IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-蛇腹筒体の製造方法 図1
  • 特開-蛇腹筒体の製造方法 図2
  • 特開-蛇腹筒体の製造方法 図3
  • 特開-蛇腹筒体の製造方法 図4
  • 特開-蛇腹筒体の製造方法 図5
  • 特開-蛇腹筒体の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075528
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】蛇腹筒体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 3/04 20060101AFI20240528BHJP
   F16F 9/58 20060101ALI20240528BHJP
   F16F 9/38 20060101ALI20240528BHJP
   F16J 15/52 20060101ALI20240528BHJP
   B60G 13/08 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F16J3/04 C
F16F9/58 B
F16F9/38
F16J15/52 Z
B60G13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186965
(22)【出願日】2022-11-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】高橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 梨紗子
【テーマコード(参考)】
3D301
3J043
3J045
3J069
【Fターム(参考)】
3D301AA68
3D301AA79
3D301DA86
3J043AA03
3J043DA09
3J043FB12
3J045AA14
3J045CB14
3J045CB30
3J045EA10
3J069AA50
3J069CC06
3J069CC31
3J069DD47
(57)【要約】
【課題】蛇腹筒体の形状を容易に安定化できる蛇腹筒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】成形工程後の予備圧縮工程では、まず、受治具41に当てた蛇腹筒体のストッパ20から、対向治具44の端面46cを軸方向に離しておく。次にこの状態から、対向治具44と、蛇腹筒体のダストカバー30の第2端34を支持する支持治具48とをそれぞれ受治具41へ向かって軸方向に相対変位させる。これにより、対向治具44の端面46cがストッパ20に当たるまでの変位量によってダストカバー30が予備圧縮され、対向治具44の端面46cと受治具41との間でストッパ20が挟まれて予備圧縮される。その結果、ストッパ20及びダストカバー30の形状を容易に安定化できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
山部と谷部とが軸方向に反復的に連続する蛇腹状の筒体により前記軸方向に伸縮可能に形成されて、前記軸方向の第1端および第2端を備えた熱可塑性エラストマ製の蛇腹筒体の製造方法であって、
金型内で熱可塑性エラストマから蛇腹状の前記蛇腹筒体を成形する成形工程と、
前記成形工程後に、前記金型から取り出した前記蛇腹筒体を予備圧縮治具によって前記軸方向に予備圧縮する予備圧縮工程と、を備え、
前記蛇腹筒体は、前記第1端を含む蛇腹状の第1筒部と、前記第2端を含んで最小内径が前記第1筒部の最小内径よりも大きい蛇腹状の第2筒部と、を前記軸方向に連結して形成され、
前記予備圧縮治具は、前記第1筒部の前記第1端が当たる受治具と、
前記受治具に当てた前記第1筒部と前記軸方向に対向する端面、及び、前記第2筒部の内周面と径方向に対向する外周面を有する筒状または柱状の対向治具と、
前記対向治具の前記外周面から径方向外側へ張り出して前記第2筒部の前記第2端を支持する支持治具と、を備え、
前記予備圧縮工程では、前記受治具に当てた前記第1筒部から前記対向治具の前記端面を前記軸方向に離した状態から、前記受治具へ向かって前記対向治具および前記支持治具を前記軸方向に相対変位させることで、前記対向治具の前記端面が前記第1筒部に当たるまでの変位量により前記第2筒部が予備圧縮され、前記対向治具の前記端面と前記受治具との間で前記第1筒部が挟まれて予備圧縮されることを特徴とする蛇腹筒体の製造方法。
【請求項2】
前記受治具には、前記第1筒部の前記第1端側が嵌まる窪みが形成されていることを特徴とする請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法。
【請求項3】
前記予備圧縮治具は、前記受治具および前記対向治具の一方から他方へ向かって前記軸方向に突出し、前記第1筒部の内周側に配置される軸状のピン治具を備えることを特徴とする請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法。
【請求項4】
前記予備圧縮治具は、前記受治具および前記支持治具の一方に固定されて前記受治具および前記支持治具の他方まで延び、前記蛇腹筒体の外周側を覆う筒状のカバー治具を備えることを特徴とする請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法。
