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特開2024-75587O-アセチル化GD2ガングリオシド(OAcGD2)に対するヒト化抗体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075587
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】O-アセチル化GD2ガングリオシド(OAcGD2)に対するヒト化抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/44 20060101AFI20240528BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20240528BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240528BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240528BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240528BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240528BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20240528BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
C07K16/44 ZNA
C07K14/725
C07K19/00
C12Q1/02
A61P35/00
A61K39/395 N
A61K39/395 T
G01N33/574 B
G01N33/531 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024029994
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2022063446の分割
【原出願日】2017-07-17
(31)【優先権主張番号】16001564.0
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515298475
【氏名又は名称】オージーディー2 ファーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】テルメ ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ル ドウッサル ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ドルヴィリウス ミレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アソウリーヌ ブリジット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、抗体、その機能的断片、および誘導体を提供する。
【解決手段】OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する抗体は、i)特定のアミノ酸配列を有するヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチド、および、ii)特定のアミノ酸配列を有するヒト化重鎖可変領域(VH)を含み、さらに、診断及び療法におけるその使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
O-アセチル化GD2(OAcGD2)ガングリオシドに特異的に結合する、抗体、その機能的断片、および誘導体であって、
a)アミノ酸配列の配列番号112を有するヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチド、および
b)アミノ酸配列の配列番号76を有するヒト化重鎖可変領域(VH)
を含む前記抗体。
【請求項2】
前記抗体、その機能的断片または誘導体が、
- VL30BH(配列番号134)およびVL28Bs01/A2(配列番号135)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)、ならびに/または
- VH72Bmax(配列番号131)、VH49B(配列番号132)、およびVH49Bmax(配列番号133)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体、その機能的断片または誘導体が、
- VL1(配列番号8)、VL2(配列番号9)、VL3(配列番号10)、VL4(配列番号11)、VL28BH(配列番号140)、VL30BH(配列番号134)およびVL28Bs01/A2(配列番号135)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)、ならびに/または
- VH1(配列番号3)、VH2(配列番号4)、およびVH3(配列番号5)、VH72BCDR(配列番号136)、VH72BH(配列番号137)、VH49BCDR(配列番号138)、VH49BH(配列番号139)、VH72Bmax(配列番号131)、VH49B(配列番号132)、およびVH49Bmax(配列番号133)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、前記抗体、その機能的断片または誘導体が、25℃において前記ガングリオシドについて5×10-6M未満のK、好ましくは5×10-7M以下のK、最も好ましくは1×10-7M以下のK、およびさらにより好ましくは5×10-8M以下のKを示す、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、前記抗体、その機能的断片または誘導体が、GD2ガングリオシドについて25℃において5×10-5Mより大きい結合親和性(K)、好ましくはGD2ガングリオシドについて10-5Mより大きいKを示す、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体、その機能的断片または誘導体が、少なくとも前記重鎖および軽鎖可変領域の両方を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体、その機能的断片または誘導体が、キメラ抗原受容体(CAR)の膜アンカー単鎖可変部である、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
前記CARが、エクトドメイン、膜貫通ドメインおよびエンドドメインを含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、免疫複合体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
前記機能的断片が、ScFv断片、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Facb断片、FおよびF断片を含む群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
少なくとも一種の請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、その機能的断片または誘導体、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを予防および/または治療する方法において使用するための請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記対象が、哺乳動物、好ましくはヒトである、請求項11または12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
OAcGD2ガングリオシドを発現している前記がんが、神経芽細胞腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、肉腫、小細胞肺がん、乳がん、黒色腫、転移性腎癌腫、頭頸部がんおよび血液がんを含む群から選択される、請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するための方法であって、生体試料における前記OAcGD2ガングリオシド発現レベルを決定するために、前記対象の生体試料を、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一種の抗体、その機能的断片または誘導体と接触させるステップであって、検出可能なOAcGD2ガングリオシド発現レベルが前記がんを示す、ステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一種の抗体、その機能的断片または誘導体と、最終的に対象への前記抗体、その機能的断片または誘導体の投与に有用である手段とを含む、前記対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2016年7月15日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願EP16001564.0の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、新規抗体ならびにがん療法および診断におけるそれらの使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
GD2、ジシアロガングリオシドは、神経幹細胞、および間葉系幹細胞においても見られる、胎児において発現される腫瘍胎児抗原である。
【0004】
ガングリオシドGD2は、神経芽細胞腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、小細胞肺がんおよび黒色腫を含めた広範囲のヒトがんおよび幹細胞において見られる腫瘍関連表面抗原でもある。それにもかかわらず、ガングリオシドGD2は、幹細胞、神経細胞、一部の神経線維および皮膚の基底層でも見られる。
【0005】
