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特開2024-75554送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上
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  • 特開-送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上 図1
  • 特開-送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上 図2
  • 特開-送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上 図3
  • 特開-送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上 図4
  • 特開-送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075554
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】送信パワーの不均衡の正常化による接続性エクスペリエンスの向上
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20240528BHJP
   H04W 48/20 20090101ALI20240528BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20240528BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20240528BHJP
【FI】
H04W48/16 130
H04W48/20
H04W24/02
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197819
(22)【出願日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】17/993,783
(32)【優先日】2022-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】318015161
【氏名又は名称】アバゴ・テクノロジーズ・インターナショナル・セールス・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Avago Technologies International Sales Pte.Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Yishun Avenue 7,Singapore 768923,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】パンディヤラジャ・クリシュナパンディ
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ・クマル
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュ・ブッタ・エイチ・ケイ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】正規化RSSIに基づくネットワークデバイスの選択が可能な電子デバイスの提供。
【解決手段】電子デバイス用の集積回路は、メモリとコントローラを含む。メモリは命令を記憶し、コントローラ回路はメモリに動作可能に結合される。命令を実行することによって、コントローラ回路は、第1及び第2の正規化RSSIを取得し、第1の正規化RSSIを第2の正規化RSSIと比較し、第1のネットワークデバイス及び第2のネットワークデバイスから、第1の正規化RSSIと第2の正規化RSSIのうち大きい方に関連するネットワークデバイスを選択する。第1の正規化RSSIは、第1のネットワークデバイスの第1のTxパワー値と電子デバイスのTxパワーとの間の第1の差を含む。第2の正規化RSSIは、第2のネットワークデバイスの第2のTxパワー値と電子デバイスのTxパワーとの間の第2の差を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス用の集積回路であって、
命令を記憶するメモリと、
前記メモリに結合された1つ以上のプロセッサと
を含み、
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、
第1のネットワークデバイスの第1の送信(Tx)パワー値と電子デバイスのTxパワー値との間の第1の差を含む第1の受信信号強度インジケータ(RSSI)を取得し、
第2のネットワークデバイスの第2のTxパワー値と前記電子デバイスのTxパワー値との間の第2の差を含む第2のRSSIを取得し、
前記第1のRSSIを前記第2のRSSIと比較し、
前記第1のネットワークデバイス及び前記第2のネットワークデバイスから、前記第1のRSSIと前記第2のRSSIのうちの大きい方に関連するネットワークデバイスを選択する、集積回路。
【請求項2】
前記命令を実行することにより、前記1つ以上のプロセッサは、前記第1のネットワークデバイスから、前記第1のネットワークデバイスの指定されたTxパワー値を含む受信フレームを取得する、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記第1のRSSIは、前記指定されたTxパワー値にさらに基づく、請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサはさらに、前記第1のRSSIを取得する前に、
前記第1のネットワークデバイスから前記第1のTxパワー値を取得し、
前記第1のTxパワー値を閾値パワー値と比較し、
前記第1のTxパワー値が前記閾値パワー値よりも低いことに応答して、ローミング動作を開始して、前記第2のネットワークデバイスから前記第2のTxパワー値を取得する、請求項2に記載の集積回路。
