(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075579
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240528BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240528BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240528BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20240528BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240528BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240528BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61P7/00
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/705
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024027645
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2019569312の分割
【原出願日】2018-06-13
(31)【優先権主張番号】62/519,725
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/679,210
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アブデラフマネ ラアデム
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ガレ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を治療するための方法を提供する。
【解決手段】ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、方法とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法であって、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
前記対象が、貧血を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法であって、前記方法が、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対
象に投与することを含み、前記治療することが、前記対象の前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄
線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和する、前記方法。
【請求項4】
前記症状が、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または
骨痛のうちの1つ以上である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、前記方法が
、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与することを含み、
前記対象が、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する、前記方法。
【請求項6】
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、原発性骨髄線維症である、請求項1~5のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、真性多血症後の骨髄線維症である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症が、本態性血小板血症後の骨髄線維症である、請求
項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が赤血球輸血非依存性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する前の84日
の期間中に、0単位の赤血球を受容している場合、前記対象は赤血球輸血非依存性である
、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、赤血球輸血依存性である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与する前の少なく
とも84日の期間中に、28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容して
いる場合、前記対象は赤血球輸血依存性である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬学的有効量が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、
0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2
.0mg/kgである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記薬学的有効量が、1.0mg/kgである、請求項1~12のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項15】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に21日毎に1回、28日毎に1
回、または48日毎に1回投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に静脈内または皮下投与される、
請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、前記対象に21日毎に1回皮下投与される
、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒト
IgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である、請求項1~17のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒト
IgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である、請求項1~17のいずれか一項に
記載の方法。
【請求項20】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、
(a)配列番号4と90%同一、
(b)配列番号4と95%同一、
(c)配列番号4と98%同一、
(d)配列番号4、
(e)配列番号7と90%同一、
(f)配列番号7と95%同一、
(g)配列番号7と98%同一、
(h)配列番号7、
(i)配列番号8と90%同一、
(j)配列番号8と95%同一、
(k)配列番号8と98%同一、
(l)配列番号8、
(m)配列番号11と90%同一、
(n)配列番号11と95%同一、
(o)配列番号11と98%同一、及び
(p)配列番号11、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであ
る、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、
(a)配列番号11と90%同一、
(b)配列番号11と95%同一、
(c)配列番号11と98%同一、及び
(d)配列番号11、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであ
る、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペ
プチドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11からなるアミノ酸配列を含む
ポリペプチドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ActRIIBシグナル伝達阻害薬が、配列番号11に記載されるアミノ酸配列か
らなるポリペプチドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、ヒトである、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法であって、前記方法が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/k
g、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、また
は2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドを前記対
象に投与することを含み、前記ポリペプチドが、前記対象に、21日毎に1回皮下投与さ
れる、前記方法。
【請求項27】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法であって、前記方法が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/k
g、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、また
は2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸を含むポリ
ペプチドを前記対象に投与することを含み、前記ポリペプチドが、前記対象に、21日毎
に1回皮下投与される、前記方法。
【請求項28】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法であって、前記方法が、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/k
g、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、また
は2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプチドを前記
対象に投与することを含み、前記ポリペプチドが、前記対象に、21日毎に1回皮下投与
される、前記方法。
【請求項29】
前記用量が、1.0mg/kgである、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月14日に出
願された米国仮出願第62/519,725号、及び2018年6月1日に出願された同
第62/679,210号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、2018年6月6日に作成され、81キロバイトのサイズを有する「142
47-306-228_SEQ_LISTING.txt」と題されたテキストファイル
として本出願と共に提出された配列表を参照により組み込む。
【0003】
1. 技術分野
ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、対象の骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症を治療するための方法が、本明細書に提供される。骨髄増殖性腫瘍関連
骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供
され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与するこ
とを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を
軽減または緩和する。薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与す
ることを含む、貧血の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細
書に提供され、この対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。
【背景技術】
【0004】
2. 背景技術
貧血は、赤血球の数の減少または血液中のヘモグロビンが正常よりも少ない量であるこ
とである。貧血はまた、ヘモグロビンの低下した酸素結合能力によって引き起こされ得る
。貧血は、血液の最も一般的な障害である。貧血は、無効造血によって引き起こされるこ
ともある。無効造血は、有効な造血が行われるが、成熟赤血球が適切な速度で発達できな
い場合に存在する。前駆細胞は、成熟赤血球の段階に達する前にアポトーシスを起こす。
【0005】
骨髄増殖性腫瘍-(MPN-)関連骨髄線維症は、直接発生し得る(原発性骨髄線維症
(特発性骨髄化生、慢性突発性骨髄線維症、骨髄化生を伴う骨髄硬化症、突発性骨髄線維
症としても知られる))か、または他の骨髄性腫瘍に端を発し得る(真性多血症及び本態
性血小板血症)、骨髄機能障害及び線維症、髄外造血、及び炎症状態の増加によって特徴
付けられる、クローン性骨髄性腫瘍を説明するために使用される総称である。MPN関連
骨髄線維症は、骨髄中の過剰な線維組織の形成を結果として生じ、これが重度の貧血、疲
労、衰弱、及び脾臓ならびに肝臓の肥大をもたらし得る。MPN関連骨髄線維症の現在の
治療には、ヒドロキシ尿素、脾臓摘出術、及び同種造血幹細胞の移植が挙げられる。しか
しながら、ヒドロキシ尿素処置は、貧血を悪化させる場合があり、長期使用によるその変
異原性の可能性が懸念されており、脾臓摘出術は、媒体の短い奏功期間を有し、脾臓摘出
後の生存期間を短くする場合があり、かつ術後罹患率が高く、同種造血幹細胞の移植は、
白血病性形質転換をもたらし得る(Sochacki et al.,2016,The
rapeutic approaches in myelofibrosis and
myelodysplastic/myeloproliferative over
lap syndromes,Onco Targets Ther,2016(9):
2273-286)。したがって、MPN関連骨髄線維症の治療のための治療薬が依然と
して必要とされている。
【0006】
2つの関連するII型受容体、ActRIIA及びActRIIBは、アクチビンに対
するII型受容体として同定されている(Mathews and Vale,1991
,Cell 65:973-982;Attisano et al.,1992,Ce
ll 68:97-108)。アクチビンのほかにも、ActRIIA及びActRII
Bは、BMP7、Nodal、GDF8、及びGDF11を含む、いくつかの他のTGF
-ベータファミリータンパク質と生化学的に相互作用することができる。(Yamash
ita et al.,1995,J.Cell Biol.130:217-226;
Lee and McPherron,2001,Proc.Natl.Acad.Sc
i.98:9306-9311;Yeo and Whitman,2001,Mol.
Cell 7:949-957;Oh et al.,2002,Genes Dev.
16:2749-54)。ALK4は、アクチビン、特にアクチビンAに対する主なI型
受容体であり、ALK-7は、アクチビンに対して、特にアクチビンBに対して同様に受
容体として機能することができる。ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、無効造血及び
骨髄異形成症候群の治療に関して記載されている(例えば、国際特許出願公開第WO20
13/059347号、同第WO2011/020045号、及び同第WO2016/0
90077号を参照されたい)。
【発明の概要】
【0007】
3. 発明の概要
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法が本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害
薬を対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な
実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実
施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体
的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V61
7F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL
)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増
殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態で
は、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、
またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起
こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少
症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血
小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2
V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、また
はこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本
態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含ま
れる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、
64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、7
7、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、また
は90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場
合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸
血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投
与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、
70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、8
3、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2
~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存
性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/k
g、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg
/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/
kgである。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、1mg/kgである。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に
1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では
、薬学的有効量は1mg/kgであり、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に2
1日毎に1回皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害
薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害
薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化
融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、
ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号
4と90%同一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d
)配列番号4、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)
配列番号7と98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配
列番号8と95%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列
番号11と90%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%
同一、及び(p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番
号11と90%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同
一、及び(d)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11の
アミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチド
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に
記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒ
トである。
【0008】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害
薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維
症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。具体的な実施形態では、症状は、疲労、寝汗
、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上であ
る。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍
関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血
症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エ
クソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、または
これにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、
真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維
症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後
の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小
板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはト
ロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる
。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維
症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では
、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、6
8、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤
血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血
非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、
61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、7
4、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87
、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血
球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態
では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/
kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.
33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形
態では、薬学的有効量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回
投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21
日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、
対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝
達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、薬学的有効量は1mg/k
gであり、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回皮下投与される
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞
外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体
的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメ
イン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列
番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番
号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(
h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k
)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n
)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号1
1からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態
では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)
配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号1
1のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列から
なるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0009】
薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血
の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この
対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍
関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血
症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エ
クソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、または
これにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、
真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維
症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後
の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小
板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはト
ロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる
。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維
症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では
、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、6
8、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤
血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血
非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、
61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、7
4、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87
、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血
球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態
では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/
kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.
33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形
態では、薬学的有効量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回
投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21
日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、
対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝
達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、薬学的有効量は1mg/k
gであり、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回皮下投与される
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞
外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体
的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメ
イン及びヒトIgG1 Fcドメインを含む融合タンパク質である。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列
番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番
号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(
h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k
)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n
)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号1
1からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態
では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)
配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号1
1のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列から
なるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0010】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与され
る。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多
血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2
エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、また
はこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は
、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線
維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン
受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形
態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症
後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血
小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、または
トロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされ
る。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線
維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態で
は、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、
68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、8
1、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が
赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸
血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な
実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60
、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、
74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、8
7、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤
血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形
態では、対象はヒトである。
【0011】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与され
る。具体的な実施形態では、用量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、対象
は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症
骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異
、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロン
ボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具
体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症であ
る。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、
JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連する
か、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄
線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体
的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JA
K2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MP
L)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、
本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症また
はトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前
、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、
73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、8
6、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場
合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施
形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシ
グナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65
、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、
79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の
期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合
、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0012】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプ
チドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与さ
れる。具体的な実施形態では、用量は、1mg/kgである。具体的な実施形態では、対
象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血
症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変
異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロ
ンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。
具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症で
ある。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば
、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連す
るか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨
髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具
体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、J
AK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(M
PL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では
、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症ま
たはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存
性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する
前、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72
、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、
86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない
場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実
施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、6
5、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78
、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日
の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場
合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0013】
4. 用語及び略語
本明細書で使用される場合、「ActRII」とはアクチビン受容体II型を指す。本
明細書で使用される場合、「ActRIIA」とはアクチビン受容体IIA型を指す。例
えば、Mathews and Vale,1991,Cell 65:973-982
を参照されたい。GenBank(商標)登録番号NM_001278579.1は、例
示的なヒトActRIIAの核酸配列を提供している。GenBank(商標)登録番号
NP_001265508.1は、例示的なヒトActRIIAのアミノ酸配列を提供し
ている。本明細書で使用される場合、「ActRIIB」とはアクチビン受容体IIB型
を指す。例えば、Attisano et al.,1992,Cell 68:97-
108を参照されたい。GenBank(商標)登録番号 NM_001106.3は、
例示的なヒトActRIIBの核酸配列を提供している。GenBank(商標)登録番
号NP_001097.2は、例示的なヒトActRIIBのアミノ酸配列を提供してい
る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「Hb」及び「Hgb」とは、ヘモグロビンを指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量に関する「mg
/kg」とは、ActRIIBシグナル伝達阻害薬が投与される対象の体重1キログラム
当たりのActRIIBシグナル伝達阻害薬のミリグラムを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「MF」とは、骨髄線維症を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「PMF」とは、原発性骨髄線維症を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「PV後MF」とは、真性多血症後の骨髄線維症を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ET後MF」とは、本態性血小板血症後の骨髄線維症を
指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「MPN」とは、骨髄増殖性腫瘍を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「RBC」とは、赤血球を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「RBC-TI」とは、赤血球輸血依存性を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
5. 発明を実施するための形態
5.1 概要
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法が本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害
薬を対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な
実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実
施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体
的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V61
7F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL
)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増
殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態で
は、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、
またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起
こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少
症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血
小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2
V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、また
はこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本
態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含ま
れる。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、
64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、7
7、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、また
は90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場
合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸
血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投
与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、
70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、8
3、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2
~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存
性である。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/k
g、例えば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg
/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/
kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21
日毎に1回、28日毎に1回、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞
外ドメイン及びヒトIgG1 Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体
的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同
一、(b)配列番号4と95%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4
、(e)配列番号7と90%同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と
98%同一、(h)配列番号7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と9
5%同一、(k)配列番号8と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と9
0%同一、(n)配列番号11と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(
p)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90
%同一、(b)配列番号11と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d
)配列番号11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体
的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列
を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬
は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体
的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるア
ミノ酸配列からなるポリペプチドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0026】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害
薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維
症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。具体的な実施形態では、症状は、疲労、寝汗
、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上であ
る。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍
関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血
症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エ
クソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、または
これにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、
真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維
症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後
の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小
板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはト
ロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる
。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維
症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では
、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、6
8、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤
血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血
非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、
61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、7
4、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87
、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血
球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態
では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/
kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.
33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形
態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回
、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝
達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1
Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95
%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%
同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号
7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8
と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号1
1と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群
から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11
と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群か
ら選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸
配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプ
チドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0027】
薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血
の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この
対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍
関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血
症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エ
クソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、または
これにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、
真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維
症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後
の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小
板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはト
ロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる
。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維
症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態では
、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67、6
8、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤
血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血
非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、
61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、7
4、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87
、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血
球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態
では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例えば、0.33mg/
kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.
33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgである。具体的な実施形
態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1回
、または48日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝
達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。具体的な実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。具体的な実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメイン及びヒトIgG1
Fcドメインからなるヒト化融合タンパク質である。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号4と90%同一、(b)配列番号4と95
%同一、(c)配列番号4と98%同一、(d)配列番号4、(e)配列番号7と90%
同一、(f)配列番号7と95%同一、(g)配列番号7と98%同一、(h)配列番号
7、(i)配列番号8と90%同一、(j)配列番号8と95%同一、(k)配列番号8
と98%同一、(l)配列番号8、(m)配列番号11と90%同一、(n)配列番号1
1と95%同一、(o)配列番号11と98%同一、及び(p)配列番号11からなる群
から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬は、(a)配列番号11と90%同一、(b)配列番号11
と95%同一、(c)配列番号11と98%同一、及び(d)配列番号11からなる群か
ら選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸
配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプ
チドである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0028】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプ
チドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与さ
れる。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性
腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性
多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK
2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、ま
たはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症
は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄
線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチ
ン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施
形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血
症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性
血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、また
はトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こさ
れる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄
線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。具体的な実施形態
では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、66、67
、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、
81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象
が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球
輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的
な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも6
0、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73
、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、
87、88、89、または90日の期間中に対象が1日当たり2~4単位の赤血球の平均
赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。具体的な実施
形態では、対象はヒトである。
【0029】
5.2 治療方法
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法が本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害
薬を対象に投与することを含む。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症
は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は
、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、
JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、
またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起
こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨
髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変
異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変
異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性
腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症であ
る。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線
維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン
受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実
施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリ
ン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0030】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な
実施形態では、対象はヒトである。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的
な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、
66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、7
9、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期
間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対
象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性であ
る。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少
なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、
72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、8
5、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤
血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0031】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部と
して投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される
組成物である。
【0032】
具体的な実施形態では、薬学的有効用量は、セクション5.6に記載される用量である
。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例え
ば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、
1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgのA
ctRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される頻度で投与される。具体的な実施
形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1
回、または48日毎に1回投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。
【0033】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.
6に記載される投与の経路で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。好ましい実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。
【0034】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記
載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配
列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチ
ドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセ
プトである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0035】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害
薬を対象に投与することを含み、該治療することが該対象の骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維
症の1つ以上の症状を軽減または緩和する。具体的な実施形態では、症状は、疲労、寝汗
、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛のうちの1つ以上であ
る。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である
。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症であ
る。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JA
K2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的
な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V6
17F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれ
により引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態
性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態で
は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例え
ば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連
するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減
少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム
線維症が含まれる。
【0036】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な
実施形態では、対象はヒトである。具体的な実施形態では、対象は貧血を有する。具体的
な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、
66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、7
9、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期
間中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対
象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性であ
る。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少
なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、
72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、8
5、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤
血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0037】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部と
して投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される
組成物である。
【0038】
具体的な実施形態では、薬学的有効用量は、セクション5.6に記載される用量である
。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例え
ば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、
1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgのA
ctRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される頻度で投与される。具体的な実施
形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1
回、または48日毎に1回投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。
【0039】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.