これを踏まえ、GD2に対する抗体ジヌツキシマブ(UNITED THERAPEUTICS)がFDAおよびEMAによって認可され、最近抗体ジヌツキシマブベータ(APEIRON)がEMAによって先ごろ認可され、これらはどちらも神経芽細胞腫の治療用である。しかしながら、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン2(IL-2)およびイソトレチノイン(RA)を併用して与えられたジヌツキシマブは、(モルヒネ硫酸塩注入を含めた鎮痛剤での前治療にもかかわらず)85%の患者における重度の副作用特に強度の神経因性疼痛、神経および脳細胞上のGD2の発現に関連した重篤な感覚および運動ニューロパチーを誘発する。イソトレチノインでの標準治療と比較した場合の患者の5%に対して52%において激しい痛み(グレード3)が発生した。中枢神経系に対する毒性も報告されており臨床医にとって悩みの種となっている。現在、その神経毒性のために、その使用は小児患者における危険性が高い神経芽細胞腫に制限されている。
【0006】
この標的毒性は、患者の生活の質に高度に悪影響をもたらし、抗GD2療法の有効性を限定し、GD2陽性がんを標的とする次世代免疫療法の開発に支障を生じさせる。神経芽細胞腫治療における著しい進歩にもかかわらず、危険性が高いNBは、予後不良と関連しており、NBおよび他のがんを治療するためのより有効かつ低毒性の薬物および戦略の強い要望がある。
【0007】
GD2の変性形態-すなわちO-アセチル化GD2ガングリオシド(OAcGD2)-は、GD2と対照的に、末梢神経、脳下垂体またはヒト脳細胞における発現が無い、より安全な発現パターンを有するが、GD2と同様に、腫瘍においてOAcGD2が発現されることがこれまでに実証されている。結果として、このOAcGD2を標的とするマウス治療抗体(8B6)の投与は、特に健康な細胞、とりわけ末梢神経でのこのがん抗原の発現の欠如が原因で、いかなる神経毒性とも関連しないことが特許文献1において示されている。c8B6という名の、ヒト-マウスキメラ抗体が最初に生成された。この特異抗体は、GD2とも、他のガングリオシドとも交差反応を示さず、正常な脳組織においてOAcGD2抗原発現がないことを示す。動物モデルにおいて、抗OAcGD2キメラ抗体は、それらの毒性を回避しながら、抗GD2モノクローナル抗体(mAb)と類似した抗腫瘍活性を示し、OAcGD2がGD2よりも優れた腫瘍関連抗原であることおよび抗OAcGD2 mAbは一般に抗GD2 mAb療法に関連した不快な副作用を軽減し、患者の生活の質を改善する能力がある最高クラスの抗体であることを示している。しかしながら、キメラ抗体は、免疫原性を生じ、抗OAcGD2有効性を低減し得る。この問題は、「ヒト」、「ヒト化」、または「ヒューマニア化」抗体を生成することによって克服され得る。そこで、ヒト化抗OAcGD2抗体が必要とされる。
【0008】
ヒト化抗体は一般に、ヒト療法における使用のためのマウスまたは場合によってはキメラ抗体に勝る少なくとも3つの潜在的利点を有する:
(1)エフェクター部分がヒトであるため、ヒト化抗体は、ヒト免疫システムの他の部分とより良好に相互作用し得る(例えば、補体依存性細胞障害(CDC)または抗体依存性細胞傷害(ADCC))によってより効果的に標的細胞を破壊する)、
(2)ヒト免疫システムは、ヒト化抗体のフレームワーク領域または定常領域を異質として認識すべきでなく、したがってこうした注入された抗体に対する抗体反応は、完全に異質のマウス抗体または部分的に異質のキメラ抗体に対するよりも少なくなければならない、および
(3)注入されたマウス抗体は、ヒト抗体の半減期よりもずっと短いヒト循環における半減期を有することが報告されている。注入されたヒト化抗体は、恐らく自然に発生するヒト抗体により類似した半減期を有し、与えられる投薬量をより少量かつ低頻度にすることが可能であろう。
【0009】
それでも、ヒト化処理は大抵の場合抗原結合親和性の損失および/または特異性の損失をもたらすのでヒト化抗体の獲得はそれほど簡単ではない。CDR領域は抗原に対する親和性および特異性の両方を与えるので、潜在的免疫原性を減少するためのこれらの領域の修飾は、問題となり得る。
【0010】
したがって、抗体ヒト化は、ヒトにおける最小の免疫原性を有する分子を生成しながら、抗原に対する抗体の特異性および親和性を維持するように設計されなければならない。
【0011】
現在、この処理は、こうしたヒト化抗体の獲得が一度も明白になっていないほど非常に複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2008/043777号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
現在、本発明者らは、意外にも抗体の免疫原性が改善されるかまたは潜在的に改善されるかにかかわらず、特異的置換のみが結合親和性を維持することを示した。したがって、本発明者らは、こうした置換を有する新規のヒト化抗OAcGD2抗体(OGD201)を提供する。
【0014】
その結果として、本発明は、OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、抗体、その機能的断片、および誘導体であって、
a)アミノ酸配列の配列番号112を有するヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチド、および
b)アミノ酸配列の配列番号76を有するヒト化重鎖可変領域(VH)
を含む前記抗体に関する。
【0015】
本発明は、こうした抗体、および薬学的に許容可能な担体の少なくとも一種を含む医薬組成物にも関する。
【0016】
さらに、本発明は、少なくとも一種の前記抗体、または少なくとも一種のその機能的断片もしくは誘導体を含むこうした医薬組成物を、それを必要とする患者に提供することを含むOAcGD2を発現しているがんを治療するおよび/または予防するための方法に関する。
【0017】
本発明は、OAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを治療および/または予防するための方法において使用するためのこうした抗体の少なくとも一種、または少なくとも一種のそのこうした機能的断片もしくは誘導体を含む医薬組成物に関する。
【0018】
本発明は、対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するための方法であって、生体試料におけるOAcGD2ガングリオシド発現レベルを決定するために、前記対象の生体試料を、本明細書に記載される少なくとも一種の抗体、その機能的断片または誘導体と接触させるステップであって、検出可能なOAcGD2ガングリオシド発現レベルがこのようながんを示す、ステップを含む、方法に関する。
【0019】
最後に、本発明は、こうした抗体の少なくとも一種、または少なくとも一種のその機能的断片もしくは誘導体を含む、対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するためのキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】マウス抗体と比較したVHヒト化抗OAcGD2(8B6 VL)mAbのIMR5細胞での結合滴定アッセイを示す。
図2】マウス抗体と比較したVLヒト化抗OAcGD2(8B6 VH)mAbのIMR5細胞での結合滴定アッセイを示す。
図3】マウス抗体と比較したVH-VLヒト化抗OAcGD2 mAbのIMR5細胞での結合滴定アッセイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の態様において、本発明は、OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、抗体、その機能的断片、および誘導体であって、
a)アミノ酸配列の配列番号112を有するヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチド、および
b)アミノ酸配列の配列番号76を有するヒト化重鎖可変領域(VH)
を含む前記抗体に関する。
【0022】
第1の好ましい実施形態において、ヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチドは、VL30BH(配列番号134)およびVL28Bs01/A2(配列番号135)を含む群から選択される。
【0023】
好ましくは、ヒト化重鎖可変領域(VH)ポリペプチドは、VH72Bmax(配列番号131)、VH49B(配列番号132)、およびVH49Bmax(配列番号133)を含む群から選択される。
【0024】
実際には、本発明者らは、意外にもVH72Bmax、VH49B、VH49Bmax、VL30BH、およびVL28Bs01/A2がそれらのマウス対照物と同等な結合親和性、および弱くなった免疫原性の両方を有することを立証した。
【0025】
第2の好ましい実施形態において、ヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチドは、VL1(配列番号8)、VL2(配列番号9)、VL3(配列番号10)、VL4(配列番号11)、VL28BH(配列番号140)、VL30BH(配列番号134)およびVL28Bs01/A2(配列番号135)を含む群から選択される。
【0026】
好ましくは、ヒト化重鎖可変領域(VH)ポリペプチドは、VH1(配列番号3)、VH2(配列番号4)、およびVH3(配列番号5)、VH72BCDR(配列番号136)、VH72BH(配列番号137)、VH49BCDR(配列番号138)、VH49BH(配列番号139)、VH72Bmax(配列番号131)、VH49B(配列番号132)、およびVH49Bmax(配列番号133)を含む群から選択される。
【0027】
実際には、本発明者らは、意外にもこれら全ての配列が、それらのマウス対照物と同等な結合親和性、および弱くなった免疫原性の両方を示すことを立証した。
【0028】
抗体は、ジスルフィド結合によって相互に接続された4つのポリペプチド鎖である、2つの同一の重(H)鎖(全長の場合約50~70kDa)および2つの同一の軽(L)鎖(全長の場合約25kDa)を含む四量体に相当する免疫グロブリン分子である。軽鎖は、カッパおよびラムダに分類される。
【0029】
「抗体」と言う語は、本明細書で使用する場合、モノクローナル抗体それ自体を指す。
【0030】
それぞれの重鎖は、N末端重鎖可変領域(本明細書においてVHと略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、CH1ドメインとCH2ドメインとの間にヒンジドメインを有する、IgGの3個のドメイン(CH1、CH2、およびCH3)からなる。
