IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャイラス エーシーエムアイ インクの特許一覧

特開2024-75514熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子
<>
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図1A
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図1B
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図2A
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図2B
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図3
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図4A
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図4B
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図5
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図6
  • 特開-熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075514
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/08 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A61B18/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197392
(22)【出願日】2023-11-21
(31)【優先権主張番号】63/384,660
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジュリアン・バッチェラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・アール・ゴロンブ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK47
(57)【要約】
【課題】本発明は熱切断のための変位可能なヒートシンクを有する電気外科用鉗子を提供する。
【解決手段】電気外科用医療機器は、第1の顎部と、第2の顎部と、発熱体と、ヒートシンクとを含むことができる。組織を切断または封着するために発熱体を加熱することができる。ヒートシンクと発熱体とは互いに対して移動することができる。そのような相対移動は、発熱体から熱を放散する第1の状態と、発熱体が発熱することを可能にする第2の状態との間とすることができる。そのような相対移動は、顎部の閉鎖中に作動させることができる。例えば、第1の顎部上の変位アクチュエータは、顎部が閉じられるときにヒートシンクを発熱体から離れるように押すことができ、それによって、発熱体及びヒートシンクを移動させて第1の(熱吸収)状態から第2の(非熱吸収)状態にする。発熱体内の熱は、発熱体の急速な冷却のために第1の状態においてヒートシンクを介して放散することができる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織を処置するための電気外科用デバイスであって、前記電気外科用デバイスは、
-組織を切断するためのエネルギーを受け取るように構成された発熱体を含むエンドエフェクタと、
-前記エンドエフェクタの前記発熱体から熱を選択的に伝達するように構成されたヒートシンクと、
を備え、
前記ヒートシンク及び前記エンドエフェクタは、前記ヒートシンク及び前記発熱体が第1の熱交換状態にある第1の相対位置と、前記ヒートシンク及び前記発熱体が第2の熱交換状態にある第2の相対位置との間で移動するように構成されており、
前記発熱体は前記第1の相対位置で発熱するように構成されており、前記ヒートシンクは前記第2の相対位置で前記発熱体を冷却するように構成されている、電気外科用デバイス。
【請求項2】
前記発熱体は第1の抵抗電極を備える、請求項1に記載の電気外科用デバイス。
【請求項3】
前記ヒートシンクを前記発熱体から離れるように前記第1の相対位置に押し込むためのアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の電気外科用デバイス。
【請求項4】
前記アクチュエータと係合したときに前記ヒートシンクの摺動または枢動を可能にし、前記第1の相対位置及び前記第2の相対位置を生じさせるために前記ヒートシンクに連結された変位部材をさらに備える、請求項3に記載の電気外科用デバイス。
【請求項5】
前記ヒートシンクを前記発熱体に向かって前記第2の相対位置に押し込むための付勢部材をさらに備える、請求項4に記載の電気外科用デバイス。
【請求項6】
前記電気外科用デバイスは外科用鉗子である、請求項1に記載の電気外科用デバイス。
【請求項7】
前記外科用鉗子は、
第1の顎部と、
前記第1の顎部に対して枢動可能な第2の顎部と、
を備え、
前記発熱体は前記第1の顎部から延びるワイヤを備え、
前記第1の顎部及び前記第2の顎部の少なくとも一方は封着電極を備える、請求項6に記載の電気外科用デバイス。
【請求項8】
前記第2の顎部は、前記ヒートシンクを前記発熱体から離れるように押すためのアクチュエータを含む、請求項7に記載の電気外科用デバイス。
【請求項9】
前記ヒートシンクを前記発熱体に向かって押すための付勢部材をさらに備える、請求項8に記載の電気外科用デバイス。
【請求項10】
前記発熱体は移動可能であり、前記ヒートシンクは前記電気外科用デバイスに対して固定されている、請求項1に記載の電気外科用デバイス。
【請求項11】
前記ヒートシンクの熱伝導率は前記発熱体の熱伝導率より大きい、請求項1に記載の電気外科用デバイス。
【請求項12】
前記第1の熱交換状態は前記第2の熱交換状態より熱伝導性が低い、請求項1に記載の電気外科用デバイス。
【請求項13】
前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは互いに物理的に接触せず、
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは互いに物理的に接触する、請求項12に記載の電気外科用デバイス。
【請求項14】
前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは少なくとも部分的に熱的に分離されており、
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは少なくとも部分的に熱的に結合されている、請求項12に記載の電気外科用デバイス。
【請求項15】
前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは第1の表面積にわたって物理的に接触し、
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは第2の表面積にわたって物理的に接触し、
前記第1の表面積は前記第2の表面積より小さい、請求項14に記載の電気外科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年11月22日に出願された米国仮特許出願第63/384,660号の優先権の利益を主張し、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、限定するものではないが、一般に、医療機器に関し、より詳細には、解剖学的特徴に対して効果を及ぼすための熱的モダリティ、電気的モダリティ、及び/または機械的モダリティを含むかまたは組み合わせることができる電気外科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
バイポーラ型電気外科用デバイスは、外科的手技中に患者の組織を切断するために使用することができる。バイポーラ型電気外科用デバイスは、血管や組織などの解剖学的特徴を把握する、捕捉する、把持する、操作する、引っ張る、締め付ける、切断する、及び/または切開するための機械的クランプ作用を有する顎部アセンブリを含むことができる鉗子などのエンドエフェクタを含むことができる。これらはまた、解剖学的特徴を封着する、切断する、または凝固させることができるような電気外科的能力も含むことができる。
【0004】
