(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007555
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】位相差層付偏光板およびそれを用いた画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240111BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240111BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240111BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240111BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20240111BHJP
G02F 1/1335 20060101ALN20240111BHJP
G02F 1/13363 20060101ALN20240111BHJP
【FI】
G02B5/30
H05B33/14 Z
H10K59/10
H10K50/10
H10K50/86
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023163333
(22)【出願日】2023-09-26
(62)【分割の表示】P 2018226556の分割
【原出願日】2018-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 由紀
(72)【発明者】
【氏名】山崎 達也
(57)【要約】
【課題】液晶化合物の配向固化層を有し、当該液晶化合物の配向固化層の剥離が抑制された位相差層付偏光板を提供すること
【解決手段】本発明の位相差層付偏光板は、偏光子と偏光子の少なくとも一方の側に保護層とを含む偏光板と;偏光板に第1の接着剤層を介して積層された位相差層と;を有する。位相差層は液晶化合物の配向固化層であり、第1の接着剤層との界面近傍に第1の接着剤層の接着剤が浸透して形成された浸透層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と該偏光子の少なくとも一方の側に保護層とを含む偏光板と、該偏光板に第1の接着剤層を介して積層された位相差層と、を有し
該位相差層が液晶化合物の配向固化層であり、該第1の接着剤層との界面近傍に該第1の接着剤層の接着剤が浸透して形成された浸透層を含む、
位相差層付偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差層付偏光板およびそれを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置には、代表的には偏光板および位相差板が用いられている。実用的には、偏光板と位相差板とを一体化した位相差層付偏光板が広く用いられているところ(例えば、特許文献1)、最近、画像表示装置の薄型化への要望が強くなるに伴って、位相差層付偏光板についても薄型化の要望が強まっている。このような要望に対応すべく、位相差層として液晶化合物を所定の方向に配向させて、当該配向状態を固定して形成された層が提案されている。しかし、このような液晶化合物で形成された層は剥離しやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、液晶化合物の配向固化層を有し、当該液晶化合物の配向固化層の剥離が抑制された位相差層付偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の位相差層付偏光板は、偏光子と該偏光子の少なくとも一方の側に保護層とを含む偏光板と;該偏光板に第1の接着剤層を介して積層された位相差層と;を有する。該位相差層は液晶化合物の配向固化層であり、該第1の接着剤層との界面近傍に該第1の接着剤層の接着剤が浸透して形成された浸透層を含む。
1つの実施形態においては、上記偏光板は、上記偏光子と該偏光子の上記位相差層と反対側に配置された保護層とを含む。
別の実施形態においては、上記偏光板は、上記偏光子と該偏光子の両側に配置された保護層とを含む。この場合、上記偏光子の上記位相差層側に配置された保護層は、該第1の接着剤層との界面近傍に該第1の接着剤層の接着剤が浸透して形成された浸透層を含んでいてもよい。
1つの実施形態においては、上記位相差層は液晶化合物の配向固化層の単一層であり、該位相差層のRe(550)は100nm~190nmであり、該位相差層の遅相軸と上記偏光子の吸収軸とのなす角度が40°~50°である。
別の実施形態においては、上記位相差層は、第1の液晶化合物の配向固化層と、該第1の液晶化合物の配向固化層に第2の接着剤層を介して積層された第2の液晶化合物の配向固化層とを有し;該第1の液晶化合物の配向固化層および該第2の液晶化合物の配向固化層はそれぞれ、該第2の接着剤層との界面近傍に該第2の接着剤層の接着剤が浸透して形成された浸透層を含む。該第1の液晶化合物の配向固化層のRe(550)は200nm~300nmであり、その遅相軸と前記偏光子の吸収軸とのなす角度は10°~20°であり;該第2の液晶化合物の配向固化層のRe(550)は100nm~190nmであり、その遅相軸と該偏光子の吸収軸とのなす角度は70°~80°である。
1つの実施形態においては、上記第1および第2の接着剤層の接着剤はそれぞれ、アクリロイルモルホリンを含む。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、上記位相差層の外側に別の位相差層をさらに有し、該別の位相差層の屈折率特性はnz>nx=nyの関係を示す。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の位相差層付偏光板を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液晶化合物の配向固化層を有する位相差層付偏光板において、当該液晶化合物の配向固化層における隣接する接着剤層との界面近傍に当該接着剤層の接着剤が浸透して形成された浸透層を設けることにより、液晶化合物の配向固化層の剥離が抑制された位相差層付偏光板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。
【
図4】実施例1の位相差層付偏光板における接着剤層と位相差層との界面の状態を示す透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。