【0031】
それぞれの軽鎖は、N末端軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1個のドメイン、CLからなる。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された散在した領域にさらに細分され得る。それぞれのVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配列された、3個のCDRおよび4個のFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。それぞれのドメインへのアミノ酸の割り当ては、IMGT、KabatおよびChothiaシステム(IMGT、The International Immunogenetics Information System(登録商標)、LEFRANCら、Nucleic Acids Research、第27巻、209~212頁、1999年、KABAT、sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S Department of Health and Human Services、Public Health Service、National Institutes of Health、NIH publication、No91-3242、991、CLOTHIA&LESK、J Mol Biol、196(4)巻、901~917頁、1987年)を含めたよく知られている番号体系に従う。特定の抗原に結合する抗体の機能的能力は、それぞれの軽鎖/重鎖対の可変領域に依存し、CDRによって大部分決定される。
【0032】
別の好ましい実施形態によれば、ヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチドは、アミノ酸配列の配列番号29である。
【0033】
別の好ましい実施形態によれば、ヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチドは、アミノ酸配列の配列番号7である。
【0034】
別の好ましい実施形態によれば、ヒト化重鎖可変領域(VH)ポリペプチドは、アミノ酸配列の配列番号12である。
【0035】
さらに別の好ましい実施形態によれば、ヒト化重鎖可変領域(VH)ポリペプチドは、アミノ酸配列の配列番号2である。
【0036】
「機能的断片」と言う語は、本明細書で使用する場合、OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、抗体断片を指す。こうした断片は、当業者によって簡単に特定されてよく、例として、ScFv断片、Fab断片(例えば、パパイン消化による)、Fab’断片(例えば、ペプシン消化および部分還元による)、F(ab’)2断片(例えば、ペプシン消化による)、Facb(例えば、プラスミン消化による)を含んでいてよく、FおよびF(例えば、ペプシン消化、部分還元および再凝集による)断片も本発明に含まれる。
【0037】
こうした断片は、STANWORTHら(Handbook of Experimental Immunology、1巻、8章、Blackwell Scientific Publications、1978年)に記載されているような、当技術分野において良く知られている方法を用いて酵素的開裂、合成または組換え体技術によって産生され得る。抗体は、1つまたは複数の終止コドンが自然終結部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて種々の欠失型においても産生され得る。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子は、重鎖のCHドメインおよび/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含めるように設計され得る。抗体の種々の部分は、従来の技術によって化学的に結合されてよく、または遺伝子工学技術を用いて隣接したタンパク質として調製されてよい。
【0038】
「O-アセチル化GD2ガングリオシドに特異的に結合する」という表現は、O-アセチル化GD2ガングリオシドについて25℃において5×10-6M未満の結合親和性(K)、好ましくは5×10-7M以下のK、より好ましくは1×10-7Mまたはさらに5×10-8M以下のKを指す。こうした親和性は、当技術分野において利用可能な技術、例えばスキャッチャードアッセイ、競合ELISA、BIACOREアッセイまたはKINEXAアッセイによって容易に測定され得る。
【0039】
「O-アセチル化GD2ガングリオシドに特異的に結合する」という表現は、GD2ガングリオシドについて25℃において5×10-5Mより大きい結合親和性(K)、好ましくはGD2ガングリオシドについて10-5Mより大きいKを指す。
【0040】
ここで、これらの断片は、少なくとも前述の重鎖および軽鎖の可変領域を含む。
【0041】
これらの断片は、可溶性であってよいが、キメラ抗原受容体(CAR)の単鎖可変部として、細胞膜内に繋ぎとめられていてもよい。
【0042】
「キメラ抗原受容体(CAR)」という語は、本明細書で使用する場合、少なくとも一種の抗体の抗原結合ドメインおよび少なくとも一種のエフェクター細胞シグナル伝達ドメインを含む人工のハイブリッドポリペプチドを指す。こうしたCARは、特定の免疫エフェクター細胞(例えばT細胞、NK細胞およびNKT細胞)上へ人工の特異性をグラフトする改変された受容体を包含する。CARは、MHC非拘束性手法においてT細胞へモノクローナル抗体の特異性を与えるために採用されてよく、したがってモノクローナル抗体の抗原結合特性を活用する。T細胞において発現された場合、CARは、生理学的T細胞受容体(TCR)とは異なり、主要組織適合性抗原のそれらの発現とは無関係に未処理の抗原を認識し、したがって腫瘍エスケープの2つの主な機序、HLA発現の下方制御またはプロテアソームの抗原プロセシングを回避する。特異抗原へのCARの結合は、免疫反応を誘発する。
【0043】
特定の態様において、CARは、エクトドメイン、膜貫通ドメインおよびエンドドメインを含む。ここで、配列は、多重結合、例えば二重特異性抗体であってよくまたは多量体(例えば、国際特許出願PCT国際公開第2016/016343号に記載されている多重鎖キメラ抗原受容体)であってもよい。
【0044】
エクトドメインは、抗原結合ドメインおよびスペーサードメイン(ストーク領域)に相当する。抗原結合ドメインは、好ましくは単鎖可変断片(scFv)である。こうしたscFvは通常は、例としてPLUCKTHUN(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、ニューヨーク、269~315頁、1994年)に記載されているように、柔軟なペプチドリンカーによって繋げられた、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖、またはVHおよびVLなどそれらの一部からなる遺伝子操作された抗体断片である。柔軟なペプチドリンカーは、6から40個のアミノ酸残基のペプチドであってよい。アラニンおよびグリシンなどの小さいアミノ酸の使用は、柔軟なリンカーの産生に役立つ。例示的な柔軟なリンカーには、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー例えば(GS)、GSGGS(配列番号113)n、GGGS(配列番号114)nおよびGGGGS(配列番号115)n(式中nは、1以上の整数)、グリシン-アラニンポリマーまたはグリシン-セリンポリマー、あるいは当技術分野において既知の他の柔軟なリンカーが含まれる。有用なポリマーの例として、GGGGSGGGGSGGGGS((G4S)3、配列番号116)、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(CD19リンカー、配列番号117)、GGSSRSSSSGGGGSGGGG(18mer、配列番号118)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS((G4S)4、配列番号119)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号120)、EGKSSGSGSESKST(配列番号121)、GSAGSAAGSGEF(配列番号122)、GGGGGGGG(配列番号123)またはGGGGGG(配列番号124)が挙げられる。最終的に、これらのscFv断片は、GILLILANDら(Tissue Antigens、47巻、1~20頁、1996年)によって述べられているような、当業者に良く知られている方法によって取得され得る。本明細書で使用する場合「スペーサーまたはヒンジドメイン」とも呼ばれる「ストーク領域」と言う語は、膜貫通ドメインをエクトドメインへ連結する機能を果たす任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。具体的には、ストーク領域は、エクトドメインにより高い柔軟性および接近容易性を提供するために使用される。スペーサー要素は、主としてCARにおける構造的役割を果たす。スペーサーは、ターゲティング部分をT細胞膜から物理的に分離する。必要とされる最適距離は、各抗原によって異なる可能性が高い。効率的な標的アクセスを可能にするために、スペーサーは、CARが標的細胞膜の近くに位置するエピトープに結合する場合、または抗原のサイズが複雑であり、グリコシル化状態である場合に必要と思われる。ヒトIgG-誘導スペーサー(ヒンジ-CH2-CH3)は、CAR発現に対するそれらの安定化作用のために一般的に使用されるがスペーサーのFcドメインと骨髄性細胞上のFcガンマ受容体(FcgR)との間の相互作用は、T細胞の活性化誘導細胞死およびin-vivoでの限定的な持続性に繋がり得る。これは、FcgR結合に不可欠である定常重鎖(CH)2ドメインの領域を減少または修正しそれによって前臨床モデルにおけるin-vivoでのCAR T細胞持続性および抗腫瘍活性を改善することによって克服され得る。一般的に使用される他のヒンジドメインには、CD28もしくはCD8由来のものまたはヒトIgG-誘導スペーサーからの他の欠失断片が含まれる。好ましい実施形態において、CARは、エクトドメインと膜貫通ドメインとの間のストーク領域を含む。ストーク領域は、最大300個のアミノ酸、好ましくは10から100個のアミノ酸および最も好ましくは25から50個のアミノ酸を含んでいてよい。このストーク領域は、CD8、CD4またはCD28の細胞外領域の一部などの、天然に存在する分子の全部または一部、あるいは抗体定常領域の全部または一部から誘導されてよい。あるいは、このストーク領域は、合成配列であってよい。
