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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075507
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】抗ウイルスコーティング剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/12 20060101AFI20240527BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20240527BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20240527BHJP
   A01N 33/16 20060101ALI20240527BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20240527BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P1/00
A01N37/02
A01N33/16
A01N43/16 A
A01N31/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196887
(22)【出願日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2022186541
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 恵太
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA04
4H011BB03
4H011BB04
4H011BB06
4H011BB08
(57)【要約】
【課題】 優れた抗ウイルス効果を示す抗ウイルス組成物を提供する。
【解決手段】 界面活性剤を含む抗ウイルス組成物であって、該界面活性剤は、イオン性の親水性基を有さず、かつ炭素数7以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか、又は、イオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有し、かつ炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか若しくは炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有することを特徴とする抗ウイルス組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含む抗ウイルス組成物であって、
該界面活性剤は、イオン性の親水性基を有さず、かつ炭素数7以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか、又は、イオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有し、かつ炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか若しくは炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有する
ことを特徴とする抗ウイルス組成物。
【請求項2】
前記疎水性基は、炭化水素基である請求項1に記載の抗ウイルス組成物。
【請求項3】
硬質表面に用いられる請求項1又は2に記載の抗ウイルス組成物。
【請求項4】
プラスチック表面に用いられる請求項1又は2に記載の抗ウイルス組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の抗ウイルス組成物を含むことを特徴とする抗ウイルスコーティング剤。
【請求項6】
人の皮膚をコーティングするために用いられる請求項5に記載の抗ウイルスコーティング剤。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の抗ウイルス組成物、又は、請求項5又は6に記載の抗ウイルスコーティング剤を含むことを特徴とする衛生資材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスの中にはヒトに感染するものもあり、感染予防のために従来からウイルス不活性化剤が用いられていた。
【0003】
2020年に新型コロナウイルス感染症が発生し、ウイルス不活性化剤の需要が増大したことから、ウイルス不活性化用途に好適に用いられる組成物のバリエーションを増やすための種々の研究がおこなわれている。
例えば、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が、経済産業省の要請を受け、新型コロナウイルスの感染拡大に対応し、家庭や職場においてアルコール以外の消毒方法の選択肢を増やすため、各種界面活性剤の有効性評価をおこなっている(非特許文献1参照)。
【0004】
また新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、飛沫感染防止のため、例えばスーパーや百貨店、飲食店等の店舗、宿泊施設、医療施設、オフィス等において、レジカウンター、受付カウンター、面談カウンター、窓口等にアクリル板やビニルカーテンを設置したり、飲食店のカウンター席等のテーブル上、オフィス等のデスク上にアクリル製のパーティションを設置したりすることが増えている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“インフルエンザウイルスを用いた代替消毒候補物資の有効性評価にかかる検証試験の結果について 令和2年4月30日 独立行政法人製品評価技術基盤機構”、[online]、令和2年5月1日発表、独立行政法人製品評価技術基盤機構、インターネット<URL:https://www.nite.go.jp/data/000108456.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような状況下において、物品の表面、例えば硬質表面やプラスチックの表面、又は、身体表面において、抗ウイルス性を付与できる組成物が求められている。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、優れた抗ウイルス効果を示す抗ウイルス組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明(1)は、界面活性剤を含む抗ウイルス組成物であって、該界面活性剤は、イオン性の親水性基を有さず、かつ炭素数7以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか、又は、イオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有し、かつ炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか若しくは炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有することを特徴とする抗ウイルス組成物である。
【0009】
