(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075539
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】循環ころ軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 19/26 20060101AFI20240528BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20240528BHJP
F16N 9/02 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F16C19/26
F16C33/66 Z
F16N9/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060812
(22)【出願日】2023-04-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】202211478002.2
(32)【優先日】2022-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523124821
【氏名又は名称】柯拉思利工業科技(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】KIS Bearing Technology (Asia Pacific) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Floor 10, Building 5, No.525 Yuanjiang Road, Minhang District, Shanghai 200241, China
(71)【出願人】
【識別番号】523124832
【氏名又は名称】上海拓泓机械科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】THB BEARINGS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 869, Building D1, No.5500 Yuanjiang Road, Minhang District, Shanghai 201111, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】郭宏軍
(72)【発明者】
【氏名】苑蕾
(72)【発明者】
【氏名】梅建洛
(72)【発明者】
【氏名】程凱
(72)【発明者】
【氏名】宋詞
(72)【発明者】
【氏名】呉元朕
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA13
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA80
3J701CA08
3J701CA14
3J701EA63
3J701FA31
3J701GA41
3J701GA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】限られた取り付け空間内で、軸受の担持能力及び耐用年数を向上できる循環ころ軸受を提供する。
【解決手段】循環ころ軸受に関し、フロントカバープレート11、リアカバープレート12、インナーキャリア、密封被覆部材、転動担持体15及び接続部材2を含み、フロントカバープレート、リアカバープレートはインナーキャリアの両側に取り外し可能に取り付けられ、フロントカバープレート、リアカバープレート、インナーキャリアと密封被覆部材との間に循環案内通路4が形成されており、循環案内通路は密封部41及び開口担持部42を含み、転動担持体は循環案内通路に充填され、いずれかの転動キャリアはいずれもインナーキャリアと転動係合を形成し、且ついずれかの転動キャリアは開口担持部を通過する時、伸縮フォークと転動係合を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環ころ軸受であって、フロントカバープレート(11)、リアカバープレート(12)、インナーキャリア(13)、密封被覆部材(14)及び転動担持体(15)を含み、
前記フロントカバープレート(11)、リアカバープレート(12)はインナーキャリア(13)の対向する両側に取り外し可能に取り付けられ、前記密封被覆部材(14)はインナーキャリア(13)の周側に周設され且つフロントカバープレート(11)とリアカバープレート(12)との間に密封設置され、
前記フロントカバープレート(11)、リアカバープレート(12)、インナーキャリア(13)と密封被覆部材(14)との間に循環案内通路(4)が形成されており、前記循環案内通路(4)は密封部(41)及び開口担持部(42)を含み、
前記転動担持体(15)は複数設置され且ついずれも循環案内通路(4)に充填され、いずれかの前記転動キャリアはいずれもインナーキャリア(13)との間に転動係合を形成し、且ついずれかの前記転動キャリアは循環案内通路(4)の開口担持部(42)を通過する時、伸縮フォークと転動係合を形成し、
さらにインナーキャリア(13)、フロントカバープレート(11)及びリアカバープレート(12)をメインフレームに取り外し可能に固定する接続部材(2)を含む、ことを特徴とする循環ころ軸受。
【請求項2】
前記インナーキャリア(13)は、開口担持部(42)に向かう側の長さが開口担持部(42)から離れる側の長さより長く、前記インナーキャリア(13)の断面が三角形又は台形である、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項3】
前記接続部材(2)はフロントカバープレート(11)、インナーキャリア(13)及びリアカバープレート(12)を順次穿設し、且つ前記接続部材(2)の穿設端にメインフレーム(7)と取り外し可能な接続を形成する接続部(23)が設置され、前記接続部材(2)の穿設端から離れる端部はインナーキャリア(13)との間にリミット当接係合を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項4】
