(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075568
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】TIGIT阻害剤及び抗癌剤を使用する癌の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240528BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240528BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240528BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240528BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20240528BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20240528BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20240528BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240528BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240528BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240528BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240528BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240528BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240528BHJP
C12N 15/115 20100101ALN20240528BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240528BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/537 ZNA
A61K31/7034
A61K31/7088
A61K35/17
A61K38/05
A61K38/19
A61K38/21
A61K39/00 H
A61K39/39
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K16/28
C12N15/115 Z
C12N15/113 Z
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024026145
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2021198263の分割
【原出願日】2015-07-16
(31)【優先権主張番号】62/025,394
(32)【優先日】2014-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グローガン, ジェーン エル.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】癌の治療、またはその進行遅延方法ならびに癌の再発を低減または阻害するための方法を提供する。
【解決手段】有効量のTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を患者に投与することを含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における癌の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項2】
個体における癌再発または癌進行の低減または阻害方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項3】
癌を有する個体における腫瘍免疫の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項4】
癌を有する個体における免疫応答または機能の増加、増強、または刺激方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を前記個体に投与することを含む、方法。
【請求項5】
前記個体が、T細胞機能不全性障害を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記T細胞機能不全性障害が、T細胞アネルギー、またはサイトカインを分泌する、増殖する、若しくは細胞溶解反応を実行する能力の減少を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記T細胞機能不全性障害が、T細胞疲弊(exhaustion)を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記T細胞が、CD4+及びCD8+T細胞である、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬、PVR発現及び/または活性の拮抗薬、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL3へのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
TIGIT発現及び/または活性の前記拮抗薬が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
PVR発現及び/または活性の前記拮抗薬が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
TIGITとPVRとの前記相互作用を阻害する及び/または遮断する前記薬剤が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
TIGITとPVRL2との前記相互作用を阻害する及び/または遮断する前記薬剤が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
TIGITとPVRL3との前記相互作用を阻害する及び/または遮断する前記薬剤が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
PVRへのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する前記薬剤が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する前記薬剤が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
PVRL3へのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する前記薬剤が、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記阻害核酸が、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、及びRNA-DNAキメラからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
TIGIT発現及び/または活性の前記拮抗薬が、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片である、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロ共役抗体、及び免疫毒素からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、アミノ酸配列(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または
(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのHVRを含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)のうちのいずれか1つに記載されるHVRと少なくとも90%同一である少なくとも1つのHVRを含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項26】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)若しくはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び/またはEVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)若しくはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、抗癌剤、及び抗癌療法を前記個体に投与することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗癌剤が、1つ以上の抗癌剤である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記1つ以上の抗癌剤が、2つ以上の抗癌剤である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ以上の抗癌剤が、3つ以上の抗癌剤である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の抗癌剤が、4つ以上の抗癌剤である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記抗癌療法が、1つ以上の抗癌療法である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の抗癌療法が、2つ以上の抗癌療法である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の抗癌療法が、3つ以上の抗癌療法である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の抗癌療法が、4つ以上の抗癌療法である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記抗癌療法が、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の癌療法が、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗癌剤が、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の抗癌剤が、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記化学療法剤または成長阻害剤が、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、抗代謝薬、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性剤または抗腫瘍抗生物質、プロテアソーム阻害剤、抗微小管剤、EGFR拮抗薬、レチノイド、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記標的治療剤が、B-raf阻害剤、MEK阻害剤、K-ras阻害剤、c-Met阻害剤、Alk阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、二重ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/mTOR阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項42】
キメラ抗原受容体を発現する前記T細胞が、優性ネガティブTGFβ受容体を含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項43】
前記抗体またはその抗原結合断片が、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、クリバツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ルプリズマブ、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブ(tacatuzumab)テトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、抗IL-12、及び抗IL-17からなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項44】
前記抗体またはその抗原結合断片が、CD52、VEGF-A、EGFR、CD20、HER2、HLA-DRB、CD62L、IL-6R、アミロイドβ、CD44、CanAg、CD4、TNFα、IL-2、CD25、補体C5、CD11a、CD22、C18、呼吸系発疹ウイルスF、インターフェロンγ、CD33、CEACAM5、IL-5、インテグリンα4、IgE、IL-4、IL-5、CD154、FAP、CD2、MUC-1、AFP、インテグリンαIIbβ3、ClfA、IL6R、CD40L、EpCAM、Shiga様毒素II、IL-12、IL-23、IL-17、及びCD3からなる群から選択される標的に特異的に結合する、請求項38または39に記載の方法。
【請求項45】
前記抗体薬物複合体が、メルタンシン、モノメチルオーリスタチンE、カリケアミシン、エスペラミシン、及び放射性同位体キレート剤からなる群から選択される薬物を含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項46】
前記血管新生阻害剤が、VEGF拮抗薬及びアンジオポエチン2拮抗薬からなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項47】
前記抗腫瘍剤が、CSF-1Rを標的とする薬剤、インターフェロン、GM-CSF、IL-2、IL-12、及びCD20を標的とする抗体からなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項48】
前記癌ワクチンが、ペプチド癌ワクチン、テーラーメイドペプチドワクチン、多価長ペプチドワクチン、マルチペプチドワクチン、ペプチドカクテルワクチン、ハイブリッドペプチドワクチン、及びペプチドパルス樹状細胞ワクチンからなる群から選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項49】
前記抗癌剤が、TLR作動薬、腫瘍壊死因子α、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、及びセレクチン作動薬からなる群から選択される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記1つ以上の抗癌剤が、TLR作動薬、腫瘍壊死因子α、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、セレクチン作動薬、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項28~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、継続的に投与される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、断続的に投与される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記抗癌剤または抗癌療法が、継続的に投与される、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記抗癌剤または抗癌療法が、断続的に投与される、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、前記抗癌剤または抗癌療法の前に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、前記抗癌剤または抗癌療法と同時に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、前記抗癌剤または抗癌療法の後に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記癌が、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頚部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び他の血液系悪性腫瘍からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記癌が、上昇したレベルのT細胞浸潤を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記個体における活性化CD4及び/またはCD8 T細胞が、γ-IFN+産生CD4及び/若しくはCD8 T細胞、ならびに/または前記組み合わせの投与前と比較して増強された細胞溶解反応を特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記CD4及び/またはCD8 T細胞が、IFN-γ、TNF-α、及びインターロイキンからなる群から選択されるサイトカインの放出増加を呈する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記CD4及び/またはCD8 T細胞が、エフェクターメモリーT細胞である、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞が、CD44高CD62L低の発現を有することを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
抗癌剤と、前記抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項65】
抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、前記抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を使用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項66】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項67】
抗癌剤と、前記抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項68】
抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、前記抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を使用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項69】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項70】
抗癌剤と、前記抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項71】
抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、前記抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を使用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項72】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項73】
抗癌剤と、前記抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項74】
抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、前記抗癌剤及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を使用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項75】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含む、キット。
【請求項76】
前記抗癌剤が、1つ以上の抗癌剤である、請求項64~75のいずれか一項に記載のキット。
【請求項77】
前記1つ以上の抗癌剤が、2つ以上の抗癌剤である、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記1つ以上の抗癌剤が、3つ以上の抗癌剤である、請求項76に記載のキット。
【請求項79】
前記1つ以上の抗癌剤が、4つ以上の抗癌剤である、請求項76に記載のキット。
【請求項80】
前記抗癌療法が、1つ以上の抗癌療法である、請求項66、69、72、または75のいずれか一項に記載のキット。
【請求項81】
前記1つ以上の抗癌療法が、2つ以上の抗癌療法である、請求項80に記載のキット。
【請求項82】
前記1つ以上の抗癌療法が、3つ以上の抗癌療法である、請求項80に記載のキット。
【請求項83】
前記1つ以上の抗癌療法が、4つ以上の抗癌療法である、請求項80に記載のキット。
【請求項84】
前記抗癌療法が、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項66、69、72、または75に記載のキット。
【請求項85】
前記1つ以上の抗癌療法が、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項66、69、72、75、または80~83に記載のキット。
【請求項86】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する前記薬剤が、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬、PVR発現及び/または活性の拮抗薬、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、ならびにPVRL3へのTIGIT結合によって媒介される前記細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤からなる群から選択される、請求項64~85のいずれか一項に記載のキット。
【請求項87】
TIGIT発現及び/または活性の前記拮抗薬が、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片である、請求項86に記載のキット。
【請求項88】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、アミノ酸配列(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのHVRを含む、請求項87に記載のキット。
【請求項89】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項87または88に記載のキット。
【請求項90】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項87~89のいずれか一項に記載のキット。
【請求項91】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含み、前記抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む、請求項87~89のいずれか一項に記載のキット。
【請求項92】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)のうちのいずれか1つに記載されるHVRと少なくとも90%同一である少なくとも1つのHVRを含む、請求項87に記載のキット。
【請求項93】
前記抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)若しくはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む前記軽鎖、及び/またはEVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)若しくはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む前記重鎖を含む、請求項92に記載のキット。
【請求項94】
前記抗癌剤が、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項64~93のいずれか一項に記載のキット。
【請求項95】
前記1つ以上の抗癌剤が、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項76~93のいずれか一項に記載のキット。
【請求項96】
前記化学療法剤または成長阻害剤が、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、抗代謝薬、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性剤または抗腫瘍抗生物質、プロテアソーム阻害剤、抗微小管剤、EGFR拮抗薬、レチノイド、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項94または95に記載のキット。
【請求項97】
前記標的治療剤が、B-raf阻害剤、MEK阻害剤、K-ras阻害剤、c-Met阻害剤、Alk阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、二重ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/mTOR阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項94または95に記載のキット。
【請求項98】
キメラ抗原受容体を発現する前記T細胞が、優性ネガティブTGF β受容体を含む、請求項94または95に記載のキット。
【請求項99】
前記抗体またはその抗原結合断片が、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、クリバツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ルプリズマブ、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブ(tacatuzumab)テトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、抗IL-12、及び抗IL-17からなる群から選択される、請求項94または95に記載のキット。
【請求項100】
前記抗体またはその抗原結合断片が、CD52、VEGF-A、EGFR、CD20、HER2、HLA-DRB、CD62L、IL-6R、アミロイドβ、CD44、CanAg、CD4、TNFα、IL-2、CD25、補体C5、CD11a、CD22、CD18、呼吸系発疹ウイルスF、インターフェロンγ、CD33、CEACAM5、IL-5、インテグリンα4、IgE、IL-4、IL-5、CD154、FAP、CD2、MUC-1、AFP、インテグリンαIIbβ3、ClfA、IL6R、CD40L、EpCAM、Shiga様毒素II、IL-12、IL-23、IL-17、及びCD3からなる群から選択される標的に特異的に結合する、請求項94または95に記載のキット。
【請求項101】
前記抗体薬物複合体が、メルタンシン、モノメチルオーリスタチンE、カリケアミシン、エスペラミシン、及び放射性同位体キレート剤からなる群から選択される薬物を含む、請求項94または95に記載のキット。
【請求項102】
前記血管新生阻害剤が、VEGF拮抗薬及びアンジオポエチン2拮抗薬からなる群から選択される、請求項94または95に記載のキット。
【請求項103】
前記抗腫瘍剤が、CSF-1Rを標的とする薬剤、インターフェロン、GM-CSF、IL-2、IL-12、及びCD20を標的とする抗体からなる群から選択される、請求項94または95に記載のキット。
【請求項104】