【請求項5】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサはさらに、前記ローミング動作中に前記ネットワークデバイスを選択する、請求項4に記載の集積回路。
【請求項6】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、前記電子デバイスが前記第1のネットワークデバイスに参加していることに応答して、及び、前記第2のRSSIが前記第1のRSSIより大きいことに応答して、
前記第1のネットワークデバイスから離脱し、
前記第2のネットワークデバイスに参加する、請求項4に記載の集積回路:
【請求項7】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサが前記第1のTxパワー値を取得することは、前記電子デバイスによって決定される知覚Txパワー値を取得することを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項8】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサが前記第1のネットワークデバイスから前記第1のTxパワー値を取得することは、第1のアクセスポイントから前記第1のTxパワー値を受信することを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項9】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサが前記第2のネットワークデバイスから前記第2のTxパワー値を受信することは、前記第1のアクセスポイントとは異なる第2のアクセスポイントから前記第2のTxパワー値を受信することを含む、請求項8に記載の集積回路。
【請求項10】
電子デバイス用の集積回路であって、
命令を記憶するメモリと
前記メモリに結合された1つ以上のプロセッサと
を含み、
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、
第1のネットワークデバイスに参加し、
前記第1のネットワークデバイスから、第1の送信(Tx)パワー値を含む第1のフレームを受信し、
第2のネットワークデバイスから、第2のTxパワー値を含む第2のフレームを受信し、
i)前記第1のTxパワー値と前記電子デバイスのデバイスTxパワー値との間の第1の差、及びii)前記第2のTxパワー値と前記デバイスTxパワー値との間の第2の差を取得し
前記第2のTxパワー値が前記第1のTxパワー値よりも小さいことに応答して、
前記第1のネットワークデバイスから離脱し、
前記第2のネットワークデバイスに参加する、
集積回路。
【請求項11】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、前記第1のフレームを受信する前に、
前記第1のTxパワー値を閾値パワー値と比較し、
前記第1のTxパワー値が前記閾値パワー値未満であることに応答して、ローミング動作を開始して、前記第2のフレームを取得する、
請求項10に記載の集積回路。
【請求項12】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、前記第1の差及び前記第1のネットワークデバイスの指定されたTxパワー値に基づく第1の正規化受信信号強度インジケータ(RSSI)を取得する、請求項10に記載の集積回路。
【請求項13】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、前記第2の差及び前記指定されたTxパワー値に基づく第2の正規化RSSIを取得する、請求項12に記載の集積回路。
【請求項14】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、前記第2の正規化RSSIが前記第1の正規化RSSIよりも大きいことに応答して、前記第1のネットワークデバイスから離脱する、請求項13に記載の集積回路。
【請求項15】
前記命令を実行することによって、前記1つ以上のプロセッサは、前記電子デバイスによって決定された知覚Txパワー値を取得する、請求項10に記載の集積回路。
【請求項16】
データ接続性を強化する方法であって、
第1のネットワークデバイスから、第1の受信信号強度インジケータ(RSSI)及び第1の送信(Tx)パワー値を取得し、
第2のネットワークデバイスから、第2のRSSI及び第2の送信Txパワー値を取得し、
前記第1のRSSI及び前記第1のTxパワー値に基づいて、第1の正規化RSSIを決定し、
前記第2のRSSI及び前記第2のTxパワー値に基づいて、第2の正規化RSSIを決定し、
前記第1のネットワークデバイス及び前記第2のネットワークデバイスから、前記第1の正規化RSSIと前記第2の正規化RSSIのうち大きい方に関連するネットワークデバイスを選択すること
を含む方法。
【請求項17】
前記第1の正規化RSSIを決定することは、さらに、電子デバイスに関連する電子デバイスTxパワー値に基づき、
前記第2の正規化RSSIを決定することは、さらに、前記電子デバイスTxパワー値に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のRSSIを取得することに続いて、
前記第1のRSSIを閾値RSSIと比較し、
前記第1のRSSIが前記閾値RSSI未満であることに応答して、ローミング動作を開始して前記第2のRSSIを取得すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のネットワークデバイスに参加しているときに、前記第2の正規化RSSIが前記第1のRSSIよりも大きいことに応答して、
前記第1のネットワークデバイスから離脱し、
前記第2のネットワークデバイスに参加すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のネットワークデバイスから、第1の指定されたTxパワー値を受信し、前記第1の正規化RSSIが、前記第1の指定されたTxパワーに基づき、