前記フロントカバープレート(11)に第1穿設孔(111)が開設されており、前記インナーキャリア(13)とリアカバープレート(12)に第2穿設孔(131)が開設されており、且つ前記第1穿設孔(111)の孔径は第2穿設孔(131)より大きく、前記接続部材(2)の穿設端から離れる端部に第1穿設孔(111)と嵌設係合を形成するリミットバンプ(21)が設置されており、且つ当該前記リミットバンプ(21)はインナーキャリア(13)のフロントカバープレート(11)に近い側に当接する、ことを特徴とする請求項3に記載の循環ころ軸受。
【請求項5】
前記接続部材(2)はさらにボトル軸部(22)を含み、前記ボトル軸部(22)はリミットバンプ(21)と接続部(23)との間に位置し、前記ボトル軸部(22)は第2穿設孔(131)に穿設されている、ことを特徴とする請求項4に記載の循環ころ軸受。
【請求項6】
前記接続部(23)は締結ナットと螺合する固定ネジとして設置され、前記接続部材(2)はその穿設方向に位置する両端にいずれも多角皿頭溝(24)が開設されており、前記接続部材(2)内に多角皿頭溝(24)に連通する通油溝(25)が開設されており、前記インナーキャリア(13)に循環案内通路(4)と通油溝(25)に連通する連通溝(132)が開設されている、ことを特徴とする請求項5に記載の循環ころ軸受。
【請求項7】
前記開口担持部(42)に位置する転動担持体(15)の径方向の最外側と伸縮フォークとの間の接触箇所に担持部位(5)が形成され、前記密封被覆部材(14)の開口担持部(42)に位置する両端に担持部位(5)より突出して設置された突出部(6)が設置されており、前記突出部(6)は弾性的に設置され且つ伸縮フォークの接触面との間に当接密封を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項8】
前記密封被覆部材(14)は環状構造に設置され、それは開口担持部(42)に対応する領域に担持溝口(141)が開設されており、前記担持溝口(141)は担持方向のみに前記密封被覆部材(14)を貫通する、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項9】
前記開口担持部(42)が2つ設置されており、2つの前記循環案内通路(4)は開口担持部(42)に位置して直線的に設置され、且つ当該直線的に設置された前記開口担持部(42)は伸縮フォークの伸縮方向と平行であり、前記転動担持体(15)は円筒ローラとして設置され、且つ前記円筒ローラの軸方向の両端に案内バンプ(151)が設置されており、前記フロントカバープレート(11)とリアカバープレート(12)が対向していずれも循環案内通路(4)の循環方向と同じである循環案内溝(121)が開設されており、前記円筒ローラの外周面とインナーキャリア(13)との間に転動係合が形成され、前記案内バンプ(151)と循環案内溝(121)との間に嵌設係合が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項10】
前記インナーキャリア(13)の外側壁に潤滑溝(133)が開設されており、前記潤滑溝(133)は密封部(41)に対応する領域に開設されており、前記潤滑溝(133)内に自己潤滑体(135)が配置されており、前記自己潤滑体(135)は弾性力の作用によって常に一部が潤滑溝(133)の外部に突出し、前記自己潤滑体(135)は潤滑油含有樹脂であり、そのうち潤滑油は樹脂粒子間の隙間に保持される、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軸受技術分野に関し、特に循環ころ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、倉庫物流業界では、自動倉庫の普及に伴い、高層倉庫ラックの使用はスペースの利用率を大幅に向上させ、倉庫とセットになる倉庫物流搬送ロボットシステムもますます重視されている。そのうち、スタッカは倉庫物流搬送ロボットシステムにおける重要なツールの1つであり、且つ伸縮フォークはスタッカの部品の1つであり、伸縮フォークの支持に用いられるころ軸受はその最も重要な部品であり、それによって伸縮フォークの担持及び伸縮フォークの運動における滑らかさの向上を実現させる。
【0003】
関連技術において、
図11に示すような軸受構造について、当該軸受は現在市場における伸縮フォークによく使用される支持作用を果たすローラ軸受であり、軸受内輪10、支持作用を果たす軸受外輪20及び軸受内輪10と軸受外輪20との間に設置される転動体30を含み、その取り付け構造は
図12に示すように、スタッカ又は伸縮フォーク付きの機器に固定的に取り付けられるメインフレーム40、ローラ軸受とメインフレーム40を順次穿設するボルト接続部材50及びボルト接続部材50に螺着される接続ナット60を含み、その配置方式は2つ又は3つが伸縮フォークの伸縮方向に沿って配置され、且つ隣接するローラ外径の間に1~2mm離れる。ここで、ローラ軸受の軸受外輪は直接支持輪として使用され、使用過程において、ローラ軸受内に伸縮フォークが衝撃荷重を受け、そのため、ローラ軸受の耐衝撃能力を向上させるために、ローラ軸受外輪の肉厚は従来の実体ニードル軸受又は円筒ころ軸受外輪の肉厚より50%以上増加し、さらにローラ軸受における転動体の定格動荷重が低く、負荷能力が低く、寿命が短いことを引き起こす。
【0004】
同時に、現在では伸縮フォークの負荷能力、輸送速度に対する要求がますます高くなるが、伸縮フォークの体積は常に軽量化の方向に向かって発展するため、伸縮フォークの構造及び占有する体積は大きく変更されず、即ちローラ軸受の取り付け空間は現在の軽量化の要求では増大することができず、ローラ軸受における転動体の体積を増大させることによってローラ軸受の耐用年数を向上させることができず、コストを軽減して効果を高める工業要求では、要求されるローラ軸受の耐用年数がますます長くなり、従来のローラ軸受は伸縮フォークの将来の発展要求を満たすことが困難であり、改善すべき点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