なお、本明細書中、「抗ウイルス」とは、後述する実施例に示すように、組成物をプラスチック板等の物品又は身体の表面や繊維上に塗布、乾燥したうえで、ウイルス液を滴下し、作用させ、当該表面や繊維からウイルスを抽出し、そのウイルス感染価を測定する試験方法で確認される効果をいう。標準の試験方法として、ISO21702やJIS1922:2016に規定されている。本発明の抗ウイルス組成物は、物品表面や身体表面に対して使用した場合に、優れた抗ウイルス性を予め付与できるものであり、すなわち、あらかじめ対象物表面へコーティング被膜を作っておくことにより、後からウイルスがその対象物へ付着してもウイルスを不活性化することができる薬剤であり、「抗ウイルス剤」又は「抗ウイルスコーティング剤」と言い換えることができる。
一方、「ウイルス不活性化」とは、次に示すような懸濁試験で確認される効果をいう。液状の組成物にウイルス液を添加し、一定時間作用後のウイルス感染価を測定する試験方法である。標準の試験方法として、ASTM1052に規定されている。ウイルス不活性化剤は、対象物表面や液中等にすでに存在しているウイルスに接触作用させることで、直ちにウイルスを不活性化できる薬剤である。なお、上記非特許文献1は、実質的に、「抗ウイルス」の効果ではなく「ウイルス不活性化」の効果を評価するものであった。
抗ウイルス組成物は、乾燥状態でウイルスを不活性化するものであり、ウイルス不活性化剤は、溶液の状態でウイルスを不活性化するものである点で、両者は異なる。
本発明の抗ウイルス組成物は、少なくとも1種のウイルスについて、上述した抗ウイルス性を物品表面や身体表面に付与できる組成物をいう。なお、本発明の抗ウイルス組成物がウイルス不活性化のために使用されても構わない。
【0010】
本発明の抗ウイルス組成物は、1種の界面活性剤が優れた抗ウイルス効果を発揮できる。
優れた抗ウイルス効果を発揮できる理由は、以下のように考えられる。
ノニオン界面活性剤の疎水性基の炭素数が7以上であることが重要で、当該ノニオン界面活性剤の疎水性基がインフルエンザウイルス等のエンベロープウイルスが持つエンベロープ膜を変性、破壊することでウイルスを不活性化すると考えられる。次に、ノニオン界面活性剤の親水性基部分は帯電していないため硬質・軟質表面に効率よく配向し(並び)、より効率よくウイルスと界面活性剤の接触効率が高まり、抗ウイルス効果が発揮されやすくなると考えられる。
しかし、界面活性剤の親水性基の帯電状態は疎水性基の炭素数と比較すると抗ウイルス効果に及ぼす影響度は小さく、界面活性剤が、その疎水性基の炭素数が11以上であること、又は、その2つの疎水性基の炭素数が9以上であれば、イオン性の親水性基を1つのみ有するもの、又は、互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有するものも有効な抗ウイルス効果を発揮できる。
なお、本発明に係る界面活性剤は、上記の構成を有する限り、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とすることができ、いずれの界面活性剤でも有効な抗ウイルス効果を発揮するが、中でもノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。
【0011】
本明細書中、「イオン性の親水性基」は、一般的なカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が有する、イオン性を示すか、又は、イオン性を示し得る親水性基に該当するものであればよく、例えば第四級アンモニウム基等のカチオン性基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基等のアニオン性基、アミンオキシド基等の双性イオン基等が挙げられる。
【0012】
本発明の抗ウイルス組成物は、炭素数7以上の疎水性基を少なくとも1つ有し、かつイオン性の親水性基を有さない界面活性剤、及び/又は、炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか若しくは炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有し、かつイオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有する界面活性剤を含む。これにより、優れた抗ウイルス効果を発揮できる。
【0013】
本発明の抗ウイルス組成物では、上記疎水性基としては、炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ポリ)アルキレンオキシド基、又は、これらの基のいずれか2つ以上が結合してなる基が挙げられるが、中でも炭化水素基であることが好ましい。
すなわち、本発明(2)は、上記疎水性基が、炭化水素基である本発明(1)の抗ウイルス組成物である。
また本発明の抗ウイルス組成物では、上記界面活性剤は、イオン性の親水性基を有さないか、又は、1つのみ有することが好ましい。すなわち、上記界面活性剤は、イオン性の親水性基を有さないか、又は、第四級アンモニウム基等のカチオン性基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基等のアニオン性基、又は、アミンオキシド基等の双性イオン基を1つのみ有することが好ましい。
なお、カルボン酸(塩)基は、カルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基をいう。スルホン酸(塩)基、硫酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基も同様である。
このような界面活性剤を用いることで、本発明の抗ウイルス組成物の抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
【0014】
本発明(3)は、硬質表面に用いられる本発明(1)又は(2)の抗ウイルス組成物である。
また本発明(4)は、プラスチック表面に用いられる本発明(1)~(3)のいずれかとの組合せの抗ウイルス組成物である。
本発明の抗ウイルス組成物が硬質表面やプラスチックの表面に用いられるとは、本発明の抗ウイルス組成物を当該表面に噴霧したり、塗布したりすることで、当該表面に抗ウイルス性を付与することをいう。
【0015】
本発明(5)は、本発明(1)~(4)のいずれかの抗ウイルス組成物を含むことを特徴とする抗ウイルスコーティング剤である。
本発明の抗ウイルスコーティング剤は、物品表面や身体表面をコーティングすることで、物品表面や身体表面に抗ウイルス性を付与することができる。
コーティングとは、被膜を形成できるものであればよいが、塗布によるものであることが好ましい。
【0016】
本発明(6)は、人の皮膚をコーティングするために用いられる本発明(5)の抗ウイルスコーティング剤である。
本発明の抗ウイルス組成物を用いて、人の手指等の身体表面をコーティングすることで、人皮膚表面に抗ウイルス性を付与することができる。
コーティングとは、塗布によるものであることが好ましい。
【0017】
本発明(7)は、本発明(1)~(4)のいずれかの抗ウイルス組成物、又は、本発明(5)又は(6)の抗ウイルスコーティング剤を含むことを特徴とする衛生資材である。
本発明の衛生資材は、本発明の抗ウイルス組成物、又は、本発明の抗ウイルスコーティング剤を含むため、本発明の衛生資材を用いることにより、物品表面や身体表面に抗ウイルス性を付与することができる。
【0018】