封着、切断、または凝固に加えて、一部の鉗子は、1以上の鈍的切開技術によるなど、解剖学的特徴を切開するために使用することもできる。1つの鈍的切開技術は、スイープ切開である。スイープ切開では、顎部アセンブリ、または縁部などの顎部アセンブリの一部が、解剖学的特徴を横切って移動または「スイープ」され、それによって解剖学的特徴を別の解剖学的特徴から切開または分離する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気外科治療電流を使用して組織を切断する鉗子は、鉗子の顎部内の電極または電極の近くなどで熱を発生して保持することができる。これは、顎部アセンブリのスイープ切開または他の操作中に、近くの組織に意図しない熱損傷を引き起こす可能性がある。そのようなデバイスの改善が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、患者の組織を切断または封着するなどのための電気外科用デバイスに関する。電気外科用デバイスは、バイポーラ型鉗子などのエンドエフェクタを含むことができる。鉗子は、開位置と閉位置との間で移動することができる顎部アセンブリを含むことができる。例えば、顎部アセンブリは、第1の顎部及び第2の顎部を含むことができる。第1の顎部及び第2の顎部の少なくとも一方は、発熱体及びヒートシンクを含むことができる。発熱体は、患者の組織を切断または封着するのに十分な温度まで発熱することができる。
【0007】
開位置では、顎部アセンブリを、患者の組織が第1の顎部と第2の顎部との間に位置決めされるように操作することができる。開位置では、ヒートシンク、発熱体、またはその両方が、第1の状態と第2の状態との間などで、互いに対して移動することができる。第1の状態では、発熱体を冷却するなどのために、熱吸収位置を提供することができる。第1の状態では、発熱体内の熱の一部は、ヒートシンクを介して放散することができる。組織を把持するなどのために顎部が閉位置に操作されると、発熱体とヒートシンクとを互いに対して変位させて第2の状態にすることができ、第2の状態では、発熱体とヒートシンクとは、発熱体がヒートシンクを介して熱を全く、またはさほど逃すことなく組織に熱を送達することが可能になるように、少なくとも部分的に熱的に分離される。第2の状態では、発熱体は組織を切断または封着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】開位置にある顎部アセンブリを示す鉗子の側面図である。
図1B】閉位置にある顎部アセンブリを示す図1Aの鉗子の側面図である。
図2A】開位置にある顎部アセンブリの側面図である。
図2B】閉位置にある図2Aの顎部アセンブリの側面図である。
図3図2Aの線2に沿った、図2Aの顎部アセンブリの断面図である。
図4A】ヒートシンクが発熱体に隣接する位置に構成された第1の状態にある電気外科用デバイスの側面図である。
図4B】ヒートシンクが下方に後退して発熱体から離れるように構成された第2の状態にある図4Aの電気外科用デバイスの側面図である。
図5】患者の組織が発熱体をまたいで位置決めされた開位置にある図1Aの鉗子の側面図である。
図6】電気外科用デバイスを用いて組織を処置する方法のフローチャートである。
図7図2A図2B図3図4A、及び図4Bの電気外科用デバイスの再処理方法を指示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
必ずしも縮尺通りに描かれていない図面において、同様の符号は異なる図において同様の構成要素を記述する場合がある。異なる添え字を有する同様の符号は、同様の構成要素の異なる例を表す場合がある。図面は、一般に、限定ではなく例として、本明細書で論じる様々な実施形態を例示している。
【0010】
本明細書は、外科的手技における組織の切断または封着などのための、発熱体を含む顎部アセンブリなどのエンドエフェクタと、変位されていないときに発熱体から熱を少なくとも部分的に放散し、変位されたときに発熱体から離間されるようになど、発熱体に対して変位可能なヒートシンクとを含む鉗子を操作するハンドピースを含むことができる電気外科用デバイスについて説明する。そのように変位されていないときに、変位可能なヒートシンクは、切断動作間または封着動作間などに、発熱体の温度を急速に低下させるのを助けることができる。これは、電気外科用デバイスが手術野内であちこち移動されるときなどに、患者の近くの組織に対する意図しない損傷のリスクまたは程度を低減するのを助けることができる。デバイスのエンドエフェクタは、第1の顎部と第2の顎部とを備える顎部アセンブリを含むことができる。発熱体は、第2の顎部に連結するか、または第2の顎部内に配置することができる。変位可能なヒートシンクは、第2の顎部に連結するか、または第2の顎部内に配置することができ、発熱体が標的組織を処置するために使用されている、例えば、組織の切断または封着のために顎部内で把持されているときに、ヒートシンクが発熱体から離間されることが所望され、離間されるように変位されたときに発熱体と接触させることができる。
【0011】
外科医は、エンドエフェクタの1以上の機能を作動させるように鉗子のエンドエフェクタの作動を制御する場合がある。エンドエフェクタの作動は、エンドエフェクタの動作を制御するために1以上のシャフトを後退させ、延長し、または回転させることができるハンドピースの1以上の作動システムによって容易にすることができる。顎部アセンブリは、作動システムを含むハンドピースによって、回転可能、開放可能、閉鎖可能、延長可能、及び電磁エネルギーを供給可能、のうちの1以上であるように制御することができる。他のハンドピースは、本明細書に記載のエンドエフェクタに接続することができ、エンドエフェクタを制御することができる。本開示は、1以上の作動システムを含むハンドピースの例、並びに開示の作動システムとエンドエフェクタとを医療機器において併用することができる例を含む。
【0012】
図1Aは、顎部アセンブリ145が開位置にある電気外科用デバイス100の側面図を例示している。図1Bは、顎部アセンブリ145が閉位置にある電気外科用デバイス100の側面図を例示している。図2は、図1Aの電気外科用デバイス100の顎部アセンブリ145のいくつかの構成要素の分解図を例示している。図1A及び図1Bを併せて説明する。近位及び遠位などの方向の記述語は、当技術分野における通常の意味の範囲内で使用される。近位方向P及び遠位方向Dは、図1Aに示す軸上に指示されており、これらは、電気外科用デバイス100が図1Aに示すように直立姿勢で地面Gに対して水平に保持されたときに規定される。横方向L及びL’の反対は、内側方向であり、言い換えれば、内側方向は、電気外科用デバイス100の中心線または長手方向軸A1(図1B)に向いている。
【0013】
例示的な電気外科用デバイス100は、近位端にハンドピース104を、遠位端にエンドエフェクタ102を含むことができる。中間部106は、ハンドピース104とエンドエフェクタ102との間に延在して、ハンドピース104をエンドエフェクタ102に操作可能に連結することができる。エンドエフェクタ102の様々な動きは、ハンドピース104の1以上の作動システムによって制御することができる。説明例において、ハンドピース104は、ハウジング112及びトリガ108を含むことができる。
【0014】
説明例において、エンドエフェクタ102は、開閉可能な顎部アセンブリ145を含むことができる。エンドエフェクタ102は、電気外科用デバイス100の長手方向軸A1(図1B)に沿って回転させることができる。この例では、エンドエフェクタ102、またはエンドエフェクタ102の一部の開放、閉鎖、回転、延長、後退、及び電磁的付勢(例えば、電気的付勢)、のうちの1以上を行うことができる。いくつかの例では、エネルギーは高周波エネルギーであり得る。エンドエフェクタ102は、患者の標的組織を封着または切断するように構成された1以上の抵抗電極を含むことができる発熱体120を含むことができる(図2A図2B、及び図3)。全ての作動システム機能、及び全てのエンドエフェクタ動作が、全ての例において必要とされるわけではない。本明細書に記載の機能は、任意の組合せで提供することができる。
【0015】
ハンドピース104は、使用者が顎部アセンブリ145を少なくとも部分的にまたは完全に開閉することを可能にすることができる。例えば、図1Bに示すように、トリガ108がハンドル104の遠位のデフォルト位置にあるとき、顎部アセンブリ145は閉位置にあり得る。顎部アセンブリ145は、図1Aに示すように、トリガ108を近位に変位させることによって開くことができる。あるいは、ハンドピース104は、トリガ108がハンドル104の遠位のデフォルト位置にあるときに顎部アセンブリ145が開位置にあり得るように構成することもできる。顎部アセンブリ145は、トリガ108を近位に変位させることによって閉じることができる。
【0016】