限られた取り付け空間内で、軸受の担持能力及び耐用年数を向上させるために、本願は循環ころ軸受を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の提供する循環ころ軸受は以下の技術的解決手段を採用する。
循環ころ軸受であって、フロントカバープレート、リアカバープレート、インナーキャリア、密封被覆部材及び転動担持体を含み、
前記フロントカバープレート、リアカバープレートはインナーキャリアの対向する両側に取り外し可能に取り付けられ、前記密封被覆部材はインナーキャリアの周側に周設され且つフロントカバープレートとリアカバープレートとの間に密封設置され、
前記フロントカバープレート、リアカバープレート、インナーキャリアと密封被覆部材との間に循環案内通路が形成され、前記循環案内通路は密封部及び開口担持部を含み、
前記転動担持体は複数設置され且ついずれも循環案内通路に充填され、いずれかの前記転動キャリアはいずれもインナーキャリアとの間に転動係合を形成し、且ついずれかの前記転動キャリアは循環案内通路の開口担持部を通過する時、伸縮フォークと転動係合を形成し、
さらにインナーキャリア、フロントカバープレート及びリアカバープレートをメインフレームに取り外し可能に固定する接続部材を含む。
【0007】
上記技術的解決手段を採用することにより、まずフロントカバープレートをインナーキャリアに取り付け、その後、フロントカバープレートを平面に置き、フロントカバープレートとインナーキャリアとの間に片側開口が上に向く循環案内通路が形成され、このとき、複数の転動担持体を片側開口の循環案内通路に配置し、続いて、リアカバープレートをインナーキャリアのフロントカバープレートから離れる側に取り付け、転動担持体の対向する両側をいずれもリミットし、続いて、密封被覆部材をフロントカバープレートとリアカバープレートとの間に周設して密封取り付け、さらに循環案内通路を形成し、且つ転動担持体を循環案内通路に充填し、最後に接続部材を利用してインナーキャリア、フロントカバープレートとリアカバープレートをメインフレームに取り付け、使用時、当該循環案内通路の開口担持部を利用し、開口担持部を通過する転動担持体をいずれも露出状態にさせ、伸縮フォークと転動係合を形成することができる。
【0008】
従来の密封付きのニードルローラ軸受に比べ、転動輪として用いられる外輪構造をキャンセルし、直接転動担持体で荷重を受け、そのため、本発明に用いられる転動担持体の直径Dwは必ず従来の密封付きのニードルローラ軸受に用いられるニードルの直径Dwより大きく、2倍以上に達する可能性があり、そのためラジアルころ軸受の定格動荷重式Cr=bmfc(iLwecosα)7/9Z3/4Dw29/27に基づき、本発明の定格動荷重は従来の密封付きのニードルローラ軸受の定格動荷重より大きく、1倍以上に向上する可能性もあり、且つラジアルころ軸受の基本的な定格寿命式L10=(C_r/p_r )10/3に基づき、本発明の定格疲労寿命も従来の同規格の密封付きのニードルローラ軸受より大きく、10倍以上に向上する可能性があり、メンテナンス周期を大幅に延長することができ、メンテナンスコストを低減させ、即ち、元の構造のサイズの単純な増加はなく、その担持力及び耐用年数を増加し、且つ全体的なサイズ構造は外輪構造を有するローラ軸受と比べて増加せず、現在の軽量化発展に適用することができる。
【0009】
同時に、本発明において複数の転動担持体を採用して平均的に外部荷重を受け、そのため伸縮フォーク及びスタッカの対応するメインフレーム上の接触応力は元の50%未満だけであり、そのため、伸縮フォーク及びスタッカの対応するメインフレームの耐用年数を8倍以上延長することができ、また、伸縮フォーク及びスタッカなどの機器が同じ荷重を受ける条件で、本発明はより小さい規格を有し、それにより伸縮フォーク及びスタッカなどの機器もより小さくてよりコンパクトになり、その軽量化の発展を満たす。
【0010】
好ましくは、前記接続部材はフロントカバープレート、インナーキャリア及びリアカバープレートを順次穿設し、且つ前記接続部材の穿設端にメインフレームと取り外し可能な接続を形成する接続部が設置され、前記接続部材の穿設端から離れる端部はインナーキャリアとの間にストッパ当接係合を形成する。
【0011】
上記技術的解決手段を採用することにより、接続部材がフロントカバープレート、インナーキャリア及びリアカバープレートを順次穿設する方式を利用し、且つ接続部材とフロントカバープレートとの間のリミット当接係合を利用し、一方、全体構造をメインフレームに固定して取り付けやすく、他方、このような穿設された取り付け方式は、フロントカバープレートとインナーキャリアとの間の取り付けの締結性をさらに向上させることができる。
【0012】
好ましくは、前記フロントカバープレートに第1穿設孔が開設されており、前記インナーキャリアとリアカバープレートに第2穿設孔が開設されており、且つ前記第1穿設孔の孔径は第2穿設孔より大きく、前記接続部材の穿設端から離れる端部に第1穿設孔と嵌設係合を形成するリミットバンプが設置されており、且つ当該前記リミットバンプはインナーキャリアのフロントカバープレートに近い側に当接する。
【0013】
上記技術的解決手段を採用することにより、フロントカバープレートにおける第1穿設孔とインナーキャリアにおける第2穿設孔が皿頭孔を形成するようにし、さらに第1穿設孔を利用して接続部材におけるリミットバンプを隠すことができ、取り付け空間を節約し、また、リミットバンプを利用してインナーキャリアとの間のリミット当接を実現し、インナーキャリアとフロントカバープレートとの間の取り付け締結性という目的を実現する。
【0014】
好ましくは、前記接続部は締結ナットと螺合する固定ネジとして設置され、前記接続部材はその穿設方向に位置する両端にいずれも多角皿頭溝が開設されている。
【0015】