なお、本発明は、例えば、炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか、又は、炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有する界面活性剤を含む抗ウイルス組成物であって、該界面活性剤は、イオン性の親水性基を有さないか、1つのみ有するか、又は、互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有する抗ウイルス組成物でもある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の抗ウイルス組成物は、優れた抗ウイルス効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の抗ウイルス組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0021】
本発明の抗ウイルス組成物は、炭素数7以上の疎水性基を少なくとも1つ有し、かつイオン性の親水性基を有さない界面活性剤、及び/又は、炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか若しくは炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有し、かつイオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有する界面活性剤を含むことを特徴とする。
本発明の抗ウイルス組成物の各構成について以下に説明する。
【0022】
本発明に係るイオン性の親水性基を有さない界面活性剤は、炭素数7以上の疎水性基を少なくとも1つ有する。また、本発明に係る、イオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有する界面活性剤は、炭素数11以上の疎水性基を少なくとも1つ有するか若しくは炭素数9以上の疎水性基を少なくとも2つ有する。
「疎水性基」としては、炭化水素基、(ポリ)アルキレンオキシド基、又は、これらの基の2つ以上が結合してなる基が挙げられ、更に水酸基、ハロゲン原子を含んでいてもよいが、炭化水素基が好ましい。なお、上記(ポリ)アルキレンオキシド基は、アルキレンオキシド基又はポリアルキレンオキシド基をいう。(ポリ)アルキレンオキシド基は、例えば、(ポリ)エチレンオキシド基であることが好ましい。
上記疎水性基の価数は特に限定されず、例えば1価であってもよく、2価であってもよく、3価以上であってもよい。
上記炭化水素基としては、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの2種以上が結合してなる基が挙げられ、中でも脂肪族飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましい。
イオン性の親水性基を1つのみ有するか若しくは互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有する上記界面活性剤における、炭素数9以上の疎水性基における炭素数は、10以上であることが好ましい。
上記疎水性基における炭素数は、その上限値は特に限定されないが、例えば36以下であり、24以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、更に、イオン性の親水性基を有さないか、1つのみ有するか、又は、互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有する。
上記界面活性剤が、イオン性の親水性基を有さないとは、上記界面活性剤が一般的なノニオン界面活性剤であることをいう。
上記界面活性剤が、イオン性の親水性基を1つのみ有するとは、上記界面活性剤が第四級アンモニウム基等のカチオン性基、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、硫酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、リン酸(塩)基等のアニオン性基、又は、アミンオキシド基等の双性イオン基を1つ有することをいう。
上記界面活性剤が、互いに電荷が異なるイオン性の親水性基をそれぞれ有するとは、界面活性剤が上記カチオン性基と、上記アニオン性基とをそれぞれ1つ以上有することをいい、上記カチオン性基の数と、上記アニオン性基の数が同じであってもよく、異なっていてもよい。、中でも、界面活性剤が、互いに電荷が異なるイオン性の親水性基を(合計)2つ有することが好ましい。すなわち、界面活性剤が上記カチオン性基と、上記アニオン性基とをそれぞれ1つずつ有することが好ましい。
【0024】
上述したように、本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、上記の構成を有する限り、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とすることができ、いずれの界面活性剤でも有効な抗ウイルス効果を発揮するが、中でもノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。
【0025】
また本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、上記の構成を有する、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2種の界面活性剤であることが本発明における好ましい実施形態の1つであり、例えば、ノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤の組合せ、ノニオン界面活性剤と両性界面活性剤の組合せ、カチオン界面活性剤と両性界面活性剤の組合せが好ましい。
【0026】
(カチオン界面活性剤)
本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、カチオン界面活性剤であってもよい。
カチオン界面活性剤は、例えば、第四級アンモニウムカチオンを有する化合物(第四級アンモニウム化合物)であることが好ましく、下記一般式(1)で表されるカチオンを有することがより好ましい。
【化1】
【0027】
[式(1)中、R~Rは、疎水性基を表す。Rは、炭素数が11以上であるか、又は、R、Rは、それぞれ、炭素数が9以上である。窒素原子がR~Rのいずれかと二重結合で結合している場合は、Rは存在しなくてもよい。R~Rは、いずれか2つが互いに結合して環(例えば、芳香環)を形成していてもよい。]
上記R~Rの好ましい種類、R、Rの好ましい炭素数は、上述した疎水性基の好ましい種類、好ましい炭素数と同様である。
またRが、炭素数が11以上である場合、Rは、炭素数は特に限定されないが、例えば、炭素数1~7の炭化水素基(メチル基、ベンジル基等)、ヒドロキシエチル基、(ポリ)エチレンオキシド基であることが好ましい。
、Rは、炭素数は特に限定されないが、例えば1~5であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0028】
上記カチオン界面活性剤は、どのような塩であってもよいが、例えば、塩化物、臭化物、セチルリン酸塩、プロピオン酸塩、メチル硫酸塩、アジピン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩等が好適なものとして挙げられる。
【0029】
上記カチオン界面活性剤をウイルスに接触させることにより、抗ウイルス効果を発揮できる。
なお、カチオン界面活性剤は少量で殺菌効果を示すものでもあり、本発明の抗ウイルス組成物により優れた殺菌効果も発揮できると考えられる。