【
図5】比較例1の位相差層付偏光板における接着剤層と位相差層との界面の状態を示すTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0009】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
(6)配向固化層
「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。「配向固化層」は、後述のように液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。
(7)(メタ)アクリル
「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/メタクリルをいう。
【0010】
A.位相差層付偏光板の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。図示例の位相差層付偏光板100は、偏光板10と、偏光板10に第1の接着剤層31を介して積層された位相差層20と、を有する。偏光板は、代表的には、偏光子と該偏光子の少なくとも一方の側に配置された保護層とを含む。図示例の偏光板10は、偏光子11と、偏光子11の一方の側(位相差層と反対側)に配置された第1の保護層12とを含む。本発明の実施形態においては、位相差層20は液晶化合物の配向固化層であり、第1の接着剤層31との界面近傍に第1の接着剤層31の接着剤が浸透して形成された浸透層20aを含む。このような浸透層を設けることにより、位相差層(液晶化合物の配向固化層)の剥離が顕著に抑制され得る。さらに、本実施形態のように偏光子11に第1の接着剤層31を直接設けることにより、位相差層(液晶化合物の配向固化層)の剥離が特に顕著に抑制され得る。本実施形態の構成によれば、例えば、第1の接着剤層と液晶化合物の配向固化層との剥離強度が非常に大きくなり、通常の剥離操作では第1の接着剤層と液晶化合物の配向固化層とは剥離せず、かつ、他の層間剥離(例えば、偏光子と第1の接着剤層との剥離)も防止することができる。
【0011】
図2は、本発明の別の実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。図示例の位相差層付偏光板101においては、偏光板10は、偏光子11と、偏光子11の一方の側(位相差層と反対側)に配置された第1の保護層12と、偏光子11のもう一方の側(位相差層側)に配置された第2の保護層13とを含む。この実施形態においては、第2の保護層13は、第1の接着剤層31との界面近傍に第1の接着剤層31の接着剤が浸透して形成された浸透層13aを含んでいてもよい。浸透層13aを設けることにより、例えば、第1の接着剤層と液晶化合物の配向固化層との剥離を防止し、かつ、第1の接着剤層と第2の保護層との剥離強度を大きくすることができる。なお、浸透層13aは任意であり、第2の保護層13に形成されてもよく形成されなくてもよい。
【0012】
位相差層20は、上記のとおり液晶化合物の配向固化層である。位相差層20は
図1および
図2に示すような配向固化層の単一層であってもよく、
図3に示すような第1の配向固化層21と第2の配向固化層22との積層構造を有していてもよい。
図3に示す実施形態においては、第1の配向固化層21と第2の配向固化層22とは、第2の接着剤層32を介して積層されている。この場合、第1の配向固化層21は、第2の接着剤層32との界面近傍に第2の接着剤層32の接着剤が浸透して形成された浸透層21aを含み;第2の配向固化層22は、第2の接着剤層32との界面近傍に第2の接着剤層32の接着剤が浸透して形成された浸透層22aを含む。この実施形態においては、第2の接着剤層と第1の配向固化層21および第2の配向固化層22との剥離が特に顕著に抑制され得る。例えば、通常の剥離操作では第2の接着剤層と第1の配向固化層21および第2の配向固化層22とは剥離せず、第2の接着剤層の凝集破壊が起こり得る。なお、本発明の実施形態においては、位相差層20の第1の接着剤層31との界面近傍に第1の接着剤層31の接着剤が浸透して形成された浸透層20a(本実施形態においては21a)が形成されていればよい。したがって、第1の配向固化層21と第2の配向固化層22とは、例えば粘着剤層を介して積層されていてもよい。
【0013】
上記のとおり、浸透層は、接着剤層の接着剤が浸透して形成されている。具体的には、浸透層20a、21aおよび22aはそれぞれ、液晶化合物の配向固化層20、21および22において接着剤成分が存在している部分であり;浸透層13aは、第2の保護層13において接着剤成分が存在している部分である。浸透層の詳細な構造は明確ではないが、浸透した接着剤(実質的には、硬化前の硬化成分)の分子と配向固化層の液晶分子または第2の保護層を構成する樹脂分子との絡み合い(場合によっては、反応による化学結合)が形成され、そのことにより剥離が抑制されると推定される。さらに、浸透層が形成されることにより、界面反射が抑制され、結果として表示ムラを抑制することができる。
【0014】
浸透層の厚みは、好ましくは5nm~100nmであり、より好ましくは10nm~50nmである。液晶化合物の配向固化層の厚みに対する浸透層の厚みの比率(浸透層/配向固化層)は、好ましくは0.2%~20%であり、より好ましくは0.2%~10%である。浸透層の厚みおよび厚みの比率がこのような範囲であれば、剥離を良好に抑制し、かつ、表示ムラを良好に抑制することができる。浸透層の厚みが大きくなりすぎると、浸透層および/または接着剤層が脆くなり、かえって剥離しやすくなる場合がある。なお、浸透層の厚みは、位相差層付偏光板の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)画像から測定することができる。
【0015】
第1の接着剤層31と液晶化合物の配向固化層20との剥離強度は、好ましくは0.7N/15mm以上であり、より好ましくは1.0N/15mm以上であり、さらに好ましくは1.5N/15mm以上である。当該剥離強度の上限は規定困難である。第1の接着剤層31と液晶化合物の配向固化層20とが剥離する前に、第1の接着剤層の凝集破壊あるいは第1の接着剤層と偏光板(代表的には、第2の保護層)との層間剥離が起こるからである。第2の接着剤層32と第1の配向固化層21および第2の配向固化層22との剥離強度も同様である。なお、剥離強度は、例えば剥離角度90°および剥離速度300mm/分で測定され得る。