前記癌ワクチンが、ペプチド癌ワクチン、テーラーメイドペプチドワクチン、多価長ペプチドワクチン、マルチペプチドワクチン、ペプチドカクテルワクチン、ハイブリッドペプチドワクチン、及びペプチドパルス樹状細胞ワクチンからなる群から選択される、請求項94または95に記載のキット。
【請求項105】
前記抗癌剤が、TLR作動薬、腫瘍壊死因子α、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、及びセレクチン作動薬からなる群から選択される、請求項64~93のいずれか一項に記載のキット。
【請求項106】
前記1つ以上の抗癌剤が、TLR作動薬、腫瘍壊死因子α、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、セレクチン作動薬、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項76~93のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年7月16日提出の米国特許仮出願第62/025,394号の優先権の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:146392027240SEQLISTING.TXT、記録日:2015年7月9日、サイズ:11KB)。
【0003】
本開示は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を投与することによる、癌及び/または腫瘍免疫の治療方法に関する。
【背景技術】
【0004】
多くの免疫関連疾患が既知であり、広く研究されてきた。そのような疾患としては、免疫媒介性炎症性疾患、非免疫媒介性炎症性疾患、感染性疾患、及び免疫不全疾患が挙げられる。しかしながら、多くの癌はまた、様々な免疫細胞が抗癌細胞応答を開始することができるため、免疫系と相互に関連しているが、癌細胞は、これらの応答を抑制または回避する機序も有する。これらの疾患の起源は、多くの場合、複数段階の経路、及び多くの場合、複数の異なる生体系/経路を必要とするが、これらの経路のうちの1つ以上における臨界点での介入は、改善効果または治療効果を有し得る。治療的介入は、有害な過程/経路の拮抗作用、または有益な過程/経路の刺激のいずれかによって起こり得る。
【0005】
Tリンパ球(T細胞)は、哺乳類免疫応答の重要な構成要素である。T細胞は、主要組織適合複合体(MHC)内の遺伝子によってコードされた自己分子と関連付けられた抗原を認識する。抗原は、抗原提示細胞、ウイルス感染した細胞、及び癌細胞の表面上で、MHC分子と一緒に提示され得る。T細胞系は、宿主哺乳動物に対して健康脅威をもたらすこれらの変質した細胞を排除する。T細胞としては、ヘルパーT細胞及び細胞傷害性T細胞が挙げられる。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞上の抗原-MHC複合体の認識に続いて広く増殖する。ヘルパーT細胞はまた、B細胞、細胞傷害性T細胞、及び免疫応答に関与する他の細胞の活性化において中心的役割を果たす種々のサイトカイン、すなわち、リンフォカインを分泌する。ヘルパーT細胞の別の下位カテゴリーは、濾胞性ヘルパーT細胞(TFh)(概説については、Vineusaら,Nat.Rev.Immunol.5:853-865(2005)を参照されたい)。CXC-ケモカイン受容体5の特徴的な発現によって検出可能である(Schaerliら,J.Exp.Med.192:1553-62(2000))これらの細胞は、IL-10及び恐らくIL-21を産生することが見出された。TFh細胞は、B細胞との共培養中に、胚中心B細胞への援助を提供し、特にB細胞の生存及び増殖を補助し、抗体産生を強力に誘発する。それらはまた、免疫寛容導入と関係があるとされている。
【0006】
調節性T細胞(Treg)は、自己反応性免疫応答の阻害において重要な役割を果たすヘルパーT細胞のサブセットであり、多くの場合、腫瘍組織内などの慢性炎症の部位において見出される(Wang,H.Y.&Wang,R.F.,Curr Opin Immunol 19,217-23(2007))。Tregは、接触依存性機構及びサイトカイン産生を通じて、活性化T細胞上でそれらの抑制機能を果たす(Fehervari,Z.&Sakaguchi,Curr Opin Immunol 16,203-8(2004))。Tregはまた、樹状細胞(DC)上のリガンドとの直接相互作用によって免疫応答を調節する。DCは、自己抗原または非自己抗原に対して免疫性または耐性を誘発することができる専門的抗原提示細胞である。DCが拡張したTregは、生体外で同種反応性応答を抑制し(Yamazaki,S.ら,Proc Natl Acad Sci USA 103,2758-63(2006);Ahn,J.S.,Krishnadas,D.K.&Agrawal,Int Immunol 19,227-37(2007))、養子移入された場合、適切なTregは、NOD.scidマウスにおいて糖尿病(Tarbell,K.V.ら,J Exp Med 199,1467-77(2004))または実験的に誘発された喘息(Lewkowich,I.P.らJ Exp Med 202,1549-61(2005))を阻害した。
【0007】
Treg細胞内で発現される新たな共刺激分子を検索するために、検索を実行して、Igドメイン及び免疫受容体チロシン系活性化または阻害(ITAM/ITIM)モチーフを両方とも有していた、T細胞内で特異的に発現される遺伝子を特定した(Abbas,A.R.ら,Genes Immun 6,319-31(2005))。これらの2つのゲノムワイドな生物情報学検索戦略の交点を通じて、IgVドメイン、膜貫通ドメイン、及び2つの推定免疫受容体チロシン阻害モチーフをコードするタンパク質を有する新規の細胞表面結合タンパク質が特定された(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20040121370号を参照されたい)。TIGITと表記されるタンパク質(T細胞-Ig及びITIMドメインを表す)は、T細胞、特にTreg及びメモリー細胞サブセット、ならびにNK細胞上で発現されることが示された。
【0008】
抗癌応答を開始するように免疫系の細胞を調節する新たな治療薬及び方法の必要性がある。具体的には、癌細胞を根絶することができるNK細胞及び/または持続する抗癌応答を維持することができるメモリーT細胞の抗癌機能を促進する薬剤が非常に有利である。
【0009】
特許出願、特許公報、及びUniProtKB/Swiss-Prot受入番号を含む、本明細書において引用される全ての参照文献は、あたかも各個別の参照文献が参照により具体的かつ個別に組み込まれることが示されたかのように、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を投与することを含む、併用治療を説明する。
【0011】
ある特定の態様において、本開示は、個体における癌の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法を提供する。他の態様において、本開示は、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための医薬品の製造における、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤の使用を提供し、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤が、抗癌剤または抗癌療法と併用される。他の態様において、本開示は、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための医薬品の製造における、有効量の抗癌剤の使用を提供し、該抗癌剤が、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用される。他の態様において、本開示は、癌を治療するかまたはその進行を遅らせることにおいて、抗癌剤または抗癌療法と併用するための、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を含む、薬学的組成物を提供する。他の態様において、本開示は、癌を治療するかまたはその進行を遅らせることにおいて、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用するための、抗癌剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0012】
他の態様において、本開示は、個体における癌再発または癌進行の低減または阻害方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法を提供する。他の態様において、本開示は、個体における癌再発または癌進行を低減または阻害するための医薬品の製造における、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤の使用を提供し、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤が、抗癌剤または抗癌療法と併用される。他の態様において、本開示は、個体における癌再発または癌進行を低減または阻害するための医薬品の製造における、有効量の抗癌剤の使用を提供し、該抗癌剤が、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用される。他の態様において、本開示は、癌再発または癌進行を低減または阻害することにおいて、抗癌剤または抗癌療法と併用するための、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を含む、薬学的組成物を提供する。他の態様において、本開示は、癌再発または癌進行を低減または阻害することにおいて、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用するための、抗癌剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0013】
他の態様において、本開示は、癌を有する個体における腫瘍免疫の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法を提供する。他の態様において、本開示は、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための医薬品の製造における、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤の使用を提供し、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤が、抗癌剤または抗癌療法と併用される。他の態様において、本開示は、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための医薬品の製造における、有効量の抗癌剤の使用を提供し、該抗癌剤が、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用される。他の態様において、本開示は、腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせることにおいて、抗癌剤または抗癌療法と併用するための、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を含む、薬学的組成物を提供する。他の態様において、本開示は、腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせることにおいて、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用するための、抗癌剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0014】
他の態様において、本開示は、癌を有する個体における免疫応答または機能の増加、増強、または刺激方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法を提供する。他の態様において、本開示は、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための医薬品の製造における、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤の使用を提供し、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤が、抗癌剤または抗癌療法と併用される。他の態様において、本開示は、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための医薬品の製造における、有効量の抗癌剤の使用を提供し、該抗癌剤が、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用される。他の態様において、本開示は、免疫応答または機能を増加、増強、または刺激することにおいて、抗癌剤または抗癌療法と併用するための、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を含む、薬学的組成物を提供する。他の態様において、本開示は、免疫応答または機能を増加、増強、または刺激することにおいて、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用するための、抗癌剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0015】
他の態様において、本開示は、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤を含む組み合わせを提供する。
【0016】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、個体は、T細胞機能不全性障害を有する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、T細胞機能不全性障害は、T細胞アネルギー、またはサイトカインを分泌する、増殖する、若しくは細胞溶解反応を実行する能力の減少を特徴とする。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、T細胞機能不全性障害は、T細胞疲弊(exhaustion)を特徴とする。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、T細胞は、CD4+及びCD8+T細胞である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬、PVR発現及び/または活性の拮抗薬、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL3へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、PVR発現及び/または活性の拮抗薬は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、PVRL3へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤は、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、阻害核酸は、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、及びRNA-DNAキメラからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、阻害抗体またはその抗原結合断片は、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロ共役抗体、及び免疫毒素からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または
(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含み、該抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)のうちのいずれか1つに記載されるHVRと少なくとも90%同一である少なくとも1つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)若しくはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び/またはEVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)若しくはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、方法は、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、抗癌剤、及び抗癌療法を個体に投与することを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤は、1つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、2つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、3つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、4つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、5つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌療法は、1つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、2つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、3つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、4つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、5つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌療法は、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤は、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、方法は、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、抗癌剤、及び抗癌療法を個体に投与することを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、化学療法剤または成長阻害剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、抗代謝薬、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性剤または抗腫瘍抗生物質、プロテアソーム阻害剤、抗微小管剤、EGFR拮抗薬、レチノイド、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、標的治療剤は、B-raf阻害剤、MEK阻害剤、K-ras阻害剤、c-Met阻害剤、Alk阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、二重ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/mTOR阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、キメラ抗原受容体を発現するT細胞は、優性ネガティブTGFベータ受容体を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、
アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol)、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、クリバツズマブ(clivatuzumab)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ルプリズマブ、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブ(tacatuzumab)テトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、抗IL-12、及び抗IL-17からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、CD52、VEGF-A、EGFR、CD20、HER2、HLA-DRB、CD62L、IL-6R、アミロイドベータ、CD44、CanAg、CD4、TNFアルファ、IL-2、CD25、補体C5、CD11a、CD22、CD18、呼吸系発疹ウイルスF、インターフェロンガンマ、CD33、CEACAM5、IL-5、インテグリンα4、IgE、IL-4、IL-5、CD154、FAP、CD2、MUC-1、AFP、インテグリンαIIbβ3、ClfA、IL6R、CD40L、EpCAM、Shiga様毒素II、IL-12、IL-23、IL-17、及びCD3からなる群から選択される標的に特異的に結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体薬物複合体は、メルタンシン、モノメチルオーリスタチンE、カリケアミシン、エスペラミシン、及び放射性同位体キレート剤からなる群から選択される薬物を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、血管新生阻害剤は、VEGF拮抗薬及びアンジオポエチン2拮抗薬からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗腫瘍剤は、CSF-1Rを標的とする薬剤、インターフェロン、GM-CSF、IL-2、IL-12、及びCD20を標的とする抗体からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、癌ワクチンは、ペプチド癌ワクチン、テーラーメイドペプチドワクチン、多価長ペプチドワクチン、マルチペプチドワクチン、ペプチドカクテルワクチン、ハイブリッドペプチドワクチン、及びペプチドパルス樹状細胞ワクチンからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤は、TLR作動薬、腫瘍壊死因子アルファ、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、及びセレクチン作動薬からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、TLR作動薬、腫瘍壊死因子アルファ、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、セレクチン作動薬、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、継続的に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、断続的に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤または抗癌療法は、継続的に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤または抗癌療法は、断続的に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、抗癌剤または抗癌療法の前に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、抗癌剤または抗癌療法と同時に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、抗癌剤または抗癌療法の後に投与される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌、乳癌、膵癌、胃癌、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頚部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、菌状息肉腫、メルケル細胞癌、及び他の血液系悪性腫瘍からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、癌は、上昇したレベルのT細胞浸潤を有する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、個体における活性化CD4及び/またはCD8 T細胞は、γ-IFN+産生CD4及び/若しくはCD8 T細胞、ならびに/またはその組み合わせの投与前と比較して増強された細胞溶解反応を特徴とする。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、IFN-γ、TNF-α、及びインターロイキンからなる群から選択されるサイトカインの放出増加を呈する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、CD4及び/またはCD8エフェクターメモリーT細胞は、CD44高CD62L低の発現を有することを特徴とする。
【0017】
他の態様において、本開示は、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。
【0018】
他の態様において、本開示は、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。
【0019】
他の態様において、本開示は、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。
【0020】
他の態様において、本開示は、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。他の態様において、本開示は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含むキットを提供する。
【0021】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、2つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、3つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、4つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、5つ以上の抗癌剤である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌療法は、1つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、2つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、3つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、4つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、5つ以上の抗癌療法である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌療法は、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌療法は、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬、PVR発現及び/または活性の拮抗薬、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、ならびにPVRL3へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬は、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の軽鎖が、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含み、該抗体の重鎖が、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、(1)KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、または(2)RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)のうちのいずれか1つに記載されるHVRと少なくとも90%同一である少なくとも1つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)若しくはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び/またはEVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)若しくはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤は、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、化学療法剤または成長阻害剤は、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、
タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、抗代謝薬、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性剤または抗腫瘍抗生物質、プロテアソーム阻害剤、抗微小管剤、EGFR拮抗薬、レチノイド、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、標的治療剤は、B-raf阻害剤、MEK阻害剤、K-ras阻害剤、c-Met阻害剤、Alk阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、二重ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/mTOR阻害剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、キメラ抗原受容体を発現するT細胞は、優性ネガティブTGF β受容体を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネオズマブ、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol)、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、クリバツズマブ(clivatuzumab)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ルプリズマブ、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブ(tacatuzumab)テトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、抗IL-12、及び抗IL-17からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、CD52、VEGF-A、EGFR、CD20、HER2、HLA-DRB、CD62L、IL-6R、アミロイドベータ、CD44、CanAg、CD4、TNFアルファ、IL-2、CD25、補体C5、CD11a、CD22、CD18、呼吸系発疹ウイルスF、インターフェロンγ、CD33、CEACAM5、IL-5、インテグリンアルファ4、IgE、IL-4、IL-5、CD154、FAP、CD2、MUC-1、AFP、インテグリンαIIbβ3、ClfA、IL6R、CD40L、EpCAM、Shiga様毒素II、IL-12、IL-23、IL-17、及びCD3からなる群から選択される標的に特異的に結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体薬物複合体は、メルタンシン、モノメチルオーリスタチンE、カリケアミシン、エスペラミシン、及び放射性同位体キレート剤からなる群から選択される薬物を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、血管新生阻害剤は、VEGF拮抗薬及びアンジオポエチン2拮抗薬からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗腫瘍剤は、CSF-1Rを標的とする薬剤、インターフェロン、GM-CSF、IL-2、IL-12、及びCD20を標的とする抗体からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、癌ワクチンは、ペプチド癌ワクチン、テーラーメイドペプチドワクチン、多価長ペプチドワクチン、マルチペプチドワクチン、ペプチドカクテルワクチン、ハイブリッドペプチドワクチン、及びペプチドパルス樹状細胞ワクチンからなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗癌剤は、TLR作動薬、腫瘍壊死因子α、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、及びセレクチン作動薬からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、TLR作動薬、腫瘍壊死因子α、IL-1、HMGB1、IL-10拮抗薬、IL-4拮抗薬、IL-13拮抗薬、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1作動薬、ICAM1作動薬、セレクチン作動薬、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I. 一般技術
本明細書において記載されるか、または参照される技法及び手順は、当業者によって一般に十分に理解され、従来の方法論、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,ら編,(2003))、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor 編(1995)),Harlow and Lane,編(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,版(1987))、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,版,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,版,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),版,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,編,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,編)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,編,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullisら,編,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら,編,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,版,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,編,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,編,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVitaら,編,J.B.Lippincott Company,1993)に記載される、広く利用される方法論などを使用して一般に用いられる。
【0023】
II. 定義
「拮抗薬」という用語は、最も広い意味で使用され、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を部分的に、または完全に遮断、阻害、または中和する任意の分子を含む。同様に、「作動薬」という用語は、最も広い意味で使用され、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を模倣する任意の分子を含む。好適な作動薬または拮抗薬分子は、具体的には、天然ポリペプチド、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子などの作動薬若しくは拮抗薬抗体または抗体断片、断片、またはアミノ酸配列変異体を含む。ポリペプチドの作動薬または拮抗薬の特定方法は、ポリペプチドを候補作動薬または拮抗薬分子と接触させることと、該ポリペプチドと通常関連付けられる1つ以上の生物活性における検出可能な変化を測定することと、を含み得る。
【0024】
「アプタマー」という用語は、ポリペプチドなどの標的分子に結合することができる核酸分子を指す。例えば、本発明のアプタマーは、例えば、TIGITポリペプチドに、またはTIGITの発現を調節するシグナル伝達経路内の分子に特異的に結合することができる。アプタマーの生成及び治療的使用は、当該技術分野において十分に確立されている。例えば、米国特許第5,475,096号、及び加齢性黄斑変性を治療するためのMacugen(登録商標)(Eyetech,New York)の治療効果を参照されたい。
【0025】
「TIGIT拮抗薬」及び「TIGIT活性またはTIGIT発現の拮抗薬」という用語は、交換可能に使用され、TIGITをコードする核酸の転写若しくは翻訳を減少させることによって、またはTIGITポリペプチド活性を阻害若しくは遮断することによってのいずれか、または両方によって、TIGITの正常機能を干渉する化合物を指す。TIGIT拮抗薬の例としては、アンチセンスポリヌクレオチド、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、RNA-DNAキメラ、TIGIT特異的アプタマー、抗TIGIT抗体、抗TIGIT抗体のTIGIT結合断片、TIGIT結合小分子、TIGIT結合ペプチド、及びTIGITに特異的に結合し(1つ以上の追加ドメインに随意に融合される、1つ以上のTIGITリガンドのTIGIT結合断片を含むが、それらに限定されない)、それによりTIGIT拮抗薬とTIGITとの間の相互作用が、TIGIT活性または発現の低減または停止をもたらす他のポリペプチドが挙げられるが、それらに限定されない。場合によっては、TIGIT拮抗薬が、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく、1つのTIGIT活性に拮抗し得ることは、当業者によって理解されるであろう。例えば、本明細書におけるある特定の方法において使用するための望ましいTIGIT拮抗薬は、例えば、他のTIGIT相互作用のうちのいずれかに影響を及ぼすことなく、または最小限の影響で、PVR相互作用、PVRL3相互作用、またはPVRL2相互作用のうちの1つに応答してTIGIT活性に拮抗するTIGIT拮抗薬である。
【0026】
「PVR拮抗薬」及び「PVR活性またはPVR発現の拮抗薬」という用語は、交換可能に使用され、PVRをコードする核酸の転写若しくは翻訳を減少させること、またはPVRポリペプチド活性を阻害若しくは遮断することのいずれか、または両方によってPVRの正常機能を干渉する化合物を指す。PVR拮抗薬の例としては、アンチセンスポリヌクレオチド、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、RNA-DNAキメラ、PVR特異的アプタマー、抗PVR抗体、抗PVR抗体のPVR結合断片、PVR結合小分子、PVR結合ペプチド、及びPVRに特異的に結合し(1つ以上の追加ドメインに随意に融合される、1つ以上のPVRリガンドのPVR結合断片を含むが、それらに限定されない)、それによりPVR拮抗薬とPVRとの間の相互作用が、PVR活性または発現の低減または停止をもたらす他のポリペプチドが挙げられるが、それらに限定されない。場合によっては、PVR拮抗薬が、別のPVR活性に影響を及ぼすことなく、1つのPVR活性に拮抗し得ること、例えば、PVR拮抗薬が、PVRとTIGIT以外の分子との間の相互作用に拮抗することなく、PVRとTIGITとの間の相互作用に拮抗すること、またはPVR拮抗薬が、TIGIT以外の分子との相互作用に応答してPVR活性に拮抗することなく、TIGIT相互作用に応答してPVR活性に拮抗することは、当業者によって理解されるであろう。
【0027】
免疫機能不全の状況において、「機能不全」という用語は、抗原刺激への免疫応答性が低減した状態を指す。この用語は、抗原認識が起こり得るが、続く免疫応答が、感染または腫瘍成長を制御するには効果的でない、疲弊及び/またはアネルギーの両方の共通要素を含む。
【0028】
「機能不全性」という用語はまた、本明細書で使用される場合、抗原認識への不応性または無応答性、具体的には、抗原認識を下流T細胞エフェクター機能、例えば、増殖、サイトカイン産生(例えば、IL-2)及び/または標的細胞死滅に翻訳する能力の障害を含む。
【0029】
「アネルギー」という用語は、T細胞受容体を通じて送達される不完全または不十分なシグナルから生じる抗原刺激への無応答性の状態を指す(例えば、ras活性化の不在下での細胞内Ca+2の増加)。T細胞アネルギーは、共刺激の不在下で抗原による刺激時にも生じ得、結果として細胞が共刺激の状況においても抗原による後次活性化に不応性になる。無応答状態は、多くの場合、インターロイキン-2の存在によって無効化され得る。アネルギーT細胞は、クローン増殖を受けない、及び/またはエフェクター機能を獲得しない。
【0030】
「疲弊」という用語は、多くの慢性感染及び癌の間に生じる持続したTCRシグナル伝達から起こるT細胞機能不全の状態としてのT細胞疲弊を指す。疲弊は、それが不完全または不足したシグナル伝達により起こるのではなく、持続したシグナル伝達から起こるという点で、アネルギーとは区別される。それは、不十分なエフェクター機能、阻害性受容体の持続した発現、及び機能性エフェクターまたはメモリーT細胞のものとは異なる転写状態によって定義される。疲弊は、感染及び腫瘍の最適な制御を妨げる。疲弊は、外部の負の調節経路(例えば、免疫調節サイトカイン)ならびに細胞内部の負の調節(共刺激)経路の両方から生じ得る。
【0031】
「T細胞機能を増強する」とは、T細胞が、持続した若しくは増幅した生物機能を有するか、または疲弊した若しくは不活性のT細胞を回復若しくは再活性化するように誘発する、引き起こす、または刺激することを意味する。T細胞機能を増強することの例としては、CD8+T細胞からのγ-インターフェロンの増加した分泌、増加した増殖、介入前のレベルと比較して増加した抗原応答性(例えば、ウイルス、病原体、または腫瘍クリアランス)が挙げられる。一実施形態において、増強のレベルは、少なくとも50%、代替として60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強の測定方法は、当業者に既知である。
【0032】
「T細胞機能不全性障害」は、抗原刺激への(免疫原を発現する腫瘍に対する)減少した応答性を特徴とするT細胞の障害または病態である。いくつかの実施形態において、T細胞機能不全性障害は、アネルギー、またはサイトカインを分泌する、増殖する、若しくは細胞溶解反応を実行する能力が減少したものである。特定の態様において、減少した応答性は、免疫原を発現する腫瘍の無効制御をもたらす。T細胞機能不全を特徴とするT細胞機能不全性障害の例としては、腫瘍免疫及び癌が挙げられる。
【0033】
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識及びクリアランスを回避する過程を指す。したがって、治療概念として、腫瘍免疫は、そのような回避が減衰し、腫瘍が免疫系によって認識され、攻撃される場合に「治療される」。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍収縮、及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0034】
「免疫原性」は、特定の物質が免疫応答を引き起こす能力を指す。腫瘍は免疫原性であり、腫瘍免疫原性を増強することは、免疫応答によって腫瘍細胞のクリアランスを助ける。腫瘍免疫原性を増強することの例としては、TIGIT阻害剤(例えば、抗TIGIT抗体)での治療が挙げられるが、それに限定されない。
【0035】
「持続した応答」は、治療の停止後に腫瘍成長を低減することに対する持続した効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して同じままであるか、またはより小さいことがある。いくつかの実施形態において、持続した応答は、治療期間と少なくとも同じ、治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、または3.0倍の期間を有する。
【0036】
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び単鎖分子)、ならびに抗体断片(例えば、Fab、F(ab′)2、及びFv)を含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と交換可能に使用される。
【0037】
塩基性4鎖抗体単位は、2つの同一軽(L)鎖及び2つの同一重(H)鎖で構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドと共に、5個の塩基性ヘテロ四量体単位からなり、10個の抗原結合部位を含む一方で、IgA抗体は、重合してJ鎖と組み合わせて多価集合体を形成することができる2~5個の塩基性4鎖単位を含む。IgGの場合、4鎖単位は、一般に約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合される一方で、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに依存する1つ以上のジスルフィド結合によって互いに結合される。各H鎖及びL鎖はまた、一定間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)、続いてα鎖及びγ鎖の各々について3つの定常ドメイン(CH)、ならびにμ及びεアイソタイプについて4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)、続いてその他方の末端に定常ドメインを有する。VLは、VHと整列し、CLは、重鎖の第1定常ドメイン(CH1)と整列する。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間の界面を形成すると考えられる。VH及びVLの対合は一緒に、単一抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,第8版,Daniel P.Sties,Abba I.Terr and Tristram G.Parsolw(eds),Appleton&Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明らかに異なる型のうちの1つに割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと表記される重鎖を有する。γ及びαクラスは、CH配列及び機能における比較的わずかな相違に基づいてサブクラスにさらに分割され、例えば、ヒトは以下のサブクラス、すなわちIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。
【0038】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、「VH」及び「VL」と称され得る。これらのドメインは、一般に(同じクラスの他の抗体と比較して)抗体の最可変部分であり、抗原結合部位を含む。
【0039】
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定の区分の配列が、抗体間で広範囲にわたって異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、その特定抗原に対する特定抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの全範囲にわたって均一に分布していない。代わりに、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方にある超可変領域(HVR)と呼ばれる3つの区分に集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖各々の可変ドメインは、主にベータシート構成を採用し、ループ接続を形成する、場合によってはベータシート構造の一部を形成する3つのHVRによって接続された4つのFR領域を含む。各鎖のHVRは、FR領域によって極めて接近して一緒に保持され、他の鎖からのHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接必要とされないが、抗体依存的細胞傷害性における抗体の関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
【0040】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を含む個別の抗体は、微量で存在し得る、可能な天然に存在する突然変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位に対して向けられている。典型的に異なる決定因子(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一決定因子に対して向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリンによって汚染されていないハイブリドーマ培養によって合成されるという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均質な集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈してはならない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495-97(1975)、Hongoら,Hybridoma,14(3):253-260(1995)、Harlowら,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,第2版1988)、Hammerlingら,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら,Nature,352:624-628(1991)、Marksら,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Sidhuら,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Leeら,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLeeら,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)を参照されたい)、及びヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全てを有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術(例えば、国際公開第1998/24893号、同第1996/34096号、同第1996/33735号、同第1991/10741号、Jakobovitsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993)、Jakobovitsら,Nature,362:255-258(1993)、Bruggemannら,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号、Marksら,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonbergら,Nature,368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-813(1994)、Fishwildら,Nature Biotechnol.14:845-851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、及びLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を含む種々の技法によって作製され得る。
【0041】
「裸の抗体」という用語は、細胞傷害性部分または放射標識に共役されない抗体を指す。
【0042】
「全長抗体」、「無傷の抗体」、または「全抗体」という用語は、交換可能に使用され、抗体断片とは対照的に、その実質的に無傷の形態の抗体を指す。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であってもよい。場合によっては、無傷の抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
【0043】
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部分、好ましくは無傷の抗体の抗原結合及び/または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab′、F(ab′)2、及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapataら,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]);単鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化は、「Fab」断片及び残基「Fc」断片と呼ばれる、容易に結晶化する能力を反映する表記の2つの同一抗原結合断片を産生した。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共に、全体L鎖、及び1つの重鎖の第1定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合されたFab断片に概ね対応し、依然として抗原を架橋することができる、単一の大きなF(ab′)2断片を生じる。Fab′断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの追加の残基を有することによってFab断片とは異なる。Fab′-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を担持するFab′についての本明細書における表記である。F(ab′)2抗体断片は、本来、それらの間にヒンジシステインを有するFab′断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
【0044】
Fc断片は、ジスルフィドによって一緒に保持された両方ともH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域内の配列によって決定され、この領域はまた、ある特定型の細胞上で見出されるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0045】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、堅い非共有会合の1つ重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各3ループ)を発出する。しかしながら、単一可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)であっても、全体結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
【0046】
「sFv」または「scFv」とも省略される「単鎖Fv」は、単一ペプチド鎖に接続されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成できるようにする。sFvに関する概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore 編,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0047】