【0030】
本発明の抗ウイルス組成物では、上記カチオン界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム塩、ジアルキルメチルポリオキシエチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、及び、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等であって、上述した炭素数の規定を満たすものが好ましい。
本発明の抗ウイルス組成物では、これらの第四級アンモニウム化合物が単独で含まれていてもよく、複数が含まれていてもよい。
【0031】
(両性界面活性剤)
本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、両性界面活性剤であってもよい。
両性界面活性剤としては、ラウリルアミノプロピオン酸(塩)、アルキルベタイン、アルキルアミノベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルアミドアミンオキシド、アルキルジアミノエチルグリシン(塩)等であって、上述した炭素数の規定を満たすものが挙げられる。これらの中では、ラウリルアミノプロピオン酸(塩)、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、アルキルジアミノエチルグリシン(塩)が好ましく、ラウリルアミノプロピオン酸(塩)、アルキルアミンオキシド、アルキルジアミノエチルグリシン(塩)がより好ましい。
塩としては、アルカリ金属塩等の金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられる。
【0032】
(ノニオン界面活性剤)
本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、ノニオン界面活性剤であってもよい。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グルコシド、ポリオキシアルキレンメチルエーテル脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、キラヤサポニン等であって、上述した炭素数の規定を満たすものが挙げられる。
これらの中では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グルコシドが好ましい。オキシアルキレン基は、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基であることが好ましく、その繰り返し数は2~20であることが好ましく、5~10であることがより好ましい。アルキル(ポリ)グルコシドとは、アルキルグルコシド及び/又はアルキルポリグルコシドをいう。
【0033】
(アニオン界面活性剤)
本発明の抗ウイルス組成物が含む上記界面活性剤は、アニオン界面活性剤であってもよい。
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸(塩)、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等であって、上述した炭素数の規定を満たすものが挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸(塩)が好ましい。
塩としては、アルカリ金属塩等の金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられる。
【0034】
上記界面活性剤が有する疎水性基の好ましい炭素数は、上述した疎水性基の好ましい炭素数と同様である。
【0035】
本発明の抗ウイルス組成物中、上記界面活性剤は、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(アルキル基の炭素数がいずれも9以上)、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩(アルキル基の炭素数が11以上)、ベンザルコニウム塩(アルキル基の炭素数が11以上)、アルキルアミノプロピオン酸塩(アルキル基の炭素数が11以上)、アルキルジメチルアミンオキシド(アルキル基の炭素数が11以上)、アルキルジエチルアミンオキシド(アルキル基の炭素数が11以上)、アルキルジメチルベタイン(アルキル基の炭素数が11以上)、アルキルジアミノエチルグリシン塩(アルキル基の炭素数が11以上)、アルキルグルコシド(アルキル基の炭素数が7以上)、脂肪酸アルカノールアミド(脂肪酸由来のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が7以上)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数が7以上)、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル(脂肪酸由来のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が7以上)、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(脂肪酸由来のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が7以上)、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル(脂肪酸由来のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が7以上)、及び、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数が7以上)からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤であることが好ましい。
なお、塩としては、特に限定されないが、上述したものを好適に使用できる。
【0036】
本発明の抗ウイルス組成物中、上記界面活性剤の濃度が0.005質量%以上であることが好ましい。より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上である。
上記界面活性剤の濃度が上記所定濃度以上であることで、本発明の抗ウイルス組成物の抗ウイルス効果をより優れたものとすることができる。
また本発明の抗ウイルス組成物中、上記界面活性剤の濃度が10質量%以下であることが好ましい。該濃度は、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下であり、一層好ましくは1質量%以下であり、より一層好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.2質量%以下である。
上記界面活性剤の濃度が上記所定濃度以下であることで、経済的なものとすることができる。
上記界面活性剤の濃度は、本発明の抗ウイルス組成物が含む、所定の条件を満たす界面活性剤を純分換算した場合の合計濃度である。
界面活性剤の合計濃度がこのように低いものであることによって、使用対象物に拭き跡が残りにくく、かつ、優れた抗ウイルス効果を発揮する。
【0037】
(その他の成分)
本発明の抗ウイルス組成物には、上述した本発明に係る界面活性剤以外に,その他の界面活性剤、キレート剤、溶剤、酸剤、アルカリ剤、可溶化剤、粘度調整剤、腐食防止剤、分散剤、消泡剤、蛍光増白剤、香料、色粉、安定化剤、酵素等が含まれていてもよい。
