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特開2024-75500情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075500
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240527BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195342
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2022186131
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519063196
【氏名又は名称】株式会社ZENKIGEN
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小荷田 成尭
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 真里奈
(72)【発明者】
【氏名】伊弉末 和磨
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】組織の活性化又は構成員の成長につながりやすい構成員間の対話を優先的に増やす。
【解決手段】情報処理装置1は、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データを記憶する組織データ記憶部121と、組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、複数の構成員それぞれが所属する部署名と、を関連付けて記憶する構成員データ記憶部122と、それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループを特定し、特定した複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択する選択部131と、を有する。
【選択図】図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データを記憶する組織データ記憶部と、
前記組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、前記複数の構成員それぞれが所属する部署名と、を関連付けて記憶する構成員データ記憶部と、
それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が前記組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択する選択部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員が異なる部署に所属し、かつ当該複数の構成員が所属する複数の部署の関連性が高いグループを優先的に選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記組織データは、前記組織に属する前記複数の部署を複数のノードとする木構造データであり、
前記選択部は、前記組織データが示す木構造における距離に基づいて前記関連性を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれが過去に所属していた部署をさらに記憶し、
前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員が過去に所属していた部署が一致していないグループを優先的に選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれが過去に所属していた部署をさらに記憶し、
前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員が過去に所属していた1以上の部署のうち少なくとも1つの部署が一致しているグループを優先的に選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれの前記組織への在籍期間を示す在籍期間データをさらに記憶し、
前記選択部は、前記複数のグループのうち、前記在籍期間が所定の範囲であるグループを優先的に選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれの専門分野をさらに記憶し、
前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員の専門分野が一致していないグループを優先的に選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員が現在の部署に所属してからの経過期間をさらに記憶し、
前記選択部は、構成員が現在の部署に所属してからの経過期間が長いほど、当該構成員が所属する部署との距離が大きい他の部署に所属する他の構成員をグループの1名として選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択部は、ミーティングの録音データと、当該ミーティングに参加した複数の構成員が所属する部署と、を教師データとして機械学習して作成された、複数の構成員が所属する部署が入力されるとミーティングの活性化レベルを出力する機械学習モデルに、前記複数のグループに対応する複数の構成員が所属する部署を入力し、前記機械学習モデルから出力される前記活性化レベルが所定の条件を満たすグループを優先的に選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
複数の部署の相互関係と提供情報とを関連付けて記憶する提供情報データ記憶部と、
前記選択部が選択した複数の構成員がミーティングの前又はミーティング中に、当該複数の構成員が所属する複数の部署の相互関係に関連付けて前記提供情報データ記憶部に記憶された前記提供情報を当該複数の構成員の少なくともいずれかに提供する情報提供部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記複数の構成員それぞれに関連付けて、ミーティングを実施した履歴を記憶する履歴データ記憶部と、
前記履歴データ記憶部に記憶された前記履歴を参照することにより、前記複数の構成員を示すテキスト又は画像と、ミーティングを実施済の複数の構成員を示す複数のテキスト又は画像を結んだ直線と、を含むネットワーク図を作成する作成部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記選択部がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる前記所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部と、