【0016】
上記の実施形態は適宜組み合わせてもよく、上記の実施形態における構成要素に当業界で自明の改変を加えてもよい。例えば、
図3の位相差層付偏光板の偏光板に、
図2に示すような第2の保護層が設けられてもよく;
図2の位相差層付偏光板の位相差層が、
図3に示すような第1の配向固化層21と第2の配向固化層22との積層構造を有していてもよく;
図1~
図3の位相差層付偏光板の位相差層は、液晶化合物の配向固化層であれば、光学的に等価な構成で置き換えられてもよい。
【0017】
本発明の実施形態による位相差層付偏光板は、その他の光学機能層をさらに含んでいてもよい。例えば、位相差層付偏光板は、別の位相差層ならびに/あるいは導電層または導電層付等方性基材をさらに有していてもよい(いずれも図示せず)。別の位相差層ならびに導電層または導電層付等方性基材は、代表的には、位相差層20の外側(偏光板10と反対側)に設けられる。別の位相差層は、代表的には、屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す。このような別の位相差層は、例えば、位相差層20が配向固化層の単一層である場合に設けられ得る。別の位相差層ならびに導電層または導電層付等方性基材は、代表的には、位相差層20側からこの順に設けられる。別の位相差層ならびに導電層または導電層付等方性基材は、代表的には、必要に応じて設けられる任意の層であり、いずれか一方または両方が省略されてもよい。なお、導電層または導電層付等方性基材が設けられる場合、位相差層付偏光板は、画像表示セル(例えば、有機ELセル)と偏光板との間にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置に適用され得る。位相差層付偏光板に設けられ得る光学機能層の種類、特性、数、組み合わせ、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0018】
本発明の位相差層付偏光板は、枚葉状であってもよく長尺状であってもよい。本明細書において「長尺状」とは、幅に対して長さが十分に長い細長形状を意味し、例えば、幅に対して長さが10倍以上、好ましくは20倍以上の細長形状を含む。長尺状の位相差層付偏光板は、代表的にはロール状に巻回可能である。
【0019】
実用的には、位相差層の偏光板と反対側には最外層として粘着剤層(図示せず)が設けられ、位相差層付偏光板は画像表示セルに貼り付け可能とされている。さらに、粘着剤層の表面には、位相差層付偏光板が使用に供されるまで、剥離フィルムが仮着されていることが好ましい。剥離フィルムを仮着することにより、粘着剤層を保護するとともに、位相差層付偏光板のロール形成が可能となる。
【0020】
位相差層付偏光板の総厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下であり、特に好ましくは55μm以下である。総厚みの下限は、例えば28μmであり得る。本発明の実施形態によれば、このようにきわめて薄い位相差層付偏光板を実現することができる。このような位相差層付偏光板は、きわめて優れた可撓性および折り曲げ耐久性を有し得る。このような位相差層付偏光板は、湾曲した画像表示装置および/または屈曲もしくは折り曲げ可能な画像表示装置に特に好適に適用され得る。なお、位相差層付偏光板の総厚みとは、粘着剤層を除き、位相差層付偏光板を構成するすべての層の厚みの合計をいう。
【0021】
以下、位相差層付偏光板の構成要素について、より詳細に説明する。
【0022】
B.偏光板
B-1.偏光子
偏光子11としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0023】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
【0024】
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0025】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0026】
偏光子の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは1μm~12μmであり、さらに好ましくは3μm~12μmであり、特に好ましくは3μm~8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
【0027】
偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、上記のとおり43.0%~46.0%であり、好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0028】
B-2.保護層
第1の保護層12および第2の保護層13は、それぞれ、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0029】
本発明の実施形態による位相差層付偏光板は、後述するように代表的には画像表示装置の視認側に配置され、第1の保護層12は、代表的にはその視認側に配置される。したがって、第1の保護層12には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/あるいは、第1の保護層12には、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与すること、超高位相差を付与すること)が施されていてもよい。このような処理を施すことにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、位相差層付偏光板は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
【0030】
第1の保護層の厚みは、代表的には300μm以下であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは5μm~80μm、さらに好ましくは10μm~60μmである。なお、表面処理が施されている場合、外側保護層の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
【0031】