【0045】
膜貫通ドメインは、膜アンカードメインであり、エクトドメインとエンドドメインとの間のリンカーでもある。この膜貫通ドメインは、ヒトIgG4Fcヒンジ領域、Fc領域、CD4膜貫通ドメイン、T細胞受容体膜貫通、またはCD16、TCRゼータ鎖(CD3ζ)、CD28およびCD8ならびにエリスロポエチン受容体、ならびにその突然変異体などの、他のヒト膜貫通シグナル伝達タンパク質からの他の膜貫通ドメインであってよい。好ましくは、この膜貫通ドメインは、T細胞受容体膜貫通ドメインである。好ましくは、T細胞受容体膜貫通ドメインは、抗原のT細胞受容体(TCR)と複合体を形成することができる膜貫通タンパク質由来である。好ましくは、T細胞受容体膜貫通ドメインは、TCRゼータ鎖(CD3ζ)、CD28、OX40/CD134、4-1BB/CD137/TNFRSF9、FcεRIγ、ICOS/CD278、ILRB/CD122、IL-2RG/CD132、CD27、DAP10およびCD40のうちの1種または複数の一部または全部を含む。
【0046】
エンドドメインは、免疫細胞の活性化をもたらすエクトドメインの標的抗原への結合後の細胞内シグナル伝達を担う、細胞内シグナル伝達ドメインである。言い換えれば、細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体が発現される免疫細胞の通常のエフェクター機能のうちの少なくとも一種の活性化を担う。「エフェクター機能」という語は、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であってよい、T細胞の特殊機能を指す。したがって「細胞内シグナル伝達ドメイン」という語は、エフェクター機能シグナルを形質導入し、細胞に特殊機能を実行することを指示するタンパク質の部分を指す。通常は細胞内シグナル伝達ドメイン全体が使用されるであろう一方で、多くの場合細胞内ポリペプチド全体を使用する必要はないであろう。細胞内シグナル伝達ドメインの欠失部分が使用され得る範囲内において、こうした欠失部分は、エフェクター機能シグナルをまだ形質導入する限りは完全な鎖の代わりに用いられ得る。細胞内シグナル伝達ドメインという語は、したがってエフェクター機能シグナルを形質導入するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインのいかなる欠失部分も含まれることが意図される。
【0047】
多重鎖CARにおいて使用するためのシグナル形質導入ドメインの好ましい例は、Fc受容体またはT細胞受容体および連携して作用し抗原受容体関与後にシグナル形質導入を開始する共受容体の細胞質配列、ならびにこれらの配列の任意の誘導体または変異体および同一の機能的能力を有する任意の合成配列であってよい。シグナル形質導入ドメインは、抗原依存性の一次活性化を開始するもの、および抗原非依存性の方法で作用して二次または共刺激シグナルを提供するものの、2つの異なる細胞質シグナル伝達配列のクラスを含む。一次細胞質シグナル伝達配列は、ITAMの免疫受容活性化チロシンモチーフとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。ITAMは、syk/zap70クラスチロシンキナーゼの結合部位としての機能を果たす種々の受容体の細胞質内尾部において見られる明確なシグナル伝達モチーフである。本発明において用いられるITAMの例には、TCRzeta、FcRgamma、FcRbeta、FcRepsilon、CD3gamma、CD3delta、CD3epsilon、CD5、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するものが非限定的な例として含まれ得る。好ましい実施形態において、多重鎖CARのシグナル形質導入ドメインは、CD3zetaシグナル伝達ドメイン、またはFcεRIベータまたはガンマ鎖の細胞質内ドメインを含んでいてよい。
【0048】
特定の実施形態において本発明の多重鎖CARのシグナル形質導入ドメインは、共刺激シグナル分子を含む。共刺激分子は、有効な免疫反応のために必要な抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。
【0049】
「共刺激リガンド」は、T細胞上の同種の共刺激分子に特異的に結合し、それによって、例えば、ペプチドが添加されたMHC分子とのTCR/CD3複合体の結合によって提供される一次シグナルに加えて、これに限らないが、増殖活性化、分化などを含めた、T細胞反応を媒介するシグナルを提供する抗原提示細胞上の分子を指す。共刺激リガンドには、これに限らないがCD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性の共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、M1CB、HVEM、リンフォトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4)、アゴニストまたはTollリガンド受容体に結合する抗体およびB7-H3と特異的に結合するリガンドが含まれ得る。共刺激リガンドは、特に、これに限らないが、CD27、CD28、4-IBB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、DAP-10、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LTGHT、NKG2C、B7-H3、CD8と特異的に結合するリガンドなどの、T細胞上にある共刺激分子と特異的に結合する抗体も包含する。
【0050】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってこれに限らないが増殖などの、細胞による共刺激反応を媒介するT細胞上の同種の結合パートナーを指す。共刺激分子には、これに限定されないがMHCクラスI分子、BTLAおよびTollリガンド受容体が含まれる。共刺激分子の例には、CD27、CD28、CD8、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、DAP-10、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3およびCD83などと特異的に結合するリガンドが含まれる。
【0051】
本明細書で使用する場合、「誘導体」と言う語は、配列番号:2、3、4、5、7、8、9、10、11、12、29、40、41、42、43、44、45、46、76および112からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%(すなわちそれぞれ約10、5および2個のアミノ酸置換に相当)、好ましくは少なくとも99%(すなわち約1個のアミノ酸置換に相当)の同一性の割合を有するアミノ酸配列を指す。こうした誘導体は、その個人的知識および本特許出願の教示の点から見て当業者によって容易に特定され得る。天然アミノ酸は、化学修飾アミノ酸によって置き換えられ得ることも理解されるであろう。典型的には、こうした化学修飾アミノ酸は、ポリペプチド半減期を増加する。
【0052】
本明細書で使用する場合、2個のアミノ酸配列の間の「同一性の割合」は、前記配列の最良の並びで得られる、比較される2個の配列間の、同一のアミノ酸の割合であり、この割合は純粋に統計的であり、これら2個の配列間の相違はアミノ酸配列上に無作為に分散していることを意味する。本明細書で使用する場合、「最良の並び」または「最適の並び」は、決定された同一性の割合(下記参照)が最高である並びを意味する。2個のアミノ酸配列間の配列比較は、通常は最良の並びに従って前もって並べられているこれらの配列を比較することによって実現され、この比較は、類似性の局所的領域を特定および比較するために比較の区域上で実現される。比較を実行するための最良の配列並びは、手動の方法に加え、SmithおよびWatermanによって開発された局地的相同性アルゴリズム(Ad.App.Math.、2巻、482頁、1981年)を用いて、NeddlemanおよびWunschによって開発された全体的相同性アルゴリズム(J.Mol.Biol.、48巻、443頁、1970年)を用いることによって、PearsonおよびLipmolanによって開発された類似性の方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻、2444頁、1988年)を用いることによって、こうしたアルゴリズムを使用するコンピュータソフト(GAP,BESTFIT,BLAST P,BLAST N,FASTA,TFASTA in the Wisconsin Genetics software Package、Genetics Computer Group 575 Science Dr.,Madison、米国ウィスコンシン州)を用いることによって、MUSCLEマルチプルアラインメントアルゴリズム(Edgar,Robert C.、Nucleic Acids Research、32巻、1792頁、2004年)を用いることによって実現され得る。最良の局所的並びを得るために、好ましくはBLASTソフトウェアをBLOSUM 62マトリクスで使用してよい。2個のアミノ酸の配列間の同一性割合は、アミノ酸配列がこれらの2個の配列間の最適の並びを得るために参照配列に関して追加または削除を包含することができる、これらの最適に並べられた2個の配列を比較することによって測定される。同一性の割合は、これらの2個の配列間の同一の位置の数を測定すること、およびこの数を比較した位置の総数で除算すること、および得られる結果に100を乗ずることによってこれらの2個の配列間の同一性の割合を取得して計算される。
【0053】
本発明の抗体は、組換えで産生される。
【0054】
抗体は、グリコシル化されていてもよくされていなくてもよいが、グリコシル化抗体は好ましい。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、低フコースであってよい。
【0055】
本発明の抗体は、免疫複合体を包含する。
【0056】