本発明の抗体の「機能性断片」は、無傷の抗体の一部分を含み、一般に無傷の抗体の抗原結合若しくは可変領域、または修飾されたFcR結合能力を保持するか、または有する抗体のFc領域を含む。抗体断片の例としては、線形抗体、単鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0048】
「ダイアボディ」という用語は、VHとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10残基)を有するsFv断片(前述の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小抗体断片を指し、それによってVドメインの鎖内対合ではなく鎖間対合が達成され、それにより二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片をもたらす。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるペプチド鎖上に存在する、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第93/11161号、Hollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)において詳細に説明されている。
【0049】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同性である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するかまたは別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかまたは相同性である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびに所望の生物活性を呈する限りにおいてそのような抗体の断片を具体的に含む(米国特許第4,816,567号、Morrisonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))。本明細書における関心対象のキメラ抗体は、PRIMATIZED(登録商標)抗体を含み、抗体の抗原結合領域が、例えば、マカクサルを関心対象の抗原で免疫付与することによって産生された抗体に由来する。本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0050】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、このレシピエントのHVR(以下で定義される)からの残基は、所望の特異性、親和性、及び/または能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)のHVRからの残基によって置換される。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内またはドナー抗体内で見出されない残基を含み得る。これらの修飾を行い、結合親和性などの抗体性能をさらに精練することができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域は、結合親和性、異性化、免疫原性などの抗体性能を改善する1つ以上の個別のFR残基置換を含んでもよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的に、H鎖内で6以下、L鎖内で3以下である。ヒト化抗体はまた、随意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、ヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、例えば、Jonesら,Nature 321:522-525(1986)、Riechmannら,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。また、例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma&Immunol.1:105-115(1998)、Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995)、Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994)、ならびに米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号を参照されたい。
【0051】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のものに対応するアミノ酸配列を有する、及び/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製するための技法のうちのいずれかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に排除する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野において既知の様々な技法を使用して産生され得る。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marksら,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。またヒトモノクローナル抗体の調製のために、Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77 (1985)、Boernerら,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載される方法が使用可能である。またvan Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してそのような抗体を産生するように修飾されたが、それらの内因性遺伝子座が不能にされた遺伝子導入動物、例えば免疫したゼノマウス(xenomice)に抗原を投与することによって調製され得る(例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術に関する)を参照されたい)。また例えば、Liら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)(ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体に関する)を参照されたい。
【0052】
「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、本明細書で使用される場合、配列内で超可変である、及び/または構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVR、すなわちVH内に3つ(H1、H2、H3)、及びVL内に3つ(L1、L2、L3)を含む。天然抗体において、H3及びL3は、6つのHVRの最大多様性を示し、特にH3は、抗体に微細特異性を付与することにおいて固有の役割を果たすと考えられる。例えば、Xuら,Immunity 13:37-45(2000)、Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,版,Human Press,Totowa,NJ,2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる天然に存在するカメリド抗体は、軽鎖の不在下で機能的かつ安定である。例えば、Hamers-Castermanら,Nature 363:446-448(1993)、Sheriffら,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0053】
多くのHVR描写が使用されており、本明細書に包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づき、最も一般に使用されている(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。Chothiaは、代わりに構造ループの場所を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、Kabat HVRとChothia構造ループとの間の折衷案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。「接触」HVRは、使用可能な複合結晶構造の解析に基づく。これらのHVRの各々からの残基を下に示す。
【0054】
HVRは、以下のような「拡張したHVR」、すなわち、VLにおける24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびにVHにおける26~35(H1)、50~65または49~65(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)を含み得る。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、上記のKabatらに従って付番される。
【0055】
「Kabatにあるような可変ドメイン残基付番」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置付番」という表現、及びそれらの変形は、上記のKabatらにおける抗体の寄せ集めの重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される付番システムを指す。この付番システムを使用すると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮またはそこへの挿入に対応する、より少ないか、または追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一アミノ酸挿入物(例えば、Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabat付番は、抗体の配列の相同性領域における「標準」Kabat付番配列とのアライメントによって、所与の抗体について決定され得る。
【0056】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0057】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」または「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般に起こるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位群からである。一般に、配列の下位群は、Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th 版Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)と同様の下位群である。VLについての例としては、上記Kabatらと同様のカッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであり得る下位群が挙げられる。追加として、VHについて、下位群は、上記Kabatらと同様の下位群I、下位群II、または下位群IIIであり得る。代替として、ヒトコンセンサスフレームワークは、例えば、ヒトフレームワーク残基が、ドナーフレームワークに対するその相同性に基づき、ドナーフレームワーク配列を様々なヒトフレームワーク配列の集合と整列させることによって選択される場合、上記の特定残基に由来し得る。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含み得るか、または既存のアミノ酸配列変化を含み得る。いくつかの実施形態において、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。
【0058】
「VH下位群IIIコンセンサスフレームワーク」は、上記Kabatらの可変重下位群III内のアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施形態において、VH下位群IIIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(HC-FR1)(配列番号19)、WVRQAPGKGLEWV(HC-FR2)(配列番号20)、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(HC-FR3、配列番号21)、WGQGTLVTVSA(HC-FR4)(配列番号22)の各々の少なくとも一部分または全てを含む。
【0059】
「VLカッパIコンセンサスフレームワーク」は、上記Kabatらの可変軽カッパ下位群I内のアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施形態において、VH下位群Iコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(LC-FR1)(配列番号23)、WYQQKPGKAPKLLIY(LC-FR2)(配列番号24)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(LC-FR3)(配列番号25)、FGQGTKVEIKR(LC-FR4)(配列番号26)の各々の少なくとも一部分または全てを含む。
【0060】
例えば、Fc領域の特定位置における「アミノ酸修飾」は、特定残基の置換若しくは欠失、またはその特定残基に隣接した少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。特定残基に「隣接した」挿入は、その1~2残基内の挿入を意味する。この挿入は、特定残基に対するN末端またはC末端であり得る。本明細書における好ましいアミノ酸修飾は置換である。
【0061】
「親和性成熟した」抗体は、そのような変更(複数可)を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらすその1つ以上のHVR内に1つ以上の変更を有するものである。一実施形態において、親和性成熟した抗体は、標的抗原に対するナノモルまたはさらにはピコモル親和性を有する。親和性成熟した抗体は、当該技術分野において既知の手順によって産生される。例えば、Marksら,Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VHドメイン及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟を説明している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えば、BarbasらProc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813(1994)、SchierらGene 169:147-155(1995)、YeltonらJ.Immunol.155:1994-2004(1995)、Jacksonら,J.Immunol.154(7):3310-9(1995)、及びHawkinsら,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)によって説明される。
【0062】
本明細書で使用される場合、「に特異的に結合する」または「に特異的な」という用語は、標的と抗体との間の結合などの測定可能かつ再生可能な相互作用を指し、これは生体分子を含む分子の異質性集団の存在下での標的の存在の決定要因である。例えば、標的(エピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、それが他の標的に結合するよりも優れた親和性、結合活性で、より容易に、及び/または長い期間にわたってこの標的に結合する抗体である。一実施形態において、関連のない標的への抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定される、標的への抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態において、標的に特異的に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、または≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態において、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態において、特異的結合は、排他的結合を含み得るが、必要ではない。
【0063】
本明細書で使用される場合、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性を、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と組み合わせる抗体様分子を表記する。構造的に、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性を有する(すなわち、「異種性」である)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合を含む。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型的に、受容体またはリガンドの少なくとも結合部位を含む連続アミノ酸配列である。イムノアドヘシン内の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えば、IgG-1、IgG-2(IgG2A及びIgG2Bを含む)、IgG-3、またはIgG-4亜型、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD、またはIgMから得られてもよい。Ig融合は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の代わりに、本明細書に記載されるポリペプチドまたは抗体のドメインの置換を含む。特に好ましい実施形態において、免疫グロブリン融合は、IgG1分子のヒンジCH2及びCH3、またはヒンジCH1、CH2、及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合の産生については、1995年6月27日に発行された米国特許第5,428,130号も参照されたい。細胞表面受容体のIg Fc及びECDのイムノアドヘシン複合体は、時として可溶性受容体と呼ばれる。
【0064】
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」は、一緒に共有結合された2つの部分を有するポリペプチドを指し、それらの部分の各々が、異なる特性を有するポリペプチドである。この特性は、生体外または生体内の活性などの生物学的特性であり得る。この特性はまた、標的分子への結合、反応の触媒などの単純な化学的または物理的特性であり得る。2つの部分は、単一ペプチド結合によって、またはペプチドリンカーを通じて直接結合され得るが、互いに読み枠内にある。
【0065】
「遮断」抗体または「拮抗薬」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害するかまたは低減するものである。いくつかの実施形態において、遮断抗体または拮抗薬抗体は、抗原の発現または生物活性を実質的に、または完全に阻害する。例えば、本開示の抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、TIGIT発現を阻害し得る、TIGITとPVRとの相互作用を遮断し得る、TIGITとPVRL2との相互作用を遮断する、TIGITとPVRL3との相互作用を遮断し得る、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/若しくは遮断し得る、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/若しくは遮断し得る、ならびに/またはPVRL3へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害及び/若しくは遮断し得る。
【0066】
「作動薬」または活性化する抗体は、それが結合する抗原によってシグナル伝達を増強または開始するものである。いくつかの実施形態において、作動薬抗体は、天然のリガンドの存在なしにシグナル伝達を引き起こす、または活性化する。
【0067】
本明細書における「Fc領域」という用語は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は異なり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230からそのカルボキシル末端まで広がると定義される。Fc領域のC末端リシン(EU付番システムに従って残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製中に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することによって除去され得る。したがって、無傷の抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本発明の抗体において使用するための好適な天然配列Fc領域としては、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3、及びIgG4が挙げられる。
【0068】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラス(対立遺伝子変異体、及び代替として、これらの受容体のスプライシングされた形態を含む)を含み、FcγRII受容体は、主にその細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有するFcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含む。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する。(M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991)、Capelら,Immunomethods 4:25-34(1994)、及びde Haasら,J.Lab.Clin.M版126:330-41(1995)に概説されている。今後特定されるものを含む他のFcRは、本明細書において「FcR」という用語によって包含される。
【0069】
「Fc受容体」または「FcR」という用語はまた、胎児への母体IgGの移行に関与する新生児受容体FcRnを含む。Guyerら,J.Immunol.117:587(1976)、及びKimら,J.Immunol.24:249(1994)。FcRnへの結合の測定方法は既知である(例えば、Ghetie and Ward,Immunol.Today 18:(12):592-8(1997)、Ghetieら,Nature Biotechnology 15(7):637-40(1997)、Hintonら,J.Biol.Chem.279(8):6213-6(2004)、国際公開第2004/92219号(Hintonら)を参照されたい)。生体内のFcRnへの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えば、遺伝子導入マウス若しくはヒトFcRnを発現する形質移入されたヒト細胞系において、または変異体Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類においてアッセイされ得る。国際公開第2004/42072号(Presta)は、FcRへの結合を改善した、または減少させた抗体変異体を説明する。また例えば、Shieldsら,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。
【0070】
「実質的に低減された」または「実質的に異なる」という表現は、本明細書で使用される場合、2つの数値(一般に、1つは分子と関連付けられ、もう1つは基準/比較分子と関連付けられる)間の十分に高い相違を示し、それにより、当業者は、これら2つの値間の相違が、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴の状況において統計的に有意であると見なすであろう。前述の2つの値間の相違は、例えば、基準/比較分子の値の関数として、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/または約50%超である。
【0071】
「実質的に同様の」または「実質的に同じ」という用語は、本明細書で使用される場合、2つの数値(一般に、1つは分子と関連付けられ、もう1つは基準/比較分子と関連付けられる)間の十分に高い類似性を示し、それにより、当業者は、これら2つの値間の相違が、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴の状況において生物学的及び/若しくは統計的有意性がほとんどない、または全くないと見なすであろう。前述の2つの値間の相違は、例えば、基準/比較分子の値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/または約10%未満である。
【0072】
「担体」は、本明細書で使用される場合、用いられる投薬量及び濃度でそれに曝露される細胞または哺乳動物に非毒性である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む。多くの場合、生理学的に許容される担体は、水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0073】
「添付文書」は、適応、用途、投薬量、投与、禁忌、パッケージ製品と組み合わされる他の医薬品、及び/またはそのような医薬品の使用に関する注意などについての情報を含む医薬品の市販パッケージに慣習的に含まれる適応についての情報を含む、医薬品の市販パッケージに慣習的に含まれる指示書を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」という用語は、臨床病理、例えば癌または腫瘍免疫の経過中に治療される個体または細胞の自然経過を変更するように設計された臨床介入を指す。治療の望ましい効果としては、疾患進行の速度を減少させること、疾患状態を改善または緩和すること、及び緩解または予後改善が挙げられる。例えば、癌と関連付けられる1つ以上の症状が軽減または排除された場合(癌細胞の増殖を低減する(または破壊する)こと、疾患から生じる症状を減少させること、疾患に罹患する者の生活の質を高めること、疾患を治療するために必要な他の薬物療法の用量を減少させること、疾患の進行を遅らせること、及び/または個体の生存を延長することが挙げられるが、それらに限定されない)、個体は良好に「治療される」。
【0075】
本明細書で使用される場合、「疾患の進行を遅らせる」とは、疾患(例えば、癌または腫瘍免疫)の発達を延ばす、妨げる、減速させる、遅らせる、安定させる、及び/または延期することを意味する。この遅延は、治療される疾患及び個体の履歴に応じて異なる期間であり得る。当業者には明白であるように、十分なまたは著しい遅延は、実際に、個体が疾患を発達させないことにおいて予防を包含し得る。例えば、転移の発達などの後期癌を遅らせることができる。
【0076】
