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特開2024-75589組織を牽引するためのシステム、デバイス、および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075589
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】組織を牽引するためのシステム、デバイス、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20240528BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B17/94
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030698
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2021530041の分割
【原出願日】2019-08-06
(31)【優先権主張番号】62/715,521
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブッチャー、アート
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】グレイ、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチビール、スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クリスタキス、ローラ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン、ゲイリー エイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組織を牽引するためのシステム、デバイス、および関連する方法を提供する。
【解決手段】システム100は、径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能なリトラクタ150と、組織係合要素およびアンカー係合要素を有する牽引ツールと、複数の離間した位置の各々でアンカー係合要素と解放可能な結合を形成するように構成された第1の部材と、を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能なリトラクタと、
組織係合要素およびアンカー係合要素を有する牽引ツールと、
複数の離間した位置の各々で前記アンカー係合要素と解放可能な結合を形成するように構成された第1の部材と、を備えるシステム。
【請求項2】
内視鏡を受け入れるように構成された管腔を有するオーバーチューブをさらに含み、前記リトラクタが前記オーバーチューブの遠位端にまたは遠位端に隣接して配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の部材は、前記リトラクタが径方向に拡張された構成にあるときに前記リトラクタに剛性を提供するレールである、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記リトラクタは前記第1の部材を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の離間した位置は長手方向に離間した位置である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の離間した位置は径方向に離間した位置を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記牽引ツールは、前記組織係合要素を前記アンカー係合要素と結合する弾性テザーを含む請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記アンカー係合要素はフックであり、前記第1の部材はフックを受け入れるように各々構成された複数の離間したリングを含む請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記リングのうちの1つ以上は、前記第1の部材から径方向外側にバイアスされている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記アンカー係合要素はフックまたはループを含み、前記第1の部材はフックまたはループを有する支持体を含み、前記アンカー係合要素および前記支持体はベルクロタイプのファスナを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の部材は、前記アンカー係合要素のスライド位置を保持するように設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アンカー係合要素のスライド位置は斬増的であり複数の歯を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記オーバーチューブは、複数のボールがその中に配置された1つまたは複数のらせん状トラックを含み、1つまたは複数のらせん状トラックを通る前記複数のボールの動きは、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して長手方向に駆動する、請求項2~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数のらせん状トラックを通して前記複数のボールを駆動するように構成されたハンドルをさらに含み、第1の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して遠位に移動させ、前記第1の方向と反対方向である第2の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して近位に移動させる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記内視鏡をさらに含み、該内視鏡は、前記オーバーチューブの1つまたは複数のらせん状トラックと対応するピッチを有する1つまたは複数のらせん状トラックを含む、請求項13または請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、一般に、組織の牽引に関連する。