【請求項5】
前記対向治具は、前記端面を前記支持治具に対して前記軸方向へ移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法。
【請求項6】
前記予備圧縮治具には、前記蛇腹筒体の内周側の空間を前記予備圧縮治具の外側に連通させる連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の蛇腹筒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最小内径が互いに異なる蛇腹状の筒部を軸方向に連結した蛇腹筒体を製造する方法に関するものであって、特に、蛇腹筒体の形状を容易に安定化できる蛇腹筒体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ショックアブソーバのシリンダと、そのシリンダから突出するロッドに固定されるブラケットとの間にストッパを配置して、ショックアブソーバの大収縮時の衝撃をストッパにより吸収することが知られている。特許文献1に開示されたストッパは、山部と谷部とが軸方向に反復的に連続する蛇腹状の熱可塑性エラストマ製の筒部によって形成されている。更に、特許文献1には、成形後のストッパを軸方向に予備圧縮することで、ストッパの形状を安定化させることが記載されている。
【0003】
ここで、ストッパの最小内径よりも最小内径が大きい蛇腹状の熱可塑性エラストマ製の筒部によって形成されるダストカバーと、ストッパとを軸方向に連結して蛇腹筒体を構成することがある。ダストカバーは、ショックアブソーバを囲んでシリンダの内部に埃などを入り込ませ難くするためのものであり、ショックアブソーバの伸縮に合わせて軸方向に伸縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-021519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、最小内径が互いに異なる蛇腹状の筒部(ストッパ及びダストカバー)を軸方向に連結した蛇腹筒体に対する形状の安定化については記載が無い。よって、このような蛇腹筒体の形状を容易に安定化させることが望まれている。
【0006】
本発明は上述した要求に応えるためになされたものであり、蛇腹筒体の形状を容易に安定化できる蛇腹筒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の蛇腹筒体の製造方法は、山部と谷部とが軸方向に反復的に連続する蛇腹状の筒体により前記軸方向に伸縮可能に形成されて、前記軸方向の第1端および第2端を備えた熱可塑性エラストマ製の蛇腹筒体を製造する方法であって、金型内で熱可塑性エラストマから蛇腹状の前記蛇腹筒体を成形する成形工程と、前記成形工程後に、前記金型から取り出した前記蛇腹筒体を予備圧縮治具によって前記軸方向に予備圧縮する予備圧縮工程と、を備え、前記蛇腹筒体は、前記第1端を含む蛇腹状の第1筒部と、前記第2端を含んで最小内径が前記第1筒部の最小内径よりも大きい蛇腹状の第2筒部と、を前記軸方向に連結して形成され、前記予備圧縮治具は、前記第1筒部の前記第1端が当たる受治具と、前記受治具に当てた前記第1筒部と前記軸方向に対向する端面、及び、前記第2筒部の内周面と径方向に対向する外周面を有する筒状または柱状の対向治具と、前記対向治具の前記外周面から径方向外側へ張り出して前記第2筒部の前記第2端を支持する支持治具と、を備え、前記予備圧縮工程では、前記受治具に当てた前記第1筒部から前記対向治具の前記端面を前記軸方向に離した状態から、前記受治具へ向かって前記対向治具および前記支持治具を前記軸方向に相対変位させることで、前記対向治具の前記端面が前記第1筒部に当たるまでの変位量により前記第2筒部が予備圧縮され、前記対向治具の前記端面と前記受治具との間で前記第1筒部が挟まれて予備圧縮される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法によれば、まず、成形工程によって金型内で熱可塑性エラストマから蛇腹状の蛇腹筒体を成形する。次いで、その後の予備圧縮工程で、金型から取り出した蛇腹筒体を予備圧縮治具によって軸方向に予備圧縮し、蛇腹筒体を塑性変形させることで、蛇腹筒体の形状を安定化させる。この予備圧縮工程では、まず、予備圧縮治具の受治具に当てた蛇腹筒体の第1筒部から、予備圧縮治具の対向治具の端面を軸方向に離しておく。次にこの状態から、対向治具と、蛇腹筒体の第2筒部の第2端を支持する支持治具とをそれぞれ受治具へ向かって軸方向に相対変位させる。これにより、対向治具の端面が第1筒部に当たるまでの変位量によって第2筒部が予備圧縮され、対向治具の端面と受治具との間で第1筒部が挟まれて予備圧縮される。このように、対向治具と、対向治具の外周面から径方向外側へ張り出した支持治具とによって、第1筒部および第2筒部を同時に予備圧縮できると共に、それらの形状の安定化に必要な各々の圧縮率を独立して設定できる。その結果、蛇腹筒体の形状を容易に安定化できる。
【0009】
請求項2記載の蛇腹筒体の製造方法によれば、請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。受治具には、第1筒部の第1端側が嵌まる窪みが形成されている。この窪みの内周壁面によって、予備圧縮される第1筒部の径方向外側への変形を規制できる。その結果、予備圧縮による塑性変形後の第1筒部の外径を設定し易くできる。