6に記載される投与の経路で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。好ましい実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。
【0040】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記
載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配
列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチ
ドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセ
プトである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0041】
薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与することを含む、貧血
の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法も本明細書に提供され、この
対象は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫
瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍
関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血
症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エ
クソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、または
これにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、
真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維
症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後
の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小
板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはト
ロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる
。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維
症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0042】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な
実施形態では、対象はヒトである。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前
、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、
73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、8
6、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球の単位を受容していない場
合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施
形態では、対象は、赤血球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシ
グナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少なくとも60、61、62、63、64、65
、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、
79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の
期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合
、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0043】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部と
して投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される
組成物である。
【0044】
具体的な実施形態では、薬学的有効用量は、セクション5.6に記載される用量である
。具体的な実施形態では、薬学的有効量は、0.3mg/kg~2.0mg/kg、例え
ば、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、
1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/kg、または2.0mg/kgのA
ctRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象にセクション5.6に記載される頻度で投与される。具体的な実施
形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回、28日毎に1
回、または48日毎に1回投与される。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬は、対象に21日毎に1回投与される。
【0045】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象にセクション5.
6に記載される投与の経路で投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、対象に静脈内または皮下投与される。好ましい実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、対象に皮下投与される。
【0046】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記
載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配
列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチ
ドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセ
プトである。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0047】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与され
る。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である
。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症であ
る。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JA
K2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的
な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V6
17F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれ
により引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態
性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態で
は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例え
ば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連
するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減
少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム
線維症が含まれる。
【0048】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な
実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、6
6、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79
、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間
中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象
は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少な
くとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、7
2、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85
、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血
球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0049】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部と
して投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される
組成物である。
【0050】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与され
る。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である
。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症であ
る。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JA
K2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受
容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態
では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的
な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V6
17F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれ
により引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態
性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態で
は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例え
ば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連
するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板減
少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム
線維症が含まれる。
【0051】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な
実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、6
6、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79
、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間
中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象
は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少な
くとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、7
2、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85
、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血
球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0052】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部と
して投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される
組成物である。
【0053】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための
方法も本明細書に提供され、本方法は、0.33mg/kg、0.45mg/kg、0.
6mg/kg、0.8mg/kg、1mg/kg、1.33mg/kg、1.75mg/
kg、または2.0mg/kgの用量の、配列番号11のアミノ酸配列からなるポリペプ
チドを対象に投与することを含み、ポリペプチドは、対象に、21日毎に1回皮下投与さ
れる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症であ
る。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症で
ある。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、J
AK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン
受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形
態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体
的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V
617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこ
れにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本
態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態
では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例
えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関
連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体的な実施形態では、本態性血小板
減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクロー
ム線維症が含まれる。
【0054】
具体的な実施形態では、対象は、セクション5.3に記載される対象である。具体的な
実施形態では、対象は、赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、60、61、62、63、64、65、6
6、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79
、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間
中に対象が赤血球の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象
は赤血球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、対象は、赤血球輸血依存性である
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を対象に投与する前、少な
くとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、7
2、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85
、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血
球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。
【0055】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に組成物の一部と
して投与される。具体的な実施形態では、この組成物は、セクション5.5に記載される
組成物である。
【0056】
5.3 患者集団
本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、齧歯類及び霊長類などの任意の哺乳
動物とすることができ、好ましい実施形態では、ヒトとすることができる。ある特定の実
施形態では、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、
齧歯類及び霊長類などの任意哺乳動物における、好ましい実施形態ではヒト対象における
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び/または貧血を治療するために使用することができる
。
【0057】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、任意の年
齢の対象とすることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って
治療される対象は、18歳未満である。1つの具体的な実施形態では、本明細書に記載の
方法に従って治療される対象は、13歳未満である。別の具体的な実施形態では、本明細
書に記載の方法に従って治療される対象は、12歳未満、11歳未満、10歳未満、9歳
未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、または5歳未満である。別の具体的な実施形態で
は、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、1~3歳、3~5歳、5~7歳、
7~9歳、9~11歳、11~13歳、13~15歳、15~20歳、20~25歳、2
5~30歳であるか、または30歳を超える。別の具体的な実施形態では、本明細書に記
載の方法に従って治療される対象は、30~35歳、35~40歳、40~45歳、45
~50歳、50~55歳、55~60歳であるか、または60歳を超える。別の具体的な
実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される対象は、60~65歳、65~
70歳、70~75歳、75~80歳であるか、または80歳を超える。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、骨髄
増殖性腫瘍関連骨髄線維症を有する。ある特定の実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄
線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線
維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症骨髄線維
症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJAK2エクソン12
変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより
引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症
後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨髄線維症は、JA
K2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエチン受容体(MP
L)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄
増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維
症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の
骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイ
エチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。より具体
的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨髄線維症には、レ
チクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0059】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、貧血
を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象
は、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血を有する。ある特定の実施形態では、骨髄増
殖性腫瘍関連骨髄線維症は、原発性骨髄線維症である。具体的な実施形態では、骨髄増殖
性腫瘍関連骨髄線維症は、真性多血症骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真
性多血症骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異もしくはJA
K2エクソン12変異、またはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、
またはこれにより引き起こされる。具体的な実施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維
症は、真性多血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、真性多血症後の骨
髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、またはトロンボポイエ
チン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こされる。具体的な実
施形態では、骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症は、本態性血小板減少症または本態性血小板
血症後の骨髄線維症である。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態
性血小板血症後の骨髄線維症は、JAK2変異、例えば、JAK2 V617F変異、ま
たはトロンボポイエチン受容体(MPL)変異に関連するか、またはこれにより引き起こ
される。より具体的な実施形態では、本態性血小板減少症または本態性血小板血症後の骨
髄線維症には、レチクリン線維症またはトリクローム線維症が含まれる。
【0060】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、ルキ
ソリチニブで以前に治療されたことがある。1つの具体的な実施形態では、本明細書に提
供される方法に従って治療される対象は、治療の直前少なくとも112日間、ルキソリチ
ニブの安定した投与を受けていた。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、少な
くとも112日間のルキソリチニブの安定した投与を受ける、ルキソリチニブで以前に治
療されたことはない。
【0062】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、赤血
球輸血非依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対
象への第1回目の投与前に、60、61、62、63、64、65、66、67、68、
69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、8
2、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象が赤血球
の単位を受容していない場合(0単位を受容している場合)、その対象は赤血球輸血非依
存性である。
【0063】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って治療される対象は、赤血
球輸血依存性である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の対象
への第1回目の投与前に、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67
、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、
81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90日の期間中に対象
が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受容している場合、その対象は
赤血球輸血依存性である。
【0064】
5.4 ACTRIIBシグナル伝達の阻害薬
本明細書で使用される場合、用語「ActRIIB」とは、任意の種からのアクチビン
受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質のファミリー、または突然変異誘発もしく
は他の改変により、このようなActRIIBタンパク質から誘導された多様体を指す。
本明細書のActRIIBへの言及は、この受容体の現在同定されている形態のうちのい
ずれか1つへの言及であると理解される。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般
的に、高システイン領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び予
測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通
タンパク質である。
【0065】
本明細書に記載の組成物及び方法において使用することができるActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬としては、アクチビン結合可溶性ActRIIBポリペプチド、アクチビン
(特に、アクチビンAまたはBサブユニット、βAまたはβBとも称される)に結合し、
かつActRIIB結合を破壊する抗体、ActRIIBに結合し、かつアクチビン結合
を破壊する抗体、アクチビンまたはActRIIB結合に対して選択される非抗体タンパ
ク質、及びFcドメインに複合化され得るアクチビンまたはActRIIB結合に対して
選択されるランダム化ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
ある特定の実施形態では、アクチビンまたはActRIIB結合活性を有する2つ以上
の異なるタンパク質(または他の部分)、特に、I型(例えば、可溶性I型アクチビン受
容体)及びII型(例えば、可溶性II型アクチビン受容体)結合部位をブロックするア
クチビンバインダーは、それぞれ、一緒に結合して、ActRIIBを阻害する二官能性
または多官能性結合分子を形成することができるため、本明細書に記載の組成物及び方法
で使用され、含まれ得る。ある特定の実施形態では、ActRIIBを阻害するアクチビ
ン-ActRIIBシグナル伝達軸拮抗薬には、核酸アプタマー、小分子及び他の薬剤が
挙げられ、本明細書に記載の組成物及び方法で使用され、含まれる。
【0067】
5.4.1 ActRIIBポリペプチドを含むActRIIBシグナル伝達阻害薬
本明細書で使用される場合、用語「ActRIIBポリペプチド」とは、ActRII
Bファミリーメンバーの天然型ポリペプチドならびに有用な活性を保持するそれらの任意
の多様体(変異体、断片、融合体、及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを
指す。例えば、ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドの配列と少
なくとも約80%同一の配列を有し、任意に、少なくとも85%、90%、95%、96
%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する任意の既知のActRII
B受容体の配列に由来するポリペプチドを含む。例えば、ActRIIBポリペプチドは
、ActRIIBタンパク質及び/またはアクチビンに結合することができ、かつそれら
の機能を阻害することができる。ActRIIBポリペプチドの一例としては、ヒトAc
tRIIB前駆体ポリペプチド(配列番号3または配列番号14)が挙げられる。そのア
ミノ酸配列が配列番号3もしくは配列番号14として表示されるActRIIB前駆体ポ
リペプチド(すなわち、ヒトActRIIB前駆体ポリペプチド)に関して、ActRI
IB前駆体ポリペプチドのシグナルペプチドは、アミノ酸1~18に位置し、細胞外ドメ
インは、アミノ酸19~134に位置し、N結合グリコシル化可能部位は、アミノ酸位置
42及び65に位置している。配列番号3のヒトActRIIB前駆体ポリペプチドをコ
ードする核酸配列は、配列番号6として開示されている(配列番号6は、アミノ酸位置6
4に相当するコドンにおいてアラニンを提供するが、アミノ酸位置64に相当するコドン
において代わりにアルギニンを提供するように、当該技術分野において既知の方法を用い
て当業者によって容易に改変され得る)。この配列の説明については、表2を参照された
い。
【0068】
本明細書に記載のActRIIB関連ポリペプチドの全てについてのアミノ酸の番号付
けは、別段の定めがない限り、配列番号3及び配列番号14(位置64で表されたアミノ
酸のみが異なる)についてのアミノ酸番号付けに基づいている。例えば、ActRIIB
ポリペプチドが、アミノ酸位置79において置換/変異を有するものとして記載される場
合、位置79が、ActRIIBポリペプチドがそれから誘導される配列番号3もしくは
配列番号14中の第79番目のアミノ酸を指すと理解されるべきである。同様に、Act
RIIBポリペプチドが、アミノ酸位置64においてアラニンまたはアルギニンを有する
ものとして記載される場合、位置64が、ActRIIBポリペプチドがそれから誘導さ
れる配列番号3もしくは配列番号14中の第64番目のアミノ酸を指すと理解されるべき
である。
【0069】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRII
Bシグナル伝達の阻害薬は、ActRIIBのアクチビン結合ドメインを含むポリペプチ
ドを含む。いくつかの実施形態では、ActRIIBのアクチビン結合ドメインは、Ac
tRIIBの細胞外ドメイン、またはその一部分を含む。具体的な実施形態では、Act
RIIBの細胞外ドメインまたはその一部分は、可溶性である。ActRIIBポリペプ
チドの例示的な改変形態は、米国特許出願公開第20090005308号及び同第20
100068215号に開示されており、各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明
細書に組み込まれる。ActRIIBポリペプチドの例示的な改変形態はまた、国際特許
出願公開第WO2008/097541号及び同第WO2010/019261号に開示
されており、各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIB
ポリペプチドは、可溶性ActRIIBポリペプチドである。用語「可溶性ActRII
Bポリペプチド」とは、一般的に、ActRIIBタンパク質の任意の天然型細胞外ドメ
インを含むActRIIBタンパク質の細胞外ドメインならびにその任意の多様体(変異
体、断片及びペプチド模倣形態を含む)を含むポリペプチドを指す。可溶性ActRII
Bポリペプチドは、アクチビンに結合することができるが、野生型ActRIIBタンパ
ク質は、GDF8/11と対比して、アクチビンへの結合における顕著な選択性を示さな
い。ある特定の実施形態では、異なる結合特性を有するActRIIBの変更形態を、本
明細書に提供される方法で使用することができる。このような変更形態は、例えば、国際
特許出願公開第WO2006/012627号及び同第WO2010/019261号に
開示されており、各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。天
然のまたは変更ActRIIBタンパク質は、それらを第2のアクチビン選択的結合剤と
結合させることによって、付加されたアクチビンに対する特異性が供与されてもよい。例
示的なActRIIBポリペプチドは、ヒトActRIIBポリペプチド(例えば、配列
番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び
29)の細胞外ドメインを含む。
【0071】
ActRIIB細胞外配列を有するFc融合タンパク質(Hilden et al.