前記第2のネットワークデバイスから、第2の指定されたTxパワー値を受信し、前記第2の正規化RSSIが、前記第2の指定されたTxパワーに基づくこと
をさらに含む、請求項16に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、データ通信ハードウェアに関し、例えば、送信パワーの不均衡を正常化することによる接続性エクスペリエンスの向上に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
IEEE 802.11インフラストラクチャ基本サービスセットでは、あるステーション(STA)について計算される受信信号強度インジケータ(RSSI)は、送信ステーションで使用される送信パワーと経路損失、及び/又は、送信ステーションと受信ステーションの間の距離に基づいて変化し得る。アクセスポイント(AP)及びクライアントステーションの送信パワーは、IEEE 802.11仕様書のセクション11.7.6に記載されているように、国及び/又は規制による制限、ハードウェア及び/又はボードの制限、ならびにチャネルモード及び/又は使用状況に応じて変わる場合がある。
【0003】
IEEE802.11規格のセクション11.7.6.によれば、STAは、あるチャネルでの送信のために、次の3つの制約の範囲内で、任意の送信パワーを選択することができる。第一に、STAは、あるチャネル内で送信する前に、現在の規制ドメイン内のそのチャネルの規制最大送信パワーと、ローカル最大送信パワーとを決定しなければならない。第二に、APは、そのチャネルの規制最大送信パワーレベル以下の送信パワーを使用しなければならない。また、APは、規制緩和要件も満たさなければならない。第3に、アクセスポイントではないクライアントステーションは、そのチャネルのローカル最大送信パワーレベル以下の送信パワーを使用しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
主題技術の特定の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。ただし、説明のために、主題技術のいくつかの態様は、以下の図に示されている。
【0005】
図1は、主題技術のいくつかの態様が実施される無線環境を示すブロック図である。
【0006】
図2は、主題技術の種々の態様が向けられている、アクセスポイントとクライアントステーションの間の通信状況の例を示す概略図である。
【0007】
図3は、主題技術の種々の態様による、クライアントステーションが正規化受信信号強度インジケータに基づいて、参加するアクセスポイントを選択する通信状況の例を示す概略図である。
【0008】
図4は、主題技術の種々の態様による、データ接続性を強化する方法の一例を示すフロー図である。
【0009】
図5は、主題技術の種々の態様が実施される電子システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下に記載する詳細な説明は、主題技術の様々な構成の説明を意図するものであり、主題技術を実施することが可能な唯一の構成を示すことを意図するものではない。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は、主題技術の完全な理解を提供する目的で特定の詳細を含む。しかしながら、主題技術は、本明細書に記載された特定の詳細に限定されず、1つ以上の実施態様を用いて実施され得る。1つ以上の例では、主題技術のコンセプトが不明瞭になることを避けるために、構造及び構成要素がブロック図の形で示される。
【0011】
主題技術のいくつかの態様によれば、主題技術は、電子デバイスと2つ以上のネットワークデバイスとの間の送信パワーの不均衡を克服することによる接続性エクスペリエンスの向上に向けられている。本明細書に記載される電子デバイスは、非限定的な例として、モバイル無線通信デバイス(例えば、スマートフォン、タブレットコンピューティングデバイス)のようなSTAを含み得る。本明細書に記載されるネットワークデバイスは、非限定的な例として、アクセスポイント(AP)を含み得る。
【0012】
STAにおける1つの従来の解決策は、使用可能な各APから受信信号強度インジケータ(RSSI)を受信し、種々のAPの中から最も高いRSSIを有するAPを選択する(例えば、そのAPに接続する)ことを含む。Txパワーの不均衡(例えば、APがSTAのTxパワーよりも高いTxパワーを有することなど)に起因して、STAは、選択されたAPにすべてのデータパケット又はフレームを正常に送信できない場合がある。しかしながら、主題技術のSTAは、正規化パラメータを計算し、正規化パラメータに基づいて、STAの無線回路が接続可能な相手先APを選択することができる。「正規化する」又は「正規化」という用語は、種々の値を共通の基準に変換し、又は低減することを指している。例えば、あるAPのRSSI値は、そのAPからの実際のRSSIから、そのAPからのTxパワー(又はパワー値)と、STAからのTxパワーとを差し引くことによって正規化することができる。このようにしてSTAは、各APの正規化RSSIを決定し、種々のAPの中から最も高い正規化RSSIを有するAPを選択することができる。有益なことに、RSSIの正規化によれば、APとSTAの間のパワー不均衡の問題を克服することができ、STAがデータパケット又はフレームを確実に送信できる相手先APを選択するのを支援することができる。さらに、正規化RSSIは、ローミングの際に、又は、幾つかのAPによって作成されたインフラストラクチャ基本サービスセット(BSS)ネットワークに参加する際に、ローミングの判断及びターゲットAPの選択を行うために使用することができる。
【0013】