本明細書で使用される場合、「癌再発を低減するかまたは阻害する」とは、腫瘍若しくは癌再発または腫瘍若しくは癌進行を低減するかまたは阻害することを意味する。本明細書で開示されるように、癌再発及び/または癌進行は、制限なしに、癌転移を含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「癌」及び「癌性」は、典型的に無秩序な細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的病態を指す、または説明する。良性及び悪性癌、ならびに潜伏腫瘍または微小転移がこの定義に含まれる。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病が挙げられるが、それらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastricまたはstomach)(胃腸癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidneyまたはrenal)癌、肝癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、及び様々な型の頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球(SL)NHL;中度/濾胞性NHL;中度拡散NHL;高度免疫芽細胞性NHL;高度リンパ芽球性NHL;高度小非切れ込み型細胞NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;及びワルデンストレームのマクログロブリン血症);慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL);毛様細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(脳腫瘍と関連付けられるものなど)、及びメーグス症候群と関連付けられる異常血管増殖が挙げられる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「転移」は、その原発部位から体内の他の場所への癌の広がりを意味する。癌細胞は、原発腫瘍から離脱し、リンパ管及び血管に進入し、血流を通じて循環して、体内の他の場所の正常組織内の遠隔焦点において成長する(転移する)。転移は、局所的または遠隔であり得る。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を通じて移動して、遠隔部位で止まることを条件とする連続過程である。新たな部位において、細胞は血液供給を確立し、成長して生命を脅かす塊を形成し得る。腫瘍細胞内の刺激性分子経路及び阻害性分子経路の両方がこの挙動を調節し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用も重要である。
【0079】
「有効量」は、少なくとも、特定障害の測定可能な改善または予防をもたらすために必要とされる最小濃度である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を引き出す抗体の能力などの因子によって異なり得る。有効量はまた、治療のいかなる毒性または有害効果も治療に有益な効果が上回る量である。予防的使用の場合、有益または所望の結果としては、危険性を排除または低減する、重症度を低減するか、または疾患(疾患の生化学的、組織学的、及び/若しくは挙動的症状、疾患の発達中に現れるその合併症及び中間病理学的表現型を含む)の発症を遅らせるなどの結果が挙げられる。治療的使用の場合、有益または所望の結果としては、疾患から生じる1つ以上の症状を減少させること、疾患に罹患する者の生活の質を高めること、疾患を治療するために必要な他の薬物療法の用量を減少させること、標的を介するなど、別の薬物療法の効果を増強すること、疾患の進行を遅らせること、及び/または個体の生存を延長することなどの臨床結果が挙げられる。癌または腫瘍の場合、有効量の薬物は、癌細胞の数を低減すること、腫瘍サイズを低減すること、抹消臓器への癌細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度減速させる若しくは望ましくは停止させる)こと、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度減速させる若しくは望ましくは停止させる)こと、腫瘍成長をある程度阻害すること、及び/または障害と関連付けられる症状のうちの1つ以上をある程度緩和することにおける効果を有し得る。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。本発明の目的で、有効量の薬物、化合物、または薬学的組成物は、予防的または治療的治療を直接または間接的に達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されるように、有効量の薬物、化合物、または薬学的組成物は、別の薬物、化合物、または薬学的組成物と併せて達成されるか、または達成されないことがある。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療剤を投与する状況において考慮され得、単一薬剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成され得るか、または達成される場合、有効量で付与されたと考慮され得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、「と併せて」は、別の治療様式に加えて、ある治療様式の投与を指す。そのようなものとして、「と併せて」は、個体への他の治療様式の投与前、投与中、または投与後の、ある治療様式の投与を指す。「と併せて」という用語は、本明細書において交換可能に使用され得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、「個体」及び「対象」という用語は、交換可能に使用され得、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、ウシ、ブラ、イヌ、ヒツジ、若しくはネコなどを含むが、それらに限定されない哺乳動を指す。好ましくは、個体または対象は、ヒトである。患者はまた、本明細書において個体または対象である。
【0082】
本明細書で使用される場合、「完全奏功」または「CR」は、全ての標的病変の消失を指し、「部分奏功」または「PR」は、ベースラインSLDを基準として、標的病変の最長直径(SLD)の合計の少なくとも30%減少を指し、「安定な疾患」または「SD」は、治療を開始して以来、最小のSLDを基準として、PRに適格とするのに十分な標的病変の収縮も、PDに適格とするのに十分な増加もないことを指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」または「PD」は、治療を開始して以来記録された最小SLD、または1つ以上の新たな病変の存在を基準として、標的病変のSLDの少なくとも20%増加を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「無進行生存率」(PFS)は、治療される疾患(例えば、癌)が悪化しない、治療中及び治療後の期間の長さを指す。無進行生存率は、患者が完全奏功または部分奏功を経験した時間の量、ならびに患者が安定な疾患を経験した時間の量を含み得る。
【0085】
本明細書で使用される場合、「全体奏効率」(ORR)は、完全奏功(CR)率及び部分奏功(PR)率の合計を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「全体生存率」は、特定期間後に生存する可能性のある群中の個体の割合を指す。
【0087】
「細胞増殖性障害」及び「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常細胞増殖と関連付けられる障害を指す。一実施形態において、細胞増殖性障害は、癌である。一実施形態において、細胞増殖性障害は、腫瘍である。
【0088】
「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、悪性または良性に関わらず、全ての腫瘍性細胞成長及び増殖、ならびに前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」は、本明細書で参照される場合、相互排他的ではない。
【0089】
化学療法剤は、癌の治療において有用な化学化合物である。化学療法剤の非限定例としては、チオテパ及びシクロホシファミド(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標);ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒシン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;ペメトレキセド;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;TLK-286;CDP323、経口アルファ-4インテグリン阻害剤;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニンヌスチンなどのニトロソウレア;エネジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンガンマ1I及びカリケアミシンオメガI1などの抗生物質(例えば、Nicolaouら,Angew.Chem Intl.版Engl.,33:183-186(1994)を参照されたい);ダイネアミシンAを含むダイネアミシン;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注入(DOXIL(登録商標))及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシンCなどのミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、及びイマチニブ(2-フェニルアミノピリミジン誘導体)などのピリミジン類似体、ならびに他のc-Kit阻害剤;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナル;フロリン酸などの葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2′,2″-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2トキシン、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作されたナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標))、及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロランブシル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロナート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの複合療法の省略形)、及びFOLFOX(5-FU及びロイコボビンと複合されたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いる治療レジメンの省略形)などの上記のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0090】
また「化学療法薬」としては、制限なしに、癌の成長を促進し得るホルモンの効果を調節、低減、遮断、または阻害するように作用し、多くの場合、体系的または全身治療の形態である抗ホルモン剤が挙げられる。それら自体がホルモンであってもよい。非限定例としては、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェン)、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標))を含む、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM);抗プロゲステロン;エストロゲン受容体下方調節因子(ERD);フルベストラント(FASLODEX(登録商標))などのエストロゲン受容体拮抗薬;卵巣を抑制または遮断するように機能する薬剤、例えば、ロイプロリド酢酸塩(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、ゴセレリン酢酸塩、ブセレリン酢酸塩、及びトリプテレリンなどの黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬;フルタミド、ニルタミド、及びビカルタミドなどの抗アンドロゲン;及び副腎内のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、メゲストロール酢酸塩(MEGASE(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、及びアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))が挙げられる。加えて、そのような定義の化学療法剤としては、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標))などのビスホスホネート;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に関与するとされるシグナル伝達経路内で遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Raf、H-Ras、及び上皮成長因子受容体(EGF-R);THERATOPE(登録商標)ワクチンなどのワクチン、及び遺伝子療法ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、LURTOTECAN(登録商標));フルベストラントなどの抗エストロゲン;イマチニブまたはEXEL-0862(チロシンキナーゼ阻害剤)などのKit阻害剤;エルロチニブまたはセツキシマブなどのEGFR阻害剤;ベバシズマブなどの抗VEGF阻害剤、アリノテカン;rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));ラパチニブ及びラパチニブジトシラート(ErbB-2、及びGW572016としても知られるEGFR二重シロシンキナーゼ小分子阻害剤);17AAG(熱ショックタンパク質(Hsp)90毒であるゲルダナマイシン誘導体)、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0091】
「放射線療法」とは、細胞を正常に機能させるか、またはまとめて破壊する能力を制限するために、十分な損傷を細胞に誘発するように向けられたガンマ線またはベータ線の使用を意味する。投薬量及び治療期間を決定するための、当該技術分野において既知の多くの方法が存在することが理解されるであろう。典型的な治療は、1回投与として1日当たり10~200単位(Gray)の範囲の典型的な投薬量で付与される。
【0092】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、細胞間媒介物質として別の細胞に作用するか、またはタンパク質を産生する細胞に対して自己分泌効果を有する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質を一般的に指す。そのようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン;インターロイキン(「IL」)、例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17A~F、IL-18~IL-29(IL-23など)、IL-31(PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;TNF-αまたはTNF-β、TGF-β1~3などの腫瘍壊死因子;及び白血病阻害因子(「LIF」)、毛様体神経栄養因子(「CNTF」)、CNTF様サイトカイン(「CLC」)、カルジオトロフィン(「CT」)、及びキットリガンド(「KL」)を含む他のポリペプチド因子が挙げられる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「ケモカイン」という用語は、白血球の走化性及び活性化を選択的に誘発する能力を有する可溶性因子(例えば、サイトカイン)を指す。それらはまた、血管新生、炎症、創傷治癒、及び腫瘍形成の過程を引き起こす。ケモカインの例としては、IL-8、ヒトホモログまたはマウスケラチノサイト走化性因子(KC)が挙げられる。
【0094】
「薬学的に許容される塩」という表現は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩素、臭素、ヨウ素、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシラート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1′-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、それらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を必要とし得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる任意の有機部分または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に複数の電荷原子を有し得る。複数の電荷原子が薬学的に許容される塩の一部である例は、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の電荷原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0095】
本発明の化合物が塩基性である場合、所望の薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫黄酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸などの無機酸を用いるか、または酢酸、リンゴ酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(例えば、グルクロン酸またはガラクツロン酸)、アルファヒドロキシ酸(クエン酸または酒石酸)、アミノ酸(アスパラギン酸またはグルタミン酸)、芳香酸(安息香酸または桂皮酸)、スルホン酸(p-トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸)などの有機酸を用いる遊離塩基の処理などの当該技術分野において使用可能な任意の好適な方法によって調製されてもよい。
【0096】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容される塩は、任意の好適な方法、例えば、アミン(第1級、第2級、若しくは第3級)、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ土類金属水酸化物などの無機塩基または有機塩基を用いる遊離酸の処理によって調製されてもよい。好適な塩の例示的な例としては、アミノ酸由来の有機塩(例えば、グリシン及びアルギニン)アンモニア、第1級、第2級、及び第3級アミン、及び環状アミン(例えば、ピペリジン、モルホリン、及びピペラジン)、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びリチウム由来の無機塩が挙げられるが、それらに限定されない。
【0097】
「薬学的に許容される」という表現は、物質または組成物が、化学的及び/または毒物学的に、製剤及び/またはそれにより治療される哺乳動物を含む他の成分と適合性でなければならないことを示す。
【0098】
本明細書で使用される場合、及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「または」、及び「the」は、文脈上別途明らかに示されない限り、複数の指示物を含む。
【0099】
本明細書における「約」値またはパラメータについての言及は、その値またはパラメータ自体に向けられる変化を含む(及び説明する)。例えば、「約X」について言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0100】
本明細書に記載される本発明の態様及び変形は、態様及び変形「からなる」及び/または「から本質的になる」ことを含む。
【0101】
III. 方法
一態様において、個体における癌の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0102】
別の態様において、個体における癌再発または癌進行の低減または阻害方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0103】
別の態様において、癌を有する個体における腫瘍免疫の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0104】
別の態様において、癌を有する個体における免疫応答または機能の増加、増強、または刺激方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0105】
ある特定の実施形態において、抗癌剤は、本開示の1つ以上の抗癌剤であり得る。例えば、1つ以上の抗癌剤は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の本開示の抗癌剤であり得る。1つ以上の抗癌剤は、本開示の抗癌剤の同じ群からの1つ以上の抗癌剤(例えば、本開示の1つ以上の化学療法剤または成長阻害剤、1つ以上の標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現する1つ以上のT細胞、1つ以上の抗体またはその抗原結合断片、1つ以上の抗体薬物複合体、1つ以上の血管新生阻害剤、1つ以上の抗腫瘍剤、1つ以上の癌ワクチン、及び1つ以上のアジュバント)を指し得ることが理解される。代替として、1つ以上の抗癌剤は、1つ以上の抗癌剤を指し、該1つ以上の抗癌剤の各々が、本開示の抗癌剤の異なる群からのものである(例えば、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、及びアジュバント)。ある特定の実施形態において、抗癌療法は、本開示の1つ以上の抗癌療法であり得る。例えば、1つ以上の抗癌療法は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上の本開示の抗癌療法であり得る。
【0106】
本発明の方法は、増強された免疫原性が所望される病態を治療すること、例えば、癌またはT細胞機能不全性障害の治療のために腫瘍免疫原性を増加することにおける使用を見出すことができる。これらの方法によって、種々の癌を治療することができるか、またはそれらの進行を遅らせることができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、個体は、非小細胞肺癌を有する。この非小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、小細胞肺癌を有する。この小細胞肺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、腎細胞癌を有する。この腎細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、直腸結腸癌を有する。この直腸結腸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、卵巣癌を有する。この卵巣癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、乳癌を有する。この乳癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膵癌を有する。この膵癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胃癌を有する。この胃癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、膀胱癌を有する。この膀胱癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、食道癌を有する。この食道癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、中皮腫を有する。この中皮腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、黒色腫を有する。この黒色腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、頭頚部癌を有する。この頭頚部癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、甲状腺癌を有する。この甲状腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、肉腫を有する。この肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、前立腺癌を有する。この前立腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、神経膠芽腫を有する。この神経膠芽腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、子宮頸癌を有する。この子宮頸癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、胸腺癌を有する。この胸腺癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、白血病を有する。この白血病は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、リンパ腫を有する。このリンパ腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、骨髄腫を有する。この骨髄腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、菌状息肉腫を有する。この菌状息肉腫は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、メルケル細胞癌を有する。このメルケル細胞癌は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、血液系悪性腫瘍を有する。この血液系悪性腫瘍は、早期または後期であり得る。いくつかの実施形態において、個体は、ヒトである。
【0108】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、癌は、上昇したレベルのT細胞浸潤を有する。本明細書で使用される場合、癌のT細胞浸潤は、癌組織内、または他の方法で関連付けられた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)などのT細胞の存在を指し得る。T細胞浸潤が、ある特定の癌において改善された臨床転帰と関連付けられ得ることは、当該技術分野において既知である(例えば、Zhangら,N.Engl.J.M版348(3):203-213(2003)を参照されたい)。
【0109】
しかしながら、T細胞疲弊もまた、癌の主要な免疫学的特徴であり、高レベルの阻害性共受容体を発現し、エフェクターサイトカインを産生する能力を欠く多くの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を有する(Wherry,E.J.Nature immunology 12:492-499(2011)、Rabinovich,G.A.,ら,Annual review of immunology 25:267-296(2007))。本開示の方法のいくつかの実施形態において、個体は、T細胞機能不全性障害を有する。本開示の方法のいくつかの実施形態において、T細胞機能不全性障害は、T細胞アネルギー、またはサイトカインを分泌する、増殖する、若しくは細胞溶解反応を実行する能力の減少を特徴とする。本開示の方法のいくつかの実施形態において、T細胞機能不全性障害は、T細胞疲弊を特徴とする。本開示の方法のいくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+及びCD8+T細胞である。
【0110】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、個体における活性化CD4及び/またはCD8 T細胞は、γ-IFN+産生CD4及び/若しくはCD8 T細胞、ならびに/またはその組み合わせの投与前と比較して増強された細胞溶解反応を特徴とする。γ-IFN+は、例えば、細胞内サイトカイン染色(ICS)を伴う細胞固定、透過処理、及びγ-IFNに対する抗体による染色を含む、当該技術分野において既知の任意の手段によって測定され得る。細胞溶解活性は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、混合されたエフェクター及び標的細胞を用いる細胞死滅アッセイを使用して測定され得る。
【0111】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、IFN-γ、TNF-α、及びインターロイキンからなる群から選択されるサイトカインの放出増加を呈する。サイトカイン放出は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、CD4及び/またはCD8 T細胞を含有する試料中の放出されたサイトカインの存在を検出するためのウェスタンブロット、ELISA、または免疫組織化学アッセイを使用して測定され得る。
