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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075561
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】可動的な間仕切壁を含む化粧室
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240528BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
E04B2/74 561E
E04H1/12 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198873
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】63/384,818
(32)【優先日】2022-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/458,845
(32)【優先日】2023-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォラサンガシルパ, ブライアン ダナイ
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ, ダーレン カール
(72)【発明者】
【氏名】バートン, ノア ハンター
(72)【発明者】
【氏名】ホランド, リアム
(72)【発明者】
【氏名】ヤング, クリストファー ケリー
(72)【発明者】
【氏名】コックス, ケンダル マリー
(72)【発明者】
【氏名】グエン, トラヴィス ホアン
(72)【発明者】
【氏名】メロス, ジェームズ ポール
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025BA05
2E025BC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】間仕切壁を動かすことによって、2つの個別の化粧室を、1つの結合した化粧室に選択的に変更することを可能にする間仕切壁に関する
【解決手段】化粧室(12)が、間仕切壁(28)であって、間仕切壁が化粧室を2つの別個の領域(18、22)に分ける展開位置と、2つの別個の領域の代わりに、結合した領域を画定する格納位置と、の間を所定の経路に沿って可動である、間仕切壁(28)を備える。間仕切壁は、展開位置と格納位置との間を所定の経路に沿って移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧室(12)であって、
前記化粧室を2つの別個の領域(18、22)に分ける展開位置と、前記2つの別個の領域の代わりに、結合した領域(30)を画定する格納位置と、の間を所定の経路に沿って可動な間仕切壁(28)であって、前記所定の経路に沿って前記展開位置と前記格納位置との間を移動する間仕切壁(28)
を備えた、化粧室(12)。
【請求項2】
前記間仕切壁(28)が、前記化粧室の天井(303)に沿って両方とも取り付けられた第1のトラック(230)及び第2のトラック(232)に結合されており、前記第1のトラック及び前記第2のトラックが、前記間仕切壁(28)のための前記所定の経路を提供する、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項3】
前記間仕切壁(28)が、第1の接続点(234)で前記第1のトラック(230)に結合されており、かつ第2の接続点(236)で前記第2のトラック(232)に結合されており、前記間仕切壁が、前記第1の接続点と前記第2の接続点のそれぞれにおいて回転可能である、請求項2に記載の化粧室(12)。
【請求項4】
前記第1のトラック(230)が非直線的である、請求項2に記載の化粧室(12)。
【請求項5】
前記第2のトラック(232)が直線的である、請求項4に記載の化粧室(12)。
【請求項6】
前記第1のトラック(230)は、前記間仕切壁(28)に、前記化粧室内の少なくとも1つの固定物の輪郭の周りを、当該少なくとも1つの固定物に接触せずに移動させるよう成形され配置されている、請求項4に記載の化粧室(12)。
【請求項7】
前記間仕切壁(28)は、前記所定の経路に沿って前記展開位置と前記格納位置の間を移動する間に、前記化粧室の側壁(220)に向かって移動し、かつ前記間仕切壁の垂直軸(258)周りを回転するよう構成される、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項8】
前記間仕切壁(28)は、前記格納位置において、前記展開位置において、及び前記格納位置と前記展開位置との間を移動するときに、前記化粧室の設置面積の範囲内に配置されたままである、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項9】
前記格納位置では、前記間仕切壁(28)が、前記化粧室の出入口(26)に隣接する前記化粧室の側壁(220)の近傍に配置される、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項10】
前記化粧室(12)が、前記2つの別個の領域(18、22)の第1の領域(18)内の第1のトイレ(140)、及び前記2つの別個の領域の第2の領域(22)内の第2のトイレ(144)をさらに含み、前記間仕切壁(28)が前記格納位置にあるときには、前記化粧室の床(154)には、前記第1のトイレ(140)と前記第2のトイレの間に何も障害物が存在しない、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項11】
前記化粧室(12)が、前記2つの別個の領域(18、22)の第1の領域(18)内の第1のトイレ(140)、及び前記2つの別個の領域の第2の領域(22)内の第2のトイレ(144)をさらに含み、前記所定の経路が、前記間仕切壁(28)の遠位端(208)に、前記第1のトイレ(140)の輪郭に沿って前記第1のトイレに接触せずに非直線的に移動させるよう構成される、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項12】
前記間仕切壁(28)が、曲げられ又は折り畳まれることなく、前記格納位置と前記展開位置との間を移動するよう構成される、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項13】
前記間仕切壁(28)が前記格納位置と前記展開位置との間を通る前記所定の経路が非直線的である、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項14】
前記間仕切壁(28)が、当該間仕切壁の下端(204)に磁石(226)を含み、前記化粧室が、当該化粧室の床(154)の下に配置された磁気的トラック(224)を含み、前記磁気的トラックが、前記間仕切壁(28)内の前記磁石と相互作用する鉄材料(228)を含む、請求項1に記載の化粧室(12)。
【請求項15】
航空機(100)であって、
化粧室(12)を備え、前記化粧室が、
第1のトイレ(140)と、
第2のトイレ(144)と、
展開位置と格納位置との間を所定の経路に沿って移動するよう構成された間仕切壁(28)であって、前記展開位置にある前記間仕切壁は、前記第1のトイレと前記第2のトイレの間に配置されており、前記間仕切壁が前記格納位置にあるときには、前記第1のトイレは、前記間仕切壁と前記第2のトイレとの間に配置され、前記間仕切壁が前記展開位置にあるときに対してより大きな開放空間を提供する、間仕切壁(28)と、
を含む、航空機(100)。
【請求項16】
前記所定の経路は前記間仕切壁(28)に、前記展開位置と前記格納位置との間を移動する間に、前記化粧室(12)の側壁(220)に向かって移動させ、かつ前記間仕切壁の垂直軸(258)周りを回転させる、請求項15に記載の航空機(100)。
【請求項17】
前記間仕切壁(28)の前記所定の経路は、前記間仕切壁の遠位端(208)に、前記第1のトイレ(140)の輪郭に沿って前記第1のトイレに接触せずに非直線的に移動させる、請求項15に記載の航空機(100)。
【請求項18】
前記化粧室(12)が、前記航空機(100)の客室(124)内に配置される、請求項15に記載の航空機(100)。
【請求項19】
前記間仕切壁(28)は、前記化粧室の天井(303)に沿って取り付けられた第1のトラック(230)及び第2のトラック(232)に結合されており、前記第1のトラック及び前記第2のトラックが、前記間仕切壁(28)のための前記所定の経路を提供し、前記第1のトラックが非直線的である、請求項15に記載の航空機(100)。
【請求項20】
方法であって、
化粧室(12)の天井(303)に第1のトラック(230)を設置することと、
前記化粧室の前記天井に第2のトラック(232)を設置することと、
前記第1のトラック及び前記第2のトラック(232)に間仕切壁(28)を取り付けることであって、前記間仕切壁が、前記第1のトラック及び前記第2のトラックによって定められた所定の経路に沿って可動である、間仕切壁(28)を取り付けることと、