図2Aは、開位置にある顎部アセンブリ145の側面図を示している。電気外科用デバイス100は、閉位置と開位置との間で移動することができる顎部アセンブリ145を含むバイポーラ型鉗子を含むことができる。顎部アセンブリ145は、第1の顎部105及び第2の顎部110を備える。第1の顎部105は、第1の遠位端150及び第1の近位端155を有することができる。第2の顎部110は、第2の遠位端160及び第2の近位端165を有することができる。第1の近位端155は、第1の顎部105及び第2の顎部110を含むエンドエフェクタ鉗子を提供するために、第2の近位端165に移動可能に連結することができる。
【0017】
第1の顎部105及び第2の顎部110は、(図2Aに示す)開位置と(図2Bに示す)閉位置との間で移動することができる。第1の顎部105及び第2の顎部110は、第1の顎部105の第1の遠位端150が第2の顎部110の第2の遠位端160から離れる際に部分開位置にあり得る。第1の顎部105及び第2の顎部110は、使用者がトリガ108を操作する際に任意の部分開位置で停止することができる。例えば、使用者は、トリガ108を操作して、第1の顎部105及び第2の顎部110を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%未満の部分開位置またはその間で停止させて、患者の体腔内で電気外科用デバイス100を操作し、切断または封着されるべき組織の周りに電気外科用デバイス100を位置決めしてもよい。本明細書で説明するように、第1の顎部105及び第2の顎部110の開位置は、第1の顎部105の第1の遠位端150が第2の顎部110の第2の遠位端160から離れ(または離れて一時停止しており)、発熱体120がヒートシンク115による熱放散によって冷却している任意の部分開位置または100%の全開位置とすることができる。
【0018】
第1の顎部105及び第2の顎部110は、第1の顎部105の第1の遠位端150が第2の顎部110の第2の遠位端160に向かって移動する際に部分閉位置にあり得る。第1の顎部105及び第2の顎部110は、使用者がトリガ108を操作する際に任意の部分閉位置で停止することができる。例えば、使用者は、トリガ108を操作して、第1の顎部105及び第2の顎部110を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%未満の部分閉位置またはその間で停止させて、患者の組織を把持し、組織の所望の切断または封着を行うことができる。本明細書で説明するように、第1の顎部105及び第2の顎部110の閉位置は、第1の顎部105の第1の遠位端150が第2の顎部110の第2の遠位端160に向かって移動し、発熱体120が発熱しており、ヒートシンク115から少なくとも部分的に切り離されている任意の部分閉位置または100%の全開位置とすることができる。
【0019】
第1の顎部105、第2の顎部110、ヒートシンク、またはそれらの組合せは、外科的手技中の使いやすさを助けるために、1以上のコーティングを含むことができる。例えば、第1の顎部105及び第2の顎部110は、本明細書に記載の発熱体120またはヒートシンク115を含み、顎部アセンブリ145が患者の組織に固着するのを低減または防止するために、ノンスティックコーティングでコーティングすることができる。一例では、コーティングは、必要に応じて、処置されている標的組織部位からの水分移動を助けるための吸湿材料(moisture wicking material)を含むことができる。コーティングは、ヒートシンク115及び弾性付勢部材125(後述する)が発熱体120から熱の一部を放散する際の、患者の体液の蒸気への相変化を低減または防止することができる。適切な材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、セラミック、酸化アルミニウム、及び高温下で良好に機能する他の材料が含まれる。そのようなコーティングは断熱性であり得るが、本発明者らは、十分に薄く設けられた場合、コーティングは熱を伝達するのに十分な熱伝導性を維持することができることを発見した。
【0020】
発熱体120は、第2の顎部110に連結するか、または第2の顎部110内に配置することができる。発熱体120は、患者の標的組織が図2Bの閉位置において第1の顎部105と第2の顎部110との間に置かれたときに患者の標的組織を封着または切断するように構成された1以上の抵抗電極を含むことができる。抵抗電極は、患者の組織を封着または切断するために、電源(従来の電気外科用発電機など)から電気エネルギーを受け取って、組織に電磁エネルギー(例えば、高周波、交流電流(AC))を送達するように構成することができる。エネルギーはまた、エネルギーの直流電流(DC)形態で提供されてもよい。
【0021】
発熱体120は、抵抗電極を抵抗加熱するために任意の供給源から電力、発熱力、治療力、1つもしくは複数の信号、またはそれらの組合せを供給されることなどによって、抵抗加熱することができる。発熱体は、抵抗加熱切断能力を提供するために、約200℃~約350℃の範囲まで加熱することができる。例えば、場合によっては、発熱体を約260℃~約300℃の範囲まで加熱することができる。低温電気焼灼医療機器では、発熱体を約40℃~約70℃の温度まで加熱することができる。
【0022】
ヒートシンク115は、図2Aに示すように、発熱体120に隣接するなど、第2の顎部110内に配置することができる。図3は、図2Aに示す線2に沿った断面を示している。ヒートシンクは、熱交換器の一種、例えば、デバイスの別の部分または構成要素から熱を伝達して、デバイスのその部分または構成要素から熱を奪って冷却するパッシブ熱交換器である。フーリエの熱伝導の法則は、物体内に温度勾配があるとき、熱は高温領域から低温領域に伝達されることを示している。
【0023】
図2A図2B図3図4A、及び図4Bの例に示すように、電気外科用デバイス100の第2の顎部110はヒートシンク115を含むことができ、ヒートシンク115は発熱体120に隣接して位置決めすることができる。ヒートシンク115は、第2の顎部110内に配置することができ、発熱体120に対して移動して、発熱体120から熱の一部を選択的に放散することができる。第1の状態では、発熱体120は、図2A及び図4Aに示すように、ヒートシンク115と接触した状態または別の少なくとも部分的に熱的に結合した状態にあり得る。場合によっては、少なくとも部分的に熱的に結合した状態は、ヒートシンク115と発熱体120との間の近接を含むことができる。場合によっては、少なくとも部分的に熱的に結合した状態は、ヒートシンク115と発熱体120との間の直接接触を含むことができる。第2の状態では、図2B及び図4Bに示すように、ヒートシンク115は、発熱体120から離れて、第1の状態の少なくとも部分的に熱的に結合した状態と比べて熱的な結合が弱い状態になることができる。第2の状態は、これに限定されないが、発熱体120が患者の組織の切断、封着、または凝固するのに十分な温度まで発熱することを可能にする熱的に分離された状態を含むことができる。
【0024】
第1の状態では、ヒートシンク115は、発熱体120と少なくとも部分的に熱的に結合した状態にあって、患者の組織の切断、封着、または損傷を引き起こし得ない温度までの急速な冷却などのために、発熱体120からの熱の一部の効率的な放散を促進することができる。例えば、場合によっては、ヒートシンク115を発熱体120に対して第1の状態に配置することにより、発熱体120の温度を約0.25秒~約3秒以内、例えば1秒以内などに、ほぼ局所的な身体周囲温度まで低下させることができる。いくつかの例では、発熱体120及びヒートシンク115のサイズ及び材料特性に応じて、時間範囲は、発熱体120が冷却する速度を最大にしながら組織を十分に切断するために0.1秒~1.5秒とすることができる。
【0025】
第1の状態での熱放散時の発熱体120の温度は、局所的な周囲温度に依存する可能性があり、発熱体120が第2の状態で加熱された回数によって影響を受ける可能性がある。発熱体120が広範囲に繰り返し加熱された場合、発熱体120の温度は、第1の状態で冷却されたときの周囲温度と比べて上昇している場合がある。しかしながら、そのような冷却により、上昇した温度は、患者の組織の切断、封着、または損傷に影響を及ぼすことができない。例えば、上昇した温度は、約37℃~約42℃など、約42℃未満であってもよい。
【0026】
発熱体120の急速な冷却は、発熱体120で不注意に触れられる可能性がある周囲の組織への意図しない熱の影響を防止するのを助けることができる。発熱体120の急速な冷却はまた、体液が発熱体120と接触したときに患者の体液が蒸気に相変化することによる組織への熱傷を抑制または防止するのを助けることもできる。急速な冷却はまた、電気外科用デバイスの用途を、組織の切断から、切断より低い温度を使用し得る組織の封着に迅速に移行させるのを助けることもできる。