【0038】
本発明の抗ウイルス組成物は、上述した本発明に係る界面活性剤以外のその他の界面活性剤を含んでいても良いが、その含有量は、抗ウイルス組成物100質量%中、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。本発明の抗ウイルス組成物は、上述した本発明に係る界面活性剤以外のその他の界面活性剤を実質的に含まないことが更に好ましい。
【0039】
本発明の抗ウイルス組成物は、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸系キレート剤、エーテルカルボン酸塩系キレート剤等のキレート剤を含んでいてもよい。
本発明の抗ウイルス組成物中のキレート剤の質量濃度(合計質量濃度)は、0~10質量%であることが好ましく、0~6質量%であることがより好ましく、0~2質量%であることが更に好ましい。
【0040】
本発明の抗ウイルス組成物は、低級アルコールを含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、殺菌効果、ウイルス不活性化効果の観点からは、本発明の抗ウイルス組成物中、低級アルコールの濃度が50質量%以上であることが好ましい。
低級アルコールの濃度が50質量%以上であることで、殺菌効果、ウイルス不活性化効果が高まり、優れた抗ウイルス性を発揮しながら、ウイルス不活性化効果も非常に優れたものとすることができ、感染症や食中毒を充分に防止できる可能性が高まる。本明細書中、低級アルコールは、炭素数5以下のアルコールをいう。なお、アルコールの価数は特に限定されない。
低級アルコールの濃度は、低級アルコールを複数種用いる場合は、複数種の低級アルコールの合計の濃度である。
【0041】
上記低級アルコールの濃度は、殺菌効果、ウイルス不活性化効果を好適に発揮する観点からは、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上、75質量%以下であることが更に好ましい。
【0042】
また殺菌効果、ウイルス不活性化効果を好適に発揮する観点からは、本発明の抗ウイルス組成物中、低級アルコール、高級アルコールを含むアルコールの濃度が50質量%以上であることが好ましい。
本明細書中、高級アルコールは、炭素数6以上のアルコールをいう。アルコールの価数は特に限定されない。
上記アルコールの濃度は、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上、75質量%以下であることが更に好ましい。
なお、本発明の抗ウイルス組成物は、低級アルコールや高級アルコールを低濃度としたり配合しないものとした場合であっても、優れた抗ウイルス効果を示すことができるものである。
【0043】
(水)
本発明の抗ウイルス組成物は、更に、水を含有することが好ましい。
水は、他の成分以外の残部として配合され、その含有量は特に限定されるものではない。水としては、特に限定されないが、例えば水道水、蒸留水、精製水、純水、イオン交換水等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のウイルス不活性化剤中、水の質量濃度は、1.00~99.995質量%であることが好ましく、3.00~99.99質量%であることがより好ましく、5.00~99.9質量%であることが更に好ましく、7.00~99.8質量%であることが一層好ましく、10.00~50.00質量%であることがより一層好ましく、15.00~40.00質量%であることが特に好ましく、20.00~35.00質量%であることが最も好ましい。
本発明の抗ウイルス組成物は、水と、上述した本発明に係る界面活性剤との質量比(水:界面活性剤)が、例えば4:1~2000:1であることが好ましく、10:1~1000:1であることがより好ましく、40:1~500:1であることが更に好ましい。
なお、本発明の抗ウイルス組成物は、上述した本発明に係る界面活性剤と、水から実質的に構成されるものであってもよく、本発明に係る界面活性剤、アルコール、水以外のその他の成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。本発明の抗ウイルス組成物は、上述した本発明に係る界面活性剤、アルコール、水以外のその他の成分を実質的に含まないことが特に好ましい。
【0044】
(pH)
本発明の抗ウイルス組成物は、pHが3.0~11.0であることが好ましく、4.0~10.0であることがより好ましく、5.0~10.0であることが更に好ましい。
なお、pHは、例えば硫酸、塩酸、スルファミン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸等の酸剤や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン化合物、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩等のアルカリ剤の量を制御することにより調整することができる。
pHは、25℃でpHメータを用いて測定されるものである。
【0045】
(用途)
次に、本発明の抗ウイルス組成物の用途を説明する。
本発明の抗ウイルス組成物は、硬質材料、軟質材料の表面、身体表面に用いることが可能である。硬質材料としては、例えば、金属、セラミック、プラスチック、ガラス、表面処理した木材等が挙げられる。軟質材料としては、例えば、繊維等が挙げられる。身体としては、例えば人の身体(手指等)が挙げられる。
【0046】
本発明の抗ウイルス組成物は、上述したように、例えば、硬質材料の表面に用いられることが好ましい。
また本発明の抗ウイルス組成物は、例えば、金属の表面、プラスチックの表面、又は、繊維の表面に用いられることが好ましい。
更に、本発明の抗ウイルス組成物は、例えば、人の皮膚に用いられることが好ましい。
【0047】
また本発明の抗ウイルス組成物を、抗ウイルスコーティング剤に用いてもよい。
本発明の抗ウイルスコーティング剤は、物品表面や身体表面をコーティングすることで、物品表面や身体表面に抗ウイルス性を付与することができる。
このような抗ウイルスコーティング剤を用いることにより、ウイルス感染を充分に防ぐことができる。
【0048】
また本発明の抗ウイルス組成物を、衛生資材に用いてもよい。
本発明の抗ウイルス組成物は、優れた抗ウイルス効果を発揮するので、このような抗ウイルス組成物を含む衛生資材を用いることにより、ウイルス感染を充分に防ぐことができる。
【0049】
衛生資材としては、特に限定されるものではないが、例えば、マスク、使い捨て手袋、使い捨て布巾、ティッシュペーパー、ウエットティッシュ等があげられる。
【0050】
なお、本発明の抗ウイルス組成物は、手洗い液、中性洗剤、消臭剤に加えてもよい。
本発明の抗ウイルス組成物や、本発明の抗ウイルス組成物を含む手洗い液、中性洗剤、消臭剤等は、ポンプボトルやスプレーボトルに詰められていてもよい。
【0051】
本発明の抗ウイルス組成物は、優れた抗ウイルス効果を示す。
また本発明の抗ウイルス組成物は、低級アルコール濃度を低いもの(例えば、40質量%未満)とした場合は、使用対象物がプラスチック等である場合に、使用対象物が劣化しにくい。なお、当然ながら、使用対象物が金属や繊維である場合も、使用対象物が劣化しにくい。また、人の皮膚に付着しても人の皮膚を傷つけにくい。