本明細書で使用する場合、「免疫複合体」という語は、第2の分子に結合した、少なくとも一種の抗体、その機能的断片または誘導体を含む複合体分子、好ましくは免疫調節剤、細胞毒性剤または放射性同位体を指す。こうした免疫複合体は、抗体薬物複合体(ADC)、免疫サイトカイン(ICK)または抗体放射線複合体(Antibody Radio Conjugates)(ARC)であってよい。ここで、この第2の分子は、形成された免疫複合体がBiTE(二重特異性T細胞誘導抗体)のような二重特異性抗体である、別の抗原に対する結合特異性を有する抗体であってよい。前記抗体またはその断片は、前記第2の分子に複合または共有結合している(例えば融合タンパク質)。好ましくは、前記抗体またはその断片は、共有結合によって前記第2の分子に結合している。
【0057】
本発明の第2の態様は、本明細書に述べるような少なくとも一種の抗体、少なくとも一種のその機能的断片、または少なくとも一種の誘導体、および療法において使用するための薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
【0058】
「薬学的に許容可能な」という表現は、生理学的に許容でき、典型的にはヒトに投与された場合に急性胃蠕動、眩暈などの、アレルギー性のまたは類似の望ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。好ましくは、本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な」という表現は、連邦政府または州政府規制の当局により認可可能であることあるいは米国薬局方または動物、およびより詳細にはヒトにおいて使用するために一般に認められている他の薬局方に記載されていることを意味する。
【0059】
「担体」という語は、それと共に化合物が投与される溶媒、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。こうした医薬品担体は、石油、動物、植物または合成由来の物、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含めた、水および油などの無菌液体であってよい。
【0060】
前記組成物は、これに限らないが溶液、懸濁液、凍結乾燥粉末、カプセルおよび錠剤を含めた、患者への投与に適した任意の医薬品形態であってよい。ここで、本発明の組成物の投与経路は、好ましくは非経口であり、本明細書で使用する場合、「非経口」という語には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、直腸、膣、粘膜、髄腔内、頭蓋内、または腫瘍内投与が含まれる。したがって、医薬組成物は、注射されることが意図される製剤のための薬学的に許容可能なビヒクルを含有する。これらは、具体的には等張性、無菌の、食塩水(一ナトリウムまたは二ナトリウムリン酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなどあるいはこうした塩の混合物)、または場合によって、滅菌水もしくは生理食塩水の添加で、注射可能な溶液の構成を可能にする乾燥、特に凍結乾燥組成物であってよい。適した医薬品担体は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0061】
最も好ましくは、組成物は、患者への静脈内投与に適した任意の医薬品の形態である。
【0062】
本発明の抗体、機能的断片または誘導体は、緩衝液または水に可溶化されているかあるいはエマルション、マイクロエマルション、ハイドロゲル(例えばPLGA-PEG-PLGAトリブロックコポリマー系ハイドロゲル)、ミクロスフェア、ナノスフェア、ミクロ粒子、ナノ粒子(例えば乳酸-グリコール酸共重合体ミクロ粒子(例えばポリ乳酸(PLA)、ラクチド-グリコール酸共重合体(poly(lactide-co-glycolic acid))(PLGA)、ポリグルタメートミクロスフェア、ナノスフェア、ミクロ粒子またはナノ粒子)、リポソーム、または他のガレヌス製剤に組み込まれていてよい。全ての場合において、製剤は、無菌でなければならず、許容可能な注射可能性の程度まで流動性でなければならない。製剤は、製造および保管の状態下で安定でなければならず、細菌および真菌などの、微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。
【0063】
分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物においてならびに油においても調製され得る。保管および使用の通常の状態下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含有する。
【0064】
本発明の抗体、機能的断片または誘導体は、中性または塩の形態の組成物に製剤化され得る。薬学的に許容可能な塩には、無機酸、例えば、塩酸またはリン酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのようなこうした有機酸などと共に形成される酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と共に形成される)が含まれる。遊離カルボキシル基と共に形成された塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの、無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのようなこうした有機塩基からも導かれてよい。
【0065】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適した混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒体であってもよい。本発明の抗体は、その生物学的利用能(biodisponibility)を増加するように、例としてペグ化によって、修飾されてもよい。
【0066】
適切な流動性は、例えば、レシチンなどの、コーティングの使用によって、分散液の場合は必要な粒径の維持によっておよび界面活性剤の使用によって、維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合において、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことは好ましいであろう。
【0067】
注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物における吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、ポリオール、ならびに半減期増加共有結合および非共有結合製剤の使用によってもたらされ得る。
【0068】
加水分解および変性を含め、ペプチド不安定性または分解の非常に多くの原因がある。疎水性相互作用は、分子の合わさったクランピングを引き起こし得る(すなわち凝集)。こうした問題を軽減または予防するために安定剤を加えてよい。
【0069】
安定剤には、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体が含まれる(米国特許第5,730,969号を参照)。スクロース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、デキストランおよびグリセリンなどの適した保存料も、最終製剤を安定化するために加えてよい。イオン性および非イオン性界面活性剤、D-グルコース、D-ガラクトース、D-キシロース、D-ガラクツロン酸、トレハロース、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、およびそれらの混合物から選択される安定剤は、製剤に加えてよい。アルカリ金属塩または塩化マグネシウムの添加は、ペプチドを安定化させ得る。ペプチドは、それをデキストラン、コンドロイチン硫酸、デンプン、グリコーゲン、デキストリン、およびアルギン酸塩からなる群から選択されるサッカリドと接触させることによっても安定化され得る。加えてよい他の糖には、単糖類、二糖類、糖アルコール、およびそれらの混合物(例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、マンニトール、キシリトール)が含まれる。ポリオールは、ペプチドを安定化させる可能性があり、水混和性または水溶性である。適したポリオールは、マンニトール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチルグリコール、ビニルピロリドン、グルコース、フルクトース、アラビノース、マンノース、マルトース、スクロース、およびそれらの重合体を含めた、ポリヒドロキシアルコール、単糖類および二糖類であり得る。血清アルブミン、アミノ酸、ヘパリン、脂肪酸およびリン脂質、界面活性剤、金属、ポリオール、還元剤、金属キレート剤、ポリビニルピロリドン、加水分解ゼラチン、ならびに硫酸アンモニウムを含めた、種々の賦形剤も、ペプチドを安定化させ得る。
【0070】
別の目的において、既に述べたように組成物は、対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを予防および/または治療するための方法において使用するためのものである。
【0071】
本明細書で使用する場合、「対象」という語は、齧歯類、ネコ、イヌまたは霊長類などの哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0072】
本発明との関連で、「OAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを治療すること」という語は、本明細書で使用する場合、こうしたがん細胞の成長の抑制を意味する。好ましくはこうした治療は、腫瘍成長または転移拡大の退縮、すなわち、測定可能な腫瘍のサイズの減少にも繋がる。最も好ましくは、こうした治療は、腫瘍の完全な退縮に繋がる。
【0073】
前記OAcGD2ガングリオシドを発現しているがんは、神経芽細胞腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、肉腫(すなわち横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、および線維肉腫)、小細胞肺がん、乳がん、黒色腫、転移性腎癌腫、頭頸部がんおよび血液がん(すなわち白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫および骨髄腫)を含む群から選択される。