第2の保護層13は、1つの実施形態においては、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。第2の保護層13は、1つの実施形態においては、任意の適切な位相差値を有する位相差層であり得る。この場合、位相差層の面内位相差Re(550)は、例えば110nm~150nmである。第2の保護層の厚みは、好ましくは5μm~200μm、より好ましくは10μm~100μm、さらに好ましくは10μm~60μmである。
【0032】
C.位相差層
位相差層20は、上記のとおり、液晶化合物の配向固化層である。液晶化合物を用いることにより、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための位相差層の厚みを格段に小さくすることができる。その結果、位相差層付偏光板のさらなる薄型化を実現することができる。本実施形態においては、代表的には、棒状の液晶化合物が位相差層の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。
【0033】
液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。
【0034】
液晶化合物が液晶モノマーである場合、当該液晶モノマーは、重合性モノマーおよび架橋性モノマーであることが好ましい。液晶モノマーを重合または架橋(すなわち、硬化)させることにより、液晶モノマーの配向状態を固定できるからである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された位相差層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、位相差層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた位相差層となる。
【0035】
液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40℃~120℃であり、さらに好ましくは50℃~100℃であり、最も好ましくは60℃~90℃である。
【0036】
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker-Chem社の商品名LC-Sillicon-CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、例えばネマチック性液晶モノマーが好ましい。
【0037】
液晶化合物の配向固化層は、所定の基材の表面に配向処理を施し、当該表面に液晶化合物を含む塗工液を塗工して当該液晶化合物を上記配向処理に対応する方向に配向させ、当該配向状態を固定することにより形成され得る。1つの実施形態においては、基材は任意の適切な樹脂フィルムであり、当該基材上に形成された配向固化層は、偏光板10の表面に転写され得る。別の実施形態においては、基材は第2の保護層13であり得る。この場合には転写工程が省略され、配向固化層(位相差層)の形成から連続してロールトゥロールにより積層が行われ得るので、生産性がさらに向上する。
【0038】
上記配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体的には、機械的な配向処理、物理的な配向処理、化学的な配向処理が挙げられる。機械的な配向処理の具体例としては、ラビング処理、延伸処理が挙げられる。物理的な配向処理の具体例としては、磁場配向処理、電場配向処理が挙げられる。化学的な配向処理の具体例としては、斜方蒸着法、光配向処理が挙げられる。各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
【0039】
液晶化合物の配向は、液晶化合物の種類に応じて液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶化合物が液晶状態をとり、基材表面の配向処理方向に応じて当該液晶化合物が配向する。
【0040】
配向状態の固定は、1つの実施形態においては、上記のように配向した液晶化合物を冷却することにより行われる。液晶化合物が重合性モノマーまたは架橋性モノマーである場合には、配向状態の固定は、上記のように配向した液晶化合物に重合処理または架橋処理を施すことにより行われる。
【0041】
液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、例えば特開2006-163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0042】
1つの実施形態においては、位相差層20は、
図1および
図2に示すように液晶化合物の配向固化層の単一層である。位相差層20が液晶化合物の配向固化層の単一層で構成される場合、その厚みは、好ましくは0.5μm~7μmであり、より好ましくは1μm~5μmである。液晶化合物を用いることにより、樹脂フィルムよりも格段に薄い厚みで樹脂フィルムと同等の面内位相差を実現することができる。
【0043】
位相差層は、代表的には、屈折率特性がnx>ny=nzの関係を示す。位相差層は、代表的には偏光板に反射防止特性を付与するために設けられ、位相差層が配向固化層の単一層である場合にはλ/4板として機能し得る。この場合、位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm~190nm、より好ましくは110nm~170nm、さらに好ましくは130nm~160nmである。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny>nzまたはny<nzとなる場合があり得る。
【0044】
位相差層のNz係数は、好ましくは0.9~1.5であり、より好ましくは0.9~1.3である。このような関係を満たすことにより、得られる位相差層付偏光板を画像表示装置に用いた場合に、非常に優れた反射色相を達成し得る。
【0045】
位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。1つの実施形態においては、位相差層は、逆分散波長特性を示す。この場合、位相差層のRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1未満であり、より好ましくは0.8以上0.95以下である。このような構成であれば、非常に優れた反射防止特性を実現することができる。
【0046】