低級アルコール濃度を高いもの(例えば、50質量%以上)とした場合は、殺菌効果、ウイルス不活性化効果を好適に発揮し、感染症や食中毒リスクの低減に有効である。
【0052】
本発明は、本発明の抗ウイルス組成物の使用方法でもある。
本発明の使用方法は、本発明の抗ウイルス組成物を水等で希釈して使用するものであってもよい。例えば、本発明の抗ウイルス組成物の使用時の界面活性剤濃度は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.25質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
【実施例0053】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する。
【0054】
(実施例1~53)及び(比較例1~4)
表1~表7に記載の配合により実施例1~53及び比較例1~4に係る抗ウイルス組成物を作製した。その性能評価の結果を表1~8に示す。
なお、表1~表7中、化合物の製造元等は以下の通りである。
【0055】
<カチオン界面活性剤(第四級アンモニウム化合物)>
ジデシルジメチルアンモニウム・メトサルフェート:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 リポカード210-80MSPG(炭素数10のアルキル基を2つ、イオン性の親水性基であるアンモニウム基を1つ有する。)
塩化ジメチルジオクチルアンモニウム:ロンザジャパン(株)製 Bardac LF80(イオン性の親水性基であるアンモニウム基を1つ有するが、炭素数9以上の疎水性基を有しない。)
塩化アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム:クラリアントジャパン(株)製 Prepagen HY(炭素数12~14のアルキル基のいずれかを1つ、イオン性の親水性基であるアンモニウム基を1つ有する混合物。)
塩化ベンザルコニウム:ロンザジャパン(株)製 ハイアミン3500J(炭素数8~18のアルキル基のいずれかを1つ、イオン性の親水性基であるアンモニウム基を1つ有する混合物。)
【0056】
<両性界面活性剤>
ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム:泰光油脂化学工業(株)製 タイポールソフト LAP-10(炭素数12のアルキル基を1つ、互いに電荷が異なる、カチオン性基にもなるアミン基及びアニオン性基であるカルボン酸(塩)基を1つずつ有する。なお、ベタイン類とは異なり、液性によって、アミン基の部分は電荷を帯びなくなり、イオン性のカルボン酸(塩)基を1つのみ有する形態になる場合がある。)
ミリスチルジメチルアミンオキシド:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 カデナックスDM14D-N(炭素数14のアルキル基を1つ、イオン性の親水性基であるアミンオキシド基を1つ有する。)
ラウリルジメチルアミンオキシド:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製 カデナックスDM12D-N(炭素数12のアルキル基を1つ、イオン性の親水性基であるアミンオキシド基を1つ有する。)
デシルジメチルアミンオキシド:クラリアントジャパン(株)製 GENAMINOX K10(イオン性の親水性基であるアミンオキシド基を1つ有するが、炭素数10のアルキル基を1つのみ有する。)
オクチルジメチルアミンオキシド:クラリアントジャパン(株)製 GENAMINOXOC(イオン性の親水性基であるアミンオキシド基を1つ有するが、炭素数8のアルキル基を1つのみ有する。)
ヤシ油ジメチルアミンオキシド:クラリアントジャパン(株)製 GENAMINOX KC(炭素数10~16のアルキル基のいずれかを1つ、イオン性の親水性基であるアミンオキシド基を1つ有する混合物。)
ヤシ油ジエチルアミンオキシド:クラリアントジャパン(株)製 GENAMINOX CHE(炭素数10~16のアルキル基のいずれかを1つ、イオン性の親水性基であるアミンオキシド基を1つ有する混合物。)
ヤシ油アルキルベタイン:クラリアントジャパン(株)製 GENAGEN B1566(炭素数10~16のアルキル基のいずれかを1つ、並びに、互いに電荷が異なる、カチオン性基である第四級アンモニウム基及びアニオン性基であるカルボン酸(塩)基を1つずつ有する混合物。)
ラウリルジメチルベタイン:花王(株)製 アンヒトール24B(炭素数12のアルキル基を1つ、並びに、互いに電荷が異なる、カチオン性基である第四級アンモニウム基及びアニオン性基であるカルボン酸(塩)基を1つずつ有する。)
ステアリルジメチルベタイン:花王(株)製 アンヒトール86B(炭素数18のアルキル基を1つ、並びに、互いに電荷が異なる、カチオン性基である第四級アンモニウム基及びアニオン性基であるカルボン酸(塩)基を1つずつ有する。)
ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム:三洋化成工業(株)製 レボン15(炭素数12のアルキル基を1つ、並びに、互いに電荷が異なる、カチオン性基であるアミン基及びアニオン性基であるカルボン酸(塩)基を1つずつ有する。)
【0057】
<ノニオン界面活性剤>
アルキルグルコシド:BASF(株)製 Plantacare 2000UP(炭素数8~16のアルキル基のいずれかを1つ有し、イオン性の親水性基を有しない混合物。)
ブチルグルコシド:SEPPIC社製 SIMULSOLSL4(イオン性の親水性基を有しないが、炭素数7以上の疎水性基を有しない。)
脂肪酸アルカノールアミド、ミヨシ油脂社製、アミコールCDE-G(炭素数11以上のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない脂肪酸ジエタノールアミドを含むヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド。)
ポリオキシエチレントリデシルエーテル:青木油脂工業(株)製 ファインサーフTD-100(炭素数13のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
モノラウリン酸ヘキサグリセリル:阪本薬品工業(株)製 SYグリスターML-500(炭素数11のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
デカグリセロールモノラウリン酸エステル:阪本薬品工業(株)製 SYグリスターML-750(炭素数11のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
テトラグリセロールモノラウリン酸エステル:阪本薬品工業(株)製 SYグリスターML-310(炭素数11のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
デカグリセロールモノミリスチン酸エステル:阪本薬品工業(株)製 SYグリスターMM-750(炭素数13のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
デカグリセロールモノカプリル酸エステル:阪本薬品工業(株)製 SYグリスターMCA-750(炭素数7のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
ジグリセロールモノカプリル酸エステル:阪本薬品工業(株)製 SYグリスターMCA-150(炭素数7のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