より具体的には、本開示は、組織を牽引するためのシステム、デバイス、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術開発により、医療システム、デバイス、および方法のユーザは、被験者に対してますます複雑な処置を実行できるようになった。たとえば、被験者の胃腸管の組織の除去は、困難が生じる可能性のある処置の一種である。そのような困難な領域の1つは、組織から病変を取り除くことに関する。病変を除去するために、ユーザは病変またはその周辺の組織を牽引することができる。この牽引により、ユーザは病変を除去するための切断面をはっきりと観察することができる。この視覚化を行うことは、血管の切断などの不要な切開エラーを防ぐための助けになるであろう。視覚化は、病変の多くまたはすべてが確実に除去されるための助けにもなるであろう。
【0003】
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、胃腸管からポリープおよび腫瘍を取り除くための技術である。標的組織部位への注射、標的組織の周囲の周方向の切断、および病変の粘膜下組織の下での解剖を含む、ESD技術に関連する3つの異なるステップがある。ESDにより標的組織をまとめて除去でき、組織病理学的評価の精度が向上する。医師は組織の深部を切除することもでき、組織層の深部に浸潤した癌を取り除くことができるかもしれない。組織を切除するために(スネアではなく)電気焼灼装置が使用されるため、ESDを実施する医師は多くのサイズと形状の病変を除去する可能性がある。
【0004】
ESDの制限要因の1つは、処置の複雑さにある。組織層の十分な上昇と分離が達成されない場合、ESDは組織壁の穿孔を引き起こす可能性がある。患者へのリスクは、多くの医師がESDを使用することを阻止する。一部の医師は、ESDを実施する際に重力を利用するように患者の位置を変えようとする。ただし、高齢者や大柄な患者は位置を変えることが難しく、そうすることで処置がさらに損なわれる可能性がある。現在の技術の1つは、キャップを利用して内視鏡を組織弁の下に配置し、注入機能を備えたハイブリッド切断装置を使用することである。ただし、これにより、内視鏡の光学部が組織のごく近傍に配置され、内腔の残りの部分またはより大きな腫瘍に対して、内視鏡の位置の認識が不十分になる(視覚化が不十分になる)可能性がある。そのような技術はまた、張力が達成された組織の不十分な視覚化、および解剖プロセスを妨げる組織の不十分な視覚化をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、とりわけ、組織を牽引するためのシステム、デバイス、および方法に関する。本明細書に開示される態様のそれぞれは、他の開示される態様のいずれかに関連して記載される特徴の1つまたは複数を含み得る。
【0006】
システムは、径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能なリトラクタと、組織係合要素およびアンカー係合要素を有する牽引ツールと、複数の離間した位置の各々で前記アンカー係合要素と解放可能な結合を形成するように構成された第1の部材と、を含み得るシステム。
【0007】
前記システムは、内視鏡を受け入れるように構成された管腔を有するオーバーチューブをさらに含み、前記リトラクタが前記オーバーチューブの遠位端にまたは遠位端に隣接して配置されている。前記第1の部材は、前記リトラクタが径方向に拡張された構成にあるときに前記リトラクタに剛性を提供するレールである。前記リトラクタは前記第1の部材を含む。前記複数の離間した位置は長手方向に離間した位置である。前記複数の離間した位置は径方向に離間した位置を含む。前記牽引ツールは、前記組織係合要素を前記アンカー係合要素と結合する弾性テザーを含む。前記アンカー係合要素はフックであり、前記第1の部材はフックを受け入れるように各々構成された複数の離間したリングを含む。前記リングのうちの1つ以上は、前記第1の部材から径方向外側にバイアスされている。前記アンカー係合要素はフックまたはループを含み、前記第1の部材はフックまたはループを有する支持体を含み、前記アンカー係合要素および前記支持体はベルクロタイプのファスナを形成する。前記第1の部材は、前記アンカー係合要素のスライド位置を保持するように設けられている。前記アンカー係合要素のスライド位置は斬増的であり複数の歯を含む。前記オーバーチューブは、複数のボールがその中に配置された1つまたは複数のらせん状トラックを含み、1つまたは複数のらせん状トラックを通る前記複数のボールの動きは、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して長手方向に駆動する。システムはさらに、前記1つまたは複数のらせん状トラックを通して前記複数のボールを駆動するように構成されたハンドルをさらに含み、第1の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して遠位に移動させ、前記第1の方向と反対方向である第2の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して近位に移動させる。システムは前記内視鏡をさらに含み、該内視鏡は、前記オーバーチューブの1つまたは複数のらせん状トラックと対応するピッチを有する1つまたは複数のらせん状トラックを含む。