ミーティングを実施する前とミーティングを実施した後に、情報の共有状況に関するアンケートを前記構成員に実施し、当該アンケートの結果に基づいて、ミーティングが有用であったことを示すポジティブな回答をした複数の前記構成員が所属する前記一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるように前記ルールデータを更新するルール更新部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記選択部がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる前記所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部と、
ミーティングを実施した後に個人の状態を計測する指標が向上した前記構成員、又は組織の状態を計測する指標が向上した組織に属する前記構成員が参加したミーティングに参加した複数の前記構成員が所属する前記一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるように前記ルールデータを更新するルール更新部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記選択部がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる前記所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部と、
ミーティングを実施した後に離職した前記構成員が参加したミーティングに参加した複数の前記構成員が所属する前記一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が低くなるように前記ルールデータを更新するルール更新部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、前記複数の構成員それぞれが所属する部署名と、が関連付けられた構成員データを参照することにより、それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、前記複数の構成員それぞれが所属する部署名と、が関連付けられた構成員データを参照することにより、それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の性格や趣向に基づいて、他の人とのコミュニケーションを支援するシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-220077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモートワークが増えて社員同士が話す機会が減少している中、組織の構成員同士が話す機会を意図的に設ける必要が生じている。大きな組織において全ての構成員と対話する機会を設けることは困難なので、組織の活性化又は構成員の成長につながりやすい構成員間の対話を優先的に増やすことが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、組織の活性化又は構成員の成長につながりやすい構成員間の対話を優先的に増やせるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データを記憶する組織データ記憶部と、前記組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、前記複数の構成員それぞれが所属する部署名と、を関連付けて記憶する構成員データ記憶部と、それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が前記組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択する選択部と、を有する。
【0007】
前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員が異なる部署に所属し、かつ当該複数の構成員が所属する複数の部署の関連性が高いグループを優先的に選択してもよい。
【0008】
前記組織データは、前記組織に属する前記複数の部署を複数のノードとする木構造データであり、前記選択部は、前記組織データが示す木構造における距離に基づいて前記関連性を特定してもよい。
【0009】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれが過去に所属していた部署をさらに記憶し、前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員が過去に所属していた部署が一致していないグループを優先的に選択してもよい。
【0010】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれが過去に所属していた部署をさらに記憶し、前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員が過去に所属していた1以上の部署のうち少なくとも1つの部署が一致しているグループを優先的に選択してもよい。
【0011】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれの前記組織への在籍期間を示す在籍期間データをさらに記憶し、前記選択部は、前記複数のグループのうち、前記在籍期間が所定の範囲であるグループを優先的に選択してもよい。
【0012】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員それぞれの専門分野をさらに記憶し、前記選択部は、前記複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員の専門分野が一致していないグループを優先的に選択してもよい。
【0013】
前記構成員データ記憶部は、前記複数の構成員が現在の部署に所属してからの経過期間をさらに記憶し、前記選択部は、構成員が現在の部署に所属してからの経過期間が長いほど、当該構成員が所属する部署との距離が大きい他の部署に所属する他の構成員をグループの1名として選択してもよい。
【0014】
前記選択部は、ミーティングの録音データと、当該ミーティングに参加した複数の構成員が所属する部署と、を教師データとして機械学習して作成された、複数の構成員が所属する部署が入力されるとミーティングの活性化レベルを出力する機械学習モデルに、前記複数のグループに対応する複数の構成員が所属する部署を入力し、前記機械学習モデルから出力される前記活性化レベルが所定の条件を満たすグループを優先的に選択してもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、複数の部署の相互関係と提供情報とを関連付けて記憶する提供情報データ記憶部と、前記選択部が選択した複数の構成員がミーティングの前又はミーティング中に、当該複数の構成員が所属する複数の部署の相互関係に関連付けて前記提供情報データ記憶部に記憶された前記提供情報を当該複数の構成員の少なくともいずれかに提供する情報提供部と、をさらに有してもよい。
【0016】
前記情報処理装置は、前記複数の構成員それぞれに関連付けて、ミーティングを実施した履歴を記憶する履歴データ記憶部と、前記履歴データ記憶部に記憶された前記履歴を参照することにより、前記複数の構成員を示すテキスト又は画像と、ミーティングを実施済の複数の構成員を示す複数のテキスト又は画像を結んだ直線と、を含むネットワーク図を作成する作成部をさらに有してもよい。