位相差層20の遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度θは、好ましくは40°~50°であり、より好ましくは42°~48°であり、さらに好ましくは約45°である。角度θがこのような範囲であれば、上記のように位相差層をλ/4板とすることにより、非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有する位相差層付偏光板が得られ得る。
【0047】
別の実施形態においては、位相差層20は、
図3に示すように第1の配向固化層21と第2の配向固化層22との積層構造を有し得る。この場合、第1の配向固化層21および第2の配向固化層22のいずれか一方がλ/4板として機能し、他方がλ/2板として機能し得る。したがって、第1の配向固化層21および第2の配向固化層22の厚みは、λ/4板またはλ/2板の所望の面内位相差が得られるよう調整され得る。例えば、第1の配向固化層21がλ/2板として機能し、第2の配向固化層22がλ/4板として機能する場合、第1の配向固化層21の厚みは例えば2.0μm~3.0μmであり、第2の配向固化層22の厚みは例えば1.0μm~2.0μmである。この場合、この場合、第1の配向固化層の面内位相差Re(550)は、好ましくは200nm~300nmであり、より好ましくは230nm~290nmであり、さらに好ましくは250nm~280nmである。第2の配向固化層の面内位相差Re(550)は、単一層の配向固化層に関して上記で説明したとおりである。第1の配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは10°~20°であり、より好ましくは12°~18°であり、さらに好ましくは約15°である。第2の配向固化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、好ましくは70°~80°であり、より好ましくは72°~78°であり、さらに好ましくは約75°である。このような構成であれば、理想的な逆波長分散特性に近い特性を得ることが可能であり、結果として、非常に優れた反射防止特性を実現することができる。第1の配向固化層および第2の配向固化層を構成する液晶化合物、第1の配向固化層および第2の配向固化層の形成方法、光学特性等については、単一層の配向固化層に関して上記で説明したとおりである。
【0048】
D.接着剤層
第1の接着剤層および第2の接着剤層をまとめて接着剤層として説明する。なお、第1の接着剤層および第2の接着剤層は、同一の構成を有していてもよく、互いに異なる構成を有していてもよい。接着剤層を構成する接着剤としては、液晶化合物の配向固化層に浸透して浸透層を形成し得る任意の適切な接着剤が採用され得る。接着剤としては、代表的には活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤が挙げられる。また、硬化メカニズムの観点からは、活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、ラジカル硬化型、カチオン硬化型、アニオン硬化型、ラジカル硬化型とカチオン硬化型とのハイブリッドが挙げられる。代表的には、ラジカル硬化型の紫外線硬化型接着剤が用いられ得る。汎用性に優れ、および、特性(構成)の調整が容易だからである。
【0049】
接着剤は、代表的には、硬化成分と光重合開始剤とを含有する。硬化成分としては、代表的には、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基などの官能基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーが挙げられる。硬化成分の具体例としては、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、アクリロイルモルホリン、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン、N-メチルピロリドン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミドが挙げられる。これらの硬化成分は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0050】
好ましくは、接着剤は、複素環を有する硬化成分を含む。複素環を有する硬化成分としては、例えば、アクリロイルモルホリン、γ-ブチロラクトンアクリレート、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン、N-メチルピロリドンが挙げられる。より好ましい硬化成分は、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトンおよびアクリロイルモルホリンであり、特に好ましい硬化成分は、アクリロイルモルホリンである。複素環を有する硬化成分は、硬化成分(後述のオリゴマー成分が存在する場合には硬化成分とオリゴマー成分との合計)100重量部に対して、好ましくは50重量部以上、より好ましくは60重量部以上、さらに好ましくは70重量部~95重量部の割合で接着剤に含有され得る。アクリロイルモルホリンは、硬化成分(オリゴマー成分が存在する場合には硬化成分とオリゴマー成分との合計)100重量部に対して、好ましくは5重量部~60重量部、より好ましくは10重量部~50重量部の割合で接着剤に含有され得る。
【0051】
接着剤は、上記の硬化成分に加えてオリゴマー成分をさらに含有してもよい。オリゴマー成分を用いることにより、硬化前の接着剤の粘度を低減し、操作性を高めることができる。オリゴマー成分の代表例としては、(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられる。(メタ)アクリル系オリゴマーを構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(炭素数1~20)アルキルエステル類、シクロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなど)、アラルキル(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど)、多環式(メタ)アクリレート(例えば、2-イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5-ノルボルネン-2-イル-メチル(メタ)アクリレート、3-メチル-2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレートなど)、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメチル-ブチル(メタ)メタクリレートなど)、アルコキシ基またはフェノキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)、ハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなど)、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど)が挙げられる。(メタ)アクリル酸(炭素数1~20)アルキルエステル類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、t-ペンチル(メタ)アクリレート、3-ペンチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0052】