を含み、前記間仕切壁が、展開位置と格納位置との間を前記所定の経路に沿って可動であり、前記展開位置にある前記間仕切壁は、前記化粧室を2つの別個の領域(18、22)に分けるよう構成され、前記格納位置にある前記間仕切壁は、前記2つの別個の領域の代わりに、結合した領域(30)を画定するよう構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年11月23日に出願された米国仮特許出願第63/384,81号の仮出願変更であってその優先権を主張し、その全体が参照により援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は、概して、化粧室といった、可動的な間仕切壁を有する再構成可能なルームに関する。
【背景技術】
【0003】
ルームによっては、様々な目的のためにルームのレイアウトを再構成するための間仕切壁が存在する。例えば、一部のシステムは、間仕切壁を動かすことによって、2つの個別の化粧室を、1つの結合した化粧室に選択的に変更することを可能にする。間仕切壁が、2つの別個の化粧室を形成するために展開され又は延ばされたときには、第1の利用者が第1の化粧室を利用している間に第2の利用者が第2の化粧室を利用することを可能とすることで、効率の良さが実現される。しかしながら、個別の化粧室のそれぞれは、身体障害者(PRM:person with reduced mobility)又は子連れの親といった第3の利用者にとっては狭すぎることもある。PRMには、車椅子に乗った人々など、特別なニーズを有する様々な人々が含まれうる。間仕切壁を格納することで、2つの化粧室を1つの結合された化粧室に変更することによって、さらなる空間を必要とする利用者のためのより大きな空間を提供することが可能である。
【0004】
化粧室といったルームのレイアウトを再構成するため間仕切壁を動かす周知のシステムでは、引っ込めた又は格納した位置と、広げた又は展開した位置と、の間で間仕切壁を動かすことの難しさ及び複雑さに関する問題に悩まされている。間仕切壁の格納位置によって、より大きな結合された空間が提供され、間仕切壁の展開位置によって、2つの別個の個別空間が提供される。例えば、周知のシステムの間仕切壁は、通常では、複数の折畳み部及びヒンジを含む。間仕切壁を格納するには、ユーザが理解し及び/又は実行するのが困難な、折畳んで動かす一連の複雑な流れが必要となることもある。直感的な操作性の欠如に加えて、様々なヒンジ及び折畳部は、機械的な変数であって、間仕切壁と、指定の位置に間仕切壁を固定するための対応するラッチと、が揃わなくさせ間仕切壁が指定のスロットに収まるのを妨げる虞がある機械的な変数をもたらす。使用が難しいことの他に、間仕切壁の再構成は、壁パネルがガタガタと音を立てるため比較的騒音が大きいこともある。
【発明の概要】
【0005】
直感的で使いやすく、周知のシステムよりも信頼性が高いやり方で格納位置と展開位置との間で遷移し、さらに騒音も制限されうる可動的な間仕切壁を含む再構成システムに対する必要性が存在する。格納位置と展開位置との間を遷移する間に、間仕切壁を折り畳み又は曲げることを避ける再構成システムに対する必要性が存在しうる。
【0006】
上記の必要性を念頭に置いて、本開示の特定の実施形態は、間仕切壁を含む化粧室であって、間仕切壁が化粧室を2つの別個の領域に分ける展開位置と、2つの別個の領域の代わりに、結合した領域を画定する格納位置と、の間を所定の経路に沿って可動な間仕切壁を含む、化粧室を提供する。間仕切壁は、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を移動する。
【0007】
本開示の特定の実施形態が、化粧室を含む航空機を提供する。化粧室は、第1のトイレと、第2のトイレと、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を移動するよう構成された間仕切壁と、を含む。展開位置にある間仕切壁は、第1のトイレと第2のトイレとの間に配置されている。間仕切壁が格納位置にあるときには、第1のトイレは、間仕切壁と第2のトイレとの間に配置されて、間仕切壁が展開位置にあるときよりも大きな開放空間を提供する。
【0008】
本開示の特定の実施形態は、化粧室の天井に第1のトラックを設置することと、化粧室の天井に第2のトラックを設置することと、を含む方法を提供する。本方法は、間仕切壁を、当該間仕切壁が第1のトラック及び第2のトラックによって定められた所定の経路に沿って可動であるように、第1のトラック及び第2のトラックに取り付けることを含む。間仕切壁は、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を可動である。展開位置にある間仕切壁は、化粧室を2つの別個の領域に分けるよう構成されている。格納位置にある間仕切壁は、2つの別個の領域の代わりに、結合した領域を画定するよう構成されている。
【0009】
本開示の上記の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、より良く理解される。図面全体を通して、同様の符号は同様の部分を表わす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る、ルーム内に設置されたルーム再構成システムを示すブロック図である。
図2】ルーム再構成システムを設置できる航空機の斜視図である。
図3図2に示す航空機のルームの平面図である。
図4】一実施形態に係る、展開位置にあるルーム再構成システムの間仕切壁を示す休憩室の斜視図である。
図5】一実施形態に係る、格納位置にあるルーム再構成システムの間仕切壁を示す休憩室の斜視図である。
図6】一実施形態に係る、間仕切壁の下端と磁気的トラックとの間の接続部分を示す概略図である。
図7】一実施形態に係る、格納位置と展開位置との間を移動する間の、経時的な間仕切壁の一連の瞬間的位置を示す休憩室の平面図である。
図8】一実施形態に係る、第1のトラックを含む第1のトラックアセンブリの斜視図である。
図9】一実施形態に係る、第1のトラックアセンブリのキャリッジ及び第1のトラックの斜視図である。
図10】一実施形態に係る、第2のトラックを含む第2のトラックアセンブリの斜視図である。
図11】第2の実施形態に係る、ルーム再構成システムを示す。
図12】第3の実施形態に係る、ルーム再構成システムを示す。
図13】第4の実施例に係る、ルーム再構成システムを示す。
図14】第5の実施例に係る、ルーム再構成システムを示す。
図15】一実施形態に係る再構成システムを提供する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の概要及び特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことにより、よりよく理解されよう。本明細書では、単数形で記載され「1つの(「a」又は「an」)」という用語の後に続く要素又はステップは、複数の要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。さらに、「1つの実施形態(one embodiment)」への言及は、記載されている特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図していない。さらに、反対に明示的に記述されない限り、特定の条件を有する一又は複数の要素を「備える(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、かかる条件を有さないさらなる要素を含みうる。
【0012】
本開示の実施例は、間仕切壁を動かすことで、ルームを2つの別個の領域と、1つの結合した領域と、の間で選択的に間仕切りする再構成システムを提供する。再構成システムは、間仕切壁がルームに対して展開位置と格納位置との間を移動するための固定の経路を定める。展開位置では、間仕切壁は、ルームを2つの個別領域に分ける。格納位置では、間仕切壁は、ルーム内の1つの結合した領域であって、2つの個別領域のそれぞれよりも大きな領域を画定する。例えば、結合した領域はおおよそ、結合された2つの個別領域の大きさでありうる。結合した領域は、2つの個別領域とおおよそ同じ設置面積を占めうる。例えば、同じ空間が、間仕切壁の位置に基づいて、2つの個別領域と、結合した領域と、の間で遷移しうる。
【0013】
本明細書に記載の実施形態の再構成システムは、他のシステムよりも直感的で簡単でありうる。例えば、少なくとも1つの実施形態において、間仕切壁は、曲げられ又は折り畳まれることなく、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を移動する。例えば、人は、間仕切壁のいかなる部分も間仕切壁の他の部分に対して折り畳まずに展開位置から格納位置へと間仕切壁を手動で遷移させることができ、その逆も然りである。間仕切壁は、当該間仕切壁のための移動経路を定めるトラックに取り付けることができる。一実施形態において、1つ以上のトラックが、ルームの天井に取り付けられている。追加のトラックが、ルームの床に取り付けられうる。人は、間仕切壁を押し及び/又は引くことで、間仕切壁をトラックにより定められた所定の経路に沿って移動するよう遷移させることができ、このことは、一連の折り畳み操作及び移動操作よりも直感的でありうる。本明細書に記載の再構成システムによって、2つの領域の構成と1つの領域の構成との間の効率の良い遷移を可能とすることができ、当該遷移は比較的静かでありうる。さらに、間仕切壁が、固定のトラックに固定されているため、間仕切壁の移動は正確で反復可能であり、より信頼性の高い操作が可能となる。例えば、間仕切壁、対応するラッチ部材、及び/又はルーム壁に沿ったスロット等の間のミスアライメントのリスクが低くなりうる。