【0008】
システムは、内視鏡を受け入れるように構成された管腔を有するオーバーチューブと、前記オーバーチューブの遠位端に設けられるまたは遠位端に隣接するリトラクタであって、該リトラクタは径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能である前記リトラクタと、シャフト及びテザーによって前記シャフトの遠位端に結合された組織係合要素を有するツールと、を含み、前記シャフトの遠位端は、前記シャフトの近位端に対して傾斜している。
【0009】
前記テザーは弾性テザーである。
患者を治療する方法は、リトラクタが患者の体腔内の標的領域に隣接している間にリトラクタを径方向に拡張することと、牽引ツールの組織係合要素で組織を把持することと、アンカー係合要素を複数の離間したアンカー要素のうちの第1のアンカー要素へ固定することによって前記組織係合要素に結合された組織に張力をかけることと、を含み得る。
【0010】
この方法は、前記アンカー係合要素を複数の離間したアンカー要素の第2のアンカー要素に固定することによって組織の張力を調整することをさらに含む。径方向に拡張するステップの前に、この方法は、内視鏡の遠位端を体管腔内の前記標的領域に隣接して配置することと、前記リトラクタを含むオーバーチューブを前記内視鏡上に延ばして、前記リトラクタが標的領域に隣接するようにすることと、を含む。
【0011】
前述の概説的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではないことが理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を例示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
図1】折りたたまれた位置で示される、低侵襲的方法で胃腸障害を手術的に治療するためのシステムの斜視図。
図2図1のシステムの縦断面図。
図3】拡張位置にある図1のシステムの斜視図。
図4】内視鏡の近位端に挿入される図1のシステムの斜視図。
図5】体管腔を通る図4の内視鏡の挿入を示す。
図6図4の内視鏡上をさらに前進している、図1のシステムを示す斜視図。
図7】標的組織に隣接する所望の位置に向けて図4の内視鏡上を完全に前進する図1のシステムを示す斜視図。
図8】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
図9】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
図10】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
図11】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
図12】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
図13】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
図14】本開示による様々な他の組織牽引システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、組織を牽引させるためのシステム、デバイス、および方法に向けられている。次に、本開示の態様を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同じまたは類似の部品を参照するために、図面を通じて同じまたは類似の参照番号が使用される。「遠位」という用語は、デバイスを患者に導入するときにユーザから最も遠い部分を指す。対照的に、「近位」という用語は、デバイスを患者に配置するときにユーザに最も近い部分を指す。「牽引」という用語は、例えば、組織を除去するために、切断領域または平面を露出および/または視覚化するべく組織を配置することを指す場合がある。本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、またはそれらの他の任意の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素のみを含む訳ではなく、明示的に記載されていないがそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含むように、非排他的な包含をカバーすることが企図される。「例示」という用語は、「理想」ではなく「例」の意味で使用される。
【0014】
本開示の実施形態は、管腔内空間内の標的組織に牽引力を提供するために使用することができる。特に、いくつかの実施形態は、管腔リトラクタ(luminal retraction)(空間生成)装置を組織牽引デバイスと組み合わせる。管腔リトラクタ装置は、リトラクタ機構(例えば、組織クリップ)、内視鏡によって送達されるスキャフォールド構造(リトラクタ)、およびリトラクタ機構の並進のための少なくとも1つのレールを含み得る。リトラクタは、内視鏡を介して標的組織部位に送達され得る。システム全体は、組織クリップなどのリトラクタ機構をレール上の1つまたは複数の固定点に結合するための機構を含み得る。リトラクタは、開(拡張)状態と閉(退避)状態との間で移動可能であり得、標的部位に隣接して配置され得る少なくとも1つの開口(開アクセス機能)を含み得る。リトラクタは、金属またはプラスチックであり得、または形状記憶金属、形状記憶ポリマー、ポリマー、または材料の任意の組み合わせを含むことができる。リトラクタはまた、所望の部位で組織に固定するための機構を含み得る。この固定機能は、棘、フック、スパイラル、外向きの半径方向の力、およびリトラクタを組織に固定するための他の機能の形をとることができる。
【0015】