AP及びSTAのTxパワーは、IEEE 802.11仕様書に記載されているように、国及び/又は法令等による制限、ハードウェア(HW)及び/又はボードの制限、ならびにチャネルモード及び/又は使用状況に応じて変わることがある。一般的に、壁面設置型のAPは、STAよりも優れたTxパワーを有する。その原因の一つは、STAのバッテリ及び/又はパワー使用量の制限である。APとSTAのTxパワーの違いに起因して、STAが計算したAPのRSSIは、APが計算したSTAのRSSIよりも高くなることがある。このようなAPとSTAの間のTxパワーの不均衡、すなわち相違は、特に、STAがAPからすべてのパケットを受信できる低RSSI領域で時々、接続性及び/又はデータストールの問題につながることがある。なぜなら、APのTxパワー使用量が高くなっても、STAのTxパワー使用量が低いため、APはSTAからフレームをあまり受信できないか、全く受信できないからである。
【0014】
一般に、STAは、APからのTxパワー値が閾値Txパワー値又は閾値RSSI未満であると判断すると、STAは、低RSSIローミング動作を発動し、そこでSTAは、そのSTAがより良好な(例えば、より高い)Txパワー値又はより高いRSSIをそれぞれ有する他の何れかのAPに接続できるか否かの判断を試みる。STAが接続先のAPから許容できるTxパワー値(例えば、閾値Txパワー値以上)を受信するそのような状況では、低RSSIローミングを発動することができない。なぜなら、STAのAP RSSIが、STAの低RSSIローミング閾値設定よりも依然として良好であるからである。このような場合、STAからAPへのデータ接続はすでに悪化し、又は切断されているにもかかわらず、STAはローミングプロセスを開始せず、APとの接続を維持する。一方、STAは、より良好な利用可能なAPへのローミングを試みることもなければ、例えばLTE(Long Term Evolution)接続や他のセルラー接続のようなモバイルデータ接続にフォールバックすることもない。
【0015】
主題技術によれば、STAは、複数のAPによって作成されたインフラストラクチャBSSネットワークにローミングすることが可能となり、種々のAPについて正規化RSSIを計算し、データ接続性の低下やデータストールの問題を経験することなく、正規化RSSIを使用してローミングの判断やターゲットAPの選択を行うことが可能になる。
【0016】
図1は、主題技術のいくつかの態様が実施される無線環境100を示すブロック図である。無線環境100は、限定はしないが、AP110-1、AP110-2、及びAP110-3のような、ネットワーク接続のためのAPのような幾つかのネットワークデバイスと、電子デバイス120(例えば、STA)とを含む。AP110-1、110-2、及び110-3の各々は、電子デバイス120が参加するためのBSSネットワークを作成することができる。電子デバイス120は、電話(例えば、スマートフォン)、タブレット、又は任意の他のモバイル通信デバイスのようなモバイル通信デバイスであってもよい。電子デバイス120は、使用可能なAP110-1、110-2、及び110-3の中から最も良好なAPを見つけるためにローミングを行い、そのコンフィグレーションに設定された低RSSIローミング閾値よりも良好なRSSIを有するAPを見つけ出す。電子デバイス120は、バッテリ及び/又は電力使用量の制限により、AP110-1、110-2、及び110-3の何れかのTx-パワーよりも低いTx-パワーを有することがある。そのため、AP110-1、110-2、及び110-3の何れかに関連する電子デバイス120におけるRSSIは、電子デバイス120のコンフィグレーションに設定された低RSSIローミング閾値よりも良好な場合がある。
【0017】
例えば、電子デバイス120は、電子デバイス120からAP110-1へのデータ接続性が低下し、又は途絶しているにもかかわらず、AP110-1のようなAPに接続された無線回路を含むことがある。このような状況は、電子デバイス120がそれに気づいていない間に発生する場合があり、したがって、電子デバイス120は、別のAPを見つけるためにローミングプロセスを開始しない場合がある。言い換えれば、電子デバイス120からAP110-1へのデータ接続性が既に低下し、又は途絶しているにもかかわらず、電子デバイス120はAP110-1に接続されたままになり、電子デバイス120は、より良好な使用可能なAP(例えば、AP110-2又は110-3)へのローミングを試みることも、モバイルデータ接続にフォールバックすることもしない場合がある。
【0018】
主題技術の種々の態様は、電子デバイス120がAP110-1、110-2、及び110-3について正規化RSSIを計算し、正規化RSSIを使用してローミング判断を行い、データ接続性の低下やデータストールの問題を経験することなく、ターゲットAPを選択することを可能にすることにより、この問題の解決策を提供する。
【0019】
図2は、主題技術の特定の態様が向けられている、AP110と電子デバイス120との間の通信状況200の例を示す概略図である。通信状況200は、本明細書に記載するように、AP110が電子デバイス120によって送信されたフレームを受信できない例を示している。この例では、AP110は、AP Txパワー(又はTXパワー値)として32デシベル(dB)を有するインフラストラクチャBSSを作成し、電子デバイス120は、Txパワー(又はTxパワー値)として12dBを使用する。電子デバイス120、及び本明細書で図示説明される他の電子デバイスによって使用されるTxパワー値は、電子デバイスTxパワー値と呼ばれる場合がある。この例では、AP110と電子デバイス120との間の何れかの方向における同じ経路損失及び/又は距離を考慮すると、AP110における電子デバイス120のRSSIは約-90デシベル-ミリワット(dBm)であるのに対し、電子デバイス120におけるAP110のRSSIは-70dBmである。この状況では、AP110が電子デバイス120に比べて高いTx-パワーを使用しているため、電子デバイス120は、AP110からの全てのフレームを受信することができ、電子デバイス120では、AP110からのパケットが、電子デバイス120からAP110が受信するパケットよりも良好なRSSIで受信される。その結果、AP110では、電子デバイス120からのフレームが受信されないことになる。これは、電子デバイス120のTx-パワーが低く(12dB)、電子デバイス120から送信されるパケットに関連する信号強度がAP110において低すぎるからである。
【0020】