【0014】
図1は、一実施形態に係る、ルーム12内に設置されたルーム再構成システム10(図1のRBS(room reconfiguration system))を示すブロック図である。ルーム12は、当該ルーム内の空間を画定する外縁部14を有する。ルーム12は、ルーム12の第1の領域18内の第1の集合の固定物16と、ルーム12の第2の領域22の第2の集合の固定物20と、を含む。固定物16、20は、ルーム12内に設置されたフィーチャ(feature)を含みうる。化粧室という設定では、固定物16、20は、トイレ、洗面台、ランプ、鏡、化粧台、及び/又はゴミ箱等を含みうる。本明細書で使用されるトイレは、トイレ及び便器といった、人間のし尿を受けるあらゆる衛生的ハードウェアを含みうる。任意選択的に、第1の集合における固定物16の少なくとも幾つかは、第2の集合における固定物20と同じでありうる。例えば、第1の領域18は、第1のトイレ及び第1の洗面台を含む第1の個別化粧室を画定することができ、第2の領域22は、第2のトイレ及び第2の洗面台を含む第2の個別化粧室を画定することができる。ルーム12は、ルーム12内への出入口26を選択的に遮断する1つ以上のドア24を含みうる。一実施形態において、1つ以上のドア24が、第1の領域18と位置合わせされた第1のドアと、第2の領域22と位置合わせされた第2のドアと、を含む。人は、第1のドアを通って第1の領域18に入ることができ、その際に、第2の領域22に入り又は第2のドアを開けることはない。代替的な実施形態において、ルーム12に1つ以上のドア24がなくてよい。
【0015】
ルーム再構成システム10(本明細書では単に再構成システムとも称される)は、ルーム12のレイアウト及び使用を再構成するための、展開位置と格納位置との間で可動な間仕切壁28を含む。展開位置にある間仕切壁28は、第1の領域18と第2の領域22との間に延在し、第1の領域18と第2の領域22とを分離する。ルーム12が休憩室(例えば、化粧室)である実施形態では、展開位置にある間仕切壁28が、第1の個別化粧室を第2の個別化粧室から分割し、これにより、異なる人々が、第1の化粧室及び第2の化粧室を同時に、プライベートに使用することが可能となる。1つ以上のドア24は、閉まっているときには、間仕切壁28の近位端に接触しうる。
【0016】
格納位置にある間仕切壁28は、第1の領域18と第2の領域22との間に延在することができ又は第1の領域18と第2の領域22とを分離しえない。格納されているときには、間仕切壁28は、2つの領域18、22の間の空間からは出ており、ルーム12内の1つの結合した領域30を画定する。結合した領域30は、間仕切壁28が展開位置にあるときよりも大きな開放空間であり、家族、車椅子、及びPRMを収容するより大きな個室又はコンパートメントを画定する。結合した領域30は、第1の領域18及び第2の領域22のそれぞれの全て又は少なくとも大半を含みうる。例えば、第1の固定物16の少なくとも幾つかと、第2の固定物20の少なくとも幾つかとが、結合した領域30内に配置されうる。結合した領域30は、本明細書では、第1の個別領域18及び第2の個別領域22の少なくとも大半を結合するため、結合した領域と呼ばれる。
【0017】
再構成システム10は、ルーム12が、分割構成と開放構成との間で迅速に、効率よく、かつ可逆的に変わることを可能にする。間仕切壁28は、分割構成では展開されており、間仕切壁28は、開放構成では格納されている。一実施形態において、ルーム12の外縁部14は、当該外縁部14が構成に関係なく変化しないように固定されうる。例えば、ルーム12の設置面積は、間仕切壁28が2つの位置の間を動かされる間に増減しえない。代替的な実施形態において、間仕切壁28の一部分、及び/又は1つ以上のドア24の一部分が、上記構成の一方であるとき、及び/又は間仕切壁28が2つの位置の間を移動している間に、ルーム12の出入口26(例えば、ルーム12の進入閾値)を超えて外方に突出しうる。
【0018】
間仕切壁28に加えて、再構成システム10は、間仕切壁28を支持し案内する1つ以上のトラックアセンブリ32(図1の「トラック」)を含みうる。各トラックアセンブリ32は、トラックと、間仕切壁28をトラックに固定するための、トラック及び間仕切壁28のそれぞれに取り付けられた対応するランナと、を含みうる。一実施形態において、再構成システム10が、間仕切壁28に結合された少なくとも2つのトラックアセンブリ32を含みうる。トラックアセンブリ32は、間仕切壁28の移動のための決められた又は所定の経路を定め、間仕切壁28が、決められた経路の外を又は当該経路を超えて移動しないよう制限する。一実施形態において、間仕切壁28に結合されたトラックアセンブリ32のうちの2つが、互いに異なっている。例えば、第1のトラックアセンブリ32のトラックの形状は、第2のトラックアセンブリ32のトラックの形状とは異なりうる。
【0019】
再構成システム10は、展開位置及び/又は格納位置の定位置に間仕切壁28を固定して保持する1つ以上のラッチアセンブリ34(図1の「ラッチ」)を含みうる。例えば、ラッチアセンブリ34は、展開位置と格納位置との間の所定の経路に沿った、間仕切壁28の意図せず望まれない移動を妨げることができる。ラッチアセンブリ34は、第1のラッチ部材であって、対応する第2のラッチ部材と相互作用する第1のラッチ部材を含みうる。例えば、第1のラッチ部材及び第2のラッチ部材は、第1のラッチ部材と第2のラッチ部材とが互いに固定することを可能にする相補的な形状及び/又はフィーチャ(feature)を有しうる。第1のラッチ部材は、間仕切壁28に固定することができ、第2のラッチ部材は、ルーム12を画定する少なくとも1つの壁に固定することができる。例えば、第2のラッチ部材は、ルーム12の天井、ルーム12の床、ルーム12の側壁、又は1つ以上のドア24などに固定されうる。間仕切壁28が展開位置に達したときには、1つ以上の第1のラッチ部材が、第2のラッチ部材のうちの第1の集合と相互作用して、間仕切壁を展開位置に保持する。一例において、人は、ラッチアセンブリ34が提供する保持力を超える押す力又は引く力を、間仕切壁28に対して与えることで、ラッチアセンブリ34が提供する保持力に勝ることができる。他の例において、人は、第1のラッチ部材を第2のラッチ部材から分離するためにハンドル又はレバーを作動させることで、ラッチアセンブリ34の接続を断ち又はラッチアセンブリ34を外すことができる。第2のラッチ部材のうちの第2の集合は、間仕切壁28が格納位置に達して間仕切壁28が格納位置に固定されたときには、間仕切壁28上の同じ第1のラッチ部材又は異なる第1のラッチ部材と相互作用しうる。代替的な実施形態において、ルーム再構成システム10はラッチアセンブリ34を含まない。
【0020】
図2は、ルーム再構成システム10を設置できる航空機100を示している。航空機100は、ノーズ区分112から、尾部114又はテール区分へと延在する胴体106を含む。航空機100は、胴体106から延びる一対の翼102、104を含む。翼102、104は、エルロン、フラップ、及び/又はスポイラといった、可動的な翼表面を含みうる。1つ以上の推進ユニット108、110が航空機100を推進させる。推進システム108、110は、図示される実施形態では、航空機100の翼102、104によって支持されているが、他の種類の航空機の胴体106又は尾部114に取り付けられうる。尾部114は、水平方向の安定板116、118と、垂直方向の安定板120と、を含みうる。
【0021】
図2で識別される区分121は、胴体106の内部の客室124の内部領域122を示している。航空機100は、内部領域122内にルーム126を含みうる。図1で説明したルーム再構成システム10は、ルーム126の内部に設置することができる。一例において、ルーム126は休憩室(例えば、化粧室)であり、間仕切壁28が、2つの化粧室領域に選択的に分割することができる。代替的な実施形態において、ルーム126は、寝台コンパートメント、乗務員の休憩エリア、ガレー、又はファーストクラスの客室などといった、異なる種類のルーム126でありうる。
【0022】
ルーム再構成システム10は、図2の航空機100に搭載されているものとして記載されているが、ルーム再構成システム10は、様々な他の種類のビーイクルに実装することができ、さらに、非ビーイクル的用途においても設置することができる。例えば、ルーム再構成システム10は、線路ベースの列車、船舶、及び/又はバスなどといった、他の乗客用ビーイクルに実装されうる。ルーム再構成システム10はまた、オフィス、学校、劇場、アリーナ、教会、及び居住地といった建物内にも実装されうる。
【0023】