【0074】
本発明の抗体は、意図される目的を達成するために有効な量、および選択された投与経路に適した投薬量で前記医薬組成物に含有される。
【0075】
複合体の「有効量」は、腫瘍成長または転移拡大の退縮を誘導するために十分な量である。投与に使用される投与量は、種々のパラメーターに応じて、具体的には用いられる投与方法、関連した病状、または治療の所望の継続期間に応じて適合されてよい。当然のこととして、医薬組成物の形態、投与の経路、投薬量および投薬計画は、対象の治療される状態、病気の重症度、年齢、体重、および性別などに必然的に依存する。以下に示される有効量の範囲は、本発明を制限することおよび好ましい投与量範囲を表わすことは意図されない。しかしながら、好ましい投与量は、過度の実験をせず、当業者によって理解され、確定できるように、個々の対象に合わせられてよい。
【0076】
好ましい実施形態によれば、抗体、その機能的断片または誘導体は、対象1m当たり2から2,000mgを含む投与量、好ましくは5から1,000mg/mを含む投与量、および最も好ましくは10から500mg/mを含む投与量で注射によって投与されてよい。
【0077】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の抗体、その機能的断片または誘導体は、キメラ抗原受容体(CAR)の形態である。したがって、投与される形質導入細胞(T細胞、NKT細胞またはNK細胞など)の量は、投与の経路を考慮に入れるべきであり、所望の治療反応を達成するために十分な数の形質導入細胞が導入されることになるようにすべきである。さらに、本明細書に述べる組成物に含まれるそれぞれの活性薬剤の量(例えば、接触されるそれぞれの細胞当たりの量または特定の体重当たりの量)は、異なる用途において様々であってよい。一般には、形質導入T細胞の濃度は、望ましくは治療されている対象に少なくとも1m当たり約1×10から約1×10個の形質導入細胞、さらにより望ましくは、約1×10または1×10から約5×10個の形質導入細胞を提供するのに十分であるべきであるが、それより多い、例えば、5×10細胞より多い、または少ない、例えば、1×10細胞未満のいずれでも任意の適した量が利用されてよい。服薬スケジュールは、確立した細胞療法に基づいてよく(例えば、TOPALIAN and ROSENBERG、1987年、米国特許第4,690,915号を参照)、または代替の連続的な注入計画を採用してよい。
【0078】
これらの値は、本発明の実践のために本発明の方法を最大活用するにあたり施術者によって利用される形質導入T細胞の範囲の一般的手引きを提供する。こうした範囲の本明細書における詳述は、特定の用途において正当とされ得るように、成分のより多量または少量の使用を決して除外しない。例えば、実際の投与量およびスケジュールは、組成物が他の医薬組成物と併用して投与されるかどうかに応じて、または薬物動態、薬物消長、および代謝における個人間の差に応じて異なってよい。当業者は、特定の状況の危急の事情に従って任意の必要な調整を容易に行い得る。
【0079】
本発明の第3の態様は、有効量の少なくとも一種の抗体、その機能的断片、または誘導体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを治療および/または予防するための方法に関する。
【0080】
好ましくは、対象は、哺乳動物および最も好ましくはヒトを指す。
【0081】
前記OAcGD2ガングリオシドを発現しているがんは、神経芽細胞腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、肉腫(すなわち横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、および線維肉腫)、小細胞肺がん、乳がん、黒色腫、転移性腎癌腫、頭頸部がんおよび血液がん(すなわち白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫および骨髄腫)を含む群から選択される。
【0082】
本発明の第4の態様は、対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するための方法、好ましくはin vitroでの方法であって、生体試料におけるOAcGD2ガングリオシド発現レベルを決定するために、前記対象の生体試料を、本明細書に記載される少なくとも一種の抗体、その機能的断片または誘導体と接触させるステップであって、検出可能なOAcGD2ガングリオシド発現レベルがこのようながんを示す、ステップを含む、方法に関する。
【0083】
好ましくは、前記対象は、哺乳動物および最も好ましくはヒトを指す。
【0084】
本明細書で使用する場合、生体試料は、血液試料またはがん生検材料などのがん細胞を潜在的に含む試料を指す。
【0085】
前記OAcGD2ガングリオシドを発現しているがんは、神経芽細胞腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、肉腫(すなわち横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、および線維肉腫)、小細胞肺がん、乳がん、黒色腫、転移性腎癌腫、頭頸部がんおよび血液がん(すなわち白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫および骨髄腫)を含む群から選択される。
【0086】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、前記OAcGD2ガングリオシド発現を対照と比較するステップをさらに含む。
【0087】
本明細書で使用する場合、前記「対照」は、健康な対象からの生体試料の細胞に相当する対照試料におけるOAcGD2ガングリオシド発現レベルを指す。
【0088】
第5の態様において、本発明は、前述のような少なくとも一種の抗体、機能的断片または誘導体と、最終的に対象への前記抗体、その機能的断片もしくは誘導体または前記製剤の投与に有用である手段とを含む、前記対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するためのキットに関する。
【0089】
前述のように、前記キットの前記抗体、その機能的断片または誘導体は、特に対象の反応性を画像化および監視することによる診断のために、対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するためにin vivoでの方法において使用するための画像技術によって直接検出されるのに適した免疫複合体、例えば蛍光体または放射性同位体を含む免疫複合体を指し得る。
【0090】
本明細書で使用する場合、「キット」という語は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイとの関連で、こうした送達システムには、ある場所から別の場所への反応試薬の保存、輸送、もしくは送達を可能にするシステムおよび/または支持材料(例えば、緩衝剤、アッセイを実行するための書面での指示書など)が含まれる。例えば、キットには、関連した反応試薬および/または支持材料を含有する1つまたは複数の囲壁(例えば、箱)が含まれる。本明細書で使用する場合、「断片化キット」という語は、それぞれ全キット構成要素の副部を含有する2個以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、意図されるレシピエントに一緒にまたは別々に送達されてよい。「断片化キット」という語は、連邦食品・医薬品・化粧品法の520(e)節の下で規制されている分析物特異的試薬(ASR)を含有するキットを包含することが意図されるが、これに限定されない。実際には、それぞれ全キット構成要素の副部を含有する2個以上の別々の容器を含む任意の送達システムは、「断片化キット」という語に含まれる。対照的に、「組み合わせキット」は、単一容器において(例えば、所望の構成要素のそれぞれを収容する単一の箱において)反応アッセイの全ての構成要素を含有する送達システムを指す。「キット」という語には、断片化キットおよび組み合わせキットの両方が含まれる。
【0091】
本キットには、本方法の実装を容易に推進するための、1種もしくは複数の試薬、緩衝剤、ハイブリダイゼーション培地、固体支持体、データベース、分配順序を計算するためのコンピュータープログラムおよび/または使い捨ての実験室設備、例えばマルチウェルプレートも含まれ得る。本キットに含まれていてよい酵素には、ヌクレオチドポリメラーゼなどが含まれる。固体支持体には、ビーズおよび同類のものが含まれ得るのに対して、分子量マーカーには複合体形成可能な(conjugatable)マーカー、例えばビオチンおよびストレプトアビジンまたは同種のものが含まれ得る。一実施形態において、キットは、本明細書に述べる方法を実行するための指示書で構成されている。指示書は、紙印刷物、コンピューター読み取り可能媒体、または同種のものなどの、有形媒体を介して任意の明瞭な形態で提供され得る。
【0092】
以下において、本発明は、アミノ酸配列、核酸配列および実施例への参照と共により詳細に記載される。しかしながら、実施例の詳細による本発明の限定は意図されない。むしろ、本発明は、本明細書における実施例において明白に言及されていないが、過度の努力なしに当業者が見出す詳細を含む任意の実施形態に関係する。
【実施例0093】
1)ヒト化
1.1 第1ラウンド:
8B6配列は、最も限定された特定されているヒト生殖系列を使用することによってCDRグラフティング法を用いてヒト化されている。次いで、得られたヒト化抗体(OGD201)の結合を、PBS、1%BSA中で45分間氷上でIMR5細胞上で(すなわちそれらの表面にOAcGD2を発現している)異なる濃度(すなわち0.01から10μg/ml)におけるそれらのインキュベーションによって試験した。インキュベーションおよび洗浄後、抗体結合を、30分間氷上でのFITC(Southern Biotech)を結合したヤギ抗マウスIgGとのインキュベーションによって検出した。最後に、細胞蛍光を、フローサイトメーターによって分析した。
【0094】
唯一の機能的生殖系列に関する結果を、表1ならびに図1および図2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