【0027】
本開示のいくつかの例では、ヒートシンク115は、発熱体から熱を意図的に奪うように配置された意図的なヒートシンクを含むことができる。いくつかの例では、電気外科用デバイス100におけるヒートシンク115の主目的または唯一の目的は、ヒートシンク115から熱を伝達することであり得る。
【0028】
ヒートシンク115及び発熱体120は、様々な機構によって配置され、互いに対して移動することができる。本明細書で提供される例は、単に例示のために提供されており、ヒートシンク及び発熱体を互いに対して変位させるための他の機構を、本開示の範囲内で使用することができる。
【0029】
第1の状態では、ヒートシンク115は、発熱体120を能動的または受動的に冷却することができる。パッシブヒートシンク115は、発熱体120内の熱の一部を放散するための任意の適切な熱伝導材料を含むことができる。場合によっては、パッシブヒートシンク115は、発熱体120の熱伝導率より大きい熱伝導率を有することができる。例えば、パッシブヒートシンク115は、アルミニウム、銅、またはエンジニアードグラファイト発泡体などの材料のうちの1以上を含むことができる。場合によっては、パッシブヒートシンク115は、発熱体120に対してより低い熱伝導性、または同様な熱伝導性を有することができる。パッシブヒートシンク115が発熱体120と比較して低い温度であれば、高温から低温への温度勾配にわたる自然な熱伝導によって発熱体120から熱エネルギーを引き出すことができる。
【0030】
ヒートシンク115、発熱体120、またはその両方は、第1の状態と第2の状態との間で互いに対して移動することができる。第1の顎部105及び第2の顎部110が閉位置にあるか、または閉位置に向かって移動されるとき、第1の顎部は、図2Bに示すように、ヒートシンク115の第2の状態への変位を作動させることができ、次いで、発熱体120を付勢して、第1の顎部105と第2の顎部110との間に捕捉された組織に熱を送達することができる。第1の顎部105及び第2の顎部110が開位置にあるか、または開位置に向かって移動されるとき、発熱体120、ヒートシンク115、またはその両方を移動させて第2の状態にし、発熱体120から熱を放散することができる。
【0031】
ヒートシンク115は、エンドエフェクタ102に、例えば第2の顎部110の変位アクチュエータ135とは反対の端部で例えば第2の顎部110に、(図2A図2Bに示すように)枢動可能に取り付けることができる。第1の顎部105及び第2の顎部110が開位置にあるときにヒートシンク115が発熱体120に向かって移動して第1の状態になるための枢動点を提供するために、ヒートシンク115に枢動部材130を連結することができる。
【0032】
別の例では、ヒートシンク115は、第2の顎部110に(図4A図4Bに示すように)摺動可能に取り付けることができる。ヒートシンク115は、ヒートシンク115に摺動運動を与える任意の適切な締結具を用いて第2の顎部110に連結することができる。例えば、締結具は、バネや圧縮性材料などの圧縮性部材175に連結されたピン170とすることができる。ヒートシンク115は、第1の顎部105及び第2の顎部110がヒンジ185の移動によって開かれる際に、摺動して、第1の状態で熱放散するための発熱体120に隣接した位置(図4A)になることができ、圧縮性部材175は少なくとも部分的に圧縮解除される。ヒートシンク115は、コード180を引き込んで発熱体120を発熱させる(図4B)ことなどによって、下方に摺動するか、または他の方法で後退して発熱体120から離れて第2の状態になることができる。この後退位置では、解放されて再び摺動して第1の状態の発熱体120に隣接した位置になるまで、圧縮性部材175を圧縮することができる。本明細書に記載の例は、単に例示のためのものであり、ヒートシンクを変位させるための任意の種類の移動が提供されてもよい。
【0033】
再び図2A図2Bを参照すると、第1の顎部105は、第1の顎部105の面からの柱や他の突起(例えば、フィンガ、タブ)などの変位アクチュエータ135を含むことができる。変位アクチュエータ135は、枢動体130から離れたヒートシンク115の端部などで、ヒートシンク115、またはヒートシンク115に含めるかもしくは接続することができる変位部材140と係合することができる。この係合は、ヒートシンク115を第2の状態に向かって枢動させるなどのために、第1の顎部105及び第2の顎部110が閉位置に向かって移動されるときに行わせることができる。いくつかの例では、図5に示すように、変位アクチュエータ135は、変位アクチュエータ135が第2の顎部110の第2の近位端165に配置されているときに、患者の組織114が顎部アセンブリ145内にさらに近位に前進するのを抑制または防止するのを助けるなどのための組織ストッパとしても機能することができる。
【0034】
第1の顎部105及び第2の顎部110が開位置にあるときに第1の状態でヒートシンク115を発熱体120に向かって付勢するために弾性付勢部材を設けることができる。例えば、図2A及び図2Bの説明例に示すように、弾性付勢部材125を、第2の顎部110にヒートシンク115に隣接して配置することができる。第1の顎部105及び第2の顎部110が閉じる間に互いに向かって引っ張られると、変位アクチュエータ135は、変位部材140を発熱体120から離れる方向に押すことができ、それによってヒートシンク115を発熱体120から離れるように変位させ(例えば、枢動させ)、少なくとも部分的に熱的に分離させる(例えば、発熱体からほとんど熱的に分離させるか、実質的に完全に分離させるか、または完全に熱的に分離させる)。ヒートシンク115が発熱体120から離れるように枢動すると、ヒートシンク115は、図2Bに示すように弾性付勢部材125を圧縮するなどのために、弾性付勢部材125を押すことができる。発熱体120とヒートシンク115とが少なくとも部分的に熱的に分離された状態で、次いで、発熱体120を付勢して、第1の顎部105と第2の顎部110との間に捕捉された組織に熱を送達することができる。発熱体120上で第1の顎部105と第2の顎部110との間に配置された組織114を示す図5を参照されたい。図2Aに示すように、第1の顎部105及び第2の顎部110が再び開位置にあるとき、変位アクチュエータ135は、変位部材140から外れるか、または他の方法で変位部材140を解放することができる。これにより、弾性付勢部材125が、ヒートシンク115を発熱体120に向かって膨張させて付勢し、第1の状態に戻すことが可能になり、そこで再度、発熱体120からヒートシンク115内に熱を伝達して、顎部アセンブリ145の実施/処置すべき次の組織片との位置への操作中の近くの組織への不注意な損傷を回避することができる。ヒートシンク115を発熱体120と(例えば、より多くまたはより少なく)熱伝導させたり、熱伝導を休止したりするこのプロセスは、操作中に近くの組織への不注意な損傷を最小限に抑えながら切断性能を最大にするために繰り返すことができる。
【0035】
弾性付勢部材125は、とりわけ、ヒートシンク115を発熱体120に向かって押すバネ、内包もしくは保持された流体(例えば、液圧式もしくは空気圧式)、弾性もしくは他の偏向部材、圧縮性材料、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。圧縮性材料は、ゴム、流体、スポンジ、またはシリコーンのうちの少なくとも1つを含むことができる。バネの種類は、例えば、第2の顎部110と可動ヒートシンク115との間に配置されたコイルバネもしくは板バネ、または枢動体の周りに配置された捩りバネを含むことができる。
【0036】
弾性付勢部材125はそれ自体、第1の顎部105及び第2の顎部110が開位置にあるときに、ヒートシンク115からの、ひいては発熱体120からの熱の放散をさらに助けるための第2のヒートシンクであり得る。弾性付勢部材125は、熱伝導材料を含むことができ、発熱体120の急速な冷却のために追加の熱吸収機能を提供してヒートシンク115からの熱の一部の効率的な放散を促進するなどのために、第1の状態にあるときにヒートシンク115と少なくとも部分的に熱的に結合することができる。
【0037】