【0017】
前記情報処理装置は、前記選択部がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる前記所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部と、ミーティングを実施する前とミーティングを実施した後に、情報の共有状況に関するアンケートを前記構成員に実施し、当該アンケートの結果に基づいて、ミーティングが有用であったことを示すポジティブな回答をした複数の前記構成員が所属する前記一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるように前記ルールデータを更新するルール更新部と、をさらに有してもよい。
【0018】
前記情報処理装置は、前記選択部がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる前記所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部と、ミーティングを実施した後に個人の状態を計測する指標が向上した、前記構成員又は組織の状態を計測する指標が向上した組織に属する前記構成員が参加したミーティングに参加した複数の前記構成員が所属する前記一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるように前記ルールデータを更新するルール更新部と、をさらに有してもよい。
【0019】
前記情報処理装置は、前記選択部がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる前記所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部と、ミーティングを実施した後に離職した前記構成員が参加したミーティングに参加した複数の前記構成員が所属する前記一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が低くなるように前記ルールデータを更新するルール更新部と、をさらに有してもよい。
【0020】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、コンピュータが実行する、組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、前記複数の構成員それぞれが所属する部署名と、が関連付けられた構成員データを参照することにより、それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択するステップと、を有する。
【0021】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、組織に所属する複数の構成員それぞれを識別するための構成員識別情報と、前記複数の構成員それぞれが所属する部署名と、が関連付けられた構成員データを参照することにより、それぞれが複数の前記構成員により構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員それぞれが属する部署の相互関係が、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、組織の活性化又は構成員の成長につながりやすい構成員間の対話を優先的に増やすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る情報処理システムSの概要を説明するための図である。
図2】組織を構成する複数の部署と複数の構成員Uとの関係を示す図である。
図3】組織を構成する複数の部署と複数の構成員Uとの関係を示す図である。
図4】情報処理装置1の構成を示す図である。
図5】構成員データの一例を示す図である。
図6】履歴データの一例を示す図である。
図7】履歴データの他の例を示す図である。
図8】提供情報データの例を示す図である。
図9】作成部133が作成するネットワーク図の例を示す図である。
図10】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図11】選択ルールの優先度を更新可能な情報処理装置1の構成を示す図である。
図12】ルールデータの例を示す図である。
図13】ルール更新部134の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】管理者がルールを選択するための画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、複数の構成員Uが所属している組織において、複数の構成員Uにより構成されるグループがミーティングを実施できるようにするためのシステムである。図1においては、構成員U1から構成員U24までの24人が組織に所属している場合を例示しているが、組織に所属している構成員Uの数は任意である。以下の説明においては、主に、2名の構成員Uが1対1のミーティング(1on1)を実施する場合を例にして説明するが、ミーティングが3名以上の構成員Uにより行われてもよい。
【0025】
多数の構成員Uが所属している組織において、複数の構成員Uから成る構成員Uのグループは多数存在する。一例として、N人の構成員Uが組織に所属している場合、2名の構成員Uにより構成されるN×(N-1)/2のグループが存在する。組織の活性化又は構成員Uの成長のために2名の構成員Uがミーティングをすることは有意義であるが、全てのグループでミーティングを実施するには長期間を要する。そこで、情報処理システムSは、ミーティングを実施することで組織の活性化又は構成員Uの成長に役立つ確率が比較的高いグループのミーティングを実施しやすくすることを特徴としている。
【0026】
情報処理システムSは、情報処理装置1と、管理者端末2と、複数の構成員端末3を有する。情報処理装置1と、管理者端末2と、複数の構成員端末3とは、ネットワークを介して相互にデータを送受信することができる。
【0027】
情報処理装置1は、ミーティングを実施するグループを決定する処理を実行するコンピュータである。情報処理装置1は、組織の建物内に設置されていてもよく、組織の外部に設けられたクラウドサーバであってもよい。
【0028】
管理者端末2は、構成員Uのミーティングを管理する管理者が使用するコンピュータである。管理者は、例えば人事部門の社員である。管理者端末2は、複数の構成員端末3のうちの1台であってもよい。管理者端末2は、ミーティングを実施するグループを決定したり、ミーティングの実施状況を管理したりするためのアプリケーションソフトウェアを実行することができる。管理者は、当該アプリケーションソフトウェアを使用して、ミーティングを実施するグループを決定するための処理を実行することができる。管理者端末2は、ミーティングを実施するグループを決定するための処理を管理者が実行したことに応じて、ミーティングを実施するグループを決定するための要求を情報処理装置1に送信する。
【0029】
構成員端末3は、構成員Uそれぞれが使用するコンピュータである。構成員端末3は、スマートフォン又はタブレットであってもよい。構成員端末3が設置されている場所は任意であり、組織の建物内に設置されていてもよく、構成員Uの自宅に設置されていてもよい。
