより多くすることを可能とするべく、図示されたように形状されている。平坦区域402のように、例示的な実施形態において、スタンピング加工したコア306の部分404、406及び408は、スタンピング加工したコア306の線形範囲を増やす。
【0037】
図4Dに示されたように、スタンピング加工したコア306の間隙410は、それを介してPCBA114が配された開口部を提供する。同様に、コア110は間隙414を有する。例示的な実施形態において、コア306及び110はハウジング102内に位置付けられて、その結果、間隙410及び414が互いと位置合わせされる。PCBA114上のASIC122は、スタンピング加工したコア306の間隙410の間に位置付けられており、その一方、ASIC124は、より小口径のコア110の間隙414の間に位置付けられている。スペーサ108は、スタンピング加工したコア306及びより小口径のコア110の間の分離を提供し、これは、ASIC122及び124が、互いから干渉されることなく担持導体についての電流情報を別個に且つ正確に取得することを可能とする。
【0038】
コネクタピン412a及び412b(総じて、「コネクタピン412」)が示されている。例示的な実施形態においては、4つのコネクタピン412があり、1つは電源用、1つは接地用、2つは信号用である。コネクタピン412は、圧入特徴を有する。剛性位置決め部134は、コネクタピン412の圧入中にPCBA114を保持する。
【0039】
図5は、例示的な実施形態に係る、デュアルチャンネル電流センサ300の特徴を示す代表グラフ500である。グラフ600は、-1500A及び1500Aの間の電流範囲のためのデュアルチャンネル電流センサ300によって測定された所与の電流に対する磁場をプロットし、結果は高度に線形的である。例示的な実施形態において、ASIC122及びスタンピング加工したコア106は、グラフ500に示されたデータを提供する。
【0040】
図6は、例示的な実施形態に係る、デュアルチャンネル電流センサ300の特徴を示す代表グラフ600である。グラフ600は、-100A及び100Aの間の電流範囲のためのデュアルチャンネル電流センサ300によって測定された所与の電流に対する磁場をプロットする。グラフ500と同様に、グラフ600における結果は、高度に線形的である。例示的な実施形態において、ASIC124及び小口径コア110は、グラフ600に示されたデータを提供する。
【0041】
2つのセットのデータを有することにより、デュアルチャンネル電流センサ300は、高い精度、並びに、より良いAmp-hr積分のための低電流範囲における非常に良い精度を提供することが可能であり、これは、EVバッテリー技術に有用である。
【0042】
本明細書において使用するとき、単数形で記載され、「一」又は「1つ」という単語の後にある要素又は段階は、複数の要素又は段階を除外しないものとして理解されるべきであるが、ただしそのような除外が明示的に記載されている場合を除く。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0043】
本開示は特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域および範囲から逸脱することなく、記述した実施形態に対して多くの改変、修正、および変更を行うことが可能である。従って、本開示は、記述した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物により定義される全範囲を有することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
【外国語明細書】