図6を参照すると、患者の組織を処置するための方法600は、鉗子を備える電気外科用デバイスを患者の手術野に導入するステップ(605)を含む。顎部アセンブリ145の第1の顎部105及び第2の顎部110を開いて、ヒートシンク115、発熱体120、またはその両方を移動させて第1の状態にすることができ(610)、第1の状態では、発熱体120から熱を放散するのを助けるために、ヒートシンク115を発熱体120に接触させて、または発熱体120に近接して配置することができる。顎部アセンブリ145を組織上に移動させて、組織を開かれた第1の顎部105と第2の顎部110との間に位置決めすることができる(615)。顎部アセンブリ145の第1の顎部105及び第2の顎部110を少なくとも部分的に閉じて、ヒートシンク115、発熱体120、またはその両方を移動させて第2の状態にすることができ(620)、第2の状態では、発熱体120を発熱させて第1の顎部105と第2の顎部110との間の組織に熱を送達するために、ヒートシンク115を発熱体120からより遠くに配置することができる。
【0038】
図7は、本明細書に記載の鉗子または顎部のいずれかのための再処理方法700を示すフローチャートであり、電気外科用デバイス100として一般に説明する。上述の電気外科用デバイス100は、一回の使用後に廃棄されてもよいし、手術や医学的手技などの複数回の処置で繰り返し使用されてもよい。繰り返し使用される構成の場合、例えば、図7に示す再処理方法700が使用できるか、または必要とされる場合がある。本明細書に記載の再処理方法は、本明細書に記載の鉗子または顎部のいずれかと共に使用することができるが、他の再処理方法もまた、本明細書に記載の鉗子または顎部のいずれかと共に使用されてもよい。
【0039】
使用済み電気外科用デバイス100は、電気外科用デバイス100が処置に使用された後に回収することができる。使用済み電気外科用デバイス100は、再処理施設に配送することができる(ステップS1)。このとき、使用済み電気外科用デバイス100は、電気外科用デバイス100の汚染を防止するために専用の容器に入れて輸送することができる。
【0040】
再処理技術者は、回収及び輸送された使用済み電気外科用デバイス100を洗浄及び滅菌することができる(ステップS2)。具体的には、電気外科用デバイス100を洗浄する際に、ブラシを使用して電気外科用デバイス100の顎部に付着した付着物を除去する。その後、血液や体液に由来する潜在的病原微生物を除去するために、イソプロパノール含有洗浄剤、タンパク質分解酵素洗浄剤、アルコールなどの洗浄液を顎部に塗布して、電気外科用デバイス100をさらに洗浄する。洗浄液は、上述の洗浄液に限定されず、他の洗浄液が使用されてもよい。さらに、電気外科用デバイス100の滅菌では、顎部に付着した病原微生物または他の汚染を滅菌するために、高圧蒸気滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、ガンマ線滅菌、紫外線照射滅菌、過酸化水素滅菌、または過酸化水素低温滅菌のいずれか1以上を使用することができる。顎部は再使用可能であり、洗浄が容易であり得る。
【0041】
技術者は、使用済み電気外科用デバイス100の受入検査を行う(ステップS3)。技術者は、使用済み電気外科用デバイス100が重大な欠陥を有するかどうか、または使用済み電気外科用デバイス100が再処理の最大回数を超えるかどうかを検査する。特に、第1の顎部、第2の顎部、及びヒートシンクへのコーティングが検査されてもよく、付勢部材、ヒートシンク、及び発熱体が必要に応じて検査及び交換されてもよい。
【0042】
次に、使用者は、使用済み電気外科用デバイス100の交換すべき部分を分解するか、または取り外す(ステップS4)。具体的には、付勢部材125がヒートシンク115を発熱体120に向かって付勢する能力を失っている場合、ステップS5の間に付勢部材125を取り外して交換することができる。下顎部110内の付勢部材125に届きにくい場合には、付勢部材に届きやすくするために、顎部アセンブリ145を電気外科用デバイス100から分離するか、または少なくとも部分的に分離することもできる。
【0043】
ステップS5の後、使用者は、必要に応じて電気外科用デバイス100を再組み立てする。(ステップS6)。いくつかの例では、ステップS6は、デバイスがその元の状態から変更されていることを示す識別子を追加すること、例えば、デバイスを再処理、改修、または再製造されたとして指定するためのラベルまたは他のマーキングを追加することを含むことができる。
【0044】
ステップS6の後、使用者は、再処理された電気外科用デバイス100を検査及び試験する(ステップS7)。具体的には、使用者は、再処理された電気外科用デバイス100が元の製品と同じ有効性及び安全性を有することを、発熱体120、ヒートシンク115、及び付勢部材125の性能の電気的試験などの様々な機能試験によって検証する。ステップS7における性能の検証が容易であるという利点がある。
【0045】
ステップS7の後、使用者は、再処理された電気外科用デバイス100の滅菌及び保管(ステップS8)、並びに出荷(ステップS9)を順次行う。ステップS8では、再処理された電気外科用デバイス100に対して、エチレンオキサイドガスやプロピレンオキサイドガスなどの滅菌ガスを使用した滅菌処理が施され、電気外科用デバイス100は使用時まで保管容器で保管される。
【0046】
上述のステップS1~S9を実行して、電気外科用デバイス100の再処理を実現する。
【0047】
本明細書に記載の非限定的な例の各々は、独立して行うこともできるし、またはその他の例のうちの1つもしくは複数との様々な並べ換えまたは組合せとして組み合わせることもできる。この発明の概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図されている。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することは意図されていない。発明を実施するための形態は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含められている。
【0048】
上記の説明は、発明を実施するための形態の一部を形成する添付の図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示している。これらの実施形態を、本明細書では「例」とも呼んでいる。そのような例は、図示または記載の要素に加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らは、図示または記載の要素のみが提供される例も企図している。さらに、本発明者らはまた、特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、または本明細書に図示もしくは記載の他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、図示もしくは記載の要素(またはその1つもしくは複数の態様)の任意の組合せまたは並べ換えを使用する例も企図している。
【0049】
本明細書と、参照により組み込まれた任意の文書との間で矛盾する用法がある場合には、本明細書における用法が優先される。
【0050】
本明細書では、「1つの(aまたはan)」という用語は、特許文献で一般的であるように、「少なくとも1つの(at least one)」または「1以上の(one or more)」の任意の他の事例または用法とは無関係に、1以上を含めるために使用される。本明細書では、「または(or)」という用語は、特に明記しない限り、「AまたはB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含むような、非排他的なまたはを指すために使用される。本明細書では、「含む(including)」及び「そこにおいて(in which)」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」及び「そこにおいて(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、添付の特許請求の範囲では、「含む(including)」及び「含む(comprising)」という用語はオープンエンドである、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙された要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、またはプロセスも、依然として当該請求項内にあるとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図されていない。
【0051】