【0030】
情報処理装置1は、ミーティングを実施するグループを決定する要求を管理者端末2から受信したことに応じて、2名の構成員Uの多数の組み合わせから、ミーティングを実施するグループを決定する。情報処理装置1は、決定したグループに関する情報を管理者端末2に通知する。情報処理装置1は、決定したグループに関する情報を、それぞれのグループに属する構成員Uが使用する構成員端末3に通知したり、構成員Uが使用する電子カレンダーにミーティングのスケジュールを記入したりしてもよい。
【0031】
詳細については後述するが、情報処理装置1は、組織に含まれる複数のグループのうち、グループを構成する複数の構成員Uそれぞれが属する部署の相互関係に基づいて、ミーティングを実施するグループを選択することを特徴としている。具体的には、情報処理装置1は、ミーティングをすることが組織の活性化又は構成員Uの成長にとって効果的であると考え得る複数の部署に所属している複数の構成員Uのグループを優先的に選択する。情報処理装置1は、一度もミーティングを実施していないグループを優先的に選択してもよく、所定の期間内(例えば1年以内)にミーティングを実施していないグループを優先的に選択してもよい。情報処理装置1がこのように動作することで、限られた回数のミーティングにより、組織が活性化したり構成員Uが成長したりする確率が高まる。なお、情報処理装置1は、複数の構成員Uの相互関係(例えば性格の類似度、経験した過去の履歴の類似度)にさらに基づいて、ミーティングに参加させる複数の構成員Uを選択してもよい。
【0032】
図2及び図3は、組織を構成する複数の部署と複数の構成員Uとの関係を示す図である。図2及ぶ図3における白丸(〇)は構成員Uを示している。この組織においては、管理本部と営業本部が同じ階層にある。管理本部には、総務部、人事部、経理部がある。営業本部には、地域事業部と営業企画部があり、地域事業部には地域A、地域B、地域Cの3つの課があり、営業企画部には販売促進と広告宣伝の2つの課がある。
【0033】
このような組織の構造は、ノード(節)とブランチ(枝)から構成される木構造により表される。図3における本部、部、課はノードに相当し、本部と部との間、部と課との間、複数の部の間、複数の課の間、及び構成員Uと所属部署との間は、ブランチで接続されている。この木構造における2名の構成員Uの間の距離は、ノードとブランチを経由して1名の構成員Uから他の1名の構成員Uまで到達する経路におけるブランチの数により表される。
【0034】
図3に太線で示すように、構成員U1と構成員U2との間には2本のブランチがあるので距離が構成員U1と構成員U2との距離は2である。構成員U4と構成員U9との間には4本のブランチがあるので構成員U4と構成員U9との距離は4である。構成員U10と構成員U24との間には6本のブランチがあるので、構成員U10と構成員U24との距離は6である。情報処理装置1は、例えば、このようにして算出される2名の構成員Uの間の距離に基づいて、ミーティングを実施するグループを選択する。グループに3名以上の構成員Uが属している場合、情報処理装置1は、例えば3名以上の構成員Uの相互間の距離の平均値又は最小値をグループの距離とし、当該距離が相対的に大きいグループを、ミーティングを実施するグループとして選択する。
以下、情報処理装置1の構成及び動作を詳細に説明する。
【0035】
[情報処理装置1の構成]
図4は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。記憶部12は、組織データ記憶部121と、構成員データ記憶部122と、履歴データ記憶部123と、提供情報データ記憶部124と、を有する。制御部13は、選択部131と、情報提供部132と、作成部133と、を有する。
【0036】
通信部11は、ネットワークを介して管理者端末2及び構成員端末3とデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、例えば、ミーティングを実施するグループを選択するための指示データを管理者端末2から受信し、受信した指示データを選択部131に入力する。また、通信部11は、選択したグループを示すグループデータ、ミーティングを実施した履歴を示すデータのように、ミーティングの管理に用いられるデータを管理者端末2に送信する。さらに、通信部11は、ミーティングの実施スケジュールに関する案内を複数の構成員端末3に送信してもよい。
【0037】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を含む。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、選択部131がグループを選択するために用いる各種のデータを記憶する。
【0038】
組織データ記憶部121は、組織に属する複数の部署の相互関係を示す組織データを記憶する。組織データは、例えば図2に示した木構造データであり、複数の部署それぞれの階層を示すデータ、及び各部署がどの上位階層の部署に属するかを示すデータを含む。組織データは、複数の部署の間の距離を示すデータを含んでもよい。
【0039】
構成員データ記憶部122は、組織に所属する複数の構成員Uそれぞれを識別するための構成員識別情報である構成員IDと、複数の構成員Uそれぞれが所属する部署名と、を関連付けて記憶する。すなわち、構成員データ記憶部122は、構成員IDと所属部署名とが関連付けられた構成員データを記憶する。部署名は、部署の名称を示す文字列であってもよく、部署を識別するための数字又はアルファベットにより構成される文字列であってもよい。
【0040】
構成員データ記憶部122は、複数の構成員Uそれぞれの組織への在籍期間を示す在籍期間データをさらに記憶してもよい。在籍期間は、構成員Uが組織に入ってから経過した年数である。構成員データ記憶部122は、構成員Uが現在の部署に所属してから経過した年数を記憶してもよい。構成員データ記憶部122は、複数の構成員Uそれぞれの専門分野をさらに記憶してもよい。専門分野は、例えば出身の学科、過去又は現在の担当業務の内容により表される。構成員データ記憶部122は、構成員Uの年齢、出身大学、出身地、性格特性等の個人情報をさらに記憶してもよい。
【0041】
図5は、構成員データの一例を示す図である。図5に示す構成員データにおいては、構成員IDと、所属部署名と、在籍期間とが関連付けられている。構成員データ記憶部122は、複数の構成員Uそれぞれが過去に所属していた部署をさらに記憶してもよい。すなわち、構成員データには、構成員Uが過去に所属していた部署名がさらに含まれていてもよい。構成員データには、過去に所属していた部署名に関連付けて、当該部署に所属していた期間が含まれていてもよい。構成員データ記憶部122は、各構成員Uの役職、職位又は等級等をさらに記憶してもよい。
【0042】
履歴データ記憶部123は、複数の構成員Uのうち複数の構成員Uがミーティングをした履歴を示す履歴データを記憶する。図6は、履歴データの一例を示す図である。図6に示す履歴データにおいては、ミーティングの実施日と、ミーティングを実施した2名の構成員U(第1構成員、第2構成員)の構成員IDとが関連付けられている。
【0043】