【0010】
請求項3記載の蛇腹筒体の製造方法によれば、請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。予備圧縮治具は、受治具および対向治具の一方から他方へ向かって軸方向に突出し、第1筒部の内周側に配置される軸状のピン治具を備える。このピン治具の外周面により、予備圧縮される第1筒部の径方向内側への変形を規制できる。よって、予備圧縮による塑性変形後の第1筒部の内径を設定し易くできる。
【0011】
請求項4記載の蛇腹筒体の製造方法によれば、請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。予備圧縮治具は、受治具および支持治具の一方に固定されて受治具および支持治具の他方まで延び、蛇腹筒体の外周側を覆う筒状のカバー治具を備えている。このカバー治具の内周面によって、予備圧縮される蛇腹筒体の径方向外側への変形を規制できる。その結果、予備圧縮による塑性変形後の蛇腹筒体の外径を設定し易くできる。
【0012】
請求項5記載の蛇腹筒体の製造方法によれば、請求項1記載の蛇腹筒体の製造方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。対向治具は、対向治具の端面を支持治具に対して軸方向へ移動させる移動機構を備えている。予備圧縮工程では、支持治具から対向治具の端面までの軸方向の距離に応じて第2筒部の圧縮率が設定されるので、移動機構による対向治具の端面の移動によって第2筒部の圧縮率を容易に調整できる。
【0013】
請求項6記載の蛇腹筒体の製造方法によれば、請求項1から5のいずれかに記載の蛇腹筒体の製造方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。予備圧縮治具には、蛇腹筒体の内周側の空間を予備圧縮治具の外側に連通させる連通孔が形成されている。これにより、予備圧縮時に蛇腹筒体の内側の空気が連通孔から排出されるので、その内側で圧縮された空気によって、蛇腹筒体が破裂したり、蛇腹筒体の変形の仕方が変化したりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態における蛇腹筒体の断面図である。
図2】非圧縮状態における蛇腹筒体および予備圧縮治具の断面図である。
図3】ダストカバーを予備圧縮した状態における蛇腹筒体および予備圧縮治具の断面図である。
図4】ダストカバー及びストッパを予備圧縮した状態における蛇腹筒体および予備圧縮治具の断面図である。
図5】対向治具を軸方向に伸長させた状態における蛇腹筒体および予備圧縮治具の断面図である。
図6】変形例における予備圧縮治具および蛇腹筒体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、一実施形態における蛇腹筒体であるストッパ20(第1筒部)及びダストカバー30(第2筒部)と、ショックアブソーバ10とについて説明する。図1は、一実施形態における蛇腹筒体およびショックアブソーバ10の断面図である。図1の断面は、ショックアブソーバ10のロッド16の軸心Cを含む断面である。
【0016】
本明細書では、特に指定がない限り、軸心Cの軸方向を単に「軸方向」と称し、軸心Cに直交する方向を単に「径方向」と称して説明する。また、説明を簡略化するために、軸方向のうち一方側(図1紙面上側)を上方とし、他方側(図1,2紙面下側)を下方として説明する。これらの上下方向は、ショックアブソーバ10が搭載された車両の上下方向とは必ずしも一致しない。図1では、蛇腹筒体およびショックアブソーバ10の下側を省略して図示している。
【0017】
ショックアブソーバ10は、主に車輪(図示せず)と車体(図示せず)とを繋ぎ、車輪から車体への振動を緩衝するためのサスペンションの一部である。ショックアブソーバ10は、車体を支えつつ車輪からの衝撃を吸収するコイルスプリング(図示せず)の振動を減衰する。ショックアブソーバ10は、車輪側に取り付けられるシリンダ11と、シリンダ11から軸方向に突出する円柱状(軸状)のロッド16と、を主に備える。ショックアブソーバ10は、車輪からの荷重入力に伴って、シリンダ11からのロッド16の突出量が変化して軸方向に伸縮し、振動を減衰する。
【0018】
シリンダ11は、軸心Cを中心とした略円筒状に形成される。このシリンダ11の上方の先端12からロッド16が軸方向に突出する。ロッド16の上方の先端には相手部材17が固定される。相手部材17は、車体側に取り付けられる金属製の部材であり、軸方向視において円形状の窪み18が下面に形成されている。
【0019】
この窪み18は、ストッパ20が挿入される部位であり、窪み18の内径がシリンダ11の外径と略同一である。窪み18の底面は、軸心Cに垂直な平面であり、シリンダ11の先端12と軸方向に対向する。窪み18の内周壁面は、窪み18の底面の周縁から下方へ向かって垂直に立ち上がる。更に、その内周壁面には、径方向内側へ突出する凸部19が窪み18の底面から離れた部分に全周に亘って形成されている。
【0020】
ストッパ20は、ロッド16の径方向外側を囲むようにシリンダ11と相手部材17との間に配置される筒状のバウンドバンパである。ストッパ20は、軸心Cに垂直な断面が軸心Cを中心とした円環状に形成されている。即ち、ロッド16の軸心Cとストッパ20の軸心とは共通する。ショックアブソーバ10の大収縮時、シリンダ11の先端12と相手部材17の窪み18の底面との間でストッパ20が軸方向に圧縮されることで、ストッパ20の弾性変形により圧縮時の衝撃を吸収する。