上記の説明は、限定的ではなく例示的であることを意図されている。例えば、上述の例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。上記の説明を検討すれば、当業者などによって、他の実施形態を使用することができる。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することができるように、米国特許法施行規則第1.72条第(b)項に準拠するために提供されている。要約書は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されるものではないという理解の下に提出されている。また、上記の発明を実施するための形態では、本開示を簡素化するために様々な特徴が一緒にグループ化されている場合もある。これは、特許請求されていない開示の特徴が任意の請求項に必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示の実施形態の全ての特徴より少ない特徴にあり得る。よって、以下の特許請求の範囲は、例または実施形態としての発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別々の実施形態として独立しており、そのような実施形態を様々な組合せまたは並べ換えで互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に決定されるべきである。
【0052】
以下のステートメントは、本明細書における前述の説明による本発明の様々な実施形態を説明及び要約することを意図されている。
ステートメント:
1.患者の組織を切断または封着するための電気外科用デバイスであって、電気外科用デバイスは、
-顎部アセンブリであって、
第1の遠位端及び第1の近位端を有する第1の顎部と、
第2の遠位端及び第2の近位端を有する第2の顎部と、
を備え、第1の近位端が、第1の顎部及び第2の顎部を含むエンドエフェクタ鉗子を提供するために、第2の近位端に移動可能に連結されている、顎部アセンブリと、
-患者の組織を切断または封着するのに十分な温度まで発熱するように構成された発熱体であって、発熱体が第2の顎部と共に配置されている、発熱体と、
-発熱体に隣接して第2の顎部と共に配置されたヒートシンクと、
を備え、
ヒートシンク、発熱体、または発熱体とヒートシンクの両方は、発熱体から熱を少なくとも部分的に放散するためにヒートシンクと発熱体とを少なくとも部分的に熱的に結合する第1の状態と、ヒートシンクを発熱体から少なくとも部分的に熱的に分離する第2の状態との間で互いに対して移動する、電気外科用デバイス。
2.第1の顎部及び第2の顎部が閉位置にあるか、または閉位置に向かって移動されるとき、第1の顎部はヒートシンクの変位を作動させて第2の状態にし、発熱体は、第1の顎部と第2の顎部との間に捕捉された組織に熱を送達して組織の切断または封着を行わせるために付勢される、ステートメント1に記載の電気外科用デバイス。
3.第1の顎部及び第2の顎部が開位置にあるか、または開位置に向かって移動されるとき、第1の顎部は第2の状態からのヒートシンクの解放を作動させ、ヒートシンクは移動して第1の状態になる、ステートメント1または2に記載の電気外科用デバイス。
4.第1の顎部は、第1の顎部及び第2の顎部が閉位置にあるか、または閉位置に向かって移動されるときにヒートシンクと係合する変位アクチュエータを含み、変位アクチュエータはヒートシンクを第2の状態に向かって移動させる、ステートメント1から3のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
5.第1の顎部は、発熱体、ヒートシンク、または発熱体とヒートシンクの両方を第2の状態に向かって移動させるために第1の顎部及び第2の顎部が閉位置にあるか、または閉位置に向かって移動されるときに発熱体、ヒートシンク、または発熱体とヒートシンクの両方と係合する変位アクチュエータを含む、ステートメント1から4のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
6.ヒートシンクは変位部材を備え、変位アクチュエータは、変位部材と接触して、ヒートシンクを発熱体から離れるように枢動させて第2の状態にする、ステートメント1から5のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
7.ヒートシンクは、第2の顎部の変位アクチュエータとは反対の端部で第2の顎部に枢動可能または摺動可能の少なくとも一方で取り付けられている、ステートメント1から6のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
8.第2の顎部は、ヒートシンクに隣接して位置決めされた弾性付勢部材をさらに備え、弾性付勢部材は、第1の顎部及び第2の顎部が開位置にあるか、または開位置に向かって移動されるときに発熱体を用いてヒートシンクを第1の状態に向かって付勢するように構成されている、ステートメント1から7のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
9.弾性付勢部材は、第1の顎部及び第2の顎部が第1の状態にあるときに、ヒートシンクから熱を少なくとも部分的に放散するためにヒートシンクに少なくとも部分的に熱的に結合される、ステートメント8に記載の電気外科用デバイス。
10.弾性付勢部材は、第1の顎部及び第2の顎部が第1の状態にあるときに、ヒートシンクから熱を少なくとも部分的に放散するためにヒートシンクに少なくとも部分的に熱的に結合される、ステートメント8または9に記載の電気外科用デバイス。
11.弾性付勢部材は、ヒートシンクから熱の一部を放散する伝導材料を含む、ステートメント8から10のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
12.第1の顎部、第2の顎部、ヒートシンク、または第1の顎部と第2の顎部とヒートシンクとの組合せはコーティングをさらに備える、ステートメント1から11のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
13.コーティングは、第1の顎部、第2の顎部、またはヒートシンクのうちの1以上に塗布された吸湿材料である、ステートメント12に記載の電気外科用デバイス。
14.コーティングはノンスティック材料である、ステートメント12または13に記載の電気外科用デバイス。
15.コーティングは、PTFE、HMDSO、セラミック、または酸化アルミニウムのうちの1以上を含む、ステートメント12から14のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
16.コーティングは、ヒートシンク及び弾性付勢部材が発熱体から熱の一部を放散する際の、患者の体液の蒸気への相変化を防止する、ステートメント12から14のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
17.弾性付勢部材は圧縮性材料を含む、ステートメント8から16のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
18.圧縮性材料は、第2の顎部と共に配置された、バネ、ゴム、流体、スポンジ、シリコーン、または偏向部材のうちの少なくとも1つである、ステートメント17に記載の電気外科用デバイス。
19.発熱体は、患者の組織が閉位置にある第1の顎部と第2の顎部との間に置かれたときに、患者の組織を封着または切断する処置温度まで発熱するように構成された第1の抵抗電極を含む、ステートメント1から18のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
20.第1の抵抗電極は、約200℃~約350℃まで加熱されたときに抵抗加熱切断または封着を提供する、ステートメント19に記載の電気外科用デバイス。
21.第1の抵抗電極は、約260℃~約300℃まで加熱されたときに抵抗加熱切断または封着を提供する、ステートメント20に記載の電気外科用デバイス。
22.発熱体とヒートシンクとは、第1の顎部及び第2の顎部が開位置にあるか、または開位置に向かって移動されるときに第1の状態で互いに接触する、ステートメント1から21のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
23.ヒートシンクの熱伝導率は発熱体の熱伝導率より大きい、ステートメント1から22のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
24.ヒートシンクを発熱体に対して第1の状態に置くことにより、発熱体の温度をほぼ周囲温度まで低下させる、ステートメント1から23のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
25.熱吸収位置における発熱体の温度は、約0.25秒~約3秒以内に処置温度からほぼ周囲温度まで下げられる、ステートメント22から24のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
26.発熱体の温度は、処置温度から約37℃~約42℃まで下げられる、ステートメント24または25に記載の電気外科用デバイス。