CDRは、参照およびコンセンサス配列においては太字で表し、突然変異した変異型アミノ酸は灰色で強調表示する。
【0097】
図1は、マウス抗体(8B6)と比較したVHヒト化抗OAcGD2 mAb(OGD201 VH3(配列番号5)、OGD201 VH2(配列番号4)、およびOGD201 VH1(配列番号3))のIMR5細胞での結合滴定アッセイを表す。
【0098】
図2は、マウス抗体(8B6)と比較したVLヒト化抗OAcGD2 mAb(OGD201 VL1(配列番号8)、OGD201 VL2(配列番号9)、OGD201 VL3(配列番号10)、およびOGD201 VL4(配列番号11))のIMR5細胞での結合滴定アッセイを表す。
【0099】
図3は、マウス抗体(8B6)と比較したVH-VLヒト化抗OAcGD2 mAbのIMR5細胞での結合滴定アッセイを表す。これらのVH-VLヒト化抗OAcGD2 mAbは、VHヒト化抗OAcGD2 mAb(OGD201 VH3(配列番号5)、OGD201 VH2(配列番号4)、またはOGD201 VH1(配列番号3))をVLヒト化抗OAcGD2 mAb(OGD201 VL1(配列番号8)、OGD201 VL2(配列番号9)、OGD201 VL3(配列番号10)、およびOGD201 VL4(配列番号11))と結合させる。
【0100】
結果は、非常に多くの試験したヒト生殖系列(データは示さず)で、本発明者らが、ヒト生殖系列と少なくとも83%および84%の同一性を有する第1のVHおよびVLコンセンサス配列を同定したことを示す。得られたコンセンサス配列は、それぞれ元の抗体よりほぼ10%および7%多くヒト化され、同時にOAcGD2への極めて良好な結合を有する(図1、2および3を参照)。
【0101】
1.2 最適化:
抗体ヒト化度を増加する目的で、本発明者らは、OAcGD2への結合に影響を及ぼさないものを選択するために8B6配列で点突然変異体の試験を開始する。次いで、得られたヒト化抗体(OGD201)のOAcGD2結合を、前述のように試験した。
【0102】
試験した点突然変異体に関する結果を、表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
CDRは、コンセンサス配列においては太字で表し、突然変異した変異型アミノ酸は、灰色で強調表示する。
【0106】
本発明者らは、OAcGD2結合に影響を及ぼさずに変異/ヒト化され得る新規の位置を特定した。これらの結果に基づいて、本発明者らは、より大きいヒト化抗体度の獲得を可能にする新規のコンセンサス配列を確立した(コンセンサス配列2)。
【0107】
1.3 ヒト化第2ラウンド:
前に行った最適化ステップおよび対応するコンセンサス配列に基づいて、本発明者らは、OAcGD2へのそれらの結合を試験した新規のヒト化VHおよびVL配列を設計した。
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
CDRは太字で表し、突然変異した変異型アミノ酸は灰色で強調表示する。
【0111】
次いで、得られたヒト化抗体の結合を、PBS、1%BSA中で45分間氷上でIMR5細胞上で(すなわちそれらの表面にOAcGD2を発現している)異なる濃度(すなわち0.01から10μg/ml)におけるそれらのインキュベーションによって試験する。インキュベーションおよび洗浄後、抗体結合を、30分間氷上でのFITC(Southern Biotech)を結合したヤギ抗マウスIgGとのインキュベーションによって検出する。最後に、細胞蛍光を、フローサイトメーターによって分析する。
【0112】
1.4 最適化:
抗体ヒト化度を再び増加するように、本発明者らは、OAcGD2への結合に影響を及ぼさないものを選択するように今回はCDRにおける点突然変異体の新規のラウンドを開始する。次いで、得られた抗体のOAcGD2結合を、前述のように試験する。
【0113】
試験した点突然変異体を、表4に示す。
【0114】
表4
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】
【表8】
【0117】
【表9】
【0118】
CDRは太字で表し、突然変異した変異型アミノ酸は灰色で強調表示する。
【0119】
1.5 ヒト化第3ラウンド:
前に行った最適化ステップおよび対応するコンセンサス配列に基づいて、本発明者らは、OAcGD2へのそれらの結合を試験した新規のヒト化VHおよびVL配列を設計した。
【0120】
【表10】
【0121】
CDRは太字で表し、突然変異した変異型アミノ酸は灰色で強調表示する。
【0122】
次いで、得られたヒト化抗体の結合を、PBS、1%BSA中で45分間氷上でIMR5細胞上で(すなわちそれらの表面にOAcGD2を発現している)異なる濃度(すなわち0.01から10μg/ml)におけるそれらのインキュベーションによって試験する。インキュベーションおよび洗浄後、抗体結合を、30分間氷上でのFITC(SOUTHERN BIOTECH)を結合したヤギ抗マウスIgGとのインキュベーションによって検出する。最後に、細胞蛍光を、フローサイトメーターによって分析する。
【0123】
意外にも、結果は、VH72Bmax、VH49B、VH49Bmax、VL30BH、およびVL28Bs01/A2はそれらのマウス対照物と比較してはるかに変性されている一方で、それらはこのマウス対照物と同等の結合親和性を取得しており、VH49BmaxおよびVL28Bs01/A2はより良好な結合親和性を有していることを示す。
【0124】
2)scFv構造
選択されたヒト化VHおよびVL配列は、表5に開示されたリンカーを用いてVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VH方向において融合される。これらのポリペプチドの精製のステップを単純化するために種々のタグを、C末端の先端、好ましくはHisタグ(HHHHHH、配列番号125)に加えることが可能であった。
【0125】
【表11】
【0126】
次いで、設計したscFv断片を、使用されているタグに応じて(例えばHisタグの場合はニッケルイオンでキレート化したニッケル)大腸菌系またはCHO、Sp2/O、HEK293を含めた哺乳動物において産生しさらにアフィニティークロマトグラフィーによって精製する。
【0127】
3)K測定
ヒト化抗体およびその断片(scFv)の親和力を、BIACORE T200 BIOSENSOR(GE HEALTHCARE)を用いて評価する。これらの実験のために、ガングリオシド(OAcGD2、GD2、GM2)を、疎水性相互作用によってCM5バイオセンサーチップ上に直接固定化する。これのために、ガングリオシド希釈混合物(50μg/ml)を、5μl/分の流速で15分の間注入する(75μl)。
【0128】
次いで、250mM NaClを含有するHBS-E緩衝剤に希釈した、増加させている濃度(6.25から200nM)の精製した抗体またはその断片(scFv)を調製する。試験する試料(60μl)を、2分かけて30μl/分の流速でセンサー表面上に注入する。
【0129】
最後に、結合データを、BIACORE T-200評価ソフトウェアを用いて二価分析モデル(bivalent analysis model)および速度定数のデフォルトパラメータ設定によって分析する。
【0130】
【表12】
【0131】
4)細胞毒性活性測定
精製したヒト化抗体またはその断片の直接細胞毒性を、ヨウ化プロピジウム組み込み(PI)によって分析する。
【0132】
IPアッセイにおいて、1×10IMR5細胞を、48ウェルプレート中で37℃で24時間インキュベートする。40μg/mlの抗体またはその断片を追加して37℃で16時間インキュベートする。インキュベーション後、PBS中10μg/mlでPIを追加して蛍光をフローサイトメトリーによって直ちに分析する。死細胞の割合を、3連で平均値±SDとして表した。
【0133】
ADCC活性を、以下のように測定した。腫瘍細胞を、製造業者の説明に従って細胞膜染色PKH-26(Sigma Aldrich)で標識した。標識した細胞(100μL中10細胞)を、96ウェルマイクロタイタープレート中で50μLの抗体と共にインキュベートした。ヒト細胞株NK-92-RFcgIII+、または全PBMCを、エフェクター細胞として用いた。示したエフェクター対標的比率でエフェクター細胞(50μL)を腫瘍細胞に加えて37℃で24時間インキュベートした。次いでPKH-26+標的細胞集団内の細胞死を、TOPRO-3ヨウ化物(TP3)(Life Technologies)の添加によって評価した。二重陽性のTP3+、PKH26+死標的細胞集団を、フローサイトメトリーによって検出した。特異的溶解の割合を、100×(生存不能二重陽性標的細胞)/(生存不能二重陽性標的細胞+生存可能PKH26+標的細胞)として計算した。
【0134】
5)免疫原性測定
抗体の免疫原性可能性を調査するために、PROPRESENT(登録商標)Antigen Presentation Assays(PROIMMUNE)またはEPISCREEN(ANTITOPE)またはEPIBASE T CELL assay(LONZA)またはIMMUNO’LINE(PLATINE)も使用した。
【0135】
簡潔に述べると、HLA型の、健康なドナー末梢血単核細胞(PBMC)試料のパネルを、(最適なHLA分布を反映するために選択された)組織バンクから調製する。次いで、ドナーPBMCからの単球を、限定培地において培養して分化させ樹状細胞(DC)を産生する。
【0136】
T細胞活性の分析のために、本発明者らは、CD4+ T細胞の存在下で試験抗原(すなわち試験される抗体)を与えたDCを使用した。最後に、T細胞活性化を、T細胞増殖アッセイ(すなわちCFSE、H)およびサイトカイン分泌(すなわちIL-2、IL-6、IL-8、INFγ)によって測定する。有意のT細胞反応を、パラメトリックおよびノンパラメトリック統計的分析によって測定する。結果を、内部対照に対してベンチマーク試験する。
【0137】
目的の配列を同定するために、本発明者らは、採取したDC、および精製した対応するHLA分子を使用した。関連ペプチドを溶離する。ペプチド試料を配列決定質量分析法によって分析し次いで得られたデータを目的の配列からなるタンパク質データベースライブラリーおよび最適な生物の国際タンパク質インデックス(IPI)に対して比較する。ペプチドを、確率を基礎とするアルゴリズムに従って重要性でランク付けしてデータをスクランブルデコイ(scrambled decoy)データベースに対して検索をかけることにより確認し偽陽性を減少させる。