【0112】
本開示の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 T細胞は、エフェクターメモリーT細胞である。本開示の方法のいくつかの実施形態において、CD4及び/またはCD8 TエフェクターメモリーT細胞は、CD44高CD62L低の発現を有することを特徴とする。CD44高CD62L低の発現は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、組織(例えば、癌組織)の単一細胞懸濁液を調製すること、及びCD44及びCD62Lに対する市販の抗体を使用して表面染色及びフローサイトメトリーを行うことによって検出され得る。
【0113】
TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤
本開示のある特定の態様は、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤に関する。本明細書で使用される場合、「TIGIT」は、Ig及びITIMドメインポリペプチドを有するT細胞免疫受容体として機能するように特徴付けられるか、または予測される任意のポリペプチドまたはその相同体を指し得る。TIGITポリペプチドの非限定例は、NCBI遺伝子番号201633によって表されるヒト遺伝子によってコードされる任意のポリペプチド、例えば、NCBI RefSeq No.NP_776160によって記載される配列を有するポリペプチドである。TIGITポリペプチド及びそれらの生物活性に関する追加の説明は、Yuら,Nat.Immunol.10:48-57(2009)、米国特許公開第20040121370号、及び米国特許公開第20130251720号において見出され得る。
【0114】
個体における癌の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。個体における癌再発または癌進行の低減または阻害方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。癌を有する個体における腫瘍免疫の治療またはその進行の遅延方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。癌を有する個体における免疫応答または機能の増加、増強、または刺激方法であって、有効量の、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤、ならびに抗癌剤及び/または抗癌療法を個体に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0115】
いくつかの実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤としては、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬、PVR発現及び/または活性の拮抗薬、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、PVRL3へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態において、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0117】
いくつかの実施形態において、PVR発現及び/または活性の拮抗薬としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態において、TIGITとPVRとの相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態において、TIGITとPVRL2との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0120】
いくつかの実施形態において、TIGITとPVRL3との相互作用を阻害する及び/または遮断する薬剤としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0121】
いくつかの実施形態において、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態において、PVRL2へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態において、PVRL3へのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する及び/または遮断する薬剤としては、小分子阻害剤、阻害抗体またはその抗原結合断片、アプタマー、阻害核酸、及び阻害ポリペプチドが挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態において、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬は、アンチセンスポリヌクレオチド、干渉RNA、触媒RNA、及びRNA-DNAキメラから選択される阻害核酸である。
【0125】
いくつかの実施形態において、TIGIT発現及び/または活性の拮抗薬は、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片である。
【0126】
そのような抗体を含有する組成物を含む本発明において有用な抗TIGIT抗体、例えば、国際公開第2009/126688号に記載されるものは、抗癌剤と併せて使用されてもよい。
【0127】
抗TIGIT抗体
本発明は、抗TIGIT抗体を提供する。例示的な抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性、及びヘテロ共役抗体が挙げられる。本発明はまた、他のポリペプチドに対する抗体(すなわち、抗PVR抗体)を提供すること、及び抗TIGIT抗体の創出方法、産生、変種、使用、または他の態様に特異的に導かれる本明細書における説明のうちのいずれも、他の非TIGITポリペプチドに特異的な抗体に適用可能であることが当業者によって理解されるであろう。
【0128】
ポリクローナル抗体
抗TIGIT抗体は、ポリクローナル抗体を含み得る。ポリクローナル抗体の調製方法は、当業者に既知である。ポリクローナル抗体は、哺乳動物において、例えば、免疫付与剤及び必要に応じてアジュバントの1回以上の注入によって産生され得る。典型的には、免疫付与剤及び/またはアジュバントは、複数の皮下または腹腔内注入によって哺乳動物に注入される。免疫付与剤は、TIGITポリペプチドまたはその融合タンパク質を含み得る。免疫付与される哺乳動物において免疫原性であることが知られているタンパク質に免疫付与剤を共役させることが有用であり得る。そのような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、及び大豆トリプシン阻害剤が挙げられるが、それらに限定されない。用いられ得るアジュバントの例としては、フロイント完全アジュバント、及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコール酸塩)が挙げられる。免疫付与プロトコルは、過度な実験なしに当業者によって選択され得る。
【0129】
モノクローナル抗体
抗TIGIT抗体は、代替として、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)によって記載されるものなどのハイブリドーマ方法を使用して調製され得る。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、典型的に、免疫付与剤で免疫付与され、この免疫付与剤に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。代替として、リンパ球は、生体外で免疫付与されてもよい。
【0130】
免疫付与剤は、典型的に、TIGITポリペプチドまたはその融合タンパク質を含む。一般に、ヒト起源の細胞が所望される場合に抹消血リンパ球(「PBL」)が使用されるか、または非ヒト哺乳類起源が所望される場合に脾臓細胞若しくはリンパ節細胞が使用されるかのいずれかである。次にリンパ球は、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して不死化細胞系と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する[Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986)pp.59-103]。不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳類細胞、特に齧歯類、ウシ、及びヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウス骨髄腫細胞系が用いられる。ハイブリドーマ細胞は、融合されていない不死化細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を好ましくは含有する、好適な培養培地中で培養されてもよい。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠失する場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(「HAT培地」)を含み、それらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0131】
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安定した高レベルの抗体発現を支持し、HAT培地などの培地に感受性であるものである。より好ましい不死化細胞株は、マウス骨髄腫株であり、それらは例えば、Salk Institute Cell Distribution Center(San Diego,California)及びthe American Type Culture Collection(Manassas,Virginia)から入手され得る。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について説明された[KOZBOR,J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeurら,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)pp.51-63]。
【0132】
次に、ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、ポリペプチドに対して向けられたモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、または生体外結合アッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定される。そのような技法及びアッセイは、当該技術分野において既知の任意である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、the Scatchard analysis of Munson and Pollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)によって決定され得る。
【0133】
所望のハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンは、限界希釈手順によってサブクローン化され、標準方法によって生育され得る[Goding、上記]。この目的に好適な培養培地としては、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地及びRPMI-1640培地が挙げられる。代替として、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物において腹水として生体内で生育され得る。
【0134】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、タンパク質A-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィーなどによって培養培地または腹水液から単離または精製され得る。
【0135】
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載されるものなどの組み換えDNA方法によって作製され得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい起源となる。一旦単離されると、DNAは、発現ベクター中に置かれてもよく、次にシミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはそうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞に形質移入され、組み換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得る。またDNAは、例えば、相同性マウス配列の代わりに、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を用いることによって[米国特許第4,816,567号、Morrisonら、上記]または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てまたは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合することによって修飾され得る。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに用いられ得るか、またはキメラ二価抗体を創出するために、本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに用いられ得る。
【0136】
抗体は、一価抗体であり得る。一価抗体の調製方法は、当該技術分野において周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖及び修飾された重鎖の組み換え発現を必要とする。重鎖は、重鎖架橋を防止するように、一般にFc領域内の任意の点で切断される。代替として、関連システイン残基は、別のアミノ酸残基で置換されるか、または架橋を防止するように欠失される。
【0137】
生体外方法もまた、一価抗体を調製するために好適である。その断片、特にFab断片を産生するための抗体の消化は、当該技術分野において既知のルーチン技法を使用して達成され得る。
【0138】
ヒト及びヒト化抗体
本発明の抗TIGIT抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体をさらに含み得る。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab′、F(ab′)2、若しくは抗体の他の抗原結合部分配列)である。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み、このレシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基は、所望の特異性、親和性、及び/または能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換される。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。またヒト化抗体は、レシピエント抗体内でも移入されたCDRまたはフレームワーク配列内でも見出されない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDR領域の全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、随意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれを含む[Jonesら,Nature 321:522-525(1986)、Riechmannら,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)]。
【0139】
非ヒト抗体のヒト化方法は、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである起源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、典型的に「移入」可変ドメインから得られる、「移入」残基と称される。ヒト化は、Winter及び協力者の方法に従い[Jonesら,Nature 321:522-525(1986)、Riechmannら,Nature 322:323-327(1988)、Verhoeyenら,Science,239:1534-1536(1988)]、齧歯類CDRまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることによって本質的に行われ得る。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が、非ヒト種からの対応する配列によって置換された。実際に、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基、及び恐らくいくつかのFR残基が、齧歯類抗体内の類似部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0140】
またヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当該技術分野において既知の様々な技法を使用して産生され得る[Hoogenboom and Winter, J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marksら,J.Mol.Biol.,222:581(1991)]。またColeら及びBoernerらの技法は、ヒトモノクローナル抗体の調製に使用可能である(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、及びBoernerら,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)]。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を遺伝子導入動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されたマウスに導入することによって作製され得る。惹起時に、遺伝子再配置、アセンブリ、及び抗体レパートリーを含む全ての点でヒトにおいて見られるものと非常に類似するヒト抗体産生が観察される。この手法は、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び以下の科学的刊行物、Marksら,Bio/Technology 10, 779-783(1992)、Lonbergら,Nature 368 856-859(1994)、Morrison,Nature 368,812-13(1994)、Fishwildら,Nature Biotechnology 14,845-51(1996)、Neuberger,Nature Biotechnology 14,826(1996)、Lonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13 65-93(1995)に記載されている。
【0141】
抗体はまた、上記のような既知の選択及び/または突然変異誘発方法を使用して、親和性成熟され得る。好ましい親和性成熟抗体は、成熟抗体が調製される出発抗体(一般にマウス、ヒト化、若しくはヒト)よりも5倍、より好ましくは10倍、さらにより好ましくは20または30倍優れた親和性を有する。
【0142】
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する、モノクローナル、好ましくはヒトまたはヒト化抗体である。この場合、結合特異性のうちの1つは、TIGITに対してであり、もう1つは任意の他の抗原に対するもの、好ましくは細胞表面タンパク質または受容体若しくは受容体サブユニットに対するものである。
【0143】
二重特異性抗体の作製方法は、当該技術分野において既知である。伝統的に、二重特異性抗体の組み換え産生は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づき、2つの重鎖は、異なる特異性を有する[Milstein and Cuello,Nature,305:537-539(1983)]。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダム分類に起因して、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、それらのうち1つのみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常、親和性クロマトグラフィー工程によって達成される。同様の手順は、1993年5月13日に公開された国際公開第93/08829号、及びTrauneckerら,EMBO J.,10:3655-3659(1991)に開示されている。
【0144】
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原複合部位)は、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合され得る。好ましくは、ヒンジ、CH2、及びCH3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。融合のうちの少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含む、第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合、及び所望される場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別個の発現ベクターに挿入され、好適な宿主生物に同時形質移入される。二重特異性抗体を生成することに関するさらなる詳細は、例えば、Sureshら,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
【0145】
国際公開第96/27011号に記載される別の手法に従い、一対の抗体分子間の界面は、組み換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大化するように操作され得る。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小アミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きな側鎖(複数可)と同一または同様のサイズの補填「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置換することによって、第2の抗体分子の界面上に創出される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終産物よりもヘテロ二量体の収率を増加させるための機序を提供する。
【0146】
二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab′)2二重特異性抗体)として調製され得る。二重特異性抗体を抗体断片から生成するための技法は、文献において説明されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製され得る。Brennanら,Science 229:81(1985)は、無傷の抗体がタンパク質分解的に開裂されて、F(ab′)2断片を生成する。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元され、ビシナルジチオールを安定させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。次に、生成されたFab′断片は、チオニトロ安息香酸塩(TNB)誘導体に変換される。次に、Fab′-TNB誘導体のうちの1つは、メルカプトエチルアミンを用いる低減によってFab′-チオールに再変換され、等モル量の他のFab′-TNB誘導体と混合されて、二重特異性抗体を形成する。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定のための薬剤として使用され得る。
【0147】
Fab′断片は、大腸菌から直接回収され、化学的に結合されて二重特異性抗体を形成することができる。Shalabyら,J.Exp.M版175:217-225(1992)は、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab′)2分子の産生を説明する。各Fab′断片は、大腸菌から別個に分泌され、生体外での直接化学的カップリングに供されて二重特異性抗体を形成した。このように形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体及び正常ヒトT細胞を過剰発現する細胞に結合することができると共に、ヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を引き起こす。
【0148】
二重特異性抗体断片を組み換え細胞培養から直接作製し、単離するための様々な技法も説明されてきた。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生された。Kostelnyら,J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab′部分に結合された。抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域において低減されてモノマーを形成し、次に再度酸化されて抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体の産生に利用することもできる。Hollingerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)に記載される「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機序を提供した。これらの断片は、短すぎて同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にすることができないリンカーによって、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVH及びVLドメインは、別の断片の相補性VL及びVHドメインと対合させ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体断片を作製するための別の戦略も報告された。Gruberら,J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい。
【0149】
2より大きい原子価を有する抗体が企図される。1つの非限定例として、三重特異性抗体が調製され得る。例えば、Tuttら,J.Immunol.147:60(1991)を参照されたい。
【0150】
例示的な二重特異性抗体は、本明細書における所与のTIGITポリペプチド上の2つの異なるエピトープに結合し得る。代替として、抗TIGITポリペプチドアームは、特定のTIGITポリペプチドを発現する細胞に対する細胞防御機序に焦点を合わせるように、T細胞受容体分子(例えば、CD3)などの白血球上のトリガ分子、またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD16)などのIgG(FcγR)のFc受容体に結合するアームと組み合わされ得る。また二重特異性抗体を使用して、特定のTIGITポリペプチドを発現する細胞に細胞傷害性剤を局在化することができる。これらの抗体は、TIGIT結合アーム、及び細胞傷害性剤または放射性核種キレート剤、例えば、EOTUBE、DPTA、DOTA、またはTETAに結合するアームを有する。関心対象の別の二重特異性抗体は、TIGITポリペプチドに結合し、さらに組織因子(TF)に結合する。
【0151】
ヘテロ共役抗体