ミーティングの実施日及びミーティングを実施したグループに関する情報は、例えば管理者端末2から情報処理装置1に送信され、制御部13により履歴データ記憶部123に格納される。制御部13は、ミーティングを実施したという報告を構成員端末3から受信したことに応じて、履歴データを履歴データ記憶部123に記憶させてもよい。
【0044】
図7は、履歴データの他の例を示す図である。図7に示す履歴データは、構成員U1が実施したミーティングの履歴を示すデータである。図7に示す履歴データにおいては、例えば、構成員U1がミーティングを実施した日と、ミーティングをした相手の構成員Uの構成員IDとが関連付けられている。このように、履歴データ記憶部123は、複数の構成員Uのそれぞれに対応する複数の履歴データを記憶してもよい。
【0045】
提供情報データ記憶部124は、複数の部署の相互関係と提供情報とを関連付けて記憶する。すなわち、提供情報データ記憶部124は、複数の部署名と提供情報とが関連付けられた提供情報データを記憶する。提供情報は、ミーティングの前又はミーティング中に、ミーティングを活性化したり、構成員Uの成長につながる会話をしやすくしたりするために構成員Uに提供される情報である。ミーティングを実施する複数の構成員Uそれぞれが所属する部署の組み合わせ、又は構成員Uの組み合わせによって、ミーティングが活性化する話題は異なる。そこで、提供情報データ記憶部124は、複数の部署の組み合わせごと、又は構成員Uの組み合わせごとに、異なる提供情報を記憶している。
【0046】
図8は、提供情報データの例を示す図である。図8(a)に示す提供情報データにおいては、第1部署の名称と、第2部署の名称と、これらの部署の組み合わせに対応する提供情報とが関連付けられている。第1部署は、話題を提供する側の構成員Uが属する部署であり、第2部署は、他方の構成員Uが属する部署である。提供情報データにおいては、1つの組み合わせに対して複数の提供情報が関連付けられていてもよい。
【0047】
図8(b)に示す提供情報データにおいては、ミーティングを行う第1構成員UのIDと、第2構成員UのIDと、これらの構成員Uの組み合わせに対応する提供情報とが関連付けられている。このように、提供情報データにおいては、構成員Uの属性の組み合わせに適した趣味や仕事の話題に関する提供情報が関連付けられていてもよい。
【0048】
構成員Uが、ミーティングの活性化又は構成員Uの成長につながりやすい順序で話しやすいように、提供情報データにおいては、話題を提供するべき順序を示す情報が含まれていてもよい。また、提供情報データにおいては、構成員Uの組み合わせごとに提供情報が関連付けられていてもよい。
【0049】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、選択部131、情報提供部132及び作成部133として機能する。
【0050】
選択部131は、組織に存在する複数のグループのうち、ミーティングを実施させるグループを選択する。選択部131は、通信部11を介して、選択した一以上のグループを構成する2名の構成員Uを示すデータを管理者端末2に送信する。選択部131は、選択した一以上のグループを構成する2名の構成員Uが使用する複数の構成員端末3に、ミーティングの相手となる構成員Uを示すデータを通知してもよい。
【0051】
選択部131は、ミーティングの日時候補をさらに通知してもよい。選択部131は、例えば各構成員Uのスケジュールが登録されたデータを参照し、グループを構成する2名の構成員Uの予定が空いている日時を日時候補として通知する。
【0052】
選択部131は、例えば管理者端末2からグループを作成する要求を受けたことに応じて一以上のグループを選択する。選択部131は、管理者端末2から要求された数のグループを選択してもよい。選択部131は、所定のタイミング(例えば月初)に自動的に一以上のグループを選択してもよい。
【0053】
以下、選択部131がグループを選択する方法について詳細に説明する。選択部131は、それぞれが複数の構成員Uにより構成される複数のグループのうち、グループに含まれる複数の構成員Uそれぞれが属する部署の相互関係が組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを、ミーティングを実施するグループとして選択する。選択部131は、履歴データに基づいて、過去にミーティングを実施していないか、所定の期間(例えば直近の1年間)内にミーティングを実施していない複数の構成員Uから構成される複数のグループを優先的に選択してもよい。
【0054】
組織データは、例えば、組織に属する複数の部署を複数のノードとする木構造データである。所定の関係は、ミーティングを実施することにより、組織が活性化したり構成員Uが成長したりする確率が比較的高い関係であり、予め管理者により設定されている。選択部131は、例えば記憶部12に記憶された所定の関係を示すデータを参照することにより、一以上のグループを選択する。所定の関係を示すデータは、ミーティングの優先度が高い複数の部署の組み合わせを示すデータであってもよく、組織の構造を示す木構造データにおいて複数の部署間の距離を示すデータであってもよい。
【0055】
一例として、選択部131は、複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員Uが異なる部署に所属し、かつ当該複数の構成員Uが所属する複数の部署の関連性が高いグループを優先的に選択する。選択部131は、例えば組織データが示す木構造における距離に基づいて関連性を特定する。具体的には、選択部131は、2名の構成員Uの間の距離が所定の範囲内であるグループを選択する。
【0056】
図3に示す例の場合、選択部131は、距離が3以上5以下のグループを優先的に選択する。選択部131が選択する基準となる距離は、予め管理者により設定されて記憶部12に記憶されていてもよく、管理者端末2からミーティングを実施する要求とともに送信されてもよい。選択部131がこのようなグループを優先的に選択することで、構成員Uは、普段は話す機会が少ない他の構成員Uと話す機会を得られるとともに、ミーティングが活性化したり構成員Uが仕事に活用できる情報を取得したりしやすくなる。
【0057】
選択部131は、複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員Uが過去に所属していた部署が一致していないグループを優先的に選択してもよい。選択部131は、例えば複数の構成員Uの年齢差が基準値(例えば5年)よりも小さい場合に、過去に所属していた部署が一致していないグループを優先的に選択する。選択部131がこのように動作することで、構成員Uは、自身が知らない部署の話を聞くことができるので、視野を広げることができるという効果が生じる。
【0058】
選択部131は、複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員Uが過去に所属していた1以上の部署のうち少なくとも1つの部署が一致しているグループを優先的に選択してもよい。選択部131は、例えば、複数のグループそれぞれに属する構成員Uの1名が第1基準年齢(例えば35歳)以下である場合、当該構成員Uが所属している部署に過去に所属していたことがあり、かつ第1基準年齢よりも高齢の第2基準年齢(例えば40歳以上)の他の構成員Uを優先的に選択する。
【0059】