上記技術的解決手段を採用することにより、接続部を固定ネジとして設置し、さらに実際に取り付ける時、締結ナットと合わせて接続部材とメインフレームとの間の取り付けを実現することができ、また、実際に取り外す時、接続部材内部の多角皿頭溝を利用し、インナーレンチと係合し、接続部材の取り外し可能性を実現し、さらに接続部材とメインフレームとの間の取り外し可能な取り付けを実現することができる。
【0016】
好ましくは、前記接続部材内に多角皿頭溝に連通する通油溝が開設されており、前記インナーキャリアに循環案内通路と通油溝に連通する連通溝が開設されている。
【0017】
上記技術的解決手段を採用することにより、実際に使用する場合、循環案内通路に循環転動する転動担持体の円滑性を向上させるために、通油溝内に潤滑グリースを注入することにより、潤滑グリースは通油溝と連通溝から循環案内通路に入り、転動担持体に対して潤滑作用を果たすことができる。
【0018】
好ましくは、前記開口担持部に位置する転動担持体の径方向の最外側と伸縮フォークとの間の接触箇所に担持部位が形成され、前記密封被覆部材の開口担持部に位置する両端に担持部位より突出して設置された突出部が設置されており、前記突出部は弾性的に設置され且つ伸縮フォークの接触面との間に当接密封を形成する。
【0019】
上記技術的解決手段を採用することにより、密封被覆部材が開口担持部の両端に位置する高さを転動担持体の担持部位より高く設置し、且つその自身の弾性を利用し、伸縮フォークの接触面との間の当接密封を実現し、一方、外部塵埃と水気などが循環案内通路に入ることを回避し、他方、スクレーパの役割を果たし、潤滑グリースが伸縮フォークの移動に伴い、循環案内通路の外に持ち出されることを回避し、転動担持体に対する潤滑効率を保証する。
【0020】
好ましくは、前記転動担持体は円筒ローラとして設置され、且つ前記円筒ローラの軸方向の両端に案内バンプが設置されており、前記フロントカバープレートとリアカバープレートが対向していずれも循環案内通路の循環方向と同じである循環案内溝が開設されており、前記円筒ローラの外周面とインナーキャリアとの間に転動係合が形成され、前記案内バンプと循環案内溝との間に嵌設係合が形成される。
【0021】
上記技術的解決手段を採用することにより、円筒ローラを利用してその担持面積を大幅に向上させ、且つ案内バンプと循環案内溝との間の嵌設係合を利用し、循環案内通路における円筒ローラの循環運動の安定性を大幅に向上させる。
【0022】
好ましくは、前記接続部材は少なくとも2つ設置されており、且つ2つの前記接続部材は伸縮フォークの伸縮方向に沿って間隔をおいて設置される。
【0023】
上記技術的解決手段を採用することにより、接続部材を少なくとも2つ設置し、さらにフロントカバープレート、インナーキャリア及びリアカバープレートがメインフレームに取り付けられる安定性を向上させる。
【0024】
好ましくは、前記接続部材が1つ設置されており、且つ前記接続部材は円軸体に設置される。
【0025】
上記技術的解決手段を採用することにより、接続部材を1つに設置し、同時にそれを円軸体に設置し、互いに固定接続されたフロントカバープレート、インナーキャリア及びリアカバープレートの全体を接続部材に対して回転させることができ、さらに開口担持部と伸縮フォークの接触面との間の角度を調整しやすく、開口担持部と伸縮フォークとの間の貼り合わせ度を保証することに役立つ。
【0026】
好ましくは、前記循環案内通路は開口担持部に位置して直線的に設置され、且つ当該直線的に設置された前記開口担持部は伸縮フォークの伸縮方向と平行になる。
【0027】
上記技術的解決手段を採用することにより、循環案内通路を開口担持部に直線的に設置し、且つ当該直線的に設置された開口担持部は伸縮フォークの伸縮方向と平行であり、即ち当該軸受構造の伸縮フォークに対する担持面積を大幅に向上させ、さらに全体の耐荷能力及び耐用年数を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本願は以下の少なくとも1つの有益な技術的効果を含む。
1.本願の転動担持体の直径は従来のローラ軸受のニードル直径より大きく、従来の同規格のニードルローラ軸受の定格疲労寿命より10倍以上向上され、メンテナンス周期を大幅に延長し、メンテナンスコストを低減する。
2.本願の循環ころ軸受を用いて、作業者が2つの軸受本体の真直度を調整するために他の部品を追加する必要がなく、コストを削減し且つ全体的な取り付け調整を容易にし、当該軸受の平均力受けを実現し、その耐用年数の延長に役立つ。
3.本願は複数の転動担持体を採用して外部荷重を平均に受け、受けた接触応力を大幅に低減させ、且つより小さい体積規格を有し、現在の軽量化の発展要求を満たす。
4.密封被覆部材の設置により、一方、転動担持体に対するリミット作用を果たし、他方、開口担持部の両端に弾性的に設置された突出部位は、伸縮フォークとの間の緊密な当接係合を実現し、外部塵埃と水気などが循環案内通路に入ることを回避することができ、また循環案内通路内の潤滑グリースが循環案内通路から横漏れすることを回避することができ、潤滑グリースの使用量を減少させ、潤滑グリースを利用する利用率を高める。
5.本願は担持及び耐用年数を向上させると同時に、全体寸法規格を大幅に減少し、材料コストを低減し、全体重量を軽減する。
6.潤滑グリースを利用し、一方では潤滑機能を果たし、他方では、騒音低減機能を果たし、軸受の平滑運転を実現すると同時に、無騒音運転の実現にも役立つ。
7.インナーキャリアの設置を利用し、全体構造の剛性及び経済性を向上させ、さらに剛性を増大させることにより、軸受システム全体の耐用年数を延長する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願の実施例1が主に循環ころ軸受の全体構造を示す軸測概略図である。
【
図2】本願の実施例1が主に循環ころ軸受構造を示す爆発概略図である。
【
図3】本願の実施例1が主にフロントカバープレート、インナーキャリアとリアカバープレートとの間に形成する収納空間を示す構造概略図である。
【
図4】本願の実施例1が主に循環ころ軸受構造を示す断面図である。
【
図5】本願の実施例2が主に循環ころ軸受構造を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施例3が主に循環ころ軸受構造を示す爆発概略図である。