図3は、図2に示した航空機100のルーム126の平面図を示す。図示される実施形態において、ルーム126は、休憩室(例えば、化粧室)である。休憩室126は、第1の化粧室領域130及び第2の化粧室領域132を含む。再構成システム10の間仕切壁28は展開位置にあり、第1の化粧室130と第2の化粧室領域132とを分離している。第1の化粧室領域130内の第1の固定物16が、第1のトイレ140及び第1の洗面台142を含む。第2の化粧室領域132内の第2の固定物20が、第2のトイレ144及び第2の洗面台146を含む。ドア24のうちの第1のドア148が、第1の化粧室領域130へのアクセスを選択的に制限する。ドア24のうちの第2のドア150が、第2の化粧室領域132へのアクセスを選択的に制限する。図3に示す分割構成にあるときには、第1の利用者は、第1のドア148を介して、第1の化粧室領域130を使用することが可能であり、その際に、第2のドア150を介して第2の化粧室領域132を使用する第2の利用者を妨害することはない。第1のドア148及び第2のドア150は、図3では両方とも閉まっている。ドア148、150は、閉まっているときには、間仕切壁28の近位端152に接触しうる。図3では示されていないが、間仕切壁28は、隣合う化粧室内にいる利用者の間のプライバシーのために、休憩室126の床154から天井303(図8に図示)まで休憩室126の全体の高さに亘って、又は少なくとも当該高さの実質的に大半に亘って(例えば、90%を超えて又は95%を超えて)延在しうる。
【0024】
図4は、一実施形態に係る展開位置にあるルーム再構成システム10の間仕切壁28を示す休憩室126の等角図である。休憩室126は、横軸190、垂直軸又は高さ軸191、及び、長手方向軸又は奥行方向軸192の周りに配向される。軸190~192は互いに直交している。
【0025】
間仕切壁28は、間仕切壁28の上端202から間仕切壁28の下端204まで垂直方向に(垂直軸191に沿って)延在しうる。間仕切壁28は、間仕切壁28の近位端152から間仕切壁28の遠位端208まで長手方向に(長手方向軸192に沿って)延在しうる。近位端152は、出入口26の遠位端208の近傍よりは、出入口26、及び当該出入口26の向こう側の休憩室126の外側の領域により近い。近位端152は、前方の末端又は機体の内側方向の(inboard)末端とすることができ、遠位端208は、後方の末端又は機体の外側方向の(outboard)末端でありうる。間仕切壁28は、間仕切壁28の第1の側面210から、間仕切壁28の第2の側面212まで延在する(横軸190に沿った)厚さ又は幅を有しうる。第1の側面210は第1の化粧室領域130に面しており、第1の化粧室領域130を画定する。第2の側面212は第2の化粧室領域132に面しており、第2の化粧室領域132を画定する。
【0026】
間仕切壁28は、再構成システム10の通常の利用中に曲げられ又は折り畳まれたりしない剛性の構成を有しうる。一例において、間仕切壁28は、間仕切壁28の2つの区分の間にいかなる折畳線又はヒンジも含まない(例えば、当該折畳線又はヒンジが無い)。例えば、間仕切壁28のどの部分も、間仕切壁28の他の部分に対して折り畳まれるよう設計されていないこともある。間仕切壁28は、本体パネル214を含むことができ、本体パネル214は、上端202から下端204まで連続的に延在しており、かつ近位端152から遠位端208まで延在している。本体パネル214は、木、金属、硬質プラスチック、又は複合材料などから成りうる。一実施形態において、間仕切壁28が単一の一体化した本体を有しており、これにより、本体パネル214が間仕切壁28全体を画定する。例えば、間仕切壁28は、1つの中実の本体パネル214でありうる。任意選択的に、本体パネル214が、重量削減のための1つ以上の切り欠き領域を画定しうる。切り欠き領域は、絶縁体といった、軽量のパネル及び/又は材料で充填されうる。代替的な実施形態において、間仕切壁28が、複数の本体パネルを含むことができ、ここで、本体パネルは互いに固定されており、本体パネルは互いに対して折れ畳まれない。
【0027】
図5は、一実施形態に係る格納位置にあるルーム再構成システム10の間仕切壁28を示す休憩室126の等角図である。図示される実施形態において、格納位置にある間仕切壁28は、休憩室126の側壁220の近傍に位置している。側壁220は、図5では、出入口26の隣接している。間仕切壁28が格納されているときには、休憩室126は、1つの結合した領域30を有し、この結合した領域30は、本明細書では、拡大した化粧室領域222と称される。
【0028】
格納位置にある間仕切壁28は、第1のトイレ140と第2のトイレ144との間に位置していない。例えば、第1のトイレ140が、間仕切壁28と第2のトイレ142との間に配置されている。間仕切壁28が格納されると、化粧室12の床154は、トイレ140、144の間には、車椅子の動きを妨げうる又は躓く危険となりうるいかなる障害物も無いようにすることができる。例えば、幾つかの周知のシステムは、トイレの間に存在する小さな動かないベース壁を含み、可動的な間仕切壁が、展開位置にあるときには、ベース壁に係合する。動かないベース壁は、車椅子の動きを妨げる可能性があり、可動的な間仕切壁が格納されているときには、躓く危険となりうる。本開示の化粧室ではこれらの問題を、化粧室内の人々の移動を妨害しうる、トイレ140、144の間の小さな動かないベース壁及び他のあらゆる障害物を省くことで回避することができる。トイレ140、144の間の床154は平坦でありうる。間仕切壁28は、第1のトイレ140及び第1の洗面台142といった、1つ以上の第1の固定物16へのアクセス及び/又は当該第1の固定物16の利用を妨げうるが、拡大した化粧室領域222を使用する利用者は、格納された間仕切壁28によって提供される追加の空間を含む第2のトイレ144及び第2の洗面台146に完全にアクセスする。拡大した化粧室領域222は、家族連れ、障害がある乗客など特定タイプの乗客のために追加の空間を提供することができる。
【0029】
一実施形態において、間仕切壁28は、格納位置及び展開位置の両方において、休憩室126の設置面積内にとどまる。例えば、間仕切壁28は、両方の位置において、出入口26を超えて突出しない。一実施形態において、間仕切壁28が、格納位置と展開位置との間の移動の間に、休憩室126の外に突出しない。このように、休憩室126の外縁部を固定することができ、従って、休憩室126の外の人々及び/又は物体に干渉することなく、休憩室126を再構成することが可能である。
【0030】
図7図14を参照しながら本明細書に記載される様々な実施形態において、間仕切壁28は、休憩室126の天井に取り付けられた1つ以上のトラック230、232によって支持されうる。例えば、間仕切壁28は、天井から吊り下げることができ、移動経路を定める1つ以上のトラック230、232を介して、格納位置と展開位置の間で移動することができる。一実施形態において、休憩室126が、床154に沿って磁気的トラック224を含みうる。磁気的トラック224は、当該磁気的トラック224のハードウェア構成要素が1つ以上の床パネル(例えば、タイル、板等)、床マット、及び/又はカーペットなどによって覆われうるため、透視図で示されている。間仕切壁28は、磁気的トラック224内の鉄材料と相互作用するための、間仕切壁28の下端204に沿って設置された少なくとも1つの磁石226(図6に図示)を含みうる。磁石226は、間仕切壁28の近位端152の近傍に位置しうる。磁石226と鉄材料との間の相互作用によって、特に間仕切壁28が格納位置と展開位置との間を移動する間の、間仕切壁28の上端202に対する下端204の振子運動を抑えることができる。鉄材料は、磁気的トラック224の伸長に沿って位置しうる。引力によって、間仕切壁28が格納位置と展開位置との間を移動している間でさえも、磁石226を鉄鋼材と位置合わせさせ当該鉄鋼材の真上に配置させることができる。
【0031】
磁気的トラック224は、図5に示すように線形的であってよく、又は代替的に、その第1の末端と第2の末端との間に非直線的な経路を有してよい。例えば、磁気的トラック224は、格納位置と展開位置との間を移動する間の、間仕切壁28の近位端152の移動経路に対応する非直線的な形状を有しうる。一例において、磁気的トラック224が、図12に示す第2のトラック422と同様の形状を有しうる。磁気的トラック224は、有利に間仕切壁28の下端204を支持し、その際に、床154は、液体、ほこり、及び他の汚染物が蓄積しうるいかなるチャネル又は凹部も有する必要がない。さらに、磁気的トラック224によって、床154の固定表面上及び当該固定表面の上に位置するハードウェアが回避され、従って、休憩室126内にいる人々が躓く危険とならない。
【0032】
図6は、一実施形態に係る、間仕切壁28の下端204と磁気的トラック224との間の接続部分を示す概略図である。磁石226は、間仕切壁28に埋め込まれている。磁気的トラック224は、休憩室126の床154より下の引っ込んだところにある。図6に示す床154の要素は、構造的パネル、床マット、カーペットなどでありうる。磁気的トラック224は、鉄材料228を含む。鉄材料228は、耐食コーティング229によって取り囲まれうる。磁気的トラック224は、間仕切壁28又は磁石226と物理的に接触することなく、間仕切壁28内の磁石226と相互作用することができる。例えば、間仕切壁28は、床154と接触することなく、床154より上に吊り下げられうる。