言い換えれば、選択部131は、一方の構成員Uが他方の構成員Uのキャリアモデルになり得るグループを優先的に選択する。選択部131がこのようなグループを優先的に選択することで、若い構成員Uにとっては、現在の部署で仕事をしたことが将来どのように活きるのかといったことや、将来どのような仕事をすることができるのかといったことを把握する機会を得ることができるという効果が生じる。
【0060】
選択部131は、複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員Uが過去に所属していた部署が一致していないグループを優先的に選択する第1モードで動作するか、グループに属する複数の構成員Uが過去に所属していた部署が一致しているグループを優先的に選択する第2モードで動作するかを、構成員端末3から取得した指示に基づいて決定してもよい。選択部131は、構成員Uごとに、第1モードで動作するか第2モードで動作するかを決定してもよい。
【0061】
選択部131は、例えば、構成員Uに関連付けて構成員端末3から取得した指示、又は管理者端末2から取得した構成員Uの希望に基づいて動作モードを決定する。選択部131は、構成員Uの年齢、構成員Uが所属する部署に基づいて動作モードを決定してもよい。選択部131がこのように動作することで、組織のニーズや構成員Uのニーズによって動作モードが決定されるので、ミーティングの効果をさらに高めることができる。
【0062】
選択部131は、複数のグループのうち、在籍期間が所定の範囲であるグループを優先的に選択してもよい。所定の範囲は、例えば1年以上3年以下であり、構成員端末3を介して管理者により設定されてもよく、管理者端末2を介して構成員Uにより設定されてもよい。選択部131がこのように動作することで、組織において他の部署の構成員Uと話した機会が比較的少ない構成員Uが、他の部署の構成員Uと話す機会を得やすくなる。また、構成員Uが同年代の他の構成員Uと話す機会を得やすくなる。
【0063】
選択部131は、複数のグループのうち、グループに属する複数の構成員Uの専門分野が一致していないグループを優先的に選択してもよい。選択部131がこのような複数の構成員Uを優先的に選択することで、構成員Uは、新たな知見を得ることが可能になる。
【0064】
選択部131は、構成員Uが現在の部署に所属してからの経過期間によって、グループとする他の構成員Uの所属部署を決定してもよい。選択部131は、例えば、構成員Uが現在の部署に所属してからの経過期間が長いほど、当該構成員Uが所属する部署との距離が大きい他の部署に所属する他の構成員Uをグループの1名として選択する。選択部131がこのように動作することで、構成員Uが現在の部署に慣れていない間は、仕事で関係することが想定される他の構成員Uとのミーティングを通して現在の部署に関する理解を深めることができる。また、構成員Uが現在の部署に慣れた後は、仕事での直接の関係が少ない他の構成員Uとのミーティングを通して視野を広げることが可能になる。
【0065】
選択部131は、構成員データに記憶された各構成員Uの役職、職位又は等級を参照することにより、組織におけるポジションが異なる他の構成員Uを優先的に選択してもよい。選択部131がこのように動作することで、普段話す機会が少ない複数の構成員Uが話す機会を作ることができる。
【0066】
選択部131は、機械学習モデルを利用して、ミーティングを実施させるグループを選択してもよい。機械学習モデルは、例えば、ミーティングの録音データと、当該ミーティングに参加した複数の構成員Uが所属する部署と、を教師データとして機械学習して作成された、複数の構成員Uが所属する部署が入力されるとミーティングの活性化レベルを出力するモデルである。ミーティングの録音データには、ミーティングの活性化レベルを示すデータが含まれていてもよい。機械学習モデルは、学習過程において、入力された録音データに含まれている音声の量又はラリーの頻度の少なくともいずれかが多いほど活性化レベルが高いと判定するように構成されていてもよい。
【0067】
選択部131は、この機械学習モデルに、複数のグループに対応する複数の構成員Uが所属する部署を入力し、機械学習モデルから出力される活性化レベルが所定の条件を満たすグループを優先的に選択する。所定の条件は、例えば管理者端末2を介して管理者により設定された活性化レベルの範囲である。選択部131がこのように動作することで、ミーティングが活性化する確率が比較的高いグループにミーティングを実施させることができるので、ミーティングを実施した後の構成員Uの満足度が高まりやすくなる。
【0068】
機械学習モデルは、構成員Uの年齢又は在籍期間のいずれかをさらに教師データとして機械学習したモデルであってもよい。この場合、選択部131は、候補のグループに含まれる構成員Uの年齢又は在籍期間のいずれかを機械学習モデルに入力することで、ミーティングが活性化するグループを選択できる確率がさらに高まる。
【0069】
情報提供部132は、選択部131が選択した複数の構成員Uがミーティングをしている間に、当該2名の構成員Uが所属する複数の部署の相互関係に関連付けて提供情報データ記憶部124に記憶された提供情報を当該複数の構成員Uの少なくともいずれかに提供する。情報提供部132は、例えば、図8に示した提供情報データを参照し、複数の構成員Uが所属する部署の組み合わせに関連付けられた提供情報を選択し、選択した提供情報を構成員端末3に送信する。
【0070】
情報提供部132は、例えば、総務部に属する構成員U1と人事部に属する構成員U4とがミーティングをする場合に、構成員U1に対して、「社員のモチベーションを上げるために何をできる?」という話題を提供する。また、構成員U4に対して、「ワークライフバランスを改善するには?」という話題を提供する。情報提供部132がこのような話題を構成員Uに提供することで、ミーティングが活性化する確率が高まり、構成員Uの満足度が向上する。
【0071】
情報提供部132は、ミーティング中に、提供情報データに含まれている順序を示す情報に基づく順序で提供情報を構成員Uに提供してもよい。情報提供部132は、構成員端末3を介して取得したミーティング中の音声データに基づいて会話が盛り上がっていないと判定した場合に、提供情報を構成員Uに提供してもよい。
【0072】
作成部133は、履歴データ記憶部123に記憶された履歴を参照することにより、複数の構成員Uを示すテキスト又は画像と、ミーティングを実施済の複数の構成員Uを示す複数のテキスト又は画像を結んだ直線と、を含むネットワーク図を作成する。作成部133は、作成したネットワーク図を示すデータを管理者端末2に送信する。作成部133は、ネットワーク図を示すデータを構成員端末3に送信してもよい。
【0073】
図9は、作成部133が作成するネットワーク図の例を示す図である。図9に示すネットワーク図は、総務部に所属する複数の構成員Uがミーティングを実施した履歴を示しているが、ネットワーク図には、組織に属する全ての構成員Uが実施したミーティングの履歴が含まれていてもよい。作成部133は、ミーティングを実施した実績を部署ごとに示すデータをさらに作成してもよい。
【0074】
図9に示すように、ネットワーク図においては、ミーティングが実施された回数が多い部署間における直線の密度が比較的高い。したがって、管理者がこのようなネットワーク図を見ることで、ミーティングが不足している複数の部署を把握することができるので、そのような部署に属する構成員Uにヒアリングをするといった対応をすることが可能になる。