(Blood,1994,83(8):2163-70)に開示)で、ActRIIB前
駆体アミノ酸配列のアミノ酸64に相当する位置においアラニンを有するもの、すなわち
、配列番号3(本明細書では「A64」と称される)ものは、アクチビン及びGDF-1
1に比較的低い親和性を有することが実証されている。対照的に、ActRIIB前駆体
アミノ酸配列の64位にアルギニンを有するFc融合タンパク質(本明細書では「R64
」と称される)は、低ナノモルから高ピコモル範囲のアクチビン及びGDF-11に対す
る親和性を有する(例えば、その開示が、その全体で本明細書に組み込まれる、米国特許
出願公開第20100068215号を参照されたい)。また、その開示が、その全体で
本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2010/019261号を参照されたい。6
4位にアルギニンを有するActRIIB前駆体のアミノ酸配列は、配列番号14に提示
されている。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法に
従って使用されるActRIIBポリペプチドは、(i)ActRIIB前駆体アミノ酸
配列のアミノ酸64に相当する位置でアラニンを含む、すなわち配列番号3を含むか、ま
たは(ii)ActRIIB前駆体アミノ酸配列のアミノ酸64にアルギニンを含む、す
なわち配列番号14を含むかのいずれかであり得る。他の特定の実施形態では、本明細書
に記載の組成物及び方法に従って使用されるActRIIBポリペプチドは、ActRI
IB前駆体アミノ酸配列のアミノ酸64に相当する位置でアラニンまたはアルギニンでは
ない、すなわち、配列番号3もしくは配列番号14ではないアミノ酸を含んでもよい。
【0072】
ActRIIBの細胞外ドメインのC末端におけるプロリンノットの欠失が、アクチビ
ンに対する受容体の親和性を低下させることが示されている(例えば、Attisano
et al.,Cell,1992,68(1):97-108を参照されたい)。配
列番号14のアミノ酸20~119を含有するActRIIB-Fc融合タンパク質(す
なわち、配列番号18)、「ActRIIB(20~119)-Fc」は、プロリンノッ
ト領域及び完全な膜近傍ドメインを含む、配列番号14のアミノ酸20~134を含有す
るActRIIB-Fc融合タンパク質(すなわち、配列番号17)、「ActRIIB
(20~134)-Fc」と比べて、GDF-11及びアクチビンへの結合を低下させた
。しかしながら、配列番号14のアミノ酸20~129を含有するActRIIB-Fc
融合タンパク質、「ActRIIB(20~129)-Fc」は、ActRIIBの切断
されていない細胞外ドメインと比べて、プロリンノット領域が破壊されているにもかかわ
らず、同様ではあるが、いくらか低下した活性を保持する。したがって、配列番号14(
もしくは配列番号3)のアミノ酸134、133、132、131、130、及び129
で停止する細胞外ドメインを含むActRIIBポリペプチドは、すべて、活性であると
予想されるがアミノ酸134または133で停止する構築物が最も活性であり得る。同様
に、配列番号14のP129及びP130の変異が、リガンド結合を実質的減少させない
という事実によって示されるように、残基129~134のいずれにおける変異も、リガ
ンド結合親和性を大幅に変更することは予想されない。したがって、本明細書に記載の方
法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチドは、配列番号14(もしくは配列
番号3)の早くもアミノ酸109(すなわち、最後のシステイン)で終了し得るが、配列
番号14(または配列番号3)のアミノ酸109位及び119位で、またはこれらの間で
終了する形態が、低減したリガンド結合能力を有すると予想される。
【0073】
配列番号3及び配列番号14のアミノ酸29は、ActRIIB前駆体配列の最初のシ
ステインを表す。配列番号3もしくは配列番号14のN末端のアミノ酸29で、またはこ
れらのアミノ酸位置の前で開始するActRIIBポリペプチドが、リガンド結合活性を
保持するであろうことが予想される。配列番号3もしくは配列番号14の24位でのアラ
ニンのアスパラギンへの変異は、リガンド結合に実質的に影響を与えることなく、N結合
グリコシル化配列を導入する。これは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20
~29に相当する、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域との間の領域における変
異が、十分に耐容性があること裏付けている。特に、配列番号3もしくは配列番号14の
アミノ酸位置20、21、22、23及び24で開始するActRIIBポリペプチドは
、活性を保持することになり、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置25、2
6、27、28及び29で開始するActRIIBポリペプチドもまた、活性を保持する
と予想される。配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置22、23、24または
25で開始するActRIIBポリペプチドは、最高の活性を有するであろう。
【0074】
まとめると、本明細書に記載の方法及び組成物に従って使用されるActRIIB前駆
体タンパク質(すなわち、配列番号3または配列番号14)の活性部分(すなわち、Ac
tRIIBポリペプチド)は、一般的に、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸2
9~109を含み、このようなActRIIBポリペプチドは、例えば、配列番号3もし
くは配列番号14のアミノ酸19~29のうちのいずれか1つに相当する残基で開始し、
かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~134のうちのいずれか1つに
相当する位置で終了することができる。本明細書に包含されるActRIIBポリペプチ
ドの具体的な例としては、配列番号3もしくは配列番号14の19~29、20~29ま
たは21~29からのアミノ酸位置で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14の1
19~134、119~133または129~134、129~133からのアミノ酸位
置で終了するものが挙げられる。本明細書に包含されるActRIIBポリペプチドの他
の具体的な例としては、配列番号3もしくは配列番号14の20~24(または21~2
4、または22~25)からのアミノ酸位置で開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号
14の109~134(もしくは109~133)、119~134(もしくは119~
133)または129~134(もしくは129~133)からのアミノ酸位置で終了す
るものが挙げられる。これらの範囲内に入る多様体ActRIIBポリペプチドもまた企
図され、特に配列番号3もしくは配列番号14の対応する部分と少なくとも80%、85
%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、また
は99%の配列同一性もしくは配列相同性を有するものも企図される。
【0075】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRII
Bシグナル伝達の阻害薬は、ActRIIBの細胞外ドメインの切断型を含む。切断は、
ActRIIBポリペプチドのカルボキシ末端及び/またはアミノ末端にあり得る。ある
特定の実施形態では、切断は、成熟ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメインに対し
て、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16
、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸長であり
得る。ある特定の実施形態では、切断は、成熟ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメ
インの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、
16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のN-末端アミ
ノ酸であり得る。ある特定の実施形態では、切断は、成熟ActRIIBポリペプチドの
細胞外ドメインの、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
4、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のC
末端アミノ酸であり得る。例えば、ActRIIBの切断型は、アミノ酸20~119、
20~128、20~129、20~130、20~131、20~132、20~13
3、20~134、20~131、21~131、22~131、23~131、24~
131、及び25~131を有するポリペプチドを含み、これらのアミノ酸位置は、配列
番号3もしくは配列番号14中のアミノ酸位置を指す。
【0076】
ActRIIBの追加の例示的な切断型としては、(i)配列番号3もしくは配列番号
14のアミノ酸21~29のいずれかのアミノ酸で開始し(任意に、配列番号3もしくは
配列番号14の22~25で開始し)かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸1
09~134のいずれかで終了するポリペプチド、(ii)配列番号3もしくは配列番号
14のアミノ酸20~29のいずれかで開始し(任意に、配列番号3もしくは配列番号1
4の22~25で開始し)かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~13
3のいずれかで終了するポリペプチド、(iii)配列番号3もしくは配列番号14のア
ミノ酸20~24のいずれかで開始し(任意に、配列番号3もしくは配列番号14の22
~25で開始し)かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~133のいず
れかで終了するポリペプチド、(iv)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21
~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸109~1
34のいずれかで終了するポリペプチド、(v)配列番号3もしくは配列番号14のアミ
ノ酸20~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸1
18~133のいずれかで終了するポリペプチド、(vi)配列番号3もしくは配列番号
14のアミノ酸21~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14の
アミノ酸118~134のいずれかで終了するポリペプチド、(vii)配列番号3もし
くは配列番号14のアミノ酸20~24のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配
列番号14のアミノ酸128~133のいずれかで終了するポリペプチド、(viii)
配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~24のいずれかで開始し、かつ配列番
号3もしくは配列番号14のアミノ酸128~133のいずれかで終了するポリペプチド
、(ix)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~29のいずれかで開始し、
かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸118~134のいずれかで終了するポ
リペプチド、(x)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29のいずれかで
開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸118~133のいずれかで終
了するポリペプチド、(xi)配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸21~29の
いずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸128~134のい
ずれかで終了するポリペプチド、及び(xii)配列番号3もしくは配列番号14のアミ
ノ酸20~29のいずれかで開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸1
28~133のいずれかで終了するポリペプチドが挙げられる。具体的な実施形態では、
ActRIIBポリペプチドは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置25で
開始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置131で終了するアミノ酸
配列を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。別の具体的な実施形態で
は、ActRIIBポリペプチドは、配列番号4、18、23、26、27、29、30
、31、32、または33のアミノ酸配列からなるか、またはそれから本質的になる。
【0077】
本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドのいずれも
、ホモダイマーとして生成されてもよい。本明細書に記載の組成物及び方法で使用される
ActRIIBポリペプチドのいずれも、FcドメインなどのIgG重鎖からの定常領域
を含む異種部分を有する融合タンパク質として配合されてもよい。本明細書に記載の組成
物及び方法で使用されるActRIIBポリペプチドのいずれも、任意に配列番号3もし
くは配列番号14に対する1つ以上の追加のアミノ酸置換、欠失または挿入と組み合わせ
て、配列番号3もしくは配列番号14の79位に相当する位置において酸性アミノ酸を含
んでもよい。
【0078】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIB
シグナル伝達の阻害薬は、1つ以上のアミノ酸置換/変異を有するActRIIBの細胞
外ドメインを含む。このようなアミノ酸置換/変異は、例えば、配列番号3もしくは配列
番号14のアミノ酸位置79でのロイシンから、酸性アミノ酸への、例えば、アスパラギ
ン酸またはグルタミン酸への交換であり得る。例えば、配列番号3もしくは配列番号14
のL79位は、ActRIIB細胞外ドメインポリペプチド中で変更されて、変更された
アクチビン-ミオスタチン(GDF-11)結合特性を付与してもよい。L79A及びL
79P変異は、GDF-11結合をアクチビン結合よりも大きな程度まで低下させる。L
79E及びL79D変異は、GDF-11結合を保持すると同時に、大幅に低下したアク
チビン結合を実証している。
【0079】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRII
Bシグナル伝達の阻害薬は、アミノ酸置換、例えば、配列番号3もしくは配列番号14の
アミノ酸位置79でのロイシンからアスパラギン酸またはグルタミン酸などの酸性アミノ
酸への交換も担持するActRIIB細胞外ドメインの切断型を含む。具体的な実施形態
では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用される、アミノ酸置換も担持するActR
IIBポリペプチドの細胞外ドメインの切断型は、配列番号9である。切断された、及び
/また1つ以上のアミノ酸置換を担持するActRIIBの形態は、上述したような抗体
のFcドメインに連結することができる。
【0080】
ActRIIBポリペプチドの機能的に活性な断片は、例えば、ActRIIBポリペ
プチドをコードする核酸の対応する断片から組換え生成されたポリペプチドをスクリーニ
ングすることにより、得ることができる。加えて、断片は、従来のメリフィールド固相f
-Mocまたはt-Boc化学合成法などの当該技術分野において既知の技術を使用して
、化学的に合成することができる。断片は、(組換えまたは化学合成により)生成され、
ActRIIBタンパク質の、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の拮抗薬
(阻害薬)として機能し得るこれらのペプチジル断片を特定するために試験することがで
きる。
【0081】
加えて、ActRIIBポリペプチドの機能的に活性な多様体は、例えば、ActRI
IBポリペプチドをコードする対応する変異誘発核酸から組換え生成された修飾ポリペプ
チドのライブラリをスクリーニングすることにより、得ることができる。多様体は、生成
され、ActRIIBタンパク質の、またはアクチビンにより媒介されるシグナル伝達の
拮抗薬(阻害薬)として機能し得るものを特定するために試験することができる。ある特
定の実施形態では、ActRIIBポリペプチドの機能的多様体は、配列番号4、5、9
、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29から選択さ
れるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形
態では、機能的多様体は、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、
19、22、23、28、及び29から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を有
する。
【0082】
機能的多様体は、例えば、治療有効性、または安定性(例えば、エクスビボの貯蔵寿命
及びインビボでのタンパク質分解に対する耐性)を向上させるなどの目的で、ActRI
IBポリペプチドの構造を修飾することによって産生されてもよい。アクチビン結合を保
持するように選択された場合のこのような修飾ActRIIBポリペプチドは、天然型A
ctRIIBポリペプチドの機能的同等物と見なされる。修飾ActRIIBポリペプチ
ドはまた、例えば、アミノ酸置換、欠失、または付加により生成することができる。例え
ば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸のグルタミン酸との、ス
レオニンのセリンとの単離された置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との
類似した置換(例えば、保存的変異)は、得られた分子の生物学的活性に対して主要な影
響を有さないと予想することが妥当である。保存的置換は、それらの側鎖において関連す
るアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。ActRIIBポリペプチドのアミノ酸
配列における変化が機能的相同体をもたらすかどうかは、多様体ActRIIBポリペプ
チドの、野生型ActRIIBポリペプチドと同様な様式で細胞内での応答を生じさせる
能力を評価することによって容易に判定することができる。
【0083】
ActRIIBポリペプチド変異体、特にActRIIBポリペプチドのコンビナトリ
アル変異体のセット、ならびに切断変異体、コンビナトリアル変異体のプールは、本明細
書に記載の方法及び組成物で使用され得る機能的多様体配列を特定するために特に有用で
ある。このようなコンビナトリアルライブラリをスクリーニングする目的は、例えば、作
動薬もしくは拮抗薬として作用し得るActRIIBポリペプチド多様体、または代替的
に、全体で新規活性を保有するActRIIBポリペプチド多様体を産生するためであり
得る。
【0084】
ActRIIBのリガンド結合ポケットが、配列番号3もしくは配列番号14の残基Y
31、N33、N35、L38~T41、E47、E50、Q53~K55、L57、H
58、Y60、S62、K74、W78~N83、Y85、R87、A92、及びE94
~F101によって定義されることが証明されている。これらの位置において、保存的変
異は耐容性であるが、K74A変異は耐容性良好であり、R40A、K55A、F82A
及びL79位での変異も同様である。R40は、アフリカツメガエルではKであり、この
位置における塩基性アミノ酸が耐容されることを示している。Q53は、ウシActRI
IBではRであり、アフリカツメガエルActRIIBではKであり、したがって、R、
K、Q、N及びHを含むアミノ酸は、この位置で耐容されるであろう。したがって、本明
細書に記載の方法及び組成物で使用するためのActRIIBポリペプチドについての一
般式は、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸29~109を含むが、任意に、配
列番号3もしくは配列番号14の20~24または22~25の範囲のアミノ酸位置で開
始し、かつ配列番号3もしくは配列番号14の129~134の範囲のアミノ酸位置で終
了し、リガンド結合ポケット内の1、2、5、または15個を超えない保存的アミノ酸変
化と、リガンド結合ポケット内の、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸位置40
、53、55、74、79及び/または82でのゼロの、1つ以上の非保存的変更を含む
一般式である。このようなActRIIBポリペプチドは、配列番号3もしくは配列番号
14のアミノ酸29~109と、80%、90%、95%または99%を超える配列同一
性または配列相同性を保持することができる。変化性が特に良好に耐容され得る結合ポケ
ットの外側の部位には、ActRIIBの細胞外ドメインのアミノ末端及びカルボキシ末
端、及び42~46位ならびに65~73位が挙げられる。配列番号3もしくは配列番号
14の65位でのアスパラギンのアラニンへの変更(N65A)は、A64のバックグラ
ウンドにおいてリガンド結合を実際に改善し、したがって、R64バックグラウンドにお
けるリガンド結合に及ぼす有害な影響を有さないと予想される。この変化は、おそらく、
A64バックグラウンドにおけるN65でのグリコシル化を排除し、したがって、この領
域で著しい変化は耐容される可能性が高いことを証明している。R64Aの変化は、耐容
性が低いが、R64Kは、良好に耐容され、したがって、Hなどの別の塩基性残基は、6
4位で耐容される可能性がある。
【0085】
リガンド結合ドメインに変異を有するActRIIBポリペプチドの具体的な例として
、ActRIIBのリガンド結合ドメインの正に荷電したアミノ酸残基Asp(D80)
は、多様体ActRIIBポリペプチドがGDF8に優先的に結合するが、アクチビンに
は優先的に結合しないように、異なるアミノ酸残基に変異することができる。具体的な実
施形態では、D80残基は、非荷電アミノ酸残基、負荷電アミノ酸残基、及び疎水性アミ
ノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基に変えられる。さらなる具体的な例とし
て、GDF11結合を保持しながらアクチビン結合を大幅に低減させるために、疎水性残
基L79は、酸性アミノ酸のアスパラギン酸またはグルタミン酸に変更され得る。当業者
によって認識されるように、記載した変異、多様体または修飾の大部分は、核酸レベルで
行われ得るか、または場合によっては、翻訳後修飾もしくは化学合成によって行われ得る
。このような技法は、当該技術分野において既知である。
【0086】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIB
シグナル伝達の阻害薬は、抗体のFc部分に連結したActRIIB受容体の細胞外ドメ
イン(例えば、アクチビン結合ドメイン)を含む複合/融合タンパク質を含む。このよう
な複合/融合タンパク質は、本明細書に開示されるActRIIBポリペプチドのうちの
いずれか(例えば、配列番号17、18、23、26、27、29、30、31、32、
33のうちのいずれか)、当該技術分野において既知の任意のActRIIBポリペプチ
ド、または当該技術分野において既知の方法及び/または本明細書に提供される方法を使
用して産生された任意のActRIIBポリペプチドを含んでもよい。
【0087】
ある特定の実施形態では、細胞外ドメインは、リンカー、例えば、ペプチドリンカーを
介して抗体のFc部分に連結される。例示的なリンカーとしては、2~10、2~5、2
~4、2~3個のアミノ酸残基(例えば、グリシン残基)などの短いポリペプチド配列が
挙げられ、例えば、Gly-Gly-Glyリンカーなどである。具体的な実施形態では
、リンカーは、アミノ酸配列Gly-Gly-Gly(GGG)を含む。別の具体的な実
施形態では、リンカーは、アミノ酸配列Thr-Gly-Gly-Gly(TGGG)を
含む。任意に、Fcドメインは、Asp-265、リジン322、及びAsn-434な
どの残基で1つ以上の変異を有する。ある特定の場合には、これらの変異のうちの1つ以
上(例えば、Asp-265変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメイン
と比べて、Fcγ受容体に結合する能力が低減する。他の場合には、これらの変異のうち
の1つ以上(例えば、Asn-434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fc
ドメインと比べて、MHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に結合する能力が増大す
る。Fcドメインに融合したActRIIBの可溶性細胞外ドメインを含む例示的な融合
タンパク質は、配列番号20、21、24、25、または34に記載されている。
【0088】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるActRIIB
シグナル伝達阻害薬は、抗体のFc部分に連結したActRIIBの細胞外ドメイン、ま
たはその一部分を含み、該ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号20、21、
24、25、34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配
列を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるA
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、抗体のFc部分に連結したActRIIBの細胞外
ドメイン、またはその一部分を含み、該ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号
20、21、24、25、及び34から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、8
5%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列
を含む。
【0089】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、ヒトActRIIB受容体の細胞外ドメインとIgG1の
Fc部分との間の融合タンパク質である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の
組成物及び方法で使用されるためのActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ヒトActR
IIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質である。別
の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、ヒトActRIIB受容体の切断型細胞外ドメインとIg
G1のFc部分との間の融合タンパク質であり、ヒトActRIIB受容体の切断型細胞
外ドメインは、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸79に相当するアミノ酸位置
でアミノ酸置換を有する。一実施形態では、配列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸
79に相当するアミノ酸位置でアミノ酸置換は、ロイシンのアスパラギン酸への置換(す
なわち、L79D変異)である。
【0090】
具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号10または11であり、これはヒトActRII
B受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質を表し、該Ac
tRIIB細胞外ドメインは、L79D変異を有する配列番号14のアミノ酸25~13
1を含む。配列番号10のActRIIB-Fc融合タンパク質をコードする核酸配列は
、配列番号31に提示されている。
【0091】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法で使用されるためのAc
tRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号20または21であり、これはヒトActR
IIB受容体の細胞外ドメインとIgG1のFc部分との間の融合タンパク質を表し、該
ActRIIB細胞外ドメインは、L79D変異を有する配列番号3のアミノ酸25~1
31を含む。
【0092】
アスパラギン結合型グリコシル化認識部位は、一般的に、適切な細胞グリコシル化酵素
によって特異的に認識される、トリペプチド配列の、アスパラギン-X-スレオニン(ま
たはアスパラギン-X-セリン)(式中、「X」は、任意のアミノ酸である)を含む。改
変は、(O連結グリコシル化部位のための)野生型ActRIIBポリペプチドの配列へ
の1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加、またはそれによる置換によっても行わ
れ得る。グリコシル化認識部位の第1番目もしくは第3番目のアミノ酸位置の1つまたは
両方での様々なアミノ酸置換または欠失(及び/または第2の位置でのアミノ酸欠失)は
、修飾トリペプチド配列における非グリコシル化をもたらす。ActRIIBポリペプチ
ド上の炭水化物部分の数を増加させるための別の手段は、グリコシドのActRIIBポ
リペプチドへの化学的または酵素的カップリングによるものである。使用されるカップリ
ングモードに応じて、糖(複数可)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カ
ルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基(システインのものなど)、(d)遊離ヒド
ロキシル基(セリン、スレオニン、またはヒドロキシプロリンのものなど)、(e)芳香
族残基(フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのものなど)、または(f
)グルタミンのアミド基に取り付けられてもよい。これらの方法は、参照により、本明細
書に組み込まれる、国際特許出願第WO87/05330号(1987年9月11に公開
)、及びAplin and Wriston(1981)CRC Crit.Rev.