【0021】
ストッパ20は、各部が一体成形された熱可塑性エラストマ製の部材である。ストッパ20を形成する熱可塑性エラストマの種類には、熱可塑性エラストマの特性に大きく寄与するハードセグメントに応じて、スチレン系、オレフィン系、ジエン系、塩化ビニル系、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系などが挙げられる。本実施形態の熱可塑性エラストマは、エステル系(例えば、ポリブチレンテレフタレート)のハードセグメントと、脂肪族ポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)のソフトセグメントとのブロック共重合体である。
【0022】
ストッパ20は、山部21と谷部22とが軸方向に反復的に連続する蛇腹状の筒体である。なお、山部21及び谷部22は、ストッパ20の外周面における山頂および谷底の部分によってそれぞれ形成されている。山部21の内周面は谷底であって、谷部22の内周面は山頂である。ストッパ20の上端であって蛇腹筒体の上端である第1端25は、谷部22によって形成される。ストッパ20の下端24は山部21によって形成されている。この下端24は、シリンダ11の外周面よりも径方向外側へ張り出している。
【0023】
複数の山部21の内周面(谷底)は、複数の谷部22の外周面(谷底)よりも径方向外側に位置する。ストッパ20の内周面から外周面までの肉厚は、蛇腹の山の大きさ(例えば、谷部22の外周面から山部21の外周面までの径方向寸法)に対して十分に薄くなっている。これにより、ゴム等に比べて硬い熱可塑性エラストマ製のストッパ20の蛇腹が、複数の山部21及び谷部22を支点に折り畳まれるようにして、ストッパ20が軸方向に圧縮可能となる。
【0024】
ストッパ20には、最も上側の蛇腹の一山分によって取付部23が形成されている。取付部23は、相手部材17に取り付けられる部位である。取付部23の山部21の外径は、窪み18の内径と略同一であり、凸部19の内径よりも大きい。そのため、凸部19よりも窪み18の底面側(上側)に取付部23の山部21を挿入することで、凸部19で取付部23が保持され、ストッパ20が相手部材17に取り付けられる。
【0025】
取付部23と下端24との間における複数の山部21の外径は、取付部23の山部21の外径や凸部19の内径よりも小さい。これにより、凸部19に取付部23が保持されていても、ストッパ20の軸方向の圧縮時、取付部23と下端24との間における複数の山部21を凸部19に干渉させ難くできる。これにより、ストッパ20の蛇腹を綺麗に折り畳み易くできるので、ストッパ20の一部に応力が集中し難くなり、ストッパ20の耐久性を向上できる。
【0026】
次に図1及び図2を参照してダストカバー30を説明する。図2は、非圧縮状態におけるストッパ20及びダストカバー30と、予備圧縮治具40との断面図である。なお、図2から図6の断面はいずれも、ストッパ20及びダストカバー30の軸心Cを含む断面である。
【0027】
ダストカバー30は、シリンダ11に埃などを付着し難くするためのものである。ダストカバー30は、ストッパ20と同様に、山部31と谷部32とが軸方向に反復的に連続する蛇腹状の筒体によって形成される。ダストカバー30は、軸心Cに垂直な断面が軸心Cを中心とした円環状に形成されている。即ち、ロッド16の軸心Cとダストカバー30の軸心とは共通する。
【0028】
なお、山部31及び谷部32は、ダストカバー30の外周面における山頂および谷底の部分によってそれぞれ形成されている。山部31の内周面は谷底であって、谷部32の内周面は山頂である。
【0029】
複数の山部31の内周面(谷底)は、複数の谷部32の外周面(谷底)よりも径方向外側に位置する。ダストカバー30の内周面から外周面までの肉厚は、蛇腹の山の大きさ(例えば、谷部32の外周面から山部31の外周面までの径方向寸法)に対して十分に薄くなっている。これにより、ゴム等に比べて硬い熱可塑性エラストマ製のダストカバー30の蛇腹が、複数の山部31及び谷部32を支点に折り畳まれるようにして、ダストカバー30が軸方向に圧縮可能となる。
【0030】
更に、ストッパ20の肉厚よりもダストカバー30の肉厚が薄いので、ストッパ20と比べてダストカバー30を軸方向に圧縮させ易くできる。また、ダストカバー30は、シリンダ11と相手部材17との間で軸方向に圧縮されずにシリンダ11の外周側を覆うように、ダストカバー30の最小内径がストッパ20の最小内径よりも十分に大きく形成されている。更にダストカバー30の最小内径は、シリンダ11の外径よりも大きい。
【0031】
ダストカバー30の軸方向の上端33は、山部31によって形成されている。この上端33とストッパ20の下端24とが、略円筒状の連結筒26を介して連結される。即ち、ダストカバー30及びストッパ20は、熱可塑性エラストマによって一体成形されている。また、連結筒26により、ストッパ20及びダストカバー30の一方の変形が他方に影響することを抑制できる。なお、連結筒26を省略して下端24と上端33とを一致させても良い。
【0032】