【0033】
図7は、一実施形態に係る、格納位置と展開位置との間を移動する間の、経時的な間仕切壁28の一連の瞬間ごとの位置を示す休憩室126の平面図である。図示される実施形態において、間仕切壁28が、トラックアセンブリ32の第1のトラック230及び第2のトラック232によって制御された所定の経路に沿って可動である。第1のトラック230は、遠位端208において又は遠位端208の近傍で間仕切壁28に結合されている。第2のトラック232は、近位端152において又は近位端152の近傍で間仕切壁28に結合されている。一実施形態において、第1のトラック230及び第2のトラック232は、休憩室126の天井に取り付けられており、上端202(図4に図示)において又は上端202の近傍で間仕切壁28に結合する。間仕切壁28は、トラック230、232によって吊り下げられうる。任意選択的に、少なくとも第3のトラックが、間仕切壁28が揺れるのを抑えるために、下端204(図4に図示)において又は下端204の近傍で間仕切壁28に結合されうる。例えば、再構成システム10は、床154に第3のトラック及び第4のトラックを含みうる。第3のトラックは、第1のトラック230と位置合わせすることができ、第1のトラック230と一致した形状を有しうる。第4のトラックは、第2のトラック232と位置合わせすることができ、第2のトラック232と一致した形状を有しうる。図7の平面図では、第1のトラック230及び第2のトラック232のみが見える。
【0034】
間仕切壁28は、第1の接続点234で第1のトラック230に結合されており、かつ第2の接続点236で第2のトラック232に結合されている。第1の接続点234及び第2の接続点236は、トラックアセンブリ32の対応するランナ237によって定められうる。一実施形態において、間仕切壁28は、第1の接続点234及び第2の接続点236のそれぞれにおいて旋回可能である(例えば、回転可能である)。旋回可能な接続点234、236によって、間仕切壁28は、当該間仕切壁28の垂直軸258周りを回転することが可能となる。垂直軸258は、間仕切壁28が休憩室126内に設置されているときには、垂直軸191に対して平行であり得、かつ横軸190及び長手方向軸192に対して直交しうる。
【0035】
第1のトラック230は、第1のトラック230の第1の末端240から、当該第1の末端240とは反対側の、第1のトラック230の第2の末端242まで延びている。第1の末端240は、本明細書では右端と呼ばれ、第2の末端242は左端と呼ばれる。図示される実施形態において、第1のトラック230は非直線的である。第1のトラック230は、間仕切壁28が固定物に接触するのを回避できるように成形され、休憩室126内の固定物に対して配置されうる。間仕切壁28が第1のトラック230に沿って移動する間に、第1のトラック230は、間仕切壁28に、ルーム内の少なくとも1つの固定物の輪郭の周りを、当該少なくとも1つの固定物に接触することなく移動させることができる。例えば、第1のトラック230は、第1のトイレ140に対応する湾曲区分244を有しうる。湾曲区分244によって、間仕切壁28の遠位端208を、第1のトイレ140に接触することなく、当該第1のトイレ140の前方部分の輪郭の周りを移動させることができる。
【0036】
第2のトラック232は、第2のトラック232の第1の末端250から、当該第1の末端250とは反対側の、第2のトラック232の第2の末端252まで延びている。第1の末端250は、本明細書では右端と呼ばれ、第2の末端252は左端と呼ばれる。一実施形態において、第2のトラック232は、第1のトラック230とは異なる形状をしている。例えば、第2のトラック232には湾曲区分がなくてよい。図示される実施形態において、第2のトラック232は、2つの末端250、252の間の長さの少なくとも大部分に沿って直線的でありうる。任意選択的に、第2のトラック232は全長に沿って直線的でありうる。第2のトラック232は、休憩室126の横軸190に対して平行(例えば、出入口26に対して平行)に延在しうる。第2のトラック232は、図3に示したドア148、150の近傍に位置しうる。例えば、第2のトラック232は、第1のトラック230と、出入口26にあるドア148、150との間に位置しうる。
【0037】
第1のトラック230及び第2のトラック232によって提供される所定の経路によって、間仕切壁28が格納位置と展開位置との間を移動する間に、移動することと回転すること(例えば、旋回すること)との両方を間仕切壁28にさせることができる。例えば、間仕切壁28は、横軸190に対して平行に(例えば、出入口26に対して平行に及び/又は第2のトラック232に対して平行に)移動することができる。間仕切壁28は、間仕切壁28の垂直軸258周りを旋回することができる。間仕切壁28の旋回は、トラック230、232への各接続点234、236における回転によって、可能となりうる。一実施形態において、間仕切壁28が移動する間、間仕切壁28は同時に移動しかつ回転することができる。
【0038】
図7の間仕切壁28の第1の瞬間的位置260は、展開位置を表している。展開位置では、間仕切壁28は、長手方向軸192に対して平行に(出入口26に対して直交して及び/又は第2のトラック232に対して直交して)延在しうる。第1の接続点234は、第1のトラック230の右端240において又は当該右端240の近傍に配置されうる。第2の接続点236は、第2のトラック232の中央領域に配置されうる。ラッチ34(図1に図示)によって、間仕切壁28を展開位置に保持することができる。以下のシーケンスが、展開位置から格納位置への遷移を説明する。
【0039】
任意選択的に、間仕切壁28が、ラッチアセンブリ34、戻り止め、磁石、後壁272内のスロットなどによって定位置の展開位置に固定されうる。間仕切壁28は、当該間仕切壁28が意図せず格納位置に向かって移動するのを回避するために、展開位置で固定することができる。間仕切壁28を展開位置から外して又は当該展開位置から解放して、格納位置への遷移を開始させるために、人は、間仕切壁28自体、ラッチ部材、及び/又はハンドルに対して力を加えうる。任意選択的に、間仕切壁28が意図せず展開位置に向かって移動するのを回避するために、1つ以上のラッチ、戻り止め、磁石、スロット等が、間仕切壁28を格納位置に固定することができる。一例において、ラッチアセンブリ34が、少なくとも1つのピンであって、間仕切壁28に取り付けられており、間仕切壁28上のハンドル又はレバーを作動させることで間仕切壁28に対して選択的に可動な少なくとも1つのピンを含みうる。例えば、第1のピンは、間仕切壁28が展開位置で固定されるときには、間仕切壁28の上端202を超えて突出することができ、かつ、休憩室126の天井に沿って取り付けられたキャッチデバイス(catch device、留め具、掛け具)内に収容されうる。任意選択的に、第2のピンが、間仕切壁28の下端204を超えて突出することができ、かつ、床154に沿った第2のキャッチデバイス内に収容されうる。展開位置から間仕切壁28を解放するために、人は、ハンドル又はレバーを握ってハンドル又はレバーを引いて又は回転させて、ハンドル又はレバーを作動させることができる。ハンドル又はレバーの作動によって、第1のピン及び第2のピンを間仕切壁28内に引っ込めて、当該ピンをキャッチデバイスから外し、間仕切壁28がトラック230、232に沿って摺動できるようにすることができる。
【0040】
間仕切壁28の第2の瞬間的位置262は、第1の瞬間的位置260の後の第1の中間位置である。シーケンスにおける第1のステップは、間仕切壁28にトルクを印加して、間仕切壁28に間仕切壁28の垂直軸258周りで旋回させることを含む。間仕切壁28は、第1の回転方向に(例えば、図7に示す上から見下ろす図では反時計周りに)旋回することができ、これにより、近位端152が、第2のトラック232に沿って右に(例えば、第2の洗面台146に向かって)移動し、遠位端208が、第1のトラック230に沿って、左に(例えば、第1のトイレ140に向かって)移動する。間仕切壁28は、当該間仕切壁28の垂直軸258周りを反時計周りに回転することができる。人が、近位端152に沿った間仕切壁28の端及び遠位端208に沿った端を握って、間仕切壁28に力を加えることで、間仕切壁28を動かすことができる。代替的に、間仕切壁28は、当該間仕切壁28に取り付けられた1つ以上のハンドルを有することができ、人は、ハンドルを握って、格納位置に向かって間仕切壁28を動かすために、間仕切壁28に力を加えることができる。代替的な実施形態において、機械的なアクチュエータを、トラック230、232の少なくとも一方に沿って設置することができ、当該アクチュエータは、トリガされたときには、間仕切壁28を格納位置に向かって自動的に推進させることができる。このトリガイベントは、間仕切壁28を展開位置から解放する人、入力デバイス上のボタンを押下する人などでありうる。機械的なアクチュエータは、モータで駆動するデバイス、付勢要素(例えば、バネ)などでありうる。