【
図7】本願の実施例3が主に循環ころ軸受構造を示す断面図である。
【
図8】本願の実施例が主に伸縮フォーク用支持構造の全体構造を示す断面図である。
【
図9】本願の実施例が主に伸縮フォーク用支持構造の全体組み立てを示す概略図である。
【
図10】本願の実施例が主に関連技術においてローラ軸受を用いて形成された支持構造を示す概略図である。
【
図11】関連技術における軸受構造の断面概略図である。
【
図12】関連技術における軸受構造とメインフレームとの間の取り付け構造概略図である。
【
図13】本願の実施例4が主に循環ころ軸受構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は
図1~
図13を参照しながら本願をさらに詳細に説明する。
【0031】
本願の実施例は循環ころ軸受を開示する。
実施例1
【0032】
図1及び
図2を参照し、循環ころ軸受は軸受本体1及び接続部材2を含み、接続部材2は軸受本体1と取り外し可能な接続を形成し、且つ接続部材2はスタッカ又は他の伸縮フォーク構造を備える機械又は機器におけるメインフレームと取り外し可能な固定接続を形成し、当該メインフレームはスタッカ又は他の機械又は機器に固設されるフレーム構造である。接続部材2を用いて軸受本体1をスタッカ又は他の伸縮フォーク構造を有する機械又は機器上のメインフレームに取り外し可能に固定することができる。
【0033】
図2及び
図3を参照し、軸受本体1はフロントカバープレート11、リアカバープレート12、インナーキャリア13及び密封被覆部材14を含み、フロントカバープレート11及びリアカバープレート12は締結ネジを利用してそれぞれインナーキャリア13の対向する両側即ち厚さ方向の両側に取り外し可能に取り付けられ、フロントカバープレート11とリアカバープレート12の面積は同じであり且ついずれもインナーキャリア13の厚さ方向の側面積より大きく、且つフロントカバープレート11とリアカバープレート12の対向する両側面とインナーキャリア13の外縁面との間に転動担持体15を収納するための収納空間3が形成される。
【0034】
図3及び
図4を参照し、密封被覆部材14は金属又はゴムなどの材質で製造され、当該密封被覆部材14はフロントカバープレート11とリアカバープレート12の外縁軌跡に沿ってインナーキャリア13の周側に周設され、且つ該密封被覆部材14の両側はシーラントによってフロントカバープレート11とリアカバープレート12との間の外縁に密封設置され、即ち、当該密封被覆部材14は収納空間3の周側に周設され、フロントカバープレート11、リアカバープレート12とインナーキャリア13との間の収納空間3と密封被覆部材14との間に循環案内通路4を形成させ、当該循環案内通路4は密封部41及び開口担持部42を含む。
【0035】
図2及び
図4を参照し、軸受本体1はさらに転動担持体15を含み、転動担持体15は複数設置され、且ついずれも循環案内通路4に充填され、本願の実施例において、いずれかの転動担持体15はいずれも円筒ローラとして設けられ、且ついずれかの転動担持体15の軸方向の両端にいずれも案内バンプ151が一体成形され、それに応じて、フロントカバープレート11とリアカバープレート12の互いに近接する一側に循環案内通路4の循環方向と同じである循環案内溝121が開設されており、いずれかの円筒ローラの外周面はインナーキャリア13の厚さ方向と直交する側壁と転動係合を形成し、且ついずれかの円筒ローラの軸方向両端の案内バンプ151がそれぞれフロントカバープレート11とリアカバープレート12における循環案内溝121と嵌設係合を形成し、さらに循環案内通路4内での円筒ローラの運動の安定性を保証する。
【0036】
図1及び
図4を参照し、本願の実施例において、フロントカバープレート11、インナーキャリア13、リアカバープレート12及び循環案内通路4はいずれも類似台形状を呈して設置され、そのうち開口担持部42は類似台形状の長辺に設置され且つ伸縮フォークの伸縮方向と平行であり、即ち開口担持部42は直線的に設置され、その担持面積を増大させ、転動担持体15が循環案内通路4の開口担持部42に位置する場合、転動担持体15と伸縮フォークとの間に転動係合が形成され、同時に伸縮フォークを担持する役割を果たす。
【0037】
即ち転動担持体15を直接伸縮フォークと接触係合する担持部材とすることにより、従来技術に一般的に使用されるニードルローラ軸受に比べ、転動輪として使用される外輪構造をキャンセルし、したがって、本願の実施例における転動担持体15の直径Dwは従来のニードルローラ軸受に使用されるニードルの直径Dwより大きく、且つ2倍以上に達することができ、したがってラジアルころ軸受の定格動荷重式Cr=bmfc(iLwecosα)7/9Z3/4Dw29/27に基づき、本発明は従来の密封付きのニードルローラ軸受の定格動荷重に対して1倍以上向上させることができ、ラジアルころ軸受の基本的な定格寿命式L10=(C_r/p_r )10/3に基づき、本発明は従来の同規格の密封付きのニードルローラ軸受の定格疲労寿命に対して10倍以上向上させることができ、メンテナンス周期を大幅に延長し、メンテナンスコストを低減させることができる。
【0038】
同時に、本発明において複数の転動担持体15を採用して平均的に外部荷重を受け、そのため伸縮フォーク及びメインフレームの接触応力は元の50%未満だけであり、そのため、伸縮フォーク及びメインフレームの耐用年数を8倍以上延長することができ、また、伸縮フォーク及びスタッカは同じ荷重を受ける条件で、本発明はより小さい規格を有し、それにより伸縮フォーク及びスタッカもより小さくてコンパクトになり、その軽量化の発展を満たす。
【0039】
図2及び