ダストカバー30の軸方向の下端であって蛇腹筒体の下端である第2端34は、最下端の谷部32から軸心Cに沿って延びた略円筒状の部位によって形成されている。この第2端34は、図示しないブラケット等を介してシリンダ11に取り付けられる。また、第2端34(最下端の谷部32)と、最下端の山部31とを斜めに繋ぐ部位を受圧面部35と称す。受圧面部35は、第2端34と共に予備圧縮治具40に支持される部分である。
【0033】
次に図2から図5を参照して、ストッパ20及びダストカバー30(蛇腹筒体)の製造方法について説明する。図2から図5はいずれも、ストッパ20、ダストカバー30及び予備圧縮治具40の断面図である。なお、図3から図5では、理解を容易にするために、ストッパ20及びダストカバー30のうち圧縮された部分のハッチングを省略している(図6も同様)。
【0034】
ストッパ20及びダストカバー30は、基本的な形状が成形工程で成形され、その後の予備圧縮工程で予備圧縮治具40を用いて軸方向に予備圧縮されて完成する。成形工程は、既知の押出成形およびブロー成形でストッパ20及びダストカバー30を成形する。具体的に成形工程では、まず押出成形によって、熱可塑性エラストマから略円筒状のパリソンを成形する。次いで、ブロー成形によって、そのパリソンの内側に空気を吹き込み、パリソンの外周面を金型に押し付けることで、蛇腹状のストッパ20及びダストカバー30を一体成形する。
【0035】
蛇腹状のストッパ20及びダストカバー30は、熱可塑性エラストマ製であるため、それらがゴム製である場合と比べて、軸方向の圧縮時の変形の一部が圧縮を解除しても戻り難い。この圧縮による塑性変形は、金型から取り出して全く軸方向に圧縮していない場合に顕著である。ここで、ストッパ20及びダストカバー30を成形後に一度も圧縮していない状態を無圧縮状態と称す。図2には、無圧縮状態のストッパ20及びダストカバー30を、塑性変形しない程度に軸方向に圧縮した非圧縮状態が示されている。
【0036】
成形工程後の予備圧縮工程では、ブロー成形用の金型から取り出して不要な部分をカットしたストッパ20及びダストカバー30を軸方向に予備圧縮し、それらを予め塑性変形させてそれらの形状を安定化させる。予備圧縮治具40は、この予備圧縮を行うための装置である。
【0037】
図2に示すように、予備圧縮治具40は、受治具41、ピン治具42、カバー治具43、対向治具44及び支持治具48を主に備えている。予備圧縮治具40は、図示しない油圧シリンダ等の駆動装置によって、受治具41、ピン治具42及びカバー治具43に対し、対向治具44及び支持治具48が軸方向へ相対変位可能に構成されている。
【0038】
受治具41は、相手部材17(図1参照)を模した部位であり、軸心Cを中心とした円柱状に形成されている。受治具41の下面には窪み41aが形成されている。窪み41aは、凸部19が無い点以外は相手部材17の窪み18(図1参照)と略同一の形状および寸法で形成されている。窪み41aにはストッパ20の取付部23が嵌まり、窪み41aの底面にストッパ20の第1端25が当たる。
【0039】
ピン治具42は、ロッド16(図1参照)を模した部位であり、軸心Cを中心とした円柱状に形成されている。ピン治具42は、窪み41aの底面の中央に固定され、受治具41から下方へ突出する。軸心Cを含む断面において、ピン治具42の外周面は、軸方向の全長に亘って軸心Cと平行である。ピン治具42の外径は、ショックアブソーバ10のロッド16(図1参照)の外径よりも若干大きく、無圧縮状態のストッパ20の最小内径よりも若干小さい。ピン治具42の長さ(軸方向寸法)は、無圧縮状態のストッパ20の軸方向寸法よりも長い。
【0040】
カバー治具43は、内周側に受治具41を挿入することで受治具41に固定された筒部材であり、軸心Cを中心とした円筒状に形成されている。軸心Cを含む断面において、カバー治具43の内周面および外周面は、軸方向の全長に亘って軸心Cと平行である。
【0041】
カバー治具43の上端は、受治具41の外周面の上端から径方向外側へ張り出したフランジ41bに接触する。これにより、受治具41に対してカバー治具43が軸方向に位置決めされる。この位置決めされた状態で、カバー治具43は、受治具41から下方へ延び、ストッパ20及びダストカバー30の外周側を軸方向の略全長に亘って覆う。
【0042】
対向治具44は、シリンダ11(図1参照)を模した部位であり、軸心Cを中心とした円筒状に形成されている。対向治具44は、本体筒部45、ボルト46及びナット47を備える。本体筒部45は、軸心Cを中心とした円筒状に形成され、下端が閉塞部45aで塞がれている。軸心Cを含む断面において、本体筒部45の外周面は、軸方向の全長に亘って軸心Cと平行である。
【0043】
閉塞部45aの中央には、軸方向に貫通する取付孔45bが設けられる。取付孔45bの内周面には、油圧シリンダ等の駆動装置に対向治具44をねじ止めするためのめねじが形成されている。
【0044】
ボルト46は、頭部46aの下面から軸部46bが突出した部位である。頭部46aの上面であって対向治具44の端面46cは、軸心Cに垂直な平面であり、受治具41に第1端25を当てたストッパ20の下端24側と軸方向に対向する。軸部46bの外周面には、本体筒部45の内周面に形成されためねじに嵌まるおねじが形成されている。
【0045】
ボルト46には、軸心Cに沿って貫通孔46dが貫通形成されており、頭部46a及び軸部46bがいずれも円筒状に形成されている。この貫通孔46dの内径は、ピン治具42の外径よりも大きい。そのため、ピン治具42が固定された受治具41へ向かって対向治具44を軸方向に相対変位させるときに、対向治具44の内周側(貫通孔46d及び本体筒部45の内周側)にピン治具42を受け入れることができ、ピン治具42が対向治具44に干渉することを抑制できる。