【0138】
最終的に、得られたデータは、試験した抗体のヒトにおける潜在的な免疫原性の決定を可能にする。
【0139】
6)サイトカイン放出アッセイ
全PBMCを、ヒト化抗体およびその断片(scFv)または対照マウス抗体(8B6)と共にインキュベートしてサイトカイン分泌(IFNガンマ、TNFアルファ、IL-6、IL-2、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IL-1ベータ、...)を、Bio-Plex Precision Pro(商標)ヒトサイトカイン免疫測定法(BIORAD)によって製造業者の説明に従って分析する。詳細については、FINCOら(Cytokine、66巻、143~145頁、2014年)を参照されたい。
【0140】
最終的に、サイトカイン発現プロファイルは、試験した抗体のヒトにおける潜在的な免疫原性の決定を可能にする。
【0141】
意外にも、免疫原性結果は、VH72Bmax、VH49B、VH49Bmax、VL30BH、およびVL28Bs01/A2がそれらのマウス対照物と同等なOAcGD2およびGD2ガングリオシドに対する結合親和性を有する一方で、それらは弱くなった免疫原性を有し、VH72maxおよびVH49Bmaxは最弱の免疫原性を有することを示す。
【0142】
ここでさらに驚いたことに、免疫原性結果は、VH1、VH2、VH3、VH72BCDR、VH72BH、VH49BCDR、VH49BH、VL1、VL2、VL3、VL4、およびVL28BHがそれらのマウス対照物と同様に良好な結合親和性を有する一方で、それらが最小の免疫原性も有することも示す。
図1
図2
図3
【配列表】
2024075587000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アミノ酸配列の配列番号112を有し、
1番目の位置のアミノ酸がDであり、
9番目の位置のアミノ酸がLであり、
10番目の位置のアミノ酸がSであり、
12番目の位置のアミノ酸がPであり、
13番目の位置のアミノ酸がVであり、
15番目の位置のアミノ酸がL又はPであり、
18番目の位置のアミノ酸がQ又はPであり、
19番目の位置のアミノ酸がAであり、
20番目の位置のアミノ酸がSであり、
21番目の位置のアミノ酸がIであり、
22番目の位置のアミノ酸がSであり、
25番目の位置のアミノ酸がSであり、
29番目の位置のアミノ酸がLであり、
34番目の位置のアミノ酸がGであり、
35番目の位置のアミノ酸がNであり、
36番目の位置のアミノ酸がTであり、
39番目の位置のアミノ酸がHであり、
47番目の位置のアミノ酸がQであり、
48番目の位置のアミノ酸がSであり、
51番目の位置のアミノ酸がLであり、
55番目の位置のアミノ酸がKであり、
56番目の位置のアミノ酸がVであり、
58番目の位置のアミノ酸がNであり、
60番目の位置のアミノ酸がL又はAであり、
61番目の位置のアミノ酸がSであり、
63番目の位置のアミノ酸がVであり、
65番目の位置のアミノ酸がDであり、
79番目の位置のアミノ酸がKであり、
81番目の位置のアミノ酸がSであり、
82番目の位置のアミノ酸がRであり、
83番目の位置のアミノ酸がVであり、
84番目の位置のアミノ酸がEであり、
85番目の位置のアミノ酸がAであり、
88番目の位置のアミノ酸がL又はVであり、
89番目の位置のアミノ酸がGであり、
90番目の位置のアミノ酸がVであり、
94番目の位置のアミノ酸がS又はMであり、
96番目の位置のアミノ酸がSであり、
97番目の位置のアミノ酸がTであり、
98番目の位置のアミノ酸がH又はQであり、
99番目の位置のアミノ酸がIであり、
100番目の位置のアミノ酸がPである、ヒト化軽鎖可変領域(VL)ポリペプチド、および
b)アミノ酸配列の配列番号76を有し、
1番目の位置のアミノ酸がEであり、
5番目の位置のアミノ酸がVであり、
13番目の位置のアミノ酸がQであり、
35番目の位置のアミノ酸がT又はSであり、
37番目の位置のアミノ酸がVであり、
48番目の位置のアミノ酸がLであり、
49番目の位置のアミノ酸がGであり、
50番目の位置のアミノ酸がFであり、
51番目の位置のアミノ酸がIであり、
54番目の位置のアミノ酸がR又はKであり、
55番目の位置のアミノ酸がAであり、
57番目の位置のアミノ酸がG又はSであり、
59番目の位置のアミノ酸がTであり、
60番目の位置のアミノ酸がTであり、
61番目の位置のアミノ酸がEであり、
64番目の位置のアミノ酸がP又はAであり、
76番目の位置のアミノ酸がNであり、
77番目の位置のアミノ酸がSであり、
80番目の位置のアミノ酸がI又はSであり、
81番目の位置のアミノ酸がL又はAであり、
89番目の位置のアミノ酸がR又はKであり、
90番目の位置のアミノ酸がTであり、
95番目の位置のアミノ酸がVであり、
104番目の位置のアミノ酸がWであり、
105番目の位置のアミノ酸がAである、ヒト化重鎖可変領域(VH)ポリペプチド
を含み、O-アセチル化GD2(OAcGD2)ガングリオシドに特異的に結合する抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項2】
前記抗体が、
- アミノ酸配列VL30BH(配列番号134)を有する軽鎖可変領域(VL)、ならびに/または
- VH72Bmax(配列番号131)、VH49B(配列番号132)、およびVH49Bmax(配列番号133)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)
を含む、請求項1に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項3】
前記抗体が、
- VL1(配列番号8)、VL3(配列番号10)及びVL30BH(配列番号134)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)、ならびに/または
- VH1(配列番号3)、VH2(配列番号4)、VH72Bmax(配列番号131)、VH49B(配列番号132)、およびVH49Bmax(配列番号133)を含む群から選択されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)
を含む、請求項1に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項4】
前記OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、前記抗体、又は、前記抗体の機能的断片が、25℃において前記ガングリオシドについて5×10-6M未満のKを示す、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項5】
前記OAcGD2ガングリオシドに特異的に結合する、前記抗体、又は、前記抗体の機能的断片が、GD2ガングリオシドについて25℃において5×10-5Mより大きい結合親和性(K)を示す、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項6】
前記抗体、又は、前記抗体の機能的断片が、少なくとも前記重鎖可変領域および軽鎖可変領域の両方を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項7】
前記抗体、又は、前記抗体の機能的断片が、キメラ抗原受容体(CAR)の膜アンカー単鎖可変部である、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項8】
前記CARが、エクトドメイン、膜貫通ドメインおよびエンドドメインを含む、請求項7に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項9】
前記抗体、又は、前記抗体の機能的断片が、免疫複合体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項10】
前記機能的断片が、ScFv断片、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Facb断片、FおよびF断片を含む群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片。
【請求項11】
少なくとも一種の請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、又は、前記抗体の機能的断片、および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを予防および/または治療する方法において使用するための請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記対象が、哺乳動物である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記対象が、ヒトである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
OAcGD2ガングリオシドを発現している前記がんが、神経芽細胞腫、神経膠腫、網膜芽細胞腫、ユーイングファミリー腫瘍、肉腫、小細胞肺がん、乳がん、黒色腫、転移性腎癌腫、頭頸部がんおよび血液がんを含む群から選択される、請求項12~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するためのin vitroでの方法であって、生体試料における前記OAcGD2ガングリオシドの発現レベルを決定するために、前記対象の生体試料を、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一種の抗体、又はその機能的断片と接触させるステップであって、検出可能なOAcGD2ガングリオシド発現レベルが前記がんを示す、ステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも一種の抗体、又はその機能的断片と、最終的に対象への前記抗体、又はその機能的断片の投与に有用である手段とを含む、前記対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんを診断するためのキット。
【請求項18】
前記対象においてOAcGD2ガングリオシドを発現しているがんの診断が画像技術による、請求項17に記載のキット。
【外国語明細書】