【0075】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図10は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、管理者端末2からの要求に応じて選択部131がグループを選択する処理を開始した時点から開始している。
【0076】
まず、選択部131は1名の構成員Uを選択する(S1)。選択部131は、組織データを参照することにより、組織の木構造において選択した構成員Uとの距離が所定の範囲の距離に含まれている一以上の他の構成員Uを選択する(S2)。
【0077】
選択部131は、S1において選択した構成員Uの在籍期間が閾値以下であるか否かを判定し(S3)、在籍期間が閾値以下である場合(S3においてYES)、当該構成員Uのキャリアモデルとなる他の構成員Uがいるか否かを判定する(S4)。選択部131は、キャリアモデルとなる他の構成員Uがいると判定した場合(S4においてYES)、キャリアモデルとなる構成員Uを選択する(S5)。選択部131は、例えば、構成員Uよりも在籍期間が長く、過去の所属部署が一致する他の構成員Uを選択する。
【0078】
選択部131は、S3において在籍期間が閾値よりも長いと判定した場合(S3においてNO)、及びキャリアモデルとなる他の構成員Uがいないと判定した場合(S4においてNO)、性格特性のマッチ度が比較的高い他の構成員Uを選択する(S6)。性格特性のマッチ度が比較的高いとは、例えば構成員Uがアンケートに回答した結果に基づいて、趣味、嗜好、考え方等が一致する度合いが高いことをいう。さらに、選択部131は、在籍期間が比較的近い他の構成員Uを選択する(S7)。
【0079】
このようにして選択部131がステップS1において選択した構成員Uとミーティングを実施する他の構成員Uを選択すると、選択部131は、ミーティングを実施する相手が決定していない構成員Uがいるか否かを判定する(S8)。選択部131は、ミーティングを実施する相手が決定していない構成員Uがいると判定した場合(S8においてYES)、処理をS1に戻して、ミーティングを実施する相手が決定していない一以上の構成員Uのうち、次に相手を選択する対象とする構成員Uを選択する。選択部131は、全ての構成員Uのミーティングを実施する相手が決定したと判定した場合(S8においてNO)、それぞれのグループのミーティング日時を決定するための処理を実行する(S9)。
【0080】
[選択ルールの更新]
以上の説明においては、複数の構成員Uそれぞれが所属する複数の部署の関係性、複数の構成員Uの在籍期間の関係性、複数の構成員Uの過去の所属部署の関係性、複数の構成員Uの性格特性の関係性、又は複数の構成員Uの専門分野の関係性等の指標に基づいて、選択部131がミーティングを実施する一以上のグループを選択する場合を例示した。選択部131がミーティングを実施する一以上のグループを選択する際に用いる指標が複数ある場合、どの指標を優先するかによって選択の結果が異なる。
【0081】
組織の業務内容、又は複数の構成員Uの特性等によって、どの指標を優先する方がよいかが異なると考えられる。したがって、優先する指標が固定されている場合、組織又は構成員Uに適した選択が行われないというおそれがある。そこで、情報処理装置1は、どの指標を優先するかに関する選択ルールの優先度を更新できるように構成されていてもよい。
【0082】
図11は、選択ルールの優先度を更新可能な情報処理装置1の構成を示す図である。図11に示す情報処理装置1においては、記憶部12が、選択部131がミーティングを実施するグループを選択する際に用いる所定の関係を示す複数の選択ルールの優先度を示すルールデータを記憶するルール記憶部125をさらに有する。また、制御部13が、ルールデータを更新するルール更新部134をさらに有する。
【0083】
図12は、ルールデータの例を示す図である。図12に示すルールデータにおいては、複数の選択ルールそれぞれの優先順位が示されている。ルール更新部134は、以下のいくつかの方法のいずれかにより、複数の選択ルールそれぞれの優先順位を更新することができる。
【0084】
(アンケート結果に基づく更新)
ルール更新部134は、例えば通信部11を介して、ミーティングを実施する前とミーティングを実施した後に、情報又は知識の共有状況に関するアンケートを構成員Uに実施し、当該アンケートの結果に基づいて、ミーティングが有用であったことを示すポジティブな回答をした複数の構成員Uが所属する一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるようにルールデータを更新する。ポジティブな回答とは、例えば、ミーティングの満足度が高かった、情報又は知識を共有しやすくなった、仕事へのモチベーションが高まった、又は愛社精神が高まったといったことを示す回答である。
【0085】
ルール更新部134は、例えば、ミーティングを実施する前と、ミーティングを実施してから所定期間(例えば1ヵ月)が経過した後に、TMS(Transactive Memory System)の指標を測定するためのアンケートを構成員Uに送信し、アンケートへの回答を取得する。TMSの指標が高い状態は、誰が何を知っているかが共有されている状態である。すなわち、構成員Uが自身の情報や知識を共有できており、共有できた他の構成員Uの情報や知識を活用できる状態においてTMSの指標が高くなる。TMSの指標を測定するために、アンケートには、例えば、他の部署との関係、業務における課題、業務に対する意欲、及び業務に関連する知識等に関する質問が含まれている。
【0086】
ルール更新部134は、構成員Uによる回答の内容に基づいてTMSの指標を算出し、ミーティングの実施前の指標とミーティングの実施後の指標とを比較する。また、ルール更新部134は、ミーティングに参加した複数の構成員Uから構成されるグループが、どのような選択ルールを満たしていたかを確認する。具体的には、ルール更新部134は、例えば図12に示したルールデータにおけるどの選択ルールに基づいて複数の構成員Uが選択されたかを特定する。
【0087】
ミーティングの実施後の指標がミーティングの実施前の指標よりも高い場合、ルール更新部134は、特定した選択ルールにプラスの点数(例えば+1点)を付与する。逆に、ミーティングの実施後の指標がミーティングの実施前の指標よりも低い場合、ルール更新部134は、特定した選択ルールにマイナスの点数(例えば-1点)を付与する。ルール更新部134は、ミーティングを実施した複数の構成員Uそれぞれのアンケートへの回答に基づく指標を用いて、複数の選択ルールそれぞれに付与された点数の合計値を算出する。
【0088】
ルール更新部134は、合計値が高い選択ルールほど優先順位が高くなるようにルールデータを更新する。ルール更新部134が、このようにルールデータを更新することで、ミーティングが有用であったことを示すポジティブな回答をした複数の構成員Uが所属する一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなる。その結果、それ以降のミーティングを実施することによりTMS指標が向上する確率が高くなる。なお、ルール更新部134がTMSの指標を測定するための方法はアンケートに限らず、任意の方法を用いてよい。また、ルール更新部134がルールデータを更新する方法も任意である。