図1~3は、1つまたは複数のツール及びおよび内視鏡1200(図4~7に示される)を受け入れるための可撓性オーバーチューブ105を含むシステム100を示す。オーバーチューブ105は、近位端(図示せず)から遠位端108に向かって延びることができ、内視鏡1200を受け入れるためのツール管腔106a、106b、および中央管腔106cを含むことができる。
【0016】
ツール管腔106aおよび106bを通して挿入されるツールは、当業者に知られている任意のツールであり得る。例えば、ツールは、把持器、鉗子、スネア、はさみ、ナイフ、解剖器具、クランプ、内視鏡ステープラー、組織ループ、クリップアプライヤー、縫合糸送達器具、またはエネルギーベースの組織凝固器またはカッターを含み得る。2つのツール管腔106aおよび106bが示されているが、2つを超えるツール管腔または1つのツール管腔のみを備えたシステムを利用できることを理解されたい。さらに、内視鏡1200自体は、作業器具およびツールを治療部位に送達するための1つまたは複数の管腔を含み得る。
【0017】
システム100は、図1に示されるように、可逆的に拡張可能な図1に示されるようなリトラクタ150を含み、それは拡張して患者の治療空間または作業室を形成する。リトラクタ150は、それぞれリトラクタ要素151~154に接続された近位カプラー198および遠位カプラー199を備えたリトラクタ要素(脚)151、152、153、154を含み得る。治療空間は、切除または解剖手順を実行するための十分な作業領域を作成すべく、個々のツールの操縦および操作を強化し、および/または組織のトライアンギュレーション(triangulation)を可能にするために形成される。
【0018】
遠位カプラー199は、リングの形状で示されているが、円錐、半球、球など、当業者にとって望ましい実質的に任意の形状であり得る。遠位カプラー199は、システム100の遠位端を越えた内視鏡1200を通過させるためのポート199aを含み得る。あるいは、遠位カプラー199は、ポート199aを含まなくてもよく、遠位カプラー199は閉じられてもよい。いくつかの実施形態では、近位カプラー198を遠位カプラー199に向かって移動させ、遠位カプラー199を近位カプラー198に向かって移動させ、または両方のカプラー198および199を互いに向かって移動させて、それらの距離を縮め、リトラクタ要素151~154を径方向外側に向けて図1に示される折りたたまれた位置から図3に示される拡張位置に押し進める。リトラクタ150は、カプラー198と199との間の距離を調整することによって、必要に応じて、その拡張位置と格納位置との間で繰り返し移動することができる。リトラクタ要素151~154のそのような制御された拡張はまた、リトラクタ要素151~154の近位端を、近位および遠位に移動することができるアクチュエータに動作可能に結合することによって達成され得る。あるいは、リトラクタ要素151~154は、カテーテルまたはシースから露出されたときに自動的に拡張する材料、例えば、形状記憶材料から構成され得る。言い換えれば、リトラクタ要素151~154は、カテーテルまたはシースの内腔に含まれる場合、図3に示される拡張された構成に向けてバイアスされ得、図1に示されるように折りたたまれた構成で保持され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、リトラクタ150は、リトラクタ150のそうでなければ柔軟な配置を補強することによって可逆的に安定化され得る。リトラクタ150の安定化は、いくつかの実施形態では、拡張されたリトラクタ150を支持するために、例えば少なくとも実質的に剛性のレール175を有するスタビライザを含み得る。レール175は、断面が実質的に長方形、断面が実質的に円形、または他の断面形状であり得る。レール175は、リトラクタ要素151~154と同じ材料またはより硬い材料を含み得る。レール175はシステム100の遠位端のたわみを制限することができ、そうでなければ、体腔壁によって遠位端に加えられる圧力によって生じるであろう。レール175は、オーバーチューブ105の内外にスライド可能である、例えばステンレス鋼または別の金属または合金などの剛性材料を含む直線状の構成要素であり得る。リングまたは他のスライド部材175aは、レール175(または本明細書の実施形態および実施例に関して説明される任意の他のレール)に沿ってスライドすることができる。スライド部材175aは、レール175と摩擦的に係合して、無限またはほぼ無限の数の位置を有することができる。あるいは、スライド部材175aは、斬増的にスライドし、レール175に沿って配置された様々な溝またはノッチに載ることができる。テザー806およびアンカー810(以下でさらに詳細に説明される)は、スライド部材175aに結合され得る。あるいは、本明細書に記載される他の任意の適切なツール、アンカー、または係合要素は、組織を固定および/または係合するために、スライド部材175aに取り付けられ得る。
【0020】
ブリッジ部材144を利用して、リトラクタ150に安定性を追加することができる。例えば、リトラクタ150は、拡張中にリトラクタ要素の所望の向きを維持するように構成されたブリッジ部材144を含み得る。図1~3に示されるように、ブリッジ部材144は、2つのリトラクタ要素(151、152)に取り付けられ、これらのリトラクタ要素151、152の左右の動きを制限する。ブリッジ部材144はまた、ブリッジ部材144およびリトラクタ要素153および154に接続された第2のブリッジセクションを含み得る。ブリッジ部材144は、別個の構成要素であり得るか、またはリトラクタ要素151、152の一方または両方と一体的に形成され得る。
【0021】
リトラクタ要素151~154はそれぞれ、それらの有効断面直径を増加させることによってそれぞれのリトラクタ要素151、152、153、154に嵩を追加するカバー(151a、152a、153a、154a)を有し得る。カバー151a、152a、153a、154a(図3)は各々、リトラクタ要素151~154それぞれの中間部分にわたって延在し、熱収縮チューブを含み得る。