電子デバイス120の場合、低RSSIローミング閾値(又は閾値パワー値)は、-75dBmに設定される場合がある。したがって、電子デバイス120は、RSSIよりも強いRSSIを見つけるためのローミングスキャンを開始しないことさえある。AP110のRSSIは、(電子デバイス120において)-70dBmであり、これは、電子デバイス120の設定されたRSSIローミング閾値(-75dBm)よりも高い。したがって、電子デバイス120が移動されず、同じ低RSSI領域でアイドル状態が長く続くと、電子デバイス120は、アップリンクデータ接続を有することなくこの状態に留まる可能性が高い。この状況は、本明細書でより詳細に説明するように、主題技術の特定の態様によって解決することができる。
【0021】
図3は、主題技術の種々の態様による、電子デバイス320が、AP310-1及びAP310-2のような複数のネットワークデバイスから、正規化RSSIの値に基づいて、参加するネットワークデバイスを選択することができる、通信状況300を示す概略図である。電子デバイス320は、AP310-1及びAP310-2から、それぞれ接続312及び接続314を介して情報を取得することができる。主題技術のいくつかの態様によれば、電子デバイス320は、APと電子デバイスとの間のTxパワー使用量の差に基づいてAPの正規化RSSIを計算し、インフラストラクチャBSSネットワークに参加し、又はローミングする際に、その正規化RSSIを使用してローミングの判断及びターゲットAPの選択を行うことによって、上述したデータ接続性の低下及びデータストールの問題を克服することができる。このターゲットAPの選択を達成するために、AP310-1及び310-2は、自律的にTxパワー使用量(TPU)フィールドを含むことができる。このようにして、電子デバイス320は、この情報を使用して正規化RSSIを導出することができる。正規化RSSIは、電子デバイスとそれぞれのAP(例えば、電子デバイス320とAP310-1及び310-2)との間のTxパワーの差(デルタ)に基づいている。
【0022】
前述のIEEE 802.11の仕様書セクション9.4.1.20によれば、TPUフィールドは、2の補数で表された符号付き整数である。TPUフィールドは、最大送信パワー以下であり、TPUフィールドを含むフレームを送信する際に、電子デバイスがアンテナコネクタで測定した実際の使用パワーをdBm単位で示している。TPU値は、TPUフィールドを含むフレームを送信する前の任意の時点で決定され、±5dBmの許容誤差を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、電子デバイス320は、集積回路330を含む。集積回路330は、限定はしないが、例えば、ローミングトリガー論理回路332、1つ以上のプロセッサ334、及びメモリ336、ならびに無線通信回路338を含み得る。メモリ336は、種々の命令(例えば、実行可能命令)を含み、1つ以上のプロセッサ334は、メモリ336に動作可能に結合される。「動作可能に結合される」とは、1つ以上のプロセッサ334とメモリ336とが互いに情報(例えば、データ)を送受信することができる少なくとも通信可能な結合を指している。したがって、1つ以上のプロセッサ334は、メモリ336から実行可能命令を受信し、実行可能命令のステップを実行することができる。非限定的な例として、1つ以上のプロセッサ334は、1つ以上のマイクロコントローラ、MEMSコントローラ、又はプログラマブルベースのコントローラを含み得る。無線通信回路338は、AP310-1、310-2、及び310-3との間で情報(例えば、RSSIやTxパワー値情報)を通信(例えば、送受信)するために使用されるコントローラ(複数可)及びアンテナ(複数可)を含み得る。
【0024】
この例では、AP310-1は32dBmのTxパワーを使用し、AP310-2は20dBmのTxパワーを使用している。電子デバイス320におけるAP310-1及び310-2のRSSIは、例えば、それぞれ-66dBm及び-68dBmである場合がある。AP310-1及び310-2によって使用されるパワーは、AP310-1及び310-2のそれぞれから各自、フレームの形で電子デバイス320に送信される場合がある。この状況では、理想的には、電子デバイス320は、AP310-1のネットワークに参加することが好ましい。なぜなら、AP310-1のRSSIがAP310-2のRSSIよりも良好である(-68dBに対して-66dB)からである。しかしながら、電子デバイス320がAP310-1に参加すると、初期の低RSSI領域(例えば、-70dBから-75dBの範囲内)におけるアップリンクデータの接続性が低下して、データストールの問題が発生する可能性がある。その理由は、電子デバイス320におけるAP310-1のRSSIが初期の低RSSI領域にあるとき、AP310-1は、電子デバイス320からパケットをほとんど受信しないか、全く受信しない可能性があるからである。なぜなら、電子デバイス320におけるAP310-1のRSSIが約-70dB~-75dBの範囲内になる頃、AP310-1における電子デバイス320のRSSIは既に、-90dB~-95dBの範囲内になっているからである。これは、電子デバイス320で使用されるTx-パワーが、AP310-1で使用されるTx-パワーよりも20dBm低いことによる。この条件下では、電子デバイス320は、AP310-1にデータフレームを正常に伝送できない場合があり、電子デバイス320は、低RSSIローミングを開始しない可能性がある。なぜなら、電子デバイス320におけるAP310-1のRSSIは、依然として、電子デバイス320に設定された低RSSIローミングトリガー閾値を満たしていない可能性があるからである。しかしながら、主題技術では、集積回路330の1つ以上のプロセッサ334が、メモリ336に記憶された種々の命令を実行すると、これによって、1つ以上のプロセッサ334が、次の例示的ステップを実行する。