ヘテロ共役抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ共役抗体は、2つの共役結合された抗体で構成される。そのような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞に標的するため[米国特許第4,676,980]、及びHIV感染の治療のために提案された[国際公開第91/00360号、同第92/200373号、欧州特許第03089号]。抗体は、架橋剤を必要とするものを含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用して、生体外で調製され得ることが企図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって構築され得る。この目的に好適な試薬の例としては、イミノチオレート(iminothiolate)及びメチル-4-メルカプトブチルイミダート、及び例えば、米国特許第4,676,980号に開示されるものが挙げられる。
【0152】
エフェクター機能操作
例えば、癌を治療することにおける抗体の有効性を増強するように、エフェクター機能に関して本発明の抗体を修飾することが望ましい場合がある。例えば、システイン残基(複数可)をFc領域に導入することができ、それによりこの領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にする。したがって、生成されたホモ二量体抗体は、改善された内部移行能力、ならびに/または増加した補体媒介性細胞死滅及び抗体依存的細胞性細胞傷害性(ADCC)を有することができる。Caronら,J.Exp M版,176:1191-1195(1992)及びShopes,J.Immunol.,148:2918-2922(1992)を参照されたい。増強された抗腫瘍活性を有するホモ二量体抗体はまた、WolffらCancer Research,53:2560-2565(1993)に記載されるヘテロ二機能性架橋剤を使用して調製され得る。代替として、二重Fc領域を有する抗体が操作され得、それにより増強された補体溶解及びADCC能力を有することができる。Stevensonら,Anti-Cancer Drug Design,3:219-230(1989)を参照されたい。
【0153】
いくつかの実施形態において、ハムスター抗マウス抗体である抗TIGIT抗体が生成された。2つの抗体、10A7及び1F4もまた、ヒトTIGITに特異的に結合した。10A7抗体の軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列は、標準技法を使用して決定された。この抗体の軽鎖配列は、
(配列番号13)であり、この抗体の重鎖配列は、
(配列番号15)であり、各鎖の超可変領域(HVR)は、太字で表される。したがって、10A7軽鎖のHVR1は、配列KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)を有し、10A7軽鎖のHVR2は、配列ASIRFT(配列番号2)を有し、10A7軽鎖のHVR3は、配列QQGINNPLT(配列番号3)を有する。10A7重鎖のHVR1は、配列GFTFSSFTMH(配列番号4)を有し、10A7重鎖のHVR2は、配列FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)を有し、10A7重鎖のHVR3は、配列RPLGHNTFDS(配列番号6)を有する。
【0154】
1F4抗体の軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列も決定された。この抗体の軽鎖配列は、
(配列番号14)であり、この抗体の重鎖配列は、
(配列番号16)であり、各鎖の超可変領域(HVR)は、太字で表される。したがって、1F4軽鎖のHVR1は、配列RSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)を有し、1F4軽鎖のHVR2は、配列GISNRFS(配列番号8)を有し、1F4軽鎖のHVR3は、配列LQGTHQPPT(配列番号9)を有する。1F4重鎖のHVR1は、配列GYSFTGHLMN(配列番号10)を有し、1F4重鎖のHVR2は、配列LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)を有し、1F4重鎖のHVR3は、配列GLRGFYAMDY(配列番号12)を有する。
【0155】
1F4軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、GATGTTGTGTTGACTCAAACTCCACTCTCCCTGTCTGTCAGCTTTGGAGATCAAGTTTCTATCTCTTGCAGGTCTAGTCAGAGTCTTGTAAACAGTTATGGGAACACCTTTTTGTCTTGGTACCTGCACAAGCCTGGCCAGTCTCCACAGCTCCTCATCTTTGGGATTTCCAACAGATTTTCTGGGGTGCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGTTCAGGGACAGATTTCACACTCAAGATCAGCACAATAAAGCCTGAGGACTTGGGAATGTATTACTGCTTACAAGGTACGCATCAGCCTCCCACGTTCGGTCCTGGGACCAAGCTGGAGGTGAAA(配列番号17)であると決定され、1F4重鎖をコードするヌクレオチド配列は、GAGGTCCAGCTGCAACAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGAACTTCAATGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGTTACTCATTCACTGGCCATCTTATGAACTGGGTGAAGCAGAGCCATGGAAAGAACCTTGAGTGGATTGGACTTATTATTCCTTACAATGGTGGTACAAGCTATAACCAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACAAGTCATCCAGCACAGCCTACATGGAGCTCCTCAGTCTGACTTCTGATGACTCTGCAGTCTATTTCTGTTCAAGAGGCCTTAGGGGCTTCTATGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA(配列番号18)であると決定された。
【0156】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、またはRSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)に記載されるアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、少なくとも1つのHVRを含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の軽鎖は、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の重鎖は、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0159】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体の軽鎖は、DIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)またはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列を含み、該抗体の重鎖は、EVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)またはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片であって、該抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロ共役抗体、及び免疫毒素から選択される。
【0161】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、KSSQSLYYSGVKENLLA(配列番号1)、ASIRFT(配列番号2)、QQGINNPLT(配列番号3)、GFTFSSFTMH(配列番号4)、FIRSGSGIVFYADAVRG(配列番号5)、及びRPLGHNTFDS(配列番号6)、またはRSSQSLVNSYGNTFLS(配列番号7)、GISNRFS(配列番号8)、LQGTHQPPT(配列番号9)、GYSFTGHLMN(配列番号10)、LIIPYNGGTSYNQKFKG(配列番号11)、及びGLRGFYAMDY(配列番号12)のうちのいずれかに記載されるHVRと少なくとも90%同一である少なくとも1つのHVRを含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、抗TIGIT抗体またはその抗原結合断片は、それぞれDIVMTQSPSSLAVSPGEKVTMTCKSSQSLYYSGVKENLLAWYQQKPGQSPKLLIYYASIRFTGVPDRFTGSGSGTDYTLTITSVQAEDMGQYFCQQGINNPLTFGDGTKLEIKR(配列番号13)若しくはDVVLTQTPLSLSVSFGDQVSISCRSSQSLVNSYGNTFLSWYLHKPGQSPQLLIFGISNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISTIKPEDLGMYYCLQGTHQPPTFGPGTKLEVK(配列番号14)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖、及び/またはEVQLVESGGGLTQPGKSLKLSCEASGFTFSSFTMHWVRQSPGKGLEWVAFIRSGSGIVFYADAVRGRFTISRDNAKNLLFLQMNDLKSEDTAMYYCARRPLGHNTFDSWGQGTLVTVSS(配列番号15)若しくはEVQLQQSGPELVKPGTSMKISCKASGYSFTGHLMNWVKQSHGKNLEWIGLIIPYNGGTSYNQKFKGKATLTVDKSSSTAYMELLSLTSDDSAVYFCSRGLRGFYAMDYWGQGTSVTVSS(配列番号16)に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0163】
抗癌剤及び抗癌療法
本開示のある特定の態様は、抗癌剤及び抗癌療法に関する。理論に束縛されるものではないが、TIGITの特性に起因して(例えば、米国特許公開第20040121370号、及び米国特許公開第20130251720号を参照されたい)、TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させる、若しくは阻害する薬剤は、例えば、癌を治療する、若しくはその進行を遅らせる;癌再発若しくは癌進行を低減する、若しくは阻害する;腫瘍免疫を治療する、若しくはその進行を遅らせる;ならびに/または癌を有する個体における免疫応答若しくは機能を増加、増強、若しくは刺激することによって、抗癌剤及び/または抗癌療法の抗癌効果を増強することができると考えられる。当業者によって認識されるように、本明細書に記載される抗癌剤及び抗癌療法は、個別に、または併せて使用され得る。本明細書に開示されるように、本開示のTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、本開示の抗癌剤と共に、本開示の抗癌療法と共に、または本開示の抗癌剤及び本開示の抗癌療法と共に投与されてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤は、抗癌療法と併せて投与されてもよい。本開示の抗癌療法としては、放射線療法、手術、化学療法、遺伝子療法(例えば、ALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標)などの遺伝子療法)、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。抗癌療法は、アジュバントまたはネオアジュバント療法の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、抗癌療法は、副作用制限剤(例えば、制吐剤などの、治療の副作用の発生及び/または重症度を軽減することが意図された薬剤)の投与である。いくつかの実施形態において、抗癌療法は、放射線療法である。いくつかの実施形態において、抗癌療法は、手術である。いくつかの実施形態において、抗癌療法は、本明細書に記載される化学療法剤のうちの1つ以上であり得る。これらの療法のうちのいずれかは、本開示のTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併せて投与され得る。
【0165】
いくつかの実施形態において、化学療法剤または成長阻害剤、標的治療剤、キメラ抗原受容体を発現するT細胞、抗体またはその抗原結合断片、抗体薬物複合体、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、癌ワクチン、アジュバント、及びそれらの組み合わせである。
【0166】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、化学療法剤または成長阻害剤である。例えば、化学療法剤または成長阻害剤としては、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、抗代謝薬、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性剤または抗腫瘍抗生物質、プロテアソーム阻害剤、抗微小管剤、EGFR拮抗薬、レチノイド、チロシンキナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0167】
化学療法剤の例としては、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、ジスルフィラム、エピガロカテシン没食子酸塩、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、17-AAG(ゲルダナマイシン)、ラジシコル、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDH-A)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca)、スニチブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer/Sugen)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、イマチニブメシラート(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、フィナスナート(VATALANIB(登録商標)、Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファルニブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、ブスルファン、イムプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドを含む);アセトゲニン(特にブラタシン及びブタラシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);アドレノコルチコステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);シプロテロン酢酸塩;5α-レダクターゼ(フィナステリド及びズタステリドを含む);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスレウキン、タルクデュオカルマイシン(合成類似体を含む、KW-2189及びCB1-TM1);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;エネジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンγ1I及びカリケアミシンω1I(Angew Chem.Intl.版Engl.1994 33:183-186);ダイネミシン(ダイネミシンAを含む);クロドロナートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;ならびにネオカルジノスタチンン発色団及び関連色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシンCなどのミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、及びイマチニブ(2-フェニルアミノピリミジン誘導体)などのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピトスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナル;フロリン酸などの葉酸補液;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサミトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2′,2″-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2トキシン、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton,N.J.)、ABRAXANE(クレモフォア不含有)、パクリタキセルのアルブミン操作されたナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,III.)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル、ドキセタキセル;Sanofi-Aventis);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロナート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、アルキル化剤(一機能性及び二機能性アルキル化剤を含む)、例えば、チオテパ、CYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミド、ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミン酸化物塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;テモゾロミド;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシンなどのアントラシクリン、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0170】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)(例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェン)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフェン)を含む)、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン、Pfizer)、フォルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール、Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール、AstraZeneca)、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0172】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン;ブセレリン、トリプテレリン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全てのトランスレチノイン酸、フェンレチニド、ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体)、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、タンパク質キナーゼ阻害剤、脂質キナーゼ阻害剤、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド、特に例えば、PKC-アルファ、Ralf、及びH-Rasなどの異常な細胞増殖と関係があるとされるシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するものが挙げられ得る。
【0174】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標)及びHER2発現阻害剤などのリボザイムを含み得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、ダクチノマイシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ミトマイシンCなどのミトマイシン、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0176】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、ボルテゾミブなどのプロテアーゼ阻害剤(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、カルフィルゾミブなどのエポキソミシン(KYPROLIS(登録商標)、Onyx Pharm.)、マルゾミブ(NPI-0052)、MLN2238、CEP-18770、オポロゾミブ、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0177】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、ビンカアルカロイドなどの抗微小管剤(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビンを含む);タキサン(パクリタキセル及びドセタキセルを含む);ポドフィロトキシン;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0178】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、EGFRに結合するか、または他の方法で直接相互作用し、そのシグナル伝達活性を防止または制限する化合物を指し、代替として、「EGFRi」と称される「EGFR拮抗薬」が挙げられ得る。そのような薬剤の例としては、EGFRに結合する抗体及び小分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例としては、MAb 579(ATCC CRL HB 8506)、MAb 455(ATCC CRL HB8507)、MAb 225(ATCC CRL 8508)、MAb 528(ATCC CRL 8509)(米国特許第4,943,533号、Mendelsohnら)及びそれらの変異型、例えば、キメラ化225(C225またはセツキシマブ;ERBUTIX(登録商標))及び再形状化されたヒト225(H225)(国際公開第96/40210号を参照されたい、Imclone Systems Inc.);IMC-11F8、完全ヒトEGFR標的抗体(Imclone);II型突然変異体EGFRに結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載される、EGFRに結合するヒト化及びキメラ抗体;ならびにABX-EGFまたはパニツムマブなどのEGFRに結合するヒト抗体(国際公開第98/50433号を参照されたい、Abgenix/Amgen);EMD 55900(StragliottoらEur.J.CANCER 32A:636-640(1996));EGFR結合のためにEGF及びTGF-アルファの両方と競合するEGFRに対して向けられたEMD7200(マツズマブ)ヒト化EGFR抗体(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体、HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、及びE7.6.3として知られ、米国特許第6,235,883号に記載される完全ヒト抗体;MDX-447(Medarex Inc);ならびにmAb 806またはヒト化mAb 806(Johnsら,J.Biol.Chem.279(29):30375-30384(2004))が挙げられる。抗EGFR抗体は、細胞傷害性剤と共役され得、したがって免疫共役体を生成する(例えば、EP659439A2、Merck Patent GmbHを参照されたい)。EGFR拮抗薬は、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、ならびに以下のPCT公開第98/14451号、同第98/50038、同第99/09016、及び同第99/24037号に記載される化合物などの小分子を含む。特定の小分子EGFR拮抗薬としては、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標) Genentech/OSI Pharmaceuticals);PD 183805(CI 1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、二塩酸塩、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3‘-クロロ-4′-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca);ZM 105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU 5271;Pfizer);二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えばラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016またはN-[3-クロロ-4-[(3フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が挙げられる。
【0179】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、チロシンキナーゼ阻害剤(前述のパラグラフに記載されるEGFR標的薬を含む);Takedaから入手可能なTAK165などの小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤;CP-724,714、ErbB2受容体シロシンキナーゼの経口選択的阻害剤(Pfizer及びOSI);二重HER阻害剤、例えばEGFRに選好的に結合するが、HER2及びEGFR両方の過剰発現細胞を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能);ラパチニブ(GSK572016;Glaxo-SmithKlineから入手可能)、経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤;PKI-166(Novartisから入手可能);カネルチニブなどのパン-HER阻害剤(CI-1033、Pharmacia);Raf-1阻害剤、例えばRaf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス剤ISIS-5132;非HER標的TK阻害剤、例えばイマチニブメシラート(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能);多標的チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能);バタラニブなどのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能);MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能);PD 153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリンなどのキナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP 59326、CGP 60261、及びCGP 62706などのピロロピリミジン;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス部分(例えば、HERをコードする核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033(Pfizer)などのpan-HER阻害剤;アフィニタック(ISIS 3521、Isis/Lilly);イマチニブメシラート(GLEEVEC(登録商標));PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標));または以下の特許公報、米国特許第5,804,396号;国際公開第1999/09016(American Cyanamid);国際公開第1998/43960号(American Cyanamid);国際公開第1997/38983号(Warner Lambert);国際公開第1999/06378号(Warner Lambert);国際公開第1999/06396号(Warner Lambert);国際公開第1996/30347号(Pfizer,Inc);国際公開第1996/33978号(Zeneca);国際公開第1996/3397号(Zeneca)、及び国際公開第1996/33980(Zeneca)に記載されるものが挙げられる。