Biochem., pp. 259-306に記載されている。ActRIIBポリペ
プチド上に存在する1つ以上の炭水化物部分の除去は、化学的及び/または酵素的に達成
することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、ActRIIBポリペプチドを、
化合物のトリフルオロメタンスルホン酸に、または同等の化合物に曝露することを伴い得
る。この処理は、アミノ酸配列をインタクトのまま残しながら、結合糖(N-アセチルグ
ルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除く大部分またはすべての糖の開裂を
もたらす。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.(1987)
Arch.Biochem.Biophys.259:52により、及びEdge e
t al.(1981) Anal.Biochem.118:131によりさらに記載
されている。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的開裂は、Thota
kura et al.(1987) Meth.Enzymol.138:350によ
り記載されるように、様々なエンド-及びエキソ-グリコシダーゼの使用によって達成さ
れ得る。ActRIIBポリペプチドの配列は、適宜、哺乳動物、酵母、昆虫及び植物細
胞などの使用される発現系の種類に応じて、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得
る様々なグリコシル化パターンをその後、すべて導入することができる。一般的に、ヒト
で使用するためのActRIIBタンパク質は、HEK293またはCHO細胞株などの
、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株で発現されるであろうが、他の哺乳動物
発現細胞株、操作されたグリコシル化酵素を有する酵母細胞株、及び昆虫細胞などの他の
発現系も同様に有用であると予想される。
【0093】
具体的な実施形態では、ActRIIB(R64)-Fcの形態と比べて、ActRI
IB-Fc融合タンパク質の血清半減期を増加させるさらなるN結合型グリコシル化部位
(N-X-S/T)の付加を含む変異したActRIIBポリペプチドを、本明細書に記
載の方法及び組成物で使用することができる。具体的な実施形態では、配列番号3もしく
は配列番号14の24位でのアスパラギンの導入(A24N)は、より長い半減期を付与
するNXT配列の形成をもたらす。他のNX(T/S)配列は、42~44(NQS)及
び65~67(NSS)で見出すことができるが、後者は64位でのRで(すなわち、R
64ポリペプチドで)効率的にグリコシル化され得ない。N-X-S/T配列は、一般的
に、ActRIIBのリガンド結合ポケットの外側の位置に導入されてもよく、これは、
上で詳説されている。非内因性N-X-S/T配列の導入に特に好適な部位としては、配
列番号3もしくは配列番号14のアミノ酸20~29、20~24、22~25、109
~134、120~134または129~134が挙げられる。N-X-S/T配列はま
た、ActRIIB配列とFcまたは他の融合成分との間のリンカーに導入されてもよい
。このような部位は、Nを既存のSもしくはTに対する正確な位置に導入することによっ
て、またはSもしくはTを、既存のNに相当する位置に導入することによって、最小限の
努力だけで導入することができる。したがって、N結合型グリコシル化部位を作り出すこ
とになる所望の改変は、A24N、R64N、S67N(おそらく、N65A改変と組み
合わせて)、E106N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132
N、R112S及びR112T(すべてのアミノ酸位置は、これらが配列番号3もしくは
配列番号14で見出すことができる位置に相当する)である。グリコシル化されていると
予想されるいかなるSも、グリコシル化によって保護が提供されているために、免疫原性
部位を作り出すことなくTに変更され得る。同様に、グリコシル化されていると予想され
るいかなるTも、Sに変更され得る。したがって、改変S67T及びS44Tは本明細書
に包含される。同様に、A24N多様体において、S26T改変が使用され得る。したが
って、ActRIIBポリペプチドは、1つ以上の追加の、非内因性N結合型グリコシル
化コンセンサス配列を含んでもよい。
【0094】
様々なスクリーニングアッセイを用いて、ActRIIBポリペプチド多様体を評価す
ることができる。例えば、ActRIIBポリペプチド多様体は、ActRIIBリガン
ドに結合する能力、ActRIIBリガンドのActRIIBポリペプチドへの結合を阻
む能力、またはActRIIBリガンドによって引き起こされるシグナル伝達を干渉する
能力についてスクリーニングされてもよい。ActRIIBポリペプチドまたはその多様
体の活性はまた、細胞ベースのアッセイまたはインビトロアッセイで試験されてもよい。
【0095】
天然型ActRIIBポリペプチドと比べて、選択的または概ね増大した効力を有する
、コンビナトリアル誘導多様体を産生することができる。同様に、突然変異誘発は、対応
する野生型ActRIIBポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する多様体を
生じさせることができる。例えば、改変タンパク質は、タンパク質分解または天然Act
RIIBポリペプチドの破壊、ないしは別の方法での不活性化をもたらす他の細胞プロセ
スに対してより安定に、またはより不安定のいずれかにすることができる。このような多
様体、及びそれらをコードする遺伝子は、ActRIIBポリペプチドの半減期を調節す
ることによって、ActRIIBポリペプチドレベルを変更するように利用することがで
きる。例えば、短い半減期は、より一過性の生物学的効果を生じさせることができ、対象
内の組換えActRIIBポリペプチドレベルのより厳密な制御を可能にすることができ
る。Fc融合タンパク質において、タンパク質の半減期を変更するために、変異はリンカ
ー(もしあるなら)で、及び/またはFc部分で行うことができる。
【0096】
コンビナトリアルライブラリは、それぞれが可能性のあるActRIIBポリペプチド
配列の少なくとも一部を含むポリペプチドのライブラリをコードする遺伝子の縮重ライブ
ラリとして生成され得る。例えば、可能性のあるActRIIBポリペプチドヌクレオチ
ド配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして発現可能であるか、あるいはより大き
な融合タンパク質のセットとして発現可能である(例えば、ファージディスプレイのため
に)ように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することがで
きる。
【0097】
可能性のある相同体ライブラリが縮重オリゴヌクレオチド配列から産生され得る多くの
方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNAシンセサイザーで実行することが
でき、次いで、合成遺伝子は、発現のために、適切なベクター中に連結することができる
。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野において周知である(例えば、Nar
ang,S A(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et
al.,(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Clev
eland Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton
,Amsterdam:Elsevier pp273-289;Itakura et
al.,(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itaku
ra et al.,(1984)Science 198:1056;Ike et
al.,(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照されたい
)。このような技法は、他のタンパク質の指向性進化法で採用されている(例えば、Sc
ott et al.,(1990)Science 249:386-390;Rob
erts et al.,(1992)PNAS USA 89:2429-2433;
Devlin et al.,(1990)Science 249:404-406;
Cwirla et al.,(1990)PNAS USA 87:6378-638
2;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、及び同第5
,096,815号を参照されたい)。
【0098】
あるいは、突然変異誘発の他の形態を利用して、コンビナトリアルライブラリを産生す
ることができる。例えば、ActRIIBポリペプチド多様体は、例えば、アラニンスキ
ャニング突然変異誘発などを使用するスクリーニングによって(Ruf et al.,
(1994)Biochemistry 33:1565-1572;Wang et
al.,(1994)J.Biol.Chem.269:3095-3099;Bali
nt et al.,(1993)Gene 137:109-118;Grodber
g et al.,(1993)Eur.J.Biochem.218:597-601
;Nagashima et al.,(1993)J.Biol.Chem.268:
2888-2892;Lowman et al.,(1991)Biochemist
ry 30:10832-10838;及びCunningham et al.,(1
989)Science 244:1081-1085)、リンカースキャニング突然変
異誘発によって(Gustin et al.,(1993)Virology 193
:653-660;Brown et al.,(1992)Mol.Cell Bio
l.12:2644-2652;McKnight et al.,(1982)Sci
ence 232:316)、飽和突然変異誘発によって(Meyers et al.
,(1986)Science 232:613)、PCR突然変異誘発によって(Le
ung et al.,(1989)Method Cell Mol Biol 1:
11-19)、または化学的突然変異誘発などを含むランダム突然変異誘発によって(M
iller et al.,(1992)A Short Course in Bac
terial Genetics,CSHL Press,Cold Spring H
arbor,N.Y.;及びGreener et al.,(1994)Strate
gies in Mol Biol 7:32-34)、ライブラリから産生し単離する
ことができる。特に、コンビナトリアル設定におけるリンカースキャニング突然変異誘発
は、ActRIIBポリペプチドの切断(生物活性)型を特定するために魅力的な方法で
ある。
【0099】
点変異及び切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリ
ーニングするための、さらに言うなら、特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNA
ライブラリをスクリーニングするための、広範囲の技法が当該技術分野において既知であ
る。このような技法は、一般的に、ActRIIBポリペプチドのコンビナトリアル突然
変異誘発によって産生された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適用可能であろ
う。大きな遺伝子ライブラリをスクリーニングするために最も広く使用されている技法は
、典型的には、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適切な細
胞を得られたライブラリベクターで形質転換し、そして所望の活性の検出が、その産物が
検出された遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離を促進する条件下でコンビナ
トリアル遺伝子を発現することを含む。好ましいアッセイとしては、アクチビン結合アッ
セイ及びアクチビン媒介細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
【0100】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRII
Bポリペプチドは、ActRIIBポリペプチド中に自然に存在するいずれかの修飾に加
えて、翻訳後修飾をさらに含む。このような修飾としては、アセチル化、カルボキシル化
、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化が挙げられるが、これらに限定されな
い。その結果として、修飾ActRIIBポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂
質、多糖類もしくは単糖類、及びリン酸塩などの非アミノ酸要素を含有し得る。このよう
な非アミノ酸要素のActRIIBポリペプチドの機能性に及ぼす効果は、当業者に既知
の任意の方法によって試験することができる。ActRIIBポリペプチドが、ActR
IIBポリペプチドの初期形態を切断することによって細胞中で産生される場合、翻訳後
処理もまた、タンパク質の正確な折り畳み及び/または機能に重要であり得る。異なる細
胞(CHO、HeLa、MDCK、293、W138、NIH-3T3またはHEK29
3など)は、このような翻訳後活性のための特異的な細胞機構及び特徴的なメカニズムを
有し、ActRIIBポリペプチドの正確な修飾及び処理を確実にするように選択するこ
とができる。
【0101】
ある特定の態様では、ActRIIBポリペプチドの機能的多様体または修飾型は、A
ctRIIBポリペプチドの少なくとも一部分と、1つ以上の融合部分とを有する融合ド
メインを含む。このような融合ドメインのよく知られた例としては、ポリヒスチジン、G
lu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテ
インA、タンパク質G、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク
質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。融合
ドメインが、所望の特性を付与するように選択されてもよい。例えば、一部の融合ドメイ
ンは、親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離に特に有用である。親和性
精製の目的のために、グルタチオン-、アミラーゼ-、及びニッケル-もしくはコバルト
-複合樹脂などの親和性クロマトグラフィーに関連したマトリックスが使用される。この
ようなマトリックスの多くは、「キット」形態として入手可能であり、例えば、Phar
macia GST精製システム及び(HIS6)融合パートナーで有用なQIAexp
ress TMシステム(Qiagen)がそうである。別の例として、融合ドメインは
、ActRIIBポリペプチドの検出を容易にするように選択されてもよい。このような
検出ドメインの例としては、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)、ならびに通常、
特異的抗体が使用可能である短いペプチド配列である「エピトープタグ」が挙げられる。
特異的モノクローナル抗体が容易に使用可能であるよく知られたエピトープタグとしては
、FLAG、インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)、及びc-mycタグが挙げら
れる。場合によっては、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンなどのプロテアー
ゼ切断部位を有し、これは、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化する
ことを可能にし、それにより組換えタンパク質をそこから遊離させる。次いで、遊離され
たタンパク質は、その後のクロマトグラフィー分離によって、融合ドメインから単離する
ことができる。ある特定の好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、イン
ビボでActRIIBポリペプチドを安定化させるドメイン(「スタビライザードメイン
」)と融合される。「安定化させる」とは、血清半減期を延ばすいかなるものも意味し、
これが、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態作用によるも
のであるかどうかに無関係である。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範囲のタン
パク質に所望の薬物動態特性を付与することが知られている。同様に、ヒト血清アルブミ
ンへの融合も所望の特性を付与することができる。選択され得る他のタイプの融合ドメイ
ンとしては、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメイン及び機能的ドメイン(必
要に応じて、骨成長または筋肉成長のさらなる刺激などの追加の生物学的機能を付与する
)が挙げられる。
【0102】
融合タンパク質の異なる要素は、所望の機能性と一致する方法で配置され得ることが理
解される。例えば、ActRIIBポリペプチドは、異種ドメインに対してC末端に配置
されてもよく、または代替的に、異種ドメインが、ActRIIBポリペプチドに対して
C末端に配置されてもよい。ActRIIBポリペプチドドメイン及び異種ドメインは、
融合体タンパク質中で隣接する必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列が、いず
れかのドメインに対してC末端もしくはN末端に含まれてもよく、またはこれらのドメイ
ンの間に含まれてもよい。
【0103】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRII
Bポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドを安定化することができる1つ以上の修
飾を含有する。例えば、このような修飾は、ActRIIBポリペプチドのインビトロ半
減期を向上させ、ActRIIBポリペプチドの循環半減期を向上させるか、またはAc
tRIIBポリペプチドのタンパク質分解を低減させる。このような安定化修飾としては
、融合タンパク質(例えば、ActRIIBポリペプチドと安定化ドメインとを含む融合
タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、グリコシル化部位のActRI
IBポリペプチドへの付加を含む)、及び炭水化物部分の修飾(例えば、炭水化物部分の
ActRIIBポリペプチドからの除去を含む)が挙げられるが、これらに限定されない
。融合タンパク質の場合、ActRIIBポリペプチドは、IgG分子などのスタビライ
ザードメイン(例えば、Fcドメイン)に融合される。本明細書で使用される場合、「ス
タビライザードメイン」という用語は、融合タンパク質の場合の融合ドメイン(例えば、
Fc)を指すだけではなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾、またはポリエチレ
ングリコールなどの非タンパク質性ポリマーも含む。
【0104】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物は、単離された、または精
製されたActRIIBポリペプチドを使用し、すなわち、単離形態であるか、ないしは
別の方法で他のタンパク質を実質的に含まないActRIIBポリペプチドを、本明細書
に記載の方法及び組成物で使用することができる。ActRIIBポリペプチドは、一般
的に、組換え核酸からの発現によって生成されるであろう。
【0105】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポ
リペプチドは、単離及び/または組換え核酸によってコードされ、本明細書に開示される
断片、機能的多様体、及び融合タンパク質を含む。例えば、配列番号6は、天然型ヒトA
ctRIIB前駆体ポリペプチドをコードする。対象の核酸は、一本鎖または二本鎖であ
ることができる。このような核酸は、DNAまたはRNA分子であり得る。これらの核酸
は、例えば、ActRIIBポリペプチドを作製するための方法で、または直接治療薬と
して(例えば、遺伝子療法アプローチにおいて)使用されてもよい。
【0106】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なAct
RIIBポリペプチドを生成するために使用され得る核酸は、配列番号6の多様体ならび
に可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列の多様体(配列番号
4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29
をコードする核酸)である核酸を含むことがさらに理解される。多様体ヌクレオチド配列
は、対立遺伝子多様体などの、1つ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失によって異
なる配列を含む。
【0107】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なA
ctRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る単離または組換え核酸は、配列
番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例え
ば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、2
8、及び29をコードする核酸)と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%
、98%、99%、または100%同一である。配列番号6もしくは可溶性ActRII
Bポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、1
3、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)に
相補的な核酸配列、及び配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコード
するこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、
18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)の多様体は、本明細書に記
載の方法及び組成物で使用することができることを当業者であれば理解されるであろう。
さらなる実施形態では、核酸配列は、単離核酸配列、組換え核酸配列、及び/または異種
ヌクレオチド配列と融合された核酸配列とすることができるか、あるいはDNAライブラ
リ中の核酸配列とすることができる。
【0108】
他の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なActR
IIBポリペプチドを生成するために使用され得る核酸は、高度にストリンジェントな条
件下で、配列番号6で表示されたヌクレオチド配列もしくは可溶性ActRIIBポリペ
プチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13、15
、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)、配列番号
6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、
配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23、28、
及び29をコードする核酸)の相補配列、またはこれらの断片にハイブリダイズするヌク
レオチド配列を含む。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェント
な条件は変化し得ることは、当業者であれば理解するであろう。例えば、ハイブリダイゼ
ーションを、約摂氏45度にて6.0倍希釈の塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(S
SC)で実施し、続いて摂氏50度にて2.0倍希釈のSSCで洗浄することができる。
例えば、洗浄工程での塩濃度は、摂氏50度での約2.0倍希釈のSSCの低ストリンジ
ェンシーから摂氏50度での約0.2倍希釈のSSCの高ストリンジェンシーまで選択す
ることができる。加えて、洗浄工程での温度は、室温の約摂氏22度での低ストリンジェ