図4を参照し、接続部材2は接続ボルトとして設置され即ち円軸体として設置され、当該接続ボルトはリミットバンプ21を含み、ボトル軸部22とメインフレームは取り外し可能に接続される接続部23を形成し、フロントカバープレート11は伸縮フォークの伸縮方向に沿って間隔をおいて2つの第1穿設孔111が開設されており、インナーキャリア13とリアカバープレート12は同様に伸縮フォークと平行になる伸縮方向に沿って間隔をおいて2つの第2穿設孔131が開設されており、そのうち、2つの第1穿設孔111と2つの第2穿設孔131は2つずつ対応し、且つ対応する第1穿設孔111と第2穿設孔131は同軸に設けられ、いずれかの第1穿設孔111と第2穿設孔131の軸線は伸縮フォークの伸縮方向と直交し、接続ボルトは2つ設置され、いずれか1つの接続ボルトの構造及び軸受本体1との接続方式はいずれも同じであるため、ここでそのうちの1つの接続ボルトと軸受本体1との接続方式を例として説明する。
【0040】
図2及び
図4を参照し、接続ボルトは接続部23によりフロントカバープレート11にある第1穿設孔111及びインナーキャリア13とリアカバープレート12にある第2穿設孔131を順次穿設し、且つ接続ボルトのリミットバンプ21はフロントカバープレート11にある第1穿設孔111と嵌設係合を形成し、即ち該箇所の第1穿設孔111と第2穿設孔131との間に皿頭孔を形成し、接続ボルトのリミットバンプ21はフロントカバープレート11に対するリミット機能を果たすだけでなく、さらにインナーキャリア13との間に当接係合を形成し、フロントカバープレート11とインナーキャリア13の固定に有利である。そのうち、インナーキャリア13とリアカバープレート12はいずれも接続ボルトのボトル軸部22の位置に位置する。
【0041】
図2を参照し、接続ボルト軸の接続部23は固定ネジとして設置され、且つ接続ボルトの軸方向の両端にいずれも多角皿頭溝24が開設されており、本願の実施例において、多角皿頭溝24は六角皿頭溝として設置され、六角レンチと係合して接続ボルトの軸方向の両端に固定ネジと締結ナットとの間のネジ接続を実現することができる。
【0042】
図2及び
図4を参照し、接続ボルト内に多角皿頭溝24に連通する通油溝25が開設されており、且つ通油溝25は接続ボルトの軸方向と平行になる第1油溝251及び第1油溝251に垂直に連通する第2油溝252を含み、インナーキャリア13に第2油溝252に対応する他の開口端に連通溝132が開設されており、当該連通溝132は循環案内通路4に連通し、且つ連通溝132の連通箇所は垂直に上向きに設置される。
【0043】
実際の使用において、作業者は注油機器によって通油溝25に潤滑グリースを注入し、グリースは第1油溝251から第2油溝252に注入され、循環案内通路4に入るまで注入し、転動担持体15に対して潤滑作用を果たす。
【0044】
他の実施例において、2つの接続ボルトの間の距離は使用状況に基づいて調整設置することができ、それによって異なる使用要求に適合する。
【0045】
図4を参照し、開口担持部42に位置する転動担持体15の径方向の最外側と伸縮フォークとの間の接触箇所に担持部位5が形成されるため、潤滑グリースが開口担持部42から溢れ出ることを防止するために、密封被覆部材14の開口担持部42に位置する両端に担持部位5より突出して設置された突出部6が設けられており、当該突出部6は弾性的に設置され且つ伸縮フォークの接触面と当接密封を形成し、当該密封被覆部材14の突出高さは1mmに設置され、それによって摩擦力による抵抗を防止し、また当接密封効果を高く達成することができる。本願の実施例の実施原理は以下のとおりである。
【0046】
実際の取り付け過程において、締結ネジを利用してまずフロントカバープレート11をインナーキャリア13に固定し、続いて、フロントカバープレート11を平面に横たわり、インナーキャリア13を上方に向け、続いて、対応する数の転動担持体15を1つずつフロントカバープレート11とインナーキャリア13との間に形成された収納空間3に置き、且つ各転動担持体15の案内バンプ151をフロントカバープレート11にある循環案内溝121に嵌設させる。
【0047】
その後、締結ネジを利用してリアカバープレート12をインナーキャリア13のフロントカバープレート11から離れる側に固定し、固定する過程において、転動担持体15の他端の案内バンプ151とリアカバープレート12にある循環案内溝121とが嵌設係合を形成するように保証する。
【0048】
続いて、シーラントを利用して密封被覆部材14をフロントカバープレート11とリアカバープレート12の外縁軌跡に沿ってフロントカバープレート11とリアカバープレート12との間に密封接続し、且つ開口担持部42と密封部41を形成し、そのうち、密封接続の過程で、開口担持部42がフロントカバープレート11とリアカバープレート12の長辺に位置することを保証する。
【0049】
最後に、2つの接続ボルトを軸受本体1の第1穿設孔111及び第2穿設孔131に順次穿設し、且つ2つの接続ボルトの固定ネジをメインフレームに貫通させ、且つ締結ナットのネジに合わせて接続し、軸受本体1をメインフレームに締結する。
実施例2
【0050】
図5を参照し、本実施例は実施例1に比べて主な違いは、
接続部材2は1つに設置され、即ち接続ボルトは1つに設置され、本願の実施例において、フロントカバープレート11、インナーキャリア13、リアカバープレート12と密封被覆部材14で形成された軸受本体1は二等辺三角形に設置され、且つ軸受本体1の開口担持部42は軸受本体1の底辺に設置されることにある。
【0051】
実際の取り付け過程において、軸受本体1は接続ボルトに対して回転することができ、且つ取り付け作業者と軸受本体1の開口担持部42の伸縮フォークの接触面に対する貼り合わせ度を調整する。軸受本体1を二等辺三角形に設置するため、調整過程において、軸受本体1は他の構造と衝突しにくい。そのため、実際の取り付け過程において、作業者は動作状況の需要に応じて、メインフレームに複数の本願の実施例における循環ころ軸受を対応して組み立て、複数の組み合わせを組み合わせて使用することを実現する。
実施例3
【0052】
上記実施例の技術的解決手段において、潤滑グリースはいずれも定期的に添加する必要があり、作業者が長時間にわたって潤滑グリースを補充しなければ、循環ころ軸受の正常運転に影響を与えやすい。そのため、
図6及び