【0041】
間仕切壁28の第3の瞬間的位置264は、第1の中間位置(例えば、第2の瞬間的位置262)の後の第2の中間位置である。間仕切壁28の近位端152は、第2のトラック232の右端250に向かって右に移動し続け、遠位端208は、第1のトラック230の左端242に向かって左に移動し続ける。遠位端208が、第1のトラック230の湾曲区分244に沿って移動し始める。
【0042】
間仕切壁28の第4の瞬間的位置266は、シーケンスにおける第2の中間位置(例えば、第3の瞬間的位置264)の後の第3の中間位置である。間仕切壁28の近位端152が、第2のトラック232の右端250に又は当該右端250の近傍に配置されている。遠位端208は、湾曲区分244に沿って配置されている。遠位端208は、湾曲区分244の、第2のトラック232に最も近い部分に位置しうる。
【0043】
間仕切壁28の第5の瞬間的位置268は、第3の中間位置(例えば、第4の瞬間的位置266)の後の第4の中間位置である。第4の瞬間的位置266から第5の瞬間的位置268への間仕切壁28の移動は、左に向かった(例えば、第1の洗面台142及び第1の側壁220に向かった)基本的に直線的な遷移である。例えば、上記移動は、出入口26に対して平行であり得、及び/又は第2のトラック232の配向に対して平行でありうる。間仕切壁28の傾き又は回転の向きは、第4の位置266から第5の位置268まで基本的に一定でありうる。この段階での間仕切壁28の向きは、展開位置にある間仕切壁28の配向に対して直角(transverse)でありうる。
【0044】
間仕切壁28の第6の瞬間的位置270は格納位置を表している。格納位置では、間仕切壁28の近位端152が、第2のトラック232の左端252に又は当該左端252の近傍にあり、間仕切壁28の遠位端208が、第1のトラック230の左端242に又は当該左端242の近傍にある。図示される例において、間仕切壁28は、少なくとも部分的には第1の洗面台142による障害のために、側壁220と接触していない。間仕切壁28は、格納位置において、他のどの瞬間的位置よりも側壁220に近くにありうる。格納位置にある間仕切壁28は、間仕切壁28の展開位置からかなりの距離だけずれており、このことにより、休憩室126内の空間が、余分な空間を必要とする人のために大幅に拡大される。任意選択的に、第1のトラック230及び/又は第2のトラック232は、第1の洗面台142に向かったさらなる移動をブロックすることで、間仕切壁28が第1の洗面台142に接触するのを妨げることができる。間仕切壁28が意図せずに展開位置に向かって移動するのを妨げるために、1つ以上のラッチ34(図1に図示)、戻り止め、又は磁石などによって、間仕切壁28を格納位置に固定することができる。
【0045】
図示される実施形態において、間仕切壁28は、格納位置(270)において、展開位置(260)において、及び格納位置と展開位置との間を移動するときに(例えば、262、264、266、及び268)、休憩室126の設置面積内に配置されたままである。一例において、人(例えば、乗務員、従業員など)は、間仕切壁28をそれぞれの展開位置及び格納位置に保持する戻り止め、又はラッチ34などに勝る十分な力で間仕切壁28を押し又は引くことで、間仕切壁28が動かせるようになりうる。格納位置から展開位置へと戻す移動は、図7で示し説明したシーケンスとは逆とすることができる。図7に示す位置のシーケンスでは、遠位端208と近位端152との間の中間の間仕切壁28の中心点は、間仕切壁28が格納位置と展開位置との間で遷移するにつれて、非直線的な経路に沿って移動する。中心点は、間仕切壁28がトラック230、232に沿って移動する間、間仕切壁28の旋回に因り非直線的に移動する。例えば、間仕切壁28はおおまかに、(側壁220に向かって)側方に摺動するが旋回もし、従って、間仕切壁28の向きが、休憩室126内の周囲の要素に対して変化する(例えば、一定ではない)。
【0046】
代替的な実施形態において、第2のトラック232が非直線的であり得、間仕切壁28に第1の洗面台142といった固定物を避けさせるよう成形されうる。例えば、第2のトラック232の左側区分が、シャフトから延びるホッケイのスティックの刃のように、休憩室126の後壁272に向かって長手方向に湾曲してよい。第1のトラック230の左側区分はまた、より大きく湾曲してよく、後壁272に向かってより遠くまで延在してよい。その結果、格納位置の間仕切壁28は、第1の洗面台142と後壁272との間に位置するため、所定の経路によって、間仕切壁28は、格納位置において第1の洗面台142の少なくとも一部分を迂回するよう案内される。
【0047】
図8は、一実施形態に係る、第1のトラック230を含む第1のトラックアセンブリ302の斜視図である。第1のトラックアセンブリ302は、休憩室126の天井303に取り付けることができる。第1のトラックアセンブリ302は、ランナ237が比較的小さな摩擦及び騒音でトラック230に沿って移動するのを可能にする任意の機械的なリンク機構を含みうる。ランナ237は、図示される実施形態では、天井303より下方に配置されているが、他の実施形態において、視界からランナ237を隠すために、天井303より上に取り付けられうる。図8及び図9は、例示的な第1のトラックアセンブリ302を示している。他の実施形態が、第1のトラックアセンブリ302のための異なる仕組みを有しうる。図8では、間仕切壁28上のブラケット306が、回転運動を可能にする旋回要素308(例えば、ピン)を収容する。旋回要素308は、ランナ237を表すキャリッジ310に結合されている。キャリッジ310は、トラック230に固定されており、トラック230に沿って移動して間仕切壁28を動かす。
【0048】
図9は、一実施形態に係る、第1のトラックアセンブリ302のキャリッジ310及び第1のトラック230の斜視図である。トラック230は、天井303に取り付けることができ、少なくとも名目上の距離だけ(例えば、2~5cm)天井303から下方に下がっていてよい。キャリッジ310が、ローラホイール312を含み、ローラホイール312はトラック230を間に挟んでおり、トラック230の対応するレース314内に収容されている。任意選択的に、キャリッジ310が、キャリッジ旋回軸を含むことができ、キャリッジ旋回軸によって、キャリッジ310のハウジング又はトラックが、キャリッジ310の本体に対して独立して回転することが可能となる。キャリッジ310は、トラック230に沿って所定の経路をスムーズに移動することができる。
【0049】
図10は、一実施形態に係る、第2のトラック232を含む第2のトラックアセンブリ322の斜視図である。第2のトラックアセンブリ322は、天井303(図9に図示)に取り付けることができる。第2のトラックアセンブリ322は、ランナ237が比較的小さな摩擦及び騒音でトラック232に沿って移動するのを可能にする任意の機械的なリンク機構を含む。図10は、例示的な第2のトラックアセンブリ322を示している。他の実施形態が、異なる仕組みを有しうる。間仕切壁28上のブラケット326が、回転運動を可能にする旋回要素328(例えば、ピン)を収容する。旋回要素328は、ベアリングブラケット330及びベアリングキャリッジ332に接続されている。ベアリングキャリッジ332は自在に第2のレール232に沿って横方向に移動する。
【0050】
図11図14は、ルーム再構成システム10の他の実施形態を示している。図11は、第2の実施形態に係る、ルーム再構成システム10を示す。第2の実施形態は、図4図10に示した第1の実施形態と同様であり、主な違いは、間仕切壁28と第2のトラック232との間の第2の接続点236が、間仕切壁の長手方向の長さに沿って移動しうることである。例えば、間仕切壁28は、トラック402を含むことができ、トラック402は、上端202にあり長手方向の長さに沿って延在するよう伸長している。トラック402は、間仕切壁28の近位端202内のスロットによって画定されうる。代替的に、トラック402は、上端202に取り付けられたブラケットによって画定されうる。第2の接続点236にあるランナのピン404は、間仕切壁28が格納位置と展開位置との間で遷移する間に、トラック402の長さに沿って移動しうる。図11は、展開位置(右側)、格納位置(左側)、及び中間位置を含む間仕切壁28の3つの瞬間的位置を示している。間仕切壁28の下端204(図4に図示)が、トラック402と同様でありトラック402と位置合わせされた第2のトラックを含みうる。第2のランナの第2のピンは、間仕切壁28が遷移する間、第2のトラックの長さに沿って移動しうる。結果として、間仕切壁28が第1のトイレ140の輪郭の周りを移動するときには、間仕切壁の近位端152が、第2のトラック232を超えて出入口26の向こう側へと突出しうる。近位端152は、休憩室126の設置面積及び/又は外縁部の外に延在しうる。近位端152は、休憩室126の外の通路を通ってさっと動いた(sweep)後に、休憩室126の設置面積及び/又は外縁部の中に後退することができる。摺動する接続点236に因り、間仕切壁28は、回転/旋回することなく、展開位置と格納位置との間で遷移することが可能である。例えば、間仕切壁28は、所定の経路に沿って横方向と長手方向の両方に移動することができる。間仕切壁の角度方向は、遷移中に相対的に一定であり得、出入口26及び休憩室126内の固定物に対して一定の配向を維持しうる。