ンシー条件から、約摂氏65度での高ストリンジェンシー条件まで上昇させることができ
る。温度及び塩の両方を変化させてもよく、または他の変数を変化させながら、温度もし
くは塩濃度を一定に保持してもよい。一実施形態では、室温にて6倍希釈のSSCの低ス
トリンジェンシー条件下でハイブリダイズし、続いて室温にて2倍希釈のSSCで洗浄す
る核酸を、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。
【0109】
遺伝暗号の縮重のために、配列番号6で記載された核酸もしくは可溶性ActRIIB
ポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(例えば、配列番号4、5、9、12、13
、15、16、17、18、19、22、23、28、及び29をコードする核酸)とは
異なる単離核酸もまた、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために好適なAct
RIIBポリペプチドを生成するために使用することができる。例えば、多くのアミノ酸
は、2つ以上のトリプレットにより表示される。同じアミノ酸を指定するコドン、または
シノニム(例えば、CAU及びCACは、ヒスチジンについてのシノニムである)は、タ
ンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異をもたらし得る。しかし
ながら、対象のタンパク質のアミノ酸配列の変化に確かにつながるDNA配列多型は、哺
乳動物細胞の間に存在するであろうことが予想される。当業者であれば、特定のタンパク
質をコードする核酸の1つ以上のヌクレオチドにおけるこれらの変動(最大で約3~5%
のヌクレオチド)が、自然の対立遺伝子変動のために、所与の種の個体間で存在し得るこ
とを理解されるであろう。ありとあらゆるこのようなヌクレオチド変異及び得られたアミ
ノ酸多型は、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。
【0110】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するのに好適なAc
tRIIBポリペプチドを生成するために使用され得る組換え核酸は、発現構築物内の1
つ以上の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結されてもよい。調節ヌクレオチド配列は
、一般的に、発現に使用される宿主細胞に適切な配列であろう。様々な宿主細胞に対する
多くのタイプの適切な発現ベクター及び好適な調節配列が、当該技術分野において既知で
ある。典型的には、該1つ以上の調節ヌクレオチド配列としては、プロモーター配列、リ
ーダーもしくはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始ならびに終了配列、翻訳開
始及び終了配列、及びエンハンサーもしくはアクチベータ配列を挙げることができるが、
これらに限定されない。当該技術分野において既知であるような構成的プロモーターまた
は誘導生プロモーターは、本明細書に記載の方法及び組成物で使用することができる。こ
れらのプロモーターは、天然型プロモーター、または2つ以上のプロモーターの要素を組
み合わせるハイブリッドプロモーターのいずれかであってもよい。発現構築物は、プラス
ミドのように、エピソーム上に細胞内に存在してもよく、または発現構築物は、染色体中
に挿入されてもよい。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換宿主細胞の選択
を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含有する。選択可能なマーカー遺伝子
は、当該技術分野において周知であり、使用される宿主細胞により様々であろう。
【0111】
ある特定の態様では、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するのに好適なActR
IIBポリペプチドを生成するために使用され得る核酸は、ActRIIBポリペプチド
をコードし、かつ少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を
ふくむ発現ベクター中に提供される。調節配列は、当該技術分野において承認されており
、ActRIIBポリペプチドの直接発現のために選択される。したがって、調節配列と
いう用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御要素を含む。例示的な調節
配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:M
ethods in Enzymology,Academic Press,San
Diego,Calif.(1990)に記載されている。例えば、DNA配列に作動的
に連結されるとDNA配列の発現を制御する、多種多様な発現制御配列のいずれも、Ac
tRIIBポリペプチドをコードするDNA配列を発現するために、これらのベクター中
で使用されてもよい。このような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40の初期
及び後期プロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルスの最初期プロモータ
ー、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACまたはTRCシステ
ム、その発現がT7 RNAポリメラーゼにより指向されるT7プロモーター、ラムダフ
ァージのメジャーオペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質のための制
御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素のためのプロモーター、酸
性ホスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母のプロモーター、アルファ-
接合因子、バキュロウイルス系の多面体プロモーター、ならびに原核細胞もしくは真核細
胞または他のウイルスの発現を制御することが知られている他の配列、及びこれらの様々
な組み合わせが挙げられる。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択及び
/または発現されように望まれるタンパク質の種類などの因子に依存し得ることを理解さ
れたい。さらに、ベクターのコピー数、このコピー数を制御するための能力、及び抗生物
質マーカーなどのベクターによりコードされる任意の他のタンパク質の発現も考慮される
べきである。
【0112】
組換え核酸は、クローンされた遺伝子、またはその一部分を、原核細胞、真核細胞(酵
母、鳥類、昆虫または哺乳動物)、またはその両方のいずれかの発現に好適なベクターに
連結することによって生成することができる。組換えActRIIBポリペプチドの生成
のための発現ビヒクルには、プラスミド及び他のベクターが含まれる。例えば、好適なベ
クターとしては、これらの種のプラスミド:pBR322由来プラスミド、pEMBL由
来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、及びE.coliな
どの原核細胞中の発現用のpUC由来プラスミドが挙げられる。
【0113】
一部の哺乳動物発現ベクターは、細菌中のベクターの伝搬を容易にするための原核細胞
配列、及び真核細胞中で発現される1つ以上の真核細胞転写ユニットの両方を含有する。
pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pS
V2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、
pko-neo及びpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに好適な
哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちのいくつかは、原核細胞及び
真核細胞の両方での複製及び薬物耐性選択を容易にするために、pBR322などの細菌
プラスミドからの配列で修飾されている。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV-
1)、またはエプスタイン・バールウイルス(pHEBo、pREP由来及びp205)
などのウイルスの派生物は、真核細胞中でのタンパク質の一過性発現に使用することがで
きる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、以下の遺伝子療法送達系の
説明で見出すことができる。プラスミドの調製及び宿主生物の形質転換で使用される様々
な方法は、当該技術分野において周知である。原核細胞及び真核細胞の両方のための他の
好適な発現系、ならびに一般的な組換え手順については、Molecular Clon
ing A Laboratory Manual,3rd Ed.,ed.Sambr
ook,Fritsch and Maniatis (Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press,2001)を参照されたい。場合によっ
ては、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ま
しいこともある。このようなバキュロウイルス発現系の例としては、pVL由来のベクタ
ー(pVL1392、pVL1393及びpVL941)、pAcUW由来のベクター(
pAcUW1など)、及びpBlueBac由来のベクター(ベータ-gal含有pBl
ueBac IIIなど)が挙げられる。
【0114】
一実施形態では、ベクターは、CHO細胞中での本明細書に記載の方法及び組成物で使
用されるActRIIBポリペプチドの生成のため設計することができ、例えば、Pcm
v-Scriptベクター(Stratagene,La Jolla,Calif.)
、pcDNA4ベクター(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)及
びpCI-neoベクター(Promega,Madison,Wis.)である。明ら
かなように、対象の遺伝子構築物は、例えば、精製のための、融合タンパク質または多様
体タンパク質を含むタンパク質を生成するために、培養で増殖した細胞中での対象のAc
tRIIBポリペプチドの発現を引き起こすために使用することができる。
【0115】
対象のActRIIBポリペプチドのうちの1つ以上についてのコード配列(例えば、
配列番号6もしくは可溶性ActRIIBポリペプチドをコードするこれらの核酸配列(
例えば、配列番号4、5、9、12、13、15、16、17、18、19、22、23
、28、及び29をコードする核酸))は、本明細書に記載の方法及び組成物で使用する
ために好適なActRIIBポリペプチドを生成するために使用することができる。ホス
ト細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であってもよい。例えば、ActRIIBポリ
ペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系
を使用して)、酵母、または哺乳動物細胞中で発現されてもよい。他の好適な宿主細胞は
、当業者に既知である。
【0116】
したがって、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるActRIIBポリペプチ
ドを生成する方法が、本明細書に提供される。例えば、ActRIIBポリペプチドをコ
ードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、ActRIIBポリペプチ
ドの発現を可能にする適切な条件下で培養することができる。ActRIIBポリペプチ
ドは、分泌され、細胞とActRIIBポリペプチドを含有する培地の混合物から単離す
ることができる。あるいは、ActRIIBポリペプチドは、細胞質で、または膜画分中
に保持され、細胞が採取され、溶解されてタンパク質が単離され得る。細胞培養物は、宿
主細胞、培地及び他の副産物を含む。細胞培養に好適な培地は、当該技術分野において周
知である。対象のActRIIBポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル
濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ActRIIBポリペプチドの特定のエ
ピトープに特異的な抗体を用いる免疫親和性精製、及びActRIIBポリペプチドに融
合したドメインに結合する薬剤を用いる親和性精製(例えば、プロテインAカラムを使用
して、ActRIIB-Fc融合を精製することができる)を含む、タンパク質を精製す
るための当該技術分野において既知の技法を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、または
これらの両方から単離することができる。好ましい実施形態では、ActRIIBポリペ
プチドは、その精製を容易にするドメインを含有する融合タンパク質である。好ましい実
施形態では、精製は、例えば、以下の:任意の順序で、プロテインAクロマトグラフィー
、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイ
ズ排除クロマトグラフィー、及びカチオン交換クロマトグラフィーのうちの3つ以上を含
む一連のカラムクロマトグラフィー工程によって達成される。精製は、ウイルス濾過及び
緩衝液交換により完了することができる。本明細書で実証されたように、ActRIIB
-hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーで決定されるとき、>98%の純
度まで、及びSDS PAGEで決定されるとき、>95%の純度まで精製される。この
純度のレベルは、マウスでの骨に対する所望の効果、及びマウス、ラットならびに非ヒト
霊長類での許容できる安全性プロファイルを達成するのに十分なものであった。
【0117】
別の実施形態では、組換えActRIIBポリペプチドの所望の部分のN末端における
ポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする
融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を使用する親和性クロマトグラフィーによる発現された
融合タンパク質の精製を可能にする。次いで、精製リーダー配列は、エンテロキナーゼに
よる処理でその後除去され、精製ActRIIBポリペプチドを提供する(例えばHoc
huli et al.,(1987)J.Chromatography 411:1
77;及びJanknecht et al.,PNAS USA 88:8972を参
照されたい)。
【0118】
融合遺伝子を作製するための技法は、周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列
をコードする様々なDNA断片の接合は、ライゲーションのための平滑端またはジグザグ
端の末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じての粘着末端の埋め込
み、望ましくない接合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、及び酵素ライゲー
ションを使用する従来の技法に従って実施される。別の実施形態では、融合遺伝子は、自
動DNAシンセサイザーを含む従来の技法により合成することができる。あるいは、遺伝
子断片のPCR増幅は、2つの連続した遺伝子断片間の相補的オーバーハングを生じさせ
るアンカープライマーを使用して実行し、その後、アニールされて、キメラ遺伝子配列を
産生することができる(例えば、Current Protocols in Mole
cular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wi
ley & Sons:1992を参照されたい)。
【0119】
ActRIIB-Fc融合タンパク質は、配列番号2の組織プラスミノーゲンリーダー
配列を使用して、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモ
ーター)から安定してトランスフェクトされたCHO-DUKX Bl1細胞で発現する
ことができる。Fc部分は、配列番号1に示されるように、ヒトIgG1 Fc配列を含
むことができる。ある特定の実施形態では、発現時に、含まれるタンパク質は、ActR
IIB-Fc融合タンパク質の分子当たり、平均で約1.5~2.5モルのシアル酸を有
する。
【0120】
ある特定の実施形態では、ActRIIB-Fc融合タンパク質の長い血清半減期は、
ヒト対象において、25~32日であり得る。さらに、CHO細胞発現物質は、ヒト29
3細胞中で発現されたActRIIB-hFc融合タンパク質について報告されたものよ
りもアクチビンBに対してより高い親和性を有し得る(del Re et al.,J
BiolChem.2004Dec 17;279(51):53126-35)。さ
らに、理論に束縛されるものではないが、TPAリーダー配列の使用は、他のリーダー配
列よりも大きな生成をもたらし、天然のリーダー配列で発現されたActRIIB-Fc
とは異なり、非常に純粋なN末端配列を提供することができる。天然のリーダー配列の使
用は、それぞれが異なるN末端配列を有する、ActRIIB-Fcの2つの主要な種を
もたらし得る。
【0121】
ある好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプト
である(医薬品国際一般的名称(International Nonpropriet
ary Names for Pharmaceutical Substances(
INN))、WHO Drug Information,Vol.27,No.4,2
013,Proposed INN:List 110-458,422を参照されたい
)。
【0122】
5.5 組成物
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、本明細書に記載の方
法で使用するために、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。例えば、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬は、単独で、または医薬製剤(治療用組成物)の成分として投与
することができる。対象の化合物は、ヒト向けまたは動物向けの医薬品で使用するための
任意の従来の方法での投与用に製剤化され得る。
【0123】
好ましい実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬は、皮下投与用に製剤化され
る。
【0124】
別の好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、無菌の防腐剤フリ
ーの凍結乾燥粉末またはケークとして容器内に包装される。ある特定の実施形態では、容
器は、25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む。ある特定の実施形態では、
25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む容器は、合計で37.5mgのタン
パク質を含む。ある特定の実施形態では、25mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬
を含む容器内のActRIIBシグナル伝達阻害薬は、0.68mLの注射用水で再構成
される。ある特定の実施形態では、容器は、75mgのActRIIBシグナル伝達阻害
薬を含む。ある特定の実施形態では、75mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含
む容器は、合計で87.5mgのタンパク質を含む。ある特定の実施形態では、75mg
のActRIIBシグナル伝達阻害薬を含む容器内のActRIIBシグナル伝達阻害薬
は、1.6mLの注射用水で再構成される。ある特定の実施形態では、容器内のActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、注射用水中の再構成されたActRIIBシグナル伝達阻
害薬の最終濃度がおよそ6.5のpHで50mg/mLであるような水の容量で再構成さ
れる。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、対象に再構成後
10時間以内に投与される。ある特定の実施形態では、容器は、10mMのクエン酸緩衝
液ベースの溶液中に50mg/mLの濃度でActRIIBシグナル伝達阻害薬を含み、
10mMのクエン酸緩衝液ベースの溶液は、10mMのクエン酸塩、pH6.5、9%の
スクロース、及び0.02%のポリソルベート80を含む。ある特定の実施形態において
、容器は、2℃~8℃で保管される。ある特定の実施形態では、容器は、2℃~8℃で1
8ヶ月間保存される。ある特定の実施形態では、容器は、灰色ブチルコーティングが施さ
れたストッパーを備えた3mLのガラスバイアルである。ある特定の実施形態では、容器
は、灰色ゴムストッパーを備えた3mLのガラスバイアルである。ある特定の実施形態で
は、ゴムストッパーは、着色プラスチックボタンを備えた圧着アルミニウムフリップキャ
ップで定位置に固定される。ある特定の実施形態では、3mLのガラスバイアルは、25
mgのActRIIBシグナル伝達阻害薬を含み、着色プラスチックボタンは赤色である
。ある特定の実施形態では、3mLのガラスバイアルは、75mgのActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬を含み、着色プラスチックボタンは白色である。具体的な実施形態では、
ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチド
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11の
アミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、
ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなる
ポリペプチドである。
【0125】
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、無菌の防腐剤フリーの
凍結乾燥粉末またはケークとして容器内に包装される。具体的な実施形態では、容器は、
10mMのクエン酸緩衝液、pH6.5中に50mg/mLのActRIIBシグナル伝
達阻害薬を含む。具体的な実施形態では、容器は、56mgのActRIIBシグナル伝
達阻害薬、0.19mgのクエン酸一水和物、3.03mgのクエン酸三ナトリウム無水
物、0.24mgのポリソルベート80、及び100.80mgのスクロースを含む。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配
列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害
薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載される
アミノ酸配列からなるポリペプチドである。
【0126】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される治療方法は、組成物(ActRIIB
シグナル伝達阻害薬を含む)を全身投与するか、またはインプラントもしくはデバイスと
して局所投与することを含む。投与される場合、本明細書に提供される使用のための治療
用組成物は、パイロジェンフリーの生理学的に許容される形態である。任意に上記の組成
物中に含まれてもよいActRIIBシグナル伝達阻害薬以外の治療的に有用な薬剤は、
対象の化合物(例えば、ActRIIA及び/またはActRIIBポリペプチドなどの
ActRIIポリペプチド)と同時にまたは逐次的に投与されてもよい。
【0127】
典型的には、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、非経口投与されるであろう。好ま
しい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、皮下投与されるであろう。非
経口投与に好適な医薬組成物は、1つ以上のActRIIBポリペプチドを、1つ以上の
薬学的に許容される滅菌等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョ
ン、あるいは使用の直前に滅菌注射可能な溶液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末