【0046】
ナット47は、軸部46bに嵌めて頭部46aと本体筒部45との間に配置される部位である。図2では、頭部46aと本体筒部45との間でナット47が挟まれている。図2の状態では、本体筒部45に頭部46aの端面46cが最も近づいている。この状態から本体筒部45に対してボルト46を回転させることにより、図5に示すように、図2と比べて端面46cを上方へ移動させ、対向治具44を軸方向に伸長させることができる。
【0047】
図2,5いずれの場合でも、ナット47を回転させてナット47を本体筒部45に押し付けることにより、本体筒部45に対するボルト46の不要な回転を抑制でき、本体筒部45に対する端面46cの位置を変化させ難くできる。なお、本体筒部45へのナット47の押し付けを解除することによって、本体筒部45に対してボルト46を容易に回転させることができる。
【0048】
支持治具48は、ダストカバー30の第2端34をシリンダ11(図1参照)に固定するためのブラケットを模した部位である。支持治具48は、軸心Cを中心とした円筒体の下端を閉塞したカップ状に形成されている。この支持治具48の内側に本体筒部45の下端側の一部が挿入され、図示しないねじによって本体筒部45の閉塞部45aに固定される。
【0049】
カップ状の支持治具48の底部分には、閉塞部45aの取付孔45bに連通し、取付孔45bと同一内径の取付孔48bが設けられる。取付孔48bの内周面には、取付孔45bと同様に、油圧シリンダ等の駆動装置に支持治具48をねじ止めするためのめねじが形成されている。
【0050】
支持治具48の内径は、本体筒部45の外径よりも若干大きい。そのため、支持治具48と本体筒部45との間には、全周に亘って隙間が形成される。この隙間に一端が開口するように、支持治具48には、径方向に貫通する空気孔48cが形成されている。なお、本実施形態では、空気孔48cは、軸心Cまわりの回転対称の位置に2つ設けられている。但し、この空気孔48cの数は、1つでも3つ以上でも良い。
【0051】
支持治具48の上端は、対向治具44の本体筒部45の外周面から径方向外側へ張り出すように設けられる。この支持治具48の上端からは、下端側に対して段差状に内径が広がった略円筒状の支持部48aが軸方向に突出する。支持部48aの内周側にダストカバー30の第2端34が挿入され、支持部48aの上端にダストカバー30の受圧面部35が当たることで、ダストカバー30の第2端34が支持治具48によって支持される。なお、この支持部48aがカバー治具43の内側に位置するように、受治具41に固定されたカバー治具43の軸方向寸法が設定されている。
【0052】
支持部48aの内周面に第2端34が密着するように、支持部48aの内径が第2端34の外径と略同一に設定されている。更に、支持部48aの上端に受圧面部35の略全体が密着するように、支持部48aの上端が径方向内側へ向かうにつれて下降傾斜しつつ、支持部48aの径方向の幅が受圧面部35の径方向の幅と略同一に設定されている。これらの結果、支持治具48の軸方向の変位に伴うダストカバー30の第2端34側の変形や変位を安定させることができる。
【0053】
以上説明した予備圧縮治具40を用いる予備圧縮工程について具体的に説明する。まず、図2に示すように、無圧縮状態におけるストッパ20の第1端25側を受治具41の窪み41aに挿入し、ダストカバー30の第2端34を支持治具48の支持部48aで支持する。このとき、受治具41に当てたストッパ20から対向治具44の端面46cが軸方向に離れている。
【0054】
次いで、図3に示すように、受治具41へ向かって対向治具44及び支持治具48を相対変位させる。ストッパ20よりも肉厚が薄いダストカバー30の方が軸方向に圧縮され易いため、この相対変位の初期段階ではダストカバー30が主に軸方向に予備圧縮される。ダストカバー30は、対向治具44の端面46cがストッパ20に当たるまでの変位量に応じた圧縮率で予備圧縮される。
【0055】
ダストカバー30の外周側がカバー治具43で覆われているため、カバー治具43の内周面によって、予備圧縮されるダストカバー30の径方向外側への変形を規制できると共に、その変形時の座屈を抑制できる。その結果、予備圧縮による塑性変形後のダストカバー30の外径を設定し易くできると共に、ダストカバー30が局所的に塑性変形することを抑制できる。特に軸心Cを含む断面において、カバー治具43の内周面は軸心Cと平行なストレート形状であるので、ダストカバー30の山部31の外径をより均一化できる。
【0056】
また、ダストカバー30の内周側には対向治具44が位置する。そのため、対向治具44の外周面によって、予備圧縮されるダストカバー30の径方向内側への変形を規制できると共に、その変形時の座屈を抑制できる。その結果、予備圧縮による塑性変形後のダストカバー30の内径を設定し易くできると共に、ダストカバー30が局所的に塑性変形することを抑制できる。
【0057】
特に、軸心Cを含む断面において、対向治具44の本体筒部45、ボルト46及びナット47の外周面は、それぞれ軸心Cと平行なストレート形状であるので、ダストカバー30の谷部32の内径をより均一化できる。なお、蛇腹状のダストカバー30が予備圧縮されるとき、径方向外側と比べて径方向内側へは変形し難く、軸方向の圧縮率も比較的小さいため、本体筒部45とボルト46とナット47との外周面に多少の段差が有ってもダストカバー30の谷部32の内径を十分に均一化できる。