光重合開始剤は、業界で周知の光重合開始剤が業界に周知の配合量で用いられ得るので、詳細な説明は省略する。
【0053】
接着剤層(接着剤硬化後)の厚みは、好ましくは0.1μm~3.0μmである。このような厚みとなるように接着剤を塗布することにより、適切な厚みの浸透層が形成され得る。
【0054】
接着剤の詳細は、例えば、特開2018-017996号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0055】
E.別の位相差層
別の位相差層は、上記のとおり、屈折率特性がnz>nx=nyの関係を示す、いわゆるポジティブCプレートであり得る。別の位相差層としてポジティブCプレートを用いることにより、斜め方向の反射を良好に防止することができ、反射防止機能の広視野角化が可能となる。この場合、別の位相差層の厚み方向の位相差Rth(550)は、好ましくは-50nm~-300nm、より好ましくは-70nm~-250nm、さらに好ましくは-90nm~-200nm、特に好ましくは-100nm~-180nmである。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、別の位相差層の面内位相差Re(550)は10nm未満であり得る。
【0056】
nz>nx=nyの屈折率特性を有する別の位相差層は、任意の適切な材料で形成され得る。別の位相差層は、好ましくは、ホメオトロピック配向に固定された液晶材料を含むフィルムからなる。ホメオトロピック配向させることができる液晶材料(液晶化合物)は、液晶モノマーであっても液晶ポリマーであってもよい。当該液晶化合物および当該位相差層の形成方法の具体例としては、特開2002-333642号公報の[0020]~[0028]に記載の液晶化合物および当該位相差層の形成方法が挙げられる。この場合、別の位相差層の厚みは、好ましくは0.5μm~10μmであり、より好ましくは0.5μm~8μmであり、さらに好ましくは0.5μm~5μmである。
【0057】
F.導電層または導電層付等方性基材
導電層は、任意の適切な成膜方法(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法等)により、任意の適切な基材上に、金属酸化物膜を成膜して形成され得る。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム-スズ複合酸化物、スズ-アンチモン複合酸化物、亜鉛-アルミニウム複合酸化物、インジウム-亜鉛複合酸化物が挙げられる。なかでも好ましくは、インジウム-スズ複合酸化物(ITO)である。
【0058】
導電層が金属酸化物を含む場合、該導電層の厚みは、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは35nm以下である。導電層の厚みの下限は、好ましくは10nmである。
【0059】
導電層は、上記基材から位相差層(または、存在する場合には別の位相差層)に転写されて導電層単独で位相差層付偏光板の構成層とされてもよく、基材との積層体(導電層付基材)として位相差層(または、存在する場合には別の位相差層)に積層されてもよい。好ましくは、上記基材は光学的に等方性であり、したがって、導電層は導電層付等方性基材として位相差層付偏光板に用いられ得る。
【0060】
光学的に等方性の基材(等方性基材)としては、任意の適切な等方性基材を採用し得る。等方性基材を構成する材料としては、例えば、ノルボルネン系樹脂やオレフィン系樹脂などの共役系を有さない樹脂を主骨格としている材料、ラクトン環やグルタルイミド環などの環状構造をアクリル系樹脂の主鎖中に有する材料などが挙げられる。このような材料を用いると、等方性基材を形成した際に、分子鎖の配向に伴う位相差の発現を小さく抑えることができる。等方性基材の厚みは、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは35μm以下である。等方性基材の厚みの下限は、例えば20μmである。
【0061】
上記導電層および/または上記導電層付等方性基材の導電層は、必要に応じてパターン化され得る。パターン化によって、導通部と絶縁部とが形成され得る。結果として、電極が形成され得る。電極は、タッチパネルへの接触を感知するタッチセンサ電極として機能し得る。パターニング方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。パターニング方法の具体例としては、ウエットエッチング法、スクリーン印刷法が挙げられる。
【0062】
G.画像表示装置
上記A項からF項に記載の位相差層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、そのような位相差層付偏光板を用いた画像表示装置を包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置(例えば、量子ドット表示装置))が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、その視認側に上記A項からF項に記載の位相差層付偏光板を備える。位相差層付偏光板は、位相差層が画像表示セル(例えば、液晶セル、有機ELセル、無機ELセル)側となるように(偏光子が視認側となるように)積層されている。1つの実施形態においては、画像表示装置は、湾曲した形状(実質的には、湾曲した表示画面)を有し、および/または、屈曲もしくは折り曲げ可能である。このような画像表示装置においては、本発明の位相差層付偏光板の効果が顕著となる。