と組み合わせて含むことができ、医薬組成物は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を対
象レシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含んでもよい。
本明細書に記載の方法で使用するための医薬組成物において使用され得る好適な水性及び
非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物
油、ならびにオレイン酸エチル等の注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、
例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合は必要な粒径の維
持により、かつ表面活性剤の使用により、維持することができる。
【0128】
本明細書に記載の組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバ
ントを含むことができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パ
ラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など、を含めることによって確保する
ことができる。糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を組成物に含有させることもまた
、望ましいことであり得る。加えて、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、モノステアリ
ン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の含有によってもたらすことが
できる。
【0129】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、医薬組成物中で実質
的に純粋である。具体的には、医薬組成物中の化合物の最大で20%、10%、5%、2
.5%、1%、0.1%、または最大で0.05%は、ActRIIBシグナル伝達阻害
薬以外の化合物及び薬学的に許容される担体である。
【0130】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、本明細書に提供され
る方法に従って、室温で患者に投与される。
【0131】
5.6 投与の用量及び経路
本明細書に記載の治療の方法(例えば、セクション5.2を参照されたい)と関連付け
て対象に投与するための、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量も本明細書に提供さ
れる。ある特定の実施形態では、用量は、薬学的有効用量である。
【0132】
ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、骨髄
増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和するのに十分な用量である
。ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、骨髄
増殖性腫瘍関連骨髄線維症の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防するのに十分な用
量である。骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の非限定的な例としては、疲労、寝汗、かゆみ
、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、または骨痛が挙げられる。
【0133】
ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、骨髄
増殖性腫瘍関連骨髄線維症によって引き起こされるか、またはこれに関連する貧血の1つ
以上の症状を軽減または緩和するのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、Ac
tRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、貧血の少なくとも1つの症状が悪化す
るのを予防するのに十分な用量である。貧血の非限定的な例としては、疲労、エネルギー
損失、頻拍、息切れ、頭痛、集中力欠如、めまい、蒼白、下肢痙攣、及び不眠症が挙げら
れる。
【0134】
ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、貧血
の1つ以上の症状及び骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の1つ以上の症状を軽減または緩和
するのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIシグナル伝達阻害薬
の薬学的有効用量は、貧血の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防し、かつ骨髄増殖
性腫瘍関連骨髄線維症の少なくとも1つの症状が悪化するのを予防するのに十分な用量で
ある。貧血の非限定的な例としては、疲労、エネルギー損失、頻拍、息切れ、頭痛、集中
力欠如、めまい、蒼白、下肢痙攣、及び不眠症が挙げられる。骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線
維症の非限定的な例としては、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早
期満腹、または骨痛が挙げられる。
【0135】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、0.2mg/kg以
上の血清濃度、例えば、1mg/kgまたは2mg/kg以上の血清濃度を達成するのに
十分な間隔及び量で投与される。投与レジメンは、0.2~15mg/kg、及び任意に
1~5mg/kgの血清濃度に達するように設計することができる。ヒトでは、0.1m
g/kg以上の単回用量で、0.2mg/kgの血清濃度を達成することができ、0.3
mg/kgの単回用量で1mg/kgの血清濃度を達成することができる。分子の観察さ
れた血清半減期は、大部分のFc融合タンパク質よりも実質的に長い約20~30日であ
り、したがって、例えば、0.2~0.4mg/kgを週1回の頻度でまたは2週間に1
回の頻度で投与することによって、持続的に有効な血清レベルを達成することができ、ま
たはより高い用量を投与間のより長い間隔で使用してもよい。例えば、1~3mg/kg
の用量を、1ヶ月に1回または2ヶ月に1回の頻度で使用することもでき、骨に及ぼす効
果が、投与が3、4、5、6、9、12ヶ月、またはそれ以上毎に1回の投与だけが必要
であるように十分に持続的であり得る。ActRIIBシグナル伝達阻害薬の血清レベル
は、当業者に既知の任意の手段によって測定することができる。例えば、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬に対する抗体は、例えば、ELISAを使用してActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬の血清レベルを決定するために用いることができる。具体的な実施形態で
は、本明細書に提供される方法は、骨密度及び強度に著しい効果も達成する。
【0136】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、約0.1mg
/kg、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6m
g/kg、0.75mg/kg、約0.8mg/kg、約1.0mg/kg、約1.25
mg/kg、約1.33mg/kg、約1.5mg/kg、約1.75mg/kg、約2
.0mg/kg、または約2.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.1mg/kg~2.25mg/kgである。
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.1mg/k
g~1mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬
の用量は、0.3mg/kg~1.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.5mg/kg~1.5mg/kgである
。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.1mg/
kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達
阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.75mg/kg~1.0mg/k
g、1.0mg/kg~1.25mg/kg、1.25mg/kg~1.5mg/kg、
1.5mg/kg~1.75mg/kg、または1.75mg/kg~2.0mg/kg
である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、薬学的
有効用量である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、
0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬
の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/k
gである。本明細書に提供される用量(例えば、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用
量または第2の活性薬剤の用量)と関連して使用される場合、「約」という単語は、参照
された数値の1、5、または10%内の任意の数値を指す。
【0137】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、薬学的有効用
量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用
量は、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.45mg/kg、約0.5mg
/kg、約0.6mg/kg、0.75mg/kg、約0.8mg/kg、約1.0mg
/kg、約1.25mg/kg、約1.33mg/kg、約1.5mg/kg、約1.7
5mg/kg、約2.0mg/kg、または約2.25mg/kgである。ある特定の実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.1mg/kg
~2.25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻
害薬の薬学的有効用量は、0.1mg/kg~1mg/kgである。ある特定の実施形態
では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.3mg/kg~1.
25mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の
薬学的有効用量は、0.5mg/kg~1.5mg/kgである。ある特定の実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.1mg/kg~2.0
mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学
的有効用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。ある特定の実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の薬学的有効用量は、0.75mg/kg~1.0
mg/kg、1.0mg/kg~1.25mg/kg、1.25mg/kg~1.5mg
/kg、1.5mg/kg~1.75mg/kg、または1.75mg/kg~2.0m
g/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、
0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬
の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル
伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/k
gである。
【0138】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるAct
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインにおける対象のヘモグロビン
のレベルと比べて、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量である。対
象のヘモグロビンのレベルの増加の評価に関して、「ベースライン」とは、ActRII
Bシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与直前の時間を指す。ある特定の実施形態では、
本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬
の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、ベー
スラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続した84日の期間にわ
たって、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少
なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも
45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、
少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくと
も90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、対象のヘモグロビンのレベル
を増加させるのに十分な用量であり、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤
血球単位を輸血されていた。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従っ
て対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIB
シグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、ベースラインでの対象のヘモグロビン
のレベルと比較して、任意の連続した84日の期間にわたって、最大で5%、最大で10
%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で
40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最
大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%
、または最大で100%、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量であ
り、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血されていた。ある
特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRII
Bシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を
投与された後に、ベースラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続
した84日の期間にわたって、少なくとも1.5g/dL、少なくとも1.8g/dL、
少なくとも2.0g/dL、少なくとも2.2g/dL、少なくとも2.4g/dL、少
なくとも2.6g/dL、少なくとも2.8g/dL、少なくとも3.0g/dL、少な
くとも3.2g/dL、少なくとも3.4g/dL、少なくとも3.6g/dL、少なく
とも3.8g/dL、少なくとも4.0g/dL、少なくとも5.0g/dL、または少
なくとも6.0g/dL、ヘモグロビンのレベルを増加させるのに十分な用量であり、こ
の対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血されていた。ある特定の
実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬の用量は、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与さ
れた後に、ベースラインでの対象のヘモグロビンのレベルと比較して、任意の連続した8
4日の期間にわたって、最大で1.5g/dL、最大で1.8g/dL、最大で2.0g
/dL、最大で2.2g/dL、最大で2.4g/dL、最大で2.6g/dL、最大で
2.8g/dL、最大で3.0g/dL、最大で3.2g/dL、最大で3.4g/dL
、最大で3.6g/dL、最大で3.8g/dL、最大で4.0g/dL、最大で5.0
g/dL、または最大で6.0g/dL、対象のヘモグロビンのレベルを増加させるのに
十分な用量であり、この対象は、連続した84日の期間中に0単位の赤血球単位を輸血さ
れていた。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与され
るActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投
与後、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ
月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少
なくとも48ヶ月間、対象のヘモグロビンレベルの増加をもたらすのに十分な用量である
。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるAct
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後無期
限に、対象のヘモグロビンレベルの増加をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0
mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は
、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害
薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRII
Bシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである。具体的な実施形態では、Ac
tRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/kgである。具体的な実施形態で
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.33mg/kgである。具体的な
実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/
kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクショ
ン5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11
のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からな
るポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、
ルスパテルセプトである。
【0139】
対象が赤血球輸血依存性である、ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法
に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、対象がActR
IIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後に、任意の連続した84日の期間に
わたって、対象の赤血球輸血非依存性をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施
形態では、対象が、任意の連続した60日、61日、62日、63日、64日、65日、
66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、
76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、
86日、87日、88日、89日、または90日の期間中に、0の赤血球単位を受容して
いる場合、対象は赤血球輸血非依存性である。ある特定の実施形態では、対象が、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与前に、少なくとも60、61、62、6
3、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76
、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、
または90日の期間中に対象が28日毎に2~4単位の赤血球の平均赤血球輸血頻度を受
容している場合、その対象は赤血球輸血依存性である。ある特定の実施形態では、本明細
書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量
は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ
月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも1
8ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間、対象の赤血球輸血非依
存性をもたらすのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される
方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ActRI
IBシグナル伝達阻害薬の投与後無期限に、対象の赤血球輸血非依存性をもたらすのに十
分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は
、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRII
Bシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実施形
態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具体的
な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgである
。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg/k
gである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.3
3mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量
は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻
害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシ
グナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻害薬
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11の
アミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチド
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11に
記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0140】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるAct
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインにおける対象の赤血球輸血の頻度と