【0058】
図4に示すように、ダストカバー30を予備圧縮した後、そのまま更に受治具41へ向かって対向治具44を相対変位させる。これにより、対向治具44の端面46cと受治具41の窪み41aの底面との間でストッパ20が軸方向に挟まれて予備圧縮される。
【0059】
この予備圧縮時には、窪み41aの内周壁面によって、ストッパ20の径方向外側への変形を規制できると共に、その変形時の座屈を抑制できる。その結果、予備圧縮による塑性変形後のストッパ20の外径を設定し易くできると共に、ストッパ20が局所的に塑性変形することを抑制できる。特に、軸心Cを含む断面において、窪み41aの内周壁面は軸心Cと平行なストレート形状であるので、ストッパ20の山部21の外径をより均一化できる。
【0060】
また、ストッパ20の内周側にはピン治具42が位置する。そのため、ピン治具42の外周面によって、予備圧縮されるストッパ20の径方向内側への変形を規制できると共に、その変形時の座屈を抑制できる。その結果、予備圧縮による塑性変形後のストッパ20の内径を設定し易くできると共に、ストッパ20が局所的に塑性変形することを抑制できる。特に、軸心Cを含む断面において、ピン治具42の外周面は軸心Cと平行なストレート形状であるので、ストッパ20の谷部22の内径をより均一化できる。
【0061】
また、ピン治具42は、ショックアブソーバ10のロッド16よりも外径が若干大きいため、予備圧縮による塑性変形後のストッパ20の内径をロッド16の外径よりも大きくし易い。これにより、ストッパ20がロッド16に擦れることを抑制できる。特に、ブロー成形によってストッパ20を形成する場合、ストッパ20の内径を調整し難いが、その内径の調整をピン治具42によって容易にできる。
【0062】
最後に、図4の状態でストッパ20及びダストカバー30を予備圧縮して所定時間経過した後、図2の状態に予備圧縮治具40を戻して予備圧縮を解除する。なお、予備圧縮工程では、図2から図4までの一連の予備圧縮を3回行うことが好ましい。更に、ショックアブソーバ10に取り付けたストッパ20に加わることが想定される最大荷重(例えば30kN程度)で、ストッパ20を予備圧縮することが好ましい。また、ショックアブソーバ10に取り付けたダストカバー30に対して想定される最大の圧縮率になるまで、ダストカバー30を予備圧縮することが好ましい。これらの結果、ストッパ20及びダストカバー30の形状が概ね安定する。なお、予備圧縮前に対する3回の予備圧縮後の軸方向寸法の変化率は、基本的にダストカバー30よりもストッパ20の方が大きくなる。
【0063】
以上説明した予備圧縮工程によれば、対向治具44と支持治具48とが段差を構成することにより、ストッパ20及びダストカバー30を同時に予備圧縮できると共に、それらの形状の安定化に必要な各々の圧縮率を独立して設定できる。その結果、一体成形されたストッパ20及びダストカバー30の形状を容易に安定化できる。
【0064】
予備圧縮治具40の各部の形状や動きは、ショックアブソーバ10の形状や動きを模して形成されている。そのため、予備圧縮治具40で予備圧縮されたストッパ20及びダストカバー30は、ショックアブソーバ10に装着した後に再び軸方向に圧縮されても、それらの形状を変化させ難くできる。
【0065】
対向治具44が備える移動機構であって、支持治具48に対して端面46cを軸方向へ移動させる移動機構を、本体筒部45及びボルト46のねじ機構によって形成している。これにより、図4及び図5に示すように、支持治具48から端面46cまでの軸方向の距離に応じて、ダストカバー30の軸方向の圧縮率を容易に調整できる。また、支持治具48から端面46cまでの軸方向の距離を変化させても、端面46cと受治具41との間で挟まれるストッパ20の軸方向の圧縮率を変化させないようにできる。
【0066】
予備圧縮治具40には、ストッパ20及びダストカバー30の内周側の空間を予備圧縮治具40の外側に連通させる連通孔が形成されている。この連通孔は、支持治具48及び本体筒部45の隙間と、空気孔48cとによって構成される。これにより、予備圧縮時にストッパ20及びダストカバー30の内側の空気が連通孔から排出されるので、その内側で圧縮された空気によって、ストッパ20及びダストカバー30が破裂したり、ストッパ20及びダストカバー30の変形の仕方が変化したりすることを抑制できる。
【0067】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。ストッパ20やダストカバー30、予備圧縮治具40、相手部材17等の各部の形状や寸法は適宜変更しても良い。例えば、ストッパ20やダストカバー30の蛇腹の山の数を変更しても良い。また、円筒状や円柱状の部位などを、角筒状や楕円筒状、角柱状や楕円筒状などに変更しても良い。
【0068】
上記実施形態では、ショックアブソーバ10にストッパ20及びダストカバー30を取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限らない。シリンダ11の先端12から突出量を変化可能にロッド16が軸方向に突出する伸縮機構であれば、ショックアブソーバ10以外の伸縮機構にストッパ20及びダストカバー30を取り付けても良い。その伸縮機構としては、例えばエアシリンダや油圧シリンダ、電動シリンダ等が挙げられる。また、車両以外に搭載された伸縮機構にストッパ20及びダストカバー30を取り付けても良い。