プロピレングリコールモノオレート:理研ビタミン(株)製 リケマールPO-100V(炭素数17のアルケニル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル:第一工業製薬(株)製 ノイゲンLP-100(炭素数12のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル:第一工業製薬(株)製 ノイゲンTDX-100D(炭素数13のアルキル基を1つ有し、イオン性の親水性基を有しない。)
【0058】
<溶剤>
エチルアルコール:富士フイルム和光純薬(株)製 エタノール(99.5)
なお、表4~表6中、pH調整剤の配合割合の欄に記載した「適量」とは、抗ウイルス組成物のpH(25℃、原液)を表に示す値に調整するために当該pH調整剤を配合したことを示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
(性能評価)
(硬質表面のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果)
ISO21702に準拠して以下のように試験した。
(1)インフルエンザウイルスA(H1N1)を、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液を遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物500μLを5cm×5cmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂板上に塗り広げて、25℃、41時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス加工板とした。
(5)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で1時間静置した。
(6)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、ウイルスと抗ウイルス組成物の作用を停止し、数回ピペッティングを行ってインフルエンザウイルスを抗ウイルス加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液とした。
(7)ウイルス加工未処理のPET樹脂板を、25℃、41時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス未加工板とした。
(8)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス未加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で60分間静置した。
(9)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、数回ピペッティングを行ってインフルエンザウイルスを抗ウイルス未加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液とした。
(10)抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液と抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を、それぞれ、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(11)加えられたMDCK細胞を37℃、5%COの条件で、1時間培養した。
(12)培養後、段階希釈液を廃棄し、トリプシン含有EMEM培地を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(13)加えられたMDCK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養した。
(14)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(15)上記(1)~(14)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間60分におけるウイルス感染力価の値とした。
感染力価の減少は抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価から作用時間60分におけるウイルス感染力価を減算し、算出した。なお、表中の感染力価の減少値は常用対数で表している。
評価基準は以下の通りである。結果を表1~表7に示す。
◎:4.0以上の感染力価の減少(ウイルスの99.99%以上を消毒)
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(ウイルスの99%以上、99.99%未満を消毒)
×:2.0未満の感染力価の減少(ウイルスの99%未満を消毒)
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果は良好である。
【0068】
(硬質表面のヒトコロナウイルスに対する抗ウイルス効果)
(1)ヒトコロナウイルスを、ヒト正常二倍体線維芽細胞であるMRC-5細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、ヒトコロナウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液を遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物500μLを5cm×5cmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂板上に塗り広げて、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス加工板とした。
(5)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で60分間静置した。
(6)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、ウイルスと抗ウイルス組成物の作用を停止し、数回ピペッティングを行ってヒトコロナウイルスを抗ウイルス加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液とした。
(7)ウイルス加工未処理のPET樹脂板を、25℃、168時間シャーレ内で静置した。これを抗ウイルス未加工板とした。
(8)ウイルス溶液100μLを抗ウイルス未加工板に滴下し、4cm×4cmのフィルムを置き、25℃、90%RH以上の環境下で60分間静置した。
(9)滅菌SCDLP培地10mLを加えて、数回ピペッティングを行ってヒトコロナウイルスを抗ウイルス未加工板から洗い出した。この工程により得られた溶液を抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液とした。
(10)抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液と抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を、それぞれ、5%FBS(ウシ胎児血清)を含むMEM培地(以下、FBS含有MEM培地)により10倍段階希釈した。MRC-5細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(11)段階希釈液を加えられたMRC-5細胞を37℃、5%COの条件で、1時間培養した。