比べて、対象の赤血球輸血の頻度を減少させるのに十分な用量である。対象の赤血球輸血
の頻度の減少の評価に関して、「ベースライン」とは、ActRIIBシグナル伝達阻害
薬の対象への初回投与直前の時間を指す。対象の赤血球輸血の頻度における減少を、ベー
スラインでの対象の赤血球輸血の頻度と比べて評価するために、対象がActRIIBシ
グナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球
単位の平均数を、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数
と比較する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与さ
れるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象
に輸血された赤血球単位の平均数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の
初回用量を投与された後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、少
なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも
50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、
または少なくとも100%、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では
、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害
薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数と比
べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週の期間
あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、最大で10%、最大で20%、最大で3
0%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大
で90%、または最大で100%、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形
態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝
達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均
数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後、4週
の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、少なくとも1単位、少なくとも2
単位、少なくとも3単位、少なくとも4単位、少なくとも5単位、少なくとも6単位、少
なくとも7単位、または少なくとも8単位、低減させるのに十分な用量である。ある特定
の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシ
グナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインで4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単
位の平均数と比べて、対象がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された
後、4週の期間あたり対象に輸血された赤血球単位の平均数を、最大で1単位、最大で2
単位、最大で3単位、最大で4単位、最大で5単位、最大で6単位、最大で7単位、また
は最大で8単位、低減させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、1RBC
単位は、約150mL、200mL、250mL、300mL、350mL、100~2
00mL、150~250mL、200~300mL、250~300mL、または25
0~350mLのRBCである。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達
阻害薬の用量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。
具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kg
である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8m
g/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、
1.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の
用量は、1.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝
達阻害薬の用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIB
シグナル伝達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、
配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含
むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、
配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態
では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0141】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるAct
RIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、ベースラインでの対象の輸血負荷と比べて、対象
がActRIIBシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後の任意の期間にわたって
、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくと
も25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%
、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なく
とも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90
%、少なくとも95%、または少なくとも100%、対象の輸血負荷を減少させるのに十
分な用量である。対象の輸血負荷の減少の評価に関して、「ベースライン」とは、Act
RIIBシグナル伝達阻害薬の対象への初回投与直前の時間を指す。ある特定の実施形態
では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達
阻害薬の用量は、ベースラインでの対象の輸血負荷と比べて、対象がActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後の任意の期間にわたって、最大で5%、最大で
10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最
大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%
、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で9
5%、または最大で100%、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある
特定の実施形態では、対象の輸血負荷が減少される期間は、少なくとも4週、少なくとも
5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも8週、少なくとも9週、少なくとも
10週、少なくとも11週、または少なくとも12週である。ある特定の実施形態では、
対象の輸血負荷が減少される期間は、12週(すなわち、84日)である。ある特定の実
施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナ
ル伝達阻害薬の用量は、ベースラインでの対象の輸血負荷と比べて、対象がActRII
Bシグナル伝達阻害薬の初回用量を投与された後の任意の連続した84日の期間にわたっ
て、少なくとも50%、対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある特定の
実施形態では、本明細書に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグ
ナル伝達阻害薬の用量は、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後、少なくとも3ヶ
月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12
ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、または少なくとも48ヶ月間、
対象の輸血負荷を減少させるのに十分な用量である。ある特定の実施形態では、本明細書
に提供される方法に従って対象に投与されるActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の投与後無期限に、対象の輸血負荷を減少させるの
に十分な用量である。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用
量は、0.33mg/kg~2.0mg/kgである。具体的な実施形態では、ActR
IIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.33mg/kgである。具体的な実施形態では
、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.45mg/kgである。具体的な実
施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.6mg/kgである。具
体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、0.8mg/kgで
ある。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1.0mg
/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、1
.33mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の
用量は、1.75mg/kgである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝
達阻害薬の用量は、2.00mg/kgである。ある特定の実施形態では、ActRII
Bシグナル伝達阻害薬は、セクション5.4に記載されるActRIIBシグナル伝達阻
害薬である。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号1
1のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシ
グナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプ
チドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号1
1に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施形態では、Ac
tRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0142】
ある特定の実施形態では、貧血応答が測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答
は、それがヘモグロビン(Hgb)の増加に関連しているとき、例えば、RBC輸血なし
に任意の連続した84日の期間にわたって、ベースラインからの≧1.5g/dLのヘモ
グロビンの増加を達成する対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)
比率に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが
赤血球(RBC)輸血の非依存性に関連しているとき、例えば、任意の連続した84日の
期間にわたって、RBC輸血を受けないようになる対象の(例えば、ルスパテルセプトを
受容している対象での)比率に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態で
は、貧血応答は、それが貧血応答までの時間に関連しているとき、例えば、ルスパテルセ
プトの初回投与から貧血応答の最初の発症までの時間(例えば、ルスパテルセプトを受容
している対象での)関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応
答は、それが貧血応答の持続時間に関連しているとき、例えば、対象での(例えば、ルス
パテルセプトを受容している対象での)貧血応答の最長持続時間に関連しているときに、
測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それがRBC輸血の頻度に関連して
いるとき、例えば、4週当たりの対象ごとの(例えば、ルスパテルセプトを受容している
対象での)輸血されたRBC単位の平均数に関連しているときに、測定される。いくつか
の実施形態では、貧血応答は、それがRBC輸血依存性の頻度に関連しているとき、例え
ば、任意の連続した84日の期間にわたって、ベースラインから≧50%の対象の輸血負
荷を低減させるRBC輸血依存性対象の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象
での)比率に関連しているときに、測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、
それが改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(Modified Myeloproli
ferative Neoplasm Symptom Assessment For
m(MPN-SAF))により記録され評価されたとき、疲労症状の軽減を達成する対象
の(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象において、例えば、MPN-SAFで
測定された疲労症状の≧50%の軽減を達成する対象において)比率に関連しているとき
に測定され(Emanual et al.,“Myeloproliferative
Neoplasm (MPN) Symptom Assessment Form
Total Symptom Score:Prospective Internat
ional Assessment of an Abbreviated Sympt
om Burden Scoring System Among Patients
With MPNs,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103
(2012)を参照されたい)、MPN-SAFは、例えば、疲労、寝汗、かゆみ、腹部
不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、及び骨痛を測定する。いくつかの実施形態では、
貧血応答は、それが改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MPN-SAF)により記録
され評価されたとき、総症状スコア(TSS)の≧50%を達成する対象の(例えば、ル
スパテルセプトを受容している対象での)比率に関連しているときに測定され(Eman
ual et al.,“Myeloproliferative Neoplasm
(MPN) Symptom Assessment Form Total Symp
tom Score:Prospective International Asse
ssment of an Abbreviated Symptom Burden
Scoring System Among Patients With MPNs,
”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012)を参照さ
れたい)、MPN-SAFは、例えば、疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の
痛み、早期満腹、及び骨痛を測定する。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが健
康に関連する生活の質(HRQoL)尺度に関連しているとき、例えば、ベースラインス
コアと比較されたHRQoLアンケートドメインスコアにおける尺度平均変化(例えば、
ルスパテルセプトを受容している対象での)に関連しているときに測定される。いくつか
の実施形態では、貧血応答は、それがEQ-5D-5Lアンケートスコア(EuroQo
l,Rotterdam,The Netherlands)に関連しているとき、例え
ば、ベースラインスコアと比較されたEQ-5D-5Lアンケートドメインスコアにおけ
る尺度平均変化(例えば、ルスパテルセプトを受容している対象での)に関連していると
きに測定される。いくつかの実施形態では、貧血応答は、それが、有害事象(AE)に関
連しているとき、例えば、有害事象の種類、頻度、及び重症度(例えば、ルスパテルセプ
トを受容している対象での)に関連しているときに測定される。いくつかの実施形態では
、貧血応答は、抗薬物抗体(ADA)を使用して測定される(例えば、ルスパテルセプト
を受容している対象における抗薬物抗体の頻度及び有効性、安全性または薬物動態に及ぼ
す効果)。いくつかの実施形態では、貧血応答は、薬物動態パラメータ、例えば、血漿濃
度-時間曲線、薬物濃度曲線下面積(AUC)、Cmax(例えば、ルスパテルセプトを
受容している対象についての)を使用して測定される。
【0143】
ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、注射を介して
投与される。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、皮
下投与される。ある特定の実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬の用量は、
3週ごとに1回投与される。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬
は、配列番号11のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、A
ctRIIBシグナル伝達阻害薬は、配列番号11のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列
を含むポリペプチドである。具体的な実施形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬
は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。好ましい実施
形態では、ActRIIBシグナル伝達阻害薬は、ルスパテルセプトである。
【0144】
アッセイ
様々なActRIIBポリペプチド多様体、または可溶性ActRIIBポリペプチド
多様体を、それらのActRIIBシグナル伝達を阻害する能力について試験することが
できる。加えて、化合物を、それらのActRIIBシグナル伝達を阻害する能力につい
て試験することができる。ActRIIBシグナル伝達の阻害薬の活性が確認されれば、
これらの化合物は、本明細書に提供される方法で使用することができる。以下のアッセイ
は、ActRIIAについて記載されているが、ActRIIBについても同様に実行す
ることができる。
【0145】
例えば、骨の生成及び骨の破壊に関与するActRIIAポリペプチド多様体の遺伝子
の発現に及ぼす効果が評価されてもよい。これは、必要に応じて、1つ以上の組換えAc
tRIIAリガンドタンパク質(例えば、アクチビン)の存在下で実行されてもよく、細
胞は、ActRIIAポリペプチド及び/またはその多様体、ならびに任意にActRI
IAリガンドを生成するようにトランスフェクトされ得る。同様に、ActRIIAポリ
ペプチドは、マウスまたは他の動物に投与されてもよく、1つ以上の骨特性、例えば、密
度または体積を評価することができる。骨折の治癒率も、評価されてもよい。二重エネル
ギーX線吸収測定法(DEXA)は、動物の骨密度を評価するための十分に確立された、
非侵襲的な定量的な技法である。ヒトでは、躯幹骨DEXAシステムを使用して、脊椎及
び骨盤の骨密度を評価することができる。これらは、全体的な骨密度についての最高の予
測因子である。末梢骨DEXAシステムは、例えば、手、手首、足首及び足の骨を含む末
梢骨の骨密度を評価するために使用することができる。CATスキャンを含む従来のX線
殺像システムを使用して、骨成長及び骨折治癒を評価してもよい。加えて、骨密度は、定
量的コンピュータ断層撮影法(qCT)を使用して測定することが可能である。骨の機械
的強度も評価されてもよい。
【0146】
ある特定の態様では、ActRIIAポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIAポ
リペプチド)及びアクチビンポリペプチドの、アクチビン-ActRIIAシグナル伝達
経路の作動薬または拮抗薬である化合物(薬剤)を特定するための使用が、本明細書に提
供される。このスクリーニングを通して特定された化合物は、それらのインビトロでの骨
成長またはミネラル化を調節するための能力を評価するために試験することができる。任
意に、これらの化合物は、それらのインビボでの組織増殖を調節する能力を評価するため
に、動物モデルでさらに試験することができる。
【0147】
アクチビン及びActRIIAポリペプチドを標的化することにより、組織増殖を調節
するための治療薬をスクリーニングするための多くのアプローチがある。ある特定の実施
形態では、化合物のハイスループットスクリーニングを実行して、骨へのアクチビンまた
はActRIIA媒介作用を攪乱させる薬剤を特定することができる。ある特定の実施形
態では、アッセイを行って、ActRIIAポリペプチドのアクチビンへの結合を特異的
に阻害するか、または低減させる化合物を特定する。あるいは、アッセイを使用して、A
ctRIIAポリペプチドのアクチビンへの結合を増強させる化合物を特定することがで
きる。さらなる実施形態では、化合物は、それらのアクチビンまたはActRIIAポリ
ペプチドと相互作用する能力によって、特定することができる。
【0148】
本開示の観点から、様々なアッセイ形式が満足させるものであり、本明細書に明示的に
説明されていないものであっても、当業者であれば理解されるであろう。本明細書で記載
される場合、本明細書で使用される試験化合物(薬剤)は、任意のコンビナトリアルケミ
ストリーの方法により作り出すことができる。あるいは、対象の化合物は、インビボまた
はインビトロで合成された天然型生体分子であってもよい。組織増殖の調節因子として作
用するためのそれらの能力が試験される化合物(薬剤)は、例えば、化学的に生成された
(例えば、ペプチド模倣薬を含む小分子)、または組換え的に生成された、細菌、酵母、
植物、または他の生物(例えば、天然物)によって生成され得る。本明細書で企図される
試験化合物としては、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣薬
、糖、ホルモン、及び核酸分子が挙げられる。具体的な実施形態では、試験薬剤は、約2
,000ダルトン未満の分子量を有する有機小分子である。
【0149】
試験化合物は、単一の個別の実体として提供され得るか、またはコンビナトリアルケミ
ストリーによって作製されたような、より複雑なライブラリで提供され得る。これらのラ
イブラリは、例えば、アルコール、アルキルハロゲン化物、アミン、アミド、エステル、
アルデヒド、エーテル、及び他の部類の有機化合物を含むことができる。試験化合物の試
験システムへの提示は、特に初期スクリーニング工程で、化合物の単離形態または混合物
としてのいずれかであり得る。任意に、化合物は、他の化合物で誘導体化されてもよく、
化合物の単離を容易にする誘導体化基を有する。誘導体化基の非限定的な例としては、ビ
オチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、アイソトープ、ポリヒ
スチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化架橋剤
、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0150】
化合物及び天然抽出物のライブラリを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムで
は、所与の期間での検査される化合物の数を最大化するために、ハイスループットアッセ
イが望ましい。精製タンパク質または半精製タンパク質で誘導体化され得るものなどの無
細胞系で実施されるアッセイは、多くの場合、これらが試験化合物によって媒介される分
子標的中の改変の迅速な発生及び比較的容易な検出を可能にするように産生され得るとい
う点で、「一次」スクリーニングとして好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または
生物学的利用能の効果は、一般的に、インビトロ系では無視することができ、ActRI
IAポリペプチドとアクチビンとの間の結合親和性の改変で明らかであり得るために、ア
ッセイは、代わりに、薬物の分子標的に及ぼす効果に主として焦点が当てられる。
【0151】
例示にすぎないが、例示的なスクリーニングアッセイでは、対象とする化合物を、通常
、アクチビンに結合することができる単離し精製されたActRIIAポリペプチドと接
触させる。次いで、化合物とActRIIAポリペプチドとの混合物に、ActRIIA
リガンドを含有する組成物が添加される。ActRIIA/アクチビン複合体の検出及び
定量化は、ActRIIAポリペプチドとアクチビンとの間の複合体形成を阻害する(ま
たは増強する)ことに関する化合物の有効性を判定するための手段を提供する。化合物の
有効性は、様々な濃度の試験化合物を使用して得られたデータから用量反応曲線を作成す
ることによって評価することができる。さらに、対照アッセイも、比較のためのベースラ
インを提供するために実施することができる。例えば、対照アッセイでは、単離され精製
されたアクチビンを、ActRIIAポリペプチドを含有する組成物に添加し、ActR
IIA/アクチビン複合体の形成を、試験化合物の非存在下で定量化する。一般的に、反
応体が混合され得る順序は様々であってもよく、同時に混合することも可能であることを
理解されたい。さらに、精製タンパク質に代えて、細胞抽出物及び細胞溶解物を使用して
、好適な無細胞系にしてもよい。
【0152】
ActRIIAポリペプチドとアクチビンとの間の複合体形成は、様々な技法によって
検出されてもよい。例えば、複合体の形成の調節は、例えば、放射標識された(例えば、
32P、35S、14Cまたは3H)、蛍光標識された(例えば、FITC)、または酵
素標識されたActRIIAポリペプチドもしくはアクチビンなどの検出可能に標識され
たタンパク質を用いて、免疫アッセイによって、またはクロマトグラフィーによる検出に
よって定量化することができる。
【0153】
ある特定の実施形態では、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の
相互作用の程度の直接的または間接的のいずれかでの測定における蛍光偏光アッセイ及び
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイの使用が本明細書で企図される。さらに、
光導波路(PCT公開第WO96/26432号及び米国特許第5,677,196号)
、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、及び表面力センサーに基づくもの
などの他の検出モードは、本明細書に記載の多くの実施形態と適合性がある。
【0154】
さらに、「ツーハイブリッドアッセイ」としても知られる相互作用トラップアッセイは
、ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を攪乱するか、ま
たは増強する薬剤を特定するために使用することができる。例えば、米国特許第5,28
3,317号、ZERVOS et al.(1993) Cell 72:223-2
32、Madura et al.(1993) J Biol Chem 268:1
2046-12054、Bartel et al.(1993) Biotechni
ques 14:920-924、及びIwabuchi et al.(1993)
Oncogene 8:1693-1696)を参照されたい。具体的な実施形態では、
ActRIIAポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を解離する化合物(
例えば、小分子またはペプチド)を特定するための逆ツーハイブリッドシステムの使用が
本明細書で企図される。例えば、Vidal and Legrain,(1999)N
ucleic Acids Res 27:919-29、Vidal and Leg
rain,(1999)Trends Biotechnol 17:374-81、及
び米国特許第5,525,490号、同第5,955,280号、ならびに同第5,96
5,368号を参照されたい。
【0155】
ある特定の実施形態では、対象の化合物は、ActRIIAもしくはアクチビンポリペ
プチドと相互作用するためのそれらの能力によって特定される。化合物とActRIIA
もしくはアクチビンポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合性または非共有結合性で
あってもよい。例えば、このような相互作用は、光架橋、放射標識リガンド結合、及び親
和性クロマトグラフィーを含む、インビトロ生化学的方法を使用してタンパク質レベルで
特定することができる(Jakoby W B et al.,1974,Method
s in Enzymology 46:1)。ある特定の場合には、化合物は、アクチ
ビンもしくはActRIIAポリペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイな
どのメカニズムベースのアッセイでスクリーニングされてもよい。これは、固相または流
体相結合事象を含み得る。あるいは、アクチビンもしくはActRIIAポリペプチドを
コードする遺伝子は、レポーター系(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、
または緑色蛍光タンパク質)で細胞中にトランスフェクトされ、好ましくはハイスループ
ットスクリーニングによりライブラリに対して、またはライブラリ個々のメンバーでスク
リーニングされ得る。例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイなどの他の
メカニズムベースの結合アッセイが使用されてもよい。結合アッセイは、ウェル、ビーズ
またはチップに固定された標的、または固定化抗体によって捕捉されるか、もしくはキャ
ピラリー電気泳動によって分離された標的で実施することができる。結合化合物は、通常
、比色法または蛍光法または表面プラズモン共鳴を使用して検出され得る。
【実施例0156】
6.実施例
6.1 実施例1:赤血球輸血依存性の有無による骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び
貧血を有する対象におけるルスパテルセプトの有効性及び安全性を評価するための第2相
、多施設、非盲検試験
この実施例は、赤血球輸血依存性の有無による骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症及び貧血
を有する対象におけるルスパテルセプト、ActRIIBシグナル伝達阻害薬を評価する
ための第2相、多施設、非盲検試験に関するものである。本試験は、スクリーニング期間
、治療期間(第1相、169日目の疾患応答評価及び延長相からなる)、続いて治療後追
跡調査期間に分割される。この第2相試験の目的は、無効な赤血球形成を修正し、それに
より貧血、すなわち、ほぼすべてのMPN関連MF患者で発症する病態(ここでは疲労が
症状である)を軽減させることによる、ルスパテルセプトによる有効性シグナルが、貧血
であり、RBC輸血依存性であり得るか、またはそうではないMPN関連MFを有する患
者においてあるかどうかを評価することである。
【0157】
対象は、彼らの適格基準に基づいて、以下のコホート(同時に登録される)のうちの1
つの割り当てられる:(I)コホート1:現在RBC輸血を受けていない、貧血のみを有
する最高で20人の対象を含む(これらの対象は、本実施例全体を通して「貧血のみ」と
称され、サイクル1、1日目(C1D1)の日時の直前まで0RBC単位/84日を受容
したと定義される)、(II)コホート2:RBC輸血依存性である最高で20人の対象
を含む(これらの対象は、本実施例全体を通して「RBC輸血依存性」と称され、C1D
1の日時の直前までの少なくとも84日間に、2~4 RBC単位/28日の平均RBC
輸血頻度を受けたと定義された)、(III)コホート3A:コホート1(貧血のみ)の
適格基準を満たすが、登録日時の直前少なくとも112日間、ルキソリチニブの安定用量
を受けていた≧10人の対象を含み(コホート3は、合計で30人の対象を含む)、及び
(IV)コホート3B:コホート2(RBC輸血依存性)の適格基準を満たすが、登録日
時の直前少なくとも112日間、ルキソリチニブの安定用量を受けていた≧10人の対象
を含む(コホート3は、合計で30人の対象を含む)。全体として、本試験は、世界中で
およそ70人の対象が登録するであろう。
【0158】
6.1.1 主要評価項目
以下は、第2相試験についての主要評価項目である:(i)貧血応答(それがヘモグロ
ビン(Hgb)の増加に関連するときの)(RBC輸血なしの任意の連続した84日の期
間にわたって、ベースラインからの≧1.5g/dLのヘモグロビンの増加を達成するコ
ホート1及び3Aの対象の比率であり;測定の時間枠は、およそ最長で168日である)
、(ii)貧血応答(それが赤血球(RBC)輸血依存性の増加に関連するときの)(任
意の連続した84日の期間にわたって、RBC輸血フリーになるコホート2及び3Bの対
象の比率であり;測定の時間枠は、およそ最長で168日である)、(iii)貧血応答
までの時間(コホートのそれぞれにおける初回ルスパテルセプトの投与から貧血応答の最
初の発症までの時間であり;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(iv)貧血
応答の持続時間(コホートのそれぞれにおける貧血応答の最長持続時間であり;測定の時
間枠は、およそ最長で2年である)、(v)RBC輸血の頻度(4週当たりの対象ごとの
輸血されたRBC単位の平均数であり;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(
vi)RBC輸血依存性の頻度(任意の連続した84日の期間にわたってベースラインか
ら≧50%の対象の輸血負荷を低減させるRBC輸血依存性対象の比率であり;測定の時
間枠は、およそ最長で2年である)、(vii)改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(
MPN-SAF)により記録され評価されたとき、貧血を有する骨髄増殖性腫瘍関連骨髄
線維症の患者の間で共通の症状である疲労症状の≧50%の軽減を達成する対象の比率(
Emanual et al.,“Myeloproliferative Neopl
asm(MPN)Symptom Assessment Form Total Sy
mptom Score:Prospective International As
sessment of an Abbreviated Symptom Burde
n Scoring System Among Patients With MPN
s,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012)を参
照されたい;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(viii)総症状スコア(
TSS)の≧50%を達成する対象の比率。改訂骨髄増殖性腫瘍症状評価フォーム(MP
N-SAF)により記録され評価されたとき、骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連骨髄線維症
関連症状(疲労、寝汗、かゆみ、腹部不快感、左側肋骨下の痛み、早期満腹、及び骨痛)
(Emanual et al.,“Myeloproliferative Neop
lasm (MPN) Symptom Assessment Form Total
Symptom Score:Prospective International
Assessment of an Abbreviated Symptom Bu
rden Scoring System Among Patients With
MPNs,”J.Clin.Oncol.30(33):4098-4103(2012
)を参照されたい)、(ix)健康関連生活の質(HRQoL):試験にわたるHRQo
Lアンケートドメインの平均変化の測定値が、ベースラインスコアと比較される(測定の
時間枠は、およそ最長で2年である)、(x)EQ-5D-5Lアンケート(EuroQ
ol,Rotterdam,The Netherlands):試験にわたるEQ-5
D-5Lアンケートドメインスコアにおける尺度平均変化が、ベースラインスコアと比較
される(測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(xi)有害事象(AE)(種類
、頻度、及び重症度を含むものが評価される;測定の時間枠は、およそ最長で2年である
)、(xii)抗薬物抗体(ADA)(抗薬物抗体の頻度及び有効性、安全性または薬物
動態に及ぼす効果;測定の時間枠は、およそ最長で2年である)、(xiii)薬物動態
(薬物濃度曲線下面積(AUC)及びCmax;測定の時間枠は、およそ最長で2年であ
る)、及び(xiv)がん療法-貧血の機能的評価(FACT-An):試験にわたるF
ACT-Anアンケートドメインスコアの平均変化の測定値が、ベースラインスコアと比
較される(測定の時間枠は、およそ最長で2年である)。
【0159】
6.1.2 選択基準
対象は、本試験で登録されるために、本セクションの基準を満たさねばならず(登録日
時は、対象が自動応答技術[IRT]においてコホートに割り当てられる日時として定義
される)、そのルスパテルセプトの初回投与を受ける。
【0160】
対象は、同意説明文書(ICF)に署名した時点で≧18歳でなければならない。
【0161】
対象は、ローカル病理報告で確認されるとき、MPN関連骨髄線維症(PMF、PV後
MF、及び/またはET後MF)を有する。
【0162】
対象は以下のように定義される貧血を有する:(I)コホート1及び3A:(a)対象
は、C1D1の日時までの直前84日の期間中に、投与日を含む別々の≧3日に記録され
た≦9.5g/dLの≧3のHgbレベルを有し;ヘモグロビン測定値が登録される間の
間隔が≧42日の対象はいないこと、及び(b)C1D1の日時までの直前の84日の期
間内にいかなるRBC輸血もないこと;ならびに(II)コホート2及び3B;(a)対
象がC1D1の日時までの直前少なくとも84日にわたって2~4RBC単位/28日の
平均RBC輸血頻度を有し、≧1RBC輸血なしの>42日の間隔がないこと、(b)対
象がルスパテルセプトの投与前にC1D1に<13g/dLのHgb値を有さねばならな
いこと;(c)適格性の判定において、≦9.5g/dLのHgbが採点された場合にだ
けRBC輸血が供与されること、及び(d)出血、感染、または化学療法誘発貧血のため
に供与されたRBC輸血は、適格性の判定において採点されないこと。
【0163】
対象は、≦2の米国東部腫瘍学共同研究グループ(ECOG)パフォーマンススコアを
有する。例えば、ECOGパフォーマンススコアに関しては、その全体が参照により本明
細書に組み込まれる、Oken et al.(1982). “Toxicity a
nd response criteria of the Eastern Coop
erative Oncology Group”.Am.J.Clin.Oncol.
5(6):649-55を参照されたい。ECOGパフォーマンススコア0を有する対象
は、無症候性(すなわち、完全に活動的であり、すべての疾患前活動を制限なく行うこと
ができる)である。ECOGパフォーマンススコア1を有する対象は、症候性ではあるが
、完全に歩行可能である(すなわち、肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、
軽作業や座っての作業は行うことができる(例えば、軽い家事、事務作業)。ECOGパ
フォーマンススコア2を有する対象は、症候性であり、日中は<50%はベッドで過ごす
(すなわち、歩行可能で、自分の身の回りのことは全て可能だが、作業はできない;起床
時間の50%超はベッドで過ごす)。ECOGパフォーマンススコア3を有する対象は、
症候性であり、>50%をベッドで過ごすが、寝たきりではない(すなわち、限られた自
分の身の回りのことしかできず、起床時間の50%以上をベッドまたは椅子で過ごす)。
ECOGパフォーマンススコア4を有する対象は、寝たきりである(すなわち、全く動け
ない;自分の身の回りのことは全くできない;完全にベッドか椅子で過ごす)。ECOG
パフォーマンススコア5を有する対象は、死亡している。
【0164】
対象は、C1D1の日時から6ヶ月間は、造血細胞移植を受けないと予想される。
【0165】
本試験に関して、妊娠可能な女性(FCBP)は、(1)ある時点で初潮を向かえた女
性、及び(2)少なくとも連続した24ヶ月間に子宮摘出術または両側療法を受けていな
い(妊娠の可能性を排除しない)女性(すなわち、連続した24ヶ月前の任意の時点で生
理があった女性)として定義される。本試験に参加するFCBPは、(a)試験療法を開
始する前に治験担当医よって確認された妊娠検査が2回とも陰性でなければならず、試験
過程及び試験処置終了時で妊娠検査を受けることを了承しなければならず、これは、対象
が異性との接触を確実に自制するとしても適用されること、及び(b)試験療法中(投与
中断を含める)、治験薬を開始する前28日間、及び試験療法の中断後、12週間(複数
回投与の薬物動態[PK]データに基づく、ルスパテルセプトの平均終了半減期のおよそ
5倍)異性との接触を確実に自制することを約束する(これは、毎月再調査するか、また
は文書確認をせねばならない)か、または中断することなく有効な避妊具を使用すること
に同意し、かつそれを遵守するかのいずれかでなければならない。
【0166】
男性対象は、(a)彼が精管切除に成功していたとしても、投与中断中、及び治験薬中
断後の少なくとも12週間(複数回投与のPKデータに基づく、ルスパテルセプトの平均
終了半減期のおよそ5倍)、確実な禁欲を実行せねばならない(毎月再調査されねばなら
ない)か、または、試験に参加している間の妊婦または妊娠の可能性のある女性との性的
接触中のコンドームの使用を了承せねばならない。
【0167】
対象は、どのような試験関連評価/手技も行われる前に、同意説明文書を理解して自主
的に署名しなければならない。
【0168】
対象は、試験の来訪スケジュール及び他のプロトコル要件を着実に実行することに同意
しており、実行可能である。
【0169】
6.1.3 治療方法
ルスパテルセプトの用量は1.75mg/kgである。
【0170】
ルスパテルセプトは、21日毎に1回、最長で2年、対象に皮下投与される。
【0171】
6.2 実施例2.
6.2.1 背景
骨髄増殖性腫瘍(MPN)関連骨髄線維症(MF)は、骨髄の線維症、骨髄機能の欠陥
、髄外造血、急性転化期へ移行の可能性、及び炎症で特徴付けられるクローン性骨髄系腫
瘍である(Mesa RA,et al.Leuk Res.2011;35(1):1
2-13)。貧血及び赤血球(RBC)輸血依存性(TD)は、これらの患者間の生存に
ついての独立した予後不良及び予測変数である(Passamonti F, et a
l.Blood. 2010;115(9):1703-1708;Elena C,
et al.Haematologica. 2011;96(1):167-170)
。
【0172】
ルスパテルセプトは、ヒト免疫グロブリンG1(IgG1)のFcドメインに連結した
修飾アクチビン受容体IIB型からなる組換え融合タンパク質である(
図1)(Atti
e KM, et al.Am J Hematol.2014;89(7):766-
770、;Suragani RN, et al.Nat Med.2014;20(
4):408-414)。ルスパテルセプトは、増殖分化因子ー11(GDF11)など
の特定の形質転換増殖因子-β(TGF-β)スーパーファミリーリガンドに結合し、R
BC生成の増加をもたらすことによって、赤血球成熟剤として作用する(Suragan
i RN, et al.Nat Med.2014;20(4):408-414)。
最近の第2相試験では、ルスパテルセプトは、リスクの低い骨髄異形成症候群を有する患
者の貧血の治療に有効であり、かつ良好な耐容性であることを示した(Platzbec
ker U, et al.Lancet Oncol. 2017;18(10):1
338-1347)。
【0173】
この臨床試験の目的は、RBC-TDの有無による、MPN関連MFの患者の貧血を治
療するためのルスパテルセプトの有効性及び安全性を評価することである。
【0174】
6.2.2 試験の詳細
この実施例は、進行中の多施設、非盲検、第2相試験に関するものである。
【0175】
6.2.3 試験集団
この試験に関する選択基準は、以下の通りである:(i)年齢≧18歳であること、(
ii)MPN関連MF(原発性MF、真性多血症後MF、または本態性血小板血症後MF
)であること、(iii)(a)コホート1及び3a:サイクル1の1日目(C1D1)
前の84日間にRBC輸血がなく、≧3日目(投与日を含む)に≦9.5g/dLの≧3
のヘモグロビン(Hb)レベル;測定の間の≧42日が除外されること、(b)コホート
2及び3b;≧1回のRBC輸血がなく、>42日の間隔がなく、C1D1前の≧84日
間にわたって2~4のRBC単位/28日の平均RBC輸血頻度;ルスパテルセプトの投
与前C1D1に<13g/dLのHbであること、及び(iv)≦2の米国東部腫瘍学共
同研究グループパフォーマンスの状態であること。
【0176】
6.2.4 試験設計及び治療
試験は、3つの期間を含む(
図2):(i)スクリーニング期間、(ii)治療期間(
第1相、169日目の疾患応答評価、及び延長相)、及び(iii)治療後追跡調査期間
。
【0177】
(a) スクリーニング期間
すべてのスクリーニング手順は、登録前、≦28日に行う。
【0178】
(b) 治療期間
すべての患者は、ルスパテルセプト1mg/kgを、各21日サイクルの1日目に皮下
投与される。患者は、RBC輸血の必要性に従ってコホートに登録される:(i)コホー
ト1及び3a(貧血のみ)及び(ii)コホート2及び3b(RBC-TD)。ベストサ
ポーティブケアを、治験薬と組み合わせて用いてことができる。疾患応答評価は、治験薬
の初回投与後169日目に完了せねばならない。応答者は、さらに1.5年まで治療を継
続することができる。非応答者は、治療を中断する。
【0179】
(c) 治療後追跡調査期
治療の中断後に、追跡安全性データを、治験薬の最後の投与後、最長で42日まで収集
する。次いで、安全性データを、治験薬の最後の投与後、3ヶ月毎に最長で3年まで、ま
たは死亡まで、同意が撤回されるまで、もしくは追跡不能になるまで収集する。
【0180】
6.2.5 評価項目
主要評価項目及び副次的評価項目は、表1(下記)に列挙されている。探索的評価項目
は、治療曝露応答、バイオマーカー、及び変異解析を含む。すべての有効性解析は、主と
して、登録されたすべての患者として定義された、治験意図による集団で実施される。確
認的有効性解析は、(i)治験薬の≧3サイクルを受容し、3回目の治験薬投与後≧21
日間、試験に留まったすべての患者、または(ii)<3サイクルでHb>13g/dL
を達成した全ての患者として定義された有効性評価可能な集団で実施する。安全性解析は
、≧1回の治験薬を受容するすべての患者で実施する。有害事象及び検査所見の異常は、
NCI-CTCAEバージョン4.03に従って分類される。薬物動態解析は、薬物動態
パラメータを決定するための評価可能な濃度データを有するすべての患者に基づく。
【0181】
6.2.6 統計解析
記述統計解析を主として使用する。カプラン・マイヤー法を、貧血応答の持続時間の推
測に使用することができる。コホート間の推測比較は実施しない。
【0182】
6.2.7 試験状況
登録は、2017年11月に開始した。目標の登録者は、RBC-TDの有無による、
MPN関連MF及び貧血を有する70人の患者である。2018年4月9日の時点で、2
4の臨床現場において、12人の患者がこの試験に登録している。
【0183】
【0184】
骨髄増殖性腫瘍関連骨髄線維症の治療を必要とする対象においてそれを治療するための方法であって、薬学的有効量のActRIIBシグナル伝達阻害薬を前記対象に投与することを含む、前記方法。