【0051】
図12は、第3の実施形態に係る、ルーム再構成システム10を示す。第3の実施形態では、第1の実施形態のように、非直線的なトラック及び直線的なトラックを含むが、基本的に、2つのトラックの位置が入れ替えられている。例えば、直線的なトラック420が、第1のトイレ140の近傍に位置しており、非直線的なトラック422が、出入口26の近傍に位置している。格納位置への遷移中に間仕切壁28が第1のトイレ140を避けるのを可能とするために、直線的なトラック420は、天井303(図8に図示)に沿ってほぼ中央に位置しうる。例えば、直線的なトラック420は、第1のトイレ140の前方の、第1のトイレ140と出入口26との間の空間に配置されうる。図12の非直線的なトラック422は、おおむねフック形状をしており、内部の固定物を避け休憩室126の設置面積及び/又は外縁部の範囲内に留まる間仕切壁の所望の移動を提供する。例えば、非直線的なトラック422によって、間仕切壁28は、近位端152が非直線的なトラック422の長さに沿って移動する間に、旋回することが可能となる。
【0052】
図13は、第4の実施形態に係る、ルーム再構成システム10を示す。第4の実施形態ではトラックが無く、その代わりに、格納位置と展開位置との間で間仕切壁28を動かすために、少なくとも第1の旋回カンチレバーアーム430を使用する。例えば、第1の旋回カンチレバーアーム430は、間仕切壁28の上端202に取り付けることができる。一実施形態において、第2の旋回カンチレバーアームが、間仕切壁28の下端204(図4に図示)に取り付けられる。第2の旋回カンチレバーアームは、第1の旋回カンチレバーアーム430と位置合わせされうる。第1のカンチレバーアーム430は、第2のカンチレバーアームから垂直方向に離して配置されうる。各カンチレバーアームは、休憩室126の後壁272に固定されうる。旋回点が、カンチレバーアーム430の各末端に位置しうる。間仕切壁28は、当該間仕切壁28が第1のトイレ140を避けつつ格納位置と展開位置との間を移動する間に、後壁272に対して揺動し、かつカンチレバーアーム430に対して回転することが可能である。
【0053】
先に記載の1つ以上の実施形態の間仕切壁28は、折畳線又はヒンジを含まない中実の、堅くて曲がらない構成を有しうる。代替的な実施形態において、間仕切壁は複数のパネルを含むことができ、複数のパネルは、展開位置では同一線上にあり、格納位置では又は少なくとも展開位置と格納位置との間の遷移中には、重複する形で重なり合っている。例えば、図14は、第5の実施例に係るルーム再構成システム10を示す。第5の実施形態の間仕切壁28は、互いに対して摺動しうる2つの別個のパネル440、442を含む。展開位置が左手に、参照符号444で示されている。展開位置から、2つのパネルのうちの遠位パネル442は、出入口26に向かって、2つのパネルのうちの近位パネル440と重なる重複位置へと摺動することが可能である。重なり合ったパネル440、442は、第1のトイレ140の前方の(例えば、第1のトイレ140と出入口26との間の)、参照符号448によって示される中間位置に位置しうる。その後、重なり合ったパネル440、442は、側壁220に向かって横方向に移動して、参照符号450に示される格納位置に達しうる。格納位置への遷移は、遠位パネル442が、近位パネル440と重なるための近位方向452への(例えば、出入口26に向かった)第1の長手方向の遷移と、その後の、重なり合ったパネル440、442が側壁220に向かって横方向454に摺動することと、を含みうる。
【0054】
任意選択的に、1つ以上の代替的な実施形態において、間仕切壁28が1つ以上のヒンジを含みうる。例えば、間仕切壁は、垂直方向のヒンジを介して互いに接続された2つのパネルを含みうる。間仕切壁の遠位パネルと近位パネルとは、互いに対して折り畳み又は曲げることが可能である。遠位パネルが、任意選択的に、膝壁を収容する切り欠き部を含むことができ、膝壁は、永続的に定位置に固定されており、床に又は床の近傍に取り付けられている。パネルは、互いに対して平行ではないトラックに取り付けることができ、これにより、間仕切壁が固定物に接触することなく格納位置に達するために格納位置へと移動する間に、パネルは、互いに対して曲げられ又は旋回させられる。代替的に、トラックのうちの少なくとも1つが非直線的であってよく、遠位パネルに第1のトイレの輪郭の周りを移動させるよう成形することができ、その際に、切り欠き部は必要とならない。
【0055】
他の代替的な実施形態において、間仕切壁が、当該間仕切壁を少なくとも3つパネルにさらに分割するための、第1の垂直方向のヒンジ及び第2の垂直方向のヒンジを含みうる。第2のヒンジによって、ヒンジが1つしかなく又はヒンジが無い場合よりもより良好に、間仕切壁を休憩室の内部形状に対して適合させられるようになりうる。さらに別の代替的な実施形態において、間仕切壁が、全長をカバーする垂直方向のヒンジによって接続された2つのパネルを含みうる。間仕切壁は、天井のトラックに取り付けることができる。遠位パネルは、間仕切壁が展開位置から格納位置に向かって動く間に、第1のトイレを避けるために近位パネルに向かって折り畳むことができる。
【0056】
本明細書に記載される1つ以上の実施形態の利点には、2つの領域の間の領域内の永続的な邪魔なもの及び障害物を無くすことが含まれうる。例えば、間仕切壁が格納位置にあるときには、ユーザは、トイレの間の空間内を自由に動くことが可能であり、その際に、間仕切壁と関連する永続的な障害物に車椅子が躓き又は引っかかる危険性は無い。例えば、一部の従来の可動的な間仕切壁は、展開位置にあるときには、膝壁と位置合わせされる。膝壁は、展開位置にあるときに間仕切壁の延長部を形成する永続的な構造である。膝壁が存在することで、間仕切壁の可動的な部分は、トイレに干渉することなく、格納位置に遷移することが可能となる。膝壁の存在により、結合された空間内にいるユーザの動きが制限される可能性がありうる。代替的に、本明細書に記載のルーム再構成システムの一実施形態は膝壁を含むことができるが、膝壁は、ユーザの動きを妨害するのを避けるため、周知の膝壁よりも小さくより邪魔にならない。
【0057】
代替的な実施形態において、間仕切壁は、2つのレールによって休憩室の構造に取り付けることができ、上記レールに沿って横方向に移動することができる。任意選択的に、間仕切壁が、第1のトイレに接触するのを避けるために、切り欠き部分又は膝壁を含みうる。後壁に最も近いトラックが、直線的な区分と、当該トラックの左端の(例えば、格納位置に対応する)、湾曲した区分と、を含みうる。湾曲した区分によって、間仕切壁を、格納位置において側壁の近くで格納することが可能となりうる。
【0058】
図15は、一実施形態に係る再構成システムを提供する方法のフロー図500である。本方法は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態に係るルーム再構成システム10を実現するために実行される。任意選択的に、本方法は、追加のステップ、異なるステップを含むことができ、及び/又は、ステップは、図15を参照して示され記載されるものとは異なる順序で実行されてよい。
【0059】
ステップ502において、第1のトラック230が、ルーム12の天井303に設置される。ステップ504において、第2のトラック232が、ルーム12の天井303に設置される。2つのトラック230、232は互いに間隔を置かれている。トラック230、232は、間仕切壁28の移動を制御するための所定の経路を提供する。ステップ506において、間仕切壁28が、第1のトラック230及び第2のトラック232に取り付けられる。間仕切壁28は、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を可動である。展開位置では、間仕切壁28は、ルーム12を2つの別個の領域18、22に分ける。格納位置にある間仕切壁28は、2つの別個の領域18、22の代わりに、結合した領域30を画定する。間仕切壁28は、それぞれのランナ237を介してトラック230、232に取り付けることができる。ランナ237は、間仕切壁28が所定の経路に沿って移動する間、トラック230、232に沿って摺動することができる。一実施形態において、第1のトラック230と第2のトラック232とが互いに平行でなくてよい。間仕切壁28は、移動及び旋回させることで、所定の経路に沿って動かすことができる。例えば、間仕切壁28は、間仕切壁28を旋回させられるよう回転可能な第1の接続点234及び第2の接続点236においてそれぞれ、トラック230、232に取り付けられうる。
【0060】