【0180】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、レチノイン酸などのレチノイド、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、抗代謝物が挙げられ得る。抗代謝物の例としては、葉酸類似体及び抗葉酸剤、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば5-フルオロウラシル(5-FU)、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン;ヌクレオチド類似体、及びヌクレオチド類似体が挙げられ得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、トポイソメラーゼ阻害剤が挙げられ得る。トポイソメラーゼ阻害剤の例としては、トポイソメラーゼI阻害剤、例えばLURTOTECAN(登録商標)及びABARELIX(登録商標)rmRH;トポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、及びブレオマイシン;ならびにトポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000が挙げられ得る。
【0183】
いくつかの実施形態において、化学療法剤としては、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、ベリノスタット、モセチノスタット、バルプロン酸、パノビノスタット、ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、及び誘導体が挙げられ得る。
【0184】
化学療法剤としてはまた、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、チキソコルトールピバル酸塩、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-酪酸塩、ヒドロコルチゾン-17-吉草酸塩、二プロピオン酸アクロメタゾン、ベタメタゾン吉草酸塩、二プロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-酪酸塩、クロベタゾール-17-プロピオン酸塩、フルオコルトロンカプロン酸塩、フルオコルトロン吉草酸塩及び酢酸フルプレドニデン;免疫選択的公園焼成ペプチド(ImSAID)、例えばフェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)及びそのD-異性体型(feG)(IMULAN BioTherapeutics、LLC);抗リウマチ薬、例えばアザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミデミノシクリン、スルファサラジン、腫瘍壊死因子α(TNFα)遮断剤、例えばエタネルセプト(Enbrel)、インフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、セルトリズマブペゴール(Cimzia)、ゴリムマブ(Simponi)、インターロイキン1(IL-1)遮断剤、例えばアナキンラ(Kineret)、T細胞共刺激遮断剤、例えばアバタセプト(Orencia)、インターロイキン6(IL‐6)遮断剤、例えばトシリズマブ(ACTEMERA(登録商標));インターロイキン13(IL-13)遮断剤、例えばレブリキズマブ;インターフェロンα(IFN)遮断剤、例えばロンタリズマブ;ベータ7インテグリン遮断剤、例えばrhuMAb ベータ7;IgE経路遮断剤、例えば、抗体M1プリム;分泌されたホモ三量体LTa3及び膜結合されたヘテロ二量体LTa1/β2遮断剤、例えば抗リンパ毒α(LTa);放射活性アイソトープ(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射活性アイソトープ);種々の調査剤、例えばチオプラチン、PS-341、フェニル酪酸塩、ET-18-OCH3、またはファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832);ポリフェノール、例えばケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸及びその誘導体;クロロキンなどのオートファジー阻害剤;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルチシン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));ビスホスホネート、例えばクロドロナート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロナート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標));ならびに上皮成長因子受容体(EGF-R);THERATOPE(登録商標)ワクチンなどのワクチン;ペリフォシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブまたはエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);CCI-779;チピファルニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;Bcl-2阻害剤、例えばオブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標));ピキサントロン;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばロナファルニブ(SCH 6636、SARASAR(商標));及び上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;ならびに上記のうちの2つ以上の組み合わせ、例えばCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの複合療法の省略形);及びFOLFOX(5-FU及びロイコボリンと複合されたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いる治療レジメンの省略形)が挙げられ得る。
【0185】
化学療法剤としてはまた、鎮静効果、解熱効果、及び抗炎症効果を有する非ステロイド抗炎症薬が挙げられ得る。NSAIDとしては、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤が挙げられる。NSAIDの特定例としては、アスピリン、プロピオン酸誘導体(例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びナプロキセン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソキシカム)、フェナム酸誘導体(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、及びCOX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが挙げられる。NSAIDは、関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性関節症、強直性脊椎症、乾癬性関節炎、ライター症候群、急性痛風、月経困難症、転移性骨痛、頭痛、及び片頭痛、術後痛、炎症及び組織傷害に起因する軽度から中度の疼痛、発熱、腸閉塞、及び腎疝痛などの病態の症状緩和のために示され得る。
【0186】
「成長阻害剤」は、本明細書で使用される場合、生体外または生体内のいずれかで細胞の成長を阻害する化合物または組成物を指す。そのようなものとして、当業者は、多くの薬剤(例えば、上記のもののうちの多く)が、化学療法剤及び成長阻害剤の両方として分類され得ることを理解するであろう。一実施形態において、成長阻害剤は、抗体が結合する抗原を発現する細胞の増殖を防止または低減する、成長阻害抗体である。別の実施形態において、成長阻害剤は、S期の細胞の割合を著しく低減するものであり得る。成長阻害剤の例としては、細胞周期の進行を(S期以外の場所で)遮断する薬剤、例えばG1停止及びM期停止を誘発する薬剤が挙げられ得る。古典的M期遮断剤としては、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが挙げられる。G1を停止するそのような薬剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びara-CなどのDNAアルキル化剤はまた、S期停止へと波及する。さらなる情報は、Mendelsohn and Israel,編,The Molecular Basis of Cancer,Chapter 1,entitled″Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs″by Murakamiら(W.B.Saunders,Philadelphia,1995),e.g.,p.13において見出され得る。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、いずれもイチイの木由来の抗癌薬である。ヨーロッパイチイ由来のドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセルの半合成類似体(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管のアセンブリを促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定させ、細胞内の有糸分裂の阻害をもたらす。
【0187】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、標的治療剤である。例えば、標的治療剤としては、B-raf阻害剤、MEK阻害剤、K-ras阻害剤、c-Met阻害剤、Alk阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、二重ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ/mTOR阻害剤、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、最も広い意味で使用され、任意の小分子、タンパク質、またはその標的の生物活性を干渉する他のマクロ分子を包含する。
【0188】
いくつかの実施形態において、標的治療剤としては、ベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)としても知られる)、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標)としても知られる)、及びエルロチニブ(Tarceva(登録商標)としても知られる)などのB-raf阻害剤;MEK1(MAP2K1としても知られる)またはMEK2(MAP2K2としても知られる)、コビメチニブ(GDC-0973またはXL-518)、及びトラメチニブ(Mekinist(登録商標)としても知られる)の阻害剤などのMEK阻害剤;K-ras阻害剤;オナルツズマブ(MetMAbとしても知られる)などのc-Met阻害剤;AF802(CH5424802またはアレクチニブとしても知られる)などのAlk阻害剤;イデラリシブ(GS-1101またはCAL-101としても知られる)、BKM120、及びペリフォシン(KRX-0401としても知られる)などのホスファチジルイノシトール3-キナーゼ阻害剤;GSK690693、MK2206、及びGDC-0941などのAkt阻害剤;シロリムス(ラパマイシンとしても知られる)、テムシロリムス(CCI-779またはTorisel(登録商標)としても知られる)、エベロリムス(RAD001としても知られる)、リダフォロリムス(AP-23573、MK-8669、またはデフォロリムスとしても知られる)、OSI-027、AZD8055、及びINK128などのmTOR阻害剤;XL765、GDC-0980、BEZ235(NVP-BEZ235としても知られる)、BGT226、GSK2126458、PF-04691502、及びPF-05212384(PKI-587としても知られる)などの二重ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/mTOR阻害剤が挙げられ得る。
【0189】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、キメラ抗原受容体を発現するT細胞である。本明細書で使用される場合、キメラ抗原受容体(またはCAR)は、関心対象の抗原に特異的な任意の操作された受容体を指し得、T細胞内で発現された場合、CARの特異性をT細胞に付与する。一旦、標準分子技法を使用して創出されると、キメラ抗原受容体を発現するT細胞は、養子細胞移入などの技法を用いて患者に導入されてもよい。例えば、キメラ抗原受容体を発現するT細胞は、優性ネガティブTGFベータ受容体、例えば、優性ネガティブTGFベータII型受容体を発現し得る。キメラ抗原受容体を発現するT細胞、及び優性ネガティブTGFベータ受容体を使用する治療の例としては、HERCREEMプロトコルが挙げられる(例えば、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00889954を参照されたい)。
【0190】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、抗体またはその抗原結合断片である。例えば、抗体またはその抗原結合断片としては、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech);セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、抗体薬物複合体、ゲムツズマブオゾガミシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。本発明の化合物と組み合わせた薬剤として、治療能力を有する追加のヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネウズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン(cantuzumab mertansine)、セデリズマブ(cedelizumab)、セルトリズマブペゴール(certolizumab pegol)、シドフシツズマブ(cidfusituzumab)、シドツズマブ(cidtuzumab)、クリバツズマブ(clivatuzumab)、ダクリズマブ(daclizumab)、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ(pecfusituzumab)、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ(reslivizumab)、レスリズマブ、レシビズマブ(resyvizumab)、ルプリズマブ、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、ソンツズマブ(sontuzumab)、タカツズマブ(tacatuzumab)テトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン(tucotuzumab celmoleukin)、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビシリズマブ、抗IL-12(例えば、ABT-874/J695、Wyeth Research and Abbott Laboratories、IL-12p40タンパク質を認識するように遺伝子修飾された組み換え排他的ヒト配列、全長IgG1λ抗体である)、抗IL-17(例えば、MCAF5352AまたはRG7624)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0191】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、CD52、VEGF-A、EGFR、CD20、HER2、HLA-DRB、CD62L、IL-6R、アミロイドベータ、CD44、CanAg、CD4、TNFアルファ、IL-2、CD25、補体C5、CD11a、CD22、CD18、呼吸系発疹ウイルスF、インターフェロンガンマ、CD33、CEACAM5、IL-5、インテグリンα4、IgE、IL-4、IL-5、CD154、FAP、CD2、MUC-1、AFP、インテグリンαIIbβ3、ClfA、IL6R、CD40L、EpCAM、Shiga様毒素II、IL-12、IL-23、IL-17、及びCD3から選択される標的に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態において、IL-17に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、上記の抗IL-17)としては、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E、IL-17F、及びそれらの組み合わせに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が挙げられ得る。
【0192】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、抗体薬物複合体である。例えば、抗体薬物複合体としては、メルタンシンまたはモノメチルオーリスタチンE(MMAE)、例えば抗NaPi2b抗体-MMAE複合体(DNIB0600AまたはRG7599としても知られる)、トラスツズマブエムタンシン(T-DM1、アド-トラスツズマブエムタンシン、またはKADCYLA(登録商標)、Genentechとしても知られる)、DMUC5754A、ビバツズマブメルタンシンまたはカンツズマブメルタンシン、及びエンドセリンB受容体を標的とする抗体薬物複合体(EDNBR)、例えば、MMAEと複合されたEDNBRに対して向けられる抗体が挙げられ得る。例えば、抗体薬物複合体としては、カリケアミシンまたはエスペラミシン(例えば、カリケアミシンkまたはエスペラミシンA1)、例えばゲムツズマブオゾガミシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)またはイノツズマブオゾガミシンも挙げられ得る。例えば、抗体薬物複合体としては、放射性同位体キレート剤、例えば、タカツズマブテトラキセタン若しくはクリバツズマブテトラキセタンを有するテトラキセタン、またはイブリツモマブチウキセタンを有するチウキセタン(ZEVALIN(登録商標)、Spectrum Pharma.)も挙げられ得る。「抗体」という用語は、それが本開示の抗体薬物複合体に関連するため、最も広い意味で使用され、具体的に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷の抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物活性、すなわち、抗原への特異的結合及び薬物に複合される能力を呈する限り、抗体断片(例えば、Fab断片、scFv、ミニボディ、ダイアボディ、scFv多量体、または二重特異性抗体断片)を網羅する。
【0193】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、血管新生阻害剤である。例えば、血管新生阻害剤としては、VEGF拮抗薬、例えば、ベバシズマブなどのVEGF-Aの拮抗薬(AVASTIN(登録商標)、Genentechとしても知られる);及びMEDI3617などのアンジオポイエチン2拮抗薬(Ang2としても知られる)が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、血管新生阻害剤としては、抗体が挙げられ得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、抗発癌剤である。例えば、抗発癌剤としては、例えば抗CSF-1R(IMC-CS4としても知られる)などのCSF-1Rを標的とする薬剤(M-CSFRまたはCD115としても知られる);インターフェロン、例えば、インターフェロンアルファまたはインターフェロンガンマ、例えばRoferon-A(組み換えインターフェロンアルファ-2aとしても知られる);GM-CSF(組み換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、rhu GM-CSF、サルグラモスチムまたはLeukine(登録商標)としても知られる);IL-2(アルデスレウキンまたはProleukin(登録商標)としても知られる);IL-12;及びオビヌツズマブ(GA101またはGazyva(登録商標)としても知られる)またはリツキシマブなどのCD20を標的とする抗体が挙げられ得る。
【0195】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、癌ワクチンである。例えば、癌ワクチンとしては、いくつかの実施形態において、テーラーメイドペプチドワクチンである、ペプチド癌ワクチンが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、ペプチド癌ワクチンは、多価長ペプチドワクチン、マルチペプチドワクチン、ペプチドカクテルワクチン、ハイブリッドペプチドワクチン、またはペプチドパルス樹状細胞ワクチンである(例えば、Yamadaら,Cancer Sci,104:14-21,2013を参照されたい)。
【0196】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、アジュバントである。例えば癌関連抗原に対して抗癌免疫応答を増強するか、または免疫系の成分に対する癌抗原の提示を助ける任意の物質は、本開示の抗癌アジュバントとして考慮され得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、TLR作動薬、例えばPoly-ICLC(Hiltonol(登録商標)としても知られる)、LPS、MPL、またはCpG ODN;腫瘍壊死因子(TNF)アルファ;IL-1;HMGB1;IL-10拮抗薬;IL-4拮抗薬;IL-13拮抗薬;CX3CL1を標的とする治療;CXCL9を標的とする治療;CXCL10を標的とする治療;CCL5を標的とする治療;LFA-1作動薬またはICAM1作動薬、及びセレクチン作動薬から選択される薬剤である。
【0198】
IV. キット
別の態様において、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0199】
別の態様において、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0200】
別の態様において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、個体における癌を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤若しくは抗癌療法がキットに含まれ得る。
【0201】
別の態様において、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0202】
別の態様において、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0203】
別の態様において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における癌再発または癌進行を低減するかまたは阻害するための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤若しくは抗癌療法がキットに含まれ得る。
【0204】
別の態様において、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0205】
別の態様において、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤、及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0206】
別の態様において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における腫瘍免疫を治療するかまたはその進行を遅らせるための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤若しくは抗癌療法がキットに含まれ得る。
【0207】
別の態様において、抗癌剤と、該抗癌剤を、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と併用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0208】
別の態様において、抗癌剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、該抗癌剤及びTIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を使用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤がキットに含まれ得る。
【0209】
別の態様において、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する薬剤と、TIGIT発現及び/または活性を減少させるかまたは阻害する該薬剤を、抗癌剤または抗癌療法と併用して、癌を有する個体における免疫応答または機能を増加、増強、または刺激するための説明書を含む添付文書と、を含むキットが提供される。TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させるか、若しくは阻害する薬剤のうちのいずれか、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤若しくは抗癌療法がキットに含まれ得る。
【0210】
いくつかの実施形態において、キットは、TIGIT発現及び/若しくは活性を減少させる、若しくは阻害する薬剤、ならびに/または本明細書に記載される抗癌剤のうちの1つ以上を含有する容器を含む。好適な容器としては、例えば、瓶、バイアル瓶(例えば、二室式バイアル瓶)、シリンジ(一室式または二室式シリンジ)、及び試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、キットは、ラベル(例えば、容器上若しくは容器と関連付けられた)または添付文書を含み得る。添付文書のラベルは、そこに含まれる化合物が、個体における癌を治療する、若しくはその進行を遅らせため、または癌を有する個体の免疫機能を増強するために有用であり得るか、若しくはそれが意図され得る。このキットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的かつ使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0211】
本明細書において引用される全ての特許、特許出願、文書、及び論文は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された一発明。
【外国語明細書】