【0022】
カバー物またはカバー1170(図4に示される)は、オーバーチューブ105の遠位端に備えられ得る。図示の実施形態のカバー物1170は、近位カプラー198および遠位カプラー199の外周を囲むように取り付けられている。いくつかの実施形態では、カバー1170は、熱収縮ラップによってカプラー198および199の周りにひだ状に付けられ、密封される。カバー1170は、折りたたまれた挿入位置でリトラクタ要素151~154の周りに配置され、カバー1170の側面開口部は、標的組織、例えば、除去される病変に面する。すなわち、図7の向きにおいて、カバー1170の側面開口部は、ポリープ404に向かって上方向に向いている。カバー1170は、折りたたまれた位置に開口部を有するように構成されてもよく、あるいは、リトラクタ要素151~154が拡張位置に移動されたときの伸長によって開くことができるスリットを備えてもよい。一実施形態では、カバー1170の縁は、カバー1170がリトラクタ要素151~154と共に移動するように、リトラクタ要素151~154に取り付けられ得る。標的組織が本明細書に記載の内視鏡器具によって除去される場合、除去された組織はカバー1170内に配置され得、カバー1170は、例えば、組織を封入し体管腔からの除去中の漏出および播種を防止するために縫合糸またはひもによって閉じられ得る。カバー1170は、リトラクタ150を標的部位に送達するための滑らかで非外傷性の表面を提供し得る。カバー1170はまた、外科的処置中に、不要な組織、例えば、管腔壁がリトラクタ要素間の空間を通って入るのを防ぐのに役立つ。
【0023】
次に、システム100の使用について、ポリープなどの病変を体管腔壁から除去することに関連して説明する。まず図4および図5を見てみると、オーバーチューブ105は、内視鏡1200が結腸402の管腔400を通って挿入されて標的ポリープ404を除去する前に、内視鏡1200の近位端1201に装填され得る。内視鏡1200は、約150~170度の広い遠位観察領域を備えた遠位観察スコープであり得るので、ポリープ404およびその周辺領域を視覚化することができる。内視鏡1200を標的問題に隣接して(標的ポリープ404のすぐ近位に)配置した後、リトラクタ150がポリープ404と整列された状態で、オーバーチューブ105は図7に示すように標的部位に到達するまで図6に示されるように内視鏡1200上をさらに前進する。リトラクタ150が図7に示される体内の位置にあるとき、リトラクタ150は所望の作業スペースを形成するために拡張され得る。
【0024】
一旦拡張されると、内視鏡1200は、追加の作業空間を提供するとともに(内視鏡1200の光学系を介して)作業空間の視野を提供するために、カプラー198と199との間に近位に引き出される。標的ポリープ404(または他の組織)は、周方向に隣接する2つのリトラクタ要素の間に周方向において配置され得る。次に、切断および注射装置を使用して例えば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行うことができる位置で、組織クリップを開いたり、閉じたり、回転させたり、標的ポリープ404に結合したりすることができる。以下でさらに説明するように、テザーを使用して組織クリップを異なる位置(例えば、長手方向位置)でレール175に選択的に結合することができ、把持された組織に生成される牽引角度をユーザが変更できるようにする。したがって、次の図8~13は、オペレータが把持された組織の位置、角度、および張力を変更すべく、レール175がシステム100およびリトラクタ150内の様々な長手方向位置で牽引装置(例えば、組織クリップ)を支持および固定する特徴部を含む、複数の実施形態を示す。示される各実施形態は1つのレールのみを示すが、示される任意の実施形態は、組織の方向移動の追加の選択肢を執刀医に提供するために、複数の周方向および/または径方向に離間した複数のレール175を含むことができる。したがって、牽引装置(例えば、組織クリップ)は、周方向、径方向、および/または長手方向に離間した場所に固定されることができる。さらに、レール175自体は、ユーザによって所望の方向に調整可能であり得る。レール175に沿った並進は、位置の固定および/または漸増する移動を含み得る。牽引装置(例えば、組織クリップ)の並進は、二次器具(例えば、図8に示される把持器840の顎部)によるレールに沿った操作によって達成することができる。
【0025】
図8はシステム100の実施形態を示しており、レール175は1つまたは複数のアンカー802を含む。アンカー802は、例えば、リング、ループ、ラング(rung)、または鳩目(eyelet)であり得る。一実施形態では、アンカー802は、レール175がオーバーチューブ105の管腔106d内に配置されたときにアンカー802が折りたたまれることを可能にするために可撓性であり得る。別の実施形態では、アンカー802は、径方向に拡張された状態にバイアスされる形状記憶材料を含み得る。アンカー802は、第1の折りたたまれた構成(図示せず)と第2の拡張された構成(図8に示される)との間で相互に移動可能であり得る。第1の構成では、複数のアンカー802は、管腔106d内に拘束され、管腔106dを規定する壁によって及ぼされる圧力のためにレール175に対して折りたたまれてもよい。アンカー802は、レール175をオーバーチューブ105に対して遠位に移動させ、管腔106dから出すことによって、第1の構成から第2の構成に移行させることができる。レール175がオーバーチューブ105の遠位端108を越えて遠位方向に延びると、アンカー802に作用する拘束力が除去され得、アンカー802は径方向外側に拡張し得る。一実施形態では、アンカー802は周方向の開口部を有する部分リングであり得、開口部は部分リングの第1の端部を部分リングの第2の端部から完全に分離する。
【0026】