図7を参照し、本実施例はインナーキャリア13の外側壁に潤滑溝133が開設されており、潤滑溝133内に自己潤滑体135が配置されている。転動担持体15が潤滑溝133を通過する時、潤滑溝133内の自己潤滑体135が掻き取られ、自己潤滑体135は転動担持体15の運動に伴って軸受本体1に対して潤滑の役割を果たす。
【0053】
潤滑溝133は密封部41に対応する領域に開設されている。好ましくは、潤滑溝133はインナーキャリア13の傾斜した表面の中央部に位置し、例えば、インナーキャリア13が台形に設置される場合、潤滑溝133は台形の両側面に開設され、インナーキャリア13が二等辺三角形に設置される場合、潤滑溝133は非担持側の両辺に設置される。
【0054】
潤滑溝133内にはさらに取り付け座134が設置されている。取り付け座134は締まり係合で潤滑溝133に取り付けられるプラスチック構造である。取り付け座134内に自己潤滑体135が取り付けられており、自己潤滑体135は、潤滑油含有樹脂であり、即ち潤滑油が樹脂粒子間の空隙に保持される。本実施例では、自己潤滑体135の一部が潤滑溝133の外部に延出し、自己潤滑体135下部の中間部分からくり抜かれ、自己潤滑体135はローラに押圧される時に取り付け座134内に弾性変形を生じることができ、自己潤滑体135の上側が常に潤滑溝133の外部に延出し且つ転動担持体15の表面に当接することを保証し、同時に自己潤滑体135の上側両端はテーパ面に設置され、転動担持体15が自己潤滑体135を介して潤滑グリースを掻き取りやすい。
【0055】
各転動担持体15は1回で掻き取る潤滑グリースが少ないため、本実施例における構造を使用すれば機器を使用する時に潤滑グリースを添加しないことを保証することができ、即ち当該構造を採用すれば、軸受はメンテナンスフリーである。
【0056】
密封効果をさらに向上させ、潤滑グリースの損失を減少させるために、密封被覆部材14を環状構造に設置することができ、それは開口担持部42に対応する領域に担持溝口141が開設されて担持溝口141が担持方向のみで密封被覆部材14を貫通する。密封被覆部材14はフロントカバープレート11及びリアカバープレート12との開口担持部42に対応する位置に密封当接することができる。
図6を参照し、担持溝口141は密封被覆部材14を垂直に貫通し、それにより密封被覆部材14は担持位置において部分的に転動担持体15の端部に当接して被覆され、潤滑グリースの外漏れを低減させる。同時に、この密封被覆部材14の加工がシンプルで、折り曲げと縁曲げなどの操作を必要としない。
実施例4
【0057】
図13を参照し、本実施例が実施例1と異なる点は、接続部材2が1つ設置されている点であるが、他の実施例においても2つ以上設置されていてもよいことは勿論である。本願の実施例において、フロントカバープレート11、インナーキャリア13、リアカバープレート12及び密封被覆部材14によって形成される軸受本体1は、略楕円形に設置され、循環案内通路4が円弧状に設置された密封部41と直線的に設置された2つの開口担持部42とを含むようになっている。密封被覆部材14は、実施例3と同様の環状構造として設置されている。本実施例では、担持溝口141は2つ開設されている。担持溝口141は、密封被覆部材14が担持位置において依然として転動担持体15の端部に部分的に当接被覆するように、密封被覆部材14を垂直方向に貫通している。
【0058】
本願の実施例はさらに伸縮フォーク用支持構造を開示する。
【0059】
図8及び
図9を参照し、伸縮フォーク用支持構造は上記出願の実施例におけるメインフレーム7及び2つの上記出願の実施例2に開示された循環ころ軸受を含み、且つ2つの循環ころ軸受は伸縮フォークと平行になる伸縮方向に沿ってメインフレーム7に間隔をおいて取り付けられる。
【0060】
図8及び
図9を参照し、実際の取り付け過程において、軸受本体1を組み立てた後、接続ボルトを軸受本体1に穿設し、続いてメインフレーム7を穿設し、且つ接続ボルトのネジ部に締結ネジと係合して軸受本体1をメインフレーム7に固定し、しかし、締結ナットを締め付ける前に、作業者は軸受本体1を相対的に回転することができ、それによって当該軸受本体1における開口担持部42と伸縮フォークの接触面との間の貼り合わせ度を調整し、又はまず1つの軸受本体1を予め固定することができ、もう1つの軸受本体1がもう1つの接続ボルトに固定される時、2点で1本の直線を決定するため、伸縮フォークに担持作用を果たすと同時に、回転の方式によって2つの軸受本体1の伸縮フォークの接触面に対する貼り合わせ度をそれぞれ調整することができる。
【0061】
図10を参照すると、関連技術におけるローラ軸受をメインフレーム7に取り付けて支持構造を形成し、関連技術におけるローラ軸受は単軸設置であるが、当該支持構造の担持強度を向上させるために、ローラ軸受の取り付け数を増加することによって実現する必要がある。実際の使用において、当該支持構造は本願の実施例に比べ、同じ荷重を受ける場合、当該支持構造上のローラ軸受は少なくとも3つ取り付ける必要があり、ローラ軸受の取り付け数が2つより大きいと、取り付け過程において、各ローラ軸受がいずれも担持機能を果たすことを実現するために、作業者はより多くの時間をかける必要があり、3番目のローラ軸受の他の2つのローラ軸受に相当する位置を調整し、さらに全体の取り付け調整時間を増加する。
【0062】
本願の実施例を採用すれば、作業者が他の2つの軸受本体1の真直度を調整するための部品を追加する必要がなく、コストを低減し及び全体の取り付け調整を容易にし、当該軸受の平均力受けを実現し、その耐用年数の向上に役立つ。
【0063】
以上はいずれも本願の好ましい実施例であり、これにより本願の保護範囲を限定するものではなく、そのため、本願の構造、形状、原理に基づいて行われる等価変化は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0064】