一実施例において、ルーム12が休憩室126である。ルーム126は、航空機100内に位置しうる。2つの別個の領域18、22は、それぞれのトイレ140、144及び洗面台142、146を有する2つの異なる個室を表している。展開位置では、間仕切壁28が、プライバシーを提供するために、2つの個室の間(例えば、2つのトイレ140、144の間)に配置されうる。格納位置では、間仕切壁28は、もはやトイレ140、144の間にはなく、休憩室126の側壁220のところに又は当該側壁220の近傍に位置しうる。一例において、所定の経路によって、間仕切壁28に、第1のトイレ140に接触することなく、第1のトイレ140の前方部分の周りを非直線的に移動させることができる。例えば、第1のトラック230は、第1のトイレ140の周りで湾曲する非直線的な形状を有しうる。任意選択的に、所定の経路によって、間仕切壁28が格納位置と展開位置との間を移動する間、間仕切壁28に休憩室126の設置面積の範囲内にとどまらせることができる。
【0061】
更に、本開示は以下の条項に係る実施例を含む。
【0062】
条項1.化粧室であって、
化粧室を2つの別個の領域に分ける展開位置と、2つの別個の領域の代わりに、結合した領域を画定する格納位置と、の間を所定の経路に沿って可動な間仕切壁であって、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を移動する間仕切壁を備えた、化粧室。
【0063】
条項2.間仕切壁が、化粧室の天井に沿って両方とも取り付けられた第1のトラック及び第2のトラックに結合されており、第1のトラック及び第2のトラックが、間仕切壁のための所定の経路を提供する、条項1に記載の化粧室。
【0064】
条項3.間仕切壁が、第1の接続点で第1のトラックに結合されており、かつ第2の接続点で第2のトラックに結合されており、間仕切壁が、第1の接続点と第2の接続点のそれぞれにおいて回転可能である、条項2に記載の化粧室。
【0065】
条項4.第1のトラックが非直線的である、条項2に記載の化粧室。
【0066】
条項5.第2のトラックが直線的である、条項4に記載の化粧室。
【0067】
条項6.第1のトラックは、間仕切壁に、化粧室内の少なくとも1つの固定物の輪郭の周りを、当該少なくとも1つの固定物に接触せずに移動させるよう成形され配置されている、条項4に記載の化粧室。
【0068】
条項7.間仕切壁は、所定の経路に沿って展開位置と格納位置の間を移動する間に、化粧室の側壁に向かって移動し、かつ間仕切壁の垂直軸周りを回転するよう構成される、条項1から6のいずれか一項に記載の化粧室。
【0069】
条項8.間仕切壁は、格納位置において、展開位置において、及び格納位置と展開位置との間を移動するときに、化粧室の設置面積の範囲内に配置されたままである、条項1から7のいずれか一項に記載の化粧室。
【0070】
条項9.格納位置では、間仕切壁が、化粧室の出入口に隣接する化粧室の側壁の近傍に配置される、条項1から8のいずれか一項に記載の化粧室。
【0071】
条項10.化粧室が、2つの別個の領域の第1の領域内の第1のトイレ、及び2つの別個の領域の第2の領域内の第2のトイレをさらに含み、間仕切壁が格納位置にあるときには、化粧室の床には、第1のトイレと第2のトイレの間に何も障害物が存在しない、条項1から9のいずれか一項に記載の化粧室。
【0072】
条項11.化粧室が、2つの別個の領域の第1の領域内の第1のトイレ、及び2つの別個の領域の第2の領域内の第2のトイレをさらに含み、所定の経路が、間仕切壁の遠位端に、第1のトイレの輪郭に沿って第1のトイレに接触せずに非直線的に移動させるよう構成される、条項1から10のいずれか一項に記載の化粧室。
【0073】
条項12.間仕切壁が、曲げられ又は折り畳まれることなく、格納位置と展開位置との間を移動するよう構成される、条項1から11のいずれか一項に記載の化粧室。
【0074】
条項13.間仕切壁が格納位置と展開位置との間を通る所定の経路が非直線的である、条項1から12のいずれか一項に記載の化粧室。
【0075】
条項14.間仕切壁が、当該間仕切壁の下端に磁石を含み、化粧室が、当該化粧室の床の下に配置された磁気的トラックを含み、磁気的トラックが、間仕切壁内の磁石と相互作用する鉄材料を含む、条項1から13のいずれか一項に記載の化粧室。
【0076】
条項15.航空機であって、
化粧室を備え、化粧室が、
第1のトイレと、
第2のトイレと、
所定の経路に沿って格納位置と格納位置との間を移動するよう構成された間仕切壁であって、展開位置にある間仕切壁は、第1のトイレと第2のトイレの間に配置されており、間仕切壁が格納位置にあるときには、第1のトイレは、間仕切壁と第2のトイレとの間に配置され、間仕切壁が展開位置にあるときに対してより大きな開放空間を提供する、間仕切壁と、
を含む、航空機。
【0077】
条項16.所定の経路は間仕切壁に、展開位置と格納位置との間を移動する間に、化粧室の側壁に向かって移動させ、かつ間仕切壁の垂直軸周りに回転させる、条項15に記載の航空機。
【0078】
条項17.間仕切壁の所定の経路は、間仕切壁の遠位端に、第1のトイレの輪郭に沿って第1のトイレに接触せずに非直線的に移動させる、条項15又は16に記載の航空機。
【0079】
条項18.化粧室が、航空機の客室内に配置される、条項15から17のいずれか一項に記載の航空機。
【0080】
条項19.間仕切壁は、化粧室の天井に沿って取り付けられた第1のトラック及び第2のトラックに結合されており、第1のトラック及び第2のトラックが、間仕切壁のための所定の経路を提供し、第1のトラックが非直線的である、条項15から18のいずれか一項に記載の航空機。
【0081】
条項20.方法であって、
化粧室の天井に第1のトラックを設置することと、
化粧室の天井に第2のトラックを設置することと、
第1のトラック及び第2のトラックに間仕切壁を取り付けることであって、間仕切壁が第1のトラック及び第2のトラックによって定められた所定の経路に沿って可動である、間仕切壁を取り付けることと、
を含み、間仕切壁が、所定の経路に沿って展開位置と格納位置との間を可動であり、展開位置にある間仕切壁は、化粧室を2つの別個の領域に分けるよう構成され、格納位置にある間仕切壁は、2つの別個の領域の代わりに、結合した領域を画定するよう構成される、方法。
【0082】
本開示の実施形態の説明のために、上部、底部、下方、中央、横方向、水平方向、垂直方向、前方といった空間及び方向に関する様々な用語が使用されうるが、このような用語は単に、図面で示される配向に対して使用されているにすぎないことを理解されたい。上部を下部にする、又はその反対、水平方向が水平方向になるといったように、配向を反転させ、回転させ又はそうでなければ変更することが可能である。
【0083】
本明細書では、タスク又は動作を実行する「よう構成された(configured to)」構造、限定事項、又は要素は、当該タスク又は動作に対応するやり方で、特に構造的に形成され、構成され又は適合されている。明確にするため、かつ誤解を避けるために、タスク又は動作を実行するために変更可能であるに過ぎない対象物は、本明細書では、タスク又は動作を実行する「よう構成された」ものではない。
【0084】
先の明細書の記載は、制限ではなく例示を意図していると理解されたい。例えば、上述した実施形態(及び/又はその態様)は、互いに組み合わせて使用することが可能である。さらに、特定の状況又は材料に適合させるために、本開示の様々な実施形態の教示に対して、その範囲から逸脱することなく多くの変更を行うことが可能である。本明細書に記載の材料の寸法及び種類では、本開示の様々な実施形態のパラメータを定めることが意図されているが、当該実施形態は決して限定的なものではなく、例示的な実施形態である。上の明細書の記載を精査することで、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲とともに、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲、及び本明細書の詳細な説明において、「含む(including)」及び「ここで(in which)」という用語はそれぞれ、「含む(comprising)」及び「ここで(wherein)」という用語の明白な同義語として使用される。さらに、「第1の(first)」、「第2の(second)」及び「第3の(third)」等の用語は、単にラベルとして使用されており、それらの対象物に数的要件を付すことを意図するものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記述されておらず、かかる特許請求の範囲の限定が、更なる構造を欠く機能の記述が後続する、「~のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0085】
ここに記載した説明では、ベストモードを含む本開示の様々な実施形態を開示するために、さらに、当業者が任意のデバイス又はシステムの作製及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含めて本開示の様々な実施形態を実施することを可能とするために、実施例を使用している。本開示の様々な実施形態の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の実施例を含みうる。かかる他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と相違しない構成要素を有する場合、又は、実施例が、特許請求の範囲の文言とごくわずかな相違しかない均等な構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】