アンカー802は、組織クリップ800と組み合わせて使用することができる。組織クリップ800は、係合要素804、組織に埋め込まれるかさもなければ把持するためのアンカー810、および係合要素804をアンカー810に繋げるためのテザー806を含み得る。係合要素804は、アンカー802と係合するためのフックまたは他の同様の構造であり得る。すなわち、係合要素804およびアンカー802は、対応する組み合わせ機能部を有し得る。一例では、係合要素804およびアンカー802は、(互いに反対の磁極の露出を介して)互いに磁気的に引き付けられ得る。別の実施形態では、係合要素804およびアンカー802は各々粘着性の表面を含み得る。アンカー810は、例えば、顎部によって形成された把持要素を含み得る。顎部は、組織を受け入れるための開いた位置と、受け取った組織を把持するための閉じた位置との間を移動することができると考えられる。任意の適切な位置決め器具(図示せず)は、開位置と閉位置との間で顎部を作動させるように構成され得る。アンカー810はまた、組織に埋め込むための鋭い先端を備えたコイル、棘、スパイク、または別の適切な組織把持要素を含み得る。テザー806は、ワイヤ、コード、ケーブル、弾性バンド(例えば、ゴムバンド)、ばね(例えば、らせん引張ばね)、縫合糸、高炭素ばねワイヤ、編組または巻かれたフィラメント、ステンレス鋼、ニチノール、ばね鋼、ミュージックワイヤー、マッスルワイヤー、および/またはその他の適切な細長い部材、を含み得る。テザー806は、金属、ポリマー、または金属とポリマーの組み合わせであり得る。
【0027】
執刀医は、把持器840または別の適切なツールを使用して、係合要素804の長手方向、周方向、および/または径方向の位置を調整し、したがって、係合要素804を異なるアンカー802に結合することによって、アンカー810によって把持される組織の張力または配向を調整することができる。
【0028】
図9は、図9に示されるようにレール175は複数のループ903(例えば、ベルクロタイプのループ)を有する支持体902を含むことを除いて図8に示されるシステムと同様であるシステムを示す。この実施形態では、組織クリップ900は、係合部材804が複数のフック(ベルクロタイプのフック)906を有する係合部材904によって置き換えられ得ることを除いて、上記の組織クリップ800と実質的に同様であり得る。したがって、支持体902および係合部材904は、フック対ループファスナ、フック対パイルファスナ、またはタッチファスナを形成することができる。支持体902および係合部材904は各々、ループおよびフックをそれぞれ有する布片を含み得、これらは、一緒に押されると、互いに取り外し可能に固定される。支持体902は、係合部材904よりも実質的に長い長さおよび表面積を有し得る。例えば、支持体902は、他の適切な比率も企図されているが、係合部材904よりも2倍から50倍長くてもよい。
【0029】
オペレータは、把持器840(図8に図示)または別の適切なツールを使用して、係合部材904の長手方向、周方向、および/または径方向の位置を調整し、したがって、係合部材904を支持体902上の異なる位置に結合することによって、アンカー810によって把持される組織の張力または配向を調整することができる。
【0030】
図10に示す実施形態では、追加のツール1000は管腔106aを介してオーバーチューブ105を通して延び得る。この構成では、ツール1000は、管腔106aからリトラクタ150によって形成された治療空間まで延びる。テザー806は、ツール1000の遠位端1002から延びることができる。テザー806の反対側の端部は、上記のアンカー810に結合することができる。したがって、ツール1000自体を使用して、要求に応じた追加の張力または方向制御を提供することができる。これは、ツール1000のシャフトを伸ばす、回転させる、および/または関節運動させることによって達成することができる。ツール1000の遠位端1002はまた、ツール1000が管腔106aから出るときに関節運動するかまたは別の方向に回転することができるように、予め設定された屈曲を含み得る。この角度は、操作者が管腔106aから遠位端1002をどれだけ延ばすかに基づいて制御することができる。ツール1000は、オーバーチューブ105を通してではなく、内視鏡1200の管腔を通して延ばされ得ることもまた企図される。
【0031】
図11~13は、レール175が、爪1106と係合する複数の歯1102を含む、さらに別の代替の実施形態を示している。リトラクタ150は、歯1102と爪1106との間の相互作用をより明確に示すために簡略化された形で示されている。爪1106は、テザー806によってアンカー810に結合されている。アンカー810が組織に固定されると、その組織の張力は、爪1106を歯1102を介してレール175に沿って遠位方向にスライドさせることによって調整することができる。爪1106は、ツール1106a(例えば、把持器、ロッド、または任意の他の適切なツール)によって操作および/または制御され得る。一実施形態では、爪1106と歯1102との間の相互作用が爪1106の近位方向の動きを実質的に妨げるときに、爪1106はレール175に沿って一方向にのみ(例えば、遠位方向にのみ)移動することが企図される。いくつかの実施形態では、爪1106は、解放機構の作動によって歯1102から解放されて、爪1106を本体から除去することができる。別の実施形態では、爪1106は、解放されるためにレール175の全長を移動しなければならない。爪1106は、オーバーチューブ105または内視鏡1200のいずれかを介して延長されたツールに結合することができる。いくつかの実施形態では、爪1106は、歯1102に磁気的に引き付けられ得る。さらに他の実施形態では、爪1106は、歯1102上をスライドする管腔を含むヘッドアセンブリの一部であり得る(例えば、ジップタイ(zip-tie)構成)。そのような実施形態では、爪1106は管腔内に含まれ得る。
【0032】