【実施例0063】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は重量基準である。
【0064】
[製造例1]
不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(ダイセル社製「プラクセルFA1DDM」)50部、アクリロイルモルホリン(興人社製「ACMO(登録商標)」)40部、アクリル系オリゴマー(東亞合成社製「ARFON UP-1190」)10部、ならびに、光重合開始剤として「KAYACURE DETX-S」(日本化薬社製)3部およびOMNIRAD907( IGM Resins Italia S.r.l. )3部を混合し、接着剤Aを調製した。
【0065】
[製造例2]
不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(ダイセル社製「プラクセルFA1DDM」)50部、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学製「ライトアクリレートP2H-A」)40部、アクリル系オリゴマー(東亞合成社製「ARFON UP-1190」)10部、ならびに、光重合開始剤として「KAYACURE DETX-S」(日本化薬社製)3部およびOMNIRAD907( IGM Resins Italia S.r.l. )3部を混合し、接着剤Bを調製した。
【0066】
[実施例1]
1.偏光板の作製
A-PET(アモルファス-ポリエチレンテレフタレート)フィルム(三菱樹脂(株)製 商品名:ノバクリアSH046、厚み200μm)を基材として用意し、表面にコロナ処理(58W/m2/min)を施した。一方、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセファイマーZ200、重合度1200、ケン化度99.0%以上、アセトアセチル変性度4.6%)を1wt%添加したPVA(重合度4200、ケン化度99.2%)を用意して、乾燥後の膜厚が12μmになるように塗布し、60℃の雰囲気下において熱風乾燥により10分間乾燥して、基材上にPVA系樹脂層を設けた積層体を作製した。次いで、この積層体をまず空気中130℃で2.0倍に延伸して、延伸積層体を得た。次に、延伸積層体を液温30℃のホウ酸不溶化水溶液に30秒間浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA分子が配向されたPVA系樹脂層を不溶化する工程を行った。本工程のホウ酸不溶化水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とした。この延伸積層体を染色することによって着色積層体を生成した。着色積層体は、延伸積層体を液温30℃のヨウ素およびヨウ化カリウムを含む染色液に浸漬することにより、延伸積層体に含まれるPVA系樹脂層にヨウ素を吸着させたものである。ヨウ素濃度および浸漬時間は、得られる偏光子の単体透過率が44.5%になるように調整した。具体的には、染色液は、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.08~0.25重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.56~1.75重量%の範囲内とした。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7であった。次に、着色積層体を30℃のホウ酸架橋水溶液に60秒間浸漬することによって、ヨウ素を吸着させたPVA系樹脂層のPVA分子同士に架橋処理を施す工程を行った。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して3重量%とした。さらに、得られた着色積層体をホウ酸水溶液中で延伸温度70℃として、上記の空気中での延伸と同様の方向に2.7倍に延伸して、最終的な延伸倍率を5.4倍として、基材/偏光子の積層体を得た。偏光子の厚みは5μmであった。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して6.5重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して5重量%とした。得られた積層体をホウ酸水溶液から取り出し、偏光子の表面に付着したホウ酸を、ヨウ化カリウム含有量が水100重量%に対して2重量%とした水溶液で洗浄した。洗浄された積層体を60℃の温風で乾燥した。
上記で得られた基材/偏光子の積層体の偏光子表面に、PVA系接着剤を介して厚みが40μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせ、保護層(TACフィルム)/偏光子/樹脂基材の構成を有する積層体を得た。さらに、この積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に厚みが40μmのTACフィルムを貼り合わせ、保護層(TACフィルム)/偏光子/保護層(TACフィルム)の構成を有する積層体(偏光板)を得た。
【0067】
2.位相差層を構成する液晶化合物の配向固化層の作製
ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名「Paliocolor LC242」、下記式で表される)10gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(BASF社製:商品名「イルガキュア907」)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶組成物(塗工液)を調製した。
【化1】
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み38μm)表面を、ラビング布を用いてラビングし、配向処理を施した。配向処理の方向は、偏光板に貼り合わせる際に偏光子の吸収軸の方向に対して視認側から見て45°方向となるようにした。この配向処理表面に、上記液晶塗工液をバーコーターにより塗工し、90℃で2分間加熱乾燥することによって液晶化合物を配向させた。このようにして形成された液晶層に、メタルハライドランプを用いて1mJ/cm
2の光を照射し、当該液晶層を硬化させることによって、PETフィルム上に液晶配向固化層Aを形成した。液晶配向固化層Aの厚みは1.5μm、面内位相差Re(550)は140nmであった。さらに、液晶配向固化層Aは、nx>ny=nzの屈折率分布を有していた。