【0089】
(個人又は組織の状態に基づく更新)
ルール更新部134がルールデータを更新する方法は上記の方法に限らない。ルール更新部134は、ミーティングを実施した後に個人の状態を計測する評価指標(例えば人事評価)が向上した構成員U又は組織の状態を計測する評価指標が向上した組織に属する構成員Uが参加したミーティングに参加した複数の構成員Uが所属する一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるようにルールデータを更新してもよい。
【0090】
一例として、部署Aに所属する構成員UであるXさんと、部署Bに所属する構成員UであるYさんとにより構成されるグループがミーティングを実施した後に、部署A又は部署BのTMSが向上したとする。このような場合、部署Aの構成員Uと部署Bの構成員UとがミーティングをすることでTMSが向上する蓋然性が高いと考えられる。そこで、ルール更新部134は、部署Aの構成員Uと部署Bの構成員Uとを含む一以上のグループがミーティングを実施するグループとして選択される確率が高くなるように、ルールデータを更新する。
【0091】
この場合、ルール更新部134は、ミーティングの実施後に評価指標が向上した構成員Uがミーティングへの参加者として選択された根拠となる選択ルールを特定し、特定した選択ルールにプラスの点数を付与する。逆に、ミーティングの実施後に評価指標が低下した場合、ルール更新部134は、特定した選択ルールにマイナスの点数を付与する。ルール更新部134は、ミーティングを実施した複数の構成員Uそれぞれの評価指標、又は構成員Uが所属する組織の評価指標を用いて、複数の選択ルールそれぞれに付与された点数の合計値を算出し、合計値が高い選択ルールほど優先順位が高くなるようにルールデータを更新する。
【0092】
(離職の有無に基づく更新)
ルール更新部134は、ミーティングを実施した後に離職した構成員Uが参加したミーティングに参加した複数の構成員Uが所属する一以上のグループの関係と同じ関係を有する一以上のグループが、ミーティングを実施するグループとして選択される確率が低くなるようにルールデータを更新してもよい。ルール更新部134は、ミーティングの実施後に離職した構成員Uがミーティングへの参加者として選択された根拠となる選択ルールを特定し、特定した選択ルールにマイナスの点数を付与する。ルール更新部134は、マイナスの点数が付与された選択ルールの優先順位が低くなるようにルールデータを更新する。
【0093】
図13は、ルール更新部134の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13に示すフローチャートは、ミーティングが終了した時点から開始している。
【0094】
ルール更新部134は、ミーティングに参加した複数の構成員Uにアンケートを実施する(S11)。具体的には、ルール更新部134は、アンケートを複数の構成員Uに送信し、アンケートへの回答を取得する。ルール更新部134は、選択した構成員Uのアンケートへの回答に基づいてTMS指標を算出する(S12)。
【0095】
続いて、ルール更新部134は、複数の構成員Uから1人の構成員Uを選択する(S13)。また、ルール更新部134は、選択した構成員Uがミーティングへの参加者として選択された際に用いられた選択ルールを特定する(S14)。ルール更新部134は、例えば、記憶部12に記憶された、選択部131が構成員Uを選択した際に条件が満たされた選択ルールを参照することにより、構成員Uが選択された際に用いられた選択ルールを特定する。
【0096】
ルール更新部134は、構成員Uに関連付けて記憶部12に記憶された、ミーティングの実施前のTMS指標の値と、S13において算出したTMS指標の値とを比較し、TMS指標の値が増加したか否かを判定する(S15)。指標値が増加した場合(S15においてYES)、ルール更新部134は、S14で特定した選択ルールにプラスの点数を付与することにより加点する(S16)。指標値が減少した場合(S15においてNO)、ルール更新部134は、S14で特定した選択ルールにマイナスの点数を付与することにより減点する(S17)。
【0097】
ルール更新部134は、例えば所定の期間内にミーティングを実施した全ての構成員Uに対してS12からS17までの処理を実施するまで(S18においてNO)、S12からS17までの処理を繰り返す。全ての構成員Uに対してS12からS17までの処理を実施すると、ルール更新部134は、複数の選択ルールに付与された点数順に、ルールデータにおける選択ルールの優先順位を変更することによりルールデータを更新する(S19)。ルール更新部134がこのように動作することにより、効果が大きいミーティングが実施される確率が高まる。
【0098】
[管理者による選択ルールの設定]
以上の説明においては、情報処理装置1がプログラムを実行することにより、ミーティングに参加する複数の構成員Uが所属する一以上のグループを選択する際に用いられる選択ルールを決定したが、情報処理装置1の管理者がルールを決定してもよい。管理者が、情報処理装置1が提示した複数のルールの候補から選択ルールを選択してもよく、管理者が記述したルールを情報処理装置1に入力してもよい。
【0099】
図14は、管理者がルールを選択するための画面の例を示す図である。ルール更新部134は、通信部11を介して、管理者が使用するコンピュータに図14に示す画面を表示させる。図14において四角形内の文言は、管理者が複数の候補から選択できるように構成されている。管理者は、複数の候補から、優先度が高い条件に対応する文言を選択することで、優先度の順番に一以上のルールを設定することができる。
【0100】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、情報処理装置1は、それぞれが複数の構成員Uにより構成される複数のグループのうち、当該グループに含まれる複数の構成員Uそれぞれが属する部署の相互関係が組織データにおいて所定の関係を示している一以上のグループを選択する選択部131を有する。選択部131がこのように構成されていることで、組織の活性化又は構成員の成長にとって効果的な対話をできるグループが優先的に選択されるので、組織の活性化又は構成員の成長につながるミーティングが実施される確率が高まる。さらに、普段話さない他部署の構成員と対話して繋がりを増やすことで、組織の風通しが良くなったり、問題を発見した場合に相談しやすくなったりすることで、構成員の心理的な安全性も向上する。
【0101】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0102】
1 情報処理装置
2 管理者端末
3 構成員端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
121 組織データ記憶部
122 構成員データ記憶部
123 履歴データ記憶部
124 提供情報データ記憶部
125 ルール記憶部
131 選択部
132 情報提供部
133 作成部
134 ルール更新部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14