明確にするためにリトラクタ150を取り除いた状態でオーバーチューブ105および内視鏡1200が図14に示されている。図14に示されるように、オーバーチューブ105は、オーバーチューブ105と内視鏡1200との間の長手方向の動きの制御を強化するためのボールねじ機構を含み得る。ボールねじ機構は、内視鏡1200の外面を把持して、オーバーチューブ105を遠位(および近位)に正確かつ力で運ぶことができる。ボールねじ機構は、回転ハンドル1420を作動させることによって、ユーザ、例えば、医師によって操作され得、回路を通してボール1408を駆動する。ハンドル1420の回転運動は、オーバーチューブ105の内周面に配置されたトラック1414を通るボール1408のらせん経路を介して、オーバーチューブ105の直線運動に変換される。ハンドル1420の第1の方向への回転は、ボール1408を第1の経路(図14の矢印によって示されるような)のトラック1414を通して移動させることによってチューブ105を遠位に移動させることができ、一方、ハンドル1420の第2の方向への回転は、ボール1408を第1の経路の反対側の第2の経路でトラック1414を通して移動させることによってオーバーチューブ105を近位方向に移動することができる。いくつかの実施形態では、内視鏡1200の外面は、オーバーチューブ105のトラック1414と同じまたは同様のピッチを有する1つまたは複数のらせん状トラックを含み得る。代替の実施形態では、ハンドル1420をモーターで置き換えることができる。ボール1408は、トラック1414の両端に接続された導管1410および1412を介して閉回路を通って循環することができる。
【0033】
当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスおよび方法において様々な修正および変形を行うことができることが明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書に開示される特徴の仕様および実施を考慮することから当業者には明らかであろう。仕様および例は例示としてのみ考慮されることが企図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能なリトラクタと、
組織係合要素およびアンカー係合要素を有する組織クリップと、
複数の離間した位置にそれぞれ位置する複数のアンカーを有するレールであって、前記複数のアンカーの各々は前記組織クリップの前記アンカー係合要素と解放可能な結合を形成するように構成されている、前記レールと、を備えるシステム。
【請求項2】
内視鏡を受け入れるように構成された管腔を有するオーバーチューブをさらに含み、前記リトラクタが前記オーバーチューブの遠位端にまたは遠位端に隣接して配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記オーバーチューブは、複数のボールがその中に配置された1つまたは複数のらせん状トラックを含み、1つまたは複数のらせん状トラックを通る前記複数のボールの動きは、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して長手方向に駆動し、
前記システムは、
前記1つまたは複数のらせん状トラックを通して前記複数のボールを駆動するように構成されたハンドルをさらに含み、
第1の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して遠位に移動させ、前記第1の方向と反対方向である第2の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して近位に移動させ、
前記内視鏡は、前記オーバーチューブの1つまたは複数のらせん状トラックと対応するピッチを有する1つまたは複数のらせん状トラックを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記リトラクタは前記レールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レールは、前記リトラクタが径方向に拡張された構成にあるときに前記リトラクタに剛性を提供する、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記組織クリップは、前記組織係合要素を前記アンカー係合要素と結合する弾性テザーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記アンカー係合要素はフックであり、前記レールの複数のアンカーは前記フックを受け入れるように各々構成された複数の離間したリングである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のリングのうちの1つ以上は、前記レールから径方向外側にバイアスされている、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の離間した位置は長手方向に離間した位置である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
内視鏡と、
前記内視鏡を受け入れるように構成された管腔を有するオーバーチューブと、
前記オーバーチューブの遠位端にまたは遠位端に隣接して配置されているリトラクタであって、径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能な、前記リトラクタと、
組織係合要素およびアンカー係合要素を有する組織クリップと、
複数の離間した位置にそれぞれ位置する複数のアンカーを有するレールであって、前記複数のアンカーの各々は前記組織クリップの前記アンカー係合要素と解放可能な結合を形成するように構成されている、前記レールと、を備えるシステム。
【請求項11】