(12)培養後、段階希釈液を廃棄し、FBS含有MEM培地を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(13)加えられたMRC-5細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養した。
(14)培養したMRC-5細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(15)上記(1)~(14)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス作用未処理ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物60分抗ウイルス作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間60分におけるウイルス感染力価の値とした。
感染力価の減少は抗ウイルス作用未処理ウイルス感染力価から作用時間60分におけるウイルス感染力価を減算し、算出した。なお、表中の感染力価の減少値は常用対数で表している。
評価基準は以下の通りである。
◎:4.0以上の感染力価の減少
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少
×:2.0未満の感染力価の減少
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、コロナウイルスに対する抗ウイルス効果は良好である。
【0069】
<ウイルス不活性化効果>
(1)インフルエンザウイルスA(H1N1)を、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養した。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認した。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕した。
(3)培養細胞破砕液の遠心分離し、上清を回収してウイルス溶液とした。
(4)各実施例及び各比較例に係る抗ウイルス組成物と、ウイルス溶液とを5:1の割合(容量)で混合し、室温で1分間経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、各抗ウイルス組成物のウイルスに対する作用を停止させた。
この工程により得られた溶液を抗ウイルス組成物1分不活性化作用ウイルス溶液とした。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを5:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液とした。
(6)抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液、抗ウイルス組成物1分不活性化作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96ウェルマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を1ウェルあたり100μLずつ加えた。
(7)抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液及び抗ウイルス組成物1分不活性化作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%COの条件で、4日間培養した。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量した。
(9)上記(1)~(8)の工程を3回独立に行い、抗ウイルス組成物0分不活性化作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、抗ウイルス組成物1分不活性化作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とした。
評価基準は以下の通りである。結果を表1~表7に示す。
◎:4.0以上の感染力価の減少(ウイルスの99.99%以上を消毒)
〇:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(ウイルスの99%以上、99.99%未満を消毒)
×:2.0未満の感染力価の減少(ウイルスの99%未満を消毒)
なお、感染力価の減少が2.0以上(評価が〇以上)であれば、インフルエンザウイルス不活性化効果は良好である。
【0070】
表1~表8より、実施例に係る抗ウイルス組成物は優れた抗ウイルス効果を奏することが判明した。
実施例1~20、24~37、39~47、49、51~53に係る抗ウイルス組成物は、低級アルコール(アルコール)を配合しなくても、上述した優れた抗ウイルス効果を奏する。このような抗ウイルス組成物は、PET等のプラスチックからなる使用対象物に使用しても、使用対象物が劣化することを充分に防止できるものである。実施例に係る抗ウイルス組成物は、その他の使用対象物に対しても使用でき、使用対象物が劣化することを充分に防止しながら抗ウイルス性を付与することができる。
そして、実施例に係る抗ウイルス組成物は、界面活性剤の濃度が非常に低くても(例えば、実施例38に示すように0.008質量%、実施例39に示すように0.014質量%でも)、一定の抗ウイルス効果を奏する。また、実施例に係る抗ウイルス組成物は、界面活性剤の濃度が低くても(例えば、実施例8、10に示すように0.1質量%でも)、優れた抗ウイルス効果を奏する。
また実施例21~23に係る抗ウイルス組成物は、実施例1、5、13に係る抗ウイルス組成物から更に、精製水の一部に代えて低級アルコール(アルコール)を配合したことにより、上述した優れた抗ウイルス効果を奏するとともに、非常に優れたウイルス不活性化効果を発揮できる。このような抗ウイルス組成物は、非常に優れた殺菌効果も発揮できると考えられる。
このような実施例に係る抗ウイルス組成物を含む抗ウイルスコーティング剤や衛生資材は、優れた抗ウイルス効果を発揮することができ、各種物品や身体の表面に抗ウイルス性を付与することができ、ウイルスによる感染症を充分に防ぐことができるものである。

【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含む抗ウイルス組成物である抗ウイルスコーティング剤であって、
該界面活性剤は、ノニオン界面活性剤であり、炭素数7以上、36以下の疎水性基を少なくとも1つ有し、該疎水性基は、炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又は、これらの基のいずれか2つ以上が結合してなる基であり、該界面活性剤の濃度は、0.005質量%以上、10質量%以下であり、
物品の表面に用いられる
ことを特徴とする抗ウイルスコーティング剤
【請求項2】
前記疎水性基は、炭化水素基である請求項1に記載の抗ウイルスコーティング剤
【請求項3】
硬質表面に用いられる請求項1又は2に記載の抗ウイルスコーティング剤
【請求項4】
プラスチック表面に用いられる請求項1又は2に記載の抗ウイルスコーティング剤
【請求項5】
求項又はに記載の抗ウイルスコーティング剤を含むことを特徴とする衛生資材。