すなわち、1)第1のネットワークデバイス(AP310-1)の第1のTxパワー値と電子デバイス320のTxパワーとの間の第1の差を含む第1の正規化RSSIを取得するステップ;2)第2のネットワークデバイス(AP310-2)の第2のTxパワー値と電子デバイス320のTxパワーとの間の第2の差を含む第2の正規化RSSIを取得するステップ;3)第1の正規化RSSIと第2の正規化RSSIを比較するステップ、及び4)第1のネットワークデバイス(AP310-1)及び第2のネットワークデバイス(AP310-2)から、指定されたTxパワー値に基づく第1の正規化RSSIと、第2の正規化RSSIとのうちの大きい方に関連するネットワークデバイスを選択するステップである。「指定されたTxパワー値」とは、APの製造者によって設定されたTxパワー値を指す場合があり、又は電子デバイス(例えば、電子デバイス320)によって取得された実際のTxパワー値を指す場合もある。電子デバイス320内のローミングトリガー論理回路332は、この正規化RSSIを使用してターゲット選択決定を開始することができ、これによって、電子デバイス320が、特に低RSSI領域において、電子デバイスとAP310-1及び310-2との間のTx-パワー使用量の不均衡によって生じる、データ接続性の低下/データストールの問題を克服できるようにする。「取得」又は「取得する」という用語は、記載した構成要素の少なくとも一部(例えば、1つ以上のプロセッサ334)を含む電子デバイス320が、情報(例えば、RSSI値、Txパワー値、RSSI正規化値)を受信すること、及び/又は受信される情報を算定することを指す場合がある。
【0025】
1つ以上の実施形態では、第1の正規化RSSIを取得する前に、1つ以上のプロセッサ334は、AP310-1から第1のTxパワー値を取得し、第1のTxパワー値を閾値Txパワーと比較し、第1のTxパワー値が閾値Txパワー値未満であることに応答して、ローミングトリガー論理回路332にローミング動作を開始させ、AP310-2から第2のTxパワー値を取得することができる。一部の実施形態では、1つ以上のプロセッサ334は、第1のRSSIを閾値RSSIと比較し、第2の正規化RSSIが第1のRSSIより大きい場合、電子デバイス320をAP310-1から離脱させ、AP310-2に参加させる。
【0026】
一部の実施形態では、1つ以上のプロセッサ334は、AP310-1から、第1のネットワークデバイスの指定されたTxパワーを含む受信フレームを取得する。例えば、1つ以上のプロセッサ334は、ローミング動作中に、ネットワークデバイスを選択することができる。例えば、電子デバイス320がAP310-1に参加しているときに、1つ以上のプロセッサ334は、(AP310-2に基づく)第2の正規化RSSIが(AP310-1に基づく)第1の正規化RSSIよりも大きいことに応答して、電子デバイス320をAP310-1から離脱させ、AP310-2に参加させる。一部の態様において、1つ以上のプロセッサ334が取得する第1のTxパワー値は、電子デバイス320によって決定された知覚Txパワー値であってもよい。
【0027】
一部の実施形態において、1つ以上のプロセッサ334は、参加/ローミングターゲット選択決定の際に、AP310-1及びAP310-2のそれぞれと電子デバイス320との間のTxパワー使用量の差に基づいて、AP310-1及びAP310-2の正規化RSSIを決定(計算)し、使用することができる。決定されたAP310-2の正規化RSSIは、AP310-1の正規化RSSIよりも大幅に良好であることが判明した。正規化RSSIは、次の式:
【数1】
により求めることができる。
【0028】
例えば、上記の情報に基づけば、AP310-1の正規化RSSIは、-86dB(すなわち、-66dB-(32dBm-12dBm))になり、AP310-2の正規化RSSIは、-76dB(すなわち、-68dB-(20dBm-12dBm))になる。したがって、電子デバイス320の無線機(単純化のために図3には不図示)は、正規化RSSIの値が高い方のAP310-2のネットワークに参加することになる。また、低RSSI領域(例えば、-70dB~-85dBの範囲内)でアップリンク性能の低下やデータストールの問題が発生する可能性は、極めて低くなる。なぜなら、AP310-2と電子デバイス320との間のTx-パワーの差(デルタ)は、AP310-1と電子デバイス320との間のTx-パワーの差(デルタ)に比べて小さいからである。これにより、電子デバイス320がデータ接続性/データストールの問題を経験する前に、低RSSIローミングトリガー状況が発生する。この時点で、電子デバイス320のローミングトリガー論理回路332は、1つ以上のプロセッサ334に割り込みを送信し、電子デバイス320をAP320-2のネットワークに参加させる。
【0029】
さらに、正規化RSSIがAP310-1に関連する状況で使用される場合、電子デバイス320は、低RSSIローミングを開始し、電子デバイス320が低RSSI領域でデータ接続性の低下やデータストールの問題に遭遇するかなり前に、良好なAPにローミングするであろう。したがって、本明細書に記載するように正規化RSSIを計算し、使用することは、STAとAPとの間のTx-パワーの不均衡/差によって生じることがあるデータ接続性の低下やデータストールの発生を克服するのに役立つ。
【0030】
主題技術の種々の態様は、多数の有利な特徴を有し、限定はしないが、これには例えば、APとSTAとの間のTx-パワー不均衡/差に関わらない低RSSI領域におけるデータ接続性エクスペリエンスの向上、より良好な使用可能なAPとの迅速な再接続、及びAPとSTAとの間のTx-パワー不均衡/差に起因する低RSSI領域における長期のデータ接続性低下の克服が含まれ得る。
【0031】
図4は、主題技術の種々の態様による、データ接続性を向上させる方法400の一例を示すフロー図である。方法400は、動作ブロック410から開始され、ここで、ステーション(例えば、図3の電子デバイス320)の集積回路(例えば、図3の集積回路330)は、第1のネットワークデバイス(例えば、図3のAP310-1)から第1のRSSI及び第1のTxパワー(例えば、図3の接続312)を取得する(ブロック410)。第2のネットワークデバイス(例えば、図3のAP310-2)から、第2のRSSI及び第2の送信Txパワー(例えば、図3の接続314)を受信する(ブロック420)。第1のRSSIと第1のTxパワーに基づいて、第1の正規化RSSIが決定される(ブロック430)。第2のRSSIと第2のTxパワーに基づいて、第2の正規化RSSIが決定される(ブロック440)。第1のネットワークデバイス及び第2のネットワークデバイスから、第1の正規化RSSIと第2の正規化RSSIのうちの大きい方に関連するネットワークデバイス(例えば、図3のAP310-2)が選択される(ブロック450)。