27.発熱体は、組織を封着または切断するために、電気エネルギー信号を受け取って、組織に電磁エネルギーを送達するように構成されている、ステートメント1から26のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
28.第1の顎部及び第2の顎部が閉位置にあるときに発熱体から離れて待機位置になるヒートシンクの変位を可能にするためにヒートシンクに連結された枢動部材をさらに備える、ステートメント1から27のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
29.ヒートシンクに連結された枢動部材は、第1の顎部及び第2の顎部が開位置にあるか、または開位置に向かって移動しているときにヒートシンクを発熱体に向かって移動させて第1の状態にする、ステートメント28に記載の電気外科用デバイス。
30.第1の顎部の近位端に連結された変位アクチュエータであって、変位アクチュエータが、患者の組織が第1の顎部と第2の顎部との間に置かれたときに組織が顎部アセンブリ内にさらに前進するのを防止する、変位アクチュエータをさらに備える、ステートメント1から29のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
31.発熱体は、電源からエネルギーを受け取るように構成されている、ステートメント1から30のいずれか一項に記載の電気外科用デバイス。
32.発熱体によって電源から受け取られたエネルギーは発熱体を加熱する、ステートメント31に記載の電気外科用デバイス。
【0053】
[付記項1]
患者の組織を処置するための電気外科用デバイスであって、前記電気外科用デバイスは、
-組織を切断するためのエネルギーを受け取るように構成された発熱体を含むエンドエフェクタと、
-前記エンドエフェクタの前記発熱体から熱を選択的に伝達するように構成されたヒートシンクと、
を備え、
前記ヒートシンク及び前記エンドエフェクタは、前記ヒートシンク及び前記発熱体が第1の熱交換状態にある第1の相対位置と、前記ヒートシンク及び前記発熱体が第2の熱交換状態にある第2の相対位置との間で移動するように構成されており、
前記発熱体は前記第1の相対位置で発熱するように構成されており、前記ヒートシンクは前記第2の相対位置で前記発熱体を冷却するように構成されている、電気外科用デバイス。
[付記項2]
前記発熱体は第1の抵抗電極を備える、付記項1に記載の電気外科用デバイス。
[付記項3]
前記ヒートシンクを前記発熱体から離れるように前記第1の相対位置に押し込むためのアクチュエータをさらに備える、付記項1に記載の電気外科用デバイス。
[付記項4]
前記アクチュエータと係合したときに前記ヒートシンクの摺動または枢動を可能にし、前記第1の相対位置及び前記第2の相対位置を生じさせるために前記ヒートシンクに連結された変位部材をさらに備える、付記項3に記載の電気外科用デバイス。
[付記項5]
前記ヒートシンクを前記発熱体に向かって前記第2の相対位置に押し込むための付勢部材をさらに備える、付記項4に記載の電気外科用デバイス。
[付記項6]
前記電気外科用デバイスは外科用鉗子である、付記項1に記載の電気外科用デバイス。
[付記項7]
前記外科用鉗子は、
第1の顎部と、
前記第1の顎部に対して枢動可能な第2の顎部と、
を備え、
前記発熱体は前記第1の顎部から延びるワイヤを備え、
前記第1の顎部及び前記第2の顎部の少なくとも一方は封着電極を備える、付記項6に記載の電気外科用デバイス。
[付記項8]
前記第2の顎部は、前記ヒートシンクを前記発熱体から離れるように押すためのアクチュエータを含む、付記項7に記載の電気外科用デバイス。
[付記項9]
前記ヒートシンクを前記発熱体に向かって押すための付勢部材をさらに備える、付記項8に記載の電気外科用デバイス。
[付記項10]
前記発熱体は移動可能であり、前記ヒートシンクは前記電気外科用デバイスに対して固定されている、付記項1に記載の電気外科用デバイス。
[付記項11]
前記ヒートシンクの熱伝導率は前記発熱体の熱伝導率より大きい、付記項1に記載の電気外科用デバイス。
[付記項12]
前記第1の熱交換状態は前記第2の熱交換状態より熱伝導性が低い、付記項1に記載の電気外科用デバイス。
[付記項13]
前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは互いに物理的に接触せず、
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは互いに物理的に接触する、付記項12に記載の電気外科用デバイス。
[付記項14]
前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは少なくとも部分的に熱的に分離されており、
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは少なくとも部分的に熱的に結合されている、付記項12に記載の電気外科用デバイス。
[付記項15]
前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは第1の表面積にわたって物理的に接触し、
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは第2の表面積にわたって物理的に接触し、
前記第1の表面積は前記第2の表面積より小さい、付記項14に記載の電気外科用デバイス。
[付記項16]
電気外科用デバイスを用いて患者の組織を処置する方法であって、前記方法は、
前記電気外科用デバイスの顎部アセンブリの発熱体において、前記発熱体をより高温の状態に加熱するために処置エネルギーを受け取るステップと、
前記組織を前記発熱体で処置するステップと、
前記顎部アセンブリのヒートシンク及び前記発熱体を第1の相対位置から第2の相対位置に移動させるステップであって、前記ヒートシンクと前記発熱体とが、前記第2の相対位置において前記第1の相対位置より多く熱的に結合される、ステップと、
前記発熱体をより低温の状態に冷却するために前記発熱体から前記ヒートシンクに熱を伝達するステップと、
を含む、方法。
[付記項17]
前記発熱体において前記処置エネルギーを受け取るステップは、高周波エネルギーを受け取るステップを含む、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
前記処置エネルギーを受け取るステップは、前記発熱体を用いて前記組織を切断するように構成されたエネルギー量またはエネルギー波形を受け取るステップを含む、付記項16に記載の方法。
[付記項19]
前記処置エネルギーを受け取るステップは、前記発熱体を用いて前記組織を切断し、封着し、切除し、乾燥させ、高周波治療し、または壊死させるように構成されたエネルギー量またはエネルギー波形を受け取るステップを含む、付記項16に記載の方法。
[付記項20]
前記処置エネルギーを受け取る前に、前記ヒートシンク及び前記発熱体を前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に移動させるための入力を受け取るステップをさらに含む、付記項16に記載の方法。
[付記項21]
前記入力を受け取るステップは、前記ヒートシンクを変位させるアクチュエータを押すために前記顎部アセンブリの顎部を回転させるステップを含む、付記項20に記載の方法。
[付記項22]
前記ヒートシンクを前記発熱体から離れるように押すために前記顎部アセンブリの第1の顎部を作動させるステップをさらに含む、付記項21に記載の方法。
[付記項23]
前記ヒートシンクを変位させる前記アクチュエータを押すために前記顎部アセンブリの顎部を回転させるステップは、前記アクチュエータを用いて前記ヒートシンク上の枢動部材を押すステップを含む、付記項21に記載の方法。
[付記項24]
前記入力を解除するステップと、
前記ヒートシンクを押し込んで前記発熱体と係合させるために付勢力を作動させるステップと、
をさらに含む、付記項20に記載の方法。
[付記項25]
前記ヒートシンクを押し込んで前記発熱体と係合させるために前記付勢力を作動させるステップは、弾性体を圧縮解除するステップを含む、付記項24に記載の方法。
[付記項26]
前記処置エネルギーを受け取る前に、前記ヒートシンク及び前記発熱体を前記第2の相対位置から前記第1の相対位置に移動させるための前記入力を受け取るステップは、前記ヒートシンクを摺動させるステップを含む、付記項20に記載の方法。
[付記項27]
前記入力を受け取るステップは、前記発熱体を前記ヒートシンクに向かって移動させるステップを含む、付記項20に記載の方法。
[付記項28]
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは接触し、前記第1の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは接触しない、付記項16に記載の方法。