1...軸受本体、11...フロントカバープレート、111...第1穿設孔、12...リアカバープレート、121...循環案内溝、13...インナーキャリア、131...第2穿設孔、132...連通溝、133...潤滑溝、134...取り付け座、135...自己潤滑体、14...密封被覆部材、141...担持溝口、15...転動担持体、151...案内バンプ、2...接続部材、21...リミットバンプ、22...ボトル軸部、23...接続部、24...多角皿頭溝、25...通油溝、251...第1油溝、252...第2油溝、3...収納空間、4...循環案内通路、41...密封部、42...開口担持部、5...担持部位、6...突出部、7...メインフレーム。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環ころ軸受であって、フロントカバープレート(11)、リアカバープレート(12)、インナーキャリア(13)、密封被覆部材(14)及び転動担持体(15)を含み、
前記フロントカバープレート(11)、リアカバープレート(12)はインナーキャリア(13)の対向する両側に取り外し可能に取り付けられ、前記密封被覆部材(14)はインナーキャリア(13)の周側に周設され且つフロントカバープレート(11)とリアカバープレート(12)との間に密封設置され、
前記フロントカバープレート(11)、リアカバープレート(12)、インナーキャリア(13)と密封被覆部材(14)との間に循環案内通路(4)が形成されており、前記循環案内通路(4)は密封部(41)及び開口担持部(42)を含み、
前記転動担持体(15)は複数設置され且ついずれも循環案内通路(4)に充填され、いずれかの前記転動担持体(15)はいずれもインナーキャリア(13)との間に転動係合を形成し、且ついずれかの前記転動担持体(15)は循環案内通路(4)の開口担持部(42)を通過する時、伸縮フォークと転動係合を形成し、
さらにインナーキャリア(13)、フロントカバープレート(11)及びリアカバープレート(12)をメインフレームに取り外し可能に固定する接続部材(2)を含み、
前記接続部材(2)はフロントカバープレート(11)、インナーキャリア(13)及びリアカバープレート(12)を順次穿設し、且つ前記接続部材(2)の穿設端にメインフレーム(7)と取り外し可能な接続を形成する接続部(23)が設置され、前記接続部材(2)の穿設端から離れる端部はインナーキャリア(13)との間にリミット当接係合を形成する、ことを特徴とする循環ころ軸受。
【請求項2】
前記インナーキャリア(13)は、開口担持部(42)に向かう側の長さが開口担持部(42)から離れる側の長さより長く、前記インナーキャリア(13)の断面が三角形又は台形である、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項3】
前記フロントカバープレート(11)に第1穿設孔(111)が開設されており、前記インナーキャリア(13)とリアカバープレート(12)に第2穿設孔(131)が開設されており、且つ前記第1穿設孔(111)の孔径は第2穿設孔(131)より大きく、前記接続部材(2)の穿設端から離れる端部に第1穿設孔(111)と嵌設係合を形成するリミットバンプ(21)が設置されており、且つ当該前記リミットバンプ(21)はインナーキャリア(13)のフロントカバープレート(11)に近い側に当接する、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項4】
前記接続部材(2)はさらにボトル軸部(22)を含み、前記ボトル軸部(22)はリミットバンプ(21)と接続部(23)との間に位置し、前記ボトル軸部(22)は第2穿設孔(131)に穿設されている、ことを特徴とする請求項3に記載の循環ころ軸受。
【請求項5】
前記接続部(23)は締結ナットと螺合する固定ネジとして設置され、前記接続部材(2)はその穿設方向に位置する両端にいずれも多角皿頭溝(24)が開設されており、前記接続部材(2)内に多角皿頭溝(24)に連通する通油溝(25)が開設されており、前記インナーキャリア(13)に循環案内通路(4)と通油溝(25)に連通する連通溝(132)が開設されている、ことを特徴とする請求項4に記載の循環ころ軸受。
【請求項6】
前記開口担持部(42)に位置する転動担持体(15)の径方向の最外側と伸縮フォークとの間の接触箇所に担持部位(5)が形成され、前記密封被覆部材(14)の開口担持部(42)に位置する両端に担持部位(5)より突出して設置された突出部(6)が設置されており、前記突出部(6)は弾性的に設置され且つ伸縮フォークの接触面との間に当接密封を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項7】
前記密封被覆部材(14)は環状構造に設置され、それは開口担持部(42)に対応する領域に担持溝口(141)が開設されており、前記担持溝口(141)は担持方向のみに前記密封被覆部材(14)を貫通する、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項8】
前記開口担持部(42)が2つ設置されており、2つの前記循環案内通路(4)は開口担持部(42)に位置して直線的に設置され、且つ当該直線的に設置された前記開口担持部(42)は伸縮フォークの伸縮方向と平行であり、前記転動担持体(15)は円筒ローラとして設置され、且つ前記円筒ローラの軸方向の両端に案内バンプ(151)が設置されており、前記フロントカバープレート(11)とリアカバープレート(12)が対向していずれも循環案内通路(4)の循環方向と同じである循環案内溝(121)が開設されており、前記円筒ローラの外周面とインナーキャリア(13)との間に転動係合が形成され、前記案内バンプ(151)と循環案内溝(121)との間に嵌設係合が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。
【請求項9】
前記インナーキャリア(13)の外側壁に潤滑溝(133)が開設されており、前記潤滑溝(133)は密封部(41)に対応する領域に開設されており、前記潤滑溝(133)内に自己潤滑体(135)が配置されており、前記自己潤滑体(135)は弾性力の作用によって常に一部が潤滑溝(133)の外部に突出し、前記自己潤滑体(135)は潤滑油含有樹脂であり、そのうち潤滑油は樹脂粒子間の隙間に保持される、ことを特徴とする請求項1に記載の循環ころ軸受。