【0032】
図5は、主題技術の種々の態様が実施される電子システムを示すブロック図である。図5は、主題技術の1つ以上の実施形態による、例示的な無線通信デバイス500を示している。一部の態様において、無線通信デバイス500は、図3に関して説明したような主題技術のSTA又はAPを表す場合がある。無線通信デバイス500は、無線周波数(RF)アンテナ510と、受信機520と、送信機530と、ベースバンド処理モジュール540と、メモリ550と、プロセッサ560と、局部発振器(LOGEN)570とを含むことができる。主題技術の種々の実施形態において、図5に表されたブロックの1つ以上は、1つ以上の半導体基板上に集積されてもよい。例えば、ブロック520~570は、単一のチップ若しくは単一のシステムオンチップの形で実現されてもよいし、マルチチップチップセットの形で実現されてもよい。
【0033】
RFアンテナ510は、広範囲の周波数にわたってRF信号(例えば、無線信号)を送信及び/又は受信するのに適する場合がある。RFアンテナ510は、図によれば単一のアンテナを表しているが、主題技術がそのように限定されることはない。
【0034】
受信機520は、RFアンテナ510から信号を受信し、処理するように動作可能な適当な論理回路及び/又はコードを含み得る。受信機520は、例えば、受信した無線信号を増幅し、及び/又はダウンコンバートするように動作可能である場合がある。主題技術の種々の実施形態において、受信機520は、受信信号中のノイズをキャンセルするように動作可能であってもよく、また、広い周波数範囲にわたって線形であってもよい。このように、受信機520は、Wi-Fi、WiMAX(登録商標)、Bluetooth、及び様々なセルラー規格のような様々な無線規格に従った信号を受信するのに適する場合がある。主題技術の様々な実施形態において、受信機520は、SAWフィルタを必要としない場合があり、大型コンデンサやインダクタのようなオフチップの別個の部品をほとんど、又は全く必要としない場合がある。
【0035】
送信機530は、種々の信号を処理し、RFアンテナ510から送信するように動作可能な適当な論理回路及び/又はコードを含み得る。送信機530は、例えば、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートし、RF信号を増幅するように動作可能である場合がある。主題技術の種々の実施形態において、送信機530は、様々な無線規格にしたがって処理されたベースバンド信号をアップコンバートし、増幅するように動作可能である場合がある。そのような規格の例には、Wi-Fi、WiMAX、Bluetooth、及び様々なセルラー規格が含まれ得る。主題技術の種々の実施形態において、送信機530は、1つ以上のパワー増幅器によるさらなる増幅のために複数の信号を提供するように動作可能である場合がある。
【0036】
デュプレクサ512は、受信機520の飽和や受信機520の部品の損傷を回避し、受信機520の1つ以上の設計要件を緩和するために、送信帯域での分離を提供することができる。さらに、デュプレクサ512は、受信帯域でノイズを減衰させることができる。デュプレクサは、様々な無線規格の複数の周波数帯域で動作可能である場合がある。
【0037】
ベースバンド処理モジュール540は、ベースバンド信号の処理を実行するように動作可能な適当な論理回路、インターフェース、及び/又はコードを含み得る。ベースバンド処理モジュール540は、例えば、受信信号を分析し、受信機520のような無線通信デバイス500の様々な構成要素を設定するための種々の制御信号及び/又はフィードバック信号を生成することができる。ベースバンド処理モジュール540は、1つ以上の無線規格にしたがって、データを符号化し、復号し、トランスコードし、変調し、復調し、暗号化し、暗号化を解除し、スクランブルし、スクランブルを解除し、及び/又は他の方法で処理するように動作可能であり得る。一部の実施形態では、ベースバンド処理モジュール540は、図3に関して上述したような種々の機能を実行するためのローミングトリガーモジュール(例えば、図3のローミングトリガー論理回路332)を含み得る。
【0038】
プロセッサ560は、データを処理すること及び/又は無線通信デバイス500の動作を制御することを可能にする適当なロジック、回路、及び/又はコードを含み得る。これに関して、プロセッサ560は、無線通信デバイス500の他の様々な部分に制御信号を提供することが可能な場合がある。また、プロセッサ560は、無線通信デバイス500の様々な部分間におけるデータの転送を制御することができる。さらに、プロセッサ560は、オペレーティングシステムを実行すること、又は、無線通信デバイス500の種々の動作を管理するコードを実行することができる。一部の実施形態では、プロセッサ560は、図3に関して上述したような図3のプロセッサ338の種々の機能の一部又はすべてを実行することができる。
【0039】
メモリ550は、受信データ、生成データ、コード、及び/又は設定情報のような様々なタイプの情報を記憶することが可能な適当なロジック、回路、及び/又はコードを含み得る。メモリ550は、例えば、RAM、ROM、フラッシュ、及び/又は磁気記憶装置を含む場合がある。主題技術の様々な実施形態において、メモリ550に記憶された情報は、受信機520、及び/又はベースバンド処理モジュール540の設定に使用される場合がある。
【0040】