[付記項29]
前記第2の相対位置では、前記発熱体と前記ヒートシンクとは前記第1の相対位置より大きい表面積にわたって接触する、付記項16に記載の方法。
[付記項30]
前記組織を処置するために前記顎部アセンブリの顎部上の封着電極を作動させるステップをさらに含む、付記項16に記載の方法。
[付記項31]
患者の組織を切断または封着するための電気外科用デバイスであって、前記電気外科用デバイスは、
-顎部アセンブリであって、
第1の遠位端及び第1の近位端を有する第1の顎部と、
第2の遠位端及び第2の近位端を有する第2の顎部と、
を備え、前記第1の近位端が、前記第1の顎部及び前記第2の顎部を含むエンドエフェクタ鉗子を提供するために、前記第2の近位端に移動可能に連結されている、顎部アセンブリと、
-前記患者の前記組織を切断または封着するのに十分な温度まで発熱するように構成された発熱体であって、前記発熱体が前記第2の顎部に接続されている、発熱体と、
-前記発熱体に隣接して前記第2の顎部に接続されて配置されたヒートシンクと、
を備え、
前記ヒートシンク、前記発熱体、または前記発熱体及び前記ヒートシンクの両方は、前記発熱体から熱を少なくとも部分的に放散するために前記ヒートシンクと前記発熱体とを少なくとも部分的に熱的に結合する第1の状態と、作動されたときに前記発熱体内で熱を蓄積させるために前記ヒートシンクを前記発熱体から少なくとも部分的に熱的に分離する第2の状態との間で互いに対して移動する、電気外科用デバイス。
[付記項32]
前記第1の顎部及び前記第2の顎部が閉位置にあるか、または前記閉位置に向かって移動されるとき、前記第1の顎部は前記ヒートシンクの変位を作動させて前記第2の状態にし、前記第1の顎部と前記第2の顎部との間に捕捉された組織に熱を送達して前記組織の切断または封着を行わせるために前記発熱体を付勢することができ、
前記第1の顎部及び前記第2の顎部が開位置にあるか、または前記開位置に向かって移動されるとき、前記第1の顎部は前記第2の状態からの前記ヒートシンクの解放を作動させ、前記ヒートシンクは移動して前記第1の状態になる、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項33]
前記第1の顎部は、前記発熱体、前記ヒートシンク、または前記発熱体及び前記ヒートシンクの両方を前記第2の状態に向かって移動させるために、前記第1の顎部及び前記第2の顎部が閉位置にあるか、または前記閉位置に向かって移動されるときに前記発熱体、前記ヒートシンク、または前記発熱体及び前記ヒートシンクの両方と係合する変位アクチュエータを含む、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項34]
前記ヒートシンクは変位部材を備え、前記変位アクチュエータは、前記変位部材と接触して、前記ヒートシンクを前記発熱体から離れるように枢動させて前記第2の状態にする、付記項33に記載の電気外科用デバイス。
[付記項35]
前記ヒートシンクは、前記変位アクチュエータと係合するように前記第2の顎部に枢動可能または摺動可能の少なくとも一方で取り付けられている、付記項33に記載の電気外科用デバイス。
[付記項36]
前記第2の顎部は、前記ヒートシンクに隣接して位置決めされた弾性付勢部材をさらに備え、前記弾性付勢部材は、前記第1の顎部及び前記第2の顎部が開位置にあるか、または前記開位置に向かって移動されるときに前記発熱体を用いて前記ヒートシンクを前記第1の状態に向かって付勢するように構成されている、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項37]
前記弾性付勢部材は、前記第1の顎部及び前記第2の顎部が前記第1の状態にあるときに、前記ヒートシンクから熱を少なくとも部分的に放散するために前記ヒートシンクに少なくとも部分的に熱的に結合され、前記弾性付勢部材は、前記ヒートシンクから熱の一部を放散する伝導材料を含む、付記項36に記載の電気外科用デバイス。
[付記項38]
前記弾性付勢部材は、前記第2の顎部と共に配置された、バネ、ゴム、流体、スポンジ、シリコーン、または偏向部材のうちの少なくとも1つである圧縮性材料を含む、付記項36に記載の電気外科用デバイス。
[付記項39]
前記第1の顎部、前記第2の顎部、前記ヒートシンク、または前記第1の顎部と前記第2の顎部と前記ヒートシンクとの組合せは、前記第1の顎部、前記第2の顎部、または前記ヒートシンクのうちの1以上に塗布された吸湿材料をさらに含む、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項40]
前記第1の顎部、前記第2の顎部、前記ヒートシンク、または前記第1の顎部と前記第2の顎部と前記ヒートシンクとの組合せは、PTFE、HMDSO、セラミック、または酸化アルミニウムのうちの1以上を含むノンスティックコーティングをさらに含む、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項41]
前記第1の顎部、前記第2の顎部、前記ヒートシンク、または前記第1の顎部と前記第2の顎部と前記ヒートシンクとの組合せは、前記ヒートシンクが前記発熱体から熱の一部を放散する際の前記患者の体液の蒸気への相変化を防止するように構成されたコーティングをさらに含む、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項42]
前記発熱体は、前記患者の前記組織が前記閉位置にある前記第1の顎部と前記第2の顎部との間に置かれたときに、前記組織を封着または切断する処置温度まで発熱するように構成された第1の抵抗電極を含む、付記項32に記載の電気外科用デバイス。
[付記項43]
前記第1の抵抗電極は、約200℃~約350℃まで加熱されたときに抵抗加熱切断または封着を提供する、付記項42に記載の電気外科用デバイス。
[付記項44]
前記発熱体と前記ヒートシンクとは、前記第1の顎部及び前記第2の顎部が開位置にあるか、または開位置に向かって移動されるときに前記第1の状態で互いに接触する、付記項42に記載の電気外科用デバイス。
[付記項45]
前記ヒートシンクの熱伝導率は前記発熱体の熱伝導率より大きい、付記項42に記載の電気外科用デバイス。
[付記項46]
前記ヒートシンクを前記発熱体に対して前記第1の状態に置くことにより、前記発熱体の前記温度を約37℃~約42℃のほぼ周囲温度まで低下させることができる、付記項44に記載の電気外科用デバイス。
[付記項47]
前記発熱体の前記温度を、約0.25秒~約3秒以内に前記処置温度からほぼ周囲温度まで低下させることができる、付記項46に記載の電気外科用デバイス。
[付記項48]
前記発熱体は、組織を封着または切断するために、電源から電気エネルギー信号を受け取って前記組織に電磁エネルギーを送達するように構成されている、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
[付記項49]
前記第1の顎部及び前記第2の顎部が前記閉位置にあるときに前記発熱体から離れるような前記ヒートシンクの変位を可能にするために前記ヒートシンクに連結された枢動部材であって、前記ヒートシンクに連結された前記枢動部材が、前記第1の顎部及び前記第2の顎部が前記開位置にあるか、または前記開位置に向かって移動しているときに前記ヒートシンクを前記発熱体に向かって移動させて前記第1の状態にする、枢動部材をさらに備える、付記項32に記載の電気外科用デバイス。
[付記項50]
前記第1の顎部の近位端に連結された変位アクチュエータであって、前記変位アクチュエータが、前記患者の組織が前記第1の顎部と前記第2の顎部との間に置かれたときに前記組織が前記顎部アセンブリ内にさらに前進するのを防止する、変位アクチュエータをさらに備える、付記項31に記載の電気外科用デバイス。
【符号の説明】
【0054】
100 電気外科用デバイス、102 エンドエフェクタ、104 ハンドピース、105 第1の顎部、106 中間部、108 トリガ、110 第2の顎部、112 ハウジング、114 組織、115 ヒートシンク、120 発熱体、125 弾性付勢部材、130 枢動部材、135 変位アクチュエータ、140 変位部材、145 顎部アセンブリ、150 第1の遠位端、155 第1の近位端、160 第2の遠位端、165 第2の近位端、170 ピン、175 圧縮性部材、180 コード、185 ヒンジ、600 患者の組織を処置するための方法、700 鉗子または顎部のいずれかのための再処理方法、A1 長手方向軸、P 近位方向、D 遠位方向、G 地面、L 横方向、L’ 横方向
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【外国語明細書】