前記リトラクタは前記レールを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記レールは、前記リトラクタが径方向に拡張された構成にあるときに前記リトラクタに剛性を提供する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記組織クリップは、前記組織係合要素を前記アンカー係合要素と結合する弾性テザーを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記アンカー係合要素はフックであり、前記レールの複数のアンカーは前記フックを受け入れるように各々構成された複数の離間したリングである、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のリングのうちの1つ以上は、前記レールから径方向外側にバイアスされている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記オーバーチューブは、複数のボールがその中に配置された1つまたは複数のらせん状トラックを含み、1つまたは複数のらせん状トラックを通る前記複数のボールの動きは、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して長手方向に駆動し、
前記システムは、
前記1つまたは複数のらせん状トラックを通して前記複数のボールを駆動するように構成されたハンドルをさらに含み、
第1の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して遠位に移動させ、前記第1の方向と反対方向である第2の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して近位に移動させ、
前記内視鏡は、前記オーバーチューブの1つまたは複数のらせん状トラックと対応するピッチを有する1つまたは複数のらせん状トラックを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の離間した位置は長手方向に離間した位置である、請求項10から16のいずれか一項に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたデバイスおよび方法において様々な修正および変形を行うことができることが明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書に開示される特徴の仕様および実施を考慮することから当業者には明らかであろう。仕様および例は例示としてのみ考慮されることが企図されている。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
径方向に折りたたまれた構成と径方向に拡張された構成との間で移動可能なリトラクタと、
組織係合要素およびアンカー係合要素を有する牽引ツールと、
複数の離間した位置の各々で前記アンカー係合要素と解放可能な結合を形成するように構成された第1の部材と、を備えるシステム。
(付記2)
内視鏡を受け入れるように構成された管腔を有するオーバーチューブをさらに含み、前記リトラクタが前記オーバーチューブの遠位端にまたは遠位端に隣接して配置されている、付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記第1の部材は、前記リトラクタが径方向に拡張された構成にあるときに前記リトラクタに剛性を提供するレールである、付記1または付記2に記載のシステム。
(付記4)
前記リトラクタは前記第1の部材を含む、付記1から3のいずれか一項に記載のシステム。
(付記5)
前記複数の離間した位置は長手方向に離間した位置である、付記1から4のいずれか一項に記載のシステム。
(付記6)
前記複数の離間した位置は径方向に離間した位置を含む、付記1から5のいずれか一項に記載のシステム。
(付記7)
前記牽引ツールは、前記組織係合要素を前記アンカー係合要素と結合する弾性テザーを含む付記1~6のいずれか一項に記載のシステム。
(付記8)
前記アンカー係合要素はフックであり、前記第1の部材はフックを受け入れるように各々構成された複数の離間したリングを含む付記1~7のいずれか一項に記載のシステム。
(付記9)
前記リングのうちの1つ以上は、前記第1の部材から径方向外側にバイアスされている、付記8に記載のシステム。
(付記10)
前記アンカー係合要素はフックまたはループを含み、前記第1の部材はフックまたはループを有する支持体を含み、前記アンカー係合要素および前記支持体はベルクロタイプのファスナを形成する、付記1~7のいずれか一項に記載のシステム。
(付記11)
前記第1の部材は、前記アンカー係合要素のスライド位置を保持するように設けられている、付記1~7のいずれか一項に記載のシステム。
(付記12)
前記アンカー係合要素のスライド位置は斬増的であり複数の歯を含む、付記11に記載のシステム。
(付記13)
前記オーバーチューブは、複数のボールがその中に配置された1つまたは複数のらせん状トラックを含み、1つまたは複数のらせん状トラックを通る前記複数のボールの動きは、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して長手方向に駆動する、付記2~12のいずれか一項に記載のシステム。
(付記14)
前記1つまたは複数のらせん状トラックを通して前記複数のボールを駆動するように構成されたハンドルをさらに含み、第1の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して遠位に移動させ、前記第1の方向と反対方向である第2の方向への前記ハンドルの回転は、前記オーバーチューブを前記内視鏡に対して近位に移動させる、付記13に記載のシステム。
(付記15)
前記内視鏡をさらに含み、該内視鏡は、前記オーバーチューブの1つまたは複数のらせん状トラックと対応するピッチを有する1つまたは複数のらせん状トラックを含む、付記13または付記14に記載のシステム。
【外国語明細書】