局所発振器発生器(LOGEN)570は、1つ以上の周波数の1つ以上の発振信号を生成するように動作可能な適当なロジック、回路、インターフェース、及び/又はコードを含み得る。LOGEN570は、デジタル信号及び/又はアナログ信号を生成するように動作可能である場合がある。このように、LOGEN570は、1つ以上のクロック信号及び/又は正弦波信号を生成するように動作可能である場合がある。周波数やデューティサイクルのような発振信号の特性は、例えば、プロセッサ560及び/又はベースバンド処理モジュール540からの1つ以上の制御信号に基づいて決定される場合がある。
【0041】
稼働中、プロセッサ560は、信号を受信するときに準拠することが望ましい無線規格に基づいて、無線通信デバイス500の様々な構成要素を設定することができる。種々の無線信号が、RFアンテナ510を介して受信され、受信機520によって増幅され、ダウンコンバートされる場合がある。ベースバンド処理モジュール540は、ベースバンド信号のノイズ推定及び/又はノイズキャンセル、復号、及び/又は復調を実施することができる。このようにして、受信信号内の情報が回収され、適宜使用され得る。例えば、この情報は、無線通信デバイスのユーザに提示されるべきオーディオ及び/又はビデオ、メモリ550に記憶されるべきデータ、ならびに/あるいは、無線通信デバイス500の動作に影響を与え及び/又はその動作を可能にする情報であってもよい。ベースバンド処理モジュール540は、様々な無線規格にしたがって、送信機530によって送信されるべきオーディオ、ビデオ、及び/又は制御信号に対して、変調、符号化、及び他の処理を実行することができる。
【0042】
これまでの説明は、当業者であれば誰でも、本明細書に記載された様々な態様を実施できるようにするために提供される。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様にも適用することができる。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲が与えられるものである。ここで、単数形での要素の記載は、特に断りがない限り、「1つのみ」の意味を意図するものではなく、むしろ「1つ以上」の意味を意図するものである。特に断りがない限り、「いくつか」という語は1つ以上を指している。見出し及び小見出しがある場合は、便宜上使用されているだけであり、開示対象を限定するものではない。
【0043】
「~するように構成されている」、「~するように動作可能である」、及び「~するようにプログラムされている」という語は、対象の特定の有形又は無形の変更を意味するものではなく、むしろ、相互に同じ意味で使用できることを意図している。例えば、ある動作又は構成要素を監視し、制御するように構成されたプロセッサは、その動作を監視し、制御するようにプログラムされたプロセッサ、又は、その動作を監視し、制御するように動作可能なプロセッサを意味することがある。同様に、コードを実行するように構成されたプロセッサは、コードを実行するようにプログラムされたプロセッサ、又はコードを実行するように動作可能なプロセッサと解釈される場合がある。
【0044】
「態様」のような語は、その態様が主題技術にとって必須であることや、その態様が主題技術のあらゆる構成に適用されることを意味するものではない。ある態様に関する開示は、あらゆる構成に適用される場合もあれば、1つ以上の構成に適用される場合もある。「態様」のような語は、1つ以上の態様を指す場合があり、その逆もまた同様である。「構成」のような語は、その構成が主題技術にとって必須であることや、その構成が主題技術のあらゆる構成に適用されることを意味するものではない。ある構成に関する開示は、あらゆる構成に適用される場合もあれば、1つ以上の構成に適用される場合もある。「構成」のような語は、1つ以上の構成を指す場合があり、その逆も同様である。
【0045】
「例」という語は、本明細書では、「例又は実例として役立つ」という意味で使用される。本明細書において「例」として記載される態様や設計は何れも、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるものではない。
【0046】
本明細書において、ある要素が別の要素に「接続されている」又は「結合されている」と言った場合、その要素は他の要素に直接接続されている場合もあれば、要素間に介在要素を有する場合もあることを理解されたい。これに対し、ある要素が別の要素に「直接接続」又は「直接結合」されていると言った場合、要素間の「直接」接続には介在要素が存在しないと理解されるべきである。ただし、直接接続の存在によって、介在要素が存在し得る他の接続が排除されることはない。
【0047】
本開示全体を通して記載された様々な態様の要素に対する、当業者に公知であるか、又は後に公知となる全ての構造的及び機能的な均等は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に捧げることを意図したものではない。また、「含む」、「有する」等の語が明細書又は特許請求の範囲において使用されている場合、これらの語は、「含む」という語が特許請求の範囲において遷移語として使用される場合の解釈と同様に、「含む」という語と同様に包括的であることが意図されている。
【0048】
当業者であれば、本明細書で説明する様々な例示的なブロック、モジュール、要素、構成要素、方法、及びアルゴリズムは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はその両方の組み合わせとして実施され得ることを理解するであろう。ハードウェア及びソフトウェアのこの交換可能性を示すために、種々の例示的ブロック、モジュール、要素、構成要素、方法、及びアルゴリズムは、その機能の観点から一般的に上述されてきた。これらの機能がハードウェアとして実施されるかソフトウェアとして実施されるかは、システム全体に課される特定の用途及び設計上の制約による。当業者であれば、記載した機能を特定の用途に合わせて様々な形で実施することができる。種々の構成要素やブロックは、主題技術の範囲から逸脱することなく、異なる形で配置(例えば、異なる順序で配置したり、異なる形で分割したり)されることができる。

図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】