【0068】
3.位相差層付偏光板の作製
上記1.で得られた偏光板(実質的には、保護層としてのTACフィルム)表面に、上記2.で得られた液晶配向固化層Aを、製造例1で得られた接着剤A(硬化後の厚み1.0μm)を介して転写した。このようにして、保護層(TACフィルム)/偏光子/保護層(TACフィルム)/接着剤層(接着剤A)/位相差層(液晶配向固化層A、λ/4板、遅相軸45°方向)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、位相差層(液晶配向固化層A)および保護層(TACフィルム)の両方に接着剤Aが浸透して形成された浸透層が確認された。接着剤層と位相差層(液晶配向固化層A)との界面の状態を示すTEM画像を
図4に示す。
【0069】
4.剥離性の評価
得られた位相差層付偏光板について剥離性の評価を行った。具体的には以下のとおりである。得られた位相差層付偏光板を偏光子の吸収軸方向と平行に200mm、直交方向に15mmの大きさに切り出し、ガラス板に貼り合わせた。株式会社エー・アンド・デイ社製 テンシロン万能試験機RTCにより、90°方向に剥離速度300mm/minで剥離試験を行い、その際の剥離強度を測定した。剥離試験においては、TACフィルムと接着剤層との界面で剥離が起こり、その剥離強度は0.8N/15mmであった。
【0070】
[実施例2]
偏光板の製造において樹脂基材の剥離面にTACフィルムの代わりにシクロオレフィン系樹脂(COP)フィルムを貼り合わせたこと以外は実施例1と同様にして、保護層(TACフィルム)/偏光子/保護層(COPフィルム)/接着剤層(接着剤A)/位相差層(液晶配向固化層A、λ/4板、遅相軸45°方向)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、位相差層(液晶配向固化層A)に接着剤Aが浸透して形成された浸透層が確認された。さらに、得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして剥離性を評価した。剥離試験においては、位相差層(液晶配向固化層A)と接着剤層との界面で剥離が起こり、その剥離強度は0.7N/15mmであった。
【0071】
[実施例3]
偏光板の製造において樹脂基材の剥離面にTACフィルムの代わりにアクリル系樹脂フィルムを貼り合わせたこと以外は実施例1と同様にして、保護層(TACフィルム)/偏光子/保護層(アクリルフィルム)/接着剤層(接着剤A)/位相差層(液晶配向固化層A、λ/4板、遅相軸45°方向)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、位相差層(液晶配向固化層A)に接着剤Aが浸透して形成された浸透層が確認された。さらに、得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして剥離性を評価した。剥離試験においては、アクリルフィルムと接着剤層との界面で剥離が起こり、その剥離強度は0.3N/15mmであった。
【0072】
[実施例4]
偏光板の製造において樹脂基材の剥離面に保護層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、保護層(TACフィルム)/偏光子/接着剤層(接着剤A)/位相差層(液晶配向固化層A、λ/4板、遅相軸45°方向)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、位相差層(液晶配向固化層A)に接着剤Aが浸透して形成された浸透層が確認された。さらに、得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして剥離性を評価した。剥離試験においては、剥離は起こらなかった。
【0073】
[実施例5]
実施例4と同様にして保護層(TACフィルム)/偏光子の構成を有する偏光板を得た。ここで、塗工厚みを変更したこと、および、配向処理方向を偏光子の吸収軸の方向に対して視認側から見て15°方向となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、PETフィルム上に液晶配向固化層Bを形成した。液晶配向固化層Bの厚みは2.5μm、面内位相差Re(550)は270nmであった。液晶配向固化層Bを、接着剤A(硬化後の厚み1.0μm)を介して偏光板の偏光子表面に転写し、さらに、配向処理方向を偏光子の吸収軸の方向に対して視認側から見て75°方向となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして作製した液晶配向固化層Aを、接着剤A(硬化後の厚み1.0μm)を介して液晶配向固化層Bの表面に転写した。このようにして、保護層(TACフィルム)/偏光子/接着剤層(接着剤A)/液晶配向固化層B(λ/2板、遅相軸15°方向)/接着剤層(接着剤A)/液晶配向固化層A(λ/4板、遅相軸75°方向)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、液晶配向固化層Aおよび液晶配向固化層Bの両方に接着剤Aが浸透して形成された浸透層が確認された。さらに、得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして剥離性を評価した。剥離試験においては、液晶配向固化層Aと液晶配向固化層Bとの間の接着剤層が凝集破壊した。
【0074】
[比較例1]
接着剤Aの代わりに製造例2で得られた接着剤B(硬化後の厚み1.0μm)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、保護層(TACフィルム)/偏光子/接着剤層(接着剤B)/位相差層(液晶配向固化層A、λ/4板、遅相軸45°方向)の構成を有する位相差層付偏光板を得た。得られた位相差層付偏光板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、浸透層は確認されなかった。接着剤層と位相差層(液晶配向固化層A)との界面の状態を示すTEM画像を
図5に示す。さらに、得られた位相差層付偏光板について、実施例1と同様にして剥離性を評価した。剥離試験においては、液晶配向固化層Aと接着剤層との界面で剥離が起こり、その剥離強度は0.5N/15mmであった。
【0075】
[評価]
実施例と比較例とを比較すると明らかなように、本発明の実施例は、液晶配向固化層の剥離を抑制することができる。