【0069】
上記実施形態では、既知のブロー成形によりストッパ20及びダストカバー30を成形する場合について説明したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ストッパ20及びダストカバー30を射出成形などで成形しても良い。この場合、金型から取り外すときに成形品の内側に空気を吹き込んで膨らませたり、崩壊性の中子を有する金型を用いたりすれば良い。
【0070】
また、ストッパ20及びダストカバー30を一体成形する場合に限らず、ストッパ20を省略しても良い。この場合、伸縮機構のシリンダ11にダストカバー30の第2端34側を取り付けつつ、伸縮機構のロッド16に固定したブラケット等にダストカバー30の上端33を直接取り付けても良い。また、ダストカバー30とは別部材からなるストッパ20を伸縮機構に取り付けても良い。このストッパ20は、熱可塑性エラストマ以外の弾性体から構成しても良い。
【0071】
別々に成形したストッパ20及びダストカバー30を、それぞれ別々の予備圧縮治具で軸方向に予備圧縮しても良い。また、ストッパ20及びダストカバー30を一体成形した場合でも、ストッパ20のみを予備圧縮治具で予備圧縮したり、ダストカバー30のみを予備圧縮治具で予備圧縮しても良い。
【0072】
ここで、図6を参照し、ストッパ20と一体成形したダストカバー30のみを予備圧縮するための予備圧縮治具50を例示して説明する。図6には、図3と同様に、ダストカバー30のみを予備圧縮した状態におけるストッパ20、ダストカバー30及び予備圧縮治具50の断面図が示されている。予備圧縮治具50は、上記実施形態における予備圧縮治具40に対して、受治具51のみが異なり、その他は同一に構成されている。
【0073】
予備圧縮治具50の受治具51は、軸心Cを中心とした円柱状に形成されている。受治具51の下面には、ストッパ20が軸方向の略全長に亘って挿入されて取付部23が嵌まる窪み51aが形成されている。予備圧縮治具50は、窪み51aの内側に対向治具44が挿入されないように構成される。よって、予備圧縮治具50は、ストッパ20が殆ど予備圧縮されず、ストッパ20に対向治具44の端面46cが当たるまでダストカバー30のみを予備圧縮できる。
【0074】
なお、ダストカバー30のみを予備圧縮する予備圧縮治具50では、対向治具44を省略しても良い。この場合には、受治具41に対する支持治具48の変位量でダストカバー30の圧縮率を設定すれば良い。また、窪み51aを受治具51の上面に開口するまで延ばしても良い。この場合には、受治具51の下端にストッパ20の下端24の近傍を当てれば良い。
【0075】
上記実施形態および変形例における予備圧縮治具40,50の構成の一部を省略しても良い。例えば、ピン治具42やカバー治具43を省略しても良い。ピン治具42を省略した場合、ボルト46の貫通孔46dを省略して対向治具44を円柱状などに形成しても良い。また、貫通孔46dを省略し、対向治具44の端面46cに当たらない長さにピン治具42を構成したり、ピン治具42を軸方向に伸縮可能に構成しても良い。
【0076】
上記実施形態および変形例では、カバー治具43が受治具41,51に固定されて支持治具48まで延びている場合について説明したが、必ずしもこれに限らない。例えば、カバー治具43を支持治具48に固定して受治具41,51まで延ばしても良い。
【0077】
また、ピン治具42を対向治具44の端面46cから受治具41,51へ向かって突出させても良い。この場合、ピン治具42を受け入れ可能な孔を受治具41,51に設けたり、受治具41,51に当たったピン治具42を対向治具44内へ退避させても良い。
【0078】
上記実施形態および変形例では、ストッパ20及びダストカバー30の内周側の空間を予備圧縮治具40,50の外側に連通させる連通孔が、支持治具48及び本体筒部45の隙間と、空気孔48cとによって構成される場合について説明したが必ずしもこれに限らない。例えば、取付孔45b,48bを単なる貫通孔にして、ボルト46の貫通孔46dと、本体筒部45の内周側と、取付孔45b,48bとで連通孔を構成しても良い。また、受治具41やピン治具42に連通孔を形成しても良い。
【0079】
上記実施形態および変形例では、支持治具48に対して端面46cを軸方向へ移動させる移動機構を、本体筒部45及びボルト46のねじ機構によって形成する場合について説明したが必ずしもこれに限らない。例えば、支持治具48の内周面に設けためねじに、対向治具44の外周面に設けたおねじを嵌め、それらのねじ機構で移動機構を構成しても良い。また、電動シリンダやエアシリンダ等の各種アクチュエータで移動機構を構成しても良い。
【符号の説明】
【0080】
20 ストッパ(第1筒部、蛇腹筒体の一部)
30 ダストカバー(第2筒部、蛇腹筒体の一部)
21,31 山部
22,32 谷部
25 第1端
34 第2端
40 予備圧縮治具
41 受治具
41a 窪み
42 ピン治具
43 カバー治具
44 対向治具
45 本体筒部(移動機構の一部)
46 ボルト(移動機構の一部)
46c 端面
48 支持治具
48c 空気孔(連通孔の一部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6